(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】プロセッシングエレメント及びプロセッシングシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 17/10 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G06F17/10 A
(21)【出願番号】P 2019232622
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0045745
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】310024033
【氏名又は名称】エスケーハイニックス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung-daero,Bubal-eub,Icheon-si,Gyeonggi-do,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジェ ヒョク
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/101275(WO,A1)
【文献】特開2018-055260(JP,A)
【文献】特開2019-200553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0089564(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーチャとウエートとを受信してフィルタリングし、フィルタリングされたフィーチャとフィルタリングされたウエートとを出力する前処理回路と、
前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積するための累積回路と、
を備え、
前記前処理回路に入力される前記ウエートは、1、0、-1のうち1つの値を有し、
前記前処理回路は、
前記ウエートが-1である場合に、前記フィーチャとウエートとの符号を変更するサインコンバージョン回路と、
前記フィーチャが0である場合に、前記ウエートを0に変更するゼロフィルタリング回路と、
を備えるプロセッシングエレメント。
【請求項2】
前記累積回路は、前記フィルタリングされた
ウエートの値が1である場合に、前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積する請求項1に記載のプロセッシングエレメント。
【請求項3】
前記前処理回路に入力されたフィーチャとウエートとは、前記サインコンバージョン回路により処理され、前記サインコンバージョン回路により処理されたフィーチャとウエートとが前記ゼロフィルタリング回路により処理されて、前記フィルタリングされたフィーチャと前記フィルタリングされたウエートとが生成される請求項1に記載のプロセッシングエレメント。
【請求項4】
前記前処理回路に入力されたフィーチャとウエートとは、前記ゼロフィルタリング回路により処理され、前記ゼロフィルタリング回路により処理されたフィーチャとウエートとが前記サインコンバージョン回路により処理されて、前記フィルタリングされたフィーチャと前記フィルタリングされたウエートとが生成される請求項1に記載のプロセッシングエレメント。
【請求項5】
前記ゼロフィルタリング回路は、前記ウエートが0である場合に、前記フィーチャを0に変更する請求項1に記載のプロセッシングエレメント。
【請求項6】
前記累積回路は、
累積値と前記フィルタリングされたフィーチャの値とを加算する加算器と、
前記フィルタリングされたウエートが1である場合に、前記加算器の加算結果を前記累積値で格納するレジスタと、
を備える請求項1に記載のプロセッシングエレメント。
【請求項7】
フィーチャとウエートとを受信してフィルタリングし、フィルタリングされたフィーチャとフィルタリングされたウエートとを出力する前処理回路と、
前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積するための累積回路と、
を備え、
前記前処理回路に入力される前記ウエートは、1、0、-1のうち1つの値を有し、
前記前処理回路は、
前記ウエートが1である場合に、前記フィーチャとウエートとの符号を変更するサインコンバージョン回路と、
前記フィーチャが0である場合に、前記ウエートを0に変更するゼロフィルタリング回路と、
を備えるプロセッシングエレメント。
【請求項8】
前記累積回路は、前記フィルタリングされたウエートが-1である場合に、前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積する請求項
7に記載のプロセッシングエレメント。
【請求項9】
前記ゼロフィルタリング回路は、前記ウエートが0である場合に、前記フィーチャを0に変更する請求項
7に記載のプロセッシングエレメント。
【請求項10】
フィーチャとウエートとを格納するキャッシュメモリと、
前記キャッシュメモリから伝達されたフィーチャとウエートとの演算のためのプロセッシングエレメントと、
を備え、
前記プロセッシングエレメントは、
フィーチャとウエートとを受信してフィルタリングし、フィルタリングされたフィーチャとフィルタリングされたウエートとを出力する前処理回路と、
前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積するための累積回路と、
を備え、
前記前処理回路に入力される前記ウエートは、1、0、-1のうち1つの値を有し、
前記前処理回路は、
前記ウエートが-1である場合に、前記フィーチャとウエートとの符号を変更するサインコンバージョン回路と、
前記フィーチャが0である場合に、前記ウエートを0に変更するゼロフィルタリング回路と、
を備えるプロセッシングシステム。
【請求項11】
前記累積回路は、前記フィルタリングされた
ウエートの値が1である場合に、前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積する請求項
10に記載のプロセッシングシステム。
【請求項12】
ホストとの通信のためのホストインターフェースと、
データを格納するメモリと、
前記メモリのデータをアクセスするためのメモリインターフェースと、
前記ホストインターフェース、前記メモリインターフェース、及び前記キャッシュメモリ間のインターフェーシングのためのバスインターフェースと、
前記プロセッシングエレメントの演算結果を後処理(post-processing)する後処理器と、
をさらに備える請求項
10に記載のプロセッシングシステム。
【請求項13】
前記前処理回路に入力されたフィーチャとウエートとは、前記サインコンバージョン回路により処理され、前記サインコンバージョン回路により処理されたフィーチャとウエートとが前記ゼロフィルタリング回路により処理されて、前記フィルタリングされたフィーチャと前記フィルタリングされたウエートとが生成される請求項
10に記載のプロセッシングシステム。
【請求項14】
前記前処理回路に入力されたフィーチャとウエートとは、前記ゼロフィルタリング回路により処理され、前記ゼロフィルタリング回路により処理されたフィーチャとウエートとが前記サインコンバージョン回路により処理されて、前記フィルタリングされたフィーチャと前記フィルタリングされたウエートとが生成される請求項
10に記載のプロセッシングシステム。
【請求項15】
前記ゼロフィルタリング回路は、前記ウエートが0である場合に、前記フィーチャを0に変更する請求項
10に記載のプロセッシングシステム。
【請求項16】
前記累積回路は、
累積値と前記フィルタリングされたフィーチャの値とを加算する加算器と、
前記フィルタリングされたウエートが1である場合に、前記加算器の加算結果を前記累積値で格納するレジスタと、
を備える請求項
10に記載のプロセッシングシステム。
【請求項17】
フィーチャとウエートとを格納するキャッシュメモリと、
前記キャッシュメモリから伝達されたフィーチャとウエートとの演算のためのプロセッシングエレメントと、
を備え、
前記プロセッシングエレメントは、
フィーチャとウエートとを受信してフィルタリングし、フィルタリングされたフィーチャとフィルタリングされたウエートとを出力する前処理回路と、
前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積するための累積回路と、
を備え、
前記前処理回路に入力される前記ウエートは、1、0、-1のうち1つの値を有し、
前記前処理回路は、
前記ウエートが1である場合に、前記フィーチャとウエートとの符号を変更するサインコンバージョン回路と、
前記フィーチャが0である場合に、前記ウエートを0に変更するゼロフィルタリング回路と、
を備えるプロセッシングシステム。
【請求項18】
前記累積回路は、前記フィルタリングされたウエートの値が-1である場合に、前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積する請求項
17に記載のプロセッシングシステム。
【請求項19】
ホストとの通信のためのホストインターフェースと、
データを格納するメモリと、
前記メモリのデータをアクセスするためのメモリインターフェースと、
前記ホストインターフェース、前記メモリインターフェース、及び前記キャッシュメモリ間のインターフェーシングのためのバスインターフェースと、
前記プロセッシングエレメントの演算結果を後処理(post-processing)する後処理器と、
をさらに備える請求項
17に記載のプロセッシングシステム。
【請求項20】
前記ゼロフィルタリング回路は、前記ウエートが0である場合に、前記フィーチャを0に変更する請求項
17に記載のプロセッシングシステム。
【請求項21】
前記累積回路は、
累積値と前記フィルタリングされたフィーチャの値とを加算する加算器と、
前記フィルタリングされたウエートが-1である場合に、前記加算器の加算結果を前記累積値で格納するレジスタと、
を備える請求項
17に記載のプロセッシングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許文献は、プロセッシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
CNN(Convolution Neural Network)は、イメージ認識及び分析のために主に使用されるプロセッシングシステム(processing system)である。このプロセッシングシステムは、特定フィルタでイメージからフィーチャ(feature)を抽出するコンボリューション演算を行うようになる。
【0003】
近年、BNN(Binarized Neural Network)が台頭しているが、これは、バイナリ(binary)(1または-1のみウエートとして使用)またはターナリー(ternary)(1、0、-1のみウエートとして使用)のような2つまたは3つのウエートを使用してプロセッシングシステムの構造を単純化し、電力消費を減らそうとすることに目的がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態等は、プロセッシングシステムの構造を単純化し、電流消費を減らす技術を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係るプロセッシングエレメントは、フィーチャとウエートとを受信してフィルタリングし、フィルタリングされたフィーチャとフィルタリングされたウエートとを出力する前処理回路と、前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積するための累積回路とを備え、前記前処理回路は、前記ウエートが-1である場合に、前記フィーチャとウエートとの符号を変更するサインコンバージョン回路と、前記フィーチャが0である場合に、前記ウエートを0に変更するゼロフィルタリング回路とを備えることができる。
【0006】
本発明の他の実施形態に係るプロセッシングエレメントは、フィーチャとウエートとを受信してフィルタリングし、フィルタリングされたフィーチャとフィルタリングされたウエートとを出力する前処理回路と、前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積するための累積回路とを備え、前記前処理回路は、前記ウエートが1である場合に、前記フィーチャとウエートとの符号を変更するサインコンバージョン回路と、前記フィーチャが0である場合に、前記ウエートを0に変更するゼロフィルタリング回路とを備えることができる。
【0007】
本発明の一実施形態に係るプロセッシングシステムは、フィーチャとウエートとを格納するキャッシュメモリと、前記キャッシュメモリから伝達されたフィーチャとウエートとの演算のためのプロセッシングエレメントとを備え、前記プロセッシングエレメントは、フィーチャとウエートとを受信してフィルタリングし、フィルタリングされたフィーチャとフィルタリングされたウエートとを出力する前処理回路と、前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積するための累積回路とを備え、前記前処理回路は、前記ウエートが-1である場合に、前記フィーチャとウエートとの符号を変更するサインコンバージョン回路と、前記フィーチャが0である場合に、前記ウエートを0に変更するゼロフィルタリング回路とを備えることができる。
【0008】
本発明の他の実施形態に係るプロセッシングシステムは、フィーチャとウエートとを格納するキャッシュメモリと、前記キャッシュメモリから伝達されたフィーチャとウエートとの演算のためのプロセッシングエレメントとを備え、前記プロセッシングエレメントは、フィーチャとウエートとを受信してフィルタリングし、フィルタリングされたフィーチャとフィルタリングされたウエートとを出力する前処理回路と、前記フィルタリングされたフィーチャの値を累積するための累積回路とを備え、前記前処理回路は、前記ウエートが1である場合に、前記フィーチャとウエートとの符号を変更するサインコンバージョン回路と、前記フィーチャが0である場合に、前記ウエートを0に変更するゼロフィルタリング回路とを備えることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態等によれば、プロセッシングシステムの構造を単純化し、電流消費を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】プロセッシングシステムが行うコンボリューション(convolution)演算を説明するための図。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプロセッシングシステム200の構成図。
【
図3】プロセッシングエレメント260の一実施形態の構成図。
【
図5】前処理回路310の動作の他の例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施できるように詳細に説明するために、本発明の最も望ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明を説明するにあたって、本発明の要旨と関係ない構成は省略されることができる。各図面の構成要素等に参照符号を付すにあたって、同じ構成要素等に限っては、例え、他の図面上に表示されても、なるべく同じ番号を有するようにしていることに留意すべきである。
【0012】
図1は、プロセッシングシステムが行うコンボリューション(convolution)演算を説明するための図である。
【0013】
図1の110は、プロセッシングシステムに入力されるイメージ(image)データを示すことができる。イメージデータ値をフィーチャ(feature)というが、ここでは、イメージ110が4個のフィーチャを含むことと例示した。もちろん、イメージ110は、これよりずっと多くの個数のフィーチャを含むこともできる。
【0014】
120は、フィルタ(filter)を示すことができる。フィルタ120に含まれる値をウエート(weight)ということができる。ウエートは、フィーチャの各々に対応することができる。ここでは、ウエートが1、0、-1の3つの値のうち1つであることを例示したが、これをターナリー(ternary)ウエートという。
【0015】
コンボリューション演算は、フィーチャとウエートとを乗算し、乗算した値を加算する方式で行なわれることができる。例えば、
図1のイメージとフィルタに対するコンボリューション演算は、(0.3×1)+(1.2×0)+(-0.2×-1)+(0×-1)=0.5のように行なわれることができる。すなわち、コンボリューション演算には、乗算演算と加算演算とが伴われることが一般的である。
【0016】
図2は、本発明の一実施形態に係るプロセッシングシステム200の構成図である。
【0017】
図2に示すように、プロセッシングシステム200は、メインメモリ210、メモリインターフェース220、バスインターフェース230、ホストインターフェース240、キャッシュメモリ250、プロセッシングエレメント260、及び後処理器270を備えることができる。
【0018】
メインメモリ210は、イメージ(image)(すなわち、イメージに含まれるフィーチャ)とフィルタ(filter)(すなわち、フィルタに含まれるウエート)などを格納する大容量メモリでありうる。メインメモリ210では、DRAMが使用されることができ、他の種類のメモリが使用されることもできる。
【0019】
メモリインターフェース220は、メインメモリ210をアクセスするために使用されることができる。
【0020】
ホストインターフェース240は、ホスト(HOST)との通信のためのインターフェースでありうる。ホストインターフェース240を介してホスト(HOST)、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)からプロセッシングシステム200が処理する各種命令及びデータが伝達され得る。また、ホストインターフェース240を介してプロセッシングシステム200の処理結果がホストに伝達されることもできる。
【0021】
キャッシュメモリ250は、プロセッシングエレメント260が演算するフィーチャとウエートとを格納するキャッシュメモリでありうる。キャッシュメモリ250は、SRAMなどで構成されることができ、メインメモリ210とプロセッシングエレメント260との間のアクセスレイテンシ(access latency)を最小化するために使用されるキャッシュメモリでありうる。
【0022】
バスインターフェース230は、ホストインターフェース240、メモリインターフェース220、及びキャッシュメモリ250間のインターフェースのためのプロセッシングシステム200内部のバスインターフェースでありうる。バスインターフェース230は、ホストインターフェース240を介して伝達されるイメージとフィルタをメモリインターフェース220を介してメインメモリ210に格納し、メモリインターフェース220を介してメインメモリ210からプロセッシングエレメント260がコンボリューション演算するフィーチャとウエートとを読み出してキャッシュメモリ250にロードすることができる。また、バスインターフェース230は、プロセッシングシステム200の処理結果をホストインターフェース240を介してホスト(HOST)に伝達することができる。
【0023】
プロセッシングエレメント260は、キャッシュメモリ250から伝達されたフィーチャ(FEATURE)とウエート(WEIGHT)とのコンボリューション演算を行うことができる。プロセッシングエレメント260の構成及び動作については、
図3~
図5とともに詳細に説明する。
図2では、プロセッシングエレメント260を1個のみ図示したが、複数のコンボリューション演算を並列で処理するために、複数個のプロセッシングエレメントがプロセッシングシステムに含まれ得ることは当たり前である。
【0024】
後処理器270は、プロセッシングエレメント260のコンボリューション演算結果を後処理(post-processing)することができる。後処理器270は、ピクセル(pixel)別に平均(average)または最大(max)値を探すプーリング(pooling)、閾値(threshold)基盤でデータをフィルタリングするReLU(Rectified Linear Unit)またはシグモイド(sigmoid)のような活性関数(activation function)、結果値から外れる値をフィルタリングするノーマライズ(normalize)などの機能(function)を行うことができる。後処理器270の処理結果は、バスインターフェース230に伝達され、ホストインターフェース240を介してホストに伝達されることができる。
【0025】
図2のプロセッシングシステム200は、1つまたは複数個の集積回路チップで実現されることができる。例えば、プロセッシングシステム200全体が1つの集積回路チップにシステムオンチップ(system on chip)の形態で含まれることができ、メインメモリ210は、1つの集積回路チップに、残りの構成220~270は、さらに他の集積回路チップに含まれるなど、プロセッシングシステムが複数個の集積回路チップで実現されることもできる。
【0026】
図3は、プロセッシングエレメント260の一実施形態の構成図である。
【0027】
図3に示すように、プロセッシングエレメント260は、前処理回路310と累積回路320とを備えることができる。
【0028】
前処理回路310は、フィーチャ(FEATURE)とウエート(WEIGHT)とを受信してフィルタリングし、フィルタリングされたフィーチャ(FEATURE_FILTERED)とフィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)とを出力できる。前処理回路310の動作によりフィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)は、3つの値のうち1つでない、2つの値のうち1つになることができる。すなわち、フィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)は、ターナリー(ternary)からバイナリ(binary)に変更され、これは、すなわち、フィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)のビット数が2ビットから1ビットに変更されるということを意味できる。前処理回路310は、サインコンバージョン回路311及びゼロフィルタリング回路312を備えることができる。
【0029】
サインコンバージョン回路311は、ウエート(WEIGHT)が-1である場合に、フィーチャ(FEATURE)とウエート(WEIGHT)とに-1を乗算する動作を行うことができる。その結果、サインコンバージョン回路311により処理されたウエート(WEIGHT_SIGN)から-1が除去され、ウエートが0と1の2つの値のうち1つの値を有することができる。サインコンバージョン回路311がフィーチャ(FEATURE)とウエート(WEIGHT)とに-1を乗算する動作は、実際の乗算演算が必要なことではなく、+を-に変更したり、-を+に変更することのように、単に符号を変更すればよい。
図4においてFEATUREとWEIGHTとは、サインコンバージョン回路311に入力されるフィーチャ(FEATURE)とウエート(WEIGHT)とを示し、
図4のFEATURE_SIGNとWEIGHT_SIGNとは、サインコンバージョン回路から出力されるフィーチャとウエートとを示すが、
図4を確認すれば、ウエートが-1である場合に、フィーチャとウエートとに-1が乗算されてサインコンバージョン回路から出力されるウエートは、0と1の2つの値のうち1つの値を有することが確認できる。
【0030】
ゼロフィルタリング回路312は、フィーチャ(FEATURE_SIGN)が0である場合に、ウエート(WEIGHT_SIGN)を0に変更する動作を行うことができる。また、ウエート(WEIGHT_SIGN)が0である場合に、フィーチャ(FEATURE_SIGN)を0に変更する動作をさらに行うこともできる。フィーチャ(FEATURE_SIGN)が0である場合に、ウエート(WEIGHT_SIGN)を0に変更する動作を行うことは必須であるが、ウエート(WEIGHT_SIGN)が0である場合に、フィーチャ(FEATURE_SIGN)を0に変更する動作は行われない場合もある。これは、累積回路320が、フィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)の値が0である場合に、フィルタリングされたフィーチャ(FEATURE_FILTERED)の値を累積しないためである。
図4のフィルタリングされたフィーチャ(FEATURE_FILTERED)とフィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)とを確認すれば、ゼロフィルタリング回路312に入力されたフィーチャ(FEATURE_SIGN)とウエート(WEIGHT_SIGN)のうち1つが0である場合に、2つの値が共に0に変更されたことが確認できる。
【0031】
図3では、前処理回路310でサインコンバージョン回路311がゼロフィルタリング回路312の前段に位置することを例示したが、ゼロフィルタリング回路312がサインコンバージョン回路311の前段に位置することもできる。すなわち、フィーチャ(FEATURE)とウエート(WEIGHT)とに対するゼロフィルタリング回路312の処理動作が先に行われ、サインコンバージョン回路311の処理動作がその後に行われることもできる。
【0032】
累積回路320は、フィルタリングされたフィーチャ(FEATURE_FILTERED)の値を累積できる。前処理回路310により既にフィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)の値が0と1に減り、フィルタリングされたウエートの値が0である場合に、フィルタリングされたフィーチャの値も0に変更されたので、累積回路320は、単にフィルタリングされたフィーチャ(FEATURE_FILTERED)のみを受信して累積することもできる。ただし、ここでは、累積回路320がフィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)を受信してレジスタ322の活性化信号として使用することを例示した。累積回路320は、加算器321とレジスタ322とを備えることができる。
【0033】
加算器321は、フィルタリングされたフィーチャ(FEATURE_FILTERED)とレジスタ322に格納された累積値を加算する加算演算を行うことができる。レジスタ322は、加算器321の演算結果を累積値として格納することができる。レジスタ322は、フィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)を活性化信号として使用することができる。すなわち、レジスタ322は、フィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)が1である場合に、加算器321の演算結果を受信して格納し、フィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)が0である場合には、新しい入力値を受信せず、累積値をそのまま維持することができる。
【0034】
つまり、累積回路320は、フィルタリングされたフィーチャ(FEATURE_FILTERED)のうち、フィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)が1である値を累積するようになる。すなわち、累積回路320の累積値は、0.3+0.2=0.5になることができる。これは、
図1のイメージ110とフィルタ120に対するコンボリューション演算の結果と同一であるということが確認できる。
【0035】
図3のプロセッシングエレメント260では、前処理回路310によりウエート(WEIGHT)がターナリーからバイナリに変更される。すなわち、ウエート(WEIGHT)が2ビットから1ビットに変更され得る。また、フィーチャ(FEATURE)とウエート(WEIGHT)のうち1つ以上が0である場合に、フィーチャとウエートとが共に0に変更されるので、累積回路320は、フィルタリングされたフィーチャ(FEATURE_FILTERED)の値のみを加算演算することによりコンボリューション演算が行なわれ得る。すなわち、プロセッシングエレメント260から乗算器を除去することが可能であり、プロセッシングエレメント260の複雑度及び電流消費を減らすことができる。
【0036】
図3と
図4では、サインコンバージョン回路311が1、0、-1であったウエートを1と0に変更することを例示した。しかし、これとは異なり、サインコンバージョン回路311が1、0、-1のウエート(WEIGHT)を-1と0に変更することもできる、これは、サインコンバージョン回路311が、ウエート(WEIGHT)が1である場合に、フィーチャ(FEATURE)とウエート(WEIGHT)に-1を乗算する演算を行えばよい。
図5にこの過程を図示した。この場合、累積回路320は、フィルタリングされたフィーチャ(FEATURE_FILTERED)のうち、フィルタリングされたウエート(WEIGHT_FILTERED)が-1である値を累積できる。プロセッシングエレメント260が
図5のように動作する場合に、プロセッシングエレメント260が
図4のように動作する場合に比べて演算結果の符号が逆になることができるが、これは、単に演算結果の符号を逆にすることによって解決されることができる。
【0037】
本発明の技術思想は、上記好ましい実施形態によって具体的に記述されたが、上記した実施形態は、その説明のためのものであり、その制限のためのものでないことに注意すべきである。また、本発明の技術分野の専門家であれば、本発明の技術思想の範囲内で様々な実施形態が可能であることが分かるであろう。
【符号の説明】
【0038】
260 プロセッシングエレメント
310 前処理回路
320 累積回路