(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】洗浄装置、研磨装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240308BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20240308BHJP
B08B 1/32 20240101ALI20240308BHJP
【FI】
H01L21/304 644B
B24B55/06
H01L21/304 644C
H01L21/304 622Q
B08B1/32
(21)【出願番号】P 2019236617
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 充
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓也
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-238713(JP,A)
【文献】特開2001-007069(JP,A)
【文献】特表2007-529106(JP,A)
【文献】特開2011-181644(JP,A)
【文献】米国特許第5775983(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/306
B24B 55/06
B08B 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハの洗浄を行う洗浄空間を画定する洗浄槽と、
前記洗浄槽の内側に配置され、前記ウェハを保持して回転させるウェハ回転機構と、
前記ウェハの表面に接触して洗浄する洗浄部材であって、横方向に延びる中心軸線回りに回転可能な洗浄部材と、
前記洗浄部材を、前記洗浄槽の内側に位置する揺動軸線回りに揺動させて、前記ウェハの外側の待避位置から前記ウェハの直上の洗浄位置まで移動させる揺動機構と、
前記洗浄部材を保持するホルダと、
前記洗浄部材を昇降させる昇降機構と、
を備え、
前記洗浄部材の長さは、前記ウェハの半径よりも長く、
前記洗浄部材の中心から前記揺動軸線までの距離は、前記ウェハの直径より小さく、
前記揺動機構が前記洗浄部材を前記揺動軸線回りに揺動させる際に、前記洗浄部材は前記ウェハの中心の直上を通過
し、
前記昇降機構は、
縦方向に延びる柱部と、
前記柱部から横方向に延びる腕部と、を有し、
前記腕部の下面は、前記ホルダの上面よりも上方に位置している
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記揺動軸線は、前記洗浄部材の前記中心軸線の延長線上から離れた位置にある
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記揺動機構が前記洗浄部材を前記待避位置から前記洗浄位置まで移動させる際の揺動角は90°より小さい
ことを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記ウェハの表面に対して前記洗浄部材が加える荷重をコントロールする荷重コントロール機構
をさらに備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記柱部は、前記洗浄槽の壁面を貫通するように設けられ、
前記洗浄槽の外側に突き出る前記柱部の端部に駆動手段
が設けられており、
前記揺動機構は、前記腕部の先端部に設けられており、
前記昇降機構は、前記洗浄部材と前記揺動機構とを一体に昇降させる
ことを特徴とする請求項4に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記腕部は、前記待避位置の上方または下方を跨ぐように横方向に延びている
ことを特徴とする請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
ウェハの研磨を行う研磨ユニットと、
研磨後のウェハの洗浄を行う洗浄ユニットと、
を備え、
前記洗浄ユニットは、
ウェハの洗浄を行う洗浄空間を画定する洗浄槽と、
前記洗浄槽の内側に配置され、前記ウェハを保持して回転させるウェハ回転機構と、
前記ウェハの表面に接触して洗浄する洗浄部材であって、横方向に延びる中心軸線回りに回転可能な洗浄部材と、
前記洗浄部材を、前記洗浄槽の内側に位置する揺動軸線回りに揺動させて、前記ウェハの外側の待避位置から前記ウェハの直上の洗浄位置まで移動させる揺動機構と、
前記洗浄部材を保持するホルダと、
前記洗浄部材を昇降させる昇降機構と、
を備え、
前記洗浄部材の長さは、前記ウェハの半径よりも長く、
前記洗浄部材の中心から前記揺動軸線までの距離は、前記ウェハの直径より小さく、
前記揺動機構が前記洗浄部材を前記揺動軸線回りに揺動させる際に、前記洗浄部材は前記ウェハの中心の直上を通過
し、
前記昇降機構は、
縦方向に延びる柱部と、
前記柱部から横方向に延びる腕部と、を有し、
前記腕部の下面は、前記ホルダの上面よりも上方に位置している
ことを特徴とする研磨装置。
【請求項8】
前記揺動軸線は、前記洗浄部材の前記中心軸線の延長線上から離れた位置にある
ことを特徴とする請求項7に記載の研磨装置。
【請求項9】
前記揺動機構が前記洗浄部材を前記待避位置から前記洗浄位置まで移動させる際の揺動角は90°より小さい
ことを特徴とする請求項7または8に記載の研磨装置。
【請求項10】
前記ウェハの表面に対して前記洗浄部材が加える荷重をコントロールする荷重コントロール機構
をさらに備えたことを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の研磨装置。
【請求項11】
前記柱部は、前記洗浄槽の壁面を貫通するように設けられ、
前記
洗浄槽の外側に突き出る前記柱部の端部に駆動手段
が設けられており、
前記揺動機構は、前記腕部の先端部に設けられており、
前記昇降機構は、前記洗浄部材と前記揺動機構とを一体に昇降させる
ことを特徴とする請求項10に記載の研磨装置。
【請求項12】
前記腕部は、前記待避位置の上方または下方を跨ぐように横方向に延びている
ことを特徴とする請求項11に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置、研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウェハ等の基板の表面に成膜、エッチング、研磨などの各種処理が施される。これら各種処理の前後には、基板の表面を洗浄に保つ必要があるため、基板の洗浄処理が行われる。基板の洗浄処理には、基板の周縁部を複数のローラによって保持しつつローラを回転駆動することにより基板を回転させ、回転する基板に洗浄部材を押し当てて洗浄する洗浄機が広く用いられている。
【0003】
特許文献1には、洗浄部材としてロール状のスポンジを使用したロール洗浄機が開示されている。特許文献1の洗浄機は、ロール状のスポンジからなる洗浄部材を、X軸方向に延びるガイドレールに沿って走行(並行)させて、ウェハを洗浄する洗浄位置からウェハの外側の待避位置まで移動させる駆動機構を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の洗浄機において、洗浄部材を洗浄位置から待避位置まで移動させる駆動機構は、洗浄槽の内側に設けられている。そのため、洗浄槽のフットプリントを小さくすることが困難である。
【0006】
ウェハの大きさに比べて十分に狭隘な洗浄槽にするために、駆動機構を洗浄槽の外側に配置するとともに、洗浄位置から待避位置まで駆動機構を走行させるための大きな開口を洗浄槽の側壁に形成し、当該開口をシャッタで開閉させる構成が考えられる。
【0007】
しかしながら、このような構成では、シャッタが開口している状態で薬液の供給が行われると、ウェハ洗浄やスクラブ洗浄時の薬液が槽外に飛散するリスクあるため、シャッタの開口時には液供給系を停止状態にする必要があり、タイムロス(OHT)が発生する。また、シャッタの開口時はもとより、シャッタの閉口時であっても、洗浄槽の側壁とシャッタとの間には幾分の隙間があるため、この隙間から薬液雰囲気が洗浄槽の外側へ漏洩するリスクがある。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものでる。本発明の目的は、洗浄部材を退避位置から洗浄位置まで移動可能な洗浄装置、研磨装置において、洗浄槽の側壁に走行用の開口を形成することなく、洗浄槽のフットプリントを小さくできる洗浄装置、研磨装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る洗浄装置は、
ウェハの洗浄を行う洗浄空間を画定する洗浄槽と、
前記洗浄槽の内側に配置され、前記ウェハを保持して回転させるウェハ回転機構と、
前記ウェハの表面に接触して洗浄する洗浄部材であって、横方向に延びる中心軸線回りに回転可能な洗浄部材と、
前記洗浄部材を、前記洗浄槽の内側に位置する揺動軸線回りに揺動させて、前記ウェハの外側の待避位置から前記ウェハの直上の洗浄位置まで移動させる揺動機構と、
を備え、
前記洗浄部材の長さは、前記ウェハの半径よりも長く、
前記洗浄部材の中心から前記揺動軸線までの距離は、前記ウェハの直径より小さく、
前記揺動機構が前記洗浄部材を前記揺動軸線回りに揺動させる際に、前記洗浄部材は前記ウェハの中心の直上を通過する。
【0010】
このような態様によれば、洗浄部材がウェハの半径より長い長尺な部材であっても、洗浄部材の中心から揺動軸線までの距離がウェハの直径より小さくなるように規定されており、洗浄部材を当該揺動軸線回りに揺動させることで待避位置から洗浄位置まで移動させるため、洗浄部材を待避位置から洗浄位置まで直線移動(走行)させる場合に比べて、洗浄部材を洗浄位置から待避位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を低減できる。また、揺動軸線が洗浄槽の内側に位置するため、洗浄槽の側壁に走行用の開口を形成する必要がない。したがって、洗浄部材を退避位置から洗浄位置まで移動可能な洗浄装置において、洗浄槽の側壁に走行用の開口を形成することなく、洗浄槽のフットプリントを小さくすることが可能となる。また、洗浄槽の側壁に走行用の開口を形成する必要がないため、洗浄槽の外側への薬液雰囲気の漏洩を改善できる。
【0011】
本発明の第2の態様に係る洗浄装置は、第1の態様に係る洗浄装置であって、
前記揺動軸線は、前記洗浄部材の前記中心軸線の延長線上から離れた位置にある。
【0012】
このような態様によれば、揺動軸線が洗浄部材の中心軸線の延長線上にはないため、洗浄部材の中心から揺動軸線までの距離を、洗浄部材の長さの半分以下に縮めることも可能であり、洗浄部材を洗浄位置から待避位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を一層低減でき、洗浄槽のフットプリントをより小さくできる。
【0013】
本発明の第3の態様に係る洗浄装置は、第1または2の態様に係る洗浄装置であって、
前記揺動機構が前記洗浄部材を前記待避位置から前記洗浄位置まで移動させる際の揺動角は90°より小さい。
【0014】
このような態様によれば、揺動機構が洗浄部材を待避位置から洗浄位置まで移動させる際の揺動角は90°以上である場合に比べて、洗浄部材を洗浄位置から待避地位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を一層低減でき、洗浄槽のフットプリントをより小さくできる。
【0015】
本発明の第4の態様に係る洗浄装置は、第1~3のいずれかの態様に係る洗浄装置であって、
前記洗浄部材を昇降させる昇降機構と、
前記ウェハの表面に対して前記洗浄部材が加える荷重をコントロールする荷重コントロール機構と、
をさらに備える。
【0016】
本発明の第5の態様に係る洗浄装置は、第4の態様に係る洗浄装置であって、
前記昇降機構は、
前記洗浄槽の壁面を貫通するように設けられた縦方向に延びる柱部と、
前記柱部から横方向に延びる腕部と、
前記洗浄槽の外側に突き出る前記柱部の端部に設けられた駆動手段と、
を有し、
前記揺動機構は、前記腕部の先端部に設けられており、
前記昇降機構は、前記洗浄部材と前記揺動機構とを一体に昇降させる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る洗浄装置は、第5の態様に係る洗浄装置であって、
前記腕部は、前記待避位置の上方または下方を跨ぐように横方向に延びている。
【0018】
このような態様によれば、洗浄部材が待避位置に位置するとき、腕部の下方または上方の空間に洗浄部材が収容された状態になるため、洗浄槽の内部空間の効率的な利用となり、洗浄槽のフットプリントをより小さくすることが可能となる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る研磨装置は、
ウェハの研磨を行う研磨ユニットと、
研磨後のウェハの洗浄を行う洗浄ユニットと、
を備え、
前記洗浄ユニットは、
ウェハの洗浄を行う洗浄空間を画定する洗浄槽と、
前記洗浄槽の内側に配置され、前記ウェハを保持して回転させるウェハ回転機構と、
前記ウェハの表面に接触して洗浄する洗浄部材であって、横方向に延びる中心軸線回りに回転可能な洗浄部材と、
前記洗浄部材を、前記洗浄槽の内側に位置する揺動軸線回りに揺動させて、前記ウェハの外側の待避位置から前記ウェハの直上の洗浄位置まで移動させる揺動機構と、
を備え、
前記洗浄部材の長さは、前記ウェハの半径よりも長く、
前記洗浄部材の中心から前記揺動軸線までの距離は、前記ウェハの直径より小さく、
前記揺動機構が前記洗浄部材を前記揺動軸線回りに揺動させる際に、前記洗浄部材は前記ウェハの中心の直上を通過する。
【0020】
このような態様によれば、洗浄部材がウェハの半径より長い長尺な部材であっても、洗浄部材の中心から揺動軸線までの距離がウェハの直径より小さくなるように規定されており、洗浄部材を当該揺動軸線回りに揺動させることで待避位置から洗浄位置まで移動させるため、洗浄部材を待避位置から洗浄位置まで直線移動(走行)させる場合に比べて、洗浄部材を洗浄位置から待避位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を低減できる。また、揺動軸線が洗浄槽の内側に位置するため、洗浄槽の側壁に走行用の開口を形成する必要がない。したがって、洗浄部材を退避位置から洗浄位置まで移動可能な洗浄モジュールを備えた研磨装置において、洗浄槽の側壁に走行用の開口を形成することなく、洗浄槽のフットプリントを小さくすることが可能となる。また、洗浄槽の側壁に走行用の開口を形成する必要がないため、洗浄槽の外側への薬液雰囲気の漏洩を改善できる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る研磨装置は、第7の態様に係る研磨装置であって、
前記揺動軸線は、前記洗浄部材の前記中心軸線の延長線上から離れた位置にある。
【0022】
このような態様によれば、揺動軸線が洗浄部材の中心軸線の延長線上にはないため、洗浄部材の中心から揺動軸線までの距離を、洗浄部材の長さの半分以下に縮めることも可能であり、洗浄部材を洗浄位置から待避地位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を一層低減でき、洗浄槽のフットプリントをより小さくできる。
【0023】
本発明の第9の態様に係る研磨装置は、第7または8の態様に係る研磨装置であって、
前記揺動機構が前記洗浄部材を前記待避位置から前記洗浄位置まで移動させる際の揺動角は90°より小さい。
【0024】
このような態様によれば、揺動機構が洗浄部材を待避位置から洗浄位置まで移動させる際の揺動角は90°以上である場合に比べて、洗浄部材を洗浄位置から待避地位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を一層低減でき、洗浄槽のフットプリントをより小さくできる。
【0025】
本発明の第10の態様に係る研磨装置は、第7~9のいずれかの態様に係る研磨装置であって、
前記洗浄部材を昇降させる昇降機構と、
前記ウェハの表面に対して前記洗浄部材が加える荷重をコントロールする荷重コントロール機構と、
をさらに備える。
【0026】
本発明の第11の態様に係る研磨装置は、第10の態様に係る研磨装置であって、
前記昇降機構は、
前記洗浄槽の壁面を貫通するように設けられた縦方向に延びる柱部と、
前記柱部から横方向に延びる腕部と、
前記筐体の外側に突き出る前記柱部の端部に設けられた駆動手段と、
を有し、
前記揺動機構は、前記腕部の先端部に設けられており、
前記昇降機構は、前記洗浄部材と前記揺動機構とを一体に昇降させる。
【0027】
本発明の第12の態様に係る研磨装置は、第11の態様に係る研磨装置であって、
前記腕部は、前記待避位置の上方または下方を跨ぐように横方向に延びている。
【0028】
このような態様によれば、洗浄部材が待避位置に位置するとき、腕部の下方または上方の空間に洗浄部材が収容された状態になるため、洗浄槽の内部空間の効率的な利用となり、洗浄槽のフットプリントをより小さくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、洗浄部材を退避位置から洗浄位置まで移動可能な洗浄装置、研磨装置において、洗浄槽の側壁に走行用の開口を形成することなく、洗浄槽のフットプリントを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る研磨装置の全体構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態に係る洗浄装置の洗浄槽を透過して示す斜視図であって、洗浄部材が待避位置に位置する状態を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す洗浄装置を上方から見たときの内部平面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す洗浄装置を奥側から見たときの内部斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2に示す洗浄装置を左側から見たときの内部斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施の形態に係る洗浄装置の洗浄槽を透過して示す斜視図であって、洗浄部材が洗浄位置に位置する状態を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す洗浄装置を上方から見たときの内部平面図である。
【
図8】
図8は、一実施の形態に係る洗浄装置の洗浄槽を透過して示す斜視図であって、洗浄部材を洗浄位置から待避位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を説明するための図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す洗浄装置を上方から見たときの内部平面図である。
【
図10】
図10は、一実施の形態に係る洗浄装置の洗浄槽を透過して示す斜視図であって、第2洗浄手段が洗浄位置に位置する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明および以下の説明で用いる図面では、同一に構成され得る部分について、同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0032】
<基板処理装置>
図1は、一実施の形態に係る基板処理装置(研磨装置ともいう)1の全体構成を示す平面図である。
【0033】
図1に示すように、基板処理装置1は、略矩形状のハウジング10と、複数のウェハW(
図2等参照)をストックする基板カセット(図示せず)が載置されるロードポート12と、を有している。ロードポート12は、ハウジング10に隣接して配置されている。ロードポート12には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッドまたはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIFポッドおよびFOUPは、内部に基板カセットを収容し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。ウェハWとしては、たとえば半導体ウェハなどを挙げることができる。
【0034】
ハウジング10の内部には、複数(
図1に示す態様では4つ)の研磨ユニット14a~14dと、研磨後のウェハWを洗浄する第1洗浄ユニット16aおよび第2洗浄ユニット16bと、洗浄後のウェハWを乾燥させる乾燥ユニット20とが収容されている。研磨ユニット14a~14dは、ハウジング10の長手方向に沿って配列されており、洗浄ユニット16a、16bおよび乾燥ユニット20も、ハウジング10の長手方向に沿って配列されている。
【0035】
ロードポート12と、ロードポート12側に位置する研磨ユニット14aと、乾燥ユニット20とにより囲まれた領域には、第1搬送ロボット22が配置されている。また、研磨ユニット14a~14dが配列された領域と、洗浄ユニット16a、16bおよび乾燥ユニット20が配列された領域との間には、ハウジング10の長手方向と平行に、搬送ユニット24が配置されている。第1搬送ロボット22は、研磨前のウェハWをロードポート12から受け取って搬送ユニット24に受け渡したり、乾燥ユニット20から取り出された乾燥後のウェハWを搬送ユニット24から受け取ったりする。
【0036】
第1洗浄ユニット16aと第2洗浄ユニット16bとの間には、第1洗浄ユニット16aと第2洗浄ユニット16bとの間でウェハWの受け渡しを行う第2搬送ロボット26が配置されている。また、第2洗浄ユニット16bと乾燥ユニット20との間には、第2洗浄ユニット16bと乾燥ユニット20との間でウェハWの受け渡しを行う第3搬送ロボット28が配置されている。
【0037】
さらに、基板処理装置1には、各機器14a~14d、16a、16b、22、24、26、28の動きを制御する制御装置30が設けられている。制御装置30としては、たとえば、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)が用いられる。
図1に示す態様では、制御装置30がハウジング10の内部に配置されているが、これに限られることはなく、制御装置30がハウジング10の外部に配置されていてもよい。
【0038】
第1洗浄ユニット16aおよび/または第2洗浄ユニット16bとしては、洗浄液の存在下で、水平方向に延びるロール洗浄部材をウェハWの表面に接触させ、ロール洗浄部材を自転させながらウェハWの表面をスクラブ洗浄するロール洗浄装置(後述する一実施形態に係る洗浄装置16)が用いられてもよいし、洗浄液の存在下で、鉛直方向に延びる円柱状のペンシル洗浄部材をウェハWの表面に接触させ、ペンシル洗浄部材を自転させながらウェハWの表面と平行な一方向に向けて移動させて、ウェハWの表面をスクラブ洗浄するペンシル洗浄装置(不図示)が用いられてもよいし、洗浄液の存在下で、鉛直方向に延びる回転軸線を有するバフ洗浄研磨部材をウェハWの表面に接触させ、バフ洗浄研磨部材を自転させながらウェハWの表面と平行な一方向に向けて移動させて、ウェハWの表面をスクラブ洗浄研磨するバフ洗浄研磨装置(不図示)が用いられてもよいし、二流体ジェットによりウェハWの表面を洗浄する二流体ジェット洗浄装置(不図示)が用いられてもよい。また、第1洗浄ユニット16aおよび/または第2洗浄ユニット16bとしては、これらロール洗浄装置、ペンシル洗浄装置、バフ洗浄研磨装置および二流体ジェット洗浄装置のいずれか2つ以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0039】
洗浄液には、純水(DIW)などのリンス液と、アンモニア過酸化水素(SC1)、塩酸過酸化水素(SC2)、硫酸過酸化水素(SPM)、硫酸加水、フッ酸などの薬液とが含まれる。本実施の形態で特に断りのない限り、洗浄液は、リンス液または薬液のいずれかを意味している。
【0040】
乾燥ユニット20としては、回転するウェハWに向けて、ウェハWの表面と平行な一方向に移動する噴射ノズルからイソプロピルアルコール(IPA)蒸気を噴出してウェハWを乾燥させ、さらにウェハWを高速で回転させて遠心力によってウェハWを乾燥させるスピン乾燥装置が用いられてもよい。
【0041】
<洗浄装置>
次に、一実施の形態に係る洗浄装置16について説明する。
図2は、洗浄装置16の洗浄槽41を透過して示す斜視図であって、洗浄部材43が待避位置に位置する状態を示す図である。
図3は、
図2に示す洗浄装置16を上方から見たときの内部平面図である。
図4は、
図2に示す洗浄装置16を奥側から見たときの内部斜視図である。
図5は、
図2に示す洗浄装置16を左側から見たときの内部斜視図である。
【0042】
本実施の形態に係る洗浄装置16は、上述した基板処理装置1における第1洗浄ユニット16aおよび/または第2洗浄ユニット16bとして用いられ得る。
【0043】
図2~
図5に示すように、洗浄装置16は、ウェハWの洗浄を行う洗浄空間を画定する洗浄槽41と、洗浄槽41の内側に配置され、ウェハWを保持して回転させるウェハ回転機構42と、ウェハWの表面に接触して洗浄する洗浄部材43であって、横方向に延びる中心軸線回りに回転可能な洗浄部材43と、洗浄部材43を、洗浄槽41の内側に位置する揺動軸線回りに揺動させて、ウェハWの外側の待避位置からウェハWの直上の洗浄位置まで移動させる揺動機構44と、洗浄部材43を昇降させる昇降機構45と、ウェハWに洗浄液を供給する液供給ノズル46a、46bと、を有している。
【0044】
このうち洗浄槽41は、略直方体形状を有している。図示された例では、洗浄槽41の内側にウェハWを搬入または搬出するためのウェハ搬入出口41a、41bが、洗浄槽41の左右の側壁面にそれぞれ形成されており、ウェハ搬入出口41a、41bはそれぞれシャッタ50a、50bにより開閉可能となっている。
【0045】
洗浄槽41の内側には、洗浄槽41の奥側の側壁面に隣接して、左右方向に延びるクリーニング手段51が配置されている。クリーニング手段51は、洗浄部材43が押し付けられるクリーニング面を有している。クリーニング面は、たとえば石英等によって平面状に形成されている。なお、クリーニング面の材質および形状は、洗浄部材43の材質および形状などに応じて、適宜変更されてもよい。たとえば、クリーニング面の材質としてポリ塩化ビニル(PVC)が採用されてもよい。
【0046】
クリーニング面上には、図示しない薬液管、純水管などが配置されている。薬液管から噴射される薬液は、液供給ノズル46a、46bからウェハWに供給される薬液と同じものであってもよい。洗浄部材43が待避位置に配置された状態で、洗浄部材43が回転(自転)されつつクリーニング手段51に押し付けられ、薬液が洗浄部材43に向けて噴射されることで、洗浄部材43に付着した汚れが落とされる。このように、洗浄部材43がクリーニング手段51に押し付けられた状態で所定量回転(自転)された後、洗浄部材43が上昇されてクリーニング手段51から離間され、次いで、純水がクリーニング手段51および洗浄部材43に向けて噴射されることで、クリーニング手段51および洗浄部材43の汚れが落とされる。
【0047】
本実施の形態では、ウェハ回転機構42は、ウェハWの周縁部を保持する複数(図示された例では4つ)のローラ42a~42dを有している。複数のローラ42a~42が不図示の回転駆動部(たとえばモータ)から受ける回転駆動力によりそれぞれ同一方向に回転(自転)されることにより、複数のローラ42a~42dに保持されたウェハWは、各ローラ42a~42dとウェハWの周縁部との間にはたらく摩擦力により、各ローラ42a~42dの回転方向とは逆向きに回転される。
【0048】
洗浄部材43としては、横方向に延びる円柱状のロールスポンジを用いることができる。ロールスポンジの材質としては、多孔質のポリビニルアルコール(PVA)製スポンジ、発泡ウレタンスポンジなどを用いることができる。洗浄部材43の軸線方向の長さは、ウェハWの半径よりも長くなっている。洗浄部材43の軸線方向の長さは、ウェハWの直径よりも長くなっていてもよい。洗浄部材43がウェハWの直上の洗浄位置に配置された状態で、液供給ノズル46a、46bから薬液および/または純水が回転されるウェハWの表面に向けて噴射され、洗浄部材43の周面がウェハWの表面に接触された状態で洗浄部材43が回転(自転)されることで、ウェハWの表面が洗浄される。
【0049】
図示された例では、洗浄部材43の軸線方向と平行に延びるホルダ431が、洗浄部材43の上方に配置されている。ホルダ431は、洗浄部材43の両端部をその中心軸線回りに回転(自転)可能に保持している。ホルダ431の内部には、洗浄部材43をその中心軸線回りに回転(自転)させるモータ(不図示)が設けられている。また、ホルダ431の内部には、ウェハWの表面に対して洗浄部材43が加える荷重を計測するロードセル(不図示)が設けられていてもよい。ロードセルには、荷重コントロール機構(不図示)が接続されている。荷重コントロール機構は、ロードセルの計測結果に基づいて、昇降機構45の動作を制御することで、ウェハWの表面に対して洗浄部材43が加える荷重をコントロールする。荷重コントロール機構は、制御装置30(
図1参照)に設けられていてもよい。
【0050】
本実施の形態では、昇降機構45は、洗浄槽41の壁面を貫通するように設けられた縦方向に延びる柱部45aと、柱部45aの一端部から横方向に延びる腕部45bと、洗浄槽41の外側に突き出る柱部45aの他端部に設けられた駆動手段45cと、を有している。駆動手段45cは、たとえばモータである。
【0051】
図示された例では、洗浄槽41の奥側(
図3における紙面上側)の側壁面のうち左端部分の上側部分には奥側に窪んだ凹部が形成されており、柱部45aは、当該凹部に配置されている。腕部45bは、待避位置の上方を跨ぐように、当該柱部45aの上端部から手前側(
図3における紙面下側)に延びるように設けられている。これにより、洗浄部材43が待避位置に配置された状態では、洗浄部材43が腕部45bの下方の空間に収容された状態となるため、洗浄槽41の内部空間の効率的な利用となり、洗浄槽41のフットプリントをより小さくすることが可能となる。
【0052】
本実施の形態では、揺動機構44は、腕部45bの先端部に設けられており、揺動機構44の揺動軸線Aは、洗浄槽41の内側において、腕部45bの先端部に位置決めされている。揺動機構44は、たとえばモータである。洗浄部材43を保持するホルダ431の端部は、揺動機構44を介して、腕部45bの先端部に保持されている。
【0053】
昇降機構45の柱部45aは、駆動手段45cから受ける直線駆動力により腕部45bと一体に縦方向に直線移動される。これにより、腕部45bの先端部に設けられた揺動機構44とホルダ431と洗浄部材43も、柱部45aおよび腕部45bとともに縦方向に直線移動される。
図2~
図5を参照し、洗浄部材43が待避位置に配置された状態で、昇降機構45が動作されることで、洗浄部材43は、クリーニング手段51に接触する高さ位置とクリーニング手段51から離間した高さ位置との間で昇降移動される。
【0054】
また、洗浄部材43がクリーニング手段51から離間した高さ位置に配置された状態で、ホルダ431および洗浄部材43は、揺動機構44から受ける回転駆動力により、腕部45bの先端部に位置決めされた揺動軸線A回りに揺動(旋回)される。これにより、洗浄部材43は、ウェハWの外側の待避位置(
図2~
図5参照)からウェハWの直上の洗浄位置(
図6および
図7参照)まで移動される。揺動機構44が洗浄部材43を揺動軸線A回りに揺動させる際に、洗浄部材43はウェハWの中心の直上を通過するように構成されていてもよい。
【0055】
図6は、洗浄装置16の洗浄槽41を透過して示す斜視図であって、洗浄部材43が洗浄位置に位置する状態を示す図である。
図7は、
図6に示す洗浄装置16を上方から見たときの内部平面図である。
【0056】
図6および
図7を参照し、洗浄部材43が洗浄位置に配置された状態で、昇降機構45が動作されることで、洗浄部材43は、ウェハWの表面に接触する高さ位置とウェハWの表面から離間した高さ位置との間で昇降移動される。そして、洗浄部材43の周面がウェハWの表面に接触された状態で、液供給ノズル46a、46bから薬液および/または純水が回転されるウェハWの表面に向けて噴射されるとともに、洗浄部材43が回転(自転)されることで、ウェハWの表面が洗浄される。
【0057】
図8は、洗浄装置16の洗浄槽41を透過して示す斜視図であって、洗浄部材43を洗浄位置から待避位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を説明するための図である。
図9は、
図8に示す洗浄装置16を上方から見たときの内部平面図である。
図8および
図9において、符号C1、C2が付された円弧状の曲線は、洗浄部材43を洗浄位置から待避位置まで移動させるのに必要なスペース(すなわち、洗浄部材43(ホルダ431)が通過するスペース)の輪郭線を示している。
【0058】
本実施の形態では、
図9に示すように、洗浄部材43の中心から揺動機構44の揺動軸線Aまでの距離L(旋回半径ともいう)は、ウェハWの直径より小さくなっている。これにより、
図8および
図9に示すように、洗浄部材43がウェハWの半径より長い長尺なロールスポンジであっても、洗浄部材43の中心から揺動軸線Aまでの距離LがウェハWの直径より小さくなるように規定されており、洗浄部材43を当該揺動軸線A回りに揺動させることで待避位置から洗浄位置まで移動させることで、洗浄部材43を待避位置から洗浄位置まで直線移動(走行)させる場合に比べて、洗浄部材43を洗浄位置から待避位置まで移動させるのに必要なスペースを低減できるようになっている。
【0059】
本実施の形態では、
図3および
図7に示すように、揺動機構44の揺動軸線Aは、洗浄部材43の中心軸線の延長線上から離れた位置にある(すなわち、揺動軸線Aは、洗浄部材43の中心軸線の延長線上にはない)。仮に揺動軸線Aが洗浄部材43の中心軸線の延長線上にある場合には、洗浄部材43の中心から揺動軸線Aまでの距離Lを、洗浄部材43の軸線方向の長さの半分以下に縮めることは不可能である(洗浄部材43の端部が揺動軸線Aにぶつかってしまう)。これに対し、本実施の形態では、揺動軸線Aが洗浄部材43の中心軸線の延長線上にはないため、洗浄部材43の中心から揺動軸線Aまでの距離Lを、洗浄部材43の軸線方向の長さの半分以下に縮めることも可能であり、これにより、洗浄部材43を洗浄位置から待避位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を一層低減できるようになっている。
【0060】
本実施の形態では、
図9に示すように、揺動機構44が洗浄部材43を待避位置から洗浄位置まで移動させる際の揺動角θは、90°より小さくなっている。これにより、洗浄部材43を待避位置から洗浄位置まで移動させる際の揺動角θが90°以上である場合に比べて、洗浄部材43を洗浄位置から待避地位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を一層低減できるようになっている。
【0061】
本実施の形態では、洗浄装置16は、ウェハWの裏面に接触して洗浄する裏面洗浄部材47と、ウェハWの表面を洗浄する第2洗浄手段48と、第2洗浄手段48を、洗浄槽41の内側に位置する第2揺動軸線回りに揺動させて、ウェハWの外側の第2待避位置からウェハWの直上の第2洗浄位置まで移動させる第2揺動機構49と、をさらに有している。
【0062】
裏面洗浄部材47としては、横方向に延びる円柱状のロールスポンジを用いることができる。ロールスポンジの材質としては、多孔質のポリビニルアルコール(PVA)製スポンジ、発泡ウレタンスポンジなどを用いることができる。裏面洗浄部材47は、ウェハWの直下に配置されている。裏面洗浄部材47の軸線方向の長さは、ウェハWの半径よりも長くなっている。裏面洗浄部材47の軸線方向の長さは、ウェハWの直径よりも長くなっていてもよい。裏面洗浄部材47の周面がウェハWの裏面に接触された状態で、不図示のノズルから薬液および/または純水が回転されるウェハWの裏面に向けて噴射されるとともに、裏面洗浄部材47が回転(自転)されることで、ウェハWの裏面が洗浄される。
【0063】
図示された例では、裏面洗浄部材47の軸線方向と平行に延びるホルダ471が、裏面洗浄部材47の下方に配置されている。ホルダ471は、裏面洗浄部材47の両端部をその中心軸線回りに回転(自転)可能に保持している。ホルダ471の内部には、裏面洗浄部材47をその中心軸線回りに回転(自転)させるモータ(不図示)が設けられている。また、ホルダ471の内部には、ウェハWの表面に対して裏面洗浄部材47が加える荷重を計測するロードセル(不図示)が設けられていてもよい。ロードセルは、上述した荷重コントロール機構(不図示)に接続されている。荷重コントロール機構は、ロードセルの計測結果に基づいて、裏面洗浄部材47およびホルダ471を昇降させる手段(不図示)の動作を制御することで、ウェハWの裏面に対して裏面洗浄部材47が加える荷重をコントロールする。
【0064】
第2洗浄手段48としては、たとえば、洗浄液の存在下で、鉛直方向に延びる円柱状のペンシル洗浄部材をウェハWの表面に接触させ、ペンシル洗浄部材を自転させながらウェハWの表面と平行な一方向に向けて移動(揺動)されることで、ウェハWの表面をスクラブ洗浄するペンシル洗浄手段が用いられてもよいし、洗浄液の存在下で、鉛直方向に延びる回転軸線を有するバフ洗浄研磨部材をウェハWの表面に接触させ、バフ洗浄研磨部材を自転させながらウェハWの表面と平行な一方向に向けて移動(揺動)されることで、ウェハWの表面をスクラブ洗浄研磨するバフ洗浄研磨手段が用いられてもよいし、二流体ジェットによりウェハWの表面を洗浄する二流体ジェット洗浄手段が用いられてもよいし、メガソニック(高周波超音波)ジェットによりウェハWの表面を洗浄するメガソニックジェット洗浄手段が用いられてもよい。
【0065】
第2揺動機構49は、洗浄槽41の壁面(図示された例では床面)を貫通するように設けられた縦方向に延びる柱部と、柱部の一端部から横方向に延びる腕部と、洗浄槽41の外側に突き出る柱部の他端部に設けられた駆動手段(不図示)と、を有している。駆動手段は、たとえばモータである。
【0066】
第2揺動機構49の柱部は、ウェハWの中心から見て、揺動機構44とは逆側に配置されており、第2揺動機構49の揺動軸線(第2揺動軸線)は、ウェハWの中心から見て、揺動機構44の揺動軸線Aとは逆側に位置決めされている。第2洗浄手段48は、第2揺動機構49の腕部の先端部に支持されており、第2揺動機構49から受ける回転駆動力により、第2揺動軸線回りに揺動(旋回)される。
【0067】
図10は、洗浄装置16の洗浄槽41を透過して示す斜視図であって、第2洗浄手段48が洗浄位置に位置する状態を示す図である。
図11は、
図10に示す洗浄装置16を上方から見たときの内部平面図である。
【0068】
次に、このような構成からなる洗浄装置16の動作について説明する。
【0069】
まず、
図2~
図5を参照し、洗浄部材43が、ウェハWの外側の待避位置に配置された状態で、シャッタ50aが開状態となり、洗浄対象のウェハW(たとえば研磨処理後のウェハW)が、ウェハ搬入出口41aを通って洗浄槽41の内側に搬入される。ウェハWは、ウェハ回転機構42に保持されて回転される。
【0070】
次に、洗浄部材43がクリーニング手段51から離間された状態で、
図8および
図9に示すように、揺動機構44が、洗浄部材43を揺動軸線A回りに揺動(旋回)させて、待避位置からウェハWの直上の洗浄位置まで移動させる。揺動機構44が洗浄部材43を揺動軸線A回りに揺動させる際に、洗浄部材43はウェハWの中心の直上を通過する。
【0071】
次いで、
図6および
図7に示すように、洗浄部材43が洗浄位置に配置された状態で、昇降機構45が、洗浄部材43を下方に移動させ、洗浄部材43の周面をウェハWの表面に接触させる。また、裏面洗浄部材47を昇降させる手段(不図示)が、裏面洗浄部材47を上方に移動させ、裏面洗浄部材47の周面をウェハWの裏面に接触させる。
【0072】
そして、洗浄部材43の周面がウェハWの表面に接触された状態で、液供給ノズル46a、46bからウェハWの表面に向けて洗浄液が噴射されるとともに、洗浄部材43が回転(自転)されることで、ウェハWの表面が洗浄される。同様に、裏面洗浄部材47の周面がウェハWの裏面に接触された状態で、不図示のノズルからウェハWの裏面に向けて洗浄液が噴射されるとともに、裏面洗浄部材47が回転(自転)されることで、ウェハWの裏面が洗浄される。
【0073】
洗浄部材43によるウェハWの表面の洗浄が終了したのち、昇降機構45が、洗浄部材43を上方に移動させ、洗浄部材43の周面をウェハWの表面から離間させる。そして、
図8および
図9に示すように、揺動機構44が、洗浄部材43を揺動軸線A回りに揺動(旋回)させて、洗浄位置からウェハWの外側の待避位置まで移動させる。
【0074】
その後、
図10および
図11に示すように、第2揺動機構49が、第2洗浄手段48を第2揺動軸線回りに揺動(旋回)させて、ウェハWの外側の第2待避位置からウェハWの直上の第2洗浄位置まで移動させ、第2洗浄手段48によるウェハWの表面の洗浄が行われる。
【0075】
第2洗浄手段48によるウェハWの表面の洗浄が終了したのち、第2揺動機構49が、第2洗浄手段48を揺動軸線A回りに揺動(旋回)させて、第2洗浄位置からウェハWの外側の第2待避位置まで移動させる。そして、シャッタ50bが開状態となり、洗浄処理後のウェハWが、ウェハ搬入出口41bを通って洗浄槽41の外側に搬出される。
【0076】
以上のような本実施の形態によれば、洗浄部材43がウェハWの半径より長い長尺な部材であっても、洗浄部材43の中心から揺動機構44の揺動軸線Aまでの距離LがウェハWの直径より小さくなるように規定されており、洗浄部材43を当該揺動軸線A回りに揺動させることで待避位置から洗浄位置まで移動させるため、洗浄部材43を待避位置から洗浄位置まで直線移動(走行)させる場合に比べて、洗浄部材43を洗浄位置から待避位置まで移動させるのに必要なスペース(すなわち、洗浄部材43が通過するスペース)を低減できる。また、揺動機構44の揺動軸線Aが洗浄槽41の内側に位置するため、洗浄槽41の側壁に走行用の開口を形成する必要がない。したがって、洗浄部材43を退避位置から洗浄位置まで移動可能な洗浄装置16において、洗浄槽41の側壁に走行用の開口を形成することなく、洗浄槽41のフットプリントを小さくすることが可能となる。また、本実施の形態によれば、洗浄槽41の側壁に走行用の開口を形成する必要がないため、洗浄槽41の外側への薬液雰囲気の漏洩を改善できる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、揺動機構44の揺動軸線Aが洗浄部材43の中心軸線の延長線上から離れた位置にあり、洗浄部材43の中心軸線の延長線上にはないため、洗浄部材43の中心から揺動軸線Aまでの距離Lを、洗浄部材43の長さの半分以下に縮めることも可能であり、洗浄部材43を洗浄位置から待避位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を一層低減でき、洗浄槽41のフットプリントをより小さくできる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、揺動機構44が洗浄部材43を待避位置から洗浄位置まで移動させる際の揺動角θが90°より小さいため、当該揺動角が90°以上である場合に比べて、洗浄部材43を洗浄位置から待避地位置まで移動させるのに必要なスペース(洗浄部材が通過するスペース)を一層低減でき、洗浄槽41のフットプリントをより小さくできる。
【0079】
また、本実施の形態によれば、昇降機構45の腕部45bが、待避位置の上方を跨ぐように横方向に延びており、洗浄部材43が待避位置に位置するとき、腕部45bの下方の空間に洗浄部材43が収容された状態になるため、洗浄槽41の内部空間の効率的な利用となり、洗浄槽41のフットプリントをより小さくすることが可能となる。
【0080】
以上、本発明の実施の形態および変形例を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。また、各実施の形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 基板処理装置(研磨装置)
10 ハウジング
12 ロードポート
14a~14d 研磨ユニット
16 洗浄装置
16a 第1洗浄ユニット(洗浄装置)
16b 第2洗浄ユニット(洗浄装置)
20 乾燥ユニット
22 第1搬送ロボット
24 搬送ユニット
26 第2搬送ロボット
28 第3搬送ロボット
30 研磨制御装置
41 洗浄槽
41a、41b ウェハ搬入出口
42 ウェハ回転機構
42a~42d ローラ
43 洗浄部材
431 ホルダ
44 揺動機構
45 昇降機構
45a 柱部
45b 腕部
45c 駆動手段
46a、46b 液供給ノズル
47 裏面洗浄部材
471 ホルダ
48 第2洗浄手段
49 第2揺動機構
50a、50b シャッタ
51 クリーニング手段