(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】光学フィルムおよびこれを含むマイクロLEDディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20240304BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20240304BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240304BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240304BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240304BHJP
【FI】
G02B5/02 B
G02B1/14
G09F9/00 302
G09F9/00 313
G09F9/33
H01L33/58
(21)【出願番号】P 2022548189
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 KR2021002542
(87)【国際公開番号】W WO2021177688
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0027918
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0029751
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ・イ
(72)【発明者】
【氏名】スンハク・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンレ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフン・シム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ヒョン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】サンチョル・ハン
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-016881(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186472(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0129553(KR,A)
【文献】特開平10-300908(JP,A)
【文献】特開2003-302506(JP,A)
【文献】特開2009-169409(JP,A)
【文献】特開2014-016602(JP,A)
【文献】特開2014-026122(JP,A)
【文献】特開2015-206841(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0056381(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0003232(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1161696(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第106652809(CN,A)
【文献】国際公開第2017/061493(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/02
G02B 1/14
G09F 9/00
G09F 9/33
H01L 33/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に突出部が形成された第1パターン層、および前記突出部が形成された一面に接する第2パターン層を含む光調節フィルムと;
光透過性基材と、バインダー樹脂ならびに前記バインダー樹脂上に分散された無機粒子および有機粒子を含むハードコーティング層とを含む積層体と;を含み、
前記第1パターン層の突出部は、断面が3角形であるプリズムパターンの形状を有する突出部を含み、
前記積層体は、全体ヘイズ(Ha)と内部ヘイズ(Hi)との差(Ha-Hi)が5~15%であり、
前記積層体は、下記式1による透過拡散分布が1%超過10%未満である、マイクロLEDディスプレイ用光学フィルム:
[式1]
透過拡散分布=(B/A)×100
Aは、前記光透過性基材の法線方向に光を照射した後、前記ハードコーティング層の法線方向に透過する光を測定した透過強度であり、
Bは、前記光透過性基材の法線方向に光を照射した後、前記ハードコーティング層の法線を基準として+1°または-1°で透過する光を測定した透過拡散強度である。
【請求項2】
前記第1パターン層と前記第2パターン層との屈折率差は、0.03~0.3である、請求項1に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項3】
前記光調節フィルムを2層以上含む、請求項1または2に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項4】
前記突出部は、傾斜面の傾斜角が50°~80°である、請求項1~3のいずれか一項に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項5】
前記積層体は、全体ヘイズが20%~50%であり、内部ヘイズが10%~40%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項6】
前記積層体は、下記式2の正反射強度比率が1%超過10%未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム:
[式2]
正反射強度比率=(C/D)×100
前記式2で、
Cは、前記ハードコーティング層に対して45°の入射角で光を照射した後、入射角の正反射に該当する45°で測定された反射強度であり、
Dは、前記光透過性基材に対して45°の入射角で光を照射した後、入射角の正反射に該当する45°で測定された反射強度である。
【請求項7】
前記バインダー樹脂は、多官能(メタ)アクリレート系モノマーおよびウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを3:7~7:3重量比
で含む組成物の硬化物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項8】
前記有機粒子は、粒径が1μm~10μmであり、前記無機粒子は、粒径が1nm~500nmである、請求項1~7のいずれか一項に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項9】
前記有機粒子と無機粒子の重量比は、1:0.2~1.5である、請求項1~8のいずれか一項に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項10】
前記ハードコーティング層は、多官能(メタ)アクリレート系モノマーおよびウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを3:7~7:3重量比で含むバインダー樹脂;および前記バインダー樹脂に分散された粒径が1μm~10μmである有機粒子および粒径が1nm~500nmである無機粒子
を含む組成物の硬化物を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項11】
前記ハードコーティング層の表面に前記有機粒子を含む凹凸が2個以上形成された、請求項1~10のいずれか一項に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項12】
前記有機粒子全体中の前記ハードコーティング層の厚さ方向に互いに凝集する2以上の有機微粒子の比率が5%以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項13】
前記ハードコーティング層は、十点平均粗さ(Rz)が0.05μm~0.15μmであり、凹凸の平均間隔(Sm)が0.05mm~0.20mmである、請求項1~12のいずれか一項に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項14】
前記光透過性基材は、波長400nm~800nmで測定される面内位相差(Re)が5,000~25,000nmである、請求項1~13のいずれか一項に記載のマイクロLEDディスプレイ用光学フィルム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の光学フィルムおよびディスプレイパネルを含む、マイクロLEDディスプレイ。
【請求項16】
前記ディスプレイパネルは、300~1000ppiの解像度を有する、請求項15に記載のマイクロLEDディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2020年3月10日付韓国特許出願第10-2020-0029751号および2020年3月5日付韓国特許出願第10-2020-0027918号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本発明は、光学フィルムおよびこれを含むマイクロLEDディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
平板ディスプレイ(FPD;Flat Panel Display)は、自然光などの外部光に露出される場合、表面反射光により利用者の目に疲労感を与えたり頭痛を誘発したりもし、ディスプレイ内部で作られるイメージが鮮明な像で認識されない問題を抱いている。このような短所を解決するために、ディスプレイ表面に凹凸を形成して外部の光を表面で散乱させたり、コーティング膜を形成する樹脂と粒子間の屈折率を利用して内部散乱を誘導するための防眩フィルム(Anti-Glare Film)を適用した。
【0004】
しかし、高解像度およびピクセル密度化が要求されるOLED、ミニLED、マイクロLEDなどのディスプレイに前記防眩フィルムを適用する場合、防眩フィルムの表面に形成された表面凹凸がピクセルから出る光を大きく屈折させるレンズの役割をするようになり、スパークリング現象を発生させ、イメージ表現も歪曲して像線明度が低下する問題点が発生する。したがって、高解像度およびピクセル密度化が要求されるOLED、ミニLED、マイクロLEDなどのディスプレイに適用される防眩フィルムの表面凹凸の大きさおよび凝集度などを制御してスパークリング現象を防止し、像線明度を向上させる技術開発が必要であるのが実情である。
【0005】
また、マイクロLEDディスプレイは、マイクロLEDチップの大きさ、厚さ、反射体の材質などにより発光分布が変わり、特に、マイクロLEDチップの大きさが小さくなるほど側面発光効果が増加するようになり、これによって正面よりも側面の視野角での明るさが増加する問題点がある。したがって、マイクロLEDディスプレーでは、スパークリング現象を防止して像線明度を向上させながらも、正面輝度を増加させることができる技術が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ディスプレイの正面明るさを向上させ、優れた防眩特性を示し、スパークリング現象およびレインボー現象が全て防止されて優れた光学特性を示しながらも、高強度および耐汚染性などの物理的特性に優れたマイクロLEDディスプレイ用光学フィルムを提供することにその目的がある。
【0007】
また、本発明は、前記光学フィルムを含むマイクロLEDディスプレイを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、一面に突出部が形成された第1パターン層、および前記突出部が形成された一面に接する第2パターン層を含む光調節フィルムと;光透過性基材と、バインダー樹脂ならびに前記バインダー樹脂上に分散された無機粒子および有機粒子を含むハードコーティング層とを含む積層体と;を含み、前記積層体は、全体ヘイズ(Ha)と内部ヘイズ(Hi)との差(Ha-Hi)が5~15%であり、前記積層体は、下記式1による透過拡散分布が1%超過10%未満である、マイクロLEDディスプレイ用光学フィルムを提供する。
[式1]
透過拡散分布=(B/A)×100
Aは、前記光透過性基材の法線方向に光を照射した後、前記ハードコーティング層の法線方向に透過する光を測定した透過強度であり、
Bは、前記光透過性基材の法線方向に光を照射した後、前記ハードコーティング層の法線を基準として+1°または-1°で透過する光を測定した透過拡散強度である。
【0009】
また、本明細書では、前記光学フィルムを含むマイクロLEDディスプレイが提供される。
【0010】
以下、発明の具体的な実施形態による光学フィルムおよびこれを含むマイクロLEDディスプレイについてより詳細に説明する。
【0011】
本明細書で、(メタ)アクリレート[(Meth)acrylate]は、アクリレート(acrylate)およびメタクリレート(Methacrylate)の両方を含む意味である。
【0012】
本明細書で、第1、第2の用語は、多様な構成要素を説明することに使用され、前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0013】
また、本明細書で、上部と下部は図面を基準として定義したものであり、視点により上部が下部に、下部が上部に変更され得る。
【0014】
また、本明細書で、「側面」は水平方向を基準として、球面座標系(spherical coordinate system)による(φ、θ)であり、正面を(0°、0°)、左側端地点を(180°、90°)、右側端地点を(0°、90°)という時、θが60°~90°になる領域を意味する。
【0015】
また、本明細書で、重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の分子量(単位:Da(Dalton))を意味する。前記GPC法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られた分析装置と示差屈折検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを使用することができ、通常適用される温度条件、溶媒、流速(flow rate)を適用することができる。前記測定条件の具体的な例を挙げると、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを利用してWaters PL-GPC220機器を利用して、評価温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼンを溶媒として使用し、流速は1mL/minの速度で、サンプルは10mg/10mLの濃度に調製した後、200μLの量で供給し、ポリスチレン標準を利用して形成された検定曲線を利用してMwの値を求めることができる。ポリスチレン標準品の分子量は2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を使用した。
【0016】
発明の一実施形態によれば、一面に突出部が形成された第1パターン層、および前記突出部が形成された一面に接する第2パターン層を含む光調節フィルム;および光透過性基材、およびバインダー樹脂と前記バインダー樹脂上に分散された無機粒子および有機粒子を含むハードコーティング層を含む積層体を含み、前記積層体は、全体ヘイズ(Ha)と内部ヘイズ(Hi)との差(Ha-Hi)が5~15%であり、前記積層体は、前記式1による透過拡散分布は1%超過10%未満であるマイクロLEDディスプレイ用光学フィルムが提供され得る。
【0017】
本発明者らは、一面に突出部が形成された第1パターン層、および前記突出部が形成された一面に接する第2パターン層を含む光調節フィルムと、光透過性基材および特定組成のハードコーティング層を含む積層体とを含み、前記積層体の全体ヘイズと内部ヘイズとの差が5~15%であり、前記透過拡散分布が1%超過10%未満を満たす光学フィルムをマイクロLEDディスプレイに適用する場合、マイクロLEDディスプレイの正面明るさが向上し、優れた防眩特性を示しながらも、スパークリングおよびレインボー現象が防止されて優れた光学特性を示すという点を確認して本発明を完成した。
【0018】
図1および
図2は前記一実施形態による光学フィルムの断面図である。
図1を参照すれば、前記光学フィルムは、光調節フィルム3、光透過性基材4およびハードコーティング層5を含む積層体を含むことができる。前記光学フィルムは、前記光透過性基材の両面に前記光調節フィルムおよびハードコーティング層がそれぞれ形成され得る。一方、前記光調節フィルムは、一面に2以上の突出部が形成された第1パターン層1および前記突出部が形成された一面に接する第2パターン層2を含むことができる。
【0019】
図2に示された光学フィルムは、前記光調節フィルムを複層で含む。つまり、前記光学フィルムは、第2光調節フィルム30、光調節フィルム3、光透過性基材4およびハードコーティング層5を含むことができる。前記複層構造の光調節フィルムは、それぞれ第1光調節フィルムおよび第2光調節フィルムというか、上部光調節フィルムおよび下部光調節フィルムということができる。この時、前記第1光調節フィルムと第2光調節フィルムは、厚さ、突出部形成、突出部傾斜面の傾斜角などが同一でも、異なってもよい。
【0020】
このように、前記光調節フィルム3を2層以上または3層以上含む光学フィルムは、光調節フィルムを単層で含む場合に比べて、製作難易度が顕著に低いため、収率確保に有利な特性を有することができる。
【0021】
前記マイクロLEDディスプレイは、1個以上のマイクロLEDチップを含み、前記マイクロLEDチップの大きさが小さくなるほど側面発光が高くなり、正面より側面の視野角で明るさが増加する問題点がある。しかし、前記2個以上の突出部が形成された前記第1パターン層1、および前記突出部が形成された一面に形成された第2パターン層2を含む前記光調節フィルム3は、前記マイクロLEDチップから側面に発光される光を正面に拡散させて正面視野角の明るさを向上させることができる。
【0022】
前記第1パターン層1と前記第2パターン層2の屈折率差は、0.03~0.30、0.50~0.20または0.80~0.14であり得る。前記屈折率差が0.03未満であれば光経路制御効果が低くなって十分な集光性能を得ることができないため、側面に進行される光を正面に集光してディスプレイの正面明るさを向上させ難いこともあり、前記屈折率差が0.30超えれば低屈折素材または高屈折素材が追加的に必要であるため、製造費用が急激に上昇するようになる問題点がある。また、前記第1パターン層は、屈折率が1.50以上、1.55~1.70、または1.60~1.66であり得、前記第2パターン層は、屈折率が1.50未満、1.30~1.49、または1.35~1.48であり得る。
【0023】
前記屈折率は、Sairon Technology社のSPA-4000プリズムカプラ(prism coupler)を利用して550nm波長で測定した屈折率であり得る。
【0024】
前記第1パターン層1は、一面に2個以上の突出部が形成されている。前記第1パターン層1に形成された突出部の形状はこれに限定するのではないが、レンチキュラーレンズパターン、断面が3角形~10角形であるプリズムパターン、上部に曲面が形成され、断面が3角形~10角形であるプリズムパターン、断面が三角形であるプリズムの上部が切断された形態、またはレンチキュラーレンズパターンの上部が切断された形態であり得る。この時、前記曲面は、面、放物面、楕円面、双曲面または無定形の曲面になることもできる。一方、
図1および2の第1パターン層は、断面が3角形であるプリズムパターンの形状を有する突出部を2個以上含む。
【0025】
前記突出部は、最大高さが5μm~60μm、10μm~30μmまたは15μm~25μmであり得、最大幅は5μm~20μmまたは10μm~15μmであり得る。また、突出部間の間隔は0μm~4μmまたは0μm~2μmであり得る。また、前記突出部の傾斜面の傾斜角は50°~80°、55°~80°、または60°~75°であり得る。前記突出部の前記最大高さ、最大幅、間隔および/または傾斜角が前述した範囲を満たすことによって優れた集光効果を示し、側面に進行される光を正面に集光して前記光学フィルムを含むディスプレイの正面明るさを向上させることができる。
【0026】
前記突出部が形成された第1パターン層1の一面に前記第2パターン層2が形成され得、具体的には、前記突出部が形成された一面に直接的に接して形成されて、前記第1パターン層および第2パターン層の間に如何なる接着層および/または粘着層が介されなくてもよい。
【0027】
前記マイクロLEDディスプレイ用光学フィルムが前記光調節フィルム3だけを含む場合、外部光が前記光調節フィルムで散乱されてレインボー現象が発生する問題点がある。しかし、前記一実施形態による光学フィルムは、前記光調節フィルムと共に、全体ヘイズと内部ヘイズとの差が5~15%であり、前記式1による透過拡散分布は1%超過10%未満であり、前記光透過性基材4および前記ハードコーティング層5を含む積層体を含むことによってレインボー現象を防止して視認性を向上させることができる。
【0028】
一方、前記マイクロLEDディスプレイ用光学フィルムが前記積層体だけを含む場合、側面発光が低下し、前記積層体上に形成された凹凸がピクセルから出る光を屈折させてスパークリング現象が発生する問題点があるが、前記一実施形態による光学フィルムは、前記積層体と前記光調節フィルム3を共に含むことによって、正面輝度を向上させ、スパークリング現象を防止して光学特性を向上させることができる。
【0029】
前記一実施形態の光学フィルムに含まれる積層体は、光透過性基材、およびバインダー樹脂と前記バインダー樹脂上に分散された無機粒子および有機粒子を含むハードコーティング層を含むことができる。
【0030】
また、前記積層体は、全体ヘイズ(Ha)と内部ヘイズ(Hi)との差(Ha-Hi)が5~15%であり、前記式1による透過拡散分布は1%超過10%未満であり得、これは前記ハードコーティング層のバインダー樹脂組成、バインダー樹脂に分散された有機粒子と無機粒子の直径、または有機粒子と無機粒子の重量比などに起因したものであり得る。
【0031】
具体的には、前記積層体は、全体ヘイズ(Ha)と内部ヘイズ(Hi)との差(Ha-Hi)が5~15%、7~14%、または9~13%であり得る。前記全体ヘイズと内部ヘイズとの差が5%未満であれば外部凹凸による防眩効果が低下することがあり、15%超えればスパークリングが激しくなり、像線明度が低下することがある。
【0032】
前記積層体は、全体ヘイズ(Ha)が20%~50%、25%~45%、または30%~40%であり得る。前記全体ヘイズが過度に小さければスパークリング現象が発生したり防眩特性(防眩性)が現れないことがあり、前記全体ヘイズが過度に大きければフィルムの白濁度が増加して明暗比が低下することがある。
【0033】
また、前記積層体は、内部ヘイズが10%~40%、15%~35%、または20~30%であり得る。前記内部ヘイズが過度に小さければスパークリング現象が発生することがあり、前記内部ヘイズが過度に大きければフィルムの白濁度が増加して明暗比が低下することがある。
【0034】
前記積層体は、下記式1による透過拡散分布が1%超過10%未満、3%~8%、または4%~7%であり得る。前記透過拡散分布が1%以下であれば防眩効果が低下する問題点があり、10%以上であればスパークリングが発生する問題点がある。
[式1]
透過拡散分布=(B/A)×100
Aは、前記光透過性基材の法線方向に光を照射した後、前記ハードコーティング層の法線方向に透過する光を測定した透過強度であり、
Bは、前記光透過性基材の法線方向に光を照射した後、前記ハードコーティング層の法線を基準として+1°または-1°で透過する光を測定した透過拡散強度である。
【0035】
具体的には、前記透過拡散分布で透過強度(A)および透過拡散強度(B)は、光透過性基材の法線方向に対して光を照射した後、照射された光が前記ハードコーティング層に透過する時、透過された光の測定角度によりそれぞれ前記透過強度(A)および透過拡散強度(B)に区分され得る。具体的には、前記ハードコーティング層の法線方向に測定された透過光の強度は透過強度(A)であり、これは正透過強度と定義され得る。また、前記ハードコーティング層の法線を基準として+1°または-1°で測定された透過光の強度は透過拡散強度(B)である。
【0036】
この時、前記透過強度(A)および透過拡散強度(B)の測定時、前記光透過性基材の法線方向に照射される光の強度は一定であり、具体的には、前記光透過性基材の法線方向に照射される光の強度が100である場合、前記透過強度(A)が10~60、20~50、または25~45であり得、前記透過拡散強度(B)は0.1~6、0.2~5、または0.25~4.5であり得る。
【0037】
前記光透過性基材およびハードコーティング層を含む積層体に対するIRスペクトルで、1690cm-1~1745cm-1領域の間に存在するピーク面積(IA)に対する、1500cm-1~1570cm-1領域の間に存在するピーク面積(IB)の比率(IB/IA)は、0.10~0.60、0.20~0.58、または0.30~0.55であり得る。前記ピーク面積の比率(IB/IA)が0.10未満であれば凹凸が突起の形態に均一に形成されず、スパークリング現象が発生することがあり、0.60超えれば粒子の凝集による凹凸形成が低下して防眩効果が低下することがある。
【0038】
前記IRスペクトルは、前記積層体のハードコーティング層に対してIRスペクトル測定装置であるCary660(Agilent社)を使用して測定することができ、その測定条件は20~25℃の温度条件および40~50%の湿度条件であり得る。
【0039】
一方、前記ピーク面積比率は、前記ハードコーティング層のバインダー樹脂組成、バインダー樹脂に分散された有機粒子と無機粒子の直径、または有機粒子と無機粒子の重量比などに起因したものであり得る。
【0040】
前記積層体は、下記式2の正反射強度比率が1%超過10%未満、3%~8%、または4%~7%であり得る。前記正反射強度比率が1%以下であればスパークリングが発生したり像線明度が低下することがあり、10%以上であれば防眩効果が低下する問題点がある。
[式2]
正反射強度比率=(C/D)×100
前記式2で、
Cは、前記ハードコーティング層に対して45°の入射角で光を照射した後、入射角の正反射に該当する45°で測定された反射強度であり、
Dは、前記光透過性基材に対して45°の入射角で光を照射した後、入射角の正反射に該当する45°で測定された反射強度である。
【0041】
前記式2の正反射強度比率は、前記光透過性基材に対して測定された反射強度(D)に対する、前記ハードコーティング層に対して測定された反射強度(C)を百分率で計算したものである。
【0042】
測定対象であるハードコーティング層または光透過性基材に対して面の法線から45°の角度で光を照射すれば、入射角の正反射に該当する45°で一部の光が拡散するが、この時、入射角の正反射方向である45°で測定された光の強度を測定対象によりそれぞれ反射強度(C)および反射強度(D)と定義する。また、裏面反射を抑制し、実使用時の条件に合わせるために、測定対象の裏面には非透光性基材を貼付する。
【0043】
前記非透光性基材は、光透過度がほぼ0%である可視光線などの光が全く透過されない基材であり、例えば、黒アクリル板、黒馬糞紙、または黒色粘着剤が塗布されたフィルムであり得る。前記黒色粘着剤が塗布されたフィルムとしては、例えば、黒色粘着剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムであり得る。
【0044】
より具体的には、前記反射強度(C)を測定するために、まず、ハードコーティング層に対向するように光透過性基材の一面に凹凸や反りがない平坦な前記非透光性基材を貼付することができる。その後、ハードコーティング層の面に対して面の法線から45°の角度で光速を入射し、入射角の正反射に該当する45°で反射強度(C)を測定することができる。前記反射強度(C)は1000~6000、1500~5000、または2000~4000であり得る。
【0045】
また、前記反射強度(D)を測定するために、ハードコーティング層が形成されていない光透過性基材だけを準備し、前記光透過性基材の一面に非透光性基材を貼付する。その後、前記非透光性基材が貼付されていない光透過性基材の一面に対して、面の法線から45°の角度で光速を入射し、入射角の正反射に該当する45°で反射強度(D)を測定することができる。前記反射強度(D)は50000~70000、52000~68000、または55000~65000であり得る。
【0046】
前記一実施形態による光学フィルムは、ハードコーティング層を含み、前記ハードコーティング層は、バインダー樹脂と前記バインダー樹脂に分散された有機粒子と無機粒子を含むことができる。
【0047】
前記バインダー樹脂は、多官能(メタ)アクリレート系モノマーおよびウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことができる。
【0048】
多官能(メタ)アクリレート系モノマーは、(メタ)アクリレート系官能基を2個以上、3個~10個、または3個~9個含み、重量平均分子量が1,500g/mol以下、1,000g/mol以下であり得る。
【0049】
このような多官能(メタ)アクリレート系モノマーは、これに限定するのではないが、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサエチルメタクリレート、およびブチルメタクリレートからなる群より選択された一つ以上であり得る。
【0050】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリレート系官能基を2個以上、3個~20個、または4個~15個含み、重量平均分子量が700g/mol~10,000g/mol、または1,000g/mol~8,000g/mol、または1,500g/mol~5,000g/molであり得る。
【0051】
また、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリレート系官能基の当量(equivalent weight)が100~500g/mol、150g/mol~450g/mol、または200g/mol~400g/molであり得る。このような作用基の当量は、ポリシロキサンの分子量を作用基の数で割った値であり、H-NMRまたは化学的滴定法で分析することができる。
【0052】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、これに限定するのではないが、例えば、ウレタン変性アクリレートオリゴマー、エポキシドアクリレートオリゴマー、エーテルアクリレートオリゴマー、樹脂状アクリレートオリゴマー、またはこれらの2種以上の混合物であり得る。
【0053】
前記ハードコーティング層に含まれている多官能(メタ)アクリレート系モノマーおよびウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、重量比が3:7~7:3、4:6~7:3、5:5~7:3、または6:4~7:3であり得る。前記多官能(メタ)アクリレート系モノマーの含有量が前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーに比べて過度に多ければ、前記ハードコーティング層に過度に大きい凹凸が形成されて前記透過拡散分布が10%以上になってスパークリングが発生し、像線明度が低下することがある。一方、前記多官能(メタ)アクリレート系モノマーの含有量が前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーに比べて過度に少なければ、前記ハードコーティング層に凹凸がほとんど形成されず、外部ヘイズが低くなり、前記透過拡散分布が1%以下になって防眩効果が低下することがある。
【0054】
前記一実施形態による光学フィルムに含まれる前記ハードコーティング層は、多官能(メタ)アクリレート系モノマーおよびウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを3:7~7:3重量比で含むバインダー樹脂を含みながらも、粒径が1μm~10μmである有機粒子および粒径が1nm~500nmである無機粒子を含むことができる。これによって、前記光学フィルムに含まれる積層体は、前記全体ヘイズ(Ha)と内部ヘイズ(Hi)との差、ピーク面積比率、および透過拡散分布が前述した範囲を満たし、このような積層体を含む光学フィルムは、優れた防眩特性を示しながらも、また、スパークリング現象およびレインボー現象が全て防止され、視認性などの光学特性に優れている。
【0055】
前記有機粒子は、粒径が1μm~10μm、2μm~9μm、3.5μm~8μm、または3.5μm~7μmであり得る。前記ハードコーティング層に含まれている有機粒子の粒径が過度に小さければ防眩性を実現し難く、粒径が過度に大きければスパークリングが発生することがある。
【0056】
前記有機粒子は、500~600nmの波長基準1.500~1.600、1.520~1.600、または1.540~1.595の屈折率を有することができる。前記ハードコーティング層に前述のように高い屈折率を有する有機粒子を含むことによって、優れた防眩特性を示しながらも、スパークリング不良、パネル内部で発生するムラの視認を防止することができる。
【0057】
前記無機粒子の種類はこれに限定するのではないが、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリレート-co-スチレン、ポリメチルアクリレート-co-スチレン、ポリメチルメタクリレート-co-スチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリアセタール、エポキシレジン、フェノールレジン、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン、ポリジビニルベンゼン、ポリジビニルベンゼン-co-スチレン、ポリジビニルベンゼン-co-アクリレート、ポリジアリルフタレートおよびトリアリルイソシアヌレートコポリマーの中で選択された一つの単一物またはこれらの2以上のコポリマー(copolymer)であるものを使用することができる。
【0058】
前記有機粒子は、前記バインダー樹脂100重量部に対して5~30重量部、7~25重量部、または10~20重量部であり得る。前記有機粒子の含有量が過度に少なければ防眩性を実現し難く、有機粒子の含有量が過度に多ければ適正スパークリングが発生することがある。
【0059】
前記無機粒子は、1nm~500nm、5nm~450nm、10nm~400nm、または15nm~350nmであり得る。前記ハードコーティング層に含まれている無機粒子の粒径が過度に小さければ防眩性を実現し難く、粒径が過度に大きければスパークリングが発生することがある。
【0060】
前記無機粒子の種類はこれに限定するのではないが、例えば、シリカ、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛およびポリシルセスキオキサン粒子からなる群より選択された1種以上であり得る。また、前記ポリシルセスキオキサンはケージ構造のシルセスキオキサン粒子であり得る。
【0061】
前記無機粒子は、前記バインダー樹脂100重量部に対して5~30重量部、6~25重量部、または6~20重量部であり得る。前記無機粒子の含有量が過度に少なければ防眩性を実現し難く、無機粒子の含有量が過度に多ければ適正スパークリングが発生することがある。
【0062】
前記有機粒子と無機粒子の重量比は、1:0.2~1.5、1:0.4~1.2、または1:0.5~1.0であり得る。前記有機粒子に比べて無機粒子の含有量が過度に少ない場合、防眩性が低下することがあり、無機粒子の含有量が過度に多い場合、スパークリングが発生して像線明度が低下することがある。
【0063】
前記有機粒子および無機粒子は、球形、楕円球形、棒形または不定形などの粒子形態を有することができる。棒形や無定形である場合、最も大きい次元の長さが前記範囲の粒径などを満たすことができる。
【0064】
また、前記有機粒子および無機粒子の粒径は、例えば動的光散乱法、レーザ回折法、遠心沈降法、FFF(Field Flow Fractionation)法、細孔電気抵抗法などにより測定することができる。
【0065】
前記ハードコーティング層は、前記光透過性基材と対向する面に、凹凸が2個以上形成され得る。前記凹凸は有機粒子の凝集により形成され得、これによって前記凹凸は有機粒子を含むことができる。前記凹凸には有機粒子全体が含まれたり、有機粒子の一部が含まれ得、例えば、有機粒子の50体積%以下で含まれ得る。
【0066】
前記ハードコーティング層に含まれる前記有機粒子全体中の前記ハードコーティング層の厚さ方向に互いに凝集する2以上の有機粒子の比率が5%以下であり得る。前記「凝集」は前記2以上の有機粒子が接したりまたは粒子の部分が重なる場合などを全て含む。
【0067】
前記2以上の有機粒子が凝集する場合、互いに凝集する2以上の有機粒子からなる1個のグループで少なくとも2個の有機粒子は前記ハードコーティング層の一面から異なる距離に位置することができる。このように前記ハードコーティング層の厚さ方向に異なる位置で凝集しながら存在する2個以上の有機粒子の比率を5%以下、または4.5%以下、または4%以下、または3.5%以下に調節することで、前記ハードコーティング層表面の凹凸形状を制御し、そのために防眩特性および像線明度を大きく向上させることができる。
【0068】
前記「互いに凝集する2以上の有機粒子のうちの互いに隣接する2個の有機粒子」は、前記互いに凝集する2以上の有機粒子からなる1個のグループで凝集したり直接接する2個の有機粒子を意味する。
【0069】
前記ハードコーティング層の一面から有機粒子までの距離は前記ハードコーティング層の一面から有機粒子の外部の一点までの最小距離を意味し、例えば前記ハードコーティング層の一面から有機粒子表面までの最小距離である。
【0070】
前記有機粒子が凝集したか否か、または互いに隣接する2個の有機粒子が前記ハードコーティング層の一面から異なる距離に位置したか否かは、前記光学フィルムを視覚的に確認したり光学装置を利用して確認することができる。例えば、前記光学フィルムで、前記互いに凝集する2以上の有機粒子のうちの互いに隣接する2個の有機粒子は前記ハードコーティング層の一面を基準として厚さ方向に対して異なる位置でそれぞれの光学顕微鏡上の焦点を有することができる。つまり、前記互いに凝集する2以上の有機粒子のうちの互いに隣接する2個の有機粒子は、前記ハードコーティング層の一面を基準として厚さ方向に対して異なる位置に存在して、光学顕微鏡を利用して前記ハードコーティング層の厚さ方向に焦点を移動しながら観察時、互いに隣接する2個の有機粒子のそれぞれが確認される焦点、つまり、個別の有機粒子が存在する位置が確認され得る。
【0071】
また、前述した凝集比率は、凝集されている数を確認した後、同一の測定面にある全体粒子の個数で割って凝集された粒子の比率を計算することができる。
【0072】
前述のように、前記互いに凝集する2以上の有機粒子のうちの互いに隣接する2個の有機粒子は、前記ハードコーティング層の一面から異なる距離に位置することができ、例えば前記互いに凝集する2以上の有機粒子のうちの互いに隣接する2個の有機粒子は、前記ハードコーティング層の一面から0.1μm以上、0.2μm以上、0.5μm以上、1μm以上、または2μm以上の距離の差を有して位置することができる。
【0073】
前記凹凸が形成されたハードコーティング層は、十点平均粗さ(Rz)が0.05μm~0.15μm、0.07μm~0.13μm、または0.09μm~0.11μmであり得る。また、前記ハードコーティング層は、凹凸の平均間隔(Sm)が0.05mm~0.20mm、0.07mm~0.18mm、または0.09mm~0.15mmであり得る。
【0074】
前記ハードコーティング層の厚さは、1~10μmまたは2~8μmであり得る。前記ハードコーティング層の厚さが1μm未満であれば所望の硬さ(硬度)を得ることが困難になり、10μm超えればハードコーティング層の形成時に樹脂を硬化させる過程でカール(curl)され得る。
【0075】
前記ハードコーティング層の厚さは、光学フィルムを切断した断面を走査電子顕微鏡(SEM;scanning electron microscope)観察し、ハードコーティング層のバインダー部の厚さを測定することによって求めることができる。
【0076】
一方、前記ハードコーティング層は、前記バインダー樹脂、有機粒子および無機粒子を含む光硬化性コーティング組成物を前記光透過性基材上に塗布し、塗布された結果物を光硬化することによって得られる。
【0077】
また、前記光硬化性コーティング組成物は、光開始剤をさらに含むことができる。そのために、前述した光硬化性コーティング組成物から製造されるハードコーティング層には前記光重合開始剤が残留することがある。
【0078】
前記光重合開始剤としては、光硬化性コーティング組成物に使用可能であると知られた化合物であれば大きく制限なしに使用可能であり、具体的にベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、非イミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。
【0079】
前記バインダー樹脂100重量部に対して、前記光重合開始剤は1~10重量部、2~9重量部、または3~8重量部の含有量で使用することができる。前記光重合開始剤の量が過度に小さければ、前記光硬化性コーティング組成物の光硬化段階で未硬化されて残留する物質が発生することがある。前記光重合開始剤の量が過度に多ければ、未反応開始剤が不純物として残留したり架橋密度が低くなって製造されるフィルムの機械的物性が低下することがある。
【0080】
また、前記光硬化性コーティング組成物は、有機溶媒をさらに含むことができる。前記有機溶媒の非制限的な例を挙げれば、ケトン類、アルコール類、アセテート類、エーテル類、ベンゼン誘導体類またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0081】
このような有機溶媒の具体的な例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンまたはイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、またはt-ブタノールなどのアルコール類;エチルアセテート、i-プロピルアセテート、またはポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアセテート類;テトラヒドロフランまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;トルエン、キシレン、アニリンなどのベンゼン誘導体類;またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0082】
前記有機溶媒は、前記光硬化性コーティング組成物に含まれる各成分を混合する時期に添加されたり、各成分が有機溶媒に分散または混合された状態で添加されながら、前記光硬化性コーティング組成物に含まれ得る。前記光硬化性コーティング組成物中の有機溶媒の含有量が過度に小さければ、前記光硬化性コーティング組成物の流れ性が低下して最終製造されるフィルムに縞が生じるなど不良が発生することがある。また、前記有機溶媒の過量添加時に固形分含有量が低くなり、コーティングおよび成膜が十分に行われず、フィルムの物性や表面特性が低下することがあり、乾燥および硬化過程で不良が発生することがある。そのために、前記光硬化性コーティング組成物は、含まれる成分の全体固形分の濃度が1重量%~50重量%、または2~20重量%になるように有機溶媒を含むことができる。
【0083】
一方、前記光硬化性コーティング組成物を塗布することに通常使用される方法および装置を特別な制限なしに使用することができ、例えば、メイヤーバー(Meyer bar)などのバーコーティング法、グラビアコーティング法、2ロールリバース(2 roll reverse)コーティング法、バキュームスロットダイ(vacuum slot die)コーティング法、2ロール(2 roll)コーティング法などを使用することができる。
【0084】
前記光硬化性コーティング組成物を光硬化させる段階では、200~400nm波長の紫外線または可視光線を照射することができ、照射時の露光量は100~4,000mJ/cm2が好ましい。露光時間も特に限定されるのではなく、使用される露光装置、照射光線の波長または露光量により適切に変化させることができる。また、前記光硬化性コーティング組成物を光硬化させる段階では、窒素雰囲気条件を適用するために窒素パージングなどを行うことができる。
【0085】
前記光学フィルムは、光透過性基材を含む。前記光透過性基材は、透明性を有するプラスチックフィルムであり得、JIS K 7361による透過度が90%以上、91%以上、または92%以上であり得る。
【0086】
また、前記光透過性基材はこれに限定されるのではないが、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ジアセチルセルロース、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂などであり得る。
【0087】
前記光透過性基材は、波長400nm~800nmで測定される面内位相差(Re)が5,000nm~25,000nm、7,000nm~20,000nmであり得る。このような位相差を満たす光透過性基材を含む前記光学フィルムは、可視光線の干渉によるレインボー現象が防止され得る。
【0088】
面内位相差(Re)は、光透過性基材の厚さをd、面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内の進相軸方向の屈折率をnyと定義する時、下記式で定義され得る。
Re=(nx-ny)*d
【0089】
また、前記位相差値は絶対値で正数と定義することができる
【0090】
前記光透過性基材の厚さは、生産性などを考慮して10~300μm、30~250μmまたは40~200μmであり得るが、これに限定するのではない。
【0091】
発明の他の実施形態によれば、前記光学フィルムおよびディスプレイパネルを含むマイクロLEDディスプレイが提供され得る。
【0092】
前記ディスプレイパネルは、マイクロLEDチップが含まれるディスプレイパネルであり、例えば、単位基板、前記単位基板に上に実装される複数個のLEDチップが含まれるピクセルなどを含むことができる。
【0093】
また、前記ピクセルを構成する前記LEDチップは、断面の大きさ、具体的には、断面の一面の長さが10~100μm、または20~80μmであり得る。また、前記LEDチップの高さは0.5~10μm、または1~5μmであり得る。
【0094】
前記ディスプレイパネルには前記LEDチップを6x106個~192x106個、または3x106個~100x106個含むことができる。また、1個の前記ピクセルには3~6個、または4~5個のLEDチップが含まれ得る。
【0095】
また、前記ディスプレイパネルは、300~1000ppi、350~900ppi、または400~850ppiの解像度を有することができる。
【0096】
前記マイクロLEDディスプレイは、前記光学フィルムとディスプレイパネル以外にも、LED平坦化層、散乱型粘着剤層およびカバーグラス(Cover Glass)からなる群より選択された一つ以上をさらに含むことができる。
【0097】
前記光学フィルムは、前記マイクロLEDディスプレイパネル上で視認側に位置して側面で進行される光を正面に集光してディスプレイ正面明るさを向上させることができ、防眩特性を向上させながらも、スパークリングおよびレインボー現象を防止して像線明度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0098】
本発明によれば、ディスプレイの正面明るさを向上させ、優れた防眩特性を示し、また、スパークリング現象およびレインボー現象が全て防止されて優れた光学特性を示しながらも、高強度および耐汚染性などの物理的特性に優れた光学フィルムおよびこれを含むマイクロLEDディスプレイが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【
図1】光調節フィルム3、光透過性基材4およびハードコーティング層5を含む光学フィルムの一例を示したものである。
【
図2】第2光調節フィルム30、光調節フィルム3、光透過性基材4およびハードコーティング層5を含む光学フィルムの一例を示したものである。
【
図3】製造例3の光調節フィルム1~4および対照群を含むマイクロLEDディスプレイ装置の垂直(V)/水平(H)輝度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0100】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例により限定されるのではない。
【0101】
[製造例1:ハードコーティング層形成用組成物1~5の製造]
(1-a)ハードコーティング層形成用組成物1の製造
ペンタエリートリトールトリアクリレート50g、MU9800(9官能のウレタンアクリレート系オリゴマー、製造会社:MIWON、重量平均分子量:3500g/mol、アクリレート基当量:389g/mol)50g、開始剤としてD1173(製造会社:Ciba)7g、溶媒であるメチルイソブチルケトン100g、MA-ST(ナノシリカ粒子、製造会社:Nissan Chemical、粒径:10~15nm、30% inメタノール)21g、およびPS-a(ポリスチレン球形粒子、粒径3.5μm、屈折率:1.595)12gを混合して、ハードコーティング層形成用組成物1を製造した。
【0102】
この時、粒子の粒径は動的光散乱法により測定した。
【0103】
(1-b)ハードコーティング層形成用組成物2の製造
ペンタエリートリトールトリアクリレート50g、MU9800 50g、開始剤としてD1173 7g、溶媒であるメチルイソブチルケトン100g、PMA-ST(ナノシリカ粒子、製造会社:Nissan Chemical、粒径:10~15nm、30%inプロピレングリコールモノメチルエーテル酢酸)20g、PS-a 8g、およびPS-PMMA-a(ポリスチレン-ポリメチルメタクリレート共重合球形粒子、粒径3.5μm、屈折率:1.555)3gを混合して、ハードコーティング層形成用組成物2を製造した。
【0104】
(1-c)ハードコーティング層形成用組成物3の製造
ペンタエリートリトールトリアクリレート50g、MU9800 50g、開始剤としてD1173 7g、溶媒であるメチルイソブチルケトン100g、MA-ST 1.2gおよびPS-PMMA-b(ポリスチレン-ポリメチルメタクリレート共重合球形粒子、粒径2μm、屈折率:1.555)5gを混合して、ハードコーティング層形成用組成物3を製造した。
【0105】
(1-d)ハードコーティング層形成用組成物4の製造
ペンタエリートリトールトリアクリレート100g、開始剤としてD1173 7gおよび溶媒であるメチルイソブチルケトン100gを混合して、ハードコーティング層形成用組成物4を製造した。
【0106】
(1-e)ハードコーティング層形成用組成物5の製造
ペンタエリートリトールトリアクリレート50g、EB1290(6官能基ウレタンアクリレートオリゴマー、製造会社:SK Cytec、重量平均分子量:1,000g/mol、アクリレート基当量:167g/mol)50g、開始剤としてD1173 7g、溶媒であるメチルイソブチルケトン50g、トルエン50g、およびSS-50B(表面処理疎水性シリカ粒子、製造会社:Tosoh、粒径2μm)12gを混合して、ハードコーティング層形成用組成物5を製造した。
【0107】
[製造例2:積層体の製造]
ハードコーティング層形成用組成物1~5を下記表1のように光透過性基材であるトリアセチルセルロース(TAC、厚さ60μm)に#10 meyer barでコーティングして90℃で1分乾燥した。このような乾燥物に150mJ/cm2の紫外線を照射してハードコーティング層を形成して積層体1~5をそれぞれ製造した。この時、ハードコーティング層の厚さは下記表1に記載した。
【0108】
【0109】
[製造例3:光調節フィルムの製造]
(3-a)光調節フィルム1の製造
フッ素化合物を含む低屈折率パターン層形成用組成物(製品名:RS-4139、製造会社:Aekyung Chemical)と、フルオレン系アクリレートを含む高屈折率パターン層形成用組成物(製品名:RS-4158E、製造会社:Aekyung Chemical)を準備した。
【0110】
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に前記低屈折率パターン層形成用組成物をコーティングし、多数の突出部が陰刻されたテンプレートをコーティング層に印刻しながら硬化して、1.48の屈折率を有する第1パターン層を形成した。この時、前記第1パターン層の一面には断面が三角形であるプリズムパターンの突出部が複数形成され、突出部傾斜面の傾斜角が75°であり、突出部間の間隔が0μmであり、突出部の最大高さが25μmであり、最大幅が13.5μmであった。
【0111】
前述した多数の突出部が形成された面に前記高屈折率パターン層形成用組成物をコーティングして前記突出部の間を全て充填し、硬化して、1.61の屈折率を有する第2パターン層を形成し、前記異形フィルムであるTACフィルムから離して、光調節フィルム1を製造した。
【0112】
(3-b)光調節フィルム2の製造
下記表2のように複層構造の光調節フィルムを含むことを除き、(a)光調節フィルム1の製造方法と同様な方法で光調節フィルム2を製造した。
【0113】
(3-c)光調節フィルム3の製造
下記表2のように第1および第2パターン層が屈折率を有することを除き、(a)光調節フィルム1の製造方法と同様な方法で光調節フィルム3を製造した。
【0114】
(3-d)光調節フィルム4の製造
下記表2のように第1および第2パターン層が屈折率および複層構造を有することを除き、(a)光調節フィルム1製造方法と同様な方法で光調節フィルム4を製造した。
【0115】
【0116】
[実施例および比較例:光学フィルムの製造]
下記表3のように、製造例2で製造された積層体1~5と、製造例3で製造された光調節フィルム1~4をそれぞれ粘着フィルム(厚さ50μm)でラミネートして光学フィルムを製造した。
【0117】
【0118】
<実験例>
[1.透過度およびヘイズの測定]
前記製造例2で得られた積層体から4cm×4cmの試片を準備し、ヘイズ測定器(HM-150、A光源、MURAKAMI社)で3回測定して平均値を計算し、これを全体ヘイズ値で算出した。この時、透光度と全体ヘイズは同時に測定され、透光度はJIS K 7361規格、ヘイズはJIS K 7136規格により測定した。
【0119】
内部ヘイズ測定時には、ハードコーティング層に全体ヘイズが0である粘着フィルムを付けて表面の凹凸を平坦にさせた後、前記全体ヘイズと同一方法で内部ヘイズを測定した。この時、積層体の測定された透過度およびヘイズは表4に示した。
【0120】
[2.透過拡散分布]
前記製造例2で得られた積層体をゴニオメーター(GC5000L、日本電色工業社)に設置し、前記積層体の光透過性基材の法線方向に光を照射した後、前記ハードコーティング層で透過された光の強度を測定した。この時、前記ハードコーティング層の法線方向に透過する光の強度は透過強度(A)にし、前記ハードコーティング層の法線を基準として+1°または-1°で透過する光の強度は透過拡散強度(B)にし、これを下記式1に代入して、透過拡散分布を計算してその結果を下記表4に示した。
[式1]
透過拡散分布=(B/A)×100
【0121】
[3.正反射強度比率の測定]
前記製造例2で得られた積層体のハードコーティング層に対向するように光透過性基材の一面に凹凸や反りがない平坦な黒色粘着剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムを貼付して試片を準備した。その後、試片をゴニオメーター(GC5000L、日本電色工業社)に設置し、試片のハードコーティング層面に対して面の法線から45°の角度で光を照射した。光がハードコーティング層面に照射された後、入射角の正反射に該当する45°で反射強度(C)を測定した。
【0122】
また、前記製造例2で前記ハードコーティング層が形成されていない光透過性基材の一面に凹凸や反りがない平坦な黒色粘着剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムを貼付して試片を準備し、前記反射強度(C)を測定する方法と同様な方法で反射強度(D)を測定した。
【0123】
測定された反射強度CおよびDを下記式2に代入して、正反射強度比率を計算してその結果を下記表4に示した。
[式2]
正反射強度比率=(C/D)×100
【0124】
[4.スパークリング発生の確認]
前記製造例2で得られた積層体および実施例と比較例から得られた光学フィルムに対して12cmx12cmの大きさでサンプルを準備した後、スライドグラスに透明接着フィルム(OCA)で付着した。その後、解像度が400ppiであるパネル上にハードコーティング面が上に向かうようにサンプルを載せる。この時、フィルムが浮き立たないように斜面にテープを付けてもよい。その後、白い画面が見えるようにパネルを駆動した後、サンプル10cmx10cm以内の領域でスパークリング発生の有無を確認した。
【0125】
評価基準は下記に記載されたとおりであり、前記積層体に対する結果は表4に示し、前記光学フィルムに対する結果は表6に示した。
<評価基準>
良:光のきらめきがない
不良:光がきらめく
【0126】
[5.防眩性の評価]
前記製造例2で得られた積層体のハードコーティング層に対向するように光透過性基材の一面に凹凸や反りがない平坦な黒色粘着剤が塗布されたポリエチレンテレフタレートフィルムを貼付して試片を準備した。その後、2列のランプを有する蛍光ランプ照明を光源にしてそれぞれの積層体での正反射方向から視野を観察して蛍光ランプの反射された像のイメージを区分する方法で視感を測定した。視感評価基準は下記に記載されたとおりであり、その結果を下記表4に示した。
<評価基準>
良:ランプ像が観察されない
不良:ランプ像が明確に見える
【0127】
[6.輝度の評価]
前記実施例および比較例の光学フィルムを利用してマイクロLEDディスプレイ装置を構成してシミュレーションを進行した。具体的には、シミュレーションは、光学シミュレーションS/WであるZEMAXを利用し、1000万Rayを適用し、polar detectorを利用して視野角別強度(intensity)および輝度分布を計算した。前記マイクロLEDディスプレイ装置の正面輝度を測定し、その結果をそれぞれ下記表5に示した。また、マイクロLEDディスプレイ装置の垂直(V)/水平(H)輝度を測定し、その結果を下記
図3に示した。
【0128】
一方、対照群としては、前記光調節フィルムが形成されていないマイクロLEDディスプレイ装置に対して中心輝度を測定して下記表5に示した。
【0129】
[7.レインボー現象の発生の確認]
実施例と比較例から得られた光学フィルムから10cmx10cmの試片を準備し、ラミネーション工程を利用してハードコーティング層の反対面にブラックフィルム(UTS-30BAFフィルム、Nitto社)を付ける。ハードコーティング面に三波長ランプ光が反射されるようにした後、反射されたイメージのレインボー発生の有無を確認し、その結果を表6に示した。
<測定基準>
ない:レインボーが視認されない
発生:レインボーが視認される。緑-青、青-紫などレインボーを形成する色間の平均波長差が80nm以下である
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
前記表4によれば、積層体1および積層体2は、全体ヘイズと内部ヘイズとの差が5~15を満たし、透過拡散分布が1%超過10%未満を満たすことによって、スパークリング現象が発生しないながらも、防眩性に優れた効果が現れることを確認した。反面、積層体3~積層体5は、全体ヘイズと内部ヘイズとの差が5~15を満たさないか、透過拡散分布が1%超過10%未満を満たさないため、スパークリングが発生したり防眩性が不良であるという問題点が発生する点を確認した。
【0134】
前記表6によれば、光調節フィルムと共に前記積層体1および積層体2をそれぞれ含む実施例1~5の光学フィルムは、スパークリング現象が防止されながらも、レインボーが発生しないという点を確認した。特に、前記表5によれば、光調節フィルム1~4は、側面に進行される光も正面に集光して、対照群に比べて中心輝度が顕著に高く、このような光調節フィルムを含む光学フィルムは正面輝度が高いことを予測できる。また、このような光調節フィルムだけを使用する場合、外部光が前記光調節フィルムで散乱されてレインボーが発生する問題点があるが、前記実施例1~5の光学フィルムには、前記光調節フィルムと共に前記積層体が含まれることによって、レインボー現象が防止されることを確認した。
【0135】
一方、光調節フィルムと共に積層体3~積層体5をそれぞれ含む比較例1~3の場合、レインボーが発生したりスパークリングが発生する問題点があるという点を確認した。
【符号の説明】
【0136】
1:第1パターン層
2:第2パターン層
3:光調節フィルム
4:光透過性基材
5:ハードコーティング層
10:第1パターン層
20:第2パターン層
30:第2光調節フィルム