(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240307BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G03G15/16
G03G21/00 310
(21)【出願番号】P 2020083293
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】畔柳 雄太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直人
(72)【発明者】
【氏名】桑原 延雄
(72)【発明者】
【氏名】本城 賢二
(72)【発明者】
【氏名】川田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 道治
(72)【発明者】
【氏名】永田 春樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 陽平
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-241471(JP,A)
【文献】特開2007-286176(JP,A)
【文献】特開2011-118192(JP,A)
【文献】特開2006-030849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
G03G 13/14-13/16
G03G 15/02
G03G 15/14-15/16
G03G 21/00
G03G 21/04
G03G 21/10-21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上のトナー像が転写される中間転写体と、
前記中間転写体上のトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写体と、を有する画像形成装置において、
前記二次転写体から前記像担持体に向かう前記中間転写体の表面移動領域で前記中間転写体に対向配置された測定用転写体と、
前記測定用転写体に対向配置された光学センサと、
測定用トナー像を、所定のタイミングで前記像担持体上に形成し、前記中間転写体を介して前記測定用転写体に転写し、前記光学センサで検出する制御手段と、
前記測定用転写体から前記像担持体に向かう前記中間転写体の表面移動領域で前記中間転写体に対向配置された静電的なクリーニング装置と、
トナー像が二次転写された後の前記中間転写体の表面に残る残トナーが前記測定用転写体に対向する期間、前記クリーニング装置で該残トナーを静電的に除去し易くする電界を形成するように前記測定用転写体にバイアスを印加するバイアス印加手段と、
を設けたことを特徴とする画像形成装置
。
【請求項2】
請求項
1に記載の画像形成装置において、
前記クリーニング装置と前記測定用転写体とを、前記中間転写体に対向する共通のケース内に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
像担持体上のトナー像が転写される中間転写体と、
前記中間転写体上のトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写体と、を有する画像形成装置において、
前記二次転写体から前記像担持体に向かう前記中間転写体の表面移動領域で前記中間転写体に対向配置された測定用転写体と、
前記測定用転写体に対向配置された光学センサと、
測定用トナー像を、所定のタイミングで前記像担持体上に形成し、前記中間転写体を介して前記測定用転写体に転写し、前記光学センサで検出する制御手段と、
前記測定用転写体から前記像担持体に向かう前記中間転写体の表面移動領域で前記中間転写体に対向配置されたクリーニング装置
と、
を設け、
該クリーニング装置と前記測定用転写体とを、前記中間転写体に対向する共通のケース内に配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一に記載の画像形成装置において、
記録媒体にトナー像を転写する転写位置と該転写位置から退避した退避位置との間で前記二次転写体を移動する移動手段を設け、
前記制御手段は、前記測定用トナー像が前記二次転写体との対向部を通過する期間は、前記退避位置を取るように前記移動手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項
1乃至4の何れか一に記載の画像形成装置において、
前記中間転写体と前記二次転写体との間に、前記中間転写体上のトナー像を前記二次転写体側に向かわせる向きの電界と該向きとは反対の向きの電界とを選択的に形成可能な電界形成手段を設け、
前記制御手段は、前記測定用トナー像が前記二次転写体との対向部を通過する期間は、前記反対の向きの電界を形成するように前記電界形成手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至
5の何れか一に記載の画像形成装置において、
前記測定用転写体への前記測定用トナー像の転写を静電的に行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6の何れか一に記載の画像形成装置において、
前記光学センサで検出した後の前記測定用トナー像を前記測定用転写体から除去するクリーニング装置を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体上のトナー像が転写される中間転写体と、中間転写体上のトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写体と、を有する画像形成装置が知られている。
例えば特許文献1には、係る画像形成装置であって、二次転写ローラ(二次転写体)に対向配置された光学センサと次のような制御手段とを備えたものが記載されている。トナーパターン(測定用トナー像)を、所定のタイミングで感光体(像担持体上)に形成し、中間転写ベルトを介して二次転写ローラに転写し、光学センサで検出する制御手段である。トナーパターンを二次転写ローラに転写し、二次転写ローラ上で検出することから、次の課題が解決できるとされている。中間転写体が表面を弾性体で構成された中間転写体は、一般的に表面の光沢度が低いため、中間転写体上に形成したトナーパターンの濃度を光学センサで検出してトナー画像の濃度制御を行う場合、十分なトナー濃度検出精度が得られないという課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
装置の小型化が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、像担持体上のトナー像が転写される中間転写体と、前記中間転写体上のトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写体と、を有する画像形成装置において、前記二次転写体から前記像担持体に向かう前記中間転写体の表面移動領域で前記中間転写体に対向配置された測定用転写体と、前記測定用転写体に対向配置された光学センサと、測定用トナー像を、所定のタイミングで前記像担持体上に形成し、前記中間転写体を介して前記測定用転写体に転写し、前記光学センサで検出する制御手段と、前記測定用転写体から前記像担持体に向かう前記中間転写体の表面移動領域で前記中間転写体に対向配置された静電的なクリーニング装置と、トナー像が二次転写された後の前記中間転写体の表面に残る残トナーが前記測定用転写体に対向する期間、前記クリーニング装置で該残トナーを静電的に除去し易くする電界を形成するように前記測定用転写体にバイアスを印加するバイアス印加手段と、を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、装置の小型化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を画像形成装置としての電子写真方式のタンデム型カラープリンタ(以下、プリンタという)に適用した実施形態について説明する。
図1はプリンタ100の概略構成図である。基本構成は、像担持体としての感光体10上のトナー像が転写される中間転写体としての中間転写ベルト20を有する。中間転写ベルト20は裏面側から複数の支持ローラ21、22,23,24で支持され、表面からも支持ローラ25で支持されて表面の移動軌道が決められている。また、中間転写ベルト20上のトナー像を記録媒体としてのシートPに二次転写する二次転写体としての二次転写ローラ31を備えた二次転写ユニット30も有する。
【0008】
このプリンタ100は特色(以下S)、イエロー(以下Y)、マゼンダ(以下M)、シアン(以下C)、ブラック(以下K)、の5色トナーから一画像を形成する装置である。このプリンタは、各色で5つのドラム状の感光体1S、1Y、1M、1C、1Kを備えている。各感光体1は、それぞれ中間転写ベルト20に接触しながら図中Aで示す方向に移動する中間転写ベルト20と同じ向きに表面移動するよう回転駆動する。SやKは備えていなくてもよい。
【0009】
5つの感光体1は図中左からS、Y、M、C、Kの順に並んでいる。各感光体1で次のようにしてトナー像が形成される。あらかじめ帯電装置11によって一様に帯電された感光体1は、書き込みユニット26によってレーザー光にて露光走査され、感光体1上に静電潜像が作られる。各静電潜像は、それぞれ各色の現像装置12により現像され、これにより感光体1の表面に特色、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。各現像装置12には、トナーが充填されたトナーを補給するトナーボトルから搬送経路を介して所定の補給量だけ各色のトナーが補給される。
【0010】
各感光体1上のトナー像は、一次転写ローラ13に電圧が印加され中間転写ベルト20上に順次転写されていく。各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト20の同じ位置に重ねて転写されるように、上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。中間転写ベルト20上に重ね合わせて形成されたトナー像は、二次転写ローラ31の位置まで搬送されてくるシートPに二次転写される。シートPは、給紙コロ41でフィードされ二次転写ローラ31と中間転写ベルト20の二次転写ニップに搬送される。
【0011】
各色のトナー像が転写されたシートPは定着装置50に搬送されて熱定着され排紙ローラ60で排紙される。感光体1上の残トナーは感光体クリーニング装置14によって除去される。また、中間転写ベルト20上の残トナーは中間転写ベルトクリーニング装置70によって除去される。
【0012】
二次転写ローラ31と中間転写ベルトクリーニング装置70との間で中間転写ベルト20に対向配置されているのは測定用転写ユニット80である。画像濃度調整制御などのための測定用トナー像であるトナーパターンを、中間転写ベルト20から転写して光学的に検出するためのユニットである。このユニットについては後に詳述する。
【0013】
図2はトナーパターンの一例の説明図である。
図2(a)は画像濃度調整のために各感光体1上で形成されて中間転写ベルト20に転写されてきたトナーパターンの説明図である。特許文献2に記載のものと同様の次のトナーパターンを採用できる。この特許文献2に記載の画像形成装置は、中間転写ベルト20から二次転写ベルトに測定用のトナーパターンを転写し、二次転写ベルト上のトナーパターンを光学センサで検出するものである。トナーパターンとしての各色の階調パターンSk,Sm,Sc,Sy、Ssを中間転写ベルト20の幅方向(主走査方向)に所定の間隔を空けて並ぶように形成する。各色の階調パターンは、10個の画像濃度が異なる例えば2[cm]×2[cm]の面積のトナーパッチからなり、副走査方向(ベルト移動方向)に並べて形成する。この画像濃度調整のためのパターンを検出した結果に基づいて、現像バイアス電位や帯電電位などを調整する。
【0014】
図2(b)は色ズレ補正のめに各感光体1上で形成されて中間転写ベルト20に転写されてきたトナーパターンの説明図である。特許文献2に記載のものと同様の次のトナーパターンを採用できる。二次転写ベルト204の幅方向の一端部と他端部とにそれぞれ、
図2(b)に示すようなシェブロンパッチPVと呼ばれるY、M、C、Kの各色トナー像からなるトナーパターンとしての色ずれ検知用画像を形成する。S色のものを加えることが好ましい。シェブロンパッチPVは、主走査方向から約45[°]傾けた姿勢で、副走査方向であるベルト移動方向に所定ピッチで並べたラインパターン群である。このシェブロンパッチPVの付着量は、例えば0.3[mg/cm2]程度である。
【0015】
このようなトナーパターンの形成、検出を伴う画像濃度調整や色ズレ補正の制御を、電源投入時あるいは所定枚数のプリントを行う度といった所定のタイミングで行う。
【0016】
本実施形態では、画像濃度調整や色ズレ補正などのため、所定のタイミングで感光体1上に形成し、中間転写ベルト20上に転写したトナーパターンを転写する測定用転写体と、光学センサとを備えた測定用転写ユニット80を備えている。測定用転写ユニット80の配置位置は、二次転写ローラ31から最上流の像担持体である感光体1Sに向かう中間転写ベルト20の表面移動領域で中間転写ベルト20に対向する位置である。つまり、二次転写ローラ31との対向部よりも下流でかつ感光体1との対向部よりも上流の中間転写ベルト20の表面移動領域である。図示の例では、二次転写ローラ31と中間転写ベルトクリーニング装置70との間に配置されている。
【0017】
特許文献1では、表面での光沢度が低く測定用のトナーパターンのトナー濃度検出精度が不十分な中間転写体上から二次転写ローラにトナーパターンを転写し、二次転写ローラ上でトナーパターンを光学センサで検出していたのに代え、二次転写ローラ対向部よりも下流でかつ感光体対向部よりも上流の中間転写ベルト20表面移動領域に設けた測定用転写体にトナーパターンを転写し、測定用転写体上でトナーパターンを光学センサで検出するものである。
【0018】
これによれば、画像形成装置の小型化に伴って、二次転写ローラの小径化や周囲のレイアウトの制約などから二次転写ローラの周囲に光学センサを配置するのが困難になっても、二次転写ローラ対向部よりも下流でかつ感光体対向部よりも上流の中間転写ベルト20表面移動領域の余裕スペースを活用し、精度の高いトナーパターンの検出を可能にできる。測定用転写体としては、中間転写体よりも光学センサによるトナー濃度パターンの検出精度が良好な表面の光学特性を備えたものを用いる。
【0019】
図3は測定用転写ユニット80の一例を示す説明図である。
図1のプリンタ100における二次転写ユニット30から中間転写ベルトクリーニング装置70までの範囲の拡大図である。この例の測定用転写ユニット80は中間転写ベルト20に対向配置された測定用転写体として測定用転写ローラ81を備えている。測定用転写ローラ81は中間転写ベルト20に接触するように配置され、対向部で表面が同じ向きに移動するように駆動される。測定用転写体としてはローラに代えベルト部材を用いることもできる。測定用転写体の表面材質としては特許文献2の二次転写ベルトの材質例でもあるポリイミドを用いることができる。静電的にトナーパターンを転写するにはローラであれば基体を導電体にし、ベルトであれば基層を導電体とするか、バックアップローラを導体にするかする。これらの導体に電圧を印加する。表面の光学特定から感光体と同様の構成を採用することもできる。
【0020】
測定用転写ユニット80は測定用転写ローラ81に対向配置された光学センサユニット82も備えている。光学センサユニット82は
図2(a)の各トナーパターンの幅方向の位置に対応させて各色用の受発光素子対からなる光学センサを備えている。光学センサユニット82で測定された後に測定用転写ローラ81表面からトナーを除去するため、例えば除去ブレード83を設ける。除去されたトナーを回収するスクリュウ84も設けている。これらを収容するケース85も備えている。
【0021】
測定用転写ローラ81には測定用電源回路87が接続されている。中間転写ベルト20を挟んで測定用転写ローラ81と対向する箇所に対抗ローラ86が配置されている。この対抗ローラ86はアースに接続されている。測定用電源回路87は、測定用のトナーパターンを測定用転写ローラ81に転写させる期間は、中間転写ベルト20上のトナー像を静電的に転写するための電界を形成するためのバイアスを印加する。現像装置12で現像に用いられるトナーの正規帯電極性がマイナスであるとすると、プラスの電圧を印加する。
【0022】
図3に示す例の二次転写ユニット30は二次転写ローラ31上の残トナーを除去する二次転写クリーニング手段としての二次転写クリーニングブレード32、潤滑剤塗布部材33,除去トナー回収スクリュウ34、二次転写ユニットケース35を備えている。二次転写クリーニングブレード32に代え、あるいは、加え、クリーニングブラシローラを設けてもよい。二次転写ローラ31は接地され、中間転写ベルト20を挟んで二次転写ローラ31と対抗する支持ローラ23に二次転写バイアス電源回路36から二次転写電界を形成するためのバイアスが印加されている。通常の画像のトナー像をシートPに二次転写させている期間は、正規帯電トナーがマイナスの場合、マイナスのバイアスを印加する。
【0023】
中間転写ベルト20上の測定用のトナーパターンが二次転写ローラ31に対向する期間は、トナーパターンがそのまま二次転写ローラ31との対向部を通過できるようにする。このために、
図1矢印Bで示すように二次転写ローラ31をシートPにトナー像を転写する転写位置と転写位置から退避した退避位置との間で移動可能にする。
【0024】
例えば、二次転写ローラ31のみを移動可能に構成してもよいし、二次転写ユニット全体を移動可能に構成してもよい。このためには公知のショックジター防止のための二次転写部材の離接機構を、必要に応じ離間量を拡大する変更を加えるなどして用いることができる。このような構成が二次転写体を移動する移動手段に相当する。そして、離接機構の例えばカムなどを回転駆動する離接駆動モータの駆動制御を行う。測定用のトナーパターンが対向部を通過する期間は退避位置を取るように駆動制御する。
【0025】
このように二次転写ローラ31に退避位置を取らせるに代え、あるいは、加え、二次転写バイアス電源回路36を次のように構成してもよい。すなわち、中間転写ベルト20と二次転写ローラ31との間に、中間転写ベルト20上のトナー像を二次転写ローラ31側に向かわせる向きの電界と、この向きとは反対の向きの電界とを選択的に形成可能な電界形成手段として構成する。そして、測定用のトナーパターンが二次転写ローラ31との対向部を通過する期間は、反対の向きの電界を形成するように制御する。
図3の二次転写バイアス電源回路36は切り替えスイッチを用いて選択的に印加可能であることを模式的に現したものである。
【0026】
図3に図示の中間転写ベルトクリーニング装置70は、クリーニング部材71,除去トナーの回収スクリュウ72,中間転写ベルトクリーニング装置ケース73を備えている。クリーニング部材71に対向する中間転写ベルト20の裏面側にはバックアップローラ74が設けられている。クリーニング部材は機械的なクリーニングでも良いし、静電的なクリーニングを行うものでも良い。両者を共に添えてもよい。
【0027】
図4は測定用転写ユニット80の一例を示す説明図である。
図3の例の測定用転写ユニット80と異なる点は、
図3の例では測定用転写ユニット80を中間転写ベルトクリーニング装置70とは別体で構成したのに対し、
図4の例では、これらを一体にした点である。共通のケース90内に測定用転写ユニット80の構成要素と中間転写ベルトクリーニング装置70の構成要素とを配置している。各構成要素の例えば幅方向の両端を保持する側板対も共用し、全体として一体でプリンタ100に組み付けれるようにしても良いし、ケース90のみ共用するようにしてもよい。いずれにしても部品の共用により装置の小型化を図ることができる。
【0028】
そして、この
図4の中間転写ベルトクリーニング装置70の構成は、静電クリーニングを行う静電クリーニング部材をそれぞれ備えた2組のクリーニングユニットを有する構成になっている。特許文献2に記載のクリーニング装置における2組のクリーニングユニットと基本的に同様の構成であり、静電クリーニングのための印加電圧も同様である。
【0029】
具体的には、各クリーニングユニットは、中間転写ベルト20の表面から転写残トナーを掻き取る静電クリーニング部材たるクリーニングブラシローラ71a、71bを有している。また、クリーニングブラシローラ71a、71bに当接しながら回転してブラシローラから転写残トナーを回収する回収部材たる回収ローラ75a、75b、回収ローラ75a、75bの表面上から転写残トナーを掻き取る回収除去部材たる掻き取りブレード76a、76bを有している。また回収ローラ75a、75bから掻き取られた転写残トナーを受けるトレー73a、73b、ケース90の外に排出する搬送スクリュウ72a、72bも有している。
【0030】
2つのクリーニングユニットのうち、上流側に位置するクリーニングユニットでは、クリーニングブラシローラ71aに対して、クリーニングバイアス電源回路77aによりトナーの正規の帯電極性と同極性の負極性の第一クリーニングバイアスが印加される。これにより、転写残トナーのうち、正規の帯電極性とは反対極性(正極性)に帯電している逆帯電トナーをクリーニングブラシローラ71aのブラシ内に静電的に捕捉する。回収ローラ75aには、回収電源78aにより前述のクリーニングバイアスよりも大きな値の負極性の回収バイアスが印加される。なお、クリーニングブラシローラ71aは、中間転写ベルト20の表面上の正規帯電極性とは逆極性に帯電している逆帯電トナーに対して正規の帯電極性である負極性の電荷を注入して逆帯電トナー粒子を正規極性に戻す極性制御手段としても機能している。
【0031】
下流側に位置するクリーニングユニットでは、クリーニングブラシローラ71bに、クリーニングバイアス電源回路77bによりトナーの正規の帯電極性と反対極性の正極性のクリーニングバイアスが印加される。これにより、転写残トナーのうち、正規帯電している正規帯電トナーをクリーニングブラシローラ71aのブラシ内に静電的に捕捉させるようにしている。回収ローラ75bには、回収電源78bにより前述のクリーニングバイアスよりも大きな値の正極性の回収バイアスが印加される。
【0032】
2つのクリーニングブラシローラ71a、71bに対向する中間転写ベルト20の裏面には接地されたバックアップローラ74a、74bが設けられている。なお、図中符号85aは、測定用転写ユニットで測定用転写ローラ81から掻き取られた転写残トナーを受けるトレーである。
【0033】
この
図4の例では、測定用転写ローラ81に、上流側のクリーニングユニットにおけるクリーニングブラシローラ71aと同様に次の機能を発揮させてもよい。中間転写ベルト20の表面上の正規帯電極性とは逆極性に帯電している逆帯電トナーに対して正規の帯電極性である負極性の電荷を注入して逆帯電トナー粒子を正規極性に戻す極性制御手段としての機能である。正極と負極混在してるトナーの帯電極性を統一するともいえる。
【0034】
具体的には、通常の二次転写残トナーが測定用転写ローラ81に対向する期間に、正規の帯電極性である負極性の電荷を二次転写残トナーに注入するバイアスを測定用転写ローラ81に印加する。この場合、測定用転写ローラ81はクリーニングブラシローラ71aと同様に逆帯電トナーを中間転写ベルト20から回収することになる。
【0035】
クリーニングユニットを2組ではなく、一組とし、測定用転写ローラ81に上記機能を発揮させる場合には、一組のクリーニングユニットは、下流側に位置するクリーニングユニットと同様に、正規帯電トナーをクリーニングするユニット構成とする。特許文献2のクリーニングユニットの構成は、次の装置構成を前提とするものである。中間転写ベルトクリーニング装置に入力される二次転写残トナーのほとんど(約8割)は、一次転写ニップや二次転写ニップでの電荷注入によりトナーの正規帯電極性とは逆極性(正極性)に帯電したトナーである。
【0036】
このような装置構成とは異なり、二次転写残トナーが正規帯電トナーの割合の方が多いものである場合には、それを前提に測定用電源回路87によって測定用転写ローラ81に印加するバイアスを設定する。要は下流側の静電クリーニングで静電的に除去し易くする電界を形成するバイアスを印加する。測定用電源回路87は、トナー像が二次転写された後の中間転写体の表面に残る残トナーが測定用転写体に対向する期間、クリーニング装置で二次転写残トナーを静電的に除去し易くする電界を形成するように測定用転写体にバイアスを印加するバイアス印加手段に相当する。これに代え、二次転写残トナー対向する期間は電圧を印加しないようにしたり、中間転写ベルト20から離間させるようにしたりしてもよい。
【0037】
図5は
図4の中間転写ベルトクリーニング装置の構成を採用した場合のプリンタ100の電装部のブロック図である。制御部200は、
図1に示した実施形態のプリンタ100全体を制御するコントローラであり、CPU及びROM、RAM、入出力回路等からなるマイクロコンピュータを備えている。この制御部200は、
図1に示した各部を駆動制御して、印刷時におけるシートPへの画像形成(プリント、印刷)処理を実行する。また、電源投入時あるいは所定枚数の画像形成ごとに、画像濃度調整及び色ずれ補正などの画像品質を調整するための処理も行う。
【0038】
この制御部200は表示部201,中間転写ベルト駆動回路27,二次転写バイアス電源回路36,測定用電源回路87,クリーニングバイアス電源回路77a、77b、二次転写ローラ31を接離する場合は、その接離モータ駆動回路37、その他の被制御部202なども制御する。この制御部200に光学センサユニット82からの検出信号が入力される。そして、この制御部200が、測定用トナー像を、所定のタイミングで像担持体上に形成し、中間転写体を介して測定用転写体に転写し、光学センサで検出する制御手段として機能する。
【0039】
以上の実施形態では、二次転写体がローラ形状であったがベルト形状のものにも適用できる。ベルト形状でもベルト周辺のレイアウトの関係で光学センサを配置しにくかったり、ベルト材質が光学センサでトナー像を検出しにくいものであったりした場合に有効である。
【符号の説明】
【0040】
1 :感光体
11 :帯電装置
12 :現像装置
13 :一次転写ローラ
14 :感光体クリーニング装置
20 :中間転写ベルト
21 :支持ローラ
22 :支持ローラ
23 :支持ローラ
24 :支持ローラ
25 :支持ローラ
26 :書き込みユニット
27 :中間転写ベルト駆動回路
30 :二次転写ユニット
31 :二次転写ローラ
32 :二次転写クリーニングブレード
33 :潤滑剤塗布部材
34 :除去トナー回収スクリュウ
35 :二次転写ユニットケース
36 :二次転写バイアス電源回路
37 :接離モータ駆動回路
41 :給紙コロ
50 :定着装置
60 :排紙ローラ
70 :中間転写ベルトクリーニング装置
71 :クリーニング部材
71a :クリーニングブラシローラ
71b :クリーニングブラシローラ
72 :回収スクリュウ
72a :搬送スクリュウ
72b :搬送スクリュウ
73 :中間転写ベルトクリーニング装置ケース
73a :トレー
73b :トレー
74 :バックアップローラ
74a :バックアップローラ
74b :バックアップローラ
75a :回収ローラ
75b :回収ローラ
76a :掻き取りブレード
76b :掻き取りブレード
77a :クリーニングバイアス電源回路
77b :クリーニングバイアス電源回路
78a :回収電源
78b :回収電源
80 :測定用転写ユニット
81 :測定用転写ローラ
82 :光学センサユニット
83 :除去ブレード
84 :スクリュウ
85 :ケース
86 :対抗ローラ
87 :測定用電源回路
90 :ケース
100 :プリンタ
200 :制御部
201 :表示部
202 :被制御部
204 :二次転写ベルト
P :シート
PV :シェブロンパッチ
Sc :階調パターン
Sk :階調パターン
Sm :階調パターン
Ss :階調パターン
Sy :階調パターン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【文献】特開2010-265282号公報
【文献】特開2016-142879号公報