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特許7447087エッジリング部品番号をスロット番号にマッピングするための識別子の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】エッジリング部品番号をスロット番号にマッピングするための識別子の使用
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20240304BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240304BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H01L21/68 T
H01L21/02 A
B65G1/137 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021510919
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019045015
(87)【国際公開番号】W WO2020046540
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】16/117,797
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セヴィラーノ・エヴィリオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】オドネール・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ロープス・ロンダ
(72)【発明者】
【氏名】ワッセイ・ピーター・アール.
(72)【発明者】
【氏名】ヒル・ブリジット
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098540(JP,A)
【文献】特開2006-228966(JP,A)
【文献】特開2009-188091(JP,A)
【文献】特開2016-154224(JP,A)
【文献】特開2015-225972(JP,A)
【文献】特開2011-209978(JP,A)
【文献】特表2008-511180(JP,A)
【文献】特表2012-532461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
H01L 21/02
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジリングを追跡する方法であって、
前記エッジリングに関連するソースからエッジリング識別子をキャプチャし、
前記エッジリングをエッジリングキャリアのスロットに挿入し、前記スロットはスロット識別子と関連付けられ、前記エッジリングキャリアはキャリア識別子と関連付けられており、
前記エッジリング識別子を、前記スロット識別子および前記エッジリングキャリアの前記キャリア識別子に割り当て
前記エッジリングキャリアに出し入れされる移送、および処理ステーションに出し入れされ移送のために前記エッジリング識別子を追跡すること
を備え、
前記エッジリング識別子の追跡は、前記エッジリングに関する寿命情報を提供するメタデータファイルを構築する、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記ソースは、前記エッジリングの表面、または前記エッジリング内に埋め込まれた部品、または前記エッジリングを保持するパッケージの表面である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記キャプチャする操作および挿入する操作は、前記エッジリングが前記エッジリングキャリアにロードされている最中に実施される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッジリング識別子の追跡は、前記エッジリングが前記エッジリングキャリアの特定のスロットに出し入れされるのに応じて、前記エッジリングキャリアの1つまたは複数のセンサによってキャプチャされた情報を受け取ることを含み、前記1つまたは複数のセンサから受け取った前記情報は、前記エッジリングの前記メタデータファイル内の前記寿命情報を更新するために使用される、方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法であって、
前記エッジリングキャリアの前記1つまたは複数のセンサから受け取った前記情報は、前記エッジリングキャリアのために維持されている内容テーブルおよび状況テーブルを更新するために使用される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッジリング識別子の追跡は、前記エッジリングが製作システムの前記処理ステーション内を移動するのに応じて、前記処理ステーション内に分散された1つまたは複数のセンサによってキャプチャされた情報を受け取ることを含み、前記1つまたは複数のセンサから受け取った前記情報は、前記エッジリングの前記メタデータファイル内の前記寿命情報を更新するために使用される、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法であって、
前記処理ステーションは、ロードポート、大気移送モジュール、ロードロックチャンバ、真空移送モジュール、前記エッジリングが使用されるプロセスモジュール、または前記処理ステーション内で前記エッジリングを移動させる1つまたは複数のロボットの1つまたは複数を含み、
前記1つまたは複数のセンサから受け取った前記情報は、前記エッジリングの位置、前記エッジリングが前記位置に導入された時間、前記エッジリングが前記位置から取り出された時間、前記位置に移動する前の前記エッジリングの状態、前記位置から移動した後の前記エッジリングの前記状態、前記エッジリングの使用対象ツール、前記エッジリングの使用対象プロセスモジュール、または前記プロセスモジュール内の前記エッジリングの使用記録の1つまたは複数を含む、
方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッジリング識別子を追跡することは、前記処理ステーションが位置する製作システムで維持されている部品追跡データベースを照会し、前記エッジリングの現在の位置を取得し、前記メタデータファイルを前記現在の位置で更新することをさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッジリング識別子を追跡することは、
前記エッジリングキャリアから移送するための前記エッジリングの選択を検出し、
製作システムにおいて維持されている部品追跡データベースを照会し、前記製作システム内で、前記エッジリングを保持する前記エッジリングキャリアの現在の位置を決定し、
前記エッジリングキャリアの前記現在の位置が前記処理ステーションのロードポートにあるとき、前記エッジリング識別子に関連付けられている前記エッジリングが前記処理ステーション内のプロセスモジュールで使用されるエッジリングであることを確認し、前記確認は、前記エッジリングキャリアからの前記エッジリングの前記移送を許可するために使用されること
をさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、
前記確認が前記エッジリングは前記プロセスモジュールで使用されているものではないと決定したとき、前記エッジリングキャリアから移送するために選択された前記エッジリングの不一致を示すためにアラームを生成し、前記エッジリングキャリアからの前記エッジリングの移送を防止する、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッジリング識別子を追跡することは、
前記エッジリングキャリアから移送するための前記エッジリングの選択を検出し、
作システム内で、前記エッジリングを保持する前記エッジリングキャリアの現在の位置を決定するために、前記製作システムにおいて維持されている部品追跡データベースを照会し、
前記エッジリングキャリアの前記現在の位置が前記処理ステーションのロードポートにあるとき、前記エッジリング識別子に関連付けられている前記エッジリングが前記処理ステーション内のプロセスモジュールで使用されるエッジリングであることを確認し、
前記エッジリングの残り使用寿命を決定するために、前記メタデータファイルで提供される前記エッジリングの寿命情報を分析し、前記分析は、前記残り使用寿命が前記処理ステーション内の前記プロセスモジュール内で製作操作を受けるのに十分であるとき、前記エッジリングキャリアからの前記エッジリングの移送を許可するために使用されること
をさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記エッジリングの前記残り使用寿命が前記プロセスモジュールで前記製作操作を少なくとも1ラウンド実施するのに十分でないとき、前記プロセスモジュールに移送するために選択された前記エッジリングの残り使用寿命が不十分であることを示すためにアラームを生成し、前記エッジリングキャリアから前記処理ステーション内の前記プロセスモジュールへの前記エッジリングの移送を防止する、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッジリングに関連付けられている前記エッジリング識別子を追跡することは、前記エッジリングの残り使用寿命を決定するために前記メタデータファイルで提供される前記エッジリングの寿命情報を分析し、前記使用寿命は、前記エッジリングを前記処理ステーションから取り出す必要がある時期を決定するために使用されることを含む、方法。
【請求項14】
エッジリングを追跡するシステムであって、
前記システム内の前記エッジリングを追跡するように構成されたエッジリング実行システムであって、前記エッジリング実行システムは、
前記エッジリングが前記システムに受け取られ、エッジリングキャリアにロードされたときに、前記エッジリングのエッジリング識別子を受け取るためのエッジリング追跡モジュールと、
前記エッジリングキャリアの前記システム内における移動に応じて前記エッジリングキャリアの位置を追跡するエッジリングキャリア追跡モジュールと情報をやり取りし、前記エッジリングは前記エッジリングキャリアに割り当てられ、前記エッジリングキャリア追跡モジュールによって提供される情報は、前記システム内の前記エッジリングの現在の位置を決定するために使用され、
前記エッジリングが前記エッジリングキャリアに出し入れされるのに応じて、および前記システム内の処理ステーションに出し入れされるのに応じて前記エッジリングの情報を提供するように構成された製造実行システムと、前記製造実行システムによって提供される前記情報は、前記エッジリング実行システムが前記エッジリングのメタデータファイルを構築するために使用され、前記メタデータファイルは、前記システム内の前記エッジリングの寿命情報を提供すること
を備える、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、
前記エッジリング実行システムは、前記製造実行システムとは別体であり、前記エッジリング実行システムは、第1のサーバ上で実行され、前記製造実行システムは、前記システム内の第2のサーバ上で実行され、前記第1のサーバは、前記第2のサーバに通信可能に接続され、前記エッジリングの前記メタデータファイルを構築するために前記エッジリングに関連する情報をやりとりする、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、
前記第1のサーバおよび前記第2のサーバは、それぞれクラウドベースのサーバである、システム。
【請求項17】
請求項14に記載のシステムであって、
前記エッジリング実行システムは、前記製造実行システムと統合され、前記製造実行システムは、前記システム内のサーバ上で実行されるように構成される、システム。
【請求項18】
請求項14に記載のシステムであって、
前記エッジリング実行システムは、前記エッジリング識別子を、前記エッジリングキャリアのキャリア識別子および前記エッジリングがロードされる前記エッジリングキャリア内のスロットのスロット識別子とリンクさせることによって、前記エッジリングを前記エッジリングキャリアに割り当てるように構成されている、システム。
【請求項19】
請求項14に記載のシステムであって、
前記エッジリングキャリアは、前記エッジリングが前記エッジリングキャリアに出し入れされるのに応じて前記エッジリング識別子を使用して前記エッジリングを追跡する1つまたは複数のセンサを含み、前記エッジリングキャリア内の前記1つまたは複数のセンサによって提供される情報は、前記製造実行システムによって処理され、前記エッジリング実行システムによって維持される前記エッジリングの前記メタデータファイルに更新を提供する、システム。
【請求項20】
請求項14に記載のシステムであって、
前記処理ステーションは、複数のモジュールと、前記複数のモジュール内に分散された1つまたは複数のセンサとを含み、前記処理ステーション内の前記1つまたは複数のセンサによって提供される情報は、前記製造実行システムによって処理され、前記エッジリング実行システムによって維持される前記エッジリングの前記メタデータファイルに更新を提供する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体ウエハ処理に関し、より具体的には、正しい消耗部品がプロセスモジュールに提供されていることを追跡および確認することに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な製作システムは、複数のクラスタツールアセンブリまたは処理ステーションを含む。半導体ウエハの製造プロセスで使用される各処理ステーションは、1つまたは複数のプロセスモジュールを含んでおり、各プロセスモジュールは特定の製造操作を実施するために使用される。異なるプロセスモジュール内で実施される製造操作のいくつかには、洗浄操作、エッチング操作、堆積操作、すすぎ操作、乾燥操作などが挙げられる。これらの操作を実施するためにプロセスモジュールで使用されるプロセス化学およびプロセス条件は、プロセスモジュール内の過酷な条件に常に曝されている機器構成要素の一部に損傷を与える。損傷した機器構成要素がプロセスモジュール内の他の機器構成要素を過酷な条件に曝さないようにし、半導体ウエハの品質を確保するために、これらの損傷または摩耗した機器構成要素は定期的かつ迅速に交換する必要がある。例えば、プロセスモジュール内の半導体ウエハに隣接して配置されたエッジリングは、その位置により、およびエッチング操作で使用されるプロセスモジュール内で生成されたプラズマからのイオン衝撃への継続的な曝露により、損傷を受ける可能性がある。損傷したエッジリングがその下の機器構成要素(チャックなど)を過酷なプロセス条件に曝さないように、損傷したエッジリングは迅速に交換する必要がある。交換可能な機器構成要素を、本明細書では消耗部品と呼ぶ。
【0003】
エッジリングなどの消耗部品は、プロセス性能にとって非常に重要である。これらの消耗部品は、典型的には手作業で交換され、エッジリングの交換にはプロセスモジュールの大気開放を必要とする。あるいは、消耗部品は自動化された方法を用いて交換される。自動化された方法では、新しいエッジリングをキャリア(例えば、ウエハの搬送/交換に使用されるフロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)と同様のFORP(フロントオープニングリングポッド))にロードし、FORPを処理ステーションのロードポートに搬送し、システムロボティクスを使用してプロセスモジュールから古いエッジリングを取り出して新しいエッジリングを設置する。消耗部品の交換は、プロセスモジュールに対するウエハの搬入および搬出と同様の方式により真空下で実施される。キャリアは、手動で搬送するか、またはウエハFOUPの搬送に使用されるファブの自動マテリアルハンドリングシステム(AMHS)によって搬送することができる。1つのキャリアを使用して、新しいエッジリングとプロセスモジュールから取り出された摩耗したエッジリングの両方を格納してもよいし、異なるキャリアを使用して、新しいエッジリングと使用済みエッジリングを別々に格納してもよい。摩耗したリングは迅速に廃棄する必要があり、完全に使い果たされた場合、新しいリングをロードする必要がある。
【0004】
エッジリングの正確な形状および高さは、プロセス用途に基づいて最適化される。その結果、使用中であり、効率的な管理が必要な異なるエッジリングが多数存在する。異なるタイプのエッジリング同士の違いは、多くの場合ごくわずかで、見た目では気づかない。さらに、キャリアに入ってしまうと、異なるエッジリングを区別することはほぼ不可能になる。生産環境において、エッジリングキャリアは、1つのタイプのエッジリング、複数タイプのエッジリング、または1つのタイプもしくは複数タイプのエッジリングと他の消耗部品が混ざったものを含むことができる。ここで注意すべきは、摩耗したエッジリングがプロセスモジュールに戻されないように、または正しくないエッジリングを備えたキャリアが間違った処理ステーションにロードされないようにすることである。プロセスモジュールに誤ってロードされた正しくないエッジリングは、許容できないウエハスクラップイベントにつながる可能性がある。このような問題はかなりの期間検出されないまま処理中のウエハの品質に大きな影響を与える可能性があり、それによって半導体メーカの利益率に深刻な影響を与えるおそれがある。現在、正しいエッジリングがFORPにロードされていることを自動的に確認したり、またはそのエッジリングのFORP内での位置(すなわち、スロット番号)を決定したりする効率的な方法は存在しない。
【0005】
本発明の実施形態は、このような状況で生じるものである。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、エッジリングがフロントオープニングリングポッド(FORP)(ウエハキャリアのフロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)と同様)などのキャリアに挿入された瞬間から、製作システムを通って、FORPに戻るまで、エッジリングの全寿命にわたってエッジリングを追跡するシステムおよび方法を含む。エッジリングは、エッジリングの耐用年数が経過するまで、すなわち、廃棄の対象となるときまで、製作施設全体で追跡される。製作施設は、自動マテリアルハンドリングシステムによって稼働される複数の処理ステーションを含む。処理ステーションは、1つまたは複数の製作操作が実施される場所である。その結果、処理ステーションは、本明細書において「製作システム」とも呼ばれる。各処理ステーションは、内部で実施されるプロセスに基づいて、特定のタイプのエッジリングを使用する1つまたは複数のプロセスモジュールを含むことができる。プロセスモジュールは、ウエハ処理中に損傷し摩耗した消耗部品(エッジリングなど)を交換するように設計されており、このような交換は、ウェット洗浄用のプロセスモジュールを開けずにその場で行われる。エッジリングの交換は、プロセスモジュール内でのウエハの搬送と同様の方式により真空下で行われる。交換用の新しいエッジリングは、ウエハフロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)と同様のエッジリングキャリア(例えば、FORP)において処理ステーションに運ばれる。エッジリングキャリアは手動で運搬することができ、または製作施設内で採用されている自動マテリアルハンドリングシステム(AMHS)(典型的にはウエハFOUPの移送に使用される)によって処理ステーションに運ぶことができる。
【0007】
異なる処理ステーション内の異なるプロセスモジュールは、異なるタイプのエッジリングを使用する場合がある。エッジリングのタイプは、互いにわずかに、または大幅に異なる場合がある。実施されるプロセスを最適化するには、異なるプロセスモジュールで使用される異なるタイプのエッジリングを追跡し続け、正しいタイプのエッジリングをそれぞれの処理ステーション内の各プロセスモジュールに運搬することが重要である。製作施設は、1つまたは複数の処理ステーション(すなわち、製作システム)内の異なるプロセスモジュールからエッジリングを運搬したり取り出したりするために、複数のエッジリングキャリアを用いる。処理ステーションのプロセスモジュール内でエッジリングを交換する必要があるとき、そのプロセスモジュールに適切な新しいエッジリングが識別され、適切なエッジリングキャリアにロードされる。適切な新しいエッジリングを備えたエッジリングキャリアは、エッジリングを運搬するために、そのプロセスモジュールを含む処理ステーションのロードポートに移動される。
【0008】
様々な実施態様により、エッジリング識別子を使用してエッジリングを識別および追跡することによって、正しいエッジリングが処理ステーションに確実に運搬される。エッジリングは、FORPにロードされて新しいエッジリングとして製作施設(場合によっては「ファブ」と呼ばれる)に搬入された時点から、その寿命サイクルが終了するまで追跡される。製作施設内のエッジリングの追跡からの情報は、エッジリングの寿命情報を提供するメタデータファイルを構築するために使用される。各エッジリングを追跡し続けることで、十分な利用可能寿命を備えた正しいエッジリングが各プロセスモジュールに確実に運搬され、それによってロードエラーが排除される(例えば、正しくないエッジリングまたは残り寿命が不十分な使用済みエッジリングがプロセスモジュールにロードされることを回避する)。エッジリングは、複数のレベルで追跡される。例えば、エッジリングの追跡は、エッジリングがエッジリングキャリアにロードされるときに、エッジリングのエッジリング識別子を、エッジリングキャリアのキャリア識別子とリンクさせるとともに、エッジリングがロードされるエッジリングキャリア内のスロットのスロット番号とリンクさせることによって行われる。このリンクにより、追跡システムは、エッジリングがファブ内を移動して製作システムにロードされるのに応じて、異なるエッジリングキャリア内の様々なエッジリングの位置を追跡し続けることが可能になる。エッジリングの追跡は、さらに、エッジリングが処理ステーションに運搬されるとき、製作施設内の処理ツール(すなわち、処理ステーションまたは製作システム)レベルで行われる。処理ツールレベルでの追跡は、ツール制御システムによって、あるいは製作施設のサーバ上で実行されるモジュール(製造実行システムなど)を照会することによって行われる。プロセスツールレベルでの追跡は、十分な残り寿命を有する正しいエッジリングが処理ステーション内のプロセスモジュールに運搬されていることを確かめるためである。マルチレベルの追跡は、使用済みエッジリングまたは正しくないエッジリングがプロセスモジュールに誤ってロードされないようにして、そのようなエラーによる不要なウエハスクラップを回避する。また、このような追跡により、エッジリングキャリアは、特定のプロセスモジュール向けの正しいエッジリングを確実に含むようになる。
【0009】
一実施態様では、エッジリングを追跡する方法が開示される。この方法は、ソースからエッジリング識別子をキャプチャすることを含み、ソースは、エッジリングのパッキング材料、またはエッジリングの表面、またはエッジリングに埋め込まれたアイテムであってもよい。リング識別子情報はリングを認証するために使用することができ、この情報は、後に処理ステーション内で使用することができる。エッジリングは、エッジリングキャリアのスロットに挿入され、エッジリングは、エッジリングキャリアに割り当てられる。エッジリング識別子は、エッジリングキャリアに出し入れされる移送、および処理ステーションに出し入れされる移送を追跡し続けるために追跡される。エッジリング識別子の追跡は、エッジリングに関する寿命情報を提供するメタデータファイルを構築する。
【0010】
いくつかの実施態様では、エッジリングを挿入することは、エッジリング識別子を、スロットのスロット識別子とリンクさせるとともに、エッジリングキャリアのキャリア識別子とリンクさせることを含む。
【0011】
いくつかの実施態様では、キャプチャ操作および挿入操作は、エッジリングがエッジリングキャリアにロードされている最中に実施される。
【0012】
いくつかの実施態様では、エッジリング識別子の追跡は、エッジリングがエッジリングキャリアの特定のスロットに出し入れされるのに応じて、エッジリングキャリアの1つまたは複数のセンサによってキャプチャされた情報を受け取ることを含む。1つまたは複数のセンサから受け取った情報は、エッジリングのメタデータファイル内の寿命情報を更新するために使用される。
【0013】
いくつかの実施態様では、エッジリングキャリアの1つまたは複数のセンサから受け取った情報は、エッジリングキャリアのために維持されている内容テーブルを更新するために使用される。
【0014】
いくつかの実施態様では、エッジリング識別子の追跡は、エッジリングが製作施設の処理ステーション内を移動するのに応じて、処理ステーション内に分散された1つまたは複数のセンサによってキャプチャされた情報を受け取ることを含む。1つまたは複数のセンサから受け取られた情報は、エッジリングのメタデータファイル内の寿命情報を更新するために使用される。
【0015】
いくつかの実施態様では、処理ステーションは、少なくともロードポート、大気移送モジュール、ロードロックチャンバ、真空移送モジュール、エッジリングが使用されるプロセスモジュール、および処理ステーション内でエッジリングを移動させる1つまたは複数のロボットを含む。処理ステーション内に分散された1つまたは複数のセンサから受け取った情報は、エッジリングの位置、エッジリングがその位置に導入された時間、エッジリングがその位置から取り出された時間、その位置に移動する前のエッジリングの状態、その位置から移動した後のエッジリングの状態、エッジリングの使用対象プロセス、エッジリングの使用対象プロセスモジュール、またはプロセスモジュール内のエッジリングの使用記録の1つまたは複数を含む。
【0016】
エッジリングを追跡する利点の1つは、エッジリングがファブおよびその製作システムを進行するときにエッジリングの位置とエッジリングの状態を常に把握できることである。位置および状態の情報は製作施設内のエッジリングの使用履歴を提供し、それにより、必要なときに正しいエッジリングがプロセスモジュールに運搬されるようになる。これらおよび他の利点は、以下で論じられ、本明細書、図面、および特許請求の範囲を読むと当業者によって理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一実施態様における、エッジリングを追跡する際に使用されるエッジリング実行システムを用いる製作システムの簡易ブロック図である。
【0018】
図2図2は、一実施態様における、エッジリングを追跡し続けるために製作システムに通信可能に接続されたエッジリングキャプチャシステムを簡略化して示す図である。
【0019】
図3図3は、一実施態様における、エッジリング識別子情報を使用してエッジリングのメタデータファイルを構築する製作システム内のエッジリング実行システムの全体図である。
【0020】
図4図4は、一実施態様における、エッジリングを格納するための複数のスロット、およびその内部に収容される異なるエッジリングの位置を追跡するためのセンサを備えたエッジリングキャリアの簡略図である。
【0021】
図5A図5Aは、一実施態様による、エッジリングの位置および状態を追跡し続けるために処理ステーション全体に分散されたセンサを示す図である。
図5B図5Bは、一実施態様による、エッジリングの位置および状態を追跡し続けるために処理ステーション全体に分散されたセンサを示す図である。
図5C図5Cは、一実施態様による、エッジリングの位置および状態を追跡し続けるために処理ステーション全体に分散されたセンサを示す図である。
図5D図5Dは、一実施態様による、エッジリングの位置および状態を追跡し続けるために処理ステーション全体に分散されたセンサを示す図である。
【0022】
図6図6は、一実施態様における、製作システム内の異なるプロセスモジュールへのエッジリングの移動を示す図である。
【0023】
図7図7は、一実施態様における、処理ステーション内のエッジリングの進行を示す図である。
【0024】
図8図8は、一実施態様による、製作システムを通してエッジリングを追跡するために使用される方法における操作の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明では、本発明の特徴の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が記載されている。しかし、これらの特定の詳細の一部またはすべてがなくても本発明が実施され得ることは当業者には明らかであろう。他の例では、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス操作は詳細に説明されていない。
【0026】
本開示の実施形態は、エッジリング識別子を使用してエッジリングを追跡し、追跡に基づいてエッジリングのメタデータファイルを構築する詳細を提供する。新しいエッジリングが最初に製作施設に導入されると、エッジリング識別子がスキャンされ、エッジリングは、この先の処理ステーション(製作システム)への転送のため、エッジリングキャリアにロードされる。エッジリング識別子の追跡は、ファブおよびその製作システム内のエッジリングの現在のステータスに関する情報を提供する。エッジリングの追跡からの情報は、エッジリングのメタデータファイルに更新される。エッジリングが1つまたは複数の処理ステーションを通過すると、1つまたは複数の処理ステーション内に分散されたセンサを使用して、エッジリングに関する追加情報を収集する。エッジリングの追跡から取得された追加情報は、製作システム内のエッジリングの現在の位置、現在の状態、および使用履歴を提供する。エッジリングの使用履歴は、プロセスモジュール内での消費寿命時間および残り寿命時間の詳細を含む。追加情報は、エッジリングの寿命情報(すなわち、使用履歴)を構築するために、エッジリングごとに維持されるメタデータファイルに更新される。エッジリングの追跡は、エッジリングが新しいエッジリングとしてFORPに導入された時点から始まり、様々な製作システムを通るエッジリングの移動の詳細をキャプチャするためにその寿命の間ずっと継続される。この追跡は、プロセスモジュール内で特定のエッジリングの交換が必要な時期、交換すべきエッジリングなどの決定に役立つ。実施態様について上述した一般的な理解を踏まえて、ここからは様々な特定の詳細を様々な図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、一実施態様における、様々なプロセスモジュール内で使用されるエッジリングが追跡される製作施設200全体の簡易ブロック図を示している。新しいエッジリング10が受け取られると、エッジリングは、FORP100にロードされる。ロード中、エッジリング10のエッジリング識別子(ER ID)11が、エッジリング(ER)識別システム110によってキャプチャされる。ER識別システム110は、ER IDキャプチャシステム111を使用して、ER ID11をキャプチャすることができる。エッジリング識別子は、英字、数字もしくは英数字、バーコード、RFIDタグ、画像、QR(クイックレスポンス)コード、ラベル、ディンプルもしくは他の視覚的マーキングもしくはアイコン、ノッチ、赤外線マーキング、二次元バーコード、または任意の他の識別形式を組み合わせた形式にすることができ、プロセスモジュール内の処理条件に曝されたときに経時的に劣化したり悪影響を受けたりしないエッジリングのパッケージもしくはエッジリングの表面に設けられる。エッジリング識別子を表面に設ける場合、エッジリング識別子は、エッジリングの下面またはエッジリングの外側面に設けることができる。あるいは、エッジリング識別子を、エッジリングの表面の下に設けてもよい(例えば、エッジリング内に埋め込まれたチップ)。エッジリング識別子のタイプに応じて、ER IDキャプチャシステムは、複数のセンサ/リーダのいずれか1つを用いて、エッジリング識別子を取得することができる。例えば、カメラまたは画像キャプチャデバイスを使用して、ER IDの画像をキャプチャすることができる。加えて、必要に応じて、光学式文字認識(OCR)ソフトウェアを使用して、画像にキャプチャされた任意のテキスト内容を抽出することができる。あるいは、バーコードリーダ、またはRFIDリーダ、またはセンサ、または他の任意のキャプチャもしくは検出デバイスを使用して、エッジリング識別子をキャプチャすることができる。
【0028】
受け取られたエッジリングは、エッジリングキャリア(例えば、フロントオープニングリングポッド-FORP)100に載置され、プロセスモジュールに供給するために、製作施設200内の処理ステーション(例えば、処理ステーション210-1~210-6のいずれか1つ)に搬送される。一方、ER識別システム110によってキャプチャされたエッジリング識別子は、エッジリング実行システム(ERES)310に送信され、エッジリング識別子の処理が行われる。エッジリング識別子の処理には識別子の復号化(ER IDが暗号化されている場合)が含まれ、エッジリング識別子を使用したエッジリングのメタデータファイルが生成される。エッジリングのエッジリング識別子は、製作施設内のサーバ上で実行される製造実行システム320(FAB MESまたは単にFMES)を照会するために使用され、エッジリングの使用履歴を定義するために使用される追加情報を取得する。FMES320は、製作施設200内で使用および/または処理される異なる部品のすべてを追跡し続ける。
【0029】
エッジリングが製作施設内で使用されている間、製作施設全体に分散された1つまたは複数のセンサが、エッジリング識別子を使用してエッジリングを追跡する。例えば、エッジリングの位置および状態を決定するため、センサをFORP100内に、すなわち、エッジリングキャリア100を異なる処理ステーションに運搬する自動マテリアルハンドリングシステム(AMHS)沿い、および処理ステーションS1~S6内に設けて、エッジリングを追跡することができる。センサによってエッジリングからキャプチャされた情報は、異なるプロセステーブルを更新するためERES310に渡される。センサによって渡される情報には、製作システム内のエッジリングの詳細を含めることができる。また、FMES320を照会することによって、エッジリングのエッジリング識別子の追跡によって取得されたエッジリングの詳細に加えて、異なるプロセスモジュールで使用中の異なるタイプのエッジリングに関する追加の詳細も取得することができる。FMES320によって返される情報は、エッジリング実行エンジン310によって使用され、エッジリング10のメタデータファイルを更新する。エッジリングのメタデータファイルへの更新により、エッジリングの使用履歴(エッジリングが製作システム内を移動した様々な位置、エッジリングの現在の位置、エッジリングが挿入された異なるプロセスモジュール内でエッジリングが曝された異なるプロセス、エッジリングの現在の状態、および寿命に関する他の詳細を含む)が提供される。
【0030】
使用履歴を使用して、異なるプロセスモジュールに運搬されたエッジリングがその使用寿命に近づきつつあり、交換する必要があるかどうかを決定することができる。エッジリングの追跡により、エッジリングの設計の自動識別、製作システム内のエッジリングの位置、および正しいエッジリングがプロセスモジュールに運搬されて設置されていることの確認が可能になる。様々な実施態様により、正しい設計のエッジリングが特定のプロセスモジュールを対象とし、その特定のプロセスモジュールで予定された1つまたは複数のプロセスの実施に十分な残り寿命を有することが確実になる。
【0031】
エッジリングの追跡は、2つの主要な要素に分けることができる。第1の要素は、エッジリングが製作システムに新たに導入されたときであり、第2の要素は、エッジリングが処理ステーション(製作システム)で使用されているときである。
【0032】
図2は、一実施態様における、製作施設200内のエッジリングを追跡するプロセスに関与する第1の要素を示している。エッジリングは、自動化されたプロセスまたは手動のプロセスによって製作施設200に導入され得る。
【0033】
自動化されたプロセスにおいて、新しいエッジリング10は、ER IDキャプチャシステム110-Aに受け取られて処理される。エッジリング識別子は、エッジリングの表面(下面または外側面)に設けられてもよく、またはエッジリング内に埋め込まれてもよい。あるいは、エッジリング識別子は、エッジリングのパッケージに設けられてもよい。エッジリング(ER)は、ERインベントリ処理システム112を介して処理される。ERインベントリ処理システムはコンピュータのサーバ上で実行することができ、そのコンピュータは、受け取りステーションに設けられるか、または新しいエッジリングを受け取っている製作施設200内外の位置に設けられる。ERインベントリ処理システム112は、エッジリング表面に設けられた、またはエッジリング内に埋め込まれた、またはパッケージに設けられたエッジリング識別子および他の関連情報をキャプチャするER IDキャプチャデバイス111(例えば、センサ、画像キャプチャデバイス、リーダなど)を含む。例えば、他の関連情報は、エッジリングのタイプ、対象プロセス、寿命使用時間などを含み得る。キャプチャされたエッジリング情報は、ERインベントリ処理システム112によって処理され、エッジリング識別子を含むエッジリングのための固有の暗号化コードを生成する(例えば、シリアル番号または他の暗号化情報)。
【0034】
キャプチャされた情報を処理する一部として、ERインベントリ処理システム112は、一実施態様では、ロード中のエッジリングが製作施設200内で使用される有効なエッジリングであることを認証することができる。エッジリングの認証の一部として、ERインベントリ処理システム112は、ネットワークを介してFAB製造実行システム320を照会し、製作施設200内の様々な処理ステーションで使用される異なるタイプのエッジリングに関する情報を取得することができる。次に、ERインベントリ処理システム112は、ロード中のエッジリングのタイプをFAB製造実行システム320から取得した情報に照らして確認し、ロード中のエッジリングが有効なものであるかどうかを決定することができる。エッジリングが製作施設で使用されているタイプのものでない場合、不適切または正しくないエッジリングが製作施設に導入されつつあることを示すため、ERインベントリ処理システム112によって信号を生成することができる。この信号に応答して、ERインベントリ処理システム112は、正しくないエッジリングがFORPにロードされて製作施設に転送されないようにする。一方、エッジリングが製作施設内の1つまたは複数のプロセスモジュールで使用されるタイプのものである場合、そのエッジリングに対して固有の暗号化コードが生成される。したがって、ERインベントリ処理システム112は、エッジリングを製作施設内の処理ステーションに供給するFORPに有効なエッジリングのみが確実にロードされるようにするための仮想歩哨(virtual sentinel)として作用する。
【0035】
暗号化コードの生成と同時に、エッジリングの関連情報および暗号化コードは、ERインベントリ処理システム112によって正常に処理されたすべてのエッジリングを維持するERインベントリ(113)に更新される。エッジリングのER識別子を処理することに加えて、ERインベントリ処理システム112は、異なる処理ステーションへの転送のためにエッジリングがロードされるべきエッジリングキャリアを識別することができる。いくつかの実施態様では、ある特定のエッジリングキャリアは、特定のプロセス(例えば、誘電体エッチングプロセス、金属エッチングプロセス、ウェットエッチング、ドライエッチングなど)に使用可能なエッジリングを格納することができる。そのような実施態様では、ERインベントリ処理システム112は、特定のプロセスに使用されるべきエッジリングを識別し、特定のエッジリングキャリアにロードすることができる。代替の実施態様では、ERインベントリ処理システム112が利用できる任意のエッジリングキャリア100にエッジリングをロードしてもよい。次に、ロードされたエッジリングキャリア100は、天井搬送車(OHT)201などの自動マテリアルハンドリングシステム(AMHS)を使用して、製作施設200内の異なる処理ステーションに搬送される。OHT車201は、AMHSで採用されるマテリアルハンドリングシステムの一形態でありえるが、FOUPの移送に使用される他の形態のマテリアルハンドリングシステム(コンベヤベルト、バッファストアなど)が採用されてもよい。いくつかの実施態様では、OHTは、より大きな自動マテリアルハンドリングシステムの一部とされることもあり、OHTを使用してエッジリングキャリアをコンベヤベルト、またはロードポート、またはバッファストア、またはストッカおよびロボットに降ろすことができる。あるいは、他の自動ハンドラを使用して、エッジリングキャリアをコンベヤベルト、バッファストア、ストッカなどから処理ステーションのロードポートに移動させることができる。
【0036】
製作施設は、複数の処理ステーション(すなわち、製作システム)を含むことができる。図2に示す例示的な製作システムは、6つの処理ステーションS1~S6(210-1~210-6)を含む。図2に示す処理ステーションの数は単なる例であり、典型的な製作システムは、数十または数百の処理ステーションを含む場合がある。各処理ステーションには、エッジリングおよびウエハを取り替えるためにエッジリングキャリアならびにウエハキャリアを受け入れる1つまたは複数のロードポート(ロードポートL1~L3が例示されている)を含めることができる。図2に示される例では、各処理ステーション(S1~S6)は、複数のロードポート211a~211cと、大気移送モジュール(ATM)212と、ATM212と真空移送モジュール(VTM)214との間に配置された一対のロードロックチャンバ213a、213bと、VTM214の周りに対称的に分散された複数のプロセスモジュール215a~215fとを含む。代替の実施態様では、複数のプロセスモジュール215a~215fは、VTM214の周りに非対称に分散されてもよい。代替の実施態様では、処理ステーションは、より少数またはより多数のロードポートと、より少数またはより多数のプロセスモジュールと、1つまたは3つ以上のロードロックチャンバとを含んでいてもよい。ATM212およびVTM214内には、エッジリングおよびウエハを異なるプロセスモジュールに対して搬入および搬出するためにロボット(図示せず)が設けられる。
【0037】
ERインベントリ処理システム112は、新しいエッジリングが製作施設200の処理ステーションへの転送のために受け取られている位置に設けられたサーバコンピューティングデバイス上で実行される。サーバコンピューティングデバイスは、製作施設200の一部であってもよいし、製作施設の外部に位置してもよいが、エッジリング情報をER実行システム(ERES)に送信可能にするためにERESに通信可能に接続される。例えば、エッジリング識別子およびエッジリングの他の関連情報を識別する固有の暗号化コードは、インターネット、イントラネット、仮想プライベートネットワークなどのネットワーク250を介して、ERインベントリ処理システム112によってERESに伝えられる。いくつかの実施態様では、ERESは、製作施設200内にあるコンピュータ上で実行されてもよい。他の実施態様では、ERESは、クラウドサーバ上で実行され、ネットワーク250を介してER識別システム110および他のシステムに通信可能に接続されてもよい。エッジリングに関連する情報は、エッジリングがエッジリングキャリアに移送されて出し入れされるとき、および製作施設200内の処理ステーションに移送されて出し入れされるとき、エッジリングのさらなる追跡に使用される。追跡情報はエッジリングのメタデータファイルに更新され、このメタデータファイルは、エッジリングがERインベントリ処理システム112に入ってからエッジリングが製作施設を出るまでの時間のエッジリングの使用履歴を提供する。
【0038】
手動のプロセスでは、ユーザは、製作施設で受け取られた新しいエッジリングを手作業でスキャンし、その情報を、処理のためにER識別システム110-M内の異なるモジュールに提供する。新しいエッジリングをスキャンすることは、センサ、リーダ、または他の任意のキャプチャデバイス111’を介してエッジリング識別子11をスキャンすることを含む。エッジリング識別子11は、エッジリングの表面またはエッジリングのパッケージにタグ(例えば、英字、数字、英数字、RFIDなどを有するタグ)として設けられてもよく、またはエッジリング内にチップとして埋め込まれてもよい。エッジリング識別子11に加えて、キャプチャデバイスはまた、識別子と共に提供されるエッジリングの他の関連情報(エッジリングのタイプ、対象プロセス、寿命使用時間などを含む)もキャプチャする。キャプチャデバイス111’は、有線または無線手段によってカート101上のコンピュータ102に通信可能に接続することができ、キャプチャデバイス111’によってキャプチャされた情報は、キャプチャデバイスによってコンピュータ102に送信される。コンピュータ102は、エッジリング識別子のための固有の暗号化コードを生成する前に、エッジリングを検証し、受け取ったエッジリングが製作施設で使用される有効なエッジリングであることを確認する。検証が成功すると、エッジリングは、カート101上に載せられたエッジリングキャリア100の空きスロットに挿入される。エッジリングキャリア100は、垂直に向けられた複数のスロットを含み、各スロットは、スロット番号を使用して識別される。いくつかの実施態様では、ユーザは、エッジリングを空きスロットにロードするとすぐに、エッジリングのスロット番号をコンピュータに手入力する。あるいは、ユーザは、エッジリングを手作業でスロットにロードし、そのスロットのスロット番号を、エッジリング識別子のキャプチャに使用されるキャプチャデバイスを使用してキャプチャすることができる。いくつかの代替の実施態様では、ユーザによって手作業で提供された情報(例えば、エッジリングが挿入されるスロットのスロット番号)がコンピュータ102に送信される前に、その情報を確認するためのセンサをエッジリングキャリア内に設けることができる。この確認中、ユーザによって提供された情報がエッジリングキャリア内のセンサによって検出されたものと一致しないとき(例えば、スロット番号の不一致)、アラームを生成してユーザに不一致を警告することができる。このような場合、エッジリング識別子およびエッジリングのスロット番号に関連する情報は、検出されたエラー(すなわち、不一致)の修正後にコンピュータ102に伝えることができる。
【0039】
いくつかの実施態様では、コンピュータ102は、エッジリングキャリアのタグと通信し、キャプチャデバイス111’によってキャプチャされたエッジリングキャリアのキャリア識別子を確認し、確認が成功すると、エッジリングキャリアの情報をエッジリングに関連する情報とリンクするように構成される。コンピュータ102で実行されるERインベントリ処理システム112は、エッジリングキャリアのキャリア識別子を、エッジリング識別子とリンクさせるとともに、エッジリングに関連付けられているスロット番号とリンクさせ、固有の暗号化コードを生成するために使用される。エッジリングに関連する情報およびエッジリングの暗号化コードは、ERインベントリ113に更新される。このERインベントリ113は、製作施設内の様々な製作システム(すなわち、処理ステーション)で使用するために受け取られたすべてのエッジリングを追跡し続けるために使用されている。エッジリングの暗号化コードは、ER実行システムにも送られる。ER実行システムは、エッジリング情報を使用して、エッジリングのメタデータファイルを作成する。製作施設内のエッジリングの移動は、FAB製造実行システムを照会することによって追跡され、エッジリングがエッジリングキャリアに出し入れされる移送および処理ステーションに出し入れされる移送を反映するように、エッジリングのメタデータファイルが更新される。
【0040】
図3は、一実施態様における、ER識別システム110によってキャプチャされたエッジリング情報を使用してエッジリングのメタデータファイルを生成および更新し、エッジリングキャリアに関連する情報を更新する方法を示している。ER識別システム110によってキャプチャされたエッジリングに関連する情報(エッジリングキャリアのキャリア識別子、およびエッジリングが載置されるエッジリングキャリア内のスロット番号を含む)は、ネットワーク250を介して、製作施設内のサーバ上で実行されるERインベントリプロセッサ311に、暗号化コードとして提供される。サーバは、ネットワークを介してアクセスされるリモートサーバとすることができ、場合によっては、ER識別システム110に通信可能に接続されたクラウドベースのサーバとすることができる。エッジリング情報は、ER識別システム110内でローカルに維持されているエッジリングインベントリの更新にも使用される。
【0041】
ERインベントリプロセッサモジュール311は、エッジリング実行システム(ERES)310の一部であってもよいし、情報をERES310に提供する別々のモジュールであってもよい。ERインベントリプロセッサモジュール311は、暗号化コードを復号化し、新しいエッジリングに関する情報を抽出する。復号化された情報は、ERインベントリプロセッサモジュール311が実行されているか、または異なるサーバ上で実行され得るものと同じサーバ内で実行されているエッジリング追跡モジュール312に提供される。エッジリング(ER)追跡モジュール312は、情報を処理し、処理された情報をERES310に提供して新しいエッジリングのメタデータファイルを生成する。新しいエッジリングの情報の処理には、新しいエッジリングに関連付けられているタイプの識別、エッジリングが設計された対象のプロセスの識別、ならびにプロセスを実施する製作施設内の処理ステーションおよびプロセスモジュールの決定を含めることができる。ER追跡モジュール312は、ERES310と情報をやりとりし、エッジリング関連情報を交換する。この情報を使用して、ERES310は、新しいエッジリングのメタデータファイルを生成する。
【0042】
いくつかの実施態様では、処理中、ERES310が特定のタイプの新しいエッジリングについての使用目的情報を有していないと決定される場合がある。これは、非占有のエッジリングまたは未知のエッジリングまたはマークされていないエッジリングが製作システムに導入されている最中に起こる可能性がある。このような場合、ERES310はメッセージを生成することができ、そのメッセージがER識別システム110に伝えられる。そのメッセージは、エッジリングの使用目的に関連する追加情報の提供要求と共にユーザに提供されてもよい。このような場合、新しいエッジリングのメタデータファイルは生成されない。
【0043】
代替の実施態様では、新しいエッジリングについての使用目的情報を入手できないとき、ERES310は、メタデータファイルの生成に進んでもよい。新しいエッジリング用に生成されたメタデータファイルは、新しいエッジリングを「未知の部品」として識別することができる。新しいエッジリングに関連付けられているタイプについてER識別システム110からより多くの情報が受け取られると、使用目的情報がERES310に提供され、この使用目的情報によって、新しいエッジリングのメタデータファイルを動的に更新することができる。
【0044】
新しい(新たな)エッジリング用に生成されたメタデータファイルは、ERメタデータ用データベース325に格納される。ERメタデータ用データベース325は、製作施設に入ったすべてのエッジリングに対して生成されたメタデータファイルのリポジトリである。メタデータファイルで提供される情報は、製作施設(すなわち、ファブ)200内の異なる製作システムで使用される各エッジリングのメタデータテーブル(325-1~325-n)を生成するために使用される。新しいエッジリングのメタデータファイルに含まれる初期情報は、ER識別システムによって提供され、新しいエッジリングをエッジリングキャリアにロードする際にキャプチャされた情報を含んでいる。この情報は、エッジリング識別子、エッジリングタイプ、対象プロセス、エッジリングキャリアのキャリア識別子、エッジリングキャリア内のエッジリングの位置(すなわち、スロットのスロット番号)、エッジリングの状態、使用寿命などの情報である。エッジリングの状態は、例えば、「新品」、「使用済み」、または「一部使用済み(使用途中)」を含むことができる。新しいエッジリングのロード中に新しいエッジリングに対してキャプチャされた前述のフィールドは例示であり、限定と見なされるべきではないことに留意されたい。
【0045】
追加のエッジリングが製作施設に導入されると、追加のエッジリングに関連する情報がキャプチャされ、追加のエッジリングがエッジリングキャリアにロードされる。新品のエッジリングがエッジリングキャリアに受け取られると、エッジリングの使用寿命は、エッジリングメーカが提供する情報を使用して更新される。いくつかの実施態様では、製作施設に導入されるすべてのエッジリングが新品であるとは限らない。例えば、別の製作施設で部分的に使用された一部使用済みエッジリングが、この製作施設内のプロセスモジュールで使用するために製作施設に導入される場合がある。一部使用済みエッジリングには、製作施設内にメタデータがない場合がある。その結果、一部使用済みエッジリングを製作施設で受け取ると、新しいエッジリングを受け取ったときと同様の方式で、一部使用済みエッジリングのメタデータが生成される。一部使用済みエッジリングは異なる製作システムですでに何らかのプロセスを経ているため、一部使用済みエッジリングの寿命は、対応するタイプの新品のエッジリングの寿命よりも短くなる。結果として、ロード中にキャプチャされた一部使用済みエッジリングの情報は、一部使用済みエッジリングの残り使用寿命を含み、一部使用済みエッジリングに対して生成されたメタデータファイルは、そのような詳細を反映する。
【0046】
いくつかの実施態様では、エッジリングキャリアは、新品のエッジリングのみ、または使用済みエッジリングのみ、または新品と使用済みが混ざった混合エッジリングを格納および搬送するように構成することができる。新品と使用済みが混ざった混合エッジリングがエッジリングキャリアにロードされているいくつかの実施態様では、新品のエッジリングの汚染を防止するために、新品のエッジリングを上部で受け取り、使用済みエッジリングを下部で受け取ることができる。いくつかの実施態様では、エッジリングキャリア内に定義される使用済みエッジリング部分を、一部使用済みエッジリングも受け取るように構成してもよい。例えば、12個のスロットを有するエッジリングキャリアでは、スロット番号1~6を新品のエッジリングの受け取りのみに使用し、スロット番号7~12を使用済みおよび一部使用済みエッジリングの受け取りに使用することができる。一部使用済みエッジリングは、プロセスのタイプおよびプロセスモジュールでのプロセス実行所要時間に応じて、プロセスモジュールで再利用される場合がある。エッジリング追跡モジュール312は、エッジリング識別子を使用して製作システム内の新品のエッジリング、使用済みエッジリング、および一部使用済みエッジリングの追跡を続け、この情報をエッジリング実行システム(ERES)310に提供する。
【0047】
エッジリングキャリア100が製作施設に入り、処理ステーションに出し入れされるとき、FORP追跡モジュール322を用いて、エッジリングキャリアの移動を追跡し続け、この情報をERES310に提供する。FORP追跡モジュール322は、製作施設内のウエハキャリア(例えば、FOUP)の移動を追跡し続けるウエハ管理システム(WMS)321と同様である。ウエハ管理システム321は、FOUPが製作施設200内の異なる場所に移動されるとき、FAB製造実行システム(FMES)320を照会することによってAMHSからFOUPの現在の位置および現在のステータスに関連する情報を取得する。同様に、FORP追跡モジュール322は、FAB製造実行システム320を照会し、エッジリングキャリアの現在の位置に関連する情報を取得する。
【0048】
FORP追跡モジュール322内のFORP到着トラッカ322-aは、FMES320と情報をやりとりし、エッジリングキャリアが特定の処理ステーションのロードポートに到着した時間に関する情報を取得する。FMES320は、自動マテリアルハンドリングシステム(AMHS)から取得した情報を使用してこの情報を提供する。FORP追跡モジュール322内のFORP出発トラッカ322-bは、FMES320と情報をやりとりし、エッジリングキャリアがその特定の処理ステーションのロードポートを出発した時間に関する情報を取得する。エッジリングキャリアの現在の位置および現在のステータスに関する情報は、エッジリング実行システム(ERES)310に提供され、ERES310は、エッジリングキャリア内に含まれる各エッジリングのメタデータファイルを更新できるようになる。各エッジリングのメタデータファイルは、ER識別システム110から取得した初期情報および製作システムの製造実行システム320から取得した使用情報を使用して寿命情報を構築する。
【0049】
また、FORP追跡モジュール322によって収集されたエッジリングキャリアに関連する情報は、FORP状況データベース326におけるエッジリングキャリアの状況を更新し、その状況および他の関連情報を格納するためにも使用される。FORP状況データベース326は、製作施設内で使用される様々なエッジリングキャリアの状況を維持するためのリポジトリである。FORP状況データベース326に格納された情報(キャリア識別子、タイプ、エッジリングキャリアの現在の状況、現在の位置、内部に収容している異なるエッジリングの対象プロセスモジュール、エッジリングの対象プロセスなど)は、製作施設で使用される各エッジリングキャリア(FORP001~00n、nは整数)に対するエッジリングキャリア状況テーブル326-1~326-nを生成するために使用される。異なるエッジリングキャリアの例示的な状況テーブルを、以下の表Dに示す。
【表1】
表D:FORP状況テーブル
【0050】
この表に示されるように、様々なエッジリングキャリアの状況テーブルは、製作施設内でのエッジリングキャリアの位置、およびエッジリングキャリアのステータスを識別する詳細を含むことができる。例えば、状況テーブルは、エッジリングキャリアのタイプ(例えば、使用済みエッジリングのみを運ぶエッジリングキャリア、新品のエッジリングのみを運ぶエッジリングキャリア、新品のエッジリングと使用済みエッジリング(一部使用済みエッジリングを含む)の両方を運ぶエッジリングキャリア)、各エッジリングキャリアの現在の位置(例えば、処理ステーションにあるのか、それともストッカで待機中なのか)、エッジリングキャリアのステータス、対象プロセスモジュール、エッジリングキャリアを使用してエッジリングが運搬されるプロセスのタイプを含み得る。対象プロセスモジュールおよびプロセス情報のタイプは、エッジリングキャリアにロードされるエッジリングのタイプに基づいて提供することができる。エッジリングキャリアのステータスのサンプルセットは、上記の表Dに示されており、処理ステーションに向けて運搬中、処理ステーションに運搬予定、運搬完了および処理ステーションから出発、ストッカで待機中、ピックアップのため処理ステーションに向けて移動中などである。これらのステータスの各々は、製作施設内におけるエッジリング位置から、エッジリングキャリアの位置を決定するために十分な詳細を提供する。
【0051】
エッジリングがエッジリングキャリアに出し入れされるとき、エッジリング追跡モジュール312は、エッジリングの移動を追跡し、この情報をER実行システム(ERES)310に提供する。エッジリング追跡モジュール312のER取り出しトラッカ312-aは、FAB製造実行システム320と情報をやりとりし、AMHSによって提供される情報を使用して、エッジリングキャリアの現在の位置と、その位置でのエッジリングキャリアの目的(例えば、エッジリングのロード、運搬、交換、出発など)を取得する。例えば、FAB製造実行システム320は、エッジリングキャリアの現在の位置を特定の処理ステーションのロードポートとして提供し、エッジリングキャリアがそのロードポートに位置しているときのエッジリングキャリアの目的を識別することができる。FAB製造実行システム320によって提供される情報に加えて、処理ステーション上および/または処理ステーション内に分散された1つまたは複数のセンサを使用して、エッジリングが処理ステーション内を移動するときの追加情報を取得することができる。図2を参照して説明したように、処理ステーションは、ロードポート、大気移送モジュール(ATM)、ATM内のアライナ、ATM内のロボット、1つまたは複数のロードロックチャンバ、真空移送モジュール、VTM内のロボット、および1つまたは複数のプロセスモジュールなどの複数のモジュールを含むことができる。
【0052】
処理ステーション内の1つまたは複数のモジュールに設けられるセンサを使用して、処理ステーション内のエッジリングの現在の位置および現在の状況に関する追加情報を取得することができる。FAB製造実行システム320によってAMHSおよび様々なセンサから収集された情報は、エッジリング追跡モジュール312によってエッジリング実行システム(ERES)310に転送される。ERES310は、この情報を処理し、各エッジリングキャリアおよび各エッジリングの現在の状況と現在の位置を決定し、ERメタデータ用データベース325内の各エッジリングのERメタデータテーブル、およびFORP状況データベース326内の各エッジリングキャリアの現在の状況を更新する。加えて、エッジリングキャリアの内容への変更は、FORP内容データベース327に更新される。FORP内容データベース327は、製作施設内で用いられる各エッジリングキャリアの詳細を維持する動的リポジトリである。FORP内容データベース327で提供される情報は、対応するエッジリングキャリアFORP ID001~FORP ID00nのエッジリングキャリア内容テーブル327-1~327-nを更新するために使用される。
【0053】
エッジリングキャリアが処理ステーションのロードポートに移動され、新しいエッジリングがエッジリングキャリアから処理ステーション内のプロセスモジュールに移動されると、新しいエッジリングのメタデータファイルが更新され、プロセスモジュール内のエッジリングの現在の位置を識別する。現在の位置は、処理ステーション識別子および処理ステーション内のプロセスモジュール識別子を使用して識別することができる。新しいエッジリングがプロセスモジュールに導入された時間を識別する挿入時間も、新しいエッジリングのメタデータファイルに記録される。新しいエッジリングの挿入後にプロセスモジュール内でプロセスが実施されると、新しいエッジリングのメタデータファイルが更新され、プロセスモジュール内で実施されたプロセスのタイプが識別されるとともに、プロセスの開始時と終了時を識別する使用時間が識別される。ウエハがプロセスを受けるためにプロセスモジュールに導入されるよりも前にエッジリングがプロセスモジュールに挿入される可能性があるため、挿入時間は使用時間と一致しない場合がある。使用時間は、エッジリングの残りの寿命を決定するためにERES310によって使用される。加えて、プロセスモジュール内での新しいエッジリングの使用の検出に応じて、新しいエッジリングの現在のステータスが「新品」から「使用済み」に更新される。エッジリングが現在のプロセスモジュールから同じ処理ステーション内の第2のプロセスモジュールに移動すると、処理ステーション内に設けられたセンサは、エッジリングが現在のプロセスモジュールから移動されて第2のプロセスモジュールに挿入された時間の詳細を提供する。第2のプロセスモジュール内でプロセスが実施されると、エッジリングの使用時間は第2のプロセスからの情報で更新される。第2のプロセスモジュールでのプロセスの完了後、エッジリングを、処理ステーションのロードポートに到着した第2のエッジリングキャリアに移動することができる。第2のエッジリングキャリアは、エッジリングを異なる処理ステーションに搬送することができ、またはエッジリングの使用寿命がすべてまたはほとんど消費された場合には、廃棄のためにエッジリングを製作施設から移動させることができる。
【0054】
エッジリング追跡モジュール312内のERリターントラッカモジュール312-bは、エッジリングが第2のエッジリングキャリアに戻されるときを追跡し続け、プロセスモジュールからエッジリングが取り出される時間を記録する。前述のように、エッジリングキャリアは、新品のエッジリングのみ、使用済みエッジリングのみ、または新品と使用済みが混ざった混合エッジリングを保持するように構成することができる。エッジリングをプロセスモジュール内で交換するとき、使用済みエッジリングはプロセスモジュールから取り出され、使用済みエッジリングを保持可能なエッジリングキャリアに戻される。新品のエッジリング(または一部使用済みエッジリング)は、その新品のエッジリング(または一部使用済みエッジリング)を保持するエッジリングキャリアから取り出され、プロセスモジュールに挿入される。使用済みエッジリングの取り出しおよび新しいエッジリングの挿入は、処理ステーション内のロボット(ATM、VTMロボット、場合によっては、エッジリングキャリア内のロボット)を使用して実現され、このような交換は真空を破ることなく行われる。使用済みエッジリングが戻されるエッジリングキャリアは、新しいエッジリングが取り出されるエッジリングキャリアと同じとすることも、または異なるエッジリングキャリアとすることも可能である。ER取り出しトラッカ312-aおよびERリターントラッカ312-bは、異なるエッジリングキャリアから取り出された、または異なるエッジリングキャリアに戻されたエッジリングの詳細を提供し、この情報は、エッジリング実行システム310に提供される。
【0055】
エッジリング実行システム310は、異なるモジュール(例えば、エッジリング追跡モジュール、FORP追跡モジュール)から収集された様々なデータを使用して、消費寿命、エッジリングの残り寿命、エッジリングのプロセス履歴などを含む、各エッジリングキャリアの現在の内容、および各エッジリングキャリア内の各エッジリングの現在の状況/状態を決定する。エッジリングキャリアの内容への変更が検出されると、各エッジリングキャリアに格納されたエッジリングに関連する情報は、エッジリングキャリアタイプごとに維持される対応するFORP内容テーブル327に動的に更新される。特定のエッジリングキャリアの内容の例示的な表Aを、以下に示す。
【表2】
表A:エッジリングキャリアFORP001の内容詳細
【0056】
エッジリングキャリアFORP001について上記の表Aに記載されている情報は、エッジリングキャリアのタイプ(使用済みエッジリングのみを運ぶエッジリングキャリア、新品のエッジリングのみを運ぶエッジリングキャリア、または新品と使用済みが混ざった混合エッジリングを運ぶエッジリングキャリア、新品のエッジリングもしくは使用済みエッジリングを運ぶためのスロット位置など)を含んでもよい。この情報は、受け取った新品のエッジリングを製作施設に挿入するために使用できる空きスロット、一部使用済みまたは完全に使用済みのエッジリングを挿入するための空きスロット、各エッジリングの残り寿命などの決定に利用することができる。
【0057】
様々なテーブル(ERメタデータテーブル、FORP状況テーブル、FORP内容テーブル)で提供される情報は、ER識別システムから取得されたデータおよびFABの製造実行システム(MES)から取得されたデータを使用して、以下のことを決定するための適切な詳細を提供する:プロセスモジュール内での特定のエッジリングの交換時期、使用済みエッジリングの廃棄必要時期、新品のエッジリングをロードするために使用するエッジリングキャリア、使用済みエッジリングをロードするために使用するエッジリングキャリア、特定の処理ステーション内のプロセスモジュールで使用されるエッジリングのタイプが、その特定の処理ステーションに運搬予定のエッジリングキャリア内に含まれているかどうか、特定のプロセスモジュールを対象としたエッジリングが、その特定のプロセスモジュール内で1つまたは複数のプロセスを受けるのに十分な寿命があるかどうか、など。また、追加情報(各プロセスモジュールで実行されているプロセスのタイプ、使用されている化学物質のタイプ、製作システムにおける問題検出箇所、問題発生時間、問題検出時のエッジリングおよびエッジリングキャリアの位置、問題検出時のエッジリングの状態、問題検出時のウエハの位置、ウエハの状態など)は、FABのMESを照会することで取得され、製作施設内の様々なプロセスモジュールの状態のより詳細な調査を行うために使用することができる。
【0058】
いくつかの実施態様では、処理ステーション内のプロセスモジュールに導入されると、エッジリングは、その使用寿命が満了するか、または満了に近づくまで、同じプロセスモジュールに留まる場合がある。代替の実施態様では、ウエハが同じ処理ステーションまたは異なる処理ステーション内の異なるプロセスモジュールに移動するとき、エッジリングがウエハに追従する場合がある。ER取り出しトラッカ312-aは、エッジリングを追跡し、エッジリングが処理ステーション内のプロセスモジュールから取り出される時期を決定する。ER取り出しトラッカ312-aは、処理ステーション内のエッジリングの状態を決定するために、エッジリングが曝されたプロセスの現在の位置およびタイプに関連する情報を取得する。エッジリングのメタデータテーブルに更新された様々な情報は、エッジリングの豊富な使用履歴を提供する。例えば、エッジリングは200時間の使用寿命を有する場合があり、エッジリングのメタデータテーブルで提供される情報を使用してエッジリングの使用履歴を追跡し続け、エッジリングの現在の位置、およびエッジリングの交換必要時期を決定することができる。製作システムで導入および使用されたエッジリングA-1のサンプルメタデータテーブルを、以下の表Bに示す。
【表3】
表B:エッジリングA-1のメタデータ:
【0059】
表Bに示すように、エッジリングA-1は、異なるプロセスモジュールで異なるプロセスを経ている場合がある。この表は、エッジリングの使用時間(単位:時間)、エッジリングA-1が使用されたプロセスのタイプ、処理ステーション、およびエッジリングA-1が使用された処理ステーション内のプロセスモジュールを示している。例えば、エッジリングA-1は、エッジリングキャリアFORP001にロードされ、処理ステーションS-087に運搬され、プロセスモジュールPM-01X1に挿入されてエッチング1の操作を受けた。エッチング1の操作後、エッジリングA-1は、別のエッチング(エッチング2)操作が実施される同じ処理ステーションS-087内のプロセスモジュールPM-01X3に移動された可能性がある。エッジリングA-1は、ATM/VTMロボットを使用してプロセスモジュールPM-01X3から取り出され、第2のエッジリングキャリアFORP002にロードされて第2の処理ステーションS-172に移動され、異なるプロセスモジュールPM-07Y3に挿入された可能性があり、このプロセスモジュールPM-07Y3において追加のエッチング(エッチング3)操作が実施された可能性がある。エッチング3の操作後、エッジリングA-1は、同じ処理ステーションS-172内のプロセスモジュールPM-27X5に移動された可能性があり、このプロセスモジュールPM-27X5において別のエッチング(エッチング4)操作が実施された可能性がある。各プロセスモジュールで実施されるプロセスのタイプ(例えば、エッチング)に応じて、エッチング時間は、各処理ステーション間で互いに異なっても同じでもよく、またはすべてのプロセスモジュールで同じでもよい。
【0060】
簡略化のため、エッジリングが様々なプロセスモジュールで曝されるプロセスを、表Bではエッチング操作として示す。エッチング操作は、特定の1つのタイプのエッチングに限定されず、金属エッチング、誘電体エッチングなどを含む様々なタイプのエッチングを含み得ることに留意されたい。これは、各プロセスモジュールにおいてエッチング操作にかかる時間が様々であることによって証明でき、異なるプロセスモジュールで異なるタイプのエッチングが実施されることを示している。エッジリングのメタデータにキャプチャされた詳細は、表Bに示されているフィールドに限定されず、エッジリングの使用履歴の決定に有用であり得る追加のフィールドを含むことができる。
【0061】
ERES310は、製作施設で使用されるすべてのエッジリングおよびエッジリングキャリアの情報を、対応するファイル/データベースに維持している。ERES310は、様々なファイル/データベース(例えば、エッジリングのメタデータファイル/データベース、エッジリングキャリアごとのFORP状況ファイル/データベースおよびFORP内容ファイル/データベース)で提供される情報を使用して、製作施設内の各エッジリングのルーティング履歴など、追加の詳細を提供する。ルーティング履歴は、製造/データベース内のエッジリングの移動の詳細を提供する。いくつかの実施態様では、エッジリングのルーティング履歴で提供される情報は、表Bに示すエッジリングのメタデータテーブルのエッジリングフィールドで提供されるリンクからアクセス可能である(エッジリングフィールドは強調表示されたボックスに示される)。表Bのエッジリングフィールドで提供されるリンクからアクセスされるエッジリングA-1の例示的なルーティング履歴を、以下の表Cに示す。
【表4】
表C:エッジリングA-1のERルーティング履歴(FORP経由)
【0062】
エッジリングキャリアに出し入れされ、AMHSおよびセンサによってキャプチャされた処理ステーションに出し入れされるエッジリングの詳細は、ルーティング履歴の提供に使用される。ルーティング履歴で提供される情報は、エッジリングの使用寿命を追跡し続けるために使用することができる。エッジリングの寿命が終わりに近づくと、特定のプロセスモジュール内のエッジリングの使用寿命が終わりに近づいており交換する必要があることを示す信号を、エッジリング実行システムによって生成することができる。
【0063】
FAB製造実行システム320およびエッジリング実行システム(ERES)310は、製作施設内の2つの異なるサーバによって実行することができるが、ネットワークを介して通信可能に接続され、製作施設内のエッジリングおよびエッジリングキャリアに関連する情報をやりとりしている。エッジリング実行システム310は、エッジリングおよびエッジリングキャリアを追跡し、FAB製造実行システム320を動的に照会して製作施設内の様々な部品の全体的な状態に関連する追加情報を取得し、その取得した情報を使用してエッジリングのステータス、エッジリングキャリアのステータス、ならびに製作施設内の異なる部品およびモジュールの全体的なステータスの詳細を提供するので、情報に基づいたルーティングおよび/または処理の決定を行うことができ、エッジリングの最適な使用を実現することができる。
【0064】
FAB製造実行システム320およびエッジリング実行システム310は、製作施設内のコンピューティングデバイス上で実行されているか、またはクラウドサーバの一部である全体的な機器情報管理(EIM)システム300の一部であり得る。EIMシステムは、製作施設内のスタンドアロンシステムである場合もあれば、他の製作施設や部品メーカと情報をやりとりするシステムのネットワークの一部である場合もある。エッジリング、ウエハ、およびプロセスモジュールの全体的な状態および状況に関連する詳細を抽出するために、様々なシステムからの情報を照会してもよい。エッジリングの自動追跡およびこの追跡から取得した情報の詳細な分析により、正しいタイプのエッジリングがFORPにロードされ、異なる製作システム(すなわち、処理ステーション)内のプロセスモジュールに提供されるようになる。これにより、ロードエラー、およびロードエラーに起因する不要なウエハスクラップをなくし、使用済みエッジリングがプロセスモジュールに誤って提供されることを防止し、それによってエッジリングの使用寿命を改善し、ウエハ処理の歩留まりを向上させる。追跡から取得した情報を使用して、統計モデルおよび所有コストモデルを構築するためのエッジリングの寿命を正確に決定することができる。いくつかの実施態様では、FAB MESへの照会は、照会結果をエッジリング実行システム310に提供する前に、専有情報をフィルタリングすることが必要になる場合がある。例えば、ある特定のプロセスモジュールで実施される一部のプロセスは、共有されるべきでない専有プロセスを含む場合がある。照会に応じてFAB MESからそのような専有情報を返すことを回避するために、難読化フィルタリングをFAB MESまたはエッジリング実行システムのいずれかで用いてもよい。これにより、共有可能な情報のみがテーブルに含まれ、専有情報は除外される。
【0065】
製作システムを通るエッジリングの追跡から取得した情報から生成される様々なテーブルは、リレーショナルデータベーステーブルの形式であり得る。これらのリレーショナルデータベーステーブルは、リアルタイムで照会または検索され、エッジリングおよびエッジリングキャリアに関連する情報にアクセスすることができる。さらに、既存のテーブルで提供される情報を拡張できる追加情報を提供するために、これらのリレーショナルデータベースを照会し、照会からの結果を製作施設内外の他のソースから取得した情報と組み合わせて、既存のテーブルにリンク可能な追加のテーブルを生成することができる。例えば、他のテーブルは、他の製作施設または製造実行システムまたはメーカからの情報を提供するものであってもよく、このような情報は、エッジリング実行システムでキャプチャされる情報を拡張し、エッジリングおよびこれらのエッジリングを使用できるプロセスについてさらなる詳細を提供することができる。エッジリング実行システムに関連する様々な詳細をリレーショナルデータベーステーブルに格納することは1つの方法であり、他の情報格納方法または形式も想定できることに留意されたい。
【0066】
様々な実施態様は、エッジリング識別子およびエッジリングの他の関連情報を使用して、製作施設内のエッジリングを追跡する。したがって、エッジリングが処理ステーションに運搬されるとき、エッジリング識別子およびエッジリングに関連する関連情報は、エッジリング識別子から読み取られた部品番号が処理ステーション内のプロセスモジュールに設置する上で正しいことを確認するために使用される。部品番号が正しくない場合、エッジリング実行システム内の制御を利用してアラームを通知し、エッジリングがプロセスモジュールに移送されないようにする。様々な実施態様により、プロセスモジュールで使用するために挿入する前に、エッジリングの設計を自動的に識別および確認することが可能であるため、不要なスクラップが回避される。
【0067】
ここまでエッジリングの追跡を参照して様々な実施態様を説明してきたが、実施態様はエッジリングの追跡に限定されず、製作施設内で使用される他の消耗部品を追跡するように拡張できることに留意されたい。
【0068】
図4は、一実施態様における、初期ロード段階で、および取り出し/交換段階中にエッジリングを追跡するために使用されるエッジリングキャリア100の簡略図を示している。エッジリングキャリアは、キャリア識別子100-aを使用して識別される。キャリア識別子は、タグとして設けてもよく、プレートなどの上に設けてもよい。内部には、エッジリング10を受け取るために複数のスロットが画定されている。スロットの各々は、スロット番号105を使用して識別される。エッジリングがエッジリングキャリアに出し入れされているときにエッジリングを追跡するため、エッジリングキャリア100内に複数のセンサ(107-a~107-d)を設けることができる。これらのセンサによって提供される情報は、自動ロード中にキャプチャされた情報、またはエッジリングが手動でロードされたときにユーザによって提供された情報、およびエッジリングが使用されているときに製作システム内のAMHSによって提供された情報を確認するために使用することができる。情報は、エッジリングのメタデータ、ならびにFORP状況データベースおよびFORP内容データベース内に維持されているエッジリングキャリアに関連する情報を更新するために使用される。エッジリングキャリアにロードされるエッジリングは、交換可能なエッジリングまたは調整可能なエッジリングであってもよい。例示的な調整可能なエッジリングを図4に示す。調整可能なエッジリングの場合、エッジリングは特定の高さのものとすることができる。高さは、交換が必要になるまでのエッジリングの寿命を延ばすために利用される。例えば、プロセスモジュール内の過酷な化学薬品に曝されたエッジリングの表面が損傷すると、プロセスモジュールの台座で受け取られたエッジリングはリフトピンを使用して上に移動され、エッジリングの新しい表面がプロセスモジュール内の過酷な化学薬品に曝されるようにすることができる。エッジリングの高さが事前に定義された高さまで下がった場合、エッジリングの交換が必要な可能性がある。本明細書で説明される様々な実施態様は、調整可能なエッジリングおよび交換可能なエッジリング(すなわち、十分な高さを有さないエッジリング)に拡張することができる。
【0069】
図5A図5Dは、エッジリングの移動を追跡するためにセンサを配置することができる処理ステーション内の様々なモジュールを示している。AMHSは処理ステーションの外部に位置するロードポートにのみアクセスを有するため、AMHSは、処理ステーションのロードポートに至るまでの位置およびステータス情報を提供することができる。処理ステーション内のエッジリングの実際の使用に関する情報は、実際の使用場所(すなわち、プロセスモジュール)でのエッジリングの使用履歴を決定するために重要である。処理ステーションの異なるモジュールに位置するセンサは、処理モジュール内におけるエッジリングの使用の追跡を支援する。
【0070】
図5Aは、処理ステーション内の大気移送モジュール(ATM)と真空移送モジュール(VTM)との間に位置するロードロックチャンバ213の簡易俯瞰図を示している。ロードロックチャンバ213は、ATMへの開口部と、VTMへの開口部とを含む。1つまたは複数のセンサ(213-s1、213-s2)をATMへの開口部に近接する内側壁に設けることができ、また、1つまたは複数のセンサ(213-s3、213-s4)をVTMへの開口部に近接する内側壁に設けることができる。これらのセンサは、エッジリングがロードロックチャンバ内に入るとき、およびロードロックチャンバ213を出るときにエッジリングを追跡することを可能にする。
【0071】
図5Bは、処理ステーション内でエッジリングを移動させるために使用できるロボットを示している。ロボット(216(ATM)/216’(VTM))は、ATMまたはVTMの一部とすることができる。ロボットは1つまたは複数のセンサ216-a/216’ -aを含むことができ、ロードポートで受け取られたエッジリングキャリアにエッジリングをロードするためにエッジリングがプロセスモジュールとロードポートとの間で移動されるとき、このセンサがエッジリングを追跡し続ける。VTMロボットは、プロセスモジュール同士の間およびプロセスモジュールとロードロックチャンバとの間でエッジリングを移動させるように構成することができ、ATMロボットは、エッジリングをロードロックチャンバからエッジリングキャリア内の特定のスロットに移動させるように構成することができる。ロボットのセンサ、ならびにATMおよび/またはエッジリングキャリア内の1つまたは複数のセンサによってキャプチャされた情報を使用して、エッジリングキャリア内のエッジリングの位置を確認することができる。
【0072】
図5Cは、処理ステーション内のプロセスモジュールに運搬する前にエッジリングを位置合わせするために使用され得るATM212内のアライナ217を示している。アライナ217は、回転軸(例えば、水平軸)に沿ってエッジリング10を移動させるスピナ218を含む。アライナ217を使用してエッジリング10を位置決めすることにより、エッジリング識別子は、アライナ上の1つまたは複数のセンサ(217-a、217-b)および処理ステーションの他のモジュールに分散された1つまたは複数のセンサによって容易に読み取り可能となる。エッジリング識別子がエッジリングの外側にある場合、センサは、エッジリング識別子を容易に読み取ることができる可能性がある。センサ217-aは、エッジリング上のエッジリング識別子の場所に基づいて戦略的に配置することができる。
【0073】
図5Dに示すプロセスモジュール215では、センサ215-a、215-bを、プロセスモジュール215への開口部またはドア219に近接して配置することができる。エッジリング10は、プロセスモジュール215内に受け取られたウエハ15に隣接して、ウエハ15の表面を拡張するように載置される。エッジリングの交換が必要なとき、エッジリングは、ウエハ受取面で利用可能なリフトピン機構を使用して持ち上げられ、VTMのロボットを使用してプロセスモジュール215から運び出される。エッジリングがドア219を通過するとき、センサ215-a、215-bは、エッジリング識別子をキャプチャすることが可能であり得る。センサ215-a、215-bの位置は、プロセスモジュールの内側側壁、上向きの底面、下向きの上面、またはその間の任意の位置であってもよい。
【0074】
様々なモジュールに設けられるセンサの数は単なる例であり、より少数またはより多数のセンサを様々なモジュールに設けて、エッジリングが様々なモジュールに対して搬入および搬出されているときにエッジリングのエッジリング識別子をキャプチャしてもよい。
【0075】
図6は、一実施態様における、エッジリングが製作施設内でエッジリングキャリアに対して搬入および搬出されているとき、および処理ステーションに対して搬入および搬出されているときのエッジリングの追跡例を示している。この追跡を反映するために、追跡から取得した情報を含む様々なテーブルが提供されている。
【0076】
最初のプロセスは、エッジリングA-1がスロット番号1のエッジリングキャリア(FORP ID001)100-1にロードされるときに始まる。エッジリングキャリア100-1は、スロット番号2~6および8~12に位置する複数のエッジリングを含んでおり、スロット番号7は空き状態である。ロード情報は、FORP ID001へのエッジリングA-1の追加を反映するためにエッジリングキャリア内容テーブルに更新され、エッジリングA-1のエッジリング情報がエッジリングA-1用のメタデータテーブルに更新される。天井搬送(OHT)車201が、エッジリングキャリアを処理ステーション210(ステーション識別子S-087)に移動させる。OHT車201は、異なる処理ステーションにエッジリングキャリアおよびウエハキャリア(すなわち、FOUP)を移動させるために使用されるAMHSマテリアルハンドリングシステムの一部であり得る。エッジリングキャリアが処理ステーションS-087に到着すると、製作施設内の位置に関連するエッジリングキャリア情報がFORP ID001のエッジリング状況テーブルに更新される。次に、エッジリングA-1は、大気移送モジュール(ATM)および真空移送モジュール(VTM)ロボットを使用して、エッジリングキャリアFORP ID001のスロット1から、処理ステーションS-087内のプロセスモジュール215(プロセスモジュール識別子01X1)に移動される。そして、プロセスモジュール01X1に向けられたエッジリングA-1が正しいエッジリングであること、かつ、そのエッジリングA-1の残り使用寿命がエッチング操作のためプロセスモジュール01X1に挿入されるのに十分であることが確認されると、エッジリングA-1がプロセスモジュールに移動される。エッジリングA-1の残り使用寿命が不十分な場合、警告信号が生成され、エッジリングA-1はエッジリングキャリアFORP001から移動されない。エッジリングA-1が十分な使用寿命を有することの確認に成功すると、FORP ID001のキャリア内容情報が、エッジリングA-1の取り出しを示すように更新される。
【0077】
エッチング操作(エッチング1)は、プロセスモジュール01X1(215-1)で実施される。エッチング1の操作の終了後、エッジリングA-1は、VTMロボットを使用して、同じ処理ステーションS-087内の第2のプロセスモジュール01X3に移動される。エッジリングメタデータは、処理ステーションS-087内でのエッチング1の操作後の、エッジリングの現在の位置および現在の状態を示すように更新される。第2のエッチング操作(エッチング2)は、プロセスモジュール01X3で実施され、エッチング2の操作が終了すると、エッジリングA-1は、処理ステーションS-087のVTM/ATMロボットを使用して、処理ステーションS-087から第2のエッジリングキャリアFORP ID002に移動される。エッジリングA-1は、エッジリングキャリアFORP ID002の空きスロット5にロードされ、エッジリングキャリア内の空きスロットはスロット8のみとなる。この場合のFORP ID002は混合リング用エッジリングキャリアであり、新品のエッジリングと使用済みのエッジリングが空きスロットにランダムに載置される。FORP ID002のエッジリングキャリア内容テーブルおよびエッジリング状況テーブルが更新され、エッジリングの現在の位置(FORP ID002内のスロット5)および現在の状態(エッチング2の操作後)が、エッジリングA-1のメタデータテーブルに更新される。
【0078】
AMHSのOHT車201は、第2の処理ステーションS-172にエッジリングキャリアを移動させるために使用される。エッジリングキャリアが処理ステーションS-172に到着すると、エッジリングキャリア情報がFORP ID002のFORP状況テーブルに更新される。
【0079】
次に、エッジリングA-1は、処理ステーションS-172のATM/VTMロボットを使用して、エッジリングキャリアFORP ID 002から処理ステーションS-172内のプロセスモジュール07Y3に移動される。プロセスモジュール07Y3へのエッジリングA-1の移動は、プロセスモジュール07Y3に向けられたエッジリングA-1が正しいエッジリングであること、かつ、そのエッジリングA-1の残り使用寿命がエッチング操作のためプロセスモジュール07Y3に挿入されるのに十分であることが確認されたときに行われる。FORP ID002のFORP内容テーブルは、スロット5からのエッジリングの取り出し、および処理ステーションS-172内のプロセスモジュール07Y3への挿入を示すように更新される。
【0080】
エッチング操作(エッチング3)は、プロセスモジュール07Y3で実施される。エッチング3の操作の終了後、エッジリング情報がエッジリングA-1のメタデータテーブルに更新される。次に、エッジリングA-1は、VTMロボットを使用して、プロセスモジュール07Y3から同じ処理ステーションS-172内の第2のプロセスモジュール27X5に移動される。エッチング操作(エッチング4)は、プロセスモジュール27X5で実施される。エッチング4の操作が終了すると、エッジリングA-1は、処理ステーションS-172のATM/VTMロボットを使用して、処理ステーションS-172から第3のエッジリングキャリアFORP ID003に移動される。エッジリングは、第3のエッジリングキャリアFORP ID003の空きスロット8にロードされ、エッジリングキャリアFORP ID003の空きスロットはスロット3および11となる。それに応じて、エッジリングA-1のメタデータテーブル、ならびにエッジリングキャリアFORP ID003の状況テーブルおよび内容テーブルが、エッジリングの現在の位置および状態で更新される。
【0081】
AMHSのOHT車201は、第3の処理ステーションS-120にエッジリングキャリアFORP ID003を移動させる。エッジリングキャリアFORP ID003が処理ステーションS-120に到着すると、エッジリングキャリア情報は、FORP ID003のFORP状況テーブルに更新される。
【0082】
エッジリングA-1は、エッジリングA-1の残り使用寿命がプロセスモジュール12W4で予定されるエッチング操作に十分であること、およびエッジリングがプロセスモジュール12W4への挿入に適していることを確認した後、エッチング操作(エッチング5)のためにプロセスモジュール12W4に移動される。エッジリングキャリア情報は、エッジリングA-1がスロット8から取り出されて処理ステーションS-120に挿入されたことを示すように、FORP ID003のFORP内容テーブルに更新される。エッチング5の操作の終了後、エッジリング情報がエッジリングA-1のメタデータテーブルに更新される。次に、エッジリングA-1は、VTMロボットを使用して、プロセスモジュール12W4から同じ処理ステーションS-120内の第2のプロセスモジュール12W5に移動される。エッチング操作(エッチング6)がプロセスモジュール12W5で実施される。エッチング4の操作が終了すると、エッジリングメタデータファイルが、エッジリングの現在の状態を示すように更新される。エッジリングおよびエッジリングキャリアに関連する様々なテーブルは、エッジリングの状況、位置、またはエッジリングキャリアの状況、位置の変化がERESによって検出されるたびに、処理ステーション内のエッジリングおよびエッジリングキャリアの現在の状況、位置を提供するように動的に更新され続ける。
【0083】
以下の表は、エッジリングがエッジリングキャリアに出し入れされたとき、および異なる処理ステーション内の様々なプロセスモジュールに出し入れされたときに、エッジリングの追跡の異なる段階で更新された様々なエントリを示す。表Aは、製作システム内で使用されている各FORPの内容詳細を示し、表Bは、異なるFORPにロードされる様々なエッジリングのメタデータを示し、表Cは、各エッジリングのエッジリングルーティング履歴を示し、表Dは、製作システムで使用されるすべてのFORPのFORP状況テーブルを示す。例えば、FORP ID001(または単にFORP001)に関する表Aは、エッジリングA-1が空きスロット1に最初にロードされたときのエッジリングキャリアFORP ID001の状態を示す。FORP001に関する表Aに示す内容は、前の例で示した表Aと同じである。FORP002に関する表Aは、エッジリングA-1が空きスロット5に挿入されたときのエッジリングキャリアの内容の詳細を示し、FORP003に関する表Aは、エッジリングA-1が空きスロット8に挿入されたときのエッジリングキャリアの内容の詳細を示す。エッジリングが様々なエッジリングキャリアを介して製作施設を移動するとき、エッジリングの寿命は、現在の消費寿命、すなわち、エッジリングが異なるプロセスモジュールで曝された異なるプロセスから決定される消費寿命を反映するように動的に調整される。同様に、表Bに示すA-1のメタデータは、エッジリングA-1が異なる処理ステーション内の異なるプロセスモジュールで受けた様々なプロセスを示している。表Bに示すメタデータには、表Aに示されているリンクを通してアクセスすることができる。エッジリングA-1について表Bに示される詳細は、前の例で示した表Bと同じである。表Cは、エッジリングA-1がエッジリングキャリアに出入りするとき、および異なる処理ステーション内のプロセスモジュールに出入りするときの、エッジリングA-1のエッジリングルーティング履歴を示す。エッジリングA-1について表Cに示される詳細は、前の例で示した表Cと同じである。以下の表A、B、およびCの内容は、エッジリングが製作施設内の様々なモジュールを通過する際の異なるFORPおよびエッジリングデータの変化の概要を提供するものである。表Cに示すエッジリングのルーティング履歴内容には、表BのエッジリングA-1のフィールドに示されるリンクを使用してアクセスすることができる。表Dは、製作システム内のエッジリングの追跡中の様々なエッジリングキャリアの状況を示している。
【表5】
表A:FORP ID001内容詳細
【表6】
表A:FORP002内容詳細
【表7】
表A:FORP003内容詳細
【表8】
表B:エッジリングA-1のメタデータ
【表9】
表C:エッジリングA-1のERルーティング履歴(FORP経由)
【表10】
表D:FORP状況テーブル
【0084】
上記の各表は、図6に示される例と一致するように、製作施設を通過するエッジリングおよび様々なエッジリングキャリアの状況を反映している。
【0085】
図7は、一実施態様における、処理ステーション内に分散された様々なセンサによってキャプチャされた、処理ステーション内のエッジリングの移動を図式化して示している。図4および図5A図5Dを参照して説明したように、センサは、エッジリングキャリア内および処理ステーションの異なるモジュールに設けられてエッジリングが処理ステーション内で辿る経路をキャプチャし、それによりエッジリングの現在の状態および位置を決定し、エッジリングの現在の状況を提供するために使用することができる。例えば、エッジリングキャリア内のセンサを使用して、エッジリングがエッジリングキャリアから移動されて処理ステーション内のプロセスモジュールに運搬される時間を決定することができる。エッジリングが処理ステーションのATMを通過するとき、ATM、ATMロボット、およびアライナに設けられたセンサを使用して、ATMを通過するエッジリングを追跡することができる。ロードロックチャンバに設けられたセンサを使用して、エッジリングがエッジリングキャリアからプロセスモジュールに移動された時間、およびエッジリングがプロセスモジュールからエッジリングキャリアに移動された時間を決定することができる。VTMロボットに設けられたセンサを使用して、エッジリングが移動されて行くプロセスモジュール、プロセスモジュールで実行されている操作のタイプ、プロセスの開始時間、およびプロセスの終了時間を決定することができる。プロセス開始時間および終了時間は、ウエハがプロセスモジュールに導入されたとき、およびプロセスモジュールへのドアが開閉されたときを識別することによって決定することができる。プロセスモジュール内のセンサを使用して、エッジリングがプロセスモジュールに対して導入された/取り出されたとき、ウエハがプロセスモジュールに対して導入された/取り出されたとき、およびプロセスモジュールのドアが開閉されたときを確認することができる。この情報を使用して、プロセスモジュールでプロセスが開始されたとき、プロセスモジュール内でプロセスが終了したとき、およびプロセスモジュールからエッジリングが取り出されたときを決定する。センサからの情報は、エッジリングが曝されたプロセス、およびエッジリングが各プロセスモジュール内で実際に使用された時間を決定するために必要な詳細を十分に提供する。このような情報を使用して、消費寿命および残り寿命を計算して、製作システム内のプロセスを合理化するために利用できる貴重な情報を提供するために用いることが可能となる。プロセスモジュール内でのエッジリングの使用に関連する情報はFAB施設から取得され、この情報はER識別システムからの初期ロード情報とリンクされ、製作システム内でのエッジリングの使用についての包括的な詳細を提供する。
【0086】
図8は、一実施態様における、エッジリングの追跡に使用される方法のプロセス操作を示している。この方法は、操作810で始まり、エッジリングのエッジリング識別子が、エッジリングに関連するソースからキャプチャされる。エッジリング識別子は、エッジリングの外側もしくはエッジリングの下面に設けられてもよく、またはエッジリング内に埋め込まれるか、またはエッジリングのパッケージに設けられてもよい。このエッジリング識別子は、英数字、RFIDタグ、バーコード、QRコード(登録商標)、ディンプル、ノッチ、ラベルなどの形式にすることができる。エッジリング識別子キャプチャデバイス(リーダ、画像キャプチャデバイス、またはセンサなど)は、エッジリング識別システム内でエッジリングが検出されるとすぐにエッジリング識別子を自動的にキャプチャするために使用される。エッジリング識別子の画像がセンサによってキャプチャされるいくつかの実施態様では、光学式文字認識(OCR)ソフトウェアを使用して、光学式文字をテキストデータに変換することができる。画像キャプチャデバイスが使用されるいくつかの実施態様では、画像キャプチャデバイスは、エッジリングを回転させずにエッジリング全体をキャプチャすることができる。いくつかの実施態様では、センサを使用してエッジリングを手動でスキャンしてもよく、エッジリングキャリアを受け取るカート上のコンピュータにその情報をアップロードしてもよい。キャプチャされたエッジリング識別子は、製作施設内の1つまたは複数の処理ステーションの1つまたは複数のプロセスモジュールで使用される正しいエッジリングが受け取られたことを確認するために検証される。
【0087】
次に操作820に示すように、エッジリングがエッジリングキャリアの空きスロットに挿入される。挿入は手動または自動で行うことができ、エッジリングの検証の成功後に実施される。挿入が手動の場合、スロットの詳細は、ユーザがコンピュータに入力することができる。エッジリングキャリアに設けられた1つまたは複数のセンサを使用して、ユーザが提供した情報を検証することができる。挿入が自動である場合、ロボットまたは他のマテリアルハンドリング機構を使用して、エッジリングをエッジリングキャリアの空きスロットに挿入することができる。マテリアルハンドリング機構からの情報は、自動的にコンピュータに更新することができる。エッジリング識別子は、エッジリングが挿入されるエッジリングキャリア内のスロットのスロット識別子にエッジリングをリンクするために使用される。このリンクは、キャリア内のエッジリングの位置に関する情報を提供する。エッジリングに関連する情報は、エッジリングのメタデータファイルを生成するために使用される。
【0088】
次に、操作830に示すように、エッジリングがエッジリングキャリアに出し入れされるとき、および製作システム内の処理ステーションに出し入れされるとき、エッジリングがエッジリング識別子を使用して追跡される。エッジリングは、異なるエッジリングキャリアを使用して、エッジリングキャリアから処理ステーションに、およびある処理ステーションから別の処理ステーションに移動することができる。エッジリングが移動するたび、エッジリング識別子を使用して移動が追跡され、エッジリングの現在の位置の詳細がエッジリングのメタデータファイルに更新される。メタデータファイルの更新は、エッジリングの寿命情報を提供するために使用される。寿命情報は、消費された寿命時間数の詳細を提供し、ここからエッジリングの残り寿命時間を計算することができる。各エッジリングは、定義された寿命使用時間を有し得る。エッジリングがプロセスモジュールに移動されてプロセスに曝されると、プロセスにかかる時間に応じて、消費寿命時間が増加し、残り寿命時間が減少する。エッジリングの追跡は継続され、消費寿命時間および残り寿命時間は、寿命時間がすべて消費されるか、またはほぼ消費されるまで決定される。この情報を使用して、エッジリングの交換が必要なプロセスモジュール、およびエッジリングの交換時期を決定することができる。
【0089】
追跡から提供された寿命使用情報を使用して製作システム内の状態を分析し、エラーが発生した時間の検出と、エラーが発生した場所およびエラーの原因となった状態の特定を行って、エラーに対処するための適切な対策を講じることもできる。アップロードおよび追跡の自動化は、人的相互作用によって発生する可能性のある一般的なエラー(エッジリングキャリア内でエッジリングを入れるスロットの重複または交差など)にも対処する。様々な実施態様の他の利点は、本明細書に記載の様々な実施態様を読んだ後、当業者に明らかになるであろう。
【0090】
様々な実施態様に関する以上の説明は、例示および説明を目的として提供されたものであり、本発明を網羅することまたは限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般にその特定の実施形態には限定されず、該当する場合には、たとえ具体的に図示または説明されていなくても選択された実施形態において代替可能であり、使用可能である。また、特定の実施形態の個々の要素または特徴は、様々な形で変更されてもよい。そのような変更は、本発明からの逸脱と見なされるべきではなく、そのようなすべての修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0091】
前述の実施形態は、明確な理解のために多少詳しく説明されているが、一定の変更および修正を添付の特許請求の範囲の範囲内で実施できることは明らかであろう。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示と見なされるべきであり、実施形態は、本明細書に述べられる詳細に限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内で修正されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8