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特許7443730ステッピングモータの制御装置及び制御方法
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  • 特許-ステッピングモータの制御装置及び制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ステッピングモータの制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 8/12 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
H02P8/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019213966
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021087277
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松村 恭平
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-180199(JP,U)
【文献】特開2017-184464(JP,A)
【文献】特開2018-057163(JP,A)
【文献】特開2004-357449(JP,A)
【文献】特開2005-102393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)制御信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部により生成された前記PWM制御信号を平滑化して基準電圧として出力する平滑化部と、
前記平滑化部により出力された前記基準電圧に基づきステッピングモータを制御するモータ駆動部と、
前記信号生成部が生成する前記PWM制御信号のデューティ比を変化させることで前記平滑化部が出力する前記基準電圧の値を変更する変更制御を行う基準電圧制御部と、
前記基準電圧制御部が前記変更制御を開始するときに、前記平滑化部が出力する前記基準電圧の値が変更後の値に到達するまでに十分な所定の待ち時間だけ、前記モータ駆動部による前記ステッピングモータの制御を待機させる待機制御部と、
を備え
前記基準電圧制御部は、
前記変更制御において前記基準電圧を増加させる場合、前記待ち時間には前記PWM制御信号の前記デューティ比を100%に設定した後に、変更後の基準電圧に応じたデューティ比に変更し、
前記変更制御において前記基準電圧を減少させる場合、前記待ち時間には前記PWM制御信号の前記デューティ比を0%に設定した後に、変更後の基準電圧に応じたデューティ比に変更する、
ステッピングモータの制御装置。
【請求項2】
前記平滑化部は積分回路であり、
前記待ち時間は、前記積分回路の時定数に基づき設定される、
請求項に記載のステッピングモータの制御装置。
【請求項3】
パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)制御信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部により生成された前記PWM制御信号を平滑化して基準電圧として出力する平滑化部と、
前記平滑化部により出力された前記基準電圧に基づきステッピングモータを制御するモータ駆動部と、
前記信号生成部が生成する前記PWM制御信号のデューティ比を変化させることで前記平滑化部が出力する前記基準電圧の値を変更する変更制御を行う基準電圧制御部と、
を備えるステッピングモータの制御装置における制御方法であって、
前記信号生成部が生成する前記PWM制御信号のデューティ比を変化させることで前記平滑化部が出力する前記基準電圧の値を変更する変更制御を行う基準電圧制御ステップと、
前記基準電圧制御ステップにて前記変更制御を開始されるときに、前記平滑化部が出力する前記基準電圧の値が変更後の値に到達するまでに十分な所定の待ち時間だけ、前記モータ駆動部による前記ステッピングモータの制御を待機させる待機制御ステップと、
を含み、
前記基準電圧制御ステップでは、
前記変更制御において前記基準電圧を増加させる場合、前記待ち時間には前記PWM制御信号の前記デューティ比を100%に設定した後に、変更後の基準電圧に応じたデューティ比に変更し、
前記変更制御において前記基準電圧を減少させる場合、前記待ち時間には前記PWM制御信号の前記デューティ比を0%に設定した後に、変更後の基準電圧に応じたデューティ比に変更する、
ステッピングモータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッピングモータの制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータは、例えば画像形成装置の駆動部などに搭載されている。ステッピングモータには定電流式の駆動回路が用いられ、この駆動回路では、駆動電流と基準電圧と比較することで出力電流を制御し定電流としている。
【0003】
特許文献1には、駆動回路の出力電流を可変にしたい場合に、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)の制御信号を積分回路に入力することで、基準電圧を変化させる技術が記載されている。また、基準電圧を変化させる際に駆動電流をモニタリングすることで、基準電圧が狙いの電圧になったことを確認するまでは励磁相を切り替えない制御とすることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1などに記載される従来のステッピングモータの基準電圧を変化させる手法では、PWM制御信号を変化させたときは狙いの基準電圧に到達するまでに時間がかかるため、基準電圧を下げる場合には、狙いの電圧に到達するまでの間、出力電流が大きくなり余計な電流が流れ機器としての消費電力が上がってしまうという問題があった。また、基準電圧を上げる場合には、狙いの電圧に到達するまでの間、出力電流が小さくなり電流が不足することでモータの駆動トルクが足りず、モータが脱調してしまうという問題があった。
【0005】
また、基準電圧が狙いの電圧になったかを駆動電流をモニタリングすることで判断する手法では、駆動電流をモニタリングするための要素を新たに追加する必要があり、装置構成が複雑になる。
【0006】
本発明は、簡易な構成で、ステッピングモータの脱調の抑制と、消費電力の低減を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一観点に係るステッピングモータの制御装置は、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)制御信号を生成する信号生成部と、前記信号生成部により生成された前記PWM制御信号を平滑化して基準電圧として出力する平滑化部と、前記平滑化部により出力された前記基準電圧に基づきステッピングモータを制御するモータ駆動部と、前記信号生成部が生成する前記PWM制御信号のデューティ比を変化させることで前記平滑化部が出力する前記基準電圧の値を変更する変更制御を行う基準電圧制御部と、前記基準電圧制御部が前記変更制御を開始するときに、前記平滑化部が出力する前記基準電圧の値が変更後の値に到達するまでに十分な所定の待ち時間だけ、前記モータ駆動部による前記ステッピングモータの制御を待機させる待機制御部と、を備え、前記基準電圧制御部は、前記変更制御において前記基準電圧を増加させる場合、前記待ち時間には前記PWM制御信号の前記デューティ比を100%に設定した後に、変更後の基準電圧に応じたデューティ比に変更し、前記変更制御において前記基準電圧を減少させる場合、前記待ち時間には前記PWM制御信号の前記デューティ比を0%に設定した後に、変更後の基準電圧に応じたデューティ比に変更する
【発明の効果】
【0008】
簡易な構成で、ステッピングモータの脱調の抑制と、消費電力の低減を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るステッピングモータ駆動制御装置の全体構成を示すブロック図
図2図1中の制御部のハードウェア構成図
図3】制御部の機能ブロック図
図4】変更制御時における制御装置の基本的な動作のタイムチャート
図5】基準電圧増加時における制御装置の動作のタイムチャート
図6】基準電圧減少時における制御装置の動作のタイムチャート
図7】変更制御のフローチャート
図8】待ち時間の設定手法を説明するタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係るステッピングモータ駆動制御装置1(以下「制御装置」という)の全体構成を示すブロック図である。制御装置1は、ステッピングモータ10の動作を制御するための装置である。制御装置1は、制御部2と、積分回路3(平滑化部)と、モータドライバ4(モータ駆動部)とを備える。
【0012】
制御部2は、ステッピングモータ10の動作を制御する。具体的には、制御部2は、ステッピングモータ10の所望の動作に応じたパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)制御信号を生成して積分回路3へ出力する。また、制御部2は、モータドライバ4へ、駆動電流の出力可否を指令する出力ON信号または出力OFF信号を出力する。
【0013】
積分回路3は、制御部2から入力されたPWM制御信号を平滑化して、基準電圧としてモータドライバ4へ出力する。積分回路3は、例えば図1に示すようにR[Ω]の抵抗と、C[F]のコンデンサとを含んで構成される。
【0014】
モータドライバ4は、積分回路3により出力された基準電圧に基づき、ステッピングモータを制御するための駆動電流を出力する。モータドライバ4は、入力される基準電圧が変化した場合には、出力する駆動電流の値も変化させることができる。
【0015】
図2は、図1中の制御部2のハードウェア構成図である。図2に示すように、制御部2は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102およびROM(Read Only Memory)103、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置104、ディスプレイやタッチパネル等の出力装置105、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール106、ハードディスク等の記憶装置107、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。以降の図3を参照して説明する制御部2の各要素の機能は、CPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール106、入力装置104、出力装置105を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置107におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0016】
図3は、制御部2の機能ブロック図である。図3に示すように、制御部2は、上述の機能に関する機能ブロックとして、基準電圧制御部21と、信号生成部22と、待機制御部23とを備える。
【0017】
基準電圧制御部21は、信号生成部22が生成するPWM制御信号のデューティ比を変化させることで積分回路3が出力する基準電圧の値を変更する変更制御を行う。
【0018】
信号生成部22は、基準電圧制御部21からの指令に応じたデューティ比のPWM制御信号を生成して、積分回路3に出力する。
【0019】
待機制御部23は、駆動電流の出力可否を指令する出力ON信号または出力OFF信号をモータドライバ4へ出力する。待機制御部23は、基準電圧制御部21が変更制御を開始するときに、所定の待ち時間だけ出力OFF信号をモータドライバ4へ出力して、モータドライバ4によるステッピングモータの制御を待機させる。すなわち、モータドライバ4からステッピングモータ10への駆動電流の供給を停止させる。待機制御部23は、信号生成部22がPWM制御信号のデューティ比を変化させたことを検知すると、基準電圧制御部21が変更制御を開始したと判断して出力OFF信号を出力しはじめる。「待ち時間」は、例えば、積分回路3が出力する基準電圧の値が変更後の値に到達するまでに十分な所定の時間を設定することができる。
【0020】
ここで図4図6を参照して、上記の変更制御時における制御装置1の動作を説明する。図4は、変更制御時における制御装置1の基本的な動作のタイムチャートである。図4の(a)は基準電圧、(b)はPWM制御信号、(c)は駆動電流の時間推移を示す。ここでは、基準電圧を増加させる場合を例示して説明する。
【0021】
時刻t0より以前の時間帯では、PWM制御信号は相対的に小さいデューティ比となっており、基準電圧も相対的に小さく設定されている。このため、駆動電流も相対的に小さい値となって、ステッピングモータの回転量も相対的に少ない。
【0022】
時刻t0において、基準電圧制御部21が基準電圧を増加させるべく信号生成部22に指令を出力すると、信号生成部22はPWM制御信号のデューティ比をt0以前より相対的に大きく変更する。これにより積分回路3から出力される基準電圧の値も徐々に増加しはじめ、時刻t1において所望の基準電圧に到達して以降は一定となる。
【0023】
そして、基準電圧が増加している時刻t0から時刻t1までの期間では、待機制御部23が出力OFF信号をモータドライバ4へ出力して、基準電圧が立ち上がりきるまでモータの駆動を待つようにモータドライバ4を制御する。時刻t1以降では、基準電圧が所望の値に到達しているので、待機制御部23が出力ON信号をモータドライバ4へ出力するようになり、大きいデューティ比のPWM制御信号に応じた相対的に大きい駆動電流を出力する。つまり、図4に示す時刻t0から時刻t1までの期間が上述の「待ち時間」に相当する。
【0024】
従来のステッピングモータ10の基準電圧を変化させる手法では、PWM制御信号を変化させたときは狙いの基準電圧に到達するまでに時間がかかるため、基準電圧を下げる場合には、狙いの電圧に到達するまでの間、出力電流が大きくなり余計な電流が流れ機器としての消費電力が上がってしまうという問題があった。また、基準電圧を上げる場合には、狙いの電圧に到達するまでの間、出力電流が小さくなり電流が不足することでモータの駆動トルクが足りず、モータが脱調してしまうという問題があった。
【0025】
これに対して本実施形態のステッピングモータ駆動制御装置1では、基準電圧制御部21が基準電圧の変更制御を開始するときに、積分回路3が出力する基準電圧の値が変更後の値に到達するまでに十分な所定の待ち時間だけ、待機制御部23がモータドライバ4によるステッピングモータ10の制御を待機させる。これにより、ステッピングモータの脱調や消費電力増加が生じやすい基準電圧の立ち上がり期間にはステッピングモータ10の動作を停止させるので、ステッピングモータ10の脱調の抑制と、消費電力の低減ができる。また、本実施形態では、予め設定された待ち時間が経過したら基準電圧の値が変更後の値に到達したものと判断するので、従来のように基準電圧が変更後の値に到達したかを判断するために基準電圧や駆動電流を監視する要素を追加する必要がない。この結果、本実施形態のステッピングモータ駆動制御装置1は、簡易な構成で、ステッピングモータ10の脱調の抑制と、消費電力の低減を可能とする。
【0026】
図5は、変更制御のうち基準電圧増加時における制御装置1の動作のタイムチャートである。図5の(a)は基準電圧、(b)はPWM制御信号の時間推移を示す。
【0027】
図4(b)では、変更制御において基準電圧を増加させる場合、立ち上がり時間中には増加後の基準電圧に応じた規定のデューティ比のPWM制御信号に変更していた。これに対して、図5に示すように、基準電圧の変動時間(出力OFFの期間)を短くするため、待ち時間にはPWM制御信号のデューティ比を一時的に100%に設定し、狙いの基準電圧に増加した後に、変更後の基準電圧に応じた規定のデューティ比に変更する。
【0028】
これにより、積分回路3へ入力されるPWM制御信号のデューティ比を増やして基準電圧をより早く立ち上がらせることができ、図4に示した時刻t1よりも早い時刻t2で基準電圧を目標値に到達させることができる。基準電圧を上げる場合には、狙いの電圧に到達するまでの間、駆動電流が小さくなり電流が不足することでモータの駆動トルクが足りず、従来はモータが脱調してしまう虞があったが、図5に示すPWM制御信号の制御によって、立ち上がり期間を短縮化できステッピングモータ10の脱調を抑制できる。また、狙いの基準電圧になるまでの待ち時間を短縮でき、ステッピングモータ10の停止期間を短縮できる。
【0029】
図6は、変更制御のうち基準電圧減少時における制御装置1の動作のタイムチャートである。図6の(a)は基準電圧、(b)はPWM制御信号の時間推移を示す。ここでは、図4図5とは反対に、基準電圧を減少させる場合を例示して説明する。
【0030】
図6に示すように、変更制御において基準電圧を減少させる場合、基準電圧の変動時間(余計な消費電流を消費する期間)を短くするため、待ち時間にはPWM制御信号のデューティ比を一時的に0%に設定し、狙いの基準電圧まで減少した後に、変更後の基準電圧に応じた規定のデューティ比に変更する。
【0031】
これにより、積分回路3へ入力されるPWM制御信号のデューティ比を減らして基準電圧をより早く立ち下げることができ、図4の例のように待ち時間中も規定のデューティ比とした場合に目標値に到達するまでの時刻t3よりも早い時刻t4で基準電圧を目標値に到達させることができる。基準電圧を下げる場合には、狙いの電圧に到達するまでの間、出力電流が大きくなり、従来は余計な電流が流れ機器としての消費電力が上がってしまう虞があったが、図6に示すPWM制御信号の制御によって、立ち下がり期間を短縮化でき消費電力を低減できる。また、狙いの基準電圧になるまでの待ち時間を短縮でき、ステッピングモータ10の停止期間を短縮できる。
【0032】
図7は、変更制御のフローチャートである。
【0033】
ステップS01では、基準電圧制御部21により、基準電圧を変更するか否かが判定される。基準電圧を変更しない場合には変更するまで待機し(ステップS01のNO)、基準電圧を変更する場合(ステップS01のYes)にはステップS02に進む。
【0034】
ステップS02では、待機制御部23によりモータドライバ4の出力がストップされる。
【0035】
ステップS03では、変更制御の内容が電流増、すなわち基準電圧を増加するか否かが判定される。電流増の変更制御の場合(ステップS04のYes)には、ステップS04にてPWM制御信号が100%に設定される。一方、電流減の変更制御、すなわち基準電圧を減少する場合(ステップS04のNo)には、ステップS05にてPWM制御信号が0%に設定される。
【0036】
ステップS06では、待機制御部23により、所定の待ち時間に亘りモータドライバ4が出力ストップの状態で待機される。
【0037】
ステップS07では、待ち時間の経過後に、信号生成部22によりPWM制御信号のデューティ比が狙いの値に変更される。
【0038】
ステップS08では、待機制御部23によりモータドライバ4の出力が再開され、モータドライバ4は変更後の基準電圧に基づき駆動電流をステッピングモータ10に供給する。ステップS08の処理が完了すると本制御フローを終了する。
【0039】
図8は、待ち時間の設定手法を説明するタイムチャートである。図8の(a)、(b)は、積分回路3の時定数が大きい場合の基準電圧と回転速度の時間推移を示し、図8の(c)、(d)は、積分回路3の時定数が小さい場合の基準電圧と回転速度の時間推移を示す。
【0040】
図8に示すように、待機制御部23がモータドライバ4へ出力OFF信号を出力する「待ち時間」は、例えば積分回路3の時定数によって決定することができる。図1に示した抵抗とコンデンサから成る積分回路の場合、時定数Tは抵抗値Rとコンデンサの容量Cとの積で算出できる(T=R×C)。
【0041】
図8の(a)、(b)に示すように、積分回路3の時定数Tが相対的に大きい場合には、上記の変更制御の際に基準電圧の立ち上がり時間が相対的に長くなる傾向がある。このため、時定数Tが大きいほど待ち時間を長く設定することで、基準電圧の値が変更後の値に到達するまでに十分な所定の時間を設定することができる。
【0042】
図8の(c)、(d)に示すように、積分回路3の時定数Tが相対的に小さい場合には、上記の変更制御の際に基準電圧の立ち上がり時間が相対的に短くなる傾向がある。このため、時定数Tが小さいほど待ち時間を短く設定することで、基準電圧の値が変更後の値に到達するまでに十分な所定の時間を設定することができ、かつ、基準電圧が立ち上がったにもかかわらず待ち時間が継続してモータを駆動できない時間空費も回避できる。このように、積分回路3の構成に応じて積分回路毎に最短な待ち時間を設定できる。
【0043】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ステッピングモータ駆動制御装置(制御装置)
3 積分回路(平滑化部)
4 モータドライバ(モータ駆動部)
21 基準電圧制御部
22 信号生成部
23 待機制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【文献】特開平8-205592号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8