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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20240308BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240308BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240308BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240308BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20240308BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240308BHJP
   H01L 21/50 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/00 K
F21V19/00 170
F21V19/00 130
F21S2/00 312
F21S41/19
G03F7/20 521
G03F7/20 501
H01L21/50 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021209764
(22)【出願日】2021-12-23
(65)【公開番号】P2023094342
(43)【公開日】2023-07-05
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】▲蔭▼山 弘明
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-077940(JP,A)
【文献】特表2021-534594(JP,A)
【文献】特開2021-027289(JP,A)
【文献】特表2016-502265(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094461(WO,A1)
【文献】特開2003-209295(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0027642(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
G09F 9/00- 9/00
G09F 9/30- 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する第1紫外線透過層と、前記第1紫外線透過層の前記第1面に接した第2面及び前記第2面の反対側に位置する第3面を有する第1粘着層と、前記第3面に対向する光反射層を有し前記第1粘着層の前記第3面に接した複数の第1発光素子と、前記複数の第1発光素子に接した第4面及び前記第4面の反対側に位置する第5面を有する第2粘着層と、前記第2粘着層の前記第5面に接した第6面及び前記第6面の反対側に位置する第7面を有する第2紫外線透過層と、を含む中間体を準備する工程と、
前記第2紫外線透過層の前記第7面における一部の前記第1発光素子に対応する領域に紫外線遮蔽層を配置する工程と、
前記紫外線遮蔽層側から前記中間体に対して紫外線を照射することにより、前記第2粘着層における前記紫外線遮蔽層に対応していない部分の粘着力を低下させる第1紫外線照射工程と、
前記第1紫外線透過層側から前記中間体に対して紫外線を照射することにより、前記第2粘着層における前記光反射層に対応していない部分の粘着力を低下させる第2紫外線照射工程と、
前記一部の第1発光素子を前記第2粘着層と共に前記第1粘着層から離す工程と、
を備え、
前記第1紫外線照射工程及び前記第2紫外線照射工程の後において、前記第2粘着層における紫外線に照射された部分の粘着力は前記第1粘着層の粘着力よりも弱く、前記第2粘着層における紫外線に照射されていない部分の粘着力は前記第1粘着層の粘着力よりも強い発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記複数の第1発光素子は、前記第2粘着層に接する上面と、前記第1粘着層に接する下面と、前記上面と前記下面との間の側面とを有し、
前記中間体において、前記第2粘着層は前記第1発光素子の側面に接する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1粘着層及び前記第2粘着層は紫外線反応層である請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記中間体を準備する工程は、
前記第1紫外線透過層、第1粘着層、及び、前記複数の第1発光素子が積層された積層体を準備する工程と、
前記第1紫外線透過層側から紫外線を照射する工程と、
を有する請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1発光素子における前記第1粘着層側に位置する面は、前記第1発光素子における前記第2粘着層側に位置する面よりも大きい請求項1~4のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記一部の第1発光素子は不良品であり、
前記一部の第1発光素子を前記第1粘着層から離す工程において、良品の前記第1発光素子が前記第1粘着層側に残留する請求項1~5のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記紫外線遮蔽層を配置する工程の前に、
前記複数の第1発光素子の電気的特性を評価することにより、前記複数の第1発光素子がそれぞれ前記不良品であるか前記良品であるかを判断する工程をさらに備えた請求項6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記一部の発光素子を前記第1粘着層から離す工程の後に、
前記一部の第1発光素子が配置されていた領域に、第2発光素子を配置する工程と、
をさらに備えた請求項6または7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記一部の発光素子を前記第1粘着層から離す工程の後、前記第2発光素子を配置する工程の前に、前記第1粘着層上に残留する前記第1発光素子を前記第1粘着層から第1シートに転写する工程と、をさらに備え、
前記第2発光素子を配置する工程は、前記第1シートに前記第2発光素子を配置する工程である請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2発光素子を配置する工程の後に、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子を覆う透光性部材を設ける工程をさらに備えた請求項8または9に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1枚の配線基板に多数の発光素子を搭載した発光装置が開発されている。このような発光装置においては、配線基板に搭載された発光素子の中に不良品があった場合に、この不良品を除去し、良品と交換する工程が必要となる。
【0003】
特許文献1には、複数の電気素子の上下に2枚の接着フィルムを配置し、一方の接着フィルムを選択的に露光することにより、複数の電気素子を選択的に移載する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、発光素子がより小型化し、発光素子間の距離がより短くなると、特許文献1に記載された方法では、発光素子を精度良く移載できなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2019-506737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、発光素子を精度良く移載可能な発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る発光装置の製造方法は、中間体を準備する工程を備える。前記中間体は、第1面を有する第1紫外線透過層と、前記第1紫外線透過層の前記第1面に接した第2面及び前記第2面の反対側に位置する第3面を有する第1粘着層と、前記第3面に対向する光反射層を有し前記第1粘着層の前記第3面に接した複数の第1発光素子と、前記複数の第1発光素子に接した第4面及び前記第4面の反対側に位置する第5面を有する第2粘着層と、前記第2粘着層の前記第5面に接した第6面及び前記第6面の反対側に位置する第7面を有する第2紫外線透過層と、を含む。発光装置の製造方法は、前記第2紫外線透過層の前記第7面における一部の前記第1発光素子に対応する領域に紫外線遮蔽層を配置する工程と、前記紫外線遮蔽層側から前記中間体に対して紫外線を照射する第1紫外線照射工程と、前記第1紫外線透過層側から前記中間体に対して紫外線を照射する第2紫外線照射工程と、前記一部の第1発光素子を前記第2粘着層と共に前記第1粘着層から離す工程と、をさらに備える。前記第1紫外線照射工程及び前記第2紫外線照射工程の後において、前記第2粘着層における紫外線に照射された部分の粘着力は前記第1粘着層の粘着力よりも弱く、前記第2粘着層における紫外線に照射されていない部分の粘着力は前記第1粘着層の粘着力よりも強い。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、発光素子を精度良く移載可能な発光装置の製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図11図11は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図12図12は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図13図13は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図14図14は、第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図15図15は、第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図16図16は、第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図17図17は、第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図18図18は、第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図19図19は、第3の実施形態に係る発光モジュールを模式的に示す斜め上側から見た斜視図である。
図20図20は、第3の実施形態に係る発光モジュールを模式的に示す斜め下側から見た斜視図である。
図21図21は、図19の領域XXIを示す一部拡大上面図である。
図22図22は、図19に示すXXII-XXII線による断面図である。
図23A図23Aは、図22の領域XXIIIAを示す一部拡大断面図である。
図23B図23Bは、図23Aの領域XXIIIBを示す一部拡大断面図である。
図24図24は、第3の実施形態における発光素子を模式的に示す上面図である。
図25図25は、図24に示すXXV-XXV線による断面図である。
図26A図26Aは、第4の実施形態に係る発光モジュールを模式的に示す上面図である。
図26B図26Bは、1つの透光性部材を模式的に示す一部拡大上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、適宜簡略化及び強調されている。例えば、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。さらに、断面図として切断面のみを示す端面図を用いる場合もある。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図1図14は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
【0012】
(第1発光素子10を準備する工程)
図1に示すように、成長基板100を用意する。成長基板100は、例えば、サファイア等のウェーハである。次に、成長基板100の上面に複数の第1発光素子10を形成する。例えば、成長基板100の上面に半導体層を成長させ、半導体層上に電極層を形成し、電極層及び半導体層を個々の第1発光素子10ごとに個片化する。これにより、成長基板上に行列状に配列された複数の第1発光素子10が得られる。また、予め成長基板100が除去され個片化された第1発光素子10が半導体層支持基板に配置されたものを準備してもよい。
【0013】
第1発光素子10は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である。第1発光素子10は、半導体部分11と、半導体部分11上に配置された光反射層12と、を有する。半導体部分11は上述の半導体層が分割されたものであり、p型層、発光層及びn型層が積層されている。光反射層12は半導体部分11上のほぼ全面に配置された金属層であり、一対の電極層を含んでいる。第1発光素子10は、半導体部分11及び光反射層12の他に、絶縁層等の他の部材を含んでいてもよい。なお、本実施形態及び後述する第2の実施形態においては、第1発光素子10の構成を簡略化して説明する。後述する第3の実施形態において、第1発光素子10の具体例を詳細に説明する。
【0014】
第1発光素子10は上面10a、上面10aと反対側の下面10b及び側面10cを有している。上面10aは光反射層12が配置された側の面である。下面10bは成長基板100に接している。側面10cは上面10aと下面10bの間に配置されている。例えば、上面10a及び下面10bの平面形状は略矩形であり、側面10cの数は4である。側面10c側から見て、第1発光素子10の形状は略台形であり、下面10bは上面10aよりも大きい。
【0015】
(第1発光素子10が不良品であるか良品であるかを判断する工程)
次に、図2に示すように、複数の第1発光素子10の外観検査及び/又は電気的特性評価により、複数の第1発光素子10がそれぞれ不良品であるか良品であるかを判断する。一例では、電気的特性の評価においては、第1発光素子10の電極層に一対のプローブ95を接触させて通電し、第1発光素子10の電気特性を測定して評価する。そして、例えば、得られた特性が所望の基準値を満たさない第1発光素子10を不良品、基準値を満たす第1発光素子10を良品と判断する。図2においては、説明の便宜上、不良品と判断された第1発光素子10に符号「10n」を付し、良品と判断された第1発光素子10に符号「10g」を付している。以後の図においても同様である。また、第1発光素子10n及び10gを総称して「第1発光素子10」という場合もある。
【0016】
(積層体99を準備する工程)
次に、図3に示すように、複数の第1発光素子10の上面10aに支持基板98を接着する。次に、成長基板100を除去する。これにより、第1発光素子10の下面10bを成長基板100から露出させる。次に、複数の第1発光素子10の下面10bに、第1粘着層20を介して、第1紫外線透過層30を接着する。
【0017】
第1粘着層20は、紫外線反応層である。紫外線反応層とは、紫外線が照射されることにより粘着力が変化する層である。例えば、紫外線反応層は紫外線硬化樹脂により形成されており、紫外線が照射されると硬化して、粘着力が弱くなる。第1紫外線透過層30は、紫外線を実質的に透過させる層であり、第1粘着層20の支持体である。
【0018】
次に、支持基板98を除去する。このようにして、複数の第1発光素子10を成長基板100から第1紫外線透過層30に転写して、積層体99を準備する。積層体99においては、第1紫外線透過層30、第1粘着層20、及び、複数の第1発光素子10がこの順に積層されている。
【0019】
次に、図4に示すように、積層体99に対して、第1紫外線透過層30側から紫外線UV1を照射する。紫外線UV1は第1紫外線透過層30を透過して第1粘着層20に到達し、第1粘着層20の全体を照射する。これにより、積層体99における第1粘着層20の粘着力が弱くなる。
【0020】
(中間体90を準備する工程)
次に、図5に示すように、積層体99における第1粘着層20上及び第1発光素子10上に、第2粘着層40を介して第2紫外線透過層50を配置する。第2粘着層40と第1発光素子10との接着は、例えば真空マウンターを用いる。これにより、第2粘着層40と第1粘着層20及び第1発光素子10との間に気泡が入らないように、第2粘着層40と、第1粘着層20及び第1発光素子10とを密に接着させることができる。つまり、真空マウンターを用いることにより、第2粘着層40を第1発光素子10の側面10c間に配置させることができる。第2紫外線透過層50は、紫外線を実質的に透過させる層であり、第2粘着層40の支持体である。第2紫外線透過層50は第2粘着層40によって第1粘着層20及び複数の第1発光素子10に接着される。また、この時点で、第2粘着層40の粘着力は第1粘着層20の粘着力よりも強い。第2粘着層40は、例えば、第1粘着層20とは異なる種類の紫外線反応層である。
【0021】
このようにして、中間体90が準備される。中間体90は、第1面30aを有する第1紫外線透過層30と、第1紫外線透過層30の第1面30aに接した第2面20a及び第2面20aの反対側に位置する第3面20bを有する第1粘着層20と、第3面20bに対向する光反射層12を有し第1粘着層20の第3面20bに接した複数の第1発光素子10と、複数の第1発光素子10に接した第4面40a及び第4面40aの反対側に位置する第5面40bを有する第2粘着層40と、第2粘着層40の第5面40bに接した第6面50a及び第6面50aの反対側に位置する第7面50bを有する第2紫外線透過層50と、を含む。
【0022】
換言すれば、中間体90においては、第1紫外線透過層30、第1粘着層20、複数の第1発光素子10、第2粘着層40及び第2紫外線透過層50がこの順に積層されている。第1面30aは第1紫外線透過層30の上面であり、第2面20aは第1粘着層20の下面であり、第3面20bは第1粘着層20の上面であり、第4面40aは第2粘着層40の下面であり、第5面40bは第2粘着層40の上面であり、第6面50aは第2紫外線透過層50の下面であり、第7面50bは第2紫外線透過層50の上面である。なお、ここでいう「上面」及び「下面」との表現は便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。
【0023】
第1発光素子10の下面10bは第1粘着層20の第3面20bに接し、第1発光素子10の側面10c及び上面10aは第2粘着層40の第4面40aに接する。そして、第1発光素子10における第1粘着層20側に位置する下面10bは、第1発光素子10における第2粘着層40側に位置する上面10aよりも大きい。
【0024】
(紫外線遮蔽層60を配置する工程)
次に、図6に示すように、第2紫外線透過層50の第7面50bにおける一部の第1発光素子10に対応する領域に、紫外線遮蔽層60を配置する。「一部の第1発光素子10」は、例えば、図2に示す工程において不良品と判断された第1発光素子10nである。
【0025】
紫外線遮蔽層60は、紫外線を反射及び/又は吸収等により遮蔽することができる材料で形成される。紫外線遮光層60としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等の紫外線を遮蔽する金属酸化物や、カーボン等の紫外線を吸収する顔料等を含む樹脂、紫外線を遮蔽するように構成された誘電体多層膜や金属膜等が挙げられる。紫外線遮蔽層60は、例えば、塗布や印刷等により配置することができる。また紫外線遮蔽層60を配置する工程は、第2紫外線透過層50の第7面50bに、紫外線遮蔽層60を含むマスクを配置することとしてもよい。
【0026】
紫外線遮蔽層60は、例えば、各第1発光素子10nの直上域に配置し、第1発光素子10gの直上域には配置しない。なお、中間体90において、複数の第1発光素子10が密に配置されている場合などは、紫外線遮蔽層60の位置を第1発光素子10nの位置のみに精密に対応させることは困難である。このため、紫外線遮蔽層60を配置する工程における第1発光素子10nに対する紫外線遮蔽層60の位置には、不可避的に誤差が生じる。
【0027】
紫外線遮蔽層60は、照射された紫外線の少なくとも一部を遮断する。紫外線遮蔽層60における紫外線の透過率は、上述の第1紫外線透過層30及び第2紫外線透過層50における紫外線の透過率よりも低い。例えば、波長が365nmの紫外線に関して、第1紫外線透過層30の透過率は50%以上であり、紫外線遮蔽層60の透過率は20%以下である。
【0028】
(第1紫外線照射工程)
次に、図7に示すように、紫外線遮蔽層60側から中間体90に対して紫外線UV2を照射する。紫外線遮蔽層60に到達した紫外線UV2は紫外線遮蔽層60によって遮断される。紫外線遮蔽層60の側方を通過して第2紫外線透過層50に到達した紫外線UV2は、第2紫外線透過層50を透過し、第2粘着層40に入射する。これにより、第2粘着層40のうち、紫外線UV2が照射された部分40cの粘着力が低下する。
【0029】
上述の如く、紫外線遮蔽層60は各第1発光素子10nに対応する領域に配置されているため、第2粘着層40における粘着力が低下する部分40cは、概ね、良品の第1発光素子10gに対応する部分である。但し、第1発光素子10nに対する紫外線遮蔽層60の位置には誤差がある可能性が高いため、部分40cと第1発光素子10gとの位置関係にも誤差がある可能性が高い。この結果、第1発光素子10gが部分40cによって完全に囲まれるとは限らず、第1発光素子10gが第2粘着層40における粘着力が低下していない部分に接する場合もある。
【0030】
(第2紫外線照射工程)
次に、図8に示すように、第1紫外線透過層30側から中間体90に対して紫外線UV3を照射する。紫外線UV3は、第1紫外線透過層30及び第1粘着層20を透過して、第2粘着層40及び第1発光素子10に入射するが、紫外線UV3の一部は第1発光素子10の光反射層12によって遮断される。これにより、第2粘着層40のうち、紫外線UV3が照射された部分40dの粘着力が低下する。部分40dは、第2粘着層40のうち、第1発光素子10間に位置する部分である。
【0031】
この結果、第2粘着層40のうち、第1紫外線照射工程において紫外線UV2が照射された部分40cと、第2紫外線照射工程において紫外線UV3が照射された部分40dは粘着力が低下し、部分40cでもなく部分40dでもない部分40eの粘着力は維持される。この段階において、第2粘着層40における紫外線UV2及びUV3に照射された部分40c及び40dの粘着力は第1粘着層20の粘着力よりも弱く、第2粘着層40における紫外線UV2及びUV3に照射されていない部分40eの粘着力は第1粘着層20の粘着力よりも強い。
【0032】
部分40eは、例えば、紫外線遮蔽層60の直下域であって、且つ、第1発光素子10の光反射層12の直上域に位置する部分である。このため、不良品と判定された第1発光素子10nは部分40eに接する。一方、良品と判定された第1発光素子10gは部分40c及び部分40dによって囲まれ、部分40eには接しない。
【0033】
(一部の第1発光素子10nを第1粘着層20から離す工程)
次に、図9に示すように、第2紫外線透過層50を第1紫外線透過層30から剥がす。これにより、第2粘着層40が第1粘着層20から分離する。このとき、それぞれの第1発光素子10が第2粘着層40と共に第1粘着層20から離されるか、第1粘着層20側に残留するかは、第1粘着層20と第2粘着層40との粘着力の強弱関係によって決定される。
【0034】
第2粘着層40の部分40eの粘着力は第1粘着層20の粘着力よりも強いため、部分40eに接した第1発光素子10nは、第2粘着層40と共に第1粘着層20から離れる。一方、第2粘着層40の部分40c及び40dの粘着力は第1粘着層20の粘着力よりも弱いため、部分40eに接していない第1発光素子10gは、第1粘着層20側に残留する。
【0035】
また、第1発光素子10の下面10b以外の表面は第2粘着層40によって覆われているものの、下面10bは上面10aよりも大きいため、第1発光素子10gを第2粘着層40から容易に離すことができる。このようにして、不良品と判断された第1発光素子10nのみを第1粘着層20から除去すると共に、良品と判断された第1発光素子10gを第1粘着層20側に残留させることができる。
【0036】
(第1シート91に転写する工程)
次に、図10に示すように、第1粘着層20上に残留する第1発光素子10gを、第1粘着層20から第1シート91に転写する。第1シート91は、例えば、耐熱シートである。本実施形態においては、第1発光素子10gの下面10bを第1シート91に接着する。
【0037】
例えば、図9に示す状態において、第1発光素子10gの上面10aに第2シート92を接着させ、その後、第1紫外線透過層30及び第1粘着層20を除去する。そして、第1発光素子10gを第1粘着層20から第2シート92に転写する。次に、第1発光素子10gの下面10bに第1シート91を接着させ、その後、第2シート92を除去する。このようにして、第1発光素子10gの下面10bが第1シート91に接する状態で、第1発光素子10gを第1シート91に転写することができる。
【0038】
(第2発光素子70を配置する工程)
次に、図11に示すように、例えば、マウンター93を用いて、第1シート91における空き領域(つまり、第1発光素子10gが配置されていない領域であり、中間体90における第1発光素子10nが配置されていた領域)に、第2発光素子70を配置する。第2発光素子70は、例えば、第1発光素子10と同じ種類の良品の素子である。第2発光素子70においても半導体部分11及び光反射層12が設けられており、半導体部分11を第1シート91に当接させる。これにより、図3に示す工程において行列状に配置した複数の第1発光素子10のうち、第1発光素子10nが配置されていた領域に、第2発光素子70が配置される。このようにして、不良品の第1発光素子10nが良品の第2発光素子70に置換される。
【0039】
(実装基板に転写する工程)
次に、図12に示すように、製造する発光装置の大きさに合わせて、第1シート91を個片化する。個片化された各第1シート91は、1つの発光装置に搭載される第1発光素子10g及び第2発光素子70を備える。
【0040】
次に、図13に示すように、第1発光素子10g及び第2発光素子70を第1シート91から実装基板80に転写する。このとき、第1発光素子10gの上面10a及び第2発光素子70の上面を実装基板80に当接させる。次に、第1シート91を第1発光素子10g及び第2発光素子70から除去する。
【0041】
(被覆部材を設ける工程)
次に、図14に示すように、第1発光素子10g及び/又は第2発光素子70の相互間に、被覆部材81を配置する。被覆部材81は、実装基板80と第1発光素子10gとの間、及び、実装基板80と第2発光素子70との間に配置されてもよい。被覆部材81は、絶縁性部材であり、好ましくは白色樹脂である。
【0042】
(透光性部材を設ける工程)
次に、第1発光素子10g上及び第2発光素子70上に、透光性部材82を配置する。例えば、1枚の実装基板80に対して1つの透光性部材82を配置する。透光性部材82は、第1発光素子10gの下面10b及び第2発光素子70の下面に、例えば接着剤層を介して接着させる。これにより、透光性部材82は第1発光素子10g及び第2発光素子70を覆う。透光性部材82は例えば蛍光体を含む。透光性部材82においては、例えば、母材となる透光性樹脂中に多数の蛍光体粒子が配置されている。このようにして、本実施形態に係る発光装置1が製造される。
【0043】
(発光装置1)
発光装置1の構成について説明する。
図14に示すように、本実施形態に係る発光装置1は、実装基板80、第1発光素子10g及び/又は第2発光素子70、被覆部材81、透光性部材82を含む。第1発光素子10g及び/又は第2発光素子70は、実装基板80の上面に例えば行列状に配列されている。被覆部材81は、実装基板80上であって第1発光素子10g及び/又は第2発光素子70の相互間に配置されている。透光性部材82は、第1発光素子10g及び/又は第2発光素子70と被覆部材81上に配置されている。第1発光素子10g及び/又は第2発光素子70の光反射層12は一対の電極層を含む。一対の電極層は実装基板80の配線に接続されている。
【0044】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、図5に示す工程において、複数の第1発光素子10を第1粘着層20と第2粘着層40によって挟み、第1発光素子10の下面10bを第1粘着層20に接着させ、上面10aを第2粘着層40に接着させる。この時点では、第2粘着層40の粘着力を第1粘着層20の粘着力よりも強くしておく。そして、図6に示す工程において、不良品の第1発光素子10nに対応する領域に紫外線遮蔽層60を配置し、図7に示す工程において、紫外線UV2を照射する。これにより、第2粘着層40に紫外線UV2が選択的に照射され、部分40cの粘着力が低下する。部分40cは、概ね、良品である第1発光素子10gの周囲に配置される。
【0045】
次に、図8に示す工程において、紫外線UV3を照射する。紫外線UV3は第1発光素子10の光反射層12によって遮断されるため、第2粘着層40における各第1発光素子10の周囲に位置する部分40dの粘着力が低下する。これにより、紫外線遮蔽層60の位置に誤差があり、紫外線UV2の照射後に第2粘着層40における粘着力が高い部分が第1発光素子10gに接していたとしても、紫外線UV3の照射によって、第2粘着層40のうち第1発光素子10の周囲に配置された部分の粘着力が低下する。この結果、図9に示す工程において、第1発光素子10gを確実に第1粘着層20側に残留させることができる。このように、本実施形態によれば、第1発光素子10が小型化し、第1発光素子10間の距離が短くなり、第2粘着層40を高精度に露光することが困難になっても、不良品の第1発光素子10nのみを精度良く分離することができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、図2に示す工程において第1発光素子10の電気的特性を評価して、良品と不良品とに識別したが、第1発光素子10の電気的特性を評価するタイミングはこれには限定されない。但し、第1発光素子10の電気的特性を評価は、第1発光素子10の電極層が露出しているときに行うことが好ましく、図5に示す第2粘着層40及び第2紫外線透過層50を設ける工程の前に行うことが好ましい。
【0047】
また、本実施形態においては、第1発光素子10を良品と不良品に区別して不良品を第1粘着層20から除去する例を示したが、これには限定されない。例えば、異なる規格に分類される第1発光素子10が混在する第1発光素子群から、任意の第1発光素子10を選択して移載することができる。
【0048】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
図15図18は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
本実施形態においては、主として第1の実施形態との相違点を説明し、第1の実施形態と同様な部分は説明を省略する。
【0049】
先ず、図1図9に示す上述した工程を実施する。これにより、複数の第1発光素子10が配置された第1粘着層20上から不良品の第1発光素子10nが離され、第1粘着層20上に残留する複数の良品の第1発光素子10gが得られる。
【0050】
(第1シートに転写する工程)
次に、図15に示すように、第1粘着層20上に残留する第1発光素子10gを、第1粘着層20から第1シート91に転写する。本実施形態においては、第1の実施形態とは異なり、第1発光素子10gの上面10aを第1シート91に接着する。
【0051】
(第2発光素子70を配置する工程)
次に、図16に示すように、例えば、マウンター93を用いて、第1シート91における空き領域に、第2発光素子70を配置する。これにより、図3に示す工程において行列状に配置した複数の第1発光素子10のうち、第1発光素子10nが配置されていた領域に、第2発光素子70が配置される。この場合も、第1の実施形態とは異なり、第2発光素子70の上面、すなわち、光反射層12側の面を第1シート91に接着する。
【0052】
(透光性部材を設ける工程)
次に、図17に示すように、第1発光素子10g上及び/又は第2発光素子70上に、透光性部材82を配置する。透光性部材82は、第1発光素子10gの下面10b及び/又は第2発光素子70の下面に、例えば接着剤層を介して接着される。これにより、透光性部材82は第1発光素子10g及び/又は第2発光素子70を覆う。
【0053】
(実装基板に実装する工程)
次に、図18に示すように、第1シート91を除去する。次に、製造する発光装置の大きさに合わせて、透光性部材82を個片化する。次に、第1発光素子10g及び/又は第2発光素子70と透光性部材82とを含む構造体を、実装基板80上に配置する。このようにして本実施形態に係る発光装置2が製造される。
【0054】
なお、透光性部材82を設けた後、第1発光素子10g及び/又は第2発光素子70の相互間に被覆部材81を配置し、透光性部材82を個片化する際に、被覆部材81も切断してもよい。また、第1発光素子10g及び/又は第2発光素子70、透光性部材82を含む構造体を実装基板80上に配置した後で、透光性部材82及び実装基板80を共に切断してもよい。
【0055】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、前述の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法を用いて、発光モジュールを製造する例である。
【0056】
先ず、本実施形態に係る発光モジュールの構成について説明する。
図19は、本実施形態に係る発光モジュールを模式的に示す斜め上側から見た斜視図である。
図20は、本実施形態に係る発光モジュールを模式的に示す斜め下側から見た斜視図である。
図21は、図19の領域XXIを示す一部拡大上面図である。
図22は、図19に示すXXII-XXII線による断面図である。
図23Aは、図22の領域XXIIIAを示す一部拡大断面図である。
図23Bは、図23Aの領域XXIIIBを示す一部拡大断面図である。
【0057】
図19乃至図21に示すように、本実施形態に係る発光モジュール101は、パッケージ基板110、配線基板120、複数の発光素子130、第1樹脂140、第2樹脂150、複数のワイヤ160、及び、第3樹脂170を備える。なお、図19においては、図示の便宜上、第3樹脂170の一部及び第2樹脂150の一部を省略しており、ワイヤ160の一部及び発光素子130の一部を可視化している。
【0058】
パッケージ基板110の平面視の形状は、例えば、矩形である。パッケージ基板110は、例えば、セラミックス又は樹脂等の絶縁基体111を含む。絶縁基体111の内部には、例えば、銅(Cu)等の導電性材料によって複数の配線が形成されている。配線の一部は、パッケージ基板110の上面110aに露出して複数の第1パッド112となり、配線の他の一部はパッケージ基板110の下面110bに露出して複数の第2パッド113となっている。
【0059】
本実施形態においては、説明の便宜上、XYZ直交座標を採用する。パッケージ基板110の長手方向を「X方向」とし、短手方向を「Y方向」とし、厚さ方向を「Z方向」とする。Z方向のうち、パッケージ基板110の下面110bから上面110aに向かう方向を「上」ともいい、その逆方向を「下」ともいうが、この表現も便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。
【0060】
また、パッケージ基板110の上面110a及び下面110bには、熱伝導性材料、例えば、銅からなる放熱部114が露出している。放熱部114は、例えば、アルミニウムや銅等、熱伝導性に優れる材料を用いることができる。平面視で、放熱部114はパッケージ基板110の中央部に配置されている。第1パッド112及び第2パッド113は、Y方向において、放熱部114の両側に配置されている。第1パッド112及び第2パッド113は、例えば、パッケージ基板110の長辺に沿って配列されている。
【0061】
配線基板120は、パッケージ基板110の放熱部114上に配置されている。配線基板120は、例えば、集積回路が内蔵されたシリコン基板であり、例えば、特定用途向け集積回路基板(Application Specific Integrated Circuit基板:ASIC基板)である。配線基板120の下面は、放熱部114の上面に、例えば接合部材を介して接合されている。接合部材には、例えば、シリコーン銀ペーストを用いる。配線基板120の上面121の中央部には、発光素子130に接続されるパッドが配置されている。発光素子130に接続されるパッドの周辺には、外部接続用パッドが配置されている。
【0062】
ワイヤ160は、パッケージ基板110の第1パッド112と、配線基板120の外部接続用パッドとに接続されている。ワイヤ160は、例えば、金(Au)である。例えば、ワイヤ160の数は第1パッド112の数と同じである。
【0063】
第3樹脂170の平面視の形状は、配線基板120の外縁に沿った矩形の枠状である。第3樹脂170は、パッケージ基板110の上面及び配線基板120の上面に配置され、パッケージ基板110の第1パッド112、ワイヤ160、及び、配線基板120の外部接続用パッドを覆っている。平面視において、第3樹脂170は中央部が開口する枠状であり、第3樹脂170は、複数の発光素子130、第1樹脂140及び第2樹脂150を覆っていない。
【0064】
図22に示すように、第3樹脂170は、第3樹脂170の外枠を構成する第1樹脂枠171と、第3樹脂170の内枠を構成する第2樹脂枠172と、第1樹脂枠171と第2樹脂枠172との間に配置された保護樹脂173と、を含む。第1樹脂枠171は、パッケージ基板110に配置されている。第2樹脂枠172は、配線基板120上に配置されている。保護樹脂173は、パッケージ基板110の上面、配線基板120の上面、及びワイヤ160の表面を連続して覆っている。第1樹脂枠171及び第2樹脂枠172は、例えば、透光性樹脂である。保護樹脂173においては、例えば、母材となる透光性樹脂中に光反射性物質が含有されている。透光性樹脂には、例えば、ジメチルシリコーン樹脂を用いることができる。光反射性物質は、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウムである。
【0065】
図19図21図22に示すように、複数の発光素子130は、配線基板120の上面121の中央部上に載置されている。複数の発光素子130は、例えば行列状に配列されている。一例では、発光素子130が64行64列に配列されたセグメントが4つ配置されており、発光素子130は合計で16,384個配置されている。一例では、各発光素子130のサイズは、40μm以上50μm以下である。一例では、隣り合う発光素子130間の距離は4μm以上8μm以下である。発光素子130は、配線基板120の上面121に露出したパッドに接続されている。発光素子130は、例えば、発光ダイオードであり、例えば、青色の光を出射する。
【0066】
図23Aに示すように、発光素子130は、上面131と、上面131と反対側の下面132と、上面131と下面132との間に配置された側面133と、を有する。側面133は、下面132から上面131に向かって広がるように傾斜している。側面133は、4面配置されている。発光素子130の下面132は配線基板120の上面121に対向している。発光素子130は、一対の接合部139を介して、配線基板120のパッドに接続されている。このため、発光素子130の下面132は配線基板120の上面121から離れている。接合部139例えば、金、銅である。
【0067】
第1樹脂140は、配線基板120の上面121と発光素子130の下面132との間、及び、隣接する発光素子130の側面133間に配置されている。第1樹脂140においては、母材141中に、光反射性物質142が含まれている。第1樹脂140における光反射性物質142の濃度は、50質量%以上70質量%以下であることが好ましく、例えば、60質量%である。母材141は、例えば、ジメチルシリコーン樹脂である。光反射性物質142は、例えば、酸化チタンである。
【0068】
第2樹脂150は、発光素子130の上面131及び第1樹脂140の上面143を被覆している。第2樹脂150は、発光素子130の上面131、側面133の上部、及び、第1樹脂140の上面143に接している。第2樹脂150においては、母材151中に、蛍光体152が含まれている。母材151は、例えば、ジメチルシリコーン樹脂である。蛍光体152は、例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet:イットリウム・アルミニウム・ガーネット)を含み、発光素子130からの青色の光を吸収して、黄色の光を放射する。
【0069】
図23Bに示すように、隣り合う発光素子130間において、第1樹脂140の上面143は、Z方向、すなわち、配線基板120から第2樹脂150に向かう方向において、発光素子130の上面131と下面132との間に位置する。これにより、発光素子130の側面133のうち、下部は第1樹脂140によって被覆され、上部は第2樹脂150によって被覆される。
【0070】
本実施形態の配線基板120は、第1の実施形態の実装基板80に相当する。本実施形態の発光素子130は、第1の実施形態の第1発光素子10g及び第2発光素子70に相当する。本実施形態の発光素子130の上面131、下面132及び側面133は、それぞれ、第1の実施形態の第1発光素子10の下面10b、上面10a及び側面10cに相当する。本実施形態の第1樹脂140は、第1の実施形態の被覆部材81に相当する。本実施形態の第2樹脂150は、第1の実施形態の透光性部材82に相当する。
【0071】
次に、発光素子130の構成について説明する。
図24は、本実施形態における発光素子を示す上面図である。
図25は、図24に示すXXV-XXV線による断面図である。
【0072】
図24及び図25に示すように、発光素子130においては、半導体部分180が配置されている。半導体部分180は、例えば、窒化ガリウム(GaN)を含んでいる。半導体部分180においては、下から上に向かって、p型層181、発光層182、n型層183がこの順に積層されている。p型層181は、p型不純物を含む半導体層を含む。p型不純物としては、例えば、マグネシウム(Mg)を用いる。n型層183は、n型不純物を含む半導体層を含む。n型不純物としては、例えば、シリコン(Si)を用いる。
【0073】
半導体部分180のn型層183の上面には、複数の凸部184が形成されている。
半導体部分180のp型層181の下面には、穴185が形成されている。穴185は、p型層181の下面側からp型層181及び発光層182を貫通し、n型層183の途中まで到達している。平面視で、穴185の形状は、例えば円形である。穴185の底面には、n電極186が配置されている。n電極186は、n型層183に電気的に接続されている。
【0074】
n電極186は、例えば、複数の金属層が積層された積層構造である。n電極186は、例えば、n型層183側から順に、Ti(チタン)層、AlCu(アルミニウム-銅)層、Ti層、Ru(ルテニウム)層が積層された積層構造であってもよい。また、上記積層構造において、例えば、1層目のTi層の厚さは1.2nm、2層目のAlCu層の厚さは200nm、3層目のTi層の厚さは150nm、4層目のRu層の厚さは100nmとすることができる。p型層181の下面における穴185を除く領域には、p電極187が配置されている。p電極187は、p型層181と電気的に接続されている。p電極187は、透光性を有し、例えば、酸化インジウム錫(Indium-Tin-Oxide:ITO)である。p電極187の厚さは、例えば、150nm以上300nm以下である。
【0075】
半導体部分180の下面には、p電極187の一部を覆うように、光反射層188が配置されている。平面視で、光反射層188の形状は略矩形であり、対向する2辺のそれぞれから内側に向かって延在する2つの凹部188a及び188bが配置されている。平面視において、凹部188aは穴185に到達し、穴185の底面を露出している。光反射層188は穴185の側面も覆っている。光反射層188は、例えば、複数の誘電体が積層された誘電体多層膜を含んでいてもよい。
【0076】
半導体部分180の表面には、絶縁層189が配置されている。半導体部分180の下面において、絶縁層189には、開口部191及び192が形成されている。開口部191は、光反射層188の凹部188a内であって穴185の底面の中央部に位置している。開口部192は、光反射層188の凹部188b内に位置している。絶縁層189は、p電極187の一部、及び、光反射層188の一部を覆っている。絶縁層189は、例えば、SiOである。絶縁層189の厚さは、例えば、複数の凸部184を覆う領域で400nmであり、それ以外の領域で550nmである。
【0077】
半導体部分180の下面には、2つの導電層193及び194が配置されている。平面視で、導電層193及び194の形状は略矩形である。導電層193は絶縁層189の開口部191を介してn電極186に電気的に接続されている。したがって、導電層193はn電極186を介してn型層183に接続されている。導電層194は絶縁層189の開口部192を介してp型層181に接続されている。導電層193及び194は、例えば、複数の金属層が積層された積層構造である。導電層193及び194は、例えば、半導体部分180側から順に、Ti層、Rh(ロジウム)層、Au層が積層された積層構造であってもよい。また、上記積層構造において、例えば、Ti層の厚さは3.5nmであり、Rh層の厚さは400nmであり、Au層の厚さは100nmである。
【0078】
上述の如く、本実施形態の発光素子130は、第1の実施形態の第1発光素子10及び第2発光素子70に相当する。本実施形態の半導体部分180は、第1の実施形態の半導体部分11に相当する。本実施形態のn電極186、p電極187、導電層193及び導電層194は、第1の実施形態の光反射層12に相当する。
【0079】
次に、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法について説明する。
図19及び図22に示すように、複数の発光素子130を準備する。このとき、第1の実施形態において説明したように、発光素子130の外観検査及び/又は電気的特性評価を行い、良品の基準を満たさずに不良と判断された発光素子130(第1発光素子10nに相当)は除去する。そして、不良と判断された発光素子130が除去された後の領域に、新たな発光素子130(第2発光素子70に相当)を配置する。そして、全ての発光素子130を配線基板120に実装する。
【0080】
次に、配線基板120及び発光素子130を覆うように、第1樹脂140を形成する。次に、発光素子130上から第1樹脂140を除去する。次に、例えばシリコーン銀ペーストを介して、パッケージ基板110上に配線基板120を載置する。次に、パッケージ基板110の第1パッド112と配線基板120の外部接続用パッドとを、ワイヤ160によって接続する。次に、パッケージ基板110上に第1樹脂枠171を形成すると共に、配線基板120上に第2樹脂枠172を形成する。次に、第1樹脂枠171と第2樹脂枠172との間に、保護樹脂173を形成する。これにより、ワイヤ160を保護する第3樹脂170が形成される。
【0081】
次に、シート状に加工された半硬化状態の第2樹脂150を複数の発光素子130上及び第1樹脂140上に配置する。上述の如く、第2樹脂150においては、母材151中に蛍光体152が含有されている。第2樹脂150は、平面視において、第3樹脂170の内側に配置されている。第2樹脂150は、複数の発光素子130が配置された領域を覆うように配置されている。
【0082】
次に、熱処理を施すことにより、第2樹脂150を硬化させる。このとき、第2樹脂150を第1の温度、例えば、100℃に加熱すると、第2樹脂150が一旦液状化して、発光素子130間の隙間であって第1樹脂140上の空間内に進入する。これにより、第2樹脂150が発光素子130の側面133の上部に接触する。次に、第2樹脂150を第1の温度よりも高い第2の温度、例えば、150℃に加熱すると、第2樹脂150が最終的に硬化する。このようにして、本実施形態に係る発光モジュール101が製造される。
【0083】
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、前述の第2の実施形態に係る発光装置の製造方法を用いて、発光モジュールを製造する例である。
【0084】
先ず、本実施形態に係る発光モジュールの構成について説明する。
図26Aは、本実施形態に係る発光モジュールを示す上面図である。
図26Bは、1つの透光性部材を示す一部拡大上面図である。
本実施形態においても、第3の実施形態と同様に、XYZ直交座標系を採用する。
【0085】
図26A及び図26Bに示すように、本実施形態に係る発光モジュール201においては、配線基板211を備えている。配線基板211の平面視の形状は、例えば、長方形である。配線基板211の上面には、複数の発光素子212が実装されている。各発光素子212には2つの接合部213が配置されており、接合部213を介して配線基板211に搭載されている。接合部213は、例えば金又は銅を含む。
【0086】
配線基板211の上面において、発光素子212は、例えば、2列に配列されている。各列は配線基板211の長手方向、すなわち、X方向に延びている。第1列221においては、例えば20個の発光素子212が配列されており、第2列222においては、例えば22個の発光素子212が配列されている。したがって、発光モジュール201には、合計で42個の発光素子212が配置されている。一例では、各発光素子212の平面視の形状は正方形であり、一辺の長さは500μm以上1000μm以下である。
【0087】
各発光素子212上には、それぞれ透光性部材214が配置されている。透光性部材214は、例えば、蛍光体としてYAGを含む板状の部材である。一例では、各透光性部材214の平面視の形状は正方形であり、一辺の長さは550μm以上1100μm以下である。各列において隣り合う透光性部材214間の距離は、一例では、30μm以上70μm以下である。透光性部材214の数は発光素子212の数と同じである。
【0088】
配線基板211上には、樹脂部材215が配置されている。樹脂部材215は、配線基板211の上面の中央部を覆っている。樹脂部材215は、発光素子212の側面及び透光性部材214の側面を覆い、透光性部材214の上面を覆っていない。したがって、透光性部材214の上面は樹脂部材215から露出している。樹脂部材215においては、例えば、母材となる透光性樹脂中に光反射性物質が含有されている。樹脂は、例えば、ジメチルシリコーン樹脂である。光反射性物質は、例えば、酸化チタンである。
【0089】
配線基板211の上面における樹脂部材215に覆われた領域のY方向両側には、パッド216が配置されている。パッド216は、配線基板211のX方向に延びる端縁に沿って、2列に配列されている。パッド216の第3列223は、発光素子212の第1列221側に配置されている。パッド216の第4列224は、発光素子212の第2列222側に配置されている。
【0090】
各列に属するパッド216の数は、対応する列に属する発光素子212の数よりも1つ多い。すなわち、第3列223には21個のパッド216が配列されており、第4列224には23個のパッド216が配列されている。第3列に属する21個のパッド216と第1列に属する20個の発光素子212は、交互に直列に接続されている。同様に、第4列に属する23個パッド216と第2列に属する22個の発光素子212は、交互に直列に接続されている。
【0091】
本実施形態の配線基板211は、第2の実施形態の実装基板80に相当する。本実施形態の発光素子212は、第2の実施形態の第1発光素子10g及び/又は第2発光素子70に相当する。本実施形態の樹脂部材215は、第2の実施形態の被覆部材81に相当する。本実施形態の透光性部材214は、第2の実施形態の透光性部材82に相当する。
【0092】
次に、本実施形態に係る発光モジュールの製造方法について説明する。
図26A及び図26Bに示すように、複数の発光素子212を準備する。このとき、第2の実施形態において説明したように、発光素子212の外観検査及び/又は電気的特性評価を行い、良品の基準を満たさずに不良と判断された発光素子212(第1発光素子10nに相当)は除去する。そして、不良と判断された発光素子212が除去された後の領域に、新たな発光素子212(第2発光素子70に相当)を配置する。そして、全ての発光素子212を配線基板211に実装する。
【0093】
次に、それぞれの発光素子212上に透光性部材214を配置する。次に、配線基板211の上面、発光素子212の側面、及び、透光性部材214の側面を覆うように、樹脂部材215を形成する。このようにして、本実施形態に係る発光モジュール201が製造される。
【0094】
前述の各実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の各実施形態において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、例えば、車両用の前照灯及び表示装置の光源等に利用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1、2:発光装置
10、10g、10n:第1発光素子
10a:上面
10b:下面
10c:側面
11:半導体部分
12:光反射層
20:第1粘着層
20a:第2面
20b:第3面
30:第1紫外線透過層
30a:第1面
40:第2粘着層
40a:第4面
40b:第5面
40c、40d、40e:部分
50:第2紫外線透過層
50a:第6面
50b:第7面
60:紫外線遮蔽層
70:第2発光素子
80:実装基板
81:被覆部材
82:透光性部材
90:中間体
91:第1シート
92:第2シート
93:マウンター
95:プローブ
98:支持基板
99:積層体
100:成長基板
101:発光モジュール
110:パッケージ基板
110a:上面
110b:下面
111:絶縁基体
112:第1パッド
113:第2パッド
114:放熱部
120:配線基板
121:上面
130:発光素子
131:上面
132:下面
133:側面
139:接合部
140:第1樹脂
141:母材
142:光反射性物質
143:上面
150:第2樹脂
151:母材
152:蛍光体
160:ワイヤ
170:第3樹脂
171:第1樹脂枠
172:第2樹脂枠
173:保護樹脂
180:半導体部分
181:p型層
182:発光層
183:n型層
184:凸部
185:穴
186:n電極
187:p電極
188:光反射層
188a、188b:凹部
189:絶縁層
191、192:開口部
193、194:導電層
201:発光モジュール
211:配線基板
212:発光素子
213:接合部
214:透光性部材
215:樹脂部材
216:パッド
221:第1列
222:第2列
223:第3列
224:第4列
UV1、UV2、UV3:紫外線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
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図16
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図20
図21
図22
図23A
図23B
図24
図25
図26A
図26B