(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】現像装置、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240305BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/08 221
(21)【出願番号】P 2019177137
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 博秋
(72)【発明者】
【氏名】松野 泰英
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-252215(JP,A)
【文献】特開2016-099563(JP,A)
【文献】特開平06-102748(JP,A)
【文献】特開2001-324835(JP,A)
【文献】特開2019-128368(JP,A)
【文献】特開2016-070995(JP,A)
【文献】特開2013-246389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
収容部から補給される現像剤を前記現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、
前記現像剤担持体上の現像剤の搬送量の経時的な上昇に応じて所定の濃度以上の画素を間引くドット間引き処理を行う制御部と、を備え
、
前記制御部は、交換前の前記収容部を初めて使用してから交換直前までに印刷した枚数であるエンド枚数に基づいて、前記画素の間引き率を変える、
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記収容部を用いたときの印刷枚数を、用紙の印字面積の割合である印字率と前記エンド枚数とに基づいて算出し、当該算出した印刷枚数に基づいて、前記画素の間引き率を変える、
ことを特徴とする請求項
1に記載の現像装置。
【請求項3】
現像剤を担持する現像剤担持体と、
収容部から補給される現像剤を前記現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、
前記現像剤担持体上の現像剤の搬送量の経時的な上昇に応じて所定の濃度以上の画素を間引くドット間引き処理を行う制御部と、を備え
、
前記現像剤供給部材は、単泡状のシリコン材料により形成され、
前記現像剤供給部材のセルは、200~300μmの径を有して構成される、
ことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
前記現像装置は、粉砕方式の前記現像剤を用いて前記間引き処理を行う、
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ドット間引き処理を、所定の面積以上のベタ部を対象に実行する、
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、画像濃度を調整する技術がある。例えば、特許文献1では、定着圧及び用紙情報をキーとして、画像ドット間引き率等を調整している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1では、単位当たりのトナーカートリッジ本数分(例えば、トナーカートリッジ1本分)の画像枚数であるイールドをいかに向上させるかについては言及されていない。
【0004】
本発明は、イールドを向上させつつ画像濃度を調整することが可能な現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる現像装置は、現像剤を担持する現像剤担持体と、収容部から補給される現像剤を前記現像剤担持体に供給する現像剤供給部材と、前記現像剤担持体上の現像剤の搬送量の経時的な上昇に応じて所定の濃度以上の画素を間引くドット間引き処理を行う制御部と、を備え、前記制御部は、交換前の前記収容部を初めて使用してから交換直前までに印刷した枚数であるエンド枚数に基づいて、前記画素の間引き率を変える、ことを特徴とする現像装置として構成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、イールドを向上させつつ画像濃度を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】画像形成装置本体に対するプロセスユニットの着脱の様子を示した概略図である。
【
図3】画像形成装置のプロセスユニットに備えられる現像装置の概略構成を示す図である。
【
図6】耐久によるドット間引き率制御の例を示す図である。
【
図8】現像ロ-ラ上の現像剤の搬送量とドット間引き率との関係を示すグラフである。
【
図9】ドット間引き処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、現像装置および画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。本実施例では、電子写真方式における濃度制御およびトナー消費抑制に際して、以下の特徴を有する。要するに、通紙耐久時に画像が濃くなることを利用して耐久に伴いドット間引きを段階的に実施することにより画像濃度を一定に保ちトナー消費量を抑制することが特徴になっている。なお、通紙耐久とは、通紙時に画像形成した結果であり、(通紙)耐久枚数とは、そのときに得られた用紙枚数である。上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。
【0009】
図1は、現像剤補給制御システムを含む画像形成装置1000の概略構成を示す断面図である。画像形成装置1000は、モノクロの画像形成用のもので、その装置本体100には、作像ユニットとしてのプロセスユニット1が着脱可能に装着されている。このプロセスユニット1は、表面に画像を担持する像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2上の潜像を可視画像化する現像手段としての現像装置4と、を備える。また、プロセスユニット1は、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5を備える。更に、プロセスユニット1には、現像剤としてトナーを貯蔵した貯蔵部のトナーカートリッジ7が着脱可能に設けられる。
【0010】
トナーカートリッジ7は、その容器本体22として、現像装置4の作像部へ補給するトナーを収容するトナー収容部8を有する他、クリーニングブレード5で除去された廃トナーを回収するトナー回収部9も一体的に有している。尚、本実施の形態では、現像剤として、キャリアを含まないトナーのみからなる一成分系の現像剤が使用されるものとする。また、トナーとして、母体がポリエステル系樹脂であるポリエステル系のトナーが使用されるものとする。
【0011】
また、画像形成装置には、感光体2に対向する位置にその感光体2の表面を露光する露光手段としての発光ダイオード(LED)ヘッドアレイ6が設けられる。画像形成装置は、プロセスユニット1の他、記録媒体の用紙Pに画像を転写する転写装置10と、用紙Pを供給する給紙装置11と、用紙Pに転写された画像を定着させる定着装置12と、用紙Pを装置本体100から外へ排出する排紙装置13と、を備える。尚、用紙Pには、厚紙、葉書、封筒、普通紙、薄紙、コート紙やアート紙等の塗工紙、トレーシングペーパ等も含まれる。また、用紙P以外の記録媒体として、OHPシート等を用いることも可能である。
【0012】
転写装置10は、転写部材としての転写ローラ14を備える。この転写ローラ14は、プロセスユニット1を装置本体100に装着した状態で感光体2と当接しており、両者の当接部において転写ニップ(接触)が形成される。また、転写ローラ14は、所定の直流(DC)電圧か交流(AC)電圧の少なくとも一方が印加される。給紙装置11は、用紙Pを収容した給紙カセット15と、給紙カセット15に収容されている用紙Pを給送する給紙ローラ16と、を備える。また、給紙ローラ16に対して用紙Pの搬送方向下流側には、搬送タイミングを計って用紙Pを二次転写ニップへ搬送するタイミングローラとしての一対のレジストローラ17が設けられている。
【0013】
定着装置12は、定着部材としての定着ローラ18と、加圧部材としての加圧ローラ19と、を備える。定着ローラ18は、ヒータ等の加熱源によって加熱される。加圧ローラ19は、定着ローラ18側へ加圧されて定着ローラ18に当接し、その当接箇所において定着ニップが形成される。排紙装置13は、一対の排紙ローラ20を備える。排紙ローラ20によって装置外に排出された用紙Pは、装置本体100の上面を凹ませて形成された排紙トレイ21上に積載される。因みに、トナーカートリッジ7、現像装置4、現像装置4の作像部内の現像剤の残量を検知する残量検知手段、及び貯蔵部から現像装置4の作像部への現像剤の補給量を制御する制御手段を含む構成は、現像剤補給制御システムと呼ばれても良い。
【0014】
図2は、画像形成装置1000における装置本体100に対するプロセスユニット1の着脱の様子を示した概略図である。この画像形成装置では、装置本体100の後部に設けられたカバー101が開閉可能となっている。また、カバー101を開状態にすると、リンク機構を介して発光ダイオードヘッドアレイ6が上方へ退避する。このような構成により、カバー101の開状態でプロセスユニット1を発光ダイオードヘッドアレイ6との干渉を回避しつつ後方(側方)から取り外すことが可能となっている。また、ここでは、トナーカートリッジ7がプロセスユニット1に装着された状態でこれらを一体的に装置本体100の後方(側方)から着脱可能となっている。更に、トナーカートリッジ7は、プロセスユニット1が装置本体100に装着された状態と取り外された状態との何れにおいても、プロセスユニット1に対して着脱可能となっている。
【0015】
図3は、画像形成装置1000のプロセスユニット1に備えられる現像装置4の概略構成を示した断面図である。プロセスユニット1に設けられた現像装置4は、トナーを収容する現像ハウジング30と、トナーを担持する現像剤担持体としての現像ローラ31と、を備える。現像ハウジング30は、現像装置4における作像部とみなすことができる。また、現像装置4は、現像ローラ31にトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ32と、現像ローラ31上に担持されたトナー量を規制する規制部材としての現像ブレード33と、を備える。更に、現像装置4は、トナーを搬送する第1現像剤搬送部材34及び第2現像剤搬送部材35を備える。
【0016】
現像ローラ31は、
図3中において反時計回りの方向に回転し、表面に保持した現像剤を現像ブレード33及び感光体2との対向位置へと搬送する。供給ローラ32は、現像ローラ31に当接しており、現像ローラ31に対して反時計回りに回転することにより、現像ハウジング30内のトナーを現像ローラ31の表層まで供給する。因みに、ここでは現像ローラ31と供給ローラ32との回転数比を1に設定することで、良好なトナー供給機能を確保している。現像ブレード33は、その先端側が現像ローラ31の表面に当接している。供給ローラ32によって現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31と現像ブレード33とのニップ部を通過することにより、厚さが規制されると同時に摩擦荷電させられる。
【0017】
現像ハウジング30の上部には、補給用のトナーを収容するトナーカートリッジ7が着脱可能に装着されている。このため、現像ハウジング30の上部には、トナーカートリッジ7内のトナーを現像ハウジング30内へ補給するための補給口30aが形成されている。 トナーの補給は、残量検知手段としての残量検知センサによる現像ハウジング30内のトナーの残量の検知結果に基づいて行われる。即ち、現像ハウジング30内でトナー消費されてトナー量が所定値以下になったことを残量検知センサによって検知すると、予め設定されている時間だけトナーカートリッジ7が駆動される。これにより、所定量のトナーが現像ハウジング30へ補給される。この際、画像形成装置に備えられる制御手段としての制御装置が残量検知センサで検知されたトナーの残量に基づいて予め設定した残量下限値及び残量上限値に応じて駆動機構の駆動量を調節する。この結果、貯蔵部のトナーカートリッジ7から現像装置4の作像部(現像ハウジング30)内へのトナーの補給量が制御される。
【0018】
現像ハウジング30の内部は、現像ローラ31の軸方向とほぼ平行に配設された仕切り壁36により補給口30aを配設した第1収容部Aと、現像ローラ31や現像ブレード33等の現像手段を配設した第2収容部Bと、に分割されている。ここでは、仕切り壁36が上下方向に立設しており、第1収容部Aと第2収容部Bとが水平方向に隣接して配設されている。第1収容部A内には、第1現像剤搬送部材34が配設され、第2収容部B内には第2現像剤搬送部材35が配設される。尚、現像装置4及びトナーカートリッジ7とは、一体化された構成であっても良い。
【0019】
本実施例では、画像形成装置1000(例えば、低価格小型プリンタ)において、通紙耐久時に画像が濃くなることを利用し、通紙耐久に伴いドット間引きを段階的に実施する制御を行う。これにより、画像濃度を一定に保ちトナー消費量を抑制することが可能となる。
【0020】
詳細には、単泡状のシリコン材料で形成された供給ローラ32により、現像剤の供給性を向上させる。これにより、
図4に示すように、通紙耐久により現像ローラ31上の現像剤の搬送量が上昇し、その結果、現像特性の傾きが上昇し、画像濃度が上がる。なお、単泡状のシリコン材料で形成された供給ローラを用いる理由は、現像剤の供給性が上がり、ベタの追従性が向上する為である。
【0021】
さらに、画像濃度の上昇に合わせてドット間引き処理(
図5、
図6)を行う。ドット間引き処理は、画像を構成する1または複数の所定の画素単位で、画像から所定の濃度以上の画素(例えば、ベタ画素)を間引く処理である。これにより画像濃度を調整しつつ、画像濃度を安定化させ、トナーの消費量を抑制することが可能となる。
図5では、画像濃度に応じてドット間引き処理が行われる画像の例(タテ4画素×ヨコ4画素で構成される画像)を示している。ドット間引き処理では、例えば、当該画像に対する間引き率が0%の場合(a)、当該画像に対する間引き率が25%の場合(b)、当該画像に対する間引き率が50%の場合(c)、当該画像に対する間引き率が75%の場合(d)のように、画像を構成する画素が、間引き率に応じて間引きされる。
【0022】
また、
図6に示すように、感光体ユニット(PCDU:Photo Conductor Drum Unit)を構成する感光体2の印字枚数が増加するにつれて、間引き率が高くなるように上記間引き処理を行う。
図6では、間引き率601は、
図5(a)に示した間引き率0%の場合を示している。感光体2の印字枚数の増加に応じて、間引き率602→間引き率603→間引き率604のように、間引き率が高くなるように制御する。間引き率602は、
図5(b)に示した間引き率25%の場合を示し、間引き率603は、
図5(c)に示した間引き率50%の場合を示し、間引き率604は、
図5(d)に示した間引き率75%の場合を示している。このように、上記間引き処理が実行された結果、トナーカートリッジ1本分の画像枚数であるイールドを向上させることができる。
【0023】
図7は、ドット間引き制御を行わない場合の耐久枚数(a)と、ドット間引き制御を行った場合の耐久枚数(b)の比較例を示す図である。
図7(a)に示すように、上記間引き制御を行わない場合は、1本目のトナーカートリッジの耐久枚数に対するトナー消費量の変化率701aに対して、2本目のトナーカートリッジの耐久枚数に対するトナー消費量の変化率702a、3本目のトナーカートリッジの耐久枚数に対するトナー消費量の変化率703a、4本目のトナーカートリッジの耐久枚数に対するトナー消費量の変化率704a、5本目のトナーカートリッジの耐久枚数に対するトナー消費量の変化率705aのように、消費されるトナーカートリッジの本数が増えるにつれて耐久枚数が少なくなることがわかる。
【0024】
一方、
図7(b)に示すように、上記間引き制御を行う場合は、1本目のトナーカートリッジの耐久枚数に対するトナー消費量の変化率701bに対して、2本目のトナーカートリッジの耐久枚数に対するトナー消費量の変化率702b、3本目のトナーカートリッジの耐久枚数に対するトナー消費量の変化率703b、4本目のトナーカートリッジの耐久枚数に対するトナー消費量の変化率704b、5本目のトナーカートリッジの耐久枚数に対するトナー消費量の変化率705bでは、いずれも、1本目の上記変化率701bと同様の変化率となるように間引き制御されるため、消費されるトナーカートリッジの本数が増えた場合でも耐久枚数を維持することができ、イールドを向上させることができる。
【0025】
図8は、現像ロ-ラ上の現像剤の搬送量とドット間引き率との関係を示すグラフである。
図8に示すように、本実施例では、現像ロ-ラ上の現像剤の搬送量が増加した分に対応するドット間の間引き処理を行う。
図8では、例えば、現像剤の搬送量が、閾値となる0.80mg/cm
2まではドット間引き処理が行われず、その後、現像剤の搬送量が増加するにつれてドット間引き率を高くされていることがわかる。なお、当該間引き率は、膜厚検知および印刷枚数および環境に応じて画像濃度を算出し、間引き率の値を変化させてもよい。これにより、通紙耐久により現像ローラ上の現像剤の搬送量が変化して画像濃度が上がることに伴って間引き率を変化させるため、視覚的に画像濃度が一定になりかつイールドを上げることができる。
【0026】
図9は、ドット間引き処理の処理手順を示すフローチャートである。ドット間引き処理は、例えば、画像形成装置1000の全体を制御するコントローラである制御部900により行われる。本実施例では、画像形成装置1000の制御部900がドット間引き処理を行う前提で説明しているが、プロセスユニット1や現像装置4に設けられ、当該ユニットや当該装置の動作を制御する制御部によりドット間引き処理が行われてもよい。
【0027】
上記制御部900は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有した演算装置から構成された一般的なハードウェアを用いることができ、当該演算装置がプログラムを実行することにより上記制御が行われる。なお、プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでいてもよい。
【0028】
図9に示すように、本実施例では、制御部900は、印刷を開始すると(S901)、感光体ユニットを構成する感光体2の走行距離をチェックする(S902)。制御部900は、現像ロ-ラ上の現像剤の搬送量を算出する(S903)。当該搬送量は、例えば、制御部900が、図示しない濃度センサにより検知された値を読み取り、当該値に感光体2の走行距離を乗じる等して現像剤の搬送量を算出したり、あるいは制御部900があらかじめ記憶されたテーブルに定められた感光体2の走行距離に応じた搬送量を読み取ることによって得ることができる。
【0029】
制御部900は、トナーカートリッジ7が交換された後の走行距離が閾値以上であるか否かを判定し(S904)、トナーカートリッジ7が交換された後の走行距離が閾値以上であると判定した場合(S904;Yes)、S906にすすむ。一方、制御部900は、トナーカートリッジ7が交換された後の走行距離が閾値以上でないと判定した場合(S904;No)、S905に進む。上記走行距離は、制御部900が、トナーカートリッジ7の使用履歴からわかる。使用履歴とは、例えば、上記走行距離のほか、エンド枚数、平均P/J、印字率といったトナーカートリッジ7を用いてプロセスユニット1が動作したときの履歴である。エンド枚数は、トナーカートリッジ7を初めて使用してから交換直前までに印刷した枚数である。平均P/Jは、トナーカートリッジ7を用いて連続して印刷したときの1枚目から最終枚までの平均値である。印字率は、用紙1枚当たりにおける印字面積の割合である。使用履歴は、例えば、制御部900が保持するメモリ等に記憶されている。
【0030】
制御部900は、交換前のトナーカートリッジ7の使用履歴(例えば、1世代前のカートリッジ7の使用履歴)を上記メモリから読み出し、現像ロ-ラ上の現像剤の搬送量の上昇分を予測する(S905)。S905においてこのような予測を行う理由は、トナーカートリッジ7の交換直後からしばらくの間は、プロセスユニット1内のトナーが少ない状態の所に多くの量のトナーが補給される。このため、現像ローラ上の現像剤の搬送量が一時的に多くなりやすく、本来の搬送量とは異なる傾向にあるためである。
【0031】
その後、制御部900は、実際の現像剤の搬送量(S904;noのときの搬送量)または予測した現像剤の搬送量(S904;yesのときの搬送量)に応じたドット間引き率で画像補正を行って(S906)、処理を終了する(S907)。S906における搬送量に応じたドット間引き率は、例えば、
図8に示したグラフデータを上記メモリに記憶しておき、制御部900がこれを読み出して算出すればよい。
【0032】
本実施例では、現像剤を担持する現像剤担持体と、収容部から補給される現像剤を現像剤担持体に供給する現像剤供給部材とを有し、制御部900が、現像剤担持体上の現像剤の搬送量に応じて所定の濃度以上の画素を間引くドット間引き処理を行う。このように、現像ロ-ラ上の現像剤の搬送量を上げ、当該搬送量があがった分、つまり画像濃度が上がった分、間引き率を上げる制御を行う構成としたので、イ-ルドを向上させつつ画像濃度を調整することができる。また、例えば、低価格小型プリンタにおいて通紙耐久時に画像が濃くなることを利用してドット間引き処理を段階的に行うことにより、画像濃度を一定に保ちトナー消費量を抑制することが可能となる。また、通紙耐久中に画像濃度を意識的に変化させ、画像濃度に応じてドット間引き制御を行うので、従来のようにユーザが煩わしいドット間引き率の設定を行う必要がなくなるとともに、トナーカートリッジの寿命を高めることができる。
【0033】
また、制御部900は、交換前の収容部を初めて使用してから交換直前までに印刷した枚数であるエンド枚数に基づいて、画素の間引き率を変える制御を行う。例えば、制御部900は、1サイクル前のトナーカートリッジ7の使用履歴をメモリから読み出し、当該使用履歴に含まれているエンド枚数に応じて、間引き率を変える。当該エンド枚数に応じた間引き率は、上記メモリに記憶されたテーブルに保持しておけばよい。このように、交換前のトナーカートリッジ7の使用履歴である実績データに含まれるエンド枚数に応じて間引き率を変えることにより、さらに精度良く濃度を安定させることができる。
【0034】
また、制御部900は、上記収容部の印刷枚数を、上記収容部を用いて連続して印刷したときの1枚目から最終枚までの平均値と上記エンド枚数とに基づいて算出し、当該算出した印刷枚数に基づいて、画素の間引き率を変える制御を行う。例えば、制御部900は、上記エンド枚数をプリントジョブ数の平均値で除した値を算出し、当該値の大きさに応じて間引き率を変える。当該値の大きさに応じた間引き率は、上記メモリに記憶されたテーブルに保持しておけばよい。このように、交換前のトナーカートリッジ7の使用履歴である実績データから算出された上記値に応じて間引き率を変えることにより、さらに精度良く濃度を安定させることができる。
【0035】
また、制御部900は、上記収容部を用いたときの印刷枚数を、用紙の印字面積の割合である印字率と上記エンド枚数とに基づいて算出し、当該算出した印刷枚数に基づいて、画素の間引き率を変える制御を行う。例えば、制御部900は、印字率に上記エンド枚数を乗じた値を算出し、当該値の大きさに応じて間引き率を変える。当該値の大きさに応じた間引き率は、上記メモリに記憶されたテーブルに保持しておけばよい。このように、交換前のトナーカートリッジ7の使用履歴である実績データから算出された上記値に応じて間引き率を変えることにより、さらに精度良く濃度を安定させることができる。なお、これらの実績データを用いた間引き率を変える制御は、必要に応じて適宜組み合わせて使用してよい。
【0036】
また、上記現像剤供給部材は、単泡状のシリコン材料により形成される。これにより、経時で現像特性の傾きを上げ、画像濃度を上がりやすくすることができる。さらに、上記現像剤供給部材のセルは、200~300μmの径を有して構成するとよい。例えば、平均セル径が200~300μmである単泡のシリコン材料のような発泡弾性層を有した上記現像剤供給部材を用いるとよい。このような構成とすることにより、通紙耐久時でもトナーがつまることなく供給性を上げることができる。
【0037】
また、現像装置は、粉砕方式の現像剤を用いて上記間引き処理を行うとよい。これにより、荷電調整が容易となる(材料選択性が広い)ため好ましいといえる。また、形状が不定形の為トナーが連れ回りやすいといえる。
【0038】
また、制御部900は、上記ドット間引き処理を、所定の面積以上のベタ部を対象に実行するとよい。このような制御により、ベタ部ではない文字や細線部がかすれないように維持しつつ画像濃度を調整することができる。
【0039】
以上、本発明を好適な実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1000 画像形成装置
100 装置本体
1 プロセスユニット
2 感光体
3 帯電ローラ
4 現像装置
5 クリーニングブレード
7 トナーカートリッジ
30 現像ハウジング
31 現像ローラ
32 供給ローラ
33 現像ブレード
34 第1現像剤搬送部材
35 第2現像剤搬送部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】