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特許7449642着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置
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  • 特許-着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/038 20060101AFI20240307BHJP
   C08F 2/48 20060101ALI20240307BHJP
   C08F 290/12 20060101ALI20240307BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240307BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240307BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G03F7/038 501
C08F2/48
C08F290/12
G02B5/20 101
G02F1/1335 505
G03F7/004 504
G03F7/004 505
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018028406
(22)【出願日】2018-02-21
(65)【公開番号】P2019144408
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-09-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】蓼沼 祥平
(72)【発明者】
【氏名】力武 信夫
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】井口 猶二
【審判官】神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-210452(JP,A)
【文献】特開2006-16545(JP,A)
【文献】特開2017-3995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/06
G03F 7/075-7/115
G03F 7/16-7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)着色剤、(B)分散剤、(C)溶剤、(D)バインダー樹脂、(E)光重合性モノマー、及び(F)光重合開始剤を含有する着色樹脂組成物であって、 前記(B)分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を60モル%以上有する分散剤(b)を含み、
前記分散剤(b)が、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含み、
前記分散剤(b)において、下記一般式(II)で表される繰り返し単位の含有割合が10モル%以上30モル%以下であり、
前記分散剤(b)のアミン価が70mgKOH/g以上であり、
前記(D)バインダー樹脂が、下記一般式(i)で表される繰り返し単位及び下記一般式(iv)で表される繰り返し単位を有するアルカリ可溶性樹脂(d)を含むことを特徴とする着色樹脂組成物。
【化1】
(式(I)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、炭素数3以下のアルキル基を表す。)
【化2】
(式(II)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Xは2価の連結基を表す。R及びRは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、R及びRが互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
【化3】
(式(i)中、Rd1は、水素原子又はメチル基を表す。
d2は、置換基を有していてもよい、3価の炭化水素基を表す。
d3は、水素原子又はメチル基を示す。
d4は、置換基を有していてもよい、2価の炭化水素基を表す。)
【化4】
(式(iv)中、Rd10は、水素原子又はメチル基を表す。)
【請求項2】
前記分散剤(b)において、前記一般式(I)で表される繰り返し単位の含有割合が64モル%以上である、請求項1に記載の着色樹脂組成物。
【請求項3】
前記一般式(I)中、Rがメチル基を表す、請求項1又は2に記載の着色樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)着色剤が、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の着色樹脂組成物を用いて作成した画素を有する、カラーフィルタ。
【請求項6】
請求項に記載のカラーフィルタを有する、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色樹脂組成物、カラーフィルタ、及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法が知られている。中でも、分光特性、耐久性、パターン形状及び精度等の観点から、平均的に優れた特性を有する顔料分散法が最も広範に採用されている
【0003】
顔料分散法を用いて形成された画素を有するカラーフィルタにおいては、高輝度化や高コントラスト化を実現するため、顔料の微細化が検討されている。顔料を微細化することにより、顔料粒子によるカラーフィルタを透過する光の散乱が低減されて、高輝度化や高コントラスト化が達成されるものと考えられている。
しかしながら、微細化された顔料粒子は凝集しやすいため、分散性や分散安定性が低下するという問題があった。微細化された顔料の分散性を向上する方法として、分散剤を用いることが有効であることが知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、アミン価が80~150mgKOH/gであるブロック共重合体を含む着色樹脂組成物が記載されている。特許文献2には、酸価が1~18mgKOH/gで、ガラス転移温度が30℃以上のブロック共重合体を含む着色樹脂組成物が記載されている。また特許文献3には、アミン価が35~110mgKOH/gで、ガラス転移温度が30℃以上のブロック共重合体を含む着色樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-052010号公報
【文献】特開2016-122169号公報
【文献】特開2016-122073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、カラーフィルタには十分な電気信頼性を有することが求められている。電気信頼性が低い場合、カラーフィルタを形成するための着色樹脂組成物に含まれる成分が液晶層中に入り込み、液晶層中を移動することにより、該液晶層に印加された電圧を一定期間中保持することを妨げ、画像表示装置の表示不良が発生してしまう。
本発明者らが検討したところ、特許文献1~3に記載されている着色樹脂組成物では、近年要求される電気信頼性が不十分であることがわかった。
【0007】
そこで本発明は、電気信頼性が良好な着色樹脂組成物、この着色樹脂組成物を用いて形成した画素を有するカラーフィルタ、このカラーフィルタを有する画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが鋭意検討を行った結果、着色樹脂組成物中に特定の分散剤と特定のアルカリ可溶性樹脂とを含ませることで前記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の[1]~[4]の構成を有する。
【0009】
[1] (A)顔料、(B)分散剤、(C)溶剤、(D)バインダー樹脂、(E)光重合性モノマー、及び(F)光重合開始剤を含有する着色樹脂組成物であって、
前記(B)分散剤が、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を50モル%以上有する分散剤(b)を含み、
前記(D)バインダー樹脂が、下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するアルカリ可溶性樹脂(d)を含むことを特徴とする着色樹脂組成物。
【0010】
【化1】
【0011】
(式(I)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、置換基を有していてもよい炭素数3以下のアルキル基を表す。)
【0012】
【化2】
【0013】
(式(i)中、Rd1は、水素原子又はメチル基を表す。
d2は、置換基を有していてもよい、3価の炭化水素基を表す。
d3は、水素原子又はメチル基を示す。
d4は、置換基を有していてもよい、2価の炭化水素基を表す。)
【0014】
[2] 前記(A)顔料が、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を含む、[1]に記載の着色樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]に記載の着色樹脂組成物を用いて作成した画素を有する、カラーフィルタ。
[4] [3]に記載のカラーフィルタを有する、画像表示装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気信頼性が良好な着色樹脂組成物、この着色樹脂組成物を用いて形成した画素を有するカラーフィルタ、このカラーフィルタを有する画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明のカラーフィルタを有する有機EL表示素子の一例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の構成要件等について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
尚、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。また「全固形分」とは、顔料分散液または着色樹脂組成物に含まれる、溶剤成分以外の全成分を意味するものとする。
【0018】
本発明において、「重量平均分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
また本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表される値である。
また本発明において、「C.I.」とはカラーインデックスを意味する。
【0019】
[1]着色樹脂組成物の構成成分
以下に本発明の着色樹脂組成物の各構成成分を説明する。本発明に係る着色樹脂組成物は、(A)着色剤、(B)分散剤、(C)溶剤、(D)バインダー樹脂、(E)光重合性モノマー、及び(F)光重合開始剤を必須成分とし、更に要すれば、上記成分以外の他の添加物等が配合されていてもよい。
以下、各構成成分を説明する。
【0020】
[1-1](A)着色剤
本発明の着色樹脂組成物は、(A)着色剤を必須成分とし含有する。着色剤としては、顔料や染料が挙げられる。顔料としては、例えばカラーフィルタの画素等を形成する場合には、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種の色の顔料を使用することができる。また、その化学構造としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。この他に種々の無機顔料等も利用可能である。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0021】
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276などを挙げることができる。これらの中で、分散安定性の観点から、好ましくはC.I.ピグメントレッド177、254、または275であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177または254である。
【0022】
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。これらの中で、分散安定性の観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15:3または15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
【0023】
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58または59を挙げることができる。これらの中で、分散安定性の観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン36、58または59であり、更に好ましくはC.I.ピグメントグリーン58または59である。
【0024】
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208などを挙げることができる。これらの中で、分散安定性の観点から、好ましくはC.I.ピグメントイエロー129、138、139、150または185であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー138、150または185である。
【0025】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。これらの中で、分散安定性の観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23、または29であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
【0026】
オレンジ顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79などを挙げることができる。
【0027】
また、無機顔料として、例えば、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等が挙げられる。
【0028】
上記の各種顔料のうち、画像表示装置に求められる色度調整の観点から、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185又はC.I.ピグメントバイオレット23が好ましく、C.I.ピグメントグリーン58またはC.I.ピグメントグリーン59等のハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料がより好ましい。
【0029】
上記の各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、顔料として、緑色顔料と黄色顔料とを併用したり、青色顔料と紫色顔料とを併用したり、赤色顔料と黄色顔料とを併用したりすることができる。
なお、これらの顔料は、平均粒径が通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.3μm以下となるよう分散処理して使用することが好ましい。
【0030】
また、これら顔料の平均一次粒径は、通常100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは40nm以下、特に好ましくは10nm以上30nm以下である。本発明は、高度に微粒化された顔料を含む組成物の場合に特に有効であるため、平均一次粒径10nm以上30nm以下である顔料を含む場合が特に好ましい。
【0031】
本発明の着色樹脂組成物を使用してカラーフィルタのブラックマトリックス等の遮光材を形成する場合には、黒色顔料を使用することができる。黒色顔料は単独で使用してもよく、また、上述の赤色、緑色、青色等の顔料を混合して使用してもよい。単独使用可能な黒色顔料としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、チタンブラック等が挙げられる。これらの中では、遮光率、画像特性の観点からカーボンブラック、チタンブラックが好ましい。
【0032】
カーボンブラックの例としては、例えば、三菱ケミカル社製の商品として、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA220、MA230、MA600、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#3050、#3150、#3250、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31B等が、デグサ社製の商品として、Printex3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Print ex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack 350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black S170等が、キャボット社製の商品として、Monarch120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN XC72R、ELFTEX-8等が、ビルラー社製の商品として、RAVEN11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000等が、それぞれ挙げられる。
【0033】
なお、高い光学濃度及び高い表面抵抗率を有する樹脂ブラックマトリックスの製造には、樹脂被覆されたカーボンブラックを用いるのが特に好ましい。なお、樹脂被覆されたカーボンブラックは、例えば特開平9-26571号公報、特開平9-71733号公報、特開平9-95625号公報、特開平9-238863号公報、又は特開平11-60989号公報に記載の方法で、公知のカーボンブラックを処理することにより、得ることができる。
【0034】
また、チタンブラックの作製方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気下で加熱し還元させる方法(特開昭49-5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを、水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57-205322号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60-65069号公報、特開昭61-201610号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61-201610号公報)、等があるがこれらに限定されるものではない。チタンブラックの市販品の例としては、三菱マテリアル社製のチタンブラック10S、12S、13R、13M、13M-C等が挙げられる。
【0035】
他の黒色顔料の例としては、赤色、緑色、青色等の複数の顔料を混合して黒色顔料として用いることができる。黒色顔料を調製するために混合使用可能な色材としては、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T-564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR-L(74160)、リオノールブルーSM(26150)、リオノールブルーES(ピグメントブルー15:6)、リオノーゲンレッドGD(ピグメントレッド168)、リオノールグリーン2YS(ピグメントグリーン36)等が挙げられ、更に、他の混合使用可能な顔料について、C.I.ナンバーにて示すと、例えば、C.I.ピグメントイエロー20、24、86、93、109、110、117、125、137、138、147、148、153、154、166、C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:4、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等を挙げることができる。なお、上記の括弧内の数字は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0036】
これら黒色顔料の粒径についても、黒色以外の顔料につき前述したものと同様の範囲が好ましい。
【0037】
一方で、染料としては、例えば、キサンテン、アントラキノン、又はフタロシアニンを基本骨格とし、スルホン酸基及び/又はスルホナト基を有する染料を用いることができる。具体的には、キサンテン系染料としては、アシッドレッド52、アシッドレッド87、アシッドレッド91、アシッドレッド92、アシッドレッド94、アシッドレッド289、アントラキノン系染料としては、アシッドレッド80、アシッドグリーン25、アシッドグリーン27、アシッドブルー25、アシッドブルー78、アシッドブルー112、アシッドブルー182、アシッドバイオレット34、アシッドバイオレット43、フタロシアニン系染料としては、ダイレクトブルー86、ダイレクトブルー87、アシッドブルー249が挙げられる。
【0038】
本発明の着色樹脂組成物において、これら(A)着色剤の含有割合は特に限定されないが、全固形分中、通常1質量%以上、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、25質量%以上がよりさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましく、また、通常80質量%以下、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることでカラーフィルタとしての所望の色度、膜厚となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで分散安定性が良化する傾向がある。
【0039】
また、(A)着色剤が顔料を含む場合、顔料の含有割合は特に限定されないが、全固形分中、通常1質量%以上、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、25質量%以上がよりさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましく、また、通常80質量%以下、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることでカラーフィルタとしての所望の色度、膜厚となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで分散安定性が良好となる傾向がある。
【0040】
[1-2](B)分散剤
本発明の着色樹脂組成物は、(B)分散剤を必須成分として含有する。(B)分散剤を含むことで、(A)着色剤を安定に分散させることができる。
本発明の着色樹脂組成物における(B)分散剤は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を50モル%以上有する分散剤(b)(以下、「分散剤(b)」と略記する場合がある。)を含む。
【0041】
【化3】
【0042】
式(I)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、置換基を有していてもよい炭素数3以下のアルキル基を表す。
【0043】
分散剤(b)に含まれる前記一般式(I)で表される繰り返し単位は、そのR2のアルキル基の炭素数が短いことにより液晶分子との親和性が低い。そのため、着色樹脂組成物中に前記一般式(I)で表される繰り返し単位を50モル%以上有する分散剤(b)を含ませることによって、該着色樹脂組成物自体の液晶分子との親和性が低くなると考えられる。さらに、分散剤(b)と着色剤との立体反発が抑制され、分散剤(b)の着色剤への吸着が促進されることで、遊離の分散剤が液晶層中に溶出するのが抑制され、電圧保持率が良好になると考えられる。また、R2の炭素数が短いことで、耐熱性が高く、熱処理によって熱分解しにくく着色による輝度低下も起きにくくなると考えられる。
【0044】
(R2
式(I)中、R2は、置換基を有していてもよい炭素数3以下のアルキル基を表す。
【0045】
アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、着色剤との立体反発を抑制するとの観点から直鎖状であることが好ましい。
また、アルキル基の炭素数は3以下であれば特に限定されないが、2以下が好ましく、1であることがより好ましい。前記上限値以下とすることで電気信頼性が良好となる傾向がある。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基が挙げられ、電気信頼性の観点からメチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
アルキル基が有していてもよい置換基は特に限定されないが、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられるが、電気信頼性の観点からは無置換であることが特に好ましい。
【0046】
分散剤(b)は前記一般式(I)で表される繰り返し単位を含むものであるが、さらにその他の繰り返し単位を含むものであってもよい。その他の繰り返し単位の中では、分散性の観点から、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0047】
【化4】
【0048】
式(II)中、R3は、水素原子又はメチル基を表す。Xは2価の連結基を表す。R4及びR5は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、R4及びR5が互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【0049】
(X)
式(II)中、Xは2価の連結基を表す。
2価の連結基としては、例えば、単結合、アルキレン基、アリーレン基、アルキルオキシアルキル基等が挙げられる。これらの中でも分散性の観点から、アルキレン基が好ましい。
【0050】
アルキレン基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でもよいが、分散性の観点から直鎖状であることが好ましい。
アルキレン基の炭素数は通常1以上、2以上が好ましく、また通常10以下、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで分散安定性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性、保存安定性が良化する傾向がある。
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オキチレン基などが挙げられ、分散性の観点からメチレン基又はエチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
【0051】
(R4及びR5
式(II)中、R4及びR5は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基であり、R4及びR5が互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【0052】
アルキル基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよいが、分散性の観点から直鎖状であることが好ましい。
アルキル基の炭素数は特に限定されないが、分散性の観点から、通常1以上であり、また、10以下が好ましく、6以下がより好ましく、4以下がさらに好ましく、3以下がよりさらに好ましく、2以下が特に好ましい。
【0053】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基などが挙げられ、これらの中でも分散性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることがさらに好ましい。
【0054】
アリール基は、1価の芳香族炭化水素環基であっても、1価の芳香族複素環基であってもよい。
アリール基の炭素数は特に限定されないが、分散性の観点から、通常6以上であり、また、16以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、8以下が特に好ましい。
アリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、これらの中でもフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、又はジエチルフェニル基であることが好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、又はエチルフェニル基であることがより好ましい。
【0055】
アラルキル基は、アルキレン基とアリール基とを結合した基である。アルキレン基としては直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。また、アリール基としては1価の芳香族炭化水素環基であっても、1価の芳香族複素環基であってもよい。
アラルキル基の炭素数は特に限定されないが、分散性の観点から、通常7以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましく、8以下であることが特に好ましい。
アラルキル基の具体例としては、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルイソプロピル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、又はフェニルブチル基であることが好ましく、フェニルメチル基、又はフェニルエチル基であることがより好ましい。
【0056】
アルキル基、アラルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、ベンゾイル基、水酸基などが挙げられる。
【0057】
これらの中でも、分散性、保存安定性、電気信頼性、現像性の観点から、R4及びR5が各々独立にアルキル基、又はアラルキル基であることが好ましく、具体的には、R4及びR5がメチル基であることがさらに好ましい。
【0058】
また、前記式(II)において、R4及びR5が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5~7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記のものが挙げられる。
【0059】
【化5】
【0060】
これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。
【0061】
一方で、その他の繰り返し単位の中では、分散安定性の観点から、下記一般式(III)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0062】
【化6】
【0063】
式(III)中、R6は、水素原子又はメチル基を表す。Zは2価の連結基を表す。R7~R9は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、R7~R9のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。A-は対アニオンを表す。
【0064】
また、前記式(III)におけるZとしては、前記式(II)におけるXとして挙げたものを好ましく採用することができる。R7~R9における置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいアラルキル基としては、前記式(II)におけるR4及びR5における置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及び置換基を有していてもよいアラルキル基として挙げたものを好ましく採用することができる。
【0065】
(A-
式(III)中、A-は対アニオンを表す。対アニオンとしては、Cl-、Br-、I-、ClO4-、BF4-、CH3COO-、PF6 -等が挙げられる。
【0066】
また、前記式(III)において、R7~R9のうち2つ以上が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5~7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記のものが挙げられる。
【0067】
【化7】
【0068】
上記式中、RはR7~R9のうちいずれかである。また、これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。
【0069】
また、その他の繰り返し単位の中では、分散性、現像性の観点から、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
【0070】
【化8】
【0071】
式(IV)中、R10は、水素原子又はメチル基を表す。R11は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
【0072】
(R11
式(IV)中、R11は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
【0073】
アルキル基は直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよいが、分散性の観点から直鎖状であることが好ましい。
アルキル基の炭素数は特に限定されないが、現像性の観点から、4以上が好ましく、また、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。
【0074】
アルキル基の具体例としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基などが挙げられ、これらの中でも分散性、現像性の観点から、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であることが好ましく、ブチル基であることがより好ましい。
【0075】
アリール基は、1価の芳香族炭化水素環基であっても、1価の芳香族複素環基であってもよい。
アリール基の炭素数は特に限定されないが、現像性の観点から、通常6以上であり、また、16以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、8以下が特に好ましい。
アリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられ、これらの中でもフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、又はジエチルフェニル基であることが好ましく、フェニル基、メチルフェニル基、又はエチルフェニル基であることがより好ましい。
【0076】
アラルキル基は、アルキレン基とアリール基とを結合した基である。アルキレン基としては直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でも、それらの組み合わせでもよい。また、アリール基としては1価の芳香族炭化水素環基であっても、1価の芳香族複素環基であってもよい。
アラルキル基の炭素数は特に限定されないが、現像性の観点から、通常7以上であり、また、16以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましく、8以下であることが特に好ましい。
アラルキル基の具体例としては、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基(フェネチル基)、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルイソプロピル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、又はフェニルブチル基であることが好ましく、フェニルメチル基、又はフェニルエチル基であることがより好ましい。
【0077】
アルキル基、アラルキル基又はアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、ベンゾイル基、水酸基などが挙げられる。
【0078】
これらの中でも、現像性の観点から、R11がアルキル基であることが好ましく、ブチル基であることがより好ましい。
【0079】
分散剤(b)において、前記一般式(I)で表される繰り返し単位の含有割合は50モル%以上であるが、55モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、65モル%以上がさらに好ましく、70モル%以上が特に好ましく、また、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、80モル%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで電気信頼性が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで分散性が良化する傾向がある。
【0080】
分散剤(b)が前記一般式(II)で表される繰り返し単位を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上が特に好ましく、また、45モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、35モル%以下がさらに好ましく、30モル%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで分散安定性が良化する傾向があり、前記上限値以下とすることで保存安定性、電気信頼性、現像性が良化する傾向がある。
【0081】
分散剤(b)が前記一般式(III)で表される繰り返し単位を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上が特に好ましく、また、100モル%以下が好ましく、45モル%以下がより好ましく、40モル%以下がさらに好ましく、35モル%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで分散安定性が良化する傾向があり、前記上限値以下とすることで電気信頼性、現像性が良化する傾向がある。
【0082】
分散剤(b)が前記一般式(IV)で表される繰り返し単位を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、8モル%以上がさらに好ましく、10モル%以上が特に好ましく、また、30モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましく、15モル%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで分散安定性が良化する傾向があり、前記上限値以下とすることで現像性が良化する傾向がある。
【0083】
分散剤(b)は、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有する限り特に限定されるものではないが、分散性をより高めるとの観点から、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するBブロックと、その他の繰り返し単位を有するAブロックとを含む、ブロック共重合体であることが好ましい。該ブロック共重合体は、A-Bブロック共重合体又はB-A-Bブロック共重合体であることが好ましい。分散性の観点から、Aブロックには前記一般式(II)で表される繰り返し単位、及び/又は前記一般式(III)で表される繰り返し単位が含まれることが好ましく、前記一般式(II)で表される繰り返し単位が含まれることがより好ましい。また、耐熱性の観点から、Bブロックには前記一般式(I)で表される繰り返し単位が含まれることや、前記一般式(I)で表される繰り返し単位及び前記一般式(IV)で表される繰り返し単位が含まれることが好ましい。
【0084】
また、分散剤(b)の酸価は、分散性の点から、低い方が好ましく、特に0mgKOH/gであることが好ましい。ここで酸価とは、分散剤固形分1gを中和するのに必要なKOHのmg数を表す。
【0085】
一方で、分散剤(b)のアミン価は、特に限定されないが、20mgKOH/g以上が好ましく、40mgKOH/g以上がより好ましく、60mgKOH/g以上がさらに好ましく、80mgKOH/g以上がよりさらに好ましく、100mgKOH/g以上が特に好ましく、また、170mgKOH/g以下であることが好ましく、150mgKOH/g以下であることがより好ましく、140mgKOH/g以下であることがさらに好ましく、130mgKOH/g以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで分散性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が良化する傾向がある。ここでアミン価とは、有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表される値である。
【0086】
また、分散剤(b)の分子量は、特に限定されないが、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で1,000以上が好ましく、4,000以上がより好ましく、6,000以上がさらに好ましく、また、30,000以下が好ましく、20,000以下がより好ましく、10,000以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで分散安定性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性の低下が抑制できる傾向がある。
【0087】
分散剤(b)は、公知の方法により製造することができるが、ブロック共重合体である場合、例えば、上記各繰り返し単位を導入する単量体を、リビング重合することにより製造することができる。リビング重合法としては、特開平9-62002号公報、特開2002-31713号公報や、P.Lutz,P.Masson et al,Polym.Bull.12,79 (1984),B.C.Anderson,G.D.Andrews et al,Macromolecules,14,1601(1981),K.Hatada,K.Ute,et al,Polym.J.17,977(1985),18,1037(1986),右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36,366(1987),東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46,189(1989),M.Kuroki,T.Aida,J.Am.Chem.Soc,109,4737(1987)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43,300(1985),D.Y.Sogoh,W.R.Hertler et al,Macromolecules,20,1473(1987)等に記載されている公知の方法を採用することができる。
【0088】
本発明においては、分散剤(b)と共に、他の分散剤を併用することができる。他の分散剤としては、例えば、Disperbyk(登録商標。以下同じ。)-161、Disperbyk-162、Disperbyk-165、Disperbyk-167、Disperbyk-170、Disperbyk-182、Disperbyk-2000、Disperbyk-2001、BYK-LPN6919、BYK-LPN21116(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース(登録商標。以下同じ。)24000、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、アジスパー(登録商標。以下同じ。)PB821、アジスパーPB822、アジスパーPB823、アジスパーPB824、アジスパーPB827(味の素ファインテクノ株式会社製)等の市販品が挙げられる。
【0089】
本発明の着色樹脂組成物において、(B)分散剤の含有割合は特に限定されないが、着色樹脂組成物の全固形分に対して、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上が特に好ましく、また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで分散性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで信頼性が良化する傾向がある。
【0090】
本発明の着色樹脂組成物において、分散剤(b)の含有割合は特に限定されないが、着色樹脂組成物の全固形分に対して、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、3質量%以上が特に好ましく、また、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、8質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで耐熱性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで信頼性が良化する傾向がある。
【0091】
本発明の着色樹脂組成物の(B)分散剤における分散剤(b)の含有割合は特に限定されないが、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましく、また、100質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましく、85質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで信頼性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで分散性が良化する傾向がある。
【0092】
[1-3](C)溶剤
(C)溶剤は、本発明の着色樹脂組成物において、着色剤、分散剤、バインダー樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、その他の成分を溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
係る(C)溶剤としては、各成分を溶解または分散させることができるものであればよい。
【0093】
このような溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコール-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
【0094】
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
【0095】
エチレングリコールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n-ペンタン、n-オクタン、ジイソブチレン、n-ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
【0096】
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、γ-ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等が挙げられる。
【0097】
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0098】
フォトリソグラフィ法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶剤としては沸点が100~200℃(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120~170℃の沸点をもつものである。
上記溶剤中、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
【0099】
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の溶剤を併用してもよい。併用する溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる着色樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5質量%~30質量%が好ましく、5質量%~20質量%がより好ましい。
【0100】
また、150℃以上の沸点をもつ溶剤を併用することも好ましい。このような高沸点の溶剤を併用することにより、着色樹脂組成物は乾きにくくなるが、急激に乾燥することによる顔料分散液の相互関係の破壊を起こし難くする効果がある。高沸点溶剤の含有割合は、(B)溶剤に対して3質量%~50質量%が好ましく、5質量%~40質量%がより好ましく、5質量%~30質量%が特に好ましい。前記下限値以上とすることで、例えばスリットノズル先端で色材成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こすことを回避しやすい傾向があり、また前記上限値以下とすることで組成物の乾燥速度が遅くなって減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことを回避しやすい傾向がある。
なお沸点150℃以上の溶剤が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
好ましい高沸点溶剤として、例えば前述の各種溶剤の中ではジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサノールジアセテート、トリアセチンなどが挙げられる。
【0101】
インクジェット法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶剤としては、沸点が、通常130℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上280℃以下のものが適当である。前記下限値以上とすることで、得られる塗膜の均一性が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで、焼成時の残留溶剤を低減しやすい傾向がある。
また、溶剤の蒸気圧は、得られる塗膜の均一性の観点から、通常10mmHg以下、好ましくは5mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下のものが使用できる。
【0102】
なお、インクジェット法によるカラーフィルタ製造において、ノズルから発せられるインクは数~数十pLと非常に微細であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶剤が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには溶剤の沸点は高い方が好ましく、具体的には、沸点180℃以上の溶剤を含むことが好ましい。より好ましくは沸点が200℃以上、特に好ましくは沸点が220℃以上である溶剤を含有する。また、沸点180℃以上である高沸点溶剤は着色樹脂組成物に含まれる全溶剤中、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が最も好ましい。前記下限値以上とすることで、液滴からの溶剤の蒸発防止効果が十分に発揮されやすい傾向がある。
【0103】
好ましい高沸点溶剤として、例えば前述の各種溶剤の中ではジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサノールジアセテート、トリアセチンなどが挙げられる。
さらに、着色樹脂組成物の粘度調整や固形分の溶解度調整のためには、沸点が180℃より低い溶剤を一部含有することも効果的である。このような溶剤としては、低粘度で溶解性が高く、低表面張力であるような溶剤が好ましく、エーテル類、エステル類やケトン類などが好ましい。中でも特に、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノールアセテートなどが好ましい。
【0104】
一方、溶剤がアルコール類を含有すると、インクジェット法における吐出安定性が劣化する場合がある。よって、アルコール類は全溶剤中20質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
【0105】
本発明の着色樹脂組成物に占める溶剤の含有割合は特に限定されないが、通常99質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。前記上限値以下とすることで塗布膜を形成しやすくなる傾向がある。一方で、溶剤含有割合の下限は、塗布に適した粘性などを考慮して、通常70質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
【0106】
[1-4](D)バインダー樹脂
本発明の着色樹脂組成物は、(D)バインダー樹脂を含有する。(D)バインダー樹脂を含有することで、光重合による膜硬化性と現像液による溶解性を両立することができる。
本発明の着色樹脂組成物における(D)バインダー樹脂は、下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するアルカリ可溶性樹脂(d)(以下、「アルカリ可溶性樹脂(d)」と称する場合がある。)を含む。
【0107】
【化9】
【0108】
式(i)中、Rd1は、水素原子又はメチル基を表す。
d2は、置換基を有していてもよい、3価の炭化水素基を表す。
d3は、水素原子又はメチル基を示す。
d4は、置換基を有していてもよい、2価の炭化水素基を表す。
【0109】
本発明の着色樹脂組成物はアルカリ可溶性樹脂(d)を含むものであるが、前記一般式(i)で表される繰り返し単位中のカルボキシル基は主鎖から十分に離れている。このようにカルボキシル基が流動性の高い側鎖に結合していることによって、カルボキシル基同士の水素結合による分子内会合が起こりにくく、エチレン性二重結合が分子の外側を向きやすくなることで硬化性が高くなり、電圧保持率が高くなると考えられる。また、前記カルボキシル基と現像液との接触効率が高く、溶解時間が短くなり、良好な直線性を持つパターンが得られやすくなると考えられる。
【0110】
(Rd2
式(i)中、Rd2は、置換基を有していてもよい、3価の炭化水素基を表す。3価の炭化水素としては、例えば、3価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
3価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状のもの、分岐鎖状のもの、環状のもの、それらを組み合わせたものが挙げられる。
3価の脂肪族炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、通常15以下、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで溶媒親和性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像性が良化する傾向がある。
3価の脂肪族炭化水素基の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0111】
【化10】
【0112】
3価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基などが挙げられる。
【0113】
(Rd4
式(i)中、Rd4は、置換基を有していてもよい、2価の炭化水素基を表す。2価の炭化水素としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基や2価の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
2価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のもの、分岐鎖状のもの、環状のもの、それらを組み合わせたものが挙げられる。
2価の脂肪族炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上が特に好ましく、また、通常15以下、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、5以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで直線性が良化する傾向がある。
2価の脂肪族炭化水素基の具体例としては、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、tert-ブチレン基、シクロヘキセンジイル基などが挙げられる。これらの中でも現像性の観点から、シクロヘキセンジイル基が好ましい。
【0114】
一方で、2価の芳香族炭化水素環基において、その炭素数は特に限定されないが、通常6以上であり、7以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで直線性が良化する傾向がある。
【0115】
2価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
【0116】
2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基などが挙げられる。
【0117】
アルカリ可溶性樹脂(d)は、前記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するものであるが、その他の繰り返し単位をさらに含むものであってもよい。
その他の繰り返しとしては、硬化性や信頼性の観点から、下記一般式(ii)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0118】
式(ii)中、Rd5は、水素原子又はメチル基を表す。
d6は、置換基を有していてもよい、3価の炭化水素基を表す。
d7は、水素原子又はメチル基を示す。
【0119】
d6における、置換基を有していてもよい3価の炭化水素基としては、Rd2にて挙げたものを好ましく適用することができる。
【0120】
また、その他の繰り返し単位としては、直線性の観点から、下記一般式(iii)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0121】
【化11】
【0122】
式(iii)中、Rd8は、水素原子又はメチル基を表す。
d9は、水素原子、又は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。
【0123】
(Rd9
式(iii)中、Rd9は、水素原子、又は置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表す。
1価の炭化水素基としては、1価の脂肪族炭化水素基や1価の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
【0124】
1価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のもの、分岐鎖状のもの、環状のもの、それらを組み合わせたものが挙げられる。
1価の脂肪族炭化水素基の炭素数は特に限定されないが、通常1以上、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましく、7以上が特に好ましく、通常20以下、18以下が好ましく、15以下がより好ましく、12以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで直線性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像溶解性が良化する傾向がある。
1価の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、トリシクロデカニル基などが挙げられる。これらの中でも直線性の観点から、トリシクロデカニル基が好ましい。
【0125】
1価の芳香族炭化水素基において、その炭素数は特に限定されないが、通常6以上であり、7以上が好ましく、8以上がより好ましく、また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで直線性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで溶解性が良化する傾向がある。
【0126】
1価の芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
【0127】
1価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基などが挙げられる。
【0128】
また、その他の繰り返し単位としては、溶解時間の制御の観点から、下記一般式(iv)で表される繰り返し単位が好ましい。
【0129】
【化12】
【0130】
式(iv)中、Rd10は、水素原子又はメチル基を表す。
【0131】
アルカリ可溶性樹脂(d)に含まれる、前記一般式(i)で表される繰り返し単位の含有割合は特に限定されないが、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上がさらに好ましく、35モル%以上が特に好ましく、また、90モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましく、45モル%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性及び溶解性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで直線性が良化する傾向がある。
【0132】
アルカリ可溶性樹脂(d)が前記一般式(ii)で表される繰り返し単位を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、5モル%以上がさらに好ましく、10モル%以上がよりさらに好ましく、15モル%以上が特に好ましく、また、90モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましく、30モル%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで硬化性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで直線性及び溶解性が良化する傾向がある。
【0133】
アルカリ可溶性樹脂(d)が前記一般式(iii)で表される繰り返し単位を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、5モル%以上がさらに好ましく、10モル%以上がよりさらに好ましく、20モル%以上が特に好ましく、また、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましく、40モル%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで直線性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで溶解性が良化する傾向がある。
【0134】
アルカリ可溶性樹脂(d)が前記一般式(iv)で表される部分構造を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、0.01モル%以上が好ましく、0.1モル%以上がより好ましく、1モル%以上がさらに好ましく、5モル%以上が特に好ましく、また、30モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましく、15モル%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで直線性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで溶解性が良化する傾向がある。
【0135】
アルカリ可溶性樹脂(d)の製造方法は特に限定されないが、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させ、該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させることで得られる。詳細には、特開2009-053652号公報に記載されている製造方法を採用することができる。
【0136】
本発明の着色樹脂組成物における(D)バインダー樹脂は、アルカリ可溶性樹脂(d)を含むものであるが、その他のバインダー樹脂(d’)をさらに含むものであってもよい。
その他のバインダー樹脂(d’)としては、バインダー樹脂としての機能を発現するものであれば特に限定されずに用いることができるが、国際公開第2016/158668号に記載されている[1-6-2]主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂、[1-6-3]前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂、[1-6-4](メタ)アクリル樹脂、[1-6-5]カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂などが挙げられる。
【0137】
本発明の着色樹脂組成物において、(D)バインダー樹脂の含有割合は特に限定されないが、着色樹脂組成物の全固形分に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上がよりさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましく、25質量%以上が最も好ましく、また、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで溶解性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで直線性が良化する傾向がある。
【0138】
本発明の着色樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂(d)の含有割合は特に限定されないが、着色樹脂組成物の全固形分に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、12質量%以上がよりさらに好ましく、14質量%以上が特に好ましく、また、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下がよりさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで溶解性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで直線性が良化する傾向がある。
【0139】
また、本発明の着色樹脂組成物の(D)バインダー樹脂におけるアルカリ可溶性樹脂(d)の含有割合は特に限定されないが、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上がよりさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましく、通常100質量%以下である。前記下限値以上とすることで直線性が良化する傾向がある。
【0140】
[1-5](E)光重合性モノマー
本発明の着色樹脂組成物は(E)光重合性モノマーを含有する。光重合性モノマーを含有することで、光重合による強固な膜が得られる傾向がある。
光重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と称す)が好ましい。エチレン性化合物とは、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、光重合開始剤の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本発明における単量体は、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも含有する概念を意味する。
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する多官能エチレン性単量体を使用することが望ましい。多官能エチレン性単量体が有するエチレン性二重結合の数は特に限定されないが、通常2個以上であり、好ましくは4個以上であり、より好ましくは5個以上であり、また、好ましくは8個以下であり、より好ましくは7個以下である。前記下限値以上とすることで高感度となる傾向があり、前記上限値以下とすることで溶媒への溶解性が向上する傾向がある。
【0141】
エチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、それとモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる。
【0142】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0143】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であっても良い。代表例としては、例えば、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0144】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシ(1,1,1-トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3-ヒドロキシ(1,1,1-トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
【0145】
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物としては、例えば、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等も有用である。
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。
【0146】
これらのモノマーは1種を単独で用いても良いが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用しても良い。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gであり、特に好ましくは5~30mgKOH/gである。前記下限値以上とすることで現像溶解特性を良好なものとすることができる傾向があり、前記上限値以下とすることで製造や取扱いが良好になり光重合性能、画素の表面平滑性等の硬化性を良好にしやすい傾向がある。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
【0147】
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、東亞合成(株)製TO1382として市販されているジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーの他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。また、特開2013-140346号公報の段落[0056]や[0057]に記載のものを使用することもできる。
【0148】
また本発明において、画素の耐薬品性や画素のエッジの直線性を良好にするとの観点からは、特開2013-195971号公報に記載の重合性モノマーを用いることが好ましい。塗布膜の感度及び現像時間の短縮を両立するとの観点からは、特開2013-195974号公報に記載の重合性モノマーを用いることが好ましい。
【0149】
本発明の着色樹脂組成物における光重合性モノマーの含有割合は、特に限定されないが、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中、通常0質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上であり、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。また、(A)着色剤100質量部に対する比率は、通常0質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上、よりさらに好ましくは40質量部以上、特に好ましくは60質量部以上であり、通常200質量部以下、好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。前記下限値以上とすることで硬化性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで溶解性が良化する傾向がある。
【0150】
[1-6](F)光重合開始剤
本発明の着色樹脂組成物は(F)光重合開始剤を含有する。(F)光重合開始剤を含有することで光重合による膜硬化性を得ることができる。
(F)光重合開始剤は、加速剤(連鎖移動剤)及び必要に応じて添加される増感色素等の付加剤との混合物(光重合開始系)として用いることもできる。光重合開始系は、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
【0151】
光重合開始剤としては、例えば、特開昭59-152396号、特開昭61-151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物や、特開平10-39503号公報記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ハロメチル-s-トリアジン誘導体、N-フェニルグリシン等のN-アリール-α-アミノ酸類、N-アリール-α-アミノ酸塩類、N-アリール-α-アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α-アミノア
ルキルフェノン系化合物、特開2000-80068号公報に記載されているオキシムエステル系開始剤等が挙げられる。
【0152】
本発明で用いることができる光重合開始剤の具体的な例を以下に列挙する。
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロメチル化トリアジン誘導体;
【0153】
2-トリクロロメチル-5-(2′-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2′-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2′-(6″-ベンゾフリル)ビニル)〕-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5一フリル-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール誘導体;
2-(2′-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダソール2量体、2-(2′-クロロフェニル)-4,5-ビス(3′-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(2′-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(2′-メトキシフエニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、(4′-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体等のイミダゾール誘導体;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;
2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体;
【0154】
ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4-ブロモベンゾフェノン、2-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;
2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α-ヒドロキシ-2-メチルフェニルプロパノン、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル-(p-イソプロピルフェニル)ケトン、1-ヒドロキシ-1-(p-ドデシルフェニル)ケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1,1,1-トリクロロメチル-(p一ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体;
チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2、4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;
【0155】
p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、P-ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体;
9-フェニルアクリジン、9-(p-メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体;
9,10-ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体;
ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体;
ジシクロペンタジエニル-Ti-ジクロライド、ジシクロペンタジェニル-Ti-ビス-フェニル、ジシクロペンタジェニル-Ti-ビス-2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル-1-イル、ジシクロペンタジェニル-Ti-ビス-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル-1-イル、ジシクロペンタジェニル-Ti-ビス-2,4,6-トリフルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジェニル-Ti-2,6-ジプルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジェニル-Ti-2,4-ジフルオロフェニ-1-イル、ジメチルシクロペンタジェニル-Ti-ビス-2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニ-1-イル、ジメチルシクロペンタジェニル-Ti-ビス-2,6-ジフルオロフェニ-1-イル、ジシクロペンタジェニル-Ti-2,6-ジフルオロ-3-(ピル-1-イル)-フェニ-1-イル等のチタノセン誘導体;
【0156】
2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、4-ジメチルアミノエチルベンゾエ-ト、4-ジメチルアミノイソアミルベンゾエ-ト、4-ジエチルアミノアセトフェノン、4-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-エチルヘキシル-1,4-ジメチルアミノベンゾエート、2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7-ジエチルアミノ-3-(4-ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4-(ジエチルアミノ)カルコン等のα-アミノアルキルフェノン系化合物;
1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)エタノン、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物。
【0157】
これらの中でも、感度及び表面性状の観点から、オキシムエステル系化合物であることが好ましい。
オキシムエステル系化合物は、その構造の中に紫外線を吸収する構造と光エネルギーを伝達する構造とラジカルを発生する構造を併せ持っているために、少量で感度が高く、かつ熱反応に対しては安定であり、少量で高感度な感光性樹脂組成物の設計が可能である。特に、露光光源のi線(365nm)に対する光吸収性の観点から、置換基を有していてもよいカルバゾール環を有するオキシムエステル系化合物が好ましい。
【0158】
オキシムエステル系化合物としては、例えば、下記一般式(I-1)で表される化合物が挙げられる。
【0159】
【化13】
【0160】
上記式(I-1)中、R21aは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよい芳香族環基を示す。
21bは芳香環又はヘテロ芳香環を含む任意の置換基を示す。
22aは、置換基を有していてもよいアルカノイル基、又は、置換基を有していてもよいアリーロイル基を示す。
【0161】
21aにおけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性や露光に対する感度の観点から、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロペンチルエチル基、プロピル基等が挙げられる。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、芳香族環基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、4-(2-メトキシ-1-メチル)エトキシ-2-メチルフェニル基又はN-アセチル-N-アセトキシアミノ基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
【0162】
21aにおける芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、感光性着色組成物への溶解性の観点から5以上であることが好ましい。また、現像性の観点から30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましく、8以下であることが特に好ましい。
【0163】
芳香族環基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、フリル基などが挙げられ、これらの中でも現像性の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、水酸基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アルキル基などが挙げられ、現像性の観点から水酸基、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。また、置換基を有していてもよいアルキル基や置換基を有していてもよいアルコキシ基における置換基としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。
これらの中でも、現像性の観点から、R21aが置換基を有していてもよいアルキル基で
あることが好ましく、無置換のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0164】
また、R21bは芳香環又はヘテロ芳香環を含む任意の置換基であるが、溶媒への溶解性や露光に対する感度の観点から、置換基を有していてもよいカルバゾリル基、置換基を有していてもよいチオキサントニル基又は置換基を有していてもよいジフェニルスルフィド基、これらの基とカルボニル基とを連結した基が好ましく挙げられる。これらの中でも、露光光源のi線(365nm)に対する光吸収性の観点から、置換基を有していてもよいカルバゾリル基、又は置換基を有していてもよいカルバゾリル基とカルボニル基を連結した基が好ましい。
【0165】
また、R22aにおけるアルカノイル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性や感度の観点から、通常2以上、好ましくは3以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。アルカノイル基の具体例としては、アセチル基、エチロイル基、プロパノイル基、ブタノイル基等が挙げられる。
アルカノイル基が有していてもよい置換基としては、芳香族環基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
【0166】
また、R22aにおけるアリーロイル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性や感度の観点から、通常7以上、好ましくは8以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。アリーロイル基の具体例としては、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
アリーロイル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アルキル基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
【0167】
前記一般式(I-1)で表される化合物の中でも、露光光源のi線(365nm)に対する光吸収性の観点から、下記一般式(I-2)又は(I-3)で表される化合物が挙げられる。
【0168】
【化14】
【0169】
【化15】
【0170】
上記式(I-2)又は(I-3)中、R21a及びR22aは、前記一般式(I-1)と同義である。
23aは、置換基を有していてもよいアルキル基を示す。
24aは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリーロイル基、置換基を有していてもよいヘテロアリーロイル基、又はニトロ基を示す。
カルバゾール環を構成するベンゼン環は、さらに芳香族環によって縮合されて多環芳香族環となっていてもよい。
【0171】
23aにおけるアルキル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性の観点から、通常1以上、好ましくは2以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、フェニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、又はニトロ基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
【0172】
23aにおけるアリーロイル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性の観点から、通常7以上、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは9以下である。アリーロイル基の具体例としては、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
アリーロイル基が有していてもよい置換基としては、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、フェニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、又はニトロ基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、エチル基であることが好ましい。
【0173】
23aにおけるヘテロアリーロイル基の炭素数は特に限定されないが、溶媒への溶解性の観点から、通常7以上、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは9以下である。ヘテロアリール基の具体例としては、フルオロベンゾイル基、クロロベンゾイル基、ブロモベンゾイル基、フルオロナフトイル基、クロロナフトイル基、ブロモナフトイル基等が挙げられる。
ヘテロアリーロイル基が有していてもよい置換基としてはカルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、フェニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、又はニトロ基などが挙げられ、合成容易性の観点からは、無置換であることが好ましい。
これらの中でもR23aとしては、溶媒への溶解性と合成容易性の観点から、アルキル基であることが好ましく、エチル基であることがより好ましい。
【0174】
カルバゾール環を構成するベンゼン環は、さらに芳香族環によって縮合されて多環芳香族環となっていてもよい。
【0175】
このようなオキシムエステル系化合物の市販品として、BASF社製のOXE-02、OXE-03、常州強力電子社製のTR-PBG-304、TR-PBG-314又はADEKA社製のN-1919、NCI-930、NCI-831などがある。
【0176】
オキシムエステル系化合物として、具体的には以下に例示されるような化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
【0177】
【化16】
【0178】
【化17】
【0179】
【化18】
【0180】
これら光重合開始剤は、それぞれ1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0181】
本発明の着色樹脂組成物において、(F)光重合開始剤の含有割合は特に限定されないが、着色樹脂組成物の全固形分に対して0質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上がさらに好ましく、0.5質量%以上が特に好ましく、また、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下がよりさらに好ましく、2質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで直線性が良化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで溶解性が向上する、特に残渣が抑制される傾向がある。
【0182】
[1-7]その他の固形分
本発明の着色樹脂組成物には、更に、必要に応じ上記成分以外の固形分を配合できる。このような成分としては、分散助剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0183】
[1-7-1]分散助剤
また本発明の着色樹脂組成物が顔料を含む場合、顔料の分散性の向上、分散安定性の向上のために分散助剤として顔料誘導体等を含んでいても良い。顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系顔料等の誘導体が挙げられる。顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接またはアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホンアミド基及びその4級塩、スルホン酸基が挙げられ、より好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していても良いし、置換数の異なる化合物の混合物でも良い。顔料誘導体の具体例としてはアゾ顔料のスルホン酸誘導体、フタロシアニン顔料のスルホン酸誘導体、キノフタロン顔料のスルホン酸誘導体、イソインドリン顔料のスルホン酸誘導体、アントラキノン顔料のスルホン酸誘導体、キナクリドン顔料のスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロール顔料のスルホン酸誘導体、ジオキサジン顔料のスルホン酸誘導体等が挙げられる。
【0184】
[1-7-2]界面活性剤
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等、各種のものを用いることができるが、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤の含有割合は、着色樹脂組成物の全固形分に対して通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、最も好ましくは0.3質量%以下の範囲が用いられる。
【0185】
[2]着色樹脂組成物の調製
次に、本発明に係る着色樹脂組成物(以下、レジストと称することがある)を調製する方法を説明する。
【0186】
着色剤として顔料を含むものを調製する場合にはまず、顔料、溶剤および分散剤を各所定量秤量し、分散処理工程において、顔料を含む顔料を分散させて顔料分散液を調製する。この分散処理工程では、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを使用することができる。この分散処理を行なうことによって色材が微粒子化されるため、着色樹脂組成物の塗布特性が向上し、製品のカラーフィルタ基板における画素の透過率が向上する。
【0187】
顔料を分散処理する際には、上述の通り、分散助剤又は分散樹脂などを適宜併用するのが好ましい。
サンドグラインダーを用いて分散処理を行なう場合は、0.1から数mm径のガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズを用いるのが好ましい。分散処理する際の温度は、通常0℃以上、好ましくは室温以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に設定する。なお、分散時間は、顔料分散液の組成、及びサンドグラインダーの装置の大きさなどにより適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
【0188】
上記分散処理によって得られた顔料分散液に、溶剤、バインダー樹脂、光重合開始剤、場合によっては上記以外の成分などを混合し、均一な分散溶液とする。なお、分散処理工程及び混合の各工程においては、微細なゴミが混入することがあるため、得られた顔料分散液をフィルタなどによって、ろ過処理することが好ましい。
【0189】
[3]カラーフィルタ基板の製造
次に、本発明に係るカラーフィルタについて説明する。
本発明に係るカラーフィルタは、上述の着色樹脂組成物を用いて形成した画素を有する。
【0190】
[3-1]透明基板(支持体)
カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラスまたは耐熱性樹脂が好ましい。
【0191】
透明基板及びブラックマトリクス形成基板には、接着性などの表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤や、ウレタン系樹脂などの各種樹脂の薄膜形成処理などを行なってもよい。透明基板の厚さは、通常0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上、また、通常10mm以下、好ましくは7mm以下の範囲とされる。また、各種樹脂の薄膜形成処理を行なう場合、その膜厚は、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の範囲である。
【0192】
[3-2]ブラックマトリクス
上述の透明基板上にブラックマトリクスを設け、更に通常は赤色、緑色、青色の画素画像を形成することにより、本発明に係るカラーフィルタを製造することができる。上記着色樹脂組成物は、赤色、緑色、青色の画素のうち、緑色の画素(レジストパターン)形成用塗布液(以下、「緑色レジスト」と略記する場合がある)として使用することが好ましい。当該緑色レジストを用い、透明基板上に形成された樹脂ブラックマトリクス形成面上、又は、クロム化合物その他の遮光金属材料を用いて形成した金属ブラックマトリクス形成面上に、塗布、加熱乾燥、画像露光、現像及び熱硬化の各処理を行なって画素画像を形成する。
【0193】
ブラックマトリクスは、遮光金属薄膜又はブラックマトリクス用着色樹脂組成物を利用して、透明基板上に形成される。遮光金属材料としては、金属クロム、酸化クロム、窒化クロムなどのクロム化合物、ニッケルとタングステン合金などが用いられ、これらを複数層状に積層させたものであってもよい。
これらの金属遮光膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成した後、クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸及び/又は硝酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリクスを形成することができる。
【0194】
この場合、まず、蒸着又はスパッタリング法などにより、透明基板上にこれら金属又は金属・金属酸化物の薄膜を形成する。次いで、この薄膜上に着色樹脂組成物の塗布膜を形成した後、ストライプ、モザイク、トライアングルなどの繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、塗布膜を露光・現像し、レジスト画像を形成する。その後、この塗布膜にエッチング処理を施してブラックマトリクスを形成することができる。
【0195】
ブラックマトリクス用感光性着色樹脂組成物を利用する場合は、黒色の着色剤を含有する着色樹脂組成物を使用して、ブラックマトリクスを形成する。例えば、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラックなどの黒色色材単独又は複数、もしくは、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択される赤色、緑色、青色などの混合による黒色色材を含有する着色樹脂組成物を使用し、下記の赤色、緑色、青色の画素画像を形成する方法と同様にして、ブラックマトリクスを形成することができる。
【0196】
[3-3]画素の形成
画素の形成方法は、使用する着色樹脂組成物の種類により異なるが、ここでは着色樹脂組成物として光重合性組成物を用いた場合を例に説明する。
ブラックマトリクスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色のうち一色の着色樹脂組成物を塗布し、乾燥した後、塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の着色樹脂組成物について各々行なうことによって、カラーフィルタ画像を形成することができる。
【0197】
カラーフィルタ用の着色樹脂組成物の塗布は、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法などによって行なうことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くなく、更には異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
【0198】
塗布膜の厚さは、大き過ぎるとパターン現像が困難となるとともに、液晶セル化工程でのギャップ調整が困難となることがある一方で、小さ過ぎると顔料濃度を高めることが困難となり、所望の色発現が不可能となることがある。塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下の範囲である。
【0199】
[3-4]塗布膜の乾燥
基板に着色樹脂組成物を塗布した後の塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。予備乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥温度及び乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて選択されるが、具体的には、乾燥温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常80℃以下、好ましくは70℃以下の範囲であり、乾燥時間は通常15秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常5分間以下、好ましくは3分間以下の範囲である。
【0200】
再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥温度より高い温度が好ましく、具体的には、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは160℃以下、特に好ましくは130℃以下の範囲である。また、乾燥時間は、加熱温度にもよるが、通常10秒以上、中でも15秒以上、また、通常10分以下、中でも5分の範囲とするのが好ましい。乾燥温度は、高いほど透明基板に対する接着性が向上するが、高過ぎるとバインダー樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。なお、この塗布膜の乾燥工程としては、温度を高めず減圧チャンバー内で乾燥を行なう減圧乾燥法を用いてもよい。
【0201】
[3-5]露光工程
画像露光は、着色樹脂組成物の塗布膜上に、ネガのマトリクスパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行なう。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行なってもよい。上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
【0202】
[3-6]現像工程
本発明に係るカラーフィルタは、本発明に係る着色樹脂組成物を用いた塗布膜に対し、上記の光源によって画像露光を行なった後、有機溶剤、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いて現像を行なうことによって、基板上に画像を形成して製造することができる。この水溶液には、更に有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
【0203】
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ-・ジ-又はトリエタノールアミン、モノ-・ジ-又はトリメチルアミン、モノ-・ジ-又はトリエチルアミン、モノ-又はジイソプロピルアミン、n-ブチルアミン、モノ-・ジ-又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であってもよい。
【0204】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤が挙げられる。
【0205】
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は、単独でも水溶液と併用して使用できる。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などの何れかの方法によることができる。
【0206】
[3-7]熱硬化処理
現像の後のカラーフィルタには、熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは250℃以下の範囲で選ばれ、時間は5分間以上、60分間以下の範囲で選ばれる。これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、ブラック、赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。なお、4色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
【0207】
[3-8]透明電極の形成
本発明に係るカラーフィルタは、このままの状態で画像上にITOなどの透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミドなどのトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)などの用途においては、透明電極を形成しないこともある。
【0208】
[4]画像表示装置(パネル)
次に、本発明の画像表示装置について説明する。本発明の画像表示装置は、前述のカラーフィルタを有する。以下、画像表示装置として、液晶表示装置及び有機EL表示装置について詳述する。
【0209】
[4-1]液晶表示装置
本発明に係る液晶表示装置の製造方法について説明する。本発明に係る液晶表示装置は、通常、上記本発明に係るカラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行なった後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
【0210】
スペーサは、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2~8μmのものが好適である。カラーフィルタ基板上に、フォトリソグラフィ法によって透明樹脂膜のフォトスペーサ(PS)を形成し、これをスペーサの代わりに活用することもできる。対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。
【0211】
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2μm以上、8μm以下の範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常1×10-2Pa以上、好ましくは1×10-3以上、また、通常1×10-7Pa以下、好ましくは1×10-6Pa以下の範囲である。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲である。
【0212】
減圧時の加温保持は、通常10分間以上、60分間以下の範囲とされ、その後、液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口を、UV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等の何れでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、何れであってもよい。
【0213】
[4-2]有機EL表示装置
本発明のカラーフィルタを有する有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
【0214】
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
【実施例
【0215】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0216】
<緑色顔料>
C.I.ピグメントグリーン58(DIC社製、FASTOGEN Green A350)
<黄色顔料>
C.I.ピグメントイエロー138
【0217】
<分散剤A>
窒素原子含有官能基を有するAブロックと、親溶媒性基を有するBブロックからなるメタクリル酸系ABブロック共重合体。Aブロック中に下記式(a1)で表される繰り返し単位を有し、Bブロック中に下記式(b1)で表される繰り返し単位を有する。全繰り返し単位中における下記式(a1)で表される繰り返し単位及び下記式(b1)で表される繰り返し単位の含有割合はそれぞれ、13モル%及び87モル%である。アミン価は70mgKOH/g、酸価は0mgKOH/g、重量平均分子量Mwは8000である。
【0218】
【化19】
【0219】
<分散剤B>
窒素原子含有官能基を有するAブロックと、親溶媒性基を有するBブロックからなるメタクリル酸系ABブロック共重合体。Aブロック中に下記式(a1)で表される繰り返し単位を有し、Bブロック中に下記式(b1)及び(b2)で表される繰り返し単位を有する。全繰り返し単位中における下記式(a1)で表される繰り返し単位、下記式(b1)で表される繰り返し単位、及び下記式(b2)で表される繰り返し単位の含有割合はそれぞれ、25モル%、64モル%、及び11モル%である。アミン価は120mgKOH/g、酸価は0mgKOH/g、重量平均分子量Mwは8000である。
【0220】
【化20】
【0221】
<分散剤C:ビックケミー社製分散剤「BYK-LPN6919」>
窒素原子含有官能基を有するAブロックと、親溶媒性基を有するBブロックからなるメタクリル酸系ABブロック共重合体。Aブロック中に下記式(a1)で表される繰り返し単位を有し、Bブロック中に下記式(b1)~(b5)で表される繰り返し単位を有する。全繰り返し単位中における下記式(a1)で表される繰り返し単位、及び(b1)~(b5)で表される繰り返し単位の含有割合はそれぞれ、33モル%、26モル%、15モル%、13モル%、9モル%及び4モル%である。アミン価は120mgKOH/g、酸価は0mgKOH/g、重量平均分子量はMw8000である。
【0222】
【化21】
【0223】
<樹脂A>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400質量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
【0224】
一方、モノマー槽中にジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート30質量部、メタクリル酸60質量部、メタクリル酸シクロヘキシル110質量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート5.2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn-ドデシルメルカプタン5.2質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27質量部を仕込み、反応槽の温度が90℃に安定してからモノマー槽および連鎖移動剤槽から滴下を開始し、重合を開始させた。温度を90℃に保ちながら滴下をそれぞれ135分かけて行い、滴下が終了して60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。
【0225】
3時間、110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル39.6質量部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4質量部、トリエチルアミン0.8質量部を仕込み、そのまま110℃で9時間反応させた。
室温まで冷却し、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが8000、酸価が101mgKOH/gの樹脂Aを得た。
【0226】
<樹脂B>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145質量部を窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。ここにスチレン10質量部、グリシジルメタクリレート85質量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成社製FA-513M)66質量部を滴下し、更に120℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、メタクリル酸52質量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7質量部およびハイドロキノン0.12質量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)60質量部、トリエチルアミン0.7質量部を加え、120℃3.5時間反応させた。こうして得られた樹脂BのGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは約8000、酸価は80mgKOH/gであった。
【0227】
<光重合性モノマー>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(A-9550、新中村化学工業社製)
【0228】
<光重合開始剤>
以下の化学構造を有するオキシムエステル系化合物(4-アセトキシイミノ-5-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-5-オキソペンタン酸メチル)
【0229】
【化22】
【0230】
<連鎖移動剤>
ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオナート)(淀化学社製)
【0231】
<界面活性剤>
メガファックF-559(DIC社製)
【0232】
<緑色顔料分散液A~Cの調製>
緑色顔料を13.8質量部使用し、分散剤として表1に記載の各種分散剤を固形分換算で2.3質量部、樹脂Aを固形分換算で3.9質量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80質量部(分散剤及び樹脂に含まれる溶剤も含む)、径0.5mmのジルコニアビーズ225質量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑色顔料分散液A~Cを調製した。得られた緑色顔料分散液A~Cについて、35℃で3日間保存をした前後において、東機産業社製E型粘度計「RE-80L」を用いて23.0±1.0℃における粘度を測定した。その結果を表1に示す。
【0233】
【表1】
【0234】
<黄色顔料分散液の調製>
黄色顔料を11.9質量部使用し、分散剤Cを固形分換算で4.1質量部、樹脂Aを固形分換算で6.0質量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート78質量部(分散剤及び樹脂に含まれる溶剤も含む)、径0.5mmのジルコニアビーズ225質量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて黄色顔料分散液を調製した。
【0235】
<着色樹脂組成物の調製>
(実施例1、2、及び比較例1~3)
前記各顔料分散液と他の成分を、表2に記載の配合量で混合して、各着色樹脂組成物を調製した。なお、表2中のバインダー樹脂の配合量は固形分換算値であり、溶剤の配合量にはバインダー樹脂に含まれる溶剤量も含まれる。
【0236】
【表2】
【0237】
<電圧保持率の測定>
2.5cm角の無アルカリガラス基板(旭硝子社製「AN-100」)の片面全面にITO膜を形成した電極基板Aと、2.5cm角の同ガラス基板の片面中央部に2mm幅の取り出し電極が接続された1cm角のITO膜を形成した電極基板Bを用意した。
【0238】
スピンコート法により、電極基板A上に実施例1、2、及び比較例1~3の各着色樹脂組成物を塗布し、ホットプレート上で80℃3分間乾燥した。なお、焼成後の塗膜の膜厚が2.5μmとなる様に塗布条件を調節した。
次いで、2kW高圧水銀灯により塗膜の全面を60mJ/cm2で露光した。そして、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液にて0.1MPa圧で50秒間スプレー現像した。次いで、0.1MPaの水圧で10秒間スプレー水洗処理を行い、その後、熱風循環炉内で230℃30分間の焼成を行った。
【0239】
次に、電極基板Bの外周上に、ディスペンサーを使用し、直径5μmのシリカビーズを含有するエポキシ樹脂系シール剤を塗布した後、電極基板Aの着色樹脂組成物を塗布した面を、外縁部が3mmずれる様に対向配置し、圧着したまま、熱風循環炉内で180℃2時間加熱した。
【0240】
上記の様にして得られた空セルに液晶(メルクジャパン社製「MLC-6846-000」)を注入し、UV硬化型シール剤によって周辺部を封止し、電圧保持率測定用液晶セルを完成した。
【0241】
次いで、上記液晶セルを熱風循環炉内で105℃2.5時間加熱した。その後、印加電圧5V、パルス周波数60Hz及び2Hzの条件で電極基板AとBの間にパルス電圧を印加して電圧保持率を測定した。各着色樹脂組成物の電圧保持率の測定結果を表3に示す。
【0242】
【表3】
【0243】
<色特性の評価>
50mm角、厚さ0.7mmのガラス基板(旭硝子社製「AN-100」)上に、上記各着色樹脂組成物をスピンコーターで塗布した後、80℃で3分間乾燥した。なお、熱硬化処理後の膜厚が2.5μmとなるように回転数を調整した。
次いで、2kW高圧水銀灯により、60mJ/cm2の露光量で全面露光処理を行った。その後、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液にて0.1MPa圧で50秒間スプレー現像した。次いで、0.1MPa圧で10秒間スプレー水洗処理を行い、その後、温度230℃で、30分間の熱硬化処理を行って塗布基板を作成した。
こうして得られた塗布基板について、日立製作所社製分光光度計U-3310により透過スペクトルを測定した。C光源にて算出した色度(x、y)と輝度(Y)を表4に示す。
【0244】
【表4】
【0245】
<溶解時間及び直線性の評価>
クロムが蒸着されたガラス基板に、上記各着色樹脂組成物をそれぞれスピンコート塗布し、80℃のホットプレートにて3分間プリベークを行った。塗布に関しては温度230℃で、30分間の熱硬化処理後の膜厚が2.5μmとなるように回転数を調整した。
次に、2kW高圧水銀灯を用いて、幅50μm、長さ3mmの直線状開口部を有するマスクを介して60mJ/cm2で露光した後、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液にて0.25MPa圧でスプレー現像した。現像時間は、あらかじめ測定した各着色樹脂組成物の溶解時間の2倍とした。なお、未露光部の着色樹脂組成物が現像液へ完全に溶解し、基板が露出した時間をその着色樹脂組成物の溶解時間とした。基板は現像後、十分な水でリンスした後、クリーンエアで乾燥した。
【0246】
得られた直線状パターン5本を、光学顕微鏡を用いて10倍で観察し、パターンの縁のかけの数を数え、以下の基準で評価した。溶解時間及び直線性の結果を表5に示す。
○:かけの数が0~5個
△:かけの数が6~10個
【0247】
【表5】
【0248】
表3より、本発明の着色樹脂組成物は、液晶の電圧保持率が高いことが明らかである。
実施例1、2では、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を50モル%以上有する分散剤A又は分散剤Bを含むことで、液晶分子との親和性が低くなり、また、顔料と分散剤の立体反発が抑制されて分散剤中の吸着基の顔料への吸着が促進される。この為、遊離の分散剤が液晶に溶出するのが抑制され、液晶の電圧保持率、特に低周波数条件における電圧保持率が良好になっていると考えられる。また、前記一般式(i)で表される繰り返し単位を有する樹脂Bを含み、カルボキシル基が流動性の高い側鎖に結合していることでカルボキシル基同士の水素結合による分子内会合を起こしにくく、エチレン性二重結合が分子の外側を向きやすくなることで硬化性が高くなり、電圧保持率が高くなったと考えられる。
【0249】
これに対して比較例1では前記一般式(I)で表される繰り返し単位を50モル%以上有する分散剤を含まないため、遊離の分散剤が多く、それが液晶へ溶出することで電圧保持率、特に低周波数条件における電圧保持率が低くなっていると考えられる。
【0250】
また比較例2、3では前記一般式(i)で表される繰り返し単位を有する樹脂を含まず、(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位を有する樹脂Aを含むものの、(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基は主鎖近傍にあることによって流動性が低く、カルボキシル基同士の水素結合による分子内会合を起こしやすく、エチレン性二重結合が分子の内側を向きやすくなることで硬化性が低くなって電圧保持率が低くなったと考えられる。
【0251】
また表4より、本発明の着色樹脂組成物は輝度が高い。
実施例1、2では、側鎖の炭素数が少なく耐熱性の高い前記一般式(I)で表される繰り返し単位を50モル%以上有する分散剤A又は分散剤Bを含むことで、熱硬化処理による熱分解を起こしにくく、熱分解に伴う着色及び輝度低下が抑制されていると考えられる。これに対して比較例1では前記一般式(I)で表される繰り返し単位を50モル%以上有する分散剤を含まないため耐熱性が低く、熱硬化処理によって熱分解し、着色によって輝度低下していると考えられる。
【0252】
さらに表5より、実施例1及び2の着色樹脂組成物は溶解時間が30秒以下と短いのに対し、比較例2及び3の着色樹脂組成物では40秒を超えカラーフィルタの製造に適さないことがわかった。また、実施例1及び2は比較例2及び3に対して、直線パターンのかけの数が少なく、良好な直線性を持つパターンが得られることがわかった。
実施例1及び2はバインダー樹脂として、流動性の高い側鎖にカルボキシル基が付加した構造の前記一般式(i)で表される繰り返し単位を有する樹脂Bを含むことで、該カルボキシル基と現像液との接触効率が高く、溶解時間が短くなっていると考えられる。これに対して比較例1はバインダー樹脂として、(メタ)アクリル酸と他の成分を共重合させた樹脂Aを含むことで、(メタ)アクリル酸由来のカルボキシル基と現像液との接触効率が低く、溶解時間が長くなっていると考えられる。
【符号の説明】
【0253】
100 有機EL素子
10 透明支持基板
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極
図1