(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ポリオレフィン分離膜及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/449 20210101AFI20240308BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240308BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20240308BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20240308BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20240308BHJP
H01G 11/52 20130101ALI20240308BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/489
H01M50/417
H01M50/403 E
H01M50/403 D
H01M50/403 B
H01M50/403 A
H01M50/42
H01G11/52
(21)【出願番号】P 2021556812
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(86)【国際出願番号】 KR2020003910
(87)【国際公開番号】W WO2020197198
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】10-2019-0033188
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン-ジェ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ-ソン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン-シク・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ビ-オ・リュ
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-221889(JP,A)
【文献】特表2013-536981(JP,A)
【文献】特開2015-063639(JP,A)
【文献】特開2016-127028(JP,A)
【文献】国際公開第2014/073451(WO,A1)
【文献】特開2002-355938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0294458(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0092245(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107022209(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0025897(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0027658(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40-50/497
H01G 11/00-11/86
C08J 9/00-9/42
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィブリル、及び前記複数のフィブリルが互いに絡みながら生じた多数の気孔を含むポリオレフィン多孔性基材と、
前記ポリオレフィン多孔性基材に含まれた複数のフィブリルの外側を囲み、架橋高分子を含むコーティング層と、を備えるポリオレフィン分離膜であって、
前記架橋高分子が、架橋剤と光開始剤とのUV硬化結果物であり、
前記架橋剤が、多官能(メタ)アクリレートモノマーであり、
前記コーティング層が、前記ポリオレフィン分離膜の表面だけでなく内部にも形成されており、
前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率が3~20%であり、坪量の変化率が0.5~4%である、リチウム二次電池用ポリオレフィン分離膜。
【請求項2】
ポリオレフィン分離膜の製造方法であって、
架橋剤、光開始剤及び溶媒を含む光硬化組成物を用意する段階と、
複数のフィブリルから構成されたポリオレフィン多孔性基材を前記光硬化組成物に浸漬してから常温で乾燥して、光硬化組成物をポリオレフィン多孔性基材の複数のフィブリルの表面上にコーティングする段階と、
前記光硬化組成物がコーティングされたポリオレフィン多孔性基材の一面または両面をUV硬化してコーティング層を形成する段階と、を含み、
前記架橋剤が、多官能(メタ)アクリレートモノマーであり、
前記コーティング層が、前記ポリオレフィン分離膜の表面だけでなく内部にも形成されており、
前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率が3~20%であり、坪量の変化率が0.5~4%である、リチウム二次電池用ポリオレフィン分離膜の製造方法。
【請求項3】
ポリオレフィン分離膜の製造方法であって、
ポリオレフィン及び希釈剤を押出機に投入し混合した後、押出してポリオレフィン組成物を製造する段階と、
前記押出されたポリオレフィン組成物をダイ及び冷却キャスティングロールに通過させてシート状に成形する段階と、
前記成形されたシートを延伸する段階と、
前記延伸されたシートから希釈剤を抽出する段階と、
前記希釈剤が抽出されたシートを、架橋剤、光開始剤及び溶媒を含む光硬化組成物に浸漬してから常温で乾燥して、光硬化組成物を前記延伸されたシートの複数のフィブリルの表面上にコーティングする段階と、
前記光硬化組成物がコーティングされたシートを熱固定する段階と、を含み、
前記熱固定する段階の前または後に、前記コーティングされたシートの一面または両面をUV硬化してコーティング層を形成する段階をさらに含み、
前記架橋剤が、多官能(メタ)アクリレートモノマーであり、
前記コーティング層が、前記ポリオレフィン分離膜の表面だけでなく内部にも形成されており、
前記光硬化組成物に浸漬する前の前記延伸されたシートと対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率が3~20%であり、坪量の変化率が0.5~4%である、リチウム二次電池用ポリオレフィン分離膜の製造方法。
【請求項4】
前記架橋剤が、2~5個の炭素-炭素二重結合基を有する(メタ)アクリレートモノマーである、請求項2または3に記載のポリオレフィン分離膜の製造方法。
【請求項5】
前記架橋剤が、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスファート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2,2,2-トリス(メタ)アクリロイルオキシメチルエチルコハク酸、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス-(2-(メタ)アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンEO付加トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO付加トリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスファート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールEO付加テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、またはこれらのうち2つ以上を含む、請求項2から4のいずれか一項に記載のポリオレフィン分離膜の製造方法。
【請求項6】
前記光開始剤が、ベンゾインメチルエーテル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、α,α-メトキシ-α-ヒドロキシアセトフェノン、2-ベンゾイル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホニル)フェニル]-1-ブタノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、またはこれらのうち2つ以上を含む、請求項2から5のいずれか一項に記載のポリオレフィン分離膜の製造方法。
【請求項7】
前記架橋剤と光開始剤との重量比が1:1~10:1である、請求項2から6のいずれか一項に記載のポリオレフィン分離膜の製造方法。
【請求項8】
前記架橋剤及び光開始剤の含量が、それぞれ独立的に、前記光硬化組成物100重量%を基準にして0.1~20重量%である、請求項2から7のいずれか一項に記載のポリオレフィン分離膜の製造方法。
【請求項9】
正極、負極、及び前記正極と負極との間に介在された分離膜を含む
リチウム二次電池であって、前記分離膜が請求項1に記載の
リチウム二次電池用ポリオレフィン分離膜である、
リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン分離膜及びその製造方法に関する。
【0002】
本出願は、2019年3月22日出願の韓国特許出願第10-2019-0033188号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、エネルギー貯蔵技術に対する関心が益々高まっている。携帯電話、カムコーダー及びノートパソコン、さらには電気自動車のエネルギーまで適用分野が拡がるとともに、電気化学素子の研究と開発に対する努力が益々具体化されている。電気化学素子はこのような面から最も注目されている分野であり、なかでも充放電可能な二次電池の開発には関心が集まっている。
【0004】
現在適用されている二次電池のうち1990年代初に開発されたリチウム二次電池は、水溶液電解液を使用するNi-MH、Ni-Cd、硫酸-鉛電池などの従来の電池に比べて、作動電圧が高くてエネルギー密度が格段に高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
このようなリチウム二次電池は、正極、負極、電解液、分離膜から構成され、なかでも分離膜には、正極と負極とを分離して電気的に絶縁させるための絶縁性、及び高い気孔度に基づいてリチウムイオンの透過性を高めるために高いイオン伝導度が求められる。
【0006】
このような分離膜は、一般に、ポリオレフィンと希釈剤とを混練し、押出、延伸してフィルムを形成した後、希釈剤を溶媒などを用いて抽出し、気孔を形成する方式で製造され得る。
【0007】
一方、リチウム二次電池を電気自動車(EV)用に適用するためには、安全性及びコストにおける画期的な改善が必要となる。
【0008】
代表的なポリオレフィン分離膜であるポリエチレン(PE)分離膜の場合、融点(Tm)が低いため、電池誤使用環境でバッテリー温度がポリエチレンの融点以上に上昇すると、メルトダウン(melt down)現象が生じて発火及び爆発を引き起こすおそれがある。分離膜の安全性を強化するため、ポリエチレン単層分離膜の代りに、ポリエチレンよりも融点が相対的に高いポリプロピレン(PP)を混合してPE/PP/PEの三層分離膜を使用することが試みられている。このようなPE/PP/PEの三層分離膜は、ポリエチレンの単層分離膜よりもメルトダウン温度を高められる長所はあるが、単層湿式ポリエチレン分離膜に比べて製造工程が複雑であるという点で限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高温安定性が改善されたポリオレフィン分離膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、下記具現例によるポリオレフィン分離膜を提供する。
【0011】
第1具現例は、
複数のフィブリル、及び前記複数のフィブリルが互いに絡みながら生じた多数の気孔を含むポリオレフィン多孔性基材と、
前記ポリオレフィン多孔性基材に含まれた複数のフィブリルの外側を囲み、架橋高分子を含むコーティング層と、を備え、
前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率が20%以下であり、坪量の変化率が4%以下であるポリオレフィン分離膜に関する。
【0012】
第2具現例は、第1具現例において、
前記架橋高分子が、架橋剤と光開始剤とのUV硬化結果物であるポリオレフィン分離膜に関する。
【0013】
第3具現例は、第1または第2具現例において、
前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率が3~20%であり、坪量の変化率が0.5~4%であるポリオレフィン分離膜に関する。
【0014】
本発明の他の一態様は、下記具現例によるポリオレフィン分離膜の製造方法を提供する。
【0015】
第4具現例は、
ポリオレフィン分離膜の製造方法であって、
架橋剤、光開始剤及び溶媒を含む光硬化組成物を用意する段階と、
複数のフィブリルから構成されたポリオレフィン多孔性基材を前記光硬化組成物に浸漬してから常温で乾燥して、光硬化組成物をポリオレフィン多孔性基材の複数のフィブリルの表面上にコーティングする段階と、
前記光硬化組成物がコーティングされたポリオレフィン多孔性基材の一面または両面をUV硬化してコーティング層を形成する段階と、を含み、
前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率が20%以下であり、坪量の変化率が4%以下であるポリオレフィン分離膜の製造方法に関する。
【0016】
第5具現例は、
ポリオレフィン分離膜の製造方法であって、
ポリオレフィン及び希釈剤を押出機に投入し混合した後、押出してポリオレフィン組成物を製造する段階と、
前記押出されたポリオレフィン組成物をダイ及び冷却キャスティングロールに通過させてシート状に成形する段階と、
前記成形されたシートを延伸する段階と、
前記延伸されたシートから希釈剤を抽出する段階と、
前記希釈剤が抽出されたシートを、架橋剤、光開始剤及び溶媒を含む光硬化組成物に浸漬してから常温で乾燥して、光硬化組成物を前記延伸されたシートの複数のフィブリルの表面上にコーティングする段階と、
前記光硬化組成物がコーティングされたシートを熱固定する段階と、を含み、
前記熱固定する段階の前または後に、前記コーティングされたシートの一面または両面をUV硬化してコーティング層を形成する段階をさらに含み、
前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率が20%以下であり、坪量の変化率が4%以下であるポリオレフィン分離膜の製造方法に関する。
【0017】
第6具現例は、第4または第5具現例において、
前記架橋剤が、多官能(メタ)アクリレートモノマーであるポリオレフィン分離膜の製造方法に関する。
【0018】
第7具現例は、第4~第6具現例のうちいずれか一具現例において、
前記架橋剤が、2~5個の炭素-炭素二重結合基を有する(メタ)アクリレートモノマーであるポリオレフィン分離膜の製造方法に関する。
【0019】
第8具現例は、第4~第6具現例のうちいずれか一具現例において、
前記架橋剤が、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスファート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2,2,2-トリス(メタ)アクリロイルオキシメチルエチルコハク酸、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス-(2-(メタ)アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンEO付加トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO付加トリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスファート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールEO付加テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、またはこれらのうち2つ以上を含むポリオレフィン分離膜の製造方法に関する。
【0020】
第9具現例は、第4~第8具現例のうちいずれか一具現例において、
前記光開始剤が、ベンゾインメチルエーテル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、α,α-メトキシ-α-ヒドロキシアセトフェノン、2-ベンゾイル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホニル)フェニル]-1-ブタノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、またはこれらのうち2つ以上を含むポリオレフィン分離膜の製造方法に関する。
【0021】
第10具現例は、第4~第9具現例のうちいずれか一具現例において、
前記架橋剤と光開始剤との重量比が1:1~10:1であるポリオレフィン分離膜の製造方法に関する。
【0022】
第11具現例は、第4~第10具現例のうちいずれか一具現例において、
前記架橋剤及び光開始剤の含量が、それぞれ独立的に、前記光硬化組成物100重量%を基準にして0.1~20重量%であるポリオレフィン分離膜の製造方法に関する。
【0023】
本発明のさらに他の一態様は、下記具現例による二次電池を提供する。
【0024】
第12具現例は、
正極、負極、及び前記正極と負極との間に介在された分離膜を含む二次電池であって、前記分離膜が第1~第3具現例のうちいずれか一具現例のポリオレフィン分離膜である二次電池に関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によるポリオレフィン分離膜は、ポリオレフィン多孔性基材に含まれた複数のフィブリルの外側を囲んでおり、架橋高分子を含むコーティング層を備えることで、従来のPE/PP/PE三層分離膜に比べて製造工程が簡単であり、ポリオレフィン多孔性基材の少なくとも一面上に別個のコーティング層を形成した分離膜に比べて、通気度及び気孔度の物性をコーティング前のポリオレフィン多孔性基材の物性と実質的に同一に維持しながらも、メルトダウン温度が著しく上昇して安定性が著しく向上した分離膜を提供することができる。
【0026】
その結果、本発明の一態様によるポリオレフィン分離膜は、融点が低いポリオレフィン、特にポリエチレンの短所を克服し、電気自動車に適用されても、メルトダウン温度が高いため、発火及び爆発の危険を確実に防止することができる。
【0027】
また、フィブリルをコーティングする物質に応じてポリオレフィン分離膜の表面エネルギーを変化させる場合、分離膜の電解液濡れ性を向上させることでバッテリーの組み立て工程性を向上させることができる。
【0028】
また、本発明の一態様によるポリオレフィン分離膜は、光硬化組成物を用いてポリオレフィン多孔性基材をコーティングするため、ポリオレフィン多孔性基材の表面のフィブリルだけでなく、内部のフィブリルの外側までも前記光硬化組成物で均一に囲まれるように塗布することができる。
【0029】
従来の化学気相蒸着などの他のコーティング方法に比べて、本発明の一態様によれば、複数のフィブリルの外側を囲んでいるコーティング層を、前記ポリオレフィン分離膜の表面だけでなく、内部にも形成することができる。したがって、前記ポリオレフィン分離膜は、分離膜の厚さ方向に均一なコーティング層を備えることで、分離膜の表面のみにコーティング層が形成された従来技術に比べて、より改善された通気度及び気孔度の物性を有し、著しく向上した熱的安定性を発揮することができる。
【0030】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の好ましい具現例を例示するものであって、後述する発明の詳細な説明ともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施例1、2及び比較例1、2で製造されたポリオレフィン分離膜の温度変化による体積変化(長さ変化)を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を詳しく説明する。本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0033】
本発明の一態様によるポリオレフィン分離膜は、
複数のフィブリル、及び前記複数のフィブリルが互いに絡みながら生じた多数の気孔を含むポリオレフィン多孔性基材と、
前記ポリオレフィン多孔性基材に含まれた複数のフィブリルの外側を囲み、架橋高分子を含むコーティング層と、を備え、
前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率が20%以下であり、坪量の変化率が4%以下である。
【0034】
ここで、フィブリルとは、ポリオレフィン多孔性基材を構成する高分子鎖が多孔性基材の製造過程で長手方向に延伸及び配向することで、隣接した分子鎖同士の結合力が増大して長手方向で集合して形成されたものを意味する。その結果、多孔性高分子基材は、基材の表面と平行に配列された複数のフィブリルが層状に積層された構造を有するようになる。
【0035】
前記ポリオレフィン多孔性基材としては、ポリオレフィン多孔性フィルム、ポリオレフィン多孔性不織布などを使用することができる。
【0036】
本発明の具体的な一実施形態において、前記ポリオレフィンは、ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリブチレン;ポリペンテン;ポリヘキセン;ポリオクテン;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、4-メチルペンテン、ヘキセン及びオクテンのうち2種以上の共重合体;またはこれらの混合物を含むことができる。
【0037】
特に、前記ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などがあり、なかでも結晶度が高くて樹脂の溶融点が高い高密度ポリエチレンが最も好ましい。
【0038】
本発明の具体的な一実施形態において、前記ポリオレフィンの重量平均分子量は、200,000~1、500,000、220,000~1,000,000または250,000~800,000であり得る。本発明では200,000~1,000,000の重量平均分子量を有する高分子量のポリオレフィンを分離膜製造の出発物質として使用することで、分離膜の均一性及び製膜工程性を確保しながら、最終的に強度及び耐熱性に優れた分離膜を得ることができる。このとき、前記ポリオレフィンの重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
【0039】
本発明のポリオレフィン分離膜は、ポリオレフィン多孔性基材と結合されたコーティング層を備え、このとき、コーティング層は従来のポリオレフィン多孔性基材の一面または両面上に多孔性基材と対向して界面を形成する別個のコーティング層とは相違する。
【0040】
従来の別個のコーティング層が形成されたポリオレフィン多孔性基材は、コーティング層の形成によって、コーティング前のポリオレフィン多孔性基材の気孔を塞ぐようになって、コーティング前のポリオレフィン多孔性基材に比べて通気度及び坪量が著しく悪化するという問題がある。
【0041】
しかし、本発明のポリオレフィン分離膜に備えられたコーティング層は、前記ポリオレフィン多孔性基材に含まれた複数のフィブリルの外側を囲んでいるため、多孔性基材と区別される別個のコーティング層ではなく、フィブリルそれぞれの表面に形成されている層である。その結果、本発明のコーティング層を備えるポリオレフィン分離膜は、コーティング前のポリオレフィン多孔性基材の気孔構造をそのまま維持できるため、コーティング前のポリオレフィン多孔性基材に比べて通気度及び坪量が大きく増加せず、その変化率が小さい。
【0042】
前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率は20%以下であり、坪量の変化率は4%以下である。
【0043】
具体的には、前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率は3~20%、6.94~20%または6.94~8.33%であり得、坪量の変化率は0.5~4%または0.5~2.2%であり得る。
【0044】
前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率及び坪量の変化率がこのような範囲を満足する場合、ポリオレフィン多孔性基材の性能は変化せず、熱的安定性などの物性は向上したポリオレフィン分離膜を提供することができる。
【0045】
このとき、通気度及び坪量の変化率は下記の式で計算することができる。
【0046】
通気度の変化率(%)=[(コーティング層を備えたポリオレフィン多孔性基材の通気度)-(コーティング前のポリオレフィン多孔性基材の通気度)]/(コーティング前のポリオレフィン多孔性基材の通気度)×100
【0047】
坪量の変化率(%)=[(コーティング層を備えたポリオレフィン多孔性基材の坪量)-(コーティング前のポリオレフィン多孔性基材の坪量)]/(コーティング前のポリオレフィン多孔性基材の坪量)×100
【0048】
このとき、通気度(ガーレー)はASTM D726-94方法によって測定することができる。ここで使われたガーレー(Gurley)は、空気の流れに対する抵抗であって、ガーレー式デンソメーター(densometer)によって測定される。ここで説明された通気度の値は、100ccの空気が12.2inH2Oの圧力下で、ポリオレフィン分離膜1平方インチの断面を通過するのにかかる時間(秒)、すなわち通気時間で表す。
【0049】
また、坪量(g/m2)は、幅と長さがそれぞれ1mであるポリオレフィン分離膜のサンプルを用意し、その重量を測定して評価することができる。
【0050】
前記コーティング層は、架橋高分子を含み、前記架橋高分子は架橋剤と光開始剤とのUV硬化結果物であり得る。
【0051】
本発明の一態様によるポリオレフィン分離膜の製造方法は、
架橋剤、光開始剤及び溶媒を含む光硬化組成物を用意する段階と、
複数のフィブリルから構成されたポリオレフィン多孔性基材を前記光硬化組成物に浸漬してから常温で乾燥して、光硬化組成物をポリオレフィン多孔性基材の複数のフィブリルの表面上にコーティングする段階と、
前記光硬化組成物がコーティングされたポリオレフィン多孔性基材の一面または両面をUV硬化してコーティング層を形成する段階と、を含み、
前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率が20%以下であり、坪量の変化率が4%以下である。
前記架橋剤は、多官能(メタ)アクリレートモノマーを含むことができる。具体的には、前記架橋剤としては、2~5個の炭素-炭素二重結合基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含むことができるが、これに制限されない。
【0052】
2個の炭素-炭素二重結合基を有する(メタ)アクリレートモノマー、すなわち2官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスファートなどが挙げられる。
【0053】
3個の炭素-炭素二重結合基を有する(メタ)アクリレートモノマー、すなわち3官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2,2,2-トリス(メタ)アクリロイルオキシメチルエチルコハク酸、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス-(2-(メタ)アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンEO付加トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO付加トリ(メタ)アクリレート及びトリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスファートなどが挙げられる。なかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0054】
4個の炭素-炭素二重結合基を有する(メタ)アクリレートモノマー、すなわち4官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールEO付加テトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0055】
5個の炭素-炭素二重結合基を有する(メタ)アクリレートモノマー、すなわち5官能(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0056】
前記多官能(メタ)アクリレートモノマーは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
また、本発明の一実施形態によれば、上述した多官能(メタ)アクリレートモノマーの他に、単官能モノマー、例えば単官能(メタ)アクリレートなどを1種または2種以上さらに混合して使用することができる。このような単官能(メタ)アクリレートの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、及び(メタ)アクリル酸ドデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0058】
前記光開始剤は、光重合に適用可能な開始剤であれば特に限定されない。前記光開始剤の非制限的な例としては、ベンゾインメチルエーテル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、α,α-メトキシ-α-ヒドロキシアセトフェノン、2-ベンゾイル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホニル)フェニル]-1-ブタノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、またはこれらのうち2つ以上を含むことができる。
【0059】
前記架橋剤と光開始剤との重量比は、1:1~10:1または1:1~3:1であり得る。前記架橋剤と光開始剤との重量比がこのような範囲を満足する場合、少ないUV光量でも迅速に反応しながら、副反応を抑制することができる。
【0060】
また、前記架橋剤及び光開始剤の含量は、それぞれ独立的に、前記光硬化組成物100重量%を基準にして0.1~20重量%、0.2~15重量%、0.3~10重量%、0.3~1重量%、または0.3~0.6重量%であり得る。前記架橋剤及び光開始剤の含量がこのような範囲を満足する場合、分離膜のメルトダウン温度を十分に高めるとともに、分離膜の透過性能を維持することができる。
【0061】
本発明の他の態様によるポリオレフィン分離膜の製造方法は、
ポリオレフィン及び希釈剤を押出機に投入し混合した後、押出してポリオレフィン組成物を製造する段階と、
前記押出されたポリオレフィン組成物をダイ及び冷却キャスティングロールに通過させてシート状に成形する段階と、
前記成形されたシートを延伸する段階と、
前記延伸されたシートから希釈剤を抽出する段階と、
前記希釈剤が抽出されたシートを、架橋剤、光開始剤及び溶媒を含む光硬化組成物に浸漬してから常温で乾燥して、光硬化組成物を前記延伸されたシートの複数のフィブリルの表面上にコーティングする段階と、
前記光硬化組成物がコーティングされたシートを熱固定する段階と、を含み、
前記熱固定する段階の前または後に、前記コーティングされたシートの一面または両面をUV硬化してコーティング層を形成する段階をさらに含み、
前記ポリオレフィン多孔性基材と対比した、前記コーティング層を備えるポリオレフィン分離膜の通気度の変化率が20%以下であり、坪量の変化率が4%以下である。
【0062】
上記の方法について具体的に説明する。
【0063】
まず、押出機にポリオレフィン及び希釈剤を投入し混合した後、押出してポリオレフィン組成物を製造する。
【0064】
本発明の具体的な一実施形態において、前記ポリオレフィンは、ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリブチレン;ポリペンテン;ポリヘキセン;ポリオクテン;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、4-メチルペンテン、ヘキセン及びオクテンのうち2種以上の共重合体;またはこれらの混合物を含むことができ、具体的には上述した通りである。
【0065】
本発明の具体的な一実施形態において、前記希釈剤は、湿式分離膜の製造に一般に使われる液体または固体パラフィンオイル、ワックス、大豆油などを使用することができる。
【0066】
本発明の具体的な一実施形態において、前記希釈剤としては、ポリオレフィンと液-液相分離可能な希釈剤も使用でき、例えば、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレートなどのフタル酸エステル類;ジフェニルエーテル、ベンジルエーテルなどの芳香族エーテル類;パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの炭素数10~20個の脂肪酸類;パルミチン酸アルコール、ステアリン酸アルコール、オレイン酸アルコールなどの炭素数10~20個の脂肪酸アルコール類;パルミチン酸モノ-、ジ-またはトリエステル、ステアリン酸モノ-、ジ-またはトリエステル、オレイン酸モノ-、ジ-またはトリエステル、リノール酸モノ-、ジ-またはトリエステルなどの、脂肪酸基の炭素数が4~26個である飽和及び不飽和脂肪酸、若しくは、不飽和脂肪酸の二重結合がエポキシで置換された1個または2個以上の脂肪酸が、ヒドロキシ基が1~8個であって炭素数が1~10個であるアルコールとエステル結合された脂肪酸エステル類;を含むことができる。
【0067】
前記希釈剤は、上述した成分を単独でまたは少なくとも2種以上含む混合物で使用することができる。
【0068】
本発明の具体的な一実施形態において、前記希釈剤の総含量は、前記ポリオレフィン100重量部を基準にして100~350重量部、125~300重量部または150~250重量部であり得る。希釈剤の総含量が上記の数値範囲を満足すると、ポリオレフィンの含量が多いことによる、気孔度が減少し気孔のサイズが小さくなって気孔同士で相互連結されず透過度が大幅に低下し、ポリオレフィン組成物の粘度が上がって押出負荷が上昇し加工が困難であるという問題を防止することができる。また、ポリオレフィンの含量が少ないことによる、ポリオレフィンと希釈剤との混練性が低下してポリオレフィンが希釈剤に熱力学的に混練されず、ゲル形態で押出されることで生じる延伸時の破断及び厚さのバラツキなどの問題を減少させることができる。
【0069】
本発明の具体的な一実施形態において、前記ポリオレフィン組成物は、必要に応じて、界面活性剤、酸化安定剤、UV安定剤、帯電防止剤、核形成剤(nucleating agent)などの特定機能を向上させるための一般的な添加剤をさらに含むことができる。
【0070】
本発明の具体的な一実施形態において、押出する段階では、一軸押出機または二軸押出機を使用することができる。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、前記押出機は、ポリオレフィン及び希釈剤を投入するホッパー、投入された物質を移送しながら混合する混練部、及び混合された物質を押出するダイ出口を備える二軸押出機であり得る。
【0072】
次いで、押出されたポリオレフィン組成物をシート状に成形及び延伸する。
【0073】
例えば、押出されたポリオレフィン組成物をT-ダイなどが取り付けられた押出機などを用いて押出した後、水冷、空冷式を用いた一般的なキャスティングあるいはカレンダリング方法を使用して冷却押出物を形成することができる。
【0074】
本発明の具体的な一実施形態において、上記のように延伸する段階を経ることで改善された機械的強度及び突刺し強度を有する分離膜を提供することができる。
【0075】
本発明の具体的な一実施形態において、前記延伸は、ロール方式またはテンター方式の逐次または同時延伸で行うことができる。前記延伸比は、縦方向及び横方向でそれぞれ3倍以上、または4倍~10倍であり、総延伸比は14倍~100倍であり得る。延伸比が上記の数値範囲を満足する場合、一方向の配向が十分ではなく、同時に、縦方向と横方向との間の物性バランスが崩れて引張強度及び突刺し強度が低下するという問題を防止することができる。また、総延伸比が上記の数値範囲を満足すると、未延伸または気孔が形成されない問題を防止することができる。
【0076】
本発明の具体的な一実施形態において、延伸温度は使われたポリオレフィンの融点、希釈剤の濃度及び種類によって変わり得る。
【0077】
本発明の具体的な一実施形態において、例えば、使用されたポリオレフィンがポリエチレンであって希釈剤が液体パラフィンであり、前記液体パラフィンの動粘度が40℃で50~150cStである場合、前記延伸温度は縦延伸(MD)の場合70~160℃、90~140℃または100~130℃であり得、横延伸(TD)の場合90~180℃、110~160℃または120~150℃であり得、両方向延伸を同時に行う場合は90~180℃、110~160℃または110~150℃であり得る。
【0078】
前記延伸温度が上記の数値範囲を満足する場合、前記延伸温度が低いことによる、軟質性がなくて破断が起きるかまたは未延伸が起きる問題を防止でき、延伸温度が高いために発生する部分的な過延伸または物性差を防止することができる。
【0079】
その後、前記成形及び延伸されたシートから希釈剤を抽出して多孔性膜を製造する。
【0080】
本発明の具体的な一実施形態において、前記多孔性膜から有機溶媒を使用して希釈剤を抽出し、前記多孔性膜を乾燥することができる。
【0081】
本発明の具体的な一実施形態において、前記有機溶媒は、前記希釈剤を抽出可能なものであれば特に制限されないが、抽出効率が高くて乾燥が速いメチルエチルケトン、メチレンクロライド、ヘキサンなどを適用することができる。
【0082】
このとき、希釈剤を抽出する段階の溶媒は、光硬化組成物の溶媒と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
【0083】
本発明の一実施形態において、希釈剤を抽出する段階の溶媒が光硬化組成物の溶媒と同一である場合は、後述する光硬化組成物を別途に製造せず、抽出する段階の溶媒に架橋剤及び光開始剤を添加して光硬化組成物として活用することができる。
【0084】
本発明の具体的な一実施形態において、抽出する方法は、浸漬(immersion)方法、溶剤スプレー(solvent spray)方法、超音波(ultrasonic)法などの一般的なすべての溶媒抽出方法を単独でまたは複合的に使用することができる。抽出処理後の残留希釈剤の含量は、1重量%以下であることが好ましい。残留希釈剤の含量が1重量%を超過すれば、物性が低下して多孔性膜の透過度が減少する。残留希釈剤の含量は抽出温度と抽出時間の影響を受けるが、希釈剤と有機溶媒との溶解度を増加させるため、抽出温度は高いことが好ましいが、有機溶媒の沸騰による安全性の問題を考慮すると40℃以下であることが好ましい。前記抽出温度が希釈剤の凝固点以下であれば、抽出効率が大幅に低下するため、希釈剤の凝固点よりは高くなければならない。
【0085】
また、抽出時間は、製造される多孔性膜の厚さによって異なるが、厚さが5~15μmである多孔性膜の場合は2~4分が適切である。
【0086】
前記希釈剤が抽出されたシートを、架橋剤、光開始剤及び溶媒を含む光硬化組成物に浸漬してから常温で乾燥して、光硬化組成物を前記延伸されたシートの複数のフィブリルの表面上にコーティングする。
【0087】
このとき、光硬化組成物の成分及び組成は、上述した通りである。
【0088】
前記光硬化組成物を前記延伸されたシートの複数のフィブリルの表面上にコーティングする方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
【0089】
前記光硬化組成物がコーティングされたシートを熱固定する。
【0090】
前記熱固定は、前記光硬化組成物がコーティングされた多孔性膜を固定して熱を加え、収縮しようとする多孔性膜を強制的に固定して残留応力を除去する段階である。
【0091】
熱固定する段階は、ポリオレフィンの融点(Tm)に対比して-15℃~-2℃、-12℃~-3℃または-10℃~-5℃で行うことができる。前記熱固定する段階がポリオレフィンの融点に対比してこのような温度差で行われる場合、多孔性膜の残留応力を解消すると同時にリチウムイオンの伝導度を確保する面で有利である。
【0092】
本発明の具体的な一実施形態において、前記熱固定する段階は、123℃~134℃の温度条件または127℃~132℃の温度条件で行うことができる。熱固定の温度が上記の数値範囲を満足すると、ポリオレフィン分子の再配列が起きて多孔性膜の残留応力を除去でき、部分的溶融によって多孔性膜の気孔が詰まる問題を減少させることができる。
【0093】
本発明の具体的な一実施形態において、熱固定の時間は10~120秒、20~90秒、30~60秒であり得る。上記のような時間で熱固定する場合、ポリオレフィン分子の再配列が起きて多孔性膜の残留応力を除去でき、部分的溶融によって多孔性膜の気孔が詰まる問題を減少させることができる。
【0094】
前記熱固定する段階は、シートの機械方向(Machine Direction)では熱固定する段階に導入されるシートの速度の20~60%まで増速した後、0~30%に減速する条件で行い、シートの横方向(Traverse Direction)では熱固定する段階に導入されるシートの幅の20~180%まで延伸した後、0~50%まで緩和する方式で行われる。ここで、増速、減速、延伸及び緩和するときは、目標する水準に一回で到達してもよく、「段階的に」到達してもよい。このとき、「段階的に」増速、減速、延伸または緩和するとは、複数の段階(または回数)を経て目標値に到達することを意味する。
【0095】
シートの横方向のみで熱固定する通常の方式と異なって、熱固定段階でシートの横方向と機械方向とで同時に延伸及び緩和する工程を行う場合、熱固定段階で多孔性膜がさらに薄膜化してシートの厚さ減少率が増大するため、初期押出シートの厚さを厚くすることができる。これにより、延伸工程において均一性を確保し、破断を防止できるため、分離膜の薄膜化を図ることができ、残留応力を十分に除去して熱収縮率特性を改善することができる。
【0096】
前記熱固定する段階の前または後に、コーティングされたシートの一面または両面をUV硬化する段階をさらに含む。
【0097】
このとき、UV硬化は、UV硬化装置を用いて、使用した光開始剤/硬化剤の含量比など条件に応じて照射時間及び照射光量を適切に調節して行うことができる。例えば、架橋剤が十分に架橋されて分離膜のメルトダウン温度が160℃以上または170℃以上になりながら、UVランプで発生する熱によって分離膜が損傷されない条件で行うことができる。
【0098】
また、前記UV硬化装置で使用されるUVランプは、使用する開始剤に応じて高圧水銀ランプ、メタルランプ、ガリウムランプなどから適切に選択して使用でき、UVランプの発光波長及び容量は工程に応じて適切に選択することができる。
【0099】
本発明の一実施形態において、希釈剤を抽出する段階の溶媒が光硬化組成物の溶媒と同一である場合は、光硬化組成物を別途に製造せず、抽出する段階の溶媒に架橋剤及び光開始剤を添加して光硬化組成物として活用できるため、前記光硬化組成物がコーティングされたシートを熱固定する段階の前にUV硬化する場合は、別途のコーティング/乾燥工程なく、フィブリルの外側に架橋高分子を含むコーティング層を形成できるという面で有利である。
【0100】
または、前記光硬化組成物がコーティングされたシートを前記熱固定する段階の後にUV硬化する場合は、分離膜のフィブリル構造が形成された後にコーティング層が形成されるため、分離膜のメルトダウン効果をさらに向上できるという面で有利である。
【0101】
このような本発明の分離膜は、正極と負極との間に介在されて電気化学素子を構成することができる。
【0102】
本発明の電気化学素子は、電気化学反応を行うあらゆる素子を含み、具体的には、すべての種類の一次電池、二次電池、燃料電池、太陽電池またはスーパーキャパシタ素子のようなキャパシタなどが挙げられる。特に、前記二次電池のうちリチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池などを含むリチウム二次電池が好ましい。
【0103】
本発明の分離膜とともに適用される電極としては、特に制限されず、当業界で周知の通常の方法で電極活物質を電極集電体に結着した形態で製造することができる。前記電極活物質のうち正極活物質の非制限的な例としては、従来電気化学素子の正極に使用される通常の正極活物質を使用でき、特にリチウムマンガン酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウム鉄酸化物またはこれらを組み合わせたリチウム複合酸化物を使用することが好ましい。負極活物質の非制限的な例としては、従来電気化学素子の負極に使用される通常の負極活物質を使用でき、特にリチウム金属またはリチウム合金、炭素、石油コークス(petroleum coke)、活性化炭素、グラファイトまたはその他炭素類などのようなリチウム吸着物質などが好ましい。正極集電体の非制限的な例としては、アルミニウム、ニッケルまたはこれらの組合せによって製造されるホイルなどがあり、負極集電体の非制限的な例としては、銅、金、ニッケルまたは銅合金、またはこれらの組合せによって製造されるホイルなどがある。
【0104】
本発明の電気化学素子で使用できる電解液は、A+B-のような構造の塩であり、A+はLi+、Na+、K+のようなアルカリ金属陽イオンまたはこれらの組合せからなるイオンを含み、B-はPF6
-、BF4
-、Cl-、Br-、I-、ClO4
-、AsF6
-、CH3CO2
-、CF3SO3
-、N(CF3SO2)2
-、C(CF2SO2)3
-のような陰イオンまたはこれらの組合せからなるイオンを含む塩を、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γ-ブチロラクトンまたはこれらの混合物からなる有機溶媒に溶解または解離したものであるが、これらに限定されることはない。
【0105】
前記電解液の注入は、最終製品の製造工程及び求められる物性に応じて、電池製造工程のうち適切な段階において行えばよい。すなわち、電池組み立ての前または電池組み立ての最終段階などにおいて注入すればよい。
【0106】
本発明の一実施形態によれば、前記分離膜を電池に適用する工程としては、一般的な工程である巻取(winding)の他にも、分離膜と電極の積層(lamination、stack)及び折畳み(folding)工程が挙げられる。
【0107】
本発明の一実施形態による分離膜は、二次電池の正極と負極との間に介在され、複数のセルまたは電極を集合させて電極組立体を構成するとき、隣接するセルまたは電極の間にも介在できる。前記電極組立体は、単純スタック型、ゼリーロール型、スタック-フォールディング型、ラミネーション-スタック型などの多様な構造を有し得る。
【0108】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形され得、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0109】
実施例1
溶媒としてのメチレンクロライド(MC)に、架橋剤としてのトリス-(2-アクリルオキシエチル)イソシアヌレートと光開始剤としての2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドとを混合して光硬化組成物を用意した。このとき、前記光硬化組成物100重量%を基準にして0.3重量%のトリス-(2-アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、0.3重量%の2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが含まれ、トリス-(2-アクリルオキシエチル)イソシアヌレートと2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドとの重量比は1:1であった。
【0110】
厚さ9μmのポリエチレン多孔性基材(東レ社製、気孔度:45%)を、用意した光硬化組成物に30秒間浸漬してから取り出し、常温(25℃)で1分間乾燥した。
【0111】
その後、UV硬化装置である高圧水銀ランプ(Lichtzen社製の高圧水銀ランプ、LH-250/800-A)を用いて、光硬化組成物がコーティングされたポリエチレン多孔性基材の上面のみに積算光量20J/cm2のエネルギーを加えて硬化させることで、前記ポリエチレン多孔性基材に含まれた複数のフィブリルの外側を囲み、UV硬化で得られた架橋高分子を含むコーティング層を備えるポリオレフィン分離膜を製造した。
【0112】
このとき、前記コーティング層の含量は前記ポリオレフィン多孔性基材100重量部を基準にして2.22重量部であった。
【0113】
実施例2
光硬化組成物がコーティングされたポリエチレン多孔性基材を高圧水銀ランプ(Lichtzen社製の高圧水銀ランプ、LH-250/800-A)を用いて、ポリエチレン多孔性基材の上面に対して積算光量20J/cm2のエネルギーを加えた後、ポリエチレン多孔性基材の下面に対して積算光量20J/cm2のエネルギーを加えてフィブリルの表面を硬化させた点を除き、実施例1と同じ方法で、前記ポリエチレン多孔性基材に含まれた複数のフィブリルの外側を囲み、UV硬化で得られた架橋高分子を含むコーティング層を備えるポリオレフィン分離膜を製造した。このとき、前記コーティング層の含量は前記ポリオレフィン多孔性基材100重量部を基準にして2.22重量部であった。
【0114】
比較例1
厚さ9μmのポリエチレン多孔性基材(東レ社製、気孔度:45%)を何らコーティング処理なしにそのままポリオレフィン分離膜として使用した。
【0115】
比較例2
前記光硬化組成物100重量%を基準にして5重量%のトリス-(2-アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、5重量%の2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドが含まれた点を除き、実施例1と同じ方法でポリオレフィン分離膜を製造した。このとき、前記コーティング層の含量は前記ポリオレフィン多孔性基材100重量部を基準にして22.2重量部であった。
【0116】
比較例3
開始剤を用いる化学気相蒸着(initiated chemical vapor deposition、iCVD)反応機の単量体コンテナにヘキサビニルジシロキサン(HVDS)単量体を入れて45℃に加熱した。開始剤としてはtert-ブチルペルオキシド(TBPO、アルドリッチ社製168521、250ml、98%)を開始剤コンテナに入れて常温に維持した。
【0117】
反応機内の底に厚さ9μmのポリエチレン多孔性基材(東レ社製、気孔度:45%)を密着して固定した。このとき、ポリエチレン多孔性基材の温度を25℃に維持した。チャンバ内の圧力も一定に250mTorrに維持した。反応機内のフィラメントの温度は200℃に維持した。
【0118】
単量体と開始剤とを1:1の比率(重量比)でiCVD反応機内に流して30分間蒸着反応させた結果、ポリエチレン多孔性基材にヘキサビニルジシロキサンの架橋結合結果物が蒸着されたポリオレフィン分離膜が得られた。
【0119】
比較例4
1時間蒸着反応を行ったことを除き、比較例3と同じ方式でポリオレフィン分離膜を製造した。
【0120】
分離膜の特性評価
実施例1、2、及び比較例1~4で製造されたポリオレフィン分離膜に対し、通気度、坪量、メルトダウン温度、通気度の変化率、及び坪量の変化率を測定した結果を表1に示した。
【0121】
(1)ポリオレフィン分離膜の通気度の評価
通気度(ガーレー)はASTM D726-94方法によって測定した。ここで使われたガーレーは、空気の流れに対する抵抗であって、ガーレー式デンソメーターによって測定される。ここで説明された通気度の値は、100ccの空気が12.2inH2Oの圧力下で、実施例1、2及び比較例1~4で製造されたポリオレフィン分離膜1平方インチの断面を通過するのにかかる時間(秒)、すなわち通気時間で表す。
【0122】
(2)ポリオレフィン分離膜の坪量の評価
坪量(g/m2)は、実施例1、2及び比較例1~4で製造されたポリオレフィン分離膜を幅と長さそれぞれ1mのサンプルとして用意し、その重量を測定して評価した。
【0123】
(3)ポリオレフィン分離膜のメルトダウン温度の評価
メルトダウン温度は、機械進行方向(Machine direction、MD)と進行方向の垂直方向(Transverse direction、TD)とでポリオレフィン分離膜のサンプルをそれぞれ採取した後、熱機械的分析方法(Thermomechanical Analysis、TMA)で測定した。具体的には、TMA装置(TAインスツルメント社製、Q400)に幅4.5mm、長さ8mmのサンプルを入れて0.01Nの張力を加えた状態で、昇温条件(30℃から5℃/分)に露出させる。温度の上昇とともにサンプルの長さ変化が伴い、長さが急激に延びてサンプルが切断される温度を測定する。MDとTDをそれぞれ測定して、より高い温度を該当サンプルのメルトダウン温度として定義する。
【0124】
このとき、実施例1、2、比較例1~2で製造されたポリオレフィン分離膜の温度変化による体積変化(長さ変化)を
図1に示した。
【0125】
(4)通気度及び坪量の変化率
通気度及び坪量の変化率は、下記の式で計算した。
【0126】
式において、「コーティング前のポリオレフィン多孔性基材」は比較例1に該当する。
【0127】
通気度の変化率(%)=[(コーティング層を備えたポリオレフィン多孔性基材の通気度)-(コーティング前のポリオレフィン多孔性基材の通気度)]/(コーティング前のポリオレフィン多孔性基材の通気度)×100
【0128】
坪量の変化率(%)=[(コーティング層を備えたポリオレフィン多孔性基材の坪量)-(コーティング前のポリオレフィン多孔性基材の坪量)]/(コーティング前のポリオレフィン多孔性基材の坪量)×100
【0129】
【0130】
表1を参照すると、実施例1及び2で製造されたポリオレフィン分離膜は、比較例1と比べて、厚さ、通気度の変化率及び坪量の変化率では大きい差がなく、メルトダウン温度が著しく増加して安定性が大幅に改善されたことが分かる。一方、比較例2は、コーティング時の光開始剤と架橋剤の含量を光硬化組成物100重量%を基準にそれぞれ5%にして製造したものであって、架橋度が高くて架橋収縮が生じ、高い濃度の光硬化組成物のコーティングによってフィブリルが厚くなって通気度及び坪量が大きく増加した。
【0131】
また、比較例3と4の場合は、ポリエチレン多孔性基材をチャンバ内に置き、iCVD方式によってコーティング層を蒸着させたため、ポリオレフィン多孔性基材の内部にコーティング層を形成する架橋結合可能な化合物が均一に浸透し難く、その結果、分離膜の表面にコーティング層が集中されるため、メルトダウン温度の向上に比べて通気度の低下が著しい特性を見せていることが分かる。