(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】ハイブリッドリフトピン
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240305BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20240305BHJP
H01L 21/31 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
H01L21/68 N
C23C16/458
H01L21/31 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019009920
(22)【出願日】2019-01-24
【審査請求日】2022-01-11
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ウダイ・キラン・ロッカム
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ヒル
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-199791(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0061145(KR,A)
【文献】特開2003-100855(JP,A)
【文献】特表2009-513027(JP,A)
【文献】特開2017-135147(JP,A)
【文献】特表2003-500827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C23C 16/458
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外光に対して第一の透明度を有する材料からなる第一の部分と、
赤外光に対して第二の透明度を有する材料からなる第二の部分と、を備え、
前記第一の部分は、前記第一の部分および前記第二の部分の一方の連結要素が、前記第一の部分および前記第二の部分の他方の相補的な凹部に受け入れられることにより、前記第二の部分に機械的に連結され
、
前記相補的な凹部は、前記第一の部分または前記第二の部分の二つの部分を共に融着することによって画定される、リフトピン。
【請求項2】
第一の透明度を有する前記材料は、石英を含む、請求項1に記載のリフトピン。
【請求項3】
前記第一の透明度は0~10%の赤外光透過率である、請求項1に記載のリフトピン。
【請求項4】
前記第一の透明度は0~5%の赤外光透過率である、請求項1に記載のリフトピン。
【請求項5】
前記第一の透明度は0~2%の赤外光透過率である、請求項1に記載のリフトピン。
【請求項6】
第二の透明度を有する前記材料は、石英を含む、請求項1に記載のリフトピン。
【請求項7】
前記第二の透明度は85%~100%の赤外光透過率である、請求項1に記載のリフトピン。
【請求項8】
前記第二の透明度は90%~100%未満の赤外光透過率である、請求項1に記載のリフトピン。
【請求項9】
前記リフトピンは、2%~55%の前記第一の部分の長さを備える、請求項1に記載のリフトピン。
【請求項10】
前記リフトピンは、45%~98%の前記第二の部分の長さを備える、請求項1に記載のリフトピン。
【請求項11】
前記第二の部分は、
前記第一の部分に融着または溶接されている、請求項1に記載のリフトピン。
【請求項12】
前記第二の部分の
外径は、
前記第一の部分の外径と同じである、請求項
1に記載のリフトピン。
【請求項13】
前記第一の部分は、ドーム形状の表面を含む、請求項1に記載のリフトピン。
【請求項14】
基材支持アセンブリであって、
サセプタと、
前記サセプタに連結するサセプタ支持体と、
前記サセプタ支持体に連結する回転可能なシャフトと、
リフトピン支持部材と、
前記リフトピン支持部材に連結する請求項1に記載の一つ又は複数のリフトピンと、
前記リフトピン支持部材に連結する可動シャフトと、
基材搬送プロセスの間、前記可動シャフトを垂直方向に移動させるリフトピン機構と、
基材処理中に前記サセプタを回転させるサセプタ回転機構と、を備える基材支持アセンブリ。
【請求項15】
前記サセプタ支持体は、複数のサセプタ支持アームと、前記複数のサセプタ支持アームのそれぞれに連結する又は一体化された一つ若しくは複数のサセプタ支持構造と、を備える、請求項14に記載の基材支持アセンブリ。
【請求項16】
前記複数のサセプタ支持アームのうちの少なくとも一つは、前記一つ又は複数のリフトピンのうちの一つを受け入れるための開口部を備える、請求項15に記載の基材支持アセンブリ。
【請求項17】
前記サセプタは、中央領域と周辺領域とを備え、前記中央領域の幅は、前記周辺領域の幅よりも大きい、請求項14に記載の基材支持アセンブリ。
【請求項18】
二つ以上のリフトピンを備える、請求項14に記載の基材支持アセンブリ。
【請求項19】
請求項1に記載の一つ又は複数のリフトピンを備える、反応器。
【請求項20】
一つ又は複数のリフトピンを受け入れるように構成されるサセプタを更に備える、請求項19に記載の反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「HYBRID LIFT PIN(ハイブリッドリフトピン)」と題する、2018年1月25日に出願された米国仮特許出願第62/621,820号の利益を主張し、当該出願の全内容は引用することによりここに組み込まれている。
【0002】
本開示は、概ね気相プロセスのための装置に関する。より詳細には、本開示の例示的な実施形態は、リフトピン及びリフトピンを備える装置に関する。
【背景技術】
【0003】
基材、例えば半導体ウェーハを処理する気相反応器は、しばしば反応チャンバー内にサセプタを備える。処理中、一つ又は複数の基材が、ロボットアームを使用して反応チャンバー内及びサセプタ上に配置される。処理後、基材は、ロボットアームを使用してサセプタの表面から、及び反応チャンバー内の開口部を通って除去される。
【0004】
基材搬送プロセスの間に、サセプタの垂直幅を貫通し、そして越えて延在するリフトピンを、サセプタの表面上への基材の配置及び表面からの基材の除去を容易にするために使用することができる。このような場合、基材をサセプタ上に載置するために、リフトピンをサセプタの表面上に上昇させること、基材をリフトピン上に配置すること、及びリフトピンを下げることにより、基材をサセプタ上に配置することができる。
【0005】
サセプタ及びリフトピンは、しばしば異なる材料で形成される。例えば、サセプタは炭化ケイ素による被覆グラファイトで形成することができ、リフトピンを炭化ケイ素又は石英で形成することができる。異なるサセプタ及びリフトピン材料の放射率、熱伝導性、及び/又は熱容量の違いにより、リフトピンの位置においてサセプタを覆う基材上にホットスポット又はコールドスポットが形成される可能性がある。ホットスポット又はコールドスポットは、リフトピンの領域における基材の表面上で材料の堆積速度又はエッチング速度を、リフトピンから離れた領域における速度より異なる(より高い又はより低い)速度にする可能性がある。
【0006】
したがって、改良されたリフトピン及びリフトピンを備える装置が望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本開示の様々な実施形態は、改善されたリフトピン及びリフトピンを備える装置を提供する。以下でより詳細に説明するように、本開示の様々な実施形態では、改善されたリフトピンは、改善されたリフトピンを備える基材支持アセンブリの表面全域でより良好な温度均一性をもたらす。
【0008】
本開示の少なくとも一つの実施形態では、リフトピンは、第一の透明度を有する材料からなる第一の部分と、第二の透明度を有する材料からなる第二の部分とを備える。第二の部分は、赤外光及び/若しくは可視光の全て又は大部分を収集し及び反射し、そしてその赤外光及び/若しくは可視光を第一の部分に伝達する光パイプとして機能し得る。これらの実施形態の様々な態様では、第一の透明度を有する材料は、石英を含む。第一の透明度を有する材料は、例えば、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用して測定する場合、本明細書で赤外光(例えば、約750nm~約1mmの波長を有する光)とも呼ばれる光スペクトルの赤外領域において比較的不透明であることができる。例えば、赤外光の第一の透明度は、0若しくは約0~約10%、0若しくは約0~約5%、又は0若しくは約0~約2%の範囲とすることができる。第二の透明度を有する材料は、追加的又は代替的に、石英を含むことができる。赤外光の第二の透明度は、約85~約100%、約90~約100%(若しくは100%未満)、又は約95~約100%(若しくは100%未満)の範囲とすることができる。更なる態様では、リフトピンは、長さ、質量、又は体積で、約1~約60%、約2~約55%、又は約5~約50%の第一の部分を備えることができる。追加的又は代替的に、リフトピンは、長さ、質量、又は体積で、約40~約99%、約2~約98%、又は約45~約98%の第二の部分を備えることができる。第一の部分と第二の部分とを共に融着又は溶接して、リフトピンを形成することができる。
【0009】
本開示の更なる例示的な実施形態では、基材支持アセンブリは、サセプタ及び一つ又は複数のリフトピン、例えば本明細書に記載のリフトピンを備える。基材支持アセンブリは、サセプタに連結するサセプタ支持体と、サセプタ支持体に連結する回転可能なシャフトと、基材搬送プロセス中に可動シャフトを垂直方向に移動させるリフトピン機構と、を更に備えることができる。基材支持アセンブリはまた、基材処理中にサセプタを回転させるサセプタ回転機構を備えることができる。本開示の例示的な態様では、サセプタ支持体は、複数のサセプタ支持アームと、複数の支持アームのそれぞれに連結する又は一体化された一つ若しくは複数のサセプタ支持構造と、を備える。更に別の態様では、複数のサセプタ支持アームのうちの少なくとも一つは、一つ又は複数のリフトピンのうちの一つを受け入れるための開口部を備える。更に、サセプタは、中央領域と周辺領域とを備えることができ、中央領域の幅は、周辺領域の幅よりも大きい。
【0010】
本開示の追加の実施形態では、反応器は、本明細書に記載の一つ又は複数のリフトピンを備える。
【0011】
更なる例示的な実施形態では、反応器は、本明細書に記載の基材支持アセンブリを備える。
【0012】
前述の発明の概要及び以下の発明を実施するための形態は、例示及び説明のみであり、本開示も請求項に係わる発明も限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図面に関連して考慮される場合、発明を実施するための形態及び特許請求の範囲を参照することによって得られることができる。
【0014】
【
図1】本開示の様々な例示的実施形態によるリフトピンを例示する。
【0015】
【
図5】本開示の例示的な実施形態によるリフトピンの断面図を例示する。
【0016】
【
図6】本開示の例示的な実施形態によるリフトピンの分解立体図を例示する。
【0017】
【
図7】本開示の例示的な実施形態による基材支持アセンブリの断面図を例示する。
【0018】
【
図8】本開示の例示的な実施形態による基材支持アセンブリの底面斜視図を例示する。
【0019】
【
図9】様々な温度における基材の表面全域で正規化された厚さ変動を例示する。
【0020】
【
図10】様々なリフトピン材料を用いた膜の正規化された厚さを例示する。
【0021】
図面の要素は、簡潔かつ明瞭にするために例示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されよう。例えば、図面中のいくつかの要素の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上に役立つために、他の要素に対して誇張されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、概ね、リフトピン及びリフトピンを備えるアセンブリに関する。以下でより詳細に説明するように、リフトピン及びアセンブリを、デバイス、例えば半導体基材を使用して形成されるデバイスの製造に使用することができる。
【0023】
以下に提供されるリフトピン及びアセンブリの例示的な実施形態の説明は、単なる例示であり、例示のみを目的としている。以下の説明は、本開示の範囲又は特許請求の範囲を限定するものではない。更に、記載された特徴を有する複数の実施形態の列挙は、追加の特徴を有する他の実施形態も、記載された特徴の異なる組み合わせを組み込む他の実施形態をも排除することを意図していない。
【0024】
本明細書に記載のリフトピン及びアセンブリを、基材支持アセンブリの表面全域で(例えば、アセンブリのサセプタの表面全域で)及び/又は基材の表面全域で温度変動を緩和するために使用することができる。サセプタ及び/又は基材表面全域で温度変化を低減することによって、基材の表面全域でより均一な処理(例えば、材料の洗浄、堆積、又はエッチング)を行うことができる。
【0025】
ここで、
図1~
図4を参照すると、リフトピン100、200、300、及び400が例示されている。リフトピン100は、第一の部分102及び第二の部分104を備える。リフトピン200は、第一の部分202及び第二の部分204を備える。リフトピン300は、第一の部分302及び第二の部分304を備える。リフトピン400は、第一の部分402及び第二の部分404を備える。
【0026】
各第一の部分102、202、302、及び402は、赤外線領域に第一の透明度を有する材料を備えることができる。第一の透明度を有する材料は、例えば不透明な石英のような石英とすることができる、又はそれを含むことができる。第一の透明度は、0若しくは約0~約10%、0若しくは約0~約5%、又は0若しくは約0~約2%の赤外光透過率の範囲とすることができる。特定の一例として、第一の透明度を有する材料は、Opaque Materials[OM]100という名称でHeraeusから入手可能な石英材料とすることができる、又は含むことができる。
【0027】
同様に、各第二の部分104、204、304、及び404は、赤外線領域に第二の透明度を有する材料を含むことができる。第二の透明度を有する材料は、例えば透き通った石英又は透明な石英のような石英とすることができる、又は含むことができる。第二の透明度は、約85~約100%、約90~約100%(若しくは100%未満)、又は約95~約100%(若しくは100%未満)の赤外光透過率の範囲とすることができる。特定の一例として、第二の透明度を有する材料は、GE type 214 fused quartzという名称でMomentiveから入手可能な溶融石英材料とすることができる、又は含むことができる。
【0028】
少なくともいくつかの例示的な実施形態では、第二の部分104、204、304、及び404は、赤外光及び/若しくは可視光、並びに/又は熱の全部又は大部分を収集して反射する、並びに赤外光及び/若しくは可視光線/熱をそれぞれ第一の部分102、202、302、402に伝達する光パイプとして機能することができる。このように、第二の部分104、204、304、及び404を、周辺領域から(例えば、基材支持アセンブリ部分からの)光/熱を収集することによって、そしてその光/熱をそれぞれの第一の部分に伝達することによって、それぞれの第一の部分102、202、302、及び402を容易に加熱するために使用することができ、それにより、さもなければ基材支持アセンブリの表面上に存在するのであろう温度差を緩和する。
【0029】
図1~4に例示するように、各リフトピン100、200、300、400は、ヘッド106、206、306、406と、本体108、208、308、408と、を備えることができる。各ヘッド106、206、306、406は、それぞれのテーパ部110、210、310、410と、円筒部112、212、312、412と、上部114、214、314、414と、を備えることができる。
【0030】
テーパ部110、210、310、410は、例示するように円錐台形の形状であってもよい、又は円錐台形の形状を含むことができる。テーパ部110、210、310、410の側面の角度は、それぞれのリフトピン100、200、300、400の垂直軸に対して約30°~約60°の範囲、又は約45°とすることができる。
【0031】
円筒部112、212、312、412は、固体円筒であってもよい、又は固体円筒を含むことができる。例示するように、円筒部112、212、312、412は、テーパ部110、210、310、410と、上部114、214、314、414との間に挿入することができる。円筒部112、212、312、412の半径は、約3mm~約5mmの範囲とすることができる、又は約4mmとすることができる。
【0032】
上部114、214、314、414は、平面であってもよい、又は平面を含むことができる。あるいは、上部114、214、314、414は、円筒部112、212、312、412の例えば、1/20~1/5又は約1/10の半径を有するドーム形にすることができる。
【0033】
各本体108、208、308、408は、円筒形状を含むことができる、又は円筒形状であってもよい。それぞれの本体104、204、304、404の底部116、216、316、416は、平坦であってもよい、又は丸い表面であって、例えば本体104、204、304、404の半径の、例えば1/20~1/5若しくは約1/10の半径のドーム形状を有する丸い表面、を含んでいてもよい。本体104、204、304、404の半径は、約2mm~約4mmの範囲とすることができる、又は約3mmとすることができる。
【0034】
本開示のいくつかの例示的な実施形態では、ヘッド106、206、306、406、又はその一部は、第一の透明度を有する材料からなる含む第一の部分102又はその一部を備える。例えば、
図1に例示するように、ヘッド106の一部は、第一の透明度を有する材料からなる第一の部分102を備える。この例示の例では、ヘッド106はまた、第二の透明度を有する材料からなる第二の部分102の一部を備える。
図2~4を参照すると、リフトピン200、300、400はそれぞれ、ヘッド206、306、406、及び本体208、308、408の一部を備えるそれぞれの第一の部分202、302、402を備える。
【0035】
図5及び
図6は、リフトピン500の第一の部分502と第二の部分504とを共に融着又は溶接する例示的な技術を示す。第一の部分502と第二の部分504は、上述した第一の部分と第二の部分、特に第一の部分202、302及び402と、第二の部分204、304及び404と同一又は類似するものとすることができる。リフトピン500は、
図1~
図4に関連して上述したヘッド及び本体と同じ又は類似するヘッド506及び本体508を備えることができる。
【0036】
第一の部分502と第二の部分504とを共に容易に連結するために、第一の部分502及び第二の部分504のうちの一つ又は複数は連結要素510を備えることができ、第一の部分502及び第二の部分504のうちのもう一方は連結要素510を受け入れるための凹部512を備えることができる。例示的な実施例では、連結要素510は、第一の長さ及び第一の直径を有する第一の部分514と、第二の長さ及び第二の直径を有する第二の部分516とを含み、第一の直径は、第二の直径とは異なる(例えば、より小さい)。第一の長さ及び第二の長さは、互いに同じであっても、類似であっても、又は異なっていてもよい。
【0037】
例示の例では、第二の部分504は、二つの部分506及び508を備える。部分506及び508は、共に連結(例えば、融着又は溶接)され、第一の部分502に連結されて、リフトピン500を形成することができる。
【0038】
ここで
図7を参照すると、本開示の少なくとも一つの実施形態による反応器700が例示されている。反応器700は、反応領域704と基材リフト機構706とを備える反応チャンバー702を備える。以下でより詳細に説明するように、基材搬送動作中、基材リフト機構706は、反応領域704内のサセプタ718の上面722上へ基材716を容易に配置して、反応チャンバー702の開口部720を通って基材716を除去することができる。
【0039】
反応チャンバー702を、例えば石英で形成することができ、単一部品、例えばチューブとして形成することができる。一例として、反応チャンバー702内の反応領域704は、約350mm~約450mm(又は約420mm)の幅、約400mm~約800mm(又は約760mm)の長さ、及び約20mm~約40mm(又は約30mm)の高さを有する矩形の断面を有することができる。上述のように、反応チャンバー702は、(例えば、表面722が処理位置にある場合)サセプタ718の上面722の上にある開口部720を備える。
【0040】
反応チャンバー702は、様々な用途、例えば膜(例えばエピタキシャル)堆積プロセス、エッチングプロセス、洗浄プロセス等に好適であることができる。更に、反応器700は、独立して動作する反応器であってもよく、又は類似の若しくは異なる反応チャンバーを備えるクラスタツールの一部を形成してもよい。
【0041】
基材リフト機構706は、少なくとも一つのリフトピン708、710(例えば上記のリフトピンのいずれか)と、少なくとも一つのピン708、710に係合可能かつ連結可能なリフトピン支持部材712と、リフトピン支持部材に機械的に連結する可動シャフト714とを備える。基材搬送プロセスの間、基材リフト機構706は、少なくとも一つのリフトピン708、710を上昇又は下降させて、基材716を表面722上に配置し、及び/又は基材716を表面722から除去することができる。
【0042】
二つのリフトピン708、710が
図7に示されているが、反応器700は三つの(例えば、等しく)離間されたリフトピンを備える。本開示の他の実施形態による反応器は、任意の好適な数のリフトピンを備え、一般的に、三つ以上のリフトピンを備えることができ。リフトピン708、710の長さLは、用途に応じて変えることができる。一般的に、リフトピン708、710の長さは、例えば、ロボットアーム(図に示さない)から基材716を受け取る場合、又はロボットアームが受け取るように基材716を渡す場合に、リフトピン708、710がサセプタ718の幅Wを貫通し、サセプタ上面722の上に延在することができる長さである。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態では、リフトピン708、710は、約20~約40mm又は約30mm(例えば、約32.3mm)の長さLを有する。これは、典型的なリフトピンよりもかなり短い長さであり、共通領域、即ち反応領域704内で処理及び基材を搬送することができる。リフトピン708、710は、サセプタ718の一部内に受け入れられる面取り部724(例えば、上記のテーパ部)を備えることができる。面取り部724は、リフトピン708、710がサセプタ718内のビア726内に受け入れられ、所望のレベルに保持されることを可能にする(例えば、リフトピンの上面は、表面722とほぼ平面であってもよく、又は表面722の僅かに下(例えば、数mm以下)にあってもよい)。これにより、例えば、リフトピン支持部材712がリフトピン708、710と係合していない場合に、サセプタ718はリフトピン708、710を保持することができる。上記のように、リフトピン708、710の上面728、730は、約3~約6mm、又は約4mmの直径を有することができる。搬送プロセス中に基材716への表面損傷を防止又は緩和するために、上面728、730を滑らかな仕上げ(例えば、約0.05~0.2μm以下の粗さ平均)に研磨することができる。
【0044】
リフトピン支持部材712は、リフトピン708、710及び可動シャフト714と係合する。例示の例では、リフトピン支持部材712は、リフトピン708、710に取り外し可能に係合し、可動シャフト714に連結している。これにより、可動シャフト714は垂直方向にのみ移動することができ(かつ回転できない)、一方サセプタ718は、例えば基材処理中に回転することができる。リフトピン支持部材712を、例えば、SiC被覆グラファイト、石英、又はガラス状カーボンで形成することができる。
【0045】
図8に更に詳細に例示するように、リフトピン支持部材712は、複数のリフトピンアーム802、804を備える。二つのリフトピン支持アームが
図8に例示されているが、例示のリフトピン支持部材712は三つのリフトピン支持アームを備える。各リフトピン支持アーム802、804は、可動シャフト714と連結する第一の端部806、808と、リフトピン(例えば、リフトピン708、710のうちの一つ)を受け入れて係合する第二の端部810、812と、を備える。第二の端部810、812は、例えば、一つ又は複数のリフトピン708、710の底部818、820を受け入れるための凹部814、816を備えることができる。リフトピン支持部材712は、例示するように、単一の部材とすることができる。あるいは、リフトピン支持部材712は、可動シャフト714に連結する継手に連結する複数のアームを備えることができる。
【0046】
図7は、リフトピン支持部材712がリフトピン708、710と係合し、リフトピン708、710の上面728、730が表面722の上に存在するように、リフトピン708、710がリフトピン支持部材712と係合する場合のリフトピン708、710を例示する。
図8は、リフトピン支持部材712がリフトピン708、710から外された場合、即ち、可動シャフト714が
図7の可動シャフト714の位置に対して下方位置に移動された場合のリフトピン支持部材712を例示する。
図8に例示するように、リフトピン支持部材712がリフトピン708、710から外れると、リフトピン708、710はサセプタ718によって保持され、支持部材712及び/又は可動シャフト714が回転することを必要とせずに、サセプタ718を回転させることができる。
【0047】
可動シャフト714は、中空管の形態である。可動シャフト714を、例えば、石英で形成することができる。本開示の例示的な実施形態では、可動シャフトは、5~約25mm(又は約17mm)の垂直距離を移動するように構成される。その結果、リフトピン708、710は、約5~約25mm(又は約17mm)移動することができ、リフトピン708、710は、表面722の上、最大約5、10、又は20mmの高さまで延在することができる。
【0048】
サセプタ718を、例えば、SiC又はSiC被覆グラファイトで形成することができる。本開示の様々な実施例では、サセプタ718の幅Wは比較的小さく、単一の領域、例えば反応領域704においてリフトピンを用いた基材の搬送及び処理を可能にする。本開示の様々な実施形態では、周辺領域822におけるサセプタ718の幅Wは、サセプタ718の中央領域824におけるサセプタ718の幅よりも小さい。この構成により、サセプタ718を回転させて他の機能、例えば熱電対の端部を保護すること、並びに基材716へ及び/又は基材716から所望の熱を伝達すること、を実行しながら、特に周辺領域において比較的薄いサセプタを可能にすることができる。一例として、周辺領域822の幅は、約3~約6.5mmの範囲である(又は約3.8mmである)。中央領域824の幅は、約6~約10mmの範囲とすることができる(又は約6.4mmとすることができる)。
【0049】
上記のように、反応器700は、基材処理中に基材716を回転させるように構成することができる。この例示の例では、反応器700は、回転可能なシャフト732と、サセプタ支持体734と、を備え、処理中にサセプタ718を、結果として基材716を回転させる。
【0050】
回転可能なシャフト732を、例えば、石英で形成することができる。回転可能なシャフト732を、サセプタ支持体734に連結して、回転可能なシャフト732の回転運動をサセプタ支持体734に伝えるように構成することができる。一例として、回転可能なシャフト732は、継手748を使用してサセプタ支持体734に連結することができる。
【0051】
図7及び
図8に例示するように、サセプタ支持体734は、一つ又は複数の(例えば、複数の)サセプタ支持アーム826、828及び構造体736、738を備える。構造体736、738は、サセプタ718及びサセプタ支持アーム826、828と係合することができる。あるいは、構造体736、738を、サセプタ支持アーム826、828と一体的に形成することができる。サセプタ支持アーム826、828、及び構造体736、738を、例えば、SiC、SiC被覆グラファイト、又は石英で形成することができる。各サセプタ支持アーム826、828について一つの構造体736、738が例示されているが、サセプタ支持体734は、各サセプタ支持アーム826、828について複数の構造体736、738を備えることができる。本開示の例示的な実施形態では、複数のサセプタ支持アーム826、828のうちの少なくとも一つは、リフトピンを受け入れるための開口部740、742を備える。
【0052】
反応器700はまた、熱電対744を備えることができる。例えば基材処理中にサセプタ718の温度を測定するために、熱電対744を使用することができる。
図7に例示するように、熱電対744は、可動シャフト714及び回転可能なシャフト732を通って延在する端部746を備えることができる。端部746は、サセプタ718の中央領域824内に存在することができる。中央領域824は、熱電対744の端部746に対して更に放射線遮蔽をもたらすことができる。
【0053】
本開示の更なる例示的実施形態では、基材支持アセンブリ830は、リフトピン708、710を昇降させてサセプタ718を回転させる構成要素を備える。これらの実施形態では、基材支持アセンブリ830は、サセプタ718、サセプタ支持体734、回転可能なシャフト732、リフトピン支持部材712、一つ又は複数のリフトピン708、710、可動シャフト714、基材搬送プロセス中に可動シャフトを垂直方向に移動させるリフトピン機構、及び基材処理中にサセプタ718を回転させるサセプタ回転機構を備える。上記のように、本開示の様々な実施例では、サセプタ718は、基材搬送中に垂直方向には移動せず、即ち、リフトピンが上昇及び/若しくは下降する場合、並びに/又は基材搬送プロセスの他の工程中に、サセプタ718は垂直方向に移動しない。「SUBSTRATE LIFT MECHANISM AND REACTOR INCLUDING SAME」と題する、2017年8月8日に出願された、米国特許出願第15/672,096号に記載されているように、リフトピン機構とサセプタ回転機構とを組み合わせることができる。当該出願の全内容は、その内容が本開示と矛盾しない範囲内で、参照によりここに組み込まれている。
【0054】
図9は、様々な基材のバイアス温度における、100.37mm半径の正規化された厚さ、高密度ピン欠陥走査を例示する。不透明材料からなるリフトピンを用いて走査を行った。例示するように、堆積膜の厚さは、リフトピンの周りの領域において著しく減少する。
【0055】
図10は、透き通った石英リフトピン、炭化ケイ素(SiC)リフトピン、及び不透明石英ピンで処理された基材の径方向厚さの走査を例示する。例示するように、種々のタイプのリフトピンの各々は、基材上に堆積する材料の量の増加又は減少の原因となる。本明細書に記載のリフトピン、アセンブリ、及び反応器は、これらの偏差を緩和又は排除することができる。
【0056】
本開示の追加の実施形態では、基材を搬送する及び処理する方法が提供される。この方法は、本明細書に記載の反応器、基材支持アセンブリ、及び/又はリフトピンを使用することができる。例示的な方法は、基材処理及び基材搬送のための共通領域を備える反応器を提供する工程と、基材支持アセンブリを提供する工程と、共通領域へ基材を提供する工程と、リフトピンを下方位置へ移動させて基材を処理位置に配置する工程と、基材を処理する工程と、リフトピンを上方位置に移動させる工程と、基材を共通領域から除去する工程と、を含む。基材を除去する工程は、サセプタの上面の上にある反応領域内又は処理領域内の開口部を通して、共通領域から基材を除去する工程を含むことができる。
【0057】
本開示の例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、本開示はそれに限定されないことを理解されたい。例えば、システム及び方法は様々な特定の材料と関連して説明されるが、本開示は必ずしもこれらの材料に限定されるものではない。本明細書に記載のリフトピン、アセンブリ、及び方法の様々な変更、変形、及び改良は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、行われ得る。