(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】園芸用トンネルの換気部材
(51)【国際特許分類】
A01G 13/02 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
A01G13/02 K
(21)【出願番号】P 2020153948
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】米田 有希
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 浩樹
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-83448(JP,U)
【文献】特開2004-254689(JP,A)
【文献】実開平4-28047(JP,U)
【文献】実開平2-137851(JP,U)
【文献】登録実用新案第3079306(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で複数本の円弧状の支柱が畝に沿って立設され、複数本の前記支柱に被覆シートを被せて前記畝を覆う園芸用トンネルの一部に配置して用いる園芸用トンネルの換気部材であって、
主フレーム材を有し、
前記主フレーム材は、前記園芸用トンネルに配置される状態では円弧形状を維持し、
前記円弧形状を維持した状態では、前記主フレーム材には、前記主フレーム材の一端と他端とが近接する方向に付勢力が加わり、
前記付勢力によって、前記主フレーム材の前記一端と前記他端とが前記被覆シートを挟み込み、
前記主フレーム材の前記一端と前記他端とを、前記被覆シートの裾の位置とすることで前記園芸用トンネルを保温状態とし、
前記主フレーム材を、前記被覆シートに対して上方に移動させることで、前記園芸用トンネルを換気状態とする
ことを特徴とする園芸用トンネルの換気部材。
【請求項2】
前記主フレーム材として、第1主フレーム材と第2主フレーム材とを有し、
前記第1主フレーム材と前記第2主フレーム材との間に被覆材を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の園芸用トンネルの換気部材。
【請求項3】
副フレーム材を有し、
前記副フレーム材は、前記園芸用トンネルに配置される状態では円弧形状を維持し、
前記主フレーム材と前記副フレーム材との間に被覆材を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の園芸用トンネルの換気部材。
【請求項4】
前記主フレーム材に、前記付勢力を加える付勢部材を設けた
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の園芸用トンネルの換気部材。
【請求項5】
前記換気状態における前記主フレーム材を、前記園芸用トンネルに保持するストッパーを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の園芸用トンネルの換気部材。
【請求項6】
前記ストッパーを、前記支柱間を連結する一対の連結材とした
ことを特徴とする請求項5に記載の園芸用トンネルの換気部材。
【請求項7】
前記ストッパーを、前記主フレーム材と前記支柱とを接続する接続材とした
ことを特徴とする請求項5に記載の園芸用トンネルの換気部材。
【請求項8】
前記園芸用トンネルに対する前記主フレーム材の上方への移動を規制する上方規制部を備えた換気部材用支柱を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の園芸用トンネルの換気部材。
【請求項9】
前記主フレーム材として、第1主フレーム材と第2主フレーム材とを有し、
前記第1主フレーム材と前記第2主フレーム材とには係止部を備え、
前記主フレーム材の前記一端と前記他端とを、前記被覆シートの前記裾に取り付け、
前記主フレーム材を、前記被覆シートに対して上方に移動させることで前記裾を地面から離間させ、
前記主フレーム材を前記被覆シートに対して上方に移動させた状態で、前記係止部によって前記第1主フレーム材と前記第2主フレーム材とを係止することで、前記換気状態とする
ことを特徴とする請求項1に記載の園芸用トンネルの換気部材。
【請求項10】
請求項2又は請求項3に記載の園芸用トンネルの換気部材を用いた換気部材施工方法であって、
前記畝に沿って配置される前記被覆シートの一部の前記裾を地面から離間させて前記換気状態とし、
前記換気状態とした前記裾の位置を、前記被覆材で覆うように前記主フレーム材を配置する
ことを特徴とする換気部材施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆材を対象物に被せる園芸用トンネルの換気部材に関する。
【背景技術】
【0002】
図10に示すように、園芸用トンネルは、アーチ状の支柱にビニールなどの被覆材を被覆する構造で、夜間の低温環境でも保温効果が得られる。一方、日中は太陽光により、トンネル内は高温環境になってしまうため、裾部分を引き上げて換気を行う。この換気作業は、かがんで被覆資材を上げ下げする必要があり、作業者にとっての労働負荷が大きい。
これまでに、気温変化を利用した裾換気(特許文献1から特許文献3)の自動化や、トンネルの基本構造を変える方法(特許文献4から特許文献11)が考えられている。
特許文献4から特許文献6は蛇腹式開閉を提案し、特許文献7及び特許文献8は上部開閉式を提案し、特許文献9から特許文献11は穴あけ換気を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-254689号公報
【文献】実願昭60-108748号(実開昭62-16254号)のマイクロフィルム
【文献】実用新案登録3167867号公報
【文献】特開2018-93855号公報
【文献】特開2009-136293号公報
【文献】特開2012-143165号公報
【文献】特開平09-182531号公報
【文献】実願平04-42822号(実開平06-3052号)のCD-ROM
【文献】特開2006-14633号公報
【文献】特開2001-112359号公報
【文献】特開平10-215710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1から特許文献3に記載された裾換気方式では、急な天候の変化に対応できないという問題があり、特許文献4から特許文献11に記載された新たなトンネル構造においても、複数箇所を同時に微調整できるものではない。
このように、園芸用トンネルの換気部材では、換気が重要な作業であるが、作業者の負担も大きく、農業従事者の高齢化を考慮すると、今後さらに換気作業の省力化は求められる。
【0005】
そこで本発明は、換気を容易に行える園芸用トンネルの換気部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の園芸用トンネル3の換気部材10は、所定間隔で複数本の円弧状の支柱1が畝に沿って立設され、複数本の前記支柱1に被覆シート2を被せて前記畝を覆う園芸用トンネル3の一部に配置して用いる園芸用トンネル3の換気部材10であって、主フレーム材11を有し、前記主フレーム材11は、前記園芸用トンネル3に配置される状態では円弧形状を維持し、前記円弧形状を維持した状態では、前記主フレーム材11には、前記主フレーム材11の一端11aと他端11bとが近接する方向に付勢力が加わり、前記付勢力によって、前記主フレーム材11の前記一端11aと前記他端11bとが前記被覆シート2を挟み込み、前記主フレーム材11の前記一端11aと前記他端11bとを、前記被覆シート2の裾の位置とすることで前記園芸用トンネル3を保温状態とし、前記主フレーム材11を、前記被覆シート2に対して上方に移動させることで、前記園芸用トンネル3を換気状態とすることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の園芸用トンネル3の換気部材10において、前記主フレーム材11として、第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとを有し、前記第1主フレーム材11Xと前記第2主フレーム材11Yとの間に被覆材12を設けたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の園芸用トンネル3の換気部材10において、副フレーム材15を有し、前記副フレーム材15は、前記園芸用トンネル3に配置される状態では円弧形状を維持し、前記主フレーム材11と前記副フレーム材15との間に被覆材12を設けたことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の園芸用トンネル3の換気部材10において、前記主フレーム材11に、前記付勢力を加える付勢部材17を設けたことを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の園芸用トンネル3の換気部材10において、前記換気状態における前記主フレーム材11を、前記園芸用トンネル3に保持するストッパー21、22を有することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の園芸用トンネル3の換気部材10において、前記ストッパー21を、前記支柱1間を連結する一対の連結材21としたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項5に記載の園芸用トンネル3の換気部材10において、前記ストッパー22を、前記主フレーム材11と前記支柱1とを接続する接続材22としたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の園芸用トンネル3の換気部材10において、前記園芸用トンネル3に対する前記主フレーム材11の上方への移動を規制する上方規制部31を備えた換気部材用支柱30を有することを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1に記載の園芸用トンネル3の換気部材10において、前記主フレーム材11として、第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとを有し、前記第1主フレーム材11Xと前記第2主フレーム材11Yとには係止部11eを備え、前記主フレーム材11の前記一端11aと前記他端11bとを、前記被覆シート2の前記裾に取り付け、前記主フレーム材11を、前記被覆シート2に対して上方に移動させることで前記裾を地面から離間させ、前記主フレーム材11を前記被覆シート2に対して上方に移動させた状態で、前記係止部11eによって前記第1主フレーム材11Xと前記第2主フレーム材11Yとを係止することで、前記換気状態とすることを特徴とする。
請求項10記載の本発明の換気部材施工方法は、請求項2又は請求項3に記載の園芸用トンネル3の換気部材10を用いた換気部材施工方法であって、前記畝に沿って配置される前記被覆シート2の一部の前記裾を地面から離間させて前記換気状態とし、前記換気状態とした前記裾の位置を、前記被覆材12で覆うように前記主フレーム材11を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の園芸用トンネルの換気部材によれば、主フレーム材の上方への移動で保温状態から換気状態にすることができるため、被覆シートの裾を手作業で開閉する手間が無く、保温状態と換気状態とを容易に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の本実施例による園芸用トンネルの換気部材を示す概念図
【
図2】本発明の他の実施例による園芸用トンネルの換気部材を示す概念図
【
図3】本発明の更に他の実施例による園芸用トンネルの換気部材を示す概念図
【
図4】本発明の更に他の実施例による園芸用トンネルの換気部材を示す概念図
【
図5】本発明の各実施例による園芸用トンネルの換気部材に更に備えることが好ましいストッパーを示す概念図
【
図6】本発明の各実施例による園芸用トンネルの換気部材に更に備えることが好ましい換気部材用支柱を示す概念図
【
図7】本発明の更に他の実施例による園芸用トンネルの換気部材を示す概念図
【
図8】
図7に示す園芸用トンネルの換気部材に用いる被覆シート取付部を示す概念図
【
図9】
図7に示す園芸用トンネルの換気部材に用いる被覆シート取付部の他の実施例を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による園芸用トンネルの換気部材は、主フレーム材を有し、
主フレーム材は、園芸用トンネルに配置される状態では円弧形状を維持し、円弧形状を維持した状態では、主フレーム材には、主フレーム材の一端と他端とが近接する方向に付勢力が加わり、付勢力によって、主フレーム材の一端と他端とが被覆シートを挟み込み、主フレーム材の一端と他端とを、被覆シートの裾の位置とすることで園芸用トンネルを保温状態とし、主フレーム材を、被覆シートに対して上方に移動させることで、園芸用トンネルを換気状態とするものである。本実施の形態によれば、主フレーム材の上方への移動で保温状態から換気状態にすることができるため、被覆シートの裾を手作業で開閉する手間が無く、保温状態と換気状態とを容易に変更できる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による園芸用トンネルの換気部材において、主フレーム材として、第1主フレーム材と第2主フレーム材とを有し、第1主フレーム材と第2主フレーム材との間に被覆材を設けたものである。本実施の形態によれば、保温状態では被覆材によって園芸用トンネルを覆うことができるため、被覆シートの裾を開放した状態とすることができ、主フレーム材の上方への移動で保温状態から換気状態にすることができる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態による園芸用トンネルの換気部材において、副フレーム材を有し、副フレーム材は、園芸用トンネルに配置される状態では円弧形状を維持し、主フレーム材と副フレーム材との間に被覆材を設けたものである。本実施の形態によれば、副フレーム材には、主フレーム材のような付勢力を加えないことで、保温状態と換気状態との変更を容易に行え、保温状態では被覆材によって園芸用トンネルを覆うことができるため、被覆シートの裾を開放した状態とすることができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3のいずれかの実施の形態による園芸用トンネルの換気部材において、主フレーム材に、付勢力を加える付勢部材を設けたものである。本実施の形態によれば、付勢部材を設けることで適切な付勢力を主フレーム材に付与することができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4のいずれかの実施の形態による園芸用トンネルの換気部材において、換気状態における主フレーム材を、園芸用トンネルに保持するストッパーを有するものである。本実施の形態によれば、ストッパーによって換気状態にある主フレーム材を園芸用トンネルの上方位置で保持できるため、保温状態に容易に変更できる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第5の実施の形態による園芸用トンネルの換気部材において、ストッパーを、支柱間を連結する一対の連結材としたものである。本実施の形態によれば、一対の連結材を支柱間に連結することで主フレーム材を園芸用トンネルの上方位置で保持できる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第5の実施の形態による園芸用トンネルの換気部材において、ストッパーを、主フレーム材と支柱とを接続する接続材としたものである。本実施の形態によれば、風によって主フレーム材が園芸用トンネルから離脱して飛ばされ、損失してしまうことを防止できる。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第1から第7のいずれかの実施の形態による園芸用トンネルの換気部材において、園芸用トンネルに対する主フレーム材の上方への移動を規制する上方規制部を備えた換気部材用支柱を有するものである。本実施の形態によれば、換気部材用支柱を用いることで、主フレーム材を適切な高さに保持することができる。
【0017】
本発明の第9の実施の形態は、第1の実施の形態による園芸用トンネルの換気部材において、主フレーム材として、第1主フレーム材と第2主フレーム材とを有し、第1主フレーム材と第2主フレーム材とには係止部を備え、主フレーム材の一端と他端とを、被覆シートの裾に取り付け、主フレーム材を、被覆シートに対して上方に移動させることで裾を地面から離間させ、主フレーム材を被覆シートに対して上方に移動させた状態で、係止部によって第1主フレーム材と第2主フレーム材とを係止することで、換気状態とするものである。本実施の形態によれば、主フレーム材の上方への移動によって被覆シートの裾換気を行え、被覆シートの裾を手作業で開閉する手間が無く、保温状態と換気状態とを容易に変更できる。
【0018】
本発明の第10の実施による換気部材施工方法は、第2又は第3の実施の形態による園芸用トンネルの換気部材を用い、畝に沿って配置される被覆シートの一部の裾を地面から離間させて換気状態とし、換気状態とした裾の位置を、被覆材で覆うように主フレーム材を配置するものである。本実施の形態によれば、被覆材によって園芸用トンネルを覆うことで保温状態とすることができ、主フレーム材の上方への移動で保温状態から換気状態にすることができる。
【実施例】
【0019】
以下本発明の一実施例による園芸用トンネルの換気部材について説明する。
図1は本実施例による園芸用トンネルの換気部材を示す概念図であり、
図1(a)は同園芸用トンネルを保温状態とした概念要部斜視図、
図1(b)は同園芸用トンネルを換気状態とした概念要部斜視図、
図1(c)は同換気部材を構成する部材を示す概念図である。
本実施例による園芸用トンネル3の換気部材10は、所定間隔で複数本の円弧状の支柱1が畝に沿って立設され、複数本の支柱1に被覆シート2を被せて畝を覆う園芸用トンネル3の一部に配置して用いるものである。
本実施例による園芸用トンネル3の換気部材10は、主フレーム材11を有し、主フレーム材11は、園芸用トンネル3に配置される状態では円弧形状を維持し、円弧形状を維持した状態では、主フレーム材11には、主フレーム材11の一端11aと他端11bとが近接する方向に付勢力が加わっている。
【0020】
図1(a)に示すように、園芸用トンネル3の換気部材10は、主フレーム材11の一端11aと他端11bとを、被覆シート2の裾の位置とし、主フレーム材11の一端11aと他端11bとで被覆シート2を挟み込み、主フレーム材11を被覆シート2に保持することで、園芸用トンネル3を保温状態とする。
また、園芸用トンネル3の換気部材10は、主フレーム材11の一端11aと他端11bとを拡げて主フレーム材11を被覆シート2に対して上方に移動させ、
図1(b)に示すように、主フレーム材11の一端11aと他端11bとが付勢力によって被覆シート2を挟み込み、主フレーム材11を園芸用トンネル3の上方位置に保持することで、園芸用トンネル3を換気状態とする。
【0021】
本実施例では、更に、主フレーム材11として、第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとを有し、第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとの間に被覆材12を設けている。
第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとの一端11a同士、及び第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとの他端11b同士は支持材13で接続される。支持材13の接続には接続部材(図示せず)を適宜用いることができる。
また、被覆材12の主フレーム材11及び支持材13への取り付けには、例えば園芸用パッカー14を用いることができる。
主フレーム材11には、径方向に突出させた突起部11cを有していることが好ましい。突起部11cに対して、
図1(b)に示す矢印の方向に力を加えることで、主フレーム材11の一端11aと他端11bとを離間させることができ、園芸用トンネル3の換気部材10を被覆シート2に対して上方に移動させ易くなる。
【0022】
本実施例によれば、主フレーム材11の上方への移動で保温状態から換気状態にすることができるため、被覆シート2の裾を手作業で開閉する手間が無く、保温状態と換気状態とを容易に変更できる。
また、本実施例によれば、保温状態では被覆材12によって園芸用トンネル3を覆うことができるため、被覆シート2の裾を開放した状態とすることができ、主フレーム材11の上方への移動で保温状態から換気状態にすることができる。
なお、
図1では、主フレーム材11として、第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとを有し、第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとの間に被覆材12を設けた換気部材10を示しているが、第1主フレーム材11X及び第2主フレーム材11Yの一方だけでも換気部材10として機能する。
また、
図1では、第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとの間に被覆材12を設けた換気部材10を、園芸用トンネル3の端部に設けた場合を示しているが、換気部材10は、園芸用トンネル3に、所定間隔を開けて複数設けることが好ましく、複数の換気部材10を隣接させて配置することもできる。
【0023】
図2は本発明の他の実施例による園芸用トンネルの換気部材を示す概念図であり、
図1(a)に示す園芸用トンネルの換気部材と、
図1(b)に示す園芸用トンネルの換気部材とは異なる実施例を示している。
本実施例による園芸用トンネル3の換気部材10についても、
図1に示す実施例と同様に、所定間隔で複数本の円弧状の支柱1が畝に沿って立設され、複数本の支柱1に被覆シート2を被せて畝を覆う園芸用トンネル3の一部に配置して用いるものである。
本実施例による園芸用トンネル3の換気部材10は、主フレーム材11とともに副フレーム材15を有し、主フレーム材11と副フレーム材15との間に被覆材12を設けている。
【0024】
図2(a)に示す園芸用トンネル3の換気部材10では、副フレーム材15として第1副フレーム材15Xと第2副フレーム材15Yとを有し、第1副フレーム材15Xの一方に主フレーム材11を配置し、第1副フレーム材15Xの他方に第2副フレーム材15Yを配置し、主フレーム材11と第2副フレーム材15Yとの間に被覆材12を設けている。
図2(b)に示す園芸用トンネル3の換気部材10では、副フレーム材15として第1副フレーム材15Xと第2副フレーム材15Yとを有し、主フレーム材11の一方に第1副フレーム材15Xを配置し、主フレーム材11の他方に第2副フレーム材15Yを配置し、主フレーム材11と第1副フレーム材15Xとの間、及び主フレーム材11と第2副フレーム材15Yとの間に被覆材12を設けている。
主フレーム材11は、園芸用トンネル3に配置される状態では円弧形状を維持し、円弧形状を維持した状態では、主フレーム材11には、主フレーム材11の一端11aと他端11bとが近接する方向に付勢力が加わっている。
副フレーム材15は、園芸用トンネル3に配置される状態では円弧形状を維持するが、円弧形状を維持した状態では、主フレーム材11とは異なり、副フレーム材15の一端15aと他端15bとが近接する方向には付勢力は働かない。
【0025】
本実施例による園芸用トンネル3の換気部材10は、
図1(a)に示す保温状態、及び
図1(b)に示す換気状態では、主フレーム材11の一端11aと他端11bとで被覆シート2を挟み込むことで主フレーム材11を被覆シート2に保持することができ、副フレーム材15には、主フレーム材11のような付勢力を加えないことで、保温状態と換気状態との変更を容易に行え、保温状態では被覆材12によって園芸用トンネル3を覆うことができるため、被覆シート2の裾を開放した状態とすることができる。
【0026】
なお、
図2(a)に示す園芸用トンネル3の換気部材10では、第1副フレーム材15Xと主フレーム材11との一端15a、11a同士、第1副フレーム材15Xと主フレーム材11との他端15b、11b同士、第1副フレーム材15Xと第2副フレーム材15Yとの一端15a同士、及び第1副フレーム材15Xと第2副フレーム材15Yとの他端15b同士は支持材13で接続される。支持材13の接続には接続部材16を適宜用いることができる。
また、被覆材12の主フレーム材11、副フレーム材15、及び支持材13への取り付けには、
図1に示す園芸用パッカー14を用いることができる。
主フレーム材11には、径方向に突出させた突起部11cを有していることが好ましい。
【0027】
本実施例によれば、主フレーム材11の上方への移動で保温状態から換気状態にすることができるため、被覆シート2の裾を手作業で開閉する手間が無く、保温状態と換気状態とを容易に変更できる。
また、本実施例によれば、保温状態では被覆材12によって園芸用トンネル3を覆うことができるため、被覆シート2の裾を開放した状態とすることができ、主フレーム材11の上方への移動で保温状態から換気状態にすることができる。
なお、
図2に示す園芸用トンネル3の換気部材10は、園芸用トンネル3に、所定間隔を開けて複数設けることが好ましく、複数の換気部材10を隣接させて配置することもできる。
【0028】
図3は本発明の更に他の実施例による園芸用トンネルの換気部材を示す概念図であり、
図3(a)は同園芸用トンネルを換気状態とした概念要部斜視図、
図3(b)は同換気部材の要部概念斜視図、
図3(c)は園芸用トンネルの換気部材を園芸用トンネルに配置した保温状態を示す側面概念図、
図3(d)は園芸用トンネルの換気部材を園芸用トンネルから取り外した状態を示す側面概念図、
図3(e)は園芸用トンネルの換気部材を園芸用トンネルに配置した換気状態を示す側面概念図である。なお、上記実施例と同一機能部材には同一符号を付して説明を一部省略する。
【0029】
本実施例による園芸用トンネル3の換気部材10についても、所定間隔で複数本の円弧状の支柱1が畝に沿って立設され、複数本の支柱1に被覆シート2を被せて畝を覆う園芸用トンネル3の一部に配置して用いるものである。
本実施例による園芸用トンネル3の換気部材10は、主フレーム材11を有し、主フレーム材11は、園芸用トンネル3に配置される状態では円弧形状を維持し、円弧形状を維持した状態では、主フレーム材11には、付勢部材17によって、主フレーム材11の一端11aと他端11bとが近接する方向に付勢力が加わっている。
このように、付勢部材17を設けることで適切な付勢力を主フレーム材11に付与することができる。
なお、主フレーム材11に、付勢部材17の付勢力を解除する方向に力を加えることができる挟み部11dを有していることが好ましい.
【0030】
図3(c)に示すように、園芸用トンネル3の換気部材10は、主フレーム材11の一端11aと他端11bとを、被覆シート2の裾の位置とし、主フレーム材11の一端11aと他端11bとで被覆シート2を挟み込み、主フレーム材11を被覆シート2に保持することで、園芸用トンネル3を保温状態とする。
また、
図3(d)に示すように、園芸用トンネル3の換気部材10は、主フレーム材11の一端11aと他端11bとを拡げて主フレーム材11を被覆シート2に対して上方に移動させる。
そして、
図3(e)に示すように、主フレーム材11の一端11aと他端11bとが付勢力によって被覆シート2を挟み込み、主フレーム材11を園芸用トンネル3の上方位置に保持することで、園芸用トンネル3を換気状態とする。
【0031】
図4は本発明の更に他の実施例による園芸用トンネルの換気部材を示す概念図であり、
図4(a)は同園芸用トンネルの換気部材の要部概念図、
図4(b)は同換気部材の分解図である。
図4では、
図3に示す主フレーム材11の他の実施例であり、
図3に示す実施例と同様に付勢部材17を設けている。
図4に示す付勢部材17は、常時圧縮方向に付勢されており、圧縮方向の付勢力によって、主フレーム材11の一端11aと他端11bとが近接する方向に付勢力が加わっている。
また、本実施例においても、主フレーム材11に、付勢部材17の付勢力を解除する方向に力を加えることができる挟み部11dを有していることが好ましい。
【0032】
図5は上記の各実施例による園芸用トンネルの換気部材に更に備えることが好ましいストッパーを示す概念図である。
図5(a)は第1のストッパー21を示しており、第1のストッパー21は、支柱1間を連結する連結材21で構成される。ストッパー21は支柱1に取り付けでき、任意の高さに設置することができる。
図5(b)に示すように、一対の連結材21を支柱1間に連結することで主フレーム材11を園芸用トンネル3の上方位置で保持できる。
図5(c)は第2のストッパー22を示しており、第2のストッパー22は主フレーム材11と支柱1とを接続する接続材22で構成される。
図5(c)に示すように、主フレーム材11と支柱1とを接続する接続材22を設けることで、風によって主フレーム材11が園芸用トンネル3から離脱して飛ばされ、損失してしまうことを防止できる。
このように、換気状態における主フレーム材11を、園芸用トンネル3に保持するストッパー21、22を有することで、ストッパー21、22によって換気状態にある主フレーム材11を園芸用トンネル3の上方位置で保持できるため、保温状態に容易に変更できる。
【0033】
図6は上記の各実施例による園芸用トンネルの換気部材に更に備えることが好ましい換気部材用支柱を示す概念図である。
図6(a)に示すように、園芸用トンネル3に対する主フレーム材11の上方への移動を規制する上方規制部31を備えた換気部材用支柱30を有することが好ましい。
換気部材用支柱30は、支柱1に代えて用いることもできるが、園芸用トンネル3の被覆シート2の外方に取り付けてもよい。
図6(a)に示すように、上方規制部31は、換気部材用支柱30に形成した凹部であり、異なる高さに複数形成することで、主フレーム材11の高さを変更することができる。また、一対の換気部材用支柱30として用いることで、本実施例による園芸用トンネル3の換気部材10を安定して保持することができる。
【0034】
図6(b)では、上方規制部32は、換気部材用支柱30に形成した滑り止めであり、所定長さに渡って形成することで、主フレーム材11の高さを変更することができる。上方規制部32を滑り止めとする場合にも、一対の換気部材用支柱30として用いることで、本実施例による園芸用トンネル3の換気部材10を安定して保持することができる。
このように、換気部材用支柱30を用いることで、主フレーム材11を適切な高さに保持することができる。
【0035】
図7は本発明の更に他の実施例による園芸用トンネルの換気部材を示す概念図であり、
図7(a)は同園芸用トンネルを保温状態とした概念要部斜視図、
図7(b)は園芸用トンネルの換気部材を園芸用トンネルから上方に移動させた状態とした概念要部斜視図、
図7(c)は同園芸用トンネルを換気状態とした概念要部斜視図、
図7(d)は
図7(c)の更に要部斜視図である。
【0036】
本実施例による園芸用トンネル3の換気部材10は、所定間隔で複数本の円弧状の支柱1が畝に沿って立設され、複数本の支柱1に被覆シート2を被せて畝を覆う園芸用トンネル3の一部に配置して用いるものである。
本実施例による園芸用トンネル3の換気部材10は、主フレーム材11を有し、主フレーム材11は、園芸用トンネル3に配置される状態では円弧形状を維持し、円弧形状を維持した状態では、主フレーム材11には、主フレーム材11の一端11aと他端11bとが近接する方向に付勢力が加わっている。
【0037】
図7(a)に示すように、園芸用トンネル3の換気部材10は、主フレーム材11の一端11aと他端11bとを、被覆シート2の裾の位置とし、主フレーム材11の一端11aと他端11bとで被覆シート2を挟み込み、主フレーム材11を被覆シート2に保持することで、園芸用トンネル3を保温状態とする。
また、
図7(b)に示すように、園芸用トンネル3の換気部材10は、主フレーム材11の一端11aと他端11bとを拡げて主フレーム材11を被覆シート2に対して上方に移動させ、
図7(c)に示すように、主フレーム材11の一端11aと他端11bとが付勢力によって被覆シート2を挟み込み、主フレーム材11を園芸用トンネル3の上方位置に保持することで、園芸用トンネル3を換気状態とする。
【0038】
本実施例では、更に、主フレーム材11として、第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとを有し、第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとには係止部11eを備えている。
本実施例では、主フレーム材11の一端11aと他端11bとを、被覆シート2の裾に被覆シート取付部40によって取り付け、主フレーム材11を、被覆シート2に対して上方に移動させることで裾を地面から離間させ、主フレーム材11を被覆シート2に対して上方に移動させた状態で、係止部11eによって第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとを係止することで、園芸用トンネル3を換気状態とする。
【0039】
本実施例によれば、主フレーム材11の上方への移動によって被覆シート2の裾換気を行え、被覆シート2の裾を手作業で開閉する手間が無く、保温状態と換気状態とを容易に変更できる。
また、本実施例によれば、保温状態では被覆シート2によって園芸用トンネル3を覆うことができるため、被覆材12を用いることなく、主フレーム材11の上方への移動で保温状態から換気状態にすることができる。
なお、
図7では、主フレーム材11として、第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとを有し、第1主フレーム材11Xと第2主フレーム材11Yとを係止部11eで係止する構成を示しているが、第1主フレーム材11X及び第2主フレーム材11Yの一方だけでも換気部材10として機能する。
また、3つ以上の主フレーム材11を、園芸用トンネル3に、所定間隔を開けて設けることが好ましい。
【0040】
図8は、
図7に示す園芸用トンネルの換気部材に用いる被覆シート取付部を示す概念図である。
被覆シート取付部40は、被覆シート2の裾を位置させる固定部41と、固定部41に対して可動する可動部42とからなる。
可動部42を可動させることで、固定部41と可動部42とで被覆シート2の裾を挟み込むことができる。
また、固定部41又は可動部42には、主フレーム材11の一端11a又は他端11bを回動可能に取り付ける取付部43を有する。本実施例では、取付部43は可動部42に取り付ける場合を示している。
【0041】
図9は、
図7に示す園芸用トンネルの換気部材に用いる被覆シート取付部の他の実施例を示す概念図である。
被覆シート取付部40は、被覆シート2の裾を位置させる固定部41と、固定部41を可動させる操作部44とからなる。
操作部44を操作することで、固定部41が被覆シート2の裾を挟み込むことができる。
また、固定部41には、主フレーム材11の一端11a又は他端11bを回動可能に取り付ける取付部43を有する。本実施例では、取付部43は操作部44に取り付ける場合を示している。
【0042】
なお、上記実施例で説明した主フレーム材11及び副フレーム材15は、アーチ状に形状が保持されているものであっても、弾力性を有することで使用時にアーチ状に変形できるものであってもよい。また、主フレーム材11及び副フレーム材15は、必ずしも1本の支柱1で構成する必要はなく、複数本の支柱1を連結して構成してもよく、アーチ状でなくてもよい。
また、被覆シート2及び被覆材12は、保温を目的とする場合には、一般的にはポリエチレンシート、塩化ビニールシート、又はポリオレフィン系特殊シートのような透光性フィルムを用いるが、遮光、防虫、防寒、又は防霜を目的とする場合には、寒冷紗や、着色フィルム、紫外線制御フィルム、赤外線制御フィルムなどの光選択性被覆資材を用い、その他として、防虫ネット、遮光ネット、不織布などの被覆材12を用いることもできる。
上記で説明した実施例による園芸用トンネル3の換気部材10を用いることで、畝に沿って配置される被覆シート2の一部の裾を地面から離間させて換気状態とし、換気状態とした裾の位置を、被覆材12で覆うように主フレーム材11を配置するように施工し、被覆材12によって園芸用トンネル3を覆うことで、保温状態とすることができ、主フレーム材11の上方への移動で保温状態から換気状態にすることができる。
【0043】
本発明は、施設園芸において利用でき、露地に設定して利用できるだけでなく、温室や屋内にも設置して利用でき、畝栽培だけでなく、ポット栽培や水耕栽培にも利用でき、作業者の労働負担を軽減できる。
【符号の説明】
【0044】
1 支柱
2 被覆シート
3 園芸用トンネル
10 換気部材
11 主フレーム材
11a 一端
11b 他端
11c 突起部
11d 挟み部
11e 係止部
11X 第1主フレーム材
11Y 第2主フレーム材
12 被覆材
13 支持材
14 園芸用パッカー
15 副フレーム材
15a 一端
15b 他端
15X 第1副フレーム材
15Y 第2副フレーム材
16 接続部材
17 付勢部材
21 第1のストッパー(連結材)
22 第2のストッパー(接続材)
30 換気部材用支柱
31 上方規制部
32 上方規制部
40 被覆シート取付部
41 固定部
42 可動部
43 取付部
44 操作部