(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】トナー収容容器および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
G03G15/08 343
G03G15/08 330
(21)【出願番号】P 2020114602
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和行
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-197157(JP,A)
【文献】特開平8-6369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 13/08
G03G 13/095
G03G 15/00
G03G 15/08
G03G 15/095
G03G 21/16 -21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にトナーを収容し、回転により前記トナーを所定の方向に搬送可能なトナー収容部と、
通信が可能な情報記録素子と、
前記情報記録素子を保持し、前記トナー収容部の一端側に装着されるキャップ部材と、を備え、
前記キャップ部材が、前記トナー収容部の回転方向に係合し、前記トナー収容部に対して少なくとも一方の回転方向において回転不能である第一の状態と、
前記キャップ部材が、前記トナー収容部と係合せず、前記トナー収容部に対して相対的に回転可能である第二の状態と、をとりうることを特徴とするトナー収容容器。
【請求項2】
前記情報記録素子の情報を読み取る情報読取手段を備えた画像形成装置本体に装着した時、
前記情報記録素子が前記情報読取手段と対向する位置に配設されるまで、前記キャップ部材は、前記トナー収容部と一体に回転する前記第一の状態であり、
前記情報記録素子が前記情報読取手段と対向する位置に配設された後、前記キャップ部材は、前記画像形成装置本体と係合し、前記第二の状態となることを特徴とする請求項1に記載のトナー収容容器。
【請求項3】
前記キャップ部材は内部に付勢部材を備え、
前記付勢部材は、前記第一の状態において圧縮され、前記第二の状態において伸張することを特徴とする請求項1または2に記載のトナー収容容器。
【請求項4】
前記キャップ部材は、前記第一の状態と前記第二の状態とを切替えるスイッチ機構を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項5】
前記スイッチ機構は、前記キャップ部材の外周面から突出し、前記第一の状態において前記画像形成装置本体側に当接して押下される突出部を有し、
前記突出部は、前記画像形成装置本体への装着方向の端部にテーパー形状を有することを特徴とする請求項4に記載のトナー収容容器。
【請求項6】
前記情報記録素子が、前記突出部に配設されていることを特徴とする請求項5に記載のトナー収容容器。
【請求項7】
前記トナー収容部は、
長手方向の一端側に、前記トナーを外部に排出するためのトナー排出口を備え、
回転により前記トナーを前記トナー排出口に向けて搬送するトナー搬送機構を備え、
長手方向の他端側に、前記トナー収容部を回転させる駆動力を伝達する駆動伝達部を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項8】
前記駆動伝達部がボールキャスター及び車輪型キャスターのいずれかを備えることを特徴とする請求項7に記載のトナー収容容器。
【請求項9】
前記駆動伝達部が、前記画像形成装置本体側に形成された螺旋状のガイド面に沿って移動することを特徴とする請求項7または8に記載のトナー収容容器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のトナー収容容器が装着されたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー収容容器および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置では、像担持体の表面に形成した静電潜像に現像装置によって現像剤であるトナーを付着させ、形成されたトナー像を転写材に直接転写、あるいは中間転写体に1次転写した後に転写材に2次転写している。そして転写後の像担持体の表面の転写残トナーをクリーニング装置で除去し、次のトナー像形成に移行する。
画像形成に伴って現像装置内のトナーが消費されていくと、消費された量のトナーを順次補給する必要がある。そのため、従来の画像形成装置では、トナーを収納したトナーボトル(以下、「トナー収容容器」という)を設け、トナー収容容器から現像装置へ消費分のトナーを補給するものが知られている。このような構成において、トナー収容容器内のトナーが無くなると、空になったトナー収容容器を交換する必要があり、その交換作業は一般にユーザーによって行われている。
【0003】
この画像形成装置に用いられるトナー収容容器には、ICチップ(ICタグ、IDチップ等を含む)などの情報記録素子が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。一方、画像形成装置本体にはICチップの情報を受信する手段として、例えば、ICチップ受信機が設けられている。
情報記録素子としてのICチップには、トナー量に関する情報や、個体識別番号などの情報が記録されている。これらの情報をICチップに記録させることで、容器内のトナー量の表示や、異なる容器をセットした際のアラーム表示等の機能を、画像形成装置に付加することができる。
【0004】
ICチップのような情報記録素子の読み取りにおいて、例えば、RFIDのような非接触方式による場合は、情報のやり取りが可能な距離が限定される。また、ICチップの小型化が進むことによりトナー収容容器をセットする際の高い位置精度が要求される。
【0005】
トナー収容容器のセット時には、ICチップが画像形成装置側の情報の読み取りを行う手段と対向する位置に配置されるように、位置合わせの作業の必要が生じる。位置合わせとしては、例えば、トナー収容容器を画像形成装置へ挿入する前に、または挿入する途中に、挿入方向と異なる方向へ回動もしくは移動させる作業が挙げられる。
特許文献1には、位置合わせの際、ICチップが画像形成装置側の電気接触子と摺動し、損傷してしまうのを防ぐ技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トナー収容容器のICチップは、位置合わせにより画像形成装置側の情報の読み取りを行う手段と対向する所定の位置に配置された後は、容器の回転などに影響されることなく、当該所定の位置に保持されることが必要となる。
【0007】
そこで本発明は、画像形成装置に装着されたトナー収容容器の情報記録素子の位置合わせが行われ、情報記録素子を位置合わせされた位置に維持可能なトナー収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のトナー収容容器は、内部にトナーを収容し、回転により前記トナーを所定の方向に搬送可能なトナー収容部と、通信が可能な情報記録素子と、前記情報記録素子を保持し、前記トナー収容部の一端側に装着されるキャップ部材と、を備え、前記キャップ部材が、前記トナー収容部の回転方向に係合し、前記トナー収容部に対して少なくとも一方の回転方向において回転不能である第一の状態と、前記キャップ部材が、前記トナー収容部と係合せず、前記トナー収容部に対して相対的に回転可能である第二の状態と、をとりうることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置に装着されたトナー収容容器の情報記録素子の位置合わせが行われ、情報記録素子を位置合わせされた位置に維持可能なトナー収容容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】画像形成装置にトナー収容容器を装着する動作の一例を示す説明図である。
【
図2】トナー収容容器及び画像形成装置本体側の一部の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】トナー収容容器を画像形成装置本体にセットした後の動作の一例を示す説明図である。
【
図4】第一の実施形態に係るトナー収容容器のトナー収容部(A)、キャップ部材(B)、及びトナー収容容器受入部(C)の短手方向の側面図である。
【
図5】第一の実施形態に係るトナー収容容器をトナー収容容器受入部に挿入した状態の長手方向の側面透視図(A)及び(C)、短手方向の側面図(B)及び(D)である。
【
図6】第二の実施形態に係るトナー収容容器をトナー収容容器受入部に挿入した状態の長手方向の側面透視図である。
【
図7】第三の実施形態に係るトナー収容容器をトナー収容容器受入部に挿入した状態の長手方向の側面透視図(A)及び部分拡大図(B)である。
【
図8】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るトナー収容容器および画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0012】
本発明に係る画像形成装置の一実施形態の全体構成を
図8に示す。
図8に示すように、画像形成装置100本体の上方にあるトナー収容容器設置部31には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つの本発明に係るトナー収容容器38(38Y,38M,38C,38K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。
トナー収容容器設置部31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。中間転写ユニット15の中間転写ベルト8の下方には、中間転写ベルト8に対向する各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6(6Y,6M,6C,6K)がベルト移動方向に並設されている。
【0013】
トナー収容容器38(38Y,38M,38C,38K)は、トナー補給装置160(160Y,160M,160C,160K)に保持される。
トナー収容容器38に収容された現像剤は、それぞれ、トナー補給装置160によって、作像部6の現像装置内に供給(補給)される。
なお、トナー収容容器38内に収容される現像剤としては、トナー単体に限定されるものではなく、トナーとキャリアを混合させたものでも良い。
【0014】
図1は、画像形成装置100にトナー収容容器38を装着する動作の一例を示す説明図である。
まず、
図1(A)及び
図1(B)に示すように、トナー収容容器38を画像形成装置100の受台43にセットし、トナー収容容器設置部31へ向かって矢印の方向へ回動させる。
図1(A)の状態から約90度回動させ、画像形成装置100のトナー収容容器設置部31に押し込んでセットした状態を
図1(C)に示す。トナー収容容器38は、画像形成装置本体側のトナー収容容器受入部41に装着される。
また、トナー収容容器38を装着する動作は
図1に示す例に限定されず、例えば、画像形成装置本体にトナー収容容器38の交換作業用の開口部が設けられ、円状の開口からトナー収容容器38を容器の長手方向に押し込むようにして、スライド移動させ、トナー収容容器受入部に装着する方法等が挙げられる。交換作業用の開口部に開閉扉が設けられている場合は、該開閉扉を作業者が開き、同様に円状の開口からトナー収容容器38を装着する。
【0015】
図2は、本発明に係るトナー収容容器38及び画像形成装置本体側の一部の構成を示す分解斜視図である。
本実施形態のトナー収容容器38は、内部にトナーを収容する略円柱形状のトナー収容部34と、通信が可能な情報記録素子36と、情報記録素子36を保持し、トナー収容部34の一端側に装着されるキャップ部材33と、を備えている。
【0016】
トナー収容部34は、長手方向の一端側に、トナーを外部に排出するためのトナー排出口34aを備え、本体または内部に、回転によりトナーをトナー排出口34aに向けて搬送するトナー搬送機構を備え、長手方向の他端側に、トナー収容部34を回転させる駆動力を伝達する回転部材39を備えている。
【0017】
トナー収容容器38のトナー収容部34は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、又は、ポリエチレンポリカーボネートなどの合成樹脂製であり、その内壁に底部からトナー排出口34aに向けてトナー搬送機構としての螺旋溝34bが形成されている。内壁の螺旋溝は外周に螺旋溝として現れる。このトナー収容部34を回転させることにより螺旋溝34bに案内されてトナー排出口34aからトナーが吐出する。
【0018】
トナー収容部34の一端側に装着されるキャップ部材33は、情報記録素子36を保持している。情報記録素子36は、例えば、非接触により通信が可能なRFIDである。
情報記録素子36には、例えば、トナー色、トナーの容量、トナーの製造番号(製造ロット)、トナーの製造年月等のトナーに係わる情報や、リサイクル回数、リサイクル年月日、リサイクルメーカ等のトナー収容容器38のリサイクルに係わる情報などが記憶されている。
情報記録素子36の情報は、画像形成装置本体側のトナー収容容器受入部41に設けられた情報読取手段41aにより読み取られ、送信される。
【0019】
トナー排出口34aの他端側である容器底部には、トナー収容部34を回転させる駆動力を伝達する駆動伝達部39を備えている。
駆動伝達部39はキャスター部材を備え、キャスター部材としては、例えば、ボールキャスター及び車輪型キャスターのいずれかが好ましい。
【0020】
駆動伝達部39と対向する底部ガイド42による駆動伝達機構は、回転方向で傾斜するカップリング機構である。
駆動伝達部39は、画像形成装置本体側の底部ガイド42に形成された螺旋状のガイド面42aに沿って移動する。螺旋状のガイド面42aには駆動伝達部39を案内する凹部が形成されていることが好ましい。また、底部ガイド42は、回転部材39のストッパー部42bを有する。
スプリング44は、底部ガイド42を介してトナー収容容器38を画像形成装置に対するセット方向に押圧する。
【0021】
図3は、トナー収容容器38を画像形成装置本体側にセットした後の動作の一例を示す説明図である。
まず、
図3(A)に示すように、画像形成装置にセットされたトナー収容容器38はスプリング44により押圧される。そして、底部ガイド42の螺旋状のガイド面に沿ってトナー収容容器38の底部に設けられた回転部材39が移動し、
図3(B)に示すようにトナー収容容器38がトナー収容部34及びキャップ部材33が一体として回転する。
トナー収容容器38は、情報記録素子36がトナー収容容器受入部41の情報読取手段41aと対向する位置に到達するまで回転する。
【0022】
図3(C)は、情報記録素子36がトナー収容容器受入部41の情報読取手段41aと対向する位置に配置された状態を示している。この状態においてキャップ部材33は、後述する機構によりトナー収容容器受入部41と回転方向に対して係合固定され、トナー収容部34はキャップ部材33との回転方向の係合が解除される。すなわち、トナー収容部34のみが回転可能な状態となり、キャップ部材33がトナー収容部34に対して相対的に回転可能となる。
【0023】
図1~
図3に示すように、トナー収容容器38を画像形成装置100に挿入した後、挿入方向と異なる方向へ回動もしくは移動させる本実施形態の態様において、ユーザーが目視で情報記録素子36の位置を情報読取手段41aと対向するようにセットすることは困難であるが、以下に説明する本発明に係るトナー収容容器38によれば、情報記録素子36の位置合わせを正確かつ容易に行うことができるとともに、情報記録素子36を配置された位置に維持することができる。
【0024】
なお、トナー収容容器38の交換形態は特に限定されないが、例えば、
図3(D)に示すように、トナー収容部34とキャップ部材33とを別々に取り外すことも可能である。
【0025】
(第一の実施形態)
本実施形態のトナー収容容器を
図4及び
図5に基づき説明する。
図4は、本実施形態に係るトナー収容容器38のトナー収容部34(A)、キャップ部材33(B)、及びトナー収容容器受入部41(C)の短手方向の側面図である。
図5は、本実施形態に係るトナー収容容器38をトナー収容容器受入部41に挿入した状態の長手方向の側面透視図(A)及び(C)、短手方向の側面図(B)及び(D)である。
【0026】
本実施形態のトナー収容容器38は、内部にトナーを収容し、回転によりトナーを所定の方向に搬送可能なトナー収容部34と、通信が可能な情報記録素子36と、情報記録素子36を保持し、トナー収容部34の一端側に装着されるキャップ部材33と、を備え、キャップ部材33が、トナー収容部34の回転方向に係合し、トナー収容部34に対して少なくとも一方の回転方向において回転不能である第一の状態と、キャップ部材33が、トナー収容部34と係合せず、トナー収容部34に対して相対的に回転可能である第二の状態と、をとりうる。
【0027】
なお、
図5(A)及び
図5(B)は第一の状態を示し、
図5(C)及び
図5(D)は第二の状態を示している。
情報記録素子36の情報を読み取る情報読取手段41aを備えた画像形成装置本体に装着した時、情報記録素子36が情報読取手段41aと対向する位置に配設されるまで、キャップ部材33は、トナー収容部34と一体に回転する前記第一の状態である。
図5(C)及び
図5(D)に示すように、情報記録素子36が情報読取手段41aと対向する位置に配設された後、キャップ部材33が画像形成装置本体のトナー収容容器受入部41と係合し、第二の状態となる。
【0028】
キャップ部材33は内部に付勢部材35を備えている。
付勢部材35は、
図5(A)に示すように第一の状態において圧縮され、
図5(C)に示すように第二の状態において伸張する。
第二の状態において、トナー収容部34が付勢部材35から若干の付勢力を受ける態様であっても、付勢力を受けない態様であってもよいが、離間のばらつきを抑制する点において、一定の付勢力を受けることが好ましい。
また、第二の状態においてキャップ部材33とトナー収容部34とが一定の距離以上に離間しないよう、抜け止め機構を備えていることが好ましい。
【0029】
また、キャップ部材33はトナー収容部34に形成された凹部34cを係合する凸部33aを有し、第一の状態において互いに嵌合する。これにより、キャップ部材33が、トナー収容部34と一体に回転可能となる。
図面上では凹部34cを1つのみ記載しているが、圧縮した際に凸部33aがいずれかの凹部34cに嵌合するように円周方向に複数の凹部34cを設けておくことが好ましい。また、凸部33aと凹部34cが嵌合し易いように凸部33aと凹部34cのいずれか又は両方にテーパー形状を設けることがより好ましい。
凹部34cが1つのみである場合は、凸部33aと凹部34cとが嵌合しない状態でもトナー収容容器38が画像形成装置本体側のトナー収容容器受入部41に装着できるように、カップリング機構のスプリング44の伸縮距離を十分に確保する必要があり、画像形成装置の大型化につながるおそれがあるが、複数の凹部34cを設けることによりこれを回避することができる。
【0030】
情報記録素子36は、
図4(B)及び
図5に示すように、キャップ部材33の周面の突出した部位(以下、「凸状部」という)に設けられている。
これに対し、トナー収容容器受入部41は、情報記録素子36を備えた凸状部が所定の向きでのみ挿入されるよう、対応する凹部を備え、該凹部に情報読取手段41aを備えている。
【0031】
図5(A)及び
図5(B)は、情報記録素子36を備えた凸状部と情報読取手段41aを備えた凹部の位置が合致せず、凸状部がトナー収容容器受入部41の開口端に干渉して正しくセットされていない状態を示している。
図5(A)及び
図5(B)は第一の状態であるためキャップ部材33とトナー収容部34とを一体に回転させることができる。
【0032】
回転によりキャップ部材33の凸状部が所定の位置に達したところで、当該凸状部がトナー収容容器受入部41の凹部に嵌入し、
図5(C)及び
図5(D)に示す第二の状態となる。
そして、情報記録素子36が情報読取手段41aと対向するとともに、付勢部材35によりキャップ部材33とトナー収容部34とが離間する。これによりトナー収容部34の凹部34cとキャップ部材33の凸部33aの係合が外れ、トナー収容部34の回転がキャップ部材33に伝達されなくなり、キャップ部材33が画像形成装置本体側に保持され、トナー収容部34のみが回転する。
【0033】
本実施形態のトナー収容容器38によれば、困難な位置合わせの作業を行うことなく情報記録素子36を情報読取手段41aと対向する位置に配置することができ、ユーザビリティが大きく改善する。また、位置合わせされた後は、トナー集用部34の回転に影響されることなく、情報記録素子36が所定の位置に保持される。
【0034】
(第二の実施形態)
本実施形態のトナー収容容器を
図6に基づき説明する。
図6(A)は、本実施形態に係るトナー収容容器38をトナー収容容器受入部41に挿入する前の状態の長手方向の側面透視図であり、
図6(B)及び
図6(C)は、本実施形態に係るトナー収容容器38をトナー収容容器受入部41に挿入した状態の長手方向の側面透視図である。
【0035】
本実施形態のトナー収容容器38は、第一の実施形態と同様、内部にトナーを収容する略円柱形状のトナー収容部34と、通信が可能な情報記録素子36と、情報記録素子36を保持し、トナー収容部34の一端側に装着されるキャップ部材33と、を備え、情報記録素子36の情報を読み取る情報読取手段41aを備えた画像形成装置本体に装着した時に、キャップ部材33が、トナー収容部34と一体に回転し、トナー収容部34に対して回転不能である第一の状態と、キャップ部材33が、画像形成装置本体と係合し、トナー収容部34に対して相対的に回転可能である第二の状態と、をとりうる。
【0036】
図6(B)は第一の状態を示し、
図6(C)は第二の状態を示している。
図6(C)に示すように、情報記録素子36が情報読取手段41aと対向する位置において、キャップ部材33が画像形成装置本体のトナー収容容器受入部41と係合し、第二の状態となる。
本実施形態において、キャップ部材33は、第一の状態と第二の状態とを切替えるスイッチ機構を有している。
【0037】
スイッチ機構は、キャップ部材33の外周面から突出し、第一の状態において画像形成装置本体側のトナー収容容器受入部41に当接して押下される突出部37を有する。
突出部37は、トナー収容部34に形成された凹部34cを係合する凸部37aを有し、第一の状態において互いに嵌合する。これにより、キャップ部材33が、トナー収容部34と一体に回転可能となる。
また、突出部37は付勢部材35を備え、付勢部材35は、
図6(B)に示すように第一の状態において圧縮され、
図6(C)に示すように第二の状態において伸張する。
【0038】
突出部37は、画像形成装置本体への装着方向の端部にテーパー形状37bを有する。テーパー形状37を有することにより、トナー収容容器受入部41への挿入時にテーパー面が開口端に当たり、突出部37が円滑に押し下げられる。
【0039】
突出部37には、情報記録素子36が配設されている。これに対し、トナー収容容器受入部41は、情報記録素子36を備えた凸状部が所定の向きでのみ挿入されるよう、対応する凹部を備え、該凹部に情報読取手段41aを備えている。
【0040】
まず、トナー収容容器38を
図6(A)に示す状態から矢印方向に移動させてトナー収容容器受入部41に挿入する。
図6(B)に示すように情報記録素子36を備えた突出部37と情報読取手段41aを備えた凹部の位置が合致しないと、突出部37がトナー収容容器受入部41に押圧され、キャップ部材33は第一の状態となる。
図6(B)は第一の状態であるためキャップ部材33とトナー収容部34とを一体に回転させることができる。
【0041】
回転によりキャップ部材33の突出部37が所定の位置に達したところで、トナー収容容器受入部41の凹部に突出部37が嵌入し、
図6(C)に示す第二の状態となる。
情報記録素子36が情報読取手段41aと対向するとともに、付勢部材35によりトナー収容部34と突出部37とが離間する。これによりトナー収容部34の凹部34cと突出部37の凸部37aの係合が外れ、トナー収容部34の回転がキャップ部材33に伝達されなくなり、キャップ部材33が画像形成装置本体側に保持され、トナー収容部34のみが回転する。
なお、
図6中、凹部34cを1箇所のみ示しているが、該凹部は周方向に沿って複数設けられていることが好ましい。
また、凸部37aと凹部34cとが嵌合し易いように凸部37aと凹部34cのいずれか又は両方にテーパー形状を設けておくと更に良い。
【0042】
(第三の実施形態)
本実施形態のトナー収容容器を
図7に基づき説明する。
図7(A)は、本実施形態に係るトナー収容容器38をトナー収容容器受入部41に挿入した状態の長手方向の側面透視図であり、
図7(B)は(A)の部分拡大図である。
【0043】
本実施形態のトナー収容容器38は、突出部37が画像形成装置本体への装着方向の端部と、その反対方向の端部とにそれぞれテーパー形状を有している。その他の構成は上述の第二の実施形態と同様である。
【0044】
図7(A)は第二の状態を示している。
図7(B)に示すように、突出部37は、画像形成装置本体への装着方向の端部のテーパー形状37bと、その反対方向の端部のテーパー形状37cを有する。
このように、両端側にそれぞれテーパー面を設けることにより、装着時又は抜き取り時に画像形成装置本体に引っ掛かることなく突出部が押圧されるため、トナー収容容器受入部41の開口端を異形にする必要がなくなり、トナー収容容器受入部の強度を確保するなどの利点がある。
また、
図7(B)に示すように、情報記録素子36及び情報読取手段41aの全周囲がトナー収容容器受入部41により囲まれて保護されるため、情報読み取りの安定性の向上や、接触による情報読取手段の破損を防止することができる。
【0045】
上述のように、本発明のトナー収容容器38は、ユーザーが位置決めをして画像形成装置100本体にセットしなくても、装着後にトナー収容容器38が回転駆動されることにより情報記録素子36が情報読取手段41aと対向する位置に配設される。
つまり、ユーザーがトナー収容容器38を受台43に装着する際に、情報記録素子36の位置を全く気にする必要はなく装着可能であり、装着後はトナー収容容器38がトナーを排出する動作に応じて情報記録素子36が必要な情報のやり取りが可能となる最適な位置になるように構成する事ができる。これにより、位置決めされた後は情報記録素子36を情報読み取りが可能な最適な位置に維持することができる。
【符号の説明】
【0046】
33 キャップ部材
34 トナー収容部
35 付勢部材
36 情報記録素子
37 突出部
38 トナー収容容器
41 トナー収容容器受入部
41a 情報読取手段
42 底部ガイド
43 受台
44 スプリング
100 画像形成装置
160 トナー補給装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】