(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-01
(45)【発行日】2024-03-11
(54)【発明の名称】準安定活性ラジカル種を使用する原子層処置プロセス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240304BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240304BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/316 C
(21)【出願番号】P 2021513199
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019049079
(87)【国際公開番号】W WO2020055612
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-08-30
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バオ・シンユ
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ハオクアン
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522104(JP,A)
【文献】国際公開第2018/112197(WO,A1)
【文献】特開2017-157660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/316
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の露出された表面を処置するための方法であって、
a)パージガスを使用して基板処理システムの第1のチャンバおよび第2のチャンバをパージすることであって、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間にガス分配装置が配置されている、ことと、
b)前記a)の後、処置ガスを前記第1のチャンバに流さず前記第2のチャンバに流して、前記第2のチャンバ内の基板支持体上に配置された基板の表面上に吸着層を構築させることと、
c)前記第2のチャンバへの前記処置ガスの流れを停止することと、
d)前記パージガスを流して、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバをパージすることと、
e)前記パージガスを前記第1のチャンバに流しながら、前記第1のチャンバ内でプラズマを発生させて準安定活性ラジカル種を生成させ、前記準安定活性ラジカル種を、前記ガス分配装置を通して前記第2のチャンバに送達して、前記吸着層を表面活性化することと、
f)処置中の前記基板の温度を、前記処置ガスのエッチング反応温度よりも低い所定の温度に制御することにより、前記基板をエッチングすることと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記基板はモノレイヤ制御を伴って酸化またはエッチングされる、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記b)の間に、前記第1のチャンバに前記パージガスを供給することを更に含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記パージガスはヘリウム(He)を含み、前記処置ガスは分子酸素(O
2)を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記パージガスは、ヘリウム(He)および分子窒素(N
2)からなる群から選択され、前記処置ガスは、分子酸素(O
2)、塩化水素酸(HCl)、分子塩素(Cl
2)、三フッ化窒素(NF
3)、および分子水素(H
2)からなる群から選択される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記処置ガスを、分子塩素(Cl
2)、三フッ化窒素(NF
3)、および分子水素(H
2)からなる群から選択
すること、を更に含む方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記準安定活性ラジカル種が前記吸着層を表面活性化する、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記a)~前記
e)が1回以上繰り返される、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記
e)の間、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバには前記処置ガスが存在しない、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記b)の間に、所定量の前記処置ガスが供給される、方法。
【請求項11】
基板を選択的にエッチングするための基板処理システムであって、
第1のチャンバと、
基板支持体を含む第2のチャンバと、
パージガスおよび処置ガスのうちの少なくとも1つを前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバに選択的に供給するガス送達システムと、
前記第1のチャンバ内でプラズマを選択的に発生させるためのプラズマ発生システムと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置されたガス分配装置であって、プレナムを画定し、前記ガス分配装置の上側表面から前記ガス分配装置の下側表面までの第1の複数の貫通孔と、前記プレナムから前記下側表面までの第2の複数の貫通孔とを含む、ガス分配装置と、
コントローラであって、
a)前記パージガスを流して、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバをパージし、
b)前記a)の後、前記プレナムに前記処置ガスを流して、前記基板の表面上に吸着層を構築させ、
c)前記処置ガスの流れを停止し、
d)前記パージガスを流して、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバをパージし、
e)前記パージガスを前記第1のチャンバに流しながら、前記第1のチャンバ内でプラズマを発生させて準安定活性ラジカル種を生成させ、前記準安定活性ラジカル種を、前記ガス分配装置を介して前記第2のチャンバに送達
し、
f)処置中の前記基板の温度を、前記処置ガスのエッチング反応温度よりも低い所定の温度に制御することにより前記基板をエッチングする、ように構成されている、コントローラと、を備える基板処理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記パージガスとしてヘリウム(He)を供給し、前記処置ガスとして分子酸素(O
2)を供給するように構成されている、基板処理システム。
【請求項13】
請求項11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、ヘリウム(He)および分子窒素(N
2)からなる群から前記パージガス、そして分子酸素(O
2)、塩化水素酸(HCl)、分子塩素(Cl
2)、三フッ化窒素(NF
3)、および分子水素(H
2)、からなる群から前記処置ガス、を選択するように構成されている、基板処理システム。
【請求項14】
請求項11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、
前記処置ガスを、分子塩素(Cl
2)、三フッ化窒素(NF
3)、および分子水素(H
2)からなる群から選択
するように構成されている、基板処理システム。
【請求項15】
請求項11に記載の基板処理システムであって、前記準安定活性ラジカル種が前記吸着層を表面活性化する、基板処理システム。
【請求項16】
請求項11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記a)~前記e)を1回以上繰り返すように構成されている、基板処理システム。
【請求項17】
請求項11に記載の基板処理システムであって、前記e)の間、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバには前記処置ガスが存在しない、基板処理システム。
【請求項18】
請求項11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記b)の間に、所定量の前記処置ガスを供給するように構成されている、基板処理システム。
【請求項19】
請求項11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記b)の間に、前記第1のチャンバに前記パージガスを供給するように構成されている、基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年9月10日に出願された米国仮特許出願第62/729,124号の利益を主張する。上記で参照された出願の開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板処理システム、より具体的には、準安定活性ラジカル種を使用して処置プロセスを実施するための基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書で提供される「背景技術」の記載は、本開示の文脈を概略的に提示することを目的としている。本明細書の「背景技術」に記載されている範囲における、本明細書にて名前を挙げた発明者の業績、ならびに、出願時点で先行技術と見なされないかも知れない本明細書の態様は、明示的にも暗黙的にも本開示に対する先行技術として認められていない。
【0004】
半導体ウェハーなどの基板を処置するために、基板処理システムを使用する場合がある。基板処理システムは、典型的には、処理チャンバ、基板支持体(例えば静電チャック)、およびガス送達システムを含む。基板処置の例には、エッチング、堆積、フォトレジスト除去、クリーニングなどが含まれる。処理中、基板は基板支持体上に配置され、1つ以上のプロセスガスがガス送達システムによって処理チャンバ内へと導入されてよい。RF電力を供給して、化学反応を開始させるプラズマを発生させてよい。イオンエネルギーを制御するために、基板支持体にRFバイアスを供給してよい。
【0005】
堆積、エッチング、および他の処置を使用して、基板上にフィーチャが画定される。技術が進歩し続けるにつれて、フィーチャサイズは減少し続ける。小さなフィーチャを有する基板を確実に作製するためには、非常に精密なプロセス制御を行うことが重要である。現在、フィーチャサイズは10nm未満であり、5nmに、そしてその先まで進みつつある。
【0006】
一部の酸化プロセスの間、エッチストップはない。酸化を実施するための従来の方法は、基板の更なる酸化を低減または停止させるための拡散バリア層として酸化プロセス中に基板上に形成される酸化物に依存している。これらの手法では、使用される材料の特性および表面状態に応じて、酸化の厚さに大きな変動が生じる。例えば、たとえ同じ材料が使用されていても、滑らかな表面では、粗い表面に比べて酸化が少なくなる。同様に、多孔質の表面では、多孔質が少ない材料と比較して、酸化が速くなり、拡散をブロックする場合に効果が低くなる。
【発明の概要】
【0007】
基板の露出された表面を処置する方法が、a)パージガスを使用して基板処理システムの第1のチャンバおよび第2のチャンバをパージすることであって、第1のチャンバと第2のチャンバとの間にガス分配装置が配置されている、ことと;b)a)の後、処置ガスを第1のチャンバに流さず第2のチャンバに流して、第2のチャンバ内の基板支持体上に配置された基板の表面上に吸着層を構築させることと;c)第2のチャンバへの処置ガスの流れを停止することと;d)パージガスを流して、第1のチャンバおよび第2のチャンバをパージすることと;e)パージガスを第1のチャンバに流しながら、第1のチャンバ内でプラズマを発生させて準安定活性ラジカル種を生成させ、準安定活性ラジカル種を、ガス分配装置を通して第2のチャンバに送達して、吸着層を表面活性化することと、を含む。
【0008】
他の特徴では、基板はモノレイヤ制御を伴って酸化またはエッチングされる。この方法は、b)の間に、第1のチャンバにパージガスを供給することを含む。パージガスはヘリウム(He)を含み、処置ガスは分子酸素(O2)を含む。
【0009】
他の特徴では、パージガスは、ヘリウム(He)および分子窒素(N2)からなる群から選択され、処置ガスは、分子酸素(O2)、塩化水素酸(HCl)、分子塩素(Cl2)、三フッ化窒素(NF3)、および分子水素(H2)からなる群から選択される。
【0010】
この方法は、処置ガスを、分子塩素(Cl2)、三フッ化窒素(NF3)、および分子水素(H2)からなる群から選択し、処置中の基板の温度を、選択された処置ガスのエッチング反応温度よりも低い所定の温度に制御することにより、基板をエッチングすることを含む。
【0011】
他の特徴では、準安定活性ラジカル種が吸着層を表面活性化する。
【0012】
他の特徴では、a)~f)が1回以上繰り返される。f)の間、第1のチャンバおよび第2のチャンバには処置ガスが存在しない。b)の間に、所定量の処置ガスが供給される。
【0013】
基板を選択的にエッチングするための基板処理システムは、第1のチャンバと、基板支持体を含む第2のチャンバとを含む。ガス送達システムは、パージガスおよび処置ガスのうちの少なくとも1つを第1のチャンバおよび第2のチャンバに選択的に供給する。プラズマ発生システムは、第1のチャンバ内でプラズマを選択的に発生させる。ガス分配装置は、プレナムを画定し、ガス分配装置の上側表面からガス分配装置の下側表面までの第1の複数の貫通孔と、プレナムから下側表面までの第2の複数の貫通孔とを含む。コントローラは、a)パージガスを流して、第1のチャンバおよび第2のチャンバをパージし、b)a)の後、プレナムに処置ガスを流して、基板の表面上に吸着層を構築させ、c)処置ガスの流れを停止し、d)パージガスを流して、第1のチャンバおよび第2のチャンバをパージし、e)パージガスを第1のチャンバに流しながら、第1のチャンバ内でプラズマを発生させて準安定活性ラジカル種を生成させ、準安定活性ラジカル種を、ガス分配装置を介して第2のチャンバに送達する、ように構成されている。
【0014】
他の特徴では、コントローラは、パージガスとしてヘリウム(He)を、処置ガスとして分子酸素(O2)を選択するように構成されている。コントローラは、ヘリウム(He)および分子窒素(N2)からなる群からパージガスを、そして分子酸素(O2)、塩化水素酸(HCl)、分子塩素(Cl2)、三フッ化窒素(NF3)、および分子水素(H2)、からなる群から処置ガスを、選択するように構成されている。
【0015】
他の特徴では、コントローラは、処置ガスを、分子塩素(Cl2)、三フッ化窒素(NF3)、および分子水素(H2)からなる群から選択し、処置中の基板の温度を、選択された処置ガスのエッチング反応温度よりも低い所定の温度に制御することにより、基板をエッチングするように構成されている。
【0016】
他の特徴では、準安定活性ラジカル種が吸着層を表面活性化する。コントローラは、a)~e)を1回以上繰り返すように構成されている。e)の間、第1のチャンバおよび第2のチャンバには処置ガスが存在しない。コントローラは、b)の間に、所定量の処置ガスを供給するように構成されている。コントローラは、b)の間に、第1のチャンバにパージガスを供給するように構成されている。
【0017】
本開示の適用可能な更なる領域が、「発明を実施するための形態」、「特許請求の範囲」、および図面から明らかとなるであろう。「発明を実施するための形態」および具体例は、例示のみを目的としており、開示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示は、詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【0019】
【
図1A】
図1Aは、本開示による、準安定活性ラジカル種を使用して、基板の表面上に吸着された処置種を表面活性化する原子層処置プロセスを示す。
【
図1B】
図1Bは、本開示による、準安定活性ラジカル種を使用して、基板の表面上に吸着された処置種を表面活性化する原子層処置プロセスを示す。
【
図1C】
図1Cは、本開示による、準安定活性ラジカル種を使用して、基板の表面上に吸着された処置種を表面活性化する原子層処置プロセスを示す。
【
図1D】
図1Dは、本開示による、準安定活性ラジカル種を使用して、基板の表面上に吸着された処置種を表面活性化する原子層処置プロセスを示す。
【0020】
【
図2】
図2は、本開示による基板処理システムの一例の機能ブロック図である。
【0021】
【
図3】
図3は、本開示による、デュアルガスプレナムを含むガス分配装置の一例を示す平面図である。
【0022】
【
図4】
図4は、本開示による、
図3のデュアルガスプレナムを含むガス分配装置の第1の断面図である。
【0023】
【
図5】
図5は、本開示による、
図3のデュアルガスプレナムを含むガス分配装置の第2の断面図である。
【0024】
【
図6】
図6は、本開示による、準安定活性ラジカル種を使用して、基板の露出された表面上に吸着された処置種を表面活性化するための原子層処置の方法の一例のフローチャートである。
【0025】
図面において、参照番号は、類似のおよび/または同一の要素を識別するために再利用されてよい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示によるシステムおよび方法は、モノレイヤレベルでの制御を伴う、酸化またはエッチングを含む基板処置に関する。酸素プラズマまたは酸素ダウンストリームプラズマは、基板の表面の酸化処置のために使用されてよい。直接酸素プラズマは、基板の表面に損傷を与え得る高エネルギー酸素イオンを含む。基板の多孔質材料は、大きな損傷を受ける。他のプロセスでは、リモートプラズマまたはダウンストリームプラズマを使用して、酸素イオンをフィルタリングすることを試みている。しかしながら、一部のイオンは依然としてフィルタを通過し、基板に損傷を与える。
【0027】
酸素プラズマは、表面を迅速に酸化する非常に反応性の高い酸素ラジカルを供給する。基板全体にわたって均一性を制御し、基板毎の再現性を維持することは非常に困難である。酸化種は、多くの場合、酸素プラズマによって過剰に供給され、これが、無制御の酸化、および敏感な表面への損傷につながる。基板の表面に、いくつかの種類の露出された材料が存在する場合、化学種の輸送速度によって制限される局所的な消費の変動に起因して材料の酸化挙動が異なるならば、ローディング影響が大きくなる。
【0028】
本開示によるシステムおよび方法は、基板の表面を、精密な制御を伴ってモノレイヤレベルで酸化またはエッチングするためのプロセスに関する。酸化またはエッチングは、吸着された酸素によって、一度に1つのモノレイヤの速度に制限される。例えば、拡散は、ダウンストリームHeラジカルを使用して、基板の上部表面でのみ酸素を活性化することにより、最小限に抑えられる。利点には、モノレイヤレベルでの酸化、拡散の最小化、イオン損傷が生じないこと、および精密な酸化制御が含まれる。いくつかの例では、プロセスは、分子酸素(O2)およびヘリウム(He)を使用する原子層処置を含むが、本明細書には他の処置が記載されている。
【0029】
他の例では、本明細書に記載されるシステムおよび方法を使用して、基板の露出された表面をモノレイヤレベルでエッチングすることができる。例えば、処置ガスはHClを含んでよく、準安定活性ラジカル種を使用して、塩素を表面活性化して、モノレイヤをエッチングする。他の例では、Cl2、NF3、またはH2は、エッチング反応温度よりも低い温度(例えば、Cl2またはNF3の場合は約300℃未満、H2の場合は約400℃未満)で基板の表面に吸着される。準安定活性ラジカル種を使用して、表面に吸着された塩素、フッ素、または水素種を表面活性化して、モノレイヤエッチングを行う。
【0030】
一例を
図1A~
図1Dに示す。
図1Aでは、処理チャンバ内の基板支持体上に基板12が配置されている。いくつかの例では、基板は、露出された低k誘電体層および露出された原子層堆積(ALD)窒化ケイ素(Si
3N
4)層を含む。ガス分配装置10を通してHeの流れが供給されて、処理チャンバがパージされる。
図1Bでは、パージが実施された後、所定量の処置ガス、例えばO
2、がガス分配装置10によって供給される。例としてのみ、100~10,000標準立方センチメートル(sccm)のO
2(例えば、1000sccm)が1~100秒(例えば10秒)にわたって供給されて、基板の表面上でのO
2飽和およびO
2吸着が可能になる。
【0031】
図1Cでは、十分なO
2が供給された後、処置ガス(O
2)が遮断され、処理チャンバが高流量Heでパージされて、チャンバ内の残留O
2が除去される。いくつかの例では、2500~20,000(sccm)(例えば、5000sccm)のHeが、5秒~60秒(例えば、10秒)にわたって供給される。この時点では、プラズマは発生されていない。
図1Dでは、Heパージの後にプラズマがオンになる。準安定活性ラジカル種He*を使用して、吸着されたO
2を表面活性化し、表面上のモノレイヤを酸化する。このプロセスは、必要に応じて1回以上繰り返すことができる。理解され得るように、低k誘電体膜は、ALD SiN膜の酸化後の損失は無視できるほどである一方で、他の方法では、低k誘電体膜の約100オングストロームの損失が生じる場合がある。
【0032】
前述した利点には、各サイクルにつき制御され最小化された酸化(およそ1つのモノレイヤ)が含まれる。プラズマは酸素を含まないので(例えば、Heプラズマが使用される)、酸素イオンによる損傷が排除される。酸素のモノレイヤが基板表面全体で飽和しているので、良好な均一性が得られる。このプロセスは、サイクル数を変えることにより、酸化量の精密な制御を可能にする。
【0033】
前述したプロセスは、いくつかの要因によって差異化される。ガス分配装置の下方において酸素が固定流量で供給される一方で、パージガスが第1のチャンバ(および任意選択で第2のチャンバ)に流れる。この手法は、酸素イオンを生成させイオン損傷を引き起こす場合がある、ICPプラズマ領域への過剰な酸素の逆拡散を防止する。酸素は基板の表面にモノレイヤレベルで吸着され、処理チャンバ内の残りの酸素はパージされる。この手法は、基板表面全体にわたって、酸素などの処置ガスの均一な被覆をもたらす。酸素の表面ドーズは、脱離速度に基づいて自己制限的である。
【0034】
Heのみのプラズマがガス分配装置の上方で発生される。したがって、中性のHe*ラジカルだけが下流に移動し、基板の表面に到達する。吸着された酸素は、He*ラジカルによって基板の表面上で局所的に表面活性化され、酸素は下にある基板の表面を酸化する。酸素ドーズは吸着に依存する。このプロセスは、密度の変動または同時に露出される様々な材料に起因するローディング効果に対して感度が低い。
【0035】
理解され得るように、前述した例はHe*ラジカルを使用する酸化処置に関するが、他の処置ガスを使用する他の処置を実施することができる。いくつかの例では、パージガスは、分子窒素(N2)、または別の不活性ガス、例えばアルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、およびこれらの混合物、を含んでよい。モノレイヤをエッチングするための他の処置ガスは、以下で更に説明するように、塩化水素酸(HCl)、分子塩素(Cl2)、三フッ化窒素(NF3)、および分子水素(H2)を含む。
【0036】
ここで
図2を参照すると、基板の表面を選択的に処置するための例示的な基板処理システム50が示されている。基板処理システム50は、プラズマ源51と、静電チャック、ペデスタルまたは他のタイプの基板支持体などの基板支持体52とを含む。いくつかの例では、プラズマ源51はICP源を含む。理解され得るように、プラズマ源51は、CCP、ECR、またはマイクロ波プラズマ源などの他の好適なプラズマ源を含んでよい。
【0037】
処置中、基板支持体52上に基板54が配置される。いくつかの例では、基板支持体52は、抵抗ヒーター56、冷却剤チャネル58、または他のタイプの熱制御デバイスのような、1つ以上の温度制御要素(TCE)55を使用して温度制御(加熱および/または冷却)される。基板支持体52は、単一の温度制御ゾーン、または個別に制御される複数の温度制御ゾーンを含んでよい。
【0038】
いくつかの例では、基板処理システム50は、上側チャンバ60を含む。いくつかの例では、上側チャンバ60はドーム形状を有するが、他の形状を使用することができる。ICPプラズマが使用される場合、上側チャンバ60の外側表面の周囲にコイル64が配置される。ガスインジェクタ68が、プラズマガスを上側チャンバ60内へと注入する。
【0039】
ガス分配装置84が、ガス分配装置84の上部表面からガス分配装置84の底部表面まで通過する第1の複数の貫通孔86を含む。ガス分配装置84はまた、プレナム85と、プレナム85からガス分配装置84の底部表面まで通過する第2の複数の貫通孔83とを含む。第1の複数の貫通孔86は、プレナム85と流体連通していない。
【0040】
ICPプラズマが使用される場合、RF発生システム87は、RF電力を発生させ、コイル64に出力する。一例としてのみ、RF発生システム87は、RF電力を発生させるRF発生器88を含んでよく、RF電力は、マッチングネットワーク89によってコイル64に供給される。
【0041】
ガス送達システム90-1は、1つ以上のガス源92-1、92-2、…、および92-N(総称してガス源92)を含み、ここでNはゼロより大きい整数である。ガス源92は、バルブ94-1、94-2、…、および94-N(総称してバルブ94)と、マスフローコントローラ96-1、96-2、…、および96-N(総称してマスフローコントローラ96)とによってマニホールド98に接続されている。別のガス送達システム90-2を使用して、処置ガスをガス分配装置84のプレナム85に送達してよい。
【0042】
抵抗ヒーター56などのTCE55に、温度コントローラ106が接続されてよい。温度コントローラ63は、基板支持体または基板の温度と、冷却剤コントローラ108の温度とを感知して、冷却剤チャネル58を通る冷却剤の流れを制御する1つ以上の温度センサ(図示せず)と通信してよい。例えば、冷却剤コントローラ108は、冷却剤ポンプ、リザーバ、および/または1つ以上の温度センサ(図示せず)を含んでよい。バルブ130およびポンプ132を使用して、処理チャンバ内の圧力を制御し、そこから反応物を排出してよい。
図2に示すように、システムコントローラ140を使用して、基板処理システム10の構成要素を制御してよい。
【0043】
本開示によるシステムおよび方法は、不活性ガスを利用して高密度の準安定ラジカル活性種を生成させて、プラズマを発生させる。準安定ラジカル活性種は、基板54の表面上にモノレイヤとして堆積された他の活性ラジカル種を励起するのに十分に高い化学エネルギーを伝達する。
【0044】
いくつかの例では、プロセスは、ICPチャンバを使用して500W~5kWの範囲のICP電力で運用される。いくつかの例では、誘導コイルに印加されるRF電力は13.56MHzであるが、他の周波数を使用することができる。いくつかの例では、プロセスは、10mTorr~10Torrのチャンバ圧力範囲で実施される。
【0045】
ここで
図3を参照すると、ガス分配装置200は、本開示による、処置ガス種と準安定活性ラジカル種を含む励起ガス種とを送達するためのデュアルガスプレナム202を含む。デュアルガスプレナム202は、処置ガスと準安定活性ラジカル種との混合物を、上側チャンバ内で混合することなく下側チャンバに送達する。
【0046】
いくつかの例では、プロセス温度は75℃~400℃の範囲にあるが、他のプロセス温度が使用されてよい。いくつかの例では、プロセス温度は100℃~200℃の範囲にあるが、他のプロセス温度が使用されてよい。
【0047】
ガス分配装置200は、上側フランジ204、側壁206、および底部表面208(デュアルガスプレナム202の上側表面を形成する)を含む。デュアルガスプレナム202は、処置ガスを受け入れるためのガス入口210を含む。
【0048】
デュアルガスプレナム202は、環状チャネル220および接続チャネル224を画定する。接続チャネル224は、底部表面208の内側部分を横切って、環状チャネル220の両側の間を延びている。環状チャネル220は、側壁206と底部表面208との間の場所に形成されてよい。環状チャネル220および接続チャネル224は、ガス入口210と流体連通している。処置ガス混合物は、環状チャネル220を通って接続チャネル224内へと流れる。
図5に示す下向きに向いた貫通孔が、処置ガス混合物を接続チャネル224から基板に向かって下側チャンバ内へと導く。
【0049】
接続チャネル224間に位置する領域228は、底部表面208を通過する複数の貫通孔230を含む。理解され得るように、例示および明確化の目的で、複数の貫通孔230の一部のみが示されている。いくつかの例では、複数の貫通孔230は、円形の断面および均一な間隔を有するが、他の断面および/または不均一な間隔を使用することができる。いくつかの例では、複数の貫通孔232は3mm~10mmの範囲の直径を有するが、他の直径を使用してよい。
【0050】
ここで
図4~
図5を参照すると、デュアルガスプレナム202の底部表面208の断面図が示される。
図4では、接続チャネル224に沿って見た第1の断面図が示されている。処置ガスは、接続チャネル224に処置ガスを供給する環状チャネル220に供給される。複数の貫通孔232は、接続チャネル224を下側チャンバに流体的に接続する。いくつかの例では、複数の貫通孔232は0.1mm~1mmの範囲の直径を有するが、他の直径を使用してよい。複数の貫通孔232は、均一または不均一な間隔で接続チャネル224に沿って位置することができる。
【0051】
図5では、領域228を通るように見た第2の断面図が示されている。複数の貫通孔230は、上側チャンバから下側チャンバまで底部表面208を通過している。図から分かるように、励起ガス種と処置ガス種の流路は、それらが下側チャンバに到達するまで分離されている。
【0052】
ガス分配装置の追加の例は、2017年12月18日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR METASTABLE ACTIVATED RADICAL SELECTIVE STRIP AND ETCH USING DUAL PLENUM SHOWERHEAD」と題する同一出願人による米国特許出願公開第20180174870-A1に見出すことができ、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるように、第1の複数の貫通孔は間接経路を提供して、上側チャンバから下側チャンバへの見通し線(line of sight)を防止することができ、および/または特定用途のために必要ならば、プラズマとガス分配装置との間に遮光構造が使用されてよい。いくつかの例では、処置ガスが供給されて正圧が生成され、処置ガスが上側チャンバ内へと流入することが防止されている間に、パージガスが供給される。
【0053】
ここで
図6を参照すると、基板を処置するための方法600が示されている。604において、処理チャンバ内に基板が配置される。608において、Heなどのパージガスが供給されて、所定の期間、処理チャンバがパージされる。610において、パージ後、所定量の処置ガスが供給されて、基板の表面上での飽和および吸着が可能になる。いくつかの例では、処置ガスは、分子酸素(O
2)、塩化水素酸(HCl)、分子塩素(Cl
2)、三フッ化窒素(NF
3)、および分子水素(H
2)から選択される。例としてのみ、1000sccmのO
2が10秒間供給されて、基板の表面上でのO
2飽和およびO
2吸着が可能になる。上側チャンバ内への酸素の逆拡散を防止するために、パージガスを供給することができる。
【0054】
十分なO2が供給された後、614において処置ガス(O2)が遮断され、処理チャンバが高流量Heでパージされて、処理チャンバ内の残留O2が除去される。いくつかの例では、5000sccmのHeが10秒間供給される。618において、パージ後にプラズマがオンになる。準安定活性ラジカル種は、基板の表面上に吸着されたO2を活性化し、表面を酸化するために使用される。622において、このプロセスを1回以上繰り返して、モノレイヤ制御を伴って酸化層の厚さを調整することができる。
【0055】
他の例では、本明細書に記載されるシステムおよび方法を使用して、基板の露出された表面をモノレイヤレベルでエッチングすることができる。例えば、処置ガスはHClを含んでよく、準安定活性ラジカル種を使用して、塩素を表面活性化して、モノレイヤをエッチングする。他の例では、Cl2、NF3、またはH2が、エッチング反応温度よりも低い温度(例えば、Cl2またはNF3の場合は約300℃未満、H2の場合は約400℃未満)で基板の表面上に吸着され、次いで、準安定活性ラジカル種を使用して、塩素、フッ素、または水素を表面活性化して、モノレイヤの制御されたエッチングを行う。
【0056】
前述の説明は本質的に単なる例示に過ぎず、本開示、その適用または使用を限定することは決して意図されていない。本開示の広範な教示は、様々な形で実装することができる。したがって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すると、他の修正形態が明らかになるであろうから、本開示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。方法における1つ以上のステップは、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてよいことを理解すべきである。更に、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして上述されているが、本開示の任意の実施形態に関して記載されているこれらの特徴のうちのいずれか1つ以上を、他の実施形態のいずれかに実装することができ、および/または、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることができ、その組み合わせは、たとえ明示的に説明されていなくてよい。換言すれば、記載した実施形態は相互排他的ではなく、1つ以上の実施形態の順序を互いに並べ換えることは、本開示の範囲内にとどまる。
【0057】
要素間の空間的および機能的関係(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間など)は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「隣の」、「上の」、「上方の」、「下方の」、「配置された」を含む様々な用語を使用して説明される。「直接」であると明示的に記載されていない限り、第1の要素と第2の要素との間の関係が上述した開示に記載されている場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係であり得るが、1つ以上の介在要素が(空間的または機能的のいずれかで)第1の要素と第2の要素との間に存在する間接的な関係でもあり得る。本明細書で使用する場合、A、B、およびCのうちの少なくとも1つ、という語句は、非排他的論理和ORを使用した論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0058】
いくつかの実装形態では、コントローラは、上述した実施例の一部であってよいシステムの一部である。このようなシステムは、処理ツール(単数または複数)、チャンバ(単数または複数)、処理用プラットフォーム(単数または複数)、および/または特定の処理構成要素(ウェハーペデスタル、ガスフローシステムなど)を含む、半導体処理装置を備えることができる。これらシステムは、半導体ウェハーまたは基板の処理前、処理中、および処理後の作業を制御するための電子機器に組み込まれてよい。電子機器は、システム(単数または複数)の様々な構成要素または副部品を制御してよい「コントローラ」と呼ばれてよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送達設定、位置および作業設定、特定のシステムと接続しているかまたはインターフェースしているツールおよび他の搬送ツールならびに/またはロードロックに対するウェハーの搬出入、を含む、本明細書に開示されるプロセスのいずれをも制御するようにプログラムされてよい。
【0059】
大まかに言って、コントローラは、様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有し、命令を受信し、命令を発行し、作業を制御し、クリーニング作業を有効にし、エンドポイント測定を有効にするような電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つ以上のマイクロプロセッサ、またはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラ、を含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウェハー上でもしくは半導体ウェハー用に、またはシステムに対して実施するための作業パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、作業パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはウェハーダイの作製時に、1つ以上の処理ステップを実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0060】
いくつかの実装形態では、コントローラは、システムに組み込まれた、システムに結合された、もしくはシステムにネットワーク接続された、またはこれらの組み合わせである、コンピュータの一部であるか、またはそのコンピュータに結合されていてよい。例えば、コントローラは「クラウド」内にあるか、またはファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよく、それによりウェハー処理のリモートアクセスが可能になり得る。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造作業の現在の進行状況を監視し、過去の製造作業の履歴を調査し、複数の製造作業から傾向または性能の指標を調査して、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含み得るネットワークを経由して、プロセスレシピをシステムに提供することができる。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力もしくはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでよく、パラメータおよび/または設定は次に、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の作業中に実施される各処理ステップのためのパラメータを指定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラがインターフェースするか、または制御するように構成されているツールのタイプに固有のものであってよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、1つ以上の個別のコントローラを備え、これらが一緒にネットワーク化され、本明細書に記載されるプロセスおよび制御などの共通の目的に向けて動作することなどによって分散されてよい。そのような目的のための分散コントローラの例は、遠隔に置かれた(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)1つ以上の集積回路と通信状態にあるチャンバ上の1つ以上の集積回路であってよく、これらが組み合わされてチャンバでのプロセスを制御する。
【0061】
限定するわけではないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、クリーニングチャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、および半導体ウェハーの作製および/または製造に関連するかもしくは使用されてよい任意の他の半導体処理システム、を含んでよい。
【0062】
上述したように、ツールによって実施されるプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接ツール、隣り合うツール、工場全体に置かれたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/またはロードポートとの間でウェハー容器を搬出入する材料搬送に使用されるツール、のうちの1つ以上と通信し得る。本開示は以下の適用例を含む。
[適用例1]
基板の露出された表面を処置するための方法であって、
a)パージガスを使用して基板処理システムの第1のチャンバおよび第2のチャンバをパージすることであって、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間にガス分配装置が配置されている、ことと、
b)前記a)の後、処置ガスを前記第1のチャンバに流さず前記第2のチャンバに流して、前記第2のチャンバ内の基板支持体上に配置された基板の表面上に吸着層を構築させることと、
c)前記第2のチャンバへの前記処置ガスの流れを停止することと、
d)前記パージガスを流して、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバをパージすることと、
e)前記パージガスを前記第1のチャンバに流しながら、前記第1のチャンバ内でプラズマを発生させて準安定活性ラジカル種を生成させ、前記準安定活性ラジカル種を、前記ガス分配装置を通して前記第2のチャンバに送達して、前記吸着層を表面活性化することと、を含む方法。
[適用例2]
適用例1に記載の方法であって、前記基板はモノレイヤ制御を伴って酸化またはエッチングされる、方法。
[適用例3]
適用例1に記載の方法であって、前記b)の間に、前記第1のチャンバに前記パージガスを供給することを更に含む、方法。
[適用例4]
適用例1に記載の方法であって、前記パージガスはヘリウム(He)を含み、前記処置ガスは分子酸素(O
2
)を含む、方法。
[適用例5]
適用例1に記載の方法であって、前記パージガスは、ヘリウム(He)および分子窒素(N
2
)からなる群から選択され、前記処置ガスは、分子酸素(O
2
)、塩化水素酸(HCl)、分子塩素(Cl
2
)、三フッ化窒素(NF
3
)、および分子水素(H
2
)からなる群から選択される、方法。
[適用例6]
適用例1に記載の方法であって、
前記処置ガスを、分子塩素(Cl
2
)、三フッ化窒素(NF
3
)、および分子水素(H
2
)からなる群から選択し、
処置中の前記基板の温度を、選択された前記処置ガスのエッチング反応温度よりも低い所定の温度に制御することにより、前記基板をエッチングすることと、を更に含む方法。
[適用例7]
適用例1に記載の方法であって、前記準安定活性ラジカル種が前記吸着層を表面活性化する、方法。
[適用例8]
適用例1に記載の方法であって、前記a)~前記f)が1回以上繰り返される、方法。
[適用例9]
適用例1に記載の方法であって、前記f)の間、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバには前記処置ガスが存在しない、方法。
[適用例10]
適用例1に記載の方法であって、前記b)の間に、所定量の前記処置ガスが供給される、方法。
[適用例11]
基板を選択的にエッチングするための基板処理システムであって、
第1のチャンバと、
基板支持体を含む第2のチャンバと、
パージガスおよび処置ガスのうちの少なくとも1つを前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバに選択的に供給するガス送達システムと、
前記第1のチャンバ内でプラズマを選択的に発生させるためのプラズマ発生システムと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置されたガス分配装置であって、プレナムを画定し、前記ガス分配装置の上側表面から前記ガス分配装置の下側表面までの第1の複数の貫通孔と、前記プレナムから前記下側表面までの第2の複数の貫通孔とを含む、ガス分配装置と、
コントローラであって、
a)前記パージガスを流して、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバをパージし、
b)前記a)の後、前記プレナムに前記処置ガスを流して、前記基板の表面上に吸着層を構築させ、
c)前記処置ガスの流れを停止し、
d)前記パージガスを流して、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバをパージし、
e)前記パージガスを前記第1のチャンバに流しながら、前記第1のチャンバ内でプラズマを発生させて準安定活性ラジカル種を生成させ、前記準安定活性ラジカル種を、前記ガス分配装置を介して前記第2のチャンバに送達する、ように構成されている、コントローラと、を備える基板処理システム。
[適用例12]
適用例11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記パージガスとしてヘリウム(He)を供給し、前記処置ガスとして分子酸素(O
2
)を供給するように構成されている、基板処理システム。
[適用例13]
適用例11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、ヘリウム(He)および分子窒素(N
2
)からなる群から前記パージガス、そして分子酸素(O
2
)、塩化水素酸(HCl)、分子塩素(Cl
2
)、三フッ化窒素(NF
3
)、および分子水素(H
2
)、からなる群から前記処置ガス、を選択するように構成されている、基板処理システム。
[適用例14]
適用例11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、
前記処置ガスを、分子塩素(Cl
2
)、三フッ化窒素(NF
3
)、および分子水素(H
2
)からなる群から選択し、
処置中の前記基板の温度を、選択された前記処置ガスのエッチング反応温度よりも低い所定の温度に制御することにより前記基板をエッチングするように構成されている、基板処理システム。
[適用例15]
適用例11に記載の基板処理システムであって、前記準安定活性ラジカル種が前記吸着層を表面活性化する、基板処理システム。
[適用例16]
適用例11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記a)~前記e)を1回以上繰り返すように構成されている、基板処理システム。
[適用例17]
適用例11に記載の基板処理システムであって、前記e)の間、前記第1のチャンバおよび前記第2のチャンバには前記処置ガスが存在しない、基板処理システム。
[適用例18]
適用例11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記b)の間に、所定量の前記処置ガスを供給するように構成されている、基板処理システム。
[適用例19]
適用例11に記載の基板処理システムであって、前記コントローラは、前記b)の間に、前記第1のチャンバに前記パージガスを供給するように構成されている、基板処理システム。