(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】トナー収容容器および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240228BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
G03G15/08 330
G03G15/08 341
G03G21/18 175
(21)【出願番号】P 2020117321
(22)【出願日】2020-07-07
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】小松崎 寛央
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-178146(JP,A)
【文献】特開2004-322403(JP,A)
【文献】特開2011-197157(JP,A)
【文献】特開2003-058843(JP,A)
【文献】特開2004-295340(JP,A)
【文献】特開2013-113946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/08
13/095
15/00
15/08
15/095
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容
し回転軸を中心に回転することでトナーを搬送する収容容器本体と、
前記収容容器本体の端部に配置され、前記収容容器本体に保持され
、前記回転軸を中心に前記収容容器本体に対して相対的に回転自在な第1保持部と、
前記第1保持部に保持され、
前記回転軸を中心に前記第1保持部に対して回転自在な第2保持部と、
前記第2保持部
の前記回転軸から離れた位置に設置され、前記トナーに関する情報を保持する電子部品と、
前記第2保持部に設置され、画像形成装置本体のガイド部に誘導され、誘導後に前記ガイド部に嵌合することで前記画像形成装置本体に対して前記第2保持部の回転方向の位置決めを行う誘導部と、
を備えるトナー収容容器。
【請求項2】
前記第2保持部は、回転の中心から離れた位置に重心を有し、自重により前記重心が前記回転の中心より下側に移動可能であ
り、
前記下側に移動した際に前記誘導部が前記ガイド部に誘導される位置になるように前記重心を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載のトナー収容容器。
【請求項3】
トナーを収容し、回転することでトナーを搬送する収容容器本体と、
前記収容容器本体の端部に配置され、前記収容容器本体の前記回転の回転中心に位置する回転中心軸に保持され前記回転中心から離れた位置に重心を有する保持部と、
前記保持部に設置され、前記トナーに関する情報を保持する電子部品と、
を備えるトナー収容容器。
【請求項4】
前記収容容器本体は、回転軸を中心に回転し、
前記第1保持部は、前記回転軸を中心に回転可能であり、
前記第2保持部は、前記回転軸を中心に回転可能であること
ことを特徴とする請求項1または2に記載のトナー収容容器。
【請求項5】
前記トナー収容容器は、前記電子部品から情報を受信する受信部を備える画像形成装置に取り付けられ、
前記第2保持部は、前記重心が最下部となる位置において、前記トナー収容容器を前記画像形成装置に取り付ける際の前記電子部品の向きが前記受信部と対向する向きとなる
ことを特徴とする請求項
2に記載のトナー収容容器。
【請求項6】
前記第2保持部は、前記回転の中心から離れた一箇所に重りを設けた
ことを特徴とする請求項2、4、5のいずれか一項に記載のトナー収容容器。
【請求項7】
前記重りは磁性体である
ことを特徴とする請求項6に記載のトナー収容容器。
【請求項8】
前記第1保持部が前記第2保持部を保持する位置は、前記収容容器本体が前記第1保持部を保持する位置より、前記回転の中心に近い
ことを特徴とする請求項1、2、4乃至7のいずれか一項に記載のトナー収容容器。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のトナー収容容器を設置可能な画像形成装置。
【請求項10】
請求項7に記載のトナー収容容器を設置可能な画像形成装置であって、
前記電子部品から前記情報を受信する受信部と、
前記受信部が前記情報を受信可能な位置に、前記トナー収容容器を案内する案内部と、
前記案内部の入口に配置された磁石と、を備え、
前記磁石と前記磁性体とにより、前記第2保持部を所定の向きに回転させることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー収容容器および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体に形成された静電潜像をトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いた現像装置によって可視像化する画像形成装置において、画像形成に伴って現像装置内のトナーが消費されていくと、消費された量のトナーを順次補給する必要がある。
そのため、従来の画像形成装置では、トナーを収納したトナーボトルを設け、そのトナーボトルから現像装置へ消費分のトナーを補給するようにしたものがある。
また、このような構成においては、トナーボトル内のトナーが無くなると空になったトナーボトルを交換する必要があり、その交換作業は一般にユーザーによって行われている。
【0003】
そして多くの場合、トナーボトルには従来から上述の交換トナーカートリッジにはトナーカートリッジ基板が設けられている。
この基板にはICチップが組み込まれており、例えばカートリッジの識別情報やトナーの特性に応じた、画像最適化を目的とした制御データが書き込まれている。
一方、画像形成装置本体には、ICチップ受信機が設けられており、上述のトナーカートリッジを画像形成装置本体に装着すると、このカートリッジ側ICチップと本体側ICチップ受信機が常時接触状態となる。
【0004】
画像形成装置が動作している間は、カートリッジと本体との相互間で情報の交換を行い、例えば本体側で純正カートリッジであるかどうかの検知や使用枚数(或いはトナーモータ回転時間等)の積算を行い、カートリッジのICチップにモード終了時の使用累積情報の登録などを行っている。
【0005】
ICチップ(又はIDチップ、ICタグ等も含む)を有するトナー収容容器を、画像形成装置に挿入する方向に配置し、設置することにより、ICチップが画像形成装置の受信機に認証されるという技術が知られている。
例えば、特許文献1には、ICチップと受診機とを容易に接続させる目的で、トナーボトルが自重で回転することでICチップと受信機とを位置決めする構成が開示されている。
しかし、上記構成では、トナーボトルの排出部に記録回路保持部を回転可能に取り付けているため、回転半径(記録回路保持部内径)が大きくなって回転負荷が大きくなり、回転負荷軽減のために玉軸受等を必要としていた。トナーボトルなどの消耗品において玉軸受等の高額部品(特に回転半径の大きい玉軸受ほど高額である)を使用することはコスト的な問題があり、また環境負荷低減などの潮流にそぐわないという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、トナー収容容器が有するICチップを、精度よく設置位置まで案内し、設置後にICチップを設置位置に保持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明のトナー収容容器は、
トナーを収容し回転軸を中心に回転することでトナーを搬送する収容容器本体と、
前記収容容器本体の端部に配置され、前記収容容器本体に保持され、前記回転軸を中心に前記収容容器本体に対して相対的に回転自在な第1保持部と、
前記第1保持部に保持され、前記回転軸を中心に前記第1保持部に対して回転自在な第2保持部と、
前記第2保持部の前記回転軸から離れた位置に設置され、前記トナーに関する情報を保持する電子部品と、
前記第2保持部に設置され、画像形成装置本体のガイド部に誘導され、誘導後に前記ガイド部に嵌合することで前記画像形成装置本体に対して前記第2保持部の回転方向の位置決めを行う誘導部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トナー収容容器が有するICチップを、精度よく設置位置まで案内し、設置後にICチップを設置位置に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】トナー収容容器を画像形成装置へ配置した状態例を説明する図である。
【
図3】トナー収容容器を画像形成装置に配置する前の状態例を説明する図である。
【
図4】トナー収容容器の一例をICチップが配置される側から見た側面の一部分を説明する概略図である。
【
図5】トナー収容容器ホルダの一例を説明する図である。
【
図6】画像形成装置に設置されたガイドの一例を示す概略図である。
【
図8】ICチップが下向きのホルダを嵌合部へ嵌め込む動作例を説明する図である。
【
図9】ICチップが上向きのホルダを嵌合部へ嵌め込む動作例を説明する図である。
【
図10】レバー形状と凹形状との掛かり合いを説明する図である。
【
図11】導入部のテーパー形状の変形例を説明する図である。
【
図12】実施形態1のホルダの一例を説明する図である。
【
図14】実施形態2のホルダが有するICチップホルダの一例を説明する図である。
【
図15】案内部に磁石を設けたガイドの一例を説明する図である。
【
図16】実施形態2のICチップホルダの他の例を説明する図である。
【
図17】実施形態2のICチップホルダのさらに他の変形例を有するトナー収容容器の一例を説明する概略図である。
【
図19】ICチップにより重心を変更するガイドの一例を説明する概略図である。
【
図21】実施形態3のホルダの構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0011】
まず、本発明の一実施形態に係るトナー収容容器を着脱可能に設置する画像形成装置の構成例について説明する。
以下、画像形成装置の一例として、電子写真方式の複写機(以下、単に「複写機500」という)の一実施形態について説明する。本実施形態では、複写機500として、モノクロ画像形成装置を例に挙げて説明するが、本発明は、公知のカラー画像形成装置についても同様に適用することができる。また、複写機500は卓上型のコンパクトな画像形成装置であるが、本発明は、床面に載置する比較的大型の画像形成装置にも適用可能である。
【0012】
図1は、複写機500の全体の概略構成図である。
複写機500は、画像形成を行うプリンタ部1の上に原稿読取装置2を有し、その上には原稿押さえ圧板3を有する。また、プリンタ部1の下には
図1中の手前側となるフロント方向に引き出し可能な給紙トレイ4を備えた給紙装置5を有する。
【0013】
図1中の「R1」の矢印は、給紙トレイ4に収納された用紙Pの搬送路を示す。給紙トレイ4に収納積載された用紙Pは
図1中の右側である先端側を可動底板6によって押し上げられ、回転駆動される給紙コロ7によって
図1中の右上方向に向けて搬送力を付与される。用紙Pは、フリクションパッド8によって一枚ずつに分離され、分離された一枚の用紙Pは、対向配置されて回転駆動される二つのローラからなるレジストローラ対9によって、タイミングを合わせて上方の転写位置に向けて縦搬送される。
【0014】
ドラム状の感光体11は、回転しながら帯電ローラ15によって表面を一様帯電され、書込ユニット12から照射されたレーザー光により静電潜像をその表面に書きこまれる。静電潜像は現像装置10によって現像されることでトナー像となる。トナー像は感光体11の回転によって感光体11と転写ローラ13とが対向する転写位置に到達し、
図1中の転写位置を通過する用紙Pの左側の表面にトナー像が形成される。現像によってトナーが消費される現像装置10には、
図1中の書込ユニット12の上方に配置されたトナーボトル14からトナーが供給される。
【0015】
現像装置は、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤を用いて現像を行う公知の磁気ブラシ方式の現像装置であり、現像容器内に現像ローラ、搬送スクリュ及びトナー濃度センサを有する。
更に現像装置は、トナー濃度センサにより検知される現像剤中のトナー濃度に応じて、トナーボトルから現像装置にトナーを補給するトナー補給部(図示せず)を、画像形成装置に備える。
【0016】
トナー像が形成された用紙Pは、転写位置の上方に位置する熱定着ローラ対16とヒータとを備えた定着ユニット17で、ヒータの熱で温度が上昇した熱定着ローラ対16によって加熱及び加圧が行われ、トナー像が定着される。定着ユニット17を通過した用紙Pは、回転する二つのコロからなる排紙コロ対18によって、排紙口180からプリンタ部1のケーシング19の外に排出される。排紙口180の外は、原稿読取装置2の下部に設けられた空間であって、複写機500の胴体内に設けられた排紙収納部20である。すなわち、排紙口180を通過した用紙Pは、画像形成装置の本体である画像形成部(プリンタ部1)と画像読取部(原稿読取装置2)とで形成される複写機500の胴体の内部に設けられた胴内排紙部としての排紙収納部20に排出される。排紙収納部20に向けて排出された用紙Pは、排紙収納部20の下面を形成し、排紙を受ける排紙トレイ21上に画像面が下向きになるように積載される。
【0017】
複写機500は、給紙トレイ4の他にもう一つの給紙部を有する。これは「手差し給紙部」と呼ばれ、
図1中の右方向に回動して開かれた手差しトレイ22上にセットされた用紙Pを給紙するものである。
図1中の「R2」の矢印は、手差しトレイ22上にセットされた用紙Pの搬送路を示す。
手差しトレイ22上にセットされた用紙Pは、上下方向に揺動可能な呼び出しコロ24の回転によって
図1中の左方向に送り出され、レジストローラ対9に案内されるようになっている。その先の工程は、
図1中の「R1」の矢印で示す搬送路に合流し、給紙トレイ4に収納された収納された用紙Pの場合と同様である。
【0018】
次に、複写機500における両面印刷の場合の搬送経路と動作について説明する。
図1中の「R3」の破線矢印は、両面印刷される用紙Pが、片面側に画像が形成された後に通過する反転経路を示している。
【0019】
上述した片面印刷のように、片面側に画像が形成された用紙Pは、排紙コロ対18に挟持された状態でその先端側半分を排紙収納部20に排出される。そして、用紙Pの後端が反転経路切替爪26の先端を過ぎたポイントで搬送を一時停止する。この場合の用紙Pの後端は反転経路切替爪26の先端を越えると、その紙剛性によって反転経路切替爪26先端よりも高い位置に移動する。ここで排紙コロ対18を逆転させると、用紙は
図1中の「R3」の破線矢印で示すように反転経路切替爪26の上方を通過し、反転経路内のガイド部材によって下向きに案内され両面搬送コロ対27により、さらに下方に向けて搬送される。
【0020】
両面搬送コロ対27を通過した用紙Pは、反転経路内の案内部材によって
図1中の「R3」の破線矢印のように湾曲搬送されて、再びレジストローラ対9の間に導かれる。こうして用紙Pの先ほどとは逆の面に画像が形成されることで、両面印刷が可能になる。両面印刷された用紙Pは、排紙トレイ21上に排出される。
【0021】
排紙収納部20の
図1中の左側に配置された支持柱29は、
図1中の左側の手前側のみに設けられた柱状の部材であり、原稿読取装置2を保持する役割を有している。排紙トレイ21上に排出された印刷後の用紙Pは、通常は
図1中の手前側であるフロント方向から取り出し操作が行われ、それが無理な場合には左側面側から取り出しを行うようになっている。
以上が、複写機500の構成の概略である。
【0022】
次に、一実施形態のトナー収容容器について説明する。
一実施形態のトナー収容容器は、ICチップと、画像形成装置が備える受信機との接触に際して、ユーザーがトナー収容容器を画像形成装置に挿入することにより、ICチップを受信機へ精度よく係合可能であることが特徴になっている。
【0023】
一実施形態のトナー収容容器は、トナーを収容する収容容器本体(トナーボトル110)と、収容容器本体の端部に配置され、収容容器本体に保持される第1保持部(トナーボトルホルダ122)と、第1保持部に保持され、第1保持部に対して回転自在な第2保持部(ICチップホルダ123)と、第2保持部に設置され、トナーに関する情報を保持する電子部品と(ICチップ130)、を備えることを特徴とする。( )内は、後述する
図4、10等の構成例と対応づけたものである。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。
【0024】
図2から
図11を参照して、一実施形態のトナー収容容器および画像形成装置に備えるガイドの構成例について説明し、
図12から
図20を参照して、一実施形態のトナー収容容器の特徴となるホルダについて説明する。
【0025】
図2は、一実施形態のトナー収容容器100を画像形成装置へ配置した状態例を説明する図である。
トナー収容容器100は、例えば、
図1に示すトナーボトル14として、複写機500に着脱可能である。
【0026】
図3は、一実施形態のトナー収容容器100を画像形成装置に配置する前の状態例を説明する図である。
図3(A)はガイド200の位置を説明する図であり、矩形の枠内にガイドが配置されている。
図3(B)はトナー収容容器100が有するホルダ120の位置を説明する図であり、矩形の枠内にホルダ120を示している。
トナー収容容器100において、ホルダ120は、収容容器本体としてのトナーボトル110のトナー排出口と反対側に配置され、
図3(A)に示すガイド200と対向する。
図2に示すトナー収容容器100では、右側がトナー排出口であり、左側にホルダ120が配置されている。
画像形成装置は、電子部品としてのICチップ130から情報を受けるレシーバ(「受信機」または「受信部」とも称する)210を保持するガイド(「ガイド部」とも称する)200を有する。
【0027】
トナー収容容器100は、トナーを収納するトナーボトル110と、ICチップを保持するホルダ120により構成されている。
トナーボトル110は、有底の略円筒形状をなし、トナーを搬送する為の螺旋状の突条が形成されている。トナー収容容器100は、例えば、
図2に示す矢印の方向に回転する回転体である。
トナーボトル110の一端にホルダ120が取着され、トナーボトル110の他端にはトナーを排出するためのトナー排出口を有する。
トナー収容容器100は、画像形成装置に装着され、トナーボトル110の回転中心軸を中心として回転することにより、螺旋溝によりトナー排出口側に徐々に送られ、トナー排出口から排出されたトナーが不図示のトナー補給経路を通り現像装置10に補給される。
なお、本例と異なりホルダとトナー排出口が収容容器本体の同じ側にある場合でも本願発明を適用することができる。
【0028】
図4は、一実施形態のトナー収容容器100をICチップが配置される側から見た側面の一部分を説明する概略図である。
図5は、一実施形態のトナー収容容器100の一端に設置されるホルダ120を説明する図であり、(A)はホルダ120の斜視図であり、(B)はトナー収容容器100の端部から見たホルダ120を示す図である。
トナー収容容器100は、トナーを収容するトナーボトル110と、ホルダ120と、ICチップ130と、誘導部140とを有する。
【0029】
トナーボトル110は、トナーを収容する。トナーボトル110は、例えば、円柱状(筒状)の外径部を有する回転体とする。
ホルダ120は、トナーボトル110の一端に配置される。トナーボトル110の一端は、直径が細くなっており、ホルダ120が嵌合する。ホルダ120は、トナーボトル110に対して回転自在であり、トナーボトル110の回転に対してフリー(自由状態)となっている。ホルダ120は、トナーボトル110の回転軸と同軸(回転軸121)を中心に回転可能である。
ホルダ120は、回転軸121に平行な側面に、ICチップ130を保持する。
ICチップ130は、トナーに関する情報(トナー収容容器が正規品であることを示す認証情報、トナー収容容器に充填されたトナーの充填量、色情報、残量情報、その他使用履歴等)を保持する。ICチップ130は、穴形状131を有する。
【0030】
誘導部140は、ホルダ120に形成され、ICチップ130が設置される側面に直交する方向に伸びる延伸形状141を有する。誘導部140は、ホルダ120を、ガイド200が有する嵌合部(
図7を参照して後述する)に誘導する。
誘導部140の詳細については後述する。
【0031】
また、ホルダ120は、矢尻形状150、弾性変形部としてのレバー形状160を有する。
矢尻形状150は、ガイド200の横ガイド形状240(
図7を参照して後述する)と嵌め合い、設置後、ホルダ120の左右方向の位置を規制する。
レバー形状160については、
図10を参照して後述する。
【0032】
図6は、一実施形態の画像形成装置に設置されたガイド200を示す概略図である。
図7は、ガイド200を説明する斜視図である。
ガイド200は、レシーバ210を保持し、嵌合部220と、導入部230とを有する。
レシーバ210は、ICチップ130から情報を受信する。レシーバ210は、突起形状211を有し、ICチップ130の穴形状131と嵌め合う。
嵌合部220は、レシーバ210とICチップ130とが通信可能な位置で、ホルダ120に設けられた誘導部140と嵌め合う。嵌合部220は、例えば、U字型の溝形状(凹形状)を有するU溝として形成される。
【0033】
導入部230は、誘導部140を嵌合部220へ導く傾斜形状であり、上側傾斜面231と下側傾斜面232とからなる二つのテーパー形状を設けている。導入部230は、嵌合部220の先端に設けられ、テーパー形状により、誘導部140を嵌合部220に入りやすくする。
【0034】
また、ガイド200は、横ガイド形状240と、凹部としての凹形状250とを有する。
横ガイド形状240は、ホルダ120が有する矢尻形状150を案内してホルダ120の左右の位置を規制する。横ガイド形状240は、先端に傾斜が設けられ、傾斜により、ホルダ120の矢尻形状150を挿入しやすくする。
凹形状250については、
図10を参照して後述する。
【0035】
次に、トナー収容容器100の誘導部140について詳細を説明する。
誘導部140は、ホルダ120の回転軸121の延長線が通る位置に形成されている。
誘導部140は、ホルダ120の回転軸121を中心とする半円形状142を有し、前述の延伸形状141と半円形状142とからなるU字形状(U字型)となっている。また、誘導部140は、トナーボトル110と反対側のホルダ120の端面に突出する突出形状となっている。従って、誘導部140は、例えば、U字形状の突起として誘導部140に設けられる。
誘導部140は、延伸形状141に、半円形状142と接した位置からICチップ130と反対方向(ICチップ130が正面となる向きであるセット方向と逆側に)に伸びる、二つの平行面143、144を有する。以降、二つの平行面143、144を平行部とも称する。
【0036】
なお、半円形状は、ホルダ120の回転軸121を中心とする場合に限られるものではなく、回転軸121と直交する直線で回転軸121とICチップとを結ぶ線上のうち、誘導部140内であって、半円形状が延伸形状141と接合可能となる任意の点を中心とする半円形状であってもよい。
図5(B)は、回転軸121と直交する直線で回転軸とICチップとを結ぶ線の一例として、回転軸121とICチップの中央とを結ぶ線を一点破線で示している。
【0037】
次に、前述のようなホルダ120をガイド200に設置する動作例について説明する。
図8は、ICチップ130が下向きのホルダ120を嵌合部220へ嵌め込む動作例を説明する図である。
図9は、ICチップ130が上向きのホルダ120を嵌合部220へ嵌め込む動作例を説明する図である。
ユーザーがトナーボトル110をガイド200のセット方向に押すと、誘導部140の平行部が導入部230(U溝としての嵌合部220の先端)に当たってホルダ120が回転し、ICチップ130をレシーバ210に対向させる。
【0038】
図8に示すように、ICチップ130が下向き状態でホルダ120をガイド200にセットする場合、誘導部140の半円形状142が下側傾斜面232に接触し、誘導部140の平行面143が上側傾斜面231に接触して時計回りに回転し、嵌合部220にガイドされる。ICチップ130が下向き90度程度までガイド可能となる。
また、
図9に示すように、ICチップ130が上向き状態でホルダ120をガイド200にセットする場合、誘導部140の半円形状142が下側傾斜面232に接触した後、誘導部140の平行面144が下側傾斜面232に接触して反時計回りに回転し、上側傾斜面231に接触して、嵌合部220にガイドされる。ICチップ130が上向き90度程度までガイド可能となる。
【0039】
ホルダ120の回転軸121の延長線上を誘導部140が通るようにすると、
図8、
図9に示すように、ICチップ130が上側と下側とのどちらに存在するときであっても、ユーザーがトナー収容容器100をガイド200に挿入すると、押し込み動作によってICチップ130の向きを定めることができる。加えて、誘導部140の半円形状142により、押し込み動作によってICチップ130の向きをよりスムーズに定めることができる。このとき、誘導部140が、ホルダ120の回転軸121を中心とする半円形状142を有することがより好ましい。
【0040】
ここで、ICチップ130と誘導部140との位置関係について検討する。
ICチップ130と誘導部140とは、ICチップ130の少なくとも一部分が、各平行面143、144を延長したときに、延長した二つの面の間に存在する側面に設置されることが好ましい。加えて、延長した二つの面の中央(回転軸121を通る面)とICチップ130の中央とが、略同じ位置になるように設置することが特に望ましい。ここで、延長した二つの面の中央は、例えば、
図5(B)では、平行面143、144と平行な、一点破線の位置に存在する面となる。
【0041】
このようにすると、ホルダ120をガイド200に挿入し、ホルダ120の位置が定まる前のガタツキ時に、ICチップ130の位置バラツキが小さくなる。また、例えば、ホルダ120の回転軸121を通り、かつ、二つの平行面143、144と平行する面での延長上に、ICチップ130の略中央が配置されると、トナーボトル110の回転等に伴うホルダ120の傾きで、ICチップ130の位置がバラつくのを防ぐことができる。
【0042】
前述の通り、一実施形態のトナー収容容器100は、ICチップ130を、設置位置まで精度よく案内し、設置後にICチップの設置位置を維持することができる。例えば、画像形成装置のトナーボトルが正規品か確認するICチップ認証に際して、ユーザーが画像形成装置に狙いを定めなくてもICチップを精度よく係合し、ボトルの回転に影響されずにICチップを一定の位置(受信部と通信可能な位置)に保持できる。また、一実施形態のトナー収容容器は、トナーボトル110のセット方向にICチップ130が配置できずトナーボトル110の回転軸に対して直角方向にICチップを配置した構成においても、ICチップ130とレシーバ210とを接触させることが可能である。
【0043】
また、一実施形態のトナー収容容器100は、ホルダ120を嵌合部220へセットする途中で、誘導部140の平行部と嵌合部220のガタツキを抑えることで回転方向を規制する。具体的には、ホルダ120のICチップ130側にある矢尻形状150の厚みと画像形成装置のガイド200の上下にある横ガイド形状240で左右方向のガタツキを規制する。このようにすると、トナー収容容器100がセットされる直前の数ミリメートルの範囲は、ガタツキなくまっすぐにセットすることが可能なる。これにより、穴あきICチップ130にレシーバ210の突起を精度よく挿入できる。
【0044】
次に、ホルダ120が有するレバー形状160について説明する。
図5に示すように、ホルダ120は、誘導部140の平行面143、144と平行し、ホルダ120の外形となる複数の外形面を有する。ホルダ120は、少なくとも一つの外形面に、弾性変形可能な弾性変形部としてのレバー形状160を有する。
【0045】
レバー形状160は、ガイド200が有する凹形状250と掛かり合い、誘導部の設置位置を保持する。レバー形状160は、例えば、板バネ形状になっており、三角形の凸部を押されるとたわむため、凹形状250と嵌め合い、ホルダ120をガイド200に固定することができる。
図10は、レバー形状と凹形状との掛かり合いを説明する図である。
図10左側の図では、レバー形状160が押される前の状態を示し、レバー形状160が押される位置を矢印で示している。ホルダ120がガイド200へ挿入されるときに、レバー形状160は、凹形状250の端部で押され、凹形状250の端部を乗り越える。
レバー形状(上部レバー形状)161は、凹形状(上部凹形状)251と掛かり合い、レバー形状(下部レバー形状)162は、凹形状(下部凹形状)261と掛かり合う。
図10右側の図では、レバー形状160が矢印の方向へ伸び、凹形状250にロックされた状態を示す。
【0046】
トナー収容容器100は、レバー形状160と凹形状250とによるロック機構(ロック形状)を有することで、ホルダ120がガイド200から抜けることを防止することができる。
なお、
図5に示すレバー形状160と、
図7に示す凹形状250との数は一例であり、これに限られるわけではない。
【0047】
次に、ガイド200の変形例について説明する。
導入部230は、二つのテーパー形状の少なくとも一方を、可動する機構を有するレバー部材を用いる可動テーパー部としてもよい。
図11は、導入部が有するテーパー形状の変形例を説明する図であり、テーパー形状のうち下側傾斜面232を可動テーパー部260に変更したガイド201の例を示す。
図11において、(A)は、可動テーパー部260をガイド200から取り外した状態を示し、(B)は可動テーパー部260の動作例を示す。
可動テーパー部260は、誘導部140と嵌合部220とが嵌め合ったときに、誘導部140の端部と掛かり合う凸形状261を有する。
可動テーパー部260は、ガイド201に設けられた回転支点262を中心に所定の範囲で回転可能に設けられる。
【0048】
凸形状261は、誘導部140を設定(固定)する方向に付勢され、誘導部140が嵌合部220へ導かれるときには、設定する方向とは反対方向に動く。
図11に示す可動テーパー部260は、圧縮スプリングでロック方向(誘導部140を設置する方向)に規制されている。
ホルダ120の誘導部140をセット時に可動テーパー部260の凸形状261が押されてレバーが下がりホルダ120が嵌合部220に案内される。
誘導部140の後端が凸形状261を乗り越えた後、圧縮スプリングでロックされる。
【0049】
図8、9を参照して、ICチップ130が下向き90度程度および上向き90度程度までガイド可能となることを説明したが、さらに、ガイド可能なICチップ130の位置の範囲を広げることが望まれる。そこで、一実施形態のトナー収容容器100は、ホルダ120に、ICチップの位置を調整する機能を設ける。以下、各実施形態で説明する。
【0050】
実施形態1.
図12は、実施形態1のホルダの構成例を説明する図であり、(A)はトナーボトルホルダ122とICチップホルダ123とを一体化させた状態の図であり、(B)はトナーボトルホルダ122とICチップホルダ123とを分離して説明する図である。
図13は、
図12のホルダの結合状態を説明する図である。
図13では、ホルダ120は、回転軸121を通る断面の一例を示し、トナーボトル110は外形を示している。
【0051】
ホルダ120は、第1保持部としてのトナーボトルホルダ122と、第2保持部としてのICチップホルダ123とを有する。
トナーボトルホルダ122は、トナーボトル110の端部に配置され、トナーボトル110に保持される。
ICチップホルダ123は、トナーボトルホルダ122に保持され、トナーボトルホルダ122に対して回転自在である。また、ICチップホルダ123は、ICチップ130を保持する。
ICチップホルダ123とトナーボトルホルダ122とは、それぞれが独立して回転軸121を中心に回転可能な状態で、回転軸121の中心で一体化されている。ICチップホルダ123とトナーボトルホルダ122との少なくとも一方は、回転中心部には回転効率を高めるためにベアリング等を配置しても良い。
【0052】
また、トナーボトルホルダ122がICチップホルダ123を保持する位置は、トナーボトル110がトナーボトルホルダ122を保持する位置より、回転の中心に近いことが好ましい。
このようにすると、ICチップホルダ123が回転中心に近い側で保持されることで回転トルクが小さくなり、回転抵抗を下げることができる。
【0053】
本実施形態によると、ユーザーがトナー収容容器100をガイド200に挿入するときの挿入力よる回転とは別に、トナーボトルホルダ122と独立してICチップホルダ123を回転させ、ICチップ130の位置を移動させることができる。これにより、ICチップ130を精度よく設置位置に案内することが可能になる。
また、トナーボトルホルダ122とICチップホルダ123との回転中心がトナーボトルの回転中心と一致していることにより、ホルダ120が回転してもトナーボトル110の外形より外側に部品が飛び出さない。
【0054】
実施形態2.
実施形態2では、実施形態1のホルダに、自重により自動回転する機能を加えた構成例を説明する。
ホルダ120が有するICチップホルダ123は、回転の中心となる回転軸121から離れた位置に重心を有し、自重により回転すると重心が回転の中心より下側に移動するように構成される。
また、ホルダ120は、ICチップホルダ123に対するトナーボトルホルダ122の回転抵抗力が、回転軸121が水平になる姿勢において、ICチップホルダ123の重心が重力によって回転中心の下側に移動し得る回転抵抗力であるように構成されるとよい。
このようにすると、自重により自動回転することで、ICチップ130をレシーバ210と対向する位置に移動させることができる。
以下、
図14から
図20を参照して自重により回転するICチップホルダの一例について説明する。
【0055】
図14は、実施形態2のホルダが有するICチップホルダの一例を説明する図である。
図14では、ホルダ120AのICチップホルダ123Aに、回転の中心から離れた一箇所に重り170を設け、重心を変更する例を説明する。
ICチップホルダ123Aの重心は、重り170により回転中心から離れた位置とする。ICチップホルダ123Aは、重り170により自動回転し、ICチップ130がレシーバ210と対向する位置にくるようになる。
【0056】
図14において、(B)は重り170が下側の状態でありICチップ130がレシーバ210と対向する位置とする。(A)は重りが左側、(C)は重りが右側であり、自重によりICチップホルダ123Aが矢印で示す方向に回転するため、ICチップ130がレシーバ210と対向する位置に移動する。
例えば、ユーザーがICチップホルダ123Aの重心位置が回転中心の下側にある状態でトナー収容容器を画像形成装置にセットする向きに向けると、ICチップ130が画像形成装置のレシーバ210と対向する方向を向くようになる。
このようにして、ICチップ130を所定の向きに移動させることができる。また、ICチップ130とレシーバ210が対向することで、ホルダ120Aのガイドにより正確にICチップ130とレシーバ210とを接続することができる。
【0057】
図14に示す重り170は、例えば、磁性体(例えば、鉄や磁石)を用いることができる。
重り170に磁石を用いるときには、ICチップホルダ123Aの重力方向の最下部に、重り170を配置することが好ましい。
また、トナーボトル110に収容するトナーがプレミックストナー(トナーとキャリアが混ざったトナー)の場合、キャリアが磁石に引き付けられないようにトナーボトル110の供給口と磁石との距離を、キャリアを置いても磁石に引き付けられない距離となるように、十分に確保する必要がある。また、トナーボトル110から現像装置への補給経路と磁石との距離も、同様に十分に離しておく必要がある。従って、例えば、トナー収容容器100のトナー供給口がある側の端部と反対側の端部にICチップホルダ123Aを配置し、ICチップ130と、重り170としての磁石を設けることが好ましい。このような事情から、磁石は、例えば、
図14に示す重り170の位置に配置するとよい。
【0058】
ここで、重り170に磁性体と引き合う磁石を、ガイドに設置する場合について説明する。
図15は、案内部に磁石を設けたガイドの一例を説明する図である。
図15では、ガイド200Aの上側傾斜面231、下側傾斜面232の入口近傍に磁石271、272を配置した例を示す。
このようにすると、ICチップホルダ123Aの重り170として配置した磁性体と、磁石271、272とにより、ICチップホルダ123Aを所定の向きに回転させることができる。
【0059】
図16は、重心を変更したICチップホルダ123Bの他の例を説明する図である。
ホルダ120Bは、ICチップホルダ123Bを、回転の中心を通る直線で二分したときに、一方を他方より重くする構成例である。
図16には、ICチップホルダ123Bの上側の一部分を切り抜くなどにより取り除いて軽くして開口部124を設け、下側は切り抜くことをしないで上側より重くする。
このようにすると、一部分を切り抜いている上側が軽く、下側が重いため、重りなどが無くてもカバーだけの偏重心でICチップホルダ123Bが自動回転し、ICチップ130をレシーバ210と対向する位置に移動させることができる。
また、ICチップホルダは、上側を軽くすることにかえて、下側だけを厚肉にして下側を重くする構成としても良い。
【0060】
次に、ICチップ130を重りとして用いる例を説明する。
図17から
図20は、実施形態2のホルダのさらに他の例を説明する図であり、この変形例では、ICチップ130を重りとして用いる位置に配置する。また、ガイドに設置するレシーバ210を、重りとして用いるICチップ130と対向する位置に配置する。
図17は、ICチップにより重心を変更するトナー収容容器の一例を説明する概略図である。
図17は、
図4と同様にICチップが配置される側から見た側面の一部分を示す。
図18は、
図17ホルダを説明する図である。
図19は、ICチップにより重心を変更するガイドの一例を説明する概略図である。
図20は、
図19のガイドを説明する斜視図である。
【0061】
ホルダ120Cは、ICチップホルダ123Cの下側にICチップ130を配置する。
ガイド200Cは、レシーバ210を、ICチップ130と対向する位置に配置する。
このようにすると、ICチップホルダ123Cは、ICチップ130の重さで自重回転し、ICチップ130がレシーバ210と対向する位置に移動させることができる。
【0062】
実施形態3.
上記各実施形態では、ホルダ120は、トナーボトルホルダ122とICチップホルダ123とを有する構成例を説明したが、本実施形態では、一つのホルダにより構成される例を説明する。
実施形態3のトナー収容容器は、収容容器本体としてのトナーボトルと、ホルダと、ホルダに保持されるICチップとを有する。
【0063】
図21は、実施形態3のホルダの構成例を説明する図である。
図21では、ホルダ120Dは、トナーボトル110Dの回転中心軸111を通る断面の一例を示し、トナーボトル110Dは外形を示している。トナーボトル110Dの回転中心軸111は、ホルダ120Dの回転の中心となる。
トナーボトル110Dは、トナーを収容し、回転することでトナーを搬送する。
ホルダ120Dは、トナーボトル110Dの端部に配置され、トナーボトル110Dの回転中心に位置する回転中心軸111に保持され回転中心から離れた位置に重心を有する。
【0064】
ホルダ120Dは、ホルダ本体125、誘導部140を有する。
ホルダ本体125は、トナーボトル110Dの回転中心に位置する回転中心軸111に保持され回転中心から離れた位置に重心を有するように構成される。ホルダ本体125は、上記各実施形態のICチップホルダ123と同様に構成することにより、重心を調整することができる。
また、ホルダ120Dは、矢尻形状150を有するとよい。
【0065】
このようにすると、ホルダ本体125が回転中心に近い側で保持されることで回転トルクが小さくなり、回転抵抗を下げることができる。
具体的には、回転嵌合部をトナー排出口の外周ではなく、回転嵌合部を回転中心位置に設けることで摺動半径が小さくなり回転トルクを最小限にすることができる。さらに、ブロー成型(加工精度が射出成型よりも劣り、また使用できる材質も限られる。摺動性樹脂はブロー成型に向かない。)のトナーボトルの外側に射出成型のトナーボトルホルダを設けることで、トナーボトルホルダとICチップホルダを共に摺動性樹脂にし、回転摺動抵抗の少ない嵌合形状を精度良く作ることができる。
【0066】
以上説明したように、一実施形態のトナー収容容器100は、ICチップホルダ123がトナーボトルホルダ122に対し独立して回転することを特徴とする。また、ICチップホルダ123は、重心を回転中心と離れた位置に設けることで、ホルダ120がどのようにセットされても、偏重心により重心位置が回転中心の下側に来るように自重によって回転することができる。さらに、トナーボトルホルダ122とICチップホルダ123とは回転中心にて互いに独立して回転可能な状態で一体化している。例えば、回転軸とベアリング等で回転可能な状態で一体化している。加えて、トナーボトルホルダ122とICチップホルダ123との回転中心は、トナーボトルの回転中心と一致している。
【0067】
このようにすることにより、トナーボトル110がどのようにセットされてもICチップ130とレシーバ210とが正対する位置にICチップホルダ123が自動で回転することができる。加えて、ホルダ120に誘導部140が設けられているため、ICチップ130とレシーバ210との位置が多少ずれていても、位置を正確に合わせることが可能となる。その結果、部品の位置や寸法のばらつきを吸収しやすい構成となっている。
例えば、回転体のトナーボトルに対して回転中心軸と直角方向にICチップを配置する構成において、ユーザーが画像形成装置側のレシーバに向きを合わせてセットする作業がなく、ICチップの位置を精度よく設置位置までガイドすることで、破損させることなく穴空きICチップをレシーバに挿せ、セット後はボトルの回転に対してICチップを一定の位置に保持することができる。
また、上記各実施形態では、ガイド形状が小さく、少しでも重心位置や部品寸法がずれてしまうと正確に挿入するのが困難になるという問題を解消することができる。
【0068】
なお、本発明は上記に示す実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施形態の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。例えば、
図15のガイド200Aの構成例は、
図11に示すガイド201を用いることもできる、
図20のガイド200Cも同様である。また、上記各実施形態において、ホルダ120は、
図10に示すレバー形状161、162を設けていない場合であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
100 トナー収容容器
110、100D トナーボトル(収容容器本体)
111 回転中心軸
120、120A~120D ホルダ(ホルダ部)
121 回転軸
122 トナーボトルホルダ(第1保持部)
123、123A~123C ICチップホルダ(第2保持部)
124 開口部
125 ホルダ本体
130 ICチップ(電子部品)
131 穴形状
140 誘導部
141 延伸形状
142 半円形状
143、144 平行面
170 重り
200、201、200A、200C ガイド(ガイド部)
210 レシーバ
211 突起形状
220 嵌合部
230 導入部
231 上側傾斜面
232 下側傾斜面
260 可動テーパー部
261 凸形状
262 回転支点
271、272 磁石
500 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】