(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】負極用バインダー組成物、それを含む負極、およびリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/62 20060101AFI20240311BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20240311BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/134
H01M4/36 E
(21)【出願番号】P 2022546107
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 KR2021001224
(87)【国際公開番号】W WO2021154039
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0011309
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ア・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・マン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ジョ・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ヒ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・スプ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ウン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】チョル・フン・チェ
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/186363(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/196547(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/173717(WO,A1)
【文献】特開2015-106488(JP,A)
【文献】国際公開第2015/008626(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/067633(WO,A1)
【文献】特開2017-117597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/62
H01M 4/134
H01M 4/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリルアミド基含有単量体50~90重量部、不飽和カルボン酸系単量体5~45重量部、および水に対する溶解度が100g/L以下の単量体1~25重量部を含む第1単量体混合物の重合体であるポリマー(A)と、
粒子状ポリマー(B)と、を含み、
前記ポリマー(A)と粒子状ポリマー(B)を
60:
40~9
0:
10の重量比で含
み、
前記水に対する溶解度が100g/L以下の単量体は、炭素数1~10のアルキルメタアクリレート、(メタ)アクリロニトリル、およびスチレンからなる群から選択される1種以上である、負極用バインダー組成物。
【請求項2】
前記負極用バインダー組成物を乾燥させて製造されたフィルムの水分含有量が10重量%以下である、請求項1に記載の負極用バインダー組成物。
【請求項3】
前記負極用バインダー組成物を乾燥させて製造されたフィルムの水分含有量が8重量%以下である、請求項1に記載の負極用バインダー組成物。
【請求項4】
前記粒子状ポリマー(B)は平均粒径が1μm以下である、請求項1に記載の負極用バインダー組成物。
【請求項5】
前記粒子状ポリマー(B)は、共役ジエン系単量体、芳香族ビニル系単量体、および不飽和カルボン酸系単量体を含む第2単量体混合物の重合体である、請求項1に記載の負極用バインダー組成物。
【請求項6】
前記ポリマー(A)は、重量平均分子量が100,000~2,000,000g/molである、請求項1に記載の負極用バインダー組成物。
【請求項7】
シリコン系負極活物質と、請求項1に記載の負極用バインダー組成物と、を含む負極活物質層を含む、負極。
【請求項8】
前記負極活物質層は、シリコン系負極活物質以外の負極活物質をさらに含む、請求項
7に記載の負極。
【請求項9】
前記シリコン系負極活物質は、全負極活物質中に5重量%以上で含まれる、請求項
8に記載の負極。
【請求項10】
請求項
7に記載の負極を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年1月30日に出願された韓国特許出願第10-2020-0011309号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、負極用バインダー組成物、それを含む負極、およびリチウム二次電池に関し、より詳細には、負極の柔軟性の減少を最小化するとともに、シリコン系負極活物質の脱離を効果的に防止することができる負極用バインダー組成物と、それを含む負極、およびリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
携帯用コンピュータ、携帯電話、カメラなどの携帯用機器や電気自動車などの技術開発に伴い、そのエネルギー源として、二次電池の需要が急激に増加している。二次電池の中でも、高いエネルギー密度と電圧を有し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池が商用化されて広く用いられている。
【0004】
リチウム二次電池の電極は、正極活物質または負極活物質をバインダー、導電材などと混合し、溶媒に分散させて電極スラリーを製造した後、それを電極集電体の表面に塗布し、乾燥してから圧延することで製造される。このうちバインダーは、活物質と活物質、そして活物質と電極集電体との接着力または結着力を確保するために用いられるものであり、現在商用化されている二次電池のバインダー物質としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレン-ブタジエンゴム(styrenebutadiene rubber:SBR)/カルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose:CMC)などが挙げられる。
【0005】
一方、近年、高容量電池の需要の増加に伴い、放電容量の大きいシリコン系負極活物質を使用しようとする試みが活発になされている。しかしながら、シリコン系負極活物質は充放電時における体積膨張が大きく、現在商用化されているPVdF、SBR、CMCなどのバインダーでは、シリコン系負極活物質の体積膨張を制御できないため、充放電サイクルが繰り返されるにつれて負極活物質が電極から脱離し、電池の寿命特性が急激に低下するという問題がある。
【0006】
このような問題を解決すべく、バインダーとして、ポリイミドなどの高強度ポリマーを使用し、シリコン系活物質の体積膨張を抑制しようとする手法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、かかる高強度ポリマーをバインダーとして用いる場合、電極の柔軟性が極めて劣るため、電池の製造工程における工程性に劣るという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであって、電極の柔軟性の減少を最小化するとともに、シリコン系負極活物質の脱離を効果的に防止することができる負極用バインダー組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記負極用バインダー組成物を含み、電極の柔軟性に優れるとともに、二次電池に適用した際に優れた寿命特性を有する負極、およびそれを含むリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一側面において、本発明は、(メタ)アクリルアミド((meth)acrylamide)基含有単量体50~90重量部、不飽和カルボン酸系単量体5~45重量部、および水に対する溶解度が100g/L以下の単量体1~25重量部を含む第1単量体混合物の重合体であるポリマー(A)と、粒子状ポリマー(B)と、を含み、前記ポリマー(A)と粒子状ポリマー(B)を50:50~95:5の重量比で含む、負極用バインダー組成物を提供する。
【0011】
他の側面において、本発明は、シリコン系負極活物質と、前記本発明の負極用バインダー組成物と、を含む負極を提供する。
【0012】
さらに他の側面において、本発明は、前記本発明に係る負極用バインダー組成物を含む負極を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る負極用バインダー組成物は、シリコン系負極活物質との接着力に優れたポリマー(A)と、柔軟性に優れた粒子状ポリマー(B)とをともに含むため、本発明の負極用バインダー組成物を用いて電極を形成する場合、シリコン系負極活物質の脱離による寿命特性の低下を防止し、電池の製造工程において電極の柔軟性の低下によりクラックや破断が発生することを最小化することができる。特に、本発明のようにポリマー(A)を50重量部以上含む場合、シリコン系負極活物質の脱離が抑えられ、寿命特性の低下を効果的に防止することができる。
【0014】
また、本発明のバインダー組成物のように、ポリマー(A)と粒子状ポリマー(B)を混合して用いる場合、従来の水溶性ポリマーを使用したバインダー組成物と比較して水分含量の低いバインダー組成物を得ることができる。従来にバインダー組成物に主に用いられていたカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、またはポリアクリルアミドなどの水溶性ポリマーは、親水性官能基に起因する親水特性により、高い水分含有量を有していた。このように水分含有量の高いバインダー組成物を用いる場合、電池内で副反応やガスの発生を引き起こし得る。これに対し、本発明のバインダー組成物は、水に対する溶解度が低い単量体をポリマー(A)に含ませることで、親水性官能基の量を調節し、非親水性の粒子状ポリマーを用いることで、低い水分含量を有するようにした。したがって、本発明のバインダー組成物を用いる場合、水分の存在による電池内の副反応やガスなどの発生を最小化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0016】
負極用バインダー組成物
先ず、本発明に係る負極用バインダー組成物について説明する。
【0017】
本発明の負極用バインダー組成物は、(メタ)アクリルアミド基含有単量体、不飽和カルボン酸系単量体、および水に対する溶解度が100g/L以下の単量体を含む第1単量体混合物の重合体であるポリマー(A)と、粒子状ポリマー(B)と、を含む。
【0018】
以下、本発明に係るバインダー組成物の各成分について具体的に説明する。
【0019】
(1)ポリマー(A)
前記ポリマー(A)は、(a1)(メタ)アクリルアミド基含有単量体、(a2)不飽和カルボン酸系単量体、および(a3)水に対する溶解度が100g/L以下の単量体を含む第1単量体混合物の重合体である。
【0020】
前記(a1)(メタ)アクリルアミド基含有単量体としては、例えば、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-プロピルアクリルアミド、およびN-ターシャリーブチルアクリルアミドからなる群から選択される1種以上の単量体が単独でまたは混合して使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
前記(a1)(メタ)アクリルアミド基含有単量体は、前記第1単量体混合物100重量部を基準として、50~90重量部、好ましくは50~85重量部、より好ましくは55~80重量部の量で含まれてもよい。(メタ)アクリルアミド基含有単量体の含量が上記の範囲を満たす場合、電極の適切な耐久性および接着力を得ることができる。
【0022】
前記(a2)不飽和カルボン酸系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、無水マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸からなる群から選択される1種以上が単独でまたは混合して使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
前記(a2)不飽和カルボン酸系単量体は、前記第1単量体混合物100重量部を基準として、5~45重量部、好ましくは10~40重量部、より好ましくは10~30重量部の量で含まれてもよい。不飽和カルボン酸系単量体の含量が上記の範囲を満たす場合、集電体と活物質の接着力を十分に確保することができる。
【0024】
前記(a3)水に対する溶解度が100g/L以下の単量体は、25℃の水1Lに投入した時に溶解される量が100g以下である単量体を意味する。前記ポリマー(A)に、このように水に対する溶解度が低い単量体を含ませる場合、電極中の水分含有量を低減する効果を得ることができる。
【0025】
前記(a3)水に対する溶解度が100g/L以下の単量体としては、例えば、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、およびスチレンからなる群から選択される1種以上の単量体が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
前記炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレートの具体的な例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、n-エチルヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
前記(メタ)アクリロニトリルの具体的な例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。前記(a3)水に対する溶解度が100g/L以下の単量体は、前記第1単量体混合物100重量部を基準として、1~25重量部、好ましくは1~20重量部、より好ましくは1~15重量部の量で含まれてもよい。水に対する溶解度が100g/L以下の単量体の含量が上記の範囲を満たす場合、電極中の水分含有量を低下させるとともに、水に溶解されるポリマーを得ることができる。
【0028】
前記ポリマー(A)は、前記単量体成分を混合して第1単量体混合物を形成した後、それを重合することで製造することができる。
【0029】
この際、前記重合は、当該技術分野において公知である通常の重合方法、例えば、溶液重合、乳化重合などの方法により行われることができ、重合温度および重合時間は、重合方法、重合開始剤の種類などによって適宜決定することができる。例えば、前記重合温度は50℃~100℃であってもよく、重合時間は1~10時間であってもよい。
【0030】
また、前記重合時に、必要に応じて、重合開始剤、分子量調節剤などがさらに添加されてもよい。
【0031】
前記重合開始剤としては、無機または有機過酸化物が使用可能であり、例えば、過硫酸カリウム(potassium persulfate)、過硫酸ナトリウム(sodium persulfate)、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate)などを含む水溶性開始剤が使用できる。
【0032】
前記分子量調節剤としては、例えば、メルカプタン類またはテルピノレン、ジペンテン、t-テルピネンなどのテルペン類や、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などが使用できる。
【0033】
一方、前記ポリマー(A)は、重量平均分子量が100,000~2,000,000g/mol、好ましくは300,000~1,000,000g/mol、より好ましくは400,000~800,000g/molであってもよい。ポリマー(A)の重量平均分子量が上記の範囲を満たす場合、適切な分散性および接着力を得ることができる。
【0034】
一方、前記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography、Waters GPC(Waters、米国))により、下記の条件で測定した。
-カラム:Waters Ultrahydrogel Linear 2本を連結
-カラム温度:40℃
-溶離液:0.1M NaNO3、pH 7 Phosphate buffer
-流速:1.0mL/min
-濃度:~1mg/mL(20μL injection)
-Detector:Waters 2414 RI detector
-Standard:Polyacrylic acid(三次関数で補正)
【0035】
(2)粒子状ポリマー(B)
前記粒子状ポリマー(B)は、負極の製造時に、電極の柔軟性を向上させるためのものである。
【0036】
前記粒子状ポリマー(B)は、平均粒径が1μm以下、好ましくは10nm~800nm、より好ましくは50nm~500nm程度であってもよい。粒子状ポリマーの粒径が上記の範囲を外れる場合、粒子自体の安定性が低下し、スラリーの混合やコーティング過程で問題が発生する恐れがある。
【0037】
この際、前記平均粒径は、脱イオン水に粒子状ポリマー(B)を1重量%で希釈して試料を製造した後、動的光散乱法(light scattering)により、粒度測定器(NICOMP380、Particle Size System社)を用いて測定した。
【0038】
具体的には、前記粒子状ポリマー(B)は、(b1)共役ジエン系単量体、(b2)芳香族ビニル系単量体、および(b3)不飽和カルボン酸系単量体を含む第2単量体混合物の重合体であってもよい。
【0039】
前記(b1)共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ピペリレン(pyperylene)からなる群から選択される1種以上が単独でまたは混合して使用できるが、これに限定されるものではない。
【0040】
前記(b1)共役ジエン系単量体は、前記第2単量体混合物100重量部を基準として、10~96重量部、10~70重量部、または10~60重量部の量で含まれてもよい。共役ジエン系単量体の含量が上記の範囲を満たす場合、シリコン系負極活物質に対する優れた接着力を維持することができる。
【0041】
次に、前記(b2)芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、およびビニルトルエンからなる群から選択される1種以上が単独でまたは混合して使用できるが、これに限定されるものではない。
【0042】
前記(b2)芳香族ビニル系単量体は、前記第2単量体混合物100重量部を基準として、1~80重量部、10~70重量部、または30~70重量部の量で含まれてもよい。(b2)芳香族ビニル系単量体の含量が上記の範囲を満たす場合、強度および電解液親和性に優れるという利点がある。
【0043】
次に、前記(b3)不飽和カルボン酸系単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、無水マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸からなる群から選択される1種以上が単独でまたは混合して使用できるが、これに限定されるものではない。
【0044】
前記(b3)不飽和カルボン酸系単量体は、前記第2単量体混合物100重量部を基準として、1~20重量部、1~10重量部、または1~5重量部の量で含まれてもよい。(b3)不飽和カルボン酸系単量体の含量が上記の範囲を満たす場合、負極スラリー組成物に投入された際に、優れた分散性を確保することができる。
【0045】
一方、前記第2単量体混合物は、前記(b1)~(b3)成分以外に、共単量体をさらに含んでもよい。
【0046】
前記共単量体としては、ビニルシアン系単量体、(メタ)アクリレート系単量体、および(メタ)アクリルアミド系単量体からなる群から選択される1種以上が用いられてもよい。
【0047】
前記ビニルシアン系単量体の具体的な例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびシアン官能基を有する単量体などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0048】
前記(メタ)アクリレート系単量体の具体的な例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、n-エチルヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、およびヒドロキシプロピルメタクリレートなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0049】
前記(メタ)アクリルアミド系単量体の具体的な例としては、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミドなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0050】
前記粒子状ポリマー(B)は、上記のような単量体成分を含む単量体混合物に重合して製造することができる。
【0051】
この際、前記重合は、当該技術分野において公知されている通常の重合方法、例えば、溶液重合、乳化重合などの方法により行われることができ、重合温度および重合時間は、重合方法、重合開始剤の種類などによって適宜決定することができる。例えば、重合温度は50℃~200℃であってもよく、重合時間は1~20時間であってもよい。
【0052】
また、前記重合時に、必要に応じて、重合開始剤、乳化剤、活性化剤、架橋剤、分子量調節剤などがさらに添加されてもよい。
【0053】
前記重合開始剤としては、無機または有機過酸化物が使用可能であり、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどを含む水溶性開始剤や、クメンヒドロペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどを含む油溶性開始剤が使用できる。
【0054】
前記乳化剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、混合脂肪酸のナトリウムまたはカリウム塩などで代表される脂肪酸塩系や、サルフェート、スルホネート、ホスフェート、およびスルホサクシネートなどの一般的なアニオン性乳化剤などが使用できる。
【0055】
また、前記重合開始剤とともに、過酸化物の開始反応を促進させるために活性化剤をさらに含んでもよく、前記活性化剤は、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、ナトリウムエチレンジアミンテトラアセテート、硫酸第一鉄、およびデキストロースからなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0056】
前記架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート、アリールメタクリレート(AMA)などが用いられ、グラフト剤としては、アリールメタクリレート(AMA)、トリアリールイソシアヌレート(TAIC)、トリアリールアミン(TAA)、ジアリールアミン(DAA)などが使用できる。
【0057】
前記分子量調節剤としては、例えば、メルカプタン類またはテルビノレン、ジペンテン、t-テルピエンなどのテルペン類や、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などが使用できる。
【0058】
一方、本発明の負極用バインダー組成物は、前記ポリマー(A)と粒子状ポリマー(B)を50:50~95:5、好ましくは50:50~90:10、より好ましくは60:40~90:10の重量比で含んでもよい。ポリマー(A)と粒子状ポリマー(B)の重量比が上記の範囲を満たす場合、優れた接着力および寿命特性を得ることができる。ポリマー(A)の割合が50%未満である場合には、シリコン系活物質との接着力に劣るため、充放電が進むにつれて特性が急激に退化する恐れがあり、ポリマー(B)の割合が5%未満である場合には、電極の柔軟性の低下により電池の製造工程でクラックや破断が発生する恐れがある。
【0059】
本発明に係るバインダー組成物は、ポリマー(A)と粒子状ポリマー(B)を混合して用いることで、従来の水溶性ポリマーを使用したバインダー組成物と比較して低い水分含量を有する。具体的には、前記負極用バインダー組成物を乾燥させて製造されたフィルムの水分含有量が10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。したがって、本発明に係る負極用バインダー組成物を用いて製造された負極活物質層も低い水分含量を有することになり、これにより、電極に存在する水分によって発生する副反応および/またはガスなどを最小化し、寿命特性の向上に寄与することができる。
【0060】
この際、前記水分含有量は、バインダー組成物を離型フィルム上に塗布した後、乾燥させて厚さ1mmのフィルムを製造し、製造されたフィルムを常温で相対湿度50%の条件で一週間保管した後、moisture analyzerを用いて150℃、20minの条件で測定した。
【0061】
一方、本発明のバインダー組成物は、バインダー物性の向上のために、前記成分以外に、添加剤成分をさらに含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、防腐剤などが挙げられる。特に、電池の作動過程で、軟化、ゲル化などによってラテックス粒子が劣化することを防止するために、酸化防止剤が好ましく使用できる。
【0062】
前記添加剤は、バインダー組成物の物性を阻害しない範囲で適切な含量で含まれ、例えば、バインダー組成物100重量部に対して、0.5重量部以下、好ましくは0.01~0.2重量部で含まれてもよい。
【0063】
負極
次に、本発明に係る負極について説明する。
【0064】
本発明に係る負極は、シリコン系負極活物質およびバインダー組成物を含む負極活物質層を含む。
【0065】
本発明に係る負極は、上述の本発明に係るバインダー組成物を用いる点を除き、当該技術分野で用いられる通常の負極の製造方法により製造することができる。
【0066】
例えば、前記負極は、負極活物質、本発明のバインダー組成物、および溶媒を含む負極スラリー組成物を負極集電体上に塗布し、乾燥して負極活物質層を形成した後、圧延する方法、または、前記負極スラリー組成物を別の基材上に塗布し、乾燥した後、プレスまたはラミネートなどの方法により負極集電体と接合させてから圧延する方法などにより製造することができる。
【0067】
前記負極活物質はシリコン系負極活物質を含む。前記シリコン系負極活物質は、金属シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx、ここで0<x<2)、シリコン炭化物(SiC)、およびSi-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される元素であり、Siではない)からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0068】
シリコン系負極活物質は炭素系負極活物質に比べて高い容量特性を示すため、シリコン系負極活物質をさらに含む場合、より優れた容量特性を得ることができる。但し、シリコン系負極活物質は充放電時における体積変化が大きいため、充放電が繰り返されると電極から脱離され、これにより、電池特性が急激に低下し、商用化が困難であった。しかし、本発明のバインダー組成物を適用する場合、シリコン系負極活物質の脱離が効果的に抑えられ、容量特性およびサイクル特性に優れた二次電池を実現することができる。
【0069】
一方、前記負極活物質は、前記シリコン系負極活物質とともに、他の種類の負極活物質をさらに含んでもよい。前記他の種類の負極活物質としては、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素系材料;Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金、またはAl合金などの、リチウムと合金化が可能な金属系化合物;SnO2、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物のように、リチウムをドープおよび脱ドープできる金属酸化物;またはSn-C複合体のように、前記金属化合物と炭素系材料を含む複合物などが使用可能であり、中でも、炭素系材料が特に好ましい。
【0070】
具体的には、前記負極活物質は、シリコン系負極活物質と炭素系負極活物質の混合物であってもよい。
【0071】
前記シリコン系負極活物質と他の種類の負極活物質を合わせた負極活物質の総量は、負極スラリー組成物中の全固形分の含量を基準として、70~99重量%、好ましくは80~98重量%であってもよい。負極活物質の含量が上記の範囲を満たす場合、優れた容量特性を実現することができる。
【0072】
一方、前記シリコン系負極活物質は、全負極活物質中に5重量%以上、好ましくは5~30重量%、より好ましくは5~15重量%で含まれてもよい。全負極活物質中におけるシリコン系負極活物質の含量が上記の範囲を満たす場合、容量特性およびサイクル特性が両方とも優れた二次電池を実現することができる。
【0073】
前記バインダー組成物は、上述の本発明に係るバインダー組成物と同様である。前記バインダー組成物は、負極スラリー組成物中の全固形分の含量を基準として、5重量%以下で含まれてもよく、好ましくは1~3重量%で含まれてもよい。バインダーの含量が上記の範囲を満たす場合、電極の抵抗増加を最小化するとともに、優れた電極接着力を実現することができる。
【0074】
一方、前記負極スラリー組成物は、粘度調節などのために、必要に応じて、溶媒をさらに含んでもよい。この際、前記溶媒は、水、有機溶媒、またはこれらの混合物であってもよい。前記有機溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)などのアミド系極性有機溶媒;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、1-ブタノール(n-ブタノール)、2-メチル-1-プロパノール(イソブタノール)、2-ブタノール(sec-ブタノール)、1-メチル-2-プロパノール(tert-ブタノール)、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、またはオクタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、またはヘキシレングリコールなどのグリコール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、またはソルビトールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、またはテトラエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、またはシクロペンタノンなどのケトン類;酢酸エチル、γ-ブチルラクトン、およびε-プロピオラクトンなどのエステル類などが挙げられ、これらのうち何れか1つまたは2つ以上の混合物が使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0075】
前記溶媒は、前記負極スラリー組成物中の固形分の含量が40~70重量%、好ましくは45~70重量%となるようにする含量で含まれてもよい。負極スラリーの固形分の含量が40重量%未満である場合には、電極ローディング量が減少し、工程コストが増加する恐れがあり、バインダーのマイグレーションが起こって電極接着力に劣り、コーティング不良が発生し得る。一方、負極スラリーの固形分の含量が85重量%を超える場合には、負極スラリー組成物の粘度が過度に高くなって工程性に劣り、コーティング不良が発生し得る。
【0076】
また、前記負極スラリー組成物は、必要に応じて、導電材をさらに含んでもよい。
【0077】
前記導電材としては、該電池に化学的変化を誘発することなく、且つ導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが用いられてもよい。
【0078】
前記導電材は、負極スラリー組成物中の全固形分の含量を基準として、10重量%以下で含まれてもよく、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%で含まれてもよい。
【0079】
また、前記負極スラリー組成物は、必要に応じて、粘度調節剤、充填剤などのような添加剤をさらに含んでもよい。
【0080】
前記粘度調節剤は、カルボキシメチルセルロースまたはポリアクリル酸などであってもよく、これを添加することで、前記負極スラリーの製造と前記負極集電体上の塗布工程が容易になるように、負極スラリーの粘度を調節することができる。
【0081】
前記充填剤は、電極の膨張を抑える成分として選択的に用いられ、該電池に化学的変化を誘発することなく、且つ繊維状材料であれば特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合剤;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用できる。
【0082】
一方、前記負極集電体としては、電池に化学的変化を誘発することなく、且つ導電性を有する素材であれば特に制限されず、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、これらの合金、これらの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理を施したもの、または焼成炭素などが使用できる。
【0083】
前記負極集電体は、通常、3μm~500μmの厚さを有することができ、集電体の表面に微細な凹凸を形成することで、負極活物質の結合力を強化させてもよい。また、前記負極集電体は、例えば、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で用いられてもよい。
【0084】
リチウム二次電池
次に、本発明に係る二次電池について説明する。
【0085】
本発明に係る二次電池は、上述の本発明の負極を含む。具体的には、本発明に係る二次電池は、正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在されるセパレータと、電解質と、を含み、この際、負極は上述の本発明の負極である。負極については上述したため、具体的な説明は省略し、以下ではそれ以外の構成要素についてのみ説明する。
【0086】
前記正極は、当該技術分野において一般に用いられるものであればよく、特に制限されない。例えば、前記正極は、正極スラリー組成物を塗布し、乾燥させて正極活物質層を形成することで製造することができる。具体的には、前記正極活物質層は、正極集電体上に正極スラリー組成物を塗布した後、乾燥する方法、または正極スラリー組成物を別の支持体上に塗布した後、この支持体から剥離して得たフィルムを正極集電体上にラミネートする方法により形成することができる。必要に応じて、上記のような方法により正極活物質層を形成した後、圧延する工程をさらに行うことができる。この際、乾燥および圧延は、最終的に製造しようとする電極の物性を考慮した上で適切な条件の下に行うことができ、特に限定されない。
【0087】
前記正極集電体としては、化学的変化を誘発することなく、且つ導電性を有する素材であれば特に制限されず、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、これらの合金、これらの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理を施したもの、または焼成炭素などが使用できる。
【0088】
前記正極集電体は、通常、3μm~500μmの厚さを有することができ、集電体の表面に微細な凹凸を形成することで、正極活物質の結合力を強化させてもよい。また、前記正極集電体は、例えば、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で用いられてもよい。
【0089】
一方、前記正極スラリー組成物は、正極活物質、バインダー、および溶媒を含み、必要に応じて、導電材、添加剤などをさらに含んでもよい。
【0090】
前記正極活物質としては、当該技術分野において公知されている正極活物質が制限されずに使用可能であり、例えば、リチウムコバルト系酸化物、リチウムニッケル系酸化物、リチウムマンガン系酸化物、リチウム鉄リン酸化物、リチウムニッケルマンガンコバルト系酸化物、またはこれらの組み合わせなどが使用できる。具体的には、前記正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiCoPO4、LiFePO4、およびLiNiaMnbCocO2(ここで、0<a、b、c<1)などが使用できるが、これに限定されるものではない。
【0091】
前記バインダーは、活物質同士または活物質と集電体との接着力を確保するためのものであって、当該技術分野において用いられる一般的なバインダーが使用可能であり、その種類が特に限定されるものではない。前記バインダーとしては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの種々の共重合体などが挙げられ、これらのうち1種が単独で、または2種以上の混合物が使用できる。
【0092】
前記バインダーは、正極スラリー組成物中の全固形分の含量を基準として、5重量%以下で含まれてもよく、好ましくは1~3重量%で含まれてもよい。バインダーの含量が上記の範囲を満たす場合、電極の抵抗増加を最小化するとともに、優れた電極接着力を実現することができる。
【0093】
前記溶媒は、正極スラリー組成物中の各成分を混合し、粘度を調節するためのものであって、例えば、水、有機溶媒、またはこれらの混合物などが用いられてもよい。前記有機溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)などのアミド系極性有機溶媒;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、1-ブタノール(n-ブタノール)、2-メチル-1-プロパノール(イソブタノール)、2-ブタノール(sec-ブタノール)、1-メチル-2-プロパノール(tert-ブタノール)、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、またはオクタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、またはヘキシレングリコールなどのグリコール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、またはソルビトールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、またはテトラエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、またはシクロペンタノンなどのケトン類;酢酸エチル、γ-ブチルラクトン、およびε-プロピオラクトンなどのエステル類などが挙げられ、これらのうち何れか1つまたは2つ以上の混合物が使用できるが、これに限定されるものではない。
【0094】
前記溶媒は、前記正極スラリー組成物中の固形分の含量が60~85重量%、好ましくは65~80重量%となるようにする含量で含まれてもよい。正極スラリー組成物の固形分の含量が60重量%未満である場合には、電極ローディング量が減少し、工程コストが増加する恐れがあり、バインダーのマイグレーションが起こって電極接着力に劣り、コーティング不良が発生し得る。一方、正極スラリーの固形分の含量が85重量%を超える場合には、正極スラリー組成物の粘度が過度に高くなって工程性に劣り、コーティング不良が発生し得る。
【0095】
前記導電材は、導電性をさらに向上させるための成分であって、当該技術分野において公知されている二次電池用導電材、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが制限されずに使用できる。
【0096】
前記導電材は、正極スラリー組成物中の全固形分の含量を基準として、10重量%以下で含まれてもよく、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.1~5重量%で含まれてもよい。
【0097】
一方、前記正極集電体としては、電池に化学的変化を誘発することなく、且つ導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレス鋼の表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理を施したものなどが用いられてもよい。また、前記正極集電体は、通常、3~500μmの厚さを有することができ、前記集電体の表面上に微細な凹凸を形成することで、正極材の接着力を高めてもよい。例えば、フィルム、シート、箔、網、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で用いられてもよい。
【0098】
次に、前記セパレータは、負極と正極を分離し、且つリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、二次電池でセパレータとして通常用いられるものであれば特に制限されずに使用可能である。具体的には、前記セパレータとして、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、およびエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルム、またはこれらの2層以上の積層構造体が使用可能である。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が用いられてもよい。また、耐熱性または機械的強度を確保するために、セラミック成分または高分子物質が含まれたまたはコーティングされたセパレータが用いられてもよく、選択的に、単層または多層構造として用いられてもよい。
【0099】
次に、前記電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル状高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0100】
具体的に、前記電解質は、非水系有機溶媒とリチウム塩を含んでもよい。
【0101】
前記非水系有機溶媒としては、当該技術分野で用いられる非水系有機溶媒、例えば、環状カーボネート系溶媒、直鎖状カーボネート系溶媒、直鎖状エステル系溶媒、環状エステル系溶媒、またはこれらの組み合わせなどが用いられてもよく、その種類が特に制限されない。
【0102】
前記環状カーボネート系溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、およびビニレンカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つ以上であってもよい。
【0103】
前記直鎖状カーボネート系有機溶媒は、例えば、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate、DEC)、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、およびエチルプロピルカーボネートからなる群から選択される少なくとも1つ以上であってもよい。
【0104】
前記直鎖状エステル系有機溶媒は、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、およびブチルプロピオネートからなる群から選択される少なくとも1つ以上であってもよい。
【0105】
前記環状エステル系有機溶媒は、例えば、ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、ε-バレロラクトン、およびε-カプロラクトンからなる群から選択される少なくとも1つ以上であってもよい。
【0106】
前記リチウム塩としては、リチウム二次電池用電解質に通常用いられる種々のリチウム塩が制限されずに使用可能である。例えば、前記リチウム塩は、カチオンとしてLi+を含み、アニオンとして、F-、Cl-、Br-、I-、NO3
-、N(CN)2
-、BF4
-、ClO4
-、AlO4
-、AlCl4
-、PF6
-、SbF6
-、AsF6
-、B10Cl10
-、BF2C2O4
-、BC4O8
-、PF4C2O4
-、PF2C4O8
-、(CF3)2PF4
-、(CF3)3PF3
-、(CF3)4PF2
-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3
-、C4F9SO3
-、CF3CF2SO3
-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、CH3SO3
-、CF3(CF2)7SO3
-、CF3CO2
-、CH3CO2
-、SCN-、および(CF3CF2SO2)2N-からなる群から選択される少なくとも何れか1つを含むものであってもよい。
【0107】
具体的に、前記リチウム塩は、LiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiAlO4、LiAlCl4、LiPF6、LiSbF6、LiAsF6、LiB10Cl10、LiBOB(LiB(C2O4)2)、LiCF3SO3、LiTFSI(LiN(SO2CF3)2)、LiFSI(LiN(SO2F)2)、LiCH3SO3、LiCF3CO2、LiCH3CO2、およびLiBETI(LiN(SO2CF2CF3)2からなる群から選択される少なくとも何れか1つ以上であってもよい。
【0108】
前記電解質には、前記電解質の構成成分以外にも、電池の寿命特性の向上、電池の容量減少の抑制、電池の放電容量の向上などを目的として、添加剤をさらに含んでもよい。
【0109】
前記添加剤の例としては、環状カーボネート系化合物、ハロゲン置換されたカーボネート系化合物、スルトン系化合物、サルフェート系化合物、ホスフェート系化合物、ボレート系化合物、ニトリル系化合物、ベンゼン系化合物、アミン系化合物、シラン系化合物、およびリチウム塩系化合物からなる群から選択される少なくとも1つ以上が挙げられる。
【0110】
前記環状カーボネート系化合物は、例えば、ビニレンカーボネート(VC)またはビニルエチレンカーボネートなどであってもよい。
【0111】
前記ハロゲン置換されたカーボネート系化合物は、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などであってもよい。
【0112】
前記スルトン系化合物は、例えば、1,3-プロパンスルトン(PS)、1,4-ブタンスルトン、エテンスルトン、1,3-プロペンスルトン(PRS)、1,4-ブテンスルトン、および1-メチル-1,3-プロペンスルトンからなる群から選択される少なくとも1つ以上の化合物であってもよい。
【0113】
前記サルフェート系化合物は、例えば、エチレンサルフェート(Ethylene Sulfate;Esa)、トリメチレンサルフェート(Trimethylene sulfate;TMS)、またはメチルトリメチレンサルフェート(Methyl trimethylene sulfate;MTMS)などであってもよい。
【0114】
前記ホスフェート系化合物は、例えば、リチウムジフルオロ(ビスオキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロホスフェート、テトラメチルトリメチルシリルホスフェート、トリメチルシリルホスファイト、トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスフェート、およびトリス(トリフルオロエチル)ホスファイトからなる群から選択される1種以上の化合物であってもよい。
【0115】
前記ボレート系化合物は、例えば、テトラフェニルボレート、リチウムオキサリルジフルオロボレートなどであってもよい。
【0116】
前記ニトリル系化合物は、例えば、スクシノニトリル、アジポニトリル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、カプリロニトリル、ヘプタンニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、2-フルオロベンゾニトリル、4-フルオロベンゾニトリル、ジフルオロベンゾニトリル、トリフルオロベンゾニトリル、フェニルアセトニトリル、2-フルオロフェニルアセトニトリル、および4-フルオロフェニルアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも1つ以上の化合物であってもよい。
【0117】
前記ベンゼン系化合物は、例えば、フルオロベンゼンなどであってもよく、前記アミン系化合物は、トリエタノールアミンまたはエチレンジアミンなどであってもよく、前記シラン系化合物は、テトラビニルシランなどであってもよい。
【0118】
前記リチウム塩系化合物は、前記非水電解液に含まれるリチウム塩と異なる化合物であって、LiPO2F2、LiODFB、LiBOB(リチウムビスオキサレートボレート(LiB(C2O4)2)、およびLiBF4からなる群から選択される1種以上の化合物であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0119】
以下、具体的な実施例により本発明を詳細に説明する。
【0120】
製造例1
反応器に、水800g、アクリルアミド80g、アクリル酸18g、メチルメタクリレート2g、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5gを投入した後、80℃で6時間重合してポリマー(A-1)を製造した。
【0121】
製造例2
反応器に、水150g、ブタジエン50g、スチレン46g、アクリル酸4g、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1gを投入した後、75℃で6時間重合して平均粒径が200nmの粒子状ポリマー(B)を製造した。
【0122】
製造例3
反応器に、水800g、アクリルアミド55g、アクリル酸35g、アクリロニトリル10g、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5gを投入した後、80℃で6時間重合してポリマー(A-2)を製造した。
【0123】
製造例4
反応器に、水800g、アクリルアミド100g、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5gを投入した後、80℃で6時間重合してポリマー(C-1)を製造した。
【0124】
製造例5
反応器に、水800g、アクリルアミド50g、アクリル酸30g、メチルメタクリレート20g、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5gを投入した後、80℃で6時間重合してポリマー(A-3)を製造した。
【0125】
製造例6
反応器に、水800g、アクリルアミド55g、アクリル酸15g、メチルメタクリレート30g、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5gを投入した後、80℃で6時間重合してポリマー(C-2)を製造した。
【0126】
製造例7
反応器に、水800g、アクリルアミド40g、アクリル酸55g、メチルメタクリレート5g、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5gを投入した後、80℃で6時間重合してポリマー(C-3)を製造した。
【0127】
実施例1
製造例1で製造されたポリマー(A-1)と、製造例2で製造された粒子状ポリマー(B)を4:1の重量比で混合して負極用バインダー組成物を製造した。
【0128】
実施例2
製造例1で製造されたポリマー(A-1)と、製造例2で製造された粒子状ポリマー(B)を2:1の重量比で混合して負極用バインダー組成物を製造した。
【0129】
実施例3
製造例1で製造されたポリマー(A-1)と、製造例2で製造された粒子状ポリマー(B)を10:1の重量比で混合して負極用バインダー組成物を製造した。
【0130】
実施例4
製造例1で製造されたポリマー(A-1)と、製造例2で製造された粒子状ポリマー(B)を15:1の重量比で混合して負極用バインダー組成物を製造した。
【0131】
実施例5
製造例3で製造されたポリマー(A-2)と、製造例2で製造された粒子状ポリマー(B)を2:1の重量比で混合して負極用バインダー組成物を製造した。
【0132】
実施例6
製造例5で製造されたポリマー(A-3)と、製造例2で製造された粒子状ポリマー(B)を4:1の重量比で混合して負極用バインダー組成物を製造した。
【0133】
比較例1
製造例1で製造されたポリマー(A-1)を単独で負極用バインダー組成物として使用した。
【0134】
比較例2
製造例3で製造されたポリマー(A-2)を単独で負極用バインダー組成物として使用した。
【0135】
比較例3
製造例4で製造されたポリマー(C-1)を単独で負極用バインダー組成物として使用した。
【0136】
比較例4
カルボキシメチルセルロース(CMC)と、製造例2で製造された粒子状ポリマー(B)を2:1の重量比で混合して負極用バインダー組成物を製造した。
【0137】
比較例5
製造例6で製造されたポリマー(C-2)と、製造例2で製造された粒子状ポリマー(B)を4:1の重量比で混合して負極用バインダー組成物を製造した。
【0138】
比較例6
製造例7で製造されたポリマー(C-3)と、製造例2で製造された粒子状ポリマー(B)を4:1の重量比で混合して負極用バインダー組成物を製造した。
【0139】
比較例7
製造例1で製造されたポリマー(A-1)と、製造例2で製造された粒子状ポリマー(B)を1:2の重量比で混合して負極用バインダー組成物を製造した。
【0140】
実験例1-水分含有量の測定
実施例1~6および比較例1~7の負極用バインダー組成物をそれぞれ離型フィルム上に塗布した後、乾燥させて厚さ1mmのフィルムを製造した。上記のように製造されたフィルムを、常温で相対湿度50%の条件で一週間保管した後、moisture analyzerにて150℃に20分間加熱した後、初期重量に対する減少された重量を測定し、水分含有量を測定した。測定結果は下記表1に示した。
【0141】
実験例2-柔軟性の測定
実施例1~6および比較例1~7で製造されたそれぞれの負極用バインダー組成物と、人造黒鉛と、シリコンオキサイドと、アセチレンブラックとを3:81.6:14.4:1の重量比で混合し、蒸留水に添加して負極スラリー組成物を製造した。
【0142】
その後、上記のように製造されたそれぞれの負極スラリー組成物を銅集電体上に塗布した後、乾燥し、圧延して負極を製造した。
【0143】
上記のように製造されたそれぞれの負極を直径3mmの長い棒にベンディング(bending)し、負極活物質層のクラックおよび破断の発生有無を観察して柔軟性を評価した。
【0144】
<評価基準>
○:クラックおよび破断が観察されない。
X:クラックまたは破断が観察される。
【0145】
実験例3-サイクル特性の測定
(負極の製造)
実施例1~6および比較例1~7で製造されたそれぞれの負極用バインダー組成物と、人造黒鉛と、シリコンオキサイドと、アセチレンブラックとを3:81.6:14.4:1の重量比で混合し、蒸留水に添加して負極スラリー組成物を製造した。
【0146】
その後、上記のように製造されたそれぞれの負極スラリー組成物を銅集電体上に塗布した後、乾燥し、圧延して負極を製造した。
【0147】
(二次電池の製造)
上記のように製造された負極とリチウム金属電極との間にポリエチレンセパレータを介在させ、非水電解質を注入してコイン型二次電池を製造した。この際、前記非水電解質としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを3:7の体積比で混合した混合溶媒に、LiPF6電解質を1Mの濃度で溶解させたものを使用した。
【0148】
上記のように製造されたそれぞれの二次電池に対して、25℃で、充放電電流密度を0.1Cとし、充電終止電圧を1.5V(Li/Li+)、放電終止電圧を5mV(Li/Li+)として充放電を2回行った。その後、充放電電流密度を0.2Cとし、充電終止電圧を1.5V(Li/Li+)、放電終止電圧を5mV(Li/Li+)として充放電を30回行い、容量維持率を測定した。放電は何れも定電流/定電圧条件で行い、定電圧放電の終止電流は0.005Cとした。
【0149】
この際、容量維持率は下記式(1)により計算し、測定結果は下記表1に記載した。
【0150】
式(1):容量維持率(%)=(32サイクル後の放電容量/3サイクル後の放電容量)×100
【0151】
【0152】
前記表1から、実施例1~6で製造されたバインダー組成物を用いて製造された電極および二次電池は、比較例1~7で製造されたバインダー組成物を用いて製造された電極および二次電池と比べて、優れた電極柔軟性および容量維持率を有することが確認できる。
【0153】
また、ポリマー(A)と粒子状ポリマー(B)を混合して使用した実施例1~6のバインダー組成物は、水分含有量が8重量%以下であって、低い水分含有量を有することが確認できる。