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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240305BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G03G15/08 322
G03G21/00 510
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020023340
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021128275
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】田中 正人
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅志
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 明博
(72)【発明者】
【氏名】杉山 浩之
(72)【発明者】
【氏名】毛塚 翔吾
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-215785(JP,A)
【文献】特開2002-132030(JP,A)
【文献】特開2021-092671(JP,A)
【文献】特開2008-134286(JP,A)
【文献】特開平09-106171(JP,A)
【文献】特開2001-134064(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0089701(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像機を備える画像形成装置であって、
前記現像機が保持するトナー量を検知する検知手段と、
前記画像形成装置の使用を開始するときに、前記トナー量が既知の現像機を前記検知手段が検知した検知結果を基準値として予め記憶する記憶手段と、
前記トナー量が既知の現像機が前記画像形成装置に新たに装着されたときに、前記検知手段に前記トナー量を検知させ、検知した検知結果と前記基準値との差分を求め、前記差分により前記検知結果を補正する制御手段と、
トナーを前記現像機へ供給するトナーカートリッジと、を有し、
前記制御手段は、検知した前記トナー量が所定量を下回ると、前記トナーカートリッジから前記トナーを供給させ、前記トナーカートリッジから所定量のトナーを供給した後に前記検知手段にトナー量を検知させたときの検知結果を、前記差分により補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記差分を求めてから前記トナー量が既知の現像機が前記画像形成装置に新たに装着されるまでの間に、前記検知手段が検知した検知結果を、前記差分により補正することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
現像機を備える画像形成装置であって、
前記現像機が保持するトナー量を検知する検知手段と、
前記画像形成装置の使用を開始するときに、前記トナー量が既知の現像機を前記検知手段が検知した検知結果を基準値として予め記憶する記憶手段と、
新品の前記現像機が前記画像形成装置に装着されたときに、前記検知手段に前記トナー量を検知させ、検知した検知結果と前記基準値との差分を求め、前記差分により前記検知結果を補正する制御手段と、
トナーを前記現像機へ供給するトナーカートリッジと、を有し、
前記制御手段は、検知した前記トナー量が所定量を下回ると、前記トナーカートリッジから前記トナーを供給させ、前記トナーカートリッジから所定量のトナーを供給した後に前記検知手段にトナー量を検知させたときの検知結果を、前記差分により補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記現像機は、トナーを攪拌するスクリューをさらに備え、
前記制御手段は、前記トナー量が既知の現像機が前記画像形成装置に装着されたときに、前記スクリューを稼働させる前に前記検知手段に前記トナー量を検知させることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式において、画像品質やトナーカートリッジ内のトナーを使い切るにあたり現像機内のトナー重量を検知することが必要とされている。
現像機内のトナー重量を検知する方法としては透磁率を用いる方法や透過率を用いる方法などが既に知られている。
【0003】
しかし、今までの検知方法では現像機ユニットやマシンごとの差、特に透過率を用いた方法においてはプリズムの汚れやLED(Light Emitting Diode)光量ばらつきなどによって検知結果がばらつく。その結果、現像機内のトナー重量を正確に把握できず、画像不良やトナーカートリッジ(以降適宜「TC」とも記載する)内のトナーを使い切れないという問題があった。
例えば、特許文献1には、TC内のトナー重量検知精度を高める目的で、トナーカートリッジ内のモーターのトルク電流を検出し、トナーカートリッジユニット毎に工場で調整する検知構成が開示されている。特許文献1の技術は、ユニット毎のトナー重量検知精度を補正し、トナー重量の検知精度を高めているものの、現像機ユニット毎にばらつくトナー重量を正確に検知するという問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、現像機ユニットごとのトナー量の検知ばらつきを補正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、現像機を備える画像形成装置であって、前記現像機が保持するトナー量を検知する検知手段と、前記画像形成装置の使用を開始するときに、前記トナー量が既知の現像機を前記検知手段が検知した検知結果を基準値として予め記憶する記憶手段と、前記トナー量が既知の現像機が前記画像形成装置に新たに装着されたときに、前記検知手段に前記トナー量を検知させ、検知した検知結果と前記基準値との差分を求め、前記差分により前記検知結果を補正する制御手段と、トナーを前記現像機へ供給するトナーカートリッジと、を有し、前記制御手段は、検知した前記トナー量が所定量を下回ると、前記トナーカートリッジから前記トナーを供給させ、前記トナーカートリッジから所定量のトナーを供給した後に前記検知手段にトナー量を検知させたときの検知結果を、前記差分により補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、現像機ユニットごとのトナー量の検知ばらつきを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
図2】現像機が保持するトナー量の計測を説明する模式図である。
図3】制御部の構成例を説明するブロック図である。
図4】トナー量を検知する手順の一例を説明するフローチャートである。
図5】検知結果を補正する手順の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る定着装置及び画像形成装置について、図面を参照して説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0009】
(画像形成装置)
一実施形態の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、静電潜像を現像してトナー像を形成する、モノクロ像を形成するためのBkトナー及びカラートナー像を形成するためのカラートナーを備える現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着する定着手段とを有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有する。
【0010】
以下、本発明を、画像形成装置の一例として、カラープリンタ(以下「プリンタ」という。)に適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。
画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のうちの少なくとも1つのカラートナーからなるカラートナー像と、黒(Bk)トナーからなるBkトナー像とで構成されるカラー黒可視画像を記録媒体上に形成する構成例を示している。しかしながら、画像形成装置は、プリンタに制限されるものではなく、例えば、複写機、ファクシミリ単体、あるいは、プリンタ、複写機、ファクシミリ、スキャナのうちの少なくとも2つの機能を備えた複合機であってもよい。
【0011】
以下の説明において、各部材のトナー別符号として、イエロートナー(Yトナー)は「Y」、マゼンタトナー(Mトナー)は「M」、シアントナー(Cトナー)は「C」、黒トナー(Bkトナー)は「Bk」を用いる。なお、画像形成装置は、前述のトナーを用いる場合に限られるものではない、他のトナー、例えば、記録媒体上で視認困難な視認困難画像を形成する特殊トナーを用いてもよい。
【0012】
まず、一実施形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1は、一実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。一実施形態の画像形成装置は、画像形成部1と、転写部2と、記録媒体供給部3と、定着部4と、記録媒体排出部5と、制御部30ととから、主に構成されている。
【0013】
画像形成部1には、交換ユニットとしての作像ユニットである4つのプロセスユニット6を保持するための4つのユニット保持部が設けられている。そのうちの3つのユニット保持部は、カラートナーに対応する3つのプロセスユニット6Y,6M,6Cにそれぞれ対応したものである。残りの1つのユニット保持部は、Bk用プロセスユニット6Bkに対応したものである。
【0014】
本実施形態において、各プロセスユニット6Y,6M,6C,6Bkは、潜像担持する静電潜像担持体としての感光体7と、感光体7の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ8と、感光体7上の潜像を現像する現像手段としての現像機(「現像装置」とも称する)9と、感光体7の表面をクリーニングする潜像担持体クリーニング手段としての感光体クリーニング装置10などで構成されている。各感光体7に対向した位置には、それぞれ、感光体7の表面に潜像を形成する静電潜像形成手段としての露光装置11が設けられている。本実施形態では、露光装置11としてLEDユニットを用いているが、レーザダイオードを用いたレーザビームスキャン方式のものを用いてもよい。
【0015】
転写部2には、感光体7上のトナー像が転写される中間転写体としての無端状の中間転写ベルト12と、感光体7上の画像を中間転写ベルト12に一次転写する一次転写手段としての複数の一次転写ローラ13と、中間転写ベルト12に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段としての二次転写ローラ14と、中間転写ベルト12の表面(外周面)をクリーニングする中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置17とが配置されている。
【0016】
中間転写ベルト12は、駆動ローラ15と従動ローラ16とに張架されており、駆動ローラ15が回転することで周回走行(回転)する。各一次転写ローラ13は、中間転写ベルト12を各感光体7に押し当てるように配置されている。これにより、中間転写ベルト12と各感光体7との接触箇所には、各感光体7上の画像が中間転写ベルト12に転写される一次転写ニップが形成される。一方、二次転写ローラ14は、駆動ローラ15に巻き付いた中間転写ベルト12の部分に接触するように配置されている。この二次転写ローラ14と中間転写ベルト12とが接触する箇所には、中間転写ベルト12上の画像が記録媒体に転写される二次転写ニップが形成される。
【0017】
記録媒体供給部3には、記録媒体としての用紙Pを収容する記録媒体収容部としての給紙カセット18と、給紙カセット18から用紙Pを給送する記録媒体給送手段としての給紙ローラ19と、給紙ローラ19によって給送された用紙Pを所定のタイミングで前記二次転写ニップへ搬送する記録媒体搬送手段としてのタイミングローラ20が配置されている。なお、記録媒体としては、用紙以外に、OHPシートやOHPフィルム、布等であってもよい。また、用紙には、普通紙のほか、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、和紙等の凹凸紙、トレーシングペーパ等が含まれる。
【0018】
定着部4には、用紙Pに画像を定着する定着手段としての定着装置21が配置されている。定着装置21は、ヒータ等の加熱源によって加熱される定着部材としての定着ローラ22と、定着ローラ22に対して所定の圧力で接触して定着ニップを形成する加圧部材としての加圧ローラ23とから主に構成されている。
【0019】
記録媒体排出部5には、定着装置21から送り出された用紙Pを装置外に排出する記録媒体排出手段としての排紙ローラ24と、排紙ローラ24によって排出された用紙Pを載置する記録媒体載置部としての排紙トレイ25とが配置されている。
【0020】
制御部30は、画像形成装置全体の制御を行う。また、制御部30は、画像形成装置の各部、例えば、読取装置(スキャナ)やパソコン等からの入力画像情報に対する画像処理、画像形成部1、転写部2、記録媒体供給部3、定着部4、記録媒体排出部5等における画像形成動作を制御するものである。制御部30の詳細については、図2を参照して後述する。
【0021】
また、本実施形態の画像形成装置には、上述の各構成要素に加え、画像形成に用いられる粉体であるトナーを収容するトナー収容器としての複数のトナーカートリッジ26Y,26M,26C,26Bkを着脱可能に保持する容器保持部材102が設けられている。以降、各色のトナーカートリッジ26Y,26M,26C,26Bkを区別しないときは、適宜「トナーカートリッジ26」とも記載する。
この容器保持部材102には、4つのトナー収容器保持部が設けられ、各トナー収容器保持部にそれぞれ対応するトナーカートリッジ26が装着され保持される。4つのトナー収容器保持部のうちの3つのトナー収容器保持部は、カラートナーに対応する3つのトナーカートリッジ26Y,26M,26Cにそれぞれ対応したものである。残りの1つのトナー収容器保持部は、Bk用トナーカートリッジ26Bkに対応したものである。
【0022】
各トナーカートリッジ26Y,26M,26C,26Bkは、上述した各6Y,6M,6C,6Bkの現像機9が保持するトナーと同じ種類(色)のトナーが、それぞれに収容されている。容器保持部材102の4つのトナー収容器保持部には、それぞれ、4つのユニット保持部に装着されているプロセスユニット6のトナーに対応するトナーカートリッジ26が装着される。トナーカートリッジ26は、制御部30により、装着されているプロセスユニット6の現像機9が保持するトナーが所定量を下回ると、対応するトナー収容器保持部に装着されたトナーカートリッジ26から同じ種類のトナーを補給するように制御される。
【0023】
また、本実施形態の画像形成装置には、廃トナー収容容器27が装着されている。この廃トナー収容容器27には、ベルトクリーニング装置17あるいは感光体クリーニング装置10によって回収された廃トナーが収容される。
光学センサー60は、中間転写ベルト12上のトナー量を測定する。
【0024】
また、図1に示すように、本実施形態の画像形成装置は、装置本体(画像形成装置本体)100の上部を開閉するためのカバー部材101を備える。カバー部材101は、装置本体100に設けられた回動軸103を中心に上下に回動可能となっている。また、カバー部材101の下方には、4つのトナーカートリッジ26を着脱可能にトナー収容器保持部に保持する容器保持部材102が配置されている。容器保持部材102は、装置本体100に設けられた別の回動軸104を中心に上下に回動可能となっている。
【0025】
続いて、一実施形態の画像形成装置の基本的な動作について説明する。
画像形成動作が開始されると、各感光体7が回転駆動され、帯電ローラ8によって各感光体7の表面が所定の極性に一様に帯電される。次いで、読取装置(スキャナ)やパソコン等からの入力画像情報に基づき、露光装置11が各感光体7の帯電面にレーザ光を照射し、潜像(静電潜像)を形成する。
【0026】
各感光体7上に形成される潜像は、所望のフルカラー画像をY、M、Cの色情報に分解した単色の画像情報に基づく潜像である。詳しくは、入力画像情報の色情報(RGB、YCM等)を、当該画像形成装置用の色情報(YMC)へ変換・分解するための色変換分解テーブルを用い、入力画像情報を、Y、M、Cの色情報に変換、分解した単色の画像情報を生成し、Y、M、C用の各露光装置11は、Y、M、Cの各色の画像情報に基づいてそれぞれの感光体7上に各色の潜像を形成する。
【0027】
Y、M、Cの単色の画像情報を生成した後、更に、Bkの色情報を抽出した単色の画像情報を生成するとともに、Y、M、Cの単色の画像情報の修正を行う。この処理は、UCR(Under Color Removal)等のようにBkの画像情報を生成する処理であり、Y、M、Cのトナーが重ね合わさって表現される黒色あるいはグレー色の画像情報を、Bkの画像情報に置き換えるものである。Bkに対応する露光装置11(Bkに対応する露光装置11と共用)は、Bkの画像情報に基づいてBk用プロセスユニット6Bkの感光体7上にBkの潜像を形成する。
【0028】
感光体7上に形成されたY、C、M、Bkの各潜像には、それぞれの現像機9からトナーが供給されて、Y、C、M、Bkのトナー像に現像される。各感光体7上のトナー像は、周回走行する中間転写ベルト12上に順次重ね合せて転写される。詳しくは、感光体7上のトナー像が一次転写ニップの位置に達すると、一次転写ローラ13に所定の電圧が印加されて形成される転写電界によって、感光体7上のトナー像が中間転写ベルト12上に順次転写される。このようにして、中間転写ベルト12の表面には、Y、C、M、Bkトナーからなるフルカラートナー像(可視像)が形成される。なお、中間転写ベルト12に転写しきれなかった各感光体7上のトナーは、感光体クリーニング装置10によって除去される。
【0029】
また、画像形成動作が開始されると、給紙ローラ19が回転して、給紙カセット18から用紙Pが給送される。給送された用紙Pは、タイミングローラ20によって搬送が一旦停止される。その後、所定のタイミングでタイミングローラ20の回転駆動が開始され、中間転写ベルト12上のトナー像が二次転写ニップに達するタイミングに合わせて、用紙Pが二次転写ニップへ搬送される。
【0030】
用紙Pが二次転写ニップに搬送された際、二次転写ローラ14には所定の電圧が印加されており、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、この二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト12上のトナー像が用紙Pに一括して転写される。また、このとき、中間転写ベルト12上に残ったトナーはベルトクリーニング装置17によって除去される。
【0031】
その後、用紙Pは定着装置21へと搬送され、定着ローラ22と加圧ローラ23によってトナー像が加熱されつつ加圧されて用紙Pに定着される。そして、用紙Pは排紙ローラ24によって装置外に排出され、排紙トレイ25上に載置される。
【0032】
以上の説明は、フルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット6Y,6M,6C,6Bkのいずれか1つを使用して画像を形成したり、いずれか2つ又は3つのプロセスユニットを使用して画像を形成したりすることも可能である。
【0033】
本実施形態では、現像機ユニットは、画像形成装置に着脱可能なものとし、感光体7および帯電ローラ8を少なくとも含む感光体ユニットと、現像機9とをから構成されるものとする。図1の構成例において、複数のプロセスユニット6Y,6M,6C,6Bkのそれぞれは、現像機ユニットの一例である。
【0034】
(現像機)
次に、現像機9について説明する。図2は、一実施形態の画像形成装置において、現像機が保持するトナー量の計測を説明する模式図である。
一実施形態の画像形成装置は、トナーカートリッジ26と現像機9とが別に設けられ、現像機9上部にトナーカートリッジ26が設置されている。
現像機9は、保持部(収容容器)91と、補給口93とを備える。なお、図2では、現像機9の構成のうち、本実施形態のトナー重量の計測に関係するものを示し、他の構成を省略している。現像機9は、現像機内のトナー重量に応じて、トナーカートリッジ26からトナーを、補給口93を介して保持部91に補給する構成となっている。
【0035】
保持部91は、トナー(現像剤)を収容する。また、保持部91には、スクリュー(スクリュー部材)911が設けられている。
スクリュー911は、トナーを攪拌しながら搬送する攪拌部材である。スクリュー911は、トナーカートリッジ26から供給を受ける受給側と、トナーを供給する供給側とに配置され、図示せぬ軸受け部材によって保持部91に回転自在に支持されている。矢印は、スクリュー911によって生じるトナーの流れを示す。
【0036】
画像形成装置本体側(現像機ユニットの外側)には、現像機9内のトナー量を計測するための検知手段としての光学センサー70が設けられている。
光学センサー70は、発光部71と受光部(発光受光部)72との二つを持ち合わせている。現像機9には導光部材であるプリズム921が設けられており、発光部71からの光がプリズム921の間を通って(透過して)、受光部72に受光される。
受光部72は、光を電圧に変換するAD(Analog-Digital)変換を行う受光センサーを有する。
【0037】
トナーが少ない場合には受光部72に光が多く受光され、一方でトナーが多い場合には光が透過しないため受光部72に受光される光が少なくなることを用いる。これにより、現像機9内のトナー量の検知を行うことができる。
また、現像機9には、プリズム921にトナーが張り付かないことを目的として、トナーをプリズム921まで抄いあげる機能を持つT字マイラー922が二つのプリズム921間に設置されている。
【0038】
受光部72は、受光した光(光量)を、受光センサーによってAD変換して電圧値に変換する。制御部30は、受光部72から電圧値を受け、光が透過されている時間(電圧)をカウントした検知カウント値を用いて、現像機内のトナー量を推測する。検知カウント値は、プリズム921に光が透過した時間を表す。従って、現像機内トナー量が少ない場合には光は透過しやすいため検知カウント値は大きくなる。一方で現像機内トナー量が多い場合には光は透過しづらく検知カウント値は少なくなる傾向になる。
【0039】
前述の光学的トナー検知は現像機内のトナー量(粉体量)を計測するために用いられるため一成分現像に用いられる。トナーとキャリアを用いる現像方式である二成分現像方式においては、キャリア密度を透磁率センサーで測定するものが一般的である。
【0040】
次に、制御手段としての制御部30について説明する。図3は、一実施形態の制御部の構成例を説明するブロック図である。
制御部30は、主制御部31と、システムメモリ32と、現像機制御部33と、記憶手段としての記憶部34と、を少なくとも備え、バス35で接続されている。図3は、現像機制御部33を、画像形成動作を制御する機能の一例として示し、他の画像形成動作を制御する各機能を図示していない。また、図3は、現像機制御部33が制御する、現像機9、トナーカートリッジ26、光学センサー70を表している。
【0041】
主制御部31は、CPU(Central Processing Unit)から構成され、画像形成装置全体の制御を行う。CPUは、システムメモリ32に記憶する各種プログラムを実行することにより、画像形成装置の全体的な制御を実行する。
システムメモリ32は、制御部30の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM(Read Only Memory)、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM(Random Access Memory)とからなる。なお、RAMに記憶されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、CD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよいし、ネットワークを介して提供するようにしてもよい。
【0042】
現像機制御部33は、主制御部31の制御の下で、現像機9の動作を制御する。現像機制御部33の機能、および図示しない画像形成動作を制御する各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0043】
記憶部34は、各機能を実行するときに用いる情報等を一時的にまたは恒久的に保持する記憶手段である。
【0044】
なお、図3では、制御手段としての制御部30は、主制御部31と現像機制御部33とに分けて構成する例を示したがこれに限られものではない。制御部30は、例えば、主制御部31が画像形成装置全体と、各画像形成動作を制御する各機能とを制御するように構成してもよい。
【0045】
次に、現像機9が保持するトナー量(トナー重量)を検知する手順について、制御手段としての制御部30(図3では現像機制御部33)が行う動作例を、図4、5を参照して説明する。図4は、一実施形態の画像形成装置の、トナー量を検知する手順の一例を説明するフローチャートである。
本実施形態の画像形成装置は、トナー量検知を、(1)画像形成装置が着荷したとき(画像形成装置の使用開始時)、(2)新品現像機(トナー量が既知の現像機)を検出したとき、(3)予め設定した所定の間隔、(4)トナーカートリッジ26から現像機9の保持部91へトナーを供給した後、などの予め設定したタイミングで実施するものとする。制御部30は、トナー量検知を行うタイミングを制御する。
【0046】
(検知カウント値の算出)
制御部30は、トナー量検知のタイミングを検出すると、光学センサー70にトナー量検知の開始を指示するとともに(S11)、スクリュー911の回転と、発光部71の発光とを開始させる(S12)。発光部71による発光が開始されると、受光部72の受光センサーは、プリズム921を透過した光を受光する(S13)。受光センサーは、受光した光をAD変換で電圧値に変換する(S14)。制御部30は、変換された電圧値を受け取り、電圧が上がっている時間から検知カウント値を算出する(S15)。電圧が上がっている時間は、電圧値が所定以上の値の時間とする。制御部30は、所定以上の電圧値が検知された時間をカウントすることにより、光が透過されている時間を求めることができる。
【0047】
(検知結果の補正方法)
次に、制御部30が検知結果を補正する手順について説明する。図5は、一実施形態の画像形成装置の、検知結果を補正する手順の一例を説明するフローチャートである。制御部30は、図5のフローチャートに従い検知結果の補正を実施する。
ここで、画像形成装置着荷時の新品現像機内のトナー重量、および、画像形成装置の使用開始後に装着する新品の現像機内のトナー重量は、一定(既知)であることを前提とする。
画像形成装置は、既知のトナー重量(例えば、90g)の検知カウント値を基準値として、記憶手段(記憶部34またはシステムメモリ32等)に予め保持するものとする。基準値を記憶手段に格納する処理は、例えば、管理者の指示に基づいて、画像形成装置の着荷時に使用開始初期処理として実施してもよい。
【0048】
現像機ユニットは、情報が書き込まれたIDチップが付与されている。IDチップ内の情報は、現像機が「新品」(未使用)であるか、「使用開始後」であるかを示すフラグを有する。画像形成装置本体は、IDチップ内の情報を読み書きするための手段(IDチップに接触して電気的に情報のやりとりを行う端子、IDチップに非接触で情報のやりとりを行うアンテナ)を有する。
【0049】
図5を参照して、基準値を保持した後のトナー量の検知結果の補正方法について説明する。
画像形成装置は、現像機9が装着されると、IDチップ内の情報を読み取り、読み取った情報を制御部30へ送信する。制御部30は、受け取った情報に基づいて、現像機9が新品か否かを判断する(S21)。このとき、IDチップ内の情報のフラグを「使用開始後」に変更する。
現像機ユニットのIDチップ情報の新品フラグが「新品」を示す場合には、現像機内トナー重量は工場出荷時と同等の重量のため既知である。
【0050】
制御部30は、光学センサー70にトナー量の検知を指示し、光学センサー70は現像機内のトナー重量を検知する(S22)。制御部30は光学センサー70を用いて、図4の手順に従って、トナー量検知を行う。制御部30は、検知された検知結果を受け取る。このときの検知結果を検知結果Aとする。
制御部30は、受け取った検知結果Aと、基準値とを比較し、差分(Δ)を求める(S23)。
【0051】
制御部30は、差分(Δ)がある場合には(S24でYES)、検知結果の補正を行う(S25)。例えば、次回以降の検知結果(検知結果Bとする)に対して補正を行う。差分が0(ゼロ)である場合には(S24でNO)、次回以降の検知結果Bに対して補正を行わない。
【0052】
その後、制御部30は、トナー重量を所定の間隔で検知し、検知結果Bが示すトナー重量が予め設定した所定値を下回ると、トナーカートリッジ26から現像機9の保持部91へ供給する制御を行う(S25)。トナー重量の検知、トナー量制御(S26)の処理を繰り返す間に(S27でNO)、新品の現像機が装着された場合には(S27でYES)、ステップS22の処理に移行する。このとき、IDチップ内の情報のフラグを「使用開始後」に変更する。制御部30は、新たに装着された新品現像機9について、検知結果Aと基準値との差分(Δ)を算出する処理(S22からS25)を実施する。
【0053】
ステップS25の補正について、例えば、制御部30は、印刷中に検知した検知カウント値(印刷中の検知カウント値)と、補正後のカウント値とを以下の(式1)により求める。このとき、差分(Δ)の値をステップS25で決定することにより、補正後のカウント値を算出する。
補正後のカウント値=印刷中の検知カウント値+基準値との差分(Δ)・・・(式1)
基準値との差分(Δ)は、初期値をゼロとし、新品の現像機が装着されたとき(ステップS27でYES)に初期化されるものとする。
【0054】
また、図5の手順は一例であり、例えば、次のように変形してもよい。
変形例として、制御部30は、差分がない場合には、差分(Δ)をゼロとして、差分の有無にかかわらず同様の処理を行ってもよい。図5の手順では、制御部30は、ステップS23で差分(Δ)を求め、差分の有無を判断することなく(ステップS24を削除)、ステップS25で式1の「基準値との差分」に、求めた差分(Δ)を設定してもよい。差分がない場合には、ゼロが基準値との差分として設定される。
他の変形例として、画像形成装置は、基準値を予め保持することなく、新品の現像機9が保持する既知のトナー量の現像機9を検知した検知結果(検知カウント値)を基準値として用いてもよい。
【0055】
また、制御部30は、新品の現像機9が画像形成装置に装着されたことを検出したときに、スクリュー911を稼働させない状態でトナー量を検知するように制御してもよい。
新しい現像機9が画像形成装置本体に装着されたときに現像機内のスクリュー911を稼働させない状態で光学センサー70の発光部71を発光させる。このようにすると、スクリュー911によるトナーの攪拌、搬送の誤差を排除して基準値との差分を求めることができる。
【0056】
以下、検知結果の具体的な補正例について、説明する。
画像形成装置の着荷時に、制御部30は、初期検知動作を実行し、基準値を記憶手段に保存する。ここでは、着荷時の現像機9のトナー重量(新品現像機のトナー重量)を90gとし、画像形成装置の使用開始後に新たに装着される現像機9も同様として説明する。
[ステップ1]
制御部30は、新品の現像機が新たに装着されると、トナー重量90gの検知カウント値を得る。
[ステップ2]
制御部30は、記憶部34に記憶されている基準値(現像機内トナー重量90g時点の検知カウント値)とステップ1で得られた検知カウント値とを比較し、基準値との差分(Δ)を求める。
[ステップ3]
制御部30は、次回以降の検知結果に対して上述した補正式(式1)を対応させる。
【0057】
表1に着荷時に算出する差分(Δ)の値の一例を示す。例1または例2は、現像機ユニットの違いとする。また、表2に例1および例2について、表1で求めた差分(Δ)を用いて、印刷中の検知カウント値を補正した値の一例を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
以上説明した通り、一実施形態の実施形態は、現像機のトナー重量が既知の現像機ユニットが画像形成装置に装着された際に装着時の現像機内トナー重量を検知し、検知結果と、画像形成装置が保持する基準値とが異なる場合には、以後の検知動作時に基準値との差分を補正することができる。このようにすると、現像機ユニット毎の検知ばらつきを補正することにより、正確な現像機内トナー重量をし、現像機内トナー重量検知精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0061】
9 現像機
26 トナーカートリッジ
30 制御部
60、70 光学センサー
71 発光部
72 受光部
91 保持部(収容容器)
92 検知部
93 補給口
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【文献】特開2006‐276727号公報
図1
図2
図3
図4
図5