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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】粉体補給装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240229BHJP
【FI】
G03G15/08 348B
G03G15/08 343
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020108224
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022003381
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】多田 薫
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 晃一
(72)【発明者】
【氏名】大久保 泰秀
(72)【発明者】
【氏名】大平 達也
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-076050(JP,A)
【文献】特開2012-032741(JP,A)
【文献】特開2007-148318(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0249522(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/08
G03G 13/095
G03G 15/00
G03G 15/08
G03G 15/095
G03G 21/16 -21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体排出口と、前記粉体排出口を塞ぐシャッター部材とを有し、装置本体に対して着脱可能な粉体容器と、
装置本体に回動自在に支持され、前記シャッター部材に設けられた引っ掛け凸部が嵌まる凹部を有するアーム部材とを備え、
前記アーム部材は、前記粉体容器の装置本体への挿入時に、前記粉体容器の挿入方向先端部に押圧されて回動し、その回動によって前記引っ掛け凸部を前記凹部に嵌め込み、前記シャッター部材の移動を規制する粉体補給装置において、
前記アーム部材は、
前記粉体容器の挿入方向先端部が突き当たる被突き当て部を有し、装置本体に回転自在に支持された第一部材と、
前記凹部の粉体容器挿入方向上流側の壁部を有し、前記第一部材に対して相対的移動可能に前記第一部材に取り付けられた第二部材と、
を有することを特徴とする粉体補給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体補給装置において、
前記第二部材は、前記粉体容器の装置本体への挿入時に前記引っ掛け凸部に当接したとき、前記第一部材が前記粉体容器の挿入方向先端部に押圧されて回動するように前記第一部材に対して相対的に移動することを特徴とする粉体補給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の粉体補給装置において、
前記第二部材の前記引っ掛け凸部が当接する当接面は、前記粉体容器の挿入方向上流側が下流側よりも前記シャッター部材から離間するような傾斜面であることを特徴とする粉体補給装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の粉体補給装置において、
前記アーム部材は、前記粉体容器の装置本体への挿入時に、前記アーム部材の粉体容器挿入方向下流側端部が、前記粉体容器の挿入方向先端部に対向する第一の姿勢を取っており、
前記粉体容器が装置本体から取り外されているとき、前記アーム部材が前記第一の姿勢を取るように、前記第一部材を付勢する第一付勢手段を有することを特徴とする粉体補給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の粉体補給装置において、
前記第一付勢手段は、前記第二部材を、前記シャッター部材側へ付勢することを特徴とする粉体補給装置。
【請求項6】
請求項1乃至4いずれか一項に記載の粉体補給装置において、
前記第二部材を、前記シャッター部材側へ付勢する第二付勢手段を有することを特徴とする粉体補給装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載の粉体補給装置において、
前記第二部材は、前記第一部材に対して直線的に移動可能に構成されていることを特徴とする粉体補給装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の粉体補給装置において、
前記第二部材は、前記アーム部材の回転軸方向に垂直な平面上で前記第一部材に対して移動可能に構成されていることを特徴とする粉体補給装置。
【請求項9】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の粉体補給装置において、
前記第二部材は、前記第一部材に対して前記アーム部材の回転軸方向に移動可能に構成されていることを特徴とする粉体補給装置。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか一項に記載の粉体補給装置において、
前記凹部の粉体容器挿入方向上流側の壁面は、前記粉体容器の挿入方向に対して直交していることを特徴とする粉体補給装置。
【請求項11】
トナー像を作像する作像手段と、
トナーを前記作像手段に補給するトナー補給装置とを備える画像形成装置において、
前記トナー補給装置として、請求項1乃至10いずれか一項に記載の粉体補給装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体補給装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粉体排出口と、粉体排出口を塞ぐシャッター部材とを有し、装置本体に対して着脱可能な粉体容器と、装置本体に回動自在に支持され、シャッター部材に設けられた引っ掛け凸部が嵌まる凹部を有するアーム部材とを備え、アーム部材は、粉体容器の装置本体への挿入時に、粉体容器の挿入方向先端部に押圧されて回動し、その回動によって引っ掛け凸部を凹部に嵌め込み、シャッター部材の移動を規制する粉体補給装置が記載されている。
【0003】
特許文献1の粉体補給装置では、シャッター部材の移動を規制した状態での粉体容器のさらなる挿入、あるいは、抜き出しで、シャッター部材を粉体容器に対して相対移動させ粉体排出口を開閉する。このように、アーム部材を用いて、シャッター部材の粉体排出口の開閉を行うことで、粉体排出口を塞ぐ閉じ位置に位置するようにシャッター部材を付勢する付勢手段を粉体容器から無くすことができ、粉体容器を安価にすることができると記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、粉体排出口を塞ぐ閉じ位置に位置するようにシャッター部材を付勢する付勢手段を粉体容器から無くしたため、シャッター部材が閉位置からずれた半開き状態でトナー容器が装置本体に挿入されることがある。シャッター部材が半開き状態で粉体容器が装置本体に挿入されると、粉体容器を装置本体に装着できないおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、粉体排出口と、前記粉体排出口を塞ぐシャッター部材とを有し、装置本体に対して着脱可能な粉体容器と、装置本体に回動自在に支持され、前記シャッター部材に設けられた引っ掛け凸部が嵌まる凹部を有するアーム部材とを備え、前記アーム部材は、前記粉体容器の装置本体への挿入時に、前記粉体容器の挿入方向先端部に押圧されて回動し、その回動によって前記引っ掛け凸部を前記凹部に嵌め込み、前記シャッター部材の移動を規制する粉体補給装置において、前記アーム部材は、前記粉体容器の挿入方向先端部が突き当たる被突き当て部を有し、装置本体に回転自在に支持された第一部材と、前記凹部の粉体容器挿入方向上流側の壁部を有し、前記第一部材に対して相対的に移動可能に前記第一部材に取り付けられた第二部材とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シャッター部材が半開き状態でトナー容器を装置本体に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の複写機の概略構成図。
図2】イエローに対応した作像部の概略構成を示す模式図。
図3】トナー補給装置を示す模式図。
図4】トナー補給装置の部分概略断面図。
図5】トナー容器収容部に四つのトナー容器が設置された状態を示す概略斜視図。
図6】参照例の開閉機構について、説明する斜視図。
図7】(a)は、同参照例における引っ掛け凸部が係合凹部に嵌まり込んだ状態を示す斜視図であり、(b)は、同参照例におけるトナー容器を装置本体に装着した状態を示す斜視図
図8】参考例の課題について説明する図。
図9】本実施形態の開閉アームを示す概略構成図。
図10】同本実施形態の開閉アームのガイド部に先端突き当て部が突き当たった状態を示す斜視図。
図11】同本実施形態の開閉アームが、引っ掛け凸部に突き当たった状態を示す斜視図。
図12】シャッター部材が半開き状態のトナー容器を挿入したときの本実施形態の開閉アームの動作について説明する図。
図13】シャッター部材の開きが大きい状態のトナー容器を挿入したときの本実施形態の開閉アームの動作について説明する図。
図14】第二部材が、開閉アームの回転軸と平行に第一部材に対して相対的に移動する構成の一例を示す図。
図15図14に示すA-A概略断面図。
図16】開閉アームを回動方向に付勢するトーションスプリングにより、第二部材を付勢する構成の一例を示す図。
図17】第二部材の移動時のトーションスプリングの動きについて説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)に適用した、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の複写機500の概略構成図である。複写機500は、複写機装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部400という)から構成される。
【0009】
プリンタ部100の上部に設けられたトナー容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つの粉体物収納容器としてのトナー容器32(Y,M,C,K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット85が配設されている。
【0010】
中間転写ユニット85は、中間転写ベルト48、四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ82、複数のテンションローラ、及び、中間転写クリーニング装置等で構成される。中間転写ベルト48は、複数のローラ部材によって張架、支持されるとともに、この複数のローラ部材の1つである二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動する。
【0011】
プリンタ部100には、中間転写ベルト48に対向するように、各色に対応した四つの作像部46(Y,M,C,K)が並設されている。また、四つのトナー容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれに対応した四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)が配設されている。そして、トナー容器32(Y,M,C,K)に収容されたトナーは、それぞれに対応するトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、各色に対応した作像部46(Y,M,C,K)の現像装置(粉体物使用部)内に供給(補給)される。
【0012】
また、図1に示すように、プリンタ部100は四つの作像部46の下方に潜像形成手段である露光装置47を備える。露光装置47は、スキャナ部400で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、後述する感光体41の表面に対して露光し、感光体41の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置47は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
【0013】
図2は、イエローに対応した作像部46Yの概略構成を示す模式図である。
作像部46Yは、潜像担持体であるドラム状の感光体41Yを備える。さらに、作像部46Yは、帯電手段である帯電ローラ44Y、現像手段である現像装置50Y、感光体クリーニング装置42Y、除電装置等を感光体41Yの周囲に配設した構成である。そして、感光体41Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われて、感光体41Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0014】
なお、他の三つの作像部46(M,C,K)も、使用されるトナーの色が異なる点以外は、イエローに対応した作像部46Yとほぼ同様の構成となっていて、各感光体41(M,C,K)上にそれぞれのトナーに対応した色の画像が形成される。以下、他の三つの作像部46(M,C,K)の説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部46Yのみの説明を行うことにする。
【0015】
感光体41Yは、駆動モータによって図2中の時計回り方向に回転駆動する。そして、帯電ローラ44Yと対向する位置で、感光体41Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体41Yの表面は、露光装置47から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。その後、感光体41Yの表面は、現像装置50Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程)。
【0016】
中間転写ユニット85の四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト48を感光体41(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。そして、一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)に、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
【0017】
現像工程でトナー像が形成された感光体41Yの表面は、中間転写ベルト48を挟んで一次転写バイアスローラ49Yと対向する一次転写ニップに達して、この一次転写ニップで感光体41Y上のトナー像が中間転写ベルト48上に転写される(一次転写工程)。このとき、感光体41Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。一次転写ニップでトナー像を中間転写ベルト48に転写した感光体41Yの表面は、感光体クリーニング装置42Yとの対向位置に達する。この対向位置で感光体41Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード42aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体41Yの表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体41Y上の残留電位が除去される。こうして、感光体41Y上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0018】
このような作像プロセスは、他の作像部46(M,C,K)でも、イエロー作像部46Yと同様に行われる。すなわち、作像部46(M,C,K)の下方に配設された露光装置47から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部46(M,C,K)の感光体41(M,C,K)上に向けて照射される。詳しくは、露光装置47は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して各感光体41(M,C,K)上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体41(M,C,K)上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト48上に転写する。
【0019】
このとき、中間転写ベルト48は、図1中の矢印方向に走行して、各一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。これにより、各感光体41(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト48上に重ねて一次転写され、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。
【0020】
各色のトナー像が重ねて転写され、カラートナー像が形成された中間転写ベルト48は、二次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、二次転写バックアップローラ82が、二次転写ローラ89との間に中間転写ベルト48を挟み込んで二次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト48上に形成されたカラートナー像は、二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト48には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト48は、中間転写クリーニング装置の位置に達し、その表面上の未転写トナーが回収され、中間転写ベルト48上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
次に、記録媒体Pの動きについて説明する。
上述した二次転写ニップに搬送される記録媒体Pは、プリンタ部100の下方に配設された給紙部200の給紙トレイ26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。詳しくは、給紙トレイ26には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計回り方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28の二つのローラによって形成されるローラニップに向けて搬送される。
【0022】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが二次転写ニップに向けて搬送される。これにより、記録媒体P上に、所望のカラートナー像が転写される。
【0023】
二次転写ニップでカラートナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置86の位置に搬送される。定着装置86では、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラートナー像が記録媒体P上に定着される。定着装置86を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。こうして、複写機500における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、作像部46における現像装置50の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。なお、ここではイエローに対応した作像部46Yを例に挙げて説明を行うが、他色の作像部46(M,C,K)においても同様である。
【0025】
現像装置50Yは、図2に示すように、現像ローラ51Y、ドクタブレード52Y、二つの現像剤搬送スクリュー55Y、及び、トナー濃度検知センサ56Y等で構成される。現像ローラ51Yは、感光体41Yに対向し、ドクタブレード52Yは、現像ローラ51Yに対向する。また、二つの現像剤搬送スクリュー55Yは、二つの現像剤収容部(53Y,54Y)内に配設されている。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットローラ、及び、マグネットローラの周囲を回転するスリーブ等で構成される。第一現像剤収容部53Y及び第二現像剤収容部54Y内には、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。第二現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー落下搬送経路64Yに連通している。また、トナー濃度検知センサ56Yは、第二現像剤収容部54Y内の現像剤G中のトナー濃度を検知する。
【0026】
現像装置50内の現像剤Gは、二つの現像剤搬送スクリュー55Yによって、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。第一現像剤収容部53Y内の現像剤Gは、現像剤搬送スクリュー55Yの一方に搬送されながら現像ローラ51Y内のマグネットローラにより形成される磁界によって現像ローラ51Yのスリーブ表面上に供給され、担持される。現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印で示すように反時計回り方向に回転駆動し、現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。このとき、現像剤G中のトナーは、現像剤G中のキャリアとの摩擦帯電によりキャリアとは逆極性の電位に帯電して静電的にキャリアに吸着し、現像ローラ51Y上に形成された磁界によって引き寄せられるキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0027】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクタブレード52Yと現像ローラ51Yとが対向するドクタ部に達する。現像ローラ51Y上の現像剤Gは、ドクタ部を通過する際にその量が適量化され、その後、感光体41Yとの対向位置である現像領域まで搬送される。現像領域では、現像ローラ51Yと感光体41Yとの間に形成された現像電界によって感光体41Y上に形成された潜像に現像剤G中のトナーが吸着される。現像領域を通過した現像ローラ51Yの表面上に残った現像剤Gはスリーブの回転に伴い第一現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0028】
現像装置50Y内の現像剤Gは、トナー濃度が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置50Y内の現像剤Gに含まれるトナーの現像による消費量に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、後述するトナー補給装置60Yを介して第二現像剤収容部54Y内に補給される。
第二現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、二つの現像剤搬送スクリュー55Yによって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。
【0029】
次に、トナー補給装置60(Y,M,C,K)について説明する。
図3は、トナー補給装置60を示す模式図であり、図4は、トナー補給装置の部分概略断面図であり、図5は、トナー容器収容部70に四つのトナー容器32(Y,M,C,K)が設置された状態を示す概略斜視図である。
【0030】
プリンタ部100のトナー容器収容部70に設置された各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、各色の現像装置50(Y,M,C,K)内のトナー消費に応じて、適宜に各現像装置50(Y,M,C,K)内に補給される。このとき、各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって補給される。なお、四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。このため、色符号(Y,M,C,K)を適宜に省略する。
【0031】
トナー容器32は、略円筒状のトナーボトルである。そして、主として、トナー容器収容部70に非回転で保持される容器先端側カバー34と、容器本体33とから主に構成される。容器本体33は、容器先端側カバー34に対して相対的に回転可能に保持されている。容器先端側カバー34には、トナー排出口34aを開閉するシャッター部材130が、トナー容器32の挿入方向に所定範囲でスライド可能に取り付けられている。
【0032】
トナー容器収容部70は、主として、容器カバー受入部73と、容器受部72と、挿入口形成部71とで構成されている。容器カバー受入部73は、トナー容器32の容器先端側カバー34を保持するための部分であり、容器受部72は、トナー容器32の容器本体33を保持するための部分である。また、挿入口形成部71は、容器受部72と、トナー容器32の装着動作時における挿入口を形成する部分である。複写機500の手前側(図1の紙面垂直方向手前側)に設置された本体カバーを開放すると、トナー容器収容部70の挿入口形成部71が露呈される。そして、各トナー容器32(Y,M,C,K)の長手方向を水平方向とした状態で、複写機500の手前側から各トナー容器32(Y,M,C,K)の着脱操作(トナー容器32の長手方向を着脱方向とする着脱操作)を行う。
【0033】
容器受部72は、その長手方向の長さが、容器本体33の長手方向の長さとほぼ同等になるように形成されている。また、容器カバー受入部73は容器受部72における長手方向(着脱方向)の容器先端側に設けられ、挿入口形成部71は容器受部72における長手方向の一端側に設けられている。そのため、トナー容器32の装着動作にともない、容器先端側カバー34は、挿入口形成部71を通過した後に、しばらく容器受部72上を滑動して、その後に容器カバー受入部73に装着されることになる。
【0034】
トナー容器32(Y,M,C,K)がトナー容器収容部70に装着されると、その装着動作に連動して、トナー容器32(Y,M,C,K)のシャッター部材130が移動してトナー排出口34aが開放される。また、これと同時に、図4に示すように、トナー補給装置60(Y,M,C,K)のトナー補給口60aとトナー排出口34aとが連通する。また、トナー補給口60aの開口縁部と、トナー排出口34aの開口縁部とには、それぞれ、シール部材60b,34bが設けられている。トナー補給口60aとトナー排出口34aとが連通しているときは、トナー補給装置60(Y,M,C,K)のシール部材60bとトナー容器32(Y,M,C,K)のシール部材34bとが密着しトナーが漏れないようになっている。
【0035】
容器先端側カバー34が容器カバー受入部73に装着された状態で、容器回転駆動部から容器本体33に回転駆動が入力される。これにより、容器本体33が図3中の矢印A方向に回転駆動される。容器本体33自体が回転することで、容器本体33の内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起302によって、容器本体33の内部に収容されたトナーが容器本体長手方向に沿って図3中の右側から左側へ搬送される。
【0036】
容器先端側カバー34へ移動搬送されたトナーは容器先端側カバー34の底面に空いたトナー排出口34aからトナー補給装置60へ落下し、トナー補給装置60により現像装置50へ供給される。
【0037】
次に、トナー容器32のシャッター部材130を移動させてトナー排出口34aを開閉する開閉機構について、説明する。
図6は、参照例の開閉機構について、説明する斜視図である。
図6に示すように、トナー補給装置60の上面のトナー補給口60aよりもトナー容器32の挿入方向(図中矢印Q方向)上流側には、開閉機構として、一対の開閉アーム140が設けられている。これら開閉アーム140は、トナー補給装置60の取付軸60dに回転自在に取り付けられている。各開閉アーム140には、シャッター部材130に設けられた引っ掛け凸部131が嵌まる係合凹部140aが設けられている。また、係合凹部140aよりもトナー容器の挿入方向下流側には、容器先端側カバー34をガイドするガイド部140bを有している。
【0038】
各取付軸60dには、図中X方向とは逆方向の付勢力が開閉アームに働くように、トーションスプリングが取り付けられている。各開閉アーム140のガイド部140bが、トナー容器32挿入時の軌道上に位置するような、トナー容器の挿入方向に対して傾いた姿勢の状態のとき、トーションスプリングは自由角度となっている。
【0039】
トナー容器32を装置本体に挿入していくと、容器先端側カバー34の先端突き当て部34cが、各開閉アームのガイド部140bに突き当たる。この状態から、さらにトナー容器32を装置本体に挿入していくと、各開閉アーム140は、先端突き当て部34cに押し込まれて、矢印X方向に回動する。
【0040】
図7(a)は、引っ掛け凸部131が係合凹部140aに嵌まり込んだ状態を示す斜視図であり、図7(b)は、トナー容器32を装置本体に装着した状態を示す斜視図である。
図7(a)に示すように、ガイド部140bが、先端突き当て部34cから離間して、各開閉アーム140がトナー容器32の挿入方向と平行な姿勢となったとき、シャッター部材130の引っ掛け凸部131が係合凹部140aに嵌まり込む。この状態からさらにトナー容器32を装置本体へ挿入していくと、引っ掛け凸部131が係合凹部140aに嵌まり込んだシャッター部材130は、開閉アーム140により挿入方向への移動を規制される。その結果、シャッター部材130は、トナー容器32に対して相対的に図中矢印Z方向へと移動し、トナー排出口34aが解放される。
【0041】
なお、シャッター部材130のトナー容器の挿入方向先端を、トナー補給口60aに突き当てて、トナー補給口60aによって、シャッター部材の挿入方向への移動を規制し、シャッター部材130のトナー排出口34aを解放する構成としてもよい。
【0042】
また、トナー補給装置60には、開閉アーム140の図中X方向の回動を規制する回動規制部61が設けられており、各開閉アーム140は、トナー容器32の挿入方向と平行な姿勢が維持されようになっている。これにより、図7(a)の状態からのトナー容器32の装置本体への挿入時においては、容器先端側カバー34が、一対の開閉アーム140のガイド部140bにより、ガイドされながら(図中Y方向の位置を規制されながら)、トナー補給口60aへ向かって移動させることができる。よって、シャッター部材130は、トナー容器32に対して相対的に図中矢印Z方向へと移動し、トナー排出口34aが解放されるとき、トナー補給口60aとトナー排出口34aとの位置関係が図中Y方向にずれるのが抑制される。よって、トナー排出口34aが解放されるとき、トナー排出口34aから落下したトナーにより装置が汚れてしまうのを抑制することができる。
【0043】
図7(b)に示すように、トナー容器32が装置本体に装着されたとき、容器先端側カバー34が一対の開閉アーム140のガイド部140bにより図中Y方向の位置が規制される。これにより、トナー補給口60aとトナー排出口34aとの位置関係が図中Y方向にずれるのが抑制されトナー排出口34aから落下したトナーにより装置が汚れてしまうのを抑制することができる。
【0044】
トナー容器32を装置本体から取り外すときは、引っ掛け凸部131が係合凹部140aのトナー容器挿入方向上流側の壁部に突き当たり、移動が規制される。これにより、シャッター部材130が、トナー容器32に対して相対的にトナー容器32の挿入方向へ移動しトナー排出口34aが閉じられていく。そして、図7(a)の状態となって、トナー排出口34aがシャッター部材130により閉じられると、先端突き当て部34cが、ガイド部140bのトナー容器32の挿入方向下流側端部よりも、トナー容器32の挿入方向上流側に位置し、トーションスプリングの付勢力により開閉アーム140が、図5の矢印X方向とは逆方向に回動する。これにより、開閉アーム140の係合凹部140aよりもトナー容器32の挿入方向上流側が引っ掛け凸部131に対向する位置から退避し、シャッター部材130の移動規制が解除される。これにより、トナー排出口34aがシャッター部材130により閉じられた状態で、トナー容器32を装置本体から取り出すことができる。
【0045】
このように、参考例では、開閉アーム140を用いて、シャッター部材130の開閉を行うことができるため、トナー容器32に、シャッター部材130を閉じる方向に付勢するスプリングを不要にでき、部品点数の削減によるトナー容器32のコストダウンや、トナー容器32の小型化を図ることができる。
【0046】
また、参考例においては、開閉アーム140が、シャッター部材130を開閉する機能と、容器先端側カバー34をガイドする機能と、容器先端側カバー34を装置の左右方向(図7のY方向)に位置決めする機能とを有している。よって、シャッター部材130を開閉する部材と、容器先端側カバー34をガイドする部材と、容器先端側カバー34を装置の左右方向(図7のY方向)に位置決めする部材とをそれぞれ別々に設けるものに比べて、部品点数を削減することができる。これにより、装置のコストダウンを図ることができる。
【0047】
上述したように、トナー容器32にシャッター部材130を閉じる方向に付勢するスプリングを設けていないため、使用者がシャッター部材130に触れてしまうなどしてシャッター部材130が半開きの状態となる場合がある。このようなシャッター部材130が半開きになった状態で、トナー容器32を装置本体に装着されると、トナー容器32を装置本体に挿入できないという課題があった。
【0048】
図8は、参考例の課題について説明する図である。
図8(a)に示すように、シャッター部材130が半開きになった状態で、トナー容器32を装置本体に装着すると、シャッター部材130の引っ掛け凸部131が、正しい位置よりもトナー容器32の挿入方向(矢印Q方向である)上流側に位置する。この状態で、開閉アーム140のガイド部140bが先端突き当て部34cに押圧され、開閉アーム140が図中X方向に回動すると、図8(b)に示すように、開閉アーム140の係合凹部140aよりもトナー容器32の挿入方向上流側が、引っ掛け凸部131に突き当たってしまう。この状態で、トナー容器32を装置本体に押し込んで先端突き当て部34cが開閉アーム140のガイド部140bを押圧しても、開閉アーム140は回動することができず、開閉アーム140によって、トナー容器32の装置本体への挿入が規制される。その結果、トナー容器32を装置本体に挿入できないという課題が発生するのである。また、図8(b)に示す状態からトナー容器32を強く押し込んで、トナー容器32を装置本体に挿入しようとすると、開閉アーム140が破損してしまうおそれもある。
【0049】
また、そのような状態で無理やりトナー容器をセットすると、引っ掛け凸部131が開閉アーム140に規制され、トナー排出口34aは開くが、引っ掛け凸部131が係合凹部140aに嵌まり込まない状態で、トナー容器32が装置にセットされてしまうおそれもある。このように、引っ掛け凸部131が係合凹部140aに嵌まり込まない状態で、トナー容器32が装置にセットされてしまうと、トナー容器32を装置本体から取り出すときに、開閉アーム140が機能せず、トナー排出口34aをシャッター部材130で閉じることができない。その結果、トナー排出口34aが開放されたままのトナー容器32が装置本体から取り出され機内や機外の床などを汚してしまうおそれもある。
【0050】
そこで、本実施形態では、開閉アーム140の先端突き当て部34cの押圧による回動時に開閉アーム140がシャッター部材130の引っ掛け凸部131に突き当たったとしても、開閉アーム140を回動させることができ、トナー容器32を装置本体に挿入できるように開閉アームを構成した。以下、本実施形態の特徴部について、図面を用いて説明する。
【0051】
図9は、本実施形態の開閉アーム140を示す概略構成図であり、図9(a)は、平面図であり、図9(b)は、分解斜視図である。
本実施形態の開閉アーム140は、被突き当て部としてのガイド部140bを有し、取付軸60dに回転自在に支持される第一部材141と、係合凹部140aのトナー容器32の挿入方向上流側壁部を構成する第二部材142とを備えている。第一部材141のトナー容器32の挿入方向上流側には、第二部材142をスライド可能に取り付けるための矩形状の取り付け穴141bと、第二部材142が取り付け穴141bから抜け出すのを止める係合爪部141aとを有している。
【0052】
第二部材142は、取り付け穴141bに挿入される四角筒状の挿入部142cを有しており、この挿入部142cには、係合爪部141aが係合する係合溝部142bが形成されている。また、第二部材142の装置本体に装着されたトナー容器32と対向する対向面が、トナー容器32の挿入方向上流側が下流側よりもトナー容器から離間するように傾斜した傾斜面142aとなっている。
【0053】
一方、第二部材142の係合凹部のトナー容器32の挿入方向上流側の壁面を構成する面142eは、トナー容器32の挿入方向に対して垂直な面となっている。これにより、トナー容器32を装置本体から取り出す際に、引っ掛け凸部131に対して面で移動を規制することができ、トナー容器32取り外し時のシャッター部材130の移動を良好に規制でき、良好に、シャッター部材130を閉じることができる。
【0054】
また、本実施形態の開閉アーム140は、第二部材142をトナー容器32に向けて付勢するスプリング143を有している。第二部材142は、挿入部142cにスプリング143を挿入した状態で、挿入部142cを第一部材141の取り付け穴141bに挿入していく。そして、スプリング143の一端を取り付け穴141bの底部に押し付けて、スプリングを圧縮しながら、係合溝部142bに係合爪部141aを係合させることで、第一部材141に取り付ける。これにより、第二部材142は、開閉アームの回転軸に垂直な平面上で第一部材141に対して、相対的に直線状に移動するように第一部材141に取り付けられる。
【0055】
図10図12は、シャッター部材130が半開き状態のトナー容器32を挿入したときの本実施形態の開閉アーム140の動作について説明する図である。
図10は、本実施形態の開閉アーム140のガイド部140bに先端突き当て部34cが突き当たった状態を示す斜視図である。図11は、本実施形態の開閉アーム140が、引っ掛け凸部131に突き当たった状態を示す斜視図である。図12は、半開き状態のトナー容器32が、装置本体への装着が完了した状態を示す斜視図である。
【0056】
図10に示すように、本実施形態の開閉アーム140についても、参考例と同様、先端突き当て部34cが第一部材141のガイド部140bを押圧することで、開閉アーム140が図中矢印X方向に回動する。すると、シャッター部材130が半開き状態で、正規の位置よりもトナー容器32の挿入方向上流側に位置にする引っ掛け凸部131に第二部材142が当接する。この状態から、さらに、第一部材141のガイド部140bが先端突き当て部34cに押圧されると、第二部材142が図11の矢印W1に示す方向へ移動し、第一部材141に引っ込み、第一部材141が取付軸60dを支点にして図中矢印X方向に回動する。
【0057】
これにより、トナー容器32は、開閉アーム140に挿入方向の移動を規制されることなく、装置本体への挿入が継続される。このトナー容器32の装置本体へのさらなる挿入で、シャッター部材130がトナー容器32とともに挿入方向へと移動し、引っ掛け凸部131と第二部材142との当接が解除される。すると、第二部材142は、スプリング143の付勢力によって、図12の矢印W2に示すように、トナー容器32に向けて移動し、引っ掛け凸部131が開閉アーム140の係合凹部140aに嵌まり込む。引っ掛け凸部131が開閉アーム140の係合凹部140aに嵌まり込んだ後は、参考例と同様に、シャッター部材130が開閉アーム140により挿入方向への移動が規制され、トナー排出口34aが解放され、トナー容器32が装置本体に装着される。
【0058】
このように、本実施形態の開閉アーム140は、シャッター部材130が半開き状態のトナー容器32であっても、トナー容器32を装置本体に装着することができる。これにより、シャッター部材130を閉じ位置に移動させて、再度、トナー容器32を装置本体に挿入するような事態が生じず、トナー容器の装着性を改善することができる。また、開閉アーム140の破損も防止することができる。
【0059】
第二部材142がトナー容器の挿入方向上流側から引っ掛け凸部131に対向しているので、トナー容器32を装置本体から取り出すときに、この第二部材142により、シャッター部材130の移動を規制して、シャッター部材130を、トナー排出口34aを塞ぐ閉じ位置へ移動させることができる。従って、トナー排出口34aが開放されたままトナー容器32が装置本体から取り出されることが無くなり、機内や機外の床などを汚してしまう不具合も防止できる。
【0060】
また、本実施形態では、第二部材142のトナー容器32と対向する対向面が、トナー容器32の挿入方向上流側が下流側よりもトナー容器から離間するように傾斜した傾斜面142aとなっている。このような傾斜面142aとすることで、シャッター部材130の開きが大きく、第二部材142が、引っ掛け凸部131の軌道上への進入時に引っ掛け凸部131が第二部材142よりもトナー容器32の挿入方向上流側に位置するような状態でも、引っ掛け凸部131を係合凹部140aに入れ込むことができ、トナー容器を装置本体に挿入することができる。以下、図13を用いて具体的に説明する。
【0061】
図13は、シャッター部材130の開きが大きい状態のトナー容器32を挿入したときの本実施形態の開閉アーム140の動作について説明する図である。
図13(a)に示すように、ガイド部140bが、先端突き当て部34cから離間して、各開閉アーム140がトナー容器32の挿入方向と平行な姿勢となったとき、引っ掛け凸部131は、第二部材142よりもトナー容器32の挿入方向(図中矢印Q方向)よりも下流側にある。この状態で、さらに、トナー容器32を挿入していくと、引っ掛け凸部131が、第二部材142の傾斜面142aに当接する。この状態からさらに、トナー容器32を挿入していくと、引っ掛け凸部131からの押圧力で、図13(a)の矢印W1に示すように、第二部材142が第一部材141に引っ込み、引っ掛け凸部131が傾斜面142aを相対的に駆け上がっていく(図13(b)参照)。
【0062】
そして、引っ掛け凸部131がトナー容器とともに移動し、第二部材142よりもトナー容器の挿入方向下流側にきて、第二部材142との当接が解除されると、図13(c)の矢印W2に示すように、第二部材142は、スプリング143の付勢力によって、トナー容器32に向けて移動し、引っ掛け凸部131が開閉アーム140の係合凹部140aに嵌まり込む。引っ掛け凸部131が開閉アーム140の係合凹部140aに嵌まり込んだ後は、上述と同様に、シャッター部材130が開閉アーム140により挿入方向への移動が規制され、トナー排出口34aが解放され、トナー容器32が装置本体に装着される。
【0063】
このように、本実施形態では、第二部材142が、引っ掛け凸部131の軌道上に進入したときに引っ掛け凸部131が第二部材142よりもトナー容器32の挿入方向上流側に位置するような状態でも、引っ掛け凸部131を係合凹部140aに入れ込むことができる。よって、トナー容器32を装置本体から取り出すときに、この第二部材142により、シャッター部材130の移動を規制して、シャッター部材130を、トナー排出口34aを塞ぐ閉じ位置へ移動させることができる。
【0064】
また、上述では、第二部材142を、開閉アーム140の回転軸に垂直な平面上で第一部材141に対して、相対的に直線状に移動するように構成しているが、第二部材142を開閉アーム140の回転軸の軸方向に第一部材141に対して相対的に移動するように構成してもよい。
【0065】
図14は、第二部材142が、開閉アーム140の回転軸の軸方向に第一部材141に対して相対的に移動する構成の一例を示す図である。図15は、図14に示すA-A概略断面図である。図15(a)は、初期状態のときの概略断面図であり、図15(b)は、開閉アーム回動後の概略断面図である。
図14に示す構成では、第一部材141のトナー容器32の挿入方向上流側には、上方が開口し、板バネ145が取り付けられる取り付け凹部141eを有している。この板バネ145の先端に第二部材142が取り付けられている。第二部材142は、図15(a)に示すように、下面が、トナー容器側(図中右側)に行くに従って上昇するような傾斜面142aとなっている。
【0066】
シャッター部材130が半開き状態のトナー容器32を挿入し、トナー容器の先端突き当て部34cによりガイド部140bが押されて開閉アームが回動すると、第二部材142の傾斜面142aがシャッター部材130の引っ掛け凸部131に当接する。この状態でさらにトナー容器を挿入し、トナー容器の先端突き当て部34cによりガイド部140bが押されると、図15(b)に示すように、第二部材142が、引っ掛け凸部131に乗り上げるような形で、第二部材142が第一部材141に対して、開閉アームの回動軸に平行に相対移動する。これにより、開閉アーム140がさらに回動し、トナー容器32をさらに挿入することができる。
【0067】
そして、引っ掛け凸部131がトナー容器32とともに移動し、第二部材142よりもトナー容器32の挿入方向下流側にきて、第二部材142との当接が解除されると、第二部材142は、板バネ145の付勢力によって、下方へ移動し、引っ掛け凸部131が開閉アーム140の係合凹部140aに嵌まり込む。引っ掛け凸部131が開閉アーム140の係合凹部140aに嵌まり込んだ後は、上述、シャッター部材130が開閉アーム140により挿入方向への移動が規制され、トナー排出口34aが解放され、トナー容器32が装置本体に装着される。
【0068】
また、第二部材142を第一部材141に対して上下方向(開閉アームの回動軸方向)に移動させる構成としては、上記に限られるものではない。例えば、第一部材のトナー容器32の挿入方向に垂直な第二部材142との対向面に上下方向に延びる溝部を設け、第二部材にこの溝部に嵌まる係合突起を設けて、第二部材を第一部材に対して上下方向(回転軸方向)に直線状にスライド移動するように構成する。そして、上述と同様に、第二部材が引っ掛け凸部131に乗り上げた後、引っ掛け凸部131が第二部材142よりもトナー容器の挿入方向下流側にきて、第二部材142との当接が解除されたときは、第二部材の自重により下降するような構成としてもよい。
【0069】
また、図8に示す姿勢が維持されるように開閉アーム140を回動方向に付勢するトーションスプリングにより、第二部材142を付勢する構成としてもよい。
【0070】
図16は、開閉アーム140を回動方向に付勢するトーションスプリングにより、第二部材142を付勢する構成の一例を示す図である。図16(a)は、概略平面図であり、図16(b)は、図16(a)の矢印B方向から見た概略図であり、図16(c)は、図16(a)の矢印C方向から見た概略図である。
【0071】
図16に示すように、トーションスプリング151は、取付軸60dに取り付けられており、その一端が、第一部材141に接続されている。トーションスプリング151の他端側は、装置本体に設けた掛け止め部150に当接するとともに、上方に延び出して、他端が第二部材142に接続されている。図16(a)に示す状態のときは、トーションスプリング151は、自由角度よりも広がっており、第一部材141を図中矢印α方向に付勢しており、他端側は、図中矢印β方向の付勢力で掛け止め部150に突き当たっている。
【0072】
図17は、第二部材142の移動時のトーションスプリング151の動きについて説明する図である。
図17(b)に示すように、第二部材142が、引っ掛け凸部131との当接で、第一部材141に対して相対的に移動すると、トーションスプリング151の他端側が、掛け止め部150から離間し、第二部材142を図中矢印γ方向に付勢する。よって、図17(c)に示すように、引っ掛け凸部131が第二部材142よりもトナー容器32の挿入方向下流側にきて、第二部材142との当接が解除されると、第二部材142がトーションスプリング151の付勢力によって、トナー容器32に向けて移動する。これにより、引っ掛け凸部131が開閉アーム140の係合凹部140aに嵌まり込む。
【0073】
この図16図17に示す構成では、部品点数の削減を図ることができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0074】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
トナー排出口34aなどの粉体排出口と、粉体排出口を塞ぐシャッター部材130とを有し、装置本体に対して着脱可能なトナー容器32などの粉体容器と、装置本体に回動自在に支持され、シャッター部材130に設けられた引っ掛け凸部131が嵌まる係合凹部140aなどの凹部を有する開閉アーム140などのアーム部材とを備え、アーム部材は、粉体容器の装置本体への挿入時に、粉体容器の先端突き当て部34cなどの挿入方向先端部に押圧されて回動し、その回動によって引っ掛け凸部131を凹部に嵌め込み、シャッター部材130の移動を規制するトナー補給装置60などの粉体補給装置において、アーム部材は、粉体容器の挿入方向先端部が突き当たるガイド部140bなどの被突き当て部を有し、装置本体に回転自在に支持された第一部材141と、凹部の粉体容器挿入方向上流側の壁部を有し、第一部材141に対して相対的に移動可能に第一部材141に取り付けられた第二部材142とを有することを特徴とする粉体補給装置。
図5図7を用いて説明したように、トナー容器32などの粉体容器が装置本体に装着されていないときは、係合凹部140aなどの凹部の粉体容器挿入方向上流側が、下流側よりも粉体容器の挿入軌道から離れた位置に位置する姿勢で開閉アーム140などのアーム部材は待機している。
トナー容器32などの粉体容器の装置本体への装着時は、上記姿勢で待機しているアーム部材が、粉体容器の先端突き当て部34cなどの挿入方向先端部に突き当たる。この状態から、さらに、粉体容器を装置本体に挿入するために粉体容器を装置に押し込むと、アーム部材がトナー容器32などの粉体容器の先端突き当て部34cに押圧されて回動し、粉体容器の装置本体への挿入が継続される。また、このアーム部材の回動によってアーム部材の凹部より粉体容器挿入方向上流側がシャッター部材130へ向けて移動する。そして、凹部よりも粉体容器挿入方向上流側がシャッター部材130の引っ掛け凸部131よりも粉体容器の挿入方向上流側から対向することで、引っ掛け凸部131が凹部に嵌まる(図5図7(a)参照)。この引っ掛け凸部131がアーム部材の凹部に嵌まるまで回動した状態で、アーム部材と粉体容器の挿入方向先端部との当接が外れる。これにより可能になった粉体容器の装置本体へのさらなる挿入が継続される。この挿入の継続中、引っ掛け凸部131が凹部に嵌まり込んだシャッター部材130は、アーム部材により挿入方向への移動を規制された状態である。よって、シャッター部材130は、粉体容器に対して相対的に移動し、トナー排出口34aなどの粉体排出口が開かれる。
シャッター部材130が、粉体排出口を塞ぐ閉位置から開位置へ少し開いた半開き状態で、粉体容器が装置本体に挿入されたとき、アーム部材と粉体容器の挿入方向先端部との当接が外れる前にアーム部材の凹部よりも挿入方向上流側端部が引っ掛け凸部131に当接してしまうことがあった(図8(b)参照)。この当接により、粉体容器を装置本体に挿入しようと装置本体に押し込んでもアーム部材が回動できない。このため、粉体容器の挿入方向先端部で押されても、粉体容器の挿入方向先端部との当接が外れるところまでアーム部材が回動できず、粉体容器の装置本体へのさらになる挿入が規制されてしまう。その結果、粉体容器を装置本体の正規の位置まで挿入できない。
これに対し、態様1では、シャッター部材130が半開き状態で粉体容器が装置本体に挿入され、アーム部材と先端突き当て部34cなどの粉体容器の挿入方向先端部との当接が外れる前に、引っ掛け凸部131に当接するのは、開閉アーム140などのアーム部材の第二部材142である。この第二部材142は、アーム部材の、ガイド部140bなどの被突き当て部に粉体容器の挿入方向先端部が突き当たることで回動する第一部材141に対して、相対的に移動可能に取り付けられている。よって、第二部材142が引っ掛け凸部131に当接した状態で粉体容器をさらに装置本体へ挿入すべく装置本体に押し込んで、挿入方向先端部が第一部材141のガイド部140bなどの被突き当て部を押圧すると、第二部材142が第一部材141に対して相対的に移動することで、第一部材の回動を可能にする。その結果、粉体容器の挿入方向先端部との当接が外れるところまでアーム部材を回動させ、粉体容器を装置本体の正規の位置まで挿入することができる。
このように、態様1においては、シャッター部材130が、半開き状態でもトナー容器32などの粉体容器を装置本体に装着することができる。
【0075】
(態様2)
態様1において、第二部材142は、トナー容器32などの粉体容器の装置本体への挿入時に引っ掛け凸部131に当接したとき、第一部材141が粉体容器の挿入方向先端部に押圧されて回動するように第一部材141に対して相対的に移動する。
これによれば、実施形態で説明したように、シャッター部材130が半開きの状態でトナー容器32などの粉体容器が挿入されても、粉体容器を装置本体に装着することができる。
【0076】
(態様3)
態様2において、第二部材142の引っ掛け凸部131が当接する当接面は、トナー容器32などの粉体容器挿入方向上流側が下流側よりもシャッター部材130から離間するような傾斜面142aである。
これによれば、図13を用いて説明したように、開閉アーム140などのアーム部材の回転で第二部材142が、引っ掛け凸部131の軌道上に進入したとき、引っ掛け凸部131が第二部材142よりもトナー容器32の挿入方向上流側に位置するような状態であっても、引っ掛け凸部131を係合凹部140aなどの凹部に入れ込むことができ、トナー容器32などの粉体容器を装置本体に挿入することができる。
【0077】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、開閉アーム140などのアーム部材は、トナー容器32などの粉体容器の装置本体への挿入時に、粉体容器挿入方向下流側端部が、粉体容器の挿入方向先端部に対向する第一の姿勢を取っており、粉体容器が装置本体から取り外されているとき、アーム部材が第一の姿勢を取るように、第一部材を付勢するトーションスプリングなどの第一付勢手段を有する。
これによれば、粉体容器の装置本体への挿入時に、粉体容器の挿入方向先端部をアーム部材の粉体容器挿入方向下流側端部に突き当てて、アーム部材を回動させることができる。
【0078】
(態様5)
態様4において、トーションスプリング151などの第一付勢手段は、第二部材142を、シャッター部材130側へ付勢する。
これによれば、図16図17を用いて説明したように、開閉アーム140などのアーム部材が第一の姿勢を取るように、第一部材141を付勢する付勢手段と第二部材142を、シャッター部材130側へ付勢する付勢手段とをそれぞれ設ける場合に比べて、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0079】
(態様6)
態様1乃至4いずれかにおいて、第二部材142を、シャッター部材130側へ付勢するスプリング143などの第二付勢手段を有する。
これによれば実施形態で説明したように、引っ掛け凸部131が第二部材142よりもトナー容器32などの粉体容器の挿入方向下流側にきて、引っ掛け凸部131との当接が解除されたとき、第二部材142がスプリング143などの第二付勢手段の付勢力でシャッター部材130側へ移動する。これにより、引っ掛け凸部131を係合凹部140aなどの凹部に嵌め込むことができる。
【0080】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、第二部材142は、第一部材141に対して直線的に移動可能に構成されている。
これによれば、実施形態で説明したように、簡単な構成で、第二部材142を第一部材141に対して相対的に移動する構成を実現することができる。
【0081】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、第二部材142は、開閉アーム140などのアーム部材の回転軸方向に垂直な平面上で第一部材141に対して移動可能に構成されている。
これによれば、実施形態で説明したように、第二部材142が引っ掛け凸部131に当接したときに、第一部材に対して引っ込むように相対的に移動することで第一部材が回動できる。
【0082】
(態様9)
態様1乃至7いずれかにおいて、第二部材142は、第一部材141に対して前記開閉アーム140などのアーム部材の回転軸方向に移動可能に構成されている。
これによれば、図14図15を用いて説明したように、第二部材142が引っ掛け凸部131に当接したときに、第二部材142が引っ掛け凸部131に乗り上げることで、第一部材が回動できる。
【0083】
(態様10)
態様1乃至9いずれかにおいて、前記係合凹部140aなどの凹部の粉体容器挿入方向上流側の壁面は、粉体容器挿入方向に対して直交している。
これによれば、装置本体からトナー容器32などの粉体容器を取り出すときに、引っ掛け凸部131の移動を凹部の粉体容器挿入方向上流側の壁面で良好に規制することができる。これにより、アーム部材により良好にシャッター部材130を閉じることができる。
【0084】
(態様11)
トナー像を作像する作像部46などの作像手段と、トナーを作像手段に補給するトナー補給装置とを備える画像形成装置において、トナー補給装置として、態様1乃至10いずれかの粉体補給装置を用いた。
これによれば、実施形態で説明したように、シャッター部材130が半開き状態でもトナー容器32など粉体容器を良好に装置本体に挿入することができる。
【符号の説明】
【0085】
32 :トナー容器
33 :容器本体
34 :容器先端側カバー
34a :トナー排出口
34b :シール部材
34c :先端突き当て部
60 :トナー補給装置
60a :トナー補給口
60b :シール部材
60d :取付軸
61 :回動規制部
64Y :トナー落下搬送経路
70 :トナー容器収容部
71 :挿入口形成部
72 :容器受部
73 :容器カバー受入部
100 :プリンタ部
130 :シャッター部材
131 :引っ掛け凸部
140 :開閉アーム
140a :係合凹部
140b :ガイド部
141 :第一部材
141a :係合爪部
141b :取り付け穴
141e :取り付け凹部
142 :第二部材
142a :傾斜面
142b :係合溝部
142c :挿入部
143 :スプリング
145 :板バネ
150 :掛け止め部
151 :トーションスプリング
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【文献】特開2011-076050号公報
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