(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240311BHJP
B24B 1/04 20060101ALI20240311BHJP
B24B 55/08 20060101ALI20240311BHJP
B24B 9/00 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H01L21/304 621E
B24B1/04 D
B24B55/08 B
B24B9/00 601G
(21)【出願番号】P 2020110491
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】山野邊 北斗
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-524231(JP,A)
【文献】特開2009-154285(JP,A)
【文献】特開2017-011083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B24B 1/04
B24B 55/08
B24B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持して回転させる回転保持機構と、
研磨具を前記基板の周縁部に押し付けて、前記基板の周縁部を研磨する研磨ヘッドと、
前記基板
の研磨後において、洗浄液を
前記研磨ヘッドの真上から前記研磨ヘッドに供給して、前記研磨ヘッドを洗浄する
、前記研磨ヘッドの上方に配置されたヘッド洗浄装置と、
前記研磨ヘッドを傾斜させるチルト機構と、
前記ヘッド洗浄装置が前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドに付着した洗浄液を吸引して、前記洗浄液を除去する吸引装置と、を備えて
おり、
前記ヘッド洗浄装置は、前記研磨ヘッドに対向し、かつ前記研磨ヘッドの上方で鉛直下向きに配置された洗浄ノズルを有しており、
前記ヘッド洗浄装置は、前記チルト機構により、前記研磨ヘッドが前記基板の下方に配置されたときに、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給し、
前記吸引装置は、
前記研磨ヘッドのヘッドカバーに接続された吸引ラインと、
前記吸引ラインを開閉する開閉弁と、を備えており、
前記ヘッドカバーの表面には、複数の溝が形成されており、前記複数の溝のそれぞれには、複数の吸引孔が形成されており、
前記吸引ラインは、前記複数の吸引孔のそれぞれに接続されている、基板処理装置。
【請求項2】
前記チルト機構は、前記ヘッド洗浄装置が前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドの傾斜角度を連続的に変化させて、前記洗浄液を除去する、請求項
1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ヘッド洗浄装置は、1枚の基板が研磨される毎に、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給する、請求項1
または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記洗浄液は、純水、導電性水、および界面活性剤溶液のうちのいずれかである、請求項1~請求項
3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板処理装置は、前記研磨ヘッドを振動させる振動装置を備えており、
前記振動装置は、前記ヘッド洗浄装置が前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドを振動させて、前記洗浄液を除去する、請求項1~請求項
4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板処理装置は、前記研磨ヘッドに加圧気体を噴射する気体噴射装置を備えており、
前記気体噴射装置は、前記ヘッド洗浄装置が前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、加圧気体を前記研磨ヘッドに噴射して、前記洗浄液を除去する、請求項1~請求項
5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板処理装置は、前記研磨ヘッドを円運動させる円運動機構を備えており、
前記円運動機構は、前記ヘッド洗浄装置が前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドを円運動させて、前記洗浄液を除去する、請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
基板を保持した状態で前記基板を回転させる基板回転工程と、
研磨具を前記基板の周縁部に押し付けて、前記基板の周縁部を研磨する研磨工程と、
前記基板
の研磨後において、洗浄液を
研磨ヘッドの真上から前記研磨ヘッドに供給して、前記研磨ヘッドを洗浄するヘッド洗浄工程と、
前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドの傾斜角度を連続的に変化させて、前記洗浄液を除去する、チルト工程と、
前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドに付着した洗浄液を吸引して、前記洗浄液を除去する、吸引工程と、を備えて
おり、
前記ヘッド洗浄工程は、前記研磨ヘッドが前記基板の下方に配置されたときに、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給する工程を含む、基板処理方法。
【請求項9】
前記ヘッド洗浄工程は、1枚の基板が研磨される毎に行われる、請求項
8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記洗浄液は、純水、導電性水、および界面活性剤溶液のうちのいずれかである、請求項
8または請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記基板処理方法は、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドを振動させて、前記洗浄液を除去する、振動工程を含む、請求項
8~請求項
10のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記基板処理方法は、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、加圧気体を前記研磨ヘッドに噴射して、前記洗浄液を除去する、噴射工程を含む、請求項
8~請求項
11のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記基板処理方法は、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドを円運動させて、前記洗浄液を除去する、円運動工程を含む、請求項
8~請求項
12のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハなどの基板を処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハの表面(デバイス面)には、半導体デバイスが形成されている。このようなウェハに研磨屑などの異物(パーティクル)が付着すると、ウェハは汚染されてしまい、結果として、半導体製造における歩留まりが低下してしまう。そこで、歩留まり向上の観点から、異物に対するウェハの表面状態の管理は重要である。
【0003】
ウェハの周縁部のみをアームで保持してウェハを搬送する方法がある。このような方法では、ウェハの周縁部に残存した不要な膜が種々の工程を経ていく間に剥離してウェハの表面に付着することがあり、結果として、歩留まりが低下してしまう。したがって、歩留まり向上の観点から、ウェハの周縁部に形成された不要な膜を除去することは重要である。そこで、基板処理装置は、ウェハの周縁部を研磨して不要な膜を除去するベベル研磨装置を備えることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-161721号公報
【文献】特開2019-216207号公報
【文献】特開2016-28845号公報
【文献】特開2017-132034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ウェハの周縁部を研磨すると、研磨屑などの異物が発生し、この異物がベベル研磨装置の研磨ヘッドに付着するおそれがある。この状態で、ウェハの周縁部の研磨を継続すると、ウェハを洗浄するための液体が研磨ヘッドに付着し、異物を含んだ液体が研磨ヘッドからウェハ上に落下するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、異物を含んだ液体が研磨ヘッドからウェハ上に落下することを確実に防止する基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、基板を保持して回転させる回転保持機構と、研磨具を前記基板の周縁部に押し付けて、前記基板の周縁部を研磨する研磨ヘッドと、前記基板の研磨中および/または研磨後において、洗浄液を前記研磨ヘッドに供給して、前記研磨ヘッドを洗浄するヘッド洗浄装置と、を備えている、基板処理装置が提供される。
【0008】
一態様では、前記基板処理装置は、前記研磨ヘッドを傾斜させるチルト機構を備えており、前記ヘッド洗浄装置は、前記チルト機構により、前記研磨ヘッドが前記基板の下方に配置されたときに、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給する。
一態様では、前記基板処理装置は、前記研磨ヘッドを傾斜させるチルト機構を備えており、前記チルト機構は、前記ヘッド洗浄装置が前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドの傾斜角度を連続的に変化させて、前記洗浄液を除去する。
一態様では、前記ヘッド洗浄装置は、1枚の基板が研磨される毎に、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給する。
【0009】
一態様では、前記ヘッド洗浄装置は、前記研磨ヘッドの上方に配置されており、前記研磨ヘッドの真上から前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給する。
一態様では、前記洗浄液は、純水、導電性水、および界面活性剤溶液のうちのいずれかである。
一態様では、前記基板処理装置は、前記研磨ヘッドを振動させる振動装置を備えており、前記振動装置は、前記ヘッド洗浄装置が前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドを振動させて、前記洗浄液を除去する。
【0010】
一態様では、前記基板処理装置は、前記研磨ヘッドに加圧気体を噴射する気体噴射装置を備えており、前記気体噴射装置は、前記ヘッド洗浄装置が前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、加圧気体を前記研磨ヘッドに噴射して、前記洗浄液を除去する。
一態様では、前記基板処理装置は、前記研磨ヘッドに付着した洗浄液を吸引する吸引装置を備えており、前記吸引装置は、前記ヘッド洗浄装置が前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドに付着した洗浄液を吸引して、前記洗浄液を除去する。
一態様では、前記基板処理装置は、前記研磨ヘッドを円運動させる円運動機構を備えており、前記円運動機構は、前記ヘッド洗浄装置が前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドを円運動させて、前記洗浄液を除去する。
【0011】
一態様では、基板を保持した状態で前記基板を回転させる基板回転工程と、研磨具を前記基板の周縁部に押し付けて、前記基板の周縁部を研磨する研磨工程と、前記基板の研磨中および/または研磨後において、洗浄液を前記研磨ヘッドに供給して、前記研磨ヘッドを洗浄するヘッド洗浄工程と、を備えている、基板処理方法が提供される。
【0012】
一態様では、前記ヘッド洗浄工程は、前記研磨ヘッドが前記基板の下方に配置されたときに、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給する工程を含む。
一態様では、前記基板処理方法は、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドの傾斜角度を連続的に変化させて、前記洗浄液を除去する、チルト工程を含む。
一態様では、前記ヘッド洗浄工程は、1枚の基板が研磨される毎に行われる。
【0013】
一態様では、前記ヘッド洗浄工程は、前記研磨ヘッドの真上から前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給する工程を含む。
一態様では、前記洗浄液は、純水、導電性水、および界面活性剤溶液のうちのいずれかである。
一態様では、前記基板処理方法は、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドを振動させて、前記洗浄液を除去する、振動工程を含む。
【0014】
一態様では、前記基板処理方法は、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、加圧気体を前記研磨ヘッドに噴射して、前記洗浄液を除去する、噴射工程を含む。
一態様では、前記基板処理方法は、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドに付着した洗浄液を吸引して、前記洗浄液を除去する、吸引工程を含む。
一態様では、前記基板処理方法は、前記洗浄液を前記研磨ヘッドに供給した後に、前記研磨ヘッドを円運動させて、前記洗浄液を除去する、円運動工程を含む。
【発明の効果】
【0015】
基板処理装置は、研磨ヘッドを洗浄するヘッド洗浄装置を備えている。したがって、ヘッド洗浄装置は、異物(異物を含む液体)の研磨ヘッドへの付着を防止し、または研磨ヘッドに付着した異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1(a)および
図1(b)は、基板の周縁部を示す拡大断面図である。
【
図2】基板処理装置の一実施形態を示す模式図である。
【
図3】
図2に示す基板処理装置を上方から見た模式図である。
【
図4】チルト機構によって研磨ヘッドおよび円運動機構を下方に傾けた状態を示す模式図である。
【
図5】チルト機構によって研磨ヘッドおよび円運動機構を上方に傾けた状態を示す模式図である。
【
図6】研磨具支持構造体を円運動させるための円運動機構の一実施形態を示す模式図である。
【
図7】研磨ヘッドを振動させる振動装置を示す図である。
【
図8】研磨ヘッドに加圧気体を噴射する気体噴射装置を示す図である。
【
図9】研磨ヘッドに付着した洗浄液を吸引する吸引装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本明細書では、基板の周縁部を、基板の最外周に位置するベベル部と、このベベル部の半径方向内側に位置するトップエッジ部およびボトムエッジ部と、結晶方位を特定するために基板の周縁部に形成されたノッチ部とを含む領域として定義する。
【0018】
図1(a)および
図1(b)は、基板の周縁部を示す拡大断面図である。より詳しくは、
図1(a)はいわゆるストレート型の基板の断面図であり、
図1(b)はいわゆるラウンド型の基板の断面図である。
図1(a)のウェハW(基板の一例)において、ベベル部は、上側傾斜部(上側ベベル部)P、下側傾斜部(下側ベベル部)Q、および側部(アペックス)Rから構成されるウェハWの最外周面(符号Bで示す)である。
図1(b)のウェハWにおいては、ベベル部は、ウェハWの最外周面を構成する、湾曲した断面を有する部分(符号Bで示す)である。トップエッジ部は、ベベル部Bよりも半径方向内側に位置する平坦部E1である。ボトムエッジ部は、トップエッジ部とは反対側に位置し、ベベル部Bよりも半径方向内側に位置する平坦部E2である。トップエッジ部E1は、デバイスが形成された領域を含むこともある。
【0019】
図2は、基板処理装置の一実施形態を示す模式図である。
図2に示す基板処理装置は、基板の周縁部であるベベル部を研磨するベベル研磨装置に好適に使用される。
図2に示すように、研磨装置は、研磨対象物であるウェハWを保持し、回転させる回転保持機構10と、回転保持機構10に保持されたウェハWのベベル部を研磨してウェハWのベベル部から異物や傷を除去する研磨ヘッド50と、を備えている。
【0020】
図2は、回転保持機構10がウェハWを保持している状態を示している。回転保持機構10は、ウェハWを真空吸着により保持する保持ステージ4と、保持ステージ4の中央部に連結されたシャフト5と、このシャフト5の下端に連結された保持ステージ駆動機構7と、を備えている。
【0021】
保持ステージ駆動機構7は、保持ステージ4を回転させ、かつ上下動させるための図示しないモータおよびエアシリンダを備えている。すなわち、保持ステージ駆動機構7は、保持ステージ4を、その軸心Crを中心に回転させ、軸心Crに沿って上下方向に移動させることが可能に構成されている。
【0022】
ウェハWは、図示しない搬送機構により、ウェハWの中心O1が保持ステージ4の軸心Cr上にあるように保持ステージ4の上面に載置される。ウェハWは、その表面(デバイス面)が上向きの状態で保持ステージ4の上面に保持される。このような構成により、回転保持機構10は、ウェハWを保持ステージ4の軸心Cr(すなわちウェハWの軸心)を中心に回転させ、かつウェハWを保持ステージ4の軸心Crに沿って上昇下降させることができる。
【0023】
図2に示すように、基板処理装置は、隔壁100と、研磨テープ31を研磨ヘッド50に供給し、かつ研磨ヘッド50から回収する研磨具供給回収機構41と、ウェハWの表面に液体を供給する液体供給ノズル28と、をさらに備えている。回転保持機構10、研磨ヘッド50、液体供給ノズル28は、隔壁100の内部に配置され、研磨具供給回収機構41は隔壁100の外に配置されている。
【0024】
研磨具供給回収機構41は、研磨テープ31を研磨ヘッド50に供給する供給リール43と、ウェハWの研磨に使用された研磨テープ31を回収する回収リール44と、を備えている。供給リール43および回収リール44には図示しないテンションモータがそれぞれ連結されている。それぞれのテンションモータは、供給リール43および回収リール44に所定のトルクを与え、研磨テープ31に所定のテンションを掛けることができるようになっている。
【0025】
研磨テープ31は、研磨テープ31の研磨面がウェハWのベベル部の被研磨面を向くように研磨ヘッド50に供給される。研磨テープ31は、隔壁100に設けられた開口部(図示せず)を通して供給リール43から研磨ヘッド50へ供給され、使用された研磨テープ31は開口部を通って回収リール44に回収される。
【0026】
研磨ヘッド50は、研磨テープ31をウェハWのベベル部に対して押圧する押圧機構52を備えている。研磨テープ31は、押圧機構52の端面を通るように供給される。本実施形態では、押圧機構52は、研磨テープ31の裏面を支持する押圧パッド52aと、押圧パッド52aに連結されたエアシリンダ52bと、を備える。一実施形態では、研磨具は、研磨テープ31に代えて、砥石であってもよい。この場合、砥石は押圧機構52を構成するエアシリンダ52bに保持され、研磨具供給回収機構41および押圧パッド52aは省略することができる。
【0027】
押圧機構52は、研磨テープ31をその裏側から押圧し、研磨テープ31の研磨面をウェハWのベベル部に接触させることによってウェハWのベベル部を研磨する。研磨ヘッド50は、研磨テープ31を支持するための複数のガイドローラ53a,53b,53c,53d,53e,53fをさらに備えている。研磨具供給回収機構41は、研磨テープ31を支持するための複数のガイドローラ53g,53hをさらに備えている。研磨テープ31の進行方向は、ガイドローラ53a,53b,53c,53d,53e,53f,53g,53hによってガイドされる。特に、研磨ヘッド50の先端に配置されたガイドローラ53a,53cは、ウェハWのベベル部の被研磨面と平行な方向に研磨テープ31が進行するように研磨テープ31をガイドする。
【0028】
液体供給ノズル28は、回転保持機構10に保持されたウェハWの上方に配置されている。液体供給ノズル28は、図示しない液体供給源に接続されている。液体供給ノズル28はウェハWの中心O1を向いて配置されており、液体は液体供給ノズル28からウェハWの表面に供給される。ウェハWの表面に供給された液体は、遠心力によりウェハWの表面全体に広がり、ウェハWのベベル部上に液体の流れを形成する。ウェハWのベベル部は液体の存在下で研磨される。液体は、ウェハWの周縁部から下方に流れ落ち、これにより研磨屑をウェハWのベベル部から除去することができる。また、上述の液体は、ウェハWの研磨で生じた研磨屑などの異物を含む液体がウェハWの表面に付着することを防止する。その結果、ウェハWの表面を清浄に保つことができる。本実施形態において、上述の液体としては、純水またはアルカリ水が使用される。
【0029】
上述したように、ウェハWの周縁部を研磨すると、研磨屑などの異物が発生し、この異物が研磨ヘッド50に付着するおそれがある。この状態で、ウェハWの周縁部の研磨を継続すると、液体供給ノズル28から供給された液体が研磨ヘッド50に付着し、異物を含んだ液体が研磨ヘッド50からウェハW上に落下するおそれがある。
【0030】
そこで、以下に示す実施形態では、異物を含んだ洗浄液が研磨ヘッド50からウェハW上に落下することを確実に防止する基板処理装置について、説明する。
【0031】
図2に示すように、基板処理装置は、研磨具の一例である研磨テープ31をウェハWの周縁部に押し付けて、ウェハWの周縁部を研磨する研磨ヘッド50と、ウェハWの研磨中および/または研磨後において、洗浄液を研磨ヘッド50に供給して、研磨ヘッド50を洗浄するヘッド洗浄装置200と、を備えている。
【0032】
ヘッド洗浄装置200は、隔壁100の内部において、研磨ヘッド50の上方(より具体的には、真上)に配置されている。ヘッド洗浄装置200は、移動不可能に、または移動可能に配置されてもよい。
【0033】
ヘッド洗浄装置200は、洗浄アーム201と、研磨ヘッド50を向いて配置された洗浄ノズル202と、を備えている。洗浄アーム201は、その内部に研磨ヘッド50を洗浄するための洗浄液が通過する洗浄液ライン201aを備えている。洗浄ノズル202は、洗浄アーム201の端部に取り付けられており、洗浄液ライン201aに接続されている。
【0034】
ヘッド洗浄装置200は、洗浄液ライン201aを開閉する開閉弁205を備えており、この開閉弁205は、動作制御部180に電気的に接続されている。したがって、動作制御部180は、開閉弁205の動作を制御可能である。
【0035】
洗浄ノズル202は、洗浄液を研磨ヘッド50に噴射する広角ノズルである。より具体的には、ヘッド洗浄装置200は、洗浄ノズル202を通じて、洗浄液を円錐状に噴射して、研磨ヘッド50の全体に洗浄液を供給する。洗浄液は、研磨ヘッド50の真上から研磨ヘッド50に向かって供給される。本実施形態では、洗浄液は、純水、導電性水、および界面活性剤溶液のうちのいずれかである。
【0036】
ヘッド洗浄装置200は、ウェハWの研磨中において、洗浄液を研磨ヘッド50に供給してもよい。このような構成により、ヘッド洗浄装置200は、異物の研磨ヘッド50への付着を防ぐことができる。本実施形態では、ウェハWの研磨中に、研磨ヘッド50を洗浄することができるため、基板処理装置は、ウェハWの処理に必要な時間を延ばすことなく、ウェハWを処理しつつ、研磨ヘッド50を洗浄することができる。一実施形態では、ヘッド洗浄装置200は、1枚のウェハWが研磨される毎に洗浄液を研磨ヘッド50に供給してもよい。
【0037】
一実施形態では、ヘッド洗浄装置200は、液体供給ノズル28が液体をウェハWに供給すると同時に、洗浄液を供給してもよい。他の実施形態では、ヘッド洗浄装置200は、研磨ヘッド50がウェハWの周縁部の研磨を開始すると同時に、洗浄液を供給してもよい。
【0038】
一実施形態では、研磨ヘッド50は、その全体に疎水加工が施された表面を有してもよい。研磨ヘッド50の全体に疎水加工を施すことにより、異物を含んだ液体の付着を効果的に防止することができるため、ヘッド洗浄装置200による洗浄効果をより高めることができる。
【0039】
図3は、
図2に示す基板処理装置を上方から見た模式図である。
図3において、図面を見やすくするために、ヘッド洗浄装置200の図示は省略されている。
図3に示すように、基板処理装置は、研磨ヘッド50を回転保持機構10上のウェハWの表面に対して傾斜させるチルト機構81をさらに備えている。
【0040】
チルト機構81は、回転駆動装置82と、クランクアーム85とを備えている。回転駆動装置82は、図示しないモータ、プーリー、ベルトなどを備えている。クランクアーム85の一端は円運動機構61に連結され、その他端は回転駆動装置82に連結されている。クランクアーム85は、回転駆動装置82の回転軸線Ctを中心に回転される。回転軸線Ctは、回転保持機構10上のウェハWの接線方向に延びている。回転駆動装置82が回転軸心Ctを中心にクランクアーム85を時計回りおよび反時計回りに所定の角度だけ回転させると、クランクアーム85に連結された円運動機構61および研磨ヘッド50も回転軸線Ctを中心に時計回りおよび反時計回りに所定の角度だけ回転する。
【0041】
回転駆動装置82の回転軸線Ctの延長線上には、研磨ヘッド50に支持された研磨テープ31の研磨面が位置している。したがって、回転駆動装置82を駆動させると、研磨ヘッド50は研磨テープ31の研磨面を中心に時計回りおよび反時計回りに所定の角度だけ回転する。
【0042】
このように、回転軸線Ctを中心に研磨ヘッド50を回転させることにより、研磨ヘッド50のウェハWのベベル部に対する角度を変えることができる。回転駆動装置82には、サーボモータやステッピングモータなどの位置や速度を精密に制御できるモータが採用されており、研磨ヘッド50はプログラムされた所望の角度へ所望の速度で回転可能に構成されている。
【0043】
図4は、チルト機構81によって研磨ヘッド50および円運動機構61を下方に傾けた状態を示す模式図であり、
図5は、チルト機構81によって研磨ヘッド50および円運動機構61を上方に傾けた状態を示す模式図である。
図4では、研磨テープ31は、ウェハWのベベル部の下側領域に接触しており、
図5では、研磨テープ31は、ウェハWのベベル部の上側領域に接触している。このように、ウェハWのベベル部に沿って研磨ヘッド50の角度を変えることにより、ウェハWのベベル部の全体を研磨することができる。
【0044】
図3に示すように、研磨ヘッド50は研磨ヘッド移動機構105に連結されている。研磨ヘッド移動機構105は、チルト機構81の回転駆動装置82に固定されており、研磨ヘッド50は、チルト機構81および円運動機構61(後述する)を介して研磨ヘッド移動機構105に連結されている。研磨ヘッド移動機構105は、研磨ヘッド50をウェハWの半径方向に移動させることが可能に構成されている。研磨ヘッド移動機構105は、エアシリンダなどのリニアアクチュエータから構成することができる。研磨ヘッド移動機構105は、
図2に示す動作制御部180に電気的に接続されており、動作制御部180によって動作を制御される。
【0045】
ウェハWが回転保持機構10の保持ステージ4上に搬送されるとき、およびウェハWが回転保持機構10の保持ステージ4から取り出されるときは、研磨ヘッド移動機構105は研磨ヘッド50を保持ステージ4から離れる方向に移動させる。保持ステージ4に保持されたウェハWのベベル部が研磨されるときは、研磨ヘッド移動機構105は研磨ヘッド50をウェハWに向けて移動させる。
【0046】
本実施形態では、基板処理装置は、1組の研磨ヘッド50および研磨具供給回収機構41を備えているが、一実施形態では、2組またはそれよりも多い研磨ヘッ50および研磨具供給回収機構41を備えてもよい。ヘッド洗浄装置200の数は、研磨ヘッド50の数に対応している。
【0047】
ヘッド洗浄装置200は、チルト機構81により、研磨ヘッド50がウェハWの下方に配置されたときに、洗浄液を研磨ヘッド50に供給するように構成されてもよい(
図4参照)。このような構成により、研磨ヘッド50を洗浄した洗浄液のウェハWへの付着を確実に防止することができる。
【0048】
ヘッド洗浄装置200は、ウェハWの研磨終了後、より具体的には、ウェハWが回転保持機構10から搬送された後において、洗浄液を研磨ヘッド50に供給してもよい。このような構成により、研磨ヘッド50を洗浄した洗浄液のウェハWへの付着をより確実に防止することができる。
【0049】
チルト機構81は、ヘッド洗浄装置200が洗浄液を研磨ヘッド50に供給した後に、研磨ヘッド50の傾斜角度を連続的に変化させて、洗浄液を除去してもよい。つまり、チルト機構81は、
図4および
図5に示すように、ウェハWの周縁部を中心として、研磨ヘッド50の角度を鉛直方向に変化させることにより、チルト機構81は、研磨ヘッド50に付着した液体(例えば、洗浄液)を振り払うことができる。
【0050】
研磨ヘッド50は、研磨具支持構造体をウェハWに対して相対的に円運動させる円運動機構61をさらに備えている。本明細書において、研磨具支持構造体は、研磨具を支持し、研磨ヘッド50の少なくとも一部を構成する構造体と定義される。本実施形態では、研磨具支持構造体は研磨ヘッド50の全体である。研磨ヘッド50は、回転保持機構10にウェハWが保持されているとき、ウェハWの周縁部を向いている。
【0051】
図6は、研磨具支持構造体を円運動させるための円運動機構61の一実施形態を示す模式図である。
図6に示す円運動機構61は、モータ62と、モータ62の回転軸63に固定された偏心回転体65と、偏心回転体65に軸受67を介して連結されたテーブル69と、テーブル69を支持する複数のクランク70を備えている。
図6では1つのクランク70のみが図示されているが、少なくとも3つのクランク70が偏心回転体65の周りに配列されている。モータ62は、基台71に固定されている。
【0052】
偏心回転体65の軸心65aは、モータ62の回転軸63の軸心63aから距離eだけ離れている。よって、モータ62が作動すると、偏心回転体65は半径eの円運動を行う。クランク70は、互いに固定された第1軸体72と第2軸体73を有する。第1軸体72の軸心72aと第2軸体73の軸心73aも、同様に、距離eだけ離れている。第1軸体72は、テーブル69に保持された軸受75によって回転可能に支持されており、第2軸体73は軸受77によって回転可能に支持されている。軸受77は、基台71に固定された支持部材79に固定されている。
【0053】
上記構成によれば、モータ62が回転すると、偏心回転体65が半径eの円運動を行い、軸受67を介して偏心回転体65に連結されたテーブル69も半径eの円運動を行う。本明細書において、円運動は、対象物が円軌道上を移動する運動と定義される。
【0054】
テーブル69は、複数のクランク70によって支持されているので、テーブル69が円運動を行っているとき、テーブル69自体は回転しない。このようなテーブル69の運動は、並進回転運動とも呼ばれる。本明細書において、対象物自体は回転せずに、対象物が円軌道上を移動する運動は、並進回転運動と定義される。この並進回転運動は、円運動の1つの具体例である。本実施形態では、研磨ヘッド50は、保持部材89を介してテーブル69に固定される。よって、研磨ヘッド50は、テーブル69とともに円運動(並進回転運動)を行う。本実施形態では、円運動機構61は、研磨具支持構造体(研磨ヘッド50全体)を並進回転運動させる並進回転機構である。本実施形態の円運動(並進回転運動)は、研磨ヘッド50の向きを法線方向とする平面内での円運動(並進回転運動)である。
【0055】
円運動機構61は、ヘッド洗浄装置200が洗浄液を研磨ヘッド50に供給した後に、研磨ヘッド50を円運動させて、洗浄液を除去してもよい。このような構成により、円運動機構61は、研磨ヘッド50に付着した液体(例えば、洗浄液)を振り払うことができる。
【0056】
図7は、研磨ヘッド50を振動させる振動装置を示す図である。
図7に示すように、基板処理装置は、研磨ヘッド50を振動させる振動装置210を備えている。振動装置210は、研磨ヘッド50に取り付けられており、動作制御部180に電気的に接続されている。振動装置210は、動作制御部180の指令に従って振動し、研磨ヘッド50は、振動装置210とともに振動する。振動装置210は、ヘッド洗浄装置200が洗浄液を研磨ヘッド50に供給した後に、研磨ヘッド50を振動させて、洗浄液を除去する。
【0057】
図8は、研磨ヘッド50に加圧気体を噴射する気体噴射装置を示す図である。
図8に示すように、基板処理装置は、研磨ヘッド50に加圧気体を噴射する気体噴射装置215備えている。気体噴射装置215は、研磨ヘッド50に取り付けられた噴射アーム216と、研磨ヘッド50を向いて配置された噴射ノズル217と、を備えている。噴射ノズル217は、噴射アーム216の端部に取り付けられており、噴射ノズル217に接続された気体流路219は、開閉弁218によって開閉可能である。
【0058】
動作制御部180は、開閉弁218に電気的に接続されており、開閉弁218を開閉することができる。動作制御部180が開閉弁217を開くと、加圧気体は、噴射ノズル217を通じて、研磨ヘッド50に噴射される。気体噴射装置215は、ヘッド洗浄装置200が洗浄液を研磨ヘッド50に供給した後に、加圧気体を研磨ヘッド50に噴射して、洗浄液を除去する。
【0059】
図9は、研磨ヘッド50に付着した洗浄液を吸引する吸引装置を示す図である。
図9に示すように、基板処理装置は、研磨ヘッド50に付着した洗浄液を吸引する吸引装置220を備えている。研磨ヘッド50は、その表面に取り付けられたヘッドカバー221を備えている。吸引装置220は、研磨ヘッド50のヘッドカバー221に接続された吸引ライン222と、吸引ライン222に取り付けられ、かつ吸引ライン222を開閉する開閉弁223と、を備えている。
【0060】
ヘッドカバー221の表面には、複数の溝221aが形成されており、これら複数の溝221aのそれぞれには、複数の吸引孔221bが形成されている。吸引ライン222は、複数の吸引孔221bのそれぞれに接続されている。
【0061】
動作制御部180は、開閉弁223に電気的に接続されており、開閉弁223を開閉することができる。動作制御部180が開閉弁223を開くと、研磨ヘッド50(より具体的には、ヘッドカバー221)に付着した液体は、吸引孔221bに吸い込まれて、研磨ヘッド50から除去される。吸引装置220は、ヘッド洗浄装置200が洗浄液を研磨ヘッド50に供給した後に、研磨ヘッド50に付着した洗浄液を吸引して、洗浄液を除去する。
【0062】
基板処理装置の動作について説明する。以下に説明する基板処理装置の動作は、
図2に示す動作制御部180によって制御される。動作制御部180は、専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータから構成される。動作制御部180は、プログラムを格納した記憶装置180aと、プログラムに従って演算を実行する処理装置180bと、を備えている。
【0063】
コンピュータからなる動作制御部180は、記憶装置180aに電気的に格納されたプログラムに従って動作する。プログラムは、ウェハWを保持した状態でウェハWを回転させる基板回転工程を回転保持機構10に実行させる動作を処理装置180bに実行させ、研磨具(本実施形態では、研磨テープ31)をウェハWの周縁部に押し付けて、ウェハWの周縁部を研磨する研磨工程を研磨ヘッド50に実行させる動作を処理装置180bに実行させ、ウェハWの研磨中および/または研磨後において、洗浄液を研磨ヘッド50に供給して、研磨ヘッド50を洗浄するヘッド洗浄工程をヘッド洗浄装置200に実行させる動作を処理装置180bに実行させる指令を含んでいる。
【0064】
言い換えれば、動作制御部180は、基板回転工程を回転保持機構10に実行させるステップと、研磨工程を研磨ヘッド50に実行させるステップと、ヘッド洗浄工程をヘッド洗浄装置200に実行させるステップと、を実行する。
【0065】
これらステップを動作制御部180に実行させるためのプログラムは、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、記録媒体を介して動作制御部180に提供される。または、プログラムは、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークを介して通信装置(図示しない)から動作制御部180に入力されてもよい。記憶装置180aは、RAMなどの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。処理装置180bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。
【0066】
研磨されるウェハWは、図示しない搬送機構により、表面(デバイス面)が上向きの状態で、かつウェハWの中心O1が保持ステージ4の軸心Cr上に位置するように保持ステージ4により保持される。そしてウェハWは、保持ステージ4の軸心Cr(すなわちウェハWの軸心)を中心に回転される。次に、液体供給ノズル28からウェハWの表面に液体が供給される。ウェハWの表面に供給された液体は、遠心力によりウェハWの表面全体に広がり、ウェハWのベベル部上に液体の流れを形成する。
【0067】
研磨テープ31は、予め研磨ヘッド50に供給されている。動作制御部180は、研磨具供給回収機構41を駆動し、所定のテンションを掛けながら研磨テープ31を押圧機構52の端面と平行な方向に進行させる。
【0068】
ウェハWの表面に液体を供給しながら、かつ研磨テープ31を回転するウェハWのベベル部に接触させながら、ウェハWのベベル部を研磨する。ヘッド洗浄装置200は、ウェハWの研磨中に、洗浄液を研磨ヘッド50に供給してもよい。
【0069】
チルト機構81によって研磨ヘッド50のウェハWに対する角度を変化させながら、ウェハWの周縁部を研磨する場合、動作制御部180は、研磨ヘッド50がウェハWの下方に配置されたときに、開閉弁205を開いて、洗浄液を研磨ヘッド50に供給し、研磨ヘッド50がウェハWの上方に配置されたときに、開閉弁205を閉じてもよい。
【0070】
動作制御部180は、予め設定された時間が経過した後、回転保持機構10、研磨ヘッド50、および研磨具供給回収機構41の動作を停止させ、研磨を終了する。ヘッド洗浄装置200は、ウェハWの研磨後に、洗浄液を研磨ヘッド50に供給してもよい。動作制御部180は、洗浄液を研磨ヘッド50に供給した後に、研磨ヘッド50の傾斜角度を連続的に変化させて、洗浄液を除去するチルト工程をチルト機構81に実行させてもよい。
【0071】
動作制御部180は、洗浄液を研磨ヘッド50に供給した後に、研磨ヘッド50を振動させて、洗浄液を除去する振動工程を振動装置210に実行させてもよい。動作制御部180は、洗浄液を研磨ヘッド50に供給した後に、加圧気体を研磨ヘッド50に噴射して、洗浄液を除去する噴射工程を気体噴射装置215に実行させてもよい。動作制御部180は、洗浄液を研磨ヘッド50に供給した後に、研磨ヘッド50に付着した洗浄液を吸引して、洗浄液を除去する吸引工程を吸引装置220に実行させてもよい。動作制御部180は、洗浄液を研磨ヘッド50に供給した後に、研磨ヘッド50を円運動させて、洗浄液を除去する円運動工程を円運動機構61に実行させてもよい。
【0072】
上述した複数の実施形態は、適宜組み合わせてもよい。特に、上述した実施形態では、研磨ヘッド50に付着した洗浄液を除去するための複数の工程について説明したが、これら複数の工程は、可能な限り、組み合わされてもよい。
【0073】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0074】
4 保持ステージ
5 シャフト
7 保持ステージ駆動機構
10 回転保持機構
28 液体供給ノズル
31 研磨テープ
41 研磨具供給回収機構
43 供給リール
44 回収リール
50 研磨ヘッド
52 押圧機構
52a 押圧パッド
52b エアシリンダ
53a~53h ガイドローラ
61 円運動機構
62 モータ
63 回転軸
63a 軸心
65 偏心回転体
67 軸受
69 テーブル
70 クランク
71 基台
72 第1軸体
72a 軸心
73 第2軸体
73a 軸心
75 軸受
77 軸受
79 支持部材
81 チルト機構
82 回転駆動装置
85 クランクアーム
89 保持部材
100 隔壁
105 研磨ヘッド移動機構
180 動作制御部
180a 記憶装置
180b 処理装置
200 ヘッド洗浄装置
201 洗浄アーム
201a 洗浄液ライン
202 洗浄ノズル
205 開閉弁
210 振動装置
215 気体噴射装置
216 噴射アーム
217 噴射ノズル
218 開閉弁
219 気体流路
220 吸引装置
221 ヘッドカバー
221a 溝
221b 吸引孔
222 吸引ライン
223 開閉弁