(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/18 20060101AFI20240305BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240305BHJP
C23C 18/20 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H05K3/18 K
H05K3/46 G
C23C18/20 A
(21)【出願番号】P 2020561523
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2019049933
(87)【国際公開番号】W WO2020130100
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2018238340
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 正也
(72)【発明者】
【氏名】蔵渕 和彦
(72)【発明者】
【氏名】増子 崇
(72)【発明者】
【氏名】満倉 一行
(72)【発明者】
【氏名】安部 慎一郎
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-136769(JP,A)
【文献】特表昭57-501786(JP,A)
【文献】特開2002-57456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 18/00―18/54
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)樹脂組成物からなる絶縁層に活性エネルギー線を照射する工程と、
(b)前記絶縁層に無電解めっき用の触媒を吸着させる工程と、
(c)前記絶縁層の表面上に無電解めっきによって金属層を形成する工程と、
をこの順序で含み、
(a)工程において、前記活性エネルギー線の照射によって前記絶縁層の表面から深さ方向に20nm以上
であり且つ200nm以下の厚さを有し且つ前記絶縁層の表面から連通する空孔を有する改質領域を形成する、配線基板の製造方法。
【請求項2】
(c)工程において、無電解銅めっき液を用いて前記金属層を形成する、請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
(c)工程において、無電解銅ニッケルリンめっき液を用いて前記金属層を形成する、請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記活性エネルギー線が波長254nm以下の紫外線である、請求項1~3のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
(c)工程後にお
いて、前記絶縁層の前記表面の
うち前記改質領域が形成されている表面の算術平均粗さRaが100nm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記金属層のニッケル含有率が0.25~20質量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
樹脂組成物からなる絶縁層と、
前記絶縁層の表面上に設けられた金属配線と、
を備え、
前記絶縁層が前記表面から深さ方向に厚さ20nm以上
であり且つ200nm以下の改質領域を有し、
前記改質領域には前記金属配線に含まれる銅が分散している、配線基板。
【請求項8】
前記金属配線の一部が無電解めっきによって形成されたものであり、
前記改質領域には、無電解めっき用の触媒が分散している、請求項7に記載の配線基板。
【請求項9】
前記絶縁層の前記表面の
うち前記改質領域が形成されている表面の平均粗さRaが100nm以下である、請求項7又は8に記載の配線基板。
【請求項10】
前記樹脂組成物が熱硬化性樹脂組成物の硬化物である、請求項7~9のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項11】
前記樹脂組成物が感光性樹脂組成物の硬化物である、請求項7~10のいずれか一項に記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージの高密度化及び高性能化を目的に、異なる性能の半導体素子(以下、場合により「チップ」という。)を一つのパッケージに混載する実装形態が提案されている。コストの観点から、チップ間の高密度インターコネクト技術の重要度が増している(特許文献1参照)。
【0003】
スマートフォン及びタブレット端末において、パッケージ・オン・パッケージと称される接続方法が広く採用されている。パッケージ・オン・パッケージは、パッケージ上に異なるパッケージをフリップチップ実装によって接続する方法である(非特許文献1,2参照)。更に高密度で実装するための形態として、高密度配線を有する有機基板を用いたパッケージ技術(有機インターポーザ)、スルーモールドビア(TMV)を有するファンアウト型のパッケージ技術(FO-WLP)、シリコン又はガラスインターポーザを用いたパッケージ技術、シリコン貫通電極(TSV)を用いたパッケージ技術、基板に埋め込まれたチップをチップ間伝送に用いるパッケージ技術などが提案されている。特に有機インターポーザ及びFO-WLPにおいて、半導体チップ同士を並列して搭載する場合には、高密度で導通させるために微細配線層が必要となる(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-318519号公報
【文献】米国特許出願公開第2001/0221071号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】Application of Through Mold Via(TMV) as PoP Base Package, Electronic Components and Technology Conference(ECTC),2008
【文献】Advanced Low Profile PoP Solution with Embedded Wafer Level PoP(eWLB-PoP)Technology,ECTC,2012
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、デスミア処理液による処理後、無電解めっきによってシード層が形成される。シード層は、配線基板の製造過程において形成される金属層であり、給電層とも称される。すなわち、シード層に給電することによってシード層の表面上に導電部が形成される。シード層の一部は、導電部とともに金属配線を構成する。特許文献1に記載の技術では、湿式デスミア処理を行うことにより、絶縁層の表面を粗化している。絶縁層の表面を適度に粗い状態とすることで、アンカー効果によって、シード層と絶縁層との密着性が向上する。
【0007】
近年、半導体素子は小型化傾向にあり、配線基板も微細化が求められている。上記のようにアンカー効果を得るために絶縁層の表面を粗くすると、その上に微細な配線パターン(特に、L/S(ライン/スペース)が10/10μm以下)を形成することが困難となる。近年、配線基板は高周波帯における伝送損失の低減も求められている。上記のように、絶縁層の表面を粗くすると、表皮効果により伝送損失が大きくなる。つまり、配線基板の製造方法において、絶縁層と金属配線との密着性を担保しつつ、高周波の伝送損失を低減することが課題である。
【0008】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、絶縁層と金属配線の密着性に優れ且つ高周波の伝送損失が小さい配線基板及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一側面に係る配線基板の製造方法は、
(a)樹脂組成物からなる絶縁層に活性エネルギー線を照射する工程と、
(b)絶縁層に無電解めっき用の触媒を吸着させる工程と、
(c)絶縁層の表面上に無電解めっきによって金属層を形成する工程と、
をこの順序で含み、(a)工程において、活性エネルギー線の照射によって絶縁層の表面から深さ方向に20nm以上の厚さを有し且つ絶縁層の表面から連通する空孔を有する改質領域を形成する。
【0010】
本発明者らの検討によると、活性エネルギー線の照射によって上記改質領域が形成された絶縁層に対して無電解めっき用の触媒を吸着させることで、改質領域の空孔に触媒が入り込んだ状態となる。この状態で無電解めっきによって金属層を形成すると、改質領域の空孔内に形成される無電解めっきが植物の根のような役割を果たし、絶縁層と金属層との密着性向上に寄与すると推察される。(a)工程における活性エネルギー線の照射は、デスミア処理液による粗化処理とは異なり、絶縁層の表面を過度に粗くするものではない。すなわち、上記製造方法によれば、絶縁層の表面が十分に平坦(例えば、算術平均粗さRaが100nm以下)であるにも拘わらず、絶縁層と金属配線との十分な密着性を担保できる。絶縁層の表面が十分に平坦であることで高周波の伝送損失を十分に小さくできる。
【0011】
(a)工程において、例えば、波長254nm以下の紫外線を絶縁層に照射することによって上記構成の改質領域を形成することができる。(c)工程において、無電解銅めっき液又は無電解銅ニッケルリンめっき液を用いて金属層を形成することができる。絶縁層と金属層の密着性及び高周波の伝送損失の低減をより一層高度に実現する観点から、金属層のニッケル含有率は0.25~20質量%であることが好ましい。所定量のニッケルを含有する金属層は、例えば、無電解銅ニッケルリンめっき液又は無電解銅めっき液を用いて形成することができる。
【0012】
本開示の一側面に係る配線基板は、樹脂組成物からなる絶縁層と、絶縁層の表面上に設けられた金属配線とを備え、絶縁層が表面から深さ方向に厚さ20nm以上の改質領域を有し、改質領域には金属配線に含まれる銅が分散している。上述のとおり、例えば、無電解銅ニッケルリンめっき液又は無電解銅めっき液を用いて金属層が形成された場合、絶縁層の改質領域には銅が分散した状態で含まれる。この状態は元素マッピングによって確認できる。
【0013】
上記配線基板が備える金属配線の一部が無電解めっきによって形成されたものである場合、改質領域には、無電解めっき用の触媒(例えば、パラジウム)が分散している。これも元素マッピングによって確認できる。
【0014】
絶縁層の表面の平均粗さRaが100nm以下であることで、高周波の伝送損失の低減をより一層高度に実現できる。絶縁層を構成する樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物であってもよいし、感光性樹脂組成物の硬化物であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、絶縁層と金属配線の密着性に優れ且つ高周波の伝送損失が小さい配線基板及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1(a)~
図1(d)は本開示の一実施形態に係る配線基板の製造過程を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2(a)~
図2(c)は本開示の一実施形態に係る配線基板の製造過程を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(f)は比較例1又は実施例1に係る積層体の断面を示す画像である。
【
図4】
図4(a)は比較例1に係る断面EDXライン分析結果を示す画像であり、
図4(b)は実施例1に係る断面EDXライン分析結果を示す画像である。
【
図5】実施例及び比較例において高周波の伝送損失を評価するために作製したマイクロストリップ配線を備える配線基板を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0018】
本明細書の記載及び請求項において「左」、「右」、「正面」、「裏面」、「上」、「下」、「上方」、「下方」等の用語が利用されている場合、これらは、説明を意図したものであり、必ずしも永久にこの相対位置である、という意味ではない。また、「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。
【0019】
図1(a)~
図1(d)及び
図2(a)~
図2(c)は、配線基板の製造過程を模式的に示す断面図である。
図2(c)に模式的に示される配線基板10は、微細化及び多ピン化が必要とされる形態において特に好適であり、特に、異種チップを混載するためのインターポーザが必要なパッケージ形態において好適である。より具体的には、本実施形態に係る製造方法は、ピンの間隔が200μm以下(より微細な場合には例えば30~100μm)であり、且つピンの本数が500本以上(より微細な場合には例えば1000~10000本)のパッケージ形態において好適である。
【0020】
金属配線4における第1絶縁層1と接する側の領域(シード層2)のニッケル含有率が0.25~20質量%であることで、第1絶縁層1に対してデスミア処理液による表面粗化を施さなくても、金属配線4が第1絶縁層1に対する優れた密着性を有している。このため、第1絶縁層1の表面上に、微細配線を形成することが可能であるとともに、高周波の伝送損失を十分に低減することができる。
【0021】
配線基板10は、大きく分けて以下の工程を経て製造される。
(1)支持基板S上に第1絶縁層1を形成する工程。
(2)第1絶縁層1の表面に活性エネルギー線を照射する工程。
(3)第1絶縁層1の表面にシード層2(金属層)を形成する工程。
(4)シード層2上に配線部3(導電部)を形成する工程。
(5)金属配線4を覆うように第2絶縁層5を形成する工程。
【0022】
<(1)支持基板上に第1絶縁層を形成する工程>
支持基板S上に第1絶縁層1を形成する(
図1(a))。支持基板Sは、特に限定されないが、シリコン板、ガラス板、SUS(ステンレス鋼)板、ガラスクロス入り基板、半導体素子入り封止樹脂等であり、高剛性からなる基板が好適である。
図1(a)に示す支持基板Sは、第1絶縁層1が形成される側の表面に導電層Saが形成されている。支持基板Sとして、導電層Saが形成されていないもの、あるいは、導電層Saの代わりに配線及び/又はパッドを表面に有するものを使用してもよい。
【0023】
支持基板Sの厚さは0.2mmから2.0mmの範囲であることが好ましい。0.2mmより薄い場合はハンドリングが困難になる一方、2.0mmより厚い場合は材料費が高くなる傾向にある。支持基板Sはウェハ状でもパネル状でも構わない。サイズは特に限定されないが、直径200mm、直径300mm又は直径450mmのウェハ、あるいは、一辺が300~700mmの矩形パネルが好ましく用いられる。
【0024】
第1絶縁層1を構成する材料は、感光性樹脂材料であっても熱硬化性樹脂材料であってもよい。これらの絶縁材料としては、液状又はフィルム状のものが挙げられ、膜厚平坦性とコストの観点からフィルム状の絶縁材料が好ましい。また、微細な配線を形成できる点で、絶縁材料は平均粒径500nm以下(より好ましくは50~200nm)のフィラー(充填材)を含有することが好ましい。絶縁材料のフィラー含有量は、フィラーを除く絶縁材料の質量100質量部に対して0~70質量部が好ましく、10~50質量部がより好ましい。
【0025】
フィルム状の絶縁材料を使用する場合、そのラミネート工程はなるべく低温で実施することが好ましく、40~120℃でラミネート可能な絶縁フィルムを採用することが好ましい。ラミネート可能な温度が40℃を下回る絶縁フィルムは常温(約25℃)でのタックが強く、取り扱い性が悪化する傾向があり、その温度が120℃を上回る感光性絶縁フィルムの場合はラミネート後に反りが大きくなる傾向がある。
【0026】
第1絶縁層1の硬化後の熱膨張係数は、反り抑制の観点から80×10-6/K(ケルビン)以下であることが好ましく、高信頼性が得られる点で70×10-6/K以下であることがより好ましい。また、絶縁材料の応力緩和性、高精細なパターンが得られる点で20×10-6/K以上であることが好ましい。第1絶縁層1の厚さは、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、3μm以下であることが更に好ましい。また、絶縁信頼性の観点から第1絶縁層1の厚さは0.5μm以上であることが好ましい。
【0027】
配線基板10の用途又は態様に応じて、例えば、導電層Saに至る開口部(不図示)を第1絶縁層1に設けてもよい。感光性樹脂組成物によって第1絶縁層1が形成される場合、例えば、フォトリソグラフィによって開口部を設ければよい。熱硬化性樹脂組成物によって第1絶縁層1が形成される場合、例えば、レーザー加工によって開口部を設ければよい。
【0028】
高周波の伝送損失を低減する観点から、第1絶縁層1の表面はなるべく平坦であることが好ましい。すなわち、第1絶縁層1の表面の算術平均粗さRaは100nm以下であり、好ましくは80nm以下であり、より好ましくは55nm以下である。第1絶縁層1の表面の算術平均粗さRaの下限値は、例えば、5nmであり、10nm又は20nmであってもよい。算術平均粗さRaはレーザー顕微鏡を使用して測定することができる。第1絶縁層1を含む積層体の断面から第1絶縁層1の表面の算術平均粗さRaを求めるには以下の手法を採用すればよい。すなわち、算術平均粗さRaの値が判っている複数の試料の面から凸部と凹部の差(Rz値)を測定する。測定されたRz値及び既知のRa値に基づいて検量線を作成する。算術平均粗さRaを求めるべき第1絶縁層1の断面の凸部と凹部の差(Rz値)を測定し、この測定値及び検量線から算術平均粗さRaを求めることができる。
【0029】
<(2)第1絶縁層の表面に活性エネルギー線を照射する工程>
第1絶縁層1の表面にシード層2を形成するに先立ち、第1絶縁層1の表面に活性エネルギー線を照射し、第1絶縁層1の表面に改質領域(
図3(d)~図(f)参照)を形成する。改質領域は、第1絶縁層1の表面から深さ方向に20nm以上の厚さを有する。改質領域は、第1絶縁層1の表面から連通する空孔を有する。
【0030】
改質領域が形成された第1絶縁層1に対して無電解めっき用の触媒を吸着させることで、改質領域の空孔に触媒が入り込んだ状態となる(
図3(e)参照)。この状態で無電解めっきによってシード層2を形成すると、改質領域の空孔内に形成される無電解めっきが植物の根のような役割を果たし、第1絶縁層1とシード層2との密着性向上に寄与すると推察される。活性エネルギー線としては、第1絶縁層1の表面を過度に粗くするものでなければよく、例えば、紫外線、電子線、α線、β線及びγ線が挙げられる。活性エネルギー線の照射量及び強度を調整することで、厚さ20nm以上の改質領域を形成できるとともに、第1絶縁層1の表面の算術平均粗さRaを100nm以下に維持できる。
【0031】
第1絶縁層1とシード層2の密着性向上の観点から、改質領域の厚さは20nm以上であり、25nm以上又は30nm以上であってもよい。改質領域の厚さの上限値は、例えば、200nmであり、180nm又は150nmであってもよい。改質領域を過度に厚くするには、過剰量の活性エネルギー線を照射する必要があり、その結果、第1絶縁層1の表面が粗くなり、算術平均粗さRaが100nmを超え得る。なお、第1絶縁層1の表面はなるべく平坦であることが好ましいことから、シード層2を形成する前に、第1絶縁層1の表面に対してデスミア処理液による粗化処理を実施しない方がよい。
【0032】
<(3)第1絶縁層の表面にシード層を形成する工程>
第1絶縁層1の表面に、少なくとも銅を含む無電解めっきによりシード層2を形成する(
図1(b))。シード層2は以下のステップを経て形成される。まず、第1絶縁層1の表面を前処理液で洗浄する。前処理液は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む市販のアルカリ性前処理液でよい。水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの濃度は1~30質量%の間で実施される。前処理液への浸漬時間は1~60分の間で実施される。前処理液への浸漬温度は25~80℃の間で実施される。前処理した後、余分な前処理液を除去するため、市水、純水、超純水又は有機溶剤で洗浄してもよい。
【0033】
前処理液除去後、第1絶縁層1の表面からアルカリイオンを除去するために、酸性水溶液で浸漬洗浄する。酸性水溶液は硫酸水溶液でよく、濃度は1~20質量%、浸漬時間は1~60分の間で実施される。酸性水溶液を除去するため、市水、純水、超純水又は有機溶剤で洗浄してもよい。
【0034】
続いて、無電解めっきの触媒となるパラジウムを、浸漬洗浄後の第1絶縁層1の表面に付着させる。パラジウムは、市販のパラジウム-スズコロイド溶液、パラジウムイオンを含む水溶液、パラジウムイオン懸濁液等でよいが、改質層に効果的に吸着するパラジウムイオンを含む水溶液が好ましい。パラジウムイオンを含む水溶液に浸漬する際、パラジウムイオンを含む水溶液の温度は、25~80℃、吸着させるための浸漬時間は1~60分の間で実施される。パラジウムイオンを吸着させた後、余分なパラジウムイオンを除去するため、市水、純水、超純水又は有機溶剤で洗浄してもよい。
【0035】
パラジウムイオン吸着後、パラジウムイオンを触媒として作用させるための活性化を行う。パラジウムイオンを活性化させる試薬は市販の活性化剤(活性化処理液)でよい。パラジウムイオンを活性化させるために浸漬する活性化剤の温度は、25~80℃、活性化させるために浸漬する時間は1~60分の間で実施される。パラジウムイオンの活性化後、余分な活性化剤を除去するため、市水、純水、超純水又は有機溶剤で洗浄してもよい。
【0036】
続いて、第1絶縁層1の表面に対する無電解めっきによってシード層2を形成する。シード層2は、工程(3)で実施される電解めっきのための給電層となる。シード層2の厚さは、20~200nmが好ましく、40~200nmがより好ましく、60~200nmが更に好ましい。
【0037】
シード層2のニッケル含有率は、0.25~20質量%であり、例えば、3~20質量%又は0.25~3質量%であってもよい。シード層2のニッケル含有率は、例えば、無電解めっき液のニッケル含有率を調整することで設定することができる。シード層2のニッケル含有率が0.25質量%以上であることで、第1絶縁層1とシード層2に密着性を十分に確保することができ、他方、20質量%以下であることで、高周波の伝送損失を十分に小さくするこができる。
【0038】
無電解めっきとしては、無電解純銅めっき(銅の純度99質量%以上)、無電解銅ニッケルリンめっき(ニッケル含有率:1~10質量%、リン含有量:1~13質量%)等が挙げられる。無電解銅ニッケルリンめっき液は市販のめっき液でよい。かかるめっき液の市販品として、例えば、無電解銅ニッケルリンめっき液(株式会社JCU製、商品名「AISL-570」)を挙げることができる。無電解銅ニッケルリンめっきは、60~90℃の無電解銅ニッケルリンめっき液中で実施される。
【0039】
ニッケル含有率が0.1~1質量%の無電解銅めっき液をシード層2の形成に使用してもよい。かかるめっき液の市販品として、例えば、無電解銅めっき液(アトテックジャパン株式会社製、商品名「カッパーソリューション プリントガントMV TP1」、「スタビライザー プリントガントMV TP1」、「ベーシック プリントガントMV TP1」、「モデレーター プリントガント MV TP1」、「リデューサーCu」)が挙げられる。無電解銅めっきは、20℃~50℃の無電解銅めっき液中で実施される。
【0040】
無電解めっき後、余分なめっき液を除去するため、市水、純水、超純水又は有機溶剤で洗浄してもよい。また、無電解めっき後、シード層2と第1絶縁層1との密着力を高めるため、熱硬化(アニーリング:加熱による時効硬化処理)を行ってもよい。熱硬化温度は、80~200℃で加熱することが好ましい。より反応性を早めるために120~200℃がより好ましく、120~180℃で加熱することが更に好ましい。熱硬化時間は5~60分が好ましく、10~60分がより好ましく、20~60分が更に好ましい。
【0041】
<(4)シード層上に配線部を形成する工程>
シード層2の表面上に配線形成用レジストRをパターニングする(
図1(c)参照)。配線形成用レジストRとして、市販のレジストを使用すればよく、例えば、ネガ型フィルム状の感光性レジスト(日立化成株式会社製、Photec RY-5107UT)を用いることができる。レジストパターンは、配線形成用の開口部と、必要に応じてその他の開口部とが設けられたものであってもよい。すなわち、ロールラミネータを用いてレジストを成膜し、次いで、パターンを形成したフォトツールを密着させ、露光機を使用して露光を行い、次いで、炭酸ナトリウム水溶液で、スプレー現像を行うことによってレジストパターンを形成することができる。なお、ネガ型の代わりにポジ型の感光性レジストを用いてもよい。
【0042】
シード層2に給電することによって電解銅めっきを実施し、配線部3を形成する(
図1(d)参照)。配線部3の厚さは1~10μmが好ましく、3~10μmがより好ましく、5~10μmが更に好ましい。
【0043】
電解銅めっき後、配線形成用レジストRをはく離する(
図2(a)参照)。配線形成用レジストRのはく離は、市販のはく離液を使用して行えばよい。配線形成用レジストRのはく離によって露出したシード層2を除去する(
図2(b)参照)。これにより、第1絶縁層1の表面上に残存するシード層2と、配線部3とによって構成される金属配線4が形成される。シード層2の除去とともに、シード層2の下に残存しているパラジムを除去してもよい。これらの除去は、市販の除去液(エッチング液)を使用して行えばよく、具体例として、酸性のエッチング液(株式会社JCU製、BB-20、PJ-10、SAC-700W3C)が挙げられる。
【0044】
<(5)金属配線を覆うように第2絶縁層を形成する工程>
金属配線4を覆うように第2絶縁層5を形成する(
図2(c)参照)。第2絶縁層5を構成する材料として第1絶縁層と同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0045】
以上、配線基板及びその製造方法について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。例えば、上記実施形態においては、一層の配線層(金属配線4と第2絶縁層5とを含む層)を有する配線基板の製造方法を例示したが、配線層の表面上にシード層を設ける工程と、上記(3)及び(4)の一連工程を繰り返すことで、複数の配線層を有する配線基板を製造してもよい。
【実施例】
【0046】
本開示について以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
<感光性樹脂フィルムの作製>
絶縁層用の感光性樹脂フィルムを以下のようにして作製した。まず、以下の成分を使用して感光性樹脂組成物を調製した。
・カルボキシル基とエチレン性不飽和基とを含有する光反応性樹脂:酸変性したクレゾールノボラック型エポキシアクリレート(CCR-1219H、日本化薬株式会社製、商品名) 50質量部
・光重合開始剤成分:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO、BASFジャパン株式会社製、商品名)及びエタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)(イルガキュアOXE-02、BASFジャパン株式会社製、商品名) 5質量部
・熱硬化剤成分:ビフェノール型エポキシ樹脂(YX-4000、三菱ケミカル株式会社製、商品名) 10質量部
・無機フィラー成分:平均粒径:50nm、ビニルシランでシランカップリング処理したもの。無機フィラー成分は、樹脂分100体積部に対し、10体積部になるように配合した。なお、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計「UPA-EX150」(日機装株式会社製)及びレーザー回折散乱式マイクロトラック粒度分布計「MT-3100」(日機装株式会社製)を用いて無機フィラーの粒度分布を測定し、最大粒径が1μm以下であることを確認した。
【0048】
上記感光性樹脂組成物の溶液をポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人株式会社製、商品名:G2-16、厚さ:16μm)の表面上に塗布した。塗膜を熱風対流式乾燥機を用いて100℃で約10分間乾燥した。これにより、厚さ10μmの感光性樹脂フィルムを得た。
【0049】
<微細配線を有する配線層の形成>
支持基板として、表面に銅層(厚さ20μm)が形成されたガラスクロス入り基板(サイズ:200mm角、厚さ1.5mm)を準備した。
【0050】
・工程(1a)
上記支持基板の銅層の表面に第1絶縁層を形成するため、上記感光性樹脂フィルムをラミネートした。詳細には、まず、支持基板の銅層の表面に感光性樹脂フィルムを載置した。次いで、プレス式真空ラミネータ(MVLP-500、株式会社名機製作所製)を用いてプレスした。プレス条件は、プレス熱板温度80℃、真空引き時間20秒、ラミネートプレス時間60秒、気圧4kPa以下、圧着圧力0.4MPaとした。
【0051】
・工程(1b)
プレス後の感光性樹脂フィルム(第1絶縁層)に露光処理及び現像処理を施すことによって、支持基板の銅層にまで至る開口部を設けた。露光は、パターンを形成したフォトツールを第1絶縁層の上に密着させた状態で実施した。i線ステッパー露光機(製品名:S6CK型露光機、レンズ:ASC3(Ck)、株式会社サーマプレシジョン製)を使用して、30mJ/cm2のエネルギー量で露光した。次いで、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で、45秒間スプレー現像を行い、開口部を設けた。次いで、現像後の第1絶縁層の表面にマスク露光機(EXM-1201型露光機、株式会社オーク製作所製、紫外線主波長:365nm)を使用して、2000mJ/cm2のエネルギー量でポストUV露光した。次いで、クリーンオーブンで170℃、1時間の熱硬化を行った。
【0052】
・工程(2)
紫外線照射装置(SSP-16、セン特殊光源株式会社製、紫外線主波長:254nm)を用いて第1絶縁層に紫外線を照射した。紫外線の照射量は、185mJ/cm2とした。これにより、第1絶縁層の表面を改質した。紫外線ランプから第1絶縁層の表面までの距離は40mm、紫外線照時間は30秒とした。紫外線照射後の絶縁層表面の算術平均粗さRaをレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製)を用いて測定した。表1に結果を示す。
【0053】
・工程(3)
無電解銅めっきにより、第1絶縁層の表面にシード層を形成した。すなわち、まず、アルカリクリーニングとして、アルカリクリーナー(株式会社JCU製、商品名:EC-B)の110mL/L水溶液に50℃で5分間浸漬し、その後純水に1分間浸漬した。次に、コンディショナとして、コンディショニング液(株式会社JCU製、商品名:PB-200)とEC-Bとの混合液(PB-200濃度:70mL/L、EC-B濃度:2mL/L)に50℃で5分間浸漬し、その後純水に1分間浸漬した。次に、ソフトエッチングとして、ソフトエッチング液(株式会社JCU製、商品名:PB-228)と98%硫酸との混合液(PB-228濃度:100g/L、硫酸濃度:50mL/L)に30℃で2分間浸漬し、その後純水に1分間浸漬した。次に、デスマットとして、10%硫酸に室温で1分間浸漬した。次に、キャタライザとして、キャタライズ用試薬1(株式会社JCU製、商品名:PC-BA)とキャタライズ用試薬2(株式会社JCU製、商品名:PB-333)とEC-Bとの混合液(PC-BA濃度:5g/L、PB-333濃度:40mL/L、EC-B濃度:9mL/L)に60℃で5分間浸漬し、その後純水に1分間浸漬した。次に、アクセラレータとして、アクセラレータ用試薬(株式会社JCU製、商品名:PC-66H)とPC-BAとの混合液(PC-66H濃度:10mL/L、PC-BA濃度:5g/L)に30℃で5分間浸漬し、その後純水に1分間浸漬した。
【0054】
次に、無電解銅めっきとして、無電解銅ニッケルリンめっき液(株式会社JCU製、商品名:AISL-570B、AISL-570C、AISL-570MU)とPC-BAとの混合液(AISL-570B濃度:70mL/L、AISL-570C濃度:24mL/L、AISL-570MU濃度:50mL/L、PC-BA濃度:13g/L)に60℃で7分間浸漬し、その後純水に1分間浸漬した。その後、85℃のホットプレートで5分間乾燥させた。次に、180℃のオーブンで1時間、熱アニーリングした。これにより、支持基板と、絶縁層と、シード層(厚さ:約90nm、ニッケル含有率:6質量%)とをこの順序で備える積層体を得た。
【0055】
(実施例2)
工程(2)における紫外線(主波長:254nm)の照射量を185mJ/cm2とする代わりに、46mJ/cm2としたことの他は、実施例1と同様にして積層体を得た。紫外線照射後の絶縁層表面の算術平均粗さRaの測定値を表1に示す。
【0056】
(実施例3)
工程(2)における紫外線(主波長:254nm)の照射量を185mJ/cm2とする代わりに、26mJ/cm2としたことの他は、実施例1と同様にして積層体を得た。紫外線照射後の絶縁層表面の算術平均粗さRaの測定値を表1に示す。
【0057】
(実施例4)
工程(2)における紫外線(主波長:254nm)の照射量を185mJ/cm2とする代わりに、4mJ/cm2としたことの他は、実施例1と同様にして積層体を得た。紫外線照射後の絶縁層表面の算術平均粗さRaの測定値を表1に示す。
【0058】
(比較例1)
工程(2)を実施しなかったこと、すなわち、絶縁層に対して紫外線を照射しなかったことの他は、実施例1と同様にして積層体を得た。紫外線が照射されていない絶縁層表面の算術平均粗さRaの測定値を表1に示す。
【0059】
表1に示された結果から、絶縁層の算術平均粗さRaの値は紫外線照射量に依存しないのに対し、90°ピール強度は紫外線照射量に大きく依存するということができる。
【0060】
<改質領域の厚さの測定>
実施例1~4及び比較例1に係る積層体の断面を拡大して観察し、改質領域の厚さを測定した。この測定には以下の二種類の装置を使用した。
・走査型透過電子顕微鏡(STEM):HD-2700(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)
・エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX):Octane T Ultra W 100mm2 SDD(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)
【0061】
図3(a)~
図3(f)は比較例1又は実施例1に係る積層体の断面を示す画像である。
図3(b)及び
図3(e)はEDXによって得られたパラジウム(無電解めっきの触媒)の元素マッピングである。
図3(c)及び
図3(f)はEDXによって得られた銅(無電解めっきの主成分)の元素マッピングである。なお、
図4(a)は比較例1に係る断面EDXライン分析結果を示す画像であり、
図4(b)は実施例1に係る断面EDXライン分析結果を示す画像である。
【0062】
これらの画像から、改質領域の厚さを目視で特定した。実施例1における改質領域の厚さ(
図3(e)及び
図3(f)に示す厚さT)は45nmであった。実施例2~4における改質領域の厚さは20nm以上であることを確認した。なお、比較例1においては紫外線照射による改質を実施していないため、改質領域は存在しない。
【0063】
<絶縁層とシード層の密着性の評価>
実施例1~4及び比較例1に係る積層体における絶縁層とシード層の密着性を90°ピール強度を測定することによって評価した。卓上ピール試験機EZ-SX(島津製作所製)を使用した。以下の条件で測定を行った。表1に結果を示す。
・試験片幅:10mm
・ピール速度:10mm/分
【0064】
【0065】
<マイクロストリップ配線の形成>
(実施例5)
高周波の伝送損失を評価するため、
図5に示す配線基板20と同様の構成の配線基板を作製した。配線基板20は、マイクロストリップ配線を有する配線基板である。すなわち、配線基板20は、表面に導電層Sa(銅層)を有する支持基板Sと、支持基板Sの表面上に設けられた絶縁層11と、絶縁層11の表面上に設けられたシード層12と、シード層12の表面上に設けられたグランド層13(導体部)と、グランド層13の表面上に設けられた導体部15及び絶縁層16と、絶縁層16の表面上に設けられたシード層17及びシグナル層18(導体部)とによって構成されている。シード層12は、グランド層13を形成する際に給電層として使用される。シード層17は、シグナル層18を形成する際に給電層として使用される。配線基板を作製するにあたり、絶縁層11は実施例1と同じ感光性樹脂フィルムを用いて形成した。シグナル層18は、厚さ4μm、幅20μm、長さ10mmとした。シード層12,17を実施例1と同様の方法でそれぞれ形成する工程を経て実施例5に係る配線基板を作製した。
【0066】
(比較例2)
シード層12,17を以下の方法でそれぞれ形成したことの他は実施例5と同様にして比較例2に係る配線基板を作製した。すなわち、工程(1c)において、紫外線照射を実施する代わりに、デスミア処理に使用する薬液を用いて絶縁層の表面を改質(粗面化)したことの他は実施例1と同様にしてシード層12,17を形成した。デスミア処理に使用する薬液による処理は以下のように実施した。まず、膨潤処理のため、スウェラ(Atotech社製、商品名:クリーナーセキュリガント902)40mL/Lに70℃で5分間浸漬した。その後純水に1分間浸漬した。次いで、粗化処理のため、デスミア液(Atotech社製、商品名:コンパクトCP)40mL/Lに70℃で10分間浸漬した。その後純水に1分間浸漬した。その後、純水に25℃で5分間浸漬し、80℃のホットプレートで5分間乾燥させた。比較例2に係る絶縁層表面の算術平均粗さRaは411nmであった。
【0067】
<伝送損失の測定>
実施例5及び比較例2に係るマイクロストリップ配線について、ベクトルネットワークアナライザ(ヒューレットパッカード社製)を用いて、高周波(周波数50GHz)の伝送損失を測定した。特性インピーダンスは50Ωとした。比較例2の伝送損失に対して実施例5では伝送損失が22%低減された。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示によれば、絶縁層と金属配線の密着性に優れ且つ高周波の伝送損失が小さい配線基板及びその製造方法が提供される。
【符号の説明】
【0069】
1…第1絶縁層、2…シード層(金属層)、3…配線部(導電部)、4…金属配線、5…第2絶縁層、10,20…配線基板、11,16…絶縁層、12,17…シード層、13…グランド層、15…導体部、18…シグナル層、S…支持基板、Sa…導電層