(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20240306BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20240306BHJP
F21S 41/141 20180101ALI20240306BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20240306BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240306BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/60
F21S41/141
F21W102:00
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020079713
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】長尾 真樹
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-186513(JP,A)
【文献】特開2019-102614(JP,A)
【文献】特開2016-225515(JP,A)
【文献】特開2017-108091(JP,A)
【文献】特開2019-041044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に発光素子を載置する載置工程と、
第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面と、前記第1主面から前記第2主面まで貫通する貫通孔とを有する遮光フレームであって、前記第2主面は平坦部と前記貫通孔と連続する凹部とを有する遮光フレームを準備する遮光フレーム準備工程と、
前記遮光フレームの第2主面の少なくとも前記平坦部上に光反射性樹脂を供給する光反射性樹脂供給工程と、
前記貫通孔の内周より小さい外周を有する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面に連続する第1側面と、前記第1側面より外側に位置し、前記第2面に連続する第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面に連続する第3面と、を有する透光性部材を準備する透光性部材準備工程と、
前記透光性部材の第1側面と前記貫通孔の内側面とが離隔する位置で前記第3面と前記光反射性樹脂とを接触させることにより前記透光性部材の第1側面と前記貫通孔の内側面との間及び前記凹部内に前記光反射性樹脂を配置し、前記光反射性樹脂を硬化させて第1光反射性部材を形成し、前記遮光フレームと前記透光性部材とが前記第1光反射性部材により接合された光学部材を形成する光学部材形成工程と、
前記発光素子の上面と前記第2面とを接合する光学部材接合工程と、
を含
み、
前記光学部材形成工程において、前記凹部は、前記透光性部材の前記第2側面よりも外側まで延在している、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記光反射性樹脂供給工程において、
前記光反射性樹脂は前記凹部から前記平坦部に亘って供給される、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記光反射性樹脂供給工程において、前記光反射性樹脂の最頂部が前記平坦部上に位置する、請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記光学部材形成工程において、前記光反射性樹脂と前記第3面との接触は、前記光反射性樹脂の高さに起因して時間差を伴う、請求項2または3に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記遮光フレームにおいて、前記凹部の底面は前記第2主面に対して傾斜している、請求項1~4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記凹部は、前記遮光フレームの外縁と離隔する、請求項1~5のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
上から平面視したときの前記遮光フレームの形状は略長方形であり、
前記長方形の一辺において、前記平坦部は2つの前記凹部に挟まれている、請求項1~6のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
上から平面視したときの前記遮光フレームの形状は略長方形であり、
前記凹部は、前記遮光フレームの長辺部分に配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記遮光フレームの前記長辺部分は平面視において幅広領域と、前記幅広領域よりも幅狭となる幅狭領域と、を有し、
前記凹部の少なくとも一部は、前記長辺部分の前記幅広領域に配置される、請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記凹部が平面視において矩形状を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
基板上に発光素子を載置する載置工程と、
第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面と、前記第1主面から前記第2主面まで貫通する貫通孔とを有する遮光フレームであって、前記第2主面は平坦部と前記貫通孔と連続する凹部とを有する遮光フレームを準備する遮光フレーム準備工程と、
前記遮光フレームの第2主面の少なくとも前記平坦部上に光反射性樹脂を供給する光反射性樹脂供給工程と、
前記貫通孔の内周より小さい外周を有する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面に連続する第1側面と、前記第1側面より外側に位置し、前記第2面に連続する第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面に連続する第3面と、を有する透光性部材を準備する透光性部材準備工程と、
前記透光性部材の第1側面と前記貫通孔の内側面とが離隔する位置で前記第3面と前記光反射性樹脂とを接触させることにより前記透光性部材の第1側面と前記貫通孔の内側面との間及び前記凹部内に前記光反射性樹脂を配置し、前記光反射性樹脂を硬化させて第1光反射性部材を形成し、前記遮光フレームと前記透光性部材とが前記第1光反射性部材により接合された光学部材を形成する光学部材形成工程と、
前記発光素子の上面と前記第2面とを接合する光学部材接合工程と、
を含み、
上から平面視したときの前記遮光フレームの形状は略長方形であり、
前記長方形の一辺において、前記平坦部は2つの前記凹部に挟まれている、発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載用途等の光源としてLED等の発光素子を用いて構成した高出力の発光装置が用いられるようになってきている。例えば、特許文献1には、車載用の光源として用いられる高出力の発光装置において、発光素子の発光面の周縁部を覆うように放熱層を形成して、放熱効果を高めた発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、光出射面の内側と外側における輝度差を大きくできかつ発光素子が発光した光を効率よく取り出せる発光装置を簡易に得ることができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る一実施形態の発光装置の製造方法は、
基板上に発光素子を載置する載置工程と、
第1主面と、前記第1主面と反対側の第2主面と、前記第1主面から前記第2主面まで貫通する貫通孔とを有する遮光フレームであって、前記第2主面は平坦部と前記貫通孔と連続する凹部とを有する遮光フレームを準備する遮光フレーム準備工程と、
前記遮光フレームの第2主面の少なくとも前記平坦部上に光反射性樹脂を供給する光反射性樹脂供給工程と、
前記貫通孔の内周より小さい外周を有する第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第1面に連続する第1側面と、前記第1側面より外側に位置し、前記第2面に連続する第2側面と、前記第1側面及び前記第2側面に連続する第3面と、を有する透光性部材を準備する透光性部材準備工程と、
前記透光性部材の第1側面と前記貫通孔の内側面とが離隔する位置で前記第3面と前記光反射性樹脂とを接触させることにより前記透光性部材の第1側面と前記貫通孔の内側面との間及び前記凹部内に前記光反射性樹脂を配置し、前記光反射性樹脂を硬化させて第1光反射性部材を形成し、前記遮光フレームと前記透光性部材とが前記第1光反射性部材により接合された光学部材を形成する光学部材形成工程と、
前記発光素子の上面と前記第2面とを接合する光学部材接合工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0006】
以上のように構成された本発明に係る一実施形態の発光装置の製造方法では、光出射面の内側と外側における輝度差を大きくできかつ発光素子が発光した光を効率よく取り出せる発光装置を簡易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る発光装置の一例を示す模式的平面図である。
【
図2A】
図1のIIA-IIA線における模式的断面図である。
【
図2B】
図1のIIB-IIB線における模式的断面図である。
【
図3】実施形態に係る発光装置の遮光フレームの一例を示す模式的斜視図である。
【
図4】実施形態に係る発光装置の遮光フレームの一例を示す模式的平面図である。
【
図5】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的斜視図である。
【
図6】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的平面図である。
【
図7A】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的斜視図である。
【
図7B】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的側面図である。
【
図8A】実施形態に係る発光装置の透光性部材の一例を示す模式的斜視図である。
【
図8B】実施形態に係る発光装置の透光性部材の一例を示す平面図および側面図である。
【
図9A】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図9B】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図10A】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図10B】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図10C】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図10D】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図10E】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図10F】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図11A】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図11B】実施形態に係る製造方法の一例を示す模式的断面図である。
【
図12A】実施形態に係る製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図12B】実施形態に係る製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図12C】実施形態に係る製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図12D】実施形態に係る製造方法の一例を説明するための模式的断面図である。
【
図13A】実施形態に係る発光装置の遮光フレームのある態様を示す模式的平面図である。
【
図13B】実施形態に係る発光装置の遮光フレームのある態様を示す模式的平面図である。
【
図14】実施形態に係る製造方法のある態様を示す模式的断面図である。
【
図15】実施形態に係る発光装置の透光性部材及び遮光フレームのある態様を示す模式的平面図である。
【
図16】実施形態に係る発光装置の遮光フレームのある様態を示す模式的斜視図である。
【
図17】実施形態に係る発光装置の遮光フレームのある様態を示す模式的平面図である。
【
図18A】実施形態に係る製造方法のある様態を説明するための模式的斜視図である。
【
図18B】実施形態に係る製造方法のある様態を説明するための模式的側面図である。
【
図19】実施形態に係る発光装置の遮光フレームのある態様を示す模式的平面図である。
【
図20】実施形態に係る発光装置の遮光フレームのある態様を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態の製造方法、及びそれにより得られる発光装置(以下では「実施形態の発光装置」と称すことがある)について図面を参照しながら説明する。但し、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具現化するためのものであって、本発明を限定するものではない。以下の説明において参照する図面は、本発明に係る実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔及び位置関係等が誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。断面図は、切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。また、本明細書において「被覆」「覆う」等の用語は直接接する場合に限定するものではなく、特に断らない限り、間接的に(例えば他の部材を介して)被覆する場合も含むものである。
【0009】
≪実施形態の発光装置≫
実施形態の発光装置は、遮光フレームと透光性部材と発光素子とを少なくとも備えている。具体的には、
図1ならびに
図2A及び
図2Bに示すように、発光装置は、基板10と、基板10上に載置された発光素子1と、発光素子1の主たる発光面となる上面に対向するように設けられた透光性部材3と、透光性部材3の側面に設けられた第1光反射性部材9aと、透光性部材3の周りにおいて第1光反射性部材9aと接して設けられた遮光フレーム5とを備える。
【0010】
より具体的には、遮光フレーム5は、第1主面5aと、第1主面5aと反対側の第2主面5bと、第1主面5aから第2主面5bまで貫通する貫通孔50とを有する。遮光フレーム5の第2主面は平坦部55と凹部58とを有し、凹部58は貫通孔50に連続するように配置されている。遮光フレーム5の第1主面5aは発光装置の上面の一部を構成している。
透光性部材3は、遮光フレーム5が有する貫通孔50の内周より小さい外周を有する第1面3aと、第1面3aの反対側の第2面3bと、第1面3aに連続する第1側面3cと、第1側面3cより外側に位置し、第2面3bに連続する第2側面3dと、第1側面3c及び第2側面3dに連続する第3面3eと、を有する。透光性部材3の第1面3aは発光装置の上面の一部を構成しており、透光性部材の第2面5bは発光素子1の上面に接合されている。
遮光フレーム5と透光性部材3とが第1光反射性部材9aにより接合されて光学部材60を構成している。光学部材60において、透光性部材3と遮光フレーム5とは離隔しており、透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の貫通孔50の内側面とが第1光反射性部材9aを介して接合されている。
さらに、実施形態の発光装置は、第1光反射性部材9aと基板10との間に、第2光反射性部材9bを備える。第2光反射性部材9bは、光学部材60の上面を露出し、光学部材60の上面以外の表面、発光素子1の側面及び基板10の上面を被覆する。以下、第1光反射性部材9aと第2光反射性部材9bとを合わせて「光反射性部材9」と呼ぶことがある。
【0011】
実施形態の発光装置では、遮光フレーム5の貫通孔50に透光性部材3が配置されている。具体的には、
図2A及び
図2Bに示すように、透光性部材3は、第1光反射性部材9aを介して遮光フレーム5の貫通孔50の内側面と透光性部材3の第1側面3cが接合されるように設けられている。さらに、実施形態の発光装置は、
図1に示するように、上方から(つまり発光装置の光出射面側から)平面視したときに、透光性部材3の第1面3aは第1光反射性部材9a及び遮光フレーム5から露出している。透光性部材3の第1面3aと、遮光フレーム5の上面とは実質的に同じ平面上に位置することが好ましい。つまり透光性部材3の第1面3aと遮光フレーム5の上面とは、互いに面一となっていることが好ましい。
【0012】
実施形態の発光装置では、上方から(つまり発光装置の光出射面側から)平面視したときに、貫通孔50の内周が透光性部材3の第1面3aの外周から離れて位置し、遮光フレーム5の貫通孔50の内周と透光性部材3の第1面3aの外周との間に第1光反射性部材9aが設けられている。つまり、遮光フレーム5の第1主面5aと透光性部材3の第1面3aとは第1光反射性部材9aを介することにより互いに離隔している。このように、発光装置は、透光性部材3と遮光フレーム5との間に第1光反射性部材9aを介在させることにより、透光性部材3と遮光フレーム5と離隔して配置させることができる。
【0013】
実施形態の発光装置は、光出射面とその光出射面を取り囲む領域との輝度差を大きくでき、かつ発光素子が発光した光を効率よく取り出すことができる。
実施形態の発光装置において、貫通孔50の内周と透光性部材3の第1面3aの外周との間隔は、光出射面の第1面3aの内側と外側における輝度差を大きくすることと発光素子が発光した光を効率よく取り出すこととを両立させるために、5μm以上150μm以下であってよく、例えば40μm以上60μm以下であってよい。
【0014】
ここで、実施形態の発光装置では、遮光フレームの第2主面5bは、平坦部と凹部とを有し、凹部は貫通孔と連続している。具体的には、遮光フレーム5は、貫通孔50とそれを形作る枠部分52とを有しており、遮光フレーム5は枠部分52として、第1主面5aと、第1主面5aの反対側の第2主面を有する。そして、遮光フレームの第2主面5bは、平坦部と、平坦部よりも第1主面側に位置する底面を有する凹部とを有する。凹部の底面は貫通孔と繋がっている。
【0015】
図3および
図4に、実施形態において用いられる遮光フレーム5の一例を示す。遮光フレーム5は、発光装置の上面において光出射面を除いた部分の輝度を下げるために設けられる部材である。貫通孔50には、透光性部材3が配置される。遮光フレーム5の第2主面5bは、製造時において光反射性樹脂が供給される領域であり、第1光反射性部材9aの形成に資する。
【0016】
光学部材形成工程において、平坦部55と、貫通孔50と連続する凹部58を備えた遮光フレーム5が用いられることによって、透光性部材3と遮光フレーム5との間の第1光反射性部材9aの配置領域にボイドの発生が抑制された光学部材を得ることができる。これにより、透光性部材と遮光フレームとの間に第1光反射性部材が介在することによる光の取りだし効率をより一層向上させることができる。さらに、発光装置の構成要素同士の接合強度を向上させることができる。
【0017】
上述したように、凹部58は、遮光フレーム5において、貫通孔50と連続している。言い換えると、遮光フレーム5は、貫通孔に開口する凹部58を有する。このような凹部58は、光学部材の形成に際して、光反射性樹脂の移動により生じるボイドを外部へと排出するように導くガイドの役割を果たすことができる。例えば、
図5に示すように、光反射性樹脂供給において遮光フレームの第2主面5bの平坦部55上に光反射性樹脂9a’が供給された場合を想定してみる。かかる場合、光学部材形成工程で透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間の空間に光反射性樹脂を移動させるべく、光反射性樹脂に対して透光性部材を接触させて押圧する。その際、ボイドが凹部を介して外部へと排出され易くなる。凹部は貫通孔50と連続し、かつ、平坦部よりも遮光フレームと透光性部材とが対向する空間部分が大きい箇所ゆえ、当該押圧に際して凹部に沿って光反射性樹脂が移動し易い。よって、光反射性樹脂9a’の移動に伴ってボイド80もまた凹部58へと相対的に移動し易くなり、結果として、
図6に示すように、凹部58を介してボイド80が外部へと抜け易くなる。
【0018】
また、凹部58は、遮光フレーム5において、部分的に厚みが薄い溝部に相当する。このような遮光フレームに対して光反射性樹脂が供給されると、遮光フレーム5上の光反射性樹脂の高さは、凹部に起因して全てが一定の高さにはならない。例えば
図7Aおよび
図7Bに示すように光反射性樹脂供給工程において光反射性樹脂9a’が凹部58から平坦部55に亘って供給される場合、遮光フレーム5上の光反射性樹脂9a’は局所的に異なる高さを有する。つまり、凹部58上に位置する光反射性樹脂9a’の遮光フレームの第1主面からの高さは、平坦部55上に位置する光反射性樹脂9a’の遮光フレームの第1主面からの高さより低い。このように遮光フレーム上に設けられた光反射性樹脂の高さが局所的に異なることによっても、第1光反射性部材の形成に際してボイド発生が抑制することができる。具体的には、光学部材形成工程では透光性部材の第1側面と遮光フレームの貫通孔の内側面との間に光反射性樹脂を配置させるべく、光反射性樹脂に対して透光性部材の第3面3eを接触させて押圧するが、その押圧に際して局所的に異なる光反射性樹脂の高さに起因して、透光性部材と光反射性樹脂との接触が時間差を伴うことになる。このような時間差を伴った接触は、当該空間から空気を外部へと逃げ易くし、結果としてボイド発生が抑制される。
【0019】
以下、実施形態の発光装置の全体構成および各構成部材について詳述する。
【0020】
実施形態の発光装置では、透光性部材3は発光装置の光出射面となる第1面3aと、その第1面の反対側の第2面3bとを有している。透光性部材3の第1面は遮光フレーム5の貫通孔の内周より小さい外周を有している。
図1に示すように、平面視において、透光性部材3の第2面3bの面積は透光性部材3の第1面3aの面積よりも大きくなっている。また、平面視において、透光性部材3の第1面3aの外周は、第2面3bの外周より内側に位置している。なお、透光性部材3の第1面3aの外周の一部は、第2面3bの外周と一致していてもよい。
透光性部材3の第1面3aの面積を第2面3bよりも小さくすることにより、透光性部材3の第2面3bから入射される発光素子1からの出射光を、より小さな面積である第1面3aから放出させることができる。つまり、透光性部材3を通過することにより発光面の面積が絞られて、高輝度でより遠くを照らすことが可能となる。正面輝度の高い発光装置は、特にヘッドライト等の車載照明に適している。なお、車載照明においては、その灯火類の色についての様々な規定が有り、例えば前照灯(ヘッドライト)の灯光の色は白色または淡黄色であり、そのすべてが同一であることが定められている。
【0021】
透光性部材3においては、上記の如く第1面3aと第2面3bとの大きさが異なっており、透光性部材3は鍔部30を有する。具体的には、
図8Aおよび
図8Bに示すように、透光性部材3は、第1面3aに連続する第1側面3cと、その第1側面3cより外側に位置し、第2面3bに連続する第2側面3dとを有しており、第1側面3c及び第2側面3dに連続する第3面3eを有している。図示するように、透光性部材3では、第2面3bの一部と第3面3eと第2側面3dとによって鍔部30が構成されている。端的にいえば、透光性部材3は、第2面3bの面積が第1面3aの面積よりも大きくなっていることに起因して、透光性部材3に鍔部30が設けられている。
【0022】
透光性部材3の第2面3bの外周の少なくとも一部は、発光装置を上方から平面視したときに遮光フレーム5の貫通孔50の内周の外側に位置する。
図1に示す実施形態の発光装置では、第2面3bの外周のうち、透光性部材3の第2側面3dに連なる部分が、上方から平面視したときに貫通孔50の内周よりも外側に位置している。透光性部材3の第2面3bの外周が例えば矩形を有する場合、第2面3bの外周の少なくとも一辺、例えば対向する2辺、好ましくは対向する2つの長辺が遮光フレーム5の貫通孔50の内周よりも外側に位置するように構成してよい。
【0023】
このように、ある好適な実施形態では、透光性部材3の第2面3bの外周の一部又は全てが上方から平面視したときに貫通孔50の内周の外側に位置する。また、透光性部材3の第1面3aの外周の全てが平面視したときに貫通孔50の内周の内側に位置する。さらに、この際、発光装置が備える発光素子は、透光性部材3の第2面3bの外周の内側に位置する。
【0024】
つまり、かかる実施形態の発光装置では、発光装置を上方(つまり発光装置の光出射面側)から平面視したときに、遮光フレーム5の貫通孔50の内側には、透光性部材3の第1面3aとその第1面3aの外周を取り囲む第1光反射性部材9aの上面が配置される。この際、遮光フレーム5の貫通孔50の内側の領域において、第1光反射性部材の下方の少なくとも一部に、透光性部材3が位置する。これにより、仮に第1光反射性部材9aにクラックや剥離が生じたとしても、透光性部材3が貫通孔50の内側に位置する部分については、貫通孔50から漏れる光は透光性部材3から出射される光のみとなり易い。
ここで、透光性部材3の第2面3bの外周が長辺と短辺を有する矩形である場合には、少なくとも第2面3bの外周の長辺が遮光フレーム5の貫通孔50の内周の外側に位置するように構成することが好ましい。これにより、車両用灯具等に適した、短辺方向より長辺方向により広がりが確保された配光パターンを有する発光装置とすることができる。
さらに、発光装置の上面において、遮光フレーム5に覆われる領域では光反射性部材9からの漏れ光は遮光フレーム5により遮光される。このため、仮に発光素子1の側方に位置する第2光反射性部材9bにクラックや剥離が生じたとしても、発光素子1の側面から出射された光がクラック及び/又は剥離箇所を通過して光出射面に漏れ伝わることをより一層効果的に抑制できる。
【0025】
実施形態の発光装置の一形態では、
図1に示すように、透光性部材3の第1面3aの外周の少なくとも一部は、上方から平面視したときに発光素子1の外周の内側に位置する。例えば、透光性部材3の第1面3aが略矩形状の場合、その矩形の長辺が、透光性部材の長辺側に位置する発光素子1の外周よりも内側に位置していてよい。
このようにすると、複数の発光素子1から出た光を集光して、透光性部材3の第1面3aから出射することができる。よって、発光素子1が発光した光をより光束密度の高い状態で発光装置の光出射面である透光性部材3の第1面3aから出射することができる。
【0026】
(基板)
基板10は、発光素子1等を支持する部材であり、少なくともその表面に発光素子1に電気的に接続される配線を有する。基板10の主な材料としては、絶縁性材料であって、発光素子1からの光及び外からの光が透過しにくい材料が好ましい。例えば、アルミナ、窒化アルミニウム等のセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン並びにポリフタルアミド等から選択された少なくとも一種の樹脂を挙げることができる。なお、樹脂を用いる場合には、必要に応じて、ガラス繊維、酸化ケイ素、酸化チタン及びアルミナ等から選択された少なくとも一種の無機フィラーを樹脂に混合してもよい。これにより、機械的強度の向上、熱膨張率の低減、光反射率の向上等を図ることができる。また、基板10は、金属部材の表面に絶縁性材料を介して配線を形成したものでもよい。配線は、上記絶縁性材料の上に、所定のパターンで形成される。配線の材料として、Au、Ag、Cu、Fe、Ti、Pd、Ni、Cr、Rt、W、Alから選択された少なくとも一種とすることができる。配線は、めっき、蒸着、スパッタ等によって形成することができる。
【0027】
(発光素子)
発光素子1としては、発光ダイオードを用いるのが好ましい。発光素子1は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、ZnSe及びGaPから選択された少なくとも一種を用いることができる。また、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。さらに、これ以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子の組成、発光色、大きさ、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。蛍光体を有する発光装置とする場合には、その蛍光体を効率良く励起できる短波長が発光可能な窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に挙げられる。半導体層の材料及びその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。
【0028】
実施形態の発光装置に用いる発光素子1は、例えば、同一面側に正負の電極を有するものである。
図2Aに示すように、発光素子1は、導電性接合部材11を介して基板10上にフリップチップ実装されていてよい。尚、
図2Aでは、発光素子1の正負の電極に接続される導電性接合部材11を簡略化して描いているが、実際には、同一面側に設けられた正負の電極それぞれに接続するように設けられる。発光素子1の正負の電極がそれぞれ導電性接合部材11を介して基板10上に設けられた正負の配線に接続されている。また、発光素子1は、電極の形成された面を下面として基板に載置され、下面と対向する上面を主な光出射面としている。このような発光素子1は、上述したように、バンプ、導電ペーストなどの導電性接合部材を用いて基板上に接続されるため、金属ワイヤなどで接続される発光素子と比較して、電極と基板との接触面積を大きくでき、接続抵抗を低くできる。
導電性接合部材としては、例えば、Au、Ag、Cu、又はこれらを含む合金等からなるバンプ、Sn-Bi系、Sn-Cu系、Sn-Ag系、Au-Sn系などの半田、AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等の共晶合金、あるいは、Au、Ag、Pdなどの導電ペースト、ACP、ACF等の異方性導電材、低融点金属のろう材、これらを組み合わせた導電性接着剤、導電性複合接着剤等が挙げられる。
発光素子1の平面視形状は、例えば、矩形状である。
【0029】
発光素子1は、例えば、透光性の支持基板上に窒化物半導体層を積層させた発光素子であり、支持基板側が発光素子1の主な光出射面(つまり上面)となる。なお、支持基板は、研磨、レーザーリフトオフ等で除去することができる。
【0030】
(透光性部材)
透光性部材3は、発光素子1から出射される光を透過して外部に放出する部材である。透光性部材3は、発光素子1から出射される光及び/又は発光素子1からの光が波長変換された光(例えば、波長320nm~850nmの範囲の光)の60%以上を透過するものが挙げられ、70%以上の光を透過するものが好ましい。
透光性部材3は実質的に発光装置の光出射面となる第1面3aと第1面の反対側の第2面3bと、第1面3aに連続する第1側面3cと、第1側面3cより外側に位置し、第2面3bに連続する第2側面3dと、第1側面3c及び第2側面3dに連続する第3面3eとを有する。透光性部材3の第2面3bの面積は透光性部材3の第1面3aの面積よりも大きい。上述したように、透光性部材3は、側面に鍔部30を備えている。鍔部30は、第2面3bの一部と第3面3eと第2側面3dとによって構成されている。
【0031】
透光性部材3は、例えば、ガラス、セラミックス、サファイア等の無機材料、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂の1種以上を含む樹脂又はハイブリッド樹脂等の有機材料のいずれによって形成されていてもよい。
透光性部材3は、光拡散材、入射された光の少なくとも一部を波長変換可能な蛍光体を含有していてもよい。蛍光体を含有する透光性部材は、例えば、蛍光体の焼結体、上述した材料に蛍光体を含有させたもの等が挙げられる。また、樹脂、ガラス、セラミックス等の成形体の表面に蛍光体を含有する層を備えたものでもよい。透光性部材3の第1面から第2面までの厚みは、例えば50~300μm程度である。
透光性部材3と発光素子1との接合は、
図2Aに示すように、例えば、導光部材13を介して接合されていてよい。また、透光性部材3と発光素子1との接合には、導光部材13を用いることなく、圧着、表面活性化接合、原子拡散接合、水酸基接合等による直接接合法が用いられてもよい。
【0032】
透光性部材3に含有させることができる蛍光体としては、発光素子1からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO-Al2O3-SiO2:Eu)、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)2SiO4:Eu)、βサイアロン蛍光体、CaAlSiN3:Euで表されるCASN系蛍光体、(Sr,Ca)AlSiN3:Euで表されるSCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、K2SiF6:Mnで表されるKSF系蛍光体、硫化物系蛍光体、並びに量子ドット蛍光体などから選択された少なくとも一種が挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、所望の発光色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
【0033】
透光性部材の第1面及び第2面の平面視形状は例えば四角形が挙げられる。ここでいう「四角形」とは、略四角形を意味しており、それゆえ正方形、矩形(長方形)、平行四辺形および台形などを含め広く解釈される。なかでも、加工のしやすさ、発光素子の形状に対応した形状であることを考慮して、矩形であることが好ましい。例えば1つの透光性部材の第2面に対して複数の発光素子1が接合される場合、透光性部材3の第2面は、その複数の発光素子1の全てを内包するような形状およびサイズを有することが好ましい。
【0034】
透光性部材の第1面が矩形である場合、その矩形の対向する辺において対を成すように鍔部が設けられていることが好ましい。つまり、矩形の互いに対向する少なくとも1組の辺に対して鍔部が設けられていることが好ましい。これにより透光性部材と遮光フレームとの第1被覆部材による接合を容易に行うことができる。
図1に示すように、ここでは、透光性部材3は、例えばその第1面3aおよび第2面3bが平面視形状として矩形(長方形)を有している。透光性部材の第1面が平面視形状として矩形を有する場合、少なくともその矩形の対向する長辺において対を成すように鍔部が設けられていることが好ましい。
【0035】
(遮光フレーム)
遮光フレーム5は、発光装置の上面において光出射面を除いた部分の輝度を下げるために設けられる部材である。光出射面を除いた部分の輝度を下げるためには、透光性部材3の第1面3a以外から外部に漏れる光を遮光する必要がある。この機能を考慮すると、遮光フレーム5は、例えば、光を透過させずに、光を反射及び/又は吸収する材料からなる部材または表面に光を反射及び/又は吸収する材料からなる膜を備えた部材であることが好ましい。
【0036】
実施形態の発光装置に用いる遮光フレーム5は、厚さ(つまり第1主面から第2主面までの距離)が一定でない箇所を含む。遮光フレーム5は、部分的に厚みが薄い凹部58を備えている。特に、凹部58は、発光装置の光出射面側に配置される第1主面とは反対側の第2主面に対して設けられており、貫通孔50と連続して設けられている。
【0037】
より具体的には、
図3および
図4に示すように、遮光フレーム5は、第1主面5aと、その第1主面5aと反対側の第2主面5bとを有しており、第1主面5aから第2主面5bまで貫通する貫通孔50とを有している。第2主面5bは、図示されるように、平坦部55と凹部58とを有しており、特に凹部58は貫通孔50と繋がった形態を有している。
【0038】
遮光フレーム5を構成する材料としては、樹脂(繊維強化樹脂を含む)、セラミックス、ガラス、紙、金属等、及びこれらの材料の2種以上からなる複合材料などから選択して構成することができる。遮光性に優れ、劣化しにくい材料であることを考慮して、例えば、遮光フレーム5は、金属からなる金属フレームまたは表面に金属膜を備えたフレームにより構成されることが好ましい。金属材料としては、Cu、Fe、Ni、Cr、Al、Au、Ag、Ti、または
これらの合金等が挙げられる。
さらに、遮光フレーム5は、発光装置内部からの漏れ光を抑制するだけでなく、外部からの光の反射を抑制する機能を備えていることがより好ましい。外部からの光の反射を抑制する機能としては、例えば、光出射面側の第1主面の表面に微細な凹凸を有すること、光吸収率の高い材料を用いること、などが挙げられる。微細な凹凸としては例えば平均算術粗さRa0.5μm以上1.0μm以下が挙げられる。なお、遮光フレーム5の表面が微細な凹凸を有する場合、遮光フレーム表面の液体に対する濡れ性が高くなり、各部材を構成する樹脂材料が遮光フレームの表面に濡れ広がりやすくなる。このため、例えば、遮光フレーム5の第1主面の縁には微細な凹凸加工を施さないことが好ましい。光吸収率の高い材料としては、黒色ニッケルめっき、黒色クロムめっき等が挙げられる。
遮光フレーム5の厚み(つまり遮光フレーム5の平坦部における第1主面から第2主面までの距離)は、発光装置として使用するときの強度を保ちつつ、軽さ、変形しにくさ等を考慮して、20μm~200μm程度とすることが好ましく、30~80μm程度とすることがより好ましい。
【0039】
遮光フレーム5は、平面視において、その外周が発光装置の外周と一致するように設けられてもよいが、遮光フレーム5の外周が発光装置の外周の内側に位置するように設けられていることが好ましい。これにより、発光装置を単位領域ごと(つまり個々の発光装置となる領域ごと)に分割する分割工程において、分割線上に遮光フレーム5が配置されないため、分割時の遮光フレーム5の位置ずれ等が抑制される。
なお、遮光フレーム5の外周が発光装置の外周の内側に位置するように遮光フレーム5が設けられているとは、遮光フレーム5の外周の一部分が発光装置の外周の内側に位置するように遮光フレーム5が設けられていることを含む。
平面視における、遮光フレーム5の透光性部材3を取り囲む幅は、透光性部材3にて発光装置の光出射面となる第1面3aの内側と外側との輝度差を大きくすることを考慮すると、130μm以上であることが好ましい。また、製造工程における取り扱いの容易さを考慮すると、例えば500μm以上であることがより好ましい。
遮光フレーム5の幅は、全周にわたって一定の幅であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。遮光フレーム5の幅が部分的に異なる場合、少なくとも全周にわたって130μm以上の幅を有し、かつ、部分的に500μm以上の幅を有することがより好ましい。ここで、遮光フレーム5の幅とは、貫通孔50から遮光フレーム5の外周までの距離を意味する。
【0040】
(光反射性部材)
光反射性部材は、遮光フレーム5と透光性部材3とを接合する第1光反射性部材9aと、第1光反射性部材9aと基板10との間にて発光素子1の側面を覆うように設けられる第2光反射性部材9bとを含んでいてよい。
【0041】
光反射性部材9は、発光素子1の側面および透光性部材3の側面を被覆し、発光素子1の側面および透光性部材3の側面から出射される光を反射して発光装置の光出射面となる透光性部材3の第1面3aから出射させる。このように発光素子1の側面および透光性部材3の側面を被覆する光反射性部材9を設けることにより発光装置の光の取りだし効率を高くできる。光反射性部材は、発光素子からの光に対して60%以上の反射率を有し、90%以上の反射率を有することが好ましい。光反射性部材は、例えば、光反射性物質を含有する樹脂(以下、光反射性樹脂とも称する)から形成することができる。詳細を後述するように、第1光反射性部材9aと第2光反射性部材9bとは別個に形成されるものであり、互いに異なる光反射性樹脂を用いて形成してよく、同一の光反射性樹脂から形成してもよい。
【0042】
光反射性部材9を構成する母体の樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等を用いることができる。また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂を用いることができる。なかでも、耐熱性および耐光性に優れたシリコーン樹脂を用いることが好ましい。光反射性物質としては、発光素子からの光を吸収しにくく、母材の樹脂に対して屈折率差の大きい部材を用いることが好ましい。具体的には、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、酸化ニオブ、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、フッ化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びムライトなどから選択された少なくとも一種を用いることができる。なかでも、光反射の観点から、屈折率が比較的高い酸化チタンを用いることが好ましい。また、光反射性物質として、母材の樹脂の屈折率と異なる粒子を母材の樹脂中に分散させてもよい。光反射性物質の材料、樹脂に対する含有濃度等により、得られる光反射性部材の反射率が異なるため、発光装置の形状および/または大きさに応じて、所望の材料、濃度等を調整することができる。
また、光反射性部材は光反射性物質に加え、粘度を調整するためのフィラー、その他の顔料、蛍光体等を含有してもよい。特に、透光性部材3が蛍光体を含有する際には、発光素子の側面を被覆する第2光反射性部材9bにも同様の蛍光体を含有させることにより、発光装置の側面から、発光素子からの出射光の漏れが視認されることを抑制できる。
【0043】
(導光部材)
発光装置において、透光性部材3と発光素子1とは、導光部材13を介して接合することができる。導光部材13は発光素子1と透光性部材3との間に介在し、両者を接合する。さらに、導光部材13は、
図2Aに示すように、発光素子1の側面の一部または全部を被覆していることが好ましい。以上のように構成された導光部材13は、発光素子1の上面及び側面からの出射光を透光性部材3へと効率よく導光させることができる。
【0044】
導光部材13は、取り扱いおよび加工が容易であるという観点から、樹脂を用いることが好ましい。樹脂としては、光反射性部材に用いる樹脂として例示したものが挙げられる。
【0045】
(その他の部材)
発光装置は、任意に、保護素子等の別の半導体素子、電子部品等を有していてもよい。これらの部材は、基板10上に配置され、光反射性部材に埋設されていることが好ましい。また、これらの部材は、基板10の配線を介して発光装置と電気的に接続することができる。また発光装置の小型化のために、部品の少なくとも一部が平面視において遮光フレームと重なるように配置されることが好ましい。ここでは、発光装置は保護素子6を備え、保護素子6の一部が遮光フレーム5の直下に位置するように、光反射性部材に埋設されている。
【0046】
≪実施形態の発光装置の製造方法≫
実施形態の発光装置の製造方法は、基板上に発光素子を載置する載置工程と、遮光フレームを準備する遮光フレーム準備工程と、遮光フレームに光反射性樹脂を供給する光反射性樹脂供給工程と、透光性部材を準備する透光性部材準備工程と、遮光フレームと透光性部材とが光反射性部材により接合された光学部材を形成する光学部材形成工程と、発光素子と光学部材とを接合する光学部材接合工程と、を少なくとも含んでいる。
【0047】
かかる実施形態の製造方法により、例えば、
図1ならびに
図2Aおよび
図2Bに示す実施形態の発光装置を得ることができる。以下、実施形態の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0048】
(載置工程)
ここでは、基板上に発光素子を載置する。例えば、
図9Aおよび
図9Bに示すように、基板10に少なくとも1つの発光素子1をフリップチップ実装する。具体的には、例えば、同一面側の下面に正負の電極を有する発光素子1を、正負の電極が基板10上に設けられた配線に対向するようにそれぞれ導電性接合部材11により接合する。尚、
図9Bでは、
図2A等と同様、発光素子1の正負の電極及び基板10上に設けられた正負の配線に接続される導電性接合部材11を区別することなく簡略化して描いている。
発光素子1は、半導体成長等の工程を経るなど、製造工程の一部又は全てを経ることで準備することができる。あるいは、発光素子1は、購入等により準備することができる。
【0049】
(遮光フレーム準備工程)
ここでは、第1主面5aと、第1主面5aと反対側の第2主面5bと、第1主面5aから第2主面5bまで貫通する貫通孔50とを有する遮光フレーム5を準備する。
図3および
図4に示すように、遮光フレーム5は、第2主面5bに平坦部55と凹部58とを有する。遮光フレーム5の凹部は貫通孔50と連続して配置されている。遮光フレーム5は、例えば、枠部分52の厚さが一定である遮光フレームを準備し、かかる遮光フレームに対してエッチング処理等を施して第2主面5bに凹部58を形成してよい。なお、凹部58の形成は、切削加工および/またはプレス加工等の機械加工手段を用いてもよい。なお、遮光性を有する板状の部材を準備し、上記加工方法にて貫通孔50および凹部を形成してもよい。
なお、遮光フレーム5は、上述した所望の形状に加工されたものを購入等により準備してもよい。
【0050】
(光反射性樹脂供給工程)
ここでは、遮光フレームの第2主面5bの少なくとも平坦部55上に光反射性樹脂9a’を供給する。
遮光フレームへの光反射性樹脂9aの供給は、遮光フレームをシート等の支持体上に固定して行うことが好ましい。具体的には、
図10Aに示すように、貫通孔50およびそれを形作る枠部分52を備えた遮光フレーム5の第1主面5aをシート4に対向させてシート4上に固定する。
【0051】
かかる場合、遮光フレームは、予め所望の形状に加工された遮光フレームを準備し、複数の遮光フレームをシート上に個々に配置してよいし、複数の遮光フレームが行方向及び/又は列方向に連結した遮光フレームを準備し、一括してシート上に配置してもよい。シートは、表面に粘着性を有する耐熱性のシートを用いてよい。シートの基材としては、例えばポリイミドが挙げられる。
【0052】
ここでは、遮光フレームの第2主面5bに対して光反射性樹脂9a’を供給する。具体的には、
図10(B)に示すように、遮光フレーム5の第2主面5b上に光反射性樹脂9a’を供給する。光反射性樹脂9a’は、第2主面5bの少なくとも平坦部上に供給されることが好ましい。
光反射性樹脂9a’の供給量は、透光性部材3の第1側面3cと貫通孔50の内側面5cとの間及び透光性部材3の第3面と遮光フレーム5の第2主面5bとの間に光反射性樹脂が配置されることを可能とする量である。例えば、光反射性樹脂9a’は、遮光フレーム5の第2主面5bの略全面に濡れ広がり、かつ、遮光フレーム5の貫通孔50内に流れ出ない程度に、粘度や配置する量を調整することができる。
【0053】
光反射性樹脂9a’の供給は、当該分野で公知の方法のいずれを利用してもよい。例えば、樹脂吐出装置のノズルを用いて、そのノズルの先端から連続的に、あるいは断続的に樹脂を吐出し、遮光フレーム5上に供給することができる。例えば、ノズルから光反射性樹脂9a’を連続的に吐出させながらノズルを貫通孔に沿って塗布することで遮光フレーム5上に光反射性樹脂9a’を線状に供給してよい。
供給時の光反射性樹脂9a’の粘度は、例えば5Pa・s以上15Pa・s以下である。これにより、光反射性樹脂の透光性部材3と貫通孔50との間への流動を確保し易くなると共に、透光性部材3の第1面3aへの光反射性樹脂の濡れ広がりを抑制し易くなる。
【0054】
(透光性部材準備工程)
ここでは、鍔部を備えた板状の透光性部材を用意する。具体的には、
図1、
図8A及び
図8Bに示すように、遮光フレームの貫通孔の内周より小さい外周を有する第1面3aと、その第1面の反対側の第2面3bと、第1面3aに連続する第1側面3cと、第1側面3cより外側に位置し、第2面3bに連続する第2側面3dと、第1側面3c及び第2側面3dに連続する第3面3eとを有する透光性部材3を準備する。
【0055】
透光性部材は、いずれの常套的な手法で作製できる。例えば、ブレードなどの機械加工手段を用いた切削加工を通じて、鍔部を備えた板状の透光性部材を作製してよい。また、所望の形状に加工された透光性部材を購入等により準備してもよい。
【0056】
(光学部材形成工程)
図10C~
図10Fは、光学部材形成工程を示す断面図である。
ここでは、遮光フレーム5と透光性部材3とが第1光反射性部材9aにより接合された光学部材を形成する。具体的には、透光性部材3を用い、遮光フレーム5上に供給した光反射性樹脂9aを透光性部材3と遮光フレーム5との貫通孔50との間に配置させた後で硬化して第1光反射性部材9aを形成する。これにより、遮光フレーム5と透光性部材3とが第1光反射性部材9aにより支持された光学部材60を得ることができる。
【0057】
光学部材形成工程では、透光性部材3を、透光性部材3の第1側面と遮光フレーム5の貫通孔50の内側面とが離隔する位置で貫通孔内に配置させる。この際、透光性部材3の第3面3eと光反射性樹脂9a’とが接触することによって、光反射性樹脂9a’が押圧され、遮光フレーム5及び透光性部材3の表面を伝って移動する。これにより、透光性部材の第1側面と貫通孔の内側面との間及び凹部内に光反射性樹脂が配置される。その後、光反射性樹脂9a’を硬化させて第1光反射部材が形成される。このようにして、遮光フレーム5と透光性部材3とが第1光反射性部材9aにより接合された光学部材60が形成される。
このように形成された第1光反射性部材9aは、
図10Fに示すように、遮光フレーム5と透光性部材3との間において、その表面に引けが生じる。つまり、遮光フレーム5上に配置された光反射性樹脂は、透光性部材3で押圧されることにより貫通孔と透光性部材3との間に移動し、遮光フレーム5上に残った光反射性樹脂は、表面張力により、より小さな表面積を保とうとして、透光性部材に沿った形状となる。
【0058】
図10C~
図10Fに示すように、透光性部材3の貫通孔内への配置は、透光性部材3の第1面3aがシート4に接触する前に、透光性部材3の第3面3eが光反射性樹脂9a’と接触することが好ましい。具体的には、透光性部材3の第1側面と遮光フレーム5の貫通孔とが離隔する位置で透光性部材3の第1面3aがシート4と対向するように、透光性部材3を貫通孔内に配置させる過程で透光性部材3を遮光フレーム5上の光反射性樹脂9a’と接触させる。これにより、光反射性樹脂9a’が透光性部材3により押圧され、遮光フレーム5と透光性部材3との間に光反射性樹脂9a’が移動する。
より具体的には、
図10Cに示すように、透光性部材3の第2面3bが遮光フレーム5の貫通孔の内周の外側に位置するように配置し、
図10Dに示すように、透光性部材3の第3面を光反射性樹脂9a’と接触させる。この接触点が起点となって、
図10Eに示すように、光反射性樹脂9a’が透光性部材3の鍔部30から第1側面3c側に移動し、
図10Fに示すように、透光性部材3の第1側面3cと遮光フレーム5の貫通孔の内側面5cとの間及び凹部に光反射性樹脂9a’が配置される。光反射性樹脂9a’が凹部に予め供給されていなかった場合には、凹部58内に光反射性樹脂9a’を配置することができる。なお、遮光フレーム5の貫通孔50及び透光性部材3の第2面3bがいずれも長辺と短辺を有する矩形である場合には、平面視で第2面3bの長辺と貫通孔50の長辺間の距離及び第2面3bの短辺と貫通孔50の短辺間の距離がそれぞれ略等しくなるように透光性部材3と遮光フレーム5とを配置してよい。
【0059】
光学部材形成工程では透光性部材3の貫通孔内への配置のためにコレット等を用いてよい。例えば、コレットなどの吸着手段40によってピックアップした状態で透光性部材3を貫通孔内に配置してよく、そのような吸着手段で引き続いて透光性部材3を押圧することによって、透光性部材3の第3面と接触する光反射性樹脂9a’をより早く所望の領域に移動させることができる。
【0060】
光学部材形成工程前に、光反射性樹脂供給工程で供給された光反射性樹脂9a’が遮光フレーム5の凹部に予め配置されていた場合、透光性部材3の鍔部30と遮光フレーム5上の光反射性樹脂9a’との接触に際しては、透光性部材3の第3面が光反射性樹脂9a’のなかで最も高いレベルの高さ箇所から接することになり、次いで時間差を伴って光反射性樹脂9a’の他の箇所と接することになる(これについての詳細は後述する)。
【0061】
(光学部材接合工程)
ここでは、
図11Aに示すように、基板10に載置した発光素子1の発光面(つまり上面)と、透光性部材3の第2面3bとを互いに対向させて、発光素子1上に光学部材60を接合する。
つまり、光学部材60における透光性部材3の第2面3bを発光素子1の上面に対して位置合わせをして、透光性部材3を、例えば導光部材13によって発光素子1と接合する。
図1ならびに
図2A及び
図2Bに示す実施形態の発光装置を得る場合には、光学部材60は、例えば、
(i)透光性部材3の第2面3bの外周が、上方から平面視したときに発光素子1の外周の外側に位置するように、
(ii)透光性部材3の第1面3aの外周の少なくとも一辺、好ましくは外周全てが、上方から平面視したときに発光素子1の外周の内側に位置するように、
位置合わせをする。
【0062】
光学部材60の透光性部材3の第2面3bと発光素子1の上面とを接合する際、予め第2面3bに導光部材13となる未硬化の樹脂を塗布した透光性部材3を発光素子1上に載置するようにしてよいし、発光素子1の上面に導光部材13となる未硬化の樹脂を塗布した後に光学部材60の透光性部材3を発光素子1上に載置するようにしてもよい。導光部材13となる樹脂の塗布量及び粘度、透光性部材3を発光素子1上に載置する際の荷重等は、導光部材13の所望の形状を考慮して適宜設定してよい。
【0063】
(第2光反射性部材形成工程)
ここでは、更なる光反射性部材として、第2光反射性部材9bを形成する。具体的には、第2光反射性部材9bとなる未硬化の第2光反射性樹脂9b’を、基板10と遮光フレーム5との間に配置することにより、
図11Bに示すように、基板10と遮光フレーム5との間で発光素子1と透光性部材3とを囲む第2光反射性部材9bを形成する。第2光反射性部材9bは、上述の第1光反射性部材9aと共に一体的な光反射性部材9を成すことができる。
例えば、基板10よりも一回り小さい(つまり平面視において外縁が基板10に内包される大きさの)遮光フレーム5を用いた場合、遮光フレームの外側から、基板10と遮光フレーム5との間の空間に第2光反射性樹脂9b’を供給することができる。
基板10と遮光フレーム5との間に第2光反射性樹脂9b’を供給した後、第2光反射性樹脂9b’を硬化させる。これにより、第2光反射性部材9bが形成される。
【0064】
以上のようにして、実施形態の発光装置は製造される。
【0065】
上記説明は、単一の発光装置を示した図面を参照して行った。
しかしながら、実施形態の発光装置の製造方法では、基板及び遮光フレームとして、それぞれ個々の発光装置に対応する複数の単位領域に区分されたものを用いて複数の発光装置を一括して作製した後に個々の発光装置へと分離してよい。
例えば、基板として、複数の行(n行)及び複数の列(m列)を成すように複数(n×m)の単位領域を含む集合基板を用いてよい。
また、例えば、遮光フレームとして、複数の行(n行)及び複数の列(m列)を成すように複数(n×m)の単位領域を含む遮光フレームが連結した遮光フレーム集合体を用いてよい。
あるいは、例えば、遮光フレームとして、複数の行(n行)及び複数の列(m列)を成すように複数(n×m)の貫通孔を有する遮光フレームを用い、各貫通孔を遮光フレームの単位領域としてもよい。
【0066】
より具体的には、以下のようにして複数の発光装置を作成してよい。
(1)発光素子載置工程において、上記単位領域にそれぞれ1又は2以上の発光素子を載置する。
(2)光学部材形成工程において、上記単位領域にそれぞれ光学部材を形成する。
(3)光学部材接合工程において、上記単位領域に載置された1又は2以上の発光素子を一括して覆うようにそれぞれ光学部材を接合する。
(4)第2光反射性部材形成工程において、各単位領域の基板と遮光フレームの間の空間にそれぞれ第2光反射性樹脂を充填する。
次いで、第2光反射性部材形成工程後に、分割工程において、光反射性部材及び基板を単位領域ごとに分割することで、発光装置を個片化する。分割は、例えばブレード等を用いた切断により行うことができる。
この単位領域ごとに分割することを考慮すると、単位領域ごとに分割する際の分割位置が遮光フレームの外周から離れていることが好ましい。言い換えれば、遮光フレームは、発光装置の外形より一回り小さいことが好ましい。この場合、例えば、遮光フレームとして、発光装置の外形より一回り小さい複数の遮光フレームを用いてよい。
【0067】
上記の発光装置の製造方法によれば、複数の発光装置を一括して作製した後に個々の発光装置に分離するので、発光装置を簡易に製造できる。
【0068】
以下では、遮光フレームが有する凹部の効果について詳述する。本発明に係る実施形態では、
図3および
図4に示すように、第2主面5bにおいて、平坦部55と凹部58とを有する遮光フレーム5を用いる。このような遮光フレーム5は、発光装置の製造時においてボイド発生の抑制に資する。より具体的には、遮光フレーム5において、貫通孔50と連続する凹部58が存在することにより、光学部材の「透光性部材と遮光フレームとの間の第1光反射性部材の領域」におけるボイドの発生を抑制又は無くすことができる。
【0069】
光学部材におけるボイドとは、例えば、遮光フレームの貫通孔と透光性部材との間に光反射性樹脂を配置させる際に樹脂中に空気が閉じ込められて発生する気泡またはその類である。光学部材形成工程では遮光フレームに光反射性樹脂を供給した後で透光性部材を配置する。かかる透光性部材の配置に際しては、透光性部材の第3面で遮光フレーム上の光反射性樹脂が押圧され、その押圧によって「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間」に光反射性樹脂を移動させる。ボイドは、かかる光反射性樹脂の移動に伴って発生する虞がある。これは、透光性部材の配置に際して、透光性部材の第3面と光反射性樹脂とが一度に広範囲に接触することが要因の1つとして考えられる。特に、そのような広範囲の接触に伴い光反射性樹脂が「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間」へと広範囲から、つまり複数の方向から、同時に移動することにより、樹脂中に空気が閉じ込められ易くなると考えられる。気泡が存在した状態で光反射性樹脂を硬化させると、第1光反射性部材にボイドが発生する虞がある。
【0070】
光学部材におけるボイドの発生は、発光装置の光学特性にとって望ましくない。例えば、透光性部材と遮光フレームとの間に介する第1光反射性部材でもたらされる「光の取りだし効率の向上」といった効果はボイドにより低減される虞がある。本発明に係る実施形態の製造方法は、このような光学部材のボイドの発生を低減又は無くすことができ、所望の光学特性を呈する発光装置を製造できる。
【0071】
また、光学部材中のボイドは、その構成要素同士の接合強度を低下させる虞がある。光学部材において、第1光反射性部材は、透光性部材と遮光フレームとの間に介して透光性部材と遮光フレームとを接合している。そのような第1光反射性部材の領域にボイドが存在してしまうと、かかる接合を低下させる虞がある。本発明に係る実施形態の製造方法は、このようなボイドを低減又は無くすことができ、光学部材の構成要素の接合強度がより好適に維持される。
【0072】
図3および
図4に遮光フレーム5の一例を示す。遮光フレーム5は、貫通孔50および枠部分52を有する。遮光フレーム5は、上から平面視したとき、略矩形の枠状であり、その枠の内側が貫通孔50となっている。端的にいえば、遮光フレーム5は、貫通孔50に相当する部分が板状の部材から除されたような形態を有している。図示するような遮光フレーム5では、例えば略矩形状の平板部材から貫通孔50に相当する略矩形状の部分が除されたような形態を有している。
【0073】
遮光フレーム5の枠部分52は、第1主面5aと、その第1主面と反対側の第2主面5bとを有している。遮光フレーム5の貫通孔50は、第1主面5aから第2主面5bまで貫通する開口である。本発明に係る実施形態では、枠部分52の第2主面5bが、平坦部55と、貫通孔50と連続する凹部58とを有している。
【0074】
凹部58は、遮光フレーム5の厚み(つまり第1主面と第2主面との間の距離)が部分的に小さくなった箇所に相当する。よって、凹部は、遮光フレームにおいて窪んだ形状または切り欠かれたような形状を有している。特に、透光性部材3の第3面と対向する遮光フレーム5の第2主面5bに対して凹部58が設けられている。
【0075】
発光装置の製造時では、遮光フレーム5の第2主面5bに対して光反射性樹脂が供給される。第2主面5bは凹部58と平坦部55とを有しているが、少なくとも平坦部55に対して光反射性樹脂が供給される。
【0076】
少なくとも平坦部に配置された光反射性樹脂は、光学部材形成工程において、透光性部材3との接触に伴う押圧に起因して移動する。かかる移動に伴ってボイドが発生したとしても、遮光フレーム5の凹部58が光反射性樹脂からボイドを効果的に逃がすように作用する。つまり、凹部58は、遮光フレーム5において貫通孔50と連続するように設けられており、光学部材の形成に際して貫通孔50と透光性部材3との隙間で生じるボイドを外部へと導く役割を果たす。
【0077】
具体的には、光学部材形成工程では透光性部材と遮光フレームとの間に光反射性樹脂を配置させるべく、光反射性樹脂に対して透光性部材を接触させて押圧するが、その押圧に際してボイドが凹部を介して外部へと排出され易くなる。凹部は平坦部よりも遮光フレームの厚さが小さい箇所ゆえ、平坦部よりも遮光フレームと透光性部材とが対向する空間部分が大きい。このため、当該押圧に際して光反射性樹脂が受ける応力が小さく、当該凹部に沿って光反射性樹脂が移動し易い。かかる樹脂の移動に伴ってボイドもまた凹部へと移動し易く、それゆえ、
図6に示すように、凹部58に移動したボイド80が凹部58から外部へと抜け易くなる。よって、結果的に光学部材においてボイドの発生を抑制することができる。つまり、光学部材は、透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間に配置された光反射性樹脂を硬化することにより得られるが、その硬化前にボイドを外部へと排出できる。このように、本発明に係る実施形態では、遮光フレームの凹部は、光学部材形成工程時にボイドを外部に逃がし易くするためのガイドとしての役割を有している。
【0078】
また、遮光フレーム5の凹部58は、上記ガイドとは異なる効果も有する。遮光フレーム5の凹部58は、その局所的に厚みが薄い形態に基づいて、更なるボイド発生の低減効果を有する。
【0079】
遮光フレーム5が凹部58を備えることによる、更なるボイドの抑制について詳述する。光学部材形成工程において、光反射性樹脂が凹部から平坦部に亘って配置される場合を想定すると、遮光フレームの凹部に起因して、遮光フレームに供給された光反射性樹脂の高さが局所的に異なることになる。つまり、遮光フレーム上の光反射性樹脂は、遮光フレームの下面側に位置する第1主面5aからの高さが相対的に高い箇所と相対的に低い箇所とを有することになる。具体的には、凹部上の光反射性樹脂の高さが相対的に低くなることで、凹部以外の第2主面、すなわち、平坦部上の光反射性樹脂の高さが相対的に高くなる(これについての詳細は後述する)。したがって、光学部材形成工程において、光反射性樹脂と透光性部材との接触は、光反射性樹脂の高さに起因して時間差を伴うことになり、得られる光学部材においてボイドの発生を抑制できる。
【0080】
図7Aおよび
図7Bには、光反射性樹脂供給工程で遮光フレーム5上に供給された光反射性樹脂9a’の形態を模式的に示している。図示されるように、光反射性樹脂供給工程では、光反射性樹脂9a’の最頂部は平坦部55上に位置する。つまり、遮光フレーム5に供給された光反射性樹脂9a’のうち凹部58の真上箇所の光反射性樹脂9a
1’の高さをH
1とし、平坦部55における光反射性樹脂9a
2’の高さH
2とすると、好ましくはH
1<H
2となっている。なお、ここでの光反射性樹脂の高さH
1及びH
2は、遮光フレームの第1主面5aから光反射性樹脂の頂部までの距離を意味する。
光反射性樹脂の最頂部が平坦部上に位置する理由は次の通りである。凹部58と平坦部55とを有する遮光フレーム5に未硬化の光反射性樹脂9a’が供給されると、光反射性樹脂は遮光フレーム上において濡れ拡がり、表面張力により遮光フレームの第2主面上に留まる。凹部58は、平坦部55よりも第1主面からの高さが低い面を有するので、第2主面上に留まる光反射性樹脂は当該凹部にて相対的に低い高さを成すことになり、結果として、平坦部55上に位置する光反射性樹脂の高さが相対的に高くなる。従って、平坦部55上において光反射性樹脂の最頂部が配置される。
【0081】
凹部に起因して光反射性樹脂の高さが局所的に異なると、光学部材形成工程でボイドが発生しにくくなる。光学部材形成工程では、遮光フレーム上に配置した光反射性樹脂を、透光性部材との接触による押圧で「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間」へと移動させる。かかる透光性部材の押圧では、遮光フレーム上の光反射性樹脂と透光性部材とが互いに接する。ここで、仮に遮光フレームに供給された光反射性樹脂の高さが一定である場合を想定してみると、その光反射性樹脂に対して透光性部材の第3面と光反射性樹脂とが一度に広範囲で接触し易い。このように、光反射性樹脂と透光性部材とが広範囲で接触すると、「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間」において、第2主面の広範囲から光反射性樹脂の移動が生じる。「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間」において、広範囲からの光反射性樹脂の移動は、光反射性樹脂が空気をより巻き込んだ又は挟み込んだ状態を生じさせやすく、光学部材においてボイドが発生しやすくなる。これに対して、本発明に係る実施形態の製造方法では、
図7に示すように、遮光フレーム5上に供給された光反射性樹脂9a’の高さが局所的に異なるので、透光性部材の鍔部と光反射性樹脂との接触に時間差が生じる。これにより、「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間」へと光反射性樹脂が移動する際に当該間の空気が外部へと抜け易くなる。つまり、光学部材は、透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間に配置された光反射性樹脂を硬化することで得られるが、その硬化前にボイドの発生を抑制できる。このように、本発明に係る実施形態において、遮光フレームの凹部は、光学部材形成工程時のボイド発生を抑制するような光反射性樹脂の移動経路を確保する作用を有している。
【0082】
透光性部材と光反射性樹脂との時間差を伴う接触について
図12の模式図を用いて詳述しておく。
図12A~
図12Dは、光学部材形成工程の経時的変化に関して、左側図が光反射性樹脂の最頂部における経時的変化を示し、右側図が光反射性樹脂の最頂部以外の部分における経時的変化を示している。つまり、右側図では、凹部58上の光反射性樹脂9a’と透光性部材3の鍔部30との相互の経時的な関係が示されており、左側図では、平坦部55上の光反射性樹脂9a’と透光性部材3の鍔部30との相互の経時的な関係が示されている。図示するように、光学部材形成工程において、光反射性樹脂9a’と、透光性部材3の第3面3eとの接触は、光反射性樹脂9a’の高さに起因して時間差を伴う。
【0083】
透光性部材3が貫通孔へと配置されるに際しては、まず、
図12Aにおける左側図に示されるように、平坦部55上の光反射性樹脂9a’と透光性部材3の第3面3eとが互いに接触する。次いで、透光性部材3がより下降するに伴い、
図12Cの右側図に示されるように、凹部58上の光反射性樹脂9a’と透光性部材3の第3面3eとが互いに接触する。このように、透光性部材3と遮光フレーム5上の光反射性樹脂9a’との互いの接触に際しては、光反射性樹脂9a’高さに起因した時間差を伴うことになる。
【0084】
光反射性樹脂供給工程における光反射性樹脂の供給は、光反射性樹脂が平坦部に供給されつつ、凹部(すなわち、平坦部以外の枠部分の領域)にも供給されることが好ましい。特に、平坦部55では、光反射性樹脂9a’が濡れ拡がるための領域が遮光フレーム5上にあまり残らないように供給することが好ましい。平坦部55で光反射性樹脂9a’が過度に濡れ拡がると、平坦部55における光反射性樹脂9a’の高さがより低くなり、凹部58上の光反射性樹脂9a’の高さとの差が出にくくなる。かかる観点でいえば、平坦部55に対しては、濡れ拡がりのための領域を実質的にあまり残さないように光反射性樹脂9a’を供給することが好ましい。例えば、平坦部55の枠部分においては、その幅方向の領域を実質的に全て満たすように光反射性樹脂9a’が供給されてもよい。
【0085】
遮光フレーム5において、枠部分52は、平面視形状が略矩形状の貫通孔50をその内側に有するように例えば四角形を成している。枠部分52の平面視形状が四角形を成しているといえる。ここでいう「四角形」とは、略四角形を意味しており、それゆえ正方形、長方形、平行四辺形および台形などを含め広く解釈される。ある態様では、枠部分52の平面視形状が略長方形になっている。つまり、
図4に示すように、上から平面視したときの遮光フレームの形状は略矩形となっている。なお、本明細書でいう「略矩形」とは、完全な矩形であることに限らず、それから変更されつつも当業者の認識として“おおよそ”矩形に通常含まれる形状も含んでいる。例えば、辺が全て直線状の矩形のみならず、辺の少なくとも一部に曲線を含む矩形、さらには、Rが付いた角部分を有する矩形などが含まれる。
【0086】
本発明に係る実施形態では、平面視略矩形状の貫通孔を有する遮光フレームの、矩形の辺の少なくとも1つに相当する枠部分52に凹部58が設けられてよい。例えば、その矩形の1つの辺に相当する枠部分52に対して凹部58が1つのみ設けられてよい。つまり、当該1つの辺に相当する枠部分52に対して設けられる凹部58の個数は、複数でなく1つであってもよい。このような場合であっても、光学部材形成工程において「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間」に光反射性樹脂が充填されるに際してボイドの発生を抑制できる。
【0087】
ある態様では、凹部は、平面視略矩形状の貫通孔を有する遮光フレームの、矩形の長辺に対して少なくとも設けられていてよい。矩形の長辺に相当する箇所は、特にボイドが生じ易い箇所である。なぜなら、貫通孔の長辺に相当する箇所というのは、透光性部材の配置に際して透光性部材と光反射性樹脂とがより長い距離で接触する箇所であり、光反射性樹脂が「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間」に移動する際に空気が外部に逃げ難い領域であるからである。これにつき、実施形態の発光装置で用いる遮光フレームは、その空気が逃げにくい“長辺”に対して凹部を設けることで、ボイド発生をより効果的に抑制できる。換言すれば、ボイドの発生抑制といった効果は、凹部が遮光フレームの長辺に相当する箇所に設けられた場合、より顕在化し易い。
【0088】
ここで、長方形状の貫通孔を有する遮光フレームに設けられる凹部は、長辺において平坦部を挟むように配置されてもよい。例えば
図13Aおよび
図13Bに示すように、略長方形の遮光フレームの長辺に相当する枠部分において、平坦部55が2つの凹部58に挟まれていてよい。これにより、その平坦部上の光反射性樹脂がより最頂部を有し易くなる。よって、光学部材形成工程で透光性部材と光反射性樹脂との接触に際し、平坦部上の光反射性樹脂を起点にして漸次的に透光性部材と光反射性樹脂とが接していくことになる。つまり、「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間」へと光反射性樹脂が流れ込むに際してその間における空気が平坦部側から凹部側へと逃げ易くなる。よって、ボイドの発生がより抑制された光学部材が得られ易くなる。
【0089】
なお、平坦部を挟む2つの凹部は、凹部を有する長辺の両端に位置するように設けられることが好ましい。つまり、
図13Aおよび
図13Bに示すように、平面視において遮光フレーム5が成す矩形の長辺の一辺に相当する部分でその中央部分(例えば当該一辺を略均等に二分割するような領域)に平坦部55が設けられ、その両端に平坦部を挟む凹部58が設けられていることが好ましい。このように平坦部が遮光フレームの中央領域に設けられていると、その中央領域上の光反射性樹脂が最頂部を有するので、光学部材形成工程で透光性部材と光反射性樹脂とが接触するに際して、中央領域から中央領域を挟む両側に向けて漸次的に透光性部材と光反射性樹脂とが接していくことになる。よって、当該中央部分から互いに逆向き方向に偏り少なく空気が逃げやすくなり、ボイドの発生がより抑制された光学部材が得られ易くなる。
【0090】
平面視において凹部58の外縁は、直線状、曲線状、またはそれらの組合せからなっていてよい。例えば、そのような凹部58の形状は、上方から平面視したときに略四角形であってよい。ここでいう「略四角形」は、完全な四角形に限らず、それに基づき変更されたと当業者がみなせるような形状も含め広く解釈される。よって、例えば、「略四角形」は、矩形、平行四辺形および台形などを含むとともに、そのような形状において角を成す部分は、必ずしも角張っている必要がなく、丸みを帯びていてもよい(端的にいえば、角部にRが付いていてもよい)。
【0091】
凹部は、遮光フレームの厚さが薄い部分に相当する。凹部の厚みは、平坦部における厚みに対してその半分以下となっている。例えば、遮光フレーム5の凹部58における厚さをtとし、遮光フレームの平坦部55における厚さをTとすると、例えば0.1T≦t≦0.5Tであってよい。凹部における厚さtが、0.1T未満になると遮光フレームにおいて所望の強度を得られ難い傾向となる一方、0.5Tより大きいと、上述の凹部の気泡ガイドとしての効果が出にくくなったり、平坦部で光反射性樹脂が相対的に高くなる効果も出にくくなったりする。なお、本明細書でいう「厚さt」は、凹部の厚さについて最も大きな値となる箇所のことを指している。同様にて、本明細書でいう「厚さT」は、遮光フレームの“一辺”に相当する枠部分の厚さのなかで最も大きい値となる箇所のことを指している。
【0092】
本発明に係る実施形態において、凹部は、遮光フレームの外縁と離隔していることが好ましい。これにより、凹部58に光反射性樹脂が供給された際またはその後の光学部材形成工程において、凹部を介して遮光フレームの第2主面から外縁の外側に光反射性樹脂が濡れ広がることを抑制することができる。なお、
図4に示すように、遮光フレームの外縁53と遮光フレームの幅方向における凹部58の外側の辺58aとの距離D
1は、例えば遮光フレーム(特に凹部が設けられている枠部分)の幅wの10%以上80%以下、例えば幅の30%以上60%以下などであってよい。
【0093】
図15は、本実施形態に係る発光装置の遮光フレームのある態様を示す模式的断面図である。
本態様における凹部58は、透光性部材3の第2側面3dよりも外側まで延在している。つまり、光学部材形成工程時において透光性部材3の鍔部30のよりも外側に至る位置にまで凹部58が延在している。
【0094】
これより、光学部材形成工程時において、ボイドが凹部を介して透光性部材の第2側面側に移動し易くなり、より外部へと排出され易くなる。つまり、ボイドを逃がすガイドとして機能がより好適に作用することになる。
図15に示すように、平面視において、凹部58の外側の辺58aは、遮光フレームの幅方向において透光性部材3の第2側面3dより外側に位置する。辺58aと第2側面3dとの離隔距離D
2は、例えば遮光フレーム(特に凹部が設けられている枠部分)の幅wの5%以上50%以下、例えば幅wの10%以上40%以下などであってよい。
【0095】
実施形態に係る発光装置の製造方法は、種々の態様で具現化される。
【0096】
(傾斜形態の凹部の態様)
本態様は、凹部が傾斜形態を有している態様である。例えば、
図14に示すように、遮光フレーム5において、凹部58の底面58’は第2主面5bに対して傾斜している。
【0097】
好ましくは、凹部の底面58’は、遮光フレームの幅方向において貫通孔側から漸次厚さを増すように傾斜している。これにより、ボイド80が凹部に導かれて外部へと排出され易くなる(
図14参照)。つまり、凹部が傾斜形態を有することで、光学部材形成工程で生じ得るボイドを外部へと導くガイドとしての効果が向上する。傾斜形態の凹部では貫通孔の内周近傍に発生したボイドが傾斜面に沿って移動し易くなり、凹部を介して外部に逃がされ易くなる。
【0098】
凹部の底面の傾斜角度は、20°以上70°以下であってよく、例えば30°以上60°以下であってよい。つまり、
図14で示される傾斜角度αについて、20°≦α≦70°、例えば30°≦α≦60°となっていてよい。傾斜角度αが20°以上70°以下であると、発生したボイドがより抵抗少なく凹部に流入され易く、また、流入したボイドがより外部へと誘導され易くなる。
【0099】
(幅狭部の付加態様)
本態様は、遮光フレームが凹部に加えて幅狭部を有する態様である。具体的には、
図16および
図17に示すように、遮光フレーム5は、平面視略矩形状の遮光フレームであって、矩形の長辺において部分的に幅狭となる幅狭領域52A、および、幅狭領域52Aより幅広の幅広領域52Bを有する。凹部58は幅広領域52Bに少なくとも設けられている。
【0100】
幅狭領域52Aおよび幅広領域52Bを有する遮光フレーム5は、枠部分52の幅が一定となっておらず、局所的に幅が狭い形態を有している。つまり、幅狭領域52Aにより、平面視の遮光フレーム5の枠部分52が一部狭くなった形態を有している。
【0101】
このような幅狭領域52Aおよび幅広領域52Bを有する遮光フレーム5では、光反射性樹脂供給工程において、供給された光反射性樹脂の高さが特に局所的に異なり易くなる。幅狭領域および幅広領域を有する遮光フレームに未硬化の光反射性樹脂が供給されると、光反射性樹脂は遮光フレーム上において濡れ拡がる。遮光フレーム上における樹脂の濡れ拡がりは、幅広領域が相対的に広い領域ゆえ光反射性樹脂がより大きく拡がる一方、幅狭領域が相対的に狭い領域ゆえ光反射性樹脂の拡がりがより小さい。よって、相対的に広い領域である幅広領域では、光反射性樹脂の高さがより低くなる一方、幅狭領域上に位置する光反射性樹脂の箇所が相対的に高くなる。
【0102】
図18Aおよび
図18Bは、幅狭領域52Aおよび幅広領域52Bを有する遮光フレーム5上における光反射性樹脂の高さが局所的に異なる状態を示す模式図である。本態様では、凹部58だけでなく、幅狭領域52A、幅広領域52Bを備えることによる相乗効果によって、供給された光反射性樹脂9a’の高さの差がより顕著となる。つまり、光学部材形成工程において、透光性部材の鍔部と光反射性樹脂との接触に時間差がより生じ易くなり、ボイドが外部へとより抜け易くなる。
【0103】
このような凹部および幅狭・幅広領域は、少なくとも遮光フレームの長辺部分に対して設けられていることが好ましい。かかる場合、凹部の少なくとも一部が幅広領域に配置されることが好ましい。つまり、遮光フレームの長辺部分が平面視において幅広領域とそれよりも幅狭となる幅狭領域とを有しており、凹部の少なくとも一部が当該長辺部分の幅広領域に設けられていることが好ましい。これにより、ボイドがより発生し易い遮光フレームの長辺部分に対して、凹部による光反射性樹脂の高さ差の効果と、幅狭・幅広領域による光反射性樹脂の高さ差の効果との双方に基づく相乗効果を付与できる。
【0104】
例えば、
図16および
図17に示すように、幅狭領域52Aを挟むような幅広領域52Bに凹部58が設けられてよい。かかる場合、その幅狭領域52A上において光反射性樹脂9a’の最頂部が配置され易い。よって、光学部材形成工程において、光反射性樹脂9a’と、透光性部材3の鍔部30(特に透光性部材3の第3面)との接触は、当該幅狭領域上の最頂部に起因して時間差を伴うことになり、光学部材形成工程においてボイドが外部へと抜けることになる。
【0105】
ある態様では、幅狭領域52Aが遮光フレーム5の枠部分の互いに対向する位置に設けられており、その各枠部分において幅狭領域52Aを挟むような幅広領域52Bの各々に凹部58が設けられていてもよい(
図19参照)。つまり、遮光フレームが平面視形状として例えば四角の枠形状を有する場合、その四角形の対向する辺に相当する枠部分において対を成すように幅狭・幅広領域および凹部が設けられていてよい。例えば、遮光フレームが平面視形状が略長方形を有する場合、対向する長辺に相当する枠部分において対を成すように幅狭・幅広領域および凹部が設けられていてよい。これより、光学部材形成工程において空気が逃げにくい“長辺”に対して、ボイド発生の抑制効果をより効果的に作用させることができる。
【0106】
なお、幅狭領域は、平面視において、遮光フレームの外縁が凹んだ又は切り欠かれたような形態を有している。つまり、幅狭領域は、
図16及び
図17に示すように、枠部分52の外縁が内側へと部分的に窪んでいる領域である。
遮光フレームがこのような幅狭領域を有することにより、第2光反射性部材形成工程において、幅狭領域の外側から、基板10と遮光フレーム5との間の空間に第2光反射性樹脂9b’を供給することができる。これにより、樹脂を供給するためのノズルを配置するための領域が確保されるため、製造工程において、複数の遮光フレームを近接させて配置させることが可能となり、発光装置の取り数を多くすることができる。
【0107】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【0108】
例えば、上記において、光反射性樹脂供給工程について説明したが、本発明では、必ずしも遮光フレームの全ての辺に光反射性樹脂を供給する必要はない。例えば、遮光フレームが平面視形状として略長方形を有する場合(即ち、平面視において枠部分52が成す形状が矩形の場合)、その長辺に相当する枠部分52にのみ光反射性樹脂を供給してよい。かかる場合、遮光フレームに光反射性樹脂を供給した際、および/または、透光性部材の鍔部で遮光フレーム上の光反射性樹脂を押圧して「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間の空間」に光反射性樹脂を流入させるに際して“長辺”における光反射性樹脂が“短辺”側へと回り込むように流動する。つまり、枠部分の長辺の光反射性樹脂は、枠部分の“短辺”側へと回り込むように流動しつつ「透光性部材と遮光フレームの貫通孔との間の空間」に充填される。
【0109】
また、そのように遮光フレームが平面視形状として略長方形を有する場合、その長辺に相当する枠部分に凹部を設ける態様を中心に説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、そのような長辺に加えて又はそれに代えて、遮光フレームの短辺に相当する枠部分に凹部を設けてもよい。例えば、
図20に示すように、遮光フレーム5の長辺と短辺の双方に及ぶように連続的に延在する凹部58が設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本開示の発光装置の製造方法は、車載用途、照明用途等に使用される発光装置の製造に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0111】
1 発光素子
3 透光性部材
3a 第1面(発光装置の光出射面)
3b 第2面
3c 第1側面
3d 第2側面
3e 第3面
30 透光性部材の鍔部
4 シート
5 遮光フレーム
50 貫通孔
52 枠部分
5a 第1主面
5b 第2主面
5c 貫通孔の内側面
55 平坦部
58 凹部
58’ 凹部の底面
58a 凹部の外側辺
52A 幅狭領域
52B 幅広領域
53 遮光フレームの外縁
6 保護素子
9 光反射性部材
9a 第1光反射性部材
9a’光反射性樹脂
9b 第2光反射性部材
9b’第2光反射性樹脂
10 基板
11 導電性接合部材
13 導光部材
40 コレット
60 光学部材
80 ボイド