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特許7448553架橋重合体粒子の製造方法、吸水性樹脂粒子の製造方法、及び、荷重下吸水量の向上方法
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  • 特許-架橋重合体粒子の製造方法、吸水性樹脂粒子の製造方法、及び、荷重下吸水量の向上方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】架橋重合体粒子の製造方法、吸水性樹脂粒子の製造方法、及び、荷重下吸水量の向上方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20240305BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20240305BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
B01J20/26 D
B01J20/30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021545531
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2020033832
(87)【国際公開番号】W WO2021049466
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】P 2019163870
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000195661
【氏名又は名称】住友精化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160897
【弁理士】
【氏名又は名称】古下 智也
(72)【発明者】
【氏名】西田 萌
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/204302(WO,A1)
【文献】特表2019-524944(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135629(WO,A1)
【文献】特開2010-242011(JP,A)
【文献】特開2018-30991(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170501(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/12
B01J 20/26
B01J 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を粉砕する粉砕工程を備え、
生理食塩水を前記架橋重合体に吸水させた後に前記架橋重合体に遠心分離を施した際の前記架橋重合体1gあたりの吸水量である静的吸水保持能に関して、前記粉砕工程における前記架橋重合体の粉砕前の静的吸水保持能に対する前記架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能の比率が1.5以上であり、
前記架橋重合体の粉砕後の前記静的吸水保持能が30g/g以上である、架橋重合体粒子の製造方法。
【請求項2】
前記比率が1.5~4である、請求項1に記載の架橋重合体粒子の製造方法。
【請求項3】
前記架橋重合体の粉砕後の前記静的吸水保持能が30~80g/gである、請求項1又は2に記載の架橋重合体粒子の製造方法。
【請求項4】
前記架橋重合体の粉砕前の前記静的吸水保持能が20~53g/gである、請求項1~3のいずれか一項に記載の架橋重合体粒子の製造方法。
【請求項5】
前記エチレン性不飽和単量体が、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の架橋重合体粒子の製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の架橋重合体粒子の製造方法により得られた架橋重合体粒子に追架橋を施す工程を備える、吸水性樹脂粒子の製造方法。
【請求項7】
架橋重合体粒子に追架橋を施して得られる吸水性樹脂粒子の荷重下における吸水量の向上方法であって、
エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を粉砕する粉砕工程を備え、
生理食塩水を前記架橋重合体に吸水させた後に前記架橋重合体に遠心分離を施した際の前記架橋重合体1gあたりの吸水量である静的吸水保持能に関して、前記粉砕工程における前記架橋重合体の粉砕前の静的吸水保持能に対する前記架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能の比率が1.5以上であり、
前記架橋重合体の粉砕後の前記静的吸水保持能が30g/g以上である、荷重下吸水量の向上方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋重合体粒子の製造方法、吸水性樹脂粒子の製造方法、及び、荷重下吸水量の向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水を主成分とする液体(例えば尿)を吸収するための吸収性物品には、吸水性樹脂粒子を含有する吸収体が用いられている(例えば、下記特許文献1参照)。吸水性樹脂粒子は、例えば、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を粉砕して架橋重合体粒子を得た後、当該架橋重合体粒子に追架橋を施すことにより得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平06-345819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水を主成分とする液体が吸収性物品に供された際、吸収性物品の吸収体に液体が充分吸収されなければ、余剰の液体は吸収体物品の表面を流れる等して吸収性物品の外に漏れるといった不具合が生じ得る。そのため、吸収体を構成する吸水性樹脂粒子に対しては、優れた吸水量を有することが求められる。特に、おむつ等の吸収性物品を使用者に装着した状態では、吸水性樹脂粒子に対して荷重が負荷されており、このように荷重が負荷された状態における吸水性樹脂粒子の吸水量を向上させることが求められる。
【0005】
本発明の一側面は、荷重下吸水量に優れる吸水性樹脂粒子を得ることが可能な架橋重合体粒子の製造方法を提供することを目的とする。本発明の他の一側面は、荷重下吸水量に優れる吸水性樹脂粒子の製造方法を提供することを目的とする。本発明の他の一側面は、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量の向上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、荷重下吸水量とは異なる吸水特性として遠心分離機保持容量(CRC)に優れる吸水性樹脂粒子であっても充分な荷重下吸水量が得られない場合があることを見出すと共に、生理食塩水を架橋重合体に吸水させた後に架橋重合体に遠心分離を施した際の架橋重合体1gあたりの吸水量である静的吸水保持能に優れる(30g/g以上である)架橋重合体に追架橋を施しても、充分な荷重下吸水量を有する吸水性樹脂粒子が得られない場合があることを見出した上で、追架橋前において架橋重合体を粉砕する粉砕工程における粉砕前後の静的吸水保持能の比率を調整することにより、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させることができることを見出した。
【0007】
本発明の一側面は、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を粉砕する粉砕工程を備え、生理食塩水を架橋重合体に吸水させた後に架橋重合体に遠心分離を施した際の架橋重合体1gあたりの吸水量である静的吸水保持能に関して、粉砕工程における架橋重合体の粉砕前の静的吸水保持能に対する架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能の比率が1.5以上であり、架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能が30g/g以上である、架橋重合体粒子の製造方法を提供する。
【0008】
本発明の他の一側面は、上述の架橋重合体粒子の製造方法により得られた架橋重合体粒子に追架橋を施す工程を備える、吸水性樹脂粒子の製造方法を提供する。
【0009】
本発明の他の一側面は、架橋重合体粒子に追架橋を施して得られる吸水性樹脂粒子の荷重下における吸水量の向上方法であって、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を粉砕する粉砕工程を備え、生理食塩水を架橋重合体に吸水させた後に架橋重合体に遠心分離を施した際の架橋重合体1gあたりの吸水量である静的吸水保持能に関して、粉砕工程における架橋重合体の粉砕前の静的吸水保持能に対する架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能の比率が1.5以上であり、架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能が30g/g以上である、荷重下吸水量の向上方法を提供する。
【0010】
上述の架橋重合体粒子の製造方法、吸水性樹脂粒子の製造方法、及び、荷重下吸水量の向上方法によれば、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させることが可能であり、荷重下吸水量に優れる吸水性樹脂粒子を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一側面によれば、荷重下吸水量に優れる吸水性樹脂粒子を得ることが可能な架橋重合体粒子の製造方法を提供することができる。本発明の他の一側面によれば、荷重下吸水量に優れる吸水性樹脂粒子の製造方法を提供することができる。本発明の他の一側面によれば、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量の向上方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】吸収性物品の一例を示す断面図である。
図2】吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量の測定装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0014】
本明細書において、「アクリル」及び「メタクリル」を合わせて「(メタ)アクリル」と表記する。「アクリレート」及び「メタクリレート」も同様に「(メタ)アクリレート」と表記する。「ポリエチレングリコール」及び「エチレングリコール」を合わせて「(ポリ)エチレングリコール」と表記する。「(ポリ)」を含む他の表現についても同様である。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「水溶性」とは、25℃において水に5質量%以上の溶解性を示すことをいう。本明細書に例示する材料は、単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「生理食塩水」とは、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液をいう。(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリル酸化合物に関して、「(メタ)アクリル酸化合物の含有量」及び「(メタ)アクリル酸化合物の全質量」とは、アクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸及びメタクリル酸塩の合計量を意味する。「室温」は、25℃±2℃を意味する。
【0015】
本実施形態に係る架橋重合体粒子の製造方法は、追架橋を施すことにより吸水性樹脂粒子を得ることが可能な架橋重合体粒子の製造方法である。本実施形態に係る荷重下吸水量の向上方法は、架橋重合体粒子に追架橋を施して得られる吸水性樹脂粒子の荷重下における吸水量の向上方法である。本実施形態に係る架橋重合体粒子の製造方法、及び、本実施形態に係る荷重下吸水量の向上方法は、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する架橋重合体を粉砕することにより架橋重合体粒子(粉砕物)を得る粉砕工程を備える。本実施形態に係る架橋重合体粒子は、追架橋を施すことにより吸水性樹脂粒子を得ることが可能な架橋重合体粒子であり、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有する。本実施形態に係る架橋重合体粒子及びその製造方法、並びに、本実施形態に係る荷重下吸水量の向上方法において、生理食塩水を架橋重合体に吸水させた後に架橋重合体に遠心分離を施した際の架橋重合体1gあたりの吸水量である静的吸水保持能に関して、粉砕工程における架橋重合体の粉砕前の静的吸水保持能に対する架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能の比率は1.5以上であり、架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能が30g/g以上である。
【0016】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の製造方法は、本実施形態に係る架橋重合体粒子、又は、本実施形態に係る架橋重合体粒子の製造方法により得られた架橋重合体粒子に追架橋を施す追架橋工程を備える。
【0017】
本実施形態に係る架橋重合体粒子及びその製造方法、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の製造方法、並びに、本実施形態に係る荷重下吸水量の向上方法によれば、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させることが可能であり、荷重下吸水量に優れる吸水性樹脂粒子を得ることができる。荷重下吸水量を向上させることが可能な原因は明らかではないが、静的吸水保持能の比率が上述の所定値以上である場合、架橋重合体粒子の架橋構造が均一な状態であるため、追架橋を施した際に荷重下吸水量が向上しやすいと推察される。但し、原因は当該内容に限定されない。
【0018】
ところで、吸水性樹脂粒子を得るための架橋重合体粒子を作製するに際しては、架橋重合体を粉砕して架橋重合体粒子を得た後に、架橋重合体粒子に含まれる粒子の粒子径を分級処理等の粒子径調整処理により調整する場合がある。これに対し、本発明者は、粒子径調整処理が追加されることによって吸水性樹脂粒子の製造過程が煩雑化すること等に着目した上で、荷重下吸水量に優れる吸水性樹脂粒子を得ることが可能な架橋重合体粒子を簡便な方法で得ることに着想し、上述のとおり優れた荷重下吸水量を与える架橋重合体粒子を粉砕工程において得ることを見出した。本実施形態に係る架橋重合体粒子及びその製造方法、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子の製造方法、並びに、本実施形態に係る荷重下吸水量の向上方法によれば、粉砕工程の後に粒子径調整処理を行うことなく吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させることが可能であり、荷重下吸水量に優れる吸水性樹脂粒子を簡便な方法で得ることができる。
【0019】
本実施形態では、粉砕工程において、架橋重合体の粉砕前の静的吸水保持能に対する架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能の比率が1.5以上であり、架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能が30g/g以上である。粉砕工程では、粉砕機の種類、粉砕条件等を調整することにより、粉砕前後の静的吸水保持能の比率及び粉砕後の静的吸水保持能を調整できる。
【0020】
架橋重合体の粉砕前後の静的吸水保持能の比率は、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させる観点から、1.5以上である。静的吸水保持能の比率は、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させやすい観点から、1.6以上、1.8以上、1.9以上、2以上、2.2以上、2.3以上、2.4以上、2.5以上、又は、2.6以上であってよい。静的吸水保持能の比率は、4以下、3.75以下、3.5以下、3.25以下、3以下、2.9以下、2.8以下、2.7以下、又は、2.6以下であってよい。これらの観点から、静的吸水保持能の比率は、1.5~4であってよい。静的吸水保持能の比率は、2.6未満、2.5以下、2.4以下、2.3以下、2.2以下、2.1以下、2以下、1.9以下、又は、1.8以下であってもよい。
【0021】
架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能(架橋重合体粒子の静的吸水保持能)は、30g/g以上であり、下記の範囲であってよい。架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能は、35g/g以上、40g/g以上、45g/g以上、48g/g以上、50g/g以上、55g/g以上、56g/g以上、58g/g以上、60g/g以上、62g/g以上、又は、63g/g以上であってよい。架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能は、80g/g以下、75g/g以下、70g/g以下、65g/g以下、又は、64g/g以下であってよい。これらの観点から、架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能は、30~80g/gであってよい。粉砕後の静的吸水保持能は、重合開始剤、架橋剤等の使用量の調整;後述のスクリーンを用いた粉砕処理などにより調整しやすい。
【0022】
架橋重合体の粉砕前の静的吸水保持能は、20g/g以上、21g/g以上、22g/g以上、23g/g以上、又は、24g/g以上であってよい。架橋重合体の粉砕前の静的吸水保持能は、53g/g以下、52g/g以下、50g/g以下、45g/g以下、40g/g以下、35g/g以下、30g/g以下、28g/g以下、27g/g以下、26g/g以下、又は、25g/g以下であってよい。これらの観点から、架橋重合体の粉砕前の静的吸水保持能は、20~53g/gであってよい。粉砕前の静的吸水保持能は、重合開始剤、架橋剤等の使用量の調整などにより調整しやすい。
【0023】
静的吸水保持能は、生理食塩水を架橋重合体に吸水させた後に架橋重合体に遠心分離を施した際の架橋重合体1gあたりの吸水量を測定することにより得ることができる。静的吸水保持能は、生理食塩水500gに対して架橋重合体0.2gを浸漬することにより測定できる。静的吸水保持能は、生理食塩水に架橋重合体を30分間接触させることにより測定可能であり、例えば、架橋重合体を収容した不織布バッグを生理食塩水に1分間浮かべた後に不織布バッグを生理食塩水に29分間浸漬することにより測定できる。架橋重合体に対する遠心分離の遠心力は250Gであってよく、遠心分離の処理時間は3分間であってよい。粉砕前の静的吸水保持能は、架橋重合体を粒子径1.4~1.7mmに分級(粒子径1.4mm未満の重合体、及び、粒子径1.7mm超えの重合体を除去)した後に測定してよい。
【0024】
粉砕工程では、開口(貫通孔;網目)を有するスクリーン(網状部材、パンチングプレート等)を用いて架橋重合体を粉砕できる。本実施形態は、例えば、粉砕工程において、架橋重合体をスクリーンに通過させつつ架橋重合体を粉砕する態様であってよい。この場合、スクリーンの一方面側から他方面側に架橋重合体をスクリーンに通過させることにより、架橋重合体粒子を構成する粒子をスクリーンの他方面側において得ることができる。また、架橋重合体を粉砕しつつ粒子径調整することが可能であり、スクリーンの開口の開口径に応じた径を有する粒子をスクリーンの他方面側において得ることができる。スクリーンの開口の開口径を調整することにより、架橋重合体粒子に含まれる粒子の粒子径及び粒度分布を調整できる。スクリーンの開口は、粉砕対象である架橋重合体の少なくとも一部の径よりも大きな開口径を有している。スクリーンの開口の開口径(孔径)は、例えば、0.08~10mm、0.50~2.0mm、又は、0.75~1.5mmであってよい。スクリーンは、環状(例えば円環状)、板状等であってよい。
【0025】
本実施形態は、例えば、粉砕工程において、架橋重合体に遠心力を印加することにより、架橋重合体をスクリーンに通過させつつ架橋重合体を粉砕する態様であってよい。この場合、遠心力により架橋重合体をスクリーン又は他の部材(例えば、後述の回転部材)に衝突させることにより架橋重合体を衝撃粉砕できる。本実施形態は、例えば、スクリーンが環状であり、粉砕工程において、スクリーンの内周側において架橋重合体に遠心力(内周側から外周側に向かう遠心力)を印加することにより、架橋重合体をスクリーンに通過させつつ架橋重合体を粉砕する態様であってよい。この場合、スクリーンの内周側から外周側に架橋重合体をスクリーンに通過させることにより、架橋重合体粒子を構成する粒子をスクリーンの外周側において得ることができる。また、衝撃粉砕により架橋重合体を粉砕しつつ粒子径調整することが可能であり、スクリーンの開口の開口径に応じた径を有する粒子をスクリーンの外周側において得ることができる。
【0026】
粉砕工程において用いる粉砕機は、例えば、架橋重合体が供給される試料台と、当該試料台を囲う環状のスクリーンと、を有してよい。試料台は回転可能であってよく、試料台を回転させることにより架橋重合体に遠心力を印加してよい。例えば、環状のスクリーンの中心軸(周方向に直交する軸)を中心として試料台を回転させることにより架橋重合体に遠心力を印加することができる。
【0027】
粉砕機は、試料台及び環状のスクリーンに加えて、環状のスクリーンの内壁に沿って回転可能な回転部材(例えば刃部材)を備えてよい。この場合、回転部材を回転させつつ遠心力により架橋重合体を回転部材に衝突させることにより架橋重合体を衝撃粉砕しやすい。回転部材は、スクリーンの内壁の近傍に配置されてよい。この場合、回転部材とスクリーンの内壁との間に存在する架橋重合体に対してせん断力を印加することが可能であり、架橋重合体を粉砕しやすい。回転部材は、環状のスクリーンの中心軸に沿って延びる部材であってよい。回転部材は、試料台と一体であってよく、試料台と別体であってもよい。回転部材は、試料台と共に回転可能であってよい。回転部材は、試料台の外周部において間隔をおいて複数(例えば6本)配置されていてよい。試料台及び回転部材のそれぞれの回転数は、例えば、6000~18000rpmであってよい。
【0028】
粉砕機としては、ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製の製品名:ZM200;フリッチュ・ジャパン株式会社製の製品名:P-14 ロータースピードミル(Pulverisette 14)等を用いることができる。粉砕工程においては、スクリーンを通過した粒子が更に粒子径調整されない粉砕機を用いることができる。
【0029】
上述の粉砕工程では、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させやすい架橋重合体粒子として、架橋重合体を粉砕することにより、下記の粒度分布及び/又は中位粒子径を有する架橋重合体粒子を得ることができる。
【0030】
本実施形態に係る架橋重合体粒子(粉砕後の架橋重合体)における粒子径150μm未満(0μmを超え150μm未満)の粒子の割合は、架橋重合体粒子の全質量を基準として下記の範囲であってよい。粒子径150μm未満の粒子の割合は、20質量%以下、20質量%未満、18質量%以下、17質量%以下、16質量%以下、又は、15.5質量%以下であってよい。粒子径150μm未満の粒子の割合は、0質量%以上、0質量%を超え、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、8質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、13質量%以上、14質量%以上、又は、15質量%以上であってよい。これらの観点から、粒子径150μm未満の粒子の割合は、0~20質量%であってよい。
【0031】
本実施形態に係る架橋重合体粒子(粉砕後の架橋重合体)における粒子径150μm以上300μm未満の粒子の割合は、架橋重合体粒子の全質量を基準として下記の範囲であってよい。粒子径150μm以上300μm未満の粒子の割合は、40質量%以下、40質量%未満、35質量%以下、35質量%未満、30質量%以下、30質量%未満、28質量%以下、25質量%以下、又は、25質量%未満であってよい。粒子径150μm以上300μm未満の粒子の割合は、0質量%以上、0質量%を超え、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、23質量%以上、又は、24質量%以上であってよい。これらの観点から、粒子径150μm以上300μm未満の粒子の割合は、0~40質量%であってよい。
【0032】
本実施形態に係る架橋重合体粒子(粉砕後の架橋重合体)における粒子径300μm以上600μm未満の粒子の割合は、架橋重合体粒子の全質量を基準として下記の範囲であってよい。粒子径300μm以上600μm未満の粒子の割合は、50質量%以下、50質量%未満、45質量%以下、43質量%以下、42質量%以下、又は、41質量%以下であってよい。粒子径300μm以上600μm未満の粒子の割合は、0質量%以上、0質量%を超え、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、38質量%以上、又は、40質量%以上であってよい。これらの観点から、粒子径300μm以上600μm未満の粒子の割合は、0~50質量%であってよい。
【0033】
本実施形態に係る架橋重合体粒子(粉砕後の架橋重合体)における粒子径600μm以上850μm未満の粒子の割合は、架橋重合体粒子の全質量を基準として下記の範囲であってよい。粒子径600μm以上850μm未満の粒子の割合は、30質量%以下、30質量%未満、25質量%以下、20質量%以下、20質量%未満、又は、18質量%以下であってよい。粒子径600μm以上850μm未満の粒子の割合は、0質量%以上、0質量%を超え、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、14質量%以上、15質量%以上、又は、17質量%以上であってよい。これらの観点から、粒子径600μm以上850μm未満の粒子の割合は、0~30質量%であってよい。
【0034】
本実施形態に係る架橋重合体粒子(粉砕後の架橋重合体)における粒子径850μm以上の粒子の割合は、架橋重合体粒子の全質量を基準として下記の範囲であってよい。粒子径850μm以上の粒子の割合は、10質量%以下、10質量%未満、8質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、又は、3質量%以下であってよい。粒子径850μm以上の粒子の割合は、0質量%以上、0質量%を超え、1質量%以上、又は、2質量%以上であってよい。これらの観点から、粒子径850μm以上の粒子の割合は、0~10質量%であってよい。
【0035】
本実施形態に係る架橋重合体粒子の中位粒子径は、下記の範囲が好ましい。中位粒子径は、200μm以上、230μm以上、250μm以上、280μm以上、300μm以上、330μm以上、340μm以上、350μm以上、又は、355μm以上であってよい。中位粒子径は、600μm以下、550μm以下、500μm以下、450μm以下、400μm以下、380μm以下、370μm以下、365μm以下、又は、360μm以下であってよい。これらの観点から、中位粒子径は、200~600μmであってよい。中位粒子径は、後述する実施例に記載の方法によって測定できる。中位粒子径は、室温における測定値を用いることができる。
【0036】
架橋重合体(粉砕工程において粉砕される架橋重合体)の製造方法は、エチレン性不飽和単量体を含有する単量体組成物を重合する重合工程を備える。重合工程では、エチレン性不飽和単量体を含有する単量体組成物を重合することにより架橋重合体ゲルを得てよい。
【0037】
単量体組成物は、水、有機溶媒等を含有してよい。単量体組成物は、単量体水溶液であってよい。単量体組成物の重合方法としては、水溶液重合法、バルク重合法等が挙げられる。これらの中では、良好な吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)が得られやすい観点、及び、重合反応の制御が容易である観点から、水溶液重合法が好ましい。以下においては、重合方法の一例として水溶液重合法を用いた場合について説明する。
【0038】
エチレン性不飽和単量体としては、水溶性エチレン性不飽和単量体を用いることができる。エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のα,β-不飽和カルボン酸、及び、その塩などのカルボン酸系単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の非イオン性単量体;N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体、及び、その第4級化物;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、及び、それらの塩等のスルホン酸系単量体などが挙げられる。エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の(メタ)アクリル酸化合物を含むことができる。エチレン性不飽和単量体は、(メタ)アクリル酸、及び、(メタ)アクリル酸の塩の双方を含んでよい。α,β-不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸等)の塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩等)などが挙げられる。
【0039】
酸基を有するエチレン性不飽和単量体(例えば(メタ)アクリル酸)は、酸基が予めアルカリ性中和剤により中和されていてよい。アルカリ性中和剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニアなどが挙げられる。アルカリ性中和剤は、中和操作を簡便化するために水溶液の状態にして用いてもよい。酸基の中和は、原料であるエチレン性不飽和単量体の重合前に行ってもよく、重合中又は重合後に行ってもよい。
【0040】
アルカリ性中和剤によるエチレン性不飽和単量体の中和度は、浸透圧を高めることで、良好な吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)が得られやすい観点、及び、余剰のアルカリ性中和剤の存在に起因する不具合を抑制する観点から、10~100モル%、30~90モル%、40~85モル%、又は、50~80モル%が好ましい。「中和度」は、エチレン性不飽和単量体が有する全ての酸基に対する中和度とする。
【0041】
(メタ)アクリル酸化合物の含有量は、単量体組成物の全質量を基準として下記の範囲が好ましい。(メタ)アクリル酸化合物の含有量は、生産性を高めやすい観点から、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、又は、35質量%以上が好ましい。(メタ)アクリル酸化合物の含有量は、吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)を高めやすい観点から、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、50質量%未満、45質量%以下、又は、40質量%以下が好ましい。これらの観点から、(メタ)アクリル酸化合物の含有量は、10~60質量%が好ましい。
【0042】
(メタ)アクリル酸化合物の含有量は、単量体組成物に含有される単量体の合計量、及び/又は、単量体組成物に含有されるエチレン性不飽和単量体の合計量を基準として下記の範囲が好ましい。(メタ)アクリル酸化合物の含有量は、50モル%以上、70モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、97モル%以上、又は、99モル%以上が好ましい。単量体組成物に含有される単量体、及び/又は、単量体組成物に含有されるエチレン性不飽和単量体は、実質的に(メタ)アクリル酸化合物からなる態様(実質的に、単量体組成物に含有される単量体、及び/又は、単量体組成物に含有されるエチレン性不飽和単量体の100モル%が(メタ)アクリル酸化合物である態様)であってもよい。
【0043】
単量体組成物は、重合開始剤を含有してよい。単量体組成物に含まれる単量体の重合は、単量体組成物に重合開始剤を添加し、必要により加熱、光照射等を行うことで開始してよい。重合開始剤としては、光重合開始剤、ラジカル重合開始剤等が挙げられ、水溶性ラジカル重合開始剤が好ましい。重合開始剤は、吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)を高めやすい観点から、アゾ系化合物及び過酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0044】
アゾ系化合物としては、2,2’-アゾビス[2-(N-フェニルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[N-(4-クロロフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[N-(4-ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-ベンジルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(N-アリルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[N-(2-ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等が挙げられる。アゾ系化合物は、良好な吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)が得られやすい観点から、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、及び、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水和物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0045】
過酸化物としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物類などが挙げられる。過酸化物は、良好な吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)が得られやすい観点から、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及び、過硫酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0046】
重合開始剤の含有量は、エチレン性不飽和単量体(例えば(メタ)アクリル酸化合物)1モルに対して、下記の範囲が好ましい。重合開始剤の含有量は、吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)を高めやすい観点、及び、重合反応時間を短縮する観点から、0.001ミリモル以上、0.005ミリモル以上、0.01ミリモル以上、0.05ミリモル以上、0.1ミリモル以上、又は、0.13ミリモル以上が好ましい。重合開始剤の含有量は、吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)を高めやすい観点、及び、急激な重合反応を回避しやすい観点から、5ミリモル以下、4ミリモル以下、2ミリモル以下、1ミリモル以下、0.5ミリモル以下、0.3ミリモル以下、0.25ミリモル以下、0.2ミリモル以下、又は、0.15ミリモル以下が好ましい。これらの観点から、重合開始剤の含有量は、0.001~5ミリモルが好ましい。
【0047】
単量体組成物は、還元剤を含有してよい。還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第1鉄、L-アスコルビン酸等が挙げられる。重合開始剤と還元剤とを併用してよい。
【0048】
単量体組成物は、酸化剤を含有してよい。酸化剤としては、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過リン酸及びその塩、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。
【0049】
単量体組成物は、内部架橋剤を含有してよい。内部架橋剤を用いることにより、得られる架橋重合体が、その内部架橋構造として、重合反応による自己架橋構造に加え、内部架橋剤による架橋構造を有することができる。
【0050】
内部架橋剤としては、反応性官能基(例えば重合性不飽和基)を2個以上有する化合物等が挙げられる。内部架橋剤としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、(ポリ)グリセリン等のポリオールのジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;上記ポリオールと不飽和酸(マレイン酸、フマル酸等)とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物;N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類;ポリイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)と(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉;アリル化セルロース;ジアリルフタレート;N,N’,N”-トリアリルイソシアヌレート;ジビニルベンゼン;ペンタエリスリトール;エチレンジアミン;ポリエチレンイミンなどが挙げられる。内部架橋剤は、吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)を高めやすい観点、及び、低温での反応性に優れる観点から、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、及び、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0051】
内部架橋剤の含有量は、エチレン性不飽和単量体(例えば(メタ)アクリル酸化合物)1モルに対して下記の範囲が好ましい。内部架橋剤の含有量は、良好な吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)が得られやすい観点から、0.0005ミリモル以上、0.001ミリモル以上、0.002ミリモル以上、0.005ミリモル以上、0.01ミリモル以上、0.015ミリモル以上、0.02ミリモル以上、又は、0.025ミリモル以上が好ましい。内部架橋剤の含有量は、良好な吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)が得られやすい観点から、0.3ミリモル以下、0.25ミリモル以下、0.2ミリモル以下、0.18ミリモル以下、0.18ミリモル未満、0.17ミリモル以下、0.16ミリモル以下、0.15ミリモル以下、0.1ミリモル以下、0.06ミリモル以下、0.06ミリモル未満、0.05ミリモル以下、0.05ミリモル未満、0.04ミリモル以下、又は、0.03ミリモル以下が好ましい。これらの観点から、内部架橋剤の含有量は、0.0005~0.3ミリモルが好ましい。
【0052】
単量体組成物は、必要に応じて、上述の各成分とは異なる成分として、連鎖移動剤、増粘剤、無機フィラー等の添加剤を含有してよい。連鎖移動剤としては、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、次亜リン酸、亜リン酸、アクロレイン等が挙げられる。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、ポリアクリルアミド等が挙げられる。無機フィラーとしては、金属酸化物、セラミック、粘度鉱物等が挙げられる。
【0053】
水溶液重合の重合方式としては、単量体組成物を撹拌しない状態(例えば、静置状態)で重合する静置重合方式;反応装置内で単量体組成物を撹拌しながら重合する撹拌重合方式等が挙げられる。静置重合方式では、重合完了時、反応容器中に存在した単量体組成物と略同じ体積を占める単一のブロック状のゲルが得られる。
【0054】
重合の形態は、回分、半連続、連続等であってよい。例えば、静置重合方式を連続重合にて行う場合、連続重合装置に単量体組成物を連続的に供給しながら重合反応を行い、連続的にゲルを得ることができる。
【0055】
重合温度は、使用する重合開始剤によって異なるが、重合を迅速に進行させ、重合時間を短くすることにより生産性を高めると共に、重合熱を除去して円滑に反応を行いやすい観点から、0~130℃又は10~110℃が好ましい。重合時間は、使用する重合開始剤の種類及び量、反応温度等に応じて適宜設定されるが、1~200分又は5~100分が好ましい。
【0056】
架橋重合体(粉砕工程において粉砕される架橋重合体)の製造方法は、重合工程の後に粗砕工程及び乾燥工程を備えてよい。
【0057】
粗砕工程は、例えば、重合工程において得られた架橋重合体(例えば架橋重合体ゲル)を粗砕して粗砕物(例えばゲル粗砕物)を得る工程である。粗砕工程における粗砕装置としては、例えば、ニーダー(加圧式ニーダー、双腕型ニーダー等)、ミートチョッパー、カッターミル、ファーマミル等を用いることができる。
【0058】
乾燥工程は、粗砕工程で得られた粗砕物を乾燥して乾燥物を得る工程である。乾燥工程では、粗砕物中の液体成分(水等)を加熱及び/又は送風により除去することで乾燥物(例えばゲル乾燥物)を得ることができる。乾燥方法は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥等であってよい。乾燥温度は、例えば70~250℃である。
【0059】
本実施形態に係る架橋重合体粒子(粉砕工程において得られる架橋重合体粒子)は、エチレン性不飽和単量体(例えば(メタ)アクリル酸化合物)に由来する構造単位を有する架橋重合体を含む。本実施形態に係る架橋重合体粒子は、ゲル安定剤、金属キレート剤(エチレンジアミン4酢酸及びその塩、ジエチレントリアミン5酢酸及びその塩(例えばジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム)等)、流動性向上剤(滑剤)などの他成分を更に含んでよい。他成分は、架橋重合体の内部、表面上、又は、これらの両方に配置され得る。
【0060】
本実施形態に係る架橋重合体粒子は、架橋重合体の表面上に配置された無機粒子を含んでよい。例えば、架橋重合体と無機粒子とを混合することにより、架橋重合体の表面上に無機粒子を配置することができる。無機粒子としては、例えば、非晶質シリカ等のシリカ粒子が挙げられる。
【0061】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、粉砕工程において得られた架橋重合体粒子を追架橋させること(追架橋工程)により得ることができる。追架橋は、架橋重合体粒子に対する表面架橋であってよい。追架橋は、例えば、架橋剤(例えば表面架橋剤)を架橋重合体粒子と反応させることにより行うことができる。架橋剤を用いて追架橋を行うことにより、架橋重合体粒子の架橋密度(例えば、架橋重合体粒子の表面近傍の架橋密度)が高まるため、吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量、吸水速度等)を高めやすい。吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量の比較に際しては、吸水性樹脂粒子のCRCを同等に調整するために架橋剤の使用量を調整してよい。
【0062】
架橋剤としては、例えば、エチレン性不飽和単量体由来の官能基との反応性を有する官能基(反応性官能基)を2個以上含有する化合物が挙げられる。架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α-メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;イソシアネート化合物(2,4-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等)などの、反応性官能基を2個以上有する化合物;3-メチル-3-オキセタンメタノール、3-エチル-3-オキセタンメタノール、3-ブチル-3-オキセタンメタノール、3-メチル-オキセタンエタノール、3-エチル-3-オキセタンエタノール、3-ブチル-3-オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物などが挙げられる。
【0063】
架橋剤(例えば表面架橋剤)の含有量は、架橋重合体粒子の全質量に対して下記の範囲が好ましい。架橋剤の含有量は、良好な吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)が得られやすい観点から、500ppm以上、750ppm以上、1000ppm以上、1000ppmを超え、1250ppm以上、1500ppm以上、1750ppm以上、1800ppm以上、1900ppm以上、又は、2000ppm以上が好ましい。架橋剤の含有量は、良好な吸水性能(吸水性樹脂粒子におけるCRC、荷重下吸水量等)が得られやすい観点から、3000ppm以下、2750ppm以下、2500ppm以下、2250ppm以下、又は、2000ppm以下が好ましい。これらの観点から、架橋剤の含有量は、500~3000ppmが好ましい。架橋剤の含有量は、2000ppm未満、1750ppm以下、1500ppm以下、1250ppm以下、又は、1000ppm以下であってよい。
【0064】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、その表面に、ゲル安定剤;金属キレート剤(エチレンジアミン4酢酸及びその塩、ジエチレントリアミン5酢酸及びその塩(例えばジエチレントリアミン5酢酸5ナトリウム)等);流動性向上剤(滑剤)の無機粒子などを含んでよい。例えば、追架橋後の粒子と無機粒子とを混合することにより、追架橋後の粒子の表面上に無機粒子を配置することができる。無機粒子としては、例えば、非晶質シリカ等のシリカ粒子が挙げられる。
【0065】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、水を保水可能であり、尿、汗、血液(例えば経血)等の体液を吸液できる。本実施形態に係る吸水性樹脂粒子は、吸収体の構成成分として用いることができる。本実施形態は、例えば、紙おむつ、生理用品等の衛生材料;保水剤、土壌改良剤等の農園芸材料;止水剤、結露防止剤等の工業資材などの分野において用いることができる。
【0066】
本実施形態に係る吸水性樹脂粒子のCRCは、10g/g以上、15g/g以上、20g/g以上、25g/g以上、30g/g以上、35g/g以上、37g/g以上、又は、38g/g以上であってよい。吸水性樹脂粒子のCRCは、60g/g以下、55g/g以下、50g/g以下、45g/g以下、43g/g以下、40g/g以下、39g/g以下、又は、38g/g以下であってよい。これらの観点から、吸水性樹脂粒子のCRCは、10~60g/gであってよい。
【0067】
CRCは、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称である。吸水性樹脂粒子のCRCは、EDANA法(NWSP 241.0.R2(15)、page.769~778)を参考に、後述する実施例に記載の方法によって測定可能であり、具体的には、乾燥状態の0.2gの吸水性樹脂粒子が収容された不織布バッグを生理食塩水1000gに30分浸漬させた後、遠心分離機を用いて遠心分離を施して水切りを行った際の吸水倍率として得ることができる。吸水性樹脂粒子のCRCとしては、室温における測定値を用いることができる。
【0068】
本実施形態に係る荷重下吸水量の向上方法は、粉砕工程の後に、上述の追架橋工程と、吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を測定する測定工程と、を備えてよい。吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は、11mL/g以上、12mL/g以上、15mL/g以上、又は、20mL/g以上が好ましい。荷重下吸水量は、後述する実施例に記載の方法によって測定できる。吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量は、室温における測定値を用いることができる。
【0069】
本実施形態に係る吸収体は、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子を含有する。本実施形態に係る吸収体は、繊維状物を含有していてもよく、例えば、吸水性樹脂粒子及び繊維状物を含む混合物である。吸収体の構成としては、例えば、吸水性樹脂粒子及び繊維状物が均一混合された構成であってよく、シート状又は層状に形成された繊維状物の間に吸水性樹脂粒子が挟まれた構成であってもよく、その他の構成であってもよい。
【0070】
繊維状物としては、微粉砕された木材パルプ;コットン;コットンリンター;レーヨン;セルロースアセテート等のセルロース系繊維;ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の合成繊維;これらの繊維の混合物などが挙げられる。繊維状物としては、親水性繊維を用いることができる。
【0071】
吸収体の使用前及び使用中における形態保持性を高めるために、繊維状物に接着性バインダーを添加することによって繊維同士を接着させてもよい。接着性バインダーとしては、熱融着性合成繊維、ホットメルト接着剤、接着性エマルジョン等が挙げられる。
【0072】
熱融着性合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等の全融型バインダー;ポリプロピレンとポリエチレンとのサイドバイサイド又は芯鞘構造からなる非全融型バインダーなどが挙げられる。上述の非全融型バインダーにおいては、ポリエチレン部分のみ熱融着することができる。
【0073】
ホットメルト接着剤としては、例えば、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロックコポリマー、アモルファスポリプロピレン等のベースポリマーと、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤等との混合物が挙げられる。
【0074】
接着性エマルジョンとしては、例えば、メチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ブタジエン、エチレン、及び、酢酸ビニルからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体の重合物が挙げられる。
【0075】
本実施形態に係る吸収体は、無機粒子(例えば非晶質シリカ)、消臭剤、抗菌剤、顔料、染料、香料、粘着剤等を含有してもよい。吸水性樹脂粒子が無機粒子を含む場合、吸収体は、吸水性樹脂粒子中の無機粒子とは別に無機粒子を含有してよい。
【0076】
本実施形態に係る吸収体の形状は、例えばシート状であってよい。吸収体の厚さ(例えば、シート状の吸収体の厚さ)は、0.1~20mm又は0.3~15mmであってよい。
【0077】
吸収体における吸水性樹脂粒子の含有量は、充分な吸収特性を得やすい観点から、吸水性樹脂粒子及び繊維状物の合計に対して、2~95質量%、10~80質量%又は20~60質量%であってよい。
【0078】
吸収体における吸水性樹脂粒子の含有量は、充分な吸収特性を得やすい観点から、吸収体1m当たり、100~1000g、150~800g、又は、200~700gが好ましい。吸収体における繊維状物の含有量は、充分な吸収特性を得やすい観点から、吸収体1mあたり、50~800g、100~600g、又は、150~500gが好ましい。
【0079】
本実施形態に係る吸収性物品は、本実施形態に係る吸収体を備える。本実施形態に係る吸収性物品の他の構成部材としては、吸収体を保形すると共に吸収体の構成部材の脱落や流動を防止するコアラップ;吸液対象の液が浸入する側の最外部に配置される液体透過性シート;吸液対象の液が浸入する側とは反対側の最外部に配置される液体不透過性シート等が挙げられる。吸収性物品としては、おむつ(例えば紙おむつ)、トイレトレーニングパンツ、失禁パッド、衛生材料(生理用ナプキン、タンポン等)、汗取りパッド、ペットシート、簡易トイレ用部材、動物排泄物処理材などが挙げられる。
【0080】
図1は、吸収性物品の一例を示す断面図である。図1に示す吸収性物品100は、吸収体10と、コアラップ20a,20bと、液体透過性シート30と、液体不透過性シート40と、を備える。吸収性物品100において、液体不透過性シート40、コアラップ20b、吸収体10、コアラップ20a、及び、液体透過性シート30がこの順に積層している。図1において、部材間に間隙があるように図示されている部分があるが、当該間隙が存在することなく部材間が密着していてよい。
【0081】
吸収体10は、吸水性樹脂粒子10aと、繊維状物を含む繊維層10bと、を有する。吸水性樹脂粒子10aは、繊維層10b内に分散している。
【0082】
コアラップ20aは、吸収体10に接した状態で吸収体10の一方面側(図1中、吸収体10の上側)に配置されている。コアラップ20bは、吸収体10に接した状態で吸収体10の他方面側(図1中、吸収体10の下側)に配置されている。吸収体10は、コアラップ20aとコアラップ20bとの間に配置されている。コアラップ20a,20bとしては、ティッシュ、不織布、織布、液体透過孔を有する合成樹脂フィルム、網目を有するネット状シート等が挙げられる。コアラップ20a及びコアラップ20bは、例えば、吸収体10と同等の大きさの主面を有している。
【0083】
液体透過性シート30は、吸収対象の液が浸入する側の最外部に配置されている。液体透過性シート30は、コアラップ20aに接した状態でコアラップ20a上に配置されている。液体透過性シート30としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂からなる不織布、多孔質シートなどが挙げられる。液体不透過性シート40は、吸収性物品100において液体透過性シート30とは反対側の最外部に配置されている。液体不透過性シート40は、コアラップ20bに接した状態でコアラップ20bの下側に配置されている。液体不透過性シート40としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなるシート、これらの合成樹脂と不織布との複合材料からなるシートなどが挙げられる。液体透過性シート30及び液体不透過性シート40は、例えば、吸収体10の主面よりも広い主面を有しており、液体透過性シート30及び液体不透過性シート40の外縁部は、吸収体10及びコアラップ20a,20bの周囲に延在している。
【0084】
吸収体10、コアラップ20a,20b、液体透過性シート30、及び、液体不透過性シート40の大小関係は、特に限定されず、吸収性物品の用途等に応じて適宜調整される。また、コアラップ20a,20bを用いて吸収体10を保形する方法は、特に限定されず、図1に示すように複数のコアラップにより吸収体を包んでよく、1枚のコアラップにより吸収体を包んでもよい。
【0085】
吸収体は、トップシートに接着されていてもよい。吸収体がコアラップにより挟持又は被覆されている場合、少なくともコアラップとトップシートとが接着されていることが好ましく、コアラップとトップシートとが接着されていると共にコアラップと吸収体とが接着されていることがより好ましい。吸収体の接着方法としては、ホットメルト接着剤をトップシートに対して所定間隔で幅方向にストライプ状、スパイラル状等に塗布して接着する方法;デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、その他の水溶性高分子等の水溶性バインダーを用いて接着する方法などが挙げられる。また、吸収体が熱融着性合成繊維を含む場合、熱融着性合成繊維の熱融着によって接着する方法を採用してもよい。
【0086】
本実施形態によれば、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子、吸収体又は吸収性物品を用いた吸液方法を提供することができる。本実施形態に係る吸液方法は、本実施形態に係る吸水性樹脂粒子、吸収体又は吸収性物品に吸液対象の液を接触させる工程を備える。本実施形態によれば、吸液への吸水性樹脂粒子、吸収体及び吸収性物品の応用を提供することができる。
【0087】
本実施形態によれば、上述の吸水性樹脂粒子を用いた、吸収体の製造方法を提供することができる。本実施形態に係る吸収体の製造方法は、上述の吸水性樹脂粒子を得る吸水性樹脂粒子製造工程を備える。本実施形態に係る吸収体の製造方法は、吸水性樹脂粒子製造工程の後に、吸水性樹脂粒子と繊維状物とを混合する工程を備えてよい。本実施形態によれば、上述の吸収体の製造方法により得られた吸収体を用いた、吸収性物品の製造方法を提供することができる。本実施形態に係る吸収性物品の製造方法は、上述の吸収体の製造方法により吸収体を得る吸収体製造工程を備える。本実施形態に係る吸収性物品の製造方法は、吸収体製造工程の後に、吸収体と吸収性物品の他の構成部材とを用いて吸収性物品を得る工程を備えてよく、当該工程では、例えば、吸収体と吸収性物品の他の構成部材とを互いに積層することにより吸収性物品を得る。
【実施例
【0088】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0089】
<吸水性樹脂粒子の作製>
(実施例1)
フッ素樹脂コーティングした内面を有するステンレスバット(開口部の外寸法:210mm×170mm、底面の内寸法:170×130mm、高さ:30mm)内の中心部に撹拌子(直径:8mm、長さ:40mm、リングなし)を入れた。アクリル酸ナトリウム部分中和液(重合に用いる単量体、単量体濃度:45質量%、アクリル酸ナトリウムの中和率:75モル%)340.0g、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.0077g(内部架橋剤、0.044ミリモル)、及び、イオン交換水59.0gを加えた後、撹拌子を回転させることにより均一に混合して混合物を得た。その後、ステンレスバットの上部をポリエチレンフィルムでカバーした。ステンレスバッド内の前記混合物の温度を25℃に調整後、混合物を窒素置換することにより溶存酸素量を0.1ppm以下に調整した。次いで、300rpmの撹拌下で、2質量%過硫酸カリウム水溶液3.09g(過硫酸カリウム:0.229ミリモル)、及び、0.5質量%L-アスコルビン酸水溶液0.65gを順に滴下することにより単量体水溶液を調製した。単量体水溶液中のアクリル酸ナトリウム部分中和物濃度は38質量%であった。0.5質量%L-アスコルビン酸水溶液を滴下して2分後に重合が開始した。重合開始から22分後に最高温度に到達した後、温度が下がり始めた。得られた生成物を容器に入れたまま75℃の水浴に浸して20分間熟成することによりゲル(重合後ゲル)を得た。
【0090】
熟成後のゲルの全量を容器から取り出した後、5cm間隔の格子状に切れ目を入れて裁断した。裁断したゲルの全量をミートチョッパー(型番:12VR-750SDX、喜連ローヤル株式会社製)に順次投入してゲルを粗砕した。ミートチョッパーの出口に位置するプレートの穴(円形)の径は6.4mmであり、穴の密度は40穴/36.30cmであった。ミートチョッパーのプレートから粗砕物(粗砕されたゲル、含水ゲル粗砕物)が出てこなくなるまで粗砕を行った。次いで、粗砕物を180℃で30分間熱風乾燥することにより乾燥物(架橋重合体乾燥物)を得た。
【0091】
乾燥物を低密度ポリエチレン袋(サイズ:チャック下120mm×85mm、厚さ:0.04mm)に20g入れた。低密度ポリエチレン袋の上で4.0kgのローラー(ステンレス製、径:10.5cm、幅:6.0cm)を15往復させて乾燥物を解砕することにより粉砕前の架橋重合体として解砕物を得た。粉砕前の架橋重合体の静的吸水保持能を後述の手順で測定した。
【0092】
超遠心粉砕機(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、製品名:ZM200、6本刃ローター、ローター回転数:6000rpm、スクリーン梯形孔:1.00mm)を用いて解砕物20gを粉砕することにより粉砕後の架橋重合体として架橋重合体粒子を得た。粉砕後の架橋重合体の静的吸水保持能及び中位粒子径を後述の手順で測定した。
【0093】
フッ素樹脂製の碇型撹拌翼を備えた内径11cmの丸底円筒型セパラブルフラスコに上述の架橋重合体粒子5.0gを量りとった。次に、400rpmで撹拌しながら、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.057ミリモル)、水0.600g、プロピレングリコール0.200g、及び、イソプロピルアルコール0.200gを混合して得られた架橋剤水溶液をパスツールピペットにてセパラブルフラスコ内に滴下することにより混合物を得た。この混合物を40分間撹拌させながら、180℃のオイルバスにセパラブルフラスコを浸けて混合物を加熱することにより追架橋を行った。室温まで冷却した後、混合物を目開き850μmのメッシュに通すことにより吸水性樹脂粒子を4.5g得た。
【0094】
(実施例2)
重合後ゲルを得るために使用するエチレングリコールジグリシジルエーテル(内部架橋剤)の使用量を0.0155g(0.089ミリモル)に変更したこと、並びに、架橋剤水溶液の組成をエチレングリコールジグリシジルエーテル0.005g(0.029ミリモル)、水0.300g、プロピレングリコール0.100g、及び、イソプロピルアルコール0.100gに変更し追架橋を行ったこと以外は実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子を4.4g得た。
【0095】
(実施例3)
フッ素樹脂コーティングした内面を有するステンレスバット(開口部の外寸法:210mm×170mm、底面の内寸法:170×130mm、高さ:30mm)内の中心部に撹拌子(直径:8mm、長さ:40mm、リングなし)を入れた。アクリル酸ナトリウム部分中和液(重合に用いる単量体、単量体濃度:45質量%、アクリル酸ナトリウムの中和率:75モル%)340.0g、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.0541g(内部架橋剤、0.311ミリモル)、及び、イオン交換水59.0gを加えた後、撹拌子を回転させることにより均一に混合して混合物を得た。その後、ステンレスバットの上部をポリエチレンフィルムでカバーした。ステンレスバッド内の前記混合物の温度を25℃に調整後、混合物を窒素置換することにより溶存酸素量を0.1ppm以下に調整した。次いで、300rpmの撹拌下で、2質量%過硫酸カリウム水溶液6.19g(過硫酸カリウム:0.458ミリモル)、及び、0.5質量%L-アスコルビン酸水溶液1.30gを順に滴下することにより単量体水溶液を調製した。単量体水溶液中のアクリル酸ナトリウム部分中和物濃度は38質量%であった。0.5質量%L-アスコルビン酸水溶液を滴下して1分後に重合が開始した。重合開始から12分後に最高温度に到達した後、温度が下がり始めた。得られた生成物を容器に入れたまま75℃の水浴に浸して20分間熟成することによりゲル(重合後ゲル)を得た。
【0096】
熟成後のゲルの全量を容器から取り出した後、5cm間隔の格子状に切れ目を入れて裁断した。裁断したゲルの全量をミートチョッパー(型番:12VR-750SDX、喜連ローヤル株式会社製)に順次投入してゲルを粗砕した。ミートチョッパーの出口に位置するプレートの穴(円形)の径は6.4mmであり、穴の密度は40穴/36.30cmであった。ミートチョッパーのプレートから粗砕物(粗砕されたゲル、含水ゲル粗砕物)が出てこなくなるまで粗砕を行った。次いで、粗砕物を180℃で30分間熱風乾燥することにより乾燥物(架橋重合体乾燥物)を得た。
【0097】
乾燥物を低密度ポリエチレン袋(サイズ:チャック下120mm×85mm、厚さ:0.04mm)に20g入れた。低密度ポリエチレン袋の上で4.0kgのローラー(ステンレス製、径:10.5cm、幅:6.0cm)を15往復させて乾燥物を解砕することにより粉砕前の架橋重合体として解砕物を得た。粉砕前の架橋重合体の静的吸水保持能を後述の手順で測定した。
【0098】
超遠心粉砕機(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製、製品名:ZM200、6本刃ローター、ローター回転数:6000rpm、スクリーン梯形孔:1.00mm)を用いて解砕物20gを粉砕することにより粉砕後の架橋重合体として架橋重合体粒子を得た。粉砕後の架橋重合体の静的吸水保持能及び中位粒子径を後述の手順で測定した。
【0099】
フッ素樹脂製の碇型撹拌翼を備えた内径11cmの丸底円筒型セパラブルフラスコに上述の架橋重合体粒子5.0gを量りとった。次に、400rpmで撹拌しながら、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.057ミリモル)、水0.600g、プロピレングリコール0.200g、及び、イソプロピルアルコール0.200gを混合して得られた架橋剤水溶液をパスツールピペットにてセパラブルフラスコ内に滴下することにより混合物を得た。この混合物を40分間撹拌させながら、180℃のオイルバスにセパラブルフラスコを浸けて混合物を加熱することにより追架橋を行った。室温まで冷却した後、混合物を目開き850μmのメッシュに通すことにより吸水性樹脂粒子を4.6g得た。
【0100】
(比較例1)
重合後ゲルを得るために使用するエチレングリコールジグリシジルエーテル(内部架橋剤)の使用量を0.0541g(0.311ミリモル)に変更したこと、並びに、架橋剤水溶液の組成をエチレングリコールジグリシジルエーテル0.010g(0.057ミリモル)、水0.600g、プロピレングリコール0.200g、及び、イソプロピルアルコール0.200gに変更し追架橋を行ったこと以外は実施例1と同様にして吸水性樹脂粒子を4.5g得た。
【0101】
<架橋重合体の静的吸水保持能>
架橋重合体の静的吸水保持能を下記の手順で測定した。粉砕前の架橋重合体の静的吸水保持能は、測定前に架橋重合体を粒子径1.4~1.7mmに分級した。
【0102】
85mm×170mmの大きさの不織布(製品名:ヒートパックMWA-18、日本製紙パピリア株式会社製)を長手方向に半分に折ることで85mm×85mmの大きさに調整した。長手方向に延びる両辺のそれぞれにおいて不織布同士をヒートシールで圧着することにより85mm×85mmの不織布バッグを作製した(幅5mmの圧着部を長手方向に沿って両辺に形成した)。不織布バッグの内部に上述の架橋重合体を0.2g収容した。その後、短手方向に延びる残りの一辺をヒートシールで圧着することにより不織布バッグを閉じた。
【0103】
不織布バッグが折り重ならない状態で、ステンレス製バット(240mm×320mm×45mm)に収容された生理食塩水500g上に不織布バッグを浮かべることにより、不織布バッグの全体を完全に湿らせた。不織布バッグを生理食塩水に投入してから1分後にスパチュラにて不織布バッグを生理食塩水に浸漬することにより、ゲルが収容された不織布バッグを得た。
【0104】
不織布バッグを生理食塩水に投入してから30分後(浮かべた時間1分、及び、浸漬時間29分の合計)に生理食塩水の中から不織布バッグを取り出した。そして、遠心分離機(株式会社コクサン製、型番:H-122)に不織布バッグを入れた。遠心分離機における遠心力が250Gに到達した後、3分間不織布バッグの脱水を行った。脱水後、ゲルの質量を含む不織布バッグの質量Mを秤量した。架橋重合体を収容することなく不織布バッグに対して上述の操作と同様の操作を施し、不織布バッグの質量Mを測定した。下記式に基づき静的吸水保持能を算出した。Mは、測定に用いた架橋重合体の質量0.2gの精秤値である。架橋重合体の粉砕前の静的吸水保持能に対する架橋重合体の粉砕後の静的吸水保持能の比率を含め、結果を表1に示す。
静的吸水保持能[g/g] = (M-M)/M
【0105】
<粒度分布>
連続全自動音波振動式ふるい分け測定器(ロボットシフター RPS-205、株式会社セイシン企業製)を用いて、JIS規格の目開き850μm、710μm、600μm、500μm、300μm、250μm及び150μmの篩、並びに、受け皿で架橋重合体粒子5gの粒度分布を測定した。「0μmを超え150μm未満」、「150μm以上300μm未満」、「300μm以上600μm未満」、「600μm以上850μm未満」、「850μm以上」の粒子径範囲の質量割合を得た。「600μm以上850μm未満」の質量百分率は、710μm及び600μmの篩上に残存した粒子の合計量に基づき算出し、「300μm以上600μm未満」の質量百分率は、500μm及び300μmの篩上に残存した粒子の合計量に基づき算出し、「150μm以上300μm未満」の質量百分率は、250μm及び150μmの篩上に残存した粒子の合計量に基づき算出した。結果を表1に示す。
【0106】
<中位粒子径>
上記の粒度分布に関して、篩上に残存した粒子の質量を粒子径の大きい方から順に積算することにより、篩の目開きと、篩上に残った粒子の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットした。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を中位粒子径として得た。結果を表1に示す。
【0107】
<吸水性樹脂粒子のCRC>
EDANA法(NWSP 241.0.R2(15)、page.769~778)を参考に吸水性樹脂粒子のCRCを下記の手順で測定した。
【0108】
60mm×170mmの大きさの不織布(製品名:ヒートパックMWA-18、日本製紙パピリア株式会社製)を長手方向に半分に折ることで60mm×85mmの大きさに調整した。長手方向に延びる両辺のそれぞれにおいて不織布同士をヒートシールで圧着することにより60mm×85mmの不織布バッグを作製した(幅5mmの圧着部を長手方向に沿って両辺に形成した)。不織布バッグの内部に上述の吸水性樹脂粒子を0.2g収容した。その後、短手方向に延びる残りの一辺をヒートシールで圧着することにより不織布バッグを閉じた。
【0109】
不織布バッグが折り重ならない状態で、ステンレス製バット(240mm×320mm×45mm)に収容された生理食塩水1000g上に不織布バッグを浮かべることにより、不織布バッグの全体を完全に湿らせた。不織布バッグを生理食塩水に投入してから1分後にスパチュラにて不織布バッグを生理食塩水に浸漬することにより、ゲルが収容された不織布バッグを得た。
【0110】
不織布バッグを生理食塩水に投入してから30分後(浮かべた時間1分、及び、浸漬時間29分の合計)に生理食塩水の中から不織布バッグを取り出した。そして、遠心分離機(株式会社コクサン製、型番:H-122)に不織布バッグを入れた。遠心分離機における遠心力が250Gに到達した後、3分間不織布バッグの脱水を行った。脱水後、ゲルの質量を含む不織布バッグの質量Mを秤量した。吸水性樹脂粒子を収容することなく不織布バッグに対して上述の操作と同様の操作を施し、不織布バッグの質量Mを測定した。下記式に基づきCRCを算出した。Mは、測定に用いた吸水性樹脂粒子の質量0.2gの精秤値である。結果を表1に示す。
CRC[g/g] = {(M-M)-M}/M
【0111】
<荷重下吸水量>
吸水性樹脂粒子の荷重下(加圧下)の生理食塩水の吸水量(室温)を、図2に示す測定装置Yを用いて測定した。測定装置Yは、ビュレット部61、導管62、測定台63、及び、測定台63上に置かれた測定部64から構成される。ビュレット部61は、鉛直方向に伸びるビュレット61aと、ビュレット61aの上端に配置されたゴム栓61bと、ビュレット61aの下端に配置されたコック61cと、コック61cの近傍において一端がビュレット61a内に伸びる空気導入管61dと、空気導入管61dの他端側に配置されたコック61eとを有している。導管62は、ビュレット部61と測定台63との間に取り付けられている。導管62の内径は6mmである。測定台63の中央部には、直径2mmの穴があいており、導管62が連結されている。測定部64は、円筒64a(アクリル樹脂(プレキシグラス)製)と、円筒64aの底部に接着されたナイロンメッシュ64bと、重り64cとを有している。円筒64aの内径は20mmである。ナイロンメッシュ64bの目開きは75μm(200メッシュ)である。そして、測定時にはナイロンメッシュ64b上に測定対象の吸水性樹脂粒子65が均一に撒布される。重り64cの直径は19mmであり、重り64cの質量は119.6gである。重り64cは、吸水性樹脂粒子65上に置かれ、吸水性樹脂粒子65に対して4.14kPaの荷重を加えることができる。
【0112】
測定装置Yの円筒64aの中に0.100gの吸水性樹脂粒子65を入れた後、重り64cを載せて測定を開始した。吸水性樹脂粒子65が吸水した生理食塩水と同容積の空気が、空気導入管より、速やかにかつスムーズにビュレット61aの内部に供給されるため、ビュレット61aの内部の生理食塩水の水位の減量が、吸水性樹脂粒子65が吸水した生理食塩水量となる。ビュレット61aの目盛は、上から下方向に0mLから0.5mL刻みで刻印されており、生理食塩水の水位として、吸水開始前のビュレット61aの目盛りVaと、吸水開始から60分後のビュレット61aの目盛りVbとを読み取り、下記式より荷重下の吸水量を算出した。結果を表1に示す。
荷重下の吸水量[mL/g] = (Vb-Va)/0.1
【0113】
【表1】
【0114】
表1によれば、粉砕工程における粉砕前後の静的吸水保持能の比率を調整することが吸水性樹脂粒子の荷重下吸水量を向上させることに有効であることが確認される。
【符号の説明】
【0115】
10…吸収体、10a,65…吸水性樹脂粒子、10b…繊維層、20a,20b…コアラップ、30…液体透過性シート、40…液体不透過性シート、61…ビュレット部、61a…ビュレット、61b…ゴム栓、61c,61e…コック、61d…空気導入管、62…導管、63…測定台、64…測定部、64a…円筒、64b…ナイロンメッシュ、64c…重り、100…吸収性物品、Y…測定装置。

図1
図2