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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】複合固形燃料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20240306BHJP
   C10L 9/08 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C10L5/44
C10L9/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020082548
(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公開番号】P2021176938
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】細谷 郁雄
(72)【発明者】
【氏名】古園 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 健斗
(72)【発明者】
【氏名】林 潤一郎
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/067384(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/007913(WO,A1)
【文献】特開2019-026730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/00-7/04,9/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合固形燃料の製造方法であって、
バイオマスを250℃以上500℃以下で加熱する工程と、
加熱された前記バイオマスを粉砕してバイオマス粉B1を得る工程と、
前記バイオマス粉B1と、石炭粉(ただし、乾留した石炭を除く。)とを混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合物を、50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程と、をこの順で有し、
前記バイオマス粉B1を得る工程で得られる前記バイオマス粉B1の平均短径は、10μm以上3mm以下であり、
前記混合する工程で前記バイオマス粉B1と混合される前記石炭粉の平均粒径は、10μm以上1mm以下であり、
前記加熱する工程、前記バイオマス粉B1を得る工程、前記混合する工程、及び前記圧縮成型する工程を経て製造された前記複合固形燃料は、以下の要件(11)から(14)を満たす、複合固形燃料の製造方法。
・要件(11):ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が30以上である。
・要件(12):引張強度が0.2MPa以上である。
・要件(13):無水ベースの高位発熱量が3500kcal/kg以上である。
・要件(14):密度が0.7g/cm以上である。
【請求項2】
請求項1に記載の複合固形燃料の製造方法において、
前記混合する工程は、前記混合物中における前記バイオマス粉B1と前記石炭粉との混合比(前記バイオマス粉B1:前記石炭粉)が、質量比で10:90~90:10になるように、前記バイオマス粉B1と、前記石炭粉とを混合する工程である、複合固形燃料の製造方法。
【請求項3】
複合固形燃料の製造方法であって、
バイオマスを粉砕してバイオマス粉B2を得る工程と、
前記バイオマス粉B2と、石炭粉(ただし、乾留した石炭を除く。)とを混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合物を50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程と、
前記圧縮成型する工程で得られた圧縮成型物を250℃以上500℃以下で加熱する工程と、をこの順で有し、
前記バイオマス粉B2を得る工程で得られる前記バイオマス粉B2の平均短径は、10μm以上3mm以下であり、
前記混合する工程で前記バイオマス粉B2と混合される前記石炭粉の平均粒径は、10μm以上1mm以下であり、
前記バイオマス粉B2を得る工程、前記混合する工程、前記圧縮成型する工程、及び前記加熱する工程を経て製造された前記複合固形燃料は、以下の要件(11)から(14)を満たす、複合固形燃料の製造方法。
・要件(11):ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が30以上である。
・要件(12):引張強度が0.2MPa以上である。
・要件(13):無水ベースの高位発熱量が3500kcal/kg以上である。
・要件(14):密度が0.7g/cm 以上である。
【請求項4】
複合固形燃料の製造方法であって、
バイオマスを粉砕してバイオマス粉B2を得る工程と、
前記バイオマス粉B2と、石炭粉(ただし、乾留した石炭を除く。)とを混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合物を50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程及び250℃以上500℃以下で加熱する工程を同時に実施する工程と、をこの順で有し、
前記バイオマス粉B2を得る工程で得られる前記バイオマス粉B2の平均短径は、10μm以上3mm以下であり、
前記混合する工程で前記バイオマス粉B2と混合される前記石炭粉の平均粒径は、10μm以上1mm以下であり、
前記バイオマス粉B2を得る工程、前記混合する工程、並びに、前記圧縮成型する工程及び前記加熱する工程を同時に実施する工程を経て製造された前記複合固形燃料は、以下の要件(11)から(14)を満たす、複合固形燃料の製造方法。
・要件(11):ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が30以上である。
・要件(12):引張強度が0.2MPa以上である。
・要件(13):無水ベースの高位発熱量が3500kcal/kg以上である。
・要件(14):密度が0.7g/cm 以上である。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の複合固形燃料の製造方法において、
前記混合する工程は、前記混合物中における前記バイオマス粉B2と前記石炭粉との混合比(前記バイオマス粉B2:前記石炭粉)が、質量比で10:90~90:10になるように、前記バイオマス粉B2と、前記石炭粉とを混合する工程である、複合固形燃料の製造方法。
【請求項6】
複合固形燃料の製造方法であって、
バイオマスを粉砕してバイオマス粉B3を得る工程と、
前記バイオマス粉B3を250℃以上500℃以下で加熱する工程と、
加熱された前記バイオマス粉B3と、石炭粉(ただし、乾留した石炭を除く。)とを混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合物を50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程と、をこの順で有し、
前記バイオマス粉B3を得る工程で得られる前記バイオマス粉B3の平均短径は、10μm以上3mm以下であり、
前記混合する工程で前記バイオマス粉B3と混合される前記石炭粉の平均粒径は、10μm以上1mm以下であり、
前記バイオマス粉B3を得る工程、前記加熱する工程、前記混合する工程、及び前記圧縮成型する工程を経て製造された前記複合固形燃料は、以下の要件(11)から(14)を満たす、複合固形燃料の製造方法。
・要件(11):ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が30以上である。
・要件(12):引張強度が0.2MPa以上である。
・要件(13):無水ベースの高位発熱量が3500kcal/kg以上である。
・要件(14):密度が0.7g/cm 以上である。
【請求項7】
請求項6に記載の複合固形燃料の製造方法において、
前記混合する工程は、前記混合物中における前記バイオマス粉B3と前記石炭粉との混合比(前記バイオマス粉B3:前記石炭粉)が、質量比で10:90~90:10になるように、前記バイオマス粉B3と、前記石炭粉とを混合する工程である、複合固形燃料の製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の複合固形燃料の製造方法において、
前記混合する工程にて前記バイオマス粉B1、前記バイオマス粉B2、又は前記バイオマス粉B3と混合される前記石炭粉に対し、水熱処理及び酸処理の少なくとも一方の処理を実施する工程を有する、複合固形燃料の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の複合固形燃料の製造方法において、
前記混合する工程にて前記バイオマス粉B1、前記バイオマス粉B2、又は前記バイオマス粉B3と混合される前記石炭粉は、瀝青炭に由来する、複合固形燃料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合固形燃料及び複合固形燃料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電によるCO排出量を削減させるために、石炭にバイオマスを混焼させる検討が進められている。バイオマスとは、再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものをいう。しかし、木質系バイオマス等に代表される固体状のバイオマスは、石炭に比べ粉砕性が劣るため、既存の微粉炭機において、石炭と同様に粉砕することはできない。そのため、バイオマスの混焼率を上げることは現状困難である。
そこで、バイオマスを半炭化して、バイオマスの粉砕性を向上させる手法が開発されている。
例えば、特許文献1には、パーム椰子樹木の果房の周囲に生えるパーム枝葉を半炭化処理したバイオマス半炭化物と、褐炭を乾燥粉砕した粉状褐炭とを混合して圧縮成形した圧縮成形体からなることを特徴とするバイオマス改質炭が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-26730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
混焼発電に用いる燃料としては、通常、石炭粉とバイオマス粉とを圧縮成型した固形燃料が用いられる。このような固形燃料において、十分な粉砕性を得るために炭化の度合いを上げると、運搬時等に固形燃料が破壊され易くなる。固形燃料の破壊は、微粉の発生、ひいては粉塵の発生の原因となる。そのため、混焼発電に用いる燃料には、粉砕性が良好であることに加え、機械的強度が求められる。
なお、特許文献1は、バイオマス改質炭(固形燃料)を、パーム椰子農園の近傍に所在する炭鉱から得られた褐炭を用いて製造しているため、バイオマス改質炭を運搬することに着目しておらず、そのため、バイオマス改質炭の機械的強度についての検討も行っていない。
【0005】
本発明の目的は、粉砕性を向上させつつ、機械的強度を維持できる複合固形燃料及び当該複合固形燃料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、石炭粉と、バイオマス粉とを含む複合固形燃料であって、前記複合固形燃料は、下記要件(1)から(4)を満たす、複合固形燃料が提供される。
・要件(1):ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が30以上である。
・要件(2):引張強度が0.2MPa以上である。
・要件(3):無水ベースの高位発熱量が3500kcal/kg以上である。
・要件(4):密度が0.7g/cm以上である。
【0007】
本発明の一態様に係る複合固形燃料において、前記複合固形燃料を窒素雰囲気で110℃まで加熱した後、酸素雰囲気に切り替え、前記酸素雰囲気で、前記複合固形燃料が110℃から180℃まで昇温するのに要する時間T180が、70分以上であることが好ましい。
【0008】
本発明の一態様に係る複合固形燃料において、前記複合固形燃料を水中に6時間浸漬した後の浸漬水のBODが300mg/L以下であることが好ましい。
【0009】
本発明の一態様に係る複合固形燃料において、前記複合固形燃料を水中に6時間浸漬した後の浸漬水のCODが300mg/L以下であることが好ましい。
【0010】
本発明の一態様に係る複合固形燃料において、前記バイオマス粉は、木質バイオマス、草木バイオマス、農作物残渣バイオマス、及びパーム椰子バイオマスからなる群から選択される少なくとも1種に由来することが好ましい。
【0011】
本発明の一態様に係る複合固形燃料において、前記石炭粉は、褐炭、亜瀝青炭、又は瀝青炭に由来することが好ましい。
【0012】
本発明の一態様によれば、バイオマスを250℃以上500℃以下で加熱する工程と、
加熱された前記バイオマスを粉砕してバイオマス粉B1を得る工程と、
前記バイオマス粉B1と、石炭粉とを混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合物を、50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程と、を有する複合固形燃料の製造方法が提供される。
【0013】
本発明の一態様に係る複合固形燃料の製造方法において、前記バイオマス粉B1を得る工程で得られる前記バイオマス粉B1の平均短径は、10μm以上3mm以下であり、前記混合する工程で前記バイオマス粉B1と混合される前記石炭粉の平均粒径は、10μm以上1mm以下であることが好ましい。
【0014】
本発明の一態様に係る複合固形燃料の製造方法において、前記混合する工程は、前記混合物中における前記バイオマス粉B1と前記石炭粉との混合比(前記バイオマス粉B1:前記石炭粉)が、質量比で10:90~90:10になるように、前記バイオマス粉B1と、前記石炭粉とを混合する工程であることが好ましい。
【0015】
本発明の一態様によれば、バイオマスを粉砕してバイオマス粉B2を得る工程と、
前記バイオマス粉B2と、石炭粉とを混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合物を50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程と、
前記圧縮成型する工程で得られた圧縮成型物を250℃以上500℃以下で加熱する工程と、を有する複合固形燃料の製造方法が提供される。
【0016】
本発明の一態様によれば、バイオマスを粉砕してバイオマス粉B2を得る工程と、
前記バイオマス粉B2と、石炭粉とを混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合物を50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程及び250℃以上500℃以下で加熱する工程を同時に実施する工程と、を有する複合固形燃料の製造方法が提供される。
【0017】
本発明の一態様に係る複合固形燃料の製造方法において、前記バイオマス粉B2を得る工程で得られる前記バイオマス粉B2の平均短径は、10μm以上3mm以下であり、前記混合する工程で前記バイオマス粉B2と混合される前記石炭粉の平均粒径は、10μm以上1mm以下であることが好ましい。
【0018】
本発明の一態様に係る複合固形燃料の製造方法において、前記混合する工程は、前記混合物中における前記バイオマス粉B2と前記石炭粉との混合比(前記バイオマス粉B2:前記石炭粉)が、質量比で10:90~90:10になるように、前記バイオマス粉B2と、前記石炭粉とを混合する工程であることが好ましい。
【0019】
本発明の一態様によれば、バイオマスを粉砕してバイオマス粉B3を得る工程と、
前記バイオマス粉B3を250℃以上500℃以下で加熱する工程と、
加熱された前記バイオマス粉B3と、石炭粉とを混合する工程と、
前記混合する工程で得られた混合物を50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程と、を有する複合固形燃料の製造方法が提供される。
【0020】
本発明の一態様に係る複合固形燃料の製造方法において、前記バイオマス粉B3を得る工程で得られる前記バイオマス粉B3の平均短径は、10μm以上3mm以下であり、前記混合する工程で前記バイオマス粉B3と混合される前記石炭粉の平均粒径は、10μm以上1mm以下であることが好ましい。
【0021】
本発明の一態様に係る複合固形燃料の製造方法において、前記混合する工程は、前記混合物中における前記バイオマス粉B3と前記石炭粉との混合比(前記バイオマス粉B3:前記石炭粉)が、質量比で10:90~90:10になるように、前記バイオマス粉B3と、前記石炭粉とを混合する工程であることが好ましい。
【0022】
本発明の一態様に係る複合固形燃料の製造方法において、前記混合する工程にて前記バイオマス粉B1、前記バイオマス粉B2、又は前記バイオマス粉B3と混合される前記石炭粉に対し、水熱処理及び酸処理の少なくとも一方の処理を実施する工程を有することが好ましい。
【0023】
本発明の一態様に係る複合固形燃料の製造方法において、製造された前記複合固形燃料は、以下の要件(11)から(14)を満たすことが好ましい。
・要件(11):ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が30以上である。
・要件(12):引張強度が0.2MPa以上である。
・要件(13):無水ベースの高位発熱量が3500kcal/kg以上である。
・要件(14):密度が0.7g/cm以上である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、粉砕性を向上させつつ、機械的強度を維持できる複合固形燃料及び当該複合固形燃料の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る複合固形燃料の写真。
図2】石炭及びバイオマスについての時間T180を示すグラフ。
図3】第2実施形態に係る複合固形燃料の製造方法を示すフローチャート。
図4】第2実施形態Aに係る複合固形燃料の製造方法を示すフローチャート。
図5】第3実施形態に係る複合固形燃料の製造方法を示すフローチャート。
図6】第3実施形態に係る複合固形燃料の別の製造方法を示すフローチャート。
図7】ピストン式圧縮成型装置の断面図。
図8】圧壊試験機の概略図。
図9】自然発熱性評価装置の概略図。
図10】バイオマスの混合比と引張強度との関係を示すグラフ。
図11】自然発熱性評価における試料の温度特性を示すグラフ。
図12】実施例1-1の複合固形燃料のSEM写真。
図13】実施例2-1の複合固形燃料のSEM写真。
図14】実施例3-1の複合固形燃料のSEM写真。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前に記載される数値を下限値とし、「~」の後に記載される数値を上限値として含む範囲を意味する。
【0027】
〔第1実施形態〕
<複合固形燃料>
本実施形態の複合固形燃料は、石炭粉と、バイオマス粉とを含み、下記要件(1)から(4)を満たす。
・要件(1):ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が30以上である。
・要件(2):引張強度が0.2MPa以上である。
・要件(3):無水ベースの高位発熱量が3500kcal/kg以上である。
・要件(4):密度が0.7g/cm以上である。
本実施形態の複合固形燃料によれば、粉砕性を向上させつつ、機械的強度を維持できる(以下、「本実施形態の効果」とも称する)。
なお、本実施形態の複合固形燃料は、要件(1)から(4)を満たす限り、特に限定されない。
【0028】
本実施形態の複合固形燃料に含まれるバイオマス粉は、加熱が施されており、半炭化されている。
ここで、半炭化とは、少なくとも一部のバイオマスを炭化した状態をいう。そのため、本明細書における半炭化は、バイオマスの一部を炭化した状態、及びバイオマスの全てを炭化した状態を包含する。半炭化された固形燃料は、固体状のバイオマス(例えば木質バイオマス)を、例えば250℃以上500℃以下で加熱することで得られる。
【0029】
本実施形態の複合固形燃料が要件(1)~(4)を満たす理由は、以下のように考えられる。
本実施形態の複合固形燃料は、「半炭化されたバイオマス粉」を含んでいるため、燃料としての発熱量が確保され、粉砕性が向上すると考えられる。その結果、HGIが30以上及び無水ベースの高位発熱量が3500kcal/kg以上の性状を有すると考えられる(要件(1)及び(3))。
【0030】
「半炭化されたバイオマス粉」を含む複合固形燃料を得るための方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
・方法(a):バイオマスを所定の温度で加熱した後、粉砕する。粉砕して得られたバイオマス粉と、石炭粉とを混合して所定の条件で圧縮成型する。
・方法(a’):バイオマスを粉砕する。粉砕したバイオマスを所定の温度で加熱する。加熱して得られたバイオマス粉と、石炭粉とを混合して所定の条件で圧縮成型する。
・方法(b):未加熱のバイオマスを粉砕する。粉砕して得られたバイオマス粉と、石炭粉とを混合して所定の条件で圧縮成型する。圧縮成型して得られた圧縮成型物を所定の温度で加熱する。
・方法(c):未加熱のバイオマスを粉砕する。粉砕して得られたバイオマス粉と、石炭粉とを混合して所定の条件で圧縮成型するのと同時に所定の温度で加熱する。
以下では、方法(a)及び方法(a’)を「バイオマス粉を半炭化してから圧縮成型する方法」と称し、方法(b)を「圧縮成型後にバイオマス粉を半炭化する方法」と称し、方法(c)を「圧縮成型と同時にバイオマス粉を半炭化する方法」と称することがある。
方法(a)、(a’)、(b)及び(c)において、「所定の温度」は、加熱方式等によっても異なるが、例えば、流動層(床)反応方式で加熱する場合は、通常250℃以上500℃以下であり、ロータリーキルン方式で加熱する場合は、通常250℃以上300℃以下である。所定温度の詳細は、後述の「加熱工程ST1」等の項で説明する。「所定の条件」の詳細は、後述の「圧縮成型工程ST4」等の項で説明する。
【0031】
また、本実施形態の複合固形燃料は、製造条件が厳密に制御されて製造される。このような製造条件の制御により、要件(1)及び(3)に加え、引張強度が0.2MPa以上及び密度が0.7g/cm以上を満たす複合固形燃料が得られると考えられる(要件(2)及び(4))。
制御される製造条件としては、例えば、以下の条件(A)~(E)が挙げられる。
・条件(A):圧縮成型時の圧力
・条件(B):圧縮成型時の加圧時間
・条件(C):圧縮成型時に加熱する場合は加熱温度
・条件(D):バイオマス粉及び石炭粉のサイズ
本実施形態の複合固形燃料は、バイオマス粉と石炭粉とを含む混合物を、少なくとも、高い圧力(例えば50MPa以上150MPa以下)で圧縮成型することで製造される(条件(A))。これにより、引張強度及び密度を共に高めることができ、その結果、機械的強度が維持されると考えられる。
製造された複合固形燃料の一例の写真を図1に示す。なお、図1に示す複合固形燃料は、実施例1-1で得られた複合固形燃料に該当する。
【0032】
次に、要件(1)から(4)について詳細に説明する。
【0033】
(要件(1))
・要件(1):ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が30以上である。
微粉炭火力発電方式を採用する石炭火力発電においては、ボイラーに導入する前に石炭を細かく粉砕する必要がある。そのため、複合固形燃料のハードグローブ粉砕性指数(HGI)は、石炭により近いことが好ましい。例えば、一般的な微粉炭火力発電所で用いられる石炭の平均的なハードグローブ粉砕性指数(HGI)は、40~60程度である。
本実施形態において、複合固形燃料のハードグローブ粉砕性指数(HGI)は、石炭により近い粉砕性を得る観点から、好ましくは40以上であり、より好ましくは46以上であり、さらに好ましくは50以上である。
ハードグローブ粉砕性指数(HGI)は、JIS M8801(2004)に記載された試験方法で測定できる。
【0034】
(要件(2))
・要件(2):引張強度が0.2MPa以上である。
本明細書では、機械的強度を判定する指標として、引張強度を用いる。引張強度は、複合固形燃料を加圧して破壊させたときの荷重から算出される。装置は、図7に示す圧壊試験機を用いる。引張強度の測定方法及び圧壊試験機の詳細は、実施例の項に記載する。
複合固形燃料は、製造後、各地の発電所、製鉄所、及び工場等の敷地内まで運搬されるため、運搬中に壊れにくいこと、すなわち、機械的強度が求められる。
本実施形態の複合固形燃料は、引張強度が0.2MPa以上であることにより、機械的強度が維持される。これにより、運搬中、微粉の発生を抑制でき、その結果、粉塵の発生を抑制できる。特に、複合固形燃料が、自然発熱し易い褐炭由来の石炭粉を含む場合に、微粉及び粉塵の発生を抑制できることは有効である。その結果、安全性に優れた複合固形燃料が得られる。
また、引張強度が0.2MPa以上である複合固形燃料は、ハンドリング性にも優れる。
本実施形態の複合固形燃料において、引張強度は、好ましくは0.5MPa以上、より好ましくは0.7MPa以上、さらに好ましくは1.0MPa以上である。
【0035】
(要件(3))
・要件(3):無水ベースの高位発熱量が3500kcal/kg以上である。
本実施形態の複合固形燃料は、要件(3)を満たすので、燃料としての発熱量が確保されている。
本実施形態の複合固形燃料において、無水ベースの高位発熱量は、好ましくは3700kcal/kg以上、より好ましくは4000kcal/kg以上、さらに好ましくは4500kcal/kg以上、さらに好ましくは5000kcal/kg以上である。
無水ベースの高位発熱量は、JIS M8814(2003)に記載された試験方法で測定できる。
【0036】
(要件(4))
・要件(4):密度が0.7g/cm以上である。
本実施形態の複合固形燃料は、要件(4)を満たすので、他のバイオマス固形燃料と比べて、固形燃料としての密度が比較的高い。これにより、複合固形燃料を運搬する際、運搬量を増加できる。その結果、運搬効率を向上できる。
本実施形態の複合固形燃料において、密度は、好ましくは0.8g/cm以上、より好ましくは1.0g/cm以上、さらに好ましくは1.2g/cm以上、さらに好ましくは1.5g/cm以上である。
運搬効率をより向上させるためには、密度は大きい程好ましい。
なお、密度は、製造された複合固形燃料の寸法及び質量から算出される。
【0037】
(時間T180(分))
本実施形態の複合固形燃料において、複合固形燃料を窒素雰囲気で110℃まで加熱した後、酸素雰囲気に切り替え、前記酸素雰囲気で、複合固形燃料が110℃から180℃まで昇温するのに要する時間T180が、70分以上であることが好ましい。
本明細書では、自然発熱性を判定する指標として、出光興産株式会社が開発した指標である時間T180(分)を用いる。時間T180(分)は、長い程、自然発熱しにくいことを示す。時間T180(分)の測定は、図9に示す自然発熱性評価装置(島津製作所社製:SIT-2)を用いて行う。時間T180の測定方法及び自然発熱性評価装置の詳細は、実施例の項に記載する。
表1に、本明細書で採用する自然発熱性を判定する指標を示す。なお、本明細書では、表1の指標を採用するが、これに限定されず、自然発熱性を適切に判定できる指標であれば他の指標を採用してもよい。
【0038】
【表1】
【0039】
図2は、石炭及びバイオマスについての時間T180を示すグラフである。図2中、石炭は中国炭(例えば神華炭)であり、ブラックペレットは、木質バイオマスの半炭化ペレットである。
図2に示すように、110℃まで加熱した中国炭を酸素雰囲気に晒した場合、中国炭の温度はすぐに上昇を始め、時間T180は、55分と短い。
一方、110℃まで加熱したブラックペレットを酸素雰囲気に晒した場合、ブラックペレットの温度はゆっくりと上昇し、時間T180は、300分となる。
本実施形態の複合固形燃料は、「半炭化されたバイオマス粉」を含むことにより、自然発熱し易い石炭(例えば、中国炭及び褐炭)の時間T180よりも時間T180を長くすることができる。これは、バイオマス粉が石炭のマトリックス中に分散されることで、石炭粉の熱伝導性及び蓄熱性を低下させるためと考えられる。
本実施形態の複合固形燃料において、前記時間T180(分)は、自然発熱をより抑制する観点から、より好ましくは75分以上、さらに好ましくは80分以上、さらに好ましくは85分以上である。
【0040】
(BOD及びCOD)
本実施形態の複合固形燃料において、前記複合固形燃料を水中に6時間浸漬した後の浸漬水の生物化学的酸素要求量(BOD)は、300mg/L以下であることが好ましい。BODの値が小さい程、複合固形燃料からの有機物の溶出が抑制されていることを示す。BODは、より好ましくは250mg/L以下、さらに好ましくは200mg/L以下、さらに好ましくは150mg/L以下である。
BODは、JIS K0102-21(2016)に記載された試験方法で測定される。
【0041】
本実施形態の複合固形燃料において、前記複合固形燃料を水中に6時間浸漬した後の浸漬水の化学的酸素要求量(COD)は、300mg/L以下であることが好ましい。CODの値が小さい程、複合固形燃料からの有機物の溶出が抑制されていることを示す。CODは、より好ましくは250mg/L以下、さらに好ましくは200mg/L以下、さらに好ましくは150mg/L以下である。
CODは、JIS K0102-17(2016)に記載された試験方法で測定される。
【0042】
本実施形態の複合固形燃料を石炭と同じように使用するには、屋外で保管したときに、降雨による有機物の溶出量が少ないことが求められる。
よって、少なくとも、BODが300mg/L以下またはCODが300mg/L以下であると、水質汚染を抑制できるので、屋外でも複合固形燃料を保管できる。
本実施形態の複合固形燃料は、以下の理由により、有機物の溶出が抑制され、少なくとも、BODが300mg/L以下またはCODが300mg/L以下を満たし易いと考えられる。
・複合固形燃料中に含まれる石炭粉自身の溶解性が低い。
・複合固形燃料中に含まれる石炭粉によって、バイオマス紛の表面が覆われる。
・密度が比較的大きいため(0.7g/cm以上)、複合固形燃料の表面積及び水の侵入経路が減少する。
【0043】
また、複合固形燃料からの有機物の溶出をより抑制する方法としては、例えば、複合固形燃料中に含まれるバイオマス粉を出来るだけ完全炭化に近い状態まで半炭化する方法が挙げられる。
バイオマス粉の炭化の度合いが進むほど、複合固形燃料からの有機物の溶出が少なくなると考えられるためである。炭化の度合いを調整する方法としては、例えば、バイオマス粉の加熱温度を調整する方法、バイオマス粉の加熱時間を調整する方法、バイオマス粉の粒径を調整する方法、及びバイオマス粉への伝熱効率を調整する方法等が挙げられる。
また、圧縮成型後にバイオマス粉を半炭化する方法(前述の方法(b))及び圧縮成型と同時にバイオマス粉を半炭化する方法(前述の方法(c))によっても、複合固形燃料からの有機物の溶出をより抑制することができる。
これは、圧縮成型時または圧縮成型後の加熱により、有機物の揮発成分が揮発することに加えて、バイオマス粉の構成要素であるリグニン等により、複合固形燃料の表面がコーティングされるためと考えられる。したがって、前述の方法(b)及び(c)を用いて、複合固形燃料を製造することにより、前述の方法(a)及び方法(a’)に比べて、耐溶出性が向上した複合固形燃料が得られ易くなる。
【0044】
(複合固形燃料の形態)
本実施形態の複合固形燃料の形態としては、ブリケットまたはペレットが好ましい。
複合固形燃料の形状及び大きさは特に限定されない。
ブリケットは、例えば、ブリケットマシーンを用いて豆炭状または円筒状に成型することで製造される。
【0045】
(バイオマス粉)
バイオマス粉はバイオマスを粉砕することで得られる。
バイオマスとしては特に限定されないが、例えば、木質バイオマス、草木バイオマス、農作物残渣バイオマス、パーム椰子バイオマス、セルロース製品、及びパルプ製品等が挙げられる。
本明細書において、農作物残渣バイオマスとは、食用部分以外のものを意味する。
本明細書において、パーム椰子バイオマスとは、バイオマス燃料となり得るパーム椰子の農業廃棄物を意味する。パーム椰子バイオマスとしては、具体的には、パーム椰子殻(PKS:Palm Kernel Shell)、及びパーム椰子空果房(EFB:Empty Fruit Bunch)等が挙げられる。
【0046】
木質バイオマスとしては、例えば、針葉樹(例えば、スギ、マツ、ユーカリ、ヒノキ、及びモミ等)、及び広葉樹(例えば、シラカバ、ブナ、ケヤキ、カツラ、キリ、ゴムノキ及びクスノキ等)等が挙げられる。木質バイオマスは、建築廃材(例えば、切断した端材、加工場で発生した切りくず、及びおがくず等)、林地残材、切捨間伐材、及び竹等であってもよい。
草木バイオマスとしては、例えば、草、自然に生育した植物、及び人工的に植林した植物等が挙げられる。草木バイオマスは、麻、綿、稲わら、籾殻、麦わら、ササ、及びススキ等であってもよい。
【0047】
農作物残渣バイオマスとしては、例えば、農作物の葉、果房、茎、根、及びその他食用以外の不要部分が挙げられる。前記農作物としては、例えば、小麦、とうもろこし、じゃがいも、及びサトウキビ(バガスを含む)等が挙げられる。
【0048】
パーム椰子バイオマスとしては、例えば、パーム油の絞りかす(PKS)、果房(EFB)、及び果実皮等が挙げられる。
以上に記載したバイオマスは、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0049】
バイオマス粉は、木質バイオマス、草木バイオマス、農作物残渣バイオマス、及びパーム椰子バイオマスからなる群から選択される少なくとも1種に由来することが好ましい。バイオマス粉は、木質バイオマス、草木バイオマス、及び農作物残渣バイオマスからなる群から選択される少なくとも1種に由来することがより好ましい。バイオマス粉は、木質バイオマスに由来することがさらに好ましい。
【0050】
バイオマス粉は、バイオマスを公知の粉砕機を用いて粉砕することで得られる。
例えば、木質バイオマスとして木材を用いる場合、木材で大型のものは数センチ程度のチップに粗粉砕し、その後、粉末に粉砕してもよい。
【0051】
(石炭粉)
石炭粉は石炭を粉砕することで得られる。石炭粉は入手したものでもよい。
石炭としては、例えば、瀝青炭、亜瀝青炭、及び褐炭が挙げられる。
瀝青炭、亜瀝青炭、及び褐炭は、下記のように定義される。
・瀝青炭…無水無灰基準において、総発熱量が8,100kcal/kg以上8,400kcal/kg未満の石炭
・亜瀝青炭…無水無灰基準において、総発熱量が7,300kcal/kg以上8,100 kcal/kg未満の石炭
・褐炭…無水無灰基準において、総発熱量が5,800kcal/kg以上7,300
kcal/kg未満の石炭
【0052】
本実施形態の複合固形燃料において、石炭粉は、褐炭、亜瀝青炭、又は瀝青炭に由来することが好ましい。
本実施形態の複合固形燃料は、石炭粉が、燃料及びバインダーの機能を兼ね備える。そのため、本実施形態の複合固形燃料は、バインダーを含まないか、仮にバインダーを含む場合であっても、バインダーの含有量が大幅に低減した燃料とすることができる。これにより、製造コストを削減できる。
石炭粉としては、バインダー機能をより発現する観点から、褐炭に由来するものが好ましい。石炭粉は、石炭を公知の粉砕機を用いて粉砕することで得られる。
【0053】
(複合固形燃料のその他成分)
本実施形態の複合固形燃料は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、その他成分を含んでもよい。その他成分としては、バインダー及び各種添加剤等が挙げられる。
その他成分の含有量は、複合固形燃料の全量に対し、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
本実施形態の複合固形燃料は、石炭粉が燃料及びバインダーの機能を兼ね備えるため、コスト削減の観点から、バインダーを含まないことが好ましい。
【0054】
〔複合固形燃料の使用態様〕
本実施形態の複合固形燃料は、発電所、製鉄所、及び工場等で広く用いることができる。例えば、複合固形燃料を火力発電設備で用いる場合、既存の火力発電設備を用いて、例えば、石炭粉砕機により複合固形燃料を粉砕してボイラーに導入してもよい。
また、複合固形燃料を石炭粉砕機とは別の粉砕機で粉砕した後、ボイラーに導入してもよい。複合固形燃料の使用態様は上記に限定されない。
本実施形態の複合固形燃料は、粉砕性が向上した固形燃料であるので、既存の石炭火力発電所への利用が期待される。
【0055】
次に、第2実施形態に係る複合固形燃料の製造方法(以下、「第2実施形態の製造方法」とも称する。)について説明する。
【0056】
〔第2実施形態〕
<複合固形燃料の製造方法>
図3は、第2実施形態の製造方法を示すフローチャートである。
第2実施形態の製造方法は、バイオマスを250℃以上500℃以下で加熱する工程(以下、「加熱工程ST1」とも称する。)と、加熱された前記バイオマスを粉砕してバイオマス粉B1を得る工程(以下、「バイオマス粉B1を得る工程ST2」とも称する。)と、前記バイオマス粉B1と、石炭粉とを混合する工程(以下、「混合工程ST3」とも称する。)と、前記混合する工程で得られた混合物を、50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程(以下、「圧縮成型工程ST4」とも称する。)と、を有する。
第2実施形態の製造方法によれば、粉砕性を向上させつつ、機械的強度を維持できる複合固形燃料が製造される。
第2実施形態の製造方法は、前述の方法(a)(バイオマス粉を半炭化してから圧縮成型する方法)に相当する。
なお、図3には、石炭を粉砕する工程(以下、「石炭粉砕工程ST0」とも称する。)が示されている。石炭粉砕工程ST0は任意の工程である。石炭粉は入手したものであってよい。
【0057】
以下、第2実施形態の製造方法で実施する各工程について説明する。
【0058】
(加熱工程ST1)
加熱工程ST1は、バイオマスを250℃以上500℃以下で加熱する工程である。
第2実施形態の製造方法で得られる複合固形燃料は、「半炭化されたバイオマス粉」を含む。言い換えれば、加熱工程ST1は、バイオマスを250℃以上500℃以下で加熱することにより、(粉砕前の)バイオマスを「半炭化されたバイオマス」にする工程である。
加熱方法としては、例えば、容器内(好ましくは空気を遮断した容器内)でバイオマスを一定時間加熱(例えば、空気加熱、排ガス加熱、及び直接加熱等)する方法が挙げられる。
加熱方式としては、例えば、ロータリーキルン方式、スクリュー反応方式、多段反応方式、流動層(床)反応方式、マイクロ波反応方式、及び移動層反応方式等が挙げられる。
バイオマスを加熱する温度は、発熱量を確保しつつ粉砕性を向上する観点から、好ましくは250℃以上500℃以下、より好ましくは250℃以上450℃以下である。
バイオマスを加熱する時間は、加熱温度及びバイオマスの大きさに依るが、通常、1分以上240以下、好ましくは1分以上60分以下である。
例えば、ロータリーキルン方式でバイオマスを加熱する場合、バイオマスを加熱する温度は、好ましくは250℃以上350℃以下、より好ましくは250℃以上330℃以下であり、バイオマスを加熱する時間は、好ましくは10分以上240分以下、より好ましくは10分以上60分以下である。
また、ロータリーキルン方式で、例えば木質バイオマスを加熱する場合、加熱する木質バイオマスの大きさは、炭化の度合いを調整し易くする観点から、平均短径が0.1cm以上5cm以下であることが好ましい。
【0059】
例えば、流動層(床)反応方式でバイオマスを加熱する場合、バイオマスを加熱する温度は、好ましくは300℃以上500℃以下、より好ましくは350℃以上450℃以下であり、バイオマスを加熱する時間は、好ましくは1分以上10分以下である。
また、流動層(床)反応方式で、例えば木質バイオマスを加熱する場合、加熱する木質バイオマスの大きさは、炭化の度合いを調整し易くする観点から、平均短径が10μm以上5cm以下であることが好ましい。なお、流動層(床)反応方式で木質バイオマスを加熱する場合は、加熱工程ST1の前に、バイオマスを粉砕する工程を実施する、すなわち、後述する第2実施形態Aの製造方法であることが好ましい。
バイオマスを加熱する雰囲気は、空気を遮断した雰囲気であることが好ましい。
【0060】
(バイオマス粉B1を得る工程ST2)
バイオマス粉B1を得る工程ST2は、加熱工程ST1で加熱された前記バイオマスを粉砕してバイオマス粉B1を得る工程である。
バイオマスを粉砕する方法としては特に限定されず、公知の粉砕機(例えばボールミル等)を用いることができる。
バイオマス粉B1を得る工程で得られるバイオマス粉B1の平均短径は、圧縮成型のし易さの観点から、好ましくは10μm以上3mm以下、より好ましくは10μm以上1mm以下、さらに好ましくは10μm以上100μm以下である。
バイオマス粉B1の平均短径が10μm以上であると、圧縮成型し易くなる。
バイオマス粉B1の平均短径が3mm以下であると、粉砕エネルギーを抑制し易くなる。
本明細書において、バイオマス粉の短径とは、バイオマス粉の最小径のことであり、具体的には、バイオマス粉の外側輪郭線上の任意の2点を直線で結んだ時の直線の最小長さを意味する。
バイオマス粉の平均短径は、以下の方法で測定することができる。画像解析粒度分布計を用いて、任意に選んだバイオマス粉(100個)の短径を測定し、これらの短径の平均値を「バイオマス粉の平均短径」とする。画像解析粒度分布計としては、例えば、ジャスコインタナショナル社製の「DW-3000」を用いることができる。
【0061】
また、バイオマス粉B1を得る工程で得られるバイオマス粉B1の平均粒径は、圧縮成型のし易さの観点から、好ましくは10μm以上5mm以下、より好ましくは20μm以上4mm以下、さらに好ましくは50μm以上3mm以下である。
バイオマス粉の平均粒径は、篩を用いて調整できる。
また、バイオマス粉の平均粒径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-960V2シリーズ)を用いて測定することができる。
【0062】
(混合工程ST3)
混合工程ST3は、バイオマス粉B1を得る工程ST2で得られたバイオマス粉B1と、石炭粉とを混合する工程である。
混合方法としては特に限定されず、公知の混合機(例えばボールミル等)を用いることができる。
混合工程ST3でバイオマス粉B1と混合される石炭粉の平均粒径は、好ましくは10μm以上1mm以下、より好ましくは10μm以上100μm以下である。
石炭粉の平均粒径が10μm以上であると、圧縮成型し易くなる。
石炭粉の平均粒径が1mm以下であると、粉砕エネルギーを抑制し易くなる。
石炭粉の平均粒径は、篩を用いて調整できる。
また、石炭粉の平均粒径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-960V2シリーズ)を用いて測定することができる。
【0063】
混合工程ST3において、前記混合物中におけるバイオマス粉B1と石炭粉との混合比(バイオマス粉B1:石炭粉)が、質量比で10:90~90:10になるように、バイオマス粉B1と、石炭粉とを混合することが好ましい。
バイオマス燃料の使用量増大の要請に応える観点から、バイオマス粉B1及び石炭粉の合計の質量に対するバイオマス粉B1の質量比率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
機械的強度をより高める観点から、バイオマス粉B1及び石炭粉の合計の質量に対するバイオマス粉B1の質量比率は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
【0064】
(圧縮成型工程ST4)
圧縮成型工程ST4は、前記混合工程ST3で得られた混合物を、50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程である。
圧縮成型する方法としては特に限定されず、公知の圧縮成型装置を用いて成型することができる。例えば、公知のブリケットマシーンを用いて圧縮成型してもよい。
本実施形態では、図6に示すピストン式圧縮成型装置を用いる。この装置及び圧縮成型する方法の詳細は、実施例の項に記載する。
圧縮成型時の圧力は、機械的強度を高める観点から、より好ましくは70MPa以上130MPa以下、さらに好ましくは80MPa以上120MPa以下である。
【0065】
また、前記混合工程ST3で得られた混合物を、例えば、ブリケットマシーンを用いて圧縮成型する場合、成型条件としては、以下条件が挙げられる。
-成形条件-
・ロール径 :φ650mm
・回転速度 :3rpm
・ロールギャップ:1.5mm
・成型圧力 :3t/cm
・試料 :1mm以下
・方式 :自然落下方式
【0066】
圧縮成型時の加圧時間は、好ましくは1分以上20分以下、より好ましくは5分以上15分以下、さらに好ましくは5分以上10分以下である。
なお、圧縮成型工程ST4は、必要に応じて、混合する工程で得られた混合物を加熱した後、実施してもよい。また、第3実施形態と同様に、圧縮成と同時に加熱を行ってもよい。
【0067】
次に、第2実施形態Aに係る複合固形燃料の製造方法(以下、「第2実施形態Aの製造方法」とも称する。)について説明する。
【0068】
〔第2実施形態A〕
<複合固形燃料の製造方法>
第2実施形態Aの製造方法について、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
図4は、第2実施形態Aの製造方法を示すフローチャートである。
第2実施形態Aの製造方法は、第2実施形態における加熱工程ST1及びバイオマス粉B1を得る工程を入れ替えた以外は第2実施形態の製造方法と同様である。
すなわち、第2実施形態Aの製造方法は、バイオマスを粉砕してバイオマス粉B3を得る工程(以下、「バイオマス粉B3を得る工程ST2」とも称する。)と、バイオマス粉B3を得る工程で粉砕されたバイオマス粉B3を250℃以上500℃以下で加熱する工程(加熱工程ST1)と、加熱された前記バイオマス粉B3と、石炭粉とを混合する工程(混合工程ST3)と、前記混合する工程で得られた混合物を、50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程(圧縮成型工程ST4)と、を有する。
第2実施形態Aの製造方法によれば、粉砕性を向上させつつ、機械的強度を維持できる複合固形燃料が製造される。
第2実施形態Aの製造方法は、前述の方法(a’)(バイオマス粉を半炭化してから圧縮成型する方法)に相当する。
【0069】
バイオマス粉B3を得る工程において、バイオマスを粉砕する方法としては、第2実施形態で記載した方法と同様の方法が挙げられる。
バイオマス粉B3を得る工程で得られるバイオマス粉B3の平均短径は、前記バイオマス粉B1の平均短径と同様の範囲であることが好ましい。
第2実施形態Aの加熱工程ST1における加熱条件(例えば、加熱方法、加熱方式、温度、時間、及び雰囲気等)は、第2実施形態の加熱工程ST1における加熱条件と同様であることが好ましい。
ただし、バイオマスが木質バイオマスである場合、第2実施形態Aの加熱工程ST1で実施する加熱方式は、流動層(床)反応方式であることが好ましい。
混合工程ST3において、バイオマス粉B3と混合される石炭粉の平均粒径は、第2実施形態における石炭粉の平均短径と同様の範囲であることが好ましい。
混合工程ST3において、混合物中におけるバイオマス粉B3と石炭粉との混合比(前記バイオマス粉B3:前記石炭粉)は、第2実施形態におけるバイオマス粉B1と石炭粉との混合比(前記バイオマス粉B1:前記石炭粉)と同様の範囲であることが好ましい。
【0070】
次に、第3実施形態に係る複合固形燃料の製造方法(以下、「第3実施形態の製造方法」とも称する。)について説明する。
【0071】
〔第3実施形態〕
<複合固形燃料の製造方法>
図5は、第3実施形態に係る複合固形燃料の製造方法(以下、「第3実施形態の製造方法」とも称する。)を示すフローチャートである。
第3実施形態の製造方法は、バイオマスを粉砕してバイオマス粉B2を得る工程(以下、「バイオマス粉B2を得る工程ST11」とも称する。)と、前記バイオマス粉B2と、石炭粉とを混合する工程(以下、「混合工程ST12」とも称する。)と、混合工程ST12で得られた混合物を、50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程(以下、「圧縮成型工程ST13」とも称する。)と、圧縮成型工程ST13で得られた圧縮成型物を250℃以上500℃以下で加熱する工程(以下、「加熱工程ST14」とも称する。)と、を有する。
なお、図5に示す石炭粉砕工程ST0は第2実施形態の石炭粉砕工程ST0と同様であるので記載を省略する。
図5に示す製造方法は、前述の方法(b)(圧縮成型後にバイオマス粉を半炭化する方法)に相当する。
第3実施形態の製造方法によれば、粉砕性を向上させつつ、機械的強度を維持できる複合固形燃料が製造される。
【0072】
以下、第3実施形態の製造方法で実施する工程について説明する。
【0073】
(バイオマス粉B2を得る工程ST11)
バイオマス粉B2を得る工程ST11は、バイオマスを粉砕してバイオマス粉B2を得る工程である。バイオマスを粉砕する方法としては、第2実施形態で記載した方法と同様の方法が挙げられる。
バイオマス粉B2を得る工程で得られるバイオマス粉B2の平均短径は、圧縮成型のし易さの観点から、好ましくは10μm以上3mm以下、より好ましくは10μm以上1mm以下、さらに好ましくは10μm以上100μm以下である。
【0074】
<混合工程ST12>
混合工程ST12は、前記バイオマス粉B2を得る工程ST11で得られたバイオマス粉B2と、石炭粉とを混合する工程である。混合方法としては、第2実施形態で記載した方法と同様の方法が挙げられる。
混合工程ST12でバイオマス粉B2と混合される石炭粉の平均粒径は、好ましくは10μm以上1mm以下、より好ましくは10μm以上100μm以下である。
石炭粉の平均粒径が10μm以上であると、圧縮成型し易くなる。
石炭粉の平均粒径が1mm以下であると、粉砕エネルギーを抑制し易くなる。
【0075】
混合工程ST12において、前記混合物中におけるバイオマス粉B2と石炭粉との混合比(バイオマス粉B2:石炭粉)が、質量比で10:90~90:10になるように、バイオマス粉B2と、石炭粉とを混合することが好ましい。
バイオマス燃料の使用量増大の要請に応える観点から、バイオマス粉B2及び石炭粉の合計の質量に対するバイオマス粉B2の質量比率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
機械的強度をより高める観点から、バイオマス粉B2及び石炭粉の合計の質量に対するバイオマス粉B2の質量比率は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
【0076】
(圧縮成型工程ST13)
圧縮成型工程ST13は、混合工程ST12で得られた混合物を、50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程である。
圧縮成型する方法としては、第2実施形態で記載した方法と同様の方法が挙げられる。
圧縮成型時の圧力は、第2実施形態で記載した圧力と同様の範囲であることが好ましい。圧縮成型時の加圧時間は、第2実施形態で記載した加圧時間と同様の範囲であることが好ましい。
【0077】
(加熱工程ST14)
加熱工程ST14は、圧縮成型工程ST13で得られた圧縮成型物を250℃以上500℃以下で加熱する工程である。
【0078】
加熱工程ST14は、前記圧縮成型物を250℃以上500℃以下で加熱することにより、圧縮成型物に含まれるバイオマス粉を「半炭化されたバイオマス粉」にする工程である。
加熱工程ST14における加熱条件(例えば、加熱方法、加熱方式、温度、時間、及び雰囲気等)は、第2実施形態の加熱工程ST1における加熱条件と同様であることが好ましい。
【0079】
具体的には、加熱工程ST14における加熱温度は、発熱量を確保しつつ粉砕性を向上する観点から、好ましくは250℃以上500℃以下、より好ましくは250℃以上450℃以下である。
加熱工程ST14における加熱時間は、加熱温度に依るが、通常、1分以上240分以下、好ましくは1分以上20分以下である。
【0080】
次に、第4実施形態に係る複合固形燃料の製造方法(以下、「第4実施形態の製造方法」とも称する。)について説明する。
【0081】
〔第4実施形態〕
<複合固形燃料の製造方法>
図6は、第4実施形態に係る複合固形燃料の製造方法(以下、「第4実施形態の製造方法」とも称する。)を示すフローチャートである。
第4実施形態の製造方法は、第3実施形態の製造方法に対し、圧縮成型工程ST13と加熱工程ST14とを同時に実施する点が相違する。
すなわち、図6に示す第3実施形態の製造方法は、バイオマスを粉砕してバイオマス粉B2を得る工程(バイオマス粉B2を得る工程ST11)と、前記バイオマス粉B2と、石炭粉とを混合する工程(混合工程ST12)と、混合工程ST12で得られた混合物を50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程及び250℃以上500℃以下で加熱する工程を同時に実施する工程(以下、「圧縮成型かつ加熱工程ST15」とも称する。)と、を有する。
なお、図6に示す石炭粉砕工程ST0は第2実施形態の石炭粉砕工程ST0と同様であるので記載を省略する。
図6に示す製造方法は、前述の方法(c)(圧縮成と同時にバイオマス粉を半炭化する方法)に相当する。
第4実施形態の製造方法によれば、粉砕性を向上させつつ、機械的強度を維持できる複合固形燃料が製造される。
【0082】
以下、第4実施形態について、第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0083】
(圧縮成型かつ加熱工程ST15)
圧縮成型かつ加熱工程ST15は、混合工程ST12で得られた混合物を50MPa以上150MPa以下で圧縮成型する工程及び250℃以上500℃以下で加熱する工程を同時に実施する工程である。
【0084】
圧縮成型かつ加熱工程ST15は、混合工程ST12で得られた混合物に含まれるバイオマス粉を「半炭化されたバイオマス粉」にする工程である。
加熱工程が「圧縮成型かつ加熱工程ST15」である場合、製造工程を簡略化することができる。
圧縮成型かつ加熱工程ST15における圧縮成型条件(例えば、成型方法、圧力、及び加圧時間等)は、第2実施形態の圧縮成型工程ST4における圧縮成型条件と同様であることが好ましい。
【0085】
「圧縮成型かつ加熱工程ST15」における加熱条件(例えば、加熱方法、加熱方式、温度、時間、及び雰囲気等)は、第2実施形態の加熱工程ST1における加熱条件と同様であることが好ましい。
【0086】
「圧縮成型かつ加熱工程ST15」における圧縮成型時の加圧時間及び加熱時間は、同じであっても異なっていてもよい。圧縮成型時の加圧時間及び加熱時間が異なる態様としては、例えば、混合工程ST12で得られた混合物を圧縮成型装置に設置した状態で、一定時間加熱した後に圧縮成型する態様、前記混合物を圧縮成型及び加熱した後、得られた圧縮成型物をさらに加熱する態様等が挙げられる。
【0087】
(水熱処理及び酸処理の少なくとも一方の処理を実施する工程)
第2実施形態、第2実施形態A、第3実施形態及び第4実施形態の製造方法は、前記混合工程にて前記バイオマス粉B1、前記バイオマス粉B2又は前記バイオマス粉B3又はと混合される前記石炭粉に対し、水熱処理及び酸処理の少なくとも一方の処理を実施する工程を有することが好ましい。
水熱処理及び酸処理の少なくとも一方の処理を実施する工程を有することにより、石炭粉の表面に付着している金属等が除去され、表面が活性化されると考えられる。その結果、圧縮成型する際に、バイオマス粉との結合が強固になり、機械的強度が向上すると考えられる。
【0088】
水熱処理は、加圧下で行うことが好ましい。水熱処理の圧力は、好適には1MPa以上3MPa以下である。
水熱処理に用いる水は特に限定されない。
水熱処理に用いる水は、好適には石炭粉1質量部に対し、水4.5質量部以上8.5質量部以下である。
水熱処理の温度は、好適には200℃以上300℃以下である。
水熱処理の時間は、好適には15分以上60分以下である。
水熱処理の回数は1回でもよいし、複数回でもよい。
【0089】
酸処理に用いる処理液としては、例えば、塩酸、硫酸、及び硝酸等が挙げられる。これらは単独で用いても組み合わせて用いてもよい。
処理液の濃度は適宜調整することが好ましい。例えば、処理液が塩酸の場合、濃度は3N程度であることが好ましい。
処理液は、好適には石炭粉1質量部に対し、10質量部以上50質量部以下である。
酸処理の温度は、好適には40℃以上80℃以下である。
酸処理の時間は、好適には6時間以上10時間以下である。
酸処理の回数は1回でもよいし、複数回でもよい。酸処理後は水洗浄を行うことが好ましい。
【0090】
<第2実施形態、第2実施形態A、第3実施形態及び第4実施形態の製造方法で得られる複合固形燃料>
第2実施形態、第2実施形態A、第3実施形態及び第4実施形態の製造方法において、
製造された複合固形燃料は、以下の要件(11)から(14)を満たすことが好ましい。
・要件(11):ハードグローブ粉砕性指数(HGI)が30以上である。
・要件(12):引張強度が0.2MPa以上である。
・要件(13):無水ベースの高位発熱量が3500kcal/kg以上である。
・要件(14):密度が0.7g/cm以上である。
【0091】
要件(11)は、第1実施形態の複合固形燃料における要件(1)と同義である。
要件(12)は、第1実施形態の複合固形燃料における要件(2)と同義である。
要件(13)は、第1実施形態の複合固形燃料における要件(3)と同義である。
要件(13)は、第1実施形態の複合固形燃料における要件(4)と同義である。
【0092】
〔他の実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良等は、本発明に含まれる。
【実施例
【0093】
以下、本発明に係る実施例を説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
【0094】
始めに、本実施例の評価で用いた圧縮成型装置、引張試験機、及び自然発熱性評価装置について説明する。
【0095】
〔圧縮成型装置〕
図7は、ピストン式圧縮成型装置の断面図である。
ピストン式圧縮成型装置10は、第一加圧板11a及び主軸11bからなるピストン11と、第二加圧板13と、第二加圧板13に設置される円筒部材12とを備える。なお、ピストン式圧縮成型装置10には、油圧によりピストン11を作動させる油圧機構(不図示)が設けられている。
円筒部材12が第二加圧板13に固定されることで、原料16(具体的にはバイオマス粉と石炭粉との混合物)が充填される充填部19(凹部)が形成される。この充填部19の底面には、底板14が配置される。
円筒部材12、底板14及びピストン11の主軸11bにより、製造される圧縮成型物の金型が構成される。また、円筒部材12及び第二加圧板13の間、円筒部材12及び底板14の間、並びに円筒部材12及びピストン11の主軸11bの間には、空気の流路となるわずかな隙間18が設けられている。
円筒部材12の周囲には、ヒータ15及び一対の熱電対17が設けられている。円筒部材12の温度は、一対の熱電対17により制御される。ピストン式圧縮成型装置10は、この円筒部材12の温度を制御することにより、原料16の温度が制御されるようになっている。
原料16は、充填部19に充填される。設定した圧力で、ピストン11を図の矢印の方向に作動させることで、原料は圧縮され、複合固形燃料が製造される。
【0096】
〔圧壊試験機〕
図8は、圧壊試験機の概略図である。
圧壊試験機20は、第一加圧板21と、第一加圧板21に対向して設けられた第二加圧板22とを備える。第二加圧板22の中央の部位には支持軸25が接続されている。
第一加圧板21には駆動部(不図示)が接続されており、第一加圧板21は駆動部を駆動することによって、図8に示す矢印の方向に移動可能となっている。
駆動部は、シリンダ23と、シリンダ23に対して水平方向に移動可能に設けられたロッド24と、油圧ポンプ等の駆動源(不図示)とを備える。ロッド24の先端部は、第一加圧板21に接続され、先端部とは反対側がシリンダ23に接続されている。駆動源を駆動することによってロッド24は、シリンダ23に対して水平方向に移動し、測定対象物(複合固形燃料100)を加圧し破壊させる。
【0097】
〔自然発熱性評価装置〕
図9は、自然発熱性評価装置の概略図である。
自然発熱性評価装置50は、恒温槽51と、反応器59とを備えている。恒温槽51の内部には反応器59が設けられ、反応器59の内部には円筒状の試験容器60が設けられている。試験容器60は、内部に試料52を充填できるようになっている。
反応器59は、下部にガス供給管61が設けられ、上部に排気管62が設けられている。反応器59には、ガス供給管61から窒素ガスまたは酸素ガスが導入され、反応器59の上方に連通する排気管62から排出されるようになっている。
反応器59の周囲には、断熱制御用ヒータ55が設けられ、温度調節器66により温度調節されるようになっている。温度調節器66には、試験容器60内及び反応器59内にそれぞれ設けられた熱電対53a、53bからのデータを取得する増幅器65が接続されている。
また、恒温槽51内には、温度センサー54が設けられている。恒温槽51の下部には、ヒータ57及び温度調節器63が設けられ、温度センサー54及び初期温度設定器67により、恒温槽51内の初期温度が設定されるようになっている。また、ヒータ57の下方には、ファン58が設けられている。
自然発熱性の評価試験は、試験容器60内を断熱状態に保持して行われる。
【0098】
実施例で原料として使用した褐炭及びブラックペレットの性状を表2及び表3に示す。
表2及び表3中、ブラックペレットとは、バイオマス原料(ゴムの木)から製作したホワイトペレット(ここではSiam Biomass社製を使用)を、酸素を遮断した状態で加熱処理した半炭化ペレットのことである。
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
・表2及び表3の説明
工業分析値は、JIS M8812(2004)に準拠して測定した値である。
元素分析値のうち炭素、水素、窒素及び硫黄は、JIS M8819(1997)に準拠して測定した値であり、酸素はJIS M8813(2004)に準拠して、他の分析値から算出した値である。
高位発熱量は、JIS M8814(2003)に準拠して測定した値である。
燃料比は、「固定炭素/揮発分」である。
灰溶融温度(酸化)及び灰溶融温度(還元)は、JIS M8801(2004)「灰の溶融性試験方法」に準拠して測定した値である。
灰組成は、ASTM D4326-13「Standard Test Method for Major and Minor Elements in Coal and Coke Ash By X-Ray Fluorescence」に従って、蛍光X線(XRF)法によって測定した値である。
「db」及び「GDB」は、無水ベースの高位発熱量を示す。
「ar」及び「GAR」は、到着ベースを示す。
「ad」及び「GAD」は、気乾ベースを示す。
「daf」及び「GDAF」は、無水無灰ベースを示す。
「>1500」は、「1500超え」であることを表す。
【0102】
〔実施例1-1〕
<複合固形燃料の製造>
石炭粉として、表2、3中の性状を有する褐炭(インドネシア産褐炭、HGI=59、平均粒径100μm)の粉末を用意した。
バイオマス(Siam Biomass社製、ゴムの木)を電気炉にて270℃で20分加熱した。加熱されたバイオマスを粉砕し、篩を用いて、平均粒径100μmのバイオマス粉を用意した。
バイオマス粉及び石炭粉を、混合比(バイオマス粉:石炭粉)が質量比で25:75になるように、バイオマス粉1.4454gと、石炭粉4.5649gとを混合した。得られた混合物(図7中、原料16に該当)を、図7に示す圧縮成型装置10の充填部19に充填し、混合物が100℃になるまで昇温し100℃の状態で30分間維持した。その後、以下の条件で圧縮成型した。圧縮成型装置10から、圧縮成型物(複合固形燃料)が充填された部材(円筒部材12、底板14及び第二加圧板13)を取り出し冷却した。
以上のようにして、表5に示す寸法を有するディスク状の複合固形燃料を製造した。製造された複合固形燃料を図1に示す。なお、図1中の寸法は、小数点第一位を四捨五入して示した。
-条件-
・成型温度:100℃
・成型圧力:100MPa
・加圧時間:8分間
・圧縮成型装置:図7に示す圧縮成型装置10(AS-ONE社製、熱プレス機AH-10TD)
【0103】
〔実施例1-2~1-5〕
実施例1-1と同様の方法で、実施例1-2~1-5の複合固形燃料を作製した。
なお、実施例1-1~1-5の複合固形燃料は、いずれも同一の条件で作製した同一の材料及び同一の組成からなる複合固形燃料である。
【0104】
〔実施例2-1~2-5〕
実施例1-1に対し、バイオマス粉及び石炭粉の質量、並びに混合比(バイオマス粉:石炭粉)を表5に示す数値に変更したこと以外は、実施例1-1と同様の方法で、実施例2-1~2-5の複合固形燃料を作製した。
なお、実施例2-1~2-5の複合固形燃料は、いずれも同一の条件で作製した同一の材料及び同一の組成からなる複合固形燃料である。
【0105】
〔実施例3-1~3-5〕
実施例1-1に対し、バイオマス粉及び石炭粉の質量、並びに混合比(バイオマス粉:石炭粉)を表5に示す数値に変更したこと以外は、実施例1-1と同様の方法で、実施例3-1~3-5の複合固形燃料を作製した。
なお、実施例3-1~3-5の複合固形燃料は、いずれも同一の条件で作製した同一の材料及び同一の組成からなる複合固形燃料である。
【0106】
以下の比較例では、石炭として、インドネシア産の褐炭を用いて、以下の方法で固形燃料を作製した。インドネシア産の褐炭の性状は、HGI=59であり、気乾ベースの高位発熱量が6360kcal/kg(気乾ベースの全水分:36%)である。
【0107】
〔比較例1-1〕
<固形燃料の製造>
石炭粉として、表2、3中の性状を有する褐炭(インドネシア産の褐炭、HGI=59、平均粒径100μm)の粉末を用意した。
石炭粉1gを、図7に示す圧縮成型装置10の充填部19に充填し、石炭粉が100℃になるまで昇温し100℃の状態で30分間維持した。その後、以下の条件で圧縮成型した。圧縮成型装置10から、圧縮成型物(固形燃料)を部材(円筒部材12、底板14及び第二加圧板13)と共に取り出し冷却した。
以上のようにして、直径14mm、高さ6mmの寸法を有するディスク状の固形燃料を製造した。
-条件-
・成型温度:50℃
・成型圧力:127MPa
・加圧時間:8分間
・圧縮成型装置:図7に示す圧縮成型装置10(AS-ONE製、熱プレス機AH-10T)
【0108】
〔比較例1-2~1-5〕
比較例1-1と同様の方法で、比較例1-2~1-5の固形燃料を作製した。
なお、比較例1-1~1-5の固形燃料は、いずれも同一の条件で作製した同一の材料及び同一の組成からなる固形燃料である。
【0109】
〔比較例2-1~2-5〕
比較例1-1に対し、70メッシュ(目開き120μm)の篩を用いて石炭粉を用意したこと以外は、比較例1-1と同様の方法で、比較例2-1~2-5の固形燃料を作製した。
なお、比較例2-1~2-5の固形燃料は、いずれも同一の条件で作製した同一の材料及び同一の組成からなる固形燃料である。
【0110】
〔比較例3-1~3-5〕
比較例1-1に対し、成型温度を110℃に変更したこと以外は、比較例1-1と同様の方法で、比較例3-1~3-5の固形燃料を作製した。
なお、比較例3-1~3-5の固形燃料は、いずれも同一の条件で作製した同一の材料及び同一の組成からなる固形燃料である。
【0111】
〔比較例4-1~4-5〕
比較例3-1に対し、70メッシュ(目開き120μm)の篩を用いて石炭粉を用意したこと以外は、比較例3-1と同様の方法で、比較例4-1~4-5の固形燃料を作製した。
なお、比較例4-1~4-5の固形燃料は、いずれも同一の条件で作製した同一の材料及び同一の組成からなる固形燃料である。
【0112】
〔評価〕
実施例1-1、2-1及び3-1で得られた複合固形燃料を用いて、高位発熱量、水分、灰分、BOD及びCODを測定した。結果を表4に示す。
【0113】
<高位発熱量、水分、灰分、BOD及びCOD>
(高位発熱量)
無水ベース、気乾ベース及び無水無灰ベースの高位発熱量を、JIS M8814(2003)に準拠する方法でそれぞれ測定した。
【0114】
(水分及び灰分)
測定用の試料として、圧縮成型前の、バイオマス粉と石炭粉との混合物10mgを用いた。試料を用いて、以下の条件でTG分析を行い、試料中に含まれる水分及び灰分を算出した。
-条件-
・装置 :熱重量分析装置(SHIMADZU製、TGA-50)
・加熱温度:室温(25℃)から900℃
・昇温速度:15℃/分
・試料:10mg
【0115】
(BOD及びCOD)
複合固形燃料を半分に割り、半欠けした複合固形燃料を準備した。
本測定は、この半欠けした複合固形燃料を測定用の試料としたため、通常の条件よりも過酷な条件で行った加速試験に相当する。
測定は以下の方法で行った。
半欠けした複合固形燃料10gを100mLの水(水温25℃)を入れた容器に6時間浸漬した。浸漬後の溶液を用いてBOD及びCODをそれぞれ測定した。
BODは、JIS K0102-21(2016)に記載された試験方法で測定した。
CODは、JIS K0102-17(2016)に記載された試験方法で測定した。
【0116】
【表4】
【0117】
実施例1-1~3-1の高位発熱量は、無水ベース、気乾ベース及び無水無灰ベースのいずれにおいても、高い値を示した。
実施例1-1、2-1及び3-1のBOD及びCODは、加速試験にも関わらず、極めて低い値を示した。
実施例1-1、2-1及び3-1の水分及び灰分は、十分低減されていた。
【0118】
<引張強度>
各実施例及び比較例1-1~1-5で製造した複合固形燃料について、図8に示す圧壊試験機20を用いて、以下の条件で引張強度を測定した。
具体的には、複合固形燃料(図8中、符号100)をディスク状の面が縦方向となるように第一加圧板21及び第二加圧板22の間に設置した。図8に示す矢印の方向から複合固形燃料を加圧して破壊させた。複合固形燃料が破壊したときの荷重を測定し、引張強度(MPa)に換算した。結果を図10に示す。実施例の結果は表5にも示した。
図10は、バイオマスの混合比と引張強度との関係を示すグラフである。なお、図10中のバーは、各混合比で測定した引張強度の最大値と最小値との幅を表す。図10中のプロットは、各混合比で測定した引張強度の平均値を表す。
-条件-
・装置 :図8に示す圧壊試験機20(AS-ONE製、熱プレス機AH-10T)
・圧縮速度:2mm/分
【0119】
【表5】
【0120】
・表5の説明
・BP粉は、バイオマス粉を表す。
・固形燃料は、各例で得られた複合固形燃料を表す。
・直径(Ave.)は、複合固形燃料のディスク状の面の円周に沿って45°毎に4方向測定したときの平均値である。
・高さ(Ave.)は、複合固形燃料の外周面に沿って90°毎に4方向測定したときの平均値である。
・密度は、複合固形燃料の直径、高さ及び質量から算出した値である。
【0121】
図10に示すように、バイオマス粉の混合比が25wt%の実施例1-1~1-5の複合固形燃料は、石炭粉のみからなる比較例1-1~1-5の固形燃料に比べ、同等の引張強度であるか、又はそれを超える引張強度を示した。
【0122】
<自然発熱性>
以下の方法で時間T180(分)を測定し、自然発熱性を判定した。
試料として、実施例1-1、2-3及び3-3の、圧縮成型する前の混合粉(石炭粉とバイオマス粉との混合物)を用いた。
時間T180(分)とは、試料を窒素雰囲気で110℃まで加熱した後、酸素雰囲気に切り替え、酸素雰囲気で試料が110℃から180℃まで昇温するのに要する時間である。判定に用いた指標は前述の表1の通りである。
測定には、図9に示す自然発熱性評価装置50(島津製作所社製:SIT-2)を用いた。
【0123】
まず、試料1gを試験容器60に充填した。
次に、反応器59内に窒素ガスを導入して反応器59の雰囲気を窒素ガスで置換した。窒素雰囲気下で、試験容器60中の試料を110℃まで加熱した。
次に、反応器59内に酸素ガスを導入して反応器59の雰囲気を酸素ガスで置換し、試料の温度上昇の履歴を記録した。結果を図11に示す。
【0124】
図11は、自然発熱性評価における試料の温度特性を示すグラフである。
図11に示すように、バイオマス粉の混合比が質量比で25wt%、50wt%及び75wt%と増えるにつれ、時間T180を延ばすことができ、瀝青炭の時間T180に近づけることができる。
したがって、本実施例で得られる複合固形燃料は、瀝青炭並みの安全性を確保できると考えられる。
【0125】
<SEMによる表面観察>
実施例1-1、2-3及び3-3について、SEMによる表面観察を行った。
図12~14に、実施例1-1、2-3及び3-3の複合固形燃料のSEM写真をそれぞれ示す。なお、実施例1-1のバイオマス粉の混合比は、質量比で25wt%であり、実施例2-3のバイオマス粉の混合比は、質量比で50wt%であり、実施例3-3のバイオマス粉の混合比は、質量比で75wt%である。
図12~14に示すように、SEM写真では、いずれも石炭とバイオマスとの区別をつけることができないことがわかる。また、実施例1-1、2-3及び3-3の複合固形燃料は、表面性が良好であり、凹凸が減少していることから、粉塵の発生及び降雨による有機物の溶出の抑制が期待される。
なお、EDSマッピングに元素を同定したところ、Ca及びSiが確認された。
【0126】
<ハードグローブ粉砕性指数(HGI)>
各実施例は、いずれもHGIが30以上の性状を有する原料(褐炭及びブラックペレット)を用いて複合固形燃料を作製しているため、得られる複合固形燃料のHGIは30以上である。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明の複合固形燃料は、発電所、製鉄所、及び工場において、石炭とバイオマス粉との混焼発電に用いることができる。
【符号の説明】
【0128】
10…ピストン式圧縮成型装置、11…ピストン、11a…第一加圧板、11b…主軸、12…円筒部材、13…第二加圧板、14…底板、15…ヒータ、16…原料、17…熱電対、18…隙間、19…充填部、20…圧壊試験機、21…第一加圧板、22…第二加圧板、23…シリンダ、24…ロッド、25…支持軸、50…自然発熱性評価装置、51…恒温槽、52…試料、53a,53b…熱電対、54…温度センサー、55…断熱制御用ヒータ、57…ヒータ、58…ファン、59…反応器、60…試験容器、61…ガス供給管、62…排気管、63…温度調節器、65…増幅器、66…温度調節器、67…初期温度設定器。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14