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特許7444607ジベンゾフランおよび/またはジベンゾチオフェン構造を有する複素環式化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ジベンゾフランおよび/またはジベンゾチオフェン構造を有する複素環式化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 405/14 20060101AFI20240228BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20240228BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20240228BHJP
   C07D 491/048 20060101ALI20240228BHJP
   C07D 491/147 20060101ALI20240228BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240228BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20240228BHJP
   C09K 11/06 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
C07D405/14 CSP
C07D409/14
C07D471/04 112A
C07D471/04 112T
C07D491/048
C07D491/147
H05B33/14 B
H05B33/22 B
C09K11/06 690
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019503767
(86)(22)【出願日】2017-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2017058176
(87)【国際公開番号】W WO2017178311
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-04-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】16164690.6
(32)【優先日】2016-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】アミール、パルハム
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、エバール
(72)【発明者】
【氏名】アンニャ、ヤッシュ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス、グロスマン
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス、クローバー
【合議体】
【審判長】阪野 誠司
【審判官】瀬良 聡機
【審判官】野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/069442(WO,A1)
【文献】特開2012-49518(JP,A)
【文献】特開2014-103103(JP,A)
【文献】国際公開第2015/169412(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/015810(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/140073(WO,A1)
【文献】特開2013-45865(JP,A)
【文献】国際公開第2016/198144(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D,C09K,H05B
REGISTRY/CAPLUS STN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)の構造を含んでなる化合物。
【化1】

(式中、使用される記号は、以下の通りである:
qは、0であり、
Yは、OまたはSであり、
、Qは、それぞれのケースにおいて独立に、式(Q-14)、(Q-15)、(Q-16)、(Q-17)、および/または(Q-18)の構造から選択される電子輸送基であり:
【化2】

式中、点線は接続位置を示し、
mは、0、1、2、3、または4であり;
nは、0、1、2または3であり;
Arは、6~40の炭素原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、5~60の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、5~60の芳香族環原子を有する、アラルキル基であり、ここで、2以上の隣接するRおよび/またはR置換基が、所望により、単環状もしくは多環状の、1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、脂肪族環系を形成していてもよく;
、Lは、結合、または6~30の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族環系であり;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、D、F、Cl、Br、I、B(OR、CHO、C(=O)R、CR=C(R、CN、C(=O)OR、C(=O)N(R、Si(R、N(R、NO、P(=O)(R、OSO、OR、S(=O)R、S(=O)、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH基が、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=S、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOまたはSOによって置きかえられていてもよく、かつここで1以上の水素原子がD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置きかえられていてもよい)、または5~40の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上の隣接するR置換基が、共に、単環状もしくは多環状の、脂肪族または芳香族環系を形成していてもよく;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、B(OR、CHO、C(=O)R、CR=C(R、CN、C(=O)OR、C(=O)N(R、Si(R、N(R、NO、P(=O)(R、OSO、OR、S(=O)R、S(=O)、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH基が、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=S、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOまたはSOによって置きかえられていてもよく、かつここで1以上の水素原子がD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置きかえられていてもよい)、または5~40の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上の隣接するR置換基が、共に、単環状もしくは多環状の、脂肪族または芳香族環系を形成していてもよく;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、または1~20の炭素原子を有する、脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族ヒドロカルビルラジカル(ここで、水素原子がFによって置きかえられていてもよい)であり;同時に、2以上の隣接するR置換基が、共に、単環状もしくは多環状の、脂肪族または芳香族環系を形成していてもよい)
【請求項2】
前記化合物が式(IIa)で示されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化3】

(式中、
記号Y、L、L、Q、Q、Rおよびqは、請求項1に記載の意味を有する)
【請求項3】
mは0、1または2であり、かつnは0または1であることを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Arが、6~12の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカル(ここで、Rラジカルは請求項1に記載の意味を有する)によって置換されていてもよい、芳香族環系であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、カルバゾールおよび/またはトリアリールアミン基を含まないことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が正孔輸送基を含まないことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の1以上の化合物を含む、オリゴマー、ポリマー、またはデンドリマーであって、前記化合物の、前記ポリマー、オリゴマー、またはデンドリマーへの、1以上の結合が存在する、オリゴマー、ポリマー、またはデンドリマー。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物および/または請求項7に記載のオリゴマー、ポリマー、もしくはデンドリマー、および蛍光発光体、燐光発光体、ホスト材料、マトリックス材料、電子輸送材料、電子注入材料、正孔伝導材料、正孔注入材料、n-ドーパント、ワイドバンドギャップ材料、電子ブロック材料、および正孔ブロック材料からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる化合物を含んでなる組成物。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、請求項7に記載のオリゴマー、ポリマー、もしくはデンドリマー、および/または請求項8に記載の少なくとも1つの組成物、および少なくとも1つの溶剤を含んでなる配合物。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物または請求項7に記載のオリゴマー、ポリマー、もしくはデンドリマーを調製する方法であって、カップリング反応において、少なくとも1つの電子輸送基を含んでなる化合物が、少なくとも1つのベンゾフランおよび/またはベンゾチオフェンラジカルを含んでなる化合物と結合されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、請求項7に記載の、オリゴマー、ポリマー、もしくはデンドリマー、または請求項8に記載の組成物の、電子素子における、正孔ブロック材料、電子注入材料および/または電子輸送材料としての使用。
【請求項12】
請求項1~6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、請求項7に記載の、オリゴマー、ポリマー、もしくはデンドリマー、または請求項8に記載の組成物を含んでなる電子素子。
【請求項13】
前記電子素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池、有機光検出器、有機感光体、有機電場消光素子、発光電子化学電池、および有機レーザーダイオードからなる群から選択される、請求項12に記載の電子素子。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、電子輸送基で置換された、特に電子素子に使用するための、ジベンゾフランおよび/またはジベンゾチオフェン誘導体を記載する。本発明はさらに、本発明の化合物の製造方法およびこれらの化合物を含んでなる電子素子に関する。
【0002】
有機半導体が機能材料として使用されている有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)の構造は、例えば、US4539507、US5151629、EP0676461およびWO98/27136に記述されている。使用される発光材料は多くの場合、燐光を発する有機金属錯体である。量子力学的な理由で、燐光発光体として有機金属化合物を使用すると、最大4倍のエネルギー効率と出力効率が可能である。一般的にはまだ、OLEDにおいて、特に燐光を発するOLEDにおいても、例えば、効率、動作電圧および寿命に関して改善が求められている。
【0003】
燐光OLEDの特性は、使用される三重項発光体発光体によってのみ決定されるわけではない。より具体的には、特に重要であるのは、使用される他の材料、例えば、マトリックス材料、である。これらの材料に対する改善は、OLED特性の明確な改善をもたらすことができる。
【0004】
先行技術によれば、他の材料のうち、カルバゾール誘導体(例えばWO2014/015931による)、インドロカルバゾール誘導体(例えばWO2007/063754またはWO2008/056746による)またはインデノカルバゾール誘導体(例えばWO2010/136109またはWO2011/000455による)、特に電子欠損ヘテロ芳香族(例えばトリアジン)によって置換されているもの、が燐光発光体のマトリックス材料として使用される。さらに、例えば、ビスジベンゾフラン誘導体(例えばEP2301926による)は、燐光発光体のマトリックス材料として使用される。WO2013/077352は、トリアジン基が二価のアリーレン基を介してジベンゾフラン基に結合されているトリアジン誘導体を開示する。これらの化合物は、正孔ブロック材料として記載される。これらの化合物の燐光発光体のホストとしての使用は開示されてない。さらに、EP2752902は、ジベンゾフランおよびジベンゾチオフェン構造を有する複素環式化合物を開示する。しかしながら、ジベンゾフランおよびジベンゾチオフェン構造は、他の複素環へのちょうど1つの結合サイトを有するものであり、つまり、一置換のみのものである。類似の化合物は、KR20130115160によりさらに知られている。
【0005】
一般的に、マトリックス材料として使用されるこれらの材料の場合、依然として、素子の改善、特に寿命に関してだけでなく、効率や動作電圧に関しても改善が求められている。
【0006】
本発明の目的は、燐光または蛍光OLEDにおける、特にマトリックス材料としての使用に適する化合物を提供することである。より具体的には、赤色、黄色、および緑色燐光OLED、ならびに場合によっては青色の燐光OLEDに適切であり、長寿命、良好な効率および低い動作電圧をもたらす、マトリックス材料を提供することが本発明の目的である。特にマトリックス材料の特性は、有機エレクトロルミネッセンス素子の寿命および効率に本質的な影響を与える。
【0007】
さらに、本化合物は、非常に簡単な手法で加工することができ、特に、良好な溶解性および膜形成性を示さなければならない。例えば、本化合物は、加熱時の酸化安定性および改善されたガラス転移温度を示さなければならない。
【0008】
さらなる目的は、非常に安価でかつ一定の品質で、優れた性能を備えた電子素子を提供することにある。
【0009】
また、電子素子は、多くの目的のために使用する、または適合させることができなければならない。さらに特に、電子素子の性能は、広い温度範囲で維持されなければならない。
【0010】
驚くべきことに、以下の式(I)の化合物を含んでなる化合物を含む素子は、特に、燐光ドーパントのマトリックス材料として使用される場合に、先行技術に比べて、改良をもたらすことが見出された。
【0011】
よって、本発明は、以下の式(I)の構造を含んでなる化合物を提供するものである:
【化1】
式中、使用される記号は以下のとおりである:
Yは、OまたはSであり、
Xは、出現毎に同一であるかまたは異なり、NまたはCR、好ましくはCR、であり、ただし、1つの環中のX基の2以下がNであり、かつCがL基の結合サイトであり;
、Qは、それぞれのケースにおいて独立に、電子輸送基であり;
、Lは、結合または5~30の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、B(OR、CHO、C(=O)R、CR=C(R、CN、C(=O)OR、C(=O)N(R、Si(R、N(R、NO、P(=O)(R、OSO、OR、S(=O)R、S(=O)、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH基が、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=S、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOまたはSOによって置きかえられていてもよく、かつここで1以上の水素原子がD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置きかえられていてもよい)、または5~40の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上の隣接するR置換基が、共に、単環状もしくは多環状の、脂肪族または芳香族環系を形成していてもよく;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、B(OR、CHO、C(=O)R、CR=C(R、CN、C(=O)OR、C(=O)N(R、Si(R、N(R、NO、P(=O)(R、OSO、OR、S(=O)R、S(=O)、1~40の炭素原子を有する、直鎖の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基または3~40の炭素原子を有する、分岐もしくは環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH基が、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=S、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、NR、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOまたはSOによって置きかえられていてもよく、かつここで1以上の水素原子がD、F、Cl、Br、I、CNまたはNOによって置きかえられていてもよい)、または5~40の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~40の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの系の組み合わせであり;同時に、2以上の隣接するR置換基が、共に、単環状もしくは多環状の、脂肪族または芳香族環系を形成していてもよく;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、または1~20の炭素原子を有する、脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族ヒドロカルビルラジカル(ここで、水素原子がFによって置きかえられていてもよい)であり;同時に、2以上の隣接するR置換基が、共に、単環状もしくは多環状の、脂肪族または芳香族環系を形成していてもよい。
【0012】
本発明の文脈において、隣接する炭素原子は、互いに直接結合している炭素原子である。さらに、ラジカルの定義中で、「隣接するラジカル」は、これらのラジカルが同じ炭素原子または隣接する炭素原子に結合していることを意味する。これらの定義は、同様に、特に、用語「隣接する基」および「隣接する置換基」に適用される。
【0013】
2以上のラジカルが互いに環を形成してもよいという表現は、本発明の文脈において、特に、2つのラジカルが、2つの水素原子の形式的除去下で、化学結合によって互いに連結されていることを意味するものと解される。これは、以下のスキームにより例示される:
【化2】
【0014】
さらに、しかしながら、上記の表現はまた、2つのラジカルのうちの1つが水素である場合、2つ目のラジカルが水素原子の結合された位置に結合し、環を形成することを意味するものと解される。これは、以下のスキームにより例示される:
【化3】
【0015】
本発明の文脈において、縮合アリール基は、1つの共通辺を介して2以上の芳香族基が互いに縮合している、すなわち縮環している、例えば、2つの炭素原子が、例えば、ナフタレンにおけるように、少なくとも2つの芳香族もしくはヘテロ芳香族環に属している基である。対照的に、例えば、フルオレンは、フルオレン中の2つの芳香族基が共通辺を有していないので、本発明の文脈においては縮合アリール基ではない。
【0016】
本発明の文脈において、アリール基は、6~40の炭素原子を含み;本発明の文脈において、ヘテロアリール基は、2~40の炭素原子と少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ただし、炭素原子とヘテロ原子の合計が少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択される。アリール基もしくはヘテロアリール基は、ここでは単一の芳香環、すなわちベンゼン、または単一のヘテロ芳香族環、例えばピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または縮合した、アリールもしくはヘテロアリール基、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等を意味するものと解される。
【0017】
本発明の文脈において、芳香族環系は、環系中に6~40の炭素原子を有する。本発明の文脈において、ヘテロ芳香族環系は、環系中に、1~40の炭素原子と少なくとも1つのヘテロ原子を含み、ただし、炭素原子とヘテロ原子の合計が少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択される。本発明の文脈において、芳香族もしくはヘテロ芳香環系は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含むのではなく、その中で2以上の、アリールもしくはヘテロアリール基が非芳香族単位(H以外の原子が好ましくは10%未満)、例えば、炭素、窒素もしくは酸素原子またはカルボニル基によって遮断されていることもできる系を意味するものと解されるべきである。例えば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等の系もまた、本発明の文脈において、芳香族環系とみなされ、また、その中に2以上のアリール基が、例えば、直鎖状もしくは環状の、アルキル基で、またはシリル基で遮断されている系も同様である。さらに、2以上の、アリールもしくはヘテロアリール基が互いに直接結合している系、例えば、ビフェニル、テルフェニル、クウォーターフェニルもしくはビピリジンは、同様に芳香族もしくはヘテロ芳香族環系とみなされる。
【0018】
本発明の文脈において、環状の、アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基は、単環式、二環式もしくは多環式の、基を意味するものと解される。
【0019】
本発明の文脈において、その中で個々の、水素原子もしくはCH基が、上述の基によって置換されていてもよいC~C20のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、シクロプロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、シクロブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチル、2-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、t‐ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、1-メチルシクロペンチル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、シクロヘプチル、1-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、シクロオクチル、1-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-(2,6-ジメチル)オクチル、3-(3,7-ジメチル)オクチル、アダマンチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1-ジメチル-n-ヘキサ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘプタ-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタ-1-イル、1,1-ジメチル-n-デセ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ドデセ-1-イル、1,1-ジメチル-n-テトラデセ-1-イル、1,1-ジメチル-n-ヘキサデセ-1-イル、1,1-ジメチル-n-オクタデセ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘプタ-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタ-1-イル、1,1-ジエチル-n-デセ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ドデセ-1-イル、1,1-ジエチル-n-テトラデセ-1-イル、1,1-ジエチル-n-ヘキサデセ-1-イル、1,1-ジエチル-n-オクタデセ-1-イル、1-(n-プロピル)シクロヘキサ-1-イル、1-(n-ブチル)シクロヘキサ-1-イル、1-(n-ヘキシル)シクロヘキサ-1-イル、1-(n-オクチル)シクロヘキサ-1-イル、および1-(n-デシル)シクロヘキサ-1-イルラジカルを意味するものと解される。アルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、またはシクロオクタジエニルを意味するものと解される。アルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、またはオクチニルを意味するものと解される。C~C40のアルコキシ基は、例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、または2-メチルブトキシを意味するものと解される。
【0020】
5~40の芳香族環原子を有し、それぞれの場合において上述のラジカルによって置換されていてもよく、また任意の所望の位置で、芳香族もしくはヘテロ芳香族系に結合していてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系は、例えば、次のものから誘導される基を意味するものと解される:ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンゾフルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、ターフェニル、ターフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、シス-もしくはトランス-モノベンゾインデノフルオレン、シス-もしくはトランス-ジベンゾインデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントリミダゾール、ピリジミダゾール、ピラジニミダゾール、キノキサリニミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、およびベンゾチアジアゾール。
【0021】
好ましい構成において、本発明の化合物は、式(II)の構造を形成していてもよい。
【化4】
式中、
記号X、Y、L、L、QおよびQは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有する。
【0022】
さらに、式(I)または(II)において、X基の2以下がNであり、好ましくはX基の1以下がNであり、そして好ましくは、全てのXがCRであり、ここでXが示すCR基のうち、好ましくは最大4、より好ましくは最大3、特に好ましくは最大2がCH基ではないことを特徴とする化合物が好ましい。
【0023】
さらに、式(I)、および/または(II)において、X基のRラジカルが、ベンゾフランおよび/またはベンゾチオフェン構造の環原子と、縮合環系を形成しないケースであってよい。これは、Rラジカルに結合されていてもよい任意のR、R置換基との縮合環系の形成を包含する。式(I)および/または(II)において、X基のRラジカルがベンゾフランおよび/またはベンゾチオフェン構造の環原子と環系を形成しないようにすることが好ましい。これは、Rラジカルに結合されていてもよい任意のR、R置換基との環系の形成を包含する。
【0024】
好ましくは、本発明の化合物は、式(Ia)の構造を含んでいてもよい。
【化5】
式中、記号Y、R、L、L、QおよびQは、上記、特に式(I)および/または(II)、に記載の意味を有し、かつqは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0025】
さらなる構成において、本発明の化合物は、式(IIa)の構造を含んでいてもよい。
【化6】
式中、記号Y、R、L、L、QおよびQは、上記、特に式(I)および/または(II)、に記載の意味を有し、かつqは、0、1または2、好ましくは0または1である。
【0026】
さらに、式(Ia)および/または(IIa)において、ベンゾフランおよび/またはベンゾチオフェン構造のR置換基が、ベンゾフランおよび/またはベンゾチオフェン構造の環原子と、縮合環系を形成しないケースであってよい。これは、Rラジカルに結合されていてもよい、任意のR、R置換基との縮合環系の形成を包含する。式(Ia)および/または(IIa)において、ベンゾフランおよび/またはベンゾチオフェン構造のR置換基がベンゾフランおよび/またはベンゾチオフェン構造の環原子と環系を形成しないようにすることが好ましい。これは、Rラジカルに結合されていてもよい、任意のR、R置換基との環系の形成を包含する。
【0027】
好ましい構成において、式(I)、(II)および/または(IIa)の構造を含んでなる化合物は、式(I)、(II)および/または(IIa)の構造で表すことができ、特に好ましくは、式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)の化合物である。好ましくは、式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)の構造を含んでなる化合物は、5000g/モル以下、好ましくは4000g/モル以下、特に好ましくは3000g/モル以下、特別に好ましくは2000g/モル以下、そして最も好ましくは1200g/モル以下の分子量を持つ。
【0028】
さらに、本発明の好ましい化合物の特徴は、それらが昇華性であることである。これらの化合物は一般に、約1200g/モル未満のモル質量を持つ。
【0029】
およびQ基は、電子輸送基である。これらの基は、技術分野において、広く知られており、化合物が、電子を輸送および/または伝導することを促進する。
【0030】
さらに、式(I)の化合物は、式(I)、(II)、(Ia)および/または(IIa)において、Qおよび/またはQ基が、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、キナゾリン、キノキサリン、キノリン、イソキノリン、イミダゾール、および/またはベンゾイミダゾールの群から選択される、少なくとも1つの構造を含んでなる場合に驚くべき利点を示す。
【0031】
さらに好ましくは、好ましくはQおよび/またはQ基の少なくとも1つ、好ましくは両方が、5~24の環原子を有する、ヘテロ芳香族環系(ここで、環原子は少なくとも1つの窒素原子を含み、かつ環系は1以上のRラジカル(Rは上記、特に式(I)、に記載の意味を有する)によって置換されていてもよい)であることを特徴とする化合物である。
【0032】
さらなる構成において、とりわけ式(I)、(II)、(Ia)および/または(IIa)に記載されたQおよび/またはQ基の少なくとも1つ、好ましくは両方が、ヘテロ芳香族環系(ここで、環原子は1~4の窒素原子を含み、かつ環系は1以上のRラジカル(Rは上記、特に式(I)、に記載の意味を有する)によって置換されていてもよい)であるケースであってもよい。
【0033】
さらに、とりわけ式(I)、(II)、(Ia)および/または(IIa)に記載されたQおよび/またはQ基の少なくとも1つ、好ましくは両方が、6~10の環原子を有し、かつ1以上のRラジカル(Rは上記、特に式(I)、に記載の意味を有する)によって置換されていてもよい、ヘテロ芳香族環系であるケースであってもよい。
【0034】
好ましくは、とりわけ式(I)、(II)、(Ia)および/または(IIa)に記載されたQおよび/またはQ基が、式(Q-1)、(Q-2)および/または(Q-3)の構造から選択されてもよい。
【化7】
式中、記号XおよびRが、上記、特に式(I)、に記載の意味を有し、点線は接続位置を示し、かつ、Arは、6~40の炭素原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族またはヘテロ芳香族環系、5~60の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アリールオキシ基、または5~60の芳香族環原子を有し、かつそれぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アラルキル基(ここで、2以上の隣接すRおよび/またはR置換基は、所望により、単環状もしくは多環状の、脂肪族環系(これは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで、RおよびRは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有する)を形成していてもよい)である。
【0035】
さらなる形態において、とりわけ式(I)、(II)、(Ia)および/または(IIa)に示される、Qおよび/またはQ基は、式(Q-4)、(Q-5)、(Q-6)、(Q-7)、(Q-8)、(Q-9)、(Q-10)、(Q-11)、(Q-12)および/または(Q-13)の構造から選択される。
【化8-1】
【化8-2】
式中、記号ArおよびRは、上記、とりわけ式(I)および(Q-1)、に記載の意味を有し、点線は接続位置を示し、かつlは、1、2、3、4または5、好ましくは0、1または2であり、mは0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2であり、かつnは、0、1、2または3、好ましくは0または1である。
【0036】
さらに、とりわけ式(I)、(II)、(Ia)および/または(IIa)に示されるQおよび/またはQ基は、式(Q-14)、(Q-15)、(Q-16)および/または(Q-17)の構造から選択されるケースであってもよい。
【化9】
式中、記号ArおよびRは、上記、とりわけ式(I)および(Q-1)、に記載の意味を有し、点線は接続位置を示し、かつmは0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2,であり、かつnは0、1、2または3、好ましくは0または1である。
【0037】
好ましくは、記号Arは、アリールまたはヘテロアリールラジカルであり、芳香族またはヘテロ芳香族環系の芳香族もしくはヘテロ芳香族基が、さらなる基のそれぞれの原子(例えば、上記に示される(Q-1)~(Q-17)基の炭素または窒素原子)に直接(つまり芳香族またはヘテロ芳香族基を介して)結合される。
【0038】
本発明のさらに好ましい形態において、Arは出現毎に同一であるかまたは異なり、6~24の芳香族環原子、好ましくは6~18の芳香族環原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族環系であり、より好ましくは、6~12の芳香族環原子を有する芳香族環系または6~13の芳香族環原子を有するヘテロ芳香族環系であり、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。ここで、Rは上記、特に式(I)、に記載の意味を有していてもよい。適切なAr基の基は、フェニル、オルト-、メタ-、またはパラ-ビフェニル、ターフェニル、特に分岐ターフェニル、クオーターフェニル、特に分岐クオーターフェニル、1-、2-、3-または4-フルオレニル、1-、2-、3-または4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-または4-ジベンゾチエニル、および1-、2-、3-または4-カルバゾイルからなる群から選択され、これらのそれぞれは1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0039】
有利には、式(Q-1)~(Q-17)のArは、6~12の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換の、芳香族環系である。ここで、Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有していてもよい。
【0040】
好ましくは、式(Q-1)~(Q-17)のRラジカルは、Rラジカルが結合されるアリール基またはヘテロアリール基Arの環原子とともに、主縮合環を形成しない。これは、Rラジカルに結合されていてもよい任意のR置換基とともに縮合環系を形成することを含む。
【0041】
さらに、式(I)、(II)、(Ia)および/または(IIa)の化合物は、Qおよび/またはQ基が、式(Q-18)、(Q-19)、(Q-20)、(Q-21)、(Q-22)、(Q-23)、(Q-24)、(Q-25)、(Q-26)、(Q-27)および/または(Q-28)の構造から選択されるところで、驚くべき利点を示す。
【化10】
式中、記号Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有し、かつ点線は接続位置を示す。
【0042】
好ましい形態において、前述の式、特に式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)、において、Q基およびQ基は、式(Q-1)~(Q-13)の基から選択される。
【0043】
さらなる構成において、前述の式、特に式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)、において、Q基およびQ基は、式(Q-14)~(Q-17)の基から選択される。
【0044】
さらに、前述の式、特に式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)、において、Q基およびQ基が、式(Q-18)~(Q-28)の基から選択されるケースであってもよい。
【0045】
さらに、前述の式、特に式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)、において、Q、Q基の1つが、式(Q-1)~(Q-13)の基から選択されてもよく、かつQ、Q基の1つが、式(Q-14)~(Q-17)の基から選択されていてもよい。
【0046】
さらに、前述の式、特に式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)、において、Q、Q基の1つが、式(Q-1)~(Q-13)の基から選択され、かつQ、Q基の1つが、式(Q-18)~(Q-28)の基から選択されるケースであってもよい。
【0047】
さらに、前述の式、特に式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)、において、Q、Q基の1つが、式(Q-14)~(Q-17)の基から選択され、かつQ、Q基の1つが、式(Q-18)~(Q-28)の基から選択されるケースであってもよい。
【0048】
さらなる構成において、電子輸送基QおよびQが、前述の式、特に式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)、において、同一である。
【0049】
さらに、電子輸送基QおよびQが、前述の式、特に式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)、において、同一ではないケースであってもよい。
【0050】
XがCRであるか、芳香族および/またはヘテロ芳香族基がR置換基によって置換されている場合、これらのR置換基は、好ましくはH、D、F、CN、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar、1~10の炭素原子を有する、直鎖のアルキルもしくはアルコキシ基、3~10の炭素原子を有する、分岐もしくは環状のアルキルもしくはアルコキシ基、または2~10の炭素原子を有するアルケニル基(ここで、これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよく、ここで、1以上の非隣接CH基がOによって置き換えられていてもよく、かつ1以上の水素原子がDもしくはFによって置き換えられていてもよい)、5~24の芳香族環原子を有し、それぞれのケースにおいて1以上のRラジカルによって置換されていてもよいがこのましくは非置換である、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系、または5~25の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、アラルキルもしくはヘテロアラルキル基からなる群から選択され;同時に、同一の炭素原子または隣接する炭素原子に結合された2つのR置換基が、単環状もしくは多環状の、1以上のRラジカルで置換されていてもよい、脂肪族、芳香族、またはヘテロ芳香族環系を形成することは所望により可能である。Ar基は、上記に記載、特に構造(Q-1)、に記載の意味を有していてもよい。好ましくは、記号Arは、アリールまたはヘテロアリールラジカルを示し、芳香族またはヘテロ芳香族環系の芳香族もしくはヘテロ芳香族基は、さらなる基のそれぞれの原子(例えば、N(Ar、C(=O)Ar、P(=O)(Ar基の炭素、窒素またはリン原子)に直接、つまり芳香族またはヘテロ芳香族基を介して、結合される。
【0051】
より好ましくは、これらのR置換基は、H、D、F、CN、N(Ar、1~8の炭素原子を有する、好ましくは1、2、3もしくは4の炭素原子を有する、直鎖のアルキル基、または3~8の炭素原子を有する、好ましくは3もしくは4の炭素原子を有する、分枝状もしくは環状の、アルキル基、または2~8の炭素原子を有する、好ましくは2、3もしくは4の炭素原子を有するアルケニル基(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)、6~24の芳香族環原子を有する、好ましくは6~18の芳香族環原子を有する、さらに好ましくは6~13の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香環系(これらのそれぞれは1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群から選択され;同時に、場合によっては、2つのR置換基が、同じ炭素原子もしくは隣接する炭素原子に結合して、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である、単環式もしくは多環式の、脂肪族環系を形成していてもよい。Ar基は、上記に記載の意味を有していてよく、特に、(Q-1)の構造である。好ましくは、記号Arは、アリールまたはヘテロアリールラジカルを示し、芳香族またはヘテロ芳香族環系の芳香族もしくはヘテロ芳香族基は、さらなる基のそれぞれの原子(例えば、N(Ar基の窒素原子)に直接、つまり芳香族またはヘテロ芳香族基を介して、結合される。
【0052】
最も好ましくは、R置換基は、Hおよび6~18の芳香族環原子を有する、好ましくは6~13の芳香族環原子を有する、芳香族もしくはヘテロ芳香環系(これらのそれぞれは1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群から選択される。適切なR置換基の例は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、ターフェニル、特に分枝状のターフェニル、クウォーターフェニル、特に分枝状のクウォーターフェニル、1-、2-、3-もしくは4-フルオレニル、1-、2-、3-もしくは4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-もしくは4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-もしくは4-ジベンゾチエニル、1-、2-、3-もしくは4-カルバゾリルからなる群から選択され、これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0053】
さらに、式(I)、(Ia)、(II)、(IIa)および/または(Q-1)~(Q-28)の構造において、少なくとも1つのRおよび/またはArラジカルが、式(R-1)~(R-79)から選択される基であるケースであってもよい。
【化11-1】
【化11-2】
【化11-3】
【化11-4】
【化11-5】
式中、使用される記号は以下のとおりである::
Yは、O、SまたはNR、好ましくはOまたはSであり;
iは、出現毎に独立に、0、1または2であり;
jは、出現毎に独立に、0、1、2または3であり;
hは、出現毎に独立に、0、1、2、3または4であり;
gは、出現毎に独立に、0、1、2、3、4または5であり;
は、上記、特に式(I)、に記載の意味を有していてもよく、かつ
点線は接続位置を示す。
【0054】
好ましくは、式(R-1)~(R-79)の構造中の添え字g、h、iおよびjの合計がそれぞれのケースにおいて、3以下、好ましくは2以下、そしてより好ましくは1以下であるようにすることができる。
【0055】
好ましくは、Lおよび/またはL基は、電子輸送基Qおよび/またはQおよび式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)のジベンゾフラン構造(Y=O)と共に直接共役(through-conjugation)を形成していてもよい。芳香族またはヘテロ芳香族系の直接共役は、隣接する芳香族またはヘテロ芳香族環の間で直接結合が形成されるとすぐに、形成される。上述の共役基の間の、例えば、硫黄、窒素もしくは酸素原子またはカルボニル基を介するさらなる結合は、共役を損なうものではない。フルオレン系の場合、2つの芳香族環が直接結合しており、そこでは、9位のSP-混成炭素原子がこれらの環の縮合を妨げるが、共役は可能である。これはこの9位のSP-混成炭素原子が必ずしも電子輸送基Qおよび/またはQおよびジベンゾフラン構造(Y=O)および/またはジベンゾチオフェン構造(Y=S)の間に位置するとは限らないからである。対照的に、スピロビフルオレン構造の場合は、電子輸送基Qおよび/またはQおよび式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)のジベンゾフラン構造(Y=O)および/またはジベンゾチオフェン構造(Y=S)の間の結合が、スピロビフルオレン構造中の同一のフェニル基を介しているか、またはスピロビフルオレン構造中の互いに直接結合し、かつ同一平面にある、(複数の)フェニル基を介している場合に、直接共役が形成されうる。電子輸送基Qおよび/またはQおよび式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)のジベンゾフラン構造(Y=O)および/またはジベンゾチオフェン構造(Y=S)の間の結合が、スピロビフルオレン構造の、9位のSP-混成炭素原子を介して結合している、異なる(複数の)フェニル基を介している場合には、共役が妨げられる。
【0056】
本発明のさらに好ましい形態において、Lおよび/またはLは出現毎に同一であるかまたは異なり、単結合または5~24の芳香族環原子を有し、かつ1以上のRラジカルによって置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系である。より好ましくは、Lおよび/またはLは出現毎に同一であるかまたは異なり、単結合または6~12の芳香族環原子を有する芳香族環系または6~13の芳香族環原子を有するヘテロ芳香族環系であり、それぞれのケースにおいて、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換であり、ここで、Rは、上記、特に式(I)、に記載の意味を有していてもよい。さらに、好ましくは、記号Lおよび/またはLは出現毎に同一であるかまたは異なり、単結合またはアリールもしくはヘテロアリールラジカルであり、芳香族またはヘテロ芳香族環系の芳香族もしくはヘテロ芳香族基は、他の基のそれぞれの原子に、直接、つまり芳香族またはヘテロ芳香族基の原子を介して、結合される。最も好ましくは、Lおよび/またはLは、単結合である。適切な芳香族またはヘテロ芳香族環系Lおよび/またはLの例は、オルト-、メタ-、またはパラ-フェニレン、ビフェニル、フルオレン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ジベンゾフラン、およびジベンゾチオフェン(これらのそれぞれは、1以上のRラジカルによって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群から選択される。
【0057】
好ましくは、式(I)、(II)、(Ia)および/または(IIa)の構造を含んでなる化合物であって、式(I)、(IIa)および/または(IIb)の少なくとも1つのLおよび/またはL基が、結合であるか、および/または式(L-1)~(L-70)から選択される基である。
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
【化12-4】
【化12-5】
式中、それぞれのケースにおいて点線は接続位置を示し、添え字lは0、1または2であり、添え字gは0、1、2、3、4または5であり、jは出現毎に独立に0、1、2または3であり;hは出現毎に独立に0、1、2、3または4であり;YはO、SまたはNR、好ましくはOまたはSであり;かつRは上記、特に式(I)、に記載の意味を有する。
【0058】
好ましくは式(L-1)~(L-70)の構造中の添え字l、g、hおよびjの合計が、それぞれのケースにおいて、最大3、好ましくは最大2、より好ましくは最大1のケースであってよい。
【0059】
有利には、式(I)、(Ia)、(II)および/または(IIa)の構造を少なくとも1つ含んでなる本発明の化合物は、カルバゾールおよび/またはトリアリールアミン基を含まないケースであってよい。より好ましくは、本発明の化合物は、正孔輸送基を含まない。正孔輸送基は、当業者に知られており、多くのケースにおいてこれらの基はカルバゾール、インデノカルバゾール、インドロカルバゾール、アリールアミン、またはジアリールアミン構造である。
【0060】
本発明のさらに好ましい形態において、Rは出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、1~10の炭素原子、好ましくは1、2、3または4の炭素原子を有する、脂肪族ヒドロカルビルラジカル、5~30の芳香族環原子、好ましくは5~24の芳香族環原子、より好ましくは5~13の芳香族環原子を有する、芳香族またはヘテロ芳香族環系(これは、それぞれ1~4の炭素原子を有する1以上のアルキル基によって置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群から選択される。
【0061】
本発明の化合物が、芳香族またはヘテロ芳香族RまたはRまたはAr基によって置換されている場合、これらは、互いに直接縮合された2以上の芳香族6員環を有するアリールまたはヘテロアリール基を有さないことが好ましい。より好ましくは、置換基は、直接互いに縮合された6員環を有するアリールまたはヘテロアリール基を全く含まない。これが好ましい理由は、それらの構造の三重項エネルギーが低いからである。互いに直接縮合された2以上の芳香族6員環を有する縮合アリール基であるにもかかわらず、フェナントレンおよびトリフェニレンは本発明において適している。これらは、高い三重項準位を有するからである。
【0062】
本発明の適切な化合物の例は、以下に示される式1~111の構造である:
【化13-1】
【化13-2】
【化13-3】
【化13-4】
【化13-5】
【化13-6】
【化13-7】
【0063】
本発明の化合物の好ましい形態は、詳細に、具体的に実施例において説明され、これらの化合物は、本発明の全ての目的のために単独またはさらなる化合物と組み合わせて使用することができる。
【0064】
請求項1で特定された条件がまとめられるのであれば、上記の好ましい形態は、所望により、互いに組み合わせることができる。本発明の特に好ましい形態において、上記の好ましい形態は、同時に適用される。
【0065】
本発明の化合物は、原則的として、種々の方法により製造することができる。しかし、これ以下に記載する方法が特に適切であることが見出されている。
【0066】
従って、本発明はさらに、カップリング反応で、少なくとも1つの電子輸送基を含んでなる化合物を、少なくとも1つのベンゾフランおよび/またはベンゾチオフェンラジカルを含んでなる化合物と結合された、式(I)の構造を含んでなる化合物の製造方法を提供する。
【0067】
電子輸送基を有する適切な化合物は、多くの場合、商業的に入手することができ、その際、実施例で詳記された出発化合物は、そこで参照されているように、公知の方法によって得ることができる。
【0068】
これらの化合物は、公知のカップリング反応でさらなるアリール化合物と反応させることができ、この目的のために必要な条件は当業者に周知であり、また実施例における詳細な説明は、当業者がこれらの反応を実行することを支援する。
【0069】
C-C結合形成および/またはC-N結合形成をもたらす、特に適切でかつ好ましい、全てのカップリング反応は、ブッフバルト、鈴木、山本、スティレ、ヘック、根岸、薗頭および檜山によるものである。これらの反応はよく知られており、また実施例は、当業者にさらなる指針を提供する。
【0070】
以下の全ての合成スキームにおいて、構造を簡略化するため、化合物は少数の置換基と共に示されている。これは、方法において所望のさらなる置換基の存在を排除するものではない。
【0071】
例示的な形態は、これらが制限を設けることを全く意図せずに、次のスキームで示される。個々のスキームの構成工程は、所望により互いに組み合わせることができる。
【化14】
【0072】
スキーム1および2において、Qおよび/またはQの定義のもとで記載のラジカルは、上記に記載のように電子伝導基である。
【0073】
本発明の化合物の合成に対して示される方法は、例示として解されるべきである。当業者は、当該技術分野における当業者の共通の知識の範囲内で代替合成経路を開発することができる。
【0074】
上で詳述した製造方法の基本は、原則的に類似の化合物に対する文献から知られており、当業者によって容易に本発明の化合物の製造に適用することができる。さらなる情報は、実施例に見出すことができる。
【0075】
これらの方法により、必要に応じて、精製、例えば再結晶または昇華を伴って、式(I)の構造を含んでなる本発明の化合物を、高純度で、好ましくは99%より高く(H-NMRおよび/またはHPLCにより測定)で得ることができる。
【0076】
本発明の化合物はまた、化合物を溶液で処理することを可能にするため、室温で、充分な溶解濃度で、標準的な有機溶媒、例えば、トルエンもしくはキシレン中での溶解性をもたらすような適当な置換基、例えば、比較的長いアルキル基(約4~20の炭素原子)、特に分枝状のアルキル基、または場合によって置換されたアリール基、例えば、キシリル、メシチルもしくは分枝状のテルフェニルもしくはクウォーターフェニル基を有することができる。これらの可溶性化合物は、例えば、印刷法による、溶液での処理に特に適している。さらに、式(I)の構造の少なくとも1つを含んでなる本発明の化合物は、既にこれらの溶媒中で溶解度を増加させていることが強調されなければならない。
【0077】
本発明の化合物はまた、ポリマーと混合することができる。同様に、これらの化合物をポリマーに共有結合的に組み込むことも可能である。これは特に、臭素、ヨウ素、塩素、ボロン酸もしくはボロン酸エステルなどの反応性脱離基により、またはオレフィンもしくはオキセタンなどの反応性の重合性基により置換された化合物について可能である。これらは、対応するオリゴマー、デンドリマーもしくはポリマーを製造するためのモノマーとしての使用が見出される。オリゴマー化もしくは重合は、好ましくはハロゲン官能基もしくはボロン酸官能基を介して、または重合性基を介して行われる。このような基を介して、さらにポリマーを架橋することが可能である。本発明の化合物およびポリマーは、架橋した、もしくは架橋していない層の形で使用できる。
【0078】
本発明は、さらに、上で詳述した式(I)または本発明の化合物の構造を1以上含む、ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーであって、本発明の化合物への、または式(I)の構造への、オリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーへの1以上の結合が存在するものを提供する。式(I)の構造の、または化合物の連結により、これらは、従って、ポリマーもしくはオリゴマーの側鎖を形成しているか、または主鎖内で結合されている。ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーは、共役している、部分的に共役している、または共役していなくてもよい。オリゴマーもしくはポリマーは、直鎖状、分岐状もしくは樹枝状であってもよい。オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の、本発明の化合物の繰返し単位については、同じ好ましい形態が上述したように適用される。
【0079】
オリゴマーまたはポリマーを製造するにあたり、本発明のモノマーは、ホモ重合またはさらなるモノマーと共重合される。式(I)の単位、または、上記および後記されている、好ましい形態の単位が、0.01~99.9モル%、好ましくは5~90モル%、より好ましくは20~80モル%の範囲に存在することが好ましい。適切でかつ好ましい、ポリマー基本骨格を形成するコモノマーは、フルオレン類(例えば、EP842208またはWO2000/022026による)、スピロビフルオレン類(例えば、EP707020、EP894107またはWO2006/061181による)、パラフェニレン類(例えば、WO92/18552による)、カルバゾール類(例えば、WO2004/070772またはWO2004/113468による)、チオフェン類(例えば、EP1028136による)、ジヒドロフェナントレン類(例えば、WO2005/014689)、シス-およびトランス-インデノフルオレン類(例えば、WO2004/041901またはWO2004/113412による)、ケトン類(例えば、WO2005/040302による)、フェナントレン類(例えば、WO2005/104264またはWO2007/017066による)、またはこれらの単位の複数から選択される。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーはまた、さらなる単位、例えば、正孔輸送単位、特にトリアリールアミンを基本とするもの、および/または電子輸送単位を含んでいてもよい
【0080】
さらに、特に興味深いのは、高いガラス転移温度によって特徴付けられる本発明の化合物である。これに関連して、好ましいのは、少なくとも70℃、より好ましくは少なくとも110℃、さらにより好ましくは少なくとも125℃、そして特別に好ましくは150℃のガラス転移温度(DIN51005(2005-08版)により測定)を有する、式(I)の、または、上記および後記されている好ましい形態の構造を含んでなる本発明の化合物である。
【0081】
液相での本発明の化合物を、例えば、スピンコーティングもしくは印刷法によって、処理するためには、本発明に係る化合物の調合物が必要とされる。これらの調合物は、例えば、溶液、分散液またはエマルジョンであってもよい。この目的のために、2以上の溶媒の混合物を使用することが好ましい。適当で好ましい溶媒は、例えば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、安息香酸メチル、メシチレン、テトラリン、ベラトロール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、安息香酸ブチル、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、安息香酸エチル、インダン、安息香酸メチル、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタン、ヘキサメチルインダン、またはこれらの溶媒の混合物である。
【0082】
従って、本発明はさらに、本発明の化合物および少なくとも1つのさらなる化合物を含んでなる配合物に関する。さらなる化合物は、例えば、溶媒であり、特に上記の溶媒の1つか、またはこれらの溶媒の混合物である。あるいは、さらなる化合物は、電子素子に同様に使用される、有機もしくは無機化合物、例えば、発光化合物、特に燐光ドーパント、および/またはさらなるマトリックス材料であってもよい。このさらなる化合物は、また、ポリマーであってもよい。
【0083】
従って、本発明はさらに、本発明の化合物および少なくとも1つのさらなる有機機能材料を含んでなる組成物を提供する。機能材料は、一般に、アノードとカソードとの間に導入された、有機もしくは無機材料である。好ましくは、有機機能材料は、蛍光発光体、燐光発光体、ホスト材料、マトリックス材料、電子輸送材料、電子注入材料、正孔伝導材料、正孔注入材料、n-ドーパント、ワイドバンドギャップ材料、電子ブロック材料、および正孔ブロック材料からなる群から選択される。
【0084】
従って、本発明はまた、少なくとも1つの、式(I)、または上記および後記の好ましい形態、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなる少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つのさらなるマトリックス材料を含んでなる組成物に関する。本発明の特別な態様において、さらなるマトリックス材料は、正孔輸送特性を有する。
【0085】
本発明はさらに、少なくとも1つの、式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなる、少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つのワイドバンドギャップ材料を含んでなる組成物を提供する。ここで、ワイドバンドギャップ材料は、US7,294,849で開示される材料を意味するものと解される。これらの系は、エレクトロルミネッセンス素子において特に有利な性能データを示す。
【0086】
好ましくは、追加の化合物は、2.5eV以上、好ましくは3.0eV以上、非常に好ましくは3.5eV以上のバンドギャップを有する。バンドギャップを計算する1つの方法は、最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位を用いる。
【0087】
分子軌道、特に最高被占軌道(HOMO)および最低空軌道(LUMO)、それらのエネルギー準位および材料の、最低三重項状態Tのエネルギーもしくは最低励起一重項状態Sのエネルギーは、量子化学計算を用いて決定される。金属を含まない有機物質を計算するために、まず「基底状態/半経験的/初期スピン/AM1/チャージ0/スピン一重項」法を用いて、構造最適化が行われる。続いて、最適化された構造に基づきエネルギー計算が行われる。ここで、「TD-SCF/DFT/初期スピン/B3PW91」法が「6-31G(d)」基底集合(チャージ0、スピン一重項)とともに用いられる。金属含有化合物に対しては、「基底状態/ハートリーフォック(Hartree-Fock)/初期スピン/LanL2MB/チャージ0/スピン一重項」法を用い、構造が最適化される。エネルギー計算は、金属に対して「LanL2DZ」基底集合が用いられ、配位子に対して「6-31G(d)」が用いられるという相違点を除いては、上述の有機物質に対する方法と同様に計算される。HOMOエネルギー準位HEhまたはLUMOエネルギー準位LEhは、エネルギー計算からハートリー単位で得られる。これは、電子ボルトにおけるHOMOおよびLUMOエネルギー準位を、以下のようにサイクリックボルタンメトリー(cyclic voltammetry)測定により較正することにより決定するのに使用される。
HOMO(eV)=((HEh*27.212)-0.9899)/1.1206
LUMO(eV)=((LEh*27.212)-2.0041)/1.385
【0088】
本発明の文脈において、これらの値は、材料の、HOMOおよびLUMOエネルギー準位とみなされる。
【0089】
最低三重項状態Tは、記載された量子化学計算から明らかな、最低エネルギーを有する三重項状態のエネルギーと定義される。
【0090】
最低励起一重項状態Sは、記載された量子化学計算から明らかな、最低エネルギーを有する励起一重項状態のエネルギーと定義される。
【0091】
ここで記述される方法は、使用されるソフトウェアパッケージから独立しており、常に同じ結果を与えるものである。この目的で頻繁に使用されるプログラムの例として、「Gaussian09W」(ガウシアン社(Gaussian))およびQ-Chem4.1(キュー-ケム社(Q-Chem))が挙げられる。
【0092】
本発明はさらに、少なくとも1つの、式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなる、少なくとも1つの化合物、および少なくとも1つの燐光発光体ーを含んでなる組成物を提供する。ここで、用語「燐光発光体」はまた、燐光ドーパントを意味するものと解される。
【0093】
マトリックス材料およびドーパントを含んでなる系において、ドーパントは、混合物中でより小さい割合を有する成分を意味するものと解される。相応して、マトリックス材料およびドーパントを含む系において、マトリックス材料は、混合物中でより大きい割合を有する成分を意味するものと解される。
【0094】
マトリックス系での、好ましくは混合マトリックス系での使用に好ましい燐光ドーパントは、以下で特記する、好ましい燐光ドーパントである。
【0095】
用語「燐光ドーパント」は、典型的には、スピン禁制遷移、例えば、励起三重項状態、もしくはより高いスピン量子数を有する状態、例えば、五重項状態からの遷移により発光が起こる化合物を包含する。
【0096】
好適な燐光化合物(=三重項発光体)は、特に、好ましくは可視領域において、適切に励起された時、発光し、かつ、さらに、原子番号が20より大きい、好ましくは、38より大きくかつ84未満の、より好ましくは、56より大きくかつ80未満の原子を、特にこの原子番号を有する金属を、少なくとも1つ含む化合物である。用いられる燐光発光体は、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユーロピウムを含む化合物であり、特に、イリジウムまたは白金を含む化合物である。本発明文脈において、上記金属を含むすべての発光化合物は、燐光化合物とみなされる。
【0097】
上記の発光体の例は、WO00/70655、WO2001/41512、WO2002/02714、WO2002/15645、EP1191613、EP1191612、EP1191614、WO05/033244、WO05/019373、US2005/0258742、WO2009/146770、WO2010/015307、WO2010/031485、WO2010/054731、WO2010/054728、WO2010/086089、WO2010/099852、WO2010/102709、WO2011/032626、WO2011/066898、WO2011/157339、WO2012/007086、WO2014/008982、WO2014/023377、WO2014/094961、WO2014/094960の出願、ならびにEP13004411.8、EP14000345.0、EP14000417.7およびEP14002623.8の未公開出願に見出すことができる。一般に、燐光発光OLEDに対して従来技術で使用されているような、さらに、有機エレクトロルミネッセンス素子の分野で当業者に知られているような、燐光錯体のすべては、適切であり、そして当業者は、発明的工夫をなすことなく、さらなる燐光性錯体を使用することができる。
【0098】
燐光ドーパントの明示的な例を以下の表に挙げる:
【化15-1】
【化15-2】
【化15-3】
【化15-4】
【化15-5】
【化15-6】
【化15-7】
【化15-8】
【0099】
式(I)、または、上で詳記した好ましい形態の構造を含んでなる上述の化合物は、好ましくは、電子素子中の活性成分として用いることができる。電子素子は、アノード、カソード、およびアノードとカソードの間にある、少なくとも1つの層を含んでなり、前記層は有機もしくは有機金属化合物を少なくとも1つ含んでなる素子であると解される。従って、本発明の電子素子は、アノード、カソード、および式(I)の構造を含んでなる、少なくとも1つの化合物を含む間の層を含んでなる。好ましい電子素子は、ここでは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED、PLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光検出器(organic optical detector)、有機感光体(organic photoreceptor)、有機電場消光素子(O-FQD)、有機電気センサ、発光電気化学セル(LEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)、および有機プラズモン発光素子(D.M.Koller et al.,Nature Pho~nics 2008,1-4)、好ましくは、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED、PLED)、特に、式(I)の構造を含んでなる化合物を少なくとも1つ含有する燐光発光OLED、からなる群から選択される。特に好ましいのは、有機エレクトロルミネッセンス素子である。活性成分は、一般に、アノードとカソードとの間に導入される、有機もしくは無機材料であり、例えば、電荷注入、電荷輸送もしくは電荷ブロック材料であるが、特に発光材料およびマトリックス材料である。
【0100】
本発明の好ましい形態は、有機エレクトロルミネッセンス素子である。有機エレクトロルミネッセンス素子は、アノード、カソードおよび少なくとも1つの発光層を具備してなる。有機エレクトロルミネッセンス素子は、これらの層の他に、さらなる層、例えば、それぞれの場合において、1以上の、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電子ブロック層、電荷発生層および/または有機もしくは無機の、p/n接合を具備していてもよい。その際、1以上の正孔輸送層が、例えば、MoOもしくはWOのような金属酸化物で、または電子の不足した(過)フッ素化芳香族系で、p-ドープされるか、および/または1以上の電子輸送層が、n-ドープされていることができる。同様に、例えば、励起子ブロック機能を有する、および/または有機エレクトロルミネッセンス素子中の電荷バランスを制御する中間層が2つの発光層の間に導入されていてもよい。しかしながら、これらの層のそれぞれは、必ずしも存在していなくてもよいということに留意すべきである。
【0101】
ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子は、1つの発光層を具備してなる、または複数の発光層を具備していてもよい。複数の発光層が存在する場合、これらは、好ましくは、全体で白色光を生じるように、380nm~750nm全体で複数の発光極大を有する、すなわち、蛍光もしくは燐光を発することができる様々な発光化合物が発光層中に使用される。特に好ましいのは、3層が、青、緑およびオレンジもしくは赤の発光を呈する3層系(基本構造については、例えば、WO2005/011013を参照)、または3以上の発光層を有する系である。その系は、1以上の層が蛍光を発し、かつ、1以上の他の層が燐光を発するハイブリッド構造であってもよい。
【0102】
本発明の好ましい形態において、有機エレクトロルミネッセンス素子は、式(I)の、または、上で詳記した好ましい形態の構造を含んでなる本発明の化合物を、マトリックス材料として、好ましくは電子伝導マトリックス材料として、1以上の発光層中に、好ましくは、さらなるマトリックス材料、好ましくは正孔伝導のマトリックス材料と組み合せて含む。本発明のさらに好ましい形態では、さらなるマトリックス材料は、電子輸送化合物である。なお、さらに好ましい形態では、さらなるマトリックス材料は、層中で正孔および電子輸送に関与していないか重要な程度には関与していない、大きなバンドギャップを有する化合物である。発光層は、少なくとも1つの発光化合物を含んでなる。
【0103】
式(I)の、または好ましい形態に従う化合物と組み合せて使用することのできる、適切なマトリックス材料は、芳香族ケトン類;芳香族ホスフィンオキシド類;または芳香族スルホキシド類もしくはスルホン類(例えば、WO2004/013080、WO2004/093207、WO2006/005627もしくはWO2010/006680による);トリアリールアミン類、特にモノアミン類(例えば、WO2014/015935による);カルバゾール誘導体類(例えば、CBP(N、N-ビスカルバゾリルビフェニル)、またはWO2005/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP1205527、もしくはWO2008/086851に開示されるカルバゾール誘導体類);インドロカルバゾール誘導体類(例えば、WO2007/063754もしくはWO2008/056746による);インデノカルバゾール誘導体類(例えば、WO2010/136109およびWO2011/000455による);アザカルバゾール誘導体類(例えば、EP1617710、EP1617711、EP1731584、JP2005/347160による);双極性マトリックス材料(例えば、WO2007/137725による);シラン類(例えば、WO2005/111172による);アザボロール類もしくはボロン酸エステル類(例えば、WO2006/117052よる);トリアジン誘導体類(例えば、WO2010/015306、WO2007/063754もしくはWO2008/056746による);亜鉛錯体類(例えば、EP652273もしくはWO2009/062578による);ジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体類(例えば、WO2010/054729による);ジアザホスホール誘導体類(例えば、WO2010/054730による);架橋カルバゾール誘導体類(例えば、US2009/0136779、WO2010/050778、WO2011/042107、WO2011/088877もしくはWO2012/143080による);トリフェニレン誘導体(例えば、WO2012/048781による);ラクタム類(例えば、WO2011/116865、WO2011/137951もしくはWO2013/064206による);または、4-スピロカルバゾール誘導体類(例えば、WO2014/094963または未公開出願EP14002104.9による)である。同様に、実際の発光体よりも短い波長で発光するさらなる燐光発光体が、混合物中に共ホスト(co-host)として存在することも可能である。
【0104】
好ましい共ホスト材料は、トリアリールアミン誘導体類、特にモノアミン類、インデノカルバゾール誘導体類、4-スピロカルバゾール誘導体類、ラクタム類、およびカルバゾール誘導体類である。
【0105】
本発明の化合物と一緒に、共ホスト材料として使用される、好ましいトリアリールアミン誘導体類は、以下の式(TA-1)の化合物から選択される:
【化16】
式中、Arは出現毎に同一であるかまたは異なり、上記に記載の意味を有する。好ましくは、Ar基は、出現毎に同一であるかまたは異なり、上記の基、R-1~R-79から、より好ましくはR-1~R-51から選択される。
【0106】
式(TA-1)で表される化合物の好ましい形態において、少なくとも1つのAr基は、ビフェニル基から選択され、それは、オルト-、メタ-またはパラ-ビフェニル基であってもよい。式(TA-1)で表される化合物のさらに好ましい形態において、少なくとも1つのAr基は、フルオレン基もしくはスピロビフルオレン基から選択され、ここで、これらの基はそれぞれ、1-、2-、3-もしくは4-位で、窒素原子に結合していてもよい。式(TA-1)で表される化合物の、なお、さらに好ましい形態において、少なくとも1つの基Arは、フェニレンもしくはビフェニル基から選択され、ここで、それらの基は、オルト-、メタ-もしくはパラ結合されている基であり、ジベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基もしくはカルバゾール基、特にジベンゾフラン基により置換されており、ここで、ジベンゾフランもしくはベンゾチオフェン基が1-、2-、3-もしくは4-位を介して、フェニレンもしくはビフェニル基に結合しており、かつ、ここで、カルバゾール基が、1-、2-、3-もしくは4-位を介して、または窒素原子を介して、フェニレンもしくはビフェニル基に結合している。
【0107】
式(TA-1)の化合物の特に好ましい形態において、1つのAr基は、フルオレンもしくはスピロビフルオレン基から、特に4-フルオレンもしくは4-スピロビフルオレン基から選択され、そして、1つのAr基は、ビフェニル基、特に、パラ-ビフェニル基から、またはフルオレン基、特に2-フルオレン基から選択され、また、第三のAr基は、ジベンゾフラン基、特に4-ジベンゾフラン基で、またはカルバゾール基、特にN-カルバゾール基もしくは3-カルバゾール基で、置換された、パラ-フェニレン基もしくはパラ-ビフェニル基から選択される。
【0108】
本発明の化合物と一緒に、共ホスト材料として使用されるインデノカルバゾール誘導体は、以下の式(TA-2)の化合物から選択される:
【化17】
式中、ArおよびRは、上記された示された意味を有する。Ar基の好ましい形態は、上述した構造R-1~R-79、より好ましくは、R-1~R-51である。
【0109】
式(TA-2)の化合物の好ましい形態は、以下の式(TA-2a)の化合物である:
【化18】
式中、ArおよびRは、上記された意味を有する。ここで、インデノ炭素原子に結合した2つのR基は、好ましくは、同一であるかまたは異なり、1~4の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル基、または6~12の炭素原子を有する芳香族環系、特にフェニル基である。より好ましくは、インデノ炭素原子に結合した、この2つのR基はメチル基である。さらに好ましくは、式(TA-2a)中のインデノカルバゾール基本骨格に結合したR置換基は、H、または、1-、2-、3-もしくは4-位を介して、または窒素原子を介して、特に3位を介してインデノカルバゾール基本骨格に結合することのできるカルバゾール基である。
【0110】
本発明の化合物と一緒に、共ホスト材料として使用される、好ましい4-スピロカルバゾール誘導体は、以下の式(TA-3)の化合物から選択される:
【化19】
式中、ArおよびRは、上記された意味を有する。Ar基の好ましい形態は、上述した構造(R-1)~(R-79)、より好ましくは、R-1~R-51である。
【0111】
式(TA-3)の化合物の好ましい形態は、以下の式(TA-3a)の化合物である:
【化20】
式中、ArおよびRは、上記された意味を有する。Ar基の好ましい形態は、上述した構造(R-1)~(R-79)、より好ましくは、R-1~R-51である。
【0112】
本発明の化合物と一緒に、共ホスト材料として使用される好ましいラクタムは、以下の式(LAC-1)の化合物から選択される:
【化21】
式中、Rは、上記された意味を有する。
【0113】
式(LAC-1)の化合物の好ましい形態は、以下の式(LAC-1a)の化合物である:
【化22】
式中、Rは、上記された意味を有する。Rは、好ましくは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、または、5~40の芳香族環原子を有し、1つの以上のラジカルRで置換されていてもよい、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系であり、ここで、Rは、上記された、特に式(I)、の意味を有する。ことができる。最も好ましくは、R置換基は、H、および、6~18の芳香族環原子を有し、好ましくは6~13の芳香族環原子を有し、そのそれぞれが1つの以上の非芳香族系のラジカルRで置換されていてもよいが、好ましくは非置換である、芳香族もしくはヘテロ芳香族環系からなる群から選択される。適当なR置換基の例は、フェニル、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、ターフェニル、特に分枝状のターフェニル、クウォーターフェニル、特に分枝状のクウォーターフェニル、1-、2-、3-もしくは4-フルオレニル、1-、2-、3-もしくは4-スピロビフルオレニル、ピリジル、ピリミジニル、1-、2-、3-もしくは4-ジベンゾフラニル、1-、2-、3-もしくは4-ジベンゾチエニル、1-、2-、3-もしくは4-カルバゾリル(これらのそれぞれは、1つの以上のRラジカルで置換されていてもよいが、好ましくは非置換である)からなる群から選択される。適当な構造Rは、R-1~R-79、より好ましくはR-1~R-51に対して示された構造と同じである。
【0114】
また、異なるマトリックス材料の複数を混合物として、特に、少なくとも1つの電子伝導マトリックス材料と少なくとも1つの正孔伝導マトリックス材料を使用することが好ましい。同様に、電荷輸送マトリックス材料と、例えば、WO2010/108579に記載されているような、電荷輸送に、あるとしても重要な程度には関与していない、電気的に不活性なマトリックス材料との混合物の使用も好ましい。
【0115】
さらに、2以上の三重項発光体とマトリックスとの混合物の使用が好ましい。ここで、より短い波長の発光スペクトルを持つ三重項発光体は、より長い波長の発光スペクトルを持つ三重項発光体に対する共マトリックスとして働く。
【0116】
より好ましくは、式(I)の構造を、好ましい形態で含んでなる本発明の化合物を、有機電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子、例えば、OLEDまたはOLECの中の発光層におけるマトリックス材料として使用することができる。この場合、式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなるマトリックス材料は、1以上のドーパント、好ましくは燐光ドーパントと組み合わせて電子素子中に存在する。
【0117】
この場合、発光層中のマトリックス材料の割合は、蛍光発光層に対しては、50.0~99.9体積%、好ましくは80.0~99.5体積%、そして、より好ましくは92.0~99.5体積%であり、また、燐光発光層に対しては、85.0~97.0体積%である。
【0118】
これに対応して、ドーパントの割合は、蛍光発光層に対しては、0.1~50.0体積%、好ましくは0.5~20.0体積%、そして、より好ましくは0.5~8.0体積%であり、また、燐光発光層に対しては、3.0~15.0体積%である。
【0119】
有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層はまた、複数のマトリックス材料(混合マトリックス系)および/または複数のドーパントを含む系であってもよい。この場合も、ドーパントは一般に、その系中で、より小さい割合を有する材料であり、また、マトリックス材料は、その系中で、より大きい割合を有する材料である。しかしながら、個々のケースでは、その系における単一のマトリックス材料の割合は、単一のドーパントの割合よりも小さくてもよい。
【0120】
本発明のさらに好ましい形態において、式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなる化合物は、混合マトリックス系の1つの成分として使用される。混合マトリックス系は好ましくは、2つもしくは3つの異なるマトリックス材料、より好ましくは、2つの異なるマトリックス材料を含む。この場合、2つの材料の一方が正孔輸送特性を有する材料であり、かつ、他方の材料が電子輸送特性を有する材料であることが好ましい。しかしながら、混合マトリックス成分の、所望の電子輸送および正孔輸送特性はまた、主としてまたは完全に、単一の混合マトリックス成分に組み込まれていてもよく、その場合、さらなる混合マトリックス成分(単数もしくは複数)が他の機能を満たす。2つの異なるマトリックス材料は、1:50~1:1、好ましくは1:20~1:1、より好ましくは1:10~1:1、そして最も好ましくは1:4~1:1の割合で存在することができる。混合マトリックス系を燐光発光の有機エレクトロルミネッセンス素子で使用することが好ましい。混合マトリックス系のより詳細な情報は、特に、出願WO2010/108579に示されている。
【0121】
本発明は、1以上の電子伝導層に電子伝導性の化合物として、本発明に係る化合物の1以上および/または本発明に係る、オリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーの少なくとも1つを含んでなる、電子素子、好ましくは有機エレクトロルミネッセンス素子をさらに提供する。
【0122】
カソードは、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、金属合金、または、例えば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族の金属もしくはランタノイド(例えば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)のような様々な金属で構成される多層構造体である。また、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と、銀とで構成される合金、例えば、マグネシウムと銀とで構成される合金、が適切である。多層構造体の場合には、前記金属に加えて、例えば、Agのような比較的高い仕事関数を有するさらなる金属もまた用いることもでき、この場合、例えば、Mg/Ag、Ca/AgもしくはBa/Agのような金属の組合せが、一般に用いられる。また、好ましくは、高い誘電率を有する材料からなる薄い中間層を、金属カソードと有機半導体の間に導入することもできる。この目的のために適切な材料の例は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のフッ化物であり、また、対応する、酸化物もしくは炭酸塩(例えば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF、CsF、CsCO等)である。同様に、この目的のために有用なのは、有機アルカリ金属錯体、例えば、Liq(キノリン酸リチウム)である。この層の層厚は、好ましくは、0.5~5nmである。
【0123】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する材料である。アノードは、好ましくは、真空に対して4.5eVよりも大きい仕事関数を有する。第一に、高い酸化還元電位を有する金属、例えば、Ag、PtもしくはAu、がこの目的に適している。第二に、金属/金属酸化物の電極(例えば、Al/Ni/NiOx、Al/P~x)もまた好ましい。いくつかの用途に対して、有機材料(O-SC)の照射、または光の発光(OLED/PLED、O-laser)のいずれかを可能にするために、少なくとも1つの電極が透明もしくは部分的に透明でなければならない。ここで、好ましいアノード材料は、伝導性の混合金属酸化物である。特に好ましいのは、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)である。さらに、好ましいのは、ドーピングされた、伝導性の有機材料、特に、ドーピングされた、伝導性のポリマー、例えば、PEDOT、PANIもしくはこれらのポリマーの誘導体である。p型にドープされた正孔輸送材料が正孔注入層としてアノードに適用される時がさらに好ましく、この場合、好適なp-ドーパントは、金属酸化物、例えばMoOもしくはWO、または電子の不足した(過)フッ素化された芳香族系である。さらに好適なp-ドーパントは、HAT-CN(ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン)またはノバレッド社(Novaled)製の化合物NPD9である。そのような層は、低いHOMOを、すなわち、大きさでは大きいHOMOを有する材料中への正孔注入を簡単にする。
【0124】
さらなる層において、その層に先行技術で使用される任意の材料を一般的に用いることができ、そして当業者は、発明的工夫なしに、電子素子において、これらの材料の任意のものを本発明に係る材料と組み合わせることができる。
【0125】
このような素子の寿命は、水および/または空気の存在により著しく短縮されるので、素子は、(用途に応じて)それ相応に構造化され、接点が備えられ、さらに最後に密閉される。
【0126】
さらに好ましいのは、1以上の層が、昇華法により塗布されていることを特徴とする、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子である。この場合、その材料を、10-5ミリバール未満、好ましくは10-6ミリバール未満の初期圧力で、真空昇華系の中で真空蒸着により塗布する。初期圧力は、さらに低いまたはさらに高いこと、例えば10-7ミリバール未満も可能である。
【0127】
同様に好ましいのは、1以上の層が、OVPD(有機気相蒸着)法により、またはキャリヤガスの昇華を用いて塗布されていることを特徴とする、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子である。この場合、その材料を、10-5ミリバール~1バールの圧力で塗布する。この方法の特別な場合は、OVJP(有機蒸気ジェット印刷)法であり、この方法では、この材料は、ノズルを通して直接塗布され、さらに構造化される(例えば、M.S.Arnold et al.,Appl.Phys.Lett.2008,92,053301)。
【0128】
さらに好ましいのは、1以上の層が、例えば、スピンコーティングにより、または、例えば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、もしくはノズル印刷、しかしより好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、もしくはインクジェット印刷のような任意の印刷法により溶液から作製されていることを特徴とする、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子である。この目的のためには、可溶性の化合物が必要であり、これは、例えば、適当な置換により得られる。
【0129】
電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、ハイブリッド系として、1以上の層を溶液から塗布し、さらに1以上の他の層を真空蒸着で塗布することにより製造することもできる。例えば、式(I)の化合物とマトリックス材料を含んでなる発光層を溶液から塗布し、そして、それに正孔ブロック層および/または電子輸送層を減圧下、真空蒸着により塗布することができる。
【0130】
これらの方法は、当業者に一般的に知られており、そして、式(I)、または上記で詳述した好ましい形態の化合物を含んでなる、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子に容易に適用することができる。
【0131】
本発明に係る電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の、従来技術に優る下記の驚くべき利点により注目に値する:
【0132】
1.式(I)、または、上記および後記されている好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを、特に電子伝導材料として含んでなる、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子は、非常に良い寿命を有する。
【0133】
2.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを、電子伝導材料として含んでなる、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子は、優れた効率を有する。より具体的には、式(I)の構造単位を含まない類似の化合物に比較して、効率がより一層高い。
【0134】
3.式(I)、または、上記でおよび後記されている、好ましい形態の構造を有する、本発明の、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、非常に高い安定性を示し、かつ、非常に長い寿命を有する化合物をもたらす。
【0135】
4.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーを用いることで、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子における光損失チャネルの形成を回避することができる。この結果、これらの素子は、高いPL効率およびそれによる発光体の高いEL効率、並びにマトリックスからドーパントへの優れたエネルギー伝導を特徴とする。
【0136】
5.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーの、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子の層内での使用は、電子伝導性構造の高移動度をもたらす。
【0137】
6.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、優れた熱安定性を特徴とし、また、約1200g/モル未満の分子量を有する化合物は、良好な昇華性を有する。
【0138】
7.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、優れたガラス被膜形成性を有する。
【0139】
8.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を有する、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、溶液から非常に良好な被膜を形成する。
【0140】
9.式(I)、または、上記および後記されている、好ましい形態の構造を含んでなる、化合物、オリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーは、驚くほど高い三重項準位Tを有し、これは特に、電子伝導性の材料として使用される化合物に言えることである。
【0141】
これらの上記した利点は、他の電子的特性の劣化を伴うものではない。
【0142】
本発明の化合物および混合物は、電子素子での使用に適している。電子素子は、有機化合物を少なくとも1つ含む層を少なくとも1つ含む素子を意味するものと解される。素子はまた、無機材料を含むか、または全部無機材料から形成された層を含んでいてもよい。
【0143】
本発明は、従って、電子素子、特に有機エレクトロルミネッセンス素子における、本発明の化合物または混合物の使用を提供する。
【0144】
本発明は、さらに、本発明に係る化合物、および/または本発明に係る、オリゴマー、ポリマーもしくはデンドリマーの、電子素子における、正孔ブロック材料、電子注入材料および/または電子輸送材料としての使用を提供する。
【0145】
本発明は、さらに、上記に示された本発明の化合物または混合物の少なくとも1つを含んでなる電子素子を提供するものである。このケースにおいて、好ましい上記に記された化合物もまた電子素子に適用される。
【0146】
本発明のさらなる形態において、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、個々の、正孔注入層および/または正孔輸送層および/または正孔ブロック層および/または電子輸送層を含まないが、このことは、例えば、WO2005/053051に記載されるように、発光層が正孔注入層もしくはアノードに直接隣接する、および/または発光層が電子輸送層もしくは電子注入層もしくはカソードに直接隣接することを意味する。さらに、例えば、WO2009/030981に記載されるように、発光層中の金属錯体と、同一もしくは類似の金属錯体を、発光層に直接隣接する、正孔輸送もしくは正孔注入材料として使用することもできる。
【0147】
また、本発明の化合物を、正孔ブロックもしくは電子輸送層中に使用することができる。これは、カルバゾール構造を有していない本発明の化合物について特に言えることである。これらはまた、好ましくは、1以上のさらなる電子輸送基、例えば、ベンズイミダゾールで置換されていてもよい。
【0148】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子のさらなる層において、従来技術に従って通常使用されるような任意の材料を使用することができる。従って、当業者は、発明的工夫をなすことなく、有機エレクトロルミネッセンス素子に対して知られた任意の材料を、式(I)、または、好ましい形態に従う、本発明の化合物と組み合わせて使用することができる。
【0149】
発明の化合物は一般的に、有機エレクトロルミネッセンス素子に使用される場合、非常に良好な特性を有している。特に、本発明の化合物を有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する場合、従来技術による類似した化合物と比較して寿命が著しく良好である。同時に、有機エレクトロルミネッセンス素子の他の特性、特に、効率と電圧は同様に、より良いか、少なくとも同等である。
【0150】
本発明に記載の形態の変形は、本発明の範囲内に包含されることに留意すべきである。本発明に開示された各特徴は、これが明示的に除外されない限り、同じ目的を、または同等もしくは類似の目的を満たす、代替的な特徴と交換され得る。それ故、本発明に開示された各特徴は、特に明記しない限り、一般的なシリーズの例、または同等もしくは類似の特徴であるとみなされるべきである。
【0151】
本発明の全ての特徴は、特別な特徴および/または手順が相互に排他的でない限り、互いに任意の方法で組み合わせることができる。これは、本発明の好ましい特徴に特に言えることである。同様に、本質的でない組み合わせの特徴は、分離して(そして、組み合わせずに)用いることができる。
【0152】
多くの特徴、および特に本発明の好ましい形態の特徴は、それ自体で、発明的であり、本発明の形態の一部であるとのみ考えられるべきではないことに留意すべきである。これらの特徴については、現在特許請求の範囲に記載されている発明に加えて、もしくは替えて、独立した保護を求めることができる。
【0153】
本発明と共に開示された技術的教示は、抽象化され、そして他の実施例と組み合わせることができる。
【0154】
本発明は、以下の実施例により詳細に説明するが、それにより本発明を制限するものではない。
【0155】
当業者は、以下の詳述を用いて、発明的な工夫なしで、さらに本発明の電子素子を製造し、それにより特許請求の範囲全体に亘り、本発明を実施することができる。
【0156】
実施例
以下の合成は、特に明記しない限り、保護ガス雰囲気下、乾燥溶媒中で行われる。溶媒および試薬は、例えば、Sigma-ALDRICHまたはABCRから購入できる。文献から知られている化合物は、対応するCAS番号がそれぞれのケースで記載されている。
【0157】
合成例
a)6-ブロモ-2-フルオロ-2’-メトキシビフェニル
【化23】
200g(664mmol)の1-ブロモ-3-フルオロ-2-ヨードベンゼン、101g(664mmol)の2-メトキシフェニルボロン酸および137.5g(997mmol)の四ホウ素酸ナトリウムが、1000mlのTHFおよび600mlの水に溶解され、脱気される。9.3g(13.3mmol)のビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)および1g(20mmol)の水酸化ヒドラジニウムが加えられる。そして、反応混合物は、70℃の保護ガス雰囲気下で48時間撹拌される。冷却溶液は、トルエンが加えられ、水で繰り返し洗浄され、乾燥濃縮される。生成物は、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィにてトルエン/ヘプタン(1:2)を用いて精製される。収率:155g(553mmol),理論の83%。
【0158】
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化24】
【0159】
b)6’-ブロモ-2’-フルオロビフェニル-2-オール
【化25】
112g(418mmol)の6-ブロモ-2-フルオロ-2’-メトキシビフェニルが2Lのジクロロメタンに溶解され、5℃に冷却される。41.01ml(431mmol)の三臭化ホウ素が90分以内にこの溶液に滴下され、混合物の撹拌は一晩中行われる。次に、混合物は徐々に水と混ぜ合わされ、有機相は水で3回洗浄され、NaSOで乾燥され、ロータリーエバポレーターで濃縮され、クロマトグラフィで精製される。収率:104g(397mmol)、理論の98%。
【0160】
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化26】
【0161】
c)1-ブロモジベンゾフラン
【化27】
111g(416mmol)の6’-ブロモ-2’-フルオロビフェニル-2-オールが2LのDMF(最大0.003%水)SeccoSolv(登録商標)に溶解され、5℃に冷却される。20g(449mmol)の水素化ナトリウム(鉱油中の60%懸濁液)がこの溶液に分割して加えられ、添加が完了すると、混合物は20分撹拌され、そして混合物は100℃に45分間加熱される。冷却後、500mlのエタノールが混合物にゆっくりと加えられ、ロータリーエバポレーターによって完全に濃縮され、クロマトグラフィによって精製される。収率:90g(367mmol)、理論の88.5%。
【0162】
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化28】
【0163】
d)1-ブロモ-8-ヨードベンゾフラン
【化29】
20g(80mmol)の1-ブロモジベンゾフラン、2.06g(40.1mmol)のヨウ素、3.13g(17.8mmol)のヨウ素酸、80mlの酢酸、5mlの硫酸、5mlの水および2mlのクロロホルムが65℃で3時間撹拌される。冷却後、混合物は水と混合され、析出固体は吸引ろ過され、水で3回洗浄される。残留物はトルエンおよびジクロロメタン/ヘプタンから再結晶化される。収率は、25.6g(68mmol)、理論の85%である。
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化30】
【0164】
e)ジベンゾフラン-1-ボロン酸
【化31】
180g(728mmol)の1-ブロモジベンゾフランが、1500mlの乾燥THFに溶解され、-78℃に冷却される。この温度で、305ml(ヘキサン中に764mmol/2.5M)のn-ブチルリチウムが約5分以内に加えられ、そして混合物は-78℃でさらに2.5時間撹拌される。この温度で、151g(1456mmol)のホウ酸トリメチルが非常に急速に加えられ、反応物はゆっくりと(約18時間)室温に戻される。反応溶液は水で洗浄され、析出固体および有機相がトルエンを用いて共沸乾燥(azeotropic drying)される。粗生成物は撹拌しながら、約40℃で、トルエン/塩化メチレンから抽出され、吸引ろ過される。収率:146g(690mmol)、理論の95%。
【0165】
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化32】
【0166】
f)4-ビフェニル-4-イル-2-クロロキナゾリン
【化33】
13g(70mmol)のビフェニル-4-ボロン酸、13.8g(70mmol)の2,4-ジクロロキナゾリンおよび14.7g(139mmol)の炭酸ナトリウムが200mlのトルエン、52mlのエタノールおよび100mlの水に懸濁される。800mg(0.69mmol)のテトラキスフェニルホスフィンパラジウム(0)がこの懸濁液に加えられ、反応混合物は還流下で16時間加熱される。冷却後、有機相は除去され、シリカゲルでろ過され、200mlの水で3回洗浄され、そして乾燥濃縮される。残留物は、ヘプタン/ジクロロメタンで再結晶化される。収率は、13g(41mmol)、理論の59%である。
【0167】
以下の化合物は同様の方法で得られる:
【化34-1】
【化34-2】
【0168】
g)2-ジベンゾフラン-1-イル-4-フェニルキナゾリン
【化35】
23g(110.0mmol)のジベンゾフラン-1-ボロン酸、29.5g(110.0mmol)の2-クロロ-4-フェニルキナゾリンおよび26g(210.0mmol)の炭酸ナトリウムが、500mlのエチレングリコールジアミンエーテルおよび500mlの水に懸濁される。913mg(3.0mmol)のトリ-o-トリルホスフィン、そして112mg(0.5mmol)の酢酸パラジウム(II)がこの懸濁液に加えられ、反応混合物は還流下で16時間加熱される。冷却後、有機相は除去され、シリカゲルを通してろ過され、200mlの水で3回洗浄され、そして濃縮乾燥される。残留物は、トルエンから、そしてジクロロメタン/ヘプタンから、再結晶化される。収率は、32g(86mmol)であり、理論の80%である。
【0169】
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化36】
【0170】
h)2-(8-ブロモジベンゾフラン-1-イル)-4-フェニルキナゾリン
【化37】
70.6g(190.0mmol)の2-ジベンゾフラン-1-イル-4-フェニルキナゾリンが、2000mlの酢酸(100%)および2000mlの硫酸(95-98%)に懸濁される。34g(190mmol)のNBSがその懸濁液に加えられ、混合物は暗中2時間撹拌される。その後、水/氷が加えられ、固体は除去され、エタノールで洗浄される。残留物は、トルエンで再結晶化される。収率は、59g(130mmol)であり、理論の69%に相当する。
【0171】
チオフェン誘導体のケースでは、硫酸よりもニトロベンゼンが使用され、NBSの代わりに元素臭素(elemental bromine)である:
【0172】
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化38】
【0173】
j)2-ジベンゾフラン-1-イル-4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン
【化39】
23g(110.0mmol)のジベンゾフラン-1-ボロン酸、29.5g(110.0mmol)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンおよび21g(210.0mmol)の炭酸ナトリウムが、500mlのエチレングリコールジアミンエーテルおよび500mlの水に懸濁される。この懸濁液に、913mg(3.0mmol)のトリ-o-トリルホスフィン、そして112mg(0.5mmol)の酢酸パラジウム(II)が加えられ、反応混合物は、還流下で16時間加熱される。冷却後、有機相は除去され、シリカゲルを通してろ過され、200mlの水で3回洗浄され、そして濃縮乾燥される。残留物は、トルエンから、そしてジクロロメタン/ヘプタンから、再結晶化される。収率は、37g(94mmol)で、理論の87%に相当する。
【0174】
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化40】
【0175】
i)2-(8-ブロモジベンゾフラン-1-イル)-4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン
【化41】
70g(190.0mmol)の2-ジベンゾフラン-1-イル-4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジンが、2000mlの酢酸(100%)および2000mlの硫酸(95-98%)中に、懸濁される。34g(190mmol)のNBSがこの懸濁液に加えられ、混合物は暗中2時間撹拌される。その後、水/氷が加えられ、固体が除去され、エタノールで洗浄される。残留物はトルエンで再結晶化される。収率は、80g(167mmol)であり、理論の87%に相当する。
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化42】
【0176】
チオフェン誘導体のケースでは、硫酸よりもニトロベンゼンが使用され、NBSの代わりに元素臭素である:
【化43】
【0177】
k)2,4-ジフェニル-6-[8-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ジベンゾフラン-1-イル]-[1,3,5]トリアジン
【化44】
500mlフラスコに、保護ガス下、39g(1051mmol)のビス(ピナコラト)ジボラン(CAS73183-34-3)とともに、60g(125mmol)の2-(8-ブロモジベンゾフラン-1-イル)-4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジンが、900mlの乾燥DMFに溶解され、そして、混合物は30分間脱気される。続いて、37g(376mmol)の酢酸カリウムおよび1.9g(8.7mmol)の酢酸パラジウムが加えられ、そして混合物は一晩中80℃に加熱される。反応完了後、混合物は300mlのトルエンで希釈され、水で抽出される。溶媒は、ロータリーエバポレーターで除去され、ヘプタンで再結晶化される。収率:61g(117mmol)、理論の94%。
【0178】
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化45-1】
【化45-2】
【0179】
l)2,4-ジフェニル-6-[8-(2,4-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)ジベンゾフラン-1-イル]-[1,3,5]トリアジン
【化46】
68.7g(110.0mmol)の2,4-ジフェニル-6-[8-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ジベンゾフラン-1-イル]-[1,3,5]トリアジン、29.3g(110.0mmol)の2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジンおよび21g(210.0mmol)の炭酸ナトリウムが、500mlのエチレングリコールジアミンエーテルおよび500mlの水に懸濁される。この懸濁液に、913mg(3.0mmol)のトリ-o-トリルホスフィン、そして112mg(0.5mmol)の酢酸パラジウム(II)が加えられ、反応混合物は、還流下で16時間加熱される。冷却後、有機相は除去され、シリカゲルを通してろ過され、200mlの水で3回洗浄され、そして濃縮乾燥される。生成物は、トルエン/CHCl3(1:1)を用いてシリカゲルでカラムクロマトグラフィを介して精製され、最後に、高真空下(p=5x10-7mbar)で昇華される(99.9%純度)。収率は、51g(81mmol)であり、理論の74%に相当する。
【0180】
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化47-1】
【化47-2】
【化47-3】
【化47-4】
【化47-5】
【0181】
m)1-[9-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-ジベンゾフラン-2-イル]-1H-ベンゾイミダゾール
【化48】
保護ガス下、10g(84.7mmol)のベンゾイミダゾール、42g(127.4mmol)のCsCO、2.4g(14.7mmol)のCuIおよび30g(63mmol)の2-(8-ブロモジベンゾフラン-1-イル)-4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジンが、100mlの脱気DMFに懸濁され、そして反応混合物は還流下で120℃40時間加熱される。冷却後、溶媒は減圧下で除去され、残留物はジクロロメタンに溶解され、水が加えられる。そして、有機相は除去され、シリカゲルを通してろ過される。収率は、27.9g(54mmol)であり、理論の86%に相当する。
【0182】
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化49】
【0183】
n)1-[9-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-ジベンゾフラン-2-イル]-3-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール
【化50】
保護ガス下、25.7g(50mmol)の1-[9-(4,6-ジフェニル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-ジベンゾフラン-2-イル]-1H-ベンゾイミダゾール、560mg(25mmol)のPd(OAc)、19.3g(118mmol)のCuIおよび20.8g(100mmol)のヨードベンゼンが、300mlの脱気DMFに懸濁され、反応混合物は還流下140℃で24時間加熱される。冷却後、溶媒は減圧下で除去され、残留物は、ジクロロメタンに溶解され、水が加えられる。その後、有機相は除去され、そしてシリカゲルを通してろ過される。生成物は、シリカゲル上でトルエン/ヘプタン(1:2)を用いてカラムクロマトグラフィを介して精製され、最終的に、高真空下(p=5x10-7mbar)で昇華される(99.9%純度)。収率は、18.6g(31mmol)であり、理論の63%に相当する。
【0184】
以下の化合物は同様の方法で調整される:
【化51】
【0185】
OLEDの製造
以下の例C1~I19(表1および2を参照)に、種々のOLEDのデータを示す。
【0186】
工程を改善するために、50nmの厚さの、構造化されたI~(酸化インジウムスズ)で被覆された洗浄されたガラス板(実験室ガラス洗浄機で、メルクエクストラン洗浄液で洗浄される)に、20nmのPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)、これは、CLEVIOS(商標名)P VP AI 4083として、Heraeus Precious Metals GmbH(ドイツ)から購入され、水溶液からスピンコートされる)で被覆される。これらの被覆されたガラス板はOLEDが適用される基板を形成する。
【0187】
OLEDは、基本的に以下の層構造を有する:基板/正孔輸送層(HTL)/中間層(IL)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/任意の正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)/任意の電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、厚さ100nmのアルミニウム層で形成される。OLEDの正確な構造は、表1に見出すことができる。OLEDの製造に必要とされる材料を表3に示す。
【0188】
全ての材料を真空チャンバ内での熱蒸着により塗布する。ここで、発光層は、常に、少なくとも1つのマトリックス材料(ホスト材料)と、同時蒸着によりマトリックス材料(単数もしくは複数)に特定の体積割合で混合される発光ドーパント(発光体)とからなる。INV-1:IC3:TEG1(60%:35%:5%)のような形で示される詳細は、ここでは、材料INV-1が当該層中に60%の体積割合で存在し、IC3が当該層中に35%の割合で存在し、さらにTEG1が当該層中に5%の割合で存在していることを意味する。同様に、電子輸送層も2つの材料の混合物からなっていてもよい。
【0189】
OLEDは、標準的な方法によって特徴づけられる。この目的で、外部量子効率(EQE、%で測定)が、ランベルト放射特性を想定して電流-電圧-光束密度特性直線(IUL特性直線)から算出した光束密度の関数として、決定される。表2のパラメータU1000は、1000cd/mの光束密度に対して必要とされる電圧を表わす。最後に、EQE1000は、動作光束密度1000cd/mでの外部量子効率を表わす。寿命LTは、定電流での駆動時に光束密度が初期光束密度から一定の割合L1に低下するまでの時間として定義される。表X2のL0;j0=4000cd/m、およびL1=70%の数値は、LT欄に報告される寿命が、初期光束密度が4000cd/mから2800cd/mに低下する時間に対応することを意味する。同様に、L0;j0=20mA/cm、L1=80%は、20mA/cmで作動時に、光束密度が、時間LTの経過後に、初期値の80%に低下することを意味する。
【0190】
種々のOLEDのデータを表2にまとめる。例C1~C4は、従来技術による比較例であり、従来技術の材料を含むOLEDを示す。例I1~I10は、本発明による材料を含んでなるOLEDのデータを示す。
【0191】
本発明に係るOLEDの利点を説明するために、例のいくつかを以下に詳細に記載する。しかしながら、これは、表2に示されるデータの単なる選択であることを指摘しておくべきであろう。表からわかるように、具体的に記載されていない本発明による化合物が使用される場合であっても、先行技術に対する顕著な改善がいくつかのケースにおいて全てのパラメータにおいて達成されるが、いくつかのケースにおいて、効率、電圧、または寿命における改善のみが観察される。しかしながら、言及されたパラメータのうちの1つにおける改善は、さまざまな用途が異なるパラメータに関する最適化を要求するため、既に、重要な利点である。
【0192】
電子輸送材材料としての本発明の化合物の使用
実施例および比較例は、本発明の置換基が、電圧および寿命において、他の特性において顕著な損失をもたらすことなく、明確な改善をもたらすことを示す。
【0193】
材料INV-7がETLに使用されるOLEDと比較すると、好ましい材料INV-2、INV-3、INV-4およびINV-5の使用のケースにおいて、いくつかのケースでは電圧においてわずかな改善がみられ、いくつかのケースでは寿命の改善もみられる。
【0194】
燐光OLEDにおけるマトリックス材料としての本発明の化合物の使用
実施例および比較例は、発明的な置換が、他の特性の顕著な損失をすることなく、電圧や寿命における顕著な改善をもたらすことを示す。
【0195】
材料INV-6がEMLに使用されるOLEDと比較すると、好ましい材料INV-1、INV-2、INV-3およびINV-4の使用のケースにおいて、いくつかのケースでは電圧およびEQEにおいてわずかな改善がみられ、いくつかのケースでは寿命において特に顕著な改善がみられる。
【表1-1】
【表1-2】
【表2】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】