(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】試験装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240305BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
B41J2/01 207
B41J2/165 303
B41J2/01 127
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2022544804
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2021005589
(87)【国際公開番号】W WO2021166867
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-07-28
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】デイブ ムール
(72)【発明者】
【氏名】マーク スミス
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-340063(JP,A)
【文献】特開2005-104147(JP,A)
【文献】特開2010-208148(JP,A)
【文献】特開2019-144139(JP,A)
【文献】特開2013-226700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再利用可能な表面に対して付着したインクを除去するよう構成されたインク除去ユニット
と、
前記再利用可能な表面を照らすよう、前記インクが付着する側とは逆側から光を照射する光源
と、
前記光源と、前記再利用可能な表面との間に配置されるディフューザーと、を有し、
前記再利用可能な表面に
対して付着しているイン
クが、当該再利用可能な表面上で印刷マーキングを形成するよ
う構成され、前記
再利用可能な表面は、少なくとも部分的に光を透過
するよう構成される、
試験装置。
【請求項2】
前記ディフューザーは、アセタールを含むポリマーを有する、
請求項
1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記再利用可能な表面は、ドラムの表面である、
請求項1又は2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記ディフューザーは、前記ドラムと同軸に配置されるシリンダーである、
請求項
3に記載の試験装置。
【請求項5】
ドラム、インク除去ユニット、及び光源を有し、
前記ドラムは、前記ドラムの表面に付着しているインク滴が前記ドラムの表面上で印刷マーキングを形成するように構成され、前記ドラムは、少なくとも部分的に光を透過し、
前記インク除去ユニットは、前記ドラムの表面からインクを除去するよう構成され、
前記光源は、前記ドラムを照らすよう前記ドラムの内部に配置され、
前記インク除去ユニットは、前記ドラムの軸方向に沿って前記ドラムの表面と接するよう構成されるワイパーブレードを有し、
前記ワイパーブレードは、前記ワイパーブレードが前記ドラムの表面の軸方向端部と接する位置よりも前記ドラムの回転の方向において更に離れた位置で、前記ドラムの表面の軸方向中心と接するよう構成される、
試験装置。
【請求項6】
前記ドラムは、ガラスシリンダーを有する、
請求項
3乃至
5のうちいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項7】
選択された色の光を放つように前記光源を制御するよう構成される光制御モジュールを更に有する、
請求項
3乃至6のうちいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項8】
前記光制御モジュールは、前記印刷マーキングと前記ドラムから発せられる光との間のコントラストを最大にするように、前記光源によって発せられる光の前記選択された色を自動的に変化させるよう構成される、
請求項
7に記載の試験装置。
【請求項9】
前記ドラムの表面のアセスメント画像を捕捉するよう構成される第1撮像デバイスを更に有し、
前記アセスメント画像は、前記ドラムの表面上の前記印刷マーキングを含む前記ドラムのエリアを含む、
請求項
7又は8に記載の試験装置。
【請求項10】
動いておりかつ前記ドラムの表面に向かって移動しているインク滴の液滴評価画像を捕捉するよう構成される第2撮像デバイスを更に有する、
請求項
9に記載の試験装置。
【請求項11】
前記第2撮像デバイスに面して配置されるストロボライトユニットを更に有し、
前記ストロボライトユニットは、前記第2撮像デバイスが前記液滴評価画像を捕捉する時間インターバルと同期した時間インターバルで前記第2撮像デバイスの視野を照らすよう構成される、
請求項
10に記載の試験装置。
【請求項12】
前記光源によって発せられる光の前記選択された色と同じであるように、前記ストロボライトユニットによって発せられる光の色をセットするよう構成されるストロボライト設定ユニットを更に有する、
請求項
11に記載の試験装置。
【請求項13】
印刷評価ユニット及び撮像デバイス移動ユニットを更に有し、
前記印刷評価ユニットは、
前記第1撮像デバイスによって捕捉された前記アセスメント画像に基づき、前記印刷マーキングにおけるアーチファクトを判別し、
前記アセスメント画像における前記アーチファクトの軸方向位置を決定する
よう構成され、
前記撮像デバイス移動ユニットは、前記アセスメント画像における前記アーチファクトの前記軸方向位置に基づき、前記ドラムの軸方向に前記第2撮像デバイスを移動させるよう構成される、
請求項
10乃至12のうちいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項14】
インク吐出デバイスを支持し、前記ドラムの半径方向に移動可能であるインクヘッド支持ユニットを更に有する、
請求項
3乃至
13のうちいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項15】
前記試験装置は、インク滴観察装置である、
請求項1乃至
14のうちいずれか一項に記載の試験装置。
【請求項16】
請求項1乃至
4のうちいずれか一項に記載の試験装置を有し、
前記インク除去ユニットが、前記
再利用可能な表面から記録媒体へインクを送るよう構成される、
印刷デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、インク、インクヘッド、及びインクノズルの評価での使用に適した試験方法及び装置に関係がある。
【背景技術】
【0002】
当該技術で知られている典型的な試験装置は、一般的に、パターンが印刷される用紙を供給される。次いで、予期しない印刷パフォーマンス又は印刷エラーを示す何らかのアーチファクトがあるかどうかを判別するために、印刷されたパターンが調べられる。このようにして、インク、インクノズル、インクヘッド、又はそれらの組み合わせの品質は評価される。従って、典型的な装置は、1回の使用後に処分されるかなりの量の用紙を使用する。
【0003】
例えば、特開昭63-209947号(特許文献1)で開示されているもののような、代替の配置は、使い捨ての記録媒体の代わりに、再利用可能な円筒形の印刷面を設ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、異なるタイプ及び色のインクの品質を効果的かつ効率的に評価するための手段を提供することを目標としている。更に、発明は、ノズル評価の有効性を改善することを目標としている。発明はまた、試験プロセスにおける使い捨ての記録媒体の使用に付随した費用及び無駄を減らすことも目標としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、試験装置は、ドラム、インク除去ユニット、及び光源を有し、ドラムは、ドラムの表面に付着しているインク滴がドラムの表面上で印刷マーキングを形成するように構成され、ドラムは、少なくとも部分的に光を透過し、インク除去ユニットは、ドラムの表面からインクを除去するよう構成され、光源は、ドラムを制御可能に照らすようドラムの内部に配置される。
【0006】
任意に、試験装置は、ドラムの表面のアセスメント画像を捕捉するよう構成される第1撮像デバイスを有し、アセスメント画像は、ドラムの表面上の印刷マーキングを含むドラムのエリアを含む。
【0007】
任意に、試験装置は、選択された色の光を放つように光源を制御するよう構成される光制御モジュールを有する。
【0008】
任意に、ドラムは、ガラスシリンダーを有する。
【0009】
任意に、試験装置は、光源とドラムとの間に配置されるディフューザーを有する。
【0010】
任意に、ディフューザーは、ドラムと同軸に配置されるシリンダーである。
【0011】
任意に、ディフューザーは、アセタールを含むポリマーを有する。
【0012】
任意に、試験装置は、動いておりかつドラムの表面に向かって移動しているインク滴の液滴評価画像を捕捉するよう構成される第2撮像デバイスを有する。
【0013】
任意に、試験装置は、第2撮像デバイスに面して配置されるストロボライトユニットを有し、ストロボライトユニットは、第2撮像デバイスが液滴評価画像を捕捉する時間インターバルと同期した時間インターバルで第2撮像デバイスの視野を照らすよう構成される。
【0014】
任意に、試験装置は、印刷評価ユニット及び撮像デバイス移動ユニットを有し、印刷評価ユニットは、第1撮像デバイスによって捕捉されたアセスメント画像に基づき、印刷マーキングにおけるアーチファクトを判別し、アセスメント画像におけるアーチファクトの軸方向位置を決定するよう構成され、撮像デバイス移動ユニットは、アセスメント画像におけるアーチファクトの軸方向位置に基づき、ドラムの軸方向に第2撮像デバイスを移動させるよう構成される。
【0015】
任意に、光制御モジュールは、印刷マーキングとドラムから発せられる光との間のコントラストを最大にするように、光源によって発せられる光の選択された色を自動的に変化させるよう構成される。
【0016】
任意に、試験装置は、光源によって発せられる光の選択された色と同じであるように、ストロボライトユニットによって発せられる光の色をセットするよう構成されるストロボライト設定ユニットを有する。
【0017】
任意に、試験装置は、インク吐出デバイスを支持し、ドラムの半径方向に移動可能であるインクヘッド支持ユニットを有する。
【0018】
試験装置は、インク滴観察装置であってよい。
【0019】
任意に、インク除去ユニットは、ドラムの軸方向に沿ってドラムの表面と接するよう構成されるワイパーブレードを有し、ワイパーブレードは、ワイパーブレードがドラムの表面の軸方向端部と接する位置よりもドラムの回転の方向において更に離れた位置で、ドラムの表面の軸方向中心と接するよう構成される。
【0020】
本発明によれば、印刷デバイスは、インク除去ユニットがドラムの表面から記録媒体へインクを送るよう構成される試験装置を有する。
【0021】
本発明によれば、試験方法は、少なくとも部分的に光を透過するドラムの表面に印刷マーキングを形成するよう、ドラムにインク滴を付着させることと、ドラムを照らすよう、ドラムの内部に配置されている光源を制御することと、ドラムの表面からインクを除去することとを有する。
【0022】
試験方法は、インク滴試験方法であってよい。
【0023】
これより、例となる実施形態及び添付の図面を参照して、本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係る試験装置の概略図である。
【
図2】
図1のドラム、インク除去ユニット、インク吐出デバイス、及び第2撮像デバイスの正面の概略図である。
【
図3】
図2のドラムの断面A-Aを通る断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る透明ドラム内の光源の概略図である。
【
図7A】本発明の実施形態に係るインク除去ユニットの概略図である。
【
図7B】本発明の実施形態に係るインク除去ユニットの概略図である。
【
図8A】ドラムと接している
図7のインク除去ユニットの概略図である。
【
図8B】ドラムと接している
図7のインク除去ユニットの概略図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るインク除去ユニットの例示的な構成である。
【
図10】本発明の実施形態に係る試験方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
上述されたように、典型的な試験装置には、使い捨ての記録媒体を交換するのは無駄でありかつ費用がかかるという問題がある。一部の試験装置は、使い捨ての記録媒体を使用していないが、全てのタイプ及び色のインクが再利用可能な印刷面の表面で明りょうに見えるわけではないという問題が残っている。例えば、インクのいくつかの色は、コントラストの欠如により特定の背景でははっきりと見えない。
【0026】
図1に示される試験装置は、ドラム100を有し、ドラム100は、ドラム100の表面に付着している、例えば、インク吐出デバイス700からの、インク滴200が、ドラム100の表面で印刷マーキングを形成するように、構成される。
【0027】
試験装置はまた、ドラム100の内部に配置されている光源を有する。ドラム100は、少なくとも部分的に光を透過する。従って、ドラム100は、光源からの光によって照らされ得る。このようにして、印刷マーキングは、よりはっきりと見えるようになり、印刷マーキングにおけるアーチファクトによって証明される如何なるエラーも、検出される可能性が高くなる。従って、期待される印刷パフォーマンスからの如何なるずれも、例えば、ユーザの目による外観検査によって、又は印刷マーキングのカメラ捕捉画像によって、容易に検出可能であり、関連する問題は対処される。
【0028】
図1に示されるように、第1撮像デバイス400(例えば、カメラ)は、ドラムの表面上の印刷マーキングのアセスメント画像を捕捉するために設けられてよい。アセスメント画像は、
図1に示されるコンピュータなどの解析装置1000へ送信され得る。解析装置1000は、例えば、アセスメント画像で捕捉された印刷マーキングにおける如何なるアーチファクトも特定するために、アセスメント画像を解析するよう構成される印刷評価ユニットを有する。この情報は、インク吐出デバイスが期待されたように動作していない場合を判別するために使用可能である。情報はまた、任意の印刷エラーの原因を特定するのを助けるためにも使用可能である。
【0029】
試験装置はまた、ドラム100の表面からインクを除去するよう構成されるインク除去ユニット300を有する。これにより、印刷マーキングからのインクがドラム100の表面に残らないことが確かになる。そのようなものとして、ドラム表面は、前のインク付着が評価に影響を与えることなしに、更なるインク滴200が印刷マーキングを形成するよう付着するように、きれいである。
【0030】
図1に示されるように、第2撮像デバイス500(例えば、カメラ)は、ドラムに向かって動いているインク滴の液滴評価画像を捕捉するために設けられてよい。液滴評価画像は、
図1に示されるコンピュータなどの解析装置1000へ送信され得る。解析装置1000は、例えば、液滴評価画像で捕捉されたインク滴のボリューム、重力位置の中心、及び/又は軌跡を見積もるために、液滴評価画像を解析するよう構成される液滴評価ユニットを有する。この情報は、インク吐出デバイスが正確に動作しているかどうかを判別するために、かつ、印刷マーキングにおける任意のアーチファクトの原因を明らかにするために、有用であることができる。
【0031】
[ドラム]
試験装置のドラム100は、例えば、インク吐出デバイス700からの、インクが、ドラム100の表面で印刷マーキングを形成するようドラム100に付着するように、設けられる。好ましくは、印刷マーキングは、ドラム100の外表面に形成される。この構成によれば、インク滴200は、ドラム100の表面に直接付着し得る。従って、評価装置は、インク滴の付着のために従来の使い捨ての記録媒体を必要としない。よって、使用するたびに交換用の記録媒体を購入及び設置する費用は、回避される。更に、装置は、使用済みの記録媒体をドラムから取り去るための記録媒体移動ユニットを必要としないので、装置のサイズ及び複雑さは低減され得る。
【0032】
ドラム100は、少なくとも部分的に光を透過する。例えば、ドラム100は、少なくとも部分的に半透明又は透明であってよい。
【0033】
ドラム100の外表面は、好ましくは滑らかである。外表面の平均表面粗さ(Ra)は、好ましくは50nm以下である。ドラム100の外表面は、より好ましくはガラス面である。ドラム100の滑らかな外表面は、検出された如何なるアーチファクトも、純粋に印刷エラーの結果であって、印刷マーキングが形成されるドラム100の外表面の不良の結果ではない、ことを確かにする。
【0034】
ドラム100は、好ましくは、回転するよう構成される。ドラム100は、試験装置が使用中である場合に回転するよう構成されてよい。ドラム100は、ドラム100の表面上の印刷マーキングが、インク除去ユニット300を通る前に、最初に、第1撮像デバイス400の視野内の位置を通るように、回転するよう構成され得る。ドラム100は、ドラムの表面上の印刷マーキングがインク除去ユニット300によって除去されるように、回転するよう構成され得る。従って、ドラム100の表面は、更なるインク滴200の付着が再び印刷マーキングを形成するように、きれいである。
【0035】
ドラム100は、好ましくは、円筒部品を有する。円筒部品の断面は、完全な円から0.1mm以下しかずれていないことが望ましい。インク滴200は、ドラム100の円筒部品の外表面に付着し得る。ドラム100の円筒部品は、光を透過するドラムの部分である。例えば、円筒部品は、半透明又は透明であってよい。ドラム100の円筒部品はガラスであってよい。
【0036】
ドラム100の末端には、ドラムの末端をカバーするよう末端壁が設けられてもよい。末端壁とドラム100の円筒部品との間にはシールが存在してもよい。従って、ドラム100の軸端の周りに付着した如何なるインクもドラムに入ることを防ぐことができる。ドラム100の末端壁は、取り外し可能であるよう構成されてよい。ドラム100の末端壁は、例えば、ヒンジによって、開閉可能であってよい。従って、ドラム100内に配置されている光源へアクセスすることができる。
【0037】
インク滴200は、インク吐出デバイス700から堆積され得る。インク吐出デバイス700は、使用中にドラム100の上に配置されてよい。
【0038】
[印刷マーキング]
印刷マーキングは、例えば、ベタのブロック、又はパターン、又はランダムなマーキングの連続であってよい。ドラム100の表面上の印刷マーキングは、印刷マーキングにアーチファクトが存在するかどうかを判別するよう評価され得る。アーチファクトは、印刷マーキングにおけるエラー又は予期しない印刷結果の証拠であり得る。アーチファクトは、ユーザが使用中に装置を観察することによって直接に印刷マーキングを調べることで、識別され得る。好ましくは、試験装置は、印刷マーキングの1つ以上のアセスメント画像を捕捉するよう構成される第1撮像デバイス400を有する。
【0039】
インク滴は、インク吐出デバイス700によって堆積され得る。インク吐出デバイス700は、インクヘッドを有してよい。インク吐出デバイスは、例えば、ピエゾ電気プリントヘッドであってよく、あるいは、熱噴射プリントヘッドであってよい。インク吐出デバイス700は、印刷コマンドに従ってインクを排出するよう構成されてよい。印刷コマンドは、ターゲットマーキングに従って適用される。ターゲットマーキングは、アーチファクトを伴わない期待された印刷マーキングである。
【0040】
[光源]
光源800は、ドラム100を制御可能に照らすようドラム100の内部に配置される。光源800は、光源から発せられる光の明るさ及び/又は色を変えるよう制御可能であってよい。このようにして、ドラム100の表面上の印刷マーキングの視認性は、改善され得る。
【0041】
光源800は、第1撮像デバイス400の方向に光を発するよう構成されてよい。従って、光源800は、第1撮像デバイス400の視野内のドラム100の表面のエリアを照らすよう光を発し得る。光源800は、ドラムのいくつかの異なる軸方向に光を発するよう構成されてもよい。従って、光源800は、ドラム100の外周を照らすよう光を発し得る。
【0042】
光源800は、
図4に示されるように、ドラム100の軸方向の長さに沿った複数の位置から光を発するよう構成されてよい。
【0043】
図3に示されるように、光源800は、ドラム100内に配置される。光源800は、ディフューザー900内に配置されてもよい。光源800は、好ましくは、ディフューザー900がドラム100の中心軸に対するよりも、ドラム100の中心軸に更に近く配置される。ディフューザー900は、ドラム100の軸方向において、ドラム100の軸方向における光源800の長さに等しいか又はそれよりも長い長さを有するよう構成されてよい。ディフューザー900は、ドラム100の半径方向に光源800を囲んでよい。
【0044】
光源800は、発光ダイオード(LED)を有してよい。光源800は、LEDモジュール810を有してもよい。LEDモジュールは、単色LEDモジュール又は多色LEDモジュール、例えば、赤・緑・青(RGB)のLEDモジュールであってよい。好ましくは、LEDモジュールは、赤・緑・青・白(RGBW)LEDモジュールである。LEDモジュールは、高出力LEDモジュールであってよい。LEDモジュールは、好ましくは、100lm超、より好ましくは200lm超の光束で発光するよう構成される。光源800は、複数のLEDモジュール810を有してもよい。光源は、好ましくは、1000lm超、より好ましくは1200lm超、更により好ましくは1400lm超の光束で発光するよう構成される。LEDモジュール810は、
図4に示されるように、ドラム100の軸方向に沿って間隔を置いて配置されてよい。
【0045】
光源800は、好ましくは、ドラム100が回転するときに回転しないよう構成される。
【0046】
[光制御モジュール]
光源800を制御するよう構成される光制御モジュールが設けられてもよい。光制御モジュールは、好ましくは、光源から発せられる光の特性を変えるように光源800を制御するよう構成される。例えば、光制御モジュールは、光源から発せられる光の明るさを変えるように光源800を制御するよう構成されてよい。
【0047】
光制御モジュールは、選択された色の光を発するように光源800を制御するよう構成されてよい。光の選択された色は、ユーザによって手動でセットされてよい。光の選択された色は、自動的にセットされてもよい。好ましくは、光の選択された色は、印刷マーキングとドラムから発せられる光との間のコントラストを最大にするように、自動的にセットされてよい。光の選択された色は、アセスメント画像に基づき自動的にセットされてよい。このようにして、インクは、ドラムの表面の背景に対して、アセスメント画像においてはっきりと見える。従って、選択された光の色は、印刷マーキングを生成するために使用されたインクの色とは対照的な色であるよう自動的に選択される。
【0048】
[ディフューザー]
試験装置は、
図3に示されるように、ディフューザー900を有してもよい。ディフューザー900は、ドラム100を照らすように光源800から発せられた光を拡散するよう構成される。ドラムがディフューザーを有してもよい。望ましくは、ドラムの円筒部品がディフューザーを有し得る。ディフューザー900の存在は、ドラム100のより一様な照射を促す。
【0049】
ディフューザー900は、好ましくは、光源800とドラム100との間に配置される。ディフューザー900のこの位置は、光源からの光による撮像デバイスでのグレアを軽減する。ディフューザーは、より好ましくは、試験装置が使用中であるときに、光源800とドラム100の表面上の印刷マーキングとの間に配置される。ディフューザーは、ドラムの内面と接して配置されてもよい。
【0050】
ディフューザー900は、円筒形ディフューザーであってよい。ディフューザー900は、ドラム100と同軸に配置されてよい。特に、ディフューザー900は、ドラム100の内部に配置されてよい。
【0051】
ディフューザーは、ドラムの部分として一体的に形成されてもよい。特に、ディフューザーは、ドラムの円筒部品の部分として一体的に形成されてもよい。例えば、拡散面は、ドラムの円筒部品の内面に形成されてもよい。他の例として、ドラムの円筒部品は、光を拡散するよう構成される物質を有してもよい。
【0052】
ディフューザー900は、アセタールを含むポリマーを有してよい。好ましくは、ディフューザー900は、アセタールを有してよく、より好ましくは、ディフューザーは、ポリオキシメチレンを有してよい。アセタールを有するディフューザーは、特に、円筒形ディフューザーについて、比較的に製造が容易であることから、有益である。代替的に、ディフューザーは、アクリル又はポリカーボネートを有してもよく、これらも、有効な拡散をもたらすよう構成可能である。
【0053】
[第1撮像デバイス]
ドラムの表面上の印刷マーキングは、手動の外観検査によって評価されてよい。好ましくは、第1撮像デバイス400が試験装置に設けられる。第1撮像デバイス400は、ドラムの表面のアセスメント画像を捕捉するよう構成される。第1撮像デバイス400は、アセスメント画像450が、ドラムの表面上の印刷マーキング210を含むドラム100のエリアを含むように、配置される。例となるアセスメント画像450は、
図5に示される。
【0054】
使用中に、インクがドラム100の表面に付着する。試験装置は、インク滴200がドラム100の中心軸の周りの第1放射位置に付着するように、構成される。第1撮像デバイス400は、ドラム100の表面のアセスメント画像450を捕捉するために、理想的には、ドラム100の中心軸の周りの第2放射位置に配置される。インク除去ユニット300は、ドラム100の中心軸の周りの第3放射位置に配置される。第2放射位置は、ドラム100の回転方向において第1放射位置と第3放射位置との間にある。
【0055】
このようにして、プロセスは、インクが印刷マーキング210を形成するようドラム100の表面に付着すると開始する。ドラム100は、印刷マーキング210が第1撮像デバイス400の視野内のエリアにあるように、回転する。このようにして、ドラム100の表面上の印刷マーキング210のアセスメント画像450は、第1撮像デバイス400によって捕捉される。ドラム100は回転し続け、印刷マーキング210が形成されているドラム100のエリアは、印刷マーキング210を形成しているインクを除去するインク除去ユニット300を通過する。従って、ドラム100の表面のエリアは、きれいにされる。ドラム100は回転し続け、ドラム100のきれいなエリアは、インク吐出デバイス700がドラム100の表面にインクを堆積させる第1放射位置に対応する放射位置を再び通る。
【0056】
第1撮像デバイス400は、セットされた時間インターバルでアセスメント画像450を捕捉するよう制御されてよい。セットされた時間インターバルは、ドラム100の回転の速度に基づいてよい。
【0057】
このようにして、アセスメント画像450は、印刷マーキング210がターゲットマーキングに一致するかどうか、又は印刷マーキングに1つ以上のアーチファクトがあるかどうかを判別するよう解析され得る。アセスメント画像450の解析は、試験装置の動作中にライブで実行されてよい。代替的に、アセスメント画像450は、ターゲットマーキングの全体の計画された印刷が完了した後の解析のために、保存されてもよい。
【0058】
[印刷評価ユニット]
印刷マーキングは、いくつかの理由により、許容可能な閾を超える量だけ、意図されたターゲットマーキングから外れる可能性がある。印刷マーキングにおける任意のアーチファクトは、プリントヘッドの故障、ノズルの詰まり、インクの不適切な粘度を示している場合がある。従って、印刷マーキングにおけるアーチファクトを検出し、また、どのノズルが予期しない印刷結果に対応しているかを判別することが可能であることが、有用である。
【0059】
従って、試験装置は、印刷評価ユニットを有してもよい。印刷評価ユニットは、印刷マーキング210に1つ以上のアーチファクトがあるかどうかを判別するよう構成される。アーチファクトは、期待されているように機能しないインク、ノズル、又はプリントヘッドによって引き起こされた印刷エラーを示し得る予期しない印刷結果である。よって、印刷評価ユニットは、インク吐出デバイス700が生成するように制御されるターゲットマーキングに対して、印刷マーキング210が、許容されている閾限界内で対応していない場合に、アーチファクトが存在する、と決定するよう構成される。
【0060】
印刷評価ユニットは、第1撮像デバイス400によって捕捉された1つ以上のアセスメント画像450に基づき、アーチファクトの存在を特定する。印刷評価ユニットは、好ましくは、アセスメント画像450における如何なるアーチファクトの軸方向の位置も決定するよう構成される。アセスメント画像450内の軸方向の位置は、ドラム100の表面上のインク滴堆積の軸方向の位置に対応する。従って、アセスメント画像内のアーチファクトの軸方向の位置は、検出されたアーチファクトを生じさせている予期しない印刷挙動を有するインク滴200及び対応するノズルの軸方向の位置を決定するために使用され得る。例えば、
図5に示されるアセスメント画像450によって捕捉された印刷マーキング210におけるアーチファクト215の軸方向の位置は、印刷評価ユニットによって決定され得る。
【0061】
印刷評価ユニットは、ライン検出アルゴリズムに基づき、アセスメント画像内で捕捉されたアーチファクトを特定してよい。印刷評価ユニットは、アセスメント画像450内のピクセル値に基づき、アセスメント画像内で捕捉されたアーチファクトを特定してもよい。印刷評価ユニットは、
図5に示されるように、アセスメント画像450の垂直方向におけるピクセル値の和に基づき、アセスメント画像450内で捕捉されたアーチファクトを特定し得る。印刷評価ユニットは、現在のアセスメント画像内のピクセル値を、前のアセスメント画像からのピクセル値の移動平均と比較することに基づき、アセスメント画像にアーチファクトがあるかどうかを判別するよう構成されてもよい。
【0062】
光源800及び少なくとも部分的に光を透過するドラム100の使用は、インクの優れた視認性及び印刷マーキング210のインクとドラム100の表面との間のコントラストが提供され得ることを意味する。よって、印刷評価ユニットは、アセスメント画像450においてより正確にアーチファクトを特定することができる。このようにして、印刷マーキング210に、例えば、ノズルの故障に対応し得るアーチファクトがある場合を判別することができる。アーチファクトの存在及び軸方向の位置は、アーチファクトを引き起こしているインクノズル及びインク液滴の対応する軸方向の位置を決定するために使用され得る。よって、予期しない印刷挙動の原因は容易に特定され、対処され得る。
【0063】
[第2撮像デバイス]
第1撮像デバイス400は、インク滴200の液滴評価画像を捕捉するよう構成されてよい。第1撮像デバイス400は、動いておりかつドラム100の表面に向かって移動しているインク滴200の液滴評価画像を捕捉するよう構成されてよい。従って、第1撮像デバイス400は、第1撮像デバイス400によって捕捉された画像に含まれるエリアを変えるように移動可能であるよう構成されてよい。
【0064】
好ましくは、
図1及び
図2に示されるように、試験装置は、インク滴200の液滴評価画像を捕捉するよう構成される第2撮像デバイス500を有してもよい。第2撮像デバイス500は、動いておりかつドラム100の表面に向かって移動しているインク滴200の液滴評価画像を捕捉するよう構成される。インク滴200は、インク吐出デバイス700から堆積されていてよい。
【0065】
第2撮像デバイス500は、第1撮像デバイス400よりも視野が小さくてもよい。第2撮像デバイス500は、顕微鏡画像を捕捉するよう構成されてよい。
【0066】
ストロボライトユニット600は、第2撮像デバイス500の視野を照らすよう構成されてよい。ストロボライトユニット600は、好ましくは、インク滴200がストロボライトユニット600と第2撮像デバイス500との間を通るように、第2撮像デバイス500に面して配置されてよい。ストロボライトユニット600は、第2撮像デバイス500が液滴評価画像を捕捉する時間インターバルと同期した時間インターバルで光を発するよう構成されてよい。このようにして、ストロボライトユニット600は、動いているインク滴200の液滴評価画像が第2撮像デバイス500によって捕捉されるための十分な照射を提供する。
【0067】
試験装置は、ストロボライトユニット600を制御するよう構成されるストロボライト設定ユニットを更に有してもよい。ストロボライト設定ユニットは、ストロボライトユニット600から発せられる光の特性を変えるようにストロボライトユニット600を制御するよう構成されてよい。ストロボライト設定ユニットは、ストロボライトユニット600によって発せられる光の明るさを制御するよう構成されてよい。ストロボライト設定ユニットは、ストロボライトユニット600によって発せられる光の色を制御するよう構成されてよい。ストロボライト設定ユニットは、光源800によって発せられる光の選択された色と同じであるように、ストロボライトユニット600によって発せられる光の色をセットするよう構成されてもよい。
【0068】
ストロボライト設定ユニットは、ストロボライトユニット600のストロボ周波数を制御するよう構成されてよい。ストロボライト設定ユニットは、インク滴堆積の速度に基づきストロボライトユニット600のストロボ周波数を制御するよう構成されてよい。このようにして、ストロボライトユニット600は、順次的な液滴評価画像で捕捉されたインク液滴が、静止した液滴の外観を与えながら、あるいは、液滴評価画像が順々に見えられる場合に落下が速くなったり遅くなったりしながら、同じ場所にあるように見えるように、ストロボライトユニット600のストロボ周波数を調整するよう構成されてよい。
【0069】
[液滴評価ユニット]
試験装置は、液滴評価ユニットを有してもよい。液滴評価ユニットは、液滴評価画像550を解析するよう構成される。
図6は、例となる液滴評価画像550を示す。液滴評価ユニットは、液滴評価画像550に基づきインク滴200のボリュームを決定してよい。
【0070】
液滴評価ユニットは、ボリューム推定アルゴリズムに基づき、液滴評価画像で捕捉されたインク滴200の液滴ボリュームを決定してよい。ボリューム推定アルゴリズムは、液滴が回転対称性を有するという仮定に基づいて、液滴のボリュームの推定を提供し得る。従って、液滴評価ユニットは、インク液滴評価画像で捕捉されたインク滴の2次元(2D)面積に基づき、インク滴のボリュームを推定し得る。例えば、
図6に示されるように、液滴評価ユニットは、1つ以上のインク液滴評価画像550内のインク液滴200の夫々のZ方向長さに沿った複数の位置で液滴のX方向幅を決定することによって、インク液滴200の2D面積を決定し得る。代替的に、液滴評価ユニットは、1つ以上のインク液滴評価画像550内の滴200のX方向幅に沿った複数の位置でインク滴200のZ方向長さを決定することによって、インク滴200の2D面積を決定し得る。インク滴の質量の中心は、滴の2D X-Z位置データに基づき推定され得る。よって、液滴評価ユニットは、ドラム100の軸方向のZ方向において滴200の質量の中心の位置の変化があるかどうかを判別するよう構成されてよい。
【0071】
代替的に、第2撮像デバイスは、3次元(3D)画像を捕捉するよう構成されてもよい。液滴評価ユニットは、3D液滴評価画像に基づきインク滴を評価するよう構成されてよい。
【0072】
[撮像デバイス移動ユニット]
試験装置は、撮像デバイス移動ユニットを有してもよい。撮像デバイス移動ユニットは、第2撮像デバイスを移動させるよう構成される。特に、撮像デバイス移動ユニット(図示せず。)は、
図2に示されるように、ドラム100の軸方向に第2撮像デバイス500を移動させるよう構成されてよい。
【0073】
撮像デバイス移動ユニットは、ユーザによって選択された目標位置に第2撮像デバイス500を移動させるよう構成されてよい。このようにして、第2撮像デバイスの位置は、第2撮像デバイス500がユーザにとって関心のあるエリアを含む液滴評価画像550を捕捉するように、変更され得る。
【0074】
第2撮像デバイス500は、所定のパターンに従って一連の目標位置へ自動的に動かされてもよい。このようにして、第2撮像デバイス500の位置は、第2撮像デバイス500が、所定のパターンに従って異なるノズルから排出されたインク滴200の液滴評価画像550を捕捉するように、変更され得る。所定のパターンは、ノズルヘッド内の各ノズルから排出された液滴を個別的に評価するために、セットされてよい。
【0075】
第2撮像デバイス500の目標位置は、アセスメント画像450内の任意のアーチファクトの軸方向の位置に基づいてよい。好ましくは、撮像デバイス移動ユニットは、アセスメント画像450内のアーチファクトの軸方向の位置に基づいた、目標とする軸方向の位置へ、軸方向に第2撮像デバイス500を移動させるよう構成される。アセスメント画像450内のアーチファクトの軸方向の位置は、印刷評価ユニットによって決定され得る。目標とする軸方向の位置は、ドラム100の表面上の印刷マーキング210におけるアーチファクトの軸方向の位置と同じX-Y平面上にあることができる。このようにして、第2撮像デバイス500の位置は、第2撮像デバイス500が、アセスメント画像450内のアーチファクトと軸方向に整列したノズルに対応する液滴の液滴評価画像550を捕捉するように、変更され得る。従って、第2撮像デバイス500は、アーチファクトの軸方向の位置に対応する、関心のあるエリア内の液滴の液滴評価画像を、自動的に捕捉する。よって、第2撮像デバイス500は、アセスメント画像450の解析によって決定された関心のあるエリアへ、自動的に移動する。その結果、アセスメント画像内のアーチファクトの原因は、液滴評価画像550の解析を通じて明らかにされ得る。
【0076】
[インクヘッド支持ユニット]
インクヘッド支持ユニットは、インクヘッドのようなインク吐出デバイス700を支持するよう構成される。インクヘッド支持ユニットは、好ましくは、インク吐出デバイス700が取り外されて交換可能であるように、構成される。インクヘッド支持ユニットは、形状及びサイズが異なっている異なるインク吐出デバイスを支持するように適応可能であるよう構成されてよい。
【0077】
インクヘッド支持ユニットは、ドラム100の上に配置されるよう構成されてよい。インクヘッド支持ユニットは、移動可能であるよう構成されてよい。インクヘッド支持ユニットは、ドラム100にアクセスするために、及び/又はインク吐出デバイス700を取り外して交換するために、移動可能であるよう構成されてよい。
【0078】
インクヘッド支持ユニットは、ドラム100の半径方向に移動可能であるよう構成されてよい。インクヘッド支持ユニットは、ドラム100の表面に近づいたり又はそれから離れたりするように移動可能であるよう構成されてよい。従って、インクヘッド支持ユニットは、印刷面のより近くに又は印刷面からより遠くに配置されるよう意図され得る異なるインク吐出デバイスに適応可能である。更に、インク滴がノズルから発射される角度の偏差によるインク滴位置のずれのような、特定のアーチファクトは、インク吐出デバイスと印刷面との間の距離が大きくなる場合に、より容易に認識される。従って、移動可能なインクヘッド支持ユニットは、有効な評価を行うための能力を改善することができる。
【0079】
[インク除去ユニット]
インク除去ユニットは、ドラムの表面からインクを除去するよう構成される。インク除去ユニットは、次の好ましい例において記載されるように、ワイパーブレード又はローラーを有してよいが、他のタイプのインク除去ユニットが、代替的に設けられてもよい。インク除去ユニット300は、ワイパーブレード310、311を有してよい。ワイパーブレード310、311は、好ましくは、ドラム100の軸方向に沿ってドラム100の表面と接するよう構成される。ワイパーブレード310、311は、より好ましくは、ドラム100の円筒部品の軸方向に沿ってドラム100の円筒部品の表面と接するよう構成される。
【0080】
ワイパーブレード310は、
図7A及び
図8Aに示されるように、ドラムの中心軸と平行であり得る直線においてドラム100の表面と接し得る。例えば、ワイパーブレード310のエッジ30が、ドラムの中心軸と平行であり得る直線においてドラムの表面と接し得る。
【0081】
ワイパーブレード311は、好ましくは、ワイパーブレード311がドラム100の表面の軸方向端部と接する位置よりもドラム100の回転の方向において更に遠くの位置で、ドラム100の表面の軸方向中心と接するよう構成される。例えば、ワイパーブレード311は、
図7B及び
図8Bに示されるように、ドラム100の軸方向端部でよりも、ドラム100の軸方向中心で幅広になる。例えば、ワイパーブレード311の軸方向の中心位置32は、
図8Bに示されるように、ワイパーブレード311の軸方向端部31がドラム100の表面と接するドラム100の表面上の位置よりも、ドラムの回転の方向においてドラム100の外周の周りの更に遠くの位置で、ドラム100の表面と接し得る。
【0082】
ワイパーブレード310、311は、ドラムの表面と接する弾性部を有してもよい。弾性部はゴムを有してよい。
【0083】
インク除去ユニットは、ワイパーブレード310、311と、ワイパーブレード310、311を保持するよう構成されるワイパーブレードホルダ320、321とを有してよい。ワイパーブレードホルダ320は、
図7に示されるように、ドラム100の中心軸と平行であり得る直線においてワイパーブレード310を把持し得る。ワイパーブレードホルダ321は、
図9に示されるように、ドラムの軸方向において、ワイパーブレード310、311の真ん中でよりも、ワイパーブレード310、311のエッジで、ワイパーブレード310、311上のより高い位置においてワイパーブレード310、311を把持し得る。ワイパーブレードホルダ321のこの傾斜グリップ構造によれば、ドラム100の表面から除去されてワイパーブレード310、311へ送られたインクは、ワイパーブレードホルダ321の中心に向かって導かれ得る。このようにして、インクは、ワイパーブレード310、311の軸方向の端部へ向かわない。インクがワイパーブレード310、311の軸方向の端部へ向かうことは、エッジにあるインクがドラム100の軸方向の端部で堆積することになる可能性があるので、望ましくない。ドラムの100の軸方向の端部にあるインクは、ドラム100の末端の周りのシールが損なわれる場合に、ドラムに入る可能性がある。
【0084】
代替的に、インク除去ユニット300は、ローラーを有してよい。インク除去ユニット300は、ドラム100の表面から他の面、例えば、記録媒体へインクを送る移動ローラーを有してよい。
【0085】
[インクリサイクルユニット]
試験装置は、インクリサイクルユニットを有してよい。インクリサイクルユニットは、インク除去ユニットによってドラムの表面から除去されたインクを収集するよう構成される。インクリサイクルユニットは、収集されたインクをインク吐出デバイスへ戻すよう構成されてよい。インクリサイクルユニットは、収集されたインクを供給タンクに戻すフィードポンプを有してよい。供給タンクは、インク吐出デバイスへインクを供給するタンクであってよい。インクリサイクルユニットは、収集されたインクをろ過するよう構成されるフィルタユニットを有してよい。よって、リサイクルされたインクは、インク吐出デバイスによる再利用の前にろ過され得る。インクリサイクルユニットは、試験装置が完全な消耗品を必要としないという利点を提供する。従って、試験装置は、延長された、本質的に無期限の試験期間に、使用することができる。更に、インクリサイクルユニットは、供給タンク内のインクを一定レベルに保つのにも役立つ。よって、インクレベルの低下の結果としてさもなければ起こる可能性がある圧力の変動は、軽減される。
【0086】
[印刷デバイス]
印刷デバイスは、本開示の試験装置を有してよい。試験装置のドラムは、印刷マーキングを印刷するための再利用可能な表面を提供する。従って、記録媒体が使用された後に試験プロセスを実行し続けるために、記録媒体を交換する必要はない。従って、印刷デバイスが使用中であるときに、試験プロセスは連続的に実行可能である。これにより、小さい印刷エラーが検出可能であるという利点がある。変則的な印刷パフォーマンスは、印刷された画像が著しく影響を及ぼされる前に特定され得る。そのようなものとして、印刷された画像が著しく影響を及ぼされる前に、印刷を停止すること、及び/又はユーザに問題を知らせる信号をユーザへ供給することが可能である。従って、低品質の画像を低品質で印刷することで浪費される費用及び時間は、回避され得る。
【0087】
インク除去ユニットは、ドラム表面から記録媒体へインクを送るよう構成されてよい。例えば、インク除去ユニットは移動ローラーを有してよい。このようにして、ドラムの表面上の印刷マーキングは、記録媒体上で印刷された画像を形成するために使用され得る。
【0088】
[試験方法]
試験する方法は、少なくとも部分的に光を透過するドラムの表面に印刷マーキングを形成するよう、ドラムにインク滴を付着させるステップと、ドラムを照らすよう、ドラムの内部に配置されている光源を制御するステップと、ドラムの表面からインクを除去するステップとを有してよい。
【0089】
選択された色の光を発するように光源を制御するステップが存在してもよい。このステップは、印刷マーキングとドラムから発せられる光との間のコントラストを最大にするように、光源によって発せられる光の選択された色を自動的に変えることを含んでよい。選択された明るさの光を発するように光源を制御するステップが存在してもよい。
【0090】
ドラムの表面上の印刷マーキングを観察するステップは、ユーザの目によって実行されるような、外観検査によって、手動で実行されてよい。ドラムの表面上の印刷マーキングは、好ましくは、ドラムの表面上の印刷マーキングを含むドラムの表面のエリアのアセスメント画像を捕捉するステップによって、検査されてもよい。
【0091】
方法は、アセスメント画像に基づき、印刷マーキングにアーチファクトがあるかどうかを判別するステップを更に有してよい。方法は、第1撮像デバイスを用いてアセスメント画像を捕捉することを更に有してよい。方法は、アーチファクトが検出される場合に、アセスメント画像内のアーチファクトの軸方向の位置を決定する更なるステップを有してよい。
【0092】
方法は、ドラムの表面に向かって動いているインク滴のインク液滴評価画像を捕捉するステップを更に有してよい。方法は、第2撮像デバイスを用いてインク液滴評価画像を捕捉することを有してよい。
【0093】
アーチファクトが検出される場合に、方法は、任意に、アセスメント画像内のアーチファクトの決定された軸方向の位置に基づいた、目標とする軸方向の位置へ、第2撮像デバイスを移動させるステップを有する。
【0094】
好ましい例示的な試験プロセスの詳細は、
図10で与えられる。ステップS1は、
図10に示されるように、ドラムの表面で印刷マーキングを形成するためのドラムでのインク堆積の開始である。ステップS2で、光源は、例えば、光源制御ユニットによって、制御される。光源は、選択された色の光を発するように、及び/又は選択された明るさの光を発するように、制御されてよい。光源は、上述されたように、手動で又は自動的に制御されてよい。ステップS3で、ドラムの表面上の印刷マーキングのアセスメント画像が、第1撮像デバイスによって捕捉されてよい。ステップS4で、アセスメント画像は、解析装置内に含まれ得る印刷評価ユニットによって解析される。特に、ステップS4では、アセスメント画像で捕捉された印刷マーキングが、生成されるよう意図されたターゲットマーキングと比較されてよい。ステップS5で、例えば、解析装置によって、アセスメント画像にアーチファクトがあるかどうかが判別される。
【0095】
アセスメント画像においてアーチファクトが検出されない場合には、次いで、プロセスはステップS6へ進む。ステップS6で、例えば、解析装置によって、試験実行が完了したかどうかが判別される。試験実行の完了は、試験のスケジュールされている期間の満了によって、決定されてよい。代替的に、試験実行の終了は、印刷されるよう意図されている完全なターゲットマーキングがインク吐出デバイスから印刷された場合に、決定されてよい。試験実行が完了している場合には、次いで、ステップS7が、例えば、解析装置によって、現在の印刷パラメータを実行可能なパラメータとして保存するために実行される。印刷パラメータは、例えば、インク吐出デバイス供給ライン内のインク圧、インクの温度、及び/又はインク吐出メカニズムのための駆動波形を含んでよい。プロセスは、次いで、プロセスの終了であるステップS8へ進む。
【0096】
アセスメント画像においてアーチファクトが検出される場合には、次いで、プロセスはステップS5からステップS9へ進む。ステップS9で、第2撮像デバイスは、アーチファクトが検出された軸方向の位置に対応するドラムの軸方向の位置へ動かれる。ステップS10で、ドラムに向かって動いているインク滴のインク液滴評価画像が、第2撮像デバイスによって捕捉される。ステップS11で、インク液滴評価画像及び/又はアセスメント画像は、検出されたアーチファクトのタイプを特定するために、例えば、解析装置によって、解析される。ステップS12で、アーチファクトタイプ分類及び対応する印刷パラメータを含み得るアーチファクトデータが、例えば、解析装置によって、保存される。ステップS13で、検出されたアーチファクトが繰り返されない状態への回復が印刷パラメータの調整によって可能であることを解析装置が予測するか否かが、判別される。回復が可能でないと決定される場合には、試験プロセスはステップS8で終了する。回復が可能であると決定される場合には、次いで、プロセスはステップS14へ進む。ステップS14で、印刷パラメータは、その後に捕捉されたアセスメント画像におけるアーチファクトの再発を軽減しようとして、調整される。印刷パラメータは、ユーザによって手動で、又は、例えば、解析装置によって、自動的に、調整されてよい。プロセスは、次いで、ステップS3へ戻り、更新された印刷パラメータに対応する更なるアセスメント画像が捕捉される。
【0097】
ステップS11からS14は、試験実行中の印刷パラメータのライブ更新のためのプロセスを提供する追加的なステップである。このようにして、アーチファクトの発生と関連付けられない実行可能な印刷パラメータがより容易に決定可能であり、印刷パフォーマンスは改善され得る。アセスメント画像及びインク液滴評価画像は、試験実行中のライブ更新の実行に加えて、又はそれに代えて、試験実行が完了した後の解析のために保存されてよい。
【0098】
[むすび]
本開示に係る試験装置は、様々な用途で、例えば、インク、インクヘッド、及びインクノズルの評価で、使用されてよい。
【0099】
本開示の態様は、表されている例を特に参照して説明されてきた。具体例が図面に示されており、本明細書中で詳細に説明されている一方で、しかしながら、図面及び詳細な説明は、開示されている特定の形態に発明を制限する意図はないことが、理解されるべきである。特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲内で、変形及び修正が、説明されている例に対して行われてもよいことが理解されよう。
【0100】
本願は、2020年2月18日付けで出願された英国特許出願第2002208.3号の優先権に基づき、それを請求するものである。先の英国特許出願の全文は、参照により本願に援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】