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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240228BHJP
   B24B 7/00 20060101ALI20240228BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20240228BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240228BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H01L21/68 B
B24B7/00 A
B24B55/06
B24B41/06 A
H01L21/304 622L
H01L21/304 622Q
H01L21/304 648A
H01L21/304 643D
H01L21/304 643Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020028104
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021132178
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中塚 敦
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-326205(JP,A)
【文献】特開2003-059875(JP,A)
【文献】特開2010-087443(JP,A)
【文献】特開2015-082570(JP,A)
【文献】特開2009-252877(JP,A)
【文献】特開2001-087725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B24B 7/00
B24B 55/06
B24B 41/06
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面によって被加工物を保持するチャックテーブルと、該保持面に保持された該被加工物を加工する加工手段と、該被加工物を保持して搬送する搬送パッドと、を少なくとも備える加工装置であって、
該搬送パッドは、該被加工物に水を供給して該被加工物の上面に水層を形成する水層形成手段と、該被加工物の上面に対面して配置され該水層に着水する超音波振動子と、を備え、
該水層に該超音波振動子から発振される超音波振動を伝播させて該被加工物の上面を洗浄する、加工装置。
【請求項2】
保持面によって被加工物を保持するチャックテーブルと、該保持面に保持された該被加工物を加工する加工手段と、該被加工物を保持して搬送する搬送パッドと、スピンナ保持面によって該被加工物を保持すると共に該スピンナ保持面を回転させ該被加工物を洗浄するスピンナテーブルと、を少なくとも備える加工装置であって、
該搬送パッドは、該被加工物に水を供給して該被加工物の上面に水層を形成する水層形成手段と、該スピンナ保持面に対面して配置され該水層に着水する超音波振動子と、を備え、
該水層に該超音波振動子から発振される超音波振動を伝播させて該スピンナ保持面を洗浄する、加工装置。
【請求項3】
被加工物は、開口を有するリングフレームの該開口を塞ぐように該リングフレームに貼着されたテープに貼着されることにより該テープを介して該リングフレームによって支持されており、
該搬送パッドは、該リングフレームを保持する保持部と、該保持部が配置されるプレートと、該プレートの下面から水を供給して該水層を形成する該水層形成手段と、該プレートの内部に配置され該プレートの下面に露出して該水層の水に着水する該超音波振動子と、を備える、請求項1、請求項2のいずれか1項に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研削砥石を用いてウェーハの上面を研削する研削装置は、研削後、搬送手段を用いてウェーハをスピンナテーブルに搬送して、ウェーハを保持するスピンナテーブルを高速回転させると共に、ウェーハの上面に洗浄水を供給して、遠心力を受けた洗浄水の移動によってウェーハの上面に付着した加工屑を除去している。
しかし、ウェーハの上面には、研削砥石を用いた研削により、凸凹面が形成されている。したがって、凹部に加工屑が進入していて、遠心力を受けた洗浄水の移動だけでは上面の加工屑を除去できない場合がある。
そのため、特許文献1に開示のように、超音波振動を伝播した洗浄水をノズルから噴出させウェーハの上面を洗浄するという発明がある。
【0003】
さらには、加工後のウェーハをスピン洗浄する装置に備えたスピンナテーブルは、ウェーハを保持するスピンナ保持面を有している。このスピンナ保持面にもウェーハの下面に付着した加工屑が付着する場合がある。そこで、特許文献2に開示のように、加工後のウェーハの下面に付着した汚れを除去するためのウェーハ下面洗浄手段を備えた加工装置の発明がある。
加えて、ウェーハを研削するためにウェーハを保持するチャックテーブルの保持面には、研削において発生した加工屑が付着することがある。そのため、特許文献3に開示のように保持面に洗浄水を供給して保持面を洗浄するという発明がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開1999-031643号公報
【文献】特開2016-051872号公報
【文献】特開2011-200785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、洗浄水の噴出による洗浄では、ウェーハを部分的に洗浄するため、ウェーハの上面から離反した加工屑がウェーハの上面に再付着するという問題や洗浄に時間がかかるという問題がある。また、ウェーハの上面にゴミが付着していることによって、ウェーハの上面を吸引保持する吸引面を有する搬送パッドがウェーハを吸引保持する際に、ウェーハの上面と吸引面との間に挟まるゴミによってウェーハを破損させる場合がある。従って、ウェーハをチャックテーブルの保持面に搬入する前のウェーハの上面全面や、加工後のウェーハの上面全面を、すばやく洗浄するという解決すべき課題がある。
また、下面洗浄手段を用いてウェーハの下面を洗浄しても、ウェーハの下面にゴミが残っていて、ウェーハの下面とスピンナ保持面との間にゴミが挟まり、加工後のウェーハを破損させるという問題がある。したがって、スピンナ保持面をすばやく洗浄するという解決すべき課題がある。
さらには、洗浄が部分的に実施されると、洗浄水を供給したことにより保持面から離反した加工屑が保持面に再付着するという問題がある。保持面全面を素早く洗浄するという解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、保持面によって被加工物を保持するチャックテーブルと、該保持面に保持された該被加工物を加工する加工手段と、該被加工物を保持して搬送する搬送パッドと、を少なくとも備える加工装置であって、該搬送パッドは、該被加工物に水を供給して該被加工物の上面に水層を形成する水層形成手段と、該被加工物の上面に対面して配置され該水層に着水する超音波振動子と、を備え、該水層に該超音波振動子から発振される超音波振動を伝播させて該被加工物の上面を洗浄する、加工装置である。
本発明は、保持面によって被加工物を保持するチャックテーブルと、該保持面に保持された該被加工物を加工する加工手段と、該被加工物を保持して搬送する搬送パッドと、スピンナ保持面によって該被加工物を保持すると共に該スピンナ保持面を回転させ該被加工物を洗浄するスピンナテーブルと、を少なくとも備える加工装置であって、該搬送パッドは、該被加工物に水を供給して該被加工物の上面に水層を形成する水層形成手段と、該スピンナ保持面に対面して配置され該水層に着水する超音波振動子と、を備え、該水層に該超音波振動子から発振される超音波振動を伝播させて該スピンナ保持面を洗浄する、加工装置である。
上記の加工装置は、被加工物は、開口を有するリングフレームの該開口を塞ぐように該リングフレームに貼着されたテープに貼着されることにより該テープを介して該リングフレームによって支持されており、該搬送パッドは、該リングフレームを保持する保持部と、該保持部が配置されるプレートと、該プレートの下面から水を供給して該水層を形成する該水層形成手段と、該プレートの内部に配置され該プレートの下面に露出して該水層の水に着水する該超音波振動子と、を備えるものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
CMP研磨などを行う際に研磨部材と被加工物との間に供給されるスラリーが被加工物の上面に付着するなどによって、ひどく汚れた状態の被加工物であっても、超音波による洗浄を行って汚れを除去することが可能になる。
また、チャックテーブルの保持面を超音波洗浄することができ、さらにはスピンナ保持面を超音波洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】加工装置全体を表す斜視図である。
図2】リングフレームに支持された被加工物の上面を洗浄する様子を表す断面図である。
図3】保持面に保持された被加工物の上面に第1搬送パッドの下面が接触している様子を表す断面図である。
図4】保持面に保持された被加工物の上面を洗浄する様子を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
1 加工装置の構成
図1に示す加工装置1は、研削砥石340を用いて被加工物15を研削加工する加工装置である。以下、加工装置1について説明する。
被加工物15は、開口171を有するリングフレーム17の開口171を塞ぐようにリングフレーム17に貼着されているテープ16に貼着されており、テープ16を介してリングフレーム17に支持されている。
【0010】
加工装置1は、図1に示すように、Y軸方向に延設されたベース10とベース10の+Y方向側に立設されたコラム11とを備えている。
【0011】
ベース10の上には、チャックテーブル2が配設されている。チャックテーブル2は、保持手段20と保持手段20を支持する枠体21とを備えている。保持手段20の上面は被加工物15が保持される保持面200となっている。枠体21の上面210は、保持面200に面一に形成されている。
保持面200には図示しない吸引手段等が接続されている。保持面200に被加工物15が載置されている状態で、図示しない吸引手段等を用いて吸引力を発揮させることにより、生み出された吸引力が保持面200に伝達されて、保持面200に被加工物15が吸引保持されることとなる。
【0012】
また、チャックテーブル2の周囲にはカバー27及びカバー27に伸縮自在に連結された蛇腹28が配設されている。例えば、チャックテーブル2がY軸方向に移動すると、カバー27がチャックテーブル2とともにY軸方向に移動して蛇腹28が伸縮することとなる。
【0013】
コラム11の-Y方向側の側面には、加工手段3を昇降可能に支持する上下移動手段4が配設されている。加工手段3は、Z軸方向の回転軸35を有するスピンドル30と、スピンドル30を回転可能に支持するハウジング31と、回転軸35を軸にしてスピンドル30を回転駆動するスピンドルモータ32と、スピンドル30の下端に接続された円環状のマウント33と、マウント33の下面に着脱可能に装着された研削ホイール34とを備えている。
研削ホイール34は、ホイール基台341と、ホイール基台341の下面に環状に配列された略直方体形状の複数の研削砥石340とを備えており、研削砥石340の下面は被加工物15を研削する研削面342となっている。
【0014】
上下移動手段4は、Z軸方向の回転軸45を有するボールネジ40と、ボールネジ40に対して平行に配設された一対のガイドレール41と、回転軸45を軸にしてボールネジ40を回転させるZ軸モータ42と、内部のナットがボールネジ40に螺合して側部がガイドレール41に摺接する昇降板43と、昇降板43に連結され加工手段3を支持するホルダ44とを備えている。
【0015】
Z軸モータ42によってボールネジ40が駆動されて、ボールネジ40が回転軸45を軸にして回転すると、これに伴って、昇降板43がガイドレール41に案内されてZ軸方向に昇降移動するとともに、ホルダ44に保持されている加工手段3がZ軸方向に移動することとなる。
【0016】
ベース10の上には、例えば厚み測定手段100が配設されている。厚み測定手段100は、例えば加工装置1のベース10の上の-X方向側に配設された筐体103を備えている。筐体103の側面には、上面ハイトゲージ101と、保持面ハイトゲージ102とが配設されている。
例えば保持面200に被加工物15が保持されている状態で、上面ハイトゲージ101のプローブを被加工物15の上面150に接触させることにより、被加工物15の上面150の高さを測定することができる。
また、例えば、保持面ハイトゲージ102のプローブを枠体21の上面210に接触させることにより、枠体21の上面210に面一に形成されている保持面200の高さを測定することができる。
筐体103の内部には、例えば、図示しないCPU、メモリ等を有する厚み算出手段が設けられている。該厚み算出手段は、測定された被加工物15の上面150の高さの値と、保持面200の高さの値とに基づいて、被加工物15の厚みを算出する機能を有している。
【0017】
ベース10の-Y方向側には、カセット載置部12が設けられている。
カセット載置部12には、カセット70が載置されている。カセット70には、研削加工前の被加工物15が収容されている。また、カセット70には、研削加工後の被加工物15を収容することができる。
【0018】
カセット70の+Y方向側には、ロボット71が配設されている。ロボット71は、保持手段710と保持手段710を旋回可能に支持する軸部711とを備えている。保持手段710の上面は、被加工物15が保持される保持面712となっている。保持手段710を用いてカセット70に収容されている被加工物15をカセット70から取り出して、軸部711を軸にして保持手段710を旋回させることにより、被加工物15を搬送することができる。
【0019】
保持手段710の可動域における+X方向側には、研削加工前の被加工物15が仮置きされる仮置き領域13が配設されており、保持手段710の可動域における-X方向側には、研削加工後の被加工物15を洗浄する洗浄領域14が設けられている。
【0020】
仮置き領域13には、位置合わせ手段72が配設されている。カセット70から搬出されて仮置き領域13に載置された被加工物15は、位置合わせ手段72によって所定の位置に位置合わせされることとなる。
【0021】
洗浄領域14には、スピンナ洗浄手段73が配設されている。スピンナ洗浄手段73は、被加工物15が保持されるスピンナテーブル730と、スピンナテーブル730に保持された被加工物15に向けて洗浄水を噴出する洗浄水供給ノズル731とを備えている。スピンナテーブル730の上面は、被加工物15が保持されるスピンナ保持面732となっている。
例えば、スピンナテーブル730のスピンナ保持面732に研削加工後の被加工物15が載置されている状態で、洗浄水供給ノズル731から洗浄水を供給することにより被加工物15を洗浄することができる。
【0022】
仮置き領域13に隣接する位置には、位置合わせ手段72によって位置合わせされた被加工物15をチャックテーブル2に搬入する第1搬送パッド608が配設されている。
第1搬送パッド608は、円板状のプレート67及びプレート67を上下自在に吊持するアーム61を備えている。アーム61の端部には、Z軸方向の回転軸65を有する筒状の軸部610が連結されている。例えば、軸部610には、回転軸65を軸にして軸部610を回転させる図示しない回転手段等が接続されている。
図示しない回転手段等を用いて回転軸65を軸にして軸部610を回転させることにより、軸部610に連結されているアーム61が回転軸65を軸にして旋回する構成となっている。
【0023】
アーム61の軸部610に連結されていない側の端部には、環状部材62が連結されている。環状部材62には、例えば3つの貫通孔620が円周上に等間隔に貫通形成されており、それぞれの貫通孔620にネジ63(図1においては1つのみが示されている)が貫通して、さらにプレート67に螺嵌している。ネジ63のツバ部は貫通孔620よりも大径に形成されており、ネジ63はその下降範囲が制限された状態でプレート67とともに環状部材62に吊持されている。
【0024】
また、第1搬送パッド608は、環状部材62の開口に貫通し、プレート67に連結された軸部64を備えている。
軸部64の内部には、図2に示すように、貫通孔640がZ軸方向に貫通形成されている。
【0025】
プレート67は、軸部64に連結された支持部材68と支持部材68の下面681に配設された中心部材69とを備えている。支持部材68及び中心部材69には、それぞれ貫通孔680及び貫通孔690がZ軸方向に貫通形成されている。
例えば貫通孔640、680、及び690は、それぞれ同径であり、Z軸方向に直線状に並べられているものとする。
【0026】
中心部材69の内部には、複数の超音波振動子50が、それぞれの下部が中心部材69の下面691から露出するように配設されている。超音波振動子50には、高周波電源部5が接続されている。高周波電源部5から超音波振動子50に対して電力を供給することによって、超音波振動子50を振動させることができる。
【0027】
プレート67の支持部材68の下面681には、リングフレーム17を保持する吸盤状の保持部66が配設されている。
保持部66は、吸引路82を介して吸引源80に接続されている。吸引路82には、吸引源80と保持部66との連通状態を切り替える吸引バルブ81が配設されている。
吸引バルブ81が開いている状態で吸引源80を作動させると、吸引源80が吸引力を発揮するとともに、吸引源80に生み出された吸引力が吸引路82を通じて保持部66の下面660に伝達されることとなる。
【0028】
例えば、保持部66にリングフレーム17の上面170が接触している状態で、吸引源80を作動させて、吸引源80に生み出された吸引力を保持部66に伝達することにより、保持部66にリングフレーム17を吸引保持することができる。
なお、例えば、保持部66の下面660がリングフレーム17の上面170に接触している状態で、さらに保持部66の下面660をリングフレーム17の上面170に押し付けることによって、吸引源80を作動させずとも、保持部66にリングフレーム17を吸着させることができる構成としてもよい。
【0029】
第1搬送パッド608は、水層形成手段9を備えている。水層形成手段9は、水供給源90と、水供給源90と軸部64とを接続する流路92とを備えている。流路92には、水供給源90と軸部64との連通状態を切り替える水バルブ91が配設されている。
例えば、被加工物15を支持しているリングフレーム17が保持部66に保持されている状態で、水バルブ91を開いて水供給源90から水51を供給すると、水51が流路92を通って軸部64に供給され、さらに軸部64の貫通孔640、支持部材68の貫通孔680、及び中心部材69の貫通孔690を通過していき、中心部材69の貫通孔690から、中心部材69の下面691と被加工物15の上面150との間に供給される。これにより、被加工物15の上面150に水層52が形成されることとなる。
【0030】
被加工物15の上面150に水層52が形成されているとき、中心部材69の下面691から露出している超音波振動子50が水層52の水51に着水しているものとする。
【0031】
図1に示すように、第1搬送パッド608の-X方向側には、第2搬送パッド609が配設されている。第2搬送パッド609は、第1搬送パッド608と同様の構成を有しているため、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0032】
なお、加工装置1は、図1に示した単軸の研削装置に限定されず、複軸研削装置、または研磨装置、若しくは切削装置であってもよい。
【0033】
2 加工装置の動作
上記の加工装置1を用いて被加工物15の研削加工、及び被加工物15の上面150の洗浄を行う際の加工装置1の動作について、以下に説明する。
まず、図1に示したロボット71を用いてカセット70に収容されている被加工物15のうちの一枚を引き出して、仮置き領域13に載置する。被加工物15が仮置き領域13に載置されると、位置合わせ手段72による被加工物15の位置合わせが行われる。
【0034】
位置合わせ手段72により被加工物15の位置合わせを行った後、第1搬送パッド608を用いて被加工物15をチャックテーブル2の保持面200に載置して、図示しない吸引手段等を作動させる。これにより、生み出された吸引力が保持面200に伝達されて、被加工物15が保持面200に吸引保持される。
【0035】
そして、被加工物15が保持面200に吸引保持されている状態で、チャックテーブル2を+Y方向に移動させて、加工手段3の下方に位置付ける。
次いで、回転手段24を用いて回転軸25を軸にしてチャックテーブル2を回転させることにより、保持面200に保持されている被加工物15を回転させるとともに、スピンドルモータ32を用いて回転軸35を軸にして研削砥石340を回転させる。
【0036】
被加工物15が回転軸25を軸にして回転しており、かつ、研削砥石340が回転軸35を軸にして回転している状態で、上下移動手段4を用いて研削砥石340を-Z方向に下降させて、研削砥石340の研削面342を被加工物15の上面150に接触させる。研削面342が被加工物15の上面150に接触している状態で、さらに研削砥石340を-Z方向に下降させることにより被加工物15が研削される。
【0037】
被加工物15の研削加工中には、厚み測定手段100を用いて被加工物15の厚みの測定が行われる。被加工物15が所定の厚みまで研削されたら研削加工を終了する。
【0038】
研削加工後、図示しないY軸移動手段を用いてチャックテーブル2を-Y方向に移動させて、チャックテーブル2を第2搬送パッド609の可動範囲に位置付ける。
【0039】
そして、図2に示した第2搬送パッド609を用いてリングフレーム17を吸引保持する。第2搬送パッド609によりリングフレーム17が吸引保持されている状態で、水バルブ91を開いて水供給源90から水51を供給する。これにより、水51が貫通孔640、680、及び690を通って貫通孔690から被加工物15の上面150に供給される。
被加工物15の上面150に水51が供給されることによって、被加工物15の上面150に水51が堆積されていき、被加工物15の上面150に水層52が形成される。これにより、中心部材69の下面691から-Z方向側に露出している複数の超音波振動子50が水層52に着水する。
【0040】
この状態で、高周波電源部5を作動して、超音波振動子50に電力を供給する。これにより、超音波振動子50から超音波振動が発振され、該超音波振動が水層52に伝播されて、水層52の水51の振動によって被加工物15の上面150が洗浄される。
【0041】
本加工装置を用いれば、例えば、CMP研磨などの際に研磨部材と被加工物15との間に供給されるスラリーが被加工物15の上面150に付着しており、被加工物15がひどく汚れた状態にあっても、超音波による洗浄を行って汚れを除去することが可能である。
また、第2搬送パッドを用いて研削加工後の被加工物15を搬送しながらその上面150を洗浄することもできるため、洗浄にかかる時間を短縮することができる。
【0042】
さらには、加工装置1を同様に作動させることにより、スピンナテーブル730のスピンナ保持面732及びチャックテーブル2の保持面200を超音波洗浄することができる。
【0043】
加工装置1に備える第1搬送パッド608は、上記のプレート67にかえて、図3に示すように、吸引部600と吸引部600を支持する枠体601とを備えるものであってもよい。
枠体601はその上部が軸部64に連結されており、軸部64に吊持されている。吸引部600は、被加工物15の上面150を吸引する吸引面604を有している。吸引部600及び枠体601には、それぞれ貫通孔602及び貫通孔603がZ軸方向に貫通形成されている。
また、例えば、貫通孔640、602、及び603は、それぞれ同径であり、Z軸方向に一直線上に形成されているものとする。
【0044】
チャックテーブル2は、基台22に支持されている。基台22の内部には回転手段24が配設されている。回転手段24は、図示しないモータ等を備えており、基台22をZ軸方向の回転軸25を軸にして回転させることができる。回転手段24により駆動されて基台22が回転軸25を軸にして回転すると、基台22に支持されているチャックテーブル2が回転軸25を軸にして回転する構成となっている。
【0045】
また、被加工物15の下面151には保護テープ18が貼着されているものとする。
【0046】
上記の加工装置1を用いて被加工物15の上面150を洗浄する際には、まず、図4に示すように、チャックテーブル2の保持面200に吸引保持されている被加工物15の上面150の上方に、第2搬送パッド609を位置付ける。
【0047】
次いで、水バルブ91を開いて水供給源90から水51を供給する。水供給源90から供給された水51は、貫通孔640、603、及び602を通過して、吸引面604から被加工物15の上面150に供給される。水供給源90から被加工物15の上面150に水51が供給され、水51が被加工物15の上面150に堆積されていくことにより、被加工物15の上面150に水層52が形成される。
被加工物15の上面150に水層52が形成されると、吸引面604から出っぱらずに露出している超音波振動子50が水層52に着水している状態となる。
つまり、吸引面604に露出する超音波振動子50の露出面は、吸引面604と面一、または、吸引面604より凹んでいるため、吸引面604で被加工物15を吸引保持した際に被加工物15を傷付けるということがない。
【0048】
被加工物15の上面150に水層52が形成されており、超音波振動子50が水層52に着水している状態で、高周波電源部5を作動して、超音波振動子50に電力を供給する。これにより、超音波振動子50から超音波振動が発振され、該超音波振動が水層52に伝播されて、水層52の水51の振動によって被加工物15の上面150が洗浄される。
【0049】
かかる構成を有する加工装置1を用いて、被加工物15の超音波洗浄を行うことにより被加工物15の汚れを除去することが可能になる。また、加工装置1を同様に作動させることにより、チャックテーブル2の保持面200を超音波洗浄することができ、さらにはスピンナ保持面732を超音波洗浄できる。
【符号の説明】
【0050】
1:加工装置 10:ベース 11:コラム 12:カセット載置部
13:仮置き領域 14:洗浄領域
100:厚み測定手段 101:上面ハイトゲージ 102:保持面ハイトゲージ
103:筐体
2:チャックテーブル 20:吸引部 200:保持面 21:枠体
210:枠体の上面 22:基台 24:回転手段 25:回転軸
27:カバー 28:蛇腹
3:加工手段 30:スピンドル 31:ハウジング 32:スピンドルモータ
33:マウント 34:研削ホイール 340:研削砥石 342:研削面
341:ホイール基台 35:回転軸
4:上下移動手段 40:ボールネジ 41:ガイドレール 42:Z軸モータ
43:昇降板 44:ホルダ 45:回転軸 5:高周波電源部 50:超音波振動子
51:水 52:水層
608:第1搬送パッド 609:第2搬送パッド 600:吸引部
601:枠体 602:貫通孔 603:貫通孔 604:吸引面
61:アーム 610:軸部 62:環状部材 620:貫通孔 63:ネジ
64:軸部 640:貫通孔 65:回転軸 66:保持部 660:保持部の下面
67:プレート 68:支持部材 681:支持部材の下面 680:貫通孔
69:中心部材 691:中心部材の下面 690:貫通孔
70:カセット 71:ロボット 710:ロボットハンド 712:保持面
711:軸部 72:位置合わせ手段
73:スピンナ洗浄手段 730:スピンナテーブル 732:スピンナ保持面
731:洗浄水供給ノズル
80:吸引源 81:吸引バルブ 82:吸引路 9:水層形成手段 90:水供給源
91:水バルブ 92:流路
15:被加工物 150:被加工物の上面 151:被加工物の下面
18:保護テープ 16:テープ 17:リングフレーム
170:リングフレームの上面 171:リングフレームの開口
図1
図2
図3
図4