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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-05
(45)【発行日】2024-03-13
(54)【発明の名称】希ガスによる極低温原子層エッチング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022577599
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 US2021029214
(87)【国際公開番号】W WO2021257185
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】16/905,246
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア デ ゴロルド, アルヴァロ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ, チョンホア
(72)【発明者】
【氏名】スリニバサン, スニル
(72)【発明者】
【氏名】パク, サンウク
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-250466(JP,A)
【文献】特表2020-502811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23F 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板内のフィーチャをエッチングする方法であって、
チャンバ内に配置された基板を第1の希ガスの三重点温度未満の温度に冷却すること、
前記基板の露出部分上に不活性層を形成するために、前記第1の希ガスを前記チャンバの中に流すこと、
前記不活性層上にフッ素含有層を形成ために、フッ素含有前駆体ガスを前記チャンバの中に流すこと、
前記基板の前記露出部分上にパッシベーション層を形成するために、前記フッ素含有層及び前記不活性層をエネルギー源に曝露すること、並びに
前記基板をエッチングするために、前記基板をイオンに曝露することを含む、方法。
【請求項2】
前記温度は、摂氏-105度から摂氏-120度である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の希ガスは、キセノンとクリプトンとから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フッ素含有前駆体ガスは、SF6、NF3、及びF2から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基板をイオンに曝露することは、
前記基板にRFバイアス電圧を印加すること、及び
第2の希ガスから前記イオンを生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の希ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、及びキセノンから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基板は、シリコン層上に配置された酸化ケイ素層を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基板内のフィーチャをエッチングする方法であって、
シリコンを含む基板をチャンバ内の基板支持体上に受け取ることであって、前記基板支持体は、冷却機を有し、前記基板を冷却するために動作可能である、シリコンを含む基板をチャンバ内の基板支持体上に受け取ること、
前記冷却機を冷却することによって、前記基板を摂氏-100度以下の温度に冷却すること、
前記シリコンの表面の部分をキセノン層でコーティングするために、キセノン前駆体ガスを前記チャンバの中に流すこと、
前記キセノン層をフッ素含有層でコーティングするために、フッ素含有前駆体ガスを前記チャンバの中に流すこと、
フッ化キセノンパッシベーション層を形成するために、前記キセノン層及び前記フッ素含有層をエネルギー源に曝露すること、並びに
前記シリコンの前記表面からシリコンをエッチングするために、前記基板をイオンに曝露することを含む、方法。
【請求項9】
前記温度は、摂氏-105度から摂氏-120度である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フッ素含有前駆体ガスは、SF6、NF3、及びF2から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基板をイオンに曝露することは、
前記基板支持体内の電極にRFバイアス電圧を印加すること、及び
前記チャンバの中に希ガスを流すことを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記希ガスはヘリウムである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フッ化キセノンパッシベーション層は、前記基板内に形成されたフィーチャの側壁上に形成され、前記フィーチャが前記基板内で垂直方向にエッチングされるときに、前記フィーチャの横方向のエッチングを防止し又は遅らせる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記シリコンの少なくとも一部分上に形成された酸化ケイ素の層を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記基板は、少なくとも1つのフィーチャを有し、前記少なくとも1つのフィーチャは、前記基板の上面から下面へフィーチャ深さだけ延在し、前記少なくとも1つのフィーチャは、第1の側壁及び第2の側壁によって画定される幅を有し、前記パッシベーション層は、前記基板の前記上面、前記少なくとも1つのフィーチャの前記第1の側壁、前記第2の側壁、及び前記下面上に形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
基板内のフィーチャをエッチングする方法であって、
シリコンを含む基板をチャンバ内の基板支持体上に受け取ることであって、前記基板は、基板表面、及び前記基板表面に形成された少なくとも1つのフィーチャを有し、前記少なくとも1つのフィーチャは、前記基板表面から延在し、側壁及び下面を有し、前記基板支持体は、前記基板を冷却するように動作可能な冷却機を有する、シリコンを含む基板をチャンバ内の基板支持体上に受け取ること、
前記冷却機を冷却することによって、前記基板を摂氏-100度以下の温度に冷却すること、
前記基板表面、前記少なくとも1つのフィーチャの前記側壁、及び前記下面の上にパッシベーション層を形成することであって、
前記基板表面の部分をキセノン層でコーティングするために、キセノン前駆体ガスを前記チャンバの中に流すこと、
前記キセノン層をフッ素含有層でコーティングするために、フッ素含有前駆体ガスを前記チャンバの中に流すこと、及び
前記パッシベーション層を形成するために、前記キセノン層及び前記フッ素含有層をプラズマに曝露することを含む、パッシベーション層を形成すること、並びに
前記下面からシリコンをエッチングするために、前記基板をイオンに曝露することを含む、方法。
【請求項17】
前記温度は、摂氏-105度から摂氏-120度である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記フッ素含有前駆体ガスは、SF6、NF3、及びF2から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基板をイオンに曝露することは、
前記基板支持体内の電極にRFバイアス電圧を印加すること、及び
前記チャンバの中に希ガスを流すことを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記希ガスはヘリウムである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、広くは、低温で希ガスを用いてエッチングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ナノメートル以下のフィーチャを高い信頼度で製造することは、半導体デバイスの次世代の大規模集積(VLSI)及び超大規模集積(ULSI)における技術課題の1つとなっている。しかし、回路技術の限界が更新されるたびに、VLSI及びULSIの配線技術の微細化には、処理能力の更なる向上が求められてきた。基板上にゲート構造を確実に形成することは、VLSI及びULSIの実装、並びに個々の基板及びダイの回路密度及び品質を高めるための継続した努力にとって重要である。
【0003】
[0003] 製造コストを引き下げるために、集積チップ(IC)の製造は、処理される全てのシリコン基板に、より高いスループットとより優れたデバイス歩留まり及び性能とを要求する。現在開発中の次世代デバイス向けに探索されている幾つかの製造技法は、極低温での処理を含む。極低温で均一に維持された基板をドライ反応性イオンエッチングすることによって、基板上に配置された材料の上向き表面にイオンを衝突させることができるようになり、自然発生的なエッチング(spontaneous etching)が減少し、それによって、平滑な垂直側壁のトレンチが形成される。更に、1つの材料と別の1つの材料とのエッチング選択性は、極低温で改善することができる。例えば、シリコン(Si)と二酸化ケイ素(SiO2)との間の選択性は、温度を下げると指数関数的に増加する。
【0004】
[0004] 従来の極低温フッ素ベースのエッチングプロセスは、等方的にエッチングする傾向があり、これは、高アスペクト比においてフィーチャの側壁を過剰にエッチングすることにつながり、その結果、フィーチャの限界寸法が失われる可能性がある。側壁を過剰なエッチングから保護するための1つの解決法は、側壁がパッシベーション層によって保護されたままで、フィーチャの下部にイオンが衝突するように、側壁上にパッシベーション層を形成することを含む。しかし、パッシベーションの速度及びエッチングの速度を適切に制御するために、エッチングガスとパッシベーション層形成ガスとの比率をバランスさせることはしばしば困難である。更に、アスペクト比が変化すると、パッシベーションの速度及びエッチングの速度が変化するので、チップ上の異なる寸法の複数の構造に対して一貫した均一なエッチングを実現するために、更なる課題が追加される。
【0005】
[0005] したがって、極低温でのエッチングの改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示は、広くは、低温で希ガスを用いてエッチングする方法に関する。
【0007】
[0007] 一態様では、基板内のフィーチャをエッチングする方法が提供される。該方法は、チャンバ内に配置された基板を、第1の希ガスの三重点温度未満の温度に冷却することを含む。該方法は、基板の露出部分上に不活性層を形成するために、第1の希ガスをチャンバの中に流すことを更に含む。該方法は、不活性層上にフッ素含有層を形成するために、フッ素含有前駆体ガスをチャンバの中に流すことを更に含む。該方法は、基板の露出部分上にパッシベーション層を形成するために、フッ素含有層及び不活性層をエネルギー源に曝露し、基板をエッチングするために、基板をイオンに曝露することを更に含む。
【0008】
[0008] 複数の実施態様は、以下のうちの1以上を含んでよい。温度は、摂氏約-105度から摂氏約-120度であってよい。第1の希ガスは、キセノン及びクリプトンから選択されてよい。フッ素含有前駆体ガスは、SF6、NF3、及びF2から選択されてよい。基板をイオンに曝露することは、基板にRFバイアス電圧を印加し、第2の希ガスからイオンを生成することを更に含んでよい。第2の希ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、及びキセノンから選択されてよい。基板は、シリコン層上に配置された酸化ケイ素層を含んでよい。
【0009】
[0009] 別の一態様では、基板内のフィーチャをエッチングする方法が提供される。該方法は、シリコンを含む基板をチャンバ内の基板支持体上に受け取ることを含む。基板支持体は、冷却機を有し、基板を冷却するように動作可能である。該方法は、冷却機を冷却することによって、基板を摂氏約-100度以下の温度に冷却することを更に含む。該方法は、シリコンの表面の部分をキセノン層でコーティングするために、キセノン前駆体ガスをチャンバの中に流すことを更に含む。該方法は、キセノン層をフッ素含有層でコーティングするために、フッ素含有前駆体ガスをチャンバの中に流すことを更に含む。該方法は、フッ化キセノンパッシベーション層を形成するために、キセノン層を及びフッ素含有層をエネルギー源に曝露し、シリコンの表面からシリコンをエッチングするために、基板をイオンに曝露することを更に含む。
【0010】
[0010] 複数の実施態様は、以下のうちの1以上を含んでよい。温度は、摂氏約-105度から摂氏約-120度であってよい。フッ素含有前駆体ガスは、SF6、NF3、及びF2から選択されてよい。基板をイオンに曝露することは、基板支持体内の電極にRFバイアス電圧を印加し、チャンバの中に希ガスを流すことを更に含んでよい。希ガスは、ヘリウムであってよい。フッ化キセノンパッシベーション層は、基板内に形成されたフィーチャの側壁上に形成されてよく、フィーチャが基板内で垂直方向にエッチングされるときに、フィーチャの横方向のエッチングを防止し又は遅くする。酸化ケイ素の層が、シリコンの少なくとも一部分上に形成されてよい。基板は、そこに少なくとも1つのフィーチャを有してよく、少なくとも1つのフィーチャは、基板の上面から下面へフィーチャ深さだけ延在し、第1の側面及び第2の側面によって画定される幅を有し、パッシベーション層は、基板の上面、少なくとも1つのフィーチャの第1の側壁、第2の側壁、及び下面上に形成される。
【0011】
[0011] 更に別の一態様では、基板内のフィーチャをエッチングする方法が提供される。該方法は、シリコンを含む基板をチャンバ内の基板支持体上に受け取ることを含む。基板は、基板表面及びそこに形成された少なくとも1つのフィーチャを有する。少なくとも1つのフィーチャは、基板表面から延在し、側壁及び下面を有し、基板支持体は、基板を冷却するように動作可能な冷却機を有する。該方法は、冷却機を冷却することによって、基板を摂氏約-100度以下の温度に冷却することを更に含む。該方法は、基板表面、少なくとも1つのフィーチャの側壁、及び下面の上にパッシベーション層を形成することを更に含む。パッシベーション層を形成することは、基板表面の部分をキセノン層でコーティングするために、キセノン前駆体ガスをチャンバの中に流し、キセノン層をフッ素含有層でコーティングするために、フッ素含有前駆体ガスをチャンバの中に流し、パッシベーション層を形成するために、キセノン層及びフッ素含有層をプラズマに曝露することを含む。該方法は、下面からシリコンをエッチングするために、基板をイオンに曝露することを更に含む。
【0012】
[0012] 実施態様は、以下のうちの1以上を含んでよい。温度は、摂氏約-105度から摂氏約-120度であってよい。フッ素含有前駆体ガスは、SF6、NF3、及びF2から選択されてよい。基板をイオンに曝露することは、基板支持体内の電極にRFバイアス電圧を印加し、チャンバの中に希ガスを流すことを更に含む。希ガスは、ヘリウムであってよい。
【0013】
[0013] 別の一態様では、非一時的なコンピュータ可読媒体が、それに記憶された指示命令を有する。指示命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、上述の方法の動作を実行させる。
【0014】
[0014] 本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施態様を参照することによって、得ることができる。そのうちの幾つかの実施態様は、添付の図面で例示されている。しかしながら、本開示は、他の同等に効果的な実施態様も許容し得るため、添付の図面は、本開示の典型的な実施態様のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】[0015] 本明細書で開示される複数の態様によるプラズマ処理チャンバの一実施例の断面図を示す。
図2】[0016] 本明細書で開示される複数の態様による基板内のフィーチャをエッチングする方法のフローチャートを示す。
図3A】[0017] 本明細書で開示される複数の態様によるエッチングプロセスの様々な段階を示す。
図3B】本明細書で開示される複数の態様によるエッチングプロセスの様々な段階を示す。
図3C】本明細書で開示される複数の態様によるエッチングプロセスの様々な段階を示す。
図3D】本明細書で開示される複数の態様によるエッチングプロセスの様々な段階を示す。
図3E】本明細書で開示される複数の態様によるエッチングプロセスの様々な段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0018] 理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに、同一の参照番号を使用した。ある実施態様の要素及び特徴は、特に記載がなくとも、他の実施態様に有利に組み込み可能なことが意図されている。
【0017】
[0019] 以下の開示は、フィーチャの極低温エッチングを説明する。本開示の様々な実施態様の完全な理解をもたらすために、特定の詳細例が、以下の説明及び図1から図3Eで提示されている。様々な実施態様の説明を不必要に不明確化するのを避けるため、極低温エッチングにしばしば関連付けられる周知の構造及びシステムを説明する他の詳細は、以下の開示では明記しない。加えて、本明細書で説明される装置の説明は例示的なものであり、本明細書で説明される複数の実施態様の範囲を制限するものとして理解又は解釈するべきではない。
【0018】
[0020] 図面に示す詳細、動作、寸法、角度、及びその他の特徴の多くは、特定の実施態様の単なる例示に過ぎない。したがって、他の実施態様は、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法、角度、及びフィーチャを有することが可能である。加えて、本開示の更なる実施態様は、以下で説明される詳細のうちの幾つかがなくても、実施することが可能である。
【0019】
[0021] フィーチャは、基板の表面内の凹部である。フィーチャは、円筒形、卵型、矩形、正方形、他の多角形の凹部、及びトレンチを含むが、これらに限定されない多くの異なる形状を有し得る。
【0020】
[0022] アスペクト比は、フィーチャの深さとフィーチャの限界寸法(例えば幅/直径)との比較である。開示される方法によって形成されるフィーチャは、高アスペクト比のフィーチャであってよい。幾つかの実施態様では、高アスペクト比のフィーチャが、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約80、又は少なくとも約100のアスペクト比を有するものである。開示される方法によって形成されるフィーチャの限界寸法は、約200nm以下、例えば、約100nm以下、約50nm以下、又は約20nm以下であってよい。
【0021】
[0023] 幾つかのエッチングプロセスでは、極低温エッチングなどの低温エッチングを用いて、低温で、高アスペクト比(HAR)フィーチャを有するデバイス内の材料を除去する。極低温エッチングは、フィーチャのエッチングプロファイルに影響を及ぼし得る望ましくない副反応を防止するために、エッチングプロセス中にデバイスを冷却する。従来の極低温フッ素ベースのエッチングプロセスは、等方的にエッチングする傾向があり、これは、フィーチャの側壁を過剰にエッチングし、その結果、フィーチャの限界寸法が失われる可能性がある。側壁を過剰なエッチングから保護するための1つの解決法は、フィーチャのシリコン側壁をパッシベーションするために酸素を使用する。酸素は、酸化ケイ素パッシベーション層を形成するために、シリコン側壁と反応する。それによって、側壁が酸化ケイ素パッシベーション層によって保護されている間に、フィーチャの下部にイオンが衝突する。しかし、パッシベーション速度とエッチング速度とを制御するために、フッ素と酸素との比をバランスさせることは困難である。加えて、アスペクト比が変化するとパッシベーション速度及びエッチング速度が変化するので、同じチップ上に異なるアスペクト比を有する複数の構造に対して一貫した均一なエッチングを実現することは困難になり得る。更に、酸化ケイ素パッシベーション層の形成は、フィーチャの側壁からシリコンを消費し、これは、フィーチャの限界寸法に影響を及ぼし得る。
【0022】
[0024] 本開示の一態様では、極低温でエッチングするための方法が提供される。該方法は、エッチングプロセスの前に側壁をパッシベーションするために、フィーチャの側壁などの露出面上に希ガスからの不活性層を形成する。不活性層は、自然発生的なエッチングを抑制し、したがって、HARフィーチャをエッチングするためのフッ素などの攻撃的な化学物質の使用を可能にする。
【0023】
[0025] 一実施態様では、フィーチャを含む基板が、希ガスの三重点付近の温度まで冷却される。理論に束縛されるものではないが、希ガスの三重点付近の温度まで基板を冷却することにより、凝縮した希ガスが表面分散力によって流動し、フィーチャの露出面をパッシベーションすることが可能になると考えられる。酸素によるパッシベーションとは異なり、不活性層は、知られている酸素ベースのプロセスのようにシリコンを消費しない。次いで、不活性層上にフッ素含有層を形成するために、基板をフッ素含有ガスに曝露する。不活性層の存在は、フッ素含有ガスがフィーチャをエッチングすることを防止する。次いで、不活性層及びフッ素含有層からパッシベーション層を形成するために、不活性層及びフッ素含有層を、プラズマ又は紫外線光子活性化などのエネルギー源に曝露する。次いで、基板は、基板の上向き表面から材料を異方性エッチングするために、イオンに曝露される。
【0024】
[0026] 図1は、基板支持アセンブリ101を有する、エッチングチャンバとして構成されるように示されているプラズマ処理チャンバ100の一実施例の断面概略図である。プラズマ処理チャンバ100は、本明細書で説明される極低温エッチングプロセスを実行するために使用され得る。基板支持アセンブリ101は、基板300などの表面又はワークピースを、極低温処理温度に均一に維持するように動作可能である。極低温処理温度で維持された基板300を乾式反応性イオンエッチングすることにより、自然発生的なエッチングが低減された状態で、イオンが基板300上に配置された材料の上向き表面に衝突することが可能になる。それによって、平滑で垂直な側壁を有するトレンチが形成される。例えば、極低温処理温度で均一に維持された基板300上に配置された低誘電率の誘電材料の多孔性におけるイオンの拡散が低減される一方で、平滑で垂直な側壁を有するトレンチを形成するために、イオンは、低誘電率の誘電材料の上向き表面に衝突し続ける。更に、1つの材料と別の1つの材料とのエッチング選択性が、極低温処理温度で改善され得る。例えば、シリコン(Si)と二酸化ケイ素(SiO2)との間の選択性は、温度を下げると指数関数的に増加する。
【0025】
[0027] プラズマ処理チャンバ100は、処理領域110を囲む側壁104、底部106、及び蓋108を有する、チャンバ本体102を含む。注入装置112が、チャンバ本体102の側壁104及び/又は蓋108に結合される。ガスパネル114が、注入装置112に結合されて、プロセスガスが処理領域110の中に提供されることを可能にする。注入装置112は、1以上のノズル又は注入口ポートであってもよく、或いは代替的にシャワーヘッドであってもよい。プロセスガスは、任意の処理副生成物と共に、チャンバ本体102の側壁104又は底部106内に形成された排気口116を通して、処理領域110から除去される。排気口116は、ポンピングシステム127に結合される。ポンピングシステム127は、処理領域110内の減圧レベルを制御するために利用されるスロットルバルブ及びポンプを含む。
【0026】
[0028] プロセスガスは、処理領域110内にプラズマを生成するために励起されてもよい。プロセスガスは、RF電力をプロセスガスに容量的又は誘導的に結合することによって励起され得る。複数のコイル118が、プラズマ処理チャンバ100の蓋108の上方に配置され、整合回路120を介してRF電源122に結合される。RF電源122は、低周波、高周波、又は非常に高周波であり得る。
【0027】
[0029] 基板支持アセンブリ101は、注入装置112の下方の処理領域110内に配置される。基板支持アセンブリ101は、ESC103及びESCベースアセンブリ105を含む。ESCベースアセンブリ105は、ESC103と設備プレート107とに結合される。設備プレート107は、接地プレート111によって支持され、基板支持アセンブリ101との電気、冷却、加熱、及びガス接続を容易にするように構成される。接地プレート111は、処理チャンバの底部106によって支持される。絶縁体プレート109が、設備プレート107を接地プレート111から絶縁する。
【0028】
[0030] ESCベースアセンブリ105は、極低温冷却機117に結合されたベースチャネル115を含む。極低温冷却機117は、ベースチャネル115に冷媒などのベース流体を提供する。それによって、ESCベースアセンブリ105及び結果的に基板300が、所定の極低温に維持されてよい。同様に、設備プレート107は、冷却機119に結合された設備チャンネル113を含む。冷却機119は、設備チャネル113に設備流体を提供する。それによって、設備プレート107は、所定の温度に維持される。一実施例では、ベース流体が、ESCベースアセンブリ105を、設備プレート107の温度よりも高い温度に維持する。本明細書で説明される他の複数の態様と組み合わされ得る一態様では、ベース流体の流量を制御するために、極低温冷却機117がインターフェースボックスに結合される。ベース流体は、動作圧力において、摂氏約-50度未満の極低温で液体のままである組成物を含む。ベース流体は、概して絶縁性であり、それによって、基板支持アセンブリ101を通って循環するときに、ベース流体を通る電気経路が形成されない。適切な設備流体の非限定的な一例は、フッ素化された熱伝達流体である。
【0029】
[0031] ESC103は、支持面130、及び支持面130とは反対側の底面132を有する。ESC103は、アルミナ(Al2O3)や窒化アルミニウム(AlN)などのようなセラミック材料若しくは他の適切な材料、又は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトンなどのポリマーから製造することができる。
【0030】
[0032] ESC103は、その内部に配置されたチャック電極126を含む。チャック電極126は、単極若しくは双極電極、又は他の適切な配置として構成されてよい。チャック電極126は、RFフィルタ及び設備プレート107を介してチャック電源134に結合される。チャック電源134は、基板300をESC103の支持面130と静電的に固定するためにDC電力を提供する。RFフィルタは、プラズマ処理チャンバ100内でプラズマ(図示せず)を生成するために利用されるRF電力が、電気装備に損傷を与えること又はチャンバの外側の電気障害をもたらすことを防止する。
【0031】
[0033] ESC103は、その内部に埋め込まれた1以上の抵抗加熱器128を含む。抵抗加熱器128は、ESC103の温度を制御するために利用される。ESC103は、ESCベースアセンブリ105によって冷却される。それによって、基板支持アセンブリ101の支持面130上に配置された基板300を処理するのに適した極低温処理温度が維持されてよい。抵抗加熱器128は、設備プレート107及びRFフィルタを介して加熱器電源136に結合される。RFフィルタは、プラズマ処理チャンバ100内でプラズマ(図示せず)を生成するために利用されるRF電力が、電気装備に損傷を与えること又はチャンバの外側の電気障害をもたらすことを防止する。加熱器電源136は、500ワット以上の電力を抵抗加熱器128に提供することができる。加熱器電源136は、加熱器電源136の動作を制御するために利用されるコントローラ(図示せず)を含む。該コントローラは、概して、基板300を所定の極低温まで加熱するように設定される。本明細書で説明される他の複数の態様と組み合わされ得る一態様では、抵抗加熱器128が、複数の側方に分離された加熱区域を含む。該コントローラは、抵抗加熱器128の少なくとも1つの区域が、1以上の他の区域内に位置付けられた抵抗加熱器128に対して優先的に加熱されることを可能にする。例えば、抵抗加熱器128は、複数の分離された加熱区域内に同心に配置されてよい。抵抗加熱器128は、基板300を処理に適した極低温処理温度に維持する。本明細書で説明される他の複数の態様と組み合わされ得る一態様では、極低温処理温度が、摂氏約-10度未満である。例えば、極低温処理温度は、摂氏約-10度から摂氏約-150度の間である。
【0032】
[0034] プラズマ処理チャンバ100は、プラズマ処理チャンバ100の様々な態様を制御するように動作可能なシステムコントローラ160を更に含む。システムコントローラ160は、プラズマ処理チャンバ100全体の制御及び自動化を容易にし、中央処理装置(CPU)、メモリ、及びサポート回路(又はI/O)を含んでよい。CPUに指示命令するためのソフトウェア指示命令及びデータが、コード化されてメモリ内に記憶され得る。システムコントローラ160は、例えば、システムバスを介して、プラズマ処理チャンバ100の構成要素のうちの1以上と通信することができる。システムコントローラ160によって読み取り可能なプログラム(又はコンピュータ指示命令)は、どのタスクが基板上で実行可能であるかを特定する。幾つかの態様では、プログラムが、マルチセグメントリングの取り外し及び交換を制御するためのコードを含むことができる、システムコントローラ160によって読み取り可能なソフトウェアである。単一のシステムコントローラ160として図示されているが、本明細書で説明される複数の態様では、複数のシステムコントローラが使用されてよいことを理解されたい。
【0033】
[0035] 図2は、本明細書で開示される複数の態様による基板内のフィーチャをエッチングする方法200のフローチャートを示している。図3A図3Eは、本明細書で開示される複数の態様によるエッチングプロセスの様々な段階を示している。方法200及び図3A図3Eは、シリコン基板内の高アスペクト比のフィーチャをエッチングする文脈で説明されるが、方法200は、他の種類の基板内の他のフィーチャをエッチングするために使用されてもよいことを理解されたい。
【0034】
[0036] 方法200は、図1で描かれているプラズマ処理チャンバ100などのチャンバの中に基板を装填することによって動作210で開始する。一実施例では、基板300が、基板を冷却するように動作可能な冷却機119などの冷却機を有する基板支持アセンブリ101などのような基板支持アセンブリ上に配置される。基板は、基板300であり得る。基板300は、その上に配置されるマスク層312(例えば酸化ケイ素層などの誘電体層)を有するバルクシリコン層310を含む。マスク層312を有さない基板300(すなわち、シリコン層310のみ)も、方法200に従って処理することができる。基板300は、そこに形成された少なくとも1つのフィーチャ320を有する。少なくとも1つのフィーチャ320は、基板300の上面322から下面324へフィーチャ深さだけ延在する。少なくとも1つのフィーチャ320は、第1の側壁326a及び第2の側壁326bによって画定された幅を有する。
【0035】
[0037] 方法200は、動作220で継続し、動作220では、基板300が極低温まで冷却される。本明細書で使用されるときに、極低温は、摂氏約-100度以下の温度を指す。幾つかの実施例では、極低温が、特定の範囲、例えば、摂氏約-160度から摂氏約-150度、若しくは摂氏約-140度から摂氏約-120度、又は摂氏約-120度と摂氏約-100度との間であってよい。幾つかの実施例では、基板300が、摂氏約-100度以下、若しくは摂氏約-120度以下、若しくは摂氏約-140度以下、又は摂氏約-150度以下の温度に冷却される。これら又は他の複数の実施例では、基板300が、摂氏約-150度以上、若しくは摂氏約-140度以上、若しくは摂氏約-120度以上、又は摂氏約-100度以上に冷却されてよい。理想的な範囲は、使用される化学物質(例えば、使用される希ガスの三重点温度)、エッチングされるフィーチャの幾何学的形状、及びエッチングされる材料の種類を含むが、これらに限定されない様々な要因に依存することになる。本明細書の他の箇所で述べられたように、基板の温度は、冷却機を介して制御されてよい。冷却機の温度は、基板自体の温度よりも低くてよい。
【0036】
[0038] 本明細書で使用されるときに、基板の温度は、特に断らない限り、基板支持アセンブリの温度を指すものとする。この温度は、冷却機温度と呼ばれてもよい。基板支持アセンブリは、様々な加熱及び冷却機構を使用して、基板の温度を制御することができる。
【0037】
[0039] 一態様では、極低温への基板の冷却は、基板支持体内の又はそれに隣接する配管を通して冷却流体を流すことを含み得る。別の一態様では、極低温への基板の冷却が、基板支持体内での極低温にある単一冷媒又は混合冷媒の循環を含み得る。一実施例では、基板300が、極低温冷却機117を使用して冷却され、基板300を極低温に冷却する。
【0038】
[0040] 方法200は、動作230で継続し、動作230では、図3Bで示されているように、基板の部分を不活性層330でコーティングするために、希ガス混合物がチャンバの中に流される。希ガス混合物は、第1の希ガスを含むか、それから構成されるか、又はそれから本質的に構成される。本明細書で使用されるときに、用語「第1の希ガスから本質的に構成される」は、希ガス混合物の希ガス成分が、希ガス混合物の約95%、98%、又は99%以上であることを意味する。第1の希ガスは、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、又はそれらの組み合わせから選択される。一実施例では、第1の希ガスが、キセノン又はキセノン前駆体ガスである。別の一実施例では、第1の希ガスがクリプトンである。希ガス混合物は、典型的には、エッチャントフリーであり、これは、希ガス混合物がエッチャントガスを全く含まないことを意味する。一実施例では、処理領域110が、動作230中に、第1の希ガスから構成されるか、又は第1の希ガスから本質的に構成される。一実施例では、動作230がプラズマフリーであり、これは、プラズマが処理領域110内に存在しないことを意味する。酸素によるパッシベーションとは異なり、不活性層330は、知られている酸素ベースのプロセスのようにシリコンを消費しない。
【0039】
[0041] 不活性層330は、第1の希ガスが、基板300の露出面上で凝縮するときに形成される。図3Bで描かれている一実施例では、不活性層330が、上面322、下面324、第1の側壁326a、及び第2の側壁326b上に形成される。不活性層330は、共形層又は非共形層であり得る。動作230中、希ガス混合物は、基板300が極低温に維持されている間に、処理領域110の中に流される。極低温は、希ガス混合物が表面分散力によって流動し、基板300の露出面をパッシベーションすることができるように選択される。一実施例では、極低温が、希ガスの三重点温度を包含するように選択される。
【0040】
[0042] 希ガスが摂氏約-112度の三重点温度を有するキセノンである一実施例では、極低温が、摂氏約-140度から摂氏約-100度の範囲、例えば、摂氏約-120度から摂氏約-105度又は摂氏約-112度から摂氏約-105度の範囲に維持される。基板を三重点温度を含む極低温に維持することにより、キセノンをガスとして処理領域110の中に流し、冷却された基板300上で凝縮させて、キセノン層を形成し、フィーチャの露出面をパッシベーションすることができる。
【0041】
[0043] 希ガスが摂氏約-158度の三重点温度を有するクリプトンである別の一実施例では、極低温が、摂氏約-150度から摂氏約-170度、例えば、摂氏約-158度から摂氏約-150度の範囲に維持される。基板を-158度のわずかに上の温度付近に冷却することにより、凝縮したクリプトンがクリプトン層を形成して、フィーチャの露出面をパッシベーションすることが可能になる。
【0042】
[0044] 一実施例では、動作230中、適切なサイズのチャンバ内の300mmの基板に対して、希ガスの流量が、約50sccmから約500sccm(例えば、約50sccmから約300sccm)であり得る。希ガスは、約10mTorrから約100mTorr(例えば、約25mTorrと約80mTorrとの間、約30mTorrと約70mTorrとの間、約25mTorrと約40mTorrとの間、又は約60mTorrと約80mTorrとの間)の全チャンバ圧力を維持するように、チャンバの中に流され得る。
【0043】
[0045] 方法200は、動作240で継続し、動作240では、図3Cで示されているように、不活性層330をフッ素含有層340でコーティングするために、フッ素含有ガス混合物がチャンバの中に流される。フッ素含有ガス混合物は、フッ素含有ガスを含むか、それから構成されるか、又はそれから本質的に構成される。本明細書で使用されるときに、用語「フッ素含有ガスから本質的に構成される」は、フッ素含有ガス混合物のフッ素ガス成分がフッ素含有ガス混合物の約95%、98%、又は99%以上であることを意味する。フッ素含有ガスは、SF6、NF3、F2、C4H8、CHF3、又はこれらの組み合わせから選択される。一実施例では、フッ素含有前駆体ガスがNF3である。別の一実施例では、フッ素含有前駆体ガスがSF6である。一実施例では、処理領域110が、フッ素含有ガスから構成されるか、又はフッ素含有ガスから本質的に構成される。一実施例では、動作240が、プラズマフリー動作である。それは、動作240中に、処理領域110内にプラズマが存在しないことを意味する。
【0044】
[0046] 一態様では、フッ素含有ガス混合物は、希ガスを更に含む。希ガスは、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、又はこれらの組み合わせから選択され得る。
【0045】
[0047] フッ素含有層340は、不活性層330の露出面上でフッ素含有ガスが凝縮するときに形成される。図3Cで描かれている一実施例では、フッ素含有層340が、不活性層330の上面332、不活性層330の下面334、希ガス層の第1の側壁336a、及び不活性層330の第2の側壁336b上に形成される。フッ素含有層340は、共形層又は非共形層であり得る。動作240中、基板が極低温に維持されている間に、フッ素含有ガスがチャンバの中に流される。極低温は、フッ素含有ガスが表面分散力によって流動し、基板の表面をパッシベーションすることができるように選択される。フッ素含有ガスがSF6である一実施例では、極低温が、摂氏約-120度から摂氏約-105度に維持される。基板をこの極低温に維持することにより、フッ素含有ガスをガスとしてチャンバの中に流し、堆積した不活性層330上で凝縮させることができる。
【0046】
[0048] 一実施例では、動作240中、適切なサイズのチャンバ内の300mmの基板に対して、フッ素含有ガスの流量が、約50sccmから約500sccm(例えば、約50sccmから約300sccm)であり得る。フッ素含有ガスの流量は、約30mTorrから約110mTorr(例えば、約30mTorrと約100mTorrとの間、約40mTorrと約80mTorrとの間、約40mTorrと約50mTorrとの間、又は約70mTorrと約80mTorrとの間)の全チャンバ圧力を維持するように、チャンバの中に流され得る。一実施例では、動作240中の全チャンバ圧力が、動作230中の全チャンバ圧力よりもわずかに高い。例えば、動作230中の全チャンバ圧力は、約25mTorrから約80mTorrであり得、動作240中の全チャンバ圧力は、約40mTorrから約85mTorrであり得る。
【0047】
[0049] 一実施例では、動作230及び240が重複せず、これは、動作240の処理領域110の中へのフッ素含有ガスの流れが開始する前に、動作230の希ガスの流れが停止されることを意味する。別の一実施例では、動作230及び240が重なり合っており、これは、動作240のフッ素含有ガスが開始するときに、動作230の希ガスが依然として処理領域の中に流されていることを意味する。
【0048】
[0050] 動作250では、図3Dで示されているように、パッシベーション層350を形成するために、不活性層330及びフッ素含有層340をエネルギーに曝露する。フィーチャ320の側壁326a、326b上にパッシベーション層350を形成するために、エネルギーが、不活性層330及びフッ素含有層340を活性化する。理論によって束縛されるものではないが、パッシベーション層は、フィーチャ320が垂直方向にエッチングされるときに、フィーチャ320の横方向のエッチングを防止し又は遅らせる。不活性層330がキセノンから形成され、フッ素含有層340がSF6から形成される一実施例では、フッ化キセノンパッシベーション層を形成するために、不活性層330とフッ素含有層340とが反応する。キセノンは、フッ素と共に安定な分子を形成する。フッ化キセノンは、二フッ化キセノン(XeF2)、四フッ化キセノン(XeF4)、及び六フッ化キセノン(XeF6)のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0049】
[0051] パッシベーション層350を形成するために、堆積した不活性層330及びフッ素含有層340を活性化するように、エネルギー源は、紫外線又はRF周波数を有するエネルギーなどの、励起エネルギーを提供する。一態様では、エネルギーが、紫外線(UV)源から生成され、UV光子が、堆積した不活性層330及びフッ素含有層340を活性化して、パッシベーション層350を形成する。一実施例では、UV出力が、約20パーセントから約100パーセント(例えば、約20パーセントから約80パーセント、約30パーセントから約50パーセント)であり得る。UV出力は、約200ワットと約3,000ワットとの間(例えば、約1,100ワットと約2,500ワットとの間、約1,500ワットと約2,000ワットとの間)であり得る。別の一実施例では、UV出力が、約20パーセントから約100パーセント(例えば、約20パーセントから約80パーセント、約30パーセントから約50パーセント)であり得る。UV出力は、約200ワットから約1,000ワット(例えば、約200ワットと約500ワットとの間、約250ワットと約350ワットとの間)であり得る。
【0050】
[0052] 別の一態様では、エネルギーが、プラズマ前駆体ガス混合物の存在下で高周波(RF)電源から生成されるプラズマである。RF電力への曝露によって、プラズマ前駆体ガス混合物の少なくとも一部分がイオン化され、プラズマが生成される。約10kHzと約14MHzとの間の周波数のRF電力が、約1,000Wと約5,000Wとの間(例えば、約2,000Wと約3,000Wとの間、又は約2,500W)の電力レベルで印加されて、プラズマが生成される。一実施例では、13.56MHzの周波数が使用される。別の一実施例では、400kHzまでのより低い周波数、例えば350kHzが使用される。二次的電力が、約10ワットから約500ワット(例えば、約200ワットから約400ワット、約250ワット)の電力レベルで印加され得る。プラズマ前駆体ガス混合物は、不活性ガスを含む。一実施例では、不活性ガスがヘリウムであり、プラズマ活性化は、処理領域110内でヘリウムイオンを生成し、これは、堆積した不活性層330及びフッ素含有層340を活性化して、パッシベーション層350を形成する。別の一実施例では、不活性ガスが、アルゴンとヘリウムとの組み合わせを含み、プラズマ活性化が、処理領域110内でイオンを生成し、これは、堆積した不活性層330及びフッ素含有層340を活性化して、パッシベーション層350を形成する。一実施例では、動作250が、バイアスフリーのプロセスである。それは、バイアスが基板に印加されないことを意味する。
【0051】
[0053] 一態様では、動作250中、不活性層330及びフッ素含有層340が、イオンフラックスに曝露されて、パッシベーション層350を形成する。イオンフラックスは、低イオンエネルギーを有する1種類以上の原子種又は分子種であってよい。したがって、一態様では、種が、不活性層330及びフッ素含有層340と化学的に反応するのではなく、不活性層330とフッ素含有層340との反応を促進し、したがって、イオンフラックスは、ターゲット構成要素との化学反応性が比較的低いソースガスに由来する。例示的なイオン種としては、ヘリウムイオン、ネオンイオン、キセノンイオン、窒素イオン、又はヘリウムイオンを有するアルゴンイオンが挙げられる。
【0052】
[0054] 一実施例では、動作250中、適切なサイズのチャンバ内の300mmの基板に対して、ヘリウムガスの流量が、約100sccmから約500sccm(例えば、約100sccmから約300sccm)であり得る。ヘリウムガスは、約10mTorrから約30mTorr(例えば、約10mTorrと約20mTorrとの間、又は約20mTorrと約30mTorrとの間)の全チャンバ圧力を維持するように、チャンバの中に流され得る。一実施例では、極低温が、動作250中に維持される。幾つかの実施態様では、基板の温度が、摂氏約800度など、摂氏約500度と約1100度との間まで上昇し得る。
【0053】
[0055] 動作260では、基板をエッチングするために、基板/フィーチャにイオンフラックスが衝突する。一実施例では、イオンフラックスが異方性である。それによって、フィーチャのパッシベーションされた側壁の曝露が低減される。イオンフラックスは、図3Eで示されているように、基板フィーチャの上面322及び下面324などの水平面に重なるパッシベーション層350の部分に衝突する。上面322をカバーするパッシベーション層350の除去により、マスク層312が露出され、下面324をカバーするパッシベーション層の除去により、フィーチャ320の下部のシリコン材料が露出される。パッシベーション層350の部分360a、360bは、側壁326a、326b上に残ったままである。
【0054】
[0056] イオンフラックスは、動作250からの同じガス及び低周波RF電力を使用して生成され得る。イオンフラックスは、低周波RFソース電力を使用して、不活性ガスから生成され得る。イオンフラックスは、低イオンエネルギーを有する1種類以上の原子種又は分子種であってよい。例示的なイオン種としては、低いイオン化ポテンシャルを有するヘリウムイオン、ネオンイオン、キセノンイオン、窒素イオン、アルゴンイオン、又はそれらの組み合わせが挙げられる。それによって、非常に低いプラズマDCバイアスが、イオンフラックスのエネルギーレベルを低減させるために提供され得る。プロセス圧力は、より指向的であるために、好適には10mTorr未満であり、より好適には5mTorr未満である。供給ガスのイオン化ポテンシャルに依存する約50Wから100Wの低いRF電力は、酸化ケイ素マトリックスから炭素種をノックアウトすることにより低誘電率の誘電体膜を改質するのに有利であることが分かった。
【0055】
[0057] 一実施例では、不活性ガスがヘリウムであり、プラズマ活性化は、処理領域110内でヘリウムイオンを生成する。このヘリウムイオンは、パッシベーション層350に衝突して活性化する。別の一実施例では、不活性ガスがヘリウムとアルゴンとの混合物であり、プラズマ活性化は、処理領域110内でヘリウムイオンを生成する。このヘリウムイオンは、パッシベーション層350に衝突して活性化する。活性化されたパッシベーション層350からのフッ素は、基板300の下面324からシリコンをエッチングする。
【0056】
[0058] 動作260中、イオンを基板300の水平面に向けて導くために、バイアスがまた、基板300に印加される。バイアスは、約50ワットから約1500ワット、例えば、約50ワットから約250ワット、又は約50ワットから約100ワットの電力を使用して生成されてよい。一態様では、RFバイアス電力が、基板支持アセンブリ101内の電極、例えばチャック電極126に印加される。一実施例では、約2MHzと約13.56MHzとの間の周波数を有するRFバイアス電力が、500ワット未満、例えば約50ワットから約250ワットの間、例えば約50ワットから約100ワットで印加され得る。
【0057】
[0059] 理論に束縛されるものではないが、パッシベーション層350にイオンフラックスを衝突させることにより、希ガスからフッ素が分離されて、フッ素がシリコン層310のシリコンと結合し、シリコン層310からシリコンを除去又は「エッチングすることが可能になる。動作260のエッチングは、原子層エッチング又は分子レベルエッチング(MLE)とみなすことができるが、それは、除去される部分が、シリコン膜内の分子成分の寸法の程度であるからである。
【0058】
[0060] 動作230から260は、パッシベーション層修復のサイクルにおいて、繰り返し行われ又はサイクルされてもよく、その後、ゲート材料のエッチングによって、シリコン材料のターゲットエッチング深さが実現されてよいことに留意されたい。
【0059】
[0061] 複数の実施態様は、以下の潜在的な利点のうちの1以上を含み得る。本明細書で説明されるパッシベーション及びエッチング技法を利用することによって、高アスペクト比を有するフィーチャが、急勾配及び正確な寸法を有する実質的にきっちり直角及び直立の(例えば、直線的、垂直な)側壁をターゲットプロファイルに提供し得る制御されたやり方で、エッチングされ形作られ得る。エッチングに対する前駆体として希ガスの不活性層を用いることにより、低温での原子層エッチングを可能にするスキームが提供される。低温での原子層エッチングは、側壁エッチングを低減させ又は排除し、より垂直なフィーチャを提供することができ、それは、デバイス性能及び歩留まりを改善する。加えて、前駆体の第1の層は不活性なので、任意の自然発生的なエッチングを抑制しながら、フッ素のような攻撃的な化学物質をエッチングプロセスに使用することができる。
【0060】
[0062] したがって、ターゲット縁部/角部プロファイル及びアスペクト比を有するフィーチャを形成するために、シリコン材料をエッチングする実施態様が提供される。エッチングプロセスに従ってパッシベーションモード及びエッチングモードを利用することによって、制御されたイオン軌跡/指向性、ならびに側壁/角部パッシベーション保護が得られてよい。それによって、精度の高い直角の角部及び垂直な側壁プロファイルならびにフィーチャのアスペクト比を有するシリコン層内のフィーチャをもたらすやり方で、シリコン層をエッチングすることができる。加えて、パッシベーション及びエッチングプロセスは、減圧を破壊することなく、単一チャンバ内で実行されてよく、これにより、システムの複雑性が低減される。
【0061】
[0063] 本明細書で説明される実施態様及び全ての機能的動作は、デジタル電子回路において、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェア(この明細書で開示されている構造的手段及びその構造的等価物を含む)において、又はこれらの組合せにおいて実装され得る。本明細書で説明される実施態様は、データ処理装置(例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータ)によって実行されるため、又はかかるデータ処理装置の動作を制御するための1以上の非一時的なコンピュータプログラム製品(すなわち、機械可読記憶デバイスにおいて有形に具現化される1以上のコンピュータプログラム)として実装され得る。
【0062】
[0064] 本明細書で説明される処理及び論理フローは、入力データで動作し出力を生成することによって機能を実施するために1以上のコンピュータプログラムを実行する、1以上のプログラム可能プロセッサによって実施され得る。プロセス及び論理フローは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)といった特殊用途の論理回路によって実施されてもよく、且つ、装置が、かかる特殊用途の論理回路として実装されることも可能である。
【0063】
[0065] 「データ処理装置」という用語は、1つのプログラム可能プロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータを例として含む、データを処理するための全ての装置、デバイス、及び機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、問題になっているコンピュータプログラムの実行環境を作り出すコード(例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はこれらの1以上の組み合わせを構成するコード)を含むことができる。コンピュータプログラムを実行するのに適しているプロセッサには、例として、汎用と専用の両方のマイクロプロセッサ、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1以上のプロセッサが含まれる。
【0064】
[0066] コンピュータプログラム指示命令及びデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、全ての形態の不揮発性のメモリ、媒体、及びメモリデバイスを含む。かかるメモリ、媒体、及びメモリデバイスは、例としては、半導体メモリデバイス(EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなど)、磁気ディスク(内蔵ハードディスク又は着脱可能ディスクなど)、光磁気ディスク、並びにCD ROMディスク及びDVD-ROMディスクを含む。プロセッサ及びメモリは、特殊用途論理回路によって補足すること、又は特殊用途論理回路に組み込むことができる。
【0065】
[0067] 本開示の要素、又は、それらの例示的な態様若しくは(1以上の)実施態様を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素が1以上存在することを意味することが意図されている。
【0066】
[0068] 備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という表現は、包括的であるように意図されており、列挙された要素以外に追加の要素があり得ることを意味する。
【0067】
[0069] 以上の説明は本開示の態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱しなければ、本開示の他の態様及び更なる態様が考案されてよく、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決まる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E