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特許7446169基板搬送装置、基板処理システム、基板搬送方法、電子デバイスの製造方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】基板搬送装置、基板処理システム、基板搬送方法、電子デバイスの製造方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240301BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240301BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/02 Z
C23C14/56 G
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020110572
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007539
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188868
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 智丈
(74)【代理人】
【識別番号】100221327
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 亮
(72)【発明者】
【氏名】谷 和憲
(72)【発明者】
【氏名】小林 康信
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-72541(JP,A)
【文献】特開2013-11836(JP,A)
【文献】国際公開第2014/033856(WO,A1)
【文献】特開2016-25140(JP,A)
【文献】特開2016-172259(JP,A)
【文献】特開2019-192899(JP,A)
【文献】特開2003-282427(JP,A)
【文献】特開2000-319782(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0047969(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/02
C23C 14/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型基板を分割して得られた複数の基板のうちのいずれかの基板を処理装置内の受け渡し位置へ搬送し、該処理装置に備えられた基板支持手段に前記基板を受け渡す搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御手段と、を備える基板搬送装置であって、
前記搬送手段によって搬送される基板の、分割前の前記大型基板における部位に関する基板情報を取得する取得手段を備え、
前記制御手段は、前記取得手段により取得された前記基板情報に基づいて、前記搬送手段に前記基板を前記受け渡し位置へ搬送させ、
前記受け渡し位置を補正する補正情報を、前記基板情報と対応付けて記憶する記憶手段をさらに有する、
ことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記取得手段により取得された前記基板情報と、前記記憶手段に前記基板情報と対応付けて記憶されている前記補正情報と、に基づいて、前記受け渡し位置を基準位置から補正して、前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記補正情報はオフセット量であり、
前記制御手段は、
前記取得手段により取得された前記基板情報に応じた前記オフセット量を前記記憶手段から読み出し、
読み出した前記オフセット量に従って前記受け渡し位置が前記基準位置からオフセットするように、前記搬送手段を制御する、
ことを特徴とする請求項に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
複数の前記受け渡し位置の位置情報を、複数の前記基板情報とそれぞれ対応付けて記憶する位置情報記憶手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記取得手段により取得された前記基板情報に対応する前記受け渡し位置の情報を前記位置情報記憶手段から読み出し、
読み出した前記受け渡し位置の情報に従った前記受け渡し位置で前記基板が受け渡されるように、前記搬送手段を制御する、
ことを特徴とする請求項に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
大型基板を分割して得られた複数の基板のうちのいずれかの基板を処理装置内の受け渡し位置へ搬送し、該処理装置に備えられた基板支持手段に前記基板を受け渡す搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御手段と、を備える基板搬送装置であって、
前記搬送手段によって搬送される基板の、分割前の前記大型基板における部位に関する基板情報を取得する取得手段と、
前記受け渡し位置を補正する補正情報を、前記基板情報と対応付けて記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記補正情報に基づいて、前記取得手段により取得された前記基板情報によって異なる前記受け渡し位置へ、前記搬送手段に前記基板を搬送させる、
ことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項7】
前記処理装置が蒸着装置であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の基板搬送装置。
【請求項8】
大型基板を分割して得られた複数の基板のうちのいずれかの基板を支持する基板支持手段を有し、前記基板支持手段によって支持された前記基板を処理する処理装置と、
前記基板を前記処理装置内の受け渡し位置に搬送し、前記基板支持手段に前記基板を受け渡す搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御手段と、を備える基板処理システムであって、
前記搬送手段によって搬送される基板の、分割前の前記大型基板における部位に関する基板情報を取得する取得手段を備え、
前記制御手段は、前記取得手段により取得された前記基板情報に基づいて、前記搬送手段に前記基板を前記受け渡し位置へ搬送させ、
前記受け渡し位置を補正する補正情報を、前記基板情報と対応付けて記憶する記憶手段をさらに有する、
ことを特徴とする基板処理システム。
【請求項9】
前記処理装置は、前記処理装置内における前記基板の位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに有し、
記位置情報取得手段により取得された前記基板の位置情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記補正情報を更新する更新手段を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の基板処理システム。
【請求項10】
複数の前記受け渡し位置の位置情報を、複数の前記基板情報とそれぞれ対応付けて記憶する位置情報記憶手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項9に記載の基板処理システム。
【請求項11】
前記処理装置は、前記処理装置内における前記基板の位置情報を取得する位置情報取得手段をさらに有し、
記位置情報取得手段により取得された前記基板の位置情報に基づいて、前記記憶手段に記憶されている前記受け渡し位置の情報を更新する更新手段を有する、
ことを特徴とする請求項に記載の基板処理システム。
【請求項12】
大型基板を分割して得られた複数の基板のうちのいずれかの基板を支持する基板支持手段を有し、前記基板支持手段によって支持された前記基板を処理する処理装置と、
前記基板を前記処理装置内の受け渡し位置に搬送し、前記基板支持手段に前記基板を受け渡す搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御手段と、を備える基板処理システムであって、
前記搬送手段によって搬送される基板の、分割前の前記大型基板における相対位置に関する基板情報を取得する取得手段と、
前記受け渡し位置を補正する補正情報を、前記基板情報と対応付けて記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記補正情報に基づいて、前記取得手段により取得された前記基板情報によって異なる前記受け渡し位置へ、前記搬送手段に前記基板を搬送させる、
ことを特徴とする基板処理システム。
【請求項13】
大型基板を分割して得られた複数の基板のうちいずれかの基板を処理装置内の受け渡し位置に搬送し、該処理装置に備えられた基板支持手段に前記基板を受け渡す搬送工程を含む基板搬送方法であって、
前記基板の、分割前の前記大型基板における部位に関する基板情報を取得する取得工程を有し
前記搬送工程では、前記取得工程で取得された前記基板情報に基づいて、前記受け渡し位置へ前記基板を搬送
前記受け渡し位置を補正する補正情報を、前記基板情報と対応付けて記憶する記憶工程を更に有する、
ことを特徴とする基板搬送方法。
【請求項14】
大型基板を分割して得られた複数の基板のうちのいずれかの基板を処理装置内の受け渡し位置に搬送し、該処理装置に備えられた基板支持手段に前記基板を受け渡す搬送工程を含む基板搬送方法であって、
前記基板の、分割前の前記大型基板における部位に関する基板情報を取得する取得工程と、
前記受け渡し位置を補正する補正情報を、前記基板情報と対応付けて記憶する記憶工程と、を有し、
前記搬送工程では、前記補正情報に基づいて、前記取得工程で取得された前記基板情報によって異なる前記受け渡し位置へ前記基板を搬送する、
ことを特徴とする基板搬送方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の基板搬送方法によって基板を搬送する搬送工程と、
前記搬送工程により前記処理装置である成膜装置に搬送された前記基板に成膜を行う成膜工程と、を含む、
ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項16】
請求項13又は14に記載の基板搬送方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
請求項13又は14に記載の基板搬送方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送装置、基板処理システム、基板搬送方法、電子デバイスの製造方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイ等の製造においては、基板上に蒸着物質を成膜する成膜処理等、基板に対して所定の処理が実行される。このような処理が行われる際には、搬送ロボット等により基板が成膜装置等の各種の処理装置へと搬送される。特許文献1には、搬送ロボットが教示された搬送位置に基板を搬送することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-153775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機ELディスプレイは、様々な成膜工程によって基板上に複数の層が形成されることで製造される。このとき、製造ラインの都合により、ある工程までは大型基板(マザーガラスとも称する)に対して処理を行い、その後その大型基板を切断して複数のより小さい基板に分割し、それ以降の工程では分割した基板に対して成膜等の処理を行う場合がある。例えば、スマートフォン用の有機ELディスプレイの製造においては、バックプレーン工程(TFT形成工程や陽極形成工程等)は第6世代の大型基板(約1500mm×約1850mm)に対して成膜処理等が行われる。その後、この大型基板を半分に切断し、第6世代のハーフカット基板(約1500mm×約925mm)とし、その後の工程はこの第6世代のハーフカット基板に対して成膜等の処理が行われる。
【0005】
このような場合、分割工程よりも後の工程に用いられる処理装置には、大型基板からの切り出し位置が異なる基板が順次搬入されることとなる。しかし、大型基板から切り出された基板においては、大型基板のどの部位から切り出されたかによって(例えば、マザーガラスの左側半分の部分なのか、あるいは右側半分の部分なのかによって)、サイズや剛性分布といった基板の特性が異なる場合がある。基板の特性が異なると、搬送ロボット等に基板が載置された状態で基板が搬送される際の基板の滑り方等に差異が生じ、処理装置に基板が搬入された際の基板の位置のばらつきを招く場合がある。
【0006】
本発明は、大型基板から切り出された基板の搬送に関し、切り出し位置の相違による搬送位置のばらつきを抑制する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
大型基板を分割して得られた複数の基板のうちのいずれかの基板を処理装置内の受け渡し位置へ搬送し、該処理装置に備えられた基板支持手段に前記基板を受け渡す搬送手段と、
前記搬送手段を制御する制御手段と、を備える基板搬送装置であって、
前記搬送手段によって搬送される基板の、分割前の前記大型基板における部位に関する基板情報を取得する取得手段を備え、
前記制御手段は、前記取得手段により取得された前記基板情報に基づいて、前記搬送手段に前記基板を前記受け渡し位置へ搬送させ、
前記受け渡し位置を補正する補正情報を、前記基板情報と対応付けて記憶する記憶手段をさらに有する、
ことを特徴とする基板搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大型基板から切り出された基板の搬送に関し、切り出し位置の相違による搬送位置のばらつきを抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電子デバイスの製造ラインの一部の模式図。
図2】一実施形態に係る成膜装置の概略図。
図3】(A)及び(B)は一実施形態に係る搬送装置の説明図。
図4】大型基板とカット基板の例を示す図。
図5】搬送ロボットが基板を成膜室に搬送した後の基板の目標位置からのずれを模式的に示す図。
図6】搬送装置の処理部及び成膜装置の制御装置の処理例を示すフローチャート。
図7】搬送装置の処理部の処理例を示すフローチャート。
図8】(A)は上位装置が管理する情報の例を示す図。(B)は記憶部が管理する情報の例を示す図。
図9】(A)は有機EL表示装置の全体図、(B)は1画素の断面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<電子デバイスの製造ライン>
図1は、本発明の成膜装置が適用可能な電子デバイスの製造ラインの構成の一部を示す模式図である。図1の製造ラインは、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられるもので、基板100が成膜ブロック301に順次搬送され、基板100に有機ELの成膜が行われる。
【0012】
成膜ブロック301には、平面視で八角形の形状を有する搬送室302の周囲に、基板100に対する成膜処理が行われる複数の成膜室303a~303dと、使用前後のマスクが収納されるマスク格納室305とが配置されている。搬送室302には、その内部に設けられる後述の搬送装置15(基板搬送装置)が有する、基板100を搬送する搬送ロボット151(搬送手段)が配置されている。換言すれば、成膜ブロック301は、搬送ロボット151の周囲を取り囲むように複数の成膜室303a~303dが配置されたクラスタ型の成膜ユニットである。なお、成膜室303a~303dを総称する場合、或いは、区別しない場合は成膜室303と表記する。
【0013】
基板100の搬送方向(矢印方向)で、成膜ブロック301の上流側、下流側には、それぞれ、バッファ室306、旋回室307、受渡室308が配置されている。製造過程において、各室は真空状態に維持される。なお、図1においては成膜ブロック301を1つしか図示していないが、本実施形態に係る製造ラインは複数の成膜ブロック301を有しており、複数の成膜ブロック301が、バッファ室306、旋回室307、受渡室308で構成される連結装置で連結された構成を有する。なお、連結装置の構成はこれに限定はされず、例えばバッファ室306又は受渡室308のみで構成されていてもよい。
【0014】
搬送ロボット151は、上流側の受渡室308から搬送室302への基板100の搬入、成膜室303間での基板100の搬送、マスク格納室305と成膜室303との間でのマスクの搬送、及び、搬送室302から下流側のバッファ室306への基板100の搬出、を行う。
【0015】
バッファ室306は、製造ラインの稼働状況に応じて基板100を一時的に格納するための室である。バッファ室306には、複数枚の基板100を基板100の被処理面(被成膜面)が重力方向下方を向く水平状態を保ったまま収納可能な多段構造の基板収納棚(カセットとも呼ばれる)と、基板100を搬入又は搬出する段を搬送位置に合わせるために基板収納棚を昇降させる昇降機構とが設けられる。これにより、バッファ室306には複数の基板100を一時的に収容し、滞留させることができる。
【0016】
旋回室307は基板100の向きを変更する装置を備えている。本実施形態では、旋回室307は、旋回室307に設けられた搬送ロボット(不図示)によって基板100の向きを180度回転させる。旋回室307に設けられた搬送ロボットは、バッファ室306で受け取った基板100を支持した状態で180度旋回し受渡室308に引き渡すことで、バッファ室306内と受渡室308とで基板の前端と後端が入れ替わる。これにより、成膜室303に基板100を搬入する際の向きが、各成膜ブロック301で同じ向きになるため、基板100に対する成膜のスキャン方向やマスクの向きを各成膜ブロック301において一致させることができる。このような構成とすることで、各成膜ブロック301においてマスク格納室305にマスクを設置する向きを揃えることができ、マスクの管理が簡易化されユーザビリティを高めることができる。
【0017】
製造ラインの制御系は、ホストコンピュータとしてライン全体を制御する上位装置300と、各構成を制御する制御装置14a~14d、309、310とを含み、これらは有線又は無線の通信回線300aを介して通信可能である。制御装置14a~14dは、成膜室303a~303dに対応して設けられ、後述する成膜装置1を制御する。なお、制御装置14a~14dを総称する場合、或いは、区別しない場合は制御装置14と表記する。
【0018】
制御装置309は、搬送装置15が有する搬送ロボット151を制御する。制御装置310は旋回室307の装置を制御する。上位装置300は、基板100に関する情報や搬送タイミング等の指示を各制御装置14、309、310に送信し、各制御装置14、309、310は受信した指示に基づき各構成を制御する。
【0019】
<成膜装置の概要>
図2は本発明の一実施形態に係る成膜装置1の概略図である。成膜装置1は、基板100に蒸着物質を成膜する装置であり、マスク101を用いて所定のパターンの蒸着物質の薄膜を形成する。成膜装置1で成膜が行われる基板100の材質は、ガラス、樹脂、金属等の材料を適宜選択可能であり、ガラス上にポリイミド等の樹脂層が形成されたものが好適に用いられる。蒸着物質としては、有機材料、無機材料(金属、金属酸化物など)などの物質である。成膜装置1は、例えば表示装置(フラットパネルディスプレイなど)や薄膜太陽電池、有機光電変換素子(有機薄膜撮像素子)等の電子デバイスや、光学部材等を製造する製造装置に適用可能であり、特に、有機ELパネルを製造する製造装置に適用可能である。以下の説明においては成膜装置1が真空蒸着によって基板100に成膜を行う例について説明するが、本発明はこれに限定はされず、スパッタやCVD等の各種成膜方法を適用可能である。なお、各図において矢印Zは上下方向(重力方向)を示し、矢印X及び矢印Yは互いに直交する水平方向を示す。
【0020】
成膜装置1は、箱型の真空チャンバ3を有する。真空チャンバ3の内部空間3aは、真空雰囲気か、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気に維持されている。本実施形態では、真空チャンバ3は不図示の真空ポンプに接続されている。なお、本明細書において「真空」とは、大気圧より低い圧力の気体で満たされた状態、換言すれば減圧状態をいう。真空チャンバ3の内部空間3aには、基板100を水平姿勢で支持する基板支持ユニット6、マスク101を支持するマスク台5、成膜ユニット4、プレートユニット9が配置される。マスク101は、基板100上に形成する薄膜パターンに対応する開口パターンをもつメタルマスクであり、マスク台5の上に固定されている。マスク101としては、枠状のマスクフレームに数μm~数十μm程度の厚さのマスク箔が溶接固定された構造を有するマスクを用いることができる。マスク101の材質は特に限定はされないが、インバー材などの熱膨張係数の小さい金属を用いることが好ましい。成膜処理は、基板100がマスク101の上に載置され、基板100とマスク101とが互いに重ね合わされた状態で行われる。
【0021】
プレートユニット9は、成膜時に基板100を冷却する冷却プレート10と、磁力によってマスク101を引き寄せ基板100とマスク101とを密着させる磁石プレート11と、を備える。プレートユニット9は、例えばボールねじ機構等を備えた昇降ユニット13によりZ方向に昇降可能に設けられている。
【0022】
成膜ユニット4は、ヒータ、シャッタ、蒸発源の駆動機構、蒸発レートモニタなどから構成され、蒸着物質を基板100に蒸着する蒸着源である。より具体的には、本実施形態では、成膜ユニット4は複数のノズル(不図示)がX方向に並んで配置され、それぞれのノズルから蒸着材料が放出されるリニア蒸発源である。成膜ユニット4は、蒸発源移動機構(不図示)によってY方向(成膜室303と搬送室302の接続部から遠ざかる方向)に往復移動される。
【0023】
また、成膜装置1は、基板100とマスク101とのアライメントを行うアライメント装置2を備える。概略として、アライメント装置2は、カメラ(撮像装置)7、8により基板100及びマスク101に形成されたアライメントマークを検知し、この検知結果に基づいて基板100とマスク101との相対位置を調整する。カメラ7、8は、真空チャンバ3の上壁の上方に配置され、上壁に形成された窓部(不図示)を介して真空チャンバ3内の画像を撮像可能である。カメラ7、8は、真空チャンバ3内に配置された基板100に設けられた基板アライメントマークとマスク101に設けられたマスクアライメントマークとを撮像する。得られた画像を不図示の画像処理手段によって処理することによって、基板100とマスク101の位置情報を取得することができる。カメラ7、8は基板100とマスク101の位置情報を取得する、位置情報取得手段ともいえる。
【0024】
アライメント装置2は、基板100の周縁部を支持する基板支持ユニット6を備える。基板支持ユニット6は、互いにX方向に離間して設けられ、Y方向に延びる一対のベース部62と、ベース部62から内側へ突出した複数の爪状の載置部61を備える。なお、載置部61は「受け爪」又は「フィンガ」とも呼ばれることがある。複数の載置部61は一対のベース部62のそれぞれに間隔を置いて配置されている。載置部61には基板100の周縁部の長辺側の部分が載置される。ベース部62は複数の支柱64を介して梁部材222に吊り下げられている。
【0025】
本実施形態のようにベース部62がX方向に離間して一対に基板100の短辺側にベース部62が形成されない構成により、搬送ロボット151が載置部61へと基板を受け渡す際の、搬送ロボット151とベース部62との干渉を抑制することができる。これにより、基板100の搬送及び受け渡しの効率を向上させることができる。しかしながら、ベース部62は、基板100の周縁部全体を囲うような矩形枠状であってもよい。また、ベース部62は、部分的に切り欠きがある矩形枠状であってもよい。部分的に切り欠きがある矩形枠状とすることにより、搬送ロボット151が載置部61へと基板を受け渡す際の、搬送ロボット151とベース部62との干渉を抑制することができ、基板100の搬送及び受け渡しの効率を向上させることができる。
【0026】
基板支持ユニット6は、また、クランプユニット63を備える。クランプユニット63は、複数のクランプ部66を備える。各クランプ部66は各載置部61に対応して設けられており、クランプ部66と載置部61とで基板100の周縁部を挟んで保持することが可能である。基板100の支持態様としては、このようにクランプ部66と載置部61とで基板100の周縁部を挟んで保持する態様の他、クランプ部66を設けずに載置部61に基板100を載置するだけの態様を採用可能である。
【0027】
また、アライメント装置2は、基板支持ユニット6により周縁部が支持された基板100と、マスク101との相対位置を調整する調整ユニット20を備える。調整ユニット20は、カメラ7、8の検知結果等に基づいて基板支持ユニット6をX-Y平面上で変位することにより、マスク101に対する基板100の相対位置を調整する。本実施形態では、マスク101の位置を固定し、基板100を変位してこれらの相対位置を調整するが、マスク101を変位させて調整してもよく、或いは、基板100とマスク101の双方を変位させてもよい。
【0028】
また、アライメント装置2は、基板支持ユニット6を昇降することで、基板支持ユニット6によって周縁部が支持された基板100とマスク101とを基板100の厚み方向(Z方向)に接近及び離隔(離間)させる接離ユニット22を備える。換言すれば、接離ユニット22は、基板100とマスク101とを重ね合わせる方向に接近させることができる。接離ユニット22としては、例えばボールねじ機構を採用した電動アクチュエータ等が用いられてもよい。
【0029】
<搬送装置>
図3(A)及び図3(B)は、搬送装置15の説明図であり、図3(A)は受渡室308から基板100を搬出する際の状態を示す図、図3(B)は搬送装置15の構成を模式的に示す側面図である。搬送装置15は、大型基板から切り出された基板を処理装置に搬送する搬送ロボット151を有する。搬送ロボット151は、水平多関節ロボットであり、本体部1511と、第1アーム1512と、第2アーム1513と、ロボットハンド1514とを含む。
【0030】
本体部1511は、搬送ロボット151の土台部分を構成し、例えば搬送室302の底面に設置される。より具体的には、本体部1511はフランジ部1511cを有する有底円筒形状のケース体1511dを有し、搬送室302の底面を構成するチャンバ壁302aに設けられた開口部にフランジ部1511cを介して固定される。本体部1511は、第1アーム1512の一端を回動可能に支持する昇降部1511bと、昇降部1511bを昇降可能な昇降機構1511aを有する。昇降機構1511aおよび昇降部1511bは、ケース体1511dの内部に配置される。昇降機構1511aは、例えば、ボールねじ機構によって構成されてもよい。この場合、昇降機構1511aは、ねじ軸と、このねじ軸と螺合するように構成されたボールナットと、ねじ軸を回転させるモータを含み(何れも不図示)、モータの駆動力によりねじ軸が回転することでボールナットとブラケットで接続された昇降部1511bを昇降させる。
【0031】
昇降部1511bには、本体部1511に対して第1アーム1512を回動させるためのモータ1511eが取り付けられている。また、昇降部1511bには、第1アーム1512の基端側が固定される中空回転軸(不図示)と、中空回転軸を回動可能に支持する円筒状の保持部材(不図示)と、を備える。モータ1511eが回転すると、中空回転軸を介してモータ1511eの動力が第1アーム1512に伝達されて、第1アーム1512が回動する。また、第1アーム1512は、ベース部1511が接続する端部と反対側の端部において第2アームと接続する。第2アーム1513は、モータ1513aを駆動源として、その一端部が第1アーム1512に対して重力方向に延びる軸回りに回動可能に設けられる。また、第2アームは、第1アーム1512と接続する端部と反対側の端部においてロボットハンド1514と接続する。
【0032】
ロボットハンド1514は、第2アーム1513の先端側に回動可能に連結されるハンド基部1514aと、基板100及びマスク101が搭載される4本のハンドフォーク1514b(載置部)とを有する。ロボットハンド1514は、モータ1514cを駆動源として、第2アーム1513に対して重力方向に延びる軸回りに回動可能である。4本のハンドフォーク1514bのうちの2本のハンドフォーク1514bは、互いに所定の間隔をあけた状態で平行に配置されている。この2本のハンドフォーク1514bは、ハンド基部1514aから水平方向の一方側へ突出するようにハンド基部1514aに固定されている。残りの2本のハンドフォーク1514bは、ハンド基部1514aから水平方向の一方側へ突出する2本のハンドフォーク1514bと反対側に向かってハンド基部1514から突出するようにハンド基部1514に固定されている。
【0033】
なお、上述の搬送ロボット151の構成は例示であって、適宜周知の技術を採用可能である。例えば、搬送ロボット151は垂直多関節型のロボットであってもよい。また、ロボットハンド1514は、基板100等が載置されることで支持する構成に限らず、基板100の端部を把持したり基板100を吸着したりすることにより基板100を保持する構成であってもよい。
【0034】
制御装置309は、搬送装置15の全体を制御する。さらに言えば、制御装置309は、搬送ロボット151を制御する。制御装置309は、処理部3091(制御手段)、記憶部3092、入出力インタフェース(I/O)3093及び通信部3094を備える。
【0035】
処理部3091は、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサであり、記憶部3092に記憶されたプログラムを実行して搬送装置15を制御する。記憶部3092は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶デバイス(記憶手段)であり、処理部3091が実行するプログラムの他、各種の制御情報を記憶する。I/O(Input/Output)3093は、処理部3091と外部デバイスとの間の信号を送受信するインタフェースである。通信部3094は通信回線300aを介して上位装置300又は他の制御装置14、310等と通信を行う通信デバイスであり、処理部3091は通信部3094を介して上位装置300等から情報を受信し、或いは、上位装置300等へ情報を送信する。なお、制御装置309、14、310や上位装置300の全部又は一部がPLC(Programmable Logic Controller)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)で構成されてもよい。
【0036】
<基板>
本実施形態の基板100は、大型基板から切り出されたカット基板である。図4は大型基板とカット基板の例を示す図である。大型基板MGは、第6世代フルサイズ(約1500mm×約1850mm)のマザーガラスであり、矩形形状を有している。大型基板MGの一部の角部には、大型基板MGの向きを特定するためのオリエンテーションフラットOFが形成されている。
【0037】
なお、ここでは大型基板MGの4つの角部のうちの1つの角部のみが切り落とされてオリエンテーションフラットOFが形成されている例を示したが、これに限定はされず、4つの角部全てが切り落とされているものの、1つの角部が他に比べて大きく切り落とされることで、オリエンテーションフラットOFが形成されてもよい。この場合には、他の角部と異なる形状に切り落とされている部分を、オリエンテーションフラットOFと捉えることができる。
【0038】
上述の通り、例えば、スマートフォン用の有機ELディスプレイの製造においては、バックプレーン工程(TFT形成工程や陽極形成工程等)は第6世代フルサイズの大型基板MGに対して成膜処理等が行われる。その後、この大型基板MGが半分に切断され(切り出し工程)、切断して得られた第6世代のハーフカットサイズ(約1500mm×約925mm)の基板100が、本実施形態に係る製造ラインのうちの有機層の成膜を行う成膜ブロック301へと搬入される。成膜ブロック301に搬入される基板100は、大型基板MGから切り出して得られた2種類の分割基板のいずれかであり、本実施形態においては基板100A又は基板100Bである。大型基板MGは、その一辺である基準辺から距離Lの位置の切断線CTLで切断され、基板100Aと基板100Bとが得られる。図1に例示した製造ラインにおいては、基板100Aと基板100Bとが混在して、基板100として搬送され、各種の処理が行われる。
【0039】
なお、ここでは大型基板MGを半分に切断するものとしたが、これに限定はされず、大型基板MGを切断して、略同じ大きさの複数の基板に分割すればよい。例えば、大型基板MGを4分割して4つの基板100とし、これを成膜ブロック301に搬入するようにしてもよい。
【0040】
基板100Aと基板100Bとはサイズや剛性分布といった基板の特性が異なる場合がある。例えば、基板100Aは短辺の長さがLに採寸された基板となるが、基板100Bは短辺の長さが採寸されておらず、基板100Aと基板100Bとでは短辺の長さが異なる場合がある。また、基板100BにはオリエンテーションフラットOFがあるが、基板100Aにはこれがない。切断面における残留応力の大きさが、基板100Aと基板100Bとで異なる場合もある。また、切断面の位置が、基板100Aでは右辺であり基板100Bでは左辺であり、部位が異なる。こうした基板の特性の相違は、基板搬送時の基板100の挙動に影響する場合がある。
【0041】
図5は、搬送ロボット151が基板100を成膜室303に搬送した後の基板100の目標位置からのずれを模式的に示す図である。本実施形態では、搬送ロボット151は、ロボットハンド1514のハンドフォーク1514b上に基板100を載置した状態で、基板を搬送する。このため、搬送時には、基板100がハンドフォーク1514bに対して滑ることがある。この場合、搬送ロボット151自体は成膜装置1内の載置部61に対して同じ相対位置で基板100を受け渡したとしても、載置部61に載置された基板100は目標とする搬送位置からずれてしまう場合がある(ずれ量Ax及びAy)。そして、上述の基板の特性の相違により、基板100Aと基板100Bとでこのずれ量Ax,Ayの傾向が異なる場合もある。つまり、基板100Aと基板100Bとで、搬送ロボット151による成膜装置1への受け渡し位置が異なる場合がある。一方、載置部61に載置された基板100に対しては、その後アライメント装置2によるアライメントが実行される。しかし、基板100Aと基板100Bとで受け渡し位置にずれが生じている場合、アライメントに時間を要したり、アライメントの精度が低下したりしてしまうことがある。
【0042】
そこで、本実施形態では以下に説明するように、基板100が切り出された大型基板MGの部位に応じた基板の搬送制御を行う。
【0043】
<制御例>
制御装置309の処理部3091が実行する搬送装置15の制御例及び制御装置14が実行する成膜装置1の制御例について説明する。図6は、処理部3091及び制御装置14の処理例を示すフローチャートであり、図7は処理部3091の処理例を示すフローチャートである。本フローチャートは、例えば、処理部3091が上位装置300から基板100の搬送指示を受けたことに基づいて開始する。
【0044】
ステップS1(以下、単にS1と称する。他のステップについても同様とする。)で、処理部3091は、これから搬送する基板100の基板情報を取得する(取得工程)。本実施形態では、基板情報は、基板100の、分割される前の大型基板MGにおける相対位置に関する情報を含む。この情報は、換言すれば、基板100が切り出された大型基板MGの部位に関する部位情報であり、「切り出し情報」や「カット情報」とも呼ばれ得る。このように、処理部141は、基板100の、分割前の大型基板MGにおける部位に関するに関する基板情報を取得する取得手段としての機能を有する。本実施形態では、図4において、大型基板MGの切断線CTLの左側の部位に対応し、カット位置が図面右側となる基板100AをAカット、大型基板MGの切断線CTLの右側の部位に対応し、カット位置が図面左側となる基板100BをBカットとする。処理部3091は、搬送する基板100がAカットであるかBカットであるかを基板情報として取得する。
【0045】
また、本実施形態では、基板情報は、基板100のその他の情報と関連付けて上位装置300により管理されている。図8(A)は、上位装置300が管理する情報の例を示している。本実施形態では、上位装置300は、各基板100を識別するための識別情報と、その基板100の基板情報(基板100Aか基板100Bか)と、搬送ルート情報とを対応付けて記憶している。そして、上位装置300が基板100の処理を制御装置309等に指示する場合、識別情報と基板情報を指示先の制御装置309等に送信する。つまり、S1では、処理部3091は、通信部3094を介して上位装置300から基板100に関する情報を受信することで基板情報を取得する。なお、上位装置300は、例えば大型基板MGを切断する切断装置(基板分割装置)や製造ラインにおいて成膜装置1よりも上流側に配置されている他の装置、あるいは製造ラインの外部の装置から基板情報を取得してもよいし、製造ラインのオペレータの入力を受け付け、オペレータの入力によって基板情報を取得するようにしてもよい。
【0046】
S2で、処理部3091は、基板100の受け渡し位置を設定する。本実施形態では、搬送装置15は、成膜ブロック301内の各成膜室303に設けられる成膜装置1ごとに受け渡し位置に関する位置情報を記憶部3092に記憶している。処理部3091は、上位装置300から取得した搬送ルート情報に基づいて搬送先の成膜装置1を確認し、その成膜装置1に対応する位置情報に基づいて基板100の受け渡し位置を設定する。受け渡し位置に関する位置情報は、例えば成膜ブロック301全体における固定座標系や成膜装置1における固定座標系の座標情報であってもよいし、搬送ロボット151の制御パラメータであってもよい。搬送ロボット151の制御パラメータは、例えば搬送ロボット151の各部を駆動する各モータの出力電流、出力電圧等であってもよいし、各モータの回転角度を検知するロータリエンコーダの目標値等であってもよい。
【0047】
S3で、処理部3091は、S2で設定した基板100の受け渡し位置を、S1で取得した基板情報に基づいて補正する。図8(B)は記憶部3092が管理する情報の例を示す図である。本実施形態の場合、記憶部3092は、基板情報受け渡し位置を補正するための受け渡し位置補正情報としての受け渡し位置オフセット量と基板情報とを対応付けて記憶している。処理部3091は、S1で取得した基板情報に対応する受け渡し位置オフセット量を記憶部3092から読み出し、読み出したオフセット量に従って基板100の受け渡し位置を補正する。ある側面から見れば、処理部3091は、S2で搬送先の受け渡し位置の基準値を設定し、S3で基板情報に基づいて受け渡し位置を基準値からオフセットさせている。なお、オフセット量は、例えばX方向及びY方向についての基準値からの相対的な距離であってもよいし、搬送ロボット151の制御パラメータ等であってもよい。
【0048】
なお、この基板情報ごとのオフセット量は、例えば、搬送ロボット151を製造ラインに設置する際など実行される、基板100の搬送軌跡や受け渡し位置を教示するためのティーチング作業時に設定されてもよい。例えば、ティーチング作業時に、搬送ロボット151を成膜装置1内の受け渡し位置に移動させた際の、搬送ロボット151に載置された基板100の目標位置からのずれ量を基板100の種類(Aカット、Bカット)ごとに測定してもよい。そして、その測定結果に基づいて、基板100の種類ごとに目標位置からのずれが相殺されるように、基板情報ごとに異なるオフセット量が設定されてもよい。
【0049】
受け渡し位置補正情報を設定する際に用いる、搬送ロボット151を成膜装置1内の受け渡し位置に移動させた際の基板100の目標位置からのずれ量は、成膜装置1のカメラ7又は8を用いて測定するようにしてもよい。例えば、搬送ロボット151を成膜装置1内の受け渡し位置に移動させた後に(S1~S5の後に)、基板100に形成された基板アライメントマークや基板100の端部や角部をカメラ7又は8によって検出し、基板100の位置情報を取得する。そして、取得した基板100の位置情報と目標位置とに基づいて、実際に搬送した後の基板100の位置と目標位置との間のずれ量を取得する。なお、受け渡し位置への搬送後の基板100の位置情報の取得は、基板100が搬送ロボット151に支持された状態で行ってもよいし、基板支持ユニット6への受け渡しが完了した後に基板100が基板支持ユニット6に支持された状態で行ってもよい。受け渡し位置への搬送後の基板100の位置情報の取得は、S6においてアライメント装置2による基板100とマスク101のアライメントを行う際のカメラ7又は8による計測を兼ねていてもよい。
【0050】
このように、搬送ロボット151を成膜装置1内の受け渡し位置に移動させた際の基板100の目標位置からのずれ量を成膜装置1のカメラ7又は8を用いて測定するようにすれば、目標位置からのずれ量を測定するための測定手段を別途設ける必要が無いため装置構成を簡略化できる。また、ティーチング作業時のみならず、製造ラインの稼働中にもオフセット量の更新ができるようになるため、環境の変化や装置の経時的な変化による搬送ずれの変動にもタイムリーに対応することができ、搬送精度を維持することができる。なお、カメラ7又は8を用いて測定された基板100の位置情報に基づいてオフセット量を更新するものとしたが、これに限定はされず、上記のずれを相殺するように受け渡し位置の位置情報を直接更新するようにしてもよい。
【0051】
S4で、処理部3091は、基板搬送動作を行う(制御手段)。具体的には、処理部3091は、搬送ロボット151を制御して、S2及びS3で設定した受け渡し位置まで基板100を搬送し、基板100を載置する。ある側面から見れば、処理部3091は、S2~S4により、取得した基板情報に基づいて、搬送ロボット151に基板100を受け渡し位置へ搬送させる。S5で、処理部3091は基板搬送動作が終了した旨の搬送終了通知を、受け渡し先の成膜装置1の制御装置14及び/又は上位装置300に対して送信する。以上により搬送装置15側の処理が終了する。
【0052】
成膜装置1の制御装置14は、搬送終了通知を受信すると、S6でアライメント装置2による基板100とマスク101のアライメントを行う。なお、詳細な説明は省略するが、アライメントの方法としては周知の技術を採用可能である。
【0053】
S7で、成膜装置1の制御装置14は、アライメントの終了後、成膜処理を実行する。ここでは成膜ユニット4によりマスク101を介して基板100の下面に薄膜が形成される。成膜処理が終了するとステップS8で制御装置14は成膜が終了した旨の成膜終了通知を搬送装置15の制御装置309及び/又は上位装置300に対して送信する。以上により成膜装置1側の処理が終了する。
【0054】
なお、成膜終了通知を受信した処理部3091は、上位装置300が管理する搬送ルート情報を参照し、基板100の次の搬送先が成膜ブロック301内の別の成膜室303内の成膜装置1である場合、再びS1から処理を繰り返してもよい。また、処理部3091は、次の搬送先がバッファ室306の場合にも、基板情報に基づいて基板100の受け渡し位置を変更してもよい。
【0055】
図7は、S3で示す受け渡し位置補正の具体例を示すフローチャートである。
【0056】
S31で、処理部3091は、S1で取得した基板情報を確認し、AカットであればS32に進み、BカットであればS33に進む。S32で、処理部3091は、図8(B)で示される基板情報と受け渡し位置オフセット量との関係に基づいて、オフセット量(Δx=x1,Δy=y1)を取得する。S33で、処理部3091は、図8(B)で示される基板情報と受け渡し位置オフセット量との関係に基づいて、オフセット量(Δx=x2,Δy=y2)を取得する。S34で、処理部3091は、S32又はS33で取得したオフセット量に基づいてS2で設定した受け渡し位置を補正する。これにより、基板100がAカットの場合とBカットの場合とで受け渡し位置が変更される。
【0057】
なお、x1及びx2の関係並びにy1及びy2の関係は特に限定されない。例えば、AカットとBカットとでオフセット量Δx,Δyがそれぞれ異なっていてもよい(x2≠x1かつy2≠y1)。また、AカットとBカットとでオフセット量Δx,Δyのいずれかが異なっていてもよい。例えば、x2≠x1かつy2=y1であってもよいし、x2=x1かつy2≠y1であってもよい。
【0058】
あるいは、AカットとBカットとのオフセット量Δx,Δyが同じ(x2=x1かつy2=y1)となる場合があってもよい。すなわち、本実施形態では記憶部3092は、Aカットに対応するオフセット量とBカットに対応するオフセット量とをそれぞれ記憶しているが、これらの値が同じ値になる場合があってもよい。さらに言えば、記憶部3092が基板情報に対応付けて受け渡し位置オフセット量を区別して記憶し、基板100を受け渡す際には記憶してある複数の受け渡し位置オフセット量のいずれかを基板情報に応じて選択して用いるようにすれば、受け渡し位置オフセット量の具体的な値は特に限定はされない。なお、例えば、ある基板を処理する際に基板100がAカットの場合とBカットの場合とで受け渡し位置オフセット量が同じ値であったとしても、基板を何枚か処理した後には上述のように受け渡し位置オフセット量が再設定又は更新される場合もあるため、常に同じ値であるとは限らない。
【0059】
以上説明したように、本実施形態では、処理部3091は基板情報に基づいて、搬送ロボット151に基板100を受け渡し位置へ搬送させる。これにより、大型基板から切り出された基板の搬送に関し、切り出し位置の相違による搬送位置のばらつきを抑制することができる。さらに言えば、本実施形態では、大型基板からの切り出し位置が異なる基板100Aと基板100Bとで異なる受け渡し位置が設定される。したがって、大型基板からの切り出し位置が異なることにより基板の特性が相違し、この特性の相違が基板搬送時の基板100の挙動に影響する場合であっても搬送位置のばらつきを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、基板支持ユニット6の載置部61に対する基板100の位置調整を行うにあたって、基板支持ユニット6ではなく搬送ロボット151を動作させている。したがって、成膜ユニット4と基板支持ユニット6との相対的な位置関係を維持したまま載置部61に対する基板100の位置調整が実行される。よって、基板100が載置部61に載置された後に、成膜ユニット4と基板支持ユニット6との位置調整を都度実行する必要がないため、作業時間を短縮することができる。
【0061】
<電子デバイスの製造方法>
次に、電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成及び製造方法を例示する。この例の場合、図1に例示した成膜ブロック301が、製造ライン上に、例えば、3か所、設けられる。
【0062】
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。図9(A)は有機EL表示装置50の全体図、図9(B)は1画素の断面構造を示す図である。
【0063】
図9(A)に示すように、有機EL表示装置50の表示領域51には、発光素子を複数備える画素52がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。
【0064】
なお、ここでいう画素とは、表示領域51において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。カラー有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子52R、第2発光素子52G、第3発光素子52Bの複数の副画素の組み合わせにより画素52が構成されている。画素52は、赤色(R)発光素子と緑色(G)発光素子と青色(B)発光素子の3種類の副画素の組み合わせで構成されることが多いが、これに限定はされない。画素52は少なくとも1種類の副画素を含めばよく、2種類以上の副画素を含むことが好ましく、3種類以上の副画素を含むことがより好ましい。画素52を構成する副画素としては、例えば、赤色(R)発光素子と緑色(G)発光素子と青色(B)発光素子と黄色(Y)発光素子の4種類の副画素の組み合わせでもよい。
【0065】
図9(B)は、図9(A)のA-B線における部分断面模式図である。画素52は、基板53上に、第1の電極(陽極)54と、正孔輸送層55と、赤色層56R・緑色層56G・青色層56Bのいずれかと、電子輸送層57と、第2の電極(陰極)58と、を備える有機EL素子で構成される複数の副画素を有している。これらのうち、正孔輸送層55、赤色層56R、緑色層56G、青色層56B、電子輸送層57が有機層に当たる。赤色層56R、緑色層56G、青色層56Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。
【0066】
また、第1の電極54は、発光素子ごとに分離して形成されている。正孔輸送層55と電子輸送層57と第2の電極58は、複数の発光素子52R、52G、52Bにわたって共通で形成されていてもよいし、発光素子ごとに形成されていてもよい。すなわち、図9(B)に示すように正孔輸送層55が複数の副画素領域にわたって共通の層として形成された上に赤色層56R、緑色層56G、青色層56Bが副画素領域ごとに分離して形成され、さらにその上に電子輸送層57と第2の電極58が複数の副画素領域にわたって共通の層として形成されていてもよい。
【0067】
なお、近接した第1の電極54の間でのショートを防ぐために、第1の電極54間に絶縁層59が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層60が設けられている。
【0068】
図9(B)では正孔輸送層55や電子輸送層57が一つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によって、正孔ブロック層や電子ブロック層を有する複数の層で形成されてもよい。また、第1の電極54と正孔輸送層55との間には第1の電極54から正孔輸送層55への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔注入層を形成してもよい。同様に、第2の電極58と電子輸送層57の間にも電子注入層を形成してもよい。
【0069】
赤色層56R、緑色層56G、青色層56Bのそれぞれは、単一の発光層で形成されていてもよいし、複数の層を積層することで形成されていてもよい。例えば、赤色層56Rを2層で構成し、上側の層を赤色の発光層で形成し、下側の層を正孔輸送層又は電子ブロック層で形成してもよい。あるいは、下側の層を赤色の発光層で形成し、上側の層を電子輸送層又は正孔ブロック層で形成してもよい。このように発光層の下側又は上側に層を設けることで、発光層における発光位置を調整し、光路長を調整することによって、発光素子の色純度を向上させる効果がある。
【0070】
なお、ここでは赤色層56Rの例を示したが、緑色層56Gや青色層56Bでも同様の構造を採用してもよい。また、積層数は2層以上としてもよい。さらに、発光層と電子ブロック層のように異なる材料の層が積層されてもよいし、例えば発光層を2層以上積層するなど、同じ材料の層が積層されてもよい。
【0071】
次に、有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。ここでは、赤色層56Rが下側層56R1と上側層56R2の2層からなり、緑色層56Gと青色層56Bは単一の発光層からなる場合を想定する。
【0072】
まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)及び第1の電極54が形成された基板53を準備する。なお、基板53の材質は特に限定はされず、ガラス、プラスチック、金属などで構成することができる。本実施形態においては、基板53として、ガラス基板上にポリイミドのフィルムが積層された基板を用いる。
【0073】
第1の電極54が形成された基板53の上にアクリル又はポリイミド等の樹脂層をバーコートやスピンコートでコートし、樹脂層をリソグラフィ法により、第1の電極54が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層59を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。なお、本実施形態では、絶縁層59の形成までは大型基板に対して処理が行われ、絶縁層59の形成後に、基板53を分割する分割工程が実行される。
【0074】
絶縁層59がパターニングされた基板53を第1の成膜室303に搬入し、正孔輸送層55を、表示領域の第1電極54の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層55は、最終的に1つ1つの有機EL表示装置のパネル部分となる表示領域51ごとに開口が形成されたマスクを用いて成膜される。
【0075】
次に、正孔輸送層55までが形成された基板53を第2の成膜室303に搬入する。基板53とマスクとのアライメントを行い、基板をマスクの上に載置し、正孔輸送層55の上の、基板53の赤色を発する素子を配置する部分(赤色の副画素を形成する領域)に、赤色層56Rを成膜する。ここで、第2の成膜室で用いるマスクは、有機EL表示装置の副画素となる基板53上における複数の領域のうち、赤色の副画素となる複数の領域にのみ開口が形成された高精細マスクである。これにより、赤色発光層を含む赤色層56Rは、基板53上の複数の副画素となる領域のうちの赤色の副画素となる領域のみに成膜される。換言すれば、赤色層56Rは、基板53上の複数の副画素となる領域のうちの青色の副画素となる領域や緑色の副画素となる領域には成膜されずに、赤色の副画素となる領域に選択的に成膜される。
【0076】
赤色層56Rの成膜と同様に、第3の成膜室303において緑色層56Gを成膜し、さらに第4の成膜室303において青色層56Bを成膜する。赤色層56R、緑色層56G、青色層56Bの成膜が完了した後、第5の成膜室303において表示領域51の全体に電子輸送層57を成膜する。電子輸送層57は、3色の層56R、56G、56Bに共通の層として形成される。
【0077】
電子輸送層57までが形成された基板を第6の成膜室303に移動し、第2電極58を成膜する。本実施形態では、第1の成膜室303~第6の成膜室303では真空蒸着によって各層の成膜を行う。しかし、本発明はこれに限定はされず、例えば第6の成膜室303における第2電極58の成膜はスパッタによって成膜するようにしてもよい。その後、第2電極58までが形成された基板を封止装置に移動してプラズマCVDによって保護層60を成膜して(封止工程)、有機EL表示装置50が完成する。なお、ここでは保護層60をCVD法によって形成するものとしたが、これに限定はされず、ALD法やインクジェット法によって形成してもよい。
【0078】
ここで、第1の成膜室303~第6の成膜室303での成膜は、形成されるそれぞれの層のパターンに対応した開口が形成されたマスクを用いて成膜される。成膜の際には、基板53とマスクとの相対的な位置調整(アライメント)を行った後に、マスクの上に基板53を載置して成膜が行われる。ここで、各成膜室において行われるアライメント工程は、上述のアライメント工程の通り行われる。
【0079】
<他の実施形態>
上記実施形態では、搬送装置15が成膜装置1に基板100を搬送した。しかし、搬送装置15が成膜以外の処理を行う処理装置に基板100を搬送する際に上述の処理(S1~S5)を実行してもよい。成膜以外の処理を行う処理装置としては、上述の封止装置等が挙げられる。
【0080】
また、上記実施形態では、上位装置300が各基板100の識別情報、基板情報及び搬送ルート情報を対応付けて記憶し、搬送装置15の記憶部3092が基板情報と受け渡し位置オフセット量を対応付けて記憶している。しかしながら、これらの情報を上位装置300が一括で管理してもよい。
【0081】
また、受け渡し位置のオフセット量は、成膜ブロック301内の成膜装置1ごとにそれぞれ設けられていてもよい。すなわち、オフセット量が、基板情報及び成膜装置1に基づいて設定されてもよい。しかしながら、オフセット量が基板情報にのみに対応し、基板情報が同一であれば各成膜装置1で同じオフセット量が用いられる構成も採用可能である。
【0082】
また、上記実施形態では、処理部3091は、受け渡し位置の基準値を設定した上で、基板情報に基づいて受け渡し位置をオフセットさせていた。しかしながら、複数の基板情報(上記実施形態ではAカット及びBカット)に対して複数の受け渡し位置の位置情報がそれぞれ対応付けられた情報が記憶部3092に記憶されてもよい。換言すれば、基板の切り出し位置に起因する搬送ずれを加味して予め補正された受け渡し位置の位置情報を、情報に対して対応付けて記憶部3092に記憶しておいてもよい。そして、処理部3091は、取得した基板情報に対応する位置情報を読み出し、読み出した位置情報に従った受け渡し位置で基板100が受け渡されるように、搬送ロボット151を制御してもよい。つまり、基板情報に対応付けられる情報は、受け渡し位置の基準値からのオフセット量に限らず、受け渡し位置自体の位置情報、例えば成膜ブロック301全体における固定座標系や成膜装置1における固定座標系の座標情報等であってもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、処理部3091が基板情報を上位装置300から通信により取得した(S1)。しかし、処理部3091による基板情報の取得は他の態様であってもよい。例えば、搬送装置15がオリエンテーションフラットOFの有無を検知可能なカメラ等の検知装置を備え、処理部3091はその検知結果に基づいて基板情報を取得してもよい。また、例えば基板情報を示すバーコード等の識別子を各基板100に付与しておき、識別子を読み取ることで処理部3091が基板情報を取得してもよい。
【0084】
なお、上記実施形態では、成膜室303内の成膜装置1、は基板支持ユニット6及びマスク台5等を含んで構成される基板ステージを1つ有しているといえるが、成膜装置1が2つ以上の基板ステージを有していてもよい。これにより、一方の基板ステージにある基板100に対して成膜ユニット4が成膜を行っている間に他方の基板ステージに基板100を搬入し、アライメント装置2によるアライメント等を行うことができ、作業効率を向上することができる。そして、このような構成において、記憶部3092が基板情報に基づくオフセット量を基板ステージごとに記憶してもよい。処理部3091は、基板情報及び基板100が載置されている基板ステージに基づいて受け渡し位置が変更されるように搬送ロボット151を制御してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、基板情報と基板100の識別情報とが関連付けられて上位装置300により管理されているとしたが、基板100の識別情報自体に基板情報が含まれていてもよい。例えば、識別情報を構成する文字列等に、基板情報を表す部分が含まれていてもよい。この場合、処理部3111は、上位装置300から受信した基板100の識別情報から基板情報を取得することができる。
【0086】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0087】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0088】
1 成膜装置、15 搬送装置(基板搬送装置)、151 搬送ロボット(搬送手段)、3091 処理部(取得手段、制御手段)、3092 記憶部(記憶手段)、100 基板、101 マスク
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