(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】極紫外線マスクブランクの欠陥の低減
(51)【国際特許分類】
G03F 1/24 20120101AFI20240304BHJP
【FI】
G03F1/24
(21)【出願番号】P 2021500055
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(86)【国際出願番号】 US2019040682
(87)【国際公開番号】W WO2020010303
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-03-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-16
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アビナンド, サイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シューウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フォン, ホイ ニー グレース
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ケ
(72)【発明者】
【氏名】ジンダル, ビブー
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】安藤 達哉
【審判官】松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-26093(JP,A)
【文献】特開平2-159374(JP,A)
【文献】特開昭48-32781(JP,A)
【文献】特開2015-86438(JP,A)
【文献】特開2012-144751(JP,A)
【文献】特開2014-130977(JP,A)
【文献】特開2007-119920(JP,A)
【文献】特開2004-331998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L21/027
C23C14/00 -14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法であって、
一の開口部を有する回転シールドと、ケイ素ターゲット、前記ケイ素ターゲットの第1の側に隣接する第1のモリブデンターゲットおよび前記ケイ素ターゲットの第2の側に隣接する第2のモリブデンターゲットを含む少なくとも3つのターゲットと、を備えるマルチカソード物理気相堆積チャンバ内に、基板を配置することと、
前記回転シールドを回転させて、前記一の開口部を前記第1のモリブデンターゲットに整列させ、前記第1のモリブデンターゲットから第1のモリブデン層を前記基板上に堆積させることと、
前記回転シールドを回転させて、前記一の開口部を前記ケイ素ターゲットに整列させ、前記ケイ素ターゲットからケイ素層を前記第1のモリブデン層上に堆積させることと、
前記回転シールドを回転させて、前記一の開口部を前記第2のモリブデンターゲットに整列させ、前記第2のモリブデンターゲットから第2のモリブデン層を前記ケイ素層上に堆積させることと、
を含
む、方法。
【請求項2】
前記第1のモリブデン層が
、1nmか
ら10nmの範囲の厚さを有し、前記ケイ素層が
、1nmか
ら10nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回転シールドを回転させることと、
前記第1のモリブデンターゲット、前記ケイ素ターゲット、および前記第2のモリブデンターゲットのうちの1つの選択されたターゲットを利
用すること、を繰り返して、モリブデン
層とケイ素
層の交互の層を含
む多層スタックを形成
し、
前記モリブデン層と前記ケイ素層の各々は極紫外線を反射する反射層である、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記多層スタック上にキャッピング層を堆積させることを、さらに含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する
方法であって、
一の開口部を有する回転シールドを回転させて、前記一の開口部を、ケイ素ターゲットの第1の側に隣接する第1のモリブデンターゲットに整列させ、前記第1のモリブデンターゲットから、第1のモリブデン層を基板上に堆積させることと、
前記回転シールドを回転させて、前記一の開口部を前記ケイ素ターゲットに整列させ、前記第1のモリブデン層上にケイ素層を堆積させることと、
前記回転シールドを回転させて、前記一の開口部を、前記ケイ素ターゲットの第2の側に隣接する第2のモリブデンターゲットに整列させ、前記第2のモリブデンターゲットから、第2のモリブデン層を前記ケイ素層上に堆積させることと、
によって前記基板上に反射層の多層スタックを形成することを含
む、方法。
【請求項6】
前記第1のモリブデン層が
、1nmか
ら10nmの範囲の厚さを有する、請求項
5に記載の
方法。
【請求項7】
前記第2のモリブデン層が
、1nmか
ら10nmの範囲の厚さを有する、請求項
5に記載の
方法。
【請求項8】
前記ケイ素層が
、1nmか
ら10nmの範囲の厚さを有する、請求項
5に記載の
方法。
【請求項9】
前記回転シールドを回転させることと、前記第1のモリブデンターゲット、前記ケイ素ターゲット、および前記第2のモリブデンターゲットのうちの1つの選択されたターゲットを利用すること、を繰り返して、モリブデンとケイ素の交互の層を含む
前記多層スタックを形成す
る、請求項
5に記載の
方法。
【請求項10】
前記多層スタック上にキャッピング層を堆積させることを、さらに含む、請求項
5に記載の
方法。
【請求項11】
真空を生成するための基板ハンドリング真空チャンバ、
前記基板ハンドリング真空チャンバ内にロードされた基板を前記真空中で搬送するための基板ハンドリングプラットフォーム、
ターゲットを利用可能にするための一の開口部を有する回転シールド、ならびに
ケイ素ターゲット、前記ケイ素ターゲットの第1の側に隣接する第1のモリブデンターゲットおよび前記ケイ素ターゲットの第2の側に隣接する第2のモリブデンターゲットを含む少なくとも3つのターゲット、
を備える極紫外線(EUV)マスクブランク製造システムであって、前記回転シールドを回転させて、前記一の開口部を前記第1のモリブデンターゲットに整列させ、第1のモリブデン層を前記基板上に堆積させることと、前記回転シールドを回転させて、前記一の開口部を前記ケイ素ターゲットに整列させ、ケイ素層を前記第1のモリブデン層上に堆積させることと、前記回転シールドを回転させて、前記一の開口部を前記第2のモリブデンターゲットに整列させ、第2のモリブデン層を前記ケイ素層上に堆積させることが可能であ
る、
極紫外線(EUV)マスクブランク製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、極紫外線リソグラフィに関し、より具体的には、合金吸収体を備えた極紫外線マスクブランクおよび製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]軟X線投影リソグラフィとしても知られる極紫外線(EUV)リソグラフィが、0.0135ミクロン以下の最小フィーチャサイズの半導体デバイスの製造に使用され得る。一般に5~100ナノメートルの波長範囲にある極紫外線は、事実上すべての材料に強く吸収される。そのため、極紫外線システムは、光の透過ではなく反射によって機能する。一続きのミラーまたはレンズエレメント、および無反射吸収体マスクパターンでコーティングされた反射エレメントまたはマスクブランクを使用することにより、パターニングされた化学線が、レジストコーティングされた半導体基板上に反射される。
【0003】
[0003]極紫外線リソグラフィシステムのレンズエレメントとマスクブランクは、モリブデンやケイ素などの材料の反射多層コーティングでコーティングされている。レンズエレメントまたはマスクブランクあたり約65%の反射値が、非常に狭い紫外線バンドパス(例えば、13.5ナノメートルの紫外線に対して12.5~14.5ナノメートルのバンドパス)内の光を強く反射する多層コーティングでコーティングされた基板を使用することによって得られた。
【0004】
[0004]EUVブランクは、ブランクの作業領域上の欠陥に対する許容度が低い。ケイ素とモリブデンの堆積は、不均衡な応力をチャンバにもたらし、最終的には応力に関連する欠陥の原因となる。ブランクの作業領域にキラータイプの欠陥(大きな欠陥)がなく(これらの欠陥は修復が難しいので)、EUVマスクが機能することが、目標である。したがって、応力の不均衡によって生成される欠陥が低減されたEUVブランクが必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示の1つ以上の実施形態は、極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法に関する。この方法は、基板をマルチカソード物理気相堆積チャンバ内に配置することを含み、チャンバは、少なくとも3つのターゲット、ケイ素ターゲットの第1の側に隣接する第1のモリブデンターゲットおよびケイ素ターゲットの第2の側に隣接する第2のモリブデンターゲットを含む。第1のモリブデン層が、基板上に堆積され、第1のモリブデン層は、第1のモリブデンターゲットから堆積される。ケイ素層が、第1のモリブデン層上に堆積され、ケイ素層は、ケイ素ターゲットから堆積される。第2のモリブデン層が、ケイ素層上に堆積され、第2のモリブデン層は、第2のモリブデンターゲットから堆積される。
【0006】
[0006]本開示の追加の実施形態は、極紫外線(EUV)マスクブランクを製造するプロセスに関する。このプロセスは、基板上に第1のモリブデン層を堆積させることであって、第1のモリブデン層は、ケイ素ターゲットの第1の側に隣接する第1のモリブデンターゲットから堆積される、堆積させることと、第1のモリブデン層上にケイ素層を堆積させることと、ケイ素層上に第2のモリブデン層を堆積させることであって、第2のモリブデン層は、ケイ素ターゲットの第2の側に隣接する第2のモリブデンターゲットから堆積される、堆積させることと、によって基板上に反射層の多層スタックを形成することを含む。
【0007】
[0007]本開示のさらなる実施形態は、真空を生成するための基板ハンドリング真空チャンバ、基板ハンドリング真空チャンバにロードされた基板を真空中で搬送するための基板ハンドリングプラットフォーム、ターゲットを利用可能にするための少なくとも1つの開口部を有する回転シールド、ならびに少なくとも3つのターゲット、ケイ素ターゲットの第1の側に隣接する第1のモリブデンターゲットおよびケイ素ターゲットの第2の側に隣接する第2のモリブデンターゲット、を含む極紫外線(EUV)マスクブランク製造システムに関する。
【0008】
[0008]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、そのいくつかは添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを例示し、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではなく、本開示は、他の同等に有効な実施形態を認めることができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】極紫外線リソグラフィシステムの実施形態を概略的に示す。
【
図2】極紫外線反射エレメント製造システムの実施形態を示す。
【
図3】マルチカソード物理堆積チャンバの実施形態を示す。
【
図4A-4B】一実施形態によるマルチカソード物理堆積チャンバの構成要素を示す。
【
図5】EUVマスクブランクなどの極紫外線反射エレメントの実施形態を示す。
【
図6】一実施形態による方法における総フレーキングのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0015]本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載される構造またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。
【0011】
[0016]本明細書で使用される「水平」という用語は、その向きに関係なく、マスクブランクの平面または表面に平行な平面として定義される。「垂直」という用語は、上記で定義されたような水平に直角な方向を指す。「~より上」、「~より下」、「下部」、「上部」、「側部」(「側壁」におけるような)、「高い方の」、「低い方の」、「上部の」、「~の上」、「~の下」などの用語は、図に示すように、水平面に対して定義される。
【0012】
[0017]「上(on)」という用語は、要素間に直接的接触があることを示す。「直接上(directly on)」という用語は、介在要素なしで要素間に直接的接触があることを示す。
【0013】
[0018]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と反応する任意のガス種を指すために交換可能に使用される。
【0014】
[0019]当業者は、プロセス領域を説明するための「第1」および「第2」などの序数の使用は、処理チャンバ内の特定の位置、または処理チャンバ内の曝露の順序を意味しないことを理解するであろう。
【0015】
[0020]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「基板」という用語は、プロセスが作用する表面または表面の一部を指す。文脈が明らかに他のことを示さない限り、基板への言及は基板の一部のみへの言及であることも、当業者には理解されるであろう。さらに、いくつかの実施形態では、基板上に堆積させることへの言及は、ベア基板と、1つ以上の膜またはフィーチャがその上に堆積または形成された基板の両方を意味する。
【0016】
[0021]ここで
図1を参照すると、極紫外線リソグラフィシステム100の例示的な実施形態が示されている。極紫外線リソグラフィシステム100は、極紫外線112を生成するための極紫外線光源102、一組の反射エレメント、およびターゲットウェハ110を含む。反射エレメントは、集光レンズ104、EUV反射マスク106、光学縮小アセンブリ108、マスクブランク、ミラー、またはそれらの組み合わせを含む。
【0017】
[0022]極紫外線光源102は、極紫外線112を生成する。極紫外線112は、5から50ナノメートル(nm)の範囲の波長を有する電磁放射である。例えば、極紫外線光源102は、レーザー、レーザー生成プラズマ、放電生成プラズマ、自由電子レーザー、シンクロトロン放射光、またはそれらの組み合わせを含む。
【0018】
[0023]極紫外線光源102は、様々な特性を有する極紫外線112を生成する。極紫外線光源102は、ある範囲の波長にわたる広帯域の極紫外線放射を生成する。例えば、極紫外線光源102は、5から50nmの範囲の波長を有する極紫外線112を生成する。
【0019】
[0024]1つ以上の実施形態では、極紫外線光源102は、狭い帯域幅を有する極紫外線112を生成する。例えば、極紫外線光源102は、13.5nmの極紫外線112を生成する。波長ピークの中心が、13.5nmである。
【0020】
[0025]集光レンズ104は、極紫外線112を反射および集束させるための光学ユニットである。集光レンズ104は、極紫外線光源102からの極紫外線112を反射および集光して、EUV反射マスク106を照明する。
【0021】
[0026]集光レンズ104は、単一のエレメントとして示されているが、いくつかの実施形態の集光レンズ104は、極紫外線112を反射および集光するために、凹面鏡、凸面鏡、平面鏡、またはそれらの組み合わせなどの1つ以上の反射エレメントを含むことが理解される。例えば、いくつかの実施形態の集光レンズ104は、単一の凹面鏡、または凸面、凹面、および平面の光学エレメントを有する光学アセンブリである。
【0022】
[0027]EUV反射マスク106は、マスクパターン114を有する極紫外線反射エレメントである。EUV反射マスク106は、ターゲットウェハ110上に形成されるべき回路レイアウトを形成するためのリソグラフィパターンを生成する。EUV反射マスク106は、極紫外線112を反射する。マスクパターン114は、回路レイアウトの一部を画定する。
【0023】
[0028]光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の画像を縮小するための光学ユニットである。EUV反射マスク106からの極紫外線112の反射は、光学縮小アセンブリ108によって縮小され、ターゲットウェハ110上に反射される。いくつかの実施形態の光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の画像のサイズを縮小するためのミラーおよび他の光学エレメントを含む。例えば、いくつかの実施形態の光学縮小アセンブリ108は、極紫外線112を反射および集束させるための凹面鏡を含む。
【0024】
[0029]光学縮小アセンブリ108は、ターゲットウェハ110上のマスクパターン114の画像のサイズを縮小する。例えば、いくつかの実施形態のマスクパターン114は、ターゲットウェハ110上に光学縮小アセンブリ108によって4:1の比率で画像化され、ターゲットウェハ110上にマスクパターン114によって表される回路を形成する。いくつかの実施形態の極紫外線112は、ターゲットウェハ110と同期して反射マスク106を走査して、ターゲットウェハ110上にマスクパターン114を形成する。
【0025】
[0030]ここで
図2を参照すると、極紫外線反射エレメント製造システム200の実施形態が示されている。極紫外線反射エレメントは、EUVマスクブランク204、極紫外線(EUV)ミラー205、またはEUV反射マスク106などの他の反射エレメントを含む。
【0026】
[0031]いくつかの実施形態の極紫外線反射エレメント製造システム200は、
図1の極紫外線112を反射するマスクブランク、ミラー、または他のエレメントを製造する。極紫外線反射エレメント製造システム200は、ソース基板203に薄いコーティングを適用することによって反射エレメントを製造する。
【0027】
[0032]EUVマスクブランク204は、
図1のEUV反射マスク106を形成するための多層構造体である。いくつかの実施形態のEUVマスクブランク204は、半導体製造技術を使用して形成される。いくつかの実施形態のEUV反射マスク106は、エッチングおよび他のプロセスによってマスクブランク204上に形成された
図1のマスクパターン114を有する。
【0028】
[0033]極紫外線ミラー205は、ある範囲の極紫外線を反射する多層構造体である。いくつかの実施形態の極紫外線ミラー205は、半導体製造技術を使用して形成される。いくつかの実施形態のEUVマスクブランク204と極紫外線ミラー205は、各エレメント上に形成された層に関して同様の構造体であるが、極紫外線ミラー205は、マスクパターン114を有さない。
【0029】
[0034]反射エレメントは、極紫外線112の効率的な反射器である。一実施形態では、EUVマスクブランク204および極紫外線ミラー205は、60%を超える極紫外線反射率を有する。反射エレメントは、極紫外線112の60%超を反射する場合に効率的である。
【0030】
[0035]極紫外線反射エレメント製造システム200は、そこにソース基板203がロードされ、そこから反射エレメントがアンロードされるウェハローディングおよびキャリアハンドリングシステム202を含む。大気ハンドリングシステム206が、ウェハハンドリング真空チャンバ208へのアクセスを提供する。いくつかの実施形態のウェハローディングおよびキャリアハンドリングシステム202は、基板を大気からシステム内の真空に移送するための基板搬送ボックス、ロードロック、および他の構成要素を含む。EUVマスクブランク204は、非常に小さなスケールでデバイスを形成するために使用されるので、ソース基板203およびEUVマスクブランク204は、汚染および他の欠陥を防止するために真空システム内で処理される。
【0031】
[0036]いくつかの実施形態のウェハハンドリング真空チャンバ208は、2つの真空チャンバ、第1の真空チャンバ210および第2の真空チャンバ212を含む。第1の真空チャンバ210は、第1のウェハハンドリングシステム214を含み、第2の真空チャンバ212は、第2のウェハハンドリングシステム216を含む。ウェハハンドリング真空チャンバ208は、2つの真空チャンバで説明されているが、いくつかの実施形態のシステムは、任意の数の真空チャンバを有することが理解される。
【0032】
[0037]いくつかの実施形態のウェハハンドリング真空チャンバ208は、様々な他のシステムを取り付けるために、その周囲に複数のポートを有する。第1の真空チャンバ210は、脱ガスシステム218、第1の物理気相堆積システム220、第2の物理気相堆積システム222、および前洗浄システム224を有する。脱ガスシステム218は、基板から水分を熱的に脱着するためのものである。前洗浄システム224は、ウェハ、マスクブランク、ミラー、または他の光学部品の表面を洗浄するためのものである。
【0033】
[0038]いくつかの実施形態の、第1の物理気相堆積システム220および第2の物理気相堆積システム222などの物理気相堆積システムは、ソース基板203上に導電性材料の薄膜を形成するために使用される。例えば、いくつかの実施形態の物理気相堆積システムは、マグネトロンスパッタリングシステム、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザー堆積、カソードアーク堆積、またはそれらの組み合わせなどの真空堆積システムを含む。マグネトロンスパッタリングシステムなどの物理気相堆積システムは、ケイ素、金属、合金、化合物、またはそれらの組み合わせの層を含む薄い層を、ソース基板203上に形成する。
【0034】
[0039]物理気相堆積システムは、反射層、キャッピング層、および吸収層を形成する。例えば、いくつかの実施形態の物理気相堆積システムは、ケイ素、モリブデン、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、ルテニウムニオブ、クロム、タンタル、窒化物、化合物、またはそれらの組み合わせの層を形成する。いくつかの化合物は、酸化物として記載されているが、いくつかの実施形態の化合物は、酸化物、二酸化物、酸素原子を有する原子混合物、またはそれらの組み合わせを含むことが理解される。
【0035】
[0040]第2の真空チャンバ212は、それに接続された第1のマルチカソードソース226、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、および超平滑堆積チャンバ232を有する。例えば、いくつかの実施形態の化学気相堆積システム228は、流動性化学気相堆積システム(FCVD)、プラズマ化学気相堆積システム(CVD)、エアロゾル支援CVD、ホットフィラメントCVDシステム、または同様のシステムを含む。別の例では、いくつかの実施形態の化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、および超平滑堆積チャンバ232は、極紫外線反射エレメント製造システム200とは別のシステムにある。
【0036】
[0041]いくつかの実施形態の化学気相堆積システム228は、ソース基板203上に材料の薄膜を形成する。例えば、いくつかの実施形態の化学気相堆積システム228は、単結晶層、多結晶層、アモルファス層、エピタキシャル層、またはそれらの組み合わせを含む材料の層を、ソース基板203上に形成するために使用される。いくつかの実施形態の化学気相堆積システム228は、ケイ素、酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、炭素、タングステン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属、合金、および化学気相堆積に適した他の材料の層を形成する。例えば、いくつかの実施形態の化学気相堆積システムは、平坦化層を形成する。
【0037】
[0042]第1のウェハハンドリングシステム214は、連続真空中で、大気ハンドリングシステム206と第1の真空チャンバ210の周囲の様々なシステムとの間でソース基板203を移動させることができる。第2のウェハハンドリングシステム216は、ソース基板203を連続真空中に維持しながら、ソース基板203を第2の真空チャンバ212の周りに移動させることができる。いくつかの実施形態の極紫外線反射エレメント製造システム200は、連続真空中でソース基板203およびEUVマスクブランク204を第1のウェハハンドリングシステム214と第2のウェハハンドリングシステム216との間で移送する。
【0038】
[0043]以下のセクションでは、簡単にするために、EUVマスクブランク204の用語は、極紫外線ミラー205の用語と交換可能に使用される。
【0039】
[0044]EUVマスクブランク204は、マスクパターン114を有する反射マスク106を形成するために使用される光学的平面の構造体である。1つ以上の実施形態では、EUVマスクブランク204の反射面は、
図1の極紫外線112などの入射光を反射するための平面の焦点面を形成する。
【0040】
[0045]ここで
図3を参照すると、一実施形態による、マルチカソードソースチャンバ500の上部が示されている。第1のマルチカソードチャンバ500は、上部アダプタ504をかぶった円筒形の本体部分502を備えたベース構造体501を含む。上部アダプタ504は、カソードソース506、508、510、512、および514などのいくつかのカソードソースが上部アダプタ204の周りに配置されるための装備を有する。
【0041】
[0046]いくつかの実施形態のマルチカソードソースチャンバ500は、
図2に示されるシステムの一部である。一実施形態では、極紫外線(EUV)マスクブランク製造システムは、基板上の反射層の多層スタックであって、複数の反射層ペアを含む多層スタック、および多層スタック反射層上のキャッピング層を含むEUVマスクブランクを形成するための、真空を生成するための基板ハンドリング真空チャンバ、基板ハンドリング真空チャンバにロードされた基板を真空中で搬送するための基板ハンドリングプラットフォーム、ターゲットを利用可能にするための少なくとも1つの開口部を有する回転シールド、ならびに少なくとも3つのターゲット、ケイ素ターゲットの第1の側に隣接する第1のモリブデンターゲット、およびケイ素ターゲットの第2の側に隣接する第2のモリブデンターゲット、を備える。本明細書で使用される場合、「隣接する」という用語は、ケイ素ターゲットの一方の側のすぐ隣の第1のモリブデンターゲットおよび一方の側の反対側でケイ素ターゲットのすぐ隣の第2のモリブデンターゲットの配置を指す。
【0042】
[0047]いくつかの実施形態では、ケイ素ターゲットの第1の側とケイ素ターゲットの第2の側は、互いに実質的に反対側にある。本明細書で使用される場合、「実質的に反対側」という用語は、ケイ素ターゲットを二等分する線があり、第1のモリブデンターゲットが二等分線の第1の端にあり、第2のモリブデンターゲットが二等分線の第2の端にあることを意味する。したがって、ケイ素ターゲットは、2つの反対側でモリブデンターゲットと隣接している。
【0043】
[0048]通常、マルチカソード(MC)チャンバ内で、ターゲットは、回転シールドを介してMCチャンバに曝される。シールドは、最初に堆積のためにケイ素ターゲットの方に移動し、次にモリブデンターゲットの方に回転する。これは、回転シールドが、回転シールドの同じ開口部(または穴)からのモリブデンまたはケイ素ターゲットの堆積に曝され、したがって、プロセスキットの他の部分と比較して回転シールド上に比較的均一な堆積を提供することを意味する。ただし、下部プロセスキット(つまり、エクステンションシールド、コニカルシールド、カバーリング、デプリング、パック)では、非対称の堆積が見られる。したがって、純粋なケイ素の堆積が見られる下部プロセスキットの領域(ケイ素リッチ領域)と、純粋なモリブデンの堆積が見られる部分がある。
【0044】
[0049]1つ以上の実施形態では、ケイ素ターゲットの両反対側にある2つのモリブデンターゲットからの堆積を使用して、ケイ素リッチ領域での圧縮応力の蓄積を軽減し、フレーキングを防止する。1つ以上の実施形態に従って本明細書で使用される場合、ケイ素が蝶の体の形を形成し、モリブデンがケイ素の両側に蝶の羽として堆積されるようなケイ素とモリブデンの交互の堆積は、「バタフライペースト(butterfly pasting)」という語句で呼ばれる。理論に拘束されることを意図しないが、堆積されたモリブデンは、堆積されたケイ素を貼り付け(すなわち、モリブデンは、ケイ素の上に堆積し、ケイ素を所定の位置に保持している)、したがってケイ素のフレーキングを防ぐと考えられる。バタフライペーストにより、比較的小さな容積のチャンバ内での大きなサイズの欠陥の原因を軽減することができる。したがって、ケイ素リッチ領域における応力の蓄積を軽減するために、モリブデンの堆積は、1つではなく2つのモリブデンターゲットを使用した堆積により、下部プロセスキットのケイ素リッチ領域上に広げられる。ケイ素ターゲットは、ケイ素ターゲットの両反対側で2つのモリブデンターゲットによって有利に囲まれている。ケイ素プルームは、プロセスチャンバの下部コンポーネント上に大きな体積として広がるが、モリブデンプルームは、より指向性があり、ケイ素プルームよりも比較的小さな体積を有している。したがって、1つ以上の実施形態によれば、ケイ素ターゲットの両側に2つのモリブデンターゲットがある場合、2つのモリブデンプルームの正味の合計は、単一のモリブデンターゲットよりも多くのケイ素プルームを有利に覆う。したがって、1つ以上の実施形態によれば、より多くのモリブデンが、ケイ素リッチ領域上に堆積され、それによってプロセスキット上の堆積膜の正味の応力が低下し、それによりケイ素のフレーキングの可能性が低下する。
【0045】
[0050]1つ以上の実施形態は、従来の方法に従って用意された極紫外線マスクブランクと比較した場合に、欠陥が減少し、応力が減少し、ケイ素フレーキングの程度が低い極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法を提供する。一実施形態では、反射層の多層スタックは、KLA TencorのeDR5200を使用して、約25eDR未満の総ケイ素フレーク測定値を有する。
【0046】
[0051]1つ以上の実施形態では、極紫外線(EUV)マスクブランクを製造する方法は、基板をマルチカソード(MC)物理気相堆積(PVD)チャンバ内に配置することを含み、チャンバは、少なくとも3つのターゲット、ケイ素ターゲットの第1の側に隣接する第1のモリブデンターゲット、およびケイ素ターゲットの第2の側に隣接する第2のモリブデンターゲットを含む。第1のモリブデン層が、基板上に堆積され、第1のモリブデン層は、第1のモリブデンターゲットから堆積される。ケイ素層が、第1のモリブデン層上に堆積され、ケイ素層は、ケイ素ターゲットから堆積される。第2のモリブデン層が、ケイ素層上に堆積され、第2のモリブデン層は、第2のモリブデンターゲットから堆積される。
【0047】
[0052]いくつかの実施形態では、少なくとも3つのターゲットは、ケイ素ターゲットが第1のモリブデンターゲットと第2のモリブデンターゲットの中央にあるように配置される。第1のモリブデンターゲットは、ケイ素ターゲットの第1の側に配置され、第2のモリブデンターゲットは、ケイ素ターゲットの第2の側に配置される。ケイ素ターゲットの第1の側とケイ素ターゲットの第2の側は、互いに実質的に反対側にあり得る。本明細書で使用される場合、「実質的に反対側」という用語は、ケイ素ターゲットを二等分する線があり、第1のモリブデンターゲットが二等分線の第1の端にあり、第2のモリブデンターゲットが二等分線の第2の端にあることを意味する。いくつかの実施形態では、第1のモリブデン層は、約1nmから約10nmの範囲の厚さを有する。特定の実施形態では、第1のモリブデン層は、約2.8nmの厚さを有する。第2のモリブデン層は、約1nmから約10nmの範囲の厚さを有し得る。特定の実施形態では、第2のモリブデン層は、約2.8nmの厚さを有する。ケイ素層は、約1nmから約10nmの範囲の厚さを有し得る。特定の実施形態では、ケイ素層は、約4.1nmの厚さを有する。
【0048】
[0053]高反射EUVブランクは、モリブデン(Mo)とケイ素(Si)のマグネトロンスパッタリングによって作られる。スパッタリングによって堆積されたケイ素とモリブデンは、圧縮応力と引張応力を持っていることが知られている。
図4A~
図4Bを参照すると、マルチカソード(MC)チャンバは、上部プロセスキット400、回転シールド420、および非回転の下部プロセスキット430を含む。上部プロセスキット400は、少なくとも3つのターゲット:第1の側404および第2の側406を有するケイ素ターゲット402、ケイ素ターゲット402の第1の側404に配置された第1のモリブデンターゲット408、およびケイ素ターゲット402の第2の側406に配置された第2のモリブデンターゲット410を有する。回転シールド420は、第1のモリブデンターゲット、ケイ素ターゲット、または第2のモリブデンターゲットのうちの1つからの順次の堆積を可能にするように配置される少なくとも1つの開口部422を有する。回転シールド420が回転すると、ターゲットが露出する。ターゲットは、第1のモリブデンターゲット、ケイ素ターゲット、または第2のモリブデンターゲットのうちの1つ以上から選択される。より具体的には、回転シールド420が回転すると、少なくとも1つの開口部422が、上部プロセスキット400上のターゲットと整列し、ターゲットに配置された材料(例えば、ケイ素またはモリブデン)が、放出され、MCチャンバ内の基板上に堆積される。非回転の下部プロセスキット440は、反射層の堆積のために基板(図示せず)を保持する。
【0049】
[0054]1つ以上の実施形態では、回転シールド420は、最初に開口部を第1のモリブデンターゲット408に移動させて、第1のモリブデンターゲットから開口部を通してモリブデンの堆積を可能にし、続いて開口部をケイ素ターゲット402に回転させて、ケイ素ターゲットから開口部を通して堆積を可能にし、次に開口部を第2のモリブデンターゲット410に回転させて、第2のモリブデンターゲットから開口部を通して堆積を可能にする。第1のモリブデンターゲット408および第2のモリブデンターゲット410は、ケイ素ターゲット402の両反対側に回転シールド上で互いに実質的に反対側に位置している。回転シールド420は、回転シールド420の同じ少なくとも1つの開口部422(または穴)を通してモリブデンターゲットまたはケイ素ターゲットからの堆積を可能にし、したがって、プロセスキットの他の部分と比較して、回転シールド420上に比較的均一な堆積を提供する。
【0050】
[0055]ここで
図5を参照すると、極紫外線反射エレメント302の実施形態が示されている。1つ以上の実施形態では、極紫外線反射エレメント302は、
図2のEUVマスクブランク204または
図2の極紫外線ミラー205である。EUVマスクブランク204および極紫外線ミラー205は、
図1の極紫外線112を反射するための構造体である。EUVマスクブランク204は、
図1に示されるEUV反射マスク106を形成するために使用される。
【0051】
[0056]極紫外線反射エレメント302は、基板304、反射層の多層スタック306、およびキャッピング層308を含む。1つ以上の実施形態では、極紫外線ミラー205を使用して、
図1の集光レンズ104または
図1の光学縮小アセンブリ108で使用するための反射構造体を形成する。
【0052】
[0057]いくつかの実施形態ではEUVマスクブランク204である極紫外線反射エレメント302は、基板304、ケイ素とモリブデンの交互の層を含む反射層の多層スタック306、および任意選択のキャッピング層308を含む。いくつかの実施形態における極紫外線反射エレメント302は、パターニングによって
図1の反射マスク106を形成するために使用されるEUVマスクブランク204である。以下のセクションでは、簡単にするために、EUVマスクブランク204の用語は、極紫外線ミラー205の用語と交換可能に使用される。
【0053】
[0058]EUVマスクブランク204は、マスクパターン114を有する反射マスク106を形成するために使用される光学的平面の構造体である。1つ以上の実施形態では、EUVマスクブランク204の反射面は、
図1の極紫外線112などの入射光を反射するための平面の焦点面を形成する。
【0054】
[0059]基板304は、極紫外線反射エレメント302に構造的支持を提供するための要素である。1つ以上の実施形態では、基板304は、温度変化中の安定性を提供するために、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料から作られている。1つ以上の実施形態では、基板304は、機械的サイクル、熱サイクル、結晶形成、またはそれらの組み合わせに対する安定性などの特性を有する。1つ以上の実施形態による基板304は、ケイ素、ガラス、酸化物、セラミック、ガラスセラミック、またはそれらの組み合わせなどの材料から形成される。
【0055】
[0060]多層スタック306は、極紫外線112を反射する構造体である。多層スタック306は、第1の反射層312と第2の反射層314の交互の反射層を含む。
【0056】
[0061]第1の反射層312と第2の反射層314は、
図5の反射ペア316を形成する。非限定的な実施形態では、多層スタック306は、20~60の範囲の反射ペア316を含み、合計で最大120の反射層になる。
【0057】
[0062]1つ以上の実施形態による第1の反射層312と第2の反射層314は、様々な材料から形成される。一実施形態では、第1の反射層312と第2の反射層314は、それぞれ、ケイ素とモリブデンから形成される。
【0058】
[0063]いくつかの実施形態の第1の反射層312と第2の反射層314は、様々な構造を有する。一実施形態では、第1の反射層312と第2の反射層314の両方が、単一層、複数層、分割層構造、不均一構造、またはそれらの組み合わせで形成される。ほとんどの材料は、極紫外線波長の光を吸収するので、使用される光学エレメントは、他のリソグラフィシステムで使用されるような透過性ではなく、反射性である。多層スタック306は、ブラッグ反射器またはミラーを生成するために、異なる光学特性を有する材料の薄い層を交互にすることによって反射構造体を形成する。
【0059】
[0064]一実施形態では、交互の層のそれぞれが、極紫外線112に対して異なる光学定数を有する。交互の層の厚さの周期が、極紫外線112の波長の半分である場合、交互の層は、共振反射率を提供する。一実施形態では、13nmの波長の極紫外線112の場合、交互の層は、約6.5nmの厚さである。提供されたサイズと寸法は、一般的なエレメントの通常の工学上の公差の範囲内であることが理解される。
【0060】
[0065]1つ以上の実施形態による多層スタック306は、様々な方法で形成される。一実施形態では、第1の反射層312と第2の反射層314は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザー堆積、カソードアーク堆積、またはそれらの組み合わせで形成される。
【0061】
[0066]例示的な実施形態では、多層スタック306は、マグネトロンスパッタリングなどの物理気相堆積技術を使用して形成される。一実施形態では、多層スタック306の第1の反射層312と第2の反射層314は、正確な厚さ、小さい粗さ、および層間のきれいな界面を含む、マグネトロンスパッタリング技術によって形成される特徴を有する。一実施形態では、多層スタック306の第1の反射層312と第2の反射層314は、正確な厚さ、小さい粗さ、および層間のきれいな界面を含む、物理気相堆積によって形成される特徴を有する。
【0062】
[0067]物理気相堆積技術を使用して形成された多層スタック306の層の物理的寸法は、反射率を高めるために正確に制御される。一実施形態では、ケイ素の層などの第1の反射層312は、4.1nmの厚さを有する。モリブデンの層などの第2の反射層314は、2.8nmの厚さを有する。層の厚さは、極紫外線反射エレメントのピーク反射率波長を決定する。層の厚さが正しくない場合、いくつかの実施形態の所望の波長13.5nmでの反射率が低下した。
【0063】
[0068]1つ以上の実施形態では、キャッピング層308は、極紫外線112を透過させる保護層である。一実施形態では、キャッピング層308は、多層スタック306の直接上に形成される。1つ以上の実施形態では、キャッピング層308は、多層スタック306を汚染物質および機械的損傷から保護する。一実施形態では、多層スタック306は、酸素、炭素、炭化水素、またはそれらの組み合わせによる汚染に敏感である。一実施形態によるキャッピング層308は、汚染物質と相互作用して、それらを無力化する。
【0064】
[0069]いくつかの実施形態のチャンバ本体上へのケイ素の連続的な堆積は、プロセスキットにおける圧縮応力の蓄積を増加させ、その結果、大量のフレーキングが生じる。このような場合、連続的な堆積が長時間になるにつれて増加する、急激に増加する大きなサイズの粒子が観察される。1つ以上の実施形態によるバタフライペースト法が採用される場合、ケイ素層のあらゆる堆積後にモリブデンが堆積されることを伴って、同様の厚さのケイ素がチャンバ内に堆積されることにより、大きなサイズの粒子が桁違いに少なくなり、これは、モリブデンが効果的な応力緩和ペースト材料として使用されていることを示す。
【0065】
[0070]
図6を参照すると、マルチカソードチャンバ構成での2つの異なる実行を比較すると(バタフライペーストありとなし)、欠陥総数、より具体的には、フレークによって記録された障害の総数に大幅な改善が見られる。
【0066】
[0071]1つ以上の実施形態では、極紫外線(EUV)マスクブランクを製造するプロセスが提供される。このプロセスは、基板上に第1のモリブデン層を堆積させることであって、第1のモリブデン層は、ケイ素ターゲットの第1の側に隣接する第1のモリブデンターゲットから堆積される、堆積させることと、第1のモリブデン層上にケイ素層を堆積させることと、ケイ素層上に第2のモリブデン層を堆積させることであって、第2のモリブデン層は、ケイ素ターゲットの第2の側に隣接する第2のモリブデンターゲットから堆積される、堆積させることと、によって基板上に反射層の多層スタックを形成することを含む。
【0067】
[0072]いくつかの実施形態では、第1のモリブデン層は、約1nmから約10nmの範囲の厚さを有する。特定の実施形態では、第1のモリブデン層は、約2.8nmの厚さを有する。第2のモリブデン層は、約1nmから約10nmの範囲の厚さを有し得る。特定の実施形態では、第2のモリブデン層は、約2.8nmの厚さを有する。ケイ素層は、約1nmから約10nmの範囲の厚さを有し得る。特定の実施形態では、ケイ素層は、約4.1nmの厚さを有する。
【0068】
[0073]一実施形態では、第1のモリブデン層、ケイ素層、および第2のモリブデン層の堆積が繰り返されて、モリブデンとケイ素の交互の層を含む反射層の多層スタックが形成される。
【0069】
[0074]一実施形態では、キャッピング層が、反射層の多層スタック上に堆積される。キャッピング層は、当業者に知られている任意のキャッピング材料を含む。
【0070】
[0075]本明細書全体を通して「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つ以上の実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所での「1つ以上の実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「一実施形態において」または「実施形態において」などの句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、1つ以上の実施形態では、特定の特徴、構造、材料、または特性を任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0071】
[0076]本明細書の開示は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態は、本開示の原理および適用の単なる例示であることが理解されるべきである。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に様々な修正および変形を行うことができることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内にある修正および変形を含むことが意図される。