IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東ソー株式会社の特許一覧

特許7443668縮合環化合物、その製法、及びその製造中間体
<>
  • 特許-縮合環化合物、その製法、及びその製造中間体 図1
  • 特許-縮合環化合物、その製法、及びその製造中間体 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】縮合環化合物、その製法、及びその製造中間体
(51)【国際特許分類】
   C07C 25/22 20060101AFI20240228BHJP
   C07C 13/62 20060101ALI20240228BHJP
   C07C 13/72 20060101ALI20240228BHJP
   C07C 211/54 20060101ALI20240228BHJP
   G03G 5/06 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
C07C25/22 CSP
C07C13/62
C07C13/72
C07C211/54
G03G5/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019056756
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020033332
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2018070363
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018157157
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森中 裕太
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/074087(WO,A1)
【文献】特開2011-006397(JP,A)
【文献】特開2009-292807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 25/
C07C 13/
C07C 211/
G03G 5/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(4)~(6)のいずれか1つで表される、縮合環化合物:
【化1】
式中、
~Aは、それぞれ独立して、
塩素原子、フッ素原子、臭素原子、およびヨウ素原子、
フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、トリフェニレニル基、スピロビフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、およびジベンゾ[g,p]クリセニル基、
イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、フェニルピリジル基、ピリジルフェニル基、ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、1,3,5-トリアジルフェニル基、1,3,5-トリアジルビフェニリル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジル基、インドリル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、カルバゾリル基、9-フェニルカルバゾリル基、9-(4-ビフェニリル)カルバゾリル基、およびフェナジン基、
ジヒドロキシボリル基(-B(OH))、4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラニル基、5,5-ジメチル-[1,3,2]-ジオキサボリナン基、
または、式(2)で表される基、
【化2】
式中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表し、Yは単結合を表し、nは1を表す
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上3以下の整数であり、k1~k3の合計が、3以下であり;
k4およびk5は、0であり;
k1~k5が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよく;
300およびR301は、それぞれ独立して、
フェニル基、または、フェニル基が、メチル基、もしくはメトキシ基で置換された基;又は
メチル基を表し;
300およびR301は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【請求項2】
式(4i)~(6i)のいずれか1つで表されるフェナントレン化合物:
【化3】
式中、
~A は、それぞれ独立して、
塩素原子、フッ素原子、臭素原子、およびヨウ素原子、
フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、トリフェニレニル基、スピロビフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、およびジベンゾ[g,p]クリセニル基、
イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、フェニルピリジル基、ピリジルフェニル基、ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、1,3,5-トリアジルフェニル基、1,3,5-トリアジルビフェニリル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジル基、インドリル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、カルバゾリル基、9-フェニルカルバゾリル基、9-(4-ビフェニリル)カルバゾリル基、およびフェナジン基、
ジヒドロキシボリル基(-B(OH) )、4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラニル基、5,5-ジメチル-[1,3,2]-ジオキサボリナン基、
または、式(2)で表される基、
【化4】
式中、R 、R は、それぞれ独立して、炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基を表し、Yは単結合を表し、nは1を表す。
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上3以下の整数であり、k1~k3の合計が、3以下であり;
k4およびk5は、0であり;
k1~k5が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよく;
300およびR301は、それぞれ独立して、
フェニル基、または、フェニル基が、メチル基、もしくはメトキシ基で置換された基を表し;
300およびR301は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、縮合環化合物、その製法、及びその製造中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子用の材料として、ジベンゾ[g,p]クリセン化合物が使用されることがあるが、該ジベンゾ[g,p]クリセン化合物の報告例は少なく、その研究は十分になされていない。
【0003】
特許文献1は、種々のモノアミン誘導体を開示しており、その中の1つとしてジフェニルアミノ基で置換されたジベンゾ[g,p]クリセン化合物を開示している。さらに、特許文献2及び特許文献3は、それぞれ、芳香族炭化水素基、及びトリアジル基で置換されたジベンゾ[g,p]クリセン化合物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2012/018120号
【文献】特許第5685832号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0318486号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ジベンゾ[g,p]クリセン化合物について、本発明者等はさらなる検討を重ねた。その結果、特許文献1~3にかかるジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、有機エレクトロルミネッセンス用材料として、さらなる改善の余地があることがわかった。
そこで、本開示の一態様は、優れた駆動電圧、発光効率、および/または素子寿命を発揮する縮合環化合物;およびその製法を提供することに向けられている。また、本開示の他の態様は、優れた駆動電圧、発光効率、および/または素子寿命を発揮する上記縮合環化合物の製造に資する、フェナントレン化合物を提供することに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる縮合環化合物は、式(1)で表される縮合環化合物である:
【0007】
【化1】
【0008】
式中、
Xは、
置換基を有していてもよい、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、または、
これらの環の1つが、置換もしくは無置換のベンゼン環と縮環した環を表し;
~Aは、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k1~k3が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
【0009】
本開示の他の態様にかかるフェナントレン化合物は、式(8)で表される:
【0010】
【化2】
【0011】
式中、
Xは、
置換基を有していてもよいフルオレン環、ベンゾフルオレン環、または、
これらの環の1つが、置換もしくは無置換のベンゼン環と縮環した環を表し;
~Aは、それぞれ独立して、置換基を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k1~k3が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
【0012】
本開示のさらに他の態様にかかる縮合環化合物の製造方法は、上記縮合環化合物の製造方法であって、上記フェナントレン化合物を、分子内環化する。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一態様によれば、優れた駆動電圧、発光効率、および/または素子寿命を発揮する縮合環化合物;およびその製法を提供することができる。本開示の他の態様によれば、優れた駆動電圧、発光効率、および/または素子寿命を発揮する縮合環化合物の製造に資するフェナントレン化合物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構成の一例を示す概略断面図である。
図2】本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の他の積層構成の例(素子実施例-1の構成)を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
特許文献1~3について本発明者等がさらなる検討を重ねたところ、以下の知見を得た。
特許文献1にかかるアリールアミノジベンゾ[g,p]クリセンは、ガラス転移温度が低く、素子寿命に劣る。また、特許文献1にかかるアリールアミノジベンゾ[g,p]クリセンを正孔輸送材料として用いると、駆動電圧は充分な性能を発揮するものの、発光層からの電子阻止能が低いという理由により、電流効率の面で劣っており、改善が必要であることがわかった。
特許文献2にかかるビフェニル基を有するジベンゾ[g,p]クリセンを発光層の材料として用いると、電流効率は充分な性能を発揮するものの、駆動電圧の面で改善が必要であることがわかった。
特許文献3にかかるトリアジル基を有するジベンゾ[g,p]クリセンを電子輸送材料として用いると、駆動電圧、電流効率は充分な性能を発揮するものの、素子寿命の面で劣っており、改善が必要であることがわかった。
【0016】
本発明者等は特許文献1~3における種々の問題について検討を重ねた結果、特定の骨格を有する縮合環化合物であれば、当該特定の骨格に由来してかかる問題を解決し得ることを見出した。本開示の一態様にかかる縮合環化合物は、ジベンゾ[g,p]クリセンの骨格における1つのベンゼン環を、フルオレン系の環で置き換えた骨格である。この骨格は、ジベンゾ[g,p]クリセンのπ共役系を拡張させた効果により、ジベンゾ[g,p]クリセンよりも多くのπ電子系が電荷輸送に寄与するため、電子輸送材料、正孔輸送材料、発光材料等の種々の材料に適用可能であると本発明者等は推測している。すなわち、本開示の一態様にかかる縮合環化合物は、特定の骨格を有し、この骨格に由来して、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する各層に求められる種々の効果を発揮していると推察される。
【0017】
以下、本開示の一態様にかかる縮合環化合物をさらに詳細に説明する。
【0018】
<縮合環化合物>
本開示の一態様にかかる縮合環化合物は、式(1)で表される縮合環化合物である:
【0019】
【化3】
【0020】
式中、
Xは、
置換基を有していてもよい、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、または、
これらの環の1つが、置換もしくは無置換のベンゼン環と縮環した環を表し;
~Aは、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k1~k3が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
【0021】
式(1)で表される縮合環化合物におけるA~A、k1~k3、Xの定義はつぎのとおりである。
【0022】
<<A~Aについて>>
~Aは、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表す。電荷輸送性基とは、電荷を輸送する機能を有する置換基である。電荷とは、正孔、電子、またはその両方である。
【0023】
前記電荷輸送性基としては、それぞれ独立して、
(a-1)重水素原子、(a-2)フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、(a-3)トリフルオロメチル基、(a-4)ペンタフルオロエチル基、(a-5)シアノ基、(a-6)ニトロ基、(a-7)ヒドロキシル基、(a-8)チオール基、
(a-9)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、
(a-10)置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、
(a-11)置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、
(a-12)置換基を有していてもよいシリル基、
(a-13)炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、
(a-14)炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、
(a-15)炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、または、
(a-16)式(2)もしくは(2’)で表される基、であることが好ましい:
【0024】
【化4】
【0025】
式中、
~Rは、それぞれ独立して、
(r-1)水素原子、(r-2)重水素原子、
(r-3)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、
(r-4)置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、または、
(r-5)炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し;
Yは、それぞれ独立して、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいフェニレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいナフチレン基、
メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいビフェニレン基、または、
単結合を表し;
nは、1または2を表し、
Yが単結合の場合、nは1であり、
Yが単結合ではない場合、nは1または2であり;
nが2の場合、複数のR~Rは、同一であっても異なっていてもよい。
【0026】
~Aが置換基を有する場合、A~Aは、1つの置換基で置換されていてもよく、2つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0027】
(a-9):炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基
式(1)において、炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、トリフェニレニル基、スピロビフルオレニル基、ジフェニルフルオレニル基、およびジベンゾ[g,p]クリセニル基、等が挙げられる。また、炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基が、炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0028】
なお、(a-9)の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、置換基を有していてもよいホスフィンオキシド基、置換基を有していてもよいシリル基、炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基であることが好ましい。
【0029】
ホスフィンオキシド基としては、無置換のホスフィンオキシド基、置換基を有するホスフィンオキシド基が挙げられる。置換基を有するホスフィンオキシド基であることが好ましい。
置換基を有するホスフィンオキシド基としては、炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、または、縮環のヘテロ芳香族基を有するホスフィンオキシド基が好ましい。具体的には、特に限定されるものではないが、例えば、ジフェニルホスフィンオキシド等、2つのアリール基で置換された基が挙げられる。
【0030】
シリル基としては、無置換のシリル基、置換基を有するシリル基が挙げられる。置換基を有するシリル基であることが好ましい。
置換基を有するシリル基としては、炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、または、縮環のヘテロ芳香族基を有するシリル基が好ましい。具体的には、特に限定されるものではないが、例えば、トリフェニルシリル基等、3つのアリール基で置換された基が挙げられる。
【0031】
炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジヒドロキシボリル基(-B(OH))、4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラニル基、5,5-ジメチル-[1,3,2]-ジオキサボリナン基等が挙げられる。
【0032】
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、およびオクタデシル基等が挙げられる。
【0033】
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、およびオクタデシルオキシ基等が挙げられる。
【0034】
(a-10):炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基
式(1)において、炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基としては、特に限定されるものではないが、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を芳香環上に含有する炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基である。該ヘテロ芳香族基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ピロリル基、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、フェニルピリジル基、ピリジルフェニル基、ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、1,3,5-トリアジルフェニル基、1,3,5-トリアジルビフェニリル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、カルバゾリル基、9-フェニルカルバゾリル基、9-(4-ビフェニリル)カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジン基、およびチアントレニル基等が挙げられる。
なお、(a-10)のヘテロ芳香族基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基であることが好ましい。炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0035】
(a-11):ホスフィンオキシド基
式(1)において、ホスフィンオキシド基としては、無置換のホスフィンオキシド基、置換基を有するホスフィンオキシド基が挙げられる。置換基を有するホスフィンオキシド基であることが好ましい。
置換基を有するホスフィンオキシド基としては、特に限定されるものではないが、例えば、前述した(a-9)で例示したホスフィンオキシド基と同じものが挙げられる。
【0036】
(a-12):シリル基
式(1)において、シリル基としては、無置換のシリル基、置換基を有するシリル基が挙げられる。置換基を有するシリル基であることが好ましい。
置換基を有するシリル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、前述した(a-9)で例示したシリル基と同じものが挙げられる。
【0037】
(a-13):炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基
式(1)において、炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、前述した(a-9)で例示したボロニル基と同じものが挙げられる。
【0038】
(a-14):炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基
式(1)において、炭素数1~18の直鎖のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。
【0039】
(a-15):炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基
式(1)において、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0040】
(a-16):式(2)および(2’)で表される基
上述のとおり、上記A~Aは、上記式(2)または(2’)で表される基であってもよい。式(2)および(2’)において、Y、R~R、nの定義はつぎのとおりである。
【0041】
<<<R~Rについて>>>
式(2)および(2’)において、R~Rは、それぞれ独立して、(r-1)水素原子、(r-2)重水素原子、(r-3)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、(r-4)炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、または、(r-5)炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。
~Rが置換基を有する場合、R~Rは、1つの置換基で置換されていてもよく、2つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0042】
~Rが、置換基を有する芳香族炭化水素基、または、置換基を有するヘテロ芳香族基である場合、該置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、フッ素原子、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、9-カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、または、ジベンゾフラニル基であることが好ましい。
【0043】
(r-3):炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基
式(2)および(2’)において、炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基の定義は、その置換基の定義を除き、上記(a-9)において示した炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基の定義と同じである。
なお、(r-3)の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基は、重水素原子、フッ素原子、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、9-カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、N,N-ジフェニルアミノ基、またはN,N-ビス(4-ビフェニルイル)-アミノ基であることが好ましい。
【0044】
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖のアルキル基と同じものが挙げられる。
【0045】
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、前述した(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0046】
(r-4):炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基
式(2)および(2’)において、炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基の定義は、その置換基の定義を除き、前述した(a-10)で例示した炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基と同じものが挙げられる。また、炭素数3~20の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基であることがより好ましい。
なお、(r-4)のヘテロ芳香族基が置換基を有する場合、該置換基は、重水素原子、フッ素原子、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、9-カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、N,N-ジフェニルアミノ基、またはN,N-ビス(4-ビフェニルイル)-アミノ基であることが好ましい。これらの置換基は、特に限定されるものではないが、例えば、前述した(r-3)の置換基と同じ定義である。
【0047】
(r-5):炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基
式(2)および(2’)において、炭素数1~18の直鎖若しくは分岐のアルキル基の定義は、上記(a-9)において示した定義と同じである。
【0048】
<<<Yについて>>>
式(2)および(2’)において、Yは、メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいフェニレン基;メチル基もしくはフェニル基で置換されていてもよいナフチレン基;メチル基、もしくはフェニル基で置換されていてもよいビフェニレン基;または単結合を表す。
前記フェニレン基としては、特に限定されるものではないが、例えば、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基等が挙げられる。
前記ナフチレン基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナフタレン-1,2-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,8-ジイル基、ナフタレン-2,3-ジイル基等が挙げられる。
前記ビフェニレン基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビフェニル-4,4’-ジイル基、ビフェニル-4,3’-ジイル基、ビフェニル-4,2’-ジイル基、ビフェニル-3,3’-ジイル基、ビフェニル-3,2’-ジイル基、ビフェニル-2,2’-ジイル基等が挙げられる。
【0049】
<<<nについて>>>
前記式(2)において、nは、1又は2を表す。Yが単結合の場合、nは1である。Yが単結合ではない場合、nは1又は2である。
なお、nが2である場合、R及びRは2つずつ存在するが、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0050】
<<<k1~k3について>>>
k1~k3は、それぞれ独立して、0~4の整数である。
なお、k1~k3が2以上の整数である場合、A~Aは複数存在するが、複数のA~Aは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
k1~k3の合計(k1+k2+k3)が、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、0または1であることが特に好ましい。k1~k3の合計が3以下であると、k1~k3の合計が4以上の化合物と比較して分子量が小さくなる。その結果、化合物の昇華温度が低くなり、昇華時の耐熱安定性が向上するため好ましい。
【0051】
k1およびk2は、有機エレクトロルミネッセンス素子における優れた電荷輸送能を実現する観点から、0、又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
k3は、有機エレクトロルミネッセンス素子における優れた電荷輸送能を実現する観点から、0、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
上記式(1)で表される縮合環化合物については、有機エレクトロルミネッセンス素子における優れた電荷輸送能を実現する観点から、k1およびk2が0、且つk3が1のものが特に好ましい。
【0052】
<<Xについて>>
上記式(1)において、Xは、
置換基を有していてもよいフルオレン環またはベンゾフルオレン環;または、
これらの環の1つが、置換もしくは無置換のベンゼン環と縮環した環を表す。
前記フルオレン環またはベンゾフルオレン環が有していてもよい置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記(a-1)~(a-16)で示した置換基が挙げられる。
【0053】
置換のベンゼン環としては、フェニル基、ビフェニリル基、またはピリジル基で置換されたベンゼン環等が挙げられる。
【0054】
<<式(3)~(7)>>
式(1)で表される縮合環化合物は、式(3)~(7)のいずれか1つで表される縮合環化合物あることが好ましい。
【0055】
【化5】
【0056】
式中、
~Aおよびk~kは、それぞれ、式(1)におけるA~Aおよびk~kと同じ定義であり;
およびAは、それぞれ独立して、電荷輸送性基を表し;
k4は、0以上4以下の整数であり;
k5は、0以上2以下の整数であり;
k1~k5が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよく;
300およびR301は、それぞれ独立して、
(b-1)水素原子
(b-2)重水素原子、
(b-3)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、
(b-4)置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、
(b-5)炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、
(b-6)炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基を表し、
300およびR301は、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0057】
<<<R300、R301について>>>
300およびR301が、(b-3)置換基を有する芳香族炭化水素基、または、(b-4)置換基を有するヘテロ芳香族基である場合、該置換基は、それぞれ独立して、重水素原子、フッ素原子、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基であることが好ましい。炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、および、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基の具体例としては、特に限定されるものではないが、それぞれ前述した(a-9)で例示したものと同じものが挙げられる。
【0058】
300およびR301は、互いに結合して環を形成していてもよい。例えば、R300およびR301がフェニルである場合、互いに連結してフルオレン環を形成することができる。
【0059】
(b-3):置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基
式(3)~(7)のR300およびR301において、置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、およびビフェニリル基等が挙げられる。
【0060】
(b-4):置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基
式(3)~(7)のR300およびR301において、炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ピリジル基等が挙げられる。
【0061】
(b-5):炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基
式(3)~(7)において、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、上記(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。
【0062】
(b-6):炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基
式(3)~(7)において、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、上記(a-9)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
【0063】
式(3)~(7)で表される縮合環化合物において、R300およびR301は、原料入手の容易性の点で、それぞれ独立して、
フェニル基、ビフェニリル基、ピリジル基、ピリミジル基、または、これらの基が、メチル基、もしくはメトキシ基で置換された基;
メチル基、n-ブチル基、又はn-ヘキシル基であることが好ましい。
また、R300およびR301は、それぞれ独立して、
フェニル基、または、フェニル基が、メチル基、もしくはメトキシ基で置換された基;又は
メチル基であることがより好ましい。
【0064】
<<<k1~k5について>>>
k4は、0以上4以下の整数である。
k5は、0以上2以下の整数である。
なお、k1~k5が2以上の整数である場合、A~Aは複数存在するが、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
k4は、有機エレクトロルミネッセンス素子における優れた電荷輸送能を実現する観点から、0、1、又は2であることが好ましく、0であることがより好ましい。
k5は、有機エレクトロルミネッセンス素子における優れた電荷輸送能を実現する観点から、0、又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0065】
式(3)~(7)においても、式(1)と同様に、k1~k3の合計(k1+k2+k3)が、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、0または1であることが特に好ましい。
上記式(3)~(7)で表される縮合環化合物については、有機エレクトロルミネッセンス素子における優れた電荷輸送能を実現する観点から、k1、k2、k4、およびk5が0、且つk3が1のものが好ましい。
【0066】
<<<A~Aについて>>>
およびAで表される電荷輸送性基は、式(1)におけるA~Aで表される電荷輸送性基と同じ定義であり、好ましい範囲についても同じである。
【0067】
~Aが置換基を有する場合、A~Aは、1つの置換基で置換されていてもよく、2つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0068】
~Aが、置換基を有する芳香族炭化水素基、または、置換基を有するヘテロ芳香族基である場合、該置換基は、それぞれ独立して、上記(a-9)で例示した置換基と同じものが挙げられる。
【0069】
1~Aの具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下に示す(1)~(24)の基等が好ましい例として挙げられる。
【0070】
(1):メチル基、エチル基、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、重水素原子
【0071】
(2):フェニル基、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、2-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基
【0072】
(3):4-ビフェニル基、3-ビフェニル基、2-ビフェニル基、2-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、4’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,6-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,5’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,6’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、4-フェニルビフェニル基、2-フェニルビフェニル基
【0073】
(4):1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-メチルナフタレン-1-イル基、4-メチルナフタレン-1-イル基、6-メチルナフタレン-2-イル基、4-(1-ナフチル)フェニル基、4-(2-ナフチル)フェニル基、3-(1-ナフチル)フェニル基、3-(2-ナフチル)フェニル基、3-メチル-4-(1-ナフチル)フェニル基、3-メチル-4-(2-ナフチル)フェニル基、4-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、4-フェニルナフタレン-1-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、6-フェニルナフタレン-2-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基
【0074】
(5):2-フルオレニル基、9,9-ジメチル-2-フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9-フェナントリル基、2-フェナントリル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-2-イル基、3-フルオランテニル基、8-フルオランテニル基
【0075】
(6):1-イミダゾリル基、2-フェニル-1-イミダゾリル基、2-フェニル-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2,3,4-トリフェニル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフチル)-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフチル)-3,4-ジフェニル-1-イミダゾリル基、1-メチル-2-イミダゾリル基、1-エチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジビフェニリル-2-イミダゾリル基
【0076】
(7):1-メチル-3-ピラゾリル基、1-フェニル-3-ピラゾリル基、1-メチル-4-ピラゾリル基、1-フェニル-4-ピラゾリル基、1-メチル-5-ピラゾリル基、1-フェニル-5-ピラゾリル基
【0077】
(8):2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基、3-イソチアゾリル基、4-イソチアゾリル基、5-イソチアゾリル基
【0078】
(9):2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、3-イソオキサゾリル基、4-イソオキサゾリル基、5-イソオキサゾリル基
【0079】
(10):2-ピリジル基、3-メチル-2-ピリジル基、4-メチル-2-ピリジル基、5-メチル-2-ピリジル基、6-メチル-2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-メチル-3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピリミジル基、2,2’-ビピリジン-3-イル基、2,2’-ビピリジン-4-イル基、2,2’-ビピリジン-5-イル基、2,3’-ビピリジン-3-イル基、2,3’-ビピリジン-4-イル基、2,3’-ビピリジン-5-イル基、5-ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基
【0080】
(11):1-ベンゾイミダゾリル基、2-メチル-1-ベンゾイミダゾリル基、2-フェニル-1-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-3-インダゾリル基、1-フェニル-3-インダゾリル基
【0081】
(12):2-ベンゾチアゾリル基、4-ベンゾチアゾリル基、5-ベンゾチアゾリル基、6-ベンゾチアゾリル基、7-ベンゾチアゾリル基、3-ベンゾイソチアゾリル基、4-ベンゾイソチアゾリル基、5-ベンゾイソチアゾリル基、6-ベンゾイソチアゾリル基、7-ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-イル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-5-イル基
【0082】
(13):2-ベンゾオキサゾリル基、4-ベンゾオキサゾリル基、5-ベンゾオキサゾリル基、6-ベンゾオキサゾリル基、7-ベンゾオキサゾリル基、3-ベンゾイソオキサゾリル基、4-ベンゾイソオキサゾリル基、5-ベンゾイソオキサゾリル基、6-ベンゾイソオキサゾリル基、7-ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-4-イル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-5-イル基
【0083】
(14):2-キノリル基、3-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、1-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基、2-キノキサリル基、3-フェニル-2-キノキサリル基、6-キノキサリル基、2,3-ジメチル-6-キノキサリル基、2,3-ジフェニル-6-キノキサリル基、2-キナゾリル基、4-キナゾリル基、2-アクリジニル基、9-アクリジニル基、1,10-フェナントロリン-3-イル基、1,10-フェナントロリン-5-イル基
【0084】
(15):2-チエニル基、3-チエニル基、2-ベンゾチエニル基、3-ベンゾチエニル基、2-ジベンゾチエニル基、4-ジベンゾチエニル基
【0085】
(16):2-フラニル基、3-フラニル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基
【0086】
(17):9-メチルカルバゾール-2-イル基、9-メチルカルバゾール-3-イル基、9-メチルカルバゾール-4-イル基、9-フェニルカルバゾール-2-イル基、9-フェニルカルバゾール-3-イル基、9-フェニルカルバゾール-4-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-2-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-3-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-4-イル基
【0087】
(18):2-チアントリル基、10-フェニルフェノチアジン-3-イル基、10-フェニルフェノチアジン-2-イル基、10-フェニルフェノキサジン-3-イル基、10-フェニルフェノキサジン-2-イル基
【0088】
(19):1-メチルインドール-2-イル基、1-フェニルインドール-2-イル基、9-フェニルカルバゾール-4-イル基
【0089】
(20):4-(2-ピリジル)フェニル基、4-(3-ピリジル)フェニル基、4-(4-ピリジル)フェニル基、3-(2-ピリジル)フェニル基、3-(3-ピリジル)フェニル基、3-(4-ピリジル)フェニル基
【0090】
(21):4-(2-フェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-フェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2,3,4-トリフェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチル-4,5-ジフェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、3-(1-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基
【0091】
(22):4-(3,5-ジフェニルトリアジン-1-イル)フェニル基、4-(2-チエニル)フェニル基、4-(2-フラニル)フェニル基、5-フェニルチオフェン-2-イル基、5-フェニルフラン-2-イル基、4-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、4-(5-フェニルフラン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルフラン-2-イル)フェニル基、4-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、5-フェニルピリジン-2-イル基、4-フェニルピリジン-2-イル基、5-フェニルピリジン-3-イル基、4-(9-カルバゾリル)フェニル基、3-(9-カルバゾリル)フェニル基
【0092】
(23):2-ジベンゾ[g,p]クリセニル基、3-ジベンゾ[g,p]クリセニル基、2-(7-フェニル)ジベンゾ[g,p]クリセニル基、3-(7-フェニル)ジベンゾ[g,p]クリセニル基
【0093】
(24):N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ビス(4-ビフェニルイル)-アミノ基、N,N-ビス(3-ビフェニルイル)-アミノ基、N-フェニル-4-ビフェニルアミノ基、N-フェニル-3-ビフェニルアミノ基、N-(4-ビフェニル)-4-p-ターフェニルアミノ基、N-[4-(カルバゾール-9-イル)フェニル]-4-ビフェニルアミノ基、N-[1,1’-ビフェニル]-4-イル-N,N-ジフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、4-トリフェニルアミノ基、3-トリフェニルアミノ基、4-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、3-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、N,N,N,N-テトラフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、4-(フェニルアミノ)トリフェニルアミノ基
【0094】
式(3)~(7)で表される縮合環化合物において、A~Aは、原料入手の容易性の点で、それぞれ独立して、
フェニル基、ビフェニリル基、ピリジルフェニル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、9,9-スピロビ[9H-フルオレニル]基、トリフェニレニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、または、これらの基が、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、もしくはメトキシ基で置換された基;
フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、アントリル基、ジベンゾ[g,p]クリセニル基、カルバゾリル基、または、これらの基が、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、メトキシ基、もしくはフェニル基で置換された基;
4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基、(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル基、4,6-ビス(4-ビフェニリル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、4,6-ビス(3-ビフェニリル)-1,3,5-トリアジン-2-イル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ジフェニルホスフィンオキシド、トリフェニルシリル基、ジヒドロキシボリル基(-B(OH))、4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラニル基、5,5-ジメチル-[1,3,2]-ジオキサボリナン基、メチル基、N,N-ジフェニルアミノ基、N,N-ビス(4-ビフェニリル)アミノ基、N-[1,1’-ビフェニル]-4-イル-N,N-ジフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、N-フェニル-3-ビフェニリルアミノ基、4-トリフェニルアミノ基、3-トリフェニルアミノ基、4-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、3-(4’,4’’-ジフェニル)トリフェニルアミノ基、N,N,N,N-テトラフェニル-1,3-ベンゼンジアミノ基、又は4-(フェニルアミノ)トリフェニルアミノ基であることが好ましい。
【0095】
300およびR301の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、前述した(2)、(3)、(10)、以下に示す(25)および(26)の基等が好ましい例として挙げられる。
【0096】
(25):メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基
【0097】
(26):メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基
【0098】
以下に、式(1)で表される縮合環化合物について、好ましい化合物を例示するが、該縮合環化合物はこれらの化合物に限定されるものではない。
表B-1~B-7は、表A-1~表A-2に示された(3A)~(7F)の骨格を有し、かつ、該骨格が有する置換基Aが、表B-1~B-7に示された基である、(NA-1)~(NF-251)の化合物を示している。ここで、Nは3~7の任意の整数を表す。したがって、例えば、(NA-2)という化合物の場合、N=3のときは、(3A)の骨格を有し、該骨格が有する置換基AがF原子である(3A-2)の化合物を示している。
【0099】
ただし、N=4~7の場合、(NA-1)、(NB-1)、(NC-1)は、Aが重水素(D)原子である。N=4~7の場合、(ND-1)、(NE-1)、(NF-1)は、Aが水素(H)原子である。
N=3の場合、(NA-1)は、Aが重水素(D)原子である。N=3の場合、(NB-1)、(NC-1)、(ND-1)は、Aが水素(H)原子である。
【0100】
なお、N=3の場合、(NE-1)~(NE-251)、(NF-1)~(NF-251)、すなわち、(3E-1)~(3E-251)、(3F-1)~(3F-251)は存在しない。
【0101】
【表A-1】
【0102】
【表A-2】
【0103】
【表B-1】
【0104】
【表B-2】
【0105】
【表B-3】
【0106】
【表B-4】
【0107】
【表B-5】
【0108】
【表B-6】
【0109】
【表B-7】
【0110】
また、表B-8~B-14に示される化合物(3Z-1)~(7Z-23)も例示できる。
【0111】
【表B-8】
【0112】
【表B-9】
【0113】
【表B-10】
【0114】
【表B-11】
【0115】
【表B-12】
【0116】
【表B-13】
【0117】
【表B-14】
【0118】
<縮合環化合物の製造方法>
式(1)で表される縮合環化合物は、製造時における収量及び純度の観点から、後述する式(8a)又は(8b)で表される化合物を出発原料とした下記のルートにより、合成することが好ましい。
【0119】
【化6】
【0120】
式中、
X、A~A、及びk~kは、前記式(1)と同じ定義であり;
α及びβは、互いに異なり、それぞれ、炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基、又はハロゲン原子(塩素、臭素、もしくはヨウ素)を表す。
X、A~A、及びk~kの好ましい範囲は、前記式(1)におけるX、A~A、及びk~kの好ましい範囲と同じである。
【0121】
即ち、式(8a)で表されるフェナントレン化合物と、式(8c)で表される化合物とを、または、式(8b)で表されるフェナントレン化合物と、式(8d)で表される化合物とをパラジウム触媒存在下、必要に応じて塩基を用いてカップリング反応させ、式(8)で表されるフェナントレン化合物を得る。更に、得られた式(8)で表されるフェナントレン化合物を分子内環化して、前記式(1)で表される縮合環化合物を得ることができる。分子内環化は、フェナントレン化合物に対して、酸化剤による酸化あるいは光照射を行って、分子内環化反応させることが好ましい。
【0122】
上記のルートで得られた前記式(1)が、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素)、又は炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基を有している場合には、必要に応じて追加のカップリング反応を行ってもよい。
【0123】
炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基としては、特に限定されるものではないが、前述した(a-9)で例示した炭素数2~10の飽和炭化水素基を有していてもよいボロニル基と同じものが挙げられる。
【0124】
式(8a)~(8d)で表される化合物は、公知の方法に基づいて合成することができ、あるいは市販されている化合物を用いることもできる。
【0125】
式(8a)で表される化合物と式(8c)で表される化合物とのカップリング反応、及び式(8b)で表される化合物と式(8d)で表される化合物とのカップリング反応としては、公知のカップリング反応を利用することができ、前記の塩基、及びパラジウム触媒についても、公知のものを用いることができる。
【0126】
式(8)で表されるフェナントレン化合物は、置換基を有していてもよいフルオレン環もしくはベンゾフルオレン環;または、これらの環の1つが、置換もしくは無置換のベンゼン環と縮環した環であるXを有することにより、結晶性が向上するという効果を奏する。そのため、Xが、上記の環以外の環の場合(例えば、Xが、ベンゼン環又はナフタレン環など)と比較して、再結晶化による大量製造に有利である。
【0127】
分子内環化は、酸化剤による酸化又は光照射による酸化によって行うことが好ましい。
酸化剤としては、塩化第二鉄(FeCl)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)、塩化モリブデン(MoCl)、塩化アルミニウム(AlCl)、又は[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン(PIFA)であることが好ましい。
光照射による酸化の場合、添加剤として、
ヨウ素(I)及び1,2-エポキシプロパン、又は
1,2-エポキシブタンを、添加することが好ましい。
【0128】
<フェナントレン化合物>
本開示の一態様にかかるフェナントレン化合物は、式(8)で表されるフェナントレン化合物である:
【0129】
【化7】
【0130】
式中、
Xは、
置換基を有していてもよいフルオレン環、ベンゾフルオレン環、または、
これらの環の1つが、置換もしくは無置換のベンゼン環と縮環した環を表し;
~Aは、それぞれ独立して、置換基を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k1~k3が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
【0131】
式(8)で表されるフェナントレン化合物については、式(1)で表される縮合環化合物を高収率及び高純度で得る観点から、具体的には、下記式(3i)~(7i)で表されるフェナントレン化合物が好ましい。
【0132】
【化8】
【0133】
式中、
~A、R300、R301及びk~kは、前記式(3)~(7)と同じ定義であり、好ましい範囲についても同じである。
【0134】
以下に、式(3i)~(7i)で表されるフェナントレン化合物について、好ましい化合物を例示するが、本態様はこれらの化合物に限定されるものではない。
表D-1~D-5は、表C-1~C-2に示された(3iA)~(7iF)の骨格を有し、かつ、該骨格が有する置換基Aが、表D-1~D-5に示された基である、(NiA-1)~(NiF-167)の化合物を示している。ここで、Nは3~7の任意の整数を表す。したがって、例えば、(NiA-2)という化合物の場合、N=3のときは、(3iA)の骨格を有し、該骨格が有する置換基AがF原子である(3iA-2)の化合物を示している。
【0135】
ただし、N=4~7の場合、(NiA-1)、(NiB-1)、(NiC-1)は、Aが重水素(D)原子である。N=4~7の場合、(NiD-1)、(NiE-1)、(NiF-1)は、Aが水素(H)原子である。
N=3の場合、(NiA-1)は、Aが重水素(D)原子である。N=3の場合、(NiB-1)、(NiC-1)、(NiD-1)は、Aが水素(H)原子である。
【0136】
なお、N=3の場合、(NiE-1)~(NiE-251)、(NiF-1)~(NiF-251)、すなわち、(3iE-1)~(3iE-167)、(3iF-1)~(3iF-167)は存在しない。
【0137】
【表C-1】
【0138】
【表C-2】
【0139】
【表D-1】
【0140】
【表D-2】
【0141】
【表D-3】
【0142】
【表D-4】
【0143】
【表D-5】
【0144】
また、表D-6~D-12に示される化合物(3iZ-1)~(7iZ-21)も例示できる。
【0145】
【表D-6】
【0146】
【表D-7】
【0147】
【表D-8】
【0148】
【表D-9】
【0149】
【表D-10】
【0150】
【表D-11】
【0151】
【表D-12】
【0152】
<有機エレクトロルミネッセンス素子用材料>
式(1)で表される縮合環化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として使用することができる。したがって、本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、式(1)で表される縮合環化合物を含む。なお、式(1)で表される縮合環化合物は、電荷輸送特性や素子寿命の点で、高純度であることが好ましい。具体的には、ハロゲン原子や遷移金属元素による不純物や、製造原料や副生成物等の不純物が極力少ないものが好ましい。
【0153】
式(1)で表される縮合環化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、正孔輸送性の層(陽極と発光層との間の正孔輸送性を有する各層であり、具体的には、正孔注入層、正孔輸送層等が挙げられる)、発光層、又は電子輸送性の層(陰極と発光層との間の電子輸送性を有する各層であり、具体的には、電子注入層、電子輸送層等が挙げられる)を形成する材料として用いることができる。これらの中でも、正孔輸送層、発光層又は電子輸送層の材料として用いられることが特に好ましい。なお、正孔輸送層が第一正孔輸送層と第二正孔輸送層とからなる2層に機能分離された構成である場合、式(1)で表される縮合環化合物は第一正孔輸送層(陽極側)および第二正孔輸送層(陰極側)のいずれか一方、あるいは両方の材料として用いられてもよい。
【0154】
式(1)で表される縮合環化合物を、有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送性の層の材料、発光層の材料、又は電子輸送性の層の材料として使用する際には、従来から使用されている公知の蛍光発光材料、燐光発光材料、又は熱活性化遅延蛍光発光材料を発光層に使用することができる。発光層は1種類の発光材料のみで形成されていてもよく、ホスト材料中に1種類以上の発光材料がドープされていてもよい。
【0155】
式(1)で表される縮合環化合物を含む正孔輸送性の層は、単層であってもよく、複数の層からなる積層構成であってもよい。単層の場合、正孔輸送性の層は式(1)で表される縮合環化合物からなっていてもよいし、該縮合環化合物に加えてさらに1種類以上の公知の材料を含有していてもよい。積層構成である場合は、単層の場合に加えてさらに1種類以上の公知の材料を含む層が積層されてなる。当該公知の材料としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-〔1,1’-ビフェニル〕-4,4’-ジアミン(TPD)、2,2-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノビフェニル、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(4-メトキシフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N-トリ(p-トリル)アミン、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4-N,N-ジフェニルアミノ-(2-ジフェニルビニル)ベンゼン、3-メトキシ-4’-N,N-ジフェニルアミノスチルベンゼン、N-フェニルカルバゾール、4,4’-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、4,4’,4’’-トリス〔N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)、3-[4-[1,1’-ビフェニル-4-イル](9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)アミノ]フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール、及び4,4’-ビス[N-フェニル-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-1,1’-ビフェニル]、N,N-ビス[4-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-N-(p-テルフェニル-4-イル)アミン等の公知の正孔輸送性の材料が挙げられる。
【0156】
式(1)で表される縮合環化合物を有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層の材料として使用する場合には、該縮合環化合物を単独で使用してもよいし、公知の発光ホスト材料にドープして使用してもよいし、公知の発光ドーパントをドープして使用してもよい。
【0157】
式(1)で表される縮合環化合物を含有する電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法等の公知の方法を適用することができる。
【0158】
スピンコート法、キャスト法等の塗布法に用いられる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、式(1)で表される縮合環化合物に加えて、有機溶媒を含む。有機溶媒としては特に制限はないが、例えば、モノクロロベンゼン及びオルトジクロロベンゼンなどが挙げられる。有機溶媒はこれらを2種以上組み合わせたものであってもよい。所望の塗工性能を発揮するべく有機溶媒が選択されて、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料の粘度や濃度が調整されていることが好ましい。
【0159】
<有機エレクトロルミネッセンス素子>
本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記した式(1)で表される縮合環化合物を含む層を備える。
【0160】
図1は、本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構成の一例を示す概略断面図である。以下、図1を参照しながら本態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子について説明する。なお、図1に示す有機エレクトロルミネッセンス素子は、いわゆるボトムエミッション型の素子構成を有したものであると、本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子はボトムエミッション型の素子構成に限定されるものではない。すなわち、本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、トップエミッション型の素子構成であってもよく、その他の公知の素子構成であってもよい。
【0161】
有機エレクトロルミネッセンス素子100の基本的な構造としては、基板1、陽極2、正孔注入層3、電荷発生層4、正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8、及び陰極9をこの順で含む。ただし、これらの層のうちの一部の層が省略されていてもよく、また逆に他の層が追加されていてもよい。例えば、電荷発生層4が省略され、正孔注入層3上に正孔輸送層5が直接設けられていてもよく、発光層6と電子輸送層7との間に正孔阻止層が設けられていてもよい。また、例えば電子注入層の機能と電子輸送層の機能とを単一の層で併せ持つ電子注入・輸送層のような、複数の層が有する機能を併せ持った単一の層を、当該複数の層の代わりに備えた構成であってもよい。
【0162】
そして、本態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層からなる群より選ばれる1つ以上の層は、式(1)で表される縮合環化合物を含む。
【0163】
正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層のうち、式(1)で表される縮合環化合物を含む層は、該縮合環化合物と共に、公知の材料の中から選択される任意の1種以上を含有していてもよい。また、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層のうち、式(1)で表される縮合環化合物を含まない層は、公知の材料の中から選択される任意の1種以上を含有することが好ましい。
【0164】
有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する各層の詳細については後述する。
【0165】
有機エレクトロルミネッセンス素子100の陽極2及び陰極9は、電気的な導体を介して電源に接続されている。陽極2と陰極9との間に電圧を印加することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子100は作動、発光する。
【0166】
正孔は陽極2で有機エレクトロルミネッセンス素子100内に注入され、電子は陰極9で有機エレクトロルミネッセンス素子100内に注入される。
【0167】
なお、本態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子100は、陽極2が基板1に接して設けられている。基板と接触する電極は便宜上、下側電極と呼ばれる。ただし、本態様はかかる構成に限定されるものではなく、陽極に代えて陰極が基板に接して設けられて下側電極となっていてもよく、基板と陽極または陰極とが接しておらず、陽極または陰極が他の層を介して基板上に積層されていてもよい。
【0168】
<<基板1>>
基板は、意図される有機エレクトロルミネッセンス素子の発光方向(光が取り出される方向)に応じて光透過性を適宜選択すればよい。すなわち、基板は光透過性を有していてもよく、有していなくても(所定の波長を有する光に対して不透明であっても)よい。基板が光透過性を有するか否かは、例えば、当該基板から有機エレクトロルミネッセンス素子の発光に由来する光が所望の量以上観察されるか否かにより確認できる。
光透過性を有する基板として、透明ガラス板又はプラスチック板が一般的に採用される。ただし、基板はこれらに何ら限定されるものではない。基板は、例えば、多重の材料層を含む複合構造であってもよい。
【0169】
<<陽極2>>
基板1上には陽極2が設けられている。
発光が陽極を通過して取り出される構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、陽極は当該発光を通すか又は実質的に通す材料で形成される。
【0170】
陽極に用いられる透明材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、インジウム-錫酸化物(ITO;Indium Tin Oxide)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO;Indium Zinc Oxide)、酸化錫、アルミニウム・ドープ型酸化錫、マグネシウム-インジウム酸化物、ニッケル-タングステン酸化物、その他の金属酸化物;窒化ガリウム等の金属窒化物;セレン化亜鉛等の金属セレン化物;および硫化亜鉛;等の金属硫化物などが挙げられる。
陽極は、プラズマ蒸着されたフルオロカーボンで改質することができる。
なお、陰極側のみから光を取り出す構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、陽極の透過特性は重要ではなく、陽極の材料として透明、不透明又は反射性の任意の導電性材料を使用することができる。したがって、この場合の陽極に用いられる材料の一例としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム、白金等が挙げられる。
【0171】
<<正孔輸送性の層(正孔注入層3、正孔輸送層5)>>
陽極2と発光層6との間には、正孔輸送性の層が設けられている。
【0172】
正孔輸送性の層とは、陽極と発光層との間に設けられた正孔輸送性を有する層であり、正孔注入層、正孔輸送層等である。正孔輸送性の層が陽極と発光層との間に複数設けられていてもよい。正孔注入層や正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有する。これらの層を陽極と発光層との間に介在させることにより、正孔がより低い電界で発光層に注入される。
なお、正孔輸送層は、図1に示す実施形態においては単層からなっているが、複数層、例えば、陽極側の第一正孔輸送層と、陰極側の第二正孔輸送層とからなっていてもよい。この2層構成の正孔輸送層の場合、第一正孔輸送層が第二正孔輸送層と比較して正孔輸送能に優れた層であり、第二正孔輸送層が第一正孔輸送層と比較して電子阻止能に優れた層であることが好ましい。第二正孔輸送層は、一般に電子阻止層と称されることもある。
【0173】
本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔輸送層(前述した、機能分離された第一正孔輸送層および第二正孔輸送層であってもよい)、正孔注入層および発光層からなる群より選ばれる1つ以上は、前記式(1)で表される縮合環化合物を含むものである。
【0174】
式(1)で表される縮合環化合物を含む正孔輸送層、正孔注入層は、該縮合環化合物と共に、公知の正孔輸送性を有する材料の中から選択される任意の1種以上を含有していてもよい。また、式(1)で表される縮合環化合物を含まない正孔輸送層、正孔注入層は、公知の正孔輸送性を有する材料の中から選択される任意の1種以上を含有することが好ましい。
【0175】
公知の正孔輸送性を有する材料(正孔注入材料、正孔輸送材料、電子阻止材料等を含む)としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、および、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。これらのうち、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物が好ましく、特に芳香族第三級アミン化合物が好ましい。
【0176】
上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、前記の公知の正孔輸送性の材料が挙げられる。
又、p型-Si、p型-SiCなどの無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
【0177】
正孔注入層および正孔輸送層は、上記材料および式(1)で表される縮合環化合物から選ばれる1種以上からなる単層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
<<電荷発生層4>>
【0178】
正孔注入層3と正孔輸送層5との間には、電荷発生層が設けられていてもよい。
電荷発生層の材料としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジピラジノ[2,3-f:2’,3’-h]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)が挙げられる。
【0179】
<<発光層6>>
正孔輸送層5と電子輸送層7または後述する正孔阻止層との間には、発光層6が設けられている。
【0180】
発光層は、蛍光発光材料、又は熱活性化遅延蛍光発光材料を含み、この領域で電子・正孔対が再結合された結果として発光を生ずる。
【0181】
発光層は、低分子及びポリマー双方を含む単一材料からなっていてもよいが、より一般的には、ゲスト化合物でドーピングされたホスト材料からなっている。発光は主としてドーパントから生じ、任意の色を有することができる。
【0182】
ホスト材料としては、例えば、ビフェニル基、フルオレニル基、トリフェニルシリル基、カルバゾール基、ピレニル基、又はアントラニル基を有する化合物が挙げられる。より具体的には、DPVBi(4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-1,1’-ビフェニル)、BCzVBi(4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)1,1’-ビフェニル)、TBADN(2-ターシャルブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン)、ADN(9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン)、CBP(4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル)、CDBP(4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)-2,2’-ジメチルビフェニル)、2-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-9-[4-(4-フェニルフェニルキナゾリン-2-イル)カルバゾール、9,10-ビス(ビフェニル)アントラセン、2-(10-フェニル-9-アントラセニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3-d]フラン、および式(1)で表される縮合環化合物等が挙げられる。
【0183】
ホスト材料としては、後述する電子輸送材料、前述した正孔輸送性を有する材料、正孔・電子再結合を助ける(サポート)別の材料、又はこれら材料の組み合わせであってもよい。
【0184】
蛍光ドーパントとしては、例えば、アントラセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム、チアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、ビス(アジニル)メタン化合物、カルボスチリル化合物、式(1)表される縮合環化合物等が挙げられる。蛍光ドーパントはこれらから選ばれる2種以上を組み合わせたものであってもよい。
【0185】
燐光ドーパントとしては、例えば、イリジウム、白金、パラジウム、オスミウム等の遷移金属の有機金属錯体が挙げられる。
【0186】
蛍光ドーパント及び燐光ドーパントの具体例としては、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム)、DPAVBi(4,4’-ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]ビフェニル)、ペリレン、ビス[2-(4-n-ヘキシルフェニル)キノリン](アセチルアセトナート)イリジウム(III)、Ir(PPy)3(トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III))、及びFIrPic(ビス(3,5-ジフルオロ-2-(2-ピリジル)フェニル-(2-カルボキシピリジル)イリジウム(III)))、1,6-ピレンジアミン,N,N-ビス([1,1’-ビフェニル]-3-イル)-N,N-ビス(4-ジベンゾフラニル)-等が挙げられる。
【0187】
発光層は単層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0188】
<<電子輸送性の層(電子輸送層7、電子注入層8)>>
電子輸送層7は、電子注入層8と、発光層6との間に設けられている。
【0189】
電子輸送層は、電子注入層より注入された電子を発光層に伝達する機能を有する。電子輸送層を電子注入層と発光層との間に介在させることにより、電子がより低い電界で発光層に注入される。
なお、電子輸送層は、図1に示す態様においては単層からなっているが、複数層、例えば、陽極側の第一電子輸送層と、陰極側の第二電子輸送層とからなっていてもよい。この2層構成の電子輸送層の場合、第二電子輸送層が第一正孔輸送層と比較して電子輸送能に優れた層であり、第一電子輸送層が第二電子輸送層と比較して正孔阻止能に優れた層であることが好ましい。第一電子輸送層は、一般に正孔阻止層と称されることもある。正孔阻止層は、キャリアバランスを改善させることができる。
【0190】
電子輸送層は電子輸送性材料を含む。電子輸送性材料としては、8-ヒドロキシキノリナートリチウム(Liq)、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナート)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)-1-ナフトラートアルミニウム、又はビス(2-メチル-8-キノリナート)-2-ナフトラートガリウム、2-[3-(9-フェナントレニル)-5-(3-ピリジニル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、及び2-(4,’’-ジ-2-ピリジニル[1,1’:3’,1’’-テルフェニル]-5-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、BAlq(ビス(2-メチル-8-キノリノラート)-4-(フェニルフェノラート)アルミニウム)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム)、および式(1)表される縮合環化合物等が挙げられる。
【0191】
電子注入層は、電子注入性を向上させ、素子特性(例えば、発光効率、定電圧駆動、又は高耐久性)を向上させることができる。
電子注入層の材料として望ましい化合物としては、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等が挙げられる。また、上記した金属錯体やアルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、SiO、AlO、SiN、SiON、AlON、GeO、LiO、LiON、TiO、TiON、TaO、TaON、TaN、Cなどの各種酸化物、窒化物、または酸化窒化物のような無機化合物等も使用できる。
【0192】
<<陰極9>>
電子注入層8上には陰極9が設けられている。
陽極を通過した発光のみが取り出される構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、前述したように陰極は任意の導電性材料から形成することができる。望ましい陰極材料としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
【0193】
以上説明した本態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子100は、前述したように、正孔注入層8、正孔輸送層7、発光層6、電子輸送層5、及び電子注入層3からなる群より選ばれる1つ以上は、式(1)で表される縮合環化合物を含む。
【0194】
式(1)で表される縮合環化合物は、特許文献1~3に記載のジベンゾ[g,p]クリセンを用いた化合物と比較して、有機エレクトロルミネッセンス素子、特に燐光発光性の有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔輸送層、発光層、蛍光発光性の発光層、または電子輸送層に用いた場合、用いた層に応じて、駆動電圧、発光効率、および/または素子寿命に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。
【0195】
したがって、本開示の他の態様によれば、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子におけるジベンゾ[g,p]クリセン化合物を、式(1)で表される縮合環化合物で置き換えることで、駆動電圧、発光効率、および/または素子寿命に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
【0196】
また、本開示のさらに他の態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、正孔輸送材料として用いたときに、従来のジベンゾ[g,p]クリセンを用いた場合と比較して、隣接する発光層からの電子の漏れだしを防ぐ効果がある。そのため、本開示のさらに他の態様によれば、発光効率に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製に資する、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を提供することができる。
【0197】
また、本開示のさらに他の態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料によれば、発光材料として用いたときに、従来のジベンゾ[g,p]クリセンを用いた場合と比較して、隣接する正孔輸送層からの正孔、および電子輸送層からの電子をより速やかに受容する効果がある。そのため、本開示のさらに他の態様によれば、発光効率に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製に資する、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を提供することができる。
【0198】
また、本開示のさらに他の態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料によれば、電子輸送材料として用いたときに、従来のジベンゾ[g,p]クリセンを用いた場合と比較して、電子に対する耐久性が向上する効果がある。そのため、本開示のさらに他の態様によれば、素子寿命に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製に資する、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を提供することができる。
【0199】
本開示の一態様にかかる縮合環化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、例えば、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光層材料、電子輸送材料、電子注入材料として利用可能である。該縮合環化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は、駆動電圧、発光効率、および/または素子寿命に優れる。さらに該縮合環化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子への利用に限られるものではなく、電子写真感光体、光電変換素子、太陽電池、およびイメージセンサー等の有機光導電材料への分野にも応用可能である。
【実施例
【0200】
以下、本開示の各態様を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本開示の各態様はこれらの実施例に何ら限定されて解釈されるものではない。
なお、本実施例で用いた分析機器及び測定方法を以下に列記する。
【0201】
[材料純度測定(HPLC分析)]
測定装置:東ソー製 マルチステーションLC-8020
測定条件:カラム Inertsil ODS-3V
(4.6mmΦ×250mm)
検出器 UV検出(波長 254nm)
溶離液 メタノール/テトラヒドロフラン=9/1(v/v比)
[NMR測定]
測定装置:バリアン社製 Gemini200
[質量分析]
質量分析装置:日立製作所 M-80B
測定方法:FD-MS分析
[有機エレクトロルミネッセンス素子の発光特性]
測定装置:トプコンテクノハウス社製LUMINANCEMETER(BM-9)
【0202】
[合成例-1](2-(2-ブロモ-4-クロロフェニル)-9,9-ジフェニルフルオレンの合成)
【0203】
【化9】
【0204】
窒素気流下、200mLの二口ナスフラスコに、2-(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-2-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン 9.02g(20.30mmol)、2-ブロモ-4-クロロ-1-ヨードベンゼン 4.95g(15.61mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 541mg(0.47mmol)、トルエン 50mL、エタノール 5mL、及び濃度2Mの炭酸セシウム水溶液 15mLを加え、100℃で2日間攪拌した。室温まで冷却後、純水を100mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。濃縮物を再結晶(クロロホルム/メタノール)することにより、2-(2-ブロモ-4-クロロフェニル)-9,9-ジフェニルフルオレンの無色粉末を8.70g(17.12mmol)単離した(収率84.3%、HPLC純度98.5%)。
【0205】
化合物の同定はH-NMR測定により行った。なお、以下に示す実施例、合成例においても同様に、化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);8.03(d,1H),8.00(d,1H),7.86(d,1H),7.53(dd,1H),7.49(d,1H),7.46-7.40(m,4H),7.36(t,1H),7.28-7.14(m,10H)
【0206】
[実施例-1](化合物(4iB-3)の合成))
【0207】
【化10】
【0208】
窒素気流下、100mLのガラス容器に、2-(2-ブロモ-4-クロロフェニル)-9,9ージフェニルフルオレン 8.57g(16.88mmol)、9-フェナントレンボロン酸 4.69g(21.11mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 488mg(0.42mmol)、トルエン 20mL、エタノール 4mL、及び濃度2Mの炭酸セシウム水溶液 15mLを加え、100℃で3日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール70mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。回収した個体を再結晶(クロロホルム/メタノール)することで、化合物(4iB-3)の無色粉末を8.36g(13.81mmol)単離した(収率81.8%、HPLC純度96.5%)。
【0209】
H-NMR(DMSO-d);8.76(dd,2H),7.92(dd,1H),7.75-7.59(m,6H),7.51(d,1H),7.48-7.41(m,3H),7.36(dd,1H),7.29-7.14(m,5H),7.06-6.99(m,2H),6.92(t,2H),6.76(t,2H),6.51-6.46(m,4H)
【0210】
[合成例-2](2-(2-ブロモ-4-クロロフェニル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]の合成)
【0211】
【化11】
【0212】
窒素気流下、200mLの二口ナスフラスコに、2-ブロモ-4-クロロ-1-ヨードベンゼン 6.34g(20.0mmol)、9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2-ボロン酸 9.37g(26.0mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 462mg(0.4mmol)、トルエン 50mL、エタノール 5mL、及び濃度2Mの炭酸セシウム水溶液 15mLを加え、100℃で3日間攪拌した。室温まで冷却後、純水を100mL、クロロホルムを100mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。濃縮物を再結晶(酢酸エチル/アセトン/メタノール)することにより、2-(2-ブロモ-4-クロロフェニル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]の無色粉末を8.18g(16.2mmol)単離した(収率81.0%、HPLC純度95.0%)。
【0213】
H-NMR(DMSO-d);8.12(dd,1H),8.08(d,1H),8.01(d,2H),7.75(d,1H),7.46-7.38(m,5H),7.24(d,1H),7.19-7.13(m,3H),6.66(d,2H),6.64(d,1H),6.55(d,1H)
【0214】
[実施例-2](化合物(4iC-3)の合成)
【0215】
【化12】
【0216】
窒素気流下、50mLのガラス容器に、2-(2-ブロモ-4-クロロフェニル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン] 1.52g(3.00mmol)、9-フェナントレンボロン酸 0.73g(3.30mmol)、酢酸パラジウム 6.7mg(0.03mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(Xphos) 29mg(0.06mmol)、テトラヒドロフラン 9mL、濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 2mLを加え、75℃で3日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール30mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。回収した個体を再結晶(クロロホルム/メタノール)することで、化合物(4iC-3)の灰色粉末を1.34g(2.22mmol)単離した(収率74.0%、HPLC純度95.6%)。
【0217】
H-NMR(DMSO-d);8.76(d,1H),8.72(d,1H),7.81-7.68(m,6H),7.62(t,1H),7.57-7.53(m,3H),7.43(d,1H),7.41(d,1H),7.32-7.12(m,7H),6.99(td,1H),6.86(td,1H),6.37(d,1H),6.27(d,1H),6.06(d,1H),6.03(d,1H)
【0218】
[実施例-3](化合物(4iD-3の合成))
【0219】
【化13】
【0220】
窒素気流下、200mLの二口ナスフラスコに、9-(2-ブロモ-4-クロロフェニル)-フェナントレン 35.1g(95.5mmol)、9,9-ジメチルフルオレン-2-ボロン酸 25.0g(105mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 2.21g(1.91mmol)、テトラヒドロフラン 150mL、及び濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 150mLを加え、70℃で1日間攪拌した。室温まで冷却後、エタノールを300mL添加し撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、得られた固体を再結晶(トルエン/エタノール)することで、化合物(4iD-3)の灰色粉末を39.5g(82.2mmol)単離した(収率84.3%、HPLC純度99.5%)。
【0221】
H-NMR(CDCl);8.59(d,2H),7.75(dd,1H),7.65(t,1H),7.62-7.46(m,8H),7.41-7.36(m,2H),7.23-7.15(m,4H),7.01(d,1H),0.89(s,6H)
【0222】
[実施例-4](化合物(4iE-3)の合成))
【0223】
【化14】
【0224】
窒素気流下、50mLのガラス容器に、9-(2-ブロモ-4-クロロフェニル)-フェナントレン 46.4g(126mmol)、9,9-ジフェニルフルオレン-2-ボロン酸 50.3g(139mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 1.46g(1.26mmol)、トルエン 100mL、1-ブタノール 10mL、及び濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 70mLを加え、100℃で1日間攪拌した。室温まで冷却後、純水を100mL、クロロホルムを100mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。濃縮物を再沈澱(アセトン/エタノール)することにより、化合物(4iE-3)の灰色粉末を35.6g(51.2mmol)単離した(収率40.6%、HPLC純度96.5%)。
【0225】
H-NMR(DMSO-d);8.77(d,1H),8.74(d,1H),7.99(dd,1H),7.78-7.54(m,8H),7.46-7.40(m,4H),7.30-7.26(m,2H),7.19(td,1H),7.06-7.10(m,2H),6.98(t,1H),6.90(t,2H),6.71(t,2H),6.48(dd,2H),6.45(dd,2H)
【0226】
[実施例-5](化合物(5iE-3の合成))
【0227】
【化15】
【0228】
窒素気流下、50mLの二口ナスフラスコに、9-(2-ブロモ-4-クロロフェニル)-フェナントレン 23.91g(65.0mmol)、2-(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-3-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン 28.90g(65.0mmol)、酢酸パラジウム 291mg(1.30mmol)、Xphos 1.24g(2.60mmol)、テトラヒドロフラン 100mL、及び濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 50mLを加え、75℃で1日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 100mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(o-キシレン/メタノール)することにより、化合物(5iE-3)の無色粉末を23.21g(38.5mmol)単離した(収率59.2%、HPLC純度99.5%)。
【0229】
H-NMR(CDCl);8.64(t,2H),7.78(dd,1H),7.65-7.50(m,10H),7.41-7.36(m,2H),7.22(dd,1H),7.18(dd,1H),7.12-7.00(m,6H),6.87-6.79(m,6H)
【0230】
[実施例-6](化合物(6iE-3の合成))
【0231】
【化16】
【0232】
窒素気流下、50mLの二口ナスフラスコに、9-(2-ブロモ-4-クロロフェニル)-フェナントレン 22.09g(60.0mmol)、2-(9,9-ジフェニル-9H-フルオレン-4-イル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン 26.72g(60.0mmol)、酢酸パラジウム 269mg(1.20mmol)、Xphos 1.14g(2.40mmol)、テトラヒドロフラン 100mL、及び濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 50mLを加え、70℃で1日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 100mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(o-キシレン/メタノール)することにより、化合物(6iE-3)の無色粉末を30.35g(50.2mmol)単離した(収率83.6%、HPLC純度99.9%)。
【0233】
H-NMR(CDCl);8.64-8.48(m,2H),7.86-7.50(m,7H),7.44-7.34(m,3H),7.25-7.18(m,6H),7.15-6.91(m,3H),6.85-6.48(m,7H)
【0234】
[実施例-7](化合物(4B-3)の合成)
【0235】
【化17】
【0236】
窒素気流下、300mLの二口ナスフラスコに、化合物(4iB-3) 8.33g(13.76mmol)、クロロホルム 130mL、及びニトロメタン 13mLを加えた。この溶液を撹拌しながら0℃に冷却し、塩化第二鉄(FeCl) 13.40g(82.59mmol)を加え、0℃のまま15分間撹拌した。次いで、反応溶液にメタノールを200mL添加し撹拌した。析出した個体をろ過で回収し、メタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(トルエン/メタノール)することにより、化合物(4B-3)の薄黄色粉末を7.07g(11.72mmol)単離した(収率85.2%、HPLC純度96.3%)。
【0237】
H-NMR(DMSO-d);9.08(s,1H),8.93-8.90(m,4H),8.82-8.79(m,1H),8.60-8.57(m,2H),8.09(d,1H),7.84-7.78(m,4H),7.72(dd,1H),7.49-7.12(m,13H)
【0238】
[実施例-8](化合物(4C-3)の合成)
【0239】
【化18】
【0240】
窒素気流下、300mLの二口ナスフラスコに、化合物(4iC-3) 6.30g(10.48mmol)、クロロホルム 100mL、及びニトロメタン 10mLを加えた。この溶液を撹拌しながら0℃に冷却し、塩化第二鉄(FeCl) 10.20g(62.88mmol)を加え、0℃のまま15分間撹拌した。次いで、反応溶液にメタノールを200mL添加し撹拌した。析出した個体をろ過で回収し、メタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(トルエン/メタノール)することにより、化合物(4C-3)の薄黄色粉末を4.90g(8.15mmol)単離した(収率78%、HPLC純度93.2%)。
【0241】
H-NMR(DMSO-d);9.18(s,1H),8.95-8.86(m,3H),8.56(dd,1H),8.52(d,1H),8.47(d,1H),8.18(d,1H),8.13(d,2H),8.00(s,1H),7.88-7.78(m,4H),7.52(dd,1H),7.49-7.43(m,3H),7.23-7.15(m,3H),6.74(d,2H),6.66(d,1H)
【0242】
[実施例-9](化合物(4D-3)の合成)
【0243】
【化19】
【0244】
窒素気流下、300mLの二口ナスフラスコに、化合物(4iD-3) 38.3g(79.7mmol)、クロロホルム 140mL、及びニトロメタン 80mLを加えた。この溶液を撹拌しながら0℃に冷却し、塩化第二鉄(FeCl) 77.7g(478mmol)を加え、0℃のまま15分間撹拌した。次いで、反応溶液にエタノールを300mL添加し撹拌した。析出した個体をろ過で回収し、エタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(トルエン/エタノール)することにより、化合物(4D-3)を含む薄黄色粉末を23.2g得た。この薄黄色粉末をそのまま次の反応に用いた。
【0245】
H-NMR(DMSO-d);9.00(s,1H),8.81(dd,1H),8.76-8.72(m,3H),8.66-8.62(m,2H),8.60(d,1H),7.87-7.85(m,1H),7.76-7.63(m,4H),7.58(dd,1H),7.54-7.52(m,1H),7.40(d,1H),7.39(d,1H),1.70(s,6H)
【0246】
[実施例-10](化合物(4E-3)の合成)
【0247】
【化20】
【0248】
窒素気流下、1Lの三口ナスフラスコに、化合物(4iE-3) 34.6g(57.8mmol)、クロロホルム 200mL、及びニトロメタン 120mLを加えた。この溶液を撹拌しながら0℃に冷却し、塩化第二鉄(FeCl) 57.2g(353mmol)を加え、0℃のまま20分間撹拌した。次いで、反応溶液にメタノールを600mL添加し撹拌した。析出した個体をろ過で回収し、メタノールで洗浄した。洗浄した固体を再沈澱(アセトン/ヘキサン)することにより、化合物(4E-3)を含む薄黄色粉末を25.8g(42.8mmol)得た(収率74%、HPLC純度92.5%)。
【0249】
H-NMR(DMSO-d);9.05(s,1H),9.01(d,1H),9.00(s,1H),8.89-8.86(m,2H),8.78-8.75(m,1H),8.57(d,1H),8.52(dd,1H),8.06(d,1H),7.80-7.66(m,5H),7.46-7.24(m,13H)
【0250】
[実施例-11](化合物(5E-3)の合成)
【0251】
【化21】
【0252】
窒素気流下、1Lの三口ナスフラスコに、化合物(5iE-3) 22.01g(36.5mmol)、クロロホルム 650mL、及びニトロメタン 36.5mLを加えた。この溶液を撹拌しながら0℃に冷却し、塩化第二鉄(FeCl) 35.5g(21.9mmol)を加え、0℃のまま30分間撹拌した。次いで、反応溶液にメタノールを200mL添加し撹拌した。析出した個体をろ過で回収することにより、化合物(5E-3)の薄黄色粉末を12.36g(20.5mmol)単離した(収率56.2%、HPLC純度99.0%)。
【0253】
H-NMR(DMSO-d);9.28(s,1H),9.15(s,1H),8.71-8.68(m,2H),8.50-8.47(m,2H),8.40(s,1H),8.36(d,1H),7.96(d,1H),7.84(dd,1H),7.61-7.56(m,3H),7.41-7.35(m,3H),7.27(dtd,1H),7.16-6.97(m,10H)
【0254】
[実施例-12](化合物(6E-3)の合成)
【0255】
【化22】
【0256】
窒素気流下、1Lの三口ナスフラスコに、化合物(6iE-3) 24.21g(40.0mmol)、クロロホルム 200mL、及びニトロメタン 40mLを加えた。この溶液を撹拌しながら0℃に冷却し、塩化第二鉄(FeCl) 39.0g(62.88mmol)を加え、0℃のまま30分間撹拌した。次いで、反応溶液にメタノールを200mL添加し撹拌した。析出した個体をろ過で回収し、o-キシレン及びエタノールで洗浄することにより、化合物(6E-3)の薄黄色粉末を14.34g(23.77mmol)単離した(収率59.4%、HPLC純度98.0%)。
【0257】
H-NMR(DMSO-d);9.02-8.98(m,3H),8.85-8.81(m,2H),8.76(d,1H),7.91-7.83(m,3H),7.78(dd,1H),7.67(d,1H),7.61(t,1H),7.54(d,2H),7.45(t,2H),7.37(d,1H),7.34(d,1H),7.29-7.22(m,4H),7.07(dt,1H),6.97(dt,2H),6.71(t,1H),6.15(d,1H)
【0258】
[実施例-13](化合物(4B-123)の合成)
【0259】
【化23】
【0260】
窒素気流下、100mLの二口ナスフラスコに、化合物(4B-3) 3.30g(5.47mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン 1.53g(6.02mmol)、酢酸カリウム 1.61g(16.4mmol)、酢酸パラジウム 25mg(0.11mmol)、Xphos 105mg(0.22mmol)、及びトルエン 30mLを加え、110℃で2日間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過を実施し、回収したろ液を減圧下で濃縮した。濃縮物を再沈澱(テトラヒドロフラン/メタノール)することにより、化合物(4B-123)の黄色粉末 3.25g(4.67mol)を単離した(収率85.4%、HPLC純度95.6%)。
【0261】
H-NMR(DMSO-d); 9.09(s,1H),8.95-8.89(m,4H),8.83-8.79(m,2H),8.55(dd,1H),8.08(d,1H),7.95-7.91(m,1H),7.82-7.73(m,4H),7.49-7.22(m,13H),1.31(s,12H)
【0262】
[実施例-14](化合物(4C-123)の合成)
【0263】
【化24】
【0264】
窒素気流下、100mLの二口ナスフラスコに、化合物(4C-3) 1.70g(2.83mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン 0.86g(3.39mmol)、酢酸カリウム 0.83g(8.49mmol)、酢酸パラジウム 13mg(0.06mmol)、Xphos 57mg(0.12mmol)、及びトルエン 30mLを加え、110℃で3日間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過を実施し、回収したろ液を減圧下で濃縮した。濃縮物をヘキサンで洗浄することにより、化合物(4C-123)の黄色粉末 1.73g(2.50mol)を単離した(収率88.7%)。
【0265】
H-NMR(CDCl);9.06(s,1H),9.00(s,1H),8.82-8.80(m,1H),8.69-8.59(m,3H),8.20(d,1H),7.99(s,1H),7.90-7.88(m,3H),7.76(s,1H),7.68-7.59(m,4H),7.38-7.30(m,3H),7.09-7.05(m,3H),7.76(d,2H),7.69(d,1H),1.48(s,12H)
【0266】
[実施例-15](化合物(4D-123)の合成)
【0267】
【化25】
【0268】
窒素気流下、100mLの二口ナスフラスコに、実施例-9で得た化合物(4D-3)を含む粉末 3.08g、ビス(ピナコラト)ジボロン 1.80g(7.07mmol)、酢酸カリウム 1.90g(19.3mmol)、酢酸パラジウム 29mg(0.13mmol)、Xphos 124mg(0.26mmol)、及びトルエン 25mLを加え、110℃で1日間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過を実施し、回収したろ液を減圧下で濃縮した。濃縮物をヘキサンで洗浄することにより、化合物(4D-123)の薄黄色粉末 2.28g(3.99mol)を単離した(HPLC純度92.4%)。
【0269】
H-NMR(CDCl);9.21(s,1H),9.00(s,1H),8.84(s,1H),8.83(dd,1H),8.73(td,2H),8.69(d,2H),8.03(dd,1H),7.86-7.84(m,1H),7.75-7.62(m,4H),7.54-7.52(m,1H),7.39-7.37(m,2H),2.17(s,6H),1.48(s,12H)
【0270】
[実施例-16](化合物(4E-123)の合成)
【0271】
【化26】
【0272】
窒素気流下、200mLの二口ナスフラスコに、化合物化合物(4E-3) 10.5g(17.4mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン 4.86g(19.1mmol)、酢酸カリウム 5.12g(52.2mmol)、酢酸パラジウム 156mg(0.70mmol)、Xphos 667mg(1.40mmol)、及びトルエン 150mLを加え、110℃で3日間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過を実施し、回収したろ液を減圧下で濃縮した。濃縮物を再沈澱(アセトン/ヘキサン)することにより、化合物(4E-123)を含む灰色粉末 13.3gを得た。該灰色粉末をそのまま次の反応で使用した。
【0273】
H-NMR(DMSO-d);9.10(s,1H),8.92-8.88(m,3H),8.82-8.79(m,1H),8.67(s,1H),8.61(d,1H),8.59(dd,1H),8.08(d,1H),7.99(d,1H),7.83-7.71(m,4H),7.52-7.21(m,13H),1.36(s,12H)
【0274】
[実施例-17](化合物(5E-123)の合成)
【0275】
【化27】
【0276】
窒素気流下、100mLの二口ナスフラスコに、化合物(5E-3) 3.33g(5.00mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン 1.40g(5.50mmol)、酢酸カリウム 1.48g(15.0mmol)、酢酸パラジウム 22mg(0.10mmol)、Xphos 48mg(0.20mmol)、及びトルエン 20mLを加え、110℃で1日間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過を実施し、回収したろ液を減圧下で濃縮した。濃縮物をヘキサンで洗浄することにより、化合物(5E-123)の黄色粉末 4.00gを単離した(収率>99.9%,HPLC純度96.6%)。
【0277】
H-NMR(DMSO-d);9.45(s,1H),9.32(s,1H),8.88-8.86(m,2H),8.67-8.64(m,2H),8.57(s,1H),8.53(d,1H),8.13(d,1H),8.00(dd,1H),7.80-7.72(m,3H),7.58-7.52(m,3H),7.44(dt,1H),7.32-7.14(m,10H),1.43(s,12H)
【0278】
[実施例-18](化合物(6E-123)の合成)
【0279】
【化28】
【0280】
窒素気流下、100mLの二口ナスフラスコに、化合物(6E-3) 2.41g(4.00mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン 1.12g(4.40mmol)、酢酸カリウム 1.18g(12.0mmol)、酢酸パラジウム 18mg(0.08mmol)、Xphos 48mg(0.16mmol)、及びトルエン 20mLを加え、110℃で1日間攪拌した。室温まで冷却後、ろ過を実施し、回収したろ液を減圧下で濃縮した。濃縮物をヘキサンで洗浄することにより、化合物(6E-123)の黄色粉末 3.26gを単離した(収率>99.9%,HPLC純度97.6%)。
【0281】
H-NMR(DMSO-d);8.91-8.73(m,5H),8.64(d,1H),7.86-7.72(m,3H),7.65-7.60(m,3H),7.54-7.50(m,1H),7.41-7.24(m,5H),7.20-7.16(m,4H),7.07-7.00(m,3H),6.67(dt,1H),6.31(t,1H),1.42(s,12H)
【0282】
[実施例-19](化合物(4B-154の合成)
【0283】
【化29】
【0284】
窒素気流下、100mLの二口ナスフラスコに、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン 1.37g(5.10mmol)、化合物(4B-123) 3.22g(4.64mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 107mg(0.09mmol)、テトラヒドロフラン 20mL、及び濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 6mLを加え、70℃で3日間攪拌した。室温まで冷却後、エタノール 80mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、純水とエタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(トルエン/エタノール)することにより、化合物(4B-154)の黄色粉末を2.29g(2.86mmol)単離した(収率61.6%、HPLC純度99.4%)。化合物(4B-154)の昇華温度は、375℃であり、昇華品の化合物(4B-154)は粉末状であることを確認した。
【0285】
H-NMR(THF-d);10.24(d,1H),9.12(s,1H),8.96-8.92(m,2H),8.88(dd,1H),8.83-8.78(m,7H),8.75(d,1H),7.94(d,1H),7.81-7.71(m,4H),7.64-7.55(m,6H),7.51(d,1H),7.45-7.26(m,12H)
【0286】
[実施例-20](化合物(4C-154の合成)
【0287】
【化30】
【0288】
窒素気流下、100mLの二口ナスフラスコに、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン 429mg(1.69mmol)、化合物(4C-123) 1.29g(1.86mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 43mg(0.037mmol)、テトラヒドロフラン 30mL、及び濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 2mLを加え、70℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 100mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(トルエン/エタノール)することにより、化合物(4C-154)の黄色粉末を1.12g(1.41mmol)単離した(収率83.3%)。
【0289】
H-NMR(DMSO-d);9.96(s,1H),9.21(s,1H),8.99-8.71(m,4H),8.60-8.50(m,4H),8.42-8.36(m,1H),8.24-8.14(m,3H),8.06(s,1H),7.88-7.76(m,4H),7.64-7.44(m,9H)7.27-7.122(m,4H),6.79(d,2H),6.68(d,1H)
【0290】
[実施例-21](化合物(4E-154の合成)
【0291】
【化31】
【0292】
窒素気流下、200mLの二口ナスフラスコに、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン 4.19g(16.49mmol)、化合物(4E-123) 13.18g(18.97mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 439mg(0.38mmol)、テトラヒドロフラン 100mL、及び濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 15mLを加え、70℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール 600mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、純水とエタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(トルエン/エタノール)することにより、化合物(4E-154)の黄色粉末を5.14g(6.43mmol)単離した(収率39.9%)。
【0293】
[実施例-22](化合物(5E-154の合成)
【0294】
【化32】
【0295】
窒素気流下、100mLの二口ナスフラスコに、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン 536mg(2.00mmol)、化合物(5E-123) 1.92g(2.40mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 47mg(0.040mmol)、テトラヒドロフラン 20mL、及び濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 20mLを加え、70℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、エタノール 40mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(o-キシレン/メタノール)することにより、化合物(5E-154)の黄色粉末を1.54g(1.93mmol)単離した(収率96.3%、HPLC純度98.7%)。化合物(5E-154)の昇華温度は、370℃であり、昇華品の化合物(5E-154)は粉末状であることを確認した。
【0296】
H-NMR(THF-d);10.41(d,1H),9.50(s,1H),9.08(dd,1H),8.99-8.96(m,5H),8.83-8.78(m,3H),8.76(s,1H),8.34(d,1H),8.28(d,1H),7.74-7.65(m,9H),7.56-7.49(m,3H),7.39(dt,1H),7.32-7.18(m,10H)
【0297】
[実施例-23](化合物(6E-154の合成)
【0298】
【化33】
【0299】
窒素気流下、100mLの二口ナスフラスコに、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン 536mg(2.00mmol)、化合物(6E-123) 1.92g(2.40mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 47mg(0.040mmol)、テトラヒドロフラン 20mL、及び濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 20mLを加え、70℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、エタノール 40mLを添加し、撹拌した。析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(o-キシレン/メタノール)することにより、化合物(6E-154)の黄色粉末を1.54g(1.93mmol)単離した(収率96.3%、HPLC純度98.7%)。化合物(6E-154)の昇華温度は、360℃であり、昇華品の化合物(6E-154)は粉末状であることを確認した。
【0300】
H-NMR(THF-d);10.38(s,1H),9,16-9.06(m,3H),8.94-8.91(m,6H),8.78(d,1H),8.00(d,1H),7.91(d,1H),7.84-7.82(m,2H),7.70-7.54(m,10H),7.42-7.30(m,3H),7.22-7.17(m,4H),7.09-7.07(m,2H),7.02(dt,1H),6.66(dt,1H),6.34(d,1H)
【0301】
[実施例-24](化合物(4B-25)の合成)
【0302】
【化34】
【0303】
窒素気流下、50mLのシュレンク管に、化合物(4B-3) 1.81g(3.00mmol)、4-ビフェニルボロン酸 713mg(3.60mmol)、酢酸パラジウム 14mg(0.06mmol)、Xphos 57mg(0.12mmol)、1,4-ジオキサン 8mL、及び濃度2Mのリン酸カリウム水溶液 2mLを加え、105℃で2日間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール30mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(トルエン/メタノール)することで、化合物(4B-25)の黄色粉末を1.61g(2.23mmol)単離した(収率74.3%、HPLC純度99.1%)。
化合物(4B-25)の昇華温度は、375℃であり、昇華品の化合物(4B-25)はガラス状であることを確認した。
【0304】
H-NMR(DMSO-d);9.10(s,1H),8.96-8.92(m,4H),8.88(d,1H),8.83-8.81(m,1H),8.74-8.72(m,1H),8.08(d,1H),8.04(dd,1H),7.91-7.89(m,2H),7.83-7.78(m,6H),7.74-7.72(m,2H),7.51-7.25(t,16H)
【0305】
[実施例-25] (化合物(4C-25)の合成)
【0306】
【化35】
【0307】
窒素気流下、100mLのシュレンク管に、化合物(4C-3) 1.50g(2.50mmol)、4-ビフェニルボロン酸 594mg(3.00mmol)、酢酸パラジウム 11mg(0.05mmol)、Xphos 48mg(0.10mmol)、1,4-ジオキサン 6mL、及び濃度2Mのリン酸カリウム水溶液 2mLを加え、105℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、メタノール30mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(トルエン/メタノール)することで、化合物(4C-25)の黄色粉末を0.80g(1.12mmol)単離した(収率44.8%、HPLC純度96.4%)。化合物(4C-25)の昇華温度は、365℃であり、昇華品の化合物(4C-25)はガラス状であることを確認した。
【0308】
H-NMR(DMSO-d);9.18(s,1H),8.96-8.92(m,2H),8.86(d,1H),8.75(s,1H),8.67(d,1H),8.38-8.28(m,1H),8.18-8.15(m,3H),8.00(s,1H),7.87-7.67(m,11H),7.51-7.43(m,5H),7.37(t,1H),7.22-7.17(m,3H),6.76(d,2H),6.66(d,1H)
【0309】
[実施例-26](化合物(5E-25)の合成)
【0310】
【化36】
【0311】
窒素気流下、50mLのシュレンク管に、化合物(5E-3) 2.42g(4.00mmol)、4-ビフェニルボロン酸 804mg(4.80mmol)、酢酸パラジウム 18mg(0.08mol)、Xphos 76mg(0.16mmol)、テトラヒドロフラン 40mL、及び濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 40mLを加え、70℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、エタノール200mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(o-キシレン/エタノール)することで、化合物(5E-25)の黄色粉末を2.45g(3.40mmol)単離した(収率85.1%、HPLC純度97.5%)。化合物(5E-25)の昇華温度は、345℃であり、昇華品の化合物(5E-25)はガラス状であることを確認した。
【0312】
H-NMR(DMSO-d);9.69(s,1H),9.43(d,1H),8.87(d,2H),8.76(d,1H),8.73-8.70(m,1H),8.57(s,1H),8.51(d,1H),8.20(d,2H),8.16-8.12(m,2H),7.92(d,2H),7.82-7.76(m,4H),7.72(t,1H),7.78-7.52(m、5H),7.45-7.40(m,2H),7.32-7.18(m,10H)
【0313】
[実施例-27](化合物(6E-25)の合成)
【0314】
【化37】
【0315】
窒素気流下、50mLのシュレンク管に、化合物(6E-3) 3.02g(5.00mmol)、4-ビフェニルボロン酸 1.18g(6.00mmol)、酢酸パラジウム 22mg(0.10mol)、Xphos 95mg(0.20mmol)、テトラヒドロフラン 50mL、及び濃度2Mの炭酸カリウム水溶液 50mLを加え、70℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、エタノール200mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とメタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(o-キシレン/エタノール)することで、化合物(6E-25)の黄色粉末を3.09g(4.29mmol)単離した(収率85.8%、HPLC純度98.1%)。化合物(6E-25)の昇華温度は、345℃であり、昇華品の化合物(6E-25)はガラス状であることを確認した。
【0316】
H-NMR(DMSO-d);9.24(d,1H),9.19(d,1H),9.00-8.98(m,1H),8.92(d,1H),8.86(t,2H),8.14(dd,1H),8.11(d,2H),7.90-7.86(m,5H),7.79-7.76(m,2H),7.68(dd,1H),7.62-7.33(m、10H),7.27-7.20(m,4H),7.11-7.04(m,1H),6.99(dd,2H),6.71(dt,1H),6.17(d,1H)
【0317】
[実施例-28](化合物(4B-168)の合成)
【0318】
【化38】
【0319】
窒素気流下、100mLのシュレンク管に、化合物(4B-3) 1.81g(3.00mmol)、ジフェニルアミン 0.71g(4.20mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド 0.44g(4.50mmol)、及びo-キシレン 30mLを加え、得られたスラリー状の反応液に酢酸パラジウム 14mg(0.06mmol)、及びトリ-tert-ブチルホスフィン 24mg(0.12mmol)を添加して140℃で2時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を25mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。濃縮物を再結晶(トルエン/メタノール)することにより、化合物(4B-168)の黄色粉末を1.52g(2.07mmol)単離した(収率69.0%、HPLC純度99.0%)。化合物(4B-168)の昇華温度は、370℃であり、昇華品の化合物(4B-168)はガラス状であることを確認した。
【0320】
H-NMR(DMSO-d);9.04(s,1H),8.86-8.73(m,5H),8.15(d,1H),8.05(d,1H),7.93(d,1H),7.80-7.76(m,2H),7.66(t,1H),7.48-7.25(m,19H),7.17-7.11(m,6H)
【0321】
[実施例-29](化合物(4C-168)の合成)
【0322】
【化39】
【0323】
窒素気流下、100mLのシュレンク管に、化合物(4C-3) 1.50g(2.50mmol)、ジフェニルアミン 0.59g(3.50mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド 0.37g(3.75mmol)、及びo-キシレン 25mLを加え、得られたスラリー状の反応液に酢酸パラジウム 11mg(0.05mmol)、及びトリ-tert-ブチルホスフィン 48mg(0.10mmol)を添加して140℃で2時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を25mL添加し攪拌した。水層と有機層を分液し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。濃縮物を再結晶(トルエン/メタノール)することにより、化合物(4C-168)の黄色粉末を1.30g(1.77mmol)単離した(収率71.0%、HPLC純度99.6%)。化合物(4C-168)の昇華温度は、350℃であり、昇華品の化合物(4C-168)はガラス状であることを確認した。
【0324】
H-NMR(DMSO-d);9.66(d,1H),8.85-8.70(m,3H),8.66(d,1H),8.40(d,1H),8.33-8.28(m,2H),8.16(d,1H),7.97(d,1H),7.80-7.60(m,13H),7.55-7.30(m,12H)
【0325】
[実施例-30](化合物(5E-168)の合成)
【0326】
【化40】
【0327】
窒素気流下、100mLのシュレンク管に、化合物(5E-3) 2.42g(4.00mmol)、ジフェニルアミン 0.82g(4.80mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド 0.58g(6.00mmol)、及びo-キシレン 25mLを加え、得られたスラリー状の反応液に酢酸パラジウム 18mg(0.08mmol)、及びトリ-tert-ブチルホスフィン 32mg(0.16mmol)を添加して140℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、エタノール40mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とエタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(o-キシレン/エタノール)することにより、化合物(5E-168)の黄色粉末を2.66g(3.61mmol)単離した(収率90.2%、HPLC純度99.0%)。化合物(5E-168)の昇華温度は、340℃であり、昇華品の化合物(5E-168)はガラス状であることを確認した。
【0328】
H-NMR(DMSO-d);9.08(s,1H),8.84(d,2H),8.66(d,1H),8.63-8.60(m,2H),8.51(s,1H),8.21(d,1H),8.08(d,1H),7.75-7.67(m,3H),7.55-7.48(m,2H),7.47(dt,1H),7.40-7.35(m,6H),7.30-7.03(m,16H)
【0329】
[実施例-31](化合物(6E-168)の合成)
【0330】
【化41】
【0331】
窒素気流下、100mLのシュレンク管に、化合物(6E-3) 2.42g(4.00mmol)、ジフェニルアミン 0.82g(4.80mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド 0.58g(6.00mmol)、及びo-キシレン 40mLを加え、得られたスラリー状の反応液に酢酸パラジウム 18mg(0.08mmol)、及びトリ-tert-ブチルホスフィン 32mg(0.16mmol)を添加して140℃で18時間攪拌した。室温まで冷却後、エタノール40mLを加えて撹拌し、析出した固体をろ過で回収し、純水とエタノールで洗浄した。洗浄した固体を再結晶(o-キシレン/エタノール)することにより、化合物(6E-168)の黄色粉末を2.66g(3.62mmol)単離した(収率90.57%、HPLC純度97.5%)。化合物(6E-168)の昇華温度は、350℃であり、昇華品の化合物(6E-168)はガラス状であることを確認した。
【0332】
H-NMR(DMSO-d);8.94(d,1H),8.89(d,1H),8.74(t,2H),8.38(d,1H),8.32(d,1H),7.85-7.76(m,3H),7.60(d,1H),7.55(t,1H),7.49-7.48(m,2H),7.43-7.33(m,7H),7.30(d,1H),7.24-7.10(m,10H),7.07-7.03(m,2H),6.94-6.92(m,2H),6.69(t,1H),6.16(d,1H)
【0333】
[再結晶実施例-1]
HPLC純度92.6%の化合物(4iB-3) 10mgをクロロホルム 2mLに溶解させた後、該溶液から1mLをシリンジで抜き取り、フィルターろ過を通じて5mLのサンプル管に投入した。次に、メタノール 2mLを該ろ液に加え10秒間撹拌し、沈殿が生じていないことを確認した。その後、サンプル管にフタを取り付けて密閉した。
24時間後、該密閉のサンプル管内の溶液中に、化合物(4iB-3)の析出有無を確認した。結果を表1に示す。
【0334】
[再結晶実施例-2~4]
再結晶実施例-1において、化合物(4iB-3)の代わりに、順に、HPLC純度95.6%の化合物(4iC-3)、HPLC純度99.5%の化合物(5iE-3)、HPLC純度99.9%の化合物(6iE-3)を用いた以外は、再結晶実施例-1と同じ方法でそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
【0335】
[再結晶比較例-1~4]
再結晶実施例-1において、化合物(4iB-3)の代わりに、順に、HPLC純度98.3%の9-[4-クロロ-2-(2-ナフチル)]-フェナントレン(Z1);HPLC純度97.1%の9-[4-クロロ-2-(1-ナフチル)]-フェナントレン(Z2)];HPLC純度99.2%の9-(4-クロロビフェニル-2-イル)-フェナントレン(Z3)];HPLC純度94.7%の9-(3-クロロビフェニル-6-イル)-フェナントレン(Z4)を用いた以外は、再結晶実施例-1と同じ方法でそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
【0336】
【化42】
【0337】
【表1】
【0338】
化合物(Z1)~(Z4)と比較すると、本態様にかかる縮合環化合物は、結晶性が高く、再結晶を用いた製造プロセスに有利である。
【0339】
[比較例-1]
上述した実施例と同様の手法を用いて、下記式(X1)で表される3-クロロジベンゾ[g,p]クリセンを合成した。
【0340】
【化43】
【0341】
[比較例-2]
下記式(X2)で表される3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジル)ジベンゾ[g,p]クリセン(特許文献3に開示された化合物)を合成した。化合物(X2)の昇華温度は、310℃であり、昇華品の化合物(X2)は粉末状であることを確認した。
【0342】
【化44】
【0343】
[比較例-3]
下記式(X3)で表される3-(1-ビフェニル-4-イル)ジベンゾ[g,p]クリセン(特許文献2に開示された化合物)を合成した。化合物(X3)の昇華温度は、310℃であり、昇華品の化合物(X3)はガラス状であることを確認した。
【0344】
【化45】
【0345】
[比較例-4]
下記式(X4)で表される3-(ジフェニルアミノ)ジベンゾ[g,p]クリセン(特許文献1に開示された化合物)を合成した。化合物(X4)の昇華温度は、310℃であり、昇華品の化合物(X4)はガラス状であることを確認した。
【0346】
【化46】
【0347】
[素子実施例-1 (化合物(5E-154)の素子評価)]
次に、得られた化合物(5E-154)を用いて、図2に示す積層構成を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。図2は本開示の一態様にかかるエレクトロルミネッセンス素子の他の積層構成の例を示す概略断面図である。有機エレクトロルミネッセンス素子の作製に用いた化合物の構造式及びその略称は以下のとおりである。
【0348】
【化47】
【0349】
(基板1、陽極2の作製)
陽極をその表面に備えた基板として、2mm幅の酸化インジウム-スズ(ITO)膜(膜厚110nm)がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用意した。ついで、この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄により表面処理を行った。
【0350】
(真空蒸着の準備)
洗浄後の表面処理が施された基板上に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、各層を積層形成した。各有機材料および金属材料は抵抗加熱方式により成膜した。
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10-4Paまで減圧した。そして、以下の順で、各層の成膜条件に従ってそれぞれ作製した。
【0351】
(正孔注入層3の作製)
昇華精製したHILを0.15nm/秒の速度で50nm成膜し、正孔注入層を作製した。
【0352】
(電荷発生層4の作製)
昇華精製したHATを0.05nm/秒の速度で5nm成膜し、電荷発生層を作製した。
【0353】
(第一正孔輸送層51の作製)
HTL-1を0.15nm/秒の速度で10nm成膜し、第一正孔輸送層を作製した。
【0354】
(第二正孔輸送層52の作製)
HTL-2を0.15nm/秒の速度で10nm成膜し、第二正孔輸送層(電子阻止層)を作製した。この第二正孔輸送層は、電子の流入を阻止する電子阻止層としても機能する層である。
【0355】
(発光層6の作製)
EML-1及びEML-2を5:95(質量比)の割合で25nm成膜し、発光層を作製した。成膜速度は0.18nm/秒であった。
【0356】
(第一電子輸送層71の作製)
ETL-1を0.15nm/秒の速度で5nm成膜し、第一電子輸送層(正孔阻止層)を作製した。この第一電子輸送層は、正孔の流入を阻止する正孔阻止層としても機能する層である。
【0357】
(第二電子輸送層72の作製)
化合物(5E-154)及びLiqを50:50(質量比)の割合で25nm成膜し、第二電子輸送層を作製した。成膜速度は0.15nm/秒であった。
【0358】
(電子注入層8の作製)
Liqを0.01nm/秒の速度で1nm成膜し、電子注入層を作製した。
【0359】
(陰極9の作製)
最後に、基板上のITOストライプと直行するようにメタルマスクを配し、陰極(陰極層)を成膜した。陰極は、銀/マグネシウム(質量比1/10)と銀とを、この順番で、それぞれ80nmと20nmとで成膜し、2層構造とした。銀/マグネシウムの成膜速度は0.5nm/秒、銀の成膜速度は0.2nm/秒であった。
【0360】
以上により、図2に示すような積層構成を有する発光面積4mm有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。なお、それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(Bruker社製DEKTAK)で測定した。
【0361】
さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気のグローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと成膜基板(素子)とを、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いて行った。
【0362】
上記のようにして作製した有機エレクトロルミネッセンス素子に直流電流を印加し、輝度計(TOPCON社製LUMINANCE METER BM-9)を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度10mA/cmを流した時の電圧(V)、電流効率(cd/A)を測定した。素子寿命(h)は、作製した有機エレクトロルミネッセンス素子を初期輝度1000cd/mで駆動したときの連続点灯時の輝度減衰時間を測定し、輝度(cd/m)が5%減じるまでに要した時間を測定した。得られた測定結果を表2に示す。なお、電圧、電流効率、及び素子寿命は、後述の素子比較例-1における結果を基準値(100)とした相対値である。
【0363】
[素子実施例-2、素子比較例-1]
素子実施例-1において、化合物(5E-154)の代わりに、順に、化合物(6B-154)、化合物(X2)を用いた以外は、素子実施例-1と同じ方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、それぞれ評価した。得られた測定結果を表2に示す。
【0364】
【表2】
【0365】
[素子実施例-3]
素子実施例-1において、EML-2の代わりに、化合物(4C-25)を用い、化合物(5E-154)の代わりにETL-2を用いた以外は、素子実施例-1と同じ方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、評価した。得られた測定結果を表3に示す。なお、電圧、電流効率、及び素子寿命は、後述の素子比較例-2における結果を基準値(100)とした相対値である。
【0366】
[素子実施例-4~5、素子比較例-2]
素子実施例-3において、化合物(4C-25)の代わりに、順に、化合物(5E-25)、化合物(6E-25)、化合物(X3)を用いた以外は、素子実施例-3と同じ方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、それぞれ評価した。得られた測定結果を表3に示す。
【0367】
【表3】
【0368】
[素子実施例-6]
(基板1、陽極2の作製)から(第一正孔輸送層51の作製)までは、実施例-1と同様の手順で作製した。
【0369】
(第二正孔輸送層52の作製)
化合物(4B-168)を0.15nm/秒の速度で40nm成膜し、第二正孔輸送層(電子阻止層)を作製した。
【0370】
(発光層6の作製)
Hex-Ir(piq)2(acac)及びEML-3を8:92(質量比)の割合で35nm成膜し、発光層を作製した。成膜速度は0.18nm/秒であった。
【0371】
(第一電子輸送層71の作製)
ETL-2及びLiqを50:50(質量比)の割合で30nm成膜し、第一電子輸送層を作製した。成膜速度は0.15nm/秒であった。
【0372】
(第二電子輸送層72の作製)
素子実施例-6において、第二電子輸送層72は作製しなかった。
【0373】
(電子注入層8の作製)から(陰極9の作製)までは、実施例-1と同様の手順で作製した。
【0374】
発光特性として、電流密度10mA/cmを流した時の電圧(V)、電流効率(cd/A)を測定した。得られた測定結果を表4に示す。なお、電圧、電流効率は、後述の素子比較例-3における結果を基準値(100)とした相対値である。
【0375】
[素子実施例-7、素子比較例-3]
素子実施例-6において、化合物(4B-168)の代わりに、順に、化合物(4C-168)、化合物(X4)を用いた以外は、素子実施例-6と同じ方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、それぞれ評価した。得られた測定結果を表4に示す。
【0376】
【表4】
【0377】
[素子実施例-8]
(基板1、陽極2の作製)から(電荷発生層4の作製)までは、実施例-1と同様の手順で作製した。
【0378】
(第一正孔輸送層51の作製)
HTL-1を0.15nm/秒の速度で85nm成膜し、第一正孔輸送層を作製した。
【0379】
(第二正孔輸送層52の作製)
化合物(5E-168)を0.15nm/秒の速度で60nm成膜し、第二正孔輸送層(電子阻止層)を作製した。
【0380】
(発光層6の作製)
Hex-Ir(piq)2(acac)及びEML-4を2:98(質量比)の割合で35nm成膜し、発光層を作製した。成膜速度は0.18nm/秒であった。
【0381】
(第一電子輸送層71の作製)
ETL-2及びLiqを50:50(質量比)の割合で30nm成膜し、第一電子輸送層を作製した。成膜速度は0.15nm/秒であった。
【0382】
(第二電子輸送層72の作製)
素子実施例-8において、第二電子輸送層72は作製しなかった。
【0383】
(電子注入層8の作製)から(陰極9の作製)までは、実施例-1と同様の手順で作製した。
【0384】
発光特性として、電流密度10mA/cmを流した時の電圧(V)、電流効率(cd/A)を測定した。得られた測定結果を表5に示す。なお、電圧、電流効率は、後述の素子比較例-4における結果を基準値(100)とした相対値である。
【0385】
[素子実施例-9、素子比較例-4]
素子実施例-3において、化合物(5E-168)の代わりに、順に、化合物(6E-168)、化合物(X4)を用いた以外は、素子実施例-8と同じ方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、それぞれ評価した。得られた測定結果を表5に示す。
【0386】
【表5】
【符号の説明】
【0387】
1.基板
2.陽極
3.正孔注入層
4.電荷発生層
5.正孔輸送層
6.発光層
7.電子輸送層
8.電子注入層
9.陰極
51.第一正孔輸送層
52.第二正孔輸送層
100.有機エレクトロルミネッセンス素子
図1
図2