(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】ウェイクアップ回路及び受信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20240228BHJP
H03K 17/28 20060101ALI20240228BHJP
G06F 15/78 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
H04B1/16 M
H03K17/28 C
G06F15/78 520
(21)【出願番号】P 2020050151
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2019067077
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平崎 新也
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-207185(JP,A)
【文献】特開平10-190568(JP,A)
【文献】特開2016-115991(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0132091(US,A1)
【文献】特開2013-109559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H03K 17/28
G06F 15/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコンピュータ装置と相互に動作の監視及び制御を行い、通常状態では送信装置からのデータを受信し続けスリープ状態では前記マイクロコンピュータ装置を起動させることなく特定周期でのみ前記データを受信する受信装置に搭載される、ウェイクアップ回路であって、
前記受信装置に搭載される受信回路をウェイクアップさせる第1の周期、及び、
前記受信回路をウェイクアップさせる、前記第1の周期より短い第2の周期に基づき、前記
受信回路をウェイクアップさせる出力信号を出力するウェイクアップ信号生成部を有
し、
前記ウェイクアップ信号生成部は、
クロック信号に基づきカウントを行うウェイクアップカウンタと、
前記ウェイクアップカウンタによりカウントされた数値と、前記第1の周期を表す数値との比較を行い、かつ、一致すると判断するとき、前記受信回路をウェイクアップさせる旨を示す第1の信号の出力を行う第1の比較器と、
前記カウントされた数値と、前記第2の周期を表す数値との比較を行い、かつ、一致すると判断するとき、前記受信回路をウェイクアップさせる旨を示す第2の信号の出力を行う第2の比較器と、
前記第1の信号及び前記第2の信号のいずれかが入力されたとき、前記出力信号を前記受信回路に出力することで、前記出力信号を入力した前記スリープ状態の前記受信回路に前記マイクロコンピュータ装置を起動させることなく前記第1の周期又は前記第2の周期で前記データを受信させる出力器と、
を含むウェイクアップ回路。
【請求項2】
前記第2の比較器は、前記比較を開始した時点から、前記第1の周期よりも短く、かつ、前記第2の周期よりも長い所定期間を経過したときに、前記第2の比較器が前記第2の信号を出力することを停止する請求項
1に記載のウェイクアップ回路。
【請求項3】
前記第2の比較器は、前記
第2の信号の出力を、前記第2の比較器による前記
第2の信号の出力を許可する旨を示す制御信号に応答して行う請求項
1または請求項
2に記載のウェイクアップ回路。
【請求項4】
マイクロコンピュータ装置と相互に動作の監視及び制御を行い、通常状態では送信装置からのデータを受信し続けスリープ状態では前記マイクロコンピュータ装置を起動させることなく特定周期でのみ前記データを受信する受信装置に搭載される、ウェイクアップ回路であって、
前記受信装置に搭載される受信回路をウェイクアップさせる第1の周期、及び、前記受信回路をウェイクアップさせる、前記第1の周期より短い第2の周期に基づき、前記受信回路をウェイクアップさせる出力信号を出力するウェイクアップ信号生成部を有し、
前記ウェイクアップ信号生成部は、
第1の加算値、及び、前記第1の加算値より大きい第2の加算値を選択するための加算値選択器と、
クロック信号に基づきカウントを行うウェイクアップカウンタであって、前記加算値選択器の前記第1の加算値が選択されたとき、前記第1の周期を表す数値に至るべく、前記クロック信号に含まれる各クロックパルス毎に前記第1の加算値を足すことにより前記カウントを行い、
前記加算値選択器の前記第2の加算値が選択されたとき、前記第2の周期を表す数値に至るべく、前記クロック信号に含まれる各クロックパルス毎に前記第2の加算値を足すことにより前記カウントを行う前記ウェイクアップカウンタと、
前記ウェイクアップカウンタによりカウントされた数値と、前記第1の周期及び前記第2の周期のうちのいずれかを表す数値との比較を行い、かつ、一致すると判断するとき、前記
受信回路をウェイクアップさせる出力信号を出力する
ことで、前記出力信号を入力した前記スリープ状態の前記受信回路に前記マイクロコンピュータ装置を起動させることなく前記第1の周期又は前記第2の周期で前記データを受信させる比較器と、
を含
むウェイクアップ回路。
【請求項5】
前記加算値選択器は、前記第1の加算値及び前記第2の加算値間での選択の切り換えを、前記出力信号に基づくカウントの値に従って行う請求項
4に記載のウェイクアップ回路。
【請求項6】
前記比較器は、前記
出力信号の出力を、前記比較器による前記出力信号の出力を許可する旨を示す制御信号に応答して行う請求項
4または請求項
5に記載のウェイクアップ回路。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のウェイクアップ回路と、
前記受信装置と、
前記マイ
クロコン
ピュータ装置と、
を備え、
前記受信装置は、スリープ状態のときに前記出力信号に基づいてウェイクアップする受信システム。
【請求項8】
前記マイ
クロコン
ピュータ装置は、前記出力信号の出力を許可する旨を示す制御信号を出力した後に、前記スリープ状態に移行する請求項
7に記載の受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェイクアップ回路、及び、当該ウェイクアップ回路を含む受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電子制御装置が備えるマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略記する。)での不要な電力の消費を抑制するウェイクアップ機能を有するウェイクアップ回路を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したウェイクアップ回路は、例えば、無線受信システムの受信装置内で使用される。無線受信システムは、消費電力を低減すべく、通常状態及びスリープ状態を備え、かつ、両状態が時系列で交互に切り替わる。無線受信システム内の受信装置は、通常状態では、常に、電波を受信するための動作(受信動作)を行う。受信装置は、スリープ状態では、基本的には受信動作を行わず、例外的には、一定周期毎にのみ、受信動作を行う。
【0005】
しかしながら、例えば、上記したスリープ状態の間に、上記した一定周期を短くしようとすれば、上記した受信装置の受信動作を監視し及び制御する、即ち、上記した一定周期の長さを指示するマイコン装置が、スリープ状態から通常状態へ切り替わる必要がある。そのため、マイコン装置の消費電力を増加させることなく、上記した一定周期を短く設定することができないという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、マイコン装置の消費電力を増加させることなく、ウェイクアップの周期を短く設定することができるウェイクアップ回路及び受信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決すべく、本発明に係る第1ウェイクアップ回路は、外部の回路をウェイクアップさせる第1の周期、及び、外部の回路をウェイクアップさせる、前記第1の周期より短い第2の周期に基づき、前記外部の回路をウェイクアップさせる出力信号を出力するウェイクアップ信号生成部を有する。
【0008】
本発明に係る第2のウェイクアップ回路では、前記ウェイクアップ信号生成部は、クロック信号に基づきカウントを行うウェイクアップカウンタと、前記ウェイクアップカウンタによりカウントされた数値と、前記第1の周期を表す数値との比較を行い、かつ、一致すると判断するとき、前記外部の回路をウェイクアップさせる旨を示す第1の信号の出力を行う第1の比較器と、前記カウントされた数値と、前記第2の周期を表す数値との比較を行い、かつ、一致すると判断するとき、前記外部の回路をウェイクアップさせる旨を示す第2の信号の出力を行う第2の比較器と、前記第1の信号及び前記第2の信号が入力され、前記第1の信号及び前記第2の信号のうちのいずれかが、前記外部の回路をウェイクアップさせる旨を示すとき、前記外部の回路をウェイクアップさせる出力信号を出力する出力器と、を含む。
【0009】
本発明に係る第3のウェイクアップ回路では、前記ウェイクアップ信号生成部は、第1の加算値、及び、前記第1の加算値より大きい第2の加算値を選択するための加算値選択器と、クロック信号に基づきカウントを行うウェイクアップカウンタであって、前記加算値選択器の前記第1の加算値が選択されたとき、前記第1の周期を表す数値に至るべく、前記クロック信号に含まれる各クロックパルス毎に前記第1の加算値を足すことにより前記カウントを行い、前記加算値選択器の前記第2の加算値が選択されたとき、前記第2の周期を表す数値に至るべく、前記クロック信号に含まれる各クロックパルス毎に前記第2の加算値を足すことにより前記カウントを行う前記ウェイクアップカウンタと、前記ウェイクアップカウンタによりカウントされた数値と、前記第1の周期及び前記第2の周期のうちのいずれかを表す数値との比較を行い、かつ、一致すると判断するとき、前記外部の回路をウェイクアップさせる出力信号を出力する比較器と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る第1のウェイクアップ回路によれば、ウェイクアップ信号生成部が、前記第1の周期、及び前記第2の周期に基づき、前記外部の回路をウェイクアップさせる出力信号を出力する。これにより、マイコン装置を起動させることなく、換言すれば、マイコン装置の消費電力を増加させることなく、ウェイクアップの周期を短く設定することができる。
【0011】
本発明に係る第2のウェイクアップ回路によれば、前記第1の比較器は、ウェイクアップカウンタによりカウントされた数値と、外部の回路をウェイクアップさせる第1の周期を表す数値とが一致するとき、前記ウェイクアップの旨を示す第1の信号を出力し、前記第2の比較器は、前記カウントされた数値と、前記第1の周期より短い第2の周期を表す数値とが一致するとき、前記ウェイクアップの旨を示し、前記出力器は、前記第1の信号及び前記第2の信号のうちのいずれかが、前記ウェイクアップの旨を示すとき、前記外部の回路をウェイクアップさせる出力信号を出力する。これにより、マイコン装置を起動させることを要しないことから、マイコン装置の消費電力を増加させることなく、ウェイクアップの周期を短く設定することができる。
【0012】
本発明に係る第3のウェイクアップ回路によれば、前記ウェイクアップカウンタは、前記第1の加算値が選択されたとき、前記第1の周期を表す数値に至るべく、前記クロック信号に含まれる各クロックパルス毎に前記第1の加算値を足すことにより前記カウントを行い、また、前記第2の加算値が選択されたとき、前記第2の周期を表す数値に至るべく、前記クロック信号に含まれる各クロックパルス毎に前記第2の加算値を足すことにより前記カウントを行い、前記比較器は、前記ウェイクアップカウンタによりカウントされた数値と、前記第1の周期及び前記第2の周期のうちのいずれかを表す数値とが一致するとき、前記外部の回路をウェイクアップさせる出力信号を出力する。これにより、マイコン装置を起動させることを要しないことから、マイコン装置の消費電力を増加させることなく、ウェイクアップの周期を短く設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1の無線受信システムの構成を示す。
【
図3】実施形態1のウェイクアップ回路の構成を示す。
【
図4】実施形態1のウェイクアップ回路の動作を示す。
【
図5】実施形態1の変形例のウェイクアップ回路の構成を示す。
【
図6】実施形態1の変形例のウェイクアップ回路の動作を示す。
【
図7】実施形態2のウェイクアップ回路の構成を示す。
【
図8】実施形態2のウェイクアップ回路の動作を示す
【
図9】実施形態2の変形例のウェイクアップ回路の構成を示す。
【
図10】実施形態1及び実施形態2の他の変形例の受信装置の構成を示す。
【
図11】実施形態1及び実施形態2の他の変形例の受信回路とウェイクアップ回路との関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〈実施形態1〉
以下、本発明に係る実施形態1のウェイクアップ回路について説明する。
【0015】
〈実施形態1の構成〉
実施形態1のウェイクアップ回路の説明に先立ち、当該ウェイクアップ回路を含む受信装置、及び、当該受信装置を含む無線受信システムについて、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、実施形態1の無線受信システムの構成を示す。実施形態1の無線受信システムSYは、
図1に示されるように、アンテナANと、受信装置RXと、マイコン装置とを含む。
【0017】
アンテナANは、無線受信システムSYに対向する無線送信システム(図示無し)のアンテナ(図示無し)から、電波を受信する。
【0018】
受信装置RXは、アンテナANが受信した電波を復調し及び復号することにより、無線送信システムの送信装置(図示無し)が送信したデータを再生する。
【0019】
マイコン装置MCは、受信装置RXとの間で、相互に動作の監視及び制御を行う。具体的には、受信装置RXは、マイコン起動割込みS1を用いて、優先度が高い外部割込み処理により、マイコン装置MCを起動させる。また、受信装置RX及びマイコン装置MCは、SPI(Serial Peripheral Interface)信号S2を用いて、相手方の装置に指示等を通知する。
【0020】
受信装置RX及びマイコン装置MCでは、通常状態及びスリープ状態が、時系列で交互に切り替わる。通常状態のとき、受信装置RX及びマイコン装置MCは、通常の動作を行い、例えば、受信装置RXは、送信装置がデータを送信することを待ち続ける。他方で、スリープ状態のとき、受信装置RX及びマイコン装置MCは、電力の消費を抑えるべく、必要最小限の動作を行う。例えば、受信装置RXは、スリープ状態における『第1の周期』毎にのみ、送信装置がデータを送信することを待つ。ここで、『第1の周期』は、例えば、数値「0x1000(16進法)」(
図4中、カウント満了値レジスタ10で図示)により表される期間である。
【0021】
図2は、実施形態1の受信装置の構成を示す。実施形態1の受信装置RXは、
図2に示されるように、受信回路1と、ウェイクアップ回路2、SPI回路3と、を有する。
【0022】
受信回路1は、アンテナANが受信した電波について、上記した復調及び復号を行う。前記復調及び復号により再生されたデータの内容如何によって、マイコン装置MC(
図1に図示)を起動させるべく、マイコン装置MCへマイコン起動割込みS1を出力する。
【0023】
ウェイクアップ回路2は、スリープ状態において、上記した『第1の周期』毎に、または、『第2の周期』毎に、受信回路1を起動させ、送信装置から送信されるであろうデータを受信すべく待機させる。ここで、『第2の周期』は、『第1の周期』より短く、例えば、「0x000F」(
図4中のウェイクアップカウンタ12に図示)により表される期間である。ウェイクアップ回路2は、受信回路1の上記した起動を、受信回路1へ、受信起動信号S3を出力することにより行う。
【0024】
受信回路1及びウェイクアップ回路2は、マイコン装置MCとの間で、SPI回路3を介して、SPI信号S2をやりとりする。SPI信号S2は、相手方の回路及び装置の動作を監視し及び制御するための信号である。SPI信号S2を用いて、マイコン装置MCは、ウェイクアップ回路2に、例えば、上記した『第1の周期』を設定し、また、ウェイクアップの動作を開始させ、あるいは、停止させる。
【0025】
図3は、実施形態1のウェイクアップ回路の構成を示す。実施形態1のウェイクアップ回路2は、
図3に示されるように、マイコン装置MC(
図1に図示)から入力されるSPI信号S2に応答して、受信回路1へ受信起動信号S3を出力すべく、カウント満了値レジスタ10と、カウントイネーブルレジスタ11と、ウェイクアップカウンタ12と、第1の比較器13と、第2の比較器14と、論理和器15と、を含む。以下の説明では、各信号のロジックは、「ハイイネーブル(High Enable)」であり、また、「ハイ(High)」は、「H」で示され、「ロー(Low)」は、「L」で示される。
【0026】
ここで、
図3に示されるように、ウェイクアップカウンタ12、第1の比較器13、第2の比較器14、及び、論理和器15は、ウェイクアップ信号生成部WSGを構成する。
【0027】
ウェイクアップ信号生成部WSGは、受信回路1をウェイクアップさせる第1の周期、及び、受信回路1をウェイクアップさせる、前記第1の周期より短い第2の周期に基づき、受信回路1をウェイクアップさせる出力信号を出力する。
【0028】
カウント満了値レジスタ10は、上記した『第1の周期』の長さを表す数値「0x1000」を、マイコン装置MCからSPI信号S2により入力され、当該数値「0x1000」を記憶する。カウント満了値レジスタ10は、また、前記数値「0x1000」を第1の比較器13に、16本のバスを介して設定する。
【0029】
カウントイネーブルレジスタ11は、カウントイネーブルS10を用いて、ウェイクアップカウンタ12によるカウントの動作を許可しまたは禁止する。カウントイネーブルレジスタ11は、当該許可または禁止を、マイコン装置MCからのSPI信号S2に従って行う。
【0030】
ウェイクアップカウンタ12は、カウントイネーブルS10に従って、カウントを行う。ウェイクアップカウンタ12は、当該カウントを、パルス波形のクロック信号(図示無し)に基づき行い、即ち、クロック信号のパルスの個数を計数する。クロック信号は、ウェイクアップカウンタ12の内部クロックであるか外部クロックであるかを問わない。
【0031】
ウェイクアップカウンタ12は、「H」のカウントイネーブルS10に応答して、カウントを開始し、他方で、「L」のカウントイネーブルS10に応答して、カウントを停止する。ウェイクアップカウンタ12は、カウントしている数値を、第1の比較器13へ、16本のバスを介して出力し、また、第2の比較器14へ、当該16本のバスのうち、下位(LSB:Least Significant Bit)側の4本のバスを介して出力する。ウェイクアップカウンタ12は、第1の比較器13から、「H」の満了起動信号S11によりカウントクリアの旨を受けると、カウントをクリアし、即ち、カウントをゼロから新たに始める。
【0032】
第1の比較器13は、カウント満了値レジスタ10により設定された『第1の周期』を表す数値「0x1000」と、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値とを比較する。第1の比較器13は、当該比較の結果を示す満了起動信号S11を、ウェイクアップカウンタ12及び論理和器15へ出力する。詳しくは、第1の比較器13は、前記両方の数値が一致していない間、「L」の満了起動信号S11を出力し続け、他方で、前記両方の数値が一致するときに限り、「H」の満了起動信号S11(前記両数値が一致する旨、及び、カウントクリアの旨の両方を示す)を出力する。
【0033】
第2の比較器14は、比較用レジスタ14Aを有する。比較用レジスタ14Aは、『第2の周期』の長さを表す数値「0x000F」を予め記憶している。第2の比較器14は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値と、即ち、上記した下位側の4本のバスにより表される「0x0000」から「0x000F」までの数値と、比較用レジスタ14Aが記憶している数値「0x000F」とを比較する。第2の比較器14は、当該比較の結果を示す短周期満了起動信号S12を論理和器15へ出力する。より詳しくは、第2の比較器14は、前記両方の数値が一致していない間、「L」の短周期満了起動信号S12を出力し続け、他方で、前記両方の数値が一致するときに限り、「H」の短周期満了起動信号S12を出力する。
【0034】
論理和器15は、満了起動信号S11及び短周期満了起動信号S12について論理和を行い、当該論理和の結果を示す受信起動信号S3を受信回路1(
図2に図示)へ出力する。より具体的には、論理和器15は、満了起動信号S11及び短周期満了起動信号S12の両方が「L」である間、「L」の受信起動信号S3を出力し続ける。他方で、論理和器15は、満了起動信号S11及び短周期満了起動信号S12のうちの少なくとも一方が「H」であるときに限り、「H」の受信起動信号S3を出力する。論理和器15は、『出力器』に対応する。
【0035】
〈実施形態1の動作〉
実施形態1のウェイクアップ回路の動作について説明する。
【0036】
図4は、実施形態1のウェイクアップ回路の動作を示す。以下、実施形態1のウェイクアップ回路の動作について、
図4のタイミングチャートを参照して説明する。
【0037】
〈通常状態の間〉
スリープ状態に先立つ通常状態の間に、カウント満了値レジスタ10は、マイコン装置MCからのSPI信号S2により、『第1の周期』の長さを表す数値「0×1000」を設定される(
図4での通常状態の期間)。カウント満了値レジスタ10は、また、
図4に示されるように、当該数値「0x1000」を第1の比較器13に設定する。
【0038】
上記と同じ通常状態の間に、カウントイネーブルレジスタ11は、マイコン装置MCからのSPI信号S2により、ウェイクアップカウンタ12によるカウントを許可すべき旨の指示を受ける(
図4での通常状態の期間)。
【0039】
マイコン装置MCは、上記した設定及び指示を行った後、通常状態からスリープ状態へ切り替わる。
【0040】
〈スリープ状態への切り替え後での時刻t1のとき〉
時刻t1のとき、カウントイネーブルレジスタ11は、マイコン装置MCからの前記指示に応答して、ウェイクアップカウンタ12によるカウントの動作を開始させるべく、「H」のカウントイネーブルS10をウェイクアップカウンタ12へ出力する。
【0041】
上記と同じ時刻t1のとき、「H」のカウントイネーブルS10を入力されると、ウェイクアップカウンタ12は、カウントの動作を開始し、即ち、ゼロからカウントアップする。ウェイクアップカウンタ12は、以後、カウントしている数値を、第1の比較器13及び第2の比較器14へ出力し続ける。具体的には、「0x0001」(
図4に図示)、「0x0002」(図示無し)、「0x0003」(図示無し)、...を出力し続ける。
【0042】
上記と同じ時刻t1のとき、第2の比較器14は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値と、比較用レジスタ14Aに記憶されている数値「0×000F」とを比較する。第2の比較器14は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x0001」と、比較用レジスタ14Aに記憶されている数値「0x000F」とが一致しないことから、「L」の短周期満了起動信号S12を出力する。
【0043】
他方で、上記と同じ時刻t1のとき、第1の比較器13は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値と、カウント満了値レジスタ10により設定された、『第1の周期』を表す数値「0x1000」とを比較する。第1の比較器13は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x0001」と、『第1の周期』を表す数値「0x1000」とが一致しないと判断することから、「L」の満了起動信号S11を出力する。
【0044】
上記と同じ時刻t1のとき、論理和器15は、「L」の短周期満了起動信号S12、及び、「L」の満了起動信号S11に論理和を施す。その結果、論理和器15は、「L」の受信起動信号S3を出力する。
【0045】
〈時刻t2のとき〉
時刻t2のとき、第2の比較器14は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x000F」と、比較用レジスタ14Aに記憶されている数値「0×000F」とが一致すると判断することから、「H」の短周期満了起動信号S12を出力する。
【0046】
他方で、上記と同じ時刻t2のとき、第1の比較器13は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x000F」と、カウント満了値レジスタ10により設定された、『第1の周期』を表す数値「0x1000」とが一致しないと判断することから、「L」の満了起動信号S11を出力する。
【0047】
上記と同じ時刻t2のとき、論理和器15は、「H」の短周期満了起動信号S12、及び、「L」の満了起動信号S11に論理和を施す。その結果、論理和器15は、「H」の受信起動信号S3を出力する。
【0048】
受信回路1は、ウェイクアップ回路2から「H」の受信起動信号S3を入力されると、受信動作を開始し、即ち、送信装置から送信されるであろうデータを受信すべく待機する。受信回路1は、送信装置からデータを受信し、かつ、当該データをマイコン装置MCにより処理させる必要があると判断するとき、マイコン起動割込みS1(
図1及び
図2に図示)を用いて、マイコン装置MCを起動させる。
【0049】
〈時刻t3、t4のとき〉
時刻t2以後、例えば、時刻t3のとき、第2の比較器14は、時刻t2のときと同様に、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x001F」が、時刻t2のときの数値「0x000F」に、比較用レジスタ14Aに記憶された数値「0x000F」だけ加算された数値「0×001F」と一致することから、「H」の短周期満了起動信号S12を出力する。上記と同じ時刻t3のとき、第1の比較器13は、「L」の満了起動信号S11を出力する。その結果、上記と同じ時刻t3のとき、論理和器15は、「H」の受信起動信号S3を出力する。
【0050】
時刻t4のとき、第2の比較器14は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x002F」が、更に「0x000F」だけ加算された「0x002F」と一致することから、「H」の短周期満了起動信号S12を出力する。上記と同じ時刻t4のとき、第1の比較器13は、「L」の満了起動信号S11を出力する。その結果、上記と同じ時刻t4のとき、論理和器15は、「H」の受信起動信号S3を出力する。
【0051】
〈時刻t5のとき〉
時刻t5のとき、第2の比較器14は、ウェイクアップカウンタ12がカウントするカウントの数値「0x1000」と、比較用レジスタ14Aに記憶されている数値「0×000F」とが一致しないと判断することから、「L」の短周期満了起動信号S12を出力する。
【0052】
他方で、上記同じ時刻t5のとき、第1の比較器13は、ウェイクアップカウンタ12がカウントするカウントの数値「0x0000」と、カウント満了値レジスタ10により設定された数値「0×1000」とが一致すると判断することから、「H」の満了起動信号S11を出力する。
【0053】
その結果、上記と同様である時刻t5のとき、論理和器15は、「H」の受信起動信号S3を出力する。
【0054】
〈実施形態1の効果〉
実施形態1のウェイクアップ回路2では、上述したように、スリープ状態に先立つ通常状態のとき、マイコン装置MCが、第2の比較器14に、スリープ状態の間に、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値と、『第2の周期』の長さを表す数値「0×000F」とを比較し、その結果を示す短周期満了起動信号S12を出力することを許可する。これにより、実施形態1のウェイクアップ回路2は、スリープ状態の間に、スリープ状態にあるマイコン装置MCを起動させることなく、受信回路1を起動させるための受信起動信号S3を、『第1の周期』より短い『第2の周期』で出力し続けることが可能となる。
【0055】
〈変形例〉
実施形態1の変形例のウェイクアップ回路について説明する。
【0056】
〈変形例の構成〉
図5は、変形例のウェイクアップ回路の構成を示す。以下、変形例のウェイクアップ回路の構成について、
図5を参照して説明する。
【0057】
変形例のウェイクアップ回路2は、
図5に示されるように、実施形態1のウェイクアップ回路2と同様に、カウント満了値レジスタ10と、カウントイネーブルレジスタ11と、ウェイクアップカウンタ12と、第1の比較器13と、第2の比較器14と、論理和器15とを含む。変形例の第2の比較器14は、実施形態1の第2の比較器14と異なり、第1の比較用レジスタ14A及び第2の比較用レジスタ14Bを有し、また、ウェイクアップカウンタ12からの16本のバスが、上位(MSB:Most Significant Bit)側の8本と、下位(LSB:Least Significant Bit)側の4本とに分けて入力される。また、変形例のウェイクアップ回路2は、実施形態1のウェイクアップ回路2と異なり、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16を更に含む。
【0058】
第2の比較器14では、第1の比較用レジスタ14Aは、実施形態1の第2の比較器14と同様に、『第2の周期』を表す数値「0x000F」を予め記憶している。第2の比較用レジスタ14Bは、『第1の周期』より短く、かつ、『第2の周期』より長い『所定期間』を示す数値「0x0100」を予め記憶している。
【0059】
第2の比較器14は、ウェイクアップカウンタ12によりカウントされる数値のうち、上位側の8本のバスにより表される数値と、上記した『所定期間』を表す数値「0x0100」のうちの「01」とを比較する。第2の比較器14は、また、ウェイクアップカウンタ12によりカウントされる数値のうち、下位側の4本のバスにより表される数値と、上記した『第2の周期』を表す数値「0x000F」のうちの「F」とを比較する。
【0060】
短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16は、カウント満了値レジスタ10及びカウントイネーブルレジスタ11と同様に、マイコン装置MCから、SPI信号S2により指示を受ける。より具体的には、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16は、第2の比較器14による比較及び出力の動作を許可しまたは禁止する旨の指示を受ける。短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16は、短周期ウェイクアップイネーブルS13を第2の比較器14へ出力する。短周期ウェイクアップイネーブルS13は、第2の比較器14による比較及び出力を許可または禁止する旨を示す。短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16は、マイコン装置MCから、第2の比較器14による比較及び出力を禁止すべき旨の指示を受けている間、「禁止」を示す「L」の短周期ウェイクアップイネーブルS13を出力する。他方で、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16は、マイコン装置MCから、第2の比較器14による比較及び出力を許可すべき旨の指示を受けると、「許可」を示す「H」の短周期ウェイクアップイネーブルS13を出力する。
【0061】
短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16は、他方で、第2の比較器14から、短周期ウェイクアップクリアS14を入力される。第2の比較器14は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値と、『所定期間』の長さを表す数値「0x0100」とが一致するか否かを判断する。第2の比較器14は、両数値が一致しない間では、「L」の短周期ウェイクアップクリアS14を出力し、他方で、両数値が一致するとき、「H」の短周期ウェイクアップクリアS14を出力する。
【0062】
短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16は、第2の比較器14が、『所定期間』の期間に限り、『第2の周期』毎に、「H」の受信起動信号S3を出力するようにさせるべく、第2の比較器14へ「H」の短周期ウェイクアップイネーブルS13を出力し続けている間に、第2の比較器14から「H」の短周期ウェイクアップクリアS14を入力されると、短周期ウェイクアップイネーブルS13を「H」から「L」へ切り替える。
【0063】
〈変形例の動作〉
図6は、実施形態1の変形例のウェイクアップ回路の動作を示す。以下、変形例のウェイクアップ回路の動作について、
図6を参照して説明する。
【0064】
〈通常状態の間〉
スリープ状態に先立つ通常状態の間に、カウント満了値レジスタ10は、実施形態1と同様に、マイコン装置MCからのSPI信号S2により、『第1の周期』の長さを表す数値「0×1000」を設定される(
図4と同様の通常状態の期間)。カウント満了値レジスタ10は、また、
図6に示されるように、当該数値「0x1000」を第1の比較器13に設定する。
【0065】
前記上記と同じ通常状態の間に、カウントイネーブルレジスタ11は、実施形態1と同様に、マイコン装置MCからのSPI信号S2により、ウェイクアップカウンタ12によるカウントを許可すべき旨の指示を受ける(
図4と同様の通常状態の期間)。
【0066】
上記と同じ通常状態の間に、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16は、変形例として独自に、マイコン装置MCからのSPI信号S2により、第2の比較器14による比較及び出力の動作を許可すべき旨の指示を受ける(
図4と同様の通常状態の期間)。
【0067】
マイコン装置MCは、実施形態1と同様に、上記した設定及び指示を行った後、通常状態からスリープ状態へ切り替わる。
【0068】
〈スリープ状態への切り替え後での時刻t1のとき〉
時刻t1のとき、カウントイネーブルレジスタ11は、実施形態1と同様に、マイコン装置MCから指示に応答して、ウェイクアップカウンタ12によるカウントの動作を開始させるべく、「H」のカウントイネーブルS10をウェイクアップカウンタ12へ出力する。
【0069】
上記と同じ時刻t1のとき、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16は、変形例として独自に、マイコン装置MCの指示に応答して、第2の比較器14による比較及び出力の許可を示すべく、「H」の短周期ウェイクアップイネーブルS13を出力する。
【0070】
上記と同じ時刻t1のとき、「H」のカウントイネーブルS10を入力されると、ウェイクアップカウンタ12は、実施形態1と同様に、カウントの動作を開始し、即ち、ゼロからカウントアップする。ウェイクアップカウンタ12は、以後、カウントしている数値を、第1の比較器13及び第2の比較器14へ出力し続ける。
【0071】
上記と同じ時刻t1のとき、第2の比較器14は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値と、正確には、下位側の4本のバスで表される数値と、第1の比較用レジスタ14Aに記憶されている数値「0×000F」とを比較する。第2の比較器14は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x0001」と、第1の比較用レジスタ14Aに記憶されている数値「0x000F」とが一致しないと判断し、かつ、「H」の短周期ウェイクアップイネーブルS13により、第2の比較器14による出力が許可されている期間であることから、「L」の短周期満了起動信号S12を出力する。
【0072】
他方で、上記と同じ時刻t1のとき、第1の比較器13は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値と、カウント満了値レジスタ10により設定された、『第1の周期』を表す数値「0x1000」とを比較する。第1の比較器13は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x0001」と、カウント満了値レジスタ10により設定された、『第1の周期』を表す「0x1000」とが一致しないと判断することから、「L」の満了起動信号S11を出力する。
【0073】
上記と同じ時刻t1のとき、論理和器15は、「L」の短周期満了起動信号S12、及び、「L」の満了起動信号S11に論理和を施す。その結果、論理和器15は、「L」の受信起動信号S3を出力する。
【0074】
〈時刻t2のとき〉
時刻t2のとき、第2の比較器14は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x000F」と、第1の比較用レジスタ14Aに記憶されている数値「0x000F」とが一致すると判断し、かつ、「H」の短周期ウェイクアップイネーブルS13により、第2の比較器14による出力が許可されている期間であることから、「H」の短周期満了起動信号S12を出力する。
【0075】
他方で、上記と同じ時刻t2のとき、第1の比較器13は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値と、カウント満了値レジスタ10により設定された、『第1の周期』の長さを表す数値「0x1000」とが一致しないと判断することから、「L」の満了起動信号S11を出力する。
【0076】
上記した時刻t2のとき、論理和器15は、「H」の短周期満了起動信号S12、及び、「L」の満了起動信号S11に論理和を施す。その結果、論理和器15は、「H」の受信起動信号S3を出力する。
【0077】
〈時刻t4のとき〉
時刻t4のとき、第2の比較器14は、実施形態1と異なり、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x0100」と、第2の比較用レジスタ14Bに記憶されている数値「0x0100」とが一致すると判断することから、「H」の短周期ウェイクアップクリアS14を短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16へ出力する。「H」の短周期ウェイクアップクリアS14に応答して、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16は、「L」の短周期ウェイクアップイネーブルS13を第2の比較器14へ出力する。これにより、時刻t4の以後、第2の比較器14は、たとえ、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値が、第1の比較用レジスタ14Aに記憶されている数値「0x000F」の倍数、即ち、「0x002F」、「0x003F」、「0x004F」、...と一致しても、「H」の短周期満了起動信号S12を出力せず、「L」の短周期満了起動信号S12を出力する。
【0078】
〈時刻t5のとき〉
時刻t5のとき、上記したように、第2の比較器14は、「L」の短周期満了起動信号S12を出力する。
【0079】
他方で、上記と同じ時刻t5のとき、第1の比較器13は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x1000」と、カウント満了値レジスタ10により設定された、『第1の周期』の長さを表す数値「0×1000」とが一致することから、「H」の満了起動信号S11を出力する。
【0080】
上記と同じ時刻t5のとき、論理和器15は、「L」の短周期満了起動信号S12、及び、「H」の満了起動信号S11に論理和を施し、その結果として、「H」の受信起動信号S3を出力する。
【0081】
〈変形例の効果〉
上記したように、変形例のウェイクアップ回路2では、実施形態1のウェイクアップ回路2と異なり、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値と、『第2の周期』の数値「0x000F」と一致する旨を示す「H」の短周期満了起動信号S12を第2の比較器14が出力することが、第2の比較用レジスタ14Bに記憶されている『所定期間』の間に限り、許可される。従って、第2の比較器14が、上記した両数値が一致する毎に「H」の短周期満了起動信号S12を出力することが期間的に許可され続けている実施形態1のウェイクアップ回路2と異なり、スリープ状態での消費電力をより低減することができる。
【0082】
〈実施形態2〉
以下、本発明に係る実施形態2のウェイクアップ回路について説明する。
【0083】
〈実施形態2の構成〉
図7は、実施形態2のウェイクアップ回路の構成を示す。以下、実施形態2のウェイクアップ回路2の構成について、
図7を参照して説明する。
【0084】
実施形態2のウェイクアップ回路2は、実施形態1のウェイクアップ回路2と同様に、受信装置RX(
図1、
図2に図示)に設けられている。実施形態2のウェイクアップ回路2は、
図7に示されるように、カウント満了値レジスタ20と、カウントイネーブルレジスタ21と、ウェイクアップカウンタ22と、比較器23と、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26と、加算値選択器27とを含む。ここで、機能については、実施形態2のウェイクアップ回路2と、実施形態1のウェイクアップ回路2とを比較すると、カウント満了値レジスタ20は、実施形態1のカウント満了値レジスタ10と概ね同一であり、カウントイネーブルレジスタ21は、実施形態1のカウントイネーブルレジスタ11と概ね同一であり、ウェイクアップカウンタ22は、実施形態1のウェイクアップカウンタ12と概ね同一であり、比較器23は、第1の比較器13と概ね同一であり、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26は、実施形態1(変形例)の短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16と概ね同一である。
【0085】
実施形態2のウェイクアップ回路2は、実施形態1のウェイクアップ回路2と異なり、上記した加算値選択器27を更に含む。
【0086】
加算値選択器27は、ウェイクアップカウンタ22がカウントするときの加算値を選択するために用いられる。ここで、「加算値」とは、カウントの幅、刻み、ステップ等を意味する。前記選択のため加算値の候補を記憶すべく、加算値選択器27は、第1の選択用レジスタ27Aと、第2の選択用レジスタ27Bとを有する。第1の選択用レジスタ27Aは、第1の候補「0x0001」(実施形態1の加算値と同一)を予め記憶している。他方で、第2の選択用レジスタ27Bは、第2の候補「0x0100」(第1の候補より大きい)を予め記憶している。
【0087】
加算値選択器27は、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26から、短周期ウェイクアップイネーブルS23を入力され、短周期ウェイクアップイネーブルS23に従って、第1の候補「0x0001」及び第2の候補「0x0100」のうちのいずれかを、下位側の9本のバスを用いて、ウェイクアップカウンタ22へ出力する。第1の候補「0x0001」及び第2の候補「0x0100」は、16本のバスを用いることなく、下位側の9本のバスを用いるだけで表される。
【0088】
ここで、
図7に示されるように、ウェイクアップカウンタ22、比較器23、及び、加算値選択器27は、ウェイクアップ信号生成部WSGを構成する。
【0089】
ウェイクアップ信号生成部WSGは、実施形態1のウェイクアップ信号生成部WSGと同様に、受信回路1をウェイクアップさせる第1の周期、及び、受信回路1をウェイクアップさせる、前記第1の周期より短い第2の周期に基づき、受信回路1をウェイクアップさせる出力信号を出力する。
【0090】
〈実施形態2の動作〉
実施形態2のウェイクアップ回路の動作について説明する。
【0091】
図8は、実施形態2のウェイクアップ回路の動作を示す。以下、実施形態2のウェイクアップ回路の動作について、
図8のタイミングチャートを参照して説明する。
【0092】
〈通常状態の間〉
スリープ状態に先立つ通常状態の間に、実施形態1と同様に、カウント満了値レジスタ20は、マイコン装置MCからのSPI信号S2により、『第1の周期』の長さを表す数値「0×1000」を設定される(
図4と同様の通常状態の期間)。カウント満了値レジスタ20は、また、実施形態1と同様に、当該数値「0x1000」を比較器23に設定する。上記と同じ通常状態の間に、カウントイネーブルレジスタ21は、実施形態1と同様に、マイコン装置MCからのSPI信号S2により、ウェイクアップカウンタ22によるカウントを許可すべき旨の指示を受ける(
図4と同様の通常状態の期間)。
【0093】
上記と同じ通常状態の間に、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26は、実施形態2として特有に、第2の選択用レジスタ27Bに記憶されている第2の候補「0x0100」を選択すべき旨の指示を受ける(
図4と同様の通常状態の期間)。
【0094】
マイコン装置MCは、上記した設定及び指示を行った後、通常状態からスリープ状態へ切り替わる。
【0095】
〈スリープ状態への切り替え後での時刻t1のとき〉
時刻t1のとき、カウントイネーブルレジスタ21は、マイコン装置MCから前記指示に応答して、ウェイクアップカウンタ22によるカウントの動作を開始させるべく、「H」のカウントイネーブルS20をウェイクアップカウンタ22へ出力する。また、上記と同じ時刻t1のとき、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26は、マイコン装置MCからの前記指示に応答して、加算値選択器27に第2の候補「0x0100」を選択させるべく、「H」の短周期ウェイクアップイネーブルS23を加算値選択器27へ出力する。加算値選択器27は、「H」の短周期ウェイクアップイネーブルS23に応答して、第2の候補「0x0100」をウェイクアップカウンタ22へ出力する。
【0096】
上記と同じ時刻t1のとき、「H」のカウントイネーブルS20の入力を受けると、ウェイクアップカウンタ22は、カウントの動作を開始し、即ち、ゼロからカウントアップする。ウェイクアップカウンタ22は、加算値「0x0001」(
図4に図示)を用いる実施形態1のウェイクアップカウンタ12と異なり、加算値選択器27から出力された、第2の候補である加算値「0x0100」を用いる。ウェイクアップカウンタ22は、以後、実施形態1のウェイクアップカウンタ12と同様に、カウントしている数値を比較器23へ出力し続ける。
【0097】
ここで、上記したように、ウェイクアップカウンタ22は、実施形態1のウェイクアップカウンタ12の加算値「0x0001」と異なる加算値「0x0100」でカウントする。より具体的には、ウェイクアップカウンタ22は、クロック信号中での1個のパルスを「0x0001」個のパルスであると位置付けるのではなく、1個のパルスを「0x0100」個のパルスであると位置付ける。その結果、1個めのパルスのとき、「0x0100」(
図8に図示)を出力し、2個めのパルスのとき、「0x0200」(
図8に図示)を出力し、3個めのパルスのとき、「0x0300」(図示無し)を出力し、F個めのパルスのとき、「0x0F00」(図示無し)を出力し、10(16進数)個めのパルスのとき、「0x1000」(
図8に図示)を出力する。
【0098】
〈時刻t2のとき〉
時刻t2のとき、比較器23は、ウェイクアップカウンタ12がカウントする数値「0x01000」と、カウント満了値レジスタ20により設定された、『第1の周期』を表す数値「0x1000」とが一致することから、「H」の受信起動信号S3を出力する。
【0099】
〈時刻t3のとき〉
時刻t3のとき、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26は、「H」の受信起動信号S3が示す短周期ウェイクアップクリアの旨に応答して、加算値選択器27に、第1の候補「0x0001」を選択させるべく、「L」の短周期ウェイクアップイネーブルS23を出力する。
【0100】
上記と同じ時刻t3のとき、加算値選択器27は、「L」の短周期ウェイクアップイネーブルS23を入力されると、第2の選択用レジスタ27Bに記憶されている第2の候補「0x0100」に代えて、第1の選択用レジスタ27Aに記憶されている第1の候補「0x0001」をウェイクアップカウンタ22へ出力する。
【0101】
〈時刻t3以後〉
上記と同じ時刻t3の以後、ウェイクアップカウンタ22は、加算値「0x0001」でカウントをし続ける。ウェイクアップカウンタ22は、より詳しくは、実施形態1と同様に、「0x0001」(
図8に図示)、「0x0002」(
図8に図示)、「0x0003」(図示無し)、...、「0x00FF」(図示無し)、「0x0100」(
図8に図示)、...のように、カウントを続ける。
【0102】
〈時刻t4のとき〉
時刻t4のとき、比較器23は、ウェイクアップカウンタ22がカウントする数値「0x1000」が、カウント満了値レジスタ20により設定された、『第1の周期』を表す数値「0x0100」と一致することから、「H」の受信起動信号S3を出力する。
【0103】
〈実施形態2の効果〉
上記したように、実施形態2のウェイクアップ回路2では、ウェイクアップカウンタ22は、時刻3までの間、実施形態1での加算値「0x0001」に代えて、第2の候補である加算値「0x0100」でカウントを行う。これにより、数値「0x1000」で表される『第1の周期』の長さを、実施形態1でのカウントの速度と比較して極めて高速にカウントする。その結果、実施形態2のウェイクアップカウンタ22は、『第1の周期』に比して極めて短い周期で、「H」の受信起動信号S3を出力する。これにより、通常状態からスリープ状態へ切り替わった時点から時刻t3の時点までの間、『第1の周期』よりも極めて短い周期で、受信回路1を起動させることが可能となる。
【0104】
〈変形例〉
図9は、実施形態2の変形例のウェイクアップ回路の構成を示す。以下、変形例のウェイクアップ回路の構成について、
図9を参照して説明する。
【0105】
変形例のウェイクアップ回路2は、
図9に示されるように、実施形態2のウェイクアップ回路2と同様に、カウント満了値レジスタ20と、カウントイネーブルレジスタ21と、ウェイクアップカウンタ22と、比較器23と、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26と、加算値選択器27とを含む。変形例のウェイクアップ回路2は、他方で、実施形態2のウェイクアップ回路2と相違して、短周期カウンタ28を更に含む。
【0106】
短周期カウンタ28は、比較器23から、受信起動信号S3を入力され、他方で、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26へ、短周期ウェイクアップクリアS24を出力する。短周期カウンタ28は、ウェイクアップカウンタ22が、第2の候補である加算値「0x0100」でカウントしている間、カウントを行う。ウェイクアップカウンタ22は、更に詳しくは、受信起動信号S3の「H」のパルスをカウントする機能を有し、いくつまでカウントすべきかを示す数値(例えば、「0x0010」)を予め設定されている(
図9に図示なし)。短周期カウンタ28は、受信起動信号S3が「H」になる毎に、カウントを行い、そのカウントの数値が、上記した数値「0x0010」と一致するとき、「H」の短周期ウェイクアップクリアS24を短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26へ出力する。短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26は、「H」の短周期ウェイクアップクリアS24に応答して、実施形態2における「H」の受信起動信号S3に応答するときと同様に、「L」の短周期ウェイクアップイネーブルS23を出力する。以後、変形例のウェイクアップ回路2は、実施形態2のウェイクアップ回路2における時刻t3以後と同様な動作を行う。
【0107】
変形例のウェイクアップ回路2では、上記したように、短周期カウンタ28を有することから、時刻t2までの動作を1回のみ行う実施形態2のウェイクアップ回路2と異なり、時刻t2までの動作を、例えば、「0x0010」回、繰り返し行うことができる。
【0108】
〈実施形態1及び実施形態2に共通する他の変形例〉
実施形態1及び実施形態2に係る他の変形例の受信装置及びウェイクアップ回路について説明する。
【0109】
図10は、実施形態1及び実施形態2の他の変形例の受信装置の構成を示す。他の変形例の受信装置RXは、
図10に示されるように、
図2に示される、実施形態1及び実施形態2の受信装置RXと同様に、受信回路1と、ウェイクアップ回路2と、SPI回路3とを含む。但し、他の変形例の受信回路1は、実施形態1及び実施形態2の受信回路1と相違し、第1の同期ワードSW1及び第2の同期ワードSW2を用いる。
【0110】
第1の同期ワードSW1及び第2の同期ワードSW2は、受信装置RXに対向する送信装置(図示せず)と当該受信装置RXとの間で、無線通信の同期を取るために用いられる。第1の同期ワードSW1及び第2の同期ワードSW2は、送信装置が受信装置RXへ向けて送出するデータ列DSのうち、例えば、前段(プリアンブル)、または、中段(ミッドアンブル)の位置に設定される。当該設定は、送信装置により行われる。
【0111】
送信装置は、当該送信装置が受信装置RXへデータ列DSを送出する頻度が通常であるときには、ウェイクアップ回路2を、通常の周期である上記した『第1の周期』で動作させるべく、データ列DSに第1の同期ワードSW1を設定する。他方で、送信装置は、上記した頻度が通常より高い(通常より頻繁である)であるときには、ウェイクアップ回路2を、『第1の周期』より短い『第2の周期』で動作させるべく、データ列DSに第2の同期ワードSW2を設定する。
【0112】
データ列DSを受信した受信装置RXでは、受信回路1は、データ列DSに含まれる同期ワードが、第1の同期ワードSW1及び第2の同期ワードSW2のうちのいずれであるかを判断し、当該判断の結果を示す同期ワード種別信号S4をウェイクアップ回路2へ出力する。
【0113】
図11は、実施形態1及び実施形態2の他の変形例に係る受信回路とウェイクアップ回路との関係を示す。実施形態1及び実施形態2では、上記したように、カウント満了値レジスタ10、カウントイネーブルレジスタ11、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ16、カウント満了値レジスタ20、カウントイネーブルレジスタ21、及び、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26が、上記した設定及び指示(例えば、『第1の周期』の長さを表す数値「0×1000」を設定すること)を、マイコン装置MCから受ける。
【0114】
他方で、他の変形例では、実施形態1及び実施形態2とは相違して、
図11(A)、(B)、(C)に示されるように、カウント満了値レジスタ10、カウントイネーブルレジスタ11、カウント満了値レジスタ20、カウントイネーブルレジスタ21、短周期ウェイクアップイネーブルレジスタ26は、上記した設定及び指示を、マイコン装置MCから受けることに代えて、受信回路1から受ける。
【0115】
より詳しくは、受信回路1は、送信装置から受信したデータ列DSに含まれる同期ワードが、第1の同期ワードSW1であるときには、上記したカウント満了値レジスタ10等へ、『第1の周期』で動作すべきことを指示する同期ワード種別信号S4を出力する。上記とは反対に、受信回路1は、送信装置から受信したデータ列DSに含まれる同期ワードが、第2の同期ワードSW2であるときには、上記したカウント満了値レジスタ10等へ、『第2の周期』で動作すべきことを指示する同期ワード種別信号S4を出力する。同期ワード種別信号S4を入力されると、例えば、カウントイネーブルレジスタ11は、実施形態1及び実施形態2と同様に、ウェイクアップカウンタ12によるカウントの動作を開始させるべく、「H」のカウントイネーブルS10をウェイクアップカウンタ12へ出力する。
【0116】
上記したように、他の変形例では、上記した実施形態1及び実施形態2でのマイコン装置MCに代わり、受信回路1が、送信装置から受信するデータ列DSに含まれる同期ワードが第1の同期ワードSW1及び第2の同期ワードSW2のうちのいずれであるかを判断する。受信回路1は、当該判断の結果に応じて、『第1の周期』及び『第2の周期』のうちのいずれかで動作すべきかを示す同期ワード種別信号S4をカウント満了値レジスタ10等へ出力する。これにより、受信装置RXでは、実施形態1及び実施形態2と同様に消費電力を低減することができることに加えて、送信装置から受信装置RXへの通信の頻度を認識している送信装置の意図を把握した上で、『第1の周期』及び『第2の周期』を的確に切り替えることが可能となる。
【0117】
〈実施形態1及び実施形態2に共通する更に他の変形例〉
実施形態1及び実施形態2における、比較用レジスタ14A(
図3に図示)、第1の比較用レジスタ14A及び第2の比較用レジスタ14B(
図5に図示)、並びに、第1の選択用レジスタ27A及び第2の選択用レジスタ27Bに、固定された数値を予め設定しておくことに代えて、ウェイクアップ回路2の外部から、例えば、マイコン装置MCから、当該数値を可変的に設定することも可能である。