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特許7443792シート吸引装置、シート搬送装置、印刷装置、吸引領域切替装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】シート吸引装置、シート搬送装置、印刷装置、吸引領域切替装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/12 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
B65H5/12 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020014527
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021120322
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】宮川 寛亮
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-240997(JP,A)
【文献】国際公開第2020/017155(WO,A1)
【文献】特開2014-172402(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0251764(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 5/04-5/18
B65H 5/22
B65H 29/12-29/24
B41J 2/01
B41J 2/165-2/20
B41J 2/21-2/215
B41J 11/00-11/70
B41J 13/00-13/32
F01L 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面にシートを担持して回転する担持部材と、
前記担持部材の前記シートを担持する担持領域に設けられた複数の吸引穴と、
前記吸引穴を介して吸引する吸引手段と、
前記複数の吸引穴と前記吸引手段との間に介在された第1部材及び第2部材と、を備え、
前記第1部材は、前記吸引手段に通じる、周方向に設けられた溝部を有し、
前記第2部材は、周方向に配置された複数の穴部の列を有し、
前記第1部材を前記第2部材に対して回転させることで、前記第1部材の前記溝部と接続される前記第2部材の前記穴部の数が変わって前記複数の吸引穴の内で前記吸引手段に連通する前記吸引穴の数が変わり、
前記第2部材の複数の穴部の列は半径方向において複数列配置され、
前記第2部材の前記複数の穴部には、前記第1部材の単位回転量の回転で同時に連通される2以上の前記穴部を含み、
前記同時に連通される2以上の前記穴部は、前記第1部材の回転中心に対して半径方向に並んでいる
ことを特徴とするシート吸引装置。
【請求項2】
前記同時に連通される2以上の前記穴部は、前記穴部の中心軸方向がほぼ平行である
ことを特徴とする請求項1に記載のシート吸引装置。
【請求項3】
前記同時に連通される2以上の前記穴部は、前記第1部材の回転中心からの距離が異なる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート吸引装置。
【請求項4】
前記同時に連通される2以上の前記穴部は、前記第2部材の半径方向に並ぶ前記複数の穴部の列において異なる列に属している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート吸引装置。
【請求項5】
前記同時に連通される2以上の前記穴部は、前記シートのサイズに応じていずれかの前記穴部が選択されており、選択されていない前記穴部は閉塞部材で閉じられている
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のシート吸引装置。
【請求項6】
前記担持部材は、周方向で複数枚のシートを担持可能である
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のシート吸引装置。
【請求項7】
前記第1部材及び前記第2部材は、前記担持部材とともに回転する
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のシート吸引装置。
【請求項8】
周面にシートを担持して回転する担持部材と、
前記担持部材の前記シートを担持する担持領域に設けられた複数の吸引穴と、
前記吸引穴を介して吸引する吸引手段と、
前記複数の吸引穴と前記吸引手段との間に介在された第1部材及び第2部材と、を備え、
前記第1部材は、前記吸引手段に通じる、周方向に設けられた溝部を有し、
前記第2部材は、周方向に配置された複数の穴部の列を有し、
前記第1部材を前記第2部材に対して回転させることで、前記第1部材の前記溝部と接続される前記第2部材の前記穴部の数が変わって前記複数の吸引穴の内で前記吸引手段に連通する前記吸引穴の数が変わり、
前記第2部材の複数の穴部の列は半径方向において複数列配置され、
前記第2部材の前記複数の穴部には、前記第1部材の単位回転量の回転で同時に連通される2以上の前記穴部を含み、
前記第1部材及び前記第2部材は、前記担持部材とともに回転する
ことを特徴とするシート吸引装置。
【請求項9】
周面にシートを担持して回転する担持部材と、
前記担持部材の前記シートを担持する担持領域に設けられた複数の吸引穴と、
前記吸引穴を介して吸引する吸引手段と、
前記複数の吸引穴と前記吸引手段との間に介在された第1部材及び第2部材と、を備え、
前記第1部材は、周方向に設けられた複数の穴部を有し、
前記第2部材は、前記吸引手段に通じる、周方向に配置された溝部を有し、
前記第1部材を前記第2部材に対して回転させることで、前記第2部材の前記溝部と接続される前記第1部材の前記穴部の数が変わって前記複数の吸引穴の内で前記吸引手段に連通する前記吸引穴の数が変わり、
前記第1部材の複数の穴部の列は半径方向において複数列配置され、
前記第1部材の前記複数の穴部には、前記第1部材の単位回転量の回転で同時に連通される2以上の前記穴部を含み、
前記第2部材は、前記担持部材とともに回転する
ことを特徴とするシート吸引装置。
【請求項10】
前記同時に連通される2以上の前記穴部は、前記シートのサイズに応じていずれかの前記穴部が選択されており、選択されていない前記穴部は閉塞部材で閉じられている
ことを特徴とする請求項9に記載のシート吸引装置。
【請求項11】
前記第1部材は手動で回転可能である
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載のシート吸引装置。
【請求項12】
前記複数の吸引穴は、前記担持部材の周方向に配置され、
前記第1部材の回転により、前記担持部材の周方向において、前記吸引手段と連通する前記吸引穴の数が変更される
ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載のシート吸引装置。
【請求項13】
前記複数の吸引穴は、前記担持部材の軸方向に配置され、
前記第1部材の回転により、前記担持部材の軸方向において、前記吸引手段と連通する前記吸引穴の数が変更される
ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載のシート吸引装置。
【請求項14】
周面にシートを担持して回転する担持部材と、
前記担持部材の前記シートを担持する担持領域に設けられた複数の吸引穴と、
前記吸引穴を介して吸引する吸引手段と、
前記複数の吸引穴と前記吸引手段との間に介在された第1部材及び第2部材と、を備え、
前記第1部材は、前記吸引手段に通じる、周方向に設けられた溝部を有し、
前記第2部材は、周方向に配置された複数の穴部の列を有し、
前記第1部材を前記第2部材に対して回転させることで、前記第1部材の前記溝部と接続される前記第2部材の前記穴部の数が変わって前記複数の吸引穴の内で前記吸引手段に連通する前記吸引穴の数が変わり、
前記第2部材の複数の穴部の列は半径方向において複数列配置され、
前記第2部材の前記複数の穴部には、前記第1部材の単位回転量の回転で同時に連通される2以上の前記穴部を含み、
前記複数の吸引穴は、前記担持部材の軸方向に配置され、
前記第1部材の回転により、前記担持部材の軸方向において、前記吸引手段と連通する前記吸引穴の数が変更される
ことを特徴とするシート吸引装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載のシート吸引装置を備え、
前記シートを担持した前記シート吸引装置の前記担持部材を回転して前記シートを搬送する
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項16】
請求項15に記載のシート搬送装置を備えている
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項17】
周面にシートを担持する担持部材の前記シートを担持する担持領域に設けられた複数の吸引穴と前記吸引穴を介して吸引する吸引手段との間に介在され、前記複数の吸引穴の内で前記吸引手段と連通する前記吸引穴の数を変更する吸引領域切替装置であって、
第1部材及び第2部材を有し、
前記第1部材は、前記吸引手段に通じる、周方向に設けられた溝部を有し、
前記第2部材は、周方向に配置された複数の穴部の列を有し、
前記第1部材を前記第2部材に対して回転させることで、前記第1部材の前記溝部と接続される前記第2部材の前記穴部の数が変わって前記複数の吸引穴の内で前記吸引手段に連通する前記吸引穴の数が変わり、
前記第2部材の複数の穴部の列は半径方向において複数列配置され、
前記第2部材の前記複数の穴部には、前記第1部材の単位回転量の回転で同時に連通される2以上の前記穴部を含み、
前記同時に連通される2以上の前記穴部は、前記第1部材の回転中心に対して半径方向に並んでいる
ことを特徴とする吸引領域切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート吸引装置、シート搬送装置、印刷装置、吸引領域切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、例えば、ドラムなどの回転部材にシートを担持して搬送しながら印刷を施すものがある。
【0003】
シート(シート材)を搬送する搬送装置として、ドラムの周面に吸引吸着で担持して搬送するシート搬送装置が知られている。
【0004】
例えば、シートを吸引して搬送する胴を備え、胴に設けられシートを支持する支持面の周面全面に形成された複数の吸引用孔を有し、シートの全面を吸引する3つの吸引エリアと、各吸引エリアを複数に分割する複数の吸引部と、複数の吸引部と負圧源との間に設けられ、各吸引部に対する負圧源との接続を切り替える切替部と、シートのサイズに基づき切替部を介して当該複数の吸引部による吸引を個別に制御する制御部とを備えるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-240997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、吸引部ごとに切替部(切替バルブ)を開閉して切替を行う必要があり、切替のための構成が複雑で大型化するという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で吸引領域を変更できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係るシート吸引装置は、
周面にシートを担持して回転する担持部材と、
前記担持部材の前記シートを担持する担持領域に設けられた複数の吸引穴と、
前記吸引穴を介して吸引する吸引手段と、
前記複数の吸引穴と前記吸引手段との間に介在された第1部材及び第2部材と、を備え、
前記第1部材は、前記吸引手段に通じる、周方向に設けられた溝部を有し、
前記第2部材は、周方向に配置された複数の穴部の列を有し、
前記第1部材を前記第2部材に対して回転させることで、前記第1部材の前記溝部と接続される前記第2部材の前記穴部の数が変わって前記複数の吸引穴の内で前記吸引手段に連通する前記吸引穴の数が変わり、
前記第2部材の複数の穴部の列は半径方向において複数列配置され、
前記第2部材の前記複数の穴部には、前記第1部材の単位回転量の回転で同時に連通される2以上の前記穴部を含み、
前記同時に連通される2以上の前記穴部は、前記第1部材の回転中心に対して半径方向に並んでいる
構成とした。
【0009】
本発明によれば、簡単な構成で吸引領域を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る印刷装置の概略説明図である。
図2】同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るシート吸引装置の全体概略構成を説明する説明図である。
図4】ドラムの分解斜視説明図である。
図5】同ドラムの1つの担持領域におけるシートサイズの説明に供する平面説明図である。
図6】同ドラムの周方向における吸引口の配置とシートサイズの説明に供する図5のT部の拡大説明図である。
図7】同ドラムの軸方向及び周方向における吸引口の配置とシートサイズの説明に供する要部拡大説明図である。
図8】同ドラムの担持領域とその分割領域の説明に供する模式的側面説明図である。
図9】本発明の第1実施形態におけるロータリバルブの外観斜視説明図である。
図10】同じく半断面斜視説明図である。
図11】同じく要部拡大断面斜視説明図である。
図12】同ロータリバルブを構成する固定部の斜視説明図である。
図13】同じく固定部の側面説明図である。
図14】同ロータリバルブを構成する第2部材の斜視説明図である。
図15】同じく第2部材の側面説明図である。
図16】同ロータリバルブを構成する第1部材の斜視説明図である。
図17】同じく第1部材の側面説明図である。
図18】同ロータリバルブを構成する第3部材の斜視説明図である。
図19】同第3部材を固定部に重ね合わせた状態の側面説明図である。
図20】担持領域と固定部の溝部の割り当ての説明に供する説明図である。
図21】第1部材と第2部材の相対回転による吸引エリアの切替(サイズ切替)の説明に供する説明図である。
図22】同じく吸引エリアの切替(サイズ切替)の説明に供する説明図である。
図23】同じく吸引エリアを9段階に切り替えるときの遷移状態の説明に供する第1部材と第2部材を透過状態で示す側面説明図である。
図24図23に続く遷移状態の側面説明図である。
図25図24に続く遷移状態の側面説明図である。
図26】本発明に第2実施形態に係るロータリバルの説明に供する第1部材と第2部材とを重ねた状態での説明図である。
図27】第1部材による切替操作の説明に供するロータリバルブの回転部の斜視説明図である。
図28】同じく側面説明図である。
図29】同じく側面拡大説明図である。
図30】同じく要部斜視説明図である。
図31】吸引エリアのサイズ情報の取得の説明に供する要部斜視説明図である。
図32】本発明の第3実施形態に係るロータリバルブの外観斜視説明図である。
図33】同じく判断面斜視説明図である。
図34】同じく要部拡大断面斜視説明図である。
図35】同ロータリバルブを構成する第2部材の斜視説明図である。
図36】同じく第2部材の側面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明の第1実施形態について図1及び図2を参照して説明する。図1は同実施形態に係る印刷装置の概略説明図、図2は同印刷装置の吐出ユニットの一例の平面説明図である。
【0012】
印刷装置1は、搬入部10と、印刷部20と、乾燥部30と、搬出部40とを備えている。印刷装置1は、搬入部10から搬入されるシートPに対し、印刷部20で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部30でシートPに付着した液体を乾燥させた後、シートPを搬出部40に排出する。
【0013】
搬入部10は、複数のシートPが積載される搬入トレイ11と、搬入トレイ11からシートPを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12と、シートPを印刷部20へ送り込むレジストローラ対13とを備えている。
【0014】
給送装置12には、ローラやコロを用いた装置や、エアー吸引を利用した装置など、あらゆる給送装置を用いることが可能である。給送装置12により搬入トレイ11から送り出されたシートPは、その先端がレジストローラ対13に到達した後、レジストローラ対13が所定のタイミングで駆動することにより、印刷部20へ送り出される。
【0015】
印刷部20は、シートPを搬送するシート搬送装置21を備えている。シート搬送装置21は、シートPを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)であるドラム51及びドラム51の周面に吸引力を生じさせる吸引手段である吸引装置52などを有している。また、印刷部20は、シート搬送装置21のドラム51に担持されたシートPに向けて液体を吐出する液体吐出部22を備えている。
【0016】
また、印刷部20は、送り込まれたシートPを受け取ってドラム51との間でシートPを渡す渡し胴24と、ドラム51によって搬送されたシートPを乾燥部30へ受け渡す受け渡し胴25を備えている。
【0017】
搬入部10から印刷部20へ搬送されてきたシートPは、渡し胴24に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴24の回転に伴って搬送される。渡し胴24により搬送されたシートPは、ドラム51との対向位置でドラム51へ受け渡される。
【0018】
ドラム51の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シートPの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム51の表面には、複数の吸引穴が分散して形成されている。吸引手段である吸引装置52によってドラム51の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0019】
そして、渡し胴24からドラム51へ受け渡されたシートPは、シートグリッパ106によって先端が把持されるとともに、吸引装置52による吸い込み気流によってドラム51上に吸着担持され、ドラム51の回転に伴って搬送される。
【0020】
液体吐出部22は、液体吐出手段である吐出ユニット23(23A~23F)を備えている。例えば、吐出ユニット23Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット23Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット23Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット23Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、吐出ユニット23F,23Fは、YMCKのいずれか、或いは、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出に使用する。さらに、表面コート液などの処理液を吐出する吐出ユニットを設けることもできる。
【0021】
吐出ユニット23は、例えば、図2に示すように、複数のノズルを配列したノズル列126を有する複数の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)125をベース部材127に配置したフルライン型ヘッドである。
【0022】
液体吐出部22の各吐出ユニット23は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラムに担持されたシートPが液体吐出部22との対向領域を通過するときに、吐出ユニット23から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0023】
乾燥部30は、印刷部20でシートP上に付着した液体を乾燥させるための乾燥機構部31と、印刷部20から搬送されてくるシートPを吸引した状態で搬送する(吸引搬送する)吸引搬送機構部32とを備えている。
【0024】
印刷部20から搬送されてきたシートPは、吸引搬送機構部32に受け取られた後、乾燥機構部31を通過するように搬送され、搬出部40へ受け渡される。
【0025】
乾燥機構部31を通過するとき、シートP上の液体には乾燥処理が施される。これにより液体中の水分等の液分が蒸発し、シートP上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シートPのカールが抑制される。
【0026】
搬出部40は、複数のシートPが積載される搬出トレイ41を備えている。乾燥部30から搬送されてくるシートPは、搬出トレイ41上に順次積み重ねられて保持される。
【0027】
なお、印刷装置1には、例えば、シートPに対して前処理を行う前処理部を印刷部20の上流側に配置したり、液体が付着したシートPに対して後処理を行う後処理部を乾燥部30と搬出部40との間に配置したりすることもできる。
【0028】
前処理部としては、例えば、液体と反応して滲みを抑制するための処理液をシートPに塗布する先塗り処理を行うものが挙げられる。また、後処理部としては、例えば、印刷部20で印刷されたシートを反転させて再び印刷部20へ送ってシートPの両面に印刷するためのシート反転搬送処理や、複数枚のシートを綴じる処理などを行うものが挙げられる。
【0029】
また、印刷部として液体吐出手段を備える例で説明しているが、液体吐出以外の手段で印刷を行うこともできる。
【0030】
次に、本発明の第1実施形態に係るシート吸引装置について図3を参照して説明する。図3は同シート吸引装置の全体概略構成を説明する説明図である。
【0031】
シート吸引装置50は、ドラム51と、吸引手段である吸引装置52と、ドラム51と吸引装置52との間に配置された吸引領域切替装置としてのロータリバルブ200を備えている。吸引装置52とロータリバルブ200とはホース(チューブ)55で通じており、ロータリバルブ200とドラム51とはホース(チューブ)56で通じている。
【0032】
次に、ドラム51について図4ないし図7を参照して説明する。図4は同ドラムの分解斜視説明図、図5は同ドラムの1つの担持領域におけるシートサイズの説明に供する平面説明図、図6は同ドラムの周方向における吸引口の配置とシートサイズの説明に供する図5のT部の拡大説明図である。図7は同ドラムの軸方向及び周方向における吸引口の配置とシートサイズの説明に供する要部拡大説明図である。図8は同ドラムの担持領域とその分割領域の説明に供する模式的側面説明図である。
【0033】
ドラム51は、ドラム本体101と吸引プレート102とで構成される。なお、吸引プレート102とドラム本体101との間にはラバーシートなどのシール材を介在させることもできる。
【0034】
このドラム51は、3つの担持領域105(105A~105C)を有し、周方向において、複数枚のシートPを担持可能である。各担持領域105は、図3に示すように、複数の吸引穴112を有し、各吸引穴112が通じるチャンバ113を形成している吸引プレート102と、チャンバ113に通じる溝状の吸引口111が形成されたドラム本体101で構成されている。なお、担持領域105のドラム回転方向先端部にはシートグリッパ106(簡略化して図示している)が配置されている。
【0035】
1つの担持領域105には、図5及び図6に示すように、複数(ここでは9つ)のシートサイズに相当するシート領域S1~S9を割り付け、周方向では12本の吸引口111a、111b1~111b11が配置されている。ここで、回転方向先頭側の吸引口111は、図7に示すように、各シートサイズS1~S9に対応して、吸引口111a1~111a9が軸方向に配列されている。
【0036】
例えば、シート領域S1に対応して複数の吸引穴112が臨むチャンバ113に連通する吸引口111a1、111b1が配置されている。シート領域S2のうちシート領域S1を除く領域の複数の吸引穴112が臨むチャンバ113に連通する吸引口111a2、111b2が配置されている。シート領域S3のうちシート領域S1、S2を除く領域の複数の吸引穴112が臨むチャンバ113に連通する吸引口111a3、111b3及び111b4が配置されている。その他のシート領域S4ないしS9についても同様である。
【0037】
また、1つの担持領域105は、図8に示すように、周方向(回転方向)において、回転方向先頭側から、第1領域116A、第2領域116B、第3領域116C、第4領域116Dに分割している。
【0038】
ここで、図6に示すように、第1領域116Aはドラム回転方向先頭の吸引口111aに割り当て、第2領域116Bは吸引口111b1~111b3に割り当て、第3領域116Cは吸引口111b4~111b8に割り当て、第4領域116Dは吸引口111b9~111b11に割り当てている。
【0039】
したがって、ドラム51上の各吸引口111(111a、111b)にホース56を接続して、各吸引口111(111a、111b)に対して負圧発生の有無を切り替えることで吸引範囲を切り替えることができる。
【0040】
図3に戻って、ロータリバルブ200は、ドラム51に連れ回る回転部202と、吸引装置52に接続され、ドラム51に連れ回らない固定部201とを有している。
【0041】
そして、回転部202と固定部201の相対的な位相の違いにより、吸引穴112と吸引装置52との連通及び非連通を切り替えることで、ドラム51の周面上の負圧の発生タイミングを制御することができる。なお、回転部202、固定部201ともに円盤状に加工され、回転部202の摺動面に例えば樹脂等のコーティングを施した金属板を用いることが一般的である。
【0042】
次に、ロータリバルブについて図9ないし図15を参照して説明する。図9は同ロータリバルブの外観斜視説明図、図10は同じく半断面斜視説明図、図11は同じく要部拡大断面斜視説明図である。図12は同ロータリバルブを構成する固定部の斜視説明図、図13は同じく固定部の側面説明図、図14は同ロータリバルブを構成する第2部材の斜視説明図、図15は同じく第2部材の側面説明図、図16は同ロータリバルブを構成する第1部材の斜視説明図、図17は同じく第1部材の側面説明図である。図18は同ロータリバルブを構成する第3部材の斜視説明図、図19は同第3部材を固定部に重ね合わせた状態の側面説明図である。
【0043】
ロータリバルブ200の固定部201は、図3に示すように、印刷装置1のフレーム100に固定される。なお、フレーム100は、ドラム51や渡し胴24、吐出ユニット23などを支えている。
【0044】
固定部201には、回転部202と摺動させる側に、半径方向に並び、周方向で3分割されている複数本の溝部211の列が設けられている。各溝部211には貫通穴212が設けられて、吸引装置52と接続される。ここでは、同じ同心円上に位置する各溝部211の列を、それぞれ溝部列210A、210B、210C,210Dと称する。
【0045】
ロータリバルブ200の回転部202は、第1部材203、第2部材204、第3部材205で構成され、固定部201側から第3部材205、第1部材203、第2部材204の順に配置されている。ただし、半径方向では、第1部材203は第3部材205の外周面を覆う形状をし、第3部材205は第1部材203に嵌め込まれている。
【0046】
第2部材204には、円盤状部材の周面に、ドラム51の吸引口111に通じる複数(ここでは9個)の穴部241(241A~241I)が設けられ、各穴部241は第1部材203と接する側面に設けられた開口241aを有している。この周方向に設けた9個の穴部241A~241Iはドラム51の軸方向の9個の吸引口111a(111a1~111a9)に連通し、複数の吸引穴112のそれぞれと接続可能である。
【0047】
また、第2部材204には、円盤状部材の側面などに複数種類の複数の穴部242(242A~242I)が設けられている。
【0048】
穴部242A、242C1は、第2部材204を軸方向に貫通する貫通穴243a及び貫通穴243aが通じる周方向の溝部243bで構成される。穴部242B、242C2、242E、242G1、242Hは、第2部材204を軸方向に貫通する貫通穴243aで構成される。穴部242D、242F、242G2、242Iは、第2部材204を軸方向に貫通しない非貫通穴243c及び非貫通穴243cから半径方向に延びる穴243dで構成される。これらの穴部242も吸引口111に通じている。
【0049】
なお、図15に示すように、複数の穴部241などは、各担持領域105A、105B、105Cに対応してそれぞれ設けられているが、図14では図示を簡略化して、1つの担持領域分の穴部241などを図示している。
【0050】
第1部材203には、円盤状部材の側面に、周方向に沿う貫通溝部231が各担持領域105に対応して設けられている。ここでは、溝部231は、半径方向において、外周側から中心に向かって、同心円上に4箇所配置されており、同じ同心円上に位置する各溝部231の列を、それぞれ溝部列230A、230B、230C,230Dと称する。
【0051】
ここで、図15に戻って、第1部材203の各溝部列230A~230Dにそれぞれ対応する第2部材204の周方向に並ぶ開口241及び穴部242の列を、外周側から中心に向かって、それぞれ穴部列240A~240Dとする。
【0052】
そして、第2部材204の穴部列240Dに属する穴部242C1と穴部列240Bに属する穴部242C2とは、第1部材203の単位回転量の回転で同時に連通される2以上の穴部242である。
【0053】
ここで、「単位回転量」とは、吸引手段(吸引装置52)に連通する吸引穴112の数を一段階だけ変更する(切り替える)ときに、第1部材203を第2部材204に対して回転させる最小単位の回転量である。
【0054】
第1部材203の回転を手動で行う場合は、後述する図30に示す9段階の目盛238の一目盛に相当する回転量である。
【0055】
また、本実施形態において、第1部材203の回転をモータ等の駆動源により自動でおこなう構成とすることも可能である。この場合、モータは、第1部材293の回転が単位回転量毎となるように駆動制御を行う。
【0056】
また、単位回転量は吸引穴の数を一段階だけ変更するのに必要な回転量であって、図30のように9段階のそれぞれの段階で均等である必要はなく、各段階の回転量は異なっても良い。
【0057】
つまり、同時に連通される2以上の穴部242C1と穴部242C2とは、第1部材203の回転中心Oからの距離が異なっている。言い換えれば、同時に連通される2つの穴部242C1と穴部242C2とは、第2部材204の半径方向に並ぶ複数の穴部列240において異なる穴部列240Dと穴部列240Bにそれぞれ属している。
【0058】
同様に、第2部材204の穴部列240Bに属する穴部242G1と穴部列240Cに属する穴部242G2とは、第1部材203の単位回転量の回転で同時に連通される2以上の穴部242である。
【0059】
つまり、同時に連通される2以上の穴部242G1と穴部242G2とは、第1部材203の回転中心Oからの距離が異なっている。言い換えれば、同時に連通される2つの穴部242G1と穴部242G2とは、第2部材204の半径方向に並ぶ複数の穴部列240において異なる穴部列240Bと穴部列240Cにそれぞれ属している。
【0060】
このように、単位回転量の回転で同時に連通される2つの穴部242C1、242C2、あるいは、242G1、242G2を備えることにより、使用するシートPのサイズに応じていずれかを選択して、選択しない穴部は栓にて閉じる。これにより、仕向け地のサイズの種類に容易に対応することができる。
【0061】
つまり、本実施形態において、「仕向け地」とは、シート吸引装置、及び、シート吸引装置を含む印刷装置が使用される国または地域を指す。例えば、日本と欧州では印刷で頻繁に用いられる定型用紙のサイズ(寸法)が異なるため、吸引領域は、各国又は各地域で頻繁に用いられる用紙サイズ群に対応した領域とすることが好ましい。そこで、仕向け地で使用するシートPのサイズに応じて、単位回転量の回転で同時に連通される2つの穴部のいずれかを選択して、選択しない穴部は栓にて閉じることで、容易に対応できるようにしている。
【0062】
第3部材205には、図19に示すように、円盤状部材を貫通して、固定部201の溝部211と第1部材203の溝部231とを連通する貫通穴251が設けられている。
【0063】
これらの回転部202を構成する第1部材203、第2部材204、第3部材205は、シートPの搬送中はドラム51に連れ回る。
【0064】
吸引領域(吸引エリア)を切り替えるときには、第1部材203を第2部材204及び第3部材205(これらは常に連れ回る)に対して相対回転させる。この第1部材203の回転により第1部材203の溝部231に連通する第2部材204の穴部242の数が変化して、吸引経路の接続の状態が変化し、シートサイズに応じて吸引領域を切り替えて設定することができる。
【0065】
次に、担持領域と固定部の溝部の割り当てについて図20を参照して説明する。図20は同説明に供する説明図である。
【0066】
ドラム51の周面は、前述したように、3つの担持領域105(105A~105C)に分割している。1つの担持領域105は、4つの第1領域116A~第4領域116Dに分割している。
【0067】
そして、固定部201の最外周の溝部列210Aを第1領域116Aに割り当て、第1部材203の溝部列230Aで各吸引口111の連通及び非連通を切り替える構成としている。
【0068】
また、それ以外の溝部列210Dを第2領域116Bに割り当て、第1部材203の溝部列230Dで第2領域116Bの吸引口111の連通及び非連通を切り替える。同様に、固定部201の溝部列210Bを第3領域116Cに割り当て、第1部材203の溝部列230Bで第3領域116Cの吸引口111の連通及び非連通を切り替える。固定部201の溝部列210Cを第4領域116Dに割り当て、第1部材203の溝部列230Cで第4領域116Dの吸引口111の連通及び非連通を切り替える構成としている。
【0069】
次に、第1部材と第2部材の相対回転による吸引エリアの切替(サイズ切替)について図21及び図22を参照して説明する。図21及び図22は同説明に供する説明図であり、(a)はドラム上のシートサイズと吸引口の説明図、(b)は第1部材と第2部材を透過状態で示す側面説明図、(c)は(b)の拡大説明図である。
【0070】
前述したように、第2部材204の周方向に設けた9個の穴部241A~241Iは9個の吸引口111a(111a1~111a9)に連通している。
【0071】
したがって、第1部材203の溝部列230Aの溝部231aに連通する第2部材204の吸引口111aの数が切り替わることで、ドラム51の周方向と直交する軸方向の吸引領域(吸引エリア)のサイズが切り替わる。
【0072】
そして、第1部材203の溝部231に連通する第2部材204の吸引口111aの数が切り替わることで、吸引口111aが連通するチャンバ113に臨む吸引穴112の数が切り替わることになる。
【0073】
また、第2部材204の吸引口111b(111b1~111b11)は第1部材203の溝部列230B~230Dのいずれかに連通している。
【0074】
したがって、第1部材203の溝部列230B~230Dの溝部231に連通する第2部材204の穴部242を介して通じる吸引口111b(111b1~111b11)の数が切り替わることで、ドラム51の周方向の吸引エリアのサイズが切り替わる。
【0075】
そして、第1部材203の溝部231に連通する吸引口111bの数が切り替わることで、吸引口111bが連通するチャンバ113に臨む吸引穴112の数が切り替わることになる。
【0076】
例えば、図21(b)、(c)に示すように、第1部材203と第2部材204との相対位置関係を、第1部材203の溝部列230Aの溝部231と第2部材204の穴部241Aが連通し、第1部材203の溝部列230Dの溝部231と第2部材204の穴部242とが連通した状態にする。
【0077】
このとき、吸引装置52とドラム51の吸引口111a1とが連通した状態になり、吸引装置52とドラム51の吸引口111b1とが連通した状態となる。
【0078】
これにより、図21(a)に示すように、吸引口111a1に通じる領域BA、吸引口111b1に通じる領域BBに属する吸引穴112から吸引が行われ、シート領域S1の吸引エリアを吸引することができる。
【0079】
この状態から、例えば、図22(b)、(c)に示すように、第1部材203を第2部材204に対して矢印D方向に回転させ、第1部材203と第2部材204との相対位置関係を、第1部材203の溝部列230Aの溝部231と第2部材204の穴部241A、241Bが連通し、第1部材203の溝部列230Dの溝部231と第2部材204の2つの穴部242とが連通した状態にする。なお、図22(b)、(c)の黒丸が新たに通じる箇所を示している。
【0080】
このとき、吸引装置52とドラム51の吸引口111a1,111a2とが連通した状態になり、吸引装置52とドラム51の吸引口111b1、111b2とが連通した状態となる。
【0081】
これにより、図22(a)に示すように、吸引口111a1、111a2に通じる領域BA、吸引口111b1、111b2に通じる領域BBに属する吸引穴112から吸引が行われ、シート領域S1の次の大きさのシート領域S2の吸引エリアを吸引することができる。
【0082】
上述した構成において第1部材203を回転させて第2部材204との相対位置を9段階切り替えたときの遷移を図23ないし図25に示している。図23ないし図25は第1部材と第2部材を透過状態で示す側面説明図である。なお、図23(a)は図21(b)、図23(b)は図22(b)と同じ位置である。
【0083】
一段階切り替える毎にドラム51の1つの担持領域105に対し2個又3個の穴部が連通するように穴部241、242を配置している。本実施形態では、ドラム51に3面の担持領域105を有しているので、第1部材203の1段階の回転で連通する穴部241、242は6個又は9個となる。
【0084】
なお、2個又3個としているのは、仕向けにより選択できるようにするためである。例えば、一番内側の溝部列230Dに3本の吸引口111b、溝部列230Cに5本の吸引口111bを割り当てる構成、一番内側の溝部列230Dに2本の吸引口111b、溝部列230Cに5本の吸引口111bを割り当てる構成などとすることができる。
【0085】
次に、本発明の第2実施形態について図26を参照して説明する。図26は同実施形態に係るロータリバルの説明に供する第1部材と第2部材とを重ねた状態での説明図である。
【0086】
本実施形態では、前記第1実施形態において、仕向け地に応じて選択する穴部242C1と242C2は、第1部材203の回転中心Oに対して半径方向に並べて配置している。同様に、穴部242G1と242G2も、第1部材203の回転中心Oに対して半径方向に並べて配置している。
【0087】
これにより、穴部242C1と242C2の距離、あるいは、穴部242G1と242G2の距離は、前記第1実施形態よりも短くなる。なお、穴部242C1と242C2の距離、あるいは、穴部242G1と242G2の間の距離が、最も短くなるのは、半径方向に、直線上に並ぶ場合である。
【0088】
このように、選択的に使用する2つの穴部242の距離が短くなることで、使用する穴部を変更するときの作業性が向上する。
【0089】
つまり、第2部材204の穴部242にはそれぞれコネクタを介してホースを接続するので、コネクタ及びホースが密集することになる。そして、仕向けにより選択可能な穴部242のうち、使わない側の穴部242にはコネクタを介してチューブを接続し、使わない穴部242には気密を保つための栓が埋め込まれる。
【0090】
装置が出荷された後、用途変更(リユース)による仕向け切替、ドラム51表面の吸引プレートの特注による使う溝の変更などが想定される。この場合、交換すべきコネクタと栓が近接していることで、装置に対して変更を加えるときの交換すべき部品の数や交換/確認に要する時間などが低減され、変更作業性が良くなる。
【0091】
また、本実施形態では、穴部242G1、242G2は、いずれも貫通穴で構成している。これにより、同時に連通される穴部242G1、242G2は、中心軸方向がほぼ平行になる。つまり、コネクタ及びチューブの取付け方向が同じなり、変更作業が容易になる。
【0092】
次に、第1部材による切替操作について図27ないし図30を参照して説明する。図27はロータリバルブの回転部の斜視説明図、図28は同じく側面説明図、図29は同じく側面拡大説明図、図30は同じく要部斜視説明図である。
【0093】
本実施形態では、第1部材203はユーザーが手動操作で回転可能であり、ユーザーが手動で第1部材203を回転操作して吸引エリアの切り替えを行う。第1部材203の回転操作(吸引エリア切替操作)は、インデックスプランジャ206などを利用し、インデックスプランジャ206の先端部が各位置に応じて第3部材205の周面に形成された穴部252に嵌まり込むことで位置決めできるようにしている。
【0094】
ユーザーは、第1部材203の回転操作を行うときには、インデックスプランジャ206を穴部261から抜いて、目的とする位置まで第1部材203を第2部材204及び第3部材205に対して相対回転させ、目的とする位置で、インデックスプランジャ206の先端部を穴部262に嵌め込む。
【0095】
このとき、第1部材203の設定状態を認識できるようにするため、第1部材203の回転位置を表示する手段として、第1部材203の周面に、例えば9段階の目盛238を付設している。
【0096】
また、図30に示すように、第1部材203の目盛238に対する基準となる目盛218を固定部201の周面に設けることもできる。なお、前述したように、1メモリが単位回転量に相当するが、単位回転量は吸引穴の数を一段階だけ変更するのに必要な回転量であって、図30のように9段階のそれぞれで段階で均等である必要はなく、各段階の回転量は異なっても良い。
【0097】
なお、インデックスプランジャ206にアクセスできるように、例えば、「紙サイズ切替モード」など、ドラム51を切り替える際の位相に固定し、インデックスプランジャ206を操作する力によりドラム51が回転しないようにする構成とする。
【0098】
次に、吸引エリアのサイズ情報の取得について図31を参照して説明する。図31は同説明に供する要部斜視説明図である。
【0099】
ここでは、ドラム51に連れ回らない固定部201にフォトセンサ207が配置され、第1部材203にはフォトセンサ207で検知される検知片(フィラ)を設けるようにする。これにより、第1部材203がドラム51に連れ回ることで、ドラム51が1回転するごとに、フォトセンサ207がフィラを検知して1パルスが発生されるように構成できる。
【0100】
そして、ドラム51にも同様の機構を設けると、ドラム51の1回転の間に、ドラム51に設けたフィラによる1個と、第1部材203に設けたフィラによる1個の合計2系統のパルスを得ることができる。
【0101】
ここで、第1部材203がドラム51に連れ回る第2部材204と位相差を持つことに着目すると、定速回転するドラム51と第1部材203とのそれぞれから発生するパルスの間隔を計測することで、第1部材203の回転角度を検出することができ、それらの相対位相差、すなわち、吸引エリアの設定情報を取得することができる。
【0102】
次に、本発明の第3実施形態について図32ないし図36を参照して説明する。図32は同ロータリバルブの外観斜視説明図、図33は同じく判断面斜視説明図、図34は同じく要部拡大断面斜視説明図である。図35は同ロータリバルブを構成する第2部材の斜視説明図、図36は同じく第2部材の側面説明図である。
【0103】
本実施形態では、前記第1実施形態の第1部材203と第3部材205とを合わせた部材を第2部材204とし、前記第1実施形態の第2部材204を第1部材203としている。
【0104】
第2部材204には、円盤状部材の側面に、第2部材204を軸方向に貫通する貫通穴245a及び貫通穴245aが通じる周方向の溝部245bで構成される穴部244Aと、第2部材204を軸方向に貫通する周方向の溝部244Bなどが各担持領域105に対応して設けられている。ここでは、穴部244A、244Bなどは、半径方向において、外周側から中心に向かって、同心円上に4箇所配置されている。
【0105】
したがって、本実施形態でも、第1部材203を第2部材204に対して相対回転させることにより、吸引エリアのサイズ(吸引装置52に接続される吸引穴112の数)を切り替える。
【0106】
この場合、ドラム51と連れ回るのは第2部材204となる。第1部材203の回転により、ドラム51の吸引口111とロータリバルブ200の回転部202のホース56の接続口の距離が変わるため、距離変化に対応可能な配管構成とする。
【符号の説明】
【0107】
1 印刷装置
10 搬入部
20 印刷部
21 シート搬送装置
22 液体吐出部
23 吐出ユニット
24 渡し胴(回転部材)
25 受け渡し胴(回転部材)
50 シート吸引装置
51 ドラム
52 吸引装置(吸引手段)
105、105A~105C 担持領域
111a、111a1~111a9、111b1~111b11 吸引口
112 吸引穴
113 チャンバ
116A~116D 第1領域~第4領域
200 ロータリバルブ(吸引領域切替装置)
201 固定部
202 回転部
203 第1部材
204 第2部材
205 第3部材
231 溝部
241 穴部
242、242A~242I 穴部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図11
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