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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】管状カソードを備えたイオン源
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/08 20060101AFI20240311BHJP
   H01J 27/08 20060101ALI20240311BHJP
   H01J 27/04 20060101ALI20240311BHJP
【FI】
H01J37/08
H01J27/08
H01J27/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021555426
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 US2020017866
(87)【国際公開番号】W WO2020190428
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】16/355,997
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クー, ボン-ウン
(72)【発明者】
【氏名】ラドバノフ, スベトラーナ
(72)【発明者】
【氏名】シンクレア, フランク
(72)【発明者】
【氏名】リ, ヨウ チア
(72)【発明者】
【氏名】エウィング, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】サラジュリク, アジュディン
(72)【発明者】
【氏名】ローランド, クリストファー エー.
(72)【発明者】
【氏名】カーボーン, ヌンツィオ
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04774437(US,A)
【文献】特開2018-147723(JP,A)
【文献】特表2011-525036(JP,A)
【文献】特開2014-216311(JP,A)
【文献】特開2007-214033(JP,A)
【文献】特表2018-535513(JP,A)
【文献】M. M. Abdelrahman, F. W. Abdelsalam,“Modified Saddle Field Ion Source Using A Ring Focusing Electrode”,Journal of Nuclear and Particle Physics,2012年,Vol. 2,p.26-30
【文献】M. M. Abdelrahman and A. G. Helal,“Developments of saddle field ion sources and their applications”,Proceedings of IX Radiation Physics & Protection Conference,2008年,p.53-58
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 27/00-27/26
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端壁および第2の端壁と、
前記第1の端壁および前記第2の端壁のうちの少なくとも一方に連結された抽出プレートであって、抽出アパーチャを含む抽出プレートと、
を備えるチャンバハウジング、ならびに
前記第1の端壁と前記第2の端壁との間に延在する管状カソード、
を備える装置。
【請求項2】
前記管状カソードが、前記抽出アパーチャと整列したカソード開口部を備え、前記カソード開口部が、プラズマを前記抽出アパーチャに向けて送達するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記管状カソードが、
フィラメントを含むカップ、
本体であって、前記カップが前記本体の第1の端部に連結されている本体、および
前記本体の第2の端部に連結されたリペラ、
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記リペラが、シャフトから延在しているリペラヘッドを備え、前記シャフトが、前記チャンバハウジングの前記第2の端壁を貫通している、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記カップが、前記チャンバハウジングの前記第1の端壁を通って延在し、前記本体が、前記カップの上に延在している、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記管状カソードが、ガスを受け入れるように動作可能なガス入口アパーチャを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ガス入口アパーチャが、カソード端壁を通って設けられている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
カソード支持体をさらに備え、前記管状カソードが、前記カソード支持体に機械的に連結されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記カソード支持体が、前記管状カソードを熱的に分離する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記チャンバハウジング内にガスディフューザをさらに備え、前記ガスディフューザが、前記管状カソードにガスを送達するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
第1の端壁および第2の端壁と、
前記第1の端壁および前記第2の端壁に連結された抽出プレートであって、抽出アパーチャを含む抽出プレートと、
を備えるチャンバハウジング、ならびに
前記第1の端壁と前記第2の端壁との間に延在する管状カソードであって、前記抽出アパーチャに近接するカソード開口部を備える管状カソード、
を備えるイオン源。
【請求項12】
前記管状カソードが、
フィラメントを含むカップであって、前記チャンバハウジングの前記第1の端壁に連結されたカップ、
本体であって、前記カップが前記本体の内部に延在する本体、および
前記本体の第2の端部に連結されたリペラ、
を備える、請求項11に記載のイオン源。
【請求項13】
前記リペラが、シャフトから延在しているリペラヘッドを備え、前記シャフトが、前記チャンバハウジングの前記第2の端壁を貫通している、請求項12に記載のイオン源。
【請求項14】
前記チャンバハウジングの外部に配置されたカソード支持体をさらに備え、前記カップが、前記カソード支持体に機械的に連結されている、請求項12に記載のイオン源。
【請求項15】
前記管状カソードが、ガスを受け入れるように動作可能なガス入口アパーチャを備える、請求項11に記載のイオン源。
【請求項16】
前記ガス入口アパーチャが、カソード端壁を通って設けられている、請求項15に記載のイオン源。
【請求項17】
前記チャンバハウジング内にガスディフューザをさらに備え、前記ガスディフューザが、前記管状カソードにガスを送達するように動作可能である、請求項11に記載のイオン源。
【請求項18】
イオン源を動作させる方法であって、
第1の端壁および第2の端壁と、
前記第1の端壁および前記第2の端壁に連結された抽出プレートであって、抽出アパーチャを含む抽出プレートと、
を備えるチャンバハウジングを用意することと、
前記第1の端壁と前記第2の端壁との間に延在する管状カソードであって、前記抽出アパーチャに近接するカソード開口部を備える管状カソードを用意することと、
前記管状カソードの内部にプラズマを生成することと、
を含む方法。
【請求項19】
前記管状カソードのガス入口アパーチャを通してガスを受け取ることを、さらに含み、前記ガス入口アパーチャが、本体の壁およびカソード端壁のうちの少なくとも一方を通って設けられている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記管状カソードをカソード支持体に機械的に連結することを、さらに含み、前記カソード支持体が、前記チャンバハウジングの外部に配置されている、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、イオン源に関し、より具体的には、管状カソードを有するイオン源に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]イオン注入は、衝撃によってドーパントまたは不純物を基板に導入するプロセスである。半導体製造では、電気的、光学的、または機械的特性を変えるために、ドーパントが導入される。例えば、ドーパントを真性半導体基板に導入して、基板の導電性のタイプおよびレベルを変えることができる。集積回路(IC)の製造では、正確なドーピングプロファイルによって、多くの場合、ICの性能が向上する。特定のドーピングプロファイルを達成するために、1種以上のドーパントを、様々なドーズ量および様々なエネルギーレベルのイオンの形態で注入することができる。
【0003】
[0003]イオン注入装置のビームラインコンポーネントは、ソースチャンバからイオンを抽出するように構成された一連の電極、所望の質量電荷比を有するイオンだけが通過することができる、特定の磁場を有するように構成された質量分析器、およびイオンをターゲット基板に注入するためにプラテンに向けられたリボンビームを提供するように構成された補正磁石を含み得る。イオンは、基板内の原子核や電子と衝突するとエネルギーを失い、加速エネルギーに基づいて基板内の目的の深さで停止する。基板への注入の深さは、ソースチャンバで生成されたイオンのイオンエネルギーと質量の関数である。いくつかのアプローチでは、ヒ素またはリンをドープして基板内にn型領域を形成することができ、ホウ素、ガリウム、またはインジウムをドープして基板内にp型領域を生成することができる。
【0004】
[0004]供給ガスをイオン化するために、様々なタイプのイオン源(ソース)を使用することができる。そのような源(ソース)は、意図されるプラズマのタイプ、ならびにターゲット基板への注入のための関連するイオンビームプロファイルに基づいて選択することができる。イオン源の1つのタイプは、間接加熱カソード(IHC)を利用してソースチャンバ内の供給ガスをイオン化するホットカソードイオン源である。IHCイオン源は、半導体基板の電子特性の制御のための半導体基板への注入に使用されるドーパントイオン(例えば、11)を含む様々なイオン種を生成することができる。高いドーピング電流では、例えば、11種を生成する際のIHCイオン源の効率は、多くの場合、抽出された全電流の35%以下である。最小量の10B含有量の同位体濃縮された開始BFガスが使用される場合でも、IHCの効率は、多くの場合、依然として40%を超えない。
【0005】
[0005]本改良が必要とされているのは、これらおよび他の考慮事項に関してである。
【発明の概要】
【0006】
[0006]発明の概要は、選択されたコンセプトを簡略化された形式で紹介するために提供されており、これらのコンセプトについては、以下の詳細な説明で詳しく説明する。発明の概要は、請求された主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、請求された主題の範囲を決定するのを助けることも意図していない。
【0007】
[0007]本開示による例示的なイオン源は、第1の端壁および第2の端壁、ならびに第1の端壁および第2の端壁の少なくとも1つに連結された抽出プレートであって、抽出アパーチャを含む抽出プレートを有するチャンバハウジングを含み得る。イオン源は、第1の端壁と第2の端壁との間に延在する管状カソードをさらに含み得る。
【0008】
[0008]本開示による例示的な装置は、第1の端壁および第2の端壁、ならびに第1の端壁および第2の端壁に連結された抽出プレートであって、抽出アパーチャを含む抽出プレートを有するチャンバハウジングを含み得る。装置は、第1の端壁と第2の端壁との間に延在する管状カソードであって、抽出アパーチャと整列したカソード開口部を備える管状カソードをさらに含み得る。
【0009】
[0009]本開示による例示的な方法は、第1の端壁および第2の端壁、ならびに第1の端壁および第2の端壁に連結された抽出プレートであって、抽出アパーチャを含む抽出プレートを有するチャンバハウジングを提供することを含み得る。この方法は、第1の端壁と第2の端壁との間に延在する管状カソードであって、抽出アパーチャと整列したカソード開口部を備える管状カソードを提供することをさらに含み得る。この方法は、管状カソードの内部にプラズマを生成することをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本開示の実施形態によるイオン源の側面断面図である。
図1B】本開示の実施形態による図1Aのイオン源の端部断面図である。
図2A】本開示の実施形態によるイオン源の側面断面図である。
図2B】本開示の実施形態による図2Aのイオン源の端部断面図である。
図3】本開示の実施形態によるイオン源の側面断面図である。
図4A】本開示の実施形態によるイオン源の側面断面図である。
図4B】本開示の実施形態によるイオン源の側面断面図である。
図5A】本開示の実施形態によるイオン源の側面断面図である。
図5B】本開示の実施形態によるイオン源の側面断面図である。
図6】本開示の実施形態による管状カソード性能を示すチャートである。
図7】本開示の実施形態による管状カソード性能を示すチャートである。
図8】本開示の実施形態による管状カソード性能の均一性を示すチャートである。
図9】本開示の実施形態による管状カソード性能の安定性を示すチャートである。
図10】本開示の実施形態による例示的な方法を示すフローチャートである。
【0011】
[0024]図面は、必ずしも縮尺どおりではない。図面は、単なる表現であり、本開示の特定のパラメータを描写することを意図するものではない。図面は、本開示の例示的な実施形態を描写することを意図しており、したがって、範囲を限定するとは見なされない。図面では、同様の番号付けは、同様の要素を表す。
【0012】
[0025]さらに、図解を明瞭にするために、一部の図の特定の要素を省略したり、縮尺どおりに示していない場合がある。断面図は、図解を明瞭にするために、「真の」断面図であれば見えたはずの特定の背景線を省略して、「スライス」または「近視」断面図の形をとる場合がある。さらに、わかりやすくするために、特定の図面では一部の参照番号が省略されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0026]本開示による装置、イオン源、および方法が、非限定的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより十分に説明される。装置、イオン源、および方法は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。代わりに、これらの実施形態は、開示が徹底的かつ完全であり、システムおよび方法の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0014】
[0027]イオン源の効率を高めるためのアプローチが、本明細書で提供される。具体的には、管状カソードを含むイオン源は、所与の抽出電流に対して、11Bなどの原子種のより大きなビーム電流を可能にし、より多くのスループットおよび/または保守間隔の延長をもたらす。本明細書に記載の管状カソード構造は、約50%以上の効率を提供する能力を有する。
【0015】
[0028]ここで図1A図1Bを参照して、本開示に従ってプラズマを生成するためのイオン源100の非限定的な実施形態が説明される。イオン源100は、第1の端壁104、第2の端壁106、ならびに第1および/または第2の端壁104、106に連結された抽出プレート108を含むチャンバハウジング102を、他の構成要素の中でも特に含む装置を表す。抽出プレート108は、1つ以上の抽出スリットまたはアパーチャ110を含む。チャンバハウジング102は、ベース壁112であって、それを通して形成された1つ以上のガス入口114を有するベース壁112を、さらに含み得る。一緒になって、第1の端壁104、第2の端壁106、抽出プレート108、およびベース壁112は、イオン源チャンバ116を画定することができる。
【0016】
[0029]いくつかの実施形態では、抽出プレート108は、ドープされたSi、ドープされたSiC、アルミニウム、またはタングステンなどの導電性材料で作ることができる。使用中、抽出プレート108は、イオン源チャンバ116内で生成されるプラズマの特性をさらに制御するために電気的にバイアスされ得る。
【0017】
[0030]示されていないが、ガスマニホールドが、ガス種または蒸気の形態でイオン源チャンバ116に供給材料を提供することができる。本実施形態と調和する適切な供給材料は、ホウ素(B)、炭素(C)、リン(P)、ヒ素(As)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、水素(H)、およびフッ素(F)のうちの1種以上のガス状化合物を含む。本開示の実施形態は、この文脈に限定されない。以下でより詳細に説明されるように、供給材料は、イオン源チャンバ116内に配置された管状カソード120内でイオン化され得る。
【0018】
[0031]示されるように、管状カソード120は、第1の端壁104および第2の端壁106に連結され得る。例示的な実施形態では、管状カソード120は、第1の端壁104および第2の端壁106から電気的に絶縁されている。非限定的ではあるが、管状カソード120は、フィラメント126を含むカップ124、および第1の端部130でカップ124に連結された本体128を含み得る。示されるように、カップ124は、第1の端壁104に直接連結され得る。より具体的には、カップ124は、第1の端壁104を通って延在する第1の端部127、および管状カソード120の内部131に延在し、任意の様々な手段を使用して所定の位置に固定される第2の端部129を含み得る。本体128の第2の端部132は、リペラ134に連結され得る。示されるように、リペラ134は、シャフト137から延在するリペラヘッド135を含むことができ、シャフト137は、第2の端壁106に直接連結されている。より具体的には、シャフト137は、第2の端壁106を通って延在することができる。いくつかの実施形態では、シャフト137は、第2の端壁106から電気的に絶縁されている。示されるように、リペラヘッド135は、管状カソード120の内部131に配置され、様々な手段を使用して所定の位置に固定され得る。特定の実施形態では、シャフト137は、イオン源チャンバ116の外部のクランプ133によって所定の位置に保持され得る。シャフト137は、リペラヘッド135よりも小さい断面積を有することができ、リペラヘッド135は、電子を閉じ込めるためにバイアスされた表面を提供する。シャフト137は、クランプ133に機械的支持および電気伝導性を提供することをさらに意図している。
【0019】
[0032]管状カソード120の本体128は、抽出プレート108の抽出アパーチャ110と概ね整列したカソード開口部138を含み得る。管状カソード120の本体128は、ベース壁112に近接するガス開口部139をさらに含み得る。ガス開口部139は、ガス入口114を通して送達されるガスを受け入れることができる。使用中、管状カソード120が加熱され、管状カソード120とチャンバハウジング102との間に電位差(電圧)が印加されると、管状カソード120の内部131にアークプラズマが生成され得る。カソード120の内部131で生成された高密度プラズマは、カソード開口部138を通って抽出アパーチャ110に向かって膨張する。いくつかの実施形態では、ソースハウジング102の第1の端壁104、第2の端壁106、抽出プレート108、およびベース壁112は、同じ電位にある。さらに、カップ124、管状カソード120、クランプ133、およびリペラ134は、電気的に接続されており、したがって、同じ電位にある。イオン源100は、管状カソード120およびフィラメント126のための電源を含む、わかりやすくするために示されていない様々な従来の構成要素に連結することができる。
【0020】
[0033]様々な実施形態において、供給材料は、ハロゲン種の形態で供給され得る。例えば、イオン源100は、B、P、As、Si、Ge、または他の種のイオン注入のために使用することができ、これらのそれぞれが、ハロゲン含有前駆体種から得られる。イオン源100によって生成されるイオンの前駆体として使用されるハロゲン種の例には、他の種の中でもとりわけ、BF、PF、SiF、B、AsF、GeFが含まれる。さらに、ハロゲン種には、別のハロゲン種の生成物が含まれる。例えば、BFガスが、イオン源100に提供され、BFイオン、BFニュートラル、BFイオン、BFニュートラル、BFイオン、ならびにFニュートラル、F正および負イオン、ならびに他の重い中性ラジカルまたはイオンBxFyなどが、全て親BFガスから1つ以上のプロセスで生成されることができ、全てハロゲン種と見なされる。本開示の実施形態は、この文脈に限定されない。
【0021】
[0034]次に図2A図2Bを参照して、本開示に従ってプラズマを生成するためのイオン源200の非限定的な実施形態が説明される。イオン源200は、図1A図1Bのイオン源100と同様である。したがって、簡潔にするため、イオン源200の全ての詳細が以下に説明されるわけではない。イオン源200は、第1の端壁204、第2の端壁206、ならびに第1および/または第2の端壁204、206に連結された抽出プレート208を含むチャンバハウジング202を、他の構成要素の中でも特に含む装置を表す。抽出プレート208は、1つ以上の抽出スリットまたはアパーチャ210を含む。チャンバハウジング202は、ベース壁212であって、それを通して形成された1つ以上のガス入口214を有するベース壁212を、さらに含み得る。一緒になって、第1の端壁204、第2の端壁206、抽出プレート208、およびベース壁212は、イオン源チャンバ216を画定することができる。
【0022】
[0035]イオン源200は、ガス入口214からガスを受け取り、ガスを管状カソード220の方に向けるように動作可能なガスディフューザ240を、さらに含み得る。例えば、ガスディフューザ240は、ガス種または蒸気の形態で供給材料を提供することができ、これは、イオン源チャンバ216内に配置された管状カソード220内でイオン化可能である。特定の構成に限定されないが、ガスディフューザ240は、管状カソード220のガス開口部239に向けてガスを送達するように動作可能なチャンバ241および複数の出口242を含み得る。示されるように、ガスディフューザ240は、ベース壁212の内側に連結され、ベース壁212の内側に直接隣接して配置され得る。ガスディフューザ240は、管状カソード220内へのガスのより均一な分配を確実にすることができ、その結果、管状カソード220内でプラズマ245がより均一かつ効率的に生成される。示されるように、プラズマ245は、カソード開口部238と抽出プレート208の抽出アパーチャ210との間の抽出間隙246を横切って膨張および拡散することができる。本実施形態と調和する適切な供給材料は、ホウ素(B)、炭素(C)、リン(P)、ヒ素(As)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、水素(H)、およびフッ素(F)のうちの1種以上のガス状化合物を含む。本開示の実施形態は、この文脈に限定されない。
【0023】
[0036]図3図4Bは、本開示によるイオン源の様々な非限定的な実施形態を示す。イオン源300、400A、および400Bは、上記のイオン源100および200と同様である。したがって、簡潔にするため、イオン源300、400A、および400Bの全ての詳細が以下に説明されるわけではない。図3に示されるように、イオン源300は、第1の端壁304および第2の端壁306に連結された管状カソード320を含む。非限定的ではあるが、管状カソード320は、フィラメント326を含むカップ324、および第1の端部330でカップ324に連結された本体328を含み得る。示されるように、カップ324は、第1の端壁304に直接連結され、管状カソード320の内部331に延在し得る。管状カソード320の第2の端部332には、カソード端壁350がある。カソード端壁350は、その中に形成されたカソード開口部338を含み得る。示されるように、カソード開口部338は、管状カソード320の内部331へのガスの送達を可能にし得る。いくつかの実施形態では、カソード開口部338は、本体328の壁を通してではなく、カソード端壁350を通して提供され得る。さらに他の実施形態では、ガス入口開口部は、カソード端壁350および本体328の両方を通って提供され得る。
【0024】
[0037]図4Aに示されるように、イオン源400Aは、湾曲したまたは様々な形状を有する管状カソード420を含み得る。例えば、抽出プレート408に近接する管状カソード420の上側448は、弓形または概して凸状であり得る。ベース壁412に近接する管状カソード420の下側449は、概して凹状であり得る。管状カソード420は、抽出光学系(図示せず)の形状に概して従うように構成することができる。さらに、この構成は、カソード開口部438と抽出プレート408との間の抽出間隙446を減少させ、より効率的な動作をもたらす。
【0025】
[0038]図4Bに示されるように、イオン源400Bは、延長された長さ「L」を有する管状カソード420を含み得る。有利には、本開示の管状カソード420は、より大きなスケーラビリティを提供する。カソードカップとリペラのみを備えた従来のIHCでは、イオン源の長さが長くなるにつれて、プラズマは、ますます不安定になり、不均一になる。本開示の管状カソード420は、容積が低減された容器を提供し、その中で生成されるプラズマがより安定で均一になることを可能にする。非限定的な一例では、長さLは、約500mmであり、直径は、約12mmであり得る。言い換えると、長さは、直径の最大40倍になり得る。
【0026】
[0039]次に図5A図5Bを参照して、本開示に従ってプラズマを生成するためのイオン源500の非限定的な実施形態が説明される。イオン源500は、上記のイオン源100、200、300、400A、400Bと同様である。したがって、簡潔にするため、イオン源500の全ての詳細が以下に説明されるわけではない。イオン源500は、第1の端壁504、第2の端壁506、ならびに第1および/または第2の端壁504、506に連結された抽出プレート508を含むチャンバハウジング502を、他の構成要素の中でも特に含む装置を表す。
【0027】
[0040]示されるように、管状カソード520が、第1の端壁504と第2の端壁506との間に延在することができる。非限定的ではあるが、管状カソード520は、フィラメント526を含むカップ524、および第1の端部530でカップ524に連結された本体528を含み得る。示されるように、カップ524は、カソード支持体550に直接連結され得る。いくつかの実施形態では、カップ524は、カソード支持体550の開口部を通って収容され得る。非限定的ではあるが、カソード支持体550とカップ524は、スロット552およびファスナ553によって結合することができる。例えば、ファスナ553が、スロット552のノッチ554を通って挿入され、次いで、カップ524が、スロット552内でファスナ553を動かすために回転され得る。本開示の実施形態は、この文脈に限定されない。さらに示されるように、本体528の第1の端部530は、部分的にカソード支持体550内に延在することができる。いくつかの実施形態では、カソード支持体550は、本体528の第1の端部530を受け入れるための凹部556を含み得る。
【0028】
[0041]図5Aに示されるように、本体528の第2の端部532は、リペラ534に連結され得る。リペラは、シャフト537から延在するリペラヘッド535を含むことができ、シャフト537は、第2の端壁506を通って延在する。あるいは、図5Bに示されるように、本体528の第2の端部532は、第2のカソード支持体560に連結され得る。第2のカソード支持体560は、カソード支持体550と同じまたは類似であり得る。例えば、本体528の第2の端部532は、第2のカソード支持体560の開口部564を通って受け入れられ得る。示されるように、第2の端部532は、カソード端壁549を含み、その中にカソード開口部538が形成されている。カソード開口部538は、管状カソード520の内部531へのガスの送達を可能にし得る。
【0029】
[0042]カソード支持体550、560はそれぞれ、熱シールドとして機能し、より高温の管状カソード520からの熱的および機械的分離を提供し得る。熱的および機械的分離の結果として、カソード支持体550、560は、より低いバイアス電力を可能にし、したがって、ソース障害の可能性を減少させる。さらに、この実施形態では、管状カソード520は、直径「d」が小さくなり、その結果、プラズマ体積が小さくなり、必要なアーク電力を少なくすることができる。結果として、カソード開口部538と抽出プレート508の抽出スリット510との間の抽出間隙「d2」もまた、より効率的な動作を提供するために減少され得る。
【0030】
[0043]次に図6を参照すると、本開示の実施形態による管状カソード性能を示すチャート600が示されている。チャート600は、上記のイオン源のいずれかなどのイオン源によって生成されるイオンの前駆体として使用される様々な種(例えば、W++、F、BF2+、BF、B、およびB++)を示す。25kVのD1で10keVのビームを仮定して、チャート600は、BモードおよびBF2+モード対ビーム電流を示している。示されているように、ソース磁石のみを変更することにより、別のモードに切り替えることができる。
【0031】
[0044]図7は、本開示の実施形態による管状カソード性能を示すチャート700である。チャート700は、上記の管状カソードを備えたイオン源のいずれかなどのイオン源によって生成されるイオンの前駆体として使用される様々な種(例えば、W++、F、BF2+、BF、B、およびB++)を示す。25kVの減速電圧の10keVビームを仮定して、チャート700は、抽出電流対ビーム電流を示している。示されているように、抽出電流の最大80mAまで約50%のBフラクションを維持することが可能である。
【0032】
[0045]図8A図8Bは、本開示の実施形態による管状カソード性能の均一性を示すチャート800、801である。25kVの減速電圧のB10keVビーム、および抽出電流=60mAを仮定して、図8Aは、ベースにおける位置対ビーム電流を示している。図8Bは、ロッドチューニング後の位置対ビーム電流を示している。示されるように、本明細書に開示される管状カソードは、標準のIHC構成と同等またはそれよりも優れたほぼ均一なチューニングを提供する。
【0033】
[0046]図9A図9Bは、本開示の実施形態による管状カソード性能の安定性を示す。25kVの減速電圧のB10keVビーム、および抽出電流=60mAを仮定して、図9Aのチャート900は、2時間後の時間対ビーム源のビーム電流を示し、一方、図9Bのチャート901は、6時間後の時間対ビーム源のビーム電流を示している。示されているように、ビーム電流は、2時間のサンプルラン中、安定しており、比較的均一である。ビーム電流は、6時間のサンプルラン中にわずかに(例えば、約1mA)低下する。
【0034】
[0047]次に図10を参照すると、本開示に従ってプラズマチャンバの容積を調整するための例示的な方法1000を示すフロー図が示されている。ブロック1001において、方法1000は、第1の端壁および第2の端壁、ならびに第1の端壁および第2の端壁に連結された抽出プレートを含むチャンバハウジングを提供することを含み得る。抽出プレートは、抽出アパーチャを含み得る。
【0035】
[0048]ブロック1003において、方法1000は、第1の端壁と第2の端壁との間に延在する管状カソードであって、抽出アパーチャと整列したカソード開口部を含む管状カソードを提供することを、さらに含み得る。いくつかの実施形態では、管状カソードは、第1の端壁および第2の端壁に連結され得る。非限定的ではあるが、管状カソードは、フィラメントを含むカップ、および第1の端部でカップに連結された本体を含み得る。管状カソードの本体の第2の端部は、リペラに連結され得る。いくつかの実施形態では、管状カソードは、カソード支持体に連結されており、カソード支持体は、チャンバハウジングの外部に配置されている。
【0036】
[0049]ブロック1005において、この方法は、管状カソードにガスを供給すること、をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、管状カソードの本体は、チャンバハウジングのベース壁に近接する1つ以上のガス開口部を含み得る。ガス開口部は、ベース壁のガス入口を通して送達されるガスを受け入れることができる。他の実施形態では、カソード端壁が、その中に形成されたカソード開口部を含むことができ、カソード開口部は、管状カソードの内部へのガスの送達を可能にする。いくつかの実施形態では、ガスディフューザが、チャンバハウジング内に存在することができ、ガスディフューザは、ガス入口からガスを受け取り、管状カソードに向けて分配するように動作可能である。
【0037】
[0050]ブロック1007において、方法1000は、管状カソードの内部にプラズマを生成することを含み得る。プラズマは、カソード開口部と抽出プレートとの間の抽出間隙を横切って送達され得る。
【0038】
[0051]例示的な方法1000は、一連の行為または事象として上に記載されているが、本開示は、特に明記しない限り、そのような行為または事象の例示された順序によって限定されない。例えば、いくつかの行為は、本開示に従って、本明細書に図示および/または記載されたものの他に、異なる順序で、および/または他の行為または事象と同時に発生してもよい。さらに、本開示による方法論を実施するために、図示された全ての行為または事象が必要とされるわけではない。さらに、方法1000は、本明細書に図示および説明されている構造の形成および/または処理に関連して実施され得るだけでなく、図示されていない他の構造に関連しても実施され得る。
【0039】
[0052]便宜上および分かりやすくするために、「頂部」、「底部」、「上部」、「下部」、「垂直」、「水平」、「横方向」、および「縦方向」などの用語が、図に示されているように、コンポーネントとその構成部品の相対的な配置と方向を説明するために、本明細書では使用される。用語には、具体的に言及されている単語、その派生語、および同様の意味の単語が含まれる。
【0040】
[0053]本明細書で使用される場合、単数形で述べられ、「a」または「an」という単語で始まる要素または動作は、除外が明示的に述べられない限り、複数の要素または動作を含むと理解されるべきである。さらに、本開示の「一実施形態」への言及は、限定することを意図するものではない。追加の実施形態もまた、列挙された特徴を組み込むことができる。
【0041】
[0054]さらに、「おおよその」または「おおよそ」という用語のみならず、「実質的な」または「実質的に」という用語が、いくつかの実施形態において交換可能に使用されることができ、当業者によって許容される任意の相対的尺度を使用して記載されることができる。例えば、これらの用語は、目的の機能を提供できる偏差を示すために、参照パラメータとの比較として役立つ。非限定的ではあるが、参照パラメータからの偏差は、例えば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、等々であり得る。
【0042】
[0055]さらに、層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上に(on)」、「上に(over)」、または「上に(atop)」形成され、堆積され、または配置されると言われる場合、その要素は、その別の要素の直接上にあることができ、または介在する要素が存在してもよいことを、当業者は理解するであろう。対照的に、ある要素が、別の要素の「直接上(on)」、「直接上(over)」、または「直接上(atop)」にあると言われる場合、介在する要素は存在しない。
【0043】
[0056]上記を考慮して、少なくとも以下の利点が、本明細書に開示される実施形態によって達成される。本明細書に記載の管状カソードの第1の利点は、所与の抽出電流に対する11Bなどの原子種のより大きなビーム電流を含み、所与のソース抽出電流に対してより高いスループットをもたらす。本明細書に記載の管状カソードの第2の利点は、より長い保守間隔である。本明細書に記載の管状カソードの第3の利点は、約50%以上のBフラクションである。第4の利点は、カソードが小さいためにプラズマの体積が小さくなり、アーク電力が減少することである。第5の利点は、管状カソードと抽出スリットとの間の距離がより短いことによる、より効率的な動作である。第6の利点は、管状カソードが、1つ以上のカソードホルダー上に配置されるので、バイアス電力が低くなることにより、ソース障害が減少することである。カソードホルダーは、熱シールドとして機能し、高温のカソードからの機械的/熱的分離を提供する。管状カソードの第7の利点は、管状カソードの容積が減少することによるプラズマ密度の増加である。プラズマがより大きな容積のソースチャンバ内で生成される従来のイオン源設計とは異なり、本開示のプラズマは、より小さな寸法の管状カソード内で生成される。
【0044】
[0057]本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されたものに加えて、本開示の他の様々な実施形態および修正が、前述の説明および添付の図面から当業者には明らかであろう。したがって、そのような他の実施形態および修正が、本開示の範囲内に入ることが意図されている。さらに、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実施態様の文脈で、本明細書に記載されている。有用性がそれらに限定されず、本開示は、任意の数の目的のために任意の数の環境で有益に実施され得ることを、当業者は認識するであろう。したがって、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に記載される本開示の広がりおよび精神の全体を考慮して解釈されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10