(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】トナー、2成分現像剤、画像形成装置、及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
G03G 9/08 20060101AFI20240228BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20240228BHJP
G03G 9/093 20060101ALI20240228BHJP
G03G 9/107 20060101ALI20240228BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
G03G9/08
G03G9/087 331
G03G9/093
G03G9/107 321
G03G15/20 510
(21)【出願番号】P 2020046334
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小枝 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】石川 正彦
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 洋
(72)【発明者】
【氏名】古市 祐介
(72)【発明者】
【氏名】長谷 岳誠
【審査官】高草木 綾音
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-199420(JP,A)
【文献】特開2015-114466(JP,A)
【文献】特開2015-072445(JP,A)
【文献】特開2011-257738(JP,A)
【文献】特開2010-175933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーと、前記トナーによるトナー像を記録媒体に定着させる定着装置と、を有する画像形成装置であって、
前記定着装置が、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材に直接的に又は間接的に接して前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材とを有し、
前記定着装置による定着時の加圧面圧が、0.5N/cm
2
以上5N/cm
2
以下であり、
前記トナーが、コアシェル構造であり、
前記トナーが、結着樹脂、及び着色剤を含有し、
前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含み、
2kg荷重における前記トナーの流出指数Tfが70℃以上121℃以下、流出指数Teが83℃以上120℃以下、かつ軟化指数Twが65℃以上80℃以下である、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記
ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記
ポリエステル樹脂が、非結晶性ポリエステル樹脂を含有する請求項1から2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナーの重量平均粒径(D4)が2.0μm以上6.0μm以下であり、前記トナーの前記重量平均粒径(D4)と前記トナーの個数平均粒径(Dn)との比(D4/Dn)が1.00以上1.20以下である請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナーの着色力が、1.8以上2.2以下である請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナーの平均円形度が、0.93以上0.99以下である請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナーの形状係数SF-1値が100以上150以下であり、かつ前記トナーの形状係数SF-2値が100以上140以下である請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
前記非結晶性ポリエステル樹脂が、変性ポリエステル樹脂を含有する請求項3から7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記定着装置による定着時の加圧面圧が、0.5N/cm
2
以上2N/cm
2
以下である請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ベルト部材が、基層と、表層と、前記基層及び前記表層の間に配された弾性層とを有する請求項1から9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の画像形成装置に用いられることを特徴とするトナー。
【請求項12】
請求項11に記載のトナーと、磁性キャリアとを有することを特徴とする2成分現像剤。
【請求項13】
トナーと、前記トナーによるトナー像を記録媒体に定着させる定着装置と、を用いて行われる画像形成方法であって、
前記定着装置が、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材に直接的に又は間接的に接して前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材とを有し、
前記定着装置による定着時の加圧面圧が、0.5N/cm
2
以上5N/cm
2
以下であり、
前記トナーが、コアシェル構造であり、
前記トナーが、結着樹脂、及び着色剤を含有し、
前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含み、
2kg荷重における前記トナーの流出指数Tfが70℃以上121℃以下、流出指数Teが83℃以上120℃以下、かつ軟化指数Twが65℃以上80℃以下である、
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】
前記定着装置による定着時の加圧面圧が、0.5N/cm
2
以上2N/cm
2
以下である請求項13に記載の画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、2成分現像剤、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置や静電記録装置等においては、感光体上に形成された静電潜像にトナーを付着させ、それを転写材に転写し、次いで熱により紙等の転写材に定着させ、トナー画像を形成している。また、フルカラー画像形成は一般に黒、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーを用いて色の再現を行うものであり、各色について現像を行い、各トナー層を転写材上に重ね合わせたトナー像に加熱し、同時に定着することによって、フルカラー画像を得ている。
【0003】
定着システムとしては、線状発熱面を有する発熱体と、該発熱体と摺動するシートと、線状発熱面へパルス通電する通電手段とを有し、上記発熱体によりシートを介して画像を加熱し、その後冷却工程を経て画像を担持する記録材をシートから分離することを特徴とする像加熱装置(例えば、特許文献1参照)、が知られているが、低面圧で、かつ加熱体の熱容量が小さい等の理由で、定着温度ムラが大きく、定着画像の光沢安定性の問題があった。
【0004】
定着エネルギーを低減するため、定着温度を下げ、代わりに定着面圧を上げて定着特性を向上させることも有効である。しかし高面圧下では定着巻き付きやホットオフセットが発生しやすくなり問題であった。一方、低面圧定着システムにおいては、印字の短手方向の定着温度ムラが発生しやすい構成となり、定着温度ムラにより定着特性が変化したり、定着できたとしてもその画像表面の光沢ムラが発生して問題であった。そのために優れた定着熱荷重特性を有するトナーが要求されている。
【0005】
一方、低軟化樹脂は現像部材、キャリア等へのトナースペントを引き起こしやすく帯電、現像特性にも悪影響を及ぼすことも分かってきており、それら究極の低温定着性、耐定着巻き付き防止性、耐熱保存性、現像安定性を両立する画像形成装置を得ることは困難であった。低温定着性とキャリアスペント性の両立を目指すトナーも提示されているが(例えば、特許文献2参照)、光沢安定性に課題があり、かつ低面圧定着システム適性がなく問題であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光沢安定性と、低温定着性とを両立する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、
トナーと、前記トナーによるトナー像を記録媒体に定着させる定着装置と、を有する画像形成装置であって、
前記定着装置が、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材に直接的に又は間接的に接して前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材とを有し、
前記トナーが、結着樹脂、及び着色剤を含有し、
2kg荷重における前記トナーの流出指数Tfが70℃以上121℃以下、流出指数Teが83℃以上120℃以下、かつ軟化指数Twが65℃以上80℃以下である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、光沢安定性と、低温定着性とを両立する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、定着装置の一例の概略構成図である。
【
図3】
図3は、定着装置の他の一例の概略構成図である。
【
図4】
図4は、定着装置の他の一例の概略構成図である。
【
図5】
図5は、定着装置の他の一例の概略構成図である。
【
図6A】
図6Aは、トナーの流出開始指数(Tfb)を測定する機器を示す概略図である。
【
図6B】
図6Bは、トナーの流出開始指数(Tfb)を求めるフローカーブの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【
図8】
図8は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【
図9】
図9は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(画像形成装置、及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、トナーと、定着装置とを有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明の画像形成方法は、トナーと、定着装置と、を用いて行われる。
【0011】
前記定着装置は、前記トナーによるトナー像を記録媒体に定着させる装置である。
前記定着装置は、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材に直接的に又は間接的に接して前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材とを有する。
【0012】
前記トナーは、結着樹脂、及び着色剤を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記トナーに関し、2kg荷重における前記トナーの流出指数Tfは70℃以上121℃以下、流出指数Teは83℃以上120℃以下、かつ軟化指数Twは65℃以上80℃以下である。
【0013】
面状の加熱体を用いてベルト部材を加熱する定着装置を用いることに代表される低面圧定着システムは、小型化、低コスト化、及び省エネ化の点で優れている。
しかし、面状の加熱体は、円筒状の加熱体と異なり、面状の加熱体の一方の面でしかベルト部材を加熱できないため、当該面に接している箇所のベルト部材のみが加熱され、当該面と接していない箇所のベルト部材は加熱されない。そのため、低面圧定着システムにおいては、ベルト部材の回転方向(筒状のベルト部材の周方向)において定着温度ムラが発生しやすい。
そして、低面圧定着システムにおけるベルト部材の定着温度ムラは、画像の光沢安定性の低下につながる。
そこで、本発明者らは、トナーの特性を検討することによって、光沢安定性を改善するとともに、低温定着性にも優れる画像形成装置を得ることができた。
即ち、加熱体を用いてベルト部材を加熱する定着装置を用いた画像形成装置において、低面圧定着システムであり、かつトナーの特性が以下の(1)~(3)を同時に満たすことで、光沢安定性と、低温定着性とを両立する画像形成装置を得ることができた。
(1)2kg荷重におけるトナーの流出指数Tfが70℃以上121℃以下
(2)2kg荷重におけるトナーの流出指数Teが83℃以上120℃以下
(3)2kg荷重におけるトナーの軟化指数Twは65℃以上80℃以下
【0014】
そのメカニズムは現在明確になっていないが、解析結果から以下のことが推測される。
ベルト部材を介する定着において、より低面圧(低荷重)におけるトナーの溶融特性を制御したトナーとすることが重要である。具体的には、低荷重である2kg荷重における各種トナーの溶融特性を規定し制御することが重要である。
流出指数Tfは、フローテスター装置荷重を2kgに設定したときの、トナーの流出開始温度に相当する。その流出指数Tfを70℃以上121℃以下とすることで、低温定着トナーに適した溶融特性とすることができた。流出指数Tfが、70℃未満の場合、低温での溶融性は良好であるが、光沢安定性という視点では問題がある。トナーが溶融しすぎることで、トナーの粘性が低下して溶融部分と非溶融部分の状態変化が起きやすく、トナーに与えられるわずかな定着温度変化に対して過度に溶融状態が変化する。結果として光沢安定性が低下して好ましくない。また、121℃を超える場合、低温定着特性が十分でなく好ましくない。
トナーの流出指数Teが83℃以上120℃以下であることで、トナーの定着温度に対する光沢依存性が低下する。即ち光沢安定性が向上する。流出指数Teは、フローテスター測定における流出終了指数(Tend)と軟化指数Twの差で定義される(Te=Tend-Tw)。流出指数Teはトナーが軟化し始めてから流出終了するまでの温度を示し、その値が短いことはよりシャープメルト性が高いことを示す。流出指数Teが83℃未満の場合、シャープメルト性が高すぎて、即ちトナー光沢の温度依存性が高すぎて、定着ユニット温度のわずかな温度ムラ(紙種、画像パターン(白紙間隔)、印刷速度、外部要因(空調、設置環境)他に起因する。)により、得られる定着画像に光沢ムラ(あるいは光沢ムラに起因する濃度ムラ)が発生して好ましくない。一方、流出指数Teが121℃を超える場合、トナーの光沢依存性は低下する(光沢安定性が向上する)が、溶融性が低下して、コールドオフセット等が発生するため好ましくない。
なお、「シャープメルト」とは、短い時間に相溶することを指す。
トナーの軟化指数Twが65℃以上80℃以下であることで、常温環境、高温高湿環境、低温低湿環境等各種環境下においても、現像信頼性の高いトナー、画像形成システムとなり好ましい。また、軟化指数Twは、面圧荷重下における、軟化性、光沢安定性、低温定着性に寄与する特性であり、具体的に、軟化指数Twが65℃未満の場合、軟化しすぎることでトナーの溶融状態が変化しやすくい状態となり、結果として光沢安定性が低下して好ましくない。一方、軟化指数Twが80℃を超える場合、トナーが軟化しにくい状態であり、その結果、トナーの低温定着性が低下して好ましくない。
【0015】
前記流出指数Tfは、低温定着トナーにより適した溶融特性とすることができる点で、70℃以上98℃以下が好ましく、80℃以上95℃以下がより好ましい。
前記流出指数Teは、トナーの定着温度に対する光沢依存性がより低下する点で、89℃以上110℃以下が好ましい。
前記軟化指数Twは、常温環境、高温高湿環境、低温低湿環境等の各種環境下においても、現像信頼性の高いトナー、及び画像形成システムが得られる点で、67℃以上75℃以下が好ましい。
【0016】
前記結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。前記結着樹脂が前記結晶性ポリエステル樹脂を含有することで、結晶性ポリエステル樹脂のシャープメルト特性と、結晶性ポリエステル樹脂の他の結着樹脂への可塑化効果により、より優れた低温定着特性を発揮することが可能となる。
【0017】
前記結着樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。前記結着樹脂が前記非晶性ポリエステル樹脂を含有することで、トナーの熱特性、及び粘弾性特性の制御性が向上する。その結果、トナーの定着温度に対する光沢依存性がより低下する。
【0018】
前記結着樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂を含有し、前記非結晶性ポリエステル樹脂は、変性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。そうすることで、変性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の相互作用に起因する粘弾性制御性が向上して、トナー光沢性のバラツキがより低下する。
【0019】
前記トナーは、コアシェル構造であることが好ましい。前記トナーがコアシェル構造であることで、トナーの定着温度に対する光沢依存性がより低下する。前記コアシェル構造において、コアの表面に配されるシェル層は、前記コアの表面全面を覆っていてもよし、一部を覆っていてもよい。例えば、前記シェル層は、島状で前記コアの表面に存在していてもよい。
【0020】
前記トナーの重量平均粒径(D4)が2.0μm以上6.0μm以下であり、前記トナーの前記重量平均粒径(D4)と前記トナーの個数平均粒径(Dn)との比(D4/Dn)が1.00以上1.20以下であることが好ましい。そうすることで、より小粒径で、粒度分布が均一なトナーとなり、その結果、各種印字メディア(紙等)の凹凸に対して、より細かい凹凸追随性が発揮でき、その結果、印字面内におけるトナーの定着状態がより均一となり光沢バラツキがより低下する。
【0021】
前記トナーの着色力は、1.8以上2.2以下であることが好ましい。そうすることで、光沢バラツキに対する、着色力のバラツキがより低減できる。ここで、着色力は、メディアに対するトナー付着量が0.4mg/cm2の時の着色力と定義する。
【0022】
前記トナーの平均円形度は、0.93以上0.99以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。そうすることで、定着時の定着(メディア付着)状態バラツキを低下させることができる。
【0023】
前記トナーの形状係数SF-1値は100以上150以下であることが好ましく、かつ前記トナーの形状係数SF-2値が100以上140以下であることが好ましい。そうすることで、トナー形状(転写・クリーニング性向上)に起因する、定着時の定着(メディア付着)状態バラツキをより低下させることができる。面方向で均一な定着が実施できることで、光沢ムラが低減でき、結果として光沢安定性がより向上するため、より好ましい。
【0024】
前記トナーは、少なくともトナー組成物及び/又はトナー組成物前駆体を含む油相及び/又はモノマー相を水系媒体に分散及び/又は乳化して造粒することによって得られたトナーであることが好ましい。そうすることで、トナー粒子間、粒子内の均一性が向上し、その結果、定着時の定着(メディア付着)状態バラツキをより低下、ひいてはトナー光沢バラツキをより低下させることができる。
【0025】
前記トナーは、少なくとも、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、ポリエステル樹脂、着色剤、及び離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させるトナーであることが好ましい。そうすることで、トナー粒子間、粒子内の均一性が向上し、その結果、定着時の定着(メディア付着)状態バラツキをより低下、ひいてはトナー光沢バラツキをより低下させることができる。
【0026】
前記定着装置による定着時の加圧面圧は、0.5N/cm2以上5N/cm2以下であることが好ましい。そうすることで、適切な面圧でトナーを記録媒体に定着させることが可能で、定着時の定着(メディア付着)状態のバラツキをより低下、ひいてはトナー光沢バラツキをより低下させることができる。
【0027】
前記ベルト部材は、基層と、表層と、前記基層及び前記表層の間に配された弾性層とを有することが好ましい。そうすることにより、更に適切な面圧と密着性でトナーを記録媒体に定着させることが可能で、定着時の定着(メディア付着)状態バラツキをより低下、ひいてはトナー光沢バラツキをより低下させることができる。
【0028】
前記弾性層の平均厚みは、50μm以上500μm以下が好ましい。そうすることで、更に適切な面圧と密着性でトナーを記録媒体に定着させることが可能で、定着時の定着(メディア付着)状態バラツキをより低下、ひいてはトナー光沢バラツキをより低下させることができる。
【0029】
前記画像形成装置は、少なくとも4つ以上の現像色の異なる現像ユニットを直列に配置したタンデム型の現像方式でかつ、システム速度が50mm/sec以上2500mm/sec以下であることが好ましい。そうすることで、システム線速が高速で十分な定着ニップ時間が確保できない定着システムにおいても、溶融光沢プロファイルを適切に設計されたトナーとの組み合わせにより、定着時の定着(メディア付着)状態バラツキをより低下、ひいてはトナー光沢バラツキをより低下させることができる。
【0030】
前記画像形成装置は、前記トナーと磁性キャリアと有する2成分現像剤を用いた2成分現像システムであることが好ましい。そうすることで、作像システムがより安定に機能し、その結果、定着時のトナーの付着量の均一性が向上し、定着時の定着(メディア付着)状態バラツキをより低下させることができる。
【0031】
図1に、画像形成装置の一例の断面の模式図を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置の一例としてのプリンタは、給紙手段104と、レジストローラ対106と、像担持体としての感光体ドラム108と、転写手段110と、定着装置109等を有している。
給紙手段104は、記録材としての用紙Paが積載状態で収容される給紙トレイ114と、給紙トレイ114に収容された用紙Paを最上のものから順に1枚ずつ分離して送り出す給紙コロ116等を有している。
給紙コロ116によって送り出された用紙Paはレジストローラ対106で一旦停止され、姿勢ずれを矯正された後、感光体ドラム108の回転に同期するタイミングで、即ち、感光体ドラム108上に形成されたトナー像の先端と用紙Paの搬送方向先端部の所定位置とが一致するタイミングでレジストローラ対106により転写部位Naへ送られる。
【0032】
感光体ドラム108の周りには、矢印で示す回転方向順に、帯電手段としての帯電ローラ118と、図示しない露光手段の一部を構成するミラー120と、現像ローラ122aを備えた現像手段122と、転写手段110と、クリーニングブレード124aを備えたクリーニング手段124等が配置されている。
帯電ローラ118と現像手段122の間において、ミラー120を介して感光体ドラム108上の露光部126に露光光Lbが照射され、走査されるようになっている。
【0033】
プリンタにおける画像形成動作は従来と同様に行われる。
即ち、感光体ドラム108が回転を始めると、感光体ドラム108の表面が帯電ローラ118により均一に帯電され、画像情報に基づいて露光光Lbが露光部126に照射、走査されて作成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
この静電潜像は感光体ドラム108の回転により現像手段122へ移動し、ここでトナーが供給されて可視像化され、トナー像が形成される。
感光体ドラム108上に形成されたトナー像は、所定のタイミングで転写部位Naに進入してきた用紙Pa上に転写手段110による転写バイアス印加により転写される。
トナー像を担持した用紙Paは定着装置112へ向けて搬送され、定着装置112で定着された後、図示しない排紙トレイへ排出・スタックされる。
転写部位Naで転写されずに感光体ドラム108上に残った残留トナーは、感光体ドラム108の回転に伴ってクリーニング手段124に至り、このクリーニング手段124を通過する間にクリーニングブレード124aにより掻き落とされて清掃される。
その後、感光体ドラム108上の残留電位が図示しない除電手段により除去され、次の作像工程に備えられる。
【0034】
トナー画像が転写された用紙Paは、定着装置109へと搬送され、定着装置109によって用紙Paにトナー画像が定着される。その後、用紙Paは不図示の排紙装置によって装置外に排出されて、一連の印刷動作が完了する。
【0035】
続いて、定着装置の構成について説明する。
【0036】
図2に示すように、本実施形態に係る定着装置109は、無端状のベルトから成る定着ベルト1020と、定着ベルト1020の外周面に接触してニップ部Nを形成する対向部材としての加圧ローラ1021と、定着ベルト1020を加熱する加熱部材としてのヒータ1022と、ヒータ1022を保持する保持部材としてのヒータフォルダ1023と、ヒータフォルダ1023を支持する支持部材としてのステー1024と、定着ベルト1020の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ1025等を備えている。
【0037】
定着ベルト1020は、例えば外径が25mmで厚みが40~120μmのポリイミド(PI)製の筒状基体を有している。定着ベルト1020の最表層には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFE等のフッ素系樹脂による厚みが5~50μmの離型層が形成される。基体と離型層(表層)の間に厚さ50~500μmのゴム等からなる弾性層を設けてもよい。また、定着ベルト1020の基体はポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル(Ni)、ステンレス鋼(SUS)などの金属基体であってもよい。定着ベルト1020の内周面に摺動層としてポリイミドやPTFEなどをコートしてもよい。
【0038】
加圧ローラ1021は、例えば外径が25mmであり、中実の鉄製芯金1021aと、この芯金1021aの表面に形成された弾性層1021bと、弾性層1021bの外側に形成された離型層1021cとで構成されている。弾性層1021bはシリコーンゴムで形成されており、厚みは例えば3.5mmである。弾性層1021bの表面は離型性を高めるために、厚みが例えば40μm程度のフッ素樹脂層による離型層1021cを形成するのが好ましい。
【0039】
加圧ローラ1021が付勢手段によって定着ベルト1020側へ付勢されることで、加圧ローラ1021は定着ベルト1020を介してヒータ1022に圧接される。これにより、定着ベルト1020と加圧ローラ1021との間にニップ部Nが形成される。また、加圧ローラ1021は駆動手段によって回転駆動されるように構成されており、加圧ローラ1021が
図2の矢印方向に回転すると、これに伴って定着ベルト1020が従動回転する。
【0040】
ヒータ1022は、定着ベルト1020の幅方向に渡って長手状に設けられた面状の加熱部材であり、板状の基材1030と、基材1030上に設けられた抵抗発熱体1031と、抵抗発熱体1031を被覆する絶縁層1032等で構成されている。また、ヒータ1022は、絶縁層1032側で定着ベルト1020の内周面に対して接触しており、抵抗発熱体1031から発された熱は、絶縁層1032を介して定着ベルト1020へと伝達される。本実施形態では、抵抗発熱体1031や絶縁層1032が基材1030の定着ベルト1020側(ニップ部N側)に設けられているが、反対に、抵抗発熱体1031や絶縁層1032を基材1030のヒータフォルダ1023側に設けてもよい。その場合、抵抗発熱体1031の熱が基材1030を介して定着ベルト1020に伝達されることになるため、基材1030は窒化アルミニウムなどの熱伝導率の高い材料で構成されることが好ましい。また、基材1030を熱伝導率のよい材料で構成することで、抵抗発熱体1031を基材1030の定着ベルト1020側とは反対側に配置しても、定着ベルト1020を十分に加熱することが可能である。
【0041】
ヒータフォルダ1023及びステー1024は、定着ベルト1020の内周側に配置されている。ステー1024は、金属製のチャンネル材で構成され、その両端部分が定着装置109の両側板に支持されている。ステー1024によってヒータフォルダ1023及びこれに保持されるヒータ1022が支持されていることで、加圧ローラ1021が定着ベルト1020に加圧された状態で、ヒータ1022が加圧ローラ1021の押圧力を確実に受けとめてニップ部Nを安定的に形成する。
【0042】
ヒータフォルダ1023は、ヒータ1022の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料で形成されることが好ましい。例えば、ヒータフォルダ1023をLCPなどの低熱伝導性の耐熱性樹脂で形成した場合は、ヒータ1022からヒータフォルダ1023への伝熱が抑制され効率的に定着ベルト1020を加熱することができる。また、ヒータ1022に対するヒータフォルダ1023の接触面積を少なくし、ヒータ1022からヒータフォルダ1023へ伝わる熱量を低減するため、ヒータフォルダ1023はヒータ1022の基材1030に対して突起部1023aを介して接触している。更に、本実施形態のように、ヒータフォルダ1023の突起部1023aを、基材1030の抵抗発熱体1031が配置されている箇所の裏側以外、即ち基材1030の温度が高くなりやすい箇所を避けて接触させることで、ヒータフォルダ1023へ伝わる熱量を更に低減して効率的に定着ベルト1020を加熱できる。
【0043】
また、ヒータフォルダ1023には、定着ベルト1020をガイドするガイド部1026が設けられている。ガイド部1026は、ヒータ1022のベルト回転方向の上流側(
図2におけるヒータ1022の下側)と下流側(
図2におけるヒータ1022の上側)とにそれぞれ設けられている。
【0044】
定着装置109において、印刷動作が開始されると、加圧ローラ1021が回転駆動され、定着ベルト1020が従動回転を開始する。このとき、定着ベルト1020の内周面がガイド部1026のベルト対向面1260に接触してガイドされることで、定着ベルト1020は安定かつ円滑に回転する。また、ヒータ1022の抵抗発熱体1031に電力が供給されることで、定着ベルト1020が加熱される。そして、定着ベルト1020の温度が所定の目標温度(定着温度)に到達した状態で、
図2に示すように、未定着トナー画像が担持された用紙Pが、定着ベルト1020と加圧ローラ1021との間(ニップ部N)に搬送されることで、未定着トナー画像が加熱及び加圧されて用紙Pに定着される。
【0045】
また、定着装置は、
図2に示す定着装置のほか、例えば、
図3~
図5に示すような定着装置であってもよい。以下、
図3~
図5に示す各定着装置の構成について簡単
に説明する。
【0046】
まず、
図3に示す定着装置109は、定着ベルト1020に対して加圧ローラ1021側とは反対側に、押圧ローラ1044が配置されており、この押圧ローラ1044とヒータ1022とによって定着ベルト1020を挟んで加熱するように構成されている。一方、加圧ローラ1021側では、定着ベルト1020の内周にニップ形成部材1045が配置されている。ニップ形成部材1045は、ステー1024によって支持されており、ニップ形成部材1045と加圧ローラ1021とによって定着ベルト1020を挟んでニップ部Nを形成している。また、ニップ形成部材1045には、定着ベルト1020をガイドするガイド部1026が設けられている。
【0047】
次に、
図4に示す定着装置109では、前述の押圧ローラ1044が省略されており、定着ベルト1020とヒータ1022との周方向接触長さを確保するために、ヒータ1022が定着ベルト1020の曲率に合わせて円弧状に形成されている。その他は、
図3に示す定着装置109と同じ構成である。
【0048】
最後に、
図5に示す定着装置109では、定着ベルト1020のほかに加圧ベルト1046が設けられ、加熱ニップ(第1ニップ部)N1と定着ニップ(第2ニップ部)N2とを分けて構成している。即ち、加圧ローラ1021に対して定着ベルト1020側とは反対側に、ニップ形成部材1045とステー1047とを配置し、これらニップ形成部材1045とステー1047を内包するように加圧ベルト1046を回転可能に配置している。そして、加圧ベルト1046と加圧ローラ1021との間の定着ニップN2に用紙Pを通紙して加熱及び加圧して画像を定着する。その他は、
図2に示す定着装置9と同じ構成である。
【0049】
<トナー>
以下に、画像形成装置に用いられるトナーについて説明する。
前記トナーは、結着樹脂、及び着色剤を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記トナーに関し、2kg荷重における前記トナーの流出指数Tfは70℃以上121℃以下、流出指数Teは83℃以上120℃以下、かつ軟化指数Twは65℃以上80℃以下である。
【0050】
<<トナーの評価方法>>
<<<2kg荷重におけるトナーの流出指数Tf、流出指数Te、軟化指数Tw>>>
2kg荷重におけるトナーの流出指数Tf、流出指数Te、軟化指数Twは、以下の方法で評価する。
株式会社島津製作所製フローテスター;CFT-500Dを用いて評価した。装置は錠剤化したトナーに荷重をかけながら昇温することで溶融したトナーをダイ穴から流出させてプランジャーの降下量を評価し、トナーの粘弾性特性(温度依存性)を評価する手法である(
図6A)。流出終了に至る降下量が大きく変化する温度を流出開始指数Tf、流出終了指数をTendと定義する。流出指数Teは、流出終了指数(Tend)と軟化指数Twの差で定義する(Te=Tend-Tw)。軟化指数Twは、トナーが流出開始しない程度に軟化し始める温度でTwと定義する(
図6B)。
通常10kg~30kg程度の比較的大きな荷重でのフローテスター評価値をトナーの特性値として評価してきたが、より低面圧の定着システムに対応するトナー特性を制御するため、低荷重である2kg荷重での評価とした。フローテスター(CFT-500D)は、プランジャー他の自重があるため、重りを設置せずに評価する評価手法が2kg荷重に相当する。
【0051】
フローテスターは、熱流動性評価装置であり、熱可塑性樹脂などの流動性材料について、温度・圧力・流れ速度の関係から熱に対する流動特性を評価する装置になります。材料の熱や圧力に対する流れ特性を把握することで材料の熱挙動特性が得られます。
一般に、フローテスターは10kgや30kg等比較的大きな圧力で評価することが一般的ですが、本発明では、そのような大圧力では、説明できない、弱い圧力(2kg)における熱・圧力に対する流動特性を指標としてトナーを設計することに特徴がある。従って、従来用いられている用語、例えば軟化温度と定義すると一般に、10kgや30kgといった高加重での軟化温度と同一にとらえかねないため、あえて指数と別物として定義し直しています。Tw、Tf、Tend、Teはすべて指数で単位は温度(℃)である。
【0052】
以下、
図6Bを参照して説明する。
<ステージ1>;加熱開始からTw
錠剤上の熱可塑性樹脂で構成されるトナーは、室温では固体状態で、ある一定の熱、圧力が加わるまでは熱・圧力変形せずに、その結果、プランジャー距離も一定でフラットな直線を維持します。
【0053】
<ステージ2>;TwからTf
軟化指数Twは、2kg荷重におけるフローテスターで評価した、
図6Bで示した熱挙動グラフ中で、最初にプランジャーの移動量が一定になる変位点の温度を示す。粉体のトナーをプレスして錠剤化したサンプルに圧力下で熱を加えるとある一定の温度(軟化してトナー粒子が変形可能な温度)に達すると最密充填されたトナー錠剤中の隙間を軟化したトナーが変形して隙間を埋める挙動を示す。その動きの中で錠剤全体の体積が低下して、結果としてプランジャーが降下して、グラフは上方に変化する。ただし、その変化は、隙間が完全になくなるとトナー体積は変化できなくなるため、一定の変化に推移する。それが、TwからTfへの推移である。その間、小さなダイ穴は錠剤に接して空いているが、最密充填の隙間を埋められる程度に軟化可能な固体粉体のトナーでは、小さなダイ穴を通過することはできません。
【0054】
<ステージ3>;TfからTend
その後、更に加圧下において、加熱されると、固体状態のトナーも小さなダイ穴から流出可能な程度に溶融した高粘性の液体状態に移行する。それが流出開始指数Tfになる。ダイ穴からトナーが溶融して少しずつ排出される過程で、錠剤上の溶融トナーの体積が徐々に低下して、プランジャーの降下量も増加してグラフは上方向に推移する。その後、トナーがすべて流出し終わると、トナーの体積がなくなるため、プランジャーはそれ以上変化せずに一定の値になる。その時の温度が流出終了指数Tendになる。
【0055】
1)サンプル
トナー1gを直径1cmの円柱の錠剤状に加圧成型して用いた。
2)温度条件
40℃から3℃/minの昇温速度で流出終了温度まで。
3)ダイ穴径 0.5mm
4)ダイ長さ 1.0mm
5)余熱時間 200s
【0056】
<<<トナーシェル層の評価>>>
トナーシェル層の評価は、以下の方法で評価する。
-TEM(透過型電子顕微鏡)による評価-
まずトナーをスパチュラ一杯程度エポキシ系樹脂に包埋して硬化させる。四酸化ルテニウム、あるいは四酸化オスミウムで試料を5分間ガス暴露することでシェル層とコア内部を識別染色する。ナイフで断面出ししてウルトラミクロトーム(Leica社製 ULTRACUT UCT 、ダイヤナイフ使用)でトナーの超薄切片(200nm厚さ)を作成する。その後、TEM(透過型電子顕微鏡;H7000;日立ハイテク社製)により加速電圧100kVで観察する。
【0057】
<<<平均円形度E>>>
トナーの平均円形度Eは、円形度E=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100%で定義される。フロー式粒子像分析装置(「FPIA-2100」;シスメックス社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA-2100 Data Processing Program for FPIA version00-10)を用いて解析を行った。具体的には、ガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC-A;第一工業製薬社製)を0.1~0.5ml添加し、各トナー0.1~0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で3分間分散処理した。前記分散液を前記FPIA-2100を用いて濃度を5000~15000個/μlが得られるまでトナーの形状及び分布を測定した。本測定法は平均円形度の測定再現性の点から前記分散液濃度が5000~15000個/μlにすることが重要である。前記分散液濃度を得るために前記分散液の条件、即ち添加する界面活性剤量、トナー量を変更する必要がある。界面活性剤量は前述したトナー粒径の測定と同様にトナーの疎水性により必要量が異なり、多く添加すると泡によるノイズが発生し、少ないとトナーを十分にぬらすことができないため、分散が不十分となる。またトナー添加量は粒径のより異なり、小粒径の場合は少なく、また大粒径の場合は多くする必要があり、トナー粒径が3~7μmの場合、トナー量を0.1~0.5g添加することにより分散液濃度を5000~15000個/μlにあわせることが可能となる。
【0058】
<<<円形度SF-1,SF-2>>>
円形度である形状係数SF-1、SF-2は、日立製作所製FE-SEM(S-4200)により測定して得られたトナーのFE-SEM像を300個無作為にサンプリングし、その画像情報を、インターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(Luzex AP)に導入し解析を行い、下式より算出し得られた値をSF-1、SF-2と定義した。SF-1、SF-2の値はLuzexにより求めた値が好ましいが、同様の解析結果が得られるのであれば特に上記FE-SEM装置、画像解析装置に限定されない。
SF-1=(L2/A)×(π/4)×100
SF-2=(P2/A)×(1/4π)×100
ここで、
トナーの絶対最大長をL
トナーの投影面積をA
トナーの最大周長をP
とする。真球であればいずれも100となり、100より値が大きくなるにつれて球形から不定形になる。また特にSF-1はトナー全体の形状(楕円や球等)を表し、SF-2は表面の凹凸程度を示す形状係数となる。
【0059】
<<<重量平均粒径、D4/Dn(重量平均粒径/個数平均粒径の比)>>>
トナーの重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(Dn)、その比(D4/Dn)は、以下の方法で測定できる。トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA-II、コールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)等を用いて測定することができる。コールターマルチサイザーIIを使用した。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100~150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性の界面活性剤))を0.1~5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1質量%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON-II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2~20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1~3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0060】
<<<着色力>>>
トナーの着色力は、1.8以上2.2以下がより好ましい。更に好ましくは1.9以上2.2以下である。ここで着色力は、トナーを付着量0.4mg/cm2で静電作像した画像を、定着単体機(RICOH imagio MP C5002 を改良した定着機)にて、線速200mm/sec、定着温度150℃にて定着した画像を、X-Rite 938による画像濃度として定義した。用紙は、王子製紙社製、PODグロスコート(100g/m2)を用いた。
【0061】
<<<システム線速>>>
システム線速は以下のようにして測定した。A4紙、縦方向通紙(通紙方向紙の長さ297mm)、連続100枚、該当画像形成装置で出力し、スタートから終了までの出力時間をA秒とし、システム速度をBとした場合、下記式にて、システム速度を求めた。
B(mm/sec)=100枚×297mm÷A秒
【0062】
<<<定着加圧面圧>>>
定着加圧面圧は、一般的な圧力センサーを使用することで評価できる。
定着加圧面圧は、好ましくは0.5N/cm2以上5N/cm2以下、より好ましくは、0.5N/cm2以上2N/cm2以下、更に好ましくは、1N/cm2以上2N/cm2以下とすることによって小型で熱効率のよい定着システムにおいて、トナーの溶融特性との組み合わせにより、光沢の画像面内バラツキを低減することができより好ましい。
【0063】
トナーは、結着樹脂と着色剤とを含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
【0064】
<<結着樹脂>>
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、結晶性樹脂、非晶性樹脂などが挙げられる。
【0065】
<<<結晶性樹脂>>>
結晶性とは、原子や分子が空間的に繰り返しパターンを持って配列しているような物質と定義され、一般的なX線回折装置により回折パターンを示す物質と定義される。
【0066】
前記結晶性樹脂としては、結晶性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂(結晶性ポリエステル樹脂)、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、変性結晶性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂が好ましく、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれかを有する樹脂が好ましく、また、直鎖型ポリエステル樹脂、該直鎖型ポリエステル樹脂を含む複合樹脂がより好ましい。
【0067】
ここで、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれかを有する樹脂としては、例えば、前記ポリウレタン樹脂、前記ポリウレア樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレア変性ポリエステル樹脂などが好適に挙げられる。前記ウレタン変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、ポリオールとを反応させてなる樹脂である。また、前記ウレア変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、アミン類とを反応させてなる樹脂である。
【0068】
前記結晶性樹脂の融解熱の最大ピーク温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から、45℃以上70℃以下が好ましく、53℃以上65℃以下がより好ましく、58℃以上62℃以下が特に好ましい。
【0069】
前記トナーにおける前記結晶性樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂に対して1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。
前記トナーにおける前記結晶性樹脂の含有量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記結着樹脂に対して30質量%以下である。
【0070】
-結晶性ポリエステル樹脂-
トナーは、結晶性ポリエステル樹脂を1質量%以上、好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上含有することが好ましい。前記トナーにおける前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナーに対して30質量%以下である。
【0071】
結晶性ポリエステル樹脂の融点は45℃以上70℃以下の範囲にあることが好ましく、53℃以上65℃以下の範囲にあることがより好ましく、58℃以上62℃以下の範囲にあることが更に好ましい。なお、上記結晶性ポリエステル樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として以下の方法により求めた。
自動接線処理システムを備えた株式会社島津製作所製の示差走査熱量計(装置名:DSC-60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温する。そのときの吸熱ピークを融点とする。
【0072】
結晶性ポリエステル樹脂は、その構成成分が100%ポリエステル構造であるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50質量%以下である。
【0073】
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、前記結晶性ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0074】
多価カルボン酸成分としては、例えば、ジカルボン酸成分、3価以上のカルボン酸成分などが挙げられる。
【0075】
ジカルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、更に、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
【0076】
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
また、酸成分としては、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていてもよい。更に、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有してもよい。
【0078】
多価アルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のアルコールなどが挙げられる。
【0079】
ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。主鎖部分の炭素数としては14以下であることがより好ましい。
【0080】
結晶性ポリエステル樹脂の合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
【0081】
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0082】
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0083】
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
【0084】
なお、必要に応じて酸価や水酸基価の調製等の目的で、多価カルボン酸や多価アルコールを合成の最終段階で添加してもよい。多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類等が挙げられる。
【0085】
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類等が挙げられる。
【0086】
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下として行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
重合性単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助溶剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い重合性単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い重合性単量体とその重合性単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0087】
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、例えば、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。
【0088】
具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
【0089】
結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、3.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、6.0mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下の範囲にあることがより好ましく、8.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下の範囲にあることが更に好ましい。
【0090】
また、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下であることが好ましい。
【0091】
重量平均分子量の測定は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定することができる。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー社製GPC・HLC-8120を用い、東ソー社製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行った。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出したものである。
【0092】
以上の結晶性ポリエステル樹脂を含む結晶性樹脂は、脂肪族重合性単量体を用いて合成された結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性脂肪族ポリエステル樹脂」という場合がある)を主成分(50質量%以上)とすることが好ましい。更にこの場合、前記結晶性脂肪族ポリエステル樹脂を構成する脂肪族重合性単量体の構成比は、60mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい。なお、脂肪族重合性単量体としては、前述の脂肪族のジオール類やジカルボン酸類を好適に用いることができる。
【0093】
<<<非結晶性樹脂>>>
非結晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0094】
-非結晶性ポリエステル樹脂-
非結晶性ポリエステル樹脂としては、変性ポリエステル樹脂と未変性ポリエステル樹脂があるが、その両方を含有することが更に好ましい。
【0095】
--変性ポリエステル樹脂--
変性ポリエステル樹脂として、以下に示す変性ポリエステル系樹脂が使用できる。例えばイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを用いることが出来る。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルを更にポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを、架橋剤及び/又は伸長剤と反応させることで変性ポリエステル樹脂が得られる。
【0096】
ポリオール(1)としては、ジオール(1-1)及び3価以上のポリオール(1-2)が挙げられ、(1-1)単独、又は(1-1)と少量の(1-2)の混合物が好ましい。
ジオール(1-1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2~12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2~12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上のポリオール(1-2)としては、3~8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0097】
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2-1)及び3価以上のポリカルボン酸(2-2)が挙げられ、(2-1)単独、及び(2-1)と少量の(2-2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(2-1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4~20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸(2-2)としては、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
【0098】
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、例えば、通常2/1~1/1、好ましくは1.5/1~1/1、更に好ましくは1.3/1~1.02/1である。
【0099】
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0100】
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、例えば、通常5/1~1/1、好ましくは4/1~1.2/1、更に好ましくは2.5/1~1.5/1である。
【0101】
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5質量%以上40質量%以下、好ましくは1質量%以上30質量%以下、更に好ましくは2質量%以上20質量%以下である。
【0102】
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5~3個、更に好ましくは、平均1.8~2.5個である。
【0103】
---架橋剤及び伸長剤---
架橋剤及び/又は伸長剤として、アミン類を用いることができる。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1~B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’-ジアミノ-3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1~B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1~B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
【0104】
更に、必要により架橋及び/又伸長は停止剤を用いて反応終了後の変性ポリエステルの分子量を調整することができる。停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0105】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2~2/1、好ましくは1.5/1~1/1.5、更に好ましくは1.2/1~1/1.2である。
【0106】
---未変性ポリエステル樹脂---
変性ポリエステル樹脂(A)の単独使用だけでなく、この(A)と共に、変性されていない未変性ポリエステル樹脂(C)をトナーバインダー成分として含有させることが重要である。(C)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性、光沢均一性が向上する。
【0107】
(C)としては、前記(A)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(A)と同様である。また、(C)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。
(A)と(C)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(A)のポリエステル成分と(C)は類似の組成が好ましい。(A)を含有させる場合の(A)と(C)の質量比は、通常5/95~75/25、好ましくは10/90~25/75、更に好ましくは12/88~25/75、特に好ましくは12/88~22/78である。
【0108】
(C)のピーク分子量は、例えば、通常1000以上30000以下、好ましくは1500以上10000以下、更に好ましくは2000以上8000以下である。
【0109】
(C)の酸価は、例えば、通常0.5mgKOH/g以上40mgKOH/g以下、好ましくは5mgKOH/g以上35mgKOH/g以下である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
【0110】
トナーのガラス転移点(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃以上70℃以下が好ましく、45℃以上55℃以下がより好ましい。
【0111】
<<着色剤>>
着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
【0112】
トナーにおける着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーに対して1質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上10質量%以下がより好ましい。
【0113】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練を行い、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0114】
<<離型剤>>
また、トナーには、結着樹脂、着色剤とともにワックス(離型剤)を含有させることもできる。
離型剤としては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。
【0115】
離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃以上160℃以下が好ましく、50℃以上120℃以下がより好ましく、60℃以上90℃以下が特に好ましい。
また、離型剤の溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5~1000cpsが好ましく、更に好ましくは10~100cpsである。
【0116】
トナー中の離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量%以上40質量%以下が好ましく、3質量%以上30以下がより好ましい。
【0117】
<<帯電制御剤>>
トナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。
帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
【0118】
トナーにおける帯電制御剤の含有量としては、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下の範囲で用いられる。より好ましくは、0.2質量部以上5質量部以下の範囲がよい。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えてもよいし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
【0119】
<<外添剤>>
トナー母体粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、例えば、酸化物微粒子の他に、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径が好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは5nm以上70nm以下の無機微粒子を少なくとも1種類以上含むことがより好ましい。更に疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも1種類以上含みかつ、30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類以上含むことがより好ましい。また、BET法による比表面積は、20m2/g以上500m2/g以下であることが好ましい。
それらは、条件を満たせば公知のものすべて使用可能である。例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど)、金属酸化物(チタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)、フルオロポリマー等を含有してもよい。
【0120】
特に好適な添加剤としては、疎水化されたシリカ、チタニア、酸化チタン、アルミナ微粒子があげられる。シリカ微粒子としては、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H 1303(以上、ヘキスト)やR972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(以上、日本アエロジル社製)がある。また、チタニア微粒子としては、P-25(日本アエロジル社製)やSTT-30、STT-65C-S(以上、チタン工業社製)、TAF-140(富士チタン工業社製)、MT-150W、MT-500B、MT-600B、MT-150A(以上、テイカ社製)などがある。特に疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、T-805(日本アエロジル社製)やSTT-30A、STT-65S-S(以上、チタン工業社製)、TAF-500T、TAF-1500T(以上、富士チタン工業社製)、MT-100S、MT-100T(以上、テイカ社製)、IT-S(石原産業社製)などが挙げられる。
【0121】
疎水化処理された酸化物微粒子としての、シリカ微粒子、チタニア微粒子、アルミナ微粒子を得るためには、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤で処理して得ることができる。またシリコーンオイルを必要ならば熱を加えて無機微粒子に処理した、シリコーンオイル処理酸化物微粒子、無機微粒子も好適である。
【0122】
外添剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーに対して0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.3質量%以上3質量%以下がより好ましい。
【0123】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えば、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などが挙げられる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01μm以上1μm以下のものが好ましい。
【0124】
<<樹脂微粒子>>
トナーには、必要に応じて樹脂微粒子も含有させることができる。
樹脂微粒子のガラス転移点(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃以上100℃以下が好ましい。
樹脂微粒子の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3,000以上300,000以下が好ましい。
【0125】
樹脂微粒子は、例えば、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。例えば、ビニル系樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0126】
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸-アクリル酸エステル重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0127】
<<トナーの製造方法>>
トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、乾式であってもよいし、湿式であってもよい。以下に、トナーの製造方法の一例として、水系媒体中でのトナー製造方法の一例を説明する。ただし、本発明に用いられるトナーの製造方法はこの方法に限定されず、本発明に用いられるトナーは、いわゆる乳化凝集法、粉砕方法などの公知のトナー製造方法でも製造することができる。
【0128】
<<<水系媒体中でのトナー製造方法>>>
水性相には、予め樹脂微粒子を添加することにより使用することがより好ましい。樹脂微粒子が粒径制御剤として機能して、トナーの周囲に配置され、最終的にはトナー表面を覆いシェル層として機能することになる。十分なシェル層として機能を持たせるため、樹脂微粒子の粒径、組成、水相中の分散剤(界面活性剤)、溶媒等にも影響されるため詳細な制御が要求される。
【0129】
水性相に用いる水は、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0130】
トナー粒子は、例えば、水性相で有機溶媒に溶解、又は分散させたイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を、アミン類(B)と反応させて形成することにより得られる。
水性相でポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水性相に有機溶媒に溶解、又は分散させたポリエステルプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
有機溶媒に溶解、又は分散させたポリエステルプレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、帯電制御剤、変性されていないポリエステル樹脂などは、水性相で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合後、有機溶媒に溶解、又は分散させた後、水性相にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、着色剤、離型剤、帯電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水性相で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0131】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2~20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000~30000rpm、好ましくは5000~20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1~5分である。分散時の温度としては、通常、0~150℃(加圧下)、好ましくは40~98℃である。高温なほうが、ポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
【0132】
ポリエステルプレポリマー(A)を含むトナー組成物100部に対する水性相の使用量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50質量部以上2000質量部以下、好ましくは100質量部以上1000質量部以下である。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0133】
また水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。
【0134】
また高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。
【0135】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0136】
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長及び/又は架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0137】
伸長及び/又は架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分~40時間、好ましくは2~24時間である。反応温度は、通常、0~150℃、好ましくは40~98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0138】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分に目的とする品質が得られる。
【0139】
また有機溶媒を除去する方法として、ロータリーエバポレータ等でエアーを吹き込み除去させることが可能である。
その後、遠心分離により粗分離を行い、洗浄タンクにて乳化分散体を洗浄、温風乾燥機にて乾燥の工程を繰り返し、溶媒を除去、乾燥させてトナー母体を得ることができる。
その後、更に熟成工程を入れることがより好ましい。好ましくは30℃以上55℃以下(より好ましくは40℃以上50℃以下)で、5時間以上36時間以下(より好ましくは10時間以上24時間以下)で熟成させることがより好ましい。
【0140】
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよいが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、又は粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、又は粗粒子はウェットの状態でも構わない。
【0141】
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合を行ったり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
【0142】
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
最後に無機微粒子等の外添剤とトナーをヘンシェルミキサー等で混合し、超音波篩い等で粗大粒子を除去して、最終的なトナーを得る。
【0143】
<2成分用キャリア>
トナーを2成分現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いればよく、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100質量部に対してトナー1質量部以上10質量部以下が好ましい。
磁性キャリアとしては、粒子径20μm以上200μm以下程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。
また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂及びスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、及びシリコーン樹脂等が使用できる。
また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、トナーはキャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0144】
<タンデム型カラー画像形成装置>
本発明では、少なくとも4つ以上の現像色の異なる現像ユニットを直列に配置したタンデム型の現像方式のカラー画像形成装置としても使用できる。タンデム型カラー画像形成装置の実施形態の一例について説明する。タンデム型の電子写真装置には、
図7に示すように、各感光体1上の画像を転写装置2により、シート搬送ベルト3で搬送するシートsに順次転写する直接転写方式のものと、
図8に示すように、各感光体1上の画像を1次転写装置2によりいったん中間転写体4に順次転写して後、その中間転写体4上の画像を2次転写装置5によりシートsに一括転写する間接転写方式のものとがある。転写装置5は転写搬送ベルトであるが、ローラ形状も方式もある。
直接転写方式のものと,間接転写方式のものとを比較すると、前者は、感光体1を並べたタンデム型画像形成装置Tの上流側に給紙装置6を、下流側に定着装置7を配置しなければならず、シート搬送方向に大型化する欠点がある。
これに対し、後者は、2次転写位置を比較的自由に設置することができる。
給紙装置6、及び定着装置7をタンデム型画像形成装置Tと重ねて配置することができ、小型化が可能となる利点がある。
また、前者は、シート搬送方向に大型化しないためには、定着装置7をタンデム型画像形成装置Tに接近して配置することとなる。そのため、シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができず、シートsの先端が定着装置7に進入するときの衝撃(特に厚いシートで顕著となる)や、定着装置7を通過するときのシート搬送速度と,転写搬送ベルトによるシート搬送速度との速度差により、定着装置7が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい欠点がある。
これに対し、後者は、シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるから、定着装置7がほとんど画像形成に影響を及ぼさないようにすることができる。
以上のようなことから、最近は、タンデム型電子写真装置の中の、特に間接転写方式のものが注目されてきている。
【0145】
そして、この種のカラー電子写真装置では、
図8に示すように、1次転写後に感光体1上に残留する転写残トナーを、感光体クリーニング装置8で除去して感光体1表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えていた。また、2次転写後に中間転写体4上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置9で除去して中間転写体4表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えていた。
【0146】
図9は、この発明の一実施の形態を示すもので、タンデム型間接転写方式の電子写真装置である。図中符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400は更にその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。複写装置本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を設ける。
そして、
図9に示すとおり、図示例では3つの支持ローラ14、15、16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。
また、3つのなかで第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム型画像形成装置20を構成する。
【0147】
そのタンデム型画像形成装置20の上には、
図9に示すように、更に露光装置21を設ける。一方、中間転写体10を挟んでタンデム型画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像をシートに転写する。
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、図示例では、このような2次転写装置22及び定着装置25の下に、上述したタンデム型画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
【0148】
さて、いまこのカラー電子写真装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。又は、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33及び第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光を更に反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14、15、16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40K、40Y、40M、40C上にそれぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
【0149】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
又は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。又は、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム型画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが,シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
さて、上述したタンデム型画像形成装置20において、個々の画像形成手段18は、詳しくは、ドラム状の感光体40のまわりに、帯電装置、現像装置、1次転写装置62、感光体クリーニング装置、除電装置などを備えてなる。
【実施例】
【0150】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
【0151】
(評価機A)
評価機として、RICOH imagio MP C5002の現像部と定着部を改造して用いた。改造した内容は、線速が400mm/secになるように現像、転写、クリーニングユニット、搬送ユニットすべてを変更あるいは調整した。現像ギャップは1.26mm、ドクタブレードギャップは1.6mm、反射型フォトセンサ機能をOFFとした状態で使用した。また定着部の定着ユニットは、定着面圧1N/cm
2と、定着ニップ幅10mmとした。定着媒体表面はテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)を塗布、成形、表面調整して使用した。定着媒体のベルト部材は、基層と表層の間に弾性層(層厚200μm)を有する部材とした。像担持体、現像装置及び転写装置部の実温度領域は30℃~45℃になるように制御した。加熱定着温度は140℃に設定した(
図2)。
【0152】
(評価機B)
評価機として、RICOH imagio MP C5002の現像部と定着部を改造して用いた。改造した内容は、線速が49mm/secになるように現像、転写、クリーニングユニット、搬送ユニットすべてを変更あるいは調整した。現像ギャップは1.26mm、ドクタブレードギャップは1.6mm、反射型フォトセンサ機能をOFFとした状態で使用した。また定着部の定着ユニットは、定着面圧0.5N/cm
2と、定着ニップ幅13mmとした。定着媒体表面はテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)を塗布、成形、表面調整して使用した。定着媒体のベルト部材は、基層と表層の間に弾性層(層厚500μm)を有する部材とした。像担持体、現像装置及び転写装置部の実温度領域は30℃~45℃になるように制御した。加熱定着温度は140℃に設定した(
図2)。
【0153】
(評価機C(比較例用))
評価機として、RICOH imagio Neo C600Pro(株式会社リコー製)の主に現像部と定着部を改造して用いた。改造した内容は、線速が49mm/secになるように現像、転写、クリーニングユニット、搬送ユニットすべてを変更あるいは調整した。また定着部の定着ユニットは、定着面圧16N/cm
2に設定した。像担持体、現像装置及び転写装置部の実温度領域は30℃~45℃になるように制御した。加熱定着温度は140℃に設定した。
なお、上記定着システムは、面状でない加熱体(ロール状の加熱体)で間接的にベルト材を加熱して、ベルト材を介して記録材を該加熱体に圧着させる加圧部材によりトナー像を該記録材上に加熱定着するプロセスとなる。ロール状の加熱体とは、例えば、特開2016-109901号公報の
図2の加熱ローラ32である。
【0154】
(2成分現像剤評価)
2成分系現像剤で画像評価する場合は、以下のように、シリコーン樹脂により0.4μmの平均厚さでコーティングされた平均粒径30μmのフェライトキャリアを用い、キャリア100質量部に対し各色トナー7質量部を容器が転動して撹拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、現像剤を作製した。
【0155】
(キャリアの製造)
・芯材
Mnフェライト粒子(重量平均粒径:30μm):5000部
・コート材
トルエン:450部
シリコーン樹脂(SR2400、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、不揮発分50%):450部
アミノシラン(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製):10部
カーボンブラック:10部
上記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調整し、このコート液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと撹拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成し、上記キャリアを得た。
【0156】
(実施例1)
<トナーの作製>
<<樹脂微粒子エマルションの合成>>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30、三洋化成工業社製)11部、ポリ乳酸5部、ポリグリコール酸5部、スチレン60部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル70部、及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3800回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し4時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で6時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-アクリル酸ブチル-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA-920で測定した体積平均粒径は、140nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは61℃であり、重量平均分子量は7万であった。
【0157】
<<水相の調製>>
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3%水溶液(エレミノールMON-7、三洋化成工業社製)37部、及び酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
【0158】
<<低分子ポリエステルの合成>>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物329部、テレフタル酸208部、アジピン酸80部、及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で7時間反応し、更に10~15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸35部を入れ、180℃、常圧で5時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2800、重量平均分子量4300、Tg43℃、酸価25mgKOH/gであった。
【0159】
<<中間体ポリエステルの合成>>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応し、更に10~15mmHgの減圧で7時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2800、重量平均分子量10600、Tg54℃、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価52mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、及び酢酸エチル500部を入れ100℃で7時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート質量%は、1.53%であった。
【0160】
<<ケチミンの合成>>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、53℃で5時間半反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は417であった。
【0161】
<<マスターバッチ(MB)の合成>>
水1200部、カーボンブラック(Printex35、デクサ社製)540部〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕、及びポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて110℃で1時間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ1]を得た。
【0162】
<<結晶性ポリエステルの合成>>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、1,6-ヘキサンジオール1200部と、ドデカン2酸1200部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.4部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスで不活性雰囲気とし、機械撹拌にて180rpmで5時間撹拌を行った。その後、減圧下にて200℃まで徐々に昇温を行い2.5時間撹拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、[結晶性ポリエステル1]を得た。[結晶性ポリエステル1]は、数平均分子量4200、重量平均分子量16000、融点66℃であった。
【0163】
<<油相の調製>>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、Tg71℃のパラフィンワックス100部、[結晶性ポリエステル1]90部、及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで2パスし、[顔料・ワックス分散液1](油相)を得た。[顔料・ワックス分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0164】
<<乳化及び脱溶剤>>
[顔料・ワックス分散液1]749部、[プレポリマー1]115部、及び[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5,000rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで25分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で48時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
【0165】
<<洗浄及び乾燥>>
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い[トナー母体粒子1]を得た。
その後、[トナー母体粒子1]100部、粒径18nmの疎水化処理シリカ2部をヘンシェルミキサーにて混合してトナーを得た。
【0166】
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0167】
(実施例2)
実施例1において、[微粒子分散液1]を以下の[微粒子分散液2]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0168】
<<樹脂微粒子エマルションの合成>>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30、三洋化成工業社製)11部、ポリ乳酸5部、スチレン50部、メタクリル酸110部、アクリル酸ブチル70部、及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3800回転/分で20分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し2.5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、65℃で9時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-アクリル酸ブチル-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液2]を得た。[微粒子分散液2]をLA-920で測定した体積平均粒径は、210nmであった。[微粒子分散液2]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは60℃であり、重量平均分子量は6万であった。
【0169】
(実施例3)
実施例1において、[微粒子分散液1]を以下の[微粒子分散液3]に変更し、[低分子ポリエステル1]を以下の[低分子ポリエステル2]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0170】
<<樹脂微粒子エマルションの合成>>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30、三洋化成工業社製)11部、ポリ乳酸5部、スチレン60部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル70部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、2000回転/分で20分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し3時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、65℃で9時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-アクリル酸ブチル-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液3]を得た。[微粒子分散液3]をLA-920で測定した体積平均粒径は、110nmであった。[微粒子分散液3]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは62℃であり、重量平均分子量は8万であった。
【0171】
<<低分子ポリエステルの合成>>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物264部、テレフタル酸208部、アジピン酸80部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応し、更に10~15mmHgの減圧で4時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸35部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル2]を得た。[低分子ポリエステル2〕は、数平均分子量2100、重量平均分子量4500,Tg39℃、酸価25mgKOH/gであった。
【0172】
(実施例4)
実施例1において、[微粒子分散液1]を以下の[微粒子分散液4]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0173】
<<樹脂微粒子エマルションの合成>>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30、三洋化成工業社製)11部、ポリ乳酸7部、スチレン60部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル70部、及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、2000回転/分で20分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し3時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、65℃で9時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-アクリル酸ブチル-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液4]を得た。[微粒子分散液4]をLA-920で測定した体積平均粒径は、120nmであった。[微粒子分散液4]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは61℃であり、重量平均分子量は7万であった。
【0174】
(実施例5)
<<非結晶性ポリエステル樹脂5の合成>>
・テレフタル酸:143部
・テトラプロぺニルコハク酸無水物:187部
・ビスフェノールAエチレンオキシド付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部
上記の成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち撹拌しながら昇温した後、160℃で8時間共縮重合反応させ、その後、1.3kPaまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し3.5時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度1.3kPaまで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより。[非結晶性ポリエステル樹脂5]を合成した。該樹脂の重量平均分子量は、42,000であり、ガラス転移温度(Tg)は、62℃であった。
【0175】
<<樹脂粒子分散液5の調製>>
・[非結晶性ポリエステル樹脂5]:160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
上記成分をセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学株式会社製)により撹拌速度80rpmで撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液を更に撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより平均粒子径0.14μmの[樹脂粒子分散液5](固形分濃度:30%)を得た。
【0176】
<<結晶性樹脂粒子分散液5の調製>>
[結晶性ポリエステル1]150部を蒸留水850部中に入れ、80℃に加熱しながらホモジナイザー(IKAジャパン社製、ウルトラタラックス)にて混合撹拌して、[結晶性樹脂粒子分散液5]を得た。
【0177】
<<離型剤分散液5の調製>>
・パラフィンワックス(日本精蝋株式会社製、融点70℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンRK):1.0部
・イオン交換水:200部
以上の成分を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で360分間の分散処理をして、数平均粒径が0.22μmである離型剤粒子を分散させてなる[離型剤分散液5](固形分濃度:20%)を調製した。
【0178】
<<着色剤分散液5の調製>>
・シアン顔料(C.I.Pigment Blue 15:3、銅フタロシアニン DIC株式会社製、商品名:FASTOGEN BLUE LA5380):200部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:800部
以上の成分を混合し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工株式会社製、CR1010)を用いて1時間分散して、有色顔料粒子(シアン顔料)を分散させてなる[着色剤分散液5](固形分濃度:20%)を調製した。
【0179】
<<トナーの作製>>
・樹脂粒子分散液5:450部
・結晶性樹脂粒子分散液5:20部
・離型剤分散液5:50部
・着色剤分散液5:21部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):1.40部
上記原料を円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)により4,000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液2.86部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5,000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、2枚パドルの撹拌翼を用いた撹拌装置、及び温度計を備えた容器に原料分散液を移し、撹拌回転数を810rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、56℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2以上3.5以下の範囲に制御した。上記pH範囲で1.5時間保持し、凝集粒子を形成した。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより、シアン色の[トナー母体粒子5]を得た。
その後、[トナー母体粒子5]100部、粒径18nmの疎水化処理シリカ2部をヘンシェルミキサーにて混合してトナーを得た。
【0180】
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0181】
(実施例6)
実施例1において、[結晶性ポリエステル1]を含有させない以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0182】
(実施例7)
実施例1において、実施例1に記載のトナーを用いて、評価には評価機Bを使用した。評価結果は表2に示した。
【0183】
(実施例8)
実施例1において、[原料溶解液1]を以下の[原料溶解液2]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0184】
<<油相の調製>>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、Tg71℃のパラフィンワックス100部、[結晶性ポリエステル1]90部、及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで、容器に[マスターバッチ1]450部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液2]を得た。
【0185】
(実施例9)
実施例1において、[原料溶解液1]を以下の[原料溶解液3]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0186】
<<油相の調製>>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、Tg71℃のパラフィンワックス100部、[結晶性ポリエステル1]90部、及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで、容器に[マスターバッチ1]550部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液3]を得た。
【0187】
(実施例10)
実施例1において、[原料溶解液1]を以下の[原料溶解液4]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0188】
<<油相の調製>>
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、Tg71℃のパラフィンワックス100部、[結晶性ポリエステル1]90部、及び酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで、容器に[マスターバッチ1]630部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液4]を得た。
【0189】
(実施例11)
実施例1において、[微粒子分散液1]を[微粒子分散液4]に変更し、かつ、[原料溶解液1]を[原料溶解液3]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0190】
(実施例12)
実施例1において、[分散スラリー1]を以下の[分散スラリー2]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0191】
<<乳化及び脱溶剤>>
[顔料・ワックス分散液1]749部、[プレポリマー1]110部、及び[ケチミン化合物1]2.7部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5,000rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数12,000rpmで10分間混合し[乳化スラリー2]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー2]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で24時間熟成を行い、[分散スラリー2]を得た。
【0192】
(実施例13)
実施例1において、[分散スラリー1]を以下の[分散スラリー3]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0193】
<<乳化及び脱溶剤>>
[顔料・ワックス分散液1]749部、[プレポリマー1]110部、及び[ケチミン化合物1]2.7部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)で5,000rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数12,000rpmで25分間混合し、[乳化スラリー3]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー3]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で36時間熟成を行い、[分散スラリー3]を得た。
【0194】
(比較例1)
実施例1において、[微粒子分散液1]を以下の[微粒子分散液5]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0195】
<<樹脂微粒子エマルションの合成>>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30、三洋化成工業社製)11部、ポリ乳酸2部、スチレン60部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル70部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、3800回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し4時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で8時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-アクリル酸ブチル-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液5]を得た。[微粒子分散液5]をLA-920で測定した体積平均粒径は、420nmであった。[微粒子分散液5]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは63℃であり、重量平均分子量は14万であった。
【0196】
(比較例2)
実施例1において、[微粒子分散液1]を以下の[微粒子分散液7]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0197】
<<樹脂微粒子エマルションの合成>>
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30、三洋化成工業社製)11部、ポリ乳酸2部、スチレン40部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル90部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、1500回転/分で20分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し3時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、65℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-アクリル酸ブチル-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液6]を得た。[微粒子分散液6]をLA-920で測定した体積平均粒径は、70nmであった。[微粒子分散液6]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは59℃であり、重量平均分子量は12万であった。
【0198】
(比較例3)
実施例1において、[微粒子分散液1]を[微粒子分散液6]に変更し、[低分子ポリエステル1]を以下の[低分子ポリエステル3]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0199】
<<低分子ポリエステルの合成>>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で10時間反応し、更に10~15mmHgの減圧で8時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸70部を入れ、180℃、常圧で3時間反応し、[低分子ポリエステル3]を得た。[低分子ポリエステル3〕は、数平均分子量2900、重量平均分子量7300,Tg48℃、酸価25mgKOH/gであった。
【0200】
(比較例4)
実施例1において、[低分子ポリエステル1]を以下の[低分子ポリエステル4]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0201】
<<低分子ポリエステルの合成>>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸44部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で14時間反応し、更に10~15mmHgの減圧で7時間反応した[低分子ポリエステル4]を得た。[低分子ポリエステル4]は、数平均分子量4800、重量平均分子量32000、Tg64℃、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価52mgKOH/gであった。
【0202】
(比較例5)
実施例1において、[微粒子分散液1]を[微粒子分散液5]に変更し、[低分子ポリエステル1]を[低分子ポリエステル3]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0203】
(比較例6)
実施例1において、[微粒子分散液1]を[微粒子分散液5]に変更し、[低分子ポリエステル1]を[低分子ポリエステル4]に変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
得られたトナーの物性は表1、評価結果は表2に示した。評価には評価機Aを使用した。
【0204】
(比較例7)
実施例1において、実施例1で作製したトナーを用いて、評価には評価機Cを使用した。評価結果は表2に示した。
【0205】
(評価項目)
1)光沢安定性
得られた二成分現像剤と評価機を用いて3%画像面積チャートを30,000枚出力した後、定着温度を5℃ずつ変化させ、画像を出力して光沢度(入射角60°)を測定した。光沢度計は、NIPPON DENSHOKU GlossMeter VG7000を利用した。転写紙はリコーフルカラーPPC用紙タイプ6200を用いた。トナー付着力は0.85mg/cm2とした。定着巻き付きや、トナー剥がれ等の発生しなかった定着可能な定着温度領域において、光沢の最も低い値と最も高い値の差を光沢安定性として、以下の評価基準で評価した。
光沢安定性=(最も光沢の高い定着温度における光沢度)-(最も光沢の低い定着温度における光沢度)
〔評価基準〕
◎:光沢安定性の値が、8未満
○:光沢安定性の値が、8以上13未満
△:光沢安定性の値が、13以上25未満
×:光沢安定性の値が、25以上
【0206】
2)低温定着性
得られた二成分現像剤と評価機を用いて3%画像面積チャートを30,000枚出力した後、定着温度を5℃ずつ変化させ、画像を出力して、低温定着性を測定した。転写紙はリコーフルカラーPPC用紙タイプ6200を用いた。
定着単体機の定着温度を変え、X-Rite 938による画像濃度が1.2となるようなプリント画像を得た。各温度のコピー画像を消しゴム(ロイファー 消しゴム PLAST-0140(日本で一般的なTombow製 MONO消しゴムよりもトナーをメディア(紙)から引き離す剥離力が強い))が装着したクロックメーターにより50回擦り、その前後の画像濃度を測定し、下記式にて定着率を求めた。
定着率(%)=〔(消しゴム10回後の画像濃度)/(前の画像濃度)〕×100
定着率80%以上を達成する温度を、定着下限温度とした。低温定着性の評価基準は次の通りである。
〔評価基準〕
◎:定着下限温度110℃未満
〇:定着下限温度110℃以上120℃未満
△:定着下限温度120℃以上130℃未満
×:定着下限温度130℃以上
【0207】
3)耐熱保存性
トナーを10gずつ計量し、20mlのガラス容器に入れ、ガラス瓶をタッピングマ装置にて300回タッピングした後、温度55℃、湿度80%RHにセットした恒温槽に48時間放置した後、針入度試験器(日科エンジニアリング社製、マニュアル記載条件)にて針入度を測定した。また低温低湿(10℃、15%RH)環境に保存したトナーも同様に針入度を評価し、高温高湿、低温低湿環境で、より針入度が小さい方の値を採用して評価した。良好なものから、◎:20mm以上、○:15mm以上20mm未満、△:10mm以上15mm未満、×:10mm未満、とした。
【0208】
4)現像安定性
得られた二成分現像剤と評価機を用いて画像面積率2%チャート連続10,000枚出力耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。現像剤1gを計量し、ブローオフ法により帯電量変化を求めた。同様に画像面積率60%チャート連続10,000枚出力耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。現像剤1gを計量し、ブローオフ法により帯電量変化を求めた。両者の帯電量の差が大きい方の値を採用し、帯電量の変化が5μc/g以下の場合は○、10μc/g以下の場合は△、10μc/gを超える場合は×とした。
<ブローオフ法>
両端に金網を配した円筒形のファラデーケージに現像剤を入れ,高圧空気により現像剤からトナーを脱離した後に,残留した電荷量をエレクトロメーターにより測定した.現像剤中のトナー質量は,ブローオフ前後のファラデーケージの質量差から求めた。
【0209】
【0210】
【0211】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> トナーと、前記トナーによるトナー像を記録媒体に定着させる定着装置と、を有する画像形成装置であって、
前記定着装置が、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材に直接的に又は間接的に接して前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材とを有し、
前記トナーが、結着樹脂、及び着色剤を含有し、
2kg荷重における前記トナーの流出指数Tfが70℃以上121℃以下、流出指数Teが83℃以上120℃以下、かつ軟化指数Twが65℃以上80℃以下である、
ことを特徴とする画像形成装置である。
<2> 前記結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有する前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3> 前記結着樹脂が、非結晶性ポリエステル樹脂を含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<4> 前記トナーが、コアシェル構造である前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<5> 前記トナーの重量平均粒径(D4)が2.0μm以上6.0μm以下であり、前記トナーの前記重量平均粒径(D4)と前記トナーの個数平均粒径(Dn)との比(D4/Dn)が1.00以上1.20以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<6> 前記トナーの着色力が、1.8以上2.2以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<7> 前記トナーの平均円形度が、0.93以上0.99以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<8> 前記トナーの形状係数SF-1値が100以上150以下であり、かつ前記トナーの形状係数SF-2値が100以上140以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<9> 前記結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有し、
前記非結晶性ポリエステル樹脂が、変性ポリエステル樹脂を含有する前記<3>から<8>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<10> 前記定着装置による定着時の加圧面圧が、0.5N/cm2以上5N/cm2以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<11> 前記ベルト部材が、基層と、表層と、前記基層及び前記表層の間に配された弾性層とを有する前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の画像形成装置に用いられることを特徴とするトナーである。
<13> 請求項12に記載のトナーと、磁性キャリアとを有することを特徴とする2成分現像剤である。
<14> ナーと、前記トナーによるトナー像を記録媒体に定着させる定着装置と、用いて行われる画像形成方法であって、
前記定着装置が、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材に直接的に又は間接的に接して前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材とを有し、
前記トナーが、結着樹脂、及び着色剤を含有し、
2kg荷重における前記トナーの流出指数Tfが70℃以上121℃以下、流出指数Teが83℃以上120℃以下、かつ軟化指数Twが65℃以上80℃以下である、
ことを特徴とする画像形成方法である。
【0212】
前記<1>から<11>に記載の画像形成装置、前記<12>に記載のトナー、前記<13>に記載の2成分現像剤、及び前記<14>に記載の画像形成方法は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0213】
104 給紙手段
106 レジストローラ対
108 感光体ドラム
110 転写手段
109 定着装置
128 定着ローラ
130 加圧ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0214】
【文献】特開昭63-313182号公報
【文献】特開2011-257738号公報