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特許7450372成膜装置、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】成膜装置、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20240308BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20240308BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240308BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20240308BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C23C14/04
C23C14/50 K
H05B33/14 A
H05B33/10
H01L21/68 G
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2019211510
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2020084329
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】10-2018-0149054
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土田 隆
(72)【発明者】
【氏名】相澤 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】阪上 裕介
(72)【発明者】
【氏名】北上 悟
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-119794(JP,A)
【文献】特開2014-134646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/04
C23C 14/50
H10K 50/10
H05B 33/10
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、
前記容器内に配置され第1方向と交差する第2方向及び第3方向と平行な面を有する被移動体を支持する支持ユニットと、
前記支持ユニットを前記第1方向に移動させる駆動機構と、
前記支持ユニットの前記第1方向における移動をガイドするガイド機構と、
を有し、
前記ガイド機構は、
前記第1方向に延在する複数のレール部と、
前記複数のレール部のそれぞれに対して前記第1方向に移動可能に設置されるとともに、前記支持ユニットに対してそれぞれ前記第1方向に固定される複数の移動可能部と、を有し、
前記複数の移動可能部のうちの少なくとも2つの移動可能部は、前記少なくとも2つの移動可能部のうちの第1移動可能部が第2移動可能部より前記支持ユニットから前記第1方向に遠い位置に固定され、前記第1移動可能部の前記第1方向における中心の位置が前記第2移動可能部の前記第1方向における中心の位置より前記支持ユニットから前記第1方向に遠いように、前記支持ユニットに対し、前記第1方向において互いに異なる位置に固定されることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの移動可能部が設置される少なくとも2つのレール部は、前記第2方向に所定の距離だけ離隔されて設置されることを特徴とする請求項に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの移動可能部が前記少なくとも2つのレール部に設置される設置面は、前記第2方向に垂直であることを特徴とする請求項に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの移動可能部が前記少なくとも2つのレール部に設置される設置面は、少なくとも一部が対向することを特徴とする請求項に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記第2移動可能部は、前記第2方向に前記第1移動可能部から所定の距離だけ離隔されて設置されるとを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記複数のレール部は、前記第1移動可能部が移動可能に設置される第1レール部と、前記第2移動可能部が移動可能に設置される第2レール部と、を含み、
前記第1移動可能部が前記第1レール部に設置される第1設置面は、前記第2移動可能部が前記第2レール部に設置される第2設置面に対し、少なくとも一部が対向することを特徴とする請求項に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの移動可能部は、
前記第3方向に前記第1移動可能部から離隔されて設置される第3移動可能部と、
前記第2移動可能部から前記第3方向に離隔され、前記第3移動可能部から前記第2方向に離隔されて設置される第4移動可能部と、
をさらに含み、
前記第1移動可能部と、前記第3移動可能部とは、前記支持ユニットに対し、前記第1方向において異なる位置に固定され、
前記第4移動可能部と、前記第2移動可能部及び前記第3移動可能部とは、前記支持ユニットに対し、前記第1方向において互いに異なる位置に固定されることを特徴とする請求項又は請求項に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記複数のレール部は、
前記第1移動可能部が移動可能に設置される第1レール部と、
前記第2移動可能部が移動可能に設置される第2レール部と、
前記第3移動可能部が移動可能に設置される第3レール部と、
前記第4移動可能部が移動可能に設置される第4レール部と、
を含み、
前記第1移動可能部が前記第1レール部に設置される第1設置面は、前記第2移動可能部が前記第2レール部に設置される第2設置面に対し、少なくとも一部が対向し、
前記第3移動可能部が前記第3レール部に設置される第3設置面は、前記第4移動可能部が前記第4レール部に設置される第4設置面に対し、少なくとも一部が対向することを特徴とする請求項に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記第1設置面は、前記第3設置面と同一の平面上に位置し、
前記第4設置面は、前記第2設置面と同一の平面上に位置することを特徴とする請求項に記載の成膜装置。
【請求項10】
前記複数のレール部は、
前記第1移動可能部が移動可能に設置される第1レール部と、
前記第2移動可能部が移動可能に設置される第2レール部と、
前記第3移動可能部が移動可能に設置される第3レール部と、
前記第4移動可能部が移動可能に設置される第4レール部と、
を含み、
前記第1移動可能部が前記第1レール部に設置される第1設置面と、前記第4移動可能部が前記第4レール部に設置される第4設置面とは、平行であり、
前記第2移動可能部が前記第2レール部に設置される第2設置面と、前記第3移動可能部が前記第3レール部に設置される第3設置面とは、平行であることを特徴とする請求項に記載の成膜装置。
【請求項11】
前記第1設置面と前記第2設置面は交差し、
前記第3設置面と前記第4設置面は交差することを特徴とする請求項10に記載の成膜
装置。
【請求項12】
前記少なくとも2つの移動可能部は、前記第3方向に前記第1移動可能部から離隔されて設置される第3移動可能部をさらに含み、
前記第3移動可能部は、前記第2方向にも前記第1移動可能部から離隔されるように設置され、
前記第3移動可能部と、前記第1移動可能部又は前記第2移動可能部とは、前記支持ユニットに対し、前記第1方向において互いに異なる位置に固定されることを特徴とする請求項又は請求項に記載の成膜装置。
【請求項13】
前記複数のレール部は、
前記第1移動可能部が移動可能に設置される第1レール部と、
前記第2移動可能部が移動可能に設置される第2レール部と、
前記第3移動可能部が移動可能に設置される第3レール部と、
を含み、
前記第1移動可能部が前記第1レール部に設置される第1設置面は、前記第2移動可能部が前記第2レール部に設置される第2設置面と少なくとも一部が対向し、
前記第1設置面及び前記第2設置面は、前記第3移動可能部が前記第3レール部に設置される第3設置面と交差することを特徴とする請求項12に記載の成膜装置。
【請求項14】
前記複数のレール部は、
前記第1移動可能部が移動可能に設置される第1レール部と、
前記第2移動可能部が移動可能に設置される第2レール部と、
前記第3移動可能部が移動可能に設置される第3レール部と、
を含み、
前記第1移動可能部が前記第1レール部に設置される第1設置面及び前記第2移動可能部が前記第2レール部に設置される第2設置面と、前記第3移動可能部が前記第3レール部に設置される第3設置面とは、実質的に平行であることを特徴とする請求項12に記載の成膜装置。
【請求項15】
前記複数のレール部のうち、少なくとも1つのレール部に2つ以上の移動可能部が設置され、
前記少なくとも1つのレール部に設置された前記2つ以上の移動可能部と、他のレール部に設置された移動可能部とは、前記支持ユニットに対し、前記第1方向において互いに異なる位置に固定されることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項16】
前記容器の外部に設置され、前記容器の内部と外部とを区画する隔壁を介して前記支持ユニットに連結されるステージをさらに有し、
前記駆動機構は、前記ステージを前記第1方向に移動させることで前記支持ユニットを前記第1方向に移動させるものであり、
前記複数の移動可能部は、前記ステージに対してそれぞれ固定されることで前記支持ユニットに対してそれぞれ固定されるものであり、
前記少なくとも2つの移動可能部は、前記ステージに対し、前記第1方向において互いに異なる位置に固定されることを特徴とする請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項17】
前記複数の移動可能部のそれぞれを、前記ステージにそれぞれ固定する複数の固定部をさらに有し、
前記少なくとも2つの移動可能部は、前記固定部に対し、前記第1方向において互いに異なる位置に固定されることを特徴とする請求項16に記載の成膜装置。
【請求項18】
前記複数の固定部のうち、前記少なくとも2つの移動可能部を前記ステージに固定する少なくとも2つの固定部は、前記第1方向に長さが互いに異なることを特徴とする請求項17に記載の成膜装置。
【請求項19】
前記駆動機構は、前記支持ユニットを前記第1方向に駆動するための駆動力を発生する駆動力発生源と、前記駆動力発生源からの駆動力を前記支持ユニットに伝達するための駆動力伝達部と、を有することを特徴とする請求項1~請求項18のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項20】
前記駆動力発生源は、モータを有し、
前記駆動力伝達部は、ボールねじを有することを特徴とする請求項19に記載の成膜装置。
【請求項21】
前記複数の移動可能部を前記第1方向に垂直な平面上に投影して得られる複数の図形の重心の位置と、前記ボールねじを前記平面上に投影した位置とは、一致することを特徴とする請求項20に記載の成膜装置。
【請求項22】
前記被移動体は、基板であり、
前記支持ユニットは、基板支持ユニットであることを特徴とする請求項1~請求項21のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項23】
前記被移動体は、冷却板であり、
前記支持ユニットは、前記駆動機構から前記冷却板に連結されるシャフトであることを特徴とする請求項1~請求項21のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項24】
前記被移動体は、静電チャックであり、
前記支持ユニットは、前記駆動機構から前記静電チャックに連結されるシャフトであることを特徴とする請求項1~請求項21のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項25】
前記被移動体は、マスクであり、
前記支持ユニットは、マスク支持ユニットであることを特徴とする請求項1~請求項21のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項26】
基板にマスクを介して蒸着材料を成膜する成膜方法であって、
請求項1~請求項25のいずれか1項に記載の成膜装置を用いて成膜工程を行うことを特徴とする成膜方法。
【請求項27】
請求項26に記載の成膜方法を用いて電子デバイスを製造することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置、成膜方法、及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置(有機ELディスプレイ)の製造においては、有機EL表示装置を構成する有機発光素子(有機EL素子;OLED)を形成する際に、成膜装置の蒸発源から蒸発した蒸着材料を、画素パターンが形成されたマスクを介して、基板に蒸着させることで、有機物層や金属層を形成する。
【0003】
上向蒸着方式(デポアップ)の成膜装置において、蒸発源は成膜装置の真空容器の下部に設けられ、基板は真空容器の上部に配置され、基板の下面に蒸着材料が蒸着する。このような上向蒸着方式の成膜装置の真空容器内において、基板は基板ホルダによって保持されるが、蒸着の際、基板ホルダは、基板をマスクと密着させるためにマスクに向かって下降し、蒸着が完了したら、基板がマスクから離れるように上昇する。
【0004】
このような基板ホルダの昇降移動は、基板ホルダ又は基板ホルダが接続された基板ZステージにZ軸方向の昇降駆動力を付与する昇降駆動部(例えば、モータとボールねじ)と、基板ホルダ又は基板Zステージの昇降をガイドするリニアガイド部によって行われる。
【0005】
例えば、特許文献1には、基板ホルダの昇降軸に接続されたガイドプレートがモータとボールねじによって昇降駆動されるとき、ガイドプレートが成膜装置の上面に固定されたガイドレールによってガイドされる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-248249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、有機EL表示装置の解像度が高くなるにつれて、基板の昇降時にリニアガイドによってガイドされる基板ホルダ又は基板Zステージの姿勢の安定性をさらに向上させることが要求されている。
【0008】
また、静電チャックを用いて基板を保持する構成においては、基板を吸着させる静電チャックの姿勢の安定性をさらに向上させることが要求される等、成膜装置内で昇降駆動される被昇降体の昇降時の姿勢の安定性の向上が求められている。
【0009】
本発明は、被移動体を移動させるときの被移動体の姿勢の安定性をさらに向上させた成膜装置、これを用いた成膜方法及び電子デバイスの製造方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1態様による成膜装置は、
容器と、
前記容器内に配置され第1方向と交差する第2方向及び第3方向と平行な面を有する被
移動体を支持する支持ユニットと、
前記支持ユニットを前記第1方向に移動させる駆動機構と、
前記支持ユニットの前記第1方向における移動をガイドするガイド機構と、
を有し、
前記ガイド機構は、
前記第1方向に延在する複数のレール部と、
前記複数のレール部のそれぞれに対して前記第1方向に移動可能に設置されるとともに、前記支持ユニットに対してそれぞれ前記第1方向に固定される複数の移動可能部と、を有し、
前記複数の移動可能部のうちの少なくとも2つの移動可能部は、前記少なくとも2つの移動可能部のうちの第1移動可能部が第2移動可能部より前記支持ユニットから前記第1方向に遠い位置に固定され、前記第1移動可能部の前記第1方向における中心の位置が前記第2移動可能部の前記第1方向における中心の位置より前記支持ユニットから前記第1方向に遠いように、前記支持ユニットに対し、前記第1方向において互いに異なる位置に固定されることを特徴とする。
【0011】
本発明の第2態様による成膜方法は、
基板にマスクを介して蒸着材料を成膜する成膜方法であって、本発明の第1態様による成膜装置を用いて成膜工程を行うことを特徴とする成膜方法。
【0012】
本発明の第3態様による電子デバイス製造方法は、本発明の第2態様による成膜方法を用いて電子デバイスを製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被移動体を移動させるときの被移動体の姿勢の安定性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、有機EL表示装置の製造ラインの一部の模式図である。
図2図2は、本発明の実施例による成膜装置の模式図である。
図3図3は、本発明の実施例による成膜装置の水平駆動機構及び昇降駆動機構の模式図である。
図4図4は、本発明の一実施例による昇降ガイド機構の構成を示す模式図である。
図5図5は、本発明の他の実施例による昇降ガイド機構の構成を示す模式図である。
図6図6は、本発明のさらに他の実施例による昇降ガイド機構の構成を示す模式図である。
図7図7は、有機EL表示装置の全体図及び有機EL素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態及び実施例を説明する。ただし、以下の実施形態及び実施例は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲はそれらの構成に限定されない。また、以下の説明における、装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、処理フロー、製造条件、寸法、材質、形状等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0016】
本発明は、基板の表面に各種材料を堆積させて成膜を行う装置に適用することができ、真空蒸着によって所望のパターンの薄膜(材料層)を形成する装置に望ましく適用することができる。基板の材料としては、ガラス、高分子材料のフィルム、金属等の任意の材料を選択することができ、基板は、例えば、ガラス基板上にポリイミド等のフィルムが積層した基板であってもよい。また、蒸着材料として、有機材料、金属性材料(金属、金属酸化物等)等の任意の材料を選択してもよい。なお、以下の説明において説明する真空蒸着装置以外にも、スパッタ装置やCVD(Chemical Vapor Deposition)装置を有する成膜
装置にも、本発明を適用することができる。本発明の技術は、具体的には、有機電子デバイス(例えば、有機EL素子、薄膜太陽電池)、光学部材等の製造装置に適用可能である。そのうち、蒸着材料を蒸発させてマスクを介して基板に蒸着させることで有機EL素子
を形成する有機EL素子の製造装置は、本発明の好ましい適用例の1つである。
【0017】
<電子デバイスの製造装置>
図1は、電子デバイスの製造装置の一部の構成を模式的に示す平面図である。
【0018】
図1の製造装置は、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられる。スマートフォン用の表示パネルの場合、例えば、4.5世代の基板(約700mm×約900mm)や6世代のフルサイズ(約1500mm×約1850mm)又はハーフカットサイズ(約1500mm×約925mm)の基板に、有機EL素子の形成のための成膜を行った後、該基板を切り抜いて複数の小さなサイズのパネルを製作する。
【0019】
電子デバイスの製造装置は、一般的に、複数のクラスタ装置1と、クラスタ装置1の間を接続する中継装置とを有する。
【0020】
クラスタ装置1は、基板Sに対する処理(例えば、成膜)を行う複数の成膜装置11と、使用前後のマスクMを収納する複数のマスクストック装置12と、その中央に配置される搬送室13と、を備える。搬送室13は、図1に示すように、複数の成膜装置11及びマスクストック装置12のそれぞれと接続されている。
【0021】
搬送室13内には、基板S及びマスクMを搬送する搬送ロボット14が配置されている。搬送ロボット14は、上流側に配置された中継装置のパス室15から成膜装置11へと基板Sを搬送する。また、搬送ロボット14は、成膜装置11とマスクストック装置12との間でマスクMを搬送する。搬送ロボット14は、例えば、多関節アームに、基板S又はマスクMを保持するロボットハンドが取り付けられた構造を有するロボットである。
【0022】
成膜装置11(蒸着装置とも呼ぶ)では、蒸発源に収納された蒸着材料がヒータによって加熱されて蒸発し、マスクMを介して基板S上に蒸着する。成膜装置11は、搬送ロボット14との間で基板S及びマスクMの受け渡しを行うとともに、基板SとマスクMの相対位置の調整(アライメント)、マスクM上への基板Sの固定、成膜(蒸着)等の一連の成膜プロセスを行う。
【0023】
マスクストック装置12には、成膜装置11での成膜工程に使われる新しいマスクと、使用済みのマスクとが、2つのカセットに分けて収納される。搬送ロボット14は、使用済みのマスクを成膜装置11からマスクストック装置12のカセットに搬送し、マスクストック装置12の他のカセットに収納された新しいマスクを成膜装置11に搬送する。
【0024】
クラスタ装置1には、基板Sの流れ方向において上流側からの基板Sを当該クラスタ装置1に受け渡すパス室15と、当該クラスタ装置1で成膜処理が完了した基板Sを下流側の他のクラスタ装置1に受け渡すためのバッファ室16が連結される。搬送室13の搬送ロボット14は、上流側のパス室15から基板Sを受け取って、当該クラスタ装置1内の成膜装置11の1つ(例えば、成膜装置11a)に搬送する。また、搬送ロボット14は、当該クラスタ装置1での成膜処理が完了した基板Sを複数の成膜装置11の1つ(例えば、成膜装置11b)から受け取って、下流側に連結されたバッファ室16に搬送する。
【0025】
バッファ室16とパス室15との間には、基板Sの向きを変える旋回室17が設置される。旋回室17には、バッファ室16から基板Sを受け取って基板Sを180°回転させ、パス室15に搬送するための搬送ロボット18が設けられる。これにより、上流側のクラスタ装置1と下流側のクラスタ装置1とで基板Sの向きが同じになり、基板処理が容易になる。
【0026】
パス室15、バッファ室16、旋回室17は、クラスタ装置1の間を連結する、いわゆる中継装置であり、クラスタ装置1の上流側及び/又は下流側に設置される中継装置は、パス室15、バッファ室16、旋回室17のうち少なくとも1つを有する。
【0027】
成膜装置11、マスクストック装置12、搬送室13、バッファ室16、旋回室17等は、有機発光素子の製造の過程で、高真空状態に維持される。パス室15は、通常、低真空状態に維持されるが、必要に応じて高真空状態に維持されてもよい。
【0028】
本実施例では、図1を参照して、電子デバイスの製造装置の構成について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の種類の装置やチャンバを有してもよく、これらの装置やチャンバ間の配置が変わってもよい。
【0029】
例えば、本発明は、基板SとマスクMを、成膜装置11ではなく、別の装置又はチャンバで合着させた後、これをキャリアに乗せて、一列に並んだ複数の成膜装置を通して搬送させながら成膜工程を行うインラインタイプの製造装置にも適用することができる。
【0030】
<成膜装置>
図2は、本実施例による成膜装置11の構成を示す模式図である。以下の説明においては、鉛直方向をZ方向(第1方向)とするXYZ直交座標系を用いる。成膜時に基板Sが水平面(XY平面)と平行となるよう固定された場合、基板Sの短手方向(短辺に平行な方向)をX方向(第3方向)、長手方向(長辺に平行な方向)をY方向(第2方向)とする。また、Z軸まわりの回転角をθ(回転方向)で表す。
【0031】
図2(a)に示した成膜装置11は、真空雰囲気又は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気に維持される真空容器21と、真空容器21の内部に設けられる、基板支持ユニット22と、マスク支持ユニット23と、冷却板27と、蒸発源25とを有する。本実施例の成膜装置11は、真空容器21に固定して設置されるフレーム状のマスク台26をさらに有することができる。
【0032】
基板支持ユニット22は、搬送室13に設けられた搬送ロボット14が搬送してきた基板Sを受け取って保持する手段であり、基板ホルダとも呼ばれる。
【0033】
マスク支持ユニット23は、搬送室13に設けられた搬送ロボット14が搬送してきたマスクMを受け取り、マスクMをマスク台26に載置するまで、保持する手段であり、マスクホルダとも呼ばれる。
【0034】
マスクMは、基板S上に形成する薄膜パターンに対応する開口パターンを有し、マスク支持ユニット23に支持される。特に、スマートフォン用の有機EL素子を製造するのに使われるマスクは、微細な開口パターンが形成された金属製のマスクであり、FMM(Fine Metal Mask)とも呼ぶ。
【0035】
マスク台26は、成膜工程の間、マスクMが載置される手段である。搬送ロボット14によって真空容器21内に搬入されたマスクMは、マスク支持ユニット23からマスク台26に受け渡されて、成膜工程中はマスク台26上に載置される。
【0036】
冷却板27は、基板Sの温度上昇を抑える冷却機構であり、成膜工程の間、基板Sの成膜面の反対側の面に密着し、基板Sを冷却する。これにより、基板S上に堆積した有機材料の変質や劣化を抑制することができる。また、冷却板27は、その重さによって、基板SをマスクMに密着させる機能を有する。
【0037】
冷却板27は、マグネットを有することもできる。マグネットは、基板Sを介してマスクMに磁場を作用させて、基板SとマスクMとを密着させる。
【0038】
蒸発源25は、基板に成膜される蒸着材料が収納されるるつぼ(不図示)、るつぼを加熱するためのヒータ(不図示)、蒸発源からの蒸発レートが一定になるまで蒸着材料が基板に飛散することを阻むシャッタ(不図示)等を有する。蒸発源25は、点(point)蒸
発源や線状(linear)蒸発源等、用途に従って多様な構成を有することができる。
【0039】
図2に示さなかったが、成膜装置11は、基板に蒸着した膜の厚さを測定するための膜厚モニタ(不図示)及び膜厚算出ユニット(不図示)を有する。
【0040】
成膜装置11の真空容器21の内部と外部(大気側)とを区画する隔壁の外部側の上面には、基板支持ユニット22、マスク支持ユニット23、冷却板27やマグネット等を鉛直方向(Z方向、第1方向)に昇降させるための昇降駆動機構と、基板SとマスクMとの間の相対的な位置調整(アライメント)のために、水平面に平行に(X方向、Y方向、θ方向のうちの少なくとも1つの方向に)基板支持ユニット22及び/又はマスク支持ユニット23を移動又は回転させる水平駆動機構(アライメントステージ)等が設置される。本実施例による成膜装置の昇降駆動機構及び水平駆動機構については、図3を参照して、後述する。
【0041】
真空容器21の内部と外部とを区画する隔壁の外部側の上面には、前述した昇降駆動機構及び水平駆動機構の他に、真空容器21の上面に設けられた透明窓(不図示)を介して、基板S及びマスクMに形成されたアライメントマークを撮影するためのアライメント用カメラ(不図示)を設置してもよい。
【0042】
成膜装置11は、制御部28を備える。制御部28は、基板S及びマスクMの搬送、アライメント、蒸発源25の制御、成膜の制御等の機能を有する。制御部28は、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、I/O等を持つコンピュータによって構成可能である。この場合、制御部28の機能はメモリ又はストレージに格納されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。コンピュータとしては、汎用のパーソナルコンピュータを使用してもよく、組込み型のコンピュータ又はPLC(Programmable Logic Controller)を使用してもよい。又は、制御部28の機能の一部又は全部をASICやFP
GAのような回路で構成してもよい。また、成膜装置毎に制御部28が設置されていてもよく、1つの制御部が複数の成膜装置を制御するように構成してもよい。
【0043】
図2(b)は、本発明の他の実施例による成膜装置11の構成を示す。図2(b)の成膜装置11は、基板S及び/又はマスクMを静電引力によって吸着するための静電チャック24を有するという点で、図2(a)の成膜装置11とは異なる。以下で、図2(a)の成膜装置11と共通する構成要素については、同一の参照番号を用いて示し、詳細な説明は省略する。
【0044】
図2(b)に示した成膜装置11は、真空容器21と、基板支持ユニット22と、マスク支持ユニット23と、静電チャック24と、蒸発源25とを有する。本実施例の成膜装置11もマスク台26をさらに有することができる。
【0045】
静電チャック24は、基板S及び/又はマスクMを静電引力によって吸着して固定する。静電チャック24によって基板Sの成膜面(例えば、下面)の反対側(例えば、上面)を吸着することにより、基板支持ユニット22によって基板Sの下面の周縁部が支持されるときに生じる基板Sの自重による撓みを低減する。静電チャック24は、誘電体(例えば、セラミック材質)マトリックス内に金属電極等の電気回路が埋設された構造を有する
。静電チャック24は、クーロン力タイプの静電チャックであってもよいし、ジョンソン・ラーベック力タイプの静電チャックであってもよいし、グラジエント力タイプの静電チャックであってもよい。静電チャック24は、グラジエント力タイプの静電チャックであることが好ましい。静電チャック24がグラジエント力タイプの静電チャックである場合、基板Sが絶縁性基板であっても、静電チャック24によって良好に吸着することができる。
【0046】
静電チャック24は、1つのプレートで形成されてもよく、複数のサブプレートを有するように形成されてもよい。また、1つのプレートで形成される場合にも、その内部に複数の電気回路を有し、1つのプレート内で位置によって静電引力が異なるように制御してもよい。
【0047】
図2(b)に示した成膜装置11の真空容器21の内部と外部(大気側)とを区画する隔壁の外部側の上面には、基板支持ユニット22、マスク支持ユニット23、静電チャック24等を鉛直方向(Z方向、第1方向)に昇降させるための乗降駆動機構と、基板SとマスクMとの間の相対的な位置調整(アライメント)のために、水平面に平行に(X方向、Y方向、θ方向のうちの少なくとも1つの方向に)、基板支持ユニット22及び/又はマスク支持ユニット23を移動又は回転させるための水平駆動機構(アライメントステージ)等が設置される。本実施例による成膜装置の昇降駆動機構及び水平駆動機構については、図3を参照して、後述する。
【0048】
図2(b)には示していないが、静電チャック24の吸着面の反対側には、冷却板を設置しても良く、磁力によりマスクMを基板Sに密着させるためのマグネットを設置してもよい。
【0049】
<水平駆動機構及び昇降駆動機構>
以下、図3を参照して本実施例による成膜装置の水平駆動機構及び昇降駆動機構の構成を説明する。図3に示した実施例は、水平駆動機構及び昇降駆動機構を成膜装置11に用いる例であるが、本発明はこれに限定されず、成膜工程が行われない装置に用いてもよい。例えば、成膜装置11とは別途設けられたアライメント装置や、基板S及びマスクMをキャリアにローディングするためのローディング装置に用いてもよい。
【0050】
図3(a)に示した実施例の水平駆動機構は、基板SとマスクMとの間の水平方向(XYθ方向)における相対的位置調整(アライメント)のために、基板支持ユニット22及び/又はマスク支持ユニット23を水平方向(XYθ方向)に移動させるアライメントステージ30を有する。
【0051】
本実施例の昇降駆動機構は、基板支持ユニット22をZ軸方向に昇降させるための基板支持ユニット昇降駆動機構31と、冷却板27及びマグネットをZ軸方向に昇降させるための冷却板昇降駆動機構34と、マスク支持ユニット23をZ軸方向に昇降させるためのマスク支持ユニット昇降駆動機構33とを有する。
【0052】
アライメントステージ30は、アライメントステージベース板302を有し、アライメントステージベース板302は、真空容器21の内部と外部とを区画する隔壁の外部側の上面に固定された複数のアライメントステージ駆動用モータ301からボールねじ及びリニアガイドを通じて水平方向(XYθ方向)への駆動力を受ける。
【0053】
基板支持ユニット昇降駆動機構31及び/又はマスク支持ユニット昇降駆動機構33は後述するようにアライメントステージ30に搭載される。従って、基板支持ユニット22及びマスク支持ユニット23は、アライメントステージ30が水平方向(XYθ方向)に
移動するにつれて、これらそれぞれに支持された基板S及びマスクMとともに水平方向(XYθ方向)に移動する。
【0054】
基板支持ユニット昇降駆動機構31は、基板支持ユニット22をZ軸方向に昇降させる機構であり、アライメントステージベース板302上に設置される。真空容器21内の基板支持ユニット22は、真空容器21の内部と外部とを区画する隔壁を介して基板支持ユニット昇降駆動機構31に接続する。基板支持ユニット昇降駆動機構31は、基板支持ユニット22に連結された基板Zステージ311と、基板Zステージ311を昇降させるための駆動力を発生させる駆動力発生源としての基板支持ユニット昇降駆動用モータ312と、基板支持ユニット昇降駆動用モータ312の駆動力を基板Zステージ311に伝達するための基板支持ユニット昇降駆動力伝達機構としてのボールねじ313とを有する。つまり、基板支持ユニット昇降駆動用モータ312からの駆動力は、ボールねじ313と、基板Zステージ311を経て、基板支持ユニット22に伝達され、これにより基板Sを鉛直方向に昇降させる。
【0055】
また、基板支持ユニット昇降駆動機構31は、基板Zステージ311の昇降駆動時に基板Zステージ311をガイドして、基板Zステージ311の姿勢を安定させるための基板Zステージ昇降ガイド機構をさらに有する。基板Zステージ昇降ガイド機構は、アライメントステージベース板302上に固定してZ方向に設置された4つの柱317及びガイドレール314と、ガイドレール314上でZ方向に移動可能に設置された4つのガイドブロック315(移動可能部)と、それぞれのガイドブロック315を基板Zステージ311に固定するための固定ブラケット316(固定部)を有する。基板Zステージ昇降ガイド機構については図4を参照して、後述する。
【0056】
冷却板昇降駆動機構34は、冷却板27が連結された冷却板Zステージ341と、冷却板Zステージ341をZ方向に昇降駆動させるための冷却板昇降駆動用モータ342と、冷却板昇降駆動力伝達機構としてボールねじ343とを有する。冷却板27と冷却板Zステージ341は、シャフト349によって連結され、シャフト349は、冷却板27を昇降可能に支持する。
【0057】
図3(a)に示した実施例では、冷却板昇降駆動機構34は、アライメントステージ30に搭載されず、真空容器21の内部と外部とを区画する隔壁の外部側の上面に固定された冷却板昇降駆動機構ベース板345上に設置される。従って、冷却板昇降駆動機構34及び冷却板27は、アライメントステージ30が水平方向(XYθ方向)に移動しても、これに追従せず、水平方向(XYθ方向)については真空容器21に対して固定される。これにより、冷却板27及びマグネットと基板S又はマスクMとの間の水平方向(XYθ方向)への相対的な位置ずれを調整することができる。ただし、本発明はこれに限定されず、冷却板昇降駆動機構34は、アライメントステージ30上に搭載されてもよい。
【0058】
冷却板昇降駆動機構34は、冷却板Zステージ341をより安定的に昇降させるため、冷却板Zステージ341の昇降移動をガイドするガイド機構をさらに有することができる。例えば、冷却板Zステージ341の昇降移動をガイドする冷却板昇降ガイド機構は、冷却板昇降駆動機構ベース板345に固定されてZ方向に設置される柱344とガイドレール346と、ガイドレール346上にZ方向に移動可能に設置されるガイドブロック347と、ガイドブロック347を冷却板Zステージ341に固定するための固定ブラケット348とを有する。
【0059】
冷却板昇降駆動機構34がアライメントステージ30上に搭載される場合には、冷却板Zステージ昇降用の別途の柱を設置せずに、基板Zステージ昇降ガイド機構の柱317にガイドレール346を設置し、冷却板Zステージ341に連結されたガイドブロック34
7をガイドレール346に設置することにより、基板Zステージ昇降用の柱317を共有してもよい。これにより、全体的な昇降駆動機構をより単純化することができる。このような変形例において、基板Zステージ311に連結されたガイドブロック315と冷却板Zステージ341に連結されたガイドブロック347は、四角柱状の柱317の互いに異なる側面に設置される。これにより、ガイドブロック315の設置面とガイドブロック347の設置面は、互いに交差する。
【0060】
図3(a)に示した実施例では、冷却板昇降駆動機構34が昇降ガイド機構を有するものとして説明したが、本発明はこれに限定されず、冷却板昇降駆動機構34は、昇降ガイド機構を有しなくてもよい。
【0061】
マスク支持ユニット昇降駆動機構33は、マスク支持ユニット23をZ軸方向に昇降させるための機構であり、マスクMの交換時に使用済みのマスクMを搬送ロボット14に搬出し、新しいマスクMを搬送ロボット14から受け取り、マスクMをマスク台26に載置するまでの動作を行うのに用いられる。
【0062】
マスク支持ユニット昇降駆動機構33は、アライメントステージ30に搭載される。真空容器21内のマスク支持ユニット23は、真空容器21の内部と外部とを区画する隔壁を介してマスク支持ユニット昇降駆動機構33に接続する。マスク支持ユニット昇降駆動機構33は、マスク支持ユニット昇降駆動用モータ331とボールねじ332とを有し、マスク支持ユニット23を昇降させる機能を有する。
【0063】
図3(a)に示した実施例では、マスク支持ユニット昇降駆動機構33がマスク支持ユニット昇降駆動用モータ331とボールねじ332の直動機構として動作する構成を示しているが、本発明はこれに限定されず、基板支持ユニット昇降駆動機構31と同様に、昇降ガイド機構を有する構成にしてもよい。
【0064】
図3(a)に示した実施例では、マスク台26を使用することを前提にして、基板支持ユニット22とマスク支持ユニット23の両方をアライメントステージ30によって水平方向に移動させる構成を示したが、本発明はこれに限定されず、基板支持ユニット22又はマスク支持ユニット23のいずれか1つだけをアライメントステージ30によって水平移動させてもよい。つまり、基板支持ユニット昇降駆動機構31及びマスク支持ユニット昇降駆動機構33のいずれか一方をアライメントステージ30に搭載し、他方はアライメントステージ30から分離独立して設置してもよい。このような実施例では、アライメントステージ30に搭載される昇降駆動機構は被駆動体(例えば、基板Zステージ)の姿勢の安定化のためにリニアガイド(ガイドレール及びガイドブロック)を使用することが好ましい。
【0065】
以下、図3(b)を参照して、図2(b)の成膜装置11に用いられる水平駆動機構と昇降駆動機構について説明する。図3(b)に示した水平駆動機構及び昇降駆動機構は、図3(a)の冷却板昇降駆動機構34の代わりに静電チャック昇降駆動機構32を有するという点で、図3(a)に示した昇降駆動機構と差があるだけで、他は同様の構成である。
【0066】
図3(b)に示した実施例において、静電チャック昇降駆動機構32は、静電チャック24に連結された静電チャックZステージ321と、静電チャックZステージ321をZ方向に昇降駆動させるための静電チャック昇降駆動用モータ322と、静電チャック昇降駆動力伝達機構としてのボールねじ323とを有する。静電チャック24と静電チャックZステージ321は、シャフト325によって連結され、シャフト325は、静電チャック24を昇降可能に支持する。これにより、静電チャック昇降駆動用モータ322からの
駆動力は、ボールねじ323、静電チャックZステージ321、シャフト325を介して、静電チャック24に伝達される。
【0067】
図3(b)に示した実施例において、静電チャック昇降駆動機構32は、アライメントステージ30に搭載されず、真空容器21の内部と外部とを区画する隔壁の外部側の上面に固定された静電チャック昇降駆動機構ベース板324に設置される。従って、静電チャック昇降駆動機構32及び静電チャック24は、アライメントステージ30が水平方向(XYθ方向)に移動しても、これに追従せず、水平方向(XYθ方向)については真空容器21に対して固定される。これにより、静電チャック24と基板S又はマスクMとの間の水平方向(XYθ方向)への相対的な位置ずれを調整することができる。ただし、本発明はこれに限定されず、静電チャック昇降駆動機構32がアライメントステージ30に搭載されてもよい。
【0068】
静電チャック昇降駆動機構32は、静電チャックZステージ321をより安定的に昇降させるために、静電チャックZステージ321の昇降移動をガイドするガイド機構をさらに有することができる。例えば、静電チャックZステージ321の昇降移動をガイドする静電チャック昇降ガイド機構は、静電チャック昇降駆動機構ベース板324に固定されてZ方向に設置される柱329とガイドレール326と、ガイドレール326上にZ方向に移動可能に設置されるガイドブロック327と、ガイドブロック327を静電チャックZステージ321に固定するための固定ブラケット328を有する。
【0069】
静電チャック昇降駆動機構32がアライメントステージ30上に搭載される場合には、静電チャックZステージ昇降用の別途の柱を設置せずに、基板Zステージ昇降ガイド機構の柱317にガイドレール326を設置し、ガイドレール326に静電チャックZステージ321に連結されたガイドブロック327を設置することにより、基板Zステージ昇降用の柱317を共有してもよい。これにより、全体的な昇降駆動機構をより単純化することができる。このような変形例において、基板Zステージ311に連結されたガイドブロック315と、静電チャックZステージ321に連結されたガイドブロック327は、四角柱状の柱317の互いに異なる側面に設置される。これにより、ガイドブロック315の設置面とガイドブロック327の設置面は、互いに交差する。
【0070】
図3(b)には、基板支持ユニット昇降駆動機構31と、マスク支持ユニット昇降駆動機構33がアライメントステージ30に搭載される構成を示したが、本発明はこれに限定されず、静電チャック昇降駆動機構32がアライメントステージ30に搭載され、基板支持ユニット昇降駆動機構31と、マスク支持ユニット昇降駆動機構33は、アライメントステージ30から分離独立して成膜装置11の真空容器21に固定されるように設置されてもよい。このような実施例においては、静電チャック昇降駆動機構32は、静電チャックZステージ321の昇降の姿勢をより安定させるため、リニアガイド(ガイドレール及びガイドブロック)を使用することが好ましい。
【0071】
<昇降ガイド機構>
以下、図4を参照して、本発明の一実施形態による成膜装置11に用いられる昇降ガイド機構の様々な実施例について説明する。図4では、基板支持ユニット昇降駆動機構31に使用される昇降ガイド機構を例示的に説明するが、本発明はこれに限定されず、他の被移動体又は被移動体の支持ユニットを昇降させる他の昇降駆動装置、例えば、冷却板昇降駆動機構34、静電チャック昇降駆動機構32、マスク支持ユニット昇降駆動機構33にも用いることができる。
【0072】
前述のように、図4(a)に示した本発明の一実施形態による昇降駆動装置に使用される昇降ガイド機構、例えば、基板Zステージ昇降ガイド機構は、アライメントステージベ
ース板302にZ方向に固定されるように設置される複数(例えば、4つ)の柱317と、それぞれの柱317にZ方向に固定して設置される複数(例えば、4つ)のガイドレール314と(以下では、柱とガイドレールを合わせてレール部とも呼ぶ)は、それぞれのガイドレール314にZ方向へ移動可能に設置される複数(例えば4つ)のガイドブロック315と、それぞれのガイドブロック315を基板Zステージ311に固定するための固定ブラケット316と、を有する。
【0073】
本発明の一実施形態においては、少なくとも2つのガイドブロック315a、315bがZ方向(第1方向)における基板Zステージ311に対する高さが異なるように設置される。図3を参照して前述したように、基板Zステージ311と基板支持ユニット22は、互に連結されているので、基板Zステージ311に対するガイドブロック315の設置位置が異なるということは、基板支持ユニット22に対するガイドブロック315の設置位置が異なっていることを意味する。例えば、第1ガイドブロック315aは、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22に対する設置高さが第2ガイドブロック315bの基板Zステージ311又は基板支持ユニット22に対する設置高さより高い。なお、本実施形態においては各ガイドブロック315は同じ形状及び大きさを有するが、各ガイドブロック315は大きさや形状が異なってもよい。
【0074】
これにより、基板Zステージ311がボールねじ313と連結される地点を中心に揺動する場合にも、基板Zステージ311の揺動範囲を減らすことができ、昇降駆動時の基板Zステージ311又は基板支持ユニット22の姿勢をより安定化することができる。
【0075】
従来は、基板Zステージ昇降ガイド機構に使用される複数のガイドブロックが基板Zステージに対して同じ高さで基板Zステージに設置されていたので、基板Zステージがモータ及びボールねじによって昇降駆動されるとき、基板Zステージとボールねじが連結される地点を中心に基板Zステージ及び基板支持ユニットが相対的に大きく揺動した。
【0076】
これに対して、本発明においては、基板Zステージ311に固定される複数のガイドブロック315のうち少なくとも2つ以上のガイドブロックの基板Zステージ311又は基板支持ユニット22に対する設置位置を異なるようにすることで、つまり、少なくとも1つのガイドブロックを他のガイドブロックに比べて基板Zステージ311又は基板支持ユニット22から高く設置することにより、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22の揺動を低減することができる。
【0077】
本発明の一実施形態において、ガイドブロック315の設置位置は、ガイドブロック315の中心点を基準として決める。すなわち、本発明の一実施形態においては、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22から第1ガイドブロック315aの中心点の位置が第2ガイドブロック315bの中心点の位置より高くなるように第1ガイドブロック315aを基板Zステージ311に設置する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、基板Zステージの揺動を低減させることができる限り、ガイドブロックのZ方向への別の位置(例えば、最上面又は最低面)を基準にガイドブロックの設置位置を定義してもよい。なお、ガイドブロック315の中心点は、ガイドブロック315の重心位置と捉えることもできる。
【0078】
そのため、本発明の一実施形態においては、ガイドブロック315を基板Zステージ311に固定する固定ブラケット316の高さを互いに異なるようにする。例えば、第1ガイドブロック315aを基板Zステージ311に固定する第1固定ブラケット316aの長さを他の固定ブラケット、例えば、第2ガイドブロック315bを固定するための第2固定ブラケット316bよりZ方向に長くする。ただし、他の本発明はこれに限定されず、少なくとも2つのガイドブロックのZ方向における基板Zステージ311又は基板支持
ユニット22に対する設置位置が異なっている限り、具体的な固定方法及び手段は異なってもよい。例えば、長さの等しい固定ブラケットを用いるとともに、ガイドブロックを固定ブラケットに対しZ方向において互いに異なる位置に固定してもよい。また、1つのガイドレールに対して2つのガイドレールが設置されていてもよい。
【0079】
ただし、他のガイドブロックよりも相対的に設置位置の高いガイドブロック(例えば、第1ガイドブロック315a)の高さが高すぎると、基板Zステージ311の昇降可能範囲が小さくなるか、同一の昇降可能範囲を確保するために必要なガイドレール314の長さが長くなり、全体的に昇降駆動装置の高さが高くなってしまう。従って、他のガイドブロックより設置位置が高い第1ガイドブロック315aの設置位置は、基板Zステージ311の揺動の程度、基板Zステージ311の昇降可動範囲、成膜装置11の全体的な高さ等を考慮して、選択することが好ましい。
【0080】
本発明の一実施形態において、基板Zステージ311への設置位置が異なる少なくとも2つのガイドブロック315a、315bがガイドレール314に設置される設置面は、平行であることが好ましい。また、前記2つの設置面は平行で、かつ、少なくとも一部が対向することが好ましい。なお、ここでいう「平行」とは、数学的に厳密な意味での平行ではないものも含み、実質的に平行であるものをいう。具体的には、2つの設置面がなす角が0°以上5°以下であることが好ましく、0°以上3°以下であることがより好ましい。例えば、図4(a)に示すように、第1ガイドブロック315aの設置面がXZ平面と平行な場合には、第2ガイドブロック315bの設置面もXZ平面と平行になるように設置することが好ましい。これにより、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22がX軸を中心に揺動する範囲を効果的に低減することができる。なお、ここでいう「ガイドブロックがガイドレールに設置される設置面」又は「ガイドブロックの設置面」とは、ガイドレールの上面(ガイドブロックが載置される面)のうちガイドブロックと接触している部分を指す。
【0081】
以下、図4~6を参照し、本発明のいくつかの実施例について説明する。図4(b)~図4(e)及び図5図6は、本発明の様々な実施例の成膜装置の昇降ガイド機構の平面配置図である。
(実施例1)
【0082】
図4(b)に示した昇降ガイド機構は、第1柱317aからそれぞれY方向(第2方向)とX方向(第3方向)に所定間隔で離隔された第2柱317b及び第3柱317cを有する。また、第2柱317bからX方向に離隔され、第3柱317cからY方向に離隔された位置に配置された第4柱317dを有する。
【0083】
第1柱317a~第4柱317dには、それぞれの柱の一側面に第1ガイドレール314a~第4ガイドレール314dがそれぞれ固定されて設置される。図4(b)に示した実施例では、第1ガイドレール314aは、四角柱状の第1柱317aの左側面に設置され、第2ガイドレール314bは、第2柱317bの右側面に設置される。これにより、第1ガイドレール314aの第1柱317aに対する設置面は、第2ガイドレール314bの第2柱317bに対する設置面と対向する。なお、ここでいう「ガイドレールの柱に対する設置面」とは、ガイドレールの下面、すなわちガイドレールの柱と接触する面を指す。また、第3ガイドレール314cは、第3柱317cの左側面に設置され、これにより、第3ガイドレール314cの第3柱317cに対する設置面は、第1ガイドレール314aの第1柱317aに対する設置面と実質的に同一の平面上に置かれる。同様に、第4ガイドレール314dの第4柱317dに対する設置面は、第3ガイドレール314cの第3柱317cに対する設置面と対向し、第2ガイドレール314bの第2柱317bに対する設置面と実質的に同一の平面上に置かれる。
【0084】
第1ガイドレール314a~第4ガイドレール314dには、第1ガイドブロック315a~第4ガイドブロック315dがZ方向に移動可能にそれぞれ設置される。第1ガイドブロック315a~第4ガイドブロック315dは、基板Zステージ311に所定の高さに固定連結されるが、これらのうち、少なくとも2つのガイドブロック315の基板Zステージ311に対する固定位置は、互いに異なるように設けられる。例えば、第1ガイドブロック315aは、第2ガイドブロック315bよりZ方向に基板Zステージ311に対して高い位置に設けられる。また、第1ガイドブロック315aは、第3ガイドブロック315cよりZ方向に基板Zステージ311に対して高い位置に設けられ、第4ガイドブロック315dは、第2ガイドブロック315b及び第3ガイドブロック315cより高い位置に設置される。図4(b)に示した実施例では、第1ガイドブロック315aと第4ガイドブロック315dが同じ高さに設置され、第2ガイドブロック315bと第3ガイドブロック315cが同じ高さに設置されるが、本発明はこれに限定されず、例えば、第1ガイドブロック315aと第4ガイドブロック315dの高さは、互いに異なってもよく、第2ガイドブロック315bと第3ガイドブロック315cの高さも互いに異なってもよい。
【0085】
第1ガイドレール314aに対する第1ガイドブロック315aの設置面(第1設置面)は、Y方向に垂直であり、第2ガイドレール314bに対する第2ガイドブロック315bの設置面(第2設置面)と少なくとも一部が対向する。つまり、第1設置面と第2設置面は、XZ平面と平行であるが、Z方向の高さが互いに異なるので、少なくとも一部が対向する位置関係を有する。このように、第1設置面と第2設置面の少なくとも一部が対向するように配置することで、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22がX軸を中心に揺動することを低減することができる。特に、基板Sは、長辺がY軸に平行となるように成膜装置11内の基板支持ユニット22に支持されるので、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22がX軸を中心に揺動することを低減させることで、基板Sの中心から遠い両短辺の揺動範囲を低減することができる。
【0086】
同様に、第3ガイドレール314cに対する第3ガイドブロック315cの設置面(第3設置面)は、第4ガイドレール314dに対する第4ガイドブロック315dの設置面(第4設置面)と、少なくとも一部が対向する。これにより、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22がX軸を中心に揺動することをより効果的に低減することができる。
【0087】
ただし、本発明は、このような実施例に限定されず、例えば、図4(c)に示したように、第1設置面~第4設置面が全てX方向に垂直で、第1設置面と第3設置面が互いに少なくとも一部が対向し、第2設置面と第4設置面も少なくとも一部が対向するように配置されてもよい。このような図4(c)の実施例によれば、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22がY軸を中心に揺動することを効果的に低減させることができる。
【0088】
本発明者らの実験結果によれば、基板Zステージ311及び基板支持ユニット22の昇降機構を本実施例の構成とすることで、4つのガイドブロックの設置面の高さを全て同じにした場合に比べて基板Zステージ311及び基板支持ユニット22の変位をおよそ30%程度小さくすることができた。
(実施例2)
【0089】
図4(c)に示した実施例においても、第1ガイドブロック315aは、第2ガイドブロック315b及び第3ガイドブロック315cよりZ方向に基板Zステージ311に対して高い位置に設置され、第4ガイドブロック315dは、第2ガイドブロック315b及び第3ガイドブロック315cより高い位置に設置される。つまり、従来の技術よりも
、第1ガイドブロック315aと第4ガイドブロック315dの設置位置を高くすることにより、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22の揺動範囲を効果的に減らすことができる。
(実施例3)
【0090】
図4(d)に示した実施例においても、第1ガイドブロック315aは、第2ガイドブロック315b及び第3ガイドブロック315cよりZ方向に基板Zステージ311に対して高い位置に設置され、第4ガイドブロック315dは、第2ガイドブロック315b及び第3ガイドブロック315cより高い位置に設置されるが、図4(b)や図4(c)に示した実施例とは異なり、少なくとも2つのガイドブロックの設置面の方向が互いに異なっている(すなわち、柱の互いに異なる側面に設置される)。例えば、第1設置面と第4設置面は、X方向に垂直で、互いに平行であり、第2設置面と第3設置面は、Y方向に垂直で、互いに平行である。
【0091】
このように、図4(d)に示した実施例では、X方向又はY方向に隣接するガイドブロック間のZ方向の設置の高さが互いに異なるが、設置面が互いに交差するようにガイドレール314及びガイドブロック315を柱317に設置することにより、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22のX軸を中心とした揺動だけでなく、Y軸を中心とした揺動も低減することができる。
(実施例4)
【0092】
図4(e)に示した実施例においては、1つの柱317に1つのガイドレール314及び1つのガイドブロック315を設置するのではなく、1つの柱317の互いに異なる側面に2つ以上のガイドレール314及び2つ以上のガイドブロック315を設置する。
【0093】
例えば、第1柱317aの左側面及び前方側面に第1ガイドレール314a及び第1’ガイドレール314a’がそれぞれ設置され、第1ガイドレール314a及び第1’ガイドレール314a’には、第1ガイドブロック315a及び第1’ガイドブロック315a’が設置される。これにより、第1ガイドブロック315a及び第1’ガイドブロック315a’の第1設置面と第1’設置面は、互いに交差する。
【0094】
また、第1ガイドブロック315a及び第1’ガイドブロック315a’の基板Zステージ311に対する設置の高さは互いに実質的に同一の高さに設置され、第2ガイドブロック315b及び第2’ガイドブロック315a’の設置位置より高い。
【0095】
同様に、第1ガイドブロック315a及び第1’ガイドブロック315a’の基板Zステージ311の設置の高さは、第3ガイドブロック315c及び第3’ガイドブロック315c’の設置位置よりは高い。
【0096】
また、第4ガイドブロック315d及び第4’ガイドブロック315d’の設置位置は、第2ガイドブロック315b及び第2’ガイドブロック315a’の設置位置や、第3ガイドブロック315c及び第3’ガイドブロック315c’の設置位置よりは高い。
【0097】
図4(e)に示した実施例において、第1設置面と第2設置面、第3設置面と第4設置面は、全てY方向に垂直であり、互いに少なくとも一部が対向し、第1’設置面と第2’設置面、第3’設置面と第4’設置面は、全てX方向に垂直であり、互いに少なくとも一部が対向する。これにより、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22のX軸を中心とした揺動及びY軸を中心とした揺動を効果的に低減することができ、さらに、Z軸を中心に回転する方向への揺動も効果的に低減することができる。
【0098】
図4(e)に示した実施例においては、1つの柱317に設置された2つ以上のガイドブロック315が同じ高さに設置される例を示したが、本発明はこれに限定されず、互いに異なる高さに設置してもよい。
【0099】
図4(b)~図4(e)に示した実施例1~4において、基板支持ユニット昇降用駆動力伝達機構としてのボールねじ313は、基板Zステージ311の重心を通過するように設置することが好ましい。例えば、柱317、ガイドレール314、ガイドブロック315をZ軸に垂直な平面に投影したとき、その投影された図形の重心の位置とボールねじ313を投影した位置が等しくなるようにボールねじ313を配置することが好ましい。これにより、基板Zステージ311の姿勢の安定性を向上させることができる。
【0100】
図4に示した実施例では、柱317が4つである場合を例示的に説明したが、本発明はこれに限定されず、図5に示すように、柱317が2つであってもよく、図6に示すように、柱317が3つであってもよい。
(実施例5)
【0101】
図5(a)に示した実施例において、第1柱317aと第2柱317bは、Y方向に所定の距離だけ離隔されて設置され、第1ガイドレール314aと第1ガイドブロック315aは、第1柱317aの左側面に設置され、第2ガイドレール314bと第2ガイドブロック315bは、第2柱317bの右側面に設置される。
【0102】
これにより、第1ガイドブロック315aの設置面(第1設置面)と第2ガイドブロック315bの設置面(第2設置面)は、Y軸に垂直であり、少なくとも一部が対向するようになる。
【0103】
第1ガイドブロック315aは、第2ガイドブロック315bより基板Zステージ311又は基板支持ユニット22より高い位置に設置される。
【0104】
図5(a)に示した実施例によると、設置するガイドブロックの数を低減することにより、装置の費用を低減することができるとともに、X軸を中心とした基板Zステージ311又は基板支持ユニット22の揺動範囲を低減することができる。
(実施例6)
【0105】
図5(b)に示した実施例は、第1ガイドブロック315aの設置面(第1設置面)と第2ガイドブロック315bの設置面(第2設置面)がX軸に垂直という点で、図5(a)の実施例と異なる。
【0106】
図5(b)に示した実施例によると、設置するガイドブロックの数を低減しながらも、Y軸を中心とした基板Zステージ311又は基板支持ユニット22の揺動範囲を低減することができる。
(実施例7、8)
【0107】
図5(c)及び図5(d)に示した実施例は、1つの柱317に2つ以上のガイドレール314及びガイドブロック315が設置されるという点で、図5(a)や図5(b)の実施例と異なる。
【0108】
図5(c)及び図5(d)に示した実施例によると、設置するガイドブロックの数を低減しながらも、X軸及びY軸を中心とした基板Zステージ311又は基板支持ユニット22の揺動範囲を低減することができる。
【0109】
図5に示した実施例において、基板支持ユニット昇降用駆動力伝達機構としてのボールねじ313は、基板Zステージ311の重心を通過するように設置することが好ましい。例えば、柱317、ガイドレール314、ガイドブロック315をZ軸に垂直な平面に投影したとき、その投影位置によって形成される図形の重心にボールねじ313の投影位置が存在するようにボールねじ313を配置することが好ましい。これにより、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22の姿勢の安定性を向上させることができる。
(実施例9)
【0110】
図6(a)に示した実施例においては、第1柱317aと第2柱317bは、Y方向に所定の距離で離隔されるように設置され、第3柱317cは、第1柱317aと第2柱317bの中間点から、X方向に離隔された位置に設置される。
【0111】
第1ガイドレール314aと第1ガイドブロック315aは、第1柱317aの左側面に設置され、第2ガイドレール314bと第2ガイドブロック315bは、第2柱317bの右側面に設置され、第3ガイドレール314cと第3ガイドブロック315cは、第3柱317cの後方側面に設置される。第1ガイドブロック315aは、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22に対する高さが第2ガイドブロック315bや第3ガイドブロック315cより高くなるように設置される。
【0112】
第1ガイドブロック315aの設置面(第1設置面)と第2ガイドブロック315bの設置面(第2設置面)は、Y軸に垂直であり、少なくとも一部が対向するので、ガイドブロック315の数を低減しながらも、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22がX軸を中心に揺動することを低減することができる。また、第3ガイドブロック315cの設置面(第3設置面)は、X軸に垂直であり、第1設置面や第2設置面と交差するので、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22がX軸方向に移動することを低減することができる。
(実施例10)
【0113】
図6(b)に示した実施例では、第1設置面と第2設置面がX軸に垂直であり、実質的に同一の平面上に存在し、第3設置面は、X軸に垂直であり、第1設置面及び第2設置面に平行であるという点で、図6(a)の実施例と異なる。
【0114】
これにより、ガイドブロック315の数を低減しながらも、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22がY軸を中心に揺動することをより効果的に低減することができる。
(実施例11)
【0115】
図6(c)に示した実施例は、1つの柱317に2つ以上のガイドブロック315が設置されるという点で、図6の他の実施例と異なる。また、柱317の断面状が、長方形又は正方形ではなく、菱形であるという点においても他の実施例と異なる。
【0116】
ガイドレール314及びガイドブロック315は、菱形の柱317の隣接する面にそれぞれ設置され、1つの柱317に設置された2つのガイドブロック315の設置面がなす角度は、他の実施例とは異なり、90度より小さい。
【0117】
このような構成により、X軸とY軸を中心とした揺動、Z軸を中心とした回転方向における揺動も低減することができる。
【0118】
図6に示した実施例において、基板支持ユニット昇降用駆動力伝達機構としてのボールねじ313は、基板Zステージ311の重心を通過するように設置することが好ましい。
例えば、柱317、ガイドレール314、ガイドブロック315をZ軸に垂直な平面に投影したとき、その投影位置によって形成される図形の重心にボールねじ313の投影位置が存在するようにボールねじ313を配置することが好ましい。これにより、基板Zステージ311又は基板支持ユニット22の姿勢の安定性を向上させることができる。
【0119】
本発明は、図4図6に示した昇降ガイド機構に限定されず、複数のガイドレール(レール部)と、複数のレール部のそれぞれに設置された複数のガイドブロック(移動可能部)と、を備え、複数のガイドブロックのうちの少なくとも2つのガイドブロックの基板Zステージ311又は基板支持ユニット22に対する設置の高さが互いに異なる限り、上記の実施例とは異なる構成でもよい。例えば、柱317の数、柱317の断面状、柱317の平面配置、ガイドレール314の柱317への設置位置等を多様に変更することができる。
【0120】
<成膜方法>
図2図4を参照して、基板にマスクを介して蒸着材料を成膜する成膜方法を説明する。
【0121】
マスクの交換時期になると、マスク支持ユニット昇降駆動機構33によってマスク支持ユニット23をZ軸方向に昇降駆動して、使用済みのマスクを、マスク台26上の蒸着位置から搬送ロボット14がマスクを受け取ることができる搬出位置に上昇させる。搬送ロボット14は、使用済みのマスクをマスク支持ユニット23から受け取って、真空容器21の外に搬出し、新しいマスクを真空容器21内に搬入して、搬出位置にとどまっているマスク支持ユニット23に新しいマスクを渡す。
【0122】
次いで、真空容器21の内部と外部とを区画する隔壁の外部側の上面に設置されたアライメント用カメラを使って、新たに搬入されたマスクMと冷却板27及びマグネットとの間の水平方向(XYθ方向)における相対的な位置を測定する。
【0123】
冷却板27及びマグネットとマスク支持ユニット23に支持されているマスクMの相対的位置が水平方向(XYθ方向)にずれていることが判明した場合、アライメントステージ30によってマスク支持ユニット23を水平方向(XYθ方向)に移動させて、マスクMを冷却板27及びマグネットに対して位置調整する。冷却板昇降駆動機構34は、アライメントステージ30から分離及び独立して設置されるため、マスク支持ユニット23に保持されたマスクMに対して冷却板27及びマグネットを相対移動させて、これらの位置を調整することができる。
【0124】
マスクアライメントが完了した場合、マスク支持ユニット昇降駆動機構33によってマスク支持ユニット23を下降させて、マスクMを搬出位置からマスク台26上の蒸着位置まで下降させ、マスク台26上にマスクMを載置する。
【0125】
成膜装置11の真空容器21内に基板Sが、搬送ロボット14によって搬入されて搬入位置に待機した基板支持ユニット22に載置されたら、基板支持ユニット昇降駆動機構31によって基板支持ユニット22がZ軸方向に下降し、マスクMの上方の決まった高さの計測位置に移動する。
【0126】
このような基板Sのアライメント計測位置への下降において、本発明の一実施形態による昇降ガイド機構により基板支持ユニット22の姿勢、従って、基板Sの姿勢を安定させることができ、基板アライメント工程の精度を高め、所要時間を短縮することができる。つまり、基板支持ユニット22をアライメント計測位置に下降させる過程で、基板支持ユニット22の揺動により基板Sの位置がずれることがありうるが、本発明の基板支持ユニ
ット昇降駆動機構31により、下降の間、基板支持ユニット22の揺動を抑制し、その姿勢を安定化させることができ、続く位置調整がより精密かつ短時間で完了することができる。
【0127】
次いで、アライメント用カメラによって基板SのアライメントマークとマスクMのアライメントマークを撮影して基板SとマスクMの相対的な位置ずれを測定する。
【0128】
基板SとマスクMの相対的位置ずれ量が所定の閾値を超える場合、基板支持ユニット昇降駆動機構31が搭載されているアライメントステージ30を水平方向(XYθ方向)に移動させて、基板SとマスクMの相対的な位置を調整する。
【0129】
基板SのマスクMに対するアライメントが完了した場合、基板支持ユニット22は基板支持ユニット昇降駆動機構31によってマスクM上に下降し、マスクM上に基板Sを下ろす。
【0130】
本発明の一実施形態の昇降ガイド機構によれば、このような基板Sの下降過程においても、基板支持ユニット22の姿勢を安定に維持することができ、基板Sの姿勢のずれを防止することができる。
【0131】
次いで、冷却板昇降駆動機構34の駆動によって冷却板27及びマグネットが下降し、基板Sの上面に置かれる。この際マグネットの磁力によって金属製のマスクMが引き寄せられ、基板SとマスクMが密着する。
【0132】
この過程においても、冷却板昇降駆動機構34の昇降ガイド機構により冷却板27及びマグネットの姿勢を安定に維持することができ、冷却板27及びマグネットを精度よく基板S及びマスクM上に載置することができる。これにより、後続する蒸着工程での基板Sの冷却効率を向上させることができ、基板SとマスクMの密着度を向上させることができる。
【0133】
この状態で、蒸発源25のシャッタが開き、蒸発源25のるつぼから蒸発した蒸着材料が、マスクMの微細パターン開口を通して基板Sに蒸着する。
【0134】
基板Sに蒸着した蒸着材料の膜厚が所定の厚さに到達した場合、蒸発源25のシャッタを閉じ、その後、搬送ロボット14が、基板Sを真空容器21から搬送室13に搬出する。所定の枚数の基板Sに対して、基板搬入から基板搬出までの工程を繰り返して行った後、蒸着材料が堆積してこれ以上使うことができなくなったマスクMを、成膜装置11から搬出して、新しいマスクを成膜装置に搬入する。
【0135】
図2(b)及び図3(b)に示した成膜装置11を用いた成膜方法においては、基板Sを静電チャック24によって吸着させた状態で、静電チャック昇降駆動機構32によって基板Sを昇降させる点で差がある。例えば、蒸着材料が成膜される基板Sが真空容器21内に搬入され、基板支持ユニット22に支持されたら、この状態で、静電チャック24に対する基板Sのプリアライメント工程を行う。基板Sのプリアライメント工程においては、まず、静電チャック24に対する基板Sの相対的な位置ずれ量を測定する。
【0136】
静電チャック24と基板Sの相対的な位置がずれていると判明した場合、アライメントステージ30を水平方向(XYθ方向)に移動させ、静電チャック24と基板Sとの水平方向(XYθ方向)における相対的な位置を調整する。
【0137】
本実施例では、図3を参照して説明したとおり、基板支持ユニット昇降駆動機構31は
、アライメントステージ30上に搭載され、静電チャック昇降駆動機構32は、アライメントステージ30から分離独立して設置されるので、アライメントステージ30を水平方向(XYθ方向)に移動させることで、静電チャック24と基板Sの相対的位置を調整することができる。
【0138】
静電チャック24に対する基板Sの位置調整(基板プリアライメント)が完了したら、静電チャック24を静電チャック昇降駆動機構32によって下降させ、静電チャック24に所定の電圧(ΔV1)を印加して、基板Sを静電チャック24に吸着させる。
【0139】
次いで、静電チャック昇降駆動機構32を駆動して、静電チャック24に吸着させた基板Sをアライメント計測位置まで下降させる。
【0140】
本発明の一実施形態による静電チャック昇降駆動機構32によると、このような静電チャック24の下降(よって、これに吸着させた基板Sの下降)の間に、静電チャック24の姿勢を安定に維持することができる。
【0141】
静電チャック24に吸着させた基板Sがアライメント計測位置まで下降すると、アライメント用カメラを使用して基板SとマスクMのアライメントマークを撮影し、その相対的位置ずれ量を測定する。基板SとマスクMとの相対的な位置ずれ量が閾値を超えると、マスク支持ユニット昇降駆動機構33が搭載されたアライメントステージ30を水平方向(XYθ方向)に移動させて、基板SとマスクMの相対的な位置を調整する。
【0142】
これによって、基板SとマスクMの相対的位置ずれが閾値内に収まったら、静電チャック昇降駆動機構32を駆動して、静電チャック24をマスクM上に下降させる。マスクM上に下降させた静電チャック24に所定の電圧(ΔV2)を印加して、マスクMを基板S側に引き寄せ、これによって基板SとマスクMを密着させる。
【0143】
次いで、蒸発源25のシャッタを開けて、蒸発源25から蒸発した蒸着材料をマスクMを介して基板の下面に蒸着させる。
【0144】
なお、上述の説明では、成膜装置11は、基板Sの成膜面が鉛直方向下方を向いた状態で成膜が行われる、いわゆる上向蒸着方式(デポアップ)の構成としたが、これに限定されず、基板Sが真空容器21の側面側に垂直に立てられた状態で配置され、基板Sの成膜面が重力方向と平行な状態で成膜が行われる構成であってもよい。
【0145】
<電子デバイスの製造方法>
次に、本実施形態の成膜装置を用いた電子デバイスの製造方法の一例を説明する。以下、電子デバイスの例として有機EL表示装置の構成及び製造方法を例示する。
【0146】
まず、製造する有機EL表示装置について説明する。図7(a)は有機EL表示装置60の全体図、図7(b)は1画素の断面構造を表している。
【0147】
図7(a)に示すように、有機EL表示装置60の表示領域61には、発光素子を複数備える画素62がマトリクス状に複数配置されている。詳細は後で説明するが、発光素子のそれぞれは、一対の電極に挟まれた有機層を備えた構造を有している。なお、ここでいう画素とは、表示領域61において所望の色の表示を可能とする最小単位を指している。本実施例にかかる有機EL表示装置の場合、互いに異なる発光を示す第1発光素子62R、第2発光素子62G、第3発光素子62Bの組み合わせにより画素62が構成されている。画素62は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子の組み合わせで構成されることが多いが、黄色発光素子とシアン発光素子と白色発光素子の組み合わせでもよく、少
なくとも1色以上であれば特に制限されるものではない。
【0148】
図7(b)は、図7(a)のA-B線における部分断面模式図である。画素62は、基板63上に、第1電極(陽極)64と、正孔輸送層65と、発光層66R、66G、66Bのいずれかと、電子輸送層67と、第2電極(陰極)68と、を備える有機EL素子を有している。これらのうち、正孔輸送層65、発光層66R、66G、66B、電子輸送層67が有機層に当たる。また、本実施形態では、発光層66Rは赤色を発する有機EL層、発光層66Gは緑色を発する有機EL層、発光層66Bは青色を発する有機EL層である。発光層66R、66G、66Bは、それぞれ赤色、緑色、青色を発する発光素子(有機EL素子と記述する場合もある)に対応するパターンに形成されている。また、第1電極64は、発光素子毎に分離して形成されている。正孔輸送層65と電子輸送層67と第2電極68は、複数の発光素子62R、62G、62Bと共通で形成されていてもよいし、発光素子毎に形成されていてもよい。なお、第1電極64と第2電極68とが異物によってショートするのを防ぐために、第1電極64間に絶縁層69が設けられている。さらに、有機EL層は水分や酸素によって劣化するため、水分や酸素から有機EL素子を保護するための保護層70が設けられている。
【0149】
図7(b)では正孔輸送層65や電子輸送層67が1つの層で示されているが、有機EL表示素子の構造によって、正孔ブロック層や電子ブロック層を有する複数の層で形成されてもよい。また、第1電極64と正孔輸送層65との間には、第1電極64から正孔輸送層65への正孔の注入が円滑に行われるようにすることのできるエネルギーバンド構造を有する正孔注入層を形成することもできる。同様に、第2電極68と電子輸送層67の間にも電子注入層を形成することができる。
【0150】
次に、有機EL表示装置の製造方法の例について具体的に説明する。
【0151】
まず、有機EL表示装置を駆動するための回路(不図示)及び第1電極64が形成された基板63を準備する。
【0152】
第1電極64が形成された基板63の上にアクリル樹脂をスピンコートで形成し、アクリル樹脂をリソグラフィ法により、第1電極64が形成された部分に開口が形成されるようにパターニングし絶縁層69を形成する。この開口部が、発光素子が実際に発光する発光領域に相当する。
【0153】
絶縁層69がパターニングされた基板63を第1の有機材料成膜装置に搬入し、基板支持ユニット22及び/又は静電チャック24にて基板を保持し、正孔輸送層65を、表示領域の第1電極64の上に共通する層として成膜する。正孔輸送層65は真空蒸着により成膜される。実際には、正孔輸送層65は表示領域61よりも大きなサイズに形成されるため、高精細なマスクは不要である。
【0154】
次に、正孔輸送層65までが形成された基板63を第2の有機材料成膜装置に搬入し、基板支持ユニット22及び/又は静電チャック24にて保持する。基板とマスクとのアライメントを行い、基板をマスクの上に載置し、基板63の赤色を発する素子を配置する部分に、赤色を発する発光層66Rを成膜する。
【0155】
本発明によれば、基板支持ユニット昇降駆動機構31の昇降ガイド機構により基板支持ユニット22等の昇降時に、基板支持ユニット22の揺動を抑制し、その姿勢をより安定的に維持することができる。発光層66Rの成膜と同様に、第3の有機材料成膜装置により緑色を発する発光層66Gを成膜し、さらに第4の有機材料成膜装置により青色を発する発光層66Bを成膜する。発光層66R、66G、66Bの成膜が完了した後、第5の
成膜装置により表示領域61の全体に電子輸送層67を成膜する。電子輸送層67は、3色の発光層66R、66G、66Bに共通の層として形成される。
【0156】
電子輸送層67まで形成された基板を金属性蒸着材料成膜装置に移動させて第2電極68を成膜する。
【0157】
その後、基板をプラズマCVD装置に移動して保護層70を成膜して、有機EL表示装置60が完成する。
【0158】
絶縁層69がパターニングされた基板63を成膜装置に搬入してから保護層70の成膜が完了するまでは、水分や酸素を含む雰囲気にさらしてしまうと、有機EL材料からなる発光層が水分や酸素によって劣化してしまうおそれがある。従って、本実施例において、成膜装置間の基板の搬入搬出は、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気の下で行われる。
【0159】
前記実施例は本発明の一例を説明するもので、本発明は前記実施例の構成に限定されないし、その技術思想の範囲内で適切に変形してもよい。
【符号の説明】
【0160】
21:真空容器
22:基板支持ユニット
23:マスク支持ユニット
24:静電チャック
30:アライメントステージ
31:基板支持ユニット昇降駆動機構
32:静電チャック昇降駆動機構
33:マスク支持ユニット昇降駆動機構
314:ガイドレール
315:ガイドブロック
317:柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7