(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】車両通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20240228BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20240228BHJP
H04L 41/0663 20220101ALI20240228BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
B60R16/023 P
H04L12/28 100A
H04L41/0663
(21)【出願番号】P 2020056554
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】宇佐見 雄大
【審査官】鈴木 香苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006786(JP,A)
【文献】特開昭63-173746(JP,A)
【文献】特開2017-028433(JP,A)
【文献】特開2006-262177(JP,A)
【文献】米国特許第06853887(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
B60R 16/023
H04L 41/0663
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられて通信ネットワークを構成する複数の装置を備え、
前記複数の装置は、それぞれ、前記通信ネットワークに属する他の装置と有線により通信可能に構成されており、
前記複数の装置は、無線により通信可能な第1装置を含み、
前記第1装置は、前記他の装置と有線通信路により通信を行い、
前記第1装置は、前記有線通信路による通信に障害が発生した場合、少なくとも一部が無線通信路で構成される通信路を用いて前記他の装置と通信を行
い、
前記複数の装置は、第2装置及び第3装置を含み、
前記第2装置は、前記第1装置と有線により通信可能に構成され、
前記第3装置は、前記第1装置と無線により通信可能に、かつ、前記第2装置と有線により通信可能に構成され、
前記第1装置は、前記第2装置との間の前記有線通信路による通信に障害が発生した場合、前記第3装置と無線により通信を行い、当該第3装置を経由して前記第2装置と通信を行うことを特徴とする車両通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両通信システムであって、
前記複数の装置は、第2装置を含み、
前記第2装置は、前記第1装置と有線及び無線により通信可能に構成され、
前記第1装置は、前記第2装置と有線通信路により通信を行い、
前記第1装置は、前記有線通信路による通信に障害が発生した場合、無線通信路を用いて前記第2装置と通信を行うことを特徴とする車両通信システム。
【請求項3】
請求項
1に記載の車両通信システムであって、
前記第3装置は複数備えられ、
前記第1装置は、前記有線通信路による通信に障害が発生した場合、前記第3装置のうち、前記車両の車幅方向外側に位置する第3装置との無線通信を優先的に試みることを特徴とする車両通信システム。
【請求項4】
請求項
1から
3までの何れか一項に記載の車両通信システムであって、
前記第1装置は、前記車両の外部に設けられた外部装置と通信可能な通信装置であり、
前記第2装置は、前記車両の少なくとも一部を制御する制御装置であることを特徴とする車両通信システム。
【請求項5】
請求項1に記載の車両通信システムであって、
前記通信ネットワークを構成する複数の装置は、前記車両の一部を制御する制御装置を含むことを特徴とする車両通信システム。
【請求項6】
請求項
5に記載の車両通信システムであって、
前記通信ネットワークのうち有線通信ネットワークがリング型であることを特徴とする車両通信システム。
【請求項7】
請求項
5に記載の車両通信システムであって、
前記通信ネットワークのうち有線通信ネットワークがスター型であることを特徴とする車両通信システム。
【請求項8】
請求項1から
7までの何れか一項に記載の車両通信システムであって、
前記第1装置は、無線による通信を可能とする無線通信部を備え、
前記無線通信部は、通信アンテナであるフェーズドアレイアンテナを有することを特徴とする車両通信システム。
【請求項9】
請求項1から
7までの何れか一項に記載の車両通信システムであって、
前記第1装置と無線通信可能な少なくとも1つの装置が、無線による通信を可能とする無線通信部を備え、
前記無線通信部は、通信アンテナであるフェーズドアレイアンテナを有することを特徴とする車両通信システム。
【請求項10】
請求項
9に記載の車両通信システムであって、
前記無線通信部は、電波の送信と受信とで、前記通信アンテナの指向性を変更可能であることを特徴とする車両通信システム。
【請求項11】
請求項
8から
10までの何れか一項に記載の車両通信システムであって、
前記通信アンテナは、前記第1装置と一体的に構成されていることを特徴とする車両通信システム。
【請求項12】
請求項
8から
10までの何れか一項に記載の車両通信システムであって、
前記通信アンテナは、前記第1装置と別体に構成されていることを特徴とする車両通信システム。
【請求項13】
請求項1から
12までの何れか一項に記載の車両通信システムであって、
前記第1装置は、無線通信のための電波の送受信の方向を変更可能であり、
前記第1装置は、無線通信のために、予め定められた角度で指向性走査を行うことを特徴とする車両通信システム。
【請求項14】
請求項1から
12までの何れか一項に記載の車両通信システムであって、
前記第1装置は、無線通信のための電波の送受信の方向を変更可能であり、
前記第1装置は、無線通信のために、全方向にスキャンを行うことを特徴とする車両通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両内の装置を互いに通信可能に構成する通信ネットワークが知られている。特許文献1は、この種の通信ネットワークである車両能動ネットワークを開示する。
【0003】
特許文献1の能動ネットワークは、車両内の装置間に多重通信路を備える。この能動ネットワークには、様々な装置がそれぞれのインタフェースを介して接続される。インタフェースは、有線、光、無線又はその組み合わせである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、通信冗長性が提供される旨の記載はあるものの、多重通信路の具体的な構成については記載されていない。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、柔軟に構成することができるとともに、通信冗長性を確保することができる車両通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
発明の観点によれば、以下の構成の車両通信システムが提供される。即ち、この車両通信システムは、車両に設けられて通信ネットワークを構成する複数の装置を備える。前記複数の装置は、それぞれ、前記通信ネットワークに属する他の装置と有線により通信可能に構成されている。前記複数の装置は、無線により通信可能な第1装置を含む。前記第1装置は、前記他の装置と有線通信路により通信を行う。前記第1装置は、前記有線通信路に用いられる通信線に断線が発生した場合、少なくとも一部が無線通信路で構成される通信路を用いて前記他の装置と通信を行う。前記複数の装置は、第2装置及び第3装置を含む。前記第2装置は、前記第1装置と有線により通信可能に構成される。前記第3装置は、前記第1装置と無線により通信可能に、かつ、前記第2装置と有線により通信可能に構成される。前記第1装置は、前記第2装置との間の前記有線通信路に用いられる通信線に断線が発生した場合、前記第3装置と無線により通信を行い、当該第3装置を経由して前記第2装置と通信を行う。
【0009】
これにより、第1装置と他の装置との間で通信冗長性を確保することができる。また、多重通信路を有線及び無線の異なる通信方式で構成するので、1種類の通信方式のみで構成する場合に比べて、車両通信システムを柔軟に構成することができる。また、3つの装置の連携によって通信冗長性を実現することができる。
【0010】
前記の車両通信システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記複数の装置は、第2装置を含む。前記第2装置は、前記第1装置と有線及び無線により通信可能に構成される。前記第1装置は、前記第2装置と有線通信路により通信を行う。前記第1装置は、前記有線通信路に用いられる通信線に断線が発生した場合、無線通信路を用いて前記第2装置と通信を行う。
【0011】
これにより、簡素な構成で、通信冗長性を実現することができる。
【0014】
前記の車両通信システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第3装置は複数備えられる。前記第1装置は、前記有線通信路に用いられる通信線に断線が発生した場合、前記第3装置のうち、前記車両の車幅方向外側に位置する第3装置との無線通信を優先的に試みる。
【0015】
これにより、第1装置から送信される電波の影響が、車両の車幅方向中央部に配置され易い計器類に対して及びにくくすることができる。
【0016】
前記の車両通信システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1装置は、前記車両の外部に設けられた外部装置と通信可能な通信装置である。前記第2装置は、前記車両の少なくとも一部を制御する制御装置である。
【0017】
これにより、車両の挙動のうち少なくとも一部を良好に制御することができる。
【0018】
前記の車両通信システムにおいては、前記通信ネットワークを構成する複数の装置は、前記車両の一部を制御する制御装置を含むことが好ましい。
【0019】
これにより、車両の挙動のうち少なくとも一部を良好に制御することができる。
【0020】
前記の車両通信システムにおいては、前記通信ネットワークのうち有線通信ネットワークがリング型であることが好ましい。
【0021】
この場合、リングの何れかにおいて通信線が断線しても、断線箇所が1箇所にとどまるならば、有線通信を維持することができる。
【0022】
前記の車両通信システムにおいては、前記通信ネットワークのうち有線通信ネットワークがスター型であることが好ましい。
【0023】
この場合、通信線の配線を簡素化することができる。
【0024】
前記の車両通信システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1装置は、無線による通信を可能とする無線通信部を備える。前記無線通信部は、通信アンテナであるフェーズドアレイアンテナを有する。
【0025】
これにより、ビームフォーミングによって、電波の送受信の方向を絞ることができる。この結果、品質の良い無線通信を実現することができる。
【0026】
前記の車両通信システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1装置と無線通信可能な少なくとも1つの装置が、無線による通信を可能とする無線通信部を備える。前記無線通信部は、通信アンテナであるフェーズドアレイアンテナを有する。
【0027】
これにより、上記と同様に、品質の良い無線通信を実現することができる。
【0028】
前記の車両通信システムにおいては、前記無線通信部は、電波の送信と受信とで、前記通信アンテナの指向性を変更可能であることが好ましい。
【0029】
これにより、指向性の大小を送信と受信で切り替えて、良好な無線通信を行うことができる。
【0030】
前記の車両通信システムにおいては、前記通信アンテナは、前記第1装置と一体的に構成されていることが好ましい。
【0031】
これにより、コンパクトな構成を実現できる。
【0032】
前記の車両通信システムにおいては、前記通信アンテナは、前記第1装置と別体に構成することもできる。
【0033】
この場合、通信アンテナの設置自由度を高めることができるので、通信品質を容易に向上させることができる。
【0034】
前記の車両通信システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1装置は、無線通信のための電波の送受信の方向を変更可能である。前記第1装置は、無線通信のために、予め定められた角度に基づいて指向性走査を行う。
【0035】
これにより、無線通信品質が良好な角度を走査によって取得して、その角度で電波を送受信することができる。また、装置の位置関係が既知であれば、走査も容易に行うことができる。
【0036】
前記の車両通信システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1装置は、無線通信のための電波の送受信の方向を変更可能である。前記第1装置は、無線通信のために、全方向にスキャンを行う。
【0037】
この場合、装置同士の位置関係が不明であっても、全方向スキャンによって、電波を送受信することが好ましい方向を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両通信システムの概略構成を示す図。
【
図2】第1実施形態に係る車両通信システムの変形例を示す図。
【
図3】第1実施形態に係る車両通信システムにおける通信実行時の処理を示すフローチャート。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る車両通信システムの概略構成を示す図。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る車両通信システムの概略構成を示す図。
【
図6】本発明の第4実施形態に係る車両通信システムの概略構成を示す図。
【
図7】第3実施形態に係る車両通信システムの変形例を示す図。
【
図8】第4実施形態に係る車両通信システムの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両通信システム1の概略構成を示す図である。
【0040】
図1に示す車両通信システム1は、車両2に搭載された通信システムである。車両2としては、例えば、乗用車、トラック、バス、大型・小型特殊自動車を挙げることができる。なお、車両の種類については、これらに限られない。
【0041】
車両通信システム1は、車両2の外部に設けられたサーバ(外部装置)3との間で、無線の通信回線を介してデータを送受信可能である。サーバ3は、車両通信システム1との間でデータを送受信可能なものであれば良い。
【0042】
車両通信システム1は、車両2に設けられた複数の装置5を備える。複数の装置5は、通信ネットワーク6を構成する。通信ネットワーク6に属するそれぞれの装置5は、他の何れかの装置5と有線により通信することができる。
【0043】
複数の装置5は、それぞれ、他の1又は複数の装置5と通信線17により接続されている。この通信線17により、装置5同士が有線により通信することができる。また、詳細は後述するが、複数の装置5のうち一部の装置は、他の装置5と無線により通信することができる。
【0044】
本実施形態において、複数の装置5は、外部通信モジュール(第1装置)11と、中央ECU(第2装置)12と、エリアECU(第3装置)13と、を含んでいる。外部通信モジュール11は、通信装置の一種である。ECUは、Electronic Control Unitの略称であり、制御装置の一種である。ECU12,13の数は特に限定されないが、本実施形態でECU12,13は複数備えられている。
【0045】
外部通信モジュール11は、中央ECU12と有線により通信可能である。更に、外部通信モジュール11は、サーバ3と無線により通信可能である。
【0046】
外部通信モジュール11は、中央ECU12と通信線17を介して接続されている。外部通信モジュール11は、中央ECU12と公知のCAN通信等によりデータの送受信を行う。CANとは、Controller Area Networkの略称である。
【0047】
外部通信モジュール11は、後述の無線通信部21を用いて、データをサーバ3に対して送信することができる。データの送信は、中央ECU12からの制御信号に従って行われる。サーバ3に送信されるデータとしては、例えば、車両2の位置情報を示すデータ、各エリアECU13が行う処理の内容を示すデータ、及び、各エリアECU13が行う処理の結果を示すデータを挙げることができる。
【0048】
外部通信モジュール11は、車両2の適宜の位置、例えばダッシュボードに配置されている。外部通信モジュール11の配置場所は、これに限らず、例えば、車両2の車室内の他の場所(ダッシュボード以外の場所)であっても良いし、車両2のラゲッジルームであっても良い。
【0049】
外部通信モジュール11は、CPU、記憶装置、入出力部、有線通信部15、及び、断線検知部19等を備える。CPUは、各種プログラム等を記憶装置から読み出して実行することができる。記憶装置には、各種のプログラムやデータが記憶されている。有線通信部15は、有線による通信を可能にする。
【0050】
外部通信モジュール11は、断線検知部19の検知結果に基づいて、当該外部通信モジュール11と中央ECU12とを接続する通信線17に断線が発生したか否かを判断することができる。断線の発生は、第1通信路26による通信障害の発生と言い換えることもできる。本実施形態では、上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、外部通信モジュール11を、断線検知部19として動作させることができる。外部通信モジュール11は、中央ECU12と有線により通信し、その通信ができなかった場合に、外部通信モジュール11と中央ECU12との間で断線が発生したと判断する。
【0051】
複数のECU12,13は、車両2の適宜の位置に設けられている。中央ECU12は、エリアECU13との間で有線により通信することができる。エリアECU13は、中央ECU12又は他のエリアECU13との間で有線により通信することができる。本実施形態では、
図1に示すように、有線の通信ネットワーク6はリング型のネットワークとなっている。ただし、
図2のようにスター型の有線通信ネットワークが構築されても良い。
【0052】
複数のECU12,13は、それぞれ、CPU、記憶装置、入出力部、及び、有線通信部15等を備える。CPUは、各種プログラム等を記憶装置から読み出して実行することができる。記憶装置には、各種のプログラムやデータが記憶されている。有線通信部15は、他のECU12,13等との有線による通信を可能にする。
【0053】
中央ECU12は、外部通信モジュール11及びエリアECU13と、通信線17を介して接続されている。エリアECU13は、中央ECU12又は他のエリアECU13と、通信線17を介して接続されている。有線で接続された装置5同士は、例えばCAN通信により、種々のデータを送受信することができる。
【0054】
本実施形態において、通信ネットワーク6に属する複数の装置5は、1つの中央ECU12と、複数のエリアECU13と、を含む。
【0055】
中央ECU12は、車両2を統括的に制御するコンピュータである。中央ECU12は、複数のエリアECU13に、通信線17によって直接的又は間接的に接続されている。中央ECU12が記憶しているプログラムが実行されることで、当該中央ECU12は、複数のエリアECU13に指令し、エリアECU13を介して車両2の各部を制御する。
【0056】
エリアECU13は、車両2を複数の区画(前左部、前右部、後左部及び後右部)に分割したそれぞれの領域において、車両2の種々の装備を制御するコンピュータである。エリアECU13が記憶するプログラムが実行されることで、当該エリアECU13は、当該エリアECU13に割り当てられた部品(車両2の一部)を制御する。
【0057】
例えば、あるエリアECU13は、車両2が備えるエンジンを制御する処理を行う。また、別のエリアECU13は、ブレーキ装置を制御する処理を行う。更に別のエリアECU13は、操舵装置を制御する処理を行う。
【0058】
複数の装置5のうち少なくとも2つの装置5は、無線通信部21を備える。本実施形態においては、4つのエリアECU13のうち、車両2の前右部の制御を行うエリアECU13が、無線通信部21を有する。
図1において、当該エリアECU13が*印で示されている。このエリアECU13は、中央ECU12と通信線17を介して直接接続されている。
【0059】
更に、無線通信部21は、外部通信モジュール11及び中央ECU12のそれぞれに備えられている。
【0060】
上述のとおり、中央ECU12は、通信線17を介して接続された外部通信モジュール11と、有線により通信することができる。また、中央ECU12は無線通信部21を備えているので、同じ外部通信モジュール11と、無線により通信することもできる。
【0061】
上述のとおり、
図1に*印で示したエリアECU13は、無線通信部21を有する。従って、このエリアECU13は、外部通信モジュール11と無線により通信することができる。前述のとおり、このエリアECU13は、中央ECU12と有線により通信することもできる。
【0062】
外部通信モジュール11は、中央ECU12と、有線により通信することができる。また、外部通信モジュール11は無線通信部21を備えている。従って、外部通信モジュール11は、中央ECU12と、無線により通信することもできる。更に、外部通信モジュール11は、無線通信部21を有するエリアECU13と、無線により通信することもできる。無線通信方式は特に限定されず、例えば、無線LAN(Local Area Network)を利用したものとすることができる。
【0063】
外部通信モジュール11は、サーバ3と、無線により通信することができる。この無線通信方式は特に限定されず、例えば、第3世代移動通信システム(3G)、LTE等の第4世代移動通信システム(4G)、第5世代移動通信システム(5G)、Wi-Fiを利用したものとすることができる。LTEは、Long Term Evolutionの略称である。LTE及びWi-Fiは登録商標である。
【0064】
このように、本実施形態においては、外部通信モジュール11と中央ECU12との間に、有線(通信線17)による第1通信路26と、無線による第2通信路27と、からなる多重通信路が構成される。第1通信路26は有線通信路に相当し、第2通信路27は無線通信路に相当する。
【0065】
外部通信モジュール11と中央ECU12との間には、上記の多重通信路とは別に、*印のエリアECU13を経由する通信路を構成することができる。
【0066】
外部通信モジュール11は、中央ECU12との間で、通常は有線による通信を行う。言い換えれば、第1通信路26を用いた通信が優先的に行われる。ただし、中央ECU12との間の通信線17に断線が発生した場合、外部通信モジュール11は、通信方式を有線から無線に切り替える。通信方式の切替後は、外部通信モジュール11は、中央ECU12と無線により通信を行う。この無線通信には、第2通信路27が用いられるか、又は、通信路29及び*印のエリアECU13を介した通信路が用いられる。
【0067】
無線通信部21には、通信アンテナ31が電気的に接続されている。無線通信部21は、適宜の方式で変調処理又は復調処理を行って、サーバ3及び中央ECU12のそれぞれとの間でデータの送受信を行うことができる。
【0068】
通信アンテナ31としては、例えば、フェーズドアレイアンテナが用いられる。この場合、電波の送受信の向きをビームフォーミングによって実質的に変更することができるので、特定の方向にエネルギーを集中させることができ、無線通信の品質を容易に向上させることができる。ただし、通信アンテナの種類は特に限定されない。
【0069】
本実施形態で用いられるフェーズドアレイアンテナは、等間隔で並べられた複数のアンテナ素子と、移相器と、を備える公知の構成である。本実施形態では、電波の送信時は多数のアンテナ素子の全てを使用することで、鋭い指向性を実現する一方で、電波の受信時は一部のアンテナ素子を実質的に無効化することで、指向性を弱めている。これにより、角度範囲を細く絞って電波を送信し、ある程度広い角度範囲で電波を受信することができる。
【0070】
本実施形態において、通信アンテナ31は、外部通信モジュール11と別の部品として構成されている。通信アンテナ31は、通信相手の位置等を考慮して、外部通信モジュール11の本体から離れた位置(車両2のフロントウィンドウ等)に設けることができる。ただし、通信アンテナ31は、外部通信モジュール11と一体的に構成されても良い。
【0071】
本実施形態の車両において、外部通信モジュール11、中央ECU12及びエリアECU13の設置場所は予め決まっている。外部通信モジュール11には、中央ECU12及び*印のエリアECU13のそれぞれに関して、無線通信を行う場合にどの方向で電波を送受信するのが好ましいかに関する情報が予め記憶されている。以下、この情報を送受信方向情報と呼ぶことがある。送受信方向情報は、各装置の位置関係に基づいて予め求めることができる。
【0072】
外部通信モジュール11は、選択された中央ECU12又はエリアECU13と無線により通信を行うとき、送受信方向に基づく向きを中心とした適宜の角度範囲で指向性走査を行う。通信品質が良い角度(例えば、通信エラー率が低い角度)が指向性走査により得られると、外部通信モジュール11は、当該角度で電波の送受信を行う。
【0073】
以下、外部通信モジュール11が無線通信を開始する場合の動作について、詳細に説明する。外部通信モジュール11は、最初に、中央ECU12との間で無線による通信を試みる。無線通信可能であれば、外部通信モジュール11は、中央ECU12と無線で通信を行う。一方、無線通信不能であれば、外部通信モジュール11は、次に、*印のエリアECU13との間で無線により通信を試みる。
【0074】
図1の構成では、無線通信部21を有するエリアECU13が1つしかない。しかし、そのようなエリアECU13が車両2に複数設けられる場合もあり得る。この場合において、中央ECU12との間の無線通信の試行に失敗したとき、外部通信モジュール11は、車両2の車幅方向で最も外側に位置するエリアECU13と通信を試みる。無線通信不能であれば、車両2の車幅方向で2番目に外側に位置するエリアECU13と通信を試みる。更に失敗した場合は、3番目に外側、4番目に外側、・・・というように、外部通信モジュール11が無線により通信を試行する相手が切り替えられる。この手順が、何れかのエリアECU13との間で無線通信の試行が成功するまで繰り返される。
【0075】
なお、車両2においては、車室内側に、計器類が設けられたインストルメントパネルが配置されている。そのため、他と無線通信する可能性がある中央ECU12及び*印のエリアECU13は、電波の計器類への影響を考慮して、インストルメントパネルから離れて配置されることが好ましい。上述のように、外部通信モジュール11が車幅方向で外側に位置するエリアECU13に対して優先的に通信を試みるのも、車幅方向中央側に配置されることが多い計器への電波の影響を考慮したものである。ここで、エリアECU13が位置する、車両2の車幅方向の外側としては、例えば、当該車両2のカウルサイド、ラゲッジルーム等の領域を挙げることができる。
【0076】
続いて、
図3を参照して、外部通信モジュール11が行う通信実行時の処理について説明する。
図3は、車両通信システム1における通信実行時の処理を示すフローチャートである。
【0077】
外部通信モジュール11は、通常は、中央ECU12と有線で通信を行う(ステップS101)。この通信には、通信線17(第1通信路26)が用いられる。
【0078】
この有線通信の過程で、外部通信モジュール11は、中央ECU12と当該外部通信モジュール11との間で断線が発生したか否かを常時監視している(ステップS102)。外部通信モジュール11は、例えば、中央ECU12の通信応答がない場合、断線が発生したと判定する。
【0079】
ステップS102において、断線が発生していないと判定した場合、処理はステップS101に戻る。外部通信モジュール11は、中央ECU12と引き続き有線で通信を行う。
【0080】
ステップS102において、断線が発生したと判定した場合、外部通信モジュール11は、通信方式を有線から無線に切り替えて、中央ECU12と無線で通信を行う(ステップS103)。この場合の通信路としては、外部通信モジュール11が中央ECU12との間で無線通信できた場合は、その無線通信路である第2通信路27が用いられる。外部通信モジュール11が中央ECU12との間で無線通信できないが、エリアECU13との間で無線通信できた場合は、外部通信モジュール11と中央ECU12の間の通信には、通信路29、*印のエリアECU13、及び通信線17を介する通信路が用いられる。
【0081】
このように、外部通信モジュール11が中央ECU12との間で有線通信を行っている途中で、通信線17に断線が発生する可能性がある。この点、本実施形態の構成によれば、通信線17が断線した場合でも、外部通信モジュール11は、第1通信路26の代わりに第2通信路27を用いて、中央ECU12と通信することができる。あるいは、外部通信モジュール11は、通信路29を一部に含む通信路を用いて、中央ECU12と通信することもできる。従って、車両通信システム1において、外部通信モジュール11と中央ECU12との接続に関し、通信冗長性を確保することができる。
【0082】
以上に説明したように、本実施形態の車両通信システム1は、車両2に設けられて通信ネットワーク6を構成する複数の装置5を備える。複数の装置5は、それぞれ、通信ネットワーク6に属する他の装置5と有線により通信可能に構成されている。複数の装置5は、無線により通信可能な外部通信モジュール11を含む。外部通信モジュール11は、他の装置5である中央ECU12と、有線の第1通信路26により通信を行う。外部通信モジュール11は、第1通信路26による通信に障害が発生した場合、無線の第2通信路27を用いて中央ECU12と通信を行う。
【0083】
これにより、外部通信モジュール11と中央ECU12の間で通信冗長性を確保することができる。また、多重通信路を有線及び無線の異なる通信方式で構成するので、1種類の通信方式のみで構成する場合に比べて、車両通信システム1を柔軟に構成することができる。例えば、有線通信方式のみで多重通信路に係る通信路を構成する場合に比べて、配線を削減することができるので、車両通信システム1を簡素に構成することができる。
【0084】
本実施形態の車両通信システム1において、複数の装置5は、中央ECU12を含む。中央ECU12は、外部通信モジュール11と有線及び無線により通信可能に構成される。外部通信モジュール11は、中央ECU12と有線の第1通信路26により通信を行う。外部通信モジュール11は、第1通信路26による通信に障害が発生した場合、第2通信路27を用いて中央ECU12と通信を行う。
【0085】
これにより、簡素な構成で、通信冗長性を実現することができる。
【0086】
本実施形態の車両通信システム1において、複数の装置5は、中央ECU12及び*印のエリアECU13を含む。中央ECU12は、外部通信モジュール11と有線により通信可能に構成される。*印のエリアECU13は、外部通信モジュール11と無線により通信可能に、かつ、中央ECU12と有線により通信可能に構成される。外部通信モジュール11は、中央ECU12との間の有線による第1通信路26による通信に障害が発生した場合、*印のエリアECU13と無線により通信を行い、当該エリアECU13を経由して中央ECU12と通信を行う。
【0087】
これにより、3つの装置5の連携によって通信冗長性を実現することができる。
【0088】
本実施形態の車両通信システム1において、エリアECU13は複数備えられる。外部通信モジュール11は、有線の第1通信路26による通信に障害が発生した場合、無線通信可能なエリアECU13が複数あるときは、当該エリアECU13のうち、車両2の車幅方向外側に位置するエリアECU13との無線通信を優先的に試みる。
【0089】
これにより、外部通信モジュール11から送信される電波の影響が、車両2の幅方向中央に配置されることが多い計器類に対して及びにくくすることができる。
【0090】
本実施形態の車両通信システム1において、外部通信モジュール11は、車両2の外部に設けられたサーバ3と通信可能な通信装置である。中央ECU12は、車両2の少なくとも一部を制御する制御装置である。このように、通信ネットワーク6を構成する複数の装置5は、車両2の一部を制御する制御装置を含む。
【0091】
これにより、車両2の挙動のうち少なくとも一部を良好に制御することができる。
【0092】
本実施形態の車両通信システム1において、通信ネットワーク6のうち有線通信ネットワークが、
図1に示すようにリング型である。
【0093】
これにより、リングの何れかにおいて通信線17が例えば断線しても、断線箇所が1箇所にとどまるならば、有線通信を維持することができる。
【0094】
ただし、通信ネットワーク6のうち有線通信ネットワークが、
図2に示すようにスター型であっても良い。
【0095】
この場合、通信線17の配線を簡素化することが容易である。
【0096】
本実施形態の車両通信システム1において、外部通信モジュール11は、無線による通信を可能とする無線通信部21を備える。また、無線通信部21は、通信アンテナ31であるフェーズドアレイアンテナを有する。外部通信モジュール11と無線通信可能な少なくとも1つの装置5(例えば、中央ECU12及びエリアECU13)も、図略の通信アンテナとして、フェーズドアレイアンテナを有する。
【0097】
これにより、ビームフォーミングによって、電波の送受信の方向を絞ることができる。この結果、品質の良い無線通信を実現することができる。
【0098】
本実施形態の車両通信システム1において、無線通信部21は、電波の送信と受信とで、通信アンテナ31の指向性を変更可能である。
【0099】
これにより、例えば、電波の送信時には相手の装置5を狙って鋭い指向性を持たせる一方、相手の装置5からの電波の受信時には、指向性を緩くして、ある程度広い角度で受信することができる。
【0100】
本実施形態の車両通信システム1において、通信アンテナ31は、外部通信モジュール11と別体に構成されている。ただし、通信アンテナ31が、外部通信モジュール11と一体に構成されても良い。
【0101】
通信アンテナ31が別体の場合、通信アンテナ31の設置自由度を高めることができるので、通信品質を容易に向上させることができる。通信アンテナ31が一体の場合、コンパクトな構成を実現できる。
【0102】
本実施形態の車両通信システム1において、外部通信モジュール11は、無線通信のための電波の送受信の方向を変更可能である。外部通信モジュール11は、無線通信のために、予め定められた角度に基づいて指向性走査を行う。
【0103】
これにより、無線通信品質が良好な角度を走査によって取得して、その角度で電波を送受信することができる。また、装置5の位置関係が既知であれば、走査も容易に行うことができる。
【0104】
次に、
図4を参照して、第2実施形態を説明する。
図4は、第2実施形態に係る車両通信システム1の概略構成を示す図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0105】
本実施形態の車両通信システム1では、中央ECU12も、エリアECU13も、無線通信部21を有していない。その代わりに、車両通信システム1は、通信ネットワーク6を構成する装置5として、冗長化ECU14(第3装置)を備えている。
【0106】
冗長化ECU14は、無線通信部21を備える。従って、冗長化ECU14は、外部通信モジュール11と無線により通信することができる。また、冗長化ECU14は、有線通信部15を備える。従って、冗長化ECU14は、中央ECU12と有線により通信することができる。冗長化ECU14は、通信線17を介して、中央ECU12と接続されている。
【0107】
冗長化ECU14は、車両2において外部通信モジュール11と良好に通信を行うことができる任意の場所に配置される。本実施形態では、外部通信モジュール11が車両2のダッシュボードに配置されている。これを考慮して、冗長化ECU14は、ダッシュボードの上部に配置されたカウルの車幅方向端部(車両2の車幅方向外側)に配置されている。第1実施形態の中央ECU12等と同様の理由で、冗長化ECU14は、インストルメントパネルから離れた場所に配置することが好ましい。
【0108】
このような構成において、外部通信モジュール11は、中央ECU12との間で断線が発生した場合、第1実施形態と同様に、通信方式を有線から無線に切り替える。通信方式の切替後は、外部通信モジュール11は、冗長化ECU14と無線により通信を行う。そして、冗長化ECU14が、中央ECU12と有線により通信を行う。以上により、外部通信モジュール11は、冗長化ECU14を経由して、中央ECU12とデータの送受信を行う。
【0109】
本実施形態では、外部通信モジュール11と中央ECU12との間に、有線による第1通信路26が形成される。また、外部通信モジュール11と中央ECU12との間には、外部通信モジュール11と冗長化ECU14との間の無線による通信路35を含む、第3通信路33が形成される。従って、外部通信モジュール11は、中央ECU12との間の有線通信に障害が発生した場合であっても、第1通信路26に代えて第3通信路33を用いて、中央ECU12との通信を確立することができる。よって、車両通信システム1において、外部通信モジュール11と中央ECU12との接続に関し、通信冗長性を確保することができる。
【0110】
以上に説明したように、本実施形態の車両通信システム1において、複数の装置5は、中央ECU12及び冗長化ECU14を含む。中央ECU12は、外部通信モジュール11と有線により通信可能に構成される。冗長化ECU14は、外部通信モジュール11と無線により通信可能に、かつ、中央ECU12と有線により通信可能に構成される。外部通信モジュール11は、中央ECU12との間の有線による通信に障害が発生した場合、冗長化ECU14と無線により通信を行い、冗長化ECU14を経由して中央ECU12と通信を行う。
【0111】
これにより、3つの装置5の連携によって通信冗長性を実現することができる。
【0112】
次に、
図5を参照して、第3実施形態を説明する。
図5は、第3実施形態に係る車両通信システム1の概略構成を示す図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0113】
本実施形態の車両通信システム1では、中央ECU12が無線通信部21を備える。また、複数のエリアECU13の全てが無線通信部21を備える。中央ECU12及びエリアECU13は、通信ネットワーク6としてのスター型ネットワークを介して、有線により通信可能に構成される。中央ECU12は、スター型ネットワークの中心に位置する。
【0114】
中央ECU12は、断線検知部19を備える。また、複数のエリアECU13の全てが断線検知部19を備える。
【0115】
中央ECU12及びエリアECU13は、それぞれ、有線通信によって互いに通信する。有線通信ができなくなった場合(言い換えれば、通信線17に断線が発生した場合)には、通信方式が有線から無線に切り替えられる。通信方式の切替後は、障害によって有線ネットワークから孤立した装置5(例えば、エリアECU13)は、第4通信路43を用いて、本来通信したい装置5との間で、無線により通信を行う。
【0116】
この構成によっても、例えば中央ECU12とエリアECU13との間で、通信冗長性を確保することができる。
【0117】
次に、
図6を参照して、第4実施形態を説明する。
図6は、第4実施形態に係る車両通信システム1の概略構成を示す図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0118】
本実施形態は、第3実施形態と通信ネットワークの構成が相違する。即ち、中央ECU12及び複数のエリアECU13は、通信ネットワーク6としてのリング型ネットワークを介して、有線により通信可能に構成される。無線による通信路は、第3実施形態と同様に構成される。
【0119】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0120】
図1及び
図2で例示したように、有線の通信ネットワーク6は、リング型、スター型の何れで構成されても良い。
【0121】
外部通信モジュール11の配置場所は、上述のように通信冗長性の実現が可能な場所であれば良く、特に限定されない。例えば、外部通信モジュール11の配置場所は、車両2のフロントガラス部であっても良いし、車両2の天井部(シャークアンテナが搭載されている場所等)であっても良い。また、この配置場所は、
図1で示されるエリアECU13の何れかが配置されている場所であっても良い。
【0122】
図4に示す第2実施形態において、冗長化ECU14の設置場所は特に限定されない。冗長化ECU14は、外部通信モジュール11と良好に通信を行うことができるように、車両2において外部通信モジュール11から見通しの良い場所に設置することが好ましい。
【0123】
図5に示す第3実施形態において、中央ECU12及びエリアECU13のうち一部につき、無線通信部21を省略することができる。
図6に示す第4実施形態においても同様である。
【0124】
図7及び
図8には、4つのエリアECU13のうち1つが、無線通信部21を備えていない例が示されている。重要度の低い通信経路においては冗長化を行わないことにより、コストを低減することができる。
【0125】
通信アンテナ31の種類は特に限定されない。通信アンテナの種類は、無線通信方式に応じて適宜に選択可能である。
【0126】
外部通信モジュール11が他の装置5と無線通信を行う場合に、上述の指向性走査が行われなくても良い。外部通信モジュール11にとって無線通信相手の装置5の位置が不明であっても、全方向にスキャンを行うことで、外部通信モジュール11は、どの方向に指向させて電波を送受信すれば良いかに関する情報を得ることができる。
【0127】
複数の装置5の間でやり取りされる情報は任意であり、例えば、車両2の自動運転を実現するための情報とすることができる。
【0128】
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0129】
1 車両通信システム
2 車両
5 装置
6 通信ネットワーク
11 外部通信モジュール(第1装置、通信装置)
12 中央ECU(第2装置、制御装置)
13 エリアECU(第3装置、制御装置)
21 無線通信部
31 通信アンテナ