(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】草取り装置
(51)【国際特許分類】
A01D 34/64 20060101AFI20240307BHJP
A01M 21/02 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A01D34/64 K
A01M21/02
A01D34/64 M
(21)【出願番号】P 2021037195
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】521100287
【氏名又は名称】JTFファーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102716
【氏名又は名称】在原 元司
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】海津 裕
(72)【発明者】
【氏名】古川原 琢
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-228869(JP,A)
【文献】実公昭44-002013(JP,Y2)
【文献】特開2015-043704(JP,A)
【文献】実開昭57-031103(JP,U)
【文献】登録実用新案第3143570(JP,U)
【文献】特開昭56-032945(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0040408(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/64
A01M 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
牽引手段と、
前記牽引手段に牽引される草取り手段であって、回転しながら草取りを行う草取り刃が地面との接地側に設けられた回転板と、任意の異なる二つの方向の回転軸により前記回転板
を回動可能に取り付け、畑地等の地面の凹凸、傾斜に応じて前記回転板が受動的に回動し、前記回転板の前記草取り刃が取り付けられた面を地面と平行に近い状態に維持する姿勢制御手段と、を有する草取り手段と、
を備える草取り装置。
【請求項2】
前記姿勢制御手段が、前記牽引手段による草取り手段の牽引方向及び牽引方向と直交方向の回転軸により前記回転板の面を回動させる、請求項1に記載の草取り装置。
【請求項3】
前記回転板を2個備え、それぞれの回転板の回転方向が互いに反対方向である、請求項1または請求項2に記載の草取り装置。
【請求項4】
前記回転板の回転数が60~720rpmである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の草取り装置。
【請求項5】
前記草取り刃が、一方の端部側を前記回転板に固定した状態で裏表が逆になるように折り返されて立ち上げられ、他方の端部側を前記回転板に固定しつつ固定位置の手前で立ち下げられ、前記一方端部側と前記他方端部側とに、前記回転板の面と略平行な上面が形成された形状である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の草取り装置。
【請求項6】
前記草取り刃の前記一方の端部側の立ち上がり高さ及び前記他方の端部側の立ち下り高さが、前記回転板の表面から2~5cmである、請求項5に記載の草取り装置。
【請求項7】
前記草取り刃は、その一方の端部が、前記回転板の外周から回転板の半径の70~100%以内の距離に固定され、前記一方の端部の固定位置から前記回転板の回転中心に向かう方向に対して、前記一方の端部の固定位置から前記草取り刃の他方の端部の固定位置に向かう方向の角度が、前記他方の端部を、前記一方の端部の固定位置と前記回転板の回転中心とを結ぶ直線から前記回転板の回転方向とは反対方向に離隔させる方向に20°~60°である、請求項5または請求項6に記載の草取り装置。
【請求項8】
前記一方の端部の固定位置が、前記上面より前記回転板の回転方向にずれており、前記他方の端部の固定位置が、前記
上面より前記回転板の回転方向と反対方向にずれている、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の草取り装置。
【請求項9】
前記草取り刃は、前記回転板に3本~6本取り付けられている、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の草取り装置。
【請求項10】
前記草取り刃の本数をnとしたときに、各草取り刃は、n回回転対称に取り付けられている、請求項9に記載の草取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
畑地等における作物の間(通路)の草取りは、除草剤の散布、刈払機で刈る、削る、手で取る(鎌や鍬を使う場合も)等の方法で従来から行われている。これらの方法では、薬剤使用による環境負荷の問題や、労力と時間が大変にかかるという問題があった。
【0003】
そのため、自走機能を備える草取り装置(草取りロボット)が提案されている。例えば、下記特許文献1には、記憶している植え付け位置以外の位置に存在する植物を除草機構により除草する農機が開示されている。また、下記特許文献2には、自律走行によって作物の条間の除草作業ができる電動作業車両が開示されている。また、下記特許文献3には、水田全域を条間方向・株間方向に自律走行し、濁りを発生させることにより雑草の発芽および生育を抑制する防除草機が開示されている。
【0004】
上記従来の自律走行する車両等に草取り機構を設置して畑地等の草取りを行う場合、人間が手作業で草取りを行う場合と同等以上の草取り効率が求められる。草取りを行う際の最も簡単な方法は、草が大きく伸びる前、草の芽が出始めた時に取ることであり、出始めの芽を土ごと動かして処理することが好ましい。
【0005】
しかし、上記従来の技術では、出始めの草の芽を土ごと動かして処理することに適した草取り機構は提案されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-59296号公報
【文献】特開2015-146748号公報
【文献】特開2016-52276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、自律走行する車両に牽引されつつ、出始めの草の芽を土ごと動かして処理することに適した草取り手段を備えた草取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の実施形態を含む。
【0009】
[1] 牽引手段と、前記牽引手段に牽引される草取り手段であって、回転しながら草取りを行う草取り刃が地面との接地側に設けられた回転板と、任意の異なる二つの方向の回転軸により前記回転板の面を回動させる姿勢制御手段と、を有する草取り手段と、を備える草取り装置。
【0010】
[2]前記姿勢制御手段が、前記牽引手段による草取り手段の牽引方向及び牽引方向と直交方向の回転軸により前記回転板の面を回動させる、[1]に記載の草取り装置。
【0011】
[3]前記回転板を2個備え、それぞれの回転板の回転方向が互いに反対方向である、[1]または[2]に記載の草取り装置。
【0012】
[4]前記回転板の回転数が60~720rpmである、[1]または[2]に記載の草取り装置。
【0013】
[5]前記草取り刃が、一方の端部側を前記回転板に固定した状態で裏表が逆になるように折り返されて立ち上げられ、他方の端部側を前記回転板に固定しつつ固定位置の手前で立ち下げられ、前記一方端部側と前記他方端部側とに、前記回転板の面と略平行な上面が形成された形状である、[1]から[4]のいずれか一に記載の草取り装置。
【0014】
[6]前記草取り刃の前記一方の端部側の立ち上がり高さ及び前記他方端部側の立ち下り高さが、前記回転板の表面から2~5cmである、[5]に記載の草取り装置。
【0015】
[7]前記草取り刃は、その一方の端部が、前記回転板との外周から回転板の半径の70~100%以内の距離に固定され、前記一方の端部の固定位置から前記回転板の回転中心に向かう方向に対して、前記一方の端部の固定位置から前記草取り刃の他方の端部の固定位置に向かう方向の角度が、前記他方の端部を、前記一方の端部の固定位置と前記回転板の回転中心とを結ぶ直線から前記回転板の回転方向とは反対方向に離隔させる方向に20°~60°である、[5]または[6]に記載の草取り装置。
【0016】
[8]前記一方の端部の固定位置が、前記上面より前記回転板の回転方向にずれており、前記他方の端部の固定位置が、前記平行刃より前記回転板の回転方向と反対方向にずれている、[5]から[7]のいずれか一に記載の草取り装置。
【0017】
[9]前記草取り刃は、前記回転板に3本~6本取り付けられている、[1]から[8]のいずれか一に記載の草取り装置。
【0018】
[10]前記草取り刃の本数をnとしたときに、各草取り刃は、n回回転対称に取り付けられている、[9]に記載の草取り装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、自律走行する車両に牽引されつつ、出始めの芽を土ごと動かして処理することに適した草取り手段を備えた草取り装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態にかかる草取り装置の全体構成を表す斜視図である。
【
図2】実施形態にかかる草取り手段の構成例の説明図である。
【
図3】実施形態にかかる草取り刃の形状の説明図である。
【
図4】実施形態にかかる回転板への草取り刃の取付状態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0022】
図1には、実施形態にかかる草取り装置の全体構成を表す斜視図が示される。
図1において、草取り装置は、牽引手段10と草取り手段20とを含んで構成される。草取り手段20は、牽引手段10に牽引されつつ草取りを行う。
【0023】
牽引手段10は、特に限定されない。例えば、畑地等において草取り手段20を牽引可能であり、GPS等を使用して自律走行が可能な装置であればいずれも使用可能である。なお、草取り手段20を人あるいは動物が引く構成としてもよい。
【0024】
また、草取り手段20は、畑地等において、出始めの草の芽を土ごと動かして処理する装置である。ここで、「処理」とは、草の生育を阻害するための動作であり、草を枯らす為に断ち切る、草を枯らす為に草の根が存在する土の上層を下層と分離し水分の供給を断つ、或いは、草の生育を阻害する為に傷つけること等を言う。
【0025】
図2には、実施形態にかかる草取り手段20の構成例の説明図が示される。
図2において、草取り手段20は、回転しながら草取りを行う草取り刃(後述する草取り刃28)が地面との接地側に設けられた回転板22と、上記回転板22の面を回動させる姿勢制御装置24とを含んで構成されている。
【0026】
回転板22は、モータ26により回転され、後述する草取り刃28により出始めの草の芽を土ごと動かして、すなわち草の芽が生えた地面の土を削りつつ処理する。
【0027】
姿勢制御装置24は、牽引手段10による牽引方向(矢印A方向)及び牽引方向と直交方向の回転軸により回転板22を回動可能に取り付けており、回転板22の面を回動させて回転板22の姿勢を制御する。なお、この場合、姿勢制御装置24自体が、これに取り付けられた回転板22とともに上記二つの回転軸により回動する構成でもよいし、回転板22のみが回動する構成でもよい。
図2では、上記牽引方向の回転軸が左右軸24aとして示され、牽引方向と直交方向の回転軸が上下軸24bとして示されている。また、
図2の例では、姿勢制御装置24が、二つの回転板22のそれぞれに対して設けられている。ここで、回転板22の姿勢の「制御」とは、姿勢制御装置24に取り付けられた回転板22を左右軸24a及び上下軸24bにより能動的に回動させることではなく、畑地等の地面の凹凸、傾斜等に応じて回転板22が受動的に回動し、回転板22の草取り刃28が取り付けられた面が地面と平行に近い状態を維持することをいう。これにより、畑地等の地面の凹凸、傾斜等に追随して、後述する草取り刃28により地面を削ることができ、削り残しを少なくすることができる。
【0028】
なお、
図2に示された例では、左右軸24aが牽引方向の回転軸として示され、上下軸24bが牽引方向と直交方向の回転軸として示されているが、回転板22を回動させる回転軸は、上記左右軸24a及び上下軸24bには限定されない。畑地等の地面の凹凸、傾斜等に応じて回転板22が受動的に回動し、回転板22の草取り刃28が取り付けられた面が地面と平行に近い状態を維持することができれば、二つの回転軸は、任意の異なる二つの方向に設定することができる。
【0029】
上述したように、
図2に示される実施形態にかかる草取り装置においては、回転板22が2個備えられており、それぞれがモータ26により回転される。この際、一対の回転板22は、その回転方向が互いに反対方向とされている。
図2の例では、回転板22の回転方向がra、rbで示されている。上記回転方向を互いに反対方向とすることにより、回転板22に設けられた草取り刃28が回転板22の回転により地面を削る際に、地面との間で発生する相互作用(反作用)の方向が、一対の回転板22でそれぞれ反対方向となるため、2個の回転板22のそれぞれに生じる地面からの反作用が打ち消し合い、回転板22及びこれを取り付ける姿勢制御装置24が、地面からの反作用により不規則な動きをすることを抑制できる。
【0030】
また、上記回転板22の回転数は60~720rpmの範囲とするのが好適である。上記回転数の範囲で回転板22を回転させることにより、より高速回転する場合と比較して少ない動力で駆動できるとともに周囲の資材等の巻き込みを回避でき、安全性を向上できる。また、土埃の発生を防ぐこともできる。なお、実施形態にかかる草取り装置では、畑地等における出始めの草の芽を土ごと処理するものであり、上記回転数の範囲で十分草取りを行うことができる。
【0031】
図3には、草取り刃の形状の説明図が示される。
図3において、草取り刃28は、両端部Fo、Fiがボルト等の固定具30、32により回転板22の地面との接地側の面に固定されている。
【0032】
草取り刃28は、細片状金属板により構成されており、細片状金属板を一方の端部Foで回転板22に固定具30により固定した状態で表裏が逆になるように折り返す(180度ひねる)ことにより立ち上がりを作り、回転板22の面と略平行な上面Hを介して他方の端部Fiの手前で立ち下がりを作り、他方の端部Fiが回転板22に固定具32により固定されている。ここで、上記表裏が逆になるように折り返す(180度ひねる)場合、細片状金属板に折り線(折り目の線)を付けて折り返してもよいし、折り線を付けず、ループ状に折り返してもよい。また、上記一方の端部Foで回転板22に固定した状態で表裏が逆になるように折り返す際に、回転板22の面の上方から見た場合(平面図)の折り返し線をBで示す。この場合、折り返し線Bは、折り線を付けて細片状金属板を折り返す場合には、回転板22の周の内側で、周に最も近接する、あるいは周をはみ出て最も外側に位置する折り線であり、折り線を付けず、ループ状に折り返す場合には、回転板22の周の内側で、周に最も近接する、あるいは周をはみ出て最も外側に位置する境界線である。以上のように、本実施形態にかかる草取り刃28は、細片状金属板により構成されているので、強度が高く変形しにくい。この場合、細片状金属板の材料としては、ステンレス鋼、ばね鋼、高張力鋼等を好適に使用することができる。また、細片状金属板の厚さは、0.1mm~3mmとするのが、草取り刃28が土を削る抵抗を少なくしながら刃の強度を保つ観点から好適である。
【0033】
図3において、一方の端部Fo側の立ち上がりの斜面の辺S1と回転板22の面に立てた垂線Pとのなす角を前進角αという。この場合、固定具30による草取り刃28の端部Foの固定位置が、回転板22の回転方向(矢印R方向)に対して上面Hより前にずれている(前進している)ので、上記角度αを前進角としている。また、他方の端部Fi側の立ち下がりの斜面の辺S2と回転板22の面に立てた垂線Pとのなす角を後退角βという。この場合、固定具32による草取り刃28の端部Fiの固定位置が、回転板22の回転方向(矢印R方向)に対して上面Hより後ろにずれている(後退している)ので、上記角度βを後退角としている。以上述べた前進角αを設定することにより、端部Fo側の立ち上がりの斜面が、回転板22の回転方向に対して後退する角度となるので、土を削る際の抵抗を小さくすることができる。上記前進角α及び後退角βの大きさは特に限定されないが、10~80度の範囲とすることができる。
【0034】
上記一方の端部Fo側における草取り刃28を以上のような形状とすることにより、一方の端部Foにおいて固定具30により固定された草取り刃28の上記折り返し線Bを、回転板22の周からはみ出さない状態でより周に近づけることができ、あるいは上記折り返し線Bを回転板22の周からはみ出すように配置できるとともに、一方の端部Fo側に上記前進角αを付けやすくなる。
【0035】
また、上記一方の端部Fo側の立ち上がり及び他方の端部Fi側の立ち下がりの、回転板22の面からの高さhは、2~5cmとするのが好適である。立ち上がり及び立ち下がりの高さhをこの範囲にすることにより、土を削る深さが深くなりすぎないので土を削る抵抗を小さくできる。また、土を削る際に土が刃に付着しにくく詰まることがないので、効果的に土を排出できる。なお、後述する
図4(a)に示されるように、上記折り返し線Bに直交する半径Rpが存在する場合、すなわち当該半径Rpが回転板22の周と交わる点における当該周の接線Tと折り返し線Bとが平行である場合、折り返し線Bが回転板22の回転方向と平行になるので(一方の端部Fo側の立ち上がりの縁が回転方向に進むので)、土を削る抵抗を小さくすることに寄与できる。
【0036】
図4(a)~(d)には、回転板22への草取り刃28の取付状態の例が示される。
図4(a)が、回転板22に3本の草取り刃28を取り付けた例であり、
図4(b)が、4本取り付けた例であり、
図4(c)が、5本取り付けた例であり、
図4(d)が、6本取り付けた例である。なお、草取り刃28は、回転板22の地面との接地側の面に取り付けられる。
【0037】
図4(a)において、草取り刃28の一方の端部Foが、円形の板である回転板22の外周近傍の位置に固定されており、他方の端部Fiが、上記端部Foより回転板22の回転中心Cに近い位置に固定されている。この際、一方の端部Foの固定位置から回転板22の回転中心Cに向かう方向Dcに対して、上記一方の端部Foの固定位置から上記他方の端部Fiの固定位置に向かう方向(一方の端部Foを固定する固定具30から他方の端部Fiを固定する固定具32に向かう方向)Deの角度(以後、傾斜角度θということがある)が、上記他方の端部Fiを、一方の端部Foの固定位置と回転板22の回転中心Cとを結ぶ直線から回転板22の回転方向とは反対方向に離隔させる方向(一方の端部Foの固定位置を回転の中心として他方の端部Fiを回転移動させる場合に、回転板22の回転方向Rと同じ方向)に20°~60°であるのが好適である。上記傾斜角度θが20°未満の場合は、土を削る抵抗が大きくなって、草取り(出始めの草の芽を土ごと動かすこと)が困難になる。また、上記傾斜角度θが60°を超えると、草取り刃28の方向と回転板22の回転方向(回転板22の外周の接線方向)との角度差が小さくなり、土を削る量が減少して効率的に土を削ることができなくなる。
【0038】
ここで、上記草取り刃28の長さ、すなわち一方の端部Foを固定する固定具30から他方の端部Fiを固定する固定具32に引いた直線の長さは、回転板22の半径の10%以上であり、上記一方の端部Foから隣接する草取り刃28の一方の端部Foまでの長さ(それぞれの位置で一方の端部Foを固定する固定具30の間の距離)以下、とするのが好適である。回転板22の半径の10%以上の長さが無いと、土を有効に削ることが困難であり、上記一方の端部Foから隣接する草取り刃28の一方の端部Foまでの長さ以下としないと、隣接する草取り刃28同士が交差してしまうからである。
【0039】
また、上述した一方の端部Foが固定される回転板22の外周近傍の位置とは、外周から回転板22の半径の70~100%以内の距離をいう。
【0040】
図4(a)に示された例では、3本の草取り刃28が、3回回転対称の位置に取り付けられているが、これには限定されず、草取り刃28の取り付け位置を、草取りを行う畑地等の地面の状況に応じて適宜選択することができる。この際、上記傾斜角度θの大きさも、3本の草取り刃28毎に変更してもよい。
【0041】
なお、以上の例では、回転板22が円形の板であるとして説明してきたが、草取り刃28を回転運動させることができれば、回転板22の形状は限定されない。例えば、三角形、四角形等の多角形の板、棒状の板を回転中心Cから放射状に伸ばした形状等も使用可能である。この場合、回転中心Cにおける適宜な半径を有する同心円について、円形の回転板22における上記説明が妥当する。
【0042】
また、
図4(b)の例では、4本の草取り刃28が4回回転対称の位置に取り付けられており、草取り刃28の端部Fo、Fiの固定位置及び傾斜角度θ並びに回転板22の形状については、上記
図4(a)の場合と同様である。また、4本の草取り刃28の取り付け位置も、4回回転対称に限定されるものではなく、草取りを行う畑地等の地面の状況に応じて適宜選択することができる。例えば、1本おきの2本の組み合わせ毎に2回回転対称の位置に取り付けてもよく、4本の草取り刃28を回転対称ではない位置に取り付けてもよい。この際、上記傾斜角度θの大きさも、4本の草取り刃28毎に変更してもよい。
【0043】
また、
図4(c)の例では、5本の草取り刃28が5回回転対称の位置に取り付けられており、草取り刃28の端部Fo、Fiの固定位置及び傾斜角度θ並びに回転板22の形状については、上記
図4(a)の場合と同様である。また、5本の草取り刃28の取り付け位置も、5回回転対称に限定されるものではなく、草取りを行う畑地等の地面の状況に応じて適宜選択することができる。この際、上記傾斜角度θの大きさも、5本の草取り刃28毎に変更してもよい。
【0044】
また、
図4(d)の例では、6本の草取り刃28が6回回転対称の位置に取り付けられており、草取り刃28の端部Fo、Fiの固定位置及び傾斜角度θ並びに回転板22の形状については、上記
図4(a)の場合と同様である。また、6本の草取り刃28の取り付け位置も、6回回転対称に限定されるものではなく、草取りを行う畑地等の地面の状況に応じて適宜選択することができる。例えば、1本おきの3本の組み合わせ毎に3回回転対称の位置に取り付けてもよく、6本の草取り刃28を回転対称ではない位置に取り付けてもよい。また、
図4(a)~(c)と同様に、上記傾斜角度θの大きさを、6本の草取り刃28毎に変更してもよい。
【0045】
以上に述べたように、実施形態にかかる回転板22に取り付けられる草取り刃28の本数は3~6本が好適である。これは、草取り刃28の本数が2本以下だと、草取り刃28により地面を削る際に回転板22の回転が安定せず、7本以上だと、土や草の詰まりが大きく、草取りを行うことが困難であるためである。なお、草取り刃28の本数は、草取りを行う畑地等の地面の状況に応じて3~6本の範囲で適宜選択する。
【符号の説明】
【0046】
10 牽引手段、20 草取り手段、22 回転板、24 姿勢制御装置、24a 左右軸、24b 上下軸、26 モータ、28 草取り刃、30、32 固定具。