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特許7451018光制御フィルム製造装置及びそれによって製造された光制御フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】光制御フィルム製造装置及びそれによって製造された光制御フィルム
(51)【国際特許分類】
   B29D 11/00 20060101AFI20240311BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20240311BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
B29D11/00
B29C59/02 B
G02B5/00 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022542998
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 KR2020000641
(87)【国際公開番号】W WO2021145469
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】カンユン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ビョンフイ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ボンテク・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ウヒュク・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ドヒュン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ソルモン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ホシク・リュ
(72)【発明者】
【氏名】スンソ・シン
(72)【発明者】
【氏名】キュソク・ハン
【審査官】小山 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-086421(JP,A)
【文献】特開2013-205509(JP,A)
【文献】特開2007-148185(JP,A)
【文献】特開2011-034060(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0004741(KR,A)
【文献】特開2013-51149(JP,A)
【文献】特開2017-205224(JP,A)
【文献】特開2017-209156(JP,A)
【文献】特開2019-133017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 11/00-11/02
B29C 33/00-33/76
B29C 39/26-39/36
B29C 41/00-41/44
B29C 43/36-43/42,43/50
B29C 45/26-45/44,45/64-45/68,45/73
B29C 49/48-49/56,49/70
B29C 51/30-51/40,51/44
B29C 59/00-59/18
G02B 5/00- 5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムを供給するフィルム供給装置;及び
前記ベースフィルムの一面上に圧力を加えてパターンを形成するパターン形成モールド;を含み、
前記パターン形成モールドは、メインボディ及び前記メインボディの外面から突出して第1方向に延長されたパターン形成構造物を含み、
前記パターン形成構造物は、前記第1方向に垂直な断面において、
一端部が前記メインボディと連結されて第1夾角を有する一対の第1交差線;及び
前記一対の第1交差線の他端部からそれぞれ延長され、前記第1夾角より小さい第2夾角を有する一対の第2交差線;を含み、
前記第1夾角は、80°~100°であることを特徴とする、光制御フィルム製造装置。
【請求項2】
前記メインボディは、円筒形及び板状形のうち一つであることを特徴とする、請求項1に記載の光制御フィルム製造装置。
【請求項3】
前記第1交差線及び前記第2交差線は、前記メインボディの外側方向に延長されることを特徴とする、請求項1または2に記載の光制御フィルム製造装置。
【請求項4】
前記パターン形成構造物は、複数あり、互いに離隔していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光制御フィルム製造装置。
【請求項5】
前記第2交差線の一端部は、交点において連結されるか、又は連結線により連結されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の光制御フィルム製造装置。
【請求項6】
前記第1交差線の長さは、2μm~5μmであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の光制御フィルム製造装置。
【請求項7】
前記離隔距離は、20μm~70μmであることを特徴とする、請求項4に記載の光制御フィルム製造装置。
【請求項8】
供給された前記ベースフィルムの少なくとも一面上に硬化性樹脂層をコーティングするコーティング装置をさらに含み、
前記コーティング装置は、前記フィルム供給装置と前記パターン形成モールドの間に配置されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の光制御フィルム製造装置。
【請求項9】
前記パターン形成構造物は、前記樹脂層に圧力を加えて前記樹脂層にパターンを形成することを特徴とする、請求項に記載の光制御フィルム製造装置。
【請求項10】
ベースフィルム;
前記ベースフィルム上に配置されたパターン形成層であって、前記ベースフィルムとは反対側の一面に形成されて第1方向に延長された溝部を含むパターン形成層;及び
前記溝部内に配置される光吸収材料;を含み、
前記溝部は、前記第1方向に垂直な断面において、一端部が前記パターン形成層の一面と連結されて第1夾角を有する一対の第1交差線;及び
前記一対の第1交差線の他端部からそれぞれ延長されて前記第1夾角より小さい第2夾角を有する一対の第2交差線;を含み、
前記第1夾角は、80°~100°であることを特徴とする、光制御フィルム。
【請求項11】
前記第1交差線の長さは、1μm~5μmであることを特徴とする、請求項10に記載の光制御フィルム。
【請求項12】
前記溝部は、複数あり、互いに離隔していることを特徴とする、請求項10または11に記載の光制御フィルム。
【請求項13】
前記離隔距離は、20μm~70μmであることを特徴とする、請求項12に記載の光制御フィルム。
【請求項14】
前記光吸収材料は、溝部の前記第1交差線の他端部まで充填されることを特徴とする、請求項10から13のいずれか一項に記載の光制御フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光制御フィルム製造装置及びそれによって製造された光制御フィルムに関する発明である。
【0002】
より詳しくは、溝部に折り曲げ部が形成された光制御フィルム及び光制御フィルム製造装置に関する発明である。
【背景技術】
【0003】
光制御フィルムは、透光性を調節するように構成された光学フィルムであって、複数の平行な溝を有する透光性フィルムを含み、溝に光吸収材料が配置され得る。
【0004】
光制御フィルムは、通常、画像表示装置上に配置され、視野角による光吸収程度を調節して、特定の角度範囲内でのみ光を通過させる機能を提供することができる。
【0005】
ただし、従来の光制御フィルムは、溝部の高アスペクト比(High aspectratio)及び開口率の必要性に起因して溝部が薄くて細い形状であった。
【0006】
したがって、溝部を形成するためのモールドの表面スクラッチが発生しやすく、モールドを用いた溝部の形成過程で溝部の形状が曲がるという問題が発生することがあった。
【0007】
また、溝部の狭い入口により部分的に光吸収材料で満たされない白線現象が発生しやすいという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題を説明すれば、次の通りである。
【0009】
1.本発明は、溝部に折り曲げ部を形成することができるパターン形成モールドを含む光制御フィルム製造装置を提供することを目的とする。
【0010】
2.本発明は、溝部に折り曲げ部を形成した光制御フィルムを提供することを目的とする。
【0011】
その他、本発明は、上記に記載した技術的課題以外に従来技術から発生するか予測できるすべての問題点を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による光制御フィルム製造装置は、溝部に折り曲げ部を形成することができるパターン形成構造物を含む。
【0013】
具体的に、光制御フィルム製造装置は、供給されたベースフィルムの一面上に圧力を加えてパターンを形成するパターン形成モールドを含む。
【0014】
前記パターン形成モールドは、メインボディ及び前記メインボディの外面から突出して第1方向に延長されたパターン形成構造物を含む。
【0015】
前記パターン形成構造物は、前記第1方向に垂直な断面において、一端部が前記メインボディと連結されて第1夾角を有する一対の第1交差線を含む。
【0016】
また、前記一対の第1交差線の他端部からそれぞれ延長されて前記第1夾角より小さい第2夾角を有する一対の第2交差線を含む。
【0017】
前記メインボディは、円筒形及び板状形のうち一つであってもよい。
【0018】
前記第1交差線及び前記第2交差線は、前記メインボディの外側方向に延長され得る。
【0019】
前記パターン形成構造物は、複数あり、互いに離隔され得る。
【0020】
前記第2交差線の一端部は、交点において連結されるか、又は連結線により連結され得る。
【0021】
前記第1交差線の長さは、1μm~5μmであってもよい。
【0022】
前記第1夾角は、80°~100°であってもよい。
【0023】
前記離隔距離は、20μm~70μmであってもよい。
【0024】
供給された前記ベースフィルムの少なくとも一面上に硬化性樹脂層をコーティングするコーティング装置をさらに含み、前記コーティング装置は、前記フィルム供給装置と前記パターン形成モールドの間に配置され得る。
【0025】
前記パターン形成構造物は、前記樹脂層に圧力を加えて前記樹脂層にパターンを形成することができる。
【0026】
一方、本発明の実施例による光制御フィルムは、ベースフィルムと、前記ベースフィルム上に配置されたパターン形成層であって、前記ベースフィルムとは反対側の一面に形成されて第1方向に延長された溝部を含むパターン形成層と、前記溝部内に配置される光吸収材料とを含む。
【0027】
前記溝部は、前記第1方向に垂直な断面において、一端部が前記パターン形成層の一面と連結されて第1夾角を有する一対の第1交差線及び前記一対の第1交差線の他端部からそれぞれ延長されて前記第1夾角より小さい第2夾角を有する一対の第2交差線を含み、前記第1夾角は、80°~100°である。
【0028】
前記第1交差線の長さは、1μm~5μmであってもよい。
【0029】
前記溝部は、複数あり、互いに離隔され得る。
【0030】
前記離隔距離は、20μm~70μmであってもよい。
【0031】
前記光吸収材料は、溝部の前記第1交差線の他端部まで充填され得る。
【発明の効果】
【0032】
上記のように構成された本発明による光制御フィルム製造装置及びそれによって製造された光制御フィルムの効果を説明すれば、次の通りである。
【0033】
本発明の光制御フィルム製造装置は、パターン形成モールドのパターン形成構造物が折り曲げ部を形成しているので光制御フィルムの製造時に光制御フィルムの溝部が曲がることを減少させ得る。
【0034】
また、パターン形成構造物の折り曲げ部によりパターン形成構造物の表面スクラッチ発生を減少させ得る。
【0035】
本発明の光制御フィルムは、溝部が折り曲げ部を含むことにより光吸収材料の充填性が向上され白線現象の発生を減少させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明の一実施例による光制御フィルム製造装置を示した断面図である。
【0037】
図2図2は、本発明の一実施例による光制御フィルム製造装置のパターン形成モールドの斜視図及び部分拡大断面図である。
【0038】
図3図3は、本発明の一実施例による制御フィルムの断面及び部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、後述する実施例を参照すれば明確になる。
【0040】
本発明は、特許請求の範囲により定義され、明細書で用語の意味に対して別に記載した内容がある場合、用語の意味は、前記記載内容により定義される。明細書の全体にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0041】
本願発明の光制御フィルム製造装置100は、パターン形成モールド30を含み、パターン形成モールド30のパターン形成構造物32が折り曲げ部32cを含むことによって、光制御フィルム200の外形状の不良を減少させ得る。
【0042】
これと関連して、図1を参照して本発明の実施例による光制御フィルム製造装置100に対して説明する。
【0043】
まず、フィルム供給装置10に対して説明する。
【0044】
本発明の実施例による光制御フィルム製造装置100は、ベースフィルム210を提供するフィルム供給装置10を含むことができる。
【0045】
ベースフィルム210は、後述する光制御フィルム200の基礎支持層として機能をするものであって、詳しい内容は後述する。
【0046】
フィルム供給装置10は、一例として、ロール形態にベースフィルム210を巻いており、フィルム供給装置10が回転してベースフィルム210を工程進行方向に広げながらベースフィルム210を供給することができる。
【0047】
ただし、フィルム供給装置10の形状及び動作内容は、前記記載及び図面に掲示した内容に限定されるものではなく、通常の技術者が容易に設計変更できる内容まで含む。
【0048】
また、光制御フィルム製造装置100は、フィルム供給装置10と後述するパターン形成モールド30の間に位置し、供給されたベースフィルム210の少なくとも一面上に樹脂層220’をコーティングするコーティング装置20をさらに含むことができる。
【0049】
例えば、ベースフィルム210の前面上に樹脂層220’を一定厚さでコーティングすることができ、樹脂層220’は、その後の熱又は光硬化処理により硬化され得る。
【0050】
追加で、樹脂層220’は、ベースフィルム210の両面にコーティングされてもよく、樹脂層220’の物質は、通常の技術者が容易に選択できる範囲まで含む。
【0051】
ただし、コーティング装置20は、必須的な構成ではなく、フィルム供給装置10から供給されるベースフィルム210に既に樹脂層がコーティングされている場合、コーティング装置20が省略されてもよい。
【0052】
本発明の実施例による光制御フィルム製造装置100は、ベースフィルム210の一面上に圧力を加えてパターンを形成するパターン形成モールド30を含むことができる。
【0053】
具体的に、パターン形成モールド30は、ベースフィルム210上にコーティングされた樹脂層220’に部分的に圧力を加えてパターンを形成することができる。
【0054】
樹脂層220’に部分的に加えられる圧力は、パターン形成モールド30の形状に基づいて形成され得、パターン形成モールド30の詳しい構造に対しては後述する。
【0055】
パターン形成モールド30によりパターンが形成された樹脂層220’は、硬化装置40により硬化され得る。
【0056】
硬化装置40は、樹脂層220’の硬化特性に応じて、光硬化、例えば、UV硬化を用いることができ、または熱源を用いて熱硬化させ得る。
【0057】
硬化装置40により硬化された樹脂層220’は、パターンが維持されたパターン形成層220になり得る。
【0058】
硬化装置40により形成されたパターン形成層220は、パターン形成モールド30から分離され得、パターン形成モールド30から分離されたパターン形成層220及びベースフィルム210は、収集装置50により巻取されて保管され得る。
【0059】
次に、樹脂層220’及び/又はパターン形成層220にパターンを形成するパターン形成モールド30の構造に対して詳しく説明する。
【0060】
再び図1及び図2を参考すれば、パターン形成モールド30は、メインボディ31及びメインボディ31の外面から突出して第1方向に延長されたパターン形成構造物32を含むことができる。
【0061】
パターン形成構造物32は、複数あり、互いに離隔していてもよい。
【0062】
例えば、パターン形成構造物32は、約20μm~約70μmの離隔距離を有して互いに離隔していてもよい。
【0063】
メインボディ31は、パターン形成モールド30の基礎形状を提供し、パターン形成構造物32と連結されて支持する機能をすることができる。
【0064】
メインボディ31は、円筒形であってもよいが、メインボディ31の形状が、これに限定されるものではなく、通常の技術者が容易に設計変更できる形状まで含む。
【0065】
例えば、メインボディ31は、多角柱形状又は板状形であってもよい。
【0066】
パターン形成構造物32は、メインボディ31から外部に突出して実質的に樹脂層220’に部分的に圧力を加える機能をする。
【0067】
具体的に、パターン形成構造物32は、上述したように、メインボディ31の外面から突出して第1方向に延長された構造であってもよい。
【0068】
例えば、メインボディ31が円筒形である場合、パターン形成構造物32は、円周方向に形成され得、メインボディ31が板状形である場合、パターン形成構造物32は、直線方向に形成され得る。
【0069】
一方、パターン形成構造物32は、外面に形成された折り曲げ部32cを含むことによって、光制御フィルム200の製造時に光制御フィルム200の溝部221が曲がるか溝部221内面のスクラッチ発生を減少させて光制御フィルム200の外形不良を減少させ得る。
【0070】
パターン形成構造物32の折り曲げ部32cは、パターン形成構造物32の側面に形成され得る。したがって、パターン形成構造物32の側面は、互いに異なる傾きを有した面が出会って一定角度で折られた構造を形成することができる。
【0071】
具体的に、パターン形成構造物32は、前記第1方向に垂直な断面から見るとき、パターン形成構造物32の断面は、一端部がメインボディ31と連結され、第1夾角θ1を有する一対の第1交差線32aを含むことができる。
【0072】
一対の第1交差線32aは、2個の線分であり、それぞれの線分がメインボディ31と連結された一端部32a1を有し、互いに第1夾角θ1を有するようにメインボディ31の外側に延長され得る。
【0073】
それぞれの第1交差線32aは、約1μm~約5μmであってもよい。
【0074】
一対の第1交差線32aの他端部32a2は、互いに接触せず離隔しており、ただし、第1交差線32aの各他端部32a2から延長された仮想の線が交差して形成される第1夾角θ1が約180度未満であってもよく、約80度~約100度であってもよい。
【0075】
また、パターン形成構造物32の断面は、一対の第1交差線32aそれぞれと連結された一対の第2交差線32bを含むことができる。
【0076】
一対の第2交差線32bは、第1交差線32aの他端部32a2からそれぞれ延長され、第1夾角θ1より小さい第2夾角θ2を有することができる。
【0077】
具体的に、第2交差線32bは、2個の線分であり、第2交差線32bの各一端部32b1が第1交差線32aの他端部32a2と連結され、互いに第2夾角θ2を有するようにメインボディ31の外側方に延長され得る。
【0078】
一対の第2交差線32bの他端部32b2は、互いに接触せず離隔しているか、または交点において直接連結され得る。
【0079】
第2交差線32bの他端部32b2が互いに接触せず離隔している場合、他端部32b2は、連結線32b3により連結され得る。
【0080】
第2夾角θ2は、第1夾角θ1と同様に第2交差線32bの他端部32b2が交差して形成されたもの、または他端部32b2から延長された仮想の線が交差して形成されたものであって、第1夾角θ1より小さくてもよい。
【0081】
したがって、第1交差線32aと第2交差線32bが出会う部分でパターン形成構造物32の側面が折り曲げられる折り曲げ部32cが形成されることになる。
【0082】
また、第1夾角θ1が第2夾角θ2よりさらに大きいことで、折り曲げ部32cを基準としてメインボディ31から遠くなるほどパターン形成構造物32が一層鋭く突出され得る。
【0083】
上述したように、本発明の実施例によるパターン形成構造物32は、折り曲げ部32cを含むことによって、光制御フィルム200の製造時に光制御フィルム200の溝部221が曲がるか溝部221内面のスクラッチ発生を減少させて光制御フィルム200の外形不良を減少させ得る。
【0084】
具体的に、パターン形成構造物32は、パターン形成モールド30の表面を部分的に切削して形成され得る。
【0085】
したがって、表面切削を通じて複数のパターン形成構造物32を形成する過程中にパターン形成構造物32に相当量の衝撃又は力が持続的に加えられ得る。その結果、狭い面積で突出したパターン形成構造物が一側に曲がるか設計面積より広い面積でパターン形成構造物が形成されることにより、光制御フィルムの設計対比視野角が非対称となったり、透過率が低くなるという問題が発生し得る。
【0086】
しかし、本発明の実施例によるパターン形成構造物32は、折り曲げ部32cを基準としてメインボディ31に隣接した部分が相対的に広い面積でメインボディ31に連結されているので、効果的にパターン形成構造物32の折り曲げ部32cの上端部分の構造をしっかり維持させ得る。
【0087】
したがって、パターン形成構造物32の形成過程で突出して鋭った形状のパターン形成構造物32に相当な衝撃又は力が加えられてもパターン形成構造物32の変形を減少させることができ、光制御フィルム200に形成される溝部221の形状不良を減少させることができる。
【0088】
また、本発明の実施例によるパターン形成構造物32は、折り曲げ部32cを含むことによって、パターン形成構造物32又は溝部221内面のスクラッチ発生を減少させることができる。
【0089】
具体的に、上述したように、パターン形成構造物32の形成過程ではパターン形成モールド30の表面切削時に多量のチップ(chip)が発生し得る。
【0090】
このようなチップは、切削形状に応じて中間で切れることがあり、切れたチップ部分により切削表面にスクラッチを形成することがある。
【0091】
そこで、本願発明の実施例によるパターン形成構造物32は、折り曲げ部32cを含んでメインボディ31に接した部分の面積を相対的に大きく形成することによって、切削される側面又は底面から発生するチップが容易に切れず、その結果、切削面にチップによるスクラッチが発生することを減少させることができる。
【0092】
付加的に、第1夾角θ1は、約80度~約100度であってもよく、本発明の実施例によるパターン形成構造物32は、第1夾角θ1を上述したように制御することによって、チップ排出を安定的に行うことができ、表面スクラッチ又はパターン形成構造物32の曲がりを最小化することができる。
【0093】
また、本願発明の実施例によるパターン形成構造物32は、硬化されたパターン形成層220又は硬化される樹脂層220’がパターン形成モールド30から分離される過程で発生し得る溝部221の形状不良を減少させることもできる。
【0094】
具体的に、パターン形成構造物32とそれに整合する硬化されたパターン形成層220又は硬化される樹脂層220’のパターン(溝部221)とは、分離されることになる。
【0095】
この過程で、折り曲げ部32cを基準としてメインボディ31に隣接したパターン形成構造物32の部分が相対的に広い面積を有することによって、パターン形成構造物32から分離される溝部221の上側開口部分が広く形成され、その結果、パターン形成層220又は樹脂層220’とパターン形成構造物32との間の分離容易性を向上させて溝部221の形状変形又は内面損傷を減少させ得る。
【0096】
次に、本発明の実施例による光制御フィルム200に対して説明する。
【0097】
光制御フィルム200は、光制御フィルム製造装置100により製造され得る。
【0098】
図3を参考すると、光制御フィルム200は、ベースフィルム210を含むことができる。
【0099】
ベースフィルム210は、上述したように、光制御フィルム200の基礎支持層として機能することができる。
【0100】
ベースフィルム210は、PET、PC及びTACなどを含むことができるが、ベースフィルム210の構成物質は、前記記載に限定されるものではなく、通常の技術者が容易に選択できる範囲までを含む。
【0101】
ベースフィルム210の一面上には、パターン形成層220が配置され得、選択的に、パターン形成層220の付着安定性のためにベースフィルム210とパターン形成層220の間に接着性のプライマー層が付加され得る。
【0102】
また、パターン形成層220とは反対側のベースフィルム210の他面上には、反射防止層などのコーティング層などが付加されてもよい。
【0103】
パターン形成層220は、光が通過する部分であって、ベースフィルム210とは反対側の一面に形成されて第1方向に延長された溝部221を含むことができる。
【0104】
パターン形成層220は、硬化性樹脂の硬化物を含むことができ、例えば、UV硬化性樹脂の硬化物を含むことができる。
【0105】
溝部221は、パターン形成層220の内部に凹形状で形成されたものであって、上述したパターン形成モールド30のパターン形成構造物32の形状に対応する構造であってもよい。
【0106】
したがって、パターン形成構造物32の第1交差線32a及び第2交差線32bに対する説明は、溝部221の第1交差線221a及び第2交差線221bにそのまま適用され得る。
【0107】
また、溝部221は、複数で形成され、互いに離隔していてもよい。
【0108】
第1方向に垂直な溝部221の断面は、一端部221a1がパターン形成層220の一面と連結され、第1夾角θ1を有する一対の第1交差線221aを含むことができる。
【0109】
パターン形成構造物32とは異なり、第1交差線221aの一端部221a1の間には開口部分が形成され、パターン形成層220の内部に行くほど開口部分の面積が狭くなる形状であってもよい。
【0110】
また、溝部221の断面は、第1交差線221aの他端部221a2からそれぞれ延長され、第1夾角θ1より小さい第2夾角θ2を有する一対の第2交差線221bを含むことができる。
【0111】
したがって、溝部221の内面においても折り曲げ部221cが形成され得る。
【0112】
溝部221の内部には、光吸収材料222が配置され得る。具体的に、形成された溝部221の内部に光吸収材料222を満たす方式で光吸収材料222が配置され得る。
【0113】
光吸収材料222は、少なくとも可視スペクトラムの一部分から光を吸収するか遮断することができる材料であってもよい。
【0114】
例えば、光吸収材料222は、カーボンブラック又はブラックビーズのような黒色着色剤を含むことができ、光吸収及び遮断性能を考慮して、光吸収材料222の組成と濃度を調節することができる。
【0115】
光吸収材料222は、溝部221の第1交差線221aの他端部221a2まで充填され得る。
【0116】
本発明の実施例による光制御フィルム200は、上述したように、折り曲げ部221cを基準として、前面に近い溝部221の部分が広く形成され、光吸収材料222が溝部221の第1交差線221aの他端部221a2まで充填されることによって、狭い開口に異物が挟まって光吸収材料222が十分に満たされないことで発生する白線現象を効果的に減少させることができる。
【0117】
また、光吸収材料222が溝部221の第1交差線221aの他端部221a2まで充填されることによって、開口率が過度に減少することを防止することができる。
【0118】
具体的に、第1交差線221aの一端部221a1まで光吸収材料222が充填される場合、光吸収材料222により一面の光入射面積が減少するので、開口率が過度に減少し得る。したがって、本発明の実施例では、光吸収材料222の充填位置を第1交差線221aの他端部221a2に制御することができる。
【0119】
次に、表1及び表2を参考して、本発明の実施例による光制御フィルム200において第1交差線221aの長さおよび第1夾角に応じた特性変化に対して説明する。
【0120】
【表1】
【0121】
表1は、パターン形成モールド30及び溝部221の第1夾角変化によるスクラッチ発生及び曲がり有無を肉眼上で観測して記録したものである。
【0122】
表1を参考すると、本願発明の光制御フィルム200が第1夾角を80°~100°に維持することによって、スクラッチと曲がり発生を効果的に予防することができる。
【0123】
【表2】
【0124】
表2は、溝部221の第1交差線221aの長さ変化に応じた白線発生及び第1交差線部分の光吸収材料残留有無を肉眼上で観測して記録したものである。
【0125】
表2を参考すると、本願発明の光制御フィルム200が第1交差線221aの長さを2μm~5μmに制御するとき、白線現象を防止すると同時に、第1交差線部分に光吸収材料222が残留することを防止して開口率が減少することを予防することができる。
【0126】
本明細書で前記第1交差線部分は、第1交差線の他端部221a2から第1交差線の一端部221a1の間の空間を意味する。
【0127】
以上、本発明の実施例に対して図面とともに説明したが、本発明は、上述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を脱しない限り、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能であることは勿論、このような変形実施は、本発明の技術的思想や見込みから個別的に理解されてはいけない。
【符号の説明】
【0128】
10 フィルム供給装置
20 コーティング装置
30 パターン形成モールド
31 メインボディ
32 パターン形成構造物
32a 第1交差線
32a1 一端部
32a2 他端部
32b 第2交差線
32b1 一端部
32b2 他端部
32b3 連結線
32c 折り曲げ部
40 硬化装置
50 収集装置
100 光制御フィルム製造装置
200 光制御フィルム
210 ベースフィルム
220 パターン形成層
220’ 樹脂層
221 溝部
221a 第1交差線
221a1 一端部
221a2 他端部
221b 第2交差線
221c 折り曲げ部
222 光吸収材料
図1
図2
図3