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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】物体検出装置、移動体、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/486 20200101AFI20240228BHJP
【FI】
G01S7/486
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020031327
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021135157
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 建郁
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028060(JP,A)
【文献】特開2019-138872(JP,A)
【文献】特開2007-298305(JP,A)
【文献】特開2013-072833(JP,A)
【文献】特開平09-096674(JP,A)
【文献】特開2007-310741(JP,A)
【文献】特開2013-101485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00- 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ光を投光する投光部と、
物体による前記プローブ光の反射又は散乱光の受光信号を出力する受光部と、
物体存在確率情報を取得する確率情報取得部と、
前記物体存在確率情報に応じて、前記受光信号に基づく検出信号の一部の時間間隔を変化させた可変信号を出力する可変部と、
前記可変信号に基づいて取得される物体情報を出力する出力部と、を備える
物体検出装置。
【請求項2】
前記可変部は、演算により前記時間間隔を変化させる
請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記可変部は、補間処理、又は間引き処理の一方により前記時間間隔を変化させる
請求項1、又は2に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記確率情報取得部は、外部センサにより取得された検出情報に基づき、前記物体存在確率情報を取得する
請求項1乃至3の何れか1項に記載の物体検出装置
【請求項5】
前記外部センサは、撮像部である
請求項に記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記外部センサは、ステレオカメラである
請求項に記載の物体検出装置。
【請求項7】
前記外部センサが前記検出情報を取得する時間分解能は、前記検出信号のサンプリング間隔から計算可能な時間分解能よりも低い
請求項乃至の何れか1項に記載の物体検出装置。
【請求項8】
前記物体情報を蓄積する蓄積部を備え、
前記確率情報取得部は、前記蓄積部に蓄積された前記物体情報に基づき、前記物体存在確率情報を取得する
請求項1乃至7の何れか1項に記載の物体検出装置。
【請求項9】
前記物体は移動体である
請求項1乃至の何れか1項に記載の物体検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至の何れか1項に記載の物体検出装置を備える
移動体。
【請求項11】
プローブ光を投光し、
物体による前記プローブ光の反射又は散乱光の受光信号を出力し、
物体存在確率情報を取得し、
前記物体存在確率情報に応じて、前記受光信号に基づく検出信号の一部の時間間隔を変化させた可変信号を出力し、
前記可変信号に基づいて取得される物体情報を出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、物体検出装置、移動体、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投光したレーザ光が物体により反射又は散乱された戻り光の受光信号を処理し、投光時刻と受光時刻の時間差から物体の有無又は物体までの距離等の物体情報を検出する物体検出装置が知られている。
【0003】
このような物体検出装置では、十分な物体の検出精度を確保するために高い時間分解能での受光信号の処理が求められ、時間分解能を上げるために装置コストや消費電力が増大する場合がある。これに対し、安価な低速AD変換器を利用し、低速AD変換器の出力を補間処理する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置では、処理時間が長くなる場合がある。
【0005】
本発明は、物体検出精度を確保しつつ処理時間を短縮することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る物体検出装置は、プローブ光を投光する投光部と、物体による前記プローブ光の反射又は散乱光の受光信号を出力する受光部と、物体存在確率情報を取得する確率情報取得部と、前記物体存在確率情報に応じて、前記受光信号に基づく検出信号の一部の時間間隔を変化させた可変信号を出力する可変部と、前記可変信号に基づいて取得される物体情報を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、物体検出精度を確保しつつ処理時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る物体検出装置の全体構成例のブロック図である。
図2】第1実施形態に係る物体検出装置の処理部の機能構成例のブロック図である。
図3】補間処理を説明する図である。
図4】実施形態に係る補間処理結果例の図であり、(a)は近距離に物体がある場合の図、(b)は遠距離に物体がある場合の図、(c)は経過時間と時間間隔の関係例の図である。
図5】経過時間と時間間隔の関係例の図であり、(a)は近距離ほど時間間隔が短い場合の図、(b)は遠距離ほど時間間隔が短い場合の図である。
図6】第1実施形態に係る物体検出装置の動作例のフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る物体検出装置の処理部の機能構成例のブロック図である。
図8】時間間隔と物体存在確率との関係例の図であり、(a)は物体存在確率が高いほど時間間隔が短い場合の図、(b)は物体存在確率が低いほど時間間隔が短い場合の図である。
図9】第2実施形態に係る物体検出装置の動作例のフローチャートである。
図10】第3実施形態に係る物体検出装置の処理部の機能構成例のブロック図である。
図11】第4実施形態に係る移動体の構成例を示す図である。
図12】第4実施形態に係る移動体のハードウェア構成例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成の部分には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
実施形態に係る物体検出装置は、投光したプローブ光が物体により反射又は散乱された戻り光の受光信号を処理し、投光時刻と受光時刻の時間差からTOF(Time of Flight)方式で物体の有無又は物体までの距離等の物体情報を検出する装置である。このような装置として、車両等の移動体に搭載されるLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置等が挙げられる。
【0011】
また実施形態では、参照情報に応じて、受光信号に基づく検出信号の一部の時間間隔を変化させた可変信号を出力し、この可変信号に基づいて物体情報を検出する。例えば参照情報に応じて、検出信号の一部を補間して時間間隔を短くし、検出信号の他の部分では補間を行わない。これにより、補間処理を実行した検出信号の一部では時間分解能を上げて物体検出精度を確保し、他の部分では補間処理を行わずに処理時間を短縮することで、物体の検出精度を確保しつつ処理時間を短縮する。
【0012】
[第1実施形態]
<物体検出装置100の全体構成例>
まず、第1実施形態に係る物体検出装置100の全体構成例を、図1を参照して説明する。図1は、物体検出装置100の全体構成の一例を説明するブロック図である。
【0013】
図1に示すように、物体検出装置100は、半導体レーザ(LD;Laser Diode)1と、投光レンズ2と、受光レンズ3と、受光素子4と、光源駆動部6と、受光回路7と、A/D(Analog/Digital)変換部8と、処理部9とを備えている。
【0014】
光源としての半導体レーザ1が射出するレーザ光は、投光レンズ2により所定の広がり角に変換された後、プローブ光Pとして被投光領域200に向けて投光される。プローブ光Pは、被投光領域200に存在する物体により反射又は散乱され、戻り光Rとして物体検出装置100に戻される。
【0015】
このプローブ光Pは、半導体レーザ1を矩形波で変調したパルス光である。但しこれに限定されるものではなく、正弦波、または所定の波形形状に変調した変調光を用いてもよいし、所定周期で変調した複数周期分に当たる変調光(複数のパルス光群等)であってもよい。
【0016】
戻り光Rは、受光レンズ3を通って受光素子4に入射する。受光素子4は戻り光Rの光強度を電圧に変換した受光信号を受光回路7に出力する。受光信号は受光回路7で増幅され、A/D変換部8でデジタル信号に変換された後、処理部9に入力される。処理部9は入力したデジタル信号に基づき取得される物体の有無又は物体までの距離情報を演算で取得し、取得した距離情報を外部装置に出力する。
【0017】
ここで、半導体レーザ1は「投光部」の一例であり、戻り光Rは「反射又は散乱光」の一例であり、受光素子4は「受光部」の一例である。
【0018】
半導体レーザ1の射出するレーザ光の波長は、特に限定されないが、物体検出装置100を自動車等に搭載する場合は、波長が760nmより長い光等の人が肉眼で見ることができない非可視光が好適である。
【0019】
なお、光源は半導体レーザ1に限定されるものではなく、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL;Vertical Cavity Surface Emitting LASER)や発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)等を用いることもできる。
【0020】
投光レンズ2は、半導体レーザ1が射出したレーザ光の広がり角を調整する。投光レンズ2は半導体レーザ1の射出するレーザ光のビーム形状を楕円形から円形に整形し、発散するレーザ光を平行化する等のビーム変換機能を備えることもできる。また投光レンズ2は、1枚のレンズによる構成に限定されるものではなく、複数のレンズを組み合わせてもよい。またレンズやミラー、プリズム等の光学素子を組み合わせてもよい。
【0021】
受光レンズ3は、戻り光Rを効率よく集光する集光レンズである。受光レンズ3は、1枚のレンズによる構成に限定されるものではなく、複数のレンズを組み合わせてもよい。またレンズやミラー、プリズム等の光学素子を組み合わせてもよい。
【0022】
受光素子4は、戻り光Rを受光し、受光した光の光強度に応じた電圧信号を出力する光電変換素子である。受光素子4としてPD(Photo Diode)やAPD(Avalanch Photo Diode)、ガイガーモードAPDであるSPAD(Single Photo Avalanch Photo Diode)等を適用可能である。なお、受光素子4は、半導体レーザ1と同一の電気基板5に実装されている。
【0023】
上述した構成以外に、物体検出装置100は、MEMS(Micro Electro Mechnical System)等を含んで構成された走査部を備え、プローブ光Pを走査した走査光を被投光領域200に投光するようにしてもよい。
【0024】
光源駆動部6は、半導体レーザ1に電気的に接続され、処理部9から入力した制御信号に応答して半導体レーザ1に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。駆動信号として矩形波や正弦波、又は所定の波形形状の電圧波形を用いることができる。光源駆動部6は、電圧波形の周波数を変化させて、駆動信号の周波数を変調可能である。
【0025】
受光回路7は、受光素子4の受光信号を増幅するアナログ電気回路である。なお、受光信号に含まれるノイズを電気的に除去するためのフィルタ回路を含んで受光回路7を構成することもできる。
【0026】
A/D変換部8は、受光回路7による増幅信号をA/D変換したデジタル信号を生成する電気回路である。但し、電気回路に代えてFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路でA/D変換機能を実現してもよいし、A/D変換に加えて他の機能を追加したIC(Integrated Circuit)等によりA/D変換部8を構成してもよい。またA/D変換部8と等価の機能をコンパレータで実現することもできる。このA/D変換部8には、安価で低速のA/D変換器が用いられる。
【0027】
処理部9は、物体検出装置100における半導体レーザ1に制御信号を出力し、半導体レーザ1の駆動を制御する機能と、A/D変換部8から入力したデジタル信号に基づき、被投光領域200における物体情報を演算で取得して出力する機能とを備える。
【0028】
ハードウェア構成として、処理部9は、CPU(Central Processing Unit)91と、ROM(Read Only Memory)92と、RAM(Random Access Memory)93と、SSD(Solid State Drive)94と、入出力I/F(Interface)95とを備えている。これらはシステムバスBを介して相互に電気的に接続されている。
【0029】
CPU91はプロセッサであり、ROM92やSSD94等のメモリからプログラムやデータをRAM93上に読み出し、処理を実行することで、処理部9全体の制御や機能を実現する。なお、CPU91の機能の一部、又は全部をASIC(application specific integrated circuit)やFPGA等の集積回路で実現することもできる。
【0030】
ROM92は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することが可能な不揮発性の半導体メモリである。ROM92には、処理部9の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、OS設定等のプログラムやデータが格納されている。
【0031】
RAM93は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。
【0032】
SSD94は、処理部9による処理を実行するプログラムや各種データが記憶された不揮発性メモリである。なお、SSD94に代えてHDD(Hard Disk Drive)等を用いることもできる。
【0033】
入出力I/F95は、車両等の移動体に搭載された外部コントローラやPC(Personal Computer)等の外部装置と接続し、検出条件等のデータを受信したり、検出した物体情報等のデータを送信したりするためのインターフェースである。インターネット等のネットワークに接続してデータの送受を行えるように構成することもできる。
【0034】
<処理部9の機能構成例>
次に、処理部9の機能構成について、図2を参照して説明する。図2は、処理部9の機能構成の一例を説明するブロック図である。
【0035】
図2に示すように、処理部9は、光源制御部901と、基準信号生成部902と、時間計測部903と、信号入力部904と、可変部905と、距離情報取得部906と、出力部907とを備えている。
【0036】
これらのうち、信号入力部904及び出力部907のそれぞれの機能は、図1の入出力I/F95等により実現される。また光源制御部901、基準信号生成部902、時間計測部903、可変部905及び距離情報取得部906のそれぞれの機能は、図1のCPU91等により実現される。
【0037】
光源制御部901は、基準信号生成部902が生成した基準信号(トリガー信号)に応答して、被投光領域200に向けたプローブ光Pの投光を、光源駆動部6を介して半導体レーザ1に指示する。この時の基準信号は時間計測部903にも入力される。
【0038】
時間計測部903は、基準信号を起算点にした経過時間を計測し、経過時間が上限値に達するまで経過時間情報を可変部905に繰り返し出力することができる。この経過時間情報は「参照情報」の一例である。
【0039】
一方、投光指示に応答して投光されたプローブ光Pの戻り光Rは、受光素子4で受光され、受光信号のA/D変換後のデジタル信号は、信号入力部904を介して可変部905に入力される。
【0040】
可変部905は、経過時間情報に応じてデジタル信号の時間間隔を変化させることができる。具体的には、時間計測部903から入力した経過時間情報の示す経過時間が所定の閾値以下である場合には、信号入力部904から入力したデジタル信号の時間間隔を経過時間に応じて補間する処理を実行する。一方、経過時間が所定の閾値以下でない場合には、補間処理を実行しない。
【0041】
ここで「時間間隔を変化させる」とは、時間間隔を異なるものに変更することを意味する。また本実施形態における「参照情報に応じて時間間隔を変化させる」ことは、参照情報としての経過時間が所定の閾値以下の場合に時間間隔を異なるものに変更することと、予め定めた経過時間と時間間隔の関係に応じて、経過時間に基づき時間間隔を異なるものに変更することの両方を含む。但し、これに限定されるものではなく、経過時間が所定の閾値以下の場合に時間間隔を異なるものに変更することのみを行うようにしてもよい。
【0042】
可変部905は、経過時間に応じて、補間処理を実行したデジタル信号、及び補間処理を実行せずに入力した状態のままのデジタル信号を、可変信号として距離情報取得部906に出力する。
【0043】
距離情報取得部906は、可変部905から入力した可変信号から戻り光Rの受光時刻を取得し、基準信号に応答した投光指示を行った時刻である投光時刻と受光時刻との時間差から距離情報を演算により取得して、出力部907を介して外部装置に出力する。
【0044】
<補間処理例>
ここで、可変部905による補間処理について、図3図5を参照して説明する。
【0045】
まず図3は、可変部905による補間処理方法の一例を説明する図である。図3の横軸は、投光時刻からの経過時間を示し、縦軸は電圧を示している。電圧はA/D変換部8によるA/D変換後のデジタルの電圧信号(デジタル信号)である。
【0046】
また図3に白丸のプロット群で示した非補間信号31は、補間等の時間間隔を変化させる処理が行われていない状態のデジタル信号であり、「検出信号」の一例である。非補間信号31におけるプロット間の時間間隔は、A/D変換部8によるサンプリング間隔に対応する。より具体的には非補間信号31における非補間プロット311と非補間プロット312の時間間隔はA/D変換部8によるサンプリング間隔に対応する。
【0047】
高速のA/D変換器ではサンプリング間隔は短くなって時間分解能は高くなり、低速のA/D変換器ではサンプリング間隔は長くなって時間分解能が低くなる。またA/D変換器は高速になるほど、コスト、消費電力及び回路規模が増大する。
【0048】
一方、図3に黒丸のプロット群で示した補間信号32は、非補間信号31に基づき補間処理を行ったデジタル信号を示している。非補間信号31の隣接するプロット間に該当する信号を、補間処理で算出したものである。具体的には非補間信号31における隣接する非補間プロット311と非補間プロット311の間を補間信号32における補間プロット321が補間している。
【0049】
補間処理方法は一例として、隣接する非補間信号31のデジタル信号の平均値を算出する方法が挙げられる。より具体的には、経過時間t[n]におけるデジタル信号の電圧をV[n]とし、経過時間t[n+1]におけるデジタル信号の電圧をV[n+1]とし、経過時間及び電圧の両方で平均化演算を行う。これにより、経過時間が(t[n]+t[n+1])/2で、電圧が(V[n]+V[n+1])/2の新たなプロットを生成でき、この新たなプロットで非補間信号31の隣接するプロット間を補間できる。
【0050】
可変部905は、このような演算を行うことで、受光信号をA/D変換したデジタル信号を補間する。但し、補間処理方法は平均化演算に限定されるものではなく、スプライン補間や多項式補間等の他の処理方法も適用可能である。
【0051】
また可変部905は、非補間信号31を間引くことで、デジタル信号の時間間隔が長くなるように変化させてもよい。具体的には非補間信号31における非補間プロット312を間引くことで、非補間信号31の時間間隔を非補間プロット311から非補間プロット313までの時間間隔に長くすることができる。
【0052】
補間処理を行うと、デジタル信号の時間間隔が短くなるため、時間分解能が高くなって、投光時刻と受光時刻との時間差に基づく距離検出の検出分解能が高くなる。これにより、A/D変換部8で低コスト、低消費電力及び小型回路規模で低速のA/D変換器を用いても、補間処理で時間分解能が上がり、検出分解能及び物体検出精度が向上する。
【0053】
しかし、A/D変換部8から入力されるデジタル信号の全部に対して補間処理を行うと、補間処理を行う分、処理時間が長くなる場合がある。そのため実施形態では、参照情報に応じてデジタル信号の一部の補間処理を実行することで、デジタル信号の全部に対して補間処理を行う場合と比較し、処理時間が短くなるようにしている。
【0054】
一方、物体検出装置100に対して物体がより近距離にあるほど、プローブ光Pを投光してから戻り光Rが受光素子4で受光されるまでの経過時間は短くなる。また、物体検出装置100の近距離に物体がある場合には、物体検出装置100が搭載された車両等の移動体と物体との接触を避けるために、より高精度な距離情報等の物体情報が取得できた方が好ましい。
【0055】
そのため実施形態では、経過時間が短いほど、デジタル信号の時間間隔がより短くなるように補間処理を実行することで、より高精度な物体情報が要求される度合いに応じて物体の検出精度を上げるようにしている。
【0056】
ここで図4は、実施形態に係る補間処理結果の一例を説明する図であり、(a)は物体検出装置100に対して近距離に物体がある場合を説明する図、(b)は物体検出装置100に対して遠距離に物体がある場合を説明する図、(c)は経過時間とデジタル信号の時間間隔の関係を説明する図である。図3と同様に、図4(a),(b)における横軸は投光時刻からの経過時間を示し、縦軸は電圧を示している。
【0057】
図4では経過時間の閾値を150nsとして、経過時間が150ns以下の場合に補間処理を実行し、また経過時間が短くなるほどデジタル信号の時間間隔を短くしている。一方、経過時間が150ns以下でない場合には補間処理を実行していない。
【0058】
図4(a)では、物体検出装置100に対して近距離に物体があるため、距離に応じて経過時間が短い50ns付近の時間領域で戻り光Rの光量が大きくなり、デジタル信号の電圧が大きくなっている。この50ns付近の時間領域では、経過時間に応じた補間処理によりデジタル信号のプロットの間隔は短くなっている。図4(c)に示すように、経過時間0~50nsの時間領域におけるデジタル信号の時間間隔は1nsであり、デジタル信号の時間間隔に応じた距離分解能は0.15mである。
【0059】
一方、図4(b)では、物体検出装置100に対して遠距離に物体があるため、距離に応じて経過時間が長い270ns付近の時間領域で戻り光Rの光量が大きくなり、デジタル信号の電圧が大きくなっている。この270ns付近の時間領域は、経過時間の閾値である150nsを超えているため、デジタル信号のプロットの間隔は短くなっていない。図4(c)に示すように、この場合のデジタル信号の時間間隔は50nsであり、デジタル信号の時間間隔に応じた距離分解能は7.5mである。
【0060】
ここで、図4(a)及び図4(b)のそれぞれにおけるグラフのデジタル信号は、「可変信号」の一例に対応する。また図4(a)及び図4(b)における経過時間が0~150nsの時間領域のデジタル信号は、「検出信号の一部」の一例である。
【0061】
可変部905による補間処理で時間間隔が変化したデジタル信号は、距離情報取得部906に入力される。距離情報取得部906は、デジタル信号のうち、電圧が最も大きくなるピーク時の経過時間情報を、投光時刻と受光時刻の時間差情報として求め、この経過時間情報を距離に換算して距離情報を取得する。電圧が最も大きくなる時の経過時間情報を求める際に、経過時間の時間間隔が短いほど高い分解能でピーク時の経過時間を取得できるため、これにより距離の検出分解能が上がり、物体検出精度が向上する。
【0062】
次に図5は、経過時間と時間間隔の関係の一例を示す図であり、(a)は近距離ほど時間間隔が短い場合の図、(b)は遠距離ほど時間間隔が短い場合の図である。
【0063】
図5(a)の例では、上述したように、経過時間が短く、物体までの距離が短いほどデジタル信号の時間間隔は短くなっている。
【0064】
一方、図5(b)に示すように、経過時間が長く、物体までの距離が長いほどデジタル信号の時間間隔を長くすることもできる。この場合は、物体検出装置100から遠いほど高い物体検出精度が必要な場合に好適となる。
【0065】
このような経過時間と時間間隔の関係を予め定め、図1のSSD94等に格納しておく。可変部905は時間計測部903から入力した経過時間情報に基づき、経過時間と時間間隔の関係を参照することで時間間隔を変化させることができる。
【0066】
<物体検出装置100の動作例>
次に、物体検出装置100の動作について、図6を参照して説明する。図6は、物体検出装置100の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0067】
まず、ステップS61において、光源制御部901は、基準信号生成部902が生成した基準信号に応答して、被投光領域200へのプローブ光Pの投光を光源駆動部6に指示する。この時の基準信号は時間計測部903及び距離情報取得部906にも入力される。
【0068】
続いて、ステップS62において、受光素子4は、投光されたプローブ光Pの戻り光Rを受光し、受光信号を受光回路7に出力する。
【0069】
続いて、ステップS63において、受光回路7は受光信号を増幅した増幅信号をA/D変換部8に出力する。
【0070】
続いて、ステップS64において、A/D変換部8はアナログの増幅信号をA/D変換したデジタル信号を処理部9に出力する。
【0071】
続いて、ステップS65において、時間計測部903は、基準信号からの経過時間を計測し、経過時間情報を可変部905に出力する。
【0072】
続いて、ステップS66において、可変部905は、時間計測部903から入力した経過時間情報の示す経過時間が所定の閾値以下であるか否かを判定する。
【0073】
ステップS66で、経過時間が所定の閾値以下でないと判定された場合には(ステップS66、No)、動作はステップS68に移行する。この場合は、可変部905は信号入力部904から入力したデジタル信号に対し、補間処理を実行せず、デジタル信号をそのまま距離情報取得部906に出力する。
【0074】
一方、ステップS66で経過時間が所定の閾値以下であると判定された場合には(ステップS66、Yes)、ステップS67において、可変部905は、経過時間に基づき、経過時間と時間間隔の関係を参照して時間間隔を変化させ、変化させた後のデジタル信号を距離情報取得部906に出力する。
【0075】
続いて、ステップS68において、距離情報取得部906は、可変部905から入力したデジタル信号から電圧が最大となるピーク時の経過時間を求め、この経過時間情報を距離情報に換算して距離情報を取得する。
【0076】
続いて、ステップS69において、距離情報取得部906は、出力部907を介して外部装置に距離情報を出力する。
【0077】
続いて、ステップS70において、時間計測部903は経過時間が上限以下であるか否かを判定し、上限以下でない場合には(ステップS70、No)、ステップS65に戻り、ステップS65以降の動作が再度行われる。一方、上限以下である場合には(ステップS70、Yes)、動作はステップS71に移行する。
【0078】
続いて、ステップS71において、処理部9は動作を終了するか否かを判定する。終了すると判定された場合には(ステップS71、Yes)、動作を終了し、終了しないと判定された場合には(ステップS71、No)、ステップS61に戻り、ステップS61以降の動作を再度行う。この終了するか否かの判定は、物体検出装置100のユーザによる終了操作に応じた指示信号を図1の入出力I/F95を介して入力し、この指示信号に応じて行うことができる。
【0079】
このようにして、物体検出装置100は、経過時間に応じてデジタル信号の時間間隔を変化させた可変信号に基づき、物体情報を検出することができる。
【0080】
<物体検出装置100の作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、プローブ光Pの投光を指示するための基準信号からの経過時間を計測し、経過時間に応じて、戻り光Rの受光信号に基づくデジタル信号の一部の時間間隔を変化させる。そして、経過時間に応じて時間間隔を変化させた可変信号に基づき物体情報を検出する。
【0081】
例えば経過時間情報に応じて、デジタル信号の一部に対し、補間処理を実行して時間間隔を短くし、デジタル信号の他の部分に対しては補間処理を行わない。これにより、補間処理を実行したデジタル信号の一部では時間分解能を上げて物体検出精度を確保し、他の部分では補間処理を行わずに処理時間を短縮することで、物体の検出精度を確保しつつ処理時間を短縮することができる。
【0082】
また本実施形態では、経過時間に応じて演算により時間間隔を変化させる。これにより、A/D変換部8のサンプリングレートを変更して時間間隔を変化させるようなハードウェア構成を用いる場合と比較して、低コストで且つ簡単に時間間隔を変更できる。
【0083】
また本実施形態では、参照情報として半導体レーザ1がプローブ光Pの投光を指示された時刻からの経過時間情報を用いる。この経過時間は、TOF方式により距離情報の取得にも利用されるものであるため、経過時間情報を用いることで、新たな構成を追加することなく参照情報を取得することができる。
【0084】
なお、本実施形態では処理部9が備える時間計測部903により経過時間を計測する例を示したが、これに限定されるものではなく、基準信号生成部902が生成した基準信号を外部装置に送信し、外部装置で計測した基準信号からの経過時間を処理部9が入力する構成にしてもよい。この外部装置には車載用のプロセッサ等が挙げられる。
【0085】
また本実施形態では、経過時間が短いほどデジタル信号の時間間隔を短くする。これにより、物体が物体検出装置100の近距離にあるほど物体の検出精度を上げることができるため、物体検出装置100が搭載された車両と接触すること等を好適に回避できる。但し、これに限定されるものではなく、経過時間が長いほどデジタル信号の時間間隔を短くする等、用途に応じて経過時間と時間間隔との関係を変更することもできる。
【0086】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る物体検出装置100aについて説明する。
【0087】
本実施形態では、参照情報として物体存在確率情報を用いる。ここで、物体存在確率情報とは、物体検出装置からの距離毎に取得される物体が存在する確率を示す情報をいう。より具体的には、物体存在確率情報は、距離センサ等の外部センサが検出したN個の検出情報に基づき作成された距離のヒストグラムにおいて、距離毎の頻度nを母数Nで除算して取得される確率の情報である。
【0088】
外部装置には、本実施形態に係る物体検出装置とは別に車両に設けられた車載用のステレオカメラやミリ波レーザ等が挙げられる。また車載用の前方カメラを外部センサとし、前方カメラが撮像した画像情報を検出情報として入力することもできる。この場合は、画像における被写体サイズ等に基づき距離情報が取得され、距離のヒストグラムが作成される。この前方カメラは「撮像部」の一例である。
【0089】
図7は、物体検出装置100aの備える処理部9aの機能構成の一例を説明する図である。図7に示すように、処理部9aは、確率情報取得部908と、可変部905aと、距離情報取得部906aとを備えている。確率情報取得部908の機能は、図1のCPU91が所定のプログラムを実行すること等により実現される。
【0090】
確率情報取得部908は、ステレオカメラから入力した距離の検出情報に基づき物体存在確率情報を取得して、取得結果を可変部905に出力する。より具体的には、確率情報取得部908はステレオカメラから例えば100フレーム分の距離画像を入力し、これらを用いて距離のヒストグラムを作成する。そして距離毎での頻度nを母数に該当するフレーム数の100で除算して、距離毎での物体存在確率情報を取得できる。
【0091】
可変部905aは、確率情報取得部908から入力した物体存在確率情報に応じてデジタル信号の時間間隔を変化させる。距離情報取得部906aは、可変部905aから入力した可変信号と、基準信号生成部902から入力した基準信号との時間差に基づき距離情報を取得し、出力部907を介して外部装置に出力することができる。
【0092】
ここで、図8は、時間間隔と物体存在確率情報との関係の一例を説明する図であり、(a)は物体存在確率が高いほど時間間隔が短い場合を示す図、(b)は物体存在確率が低いほど時間間隔が短い場合を示す図である。
【0093】
図8では、横軸はステレオカメラの検出情報である距離を示し、第1縦軸(左側)は時間間隔を示し、第2縦軸(右側)は物体存在確率を示している。また図8における破線のグラフは物体存在確率81を示し、実線の横棒のプロットは時間間隔82を示している。
【0094】
図8(a)では、物体存在確率81が高いほど時間間隔82が短くなっており、図8(b)では、物体存在確率81が低いほど時間間隔82が短くなっている。
【0095】
このような物体存在確率と時間間隔の関係を予め定め、図1のSSD94等に格納しておく。可変部905aは確率情報取得部908から入力した物体存在確率情報に基づき、物体存在確率と時間間隔の関係を参照することでデジタル信号の時間間隔を変化させることができる。ここで、可変部905aは物体存在確率に基づき距離毎で時間間隔を決定するが、デジタル信号の時間間隔は経過時間に応じて変化される。そのためデジタル信号の時間間隔を変化させる際には、距離を経過時間に換算してから、経過時間毎でデジタル信号の時間間隔を変化させるようにする。
【0096】
次に、図9は、物体検出装置100aの動作について説明する。図9は、物体検出装置100aの動作の一例を説明するフローチャートである。なお、図9におけるステップS91~S94の処理は、図6におけるステップS61~S64の処理と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0097】
ステップS95において、確率情報取得部908は、ステレオカメラから入力した距離の検出情報に基づき物体存在確率情報を取得して、取得結果を可変部905に出力する。
【0098】
続いて、ステップS96において、可変部905aは、物体存在確率が所定の閾値以下であるか否かを判定する。
【0099】
ステップS96で、閾値以下でないと判定された場合には(ステップS96、No)、動作はステップS98に移行する。一方、閾値以下であると判定された場合には(ステップS96、Yes)、ステップS97において、可変部905aは物体存在確率に応じて時間間隔を変化させる。
【0100】
続いて、ステップS98において、距離情報取得部906aは、可変部905aから入力した可変信号と、基準信号生成部902から入力した基準信号との時間差に基づき距離情報を取得する。
【0101】
続いて、ステップS99において、距離情報取得部906aは、出力部907を介して距離情報を外部装置に出力する。
【0102】
続いて、ステップS100において、処理部9は動作を終了するか否かを判定する。終了すると判定された場合には(ステップS100、Yes)、動作を終了し、終了しないと判定された場合には(ステップS100、No)、ステップS91に戻り、ステップS91以降の動作を再度行う。
【0103】
このようにして、物体検出装置100aは、物体存在確率に応じてデジタル信号の時間間隔を変化させた可変信号に基づき、物体情報を検出することができる。
【0104】
<物体検出装置100aの作用効果>
次に、物体検出装置100aの作用効果を説明する。
【0105】
車両等では、前方車両や歩行者等の障害物を検出するためにステレオカメラやミリ波レーザ、前方カメラ等が搭載される場合がある。本実施形態では、このような外部センサによる検出情報から物体存在確率情報を取得して、これを参照情報として用いる。既に搭載された外部センサによる検出情報を用いることで、新たな構成を追加することなく参照情報を取得できる。
【0106】
ここで外部センサが検出情報の分解能は、サンプリング間隔から計算可能な分解能よりも低いことがより望ましい。
【0107】
なお、上述したもの以外の効果は、第1実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0108】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る物体検出装置100bについて説明する。
【0109】
ここで、物体検出装置の周囲の状況は、短時間では大きく変化しない場合が多い。従って本実施形態では、物体検出装置100bで直前に検出した物体情報を蓄積部に蓄積し、蓄積された物体情報に基づいて物体存在確率情報を取得する。そして、物体存在確率に応じてデジタル信号の時間間隔を変更する。
【0110】
図10は、物体検出装置100bの備える処理部9bの機能構成の一例を説明する図である。図10に示すように、処理部9bは、蓄積部909と、確率情報取得部908bと、距離情報取得部906bとを備えている。蓄積部909の機能は、図1のRAM93等により実現される。
【0111】
距離情報取得部906bは、距離情報を取得すると、出力部907を介して外部装置に出力するとともに、蓄積部909にも出力して蓄積部909に蓄積させる。なお、蓄積部909に蓄積させる物体情報の情報量は、所定時間分の物体情報等のように予め定められている。また蓄積部909に蓄積される物体情報は所定の時間が経過すると消去され、新たな物体情報を蓄積可能になる。或いは新たな物体情報を上書きして蓄積するようにしてもよい。
【0112】
確率情報取得部908bは、蓄積部909に蓄積された情報から物体存在確率情報を取得する。確率情報取得部908bによる物体存在確率情報の取得方法は、蓄積された物体情報に基づき取得する点を除き、上述した確率情報取得部908と同様である。
【0113】
また物体検出装置100bの動作も、蓄積された物体情報に基づき物体存在確率情報を取得する点を除き、上述した物体検出装置100aの動作と同様である。
【0114】
<物体検出装置100bの作用効果>
本実施形態では、物体検出装置100bで直前に検出した物体情報を蓄積部909に蓄積し、蓄積された物体情報に基づき物体存在確率情報を取得する。そして、物体存在確率に応じてデジタル信号の時間間隔を変更する。物体検出装置100b自身が蓄積した物体情報を用いることで、新たな構成を追加することなく参照情報を取得できる。
【0115】
なお、上述したもの以外の効果は、第1~2実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0116】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る移動体について説明する。
【0117】
図11は、物体検出装置100を備える移動体10の構成の一例を示す図である。移動体10は、荷物を目的地に無人搬送する無人搬送車である。
【0118】
物体検出装置100は、移動体10の前部に取り付けられ、移動体10の正のZ方向側の距離画像等の物体情報を取得する。物体検出装置100の出力によって、移動体10の正のZ方向側の障害物等の物体の有無及び物体の位置等の物体情報を検出できる。
【0119】
図12は移動体10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図12に示すように、移動体10は、物体検出装置100と、表示装置30と、位置制御装置40と、メモリ50と、音声・警報発生装置60とを備えている。これらは、信号やデータの伝送が可能なバス70を介して電気的に接続されている。
【0120】
本実施形態では、物体検出装置100と、表示装置30と、位置制御装置40と、メモリ50と、音声・警報発生装置60とによって、走行管理装置11が構成されている。走行管理装置11は、移動体10に搭載されている。また、走行管理装置11は、移動体10のメインコントローラ80と電気的に接続されている。
【0121】
表示装置30は、物体検出装置100が取得した物体情報や移動体10に関わる各種設定情報等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイである。位置制御装置40は、物体検出装置100が取得した物体情報に基づき、移動体10の位置を制御するCPU等の演算装置である。音声・警報発生装置60は、物体検出装置100が取得した物体情報から、障害物の回避の可否を判定し、回避不可と判断された場合に周囲の人員に通知するスピーカー等の装置である。
【0122】
このようにして、物体検出装置100を備えた移動体を提供することができる。
【0123】
なお、物体検出装置100を備える移動体は無人搬送車に限定されるものではない。自動車等の車両や、ドローン等の飛行体等に搭載することもできる。また、移動体だけでなく、スマートフォンやタブレット等の情報端末に搭載することも可能である。
【0124】
なお、上述したもの以外の効果は、第1~3実施形態で説明したものと同様であるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0125】
以上、実施形態を説明してきたが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0126】
なお、物体検出装置100により投光される光は、レーザ光に限定されるものではなく、指向性を有さない光であってもよい。またレーダー等の波長の長い電磁波等を用いることもできる。
【0127】
また、実施形態では、物体検出装置100が処理部9の構成及び機能を備える例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではない。処理部9の備える構成及び機能の一部、又は全部を、移動体10に含まれる外部コントローラ等の物体検出装置100を搭載する装置、又は物体検出装置100に接続される装置等が備えてもよい。また処理部9の備える構成及び機能の一部、又は全部を複数の装置に分散させてもよい。
【0128】
また、実施形態はプログラムを含む。例えば、プログラムは、プローブ光を投光し、物体による前記プローブ光の反射又は散乱光の受光信号を出力し、参照情報に応じて、前記受光信号に基づく検出信号の一部の時間間隔を変化させた可変信号を出力し、前記可変信号に基づいて取得される物体情報を出力する処理をコンピュータに実行させる。このようなプログラムにより上述した物体検出装置と同様の効果を得ることができる。
【0129】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0130】
1 半導体レーザ(投光部の一例)
2 投光レンズ
3 受光レンズ
31 非補間信号(検出信号の一例)
32 補間信号
4 受光素子(受光部の一例)
5 電気基板
6 光源駆動部
7 受光回路
8 A/D変換部
81 物体存在確率情報(参照情報の一例)
9 処理部
91 CPU
92 ROM
93 RAM
94 SSD
95 入出力I/F
901 光源制御部
902 基準信号生成部
903 時間計測部
904 信号入力部
905 可変部
906 距離情報取得部
907 出力部
908 確率情報取得部
909 蓄積部
10 移動体
11 走行管理装置
100 物体検出装置
200 被投光領域
P プローブ光
R 戻り光(反射又は散乱光の一例)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【文献】特開2019-138872号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12