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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】立体表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/27 20200101AFI20240229BHJP
   G02B 30/30 20200101ALI20240229BHJP
   G03B 35/18 20210101ALI20240229BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240229BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240229BHJP
   H04N 13/307 20180101ALI20240229BHJP
【FI】
G02B30/27
G02B30/30
G03B35/18
G02B3/00 A
G02B5/00 Z
H04N13/307
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021111942
(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公開番号】P2023008400
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(73)【特許権者】
【識別番号】307030980
【氏名又は名称】株式会社IMAGICA GROUP
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 康博
(72)【発明者】
【氏名】工藤 隆朗
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-287193(JP,A)
【文献】特開2008-015063(JP,A)
【文献】特開2003-177355(JP,A)
【文献】特開平05-100206(JP,A)
【文献】国際公開第2011/058967(WO,A1)
【文献】特開2009-139947(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0097277(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00-30/56
H04N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットパネルディスプレイにレンズアレイと開口アレイとを併用した立体表示装置であって、前記レンズアレイの焦点面よりも前記フラットパネルディスプレイを前記レンズアレイ側に寄せて配置し、前記フラットパネルディスプレイの要素画像を虚像結像により拡大して立体表示し得るように構成すると共に、前記開口アレイを前記レンズアレイに対し前記フラットパネルディスプレイと対峙する側で前記レンズアレイから離間した状態とし且つその開口が前記レンズアレイのレンズと対応するように配置し、前記開口アレイの開口の虚像の幅を前記フラットパネルディスプレイにおける画素の虚像の幅が開口の虚像の幅と等しくなるように、あるいは、開口の虚像の幅を画素の虚像の幅のm倍(mは整数)になるように設定したことを特徴とする立体表示装置。
【請求項2】
開口アレイの開口の虚像の幅をフラットパネルディスプレイにおける一つの画素の虚像の幅と一致させ、レンズアレイの一つのレンズを通して一つの画素の虚像が見えるように設定すると共に、前記レンズアレイの隣り合うレンズを通して前記フラットパネルディスプレイにおける画素の虚像が前記開口アレイの虚像により遮られる黒い部分を挟みつつ断続的に並んで見えるように設定したことを特徴とする請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項3】
開口アレイの開口の虚像の幅をレンズアレイのレンズピッチと一致させ、前記レンズアレイの一つのレンズを通して複数の画素の虚像が見えるように設定すると共に、前記レンズアレイの隣り合うレンズを通してフラットパネルディスプレイの画素の虚像が連続的に並んで見えるように設定したことを特徴とする請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項4】
色画素を有するフラットパネルディスプレイを採用し、該フラットパネルディスプレイに要素画像をカラー表示し得るように構成したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の立体表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ライトフィールドディスプレイや多眼式ディスプレイ等の光線再生型の立体ディスプレイでは、光を光線として制御して立体表示を行うようにしており、この種の立体ディスプレイの構成方法としては、フラットパネル型とマルチプロジェククション型がある。フラットパネル型は構造がシンプルで薄型な実現が可能である。フラットパネル型の構成方法としては、フラットパネルディスプレイにレンズアレイを組み合わせるレンズアレイ方式と、フラットパネルディスプレイに開口アレイを組み合わせる開口アレイ方式とが知られている。
【0003】
レンズアレイ方式では、図4に示すように、フラットパネルディスプレイ1の複数の画素1aをレンズアレイ2の一つのレンズ2aに対応させるようにしており、また、開口アレイ方式でも、図5に示すように、フラットパネルディスプレイ1の複数の画素1aを開口アレイ3の一つの開口3aに対応させるようにしている。このように一つのレンズ2aや開口3aに対応する複数の画素1aを以下では要素画像と称している。
【0004】
前記要素画像を構成する異なる画素1aから出射された光線は、レンズ2aや開口3aにより異なる進行方向が与えられるが、このように多数のレンズ2aや開口3aから異なる方向に進む光線を発生することにより、三次元物体から発せられる多数の光線が再現されて立体表示できるようになっている。
【0005】
尚、この種の立体表示装置に関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-68682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、レンズアレイ方式では、レンズ2aの焦点面付近にフラットパネルディスプレイ1の画素1aを配置するようにしており、視域を広げるためには、レンズ2aの焦点距離を短くする必要があるが、焦点距離をレンズピッチ程度まで小さくすると、レンズ2a周辺部での収差が大きくなって光線方向を正確に制御できなくなる。
【0008】
即ち、レンズアレイ方式では、レンズピッチに比べて焦点距離を小さくすることが難しいので、立体像の視域を大きくすることができないという課題があった。尚、視域の大きさの表し方としては、その幅をディスプレイから見た角度で表す視域角がよく用いられるが、図6に示すように、レンズピッチをq、レンズ2aの焦点距離をfで表すと、視域角は2tan-1(q/2f)で与えられることになる。焦点距離の短縮はレンズピッチqの1.5倍(f=1.5q)程度が限界であり、このときの視域角は36.9°となる。レンズアレイ方式では、光線方向の制御にレンズ2aを用いるため、光の利用効率は高い。
【0009】
これに対し、開口アレイ方式では、画素1aから発せられる光線の広がりが大きいと、開口アレイ3と画素1aの間隔を小さくすることで視域角を容易に大きくすることができる。図7に示すように、開口ピッチをqで、開口アレイ3と画素1aの間隔をgで表すと、視域角は2tan-1(q/2g)で与えられる。間隔gを開口ピッチqの半分にすれば、90°の視域角が得られる。
【0010】
ただし、光線の進行方向のクロストークを小さくするためには、開口3aの大きさを画素1aの大きさ程度にする必要がある。即ち、要素画像の画素数をEx×Eyとすると、水平垂直視差型では、開口3aの大きさを(q/Ex)×(q/Ey)とする必要があり、光の利用効率は1/ExEyとなる。水平視差型では、開口3aを縦長のスリットとするが、スリットの幅をq/Exとする必要があるので、光の利用効率は1/Exとなる。
【0011】
ライトフィールドディスプレイでは、光線方向は一方向に8程度(Ex≧8,Ey≧8)は必要であるので、要素画像を構成する画素数を一方向に8以上にする必要がある。そのため、光の利用効率は、水平垂直視差型では1.56%で、水平視差型では12.5%と小さくなる。
【0012】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、従来のレンズアレイ方式よりも視域角が広く、従来の開口アレイ方式よりも光の利用効率が高い立体表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、フラットパネルディスプレイにレンズアレイと開口アレイとを併用した立体表示装置であって、前記レンズアレイの焦点面よりも前記フラットパネルディスプレイを前記レンズアレイ側に寄せて配置し、前記フラットパネルディスプレイの要素画像を虚像結像により拡大して立体表示し得るように構成すると共に、前記開口アレイを前記レンズアレイに対し前記フラットパネルディスプレイと対峙する側で前記レンズアレイから離間した状態とし且つその開口が前記レンズアレイのレンズと対応するように配置し、前記開口アレイの開口の虚像の幅を前記フラットパネルディスプレイにおける画素の虚像の幅が開口の虚像の幅と等しくなるように、あるいは、開口の虚像の幅を画素の虚像の幅のm倍(mは整数)になるように設定したことを特徴とするものである。
【0014】
更に、本発明をより具体的に実施するにあたっては、開口アレイの開口の虚像の幅をフラットパネルディスプレイにおける一つの画素の虚像の幅と一致させ、レンズアレイの一つのレンズを通して一つの画素の虚像が見えるように設定すると共に、前記レンズアレイの隣り合うレンズを通して前記フラットパネルディスプレイにおける画素の虚像が前記開口アレイの虚像により遮られる黒い部分を挟みつつ断続的に並んで見えるように設定することが可能である。
【0015】
また、開口アレイの開口の虚像の幅をレンズアレイのレンズピッチと一致させ、前記レンズアレイの一つのレンズを通して複数の画素の虚像が見えるように設定すると共に、前記レンズアレイの隣り合うレンズを通してフラットパネルディスプレイの画素の虚像が連続的に並んで見えるように設定することも可能である。
【0016】
また、色画素を有するフラットパネルディスプレイを採用し、該フラットパネルディスプレイに要素画像をカラー表示し得るように構成することも可能である。
【発明の効果】
【0017】
上記した本発明の立体表示装置によれば、従来のレンズアレイ方式よりも視域角が広く、従来の開口アレイ方式よりも光の利用効率が高い立体表示装置を実現することができ、特に開口アレイをレンズアレイから離間した状態でしか配置できない場合であっても、空間周波数に大きな偏りを生じさせることなく良好な画質を保持することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一実施例を示す模式図である。
図2】本発明の第二実施例を示す模式図である。
図3】本発明のカラー化に用いる一手法について説明する模式図である。
図4】従来のレンズアレイ方式について説明する模式図である。
図5】従来の開口アレイ方式について説明する模式図である。
図6】従来のレンズアレイ方式の視域角について説明する模式図である。
図7】従来の開口アレイ方式の視域角について説明する模式図である。
図8】本発明の特許出願人らによる先行出願について説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1は本発明の第一実施例を示すもので、図4図7と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0021】
先ず、以下に本発明の第一実施例を説明するのに先立ち、本発明の特許出願人らが既に特願2020-68756号として先行出願している立体表示装置につき図8を用いて説明しておくと、この先行出願における立体表示装置では、フラットパネルディスプレイ1にレンズアレイ2と開口アレイ3の両方を組み合わせた虚像結像モードを用いることで、レンズアレイ方式に比べて大きな視域角と、開口アレイ方式に比べて高い光の利用効率を実現するようにしており、図1に示すように、レンズアレイ2の焦点面よりもフラットパネルディスプレイ1をレンズアレイ2側に寄せて配置し、開口アレイ3をフラットパネルディスプレイ1と対峙する側に近接させた状態でレンズアレイ2と開口3aを対応させて配置するようにしている。
【0022】
このようにレンズアレイ2の焦点面よりレンズアレイ2側に寄せてフラットパネルディスプレイ1を配置すると、該フラットパネルディスプレイ1の画素1aが虚像結像により拡大される。即ち、要素画像が拡大されるため、従来のレンズアレイ方式に比べて視域角が広がる。
【0023】
より具体的には、レンズアレイ2と画素1aの距離をsp、レンズアレイ2と画素1aの虚像1a’の距離をsp'で表すと、1/sp-1/sp'=1/fの関係が成り立ち、要素画像が拡大されるため、従来のレンズアレイ方式に比べて視域角が広がることになり、その視域角は2tan-1(q/2sp)で与えられる。
【0024】
この方法では、視域角を拡大するためにレンズ2aの焦点距離を短くする必要はないが、レンズ2aへの光線の入射角が大きくなって、レンズ2a周辺部で収差の影響が大きくなるので、収差が大きくなるレンズ2a周辺部を開口アレイ3で遮光するようにしている。
【0025】
また、視域角を大きくするためには、レンズ2aと画素1aの間隔をある程度小さくする必要があるが、この場合は画素1aの虚像1a’の倍率が小さくなるため、レンズ2aを通して複数の画素1aの虚像1a’が見えるようになり、画素1aの虚像1a’倍率はMp=sp'/spで与えられることになる。
【0026】
そこで、光線間のクロストークを小さくしてボケの少ない立体表示を可能にするため、開口アレイ3の開口3aの大きさを画素1aの虚像1a’の大きさに一致させ、一つのレンズ2aを通して一つの画素1aが見えるようにしている。即ち、画素1aの幅をp、開口3aの幅をaとした場合に、a=Mppとなるようにする。この場合、開口3aの大きさは、従来の開口アレイ方式に比べて大きくなるため、従来の開口アレイ方式に比べて光の利用効率が向上することになる。
【0027】
このようにフラットパネルディスプレイ1にレンズアレイ2と開口アレイ3とを併用すれば、ボケの少ない立体表示としながら、従来のレンズアレイ方式よりも視域角が広く、従来の開口アレイ方式よりも光の利用効率が高い立体表示装置とすることができる。
【0028】
ただし、この図8に示す如く、レンズアレイ2に対し開口アレイ3を近接させた状態で配置できれば理想的であるが、現実的には製作上の制約等から開口アレイ3をレンズアレイ2から離間した状態でしか配置できない場合があり、そのような場合には、開口アレイ3がレンズアレイ2から離間していることにより、フラットパネルディスプレイ1の画素1aだけでなく開口アレイ3の開口3aも虚像結像することになる。
【0029】
そこで、開口アレイ3をレンズアレイ2から離間した状態でしか配置できない場合を想定し、このような配置条件でも一つのレンズ2aを通して一つの画素1aが見えるようにするため、前記開口アレイ3の開口3aの虚像3a’を通して前記フラットパネルディスプレイ1における一つの画素1aの虚像1a’が均等に並んで見えるように設定した図1の立体表示装置を新たに提案するに到った。
【0030】
即ち、図1に示す如き第一実施例にあっては、開口アレイ3がレンズアレイ2から離間した状態でフラットパネルディスプレイ1と対峙する側に配置されているが、このようになっている場合、前記開口アレイ3の開口3aも虚像結像されるので、レンズアレイ2と開口3aの距離をsa、レンズアレイ2と開口3aの虚像3a'との距離をsa'で表すと結像式1/sa-1/sa'=1/fが成り立ち、結像倍率はMa=sa'/saで与えられることになる。
【0031】
依って、開口アレイ3の開口3aの幅をaとすると、該開口3aの虚像3a'の幅はMaaで与えられるので、前記開口アレイ3の開口3aの虚像3a'を通して前記フラットパネルディスプレイ1における一つの画素1aの虚像1a’が見えるようにするためには、Maa=Mppとすればよいことになる。
【0032】
この場合、前記開口アレイ3の虚像により遮られる部分が黒い部分として画素1aの虚像1a’間に介在することになるが、画素1aの虚像1a’のピッチ自体は等間隔となり、画素1aの虚像1a’は黒い部分を挟みつつ断続的に並んで一定周期の均等な配列を形成するので、空間周波数に大きな偏りが生じることなく良好な画質を保持することが可能である。
【0033】
更に、図2は本発明の第二実施例を示すもので、この第二実施例においては、前記開口アレイ3の開口3aの虚像3a'を通して前記フラットパネルディスプレイ1における複数の画素1aの虚像1a’が見えるようになっているが、前記開口アレイ3の開口3aの虚像3a'の幅をレンズアレイ2のレンズピッチqと一致させ、前記レンズアレイ2の隣り合うレンズ2aを通してフラットパネルディスプレイ1の画素1aの虚像1a’が連続的に並んで見えるように設定している。
【0034】
即ち、図2に示す如き第二実施例にあっても、図1の第一実施例と同様に、開口アレイ3がレンズアレイ2から離間した状態でフラットパネルディスプレイ1と対峙する側に配置されていて、前記開口アレイ3の開口3aが虚像結像されるようになっているので、レンズアレイ2と開口3aの距離をsa、レンズアレイ2と開口3aの虚像3a'との距離をsa'で表すと結像式1/sa-1/sa'=1/fが成り立ち、結像倍率はMa=sa'/saで与えられる。
【0035】
依って、開口アレイ3の開口3aの幅をaとすると、該開口3aの虚像3a'の幅はMaaで与えられるので、前記開口アレイ3の開口3aの虚像3a'を通してm個の画素1aの虚像1a’が見えるようにするためには、Maa=mMppとすればよい。また、開口3aの虚像3a’の幅がレンズピッチqと一致するようにするためには、Maa=qとすればよい。尚、図2には、m=2の場合を示している。
【0036】
この場合、レンズアレイ2の隣り合うレンズ2aを通してフラットパネルディスプレイ1の画素1aの虚像1a’が連続的に並んで見えるようになっているので、前記開口アレイ3の虚像により遮られる部分が黒い部分として画素1aの虚像1a’間に介在することがなくなり、前述した図1の第一実施例の場合と同じく、空間周波数に大きな偏りを生じさせることなく良好な画質を保持することができることに加え、一つのレンズ2aを通して見える画素数を増やすことができて、立体像の解像度を大幅に向上させることができる。
【0037】
次に、カラー表示を行う場合について補足説明を加えておくと、図3に示す如く、このようにする場合には、RGB[赤(Red)、緑(Green)、青(BLue)の三原色カラーモデル]の色画素1bを配置したフラットパネルディスプレイ1を採用し、該フラットパネルディスプレイ1が要素画像をカラー表示し得るように構成すればよく、従来のライトフィールドディスプレイや多眼式立体表示で用いられているカラー化の手法をそのまま利用することができる。
【0038】
より具体的には、RGBの色画素1bが水平方向あるいは垂直方向に繰り返すRGBストライプ配置のフラットパネルディスプレイ1を用いる場合、レンズピッチqを適切に設定することで、隣り合うレンズ2aから見える色画素1bの虚像1b’の色がRGBと変わるようにすればよい。
【0039】
ここで、図3に示している例は、図2の第二実施例の如く、一つのレンズ2aを通して見える画素数が複数の場合について説明しているが、図1の第一実施例の如く、一つのレンズ2aを通して見える画素数が一つの場合でも、隣り合うレンズ2aから見える色画素1bの虚像1b’の色がRGBと変わるようにするところは同じである。
【0040】
また、本提案を水平視差型で実現する場合には、一次元のレンズアレイ2であるレンチキュラレンズと、一次元の開口アレイ3であるパララックスバリアを用い、水平方向にのみ画素1aの虚像結像と開口3aの虚像結像を行わせるようにすればよい。
【0041】
例えば、水平視差型では、レンチキュラレンズを傾けて用いることで、立体表示の水平解像度と垂直解像度のバランスを向上されることがよく行われているが、本発明においても、レンチキュラレンズとパララックスバリアを傾け、色画素1bの虚像結像と開口3aの虚像結像も対応して水平方向から傾けた方向に行わせることで、立体表示の水平解像度と垂直解像度のバランスを向上させることができる。
【0042】
尚、本発明の立体表示装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
1 フラットパネルディスプレイ
1a 画素
1a’ 画素の虚像
1b 色画素
1b’ 色画素の虚像
2 レンズアレイ
2a レンズ
3 開口アレイ
3a 開口
3a' 開口の虚像
p 画素の幅
q レンズピッチ(開口ピッチ)
f レンズの焦点距離
g 開口アレイと画素の間隔
sp レンズアレイと画素の距離
sp' レンズアレイと画素の虚像の距離
sa レンズアレイと開口の距離
sa' レンズアレイと開口の虚像の距離
a 開口アレイの開口の幅
Mp 画素の虚像倍率
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8