(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/10 20060101AFI20240312BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240312BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G08B25/10 C
G08B25/04 F
G08B21/10
(21)【出願番号】P 2019188960
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】武捨 章洋
(72)【発明者】
【氏名】松下 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】淺井 章弘
(72)【発明者】
【氏名】落合 恭也
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-130899(JP,A)
【文献】特開2016-038755(JP,A)
【文献】特開2016-181830(JP,A)
【文献】特開2015-060338(JP,A)
【文献】特開2018-097720(JP,A)
【文献】特開2007-150435(JP,A)
【文献】特許第6585241(JP,B1)
【文献】特開2017-107583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
G01C21/00-21/36
23/00-25/00
G01S 1/72- 1/82
3/80- 5/14
5/18- 5/30
7/52- 7/64
15/00-15/96
19/00-19/55
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G07C 1/00-15/00
G16Z99/00
H04B 7/24- 7/26
H04M 1/00
1/24- 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
99/00
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波出力装置、及び端末装置を利用して施設内の人物の避難状況を判定する情報処理システムであって、
施設における人物の出入りを管理する入出情報を記憶する記憶部と、
前記音波出力装置から出力される音波から、前記音波出力装置が設置された場所に対応する所定の識別情報を取得する前記端末装置から送信される、前記所定の識別情報と、前記端末装置を識別する端末識別情報とを含む端末情報を受信する端末情報受信部と、
前記入出情報と前記端末情報とに基づいて、前記端末装置を所持する人物の避難状況を判定する判定部と、
前記判定部で判定した前記避難状況と、前記端末装置を所持する人物、又は前記端末装置の状態と、を表示するための提供情報を提供する情報提供部と、
を有
し、
前記端末情報は、前記端末装置が備えるセンサが検出した加速度情報を含み、
前記判定部は、前記端末情報に前記所定の識別情報が含まれていない場合、前記加速度情報を用いて、前記端末装置を所持する人物、又は前記端末装置の状態を判定する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記端末装置から送信される前記端末情報が、避難場所に設置された前記音波出力装置が出力する音波から取得した避難場所の識別情報を含む場合、前記端末装置を所持する人物の避難が完了したと判定する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記施設内の人物が所持する前記端末装置から、前記避難場所の識別情報を含む前記端末情報を受信していない場合、当該端末装置を所持する人物の避難が完了していないと判定する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
複数の音波出力装置が出力する音波に含まれる前記所定の識別情報を管理する音波情報管理部
を有し、
前記情報提供部は、前記端末装置から送信される前記端末情報に含まれる前記所定の識別情報に応じた提供情報を、前記端末装置に表示させる
、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記端末装置から送信される前記端末情報に含まれる前記所定の識別情報を用いて、前記端末装置がある場所を判定する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記提供情報は、前記端末装置がある場所に対応する避難経路の情報、避難場所の情報、及び避難を指示する情報のうち、1つ以上の情報を含む、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記端末情報
は、前記端末装置が備えるセンサが検出した加速度情報に基づく、前記端末装置を所持する人物、又は前記端末装置の状態情報を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記判定部は、前記端末装置に前記所定の識別情報が含まれている場合、前記端末装置に対応する人物の避難が完了したと判定し、
前記情報提供部は、前記判定部で避難が完了したと判定されると、避難完了の提供情報を提供する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
音波出力装置、及び端末装置を利用して施設内の人物の避難状況を判定する情報処理装置であって、
施設における人物の出入りを管理する入出情報を記憶する記憶部と、
前記音波出力装置から出力される音波から、前記音波出力装置が設置された場所に対応する所定の識別情報を取得する前記端末装置から送信される、前記所定の識別情報と、前記端末装置を識別する端末識別情報とを含む端末情報を受信する端末情報受信部と、
前記入出情報と前記端末情報とに基づいて、前記端末装置を所持する人物の避難状況を判定する判定部と、
前記判定部で判定した前記避難状況と、前記端末装置を所持する人物、又は前記端末装置の状態と、を表示するための提供情報を提供する情報提供部と、
を有
し、
前記端末情報は、前記端末装置が備えるセンサが検出した加速度情報を含み、
前記判定部は、前記端末情報に前記所定の識別情報が含まれていない場合、前記加速度情報を用いて、前記端末装置を所持する人物、又は前記端末装置の状態を判定する、
情報処理装置。
【請求項10】
音波出力装置、及び端末装置を利用して施設内の人物の避難状況を判定する情報処理装置に、
施設における人物の出入りを管理する入出情報を記憶する処理と、
前記音波出力装置から出力される音波から、前記音波出力装置が設置された場所に対応する所定の識別情報を取得する前記端末装置から送信される、前記所定の識別情報と、前記端末装置を識別する端末識別情報とを含む端末情報を受信する処理と、
前記入出情報と前記端末情報とに基づいて、前記端末装置を所持する人物の避難状況を判定する
判定処理と、
前記判定処理で判定した前記避難状況と、前記端末装置を所持する人物、又は前記端末装置の状態と、を表示するための提供情報を提供する処理と、
を実行させ
、
前記端末情報は、前記端末装置が備えるセンサが検出した加速度情報を含み、
前記判定処理は、前記端末情報に前記所定の識別情報が含まれていない場合、前記加速度情報を用いて、前記端末装置を所持する人物、又は前記端末装置の状態を判定する、
プログラム。
【請求項11】
音波出力装置、及び端末装置を利用して施設内の人物の避難状況を判定する情報処理システムが、
施設における人物の出入りを管理する入出情報を記憶する処理と、
前記音波出力装置から出力される音波から、前記音波出力装置が設置された場所に対応する所定の識別情報を取得する前記端末装置から送信される、前記所定の識別情報と、前記端末装置を識別する端末識別情報とを含む端末情報を受信する処理と、
前記入出情報と前記端末情報とに基づいて、前記端末装置を所持する人物の避難状況を判定する
判定処理と、
を実行
し、
前記端末情報は、前記端末装置が備えるセンサが検出した加速度情報を含み、
前記判定処理は、前記端末情報に前記所定の識別情報が含まれていない場合、前記加速度情報を用いて、前記端末装置を所持する人物、又は前記端末装置の状態を判定する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、火災や地震等の災害が発生し、避難場所まで避難したとき等に、避難場所で施設内の人物の避難が完了したか否かを、点呼等により確認することが行われている。
【0003】
また、既存の入退出管理システムを利用して、カードリーダ1から送られてくる操作情報(個人ID+設置位置情報)に基づいて、在場者を特定し、特定した在場者の安否の確認項目を確認済とする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらに、点呼者によって操作されるマスター装置と、被点呼者によって携帯される複数のスレーブ装置との間で構成されるアドホックネットワークのルーティングを利用して、スレーブ装置の存在有無を確認する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば、特許文献1に開示された技術のように、避難場所へ移動する際に、ICカードをかざして個人IDを読み取ることは、避難時の行動としてはふさわしくなく、また、ICカードの読み取りに時間を要するという問題もある。
【0006】
また、特許文献2に開示された技術のように、無線通信で点呼を行う方法では、電波の特性により、建物の内外、部屋の内外等を特定することは困難であるため、施設内の人物が避難場所への避難を完了したか否かを正しく判定できない場合がある。
【0007】
本発明の一実施形態は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、施設内の人物の避難状況を判定する情報処理システムにおいて、避難場所へ移動する際のICカードの読み取り操作等によらずに、施設内の人物の避難状況を正しく判定できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る情報処理システムは、音波出力装置、及び端末装置を利用して施設内の人物の避難状況を判定する情報処理システムであって、施設における人物の出入りを管理する入出情報を記憶する記憶部と、前記音波出力装置から出力される音波から、前記音波出力装置が設置された場所に対応する所定の識別情報を取得する前記端末装置から送信される、前記所定の識別情報と、前記端末装置を識別する端末識別情報とを含む端末情報を受信する端末情報受信部と、前記入出情報と前記端末情報とに基づいて、前記端末装置を所持する人物の避難状況を判定する判定部と、前記判定部で判定した前記避難状況と、前記端末装置を所持する人物、又は前記端末装置の状態と、を表示するための提供情報を提供する情報提供部と、を有し、前記端末情報は、前記端末装置が備えるセンサが検出した加速度情報を含み、前記判定部は、前記端末情報に前記所定の識別情報が含まれていない場合、前記加速度情報を用いて、前記端末装置を所持する人物、又は前記端末装置の状態を判定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、施設内の人物の避難状況を判定する情報処理システムにおいて、避難場所へ移動する際のICカードの読み取り操作等によらずに、施設内の人物の避難状況を正しく判定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る端末装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る音波出力装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る情報処理システムの機能構成の例を示す図である。
【
図6A】一実施形態に係る情報処理装置が管理する情報の例を示す図(1)である。
【
図6B】一実施形態に係る情報処理装置が管理する情報の例を示す図(2)である。
【
図7】一実施形態に係る施設のレイアウトの一例を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る音波IDを含む音波について説明するための図である。
【
図9】第1の実施形態に係る避難状況の判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図10】第1の実施形態に係る避難完了を判断できる範囲について説明するための図である。
【
図11】第1の実施形態に係る提供情報の例を示す図である。
【
図12】第1の実施形態に係る端末装置が検出する加速度情報の例を示す図である。
【
図13】第2の実施形態に係る情報提供装置の処理の例を示すフローチャートである。
【
図14】一実施形態に係る端末装置が表示する表示画面の例を示す図である。
【
図15】第2の実施形態に係る情報処理システムが管理する情報の例を示す図である。
【
図16】第3の実施形態に係る情報処理装置が管理する情報の例を示す図である。
【
図17】第3の実施形態に係る端末装置が表示する表示画面の例を示す図である。
【
図18】第4の実施形態に係る情報処理装置が管理する情報の例を示す図である。
【
図19】第4の実施形態に係る端末装置が表示する表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0012】
<システムの構成>
図1は、一実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の例を示す図である。情報処理システム1は、例えば、情報処理装置100、複数の音波出力装置110a、110b、110c、・・・、及び複数の端末装置120a、120b、120c、・・・等を含む。なお、以下の説明において、複数の音波出力装置110a、110b、110c、・・・のうち、任意の音波出力装置を示す場合、「音波出力装置110」を用いる。また、複数の端末装置120a、120b、120c、・・・のうち、任意の端末装置を示す場合、「端末装置120」を用いる。
【0013】
音波出力装置110は、施設10内の互いに異なる場所に設置され、音波出力装置110が設置された場所に対応する所定の識別情報(以下、音波IDと呼ぶ)を含む音波111を出力する。
【0014】
端末装置120は、施設10内の人物(例えば、従業員、来訪者等)が所持する、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等の情報端末であり、無線通信で通信ネットワーク2に接続して、情報処理装置100等と通信可能である。端末装置120は、情報処理システム1に対応するアプリケーションプログラム(以下、アプリと呼ぶ)を実行することにより、音波出力装置110が出力する音波から音波IDを取得する。また、端末装置120は、取得した音波IDと、端末装置120を識別する端末識別情報(以下、端末IDと呼ぶ)とを含む端末情報を、通信ネットワーク2を介して、情報処理装置100に送信する。
【0015】
情報処理装置100は、例えば、コンピュータの構成を有する情報処理装置、又は複数の情報処理装置を含むシステムであり、通信ネットワーク2に接続されている。情報処理装置100は、例えば、火災や地震等の災害が発生し、避難場所まで避難するとき等に、施設10内の人物の避難状況を判定する機能を有している。
【0016】
例えば、情報処理システム1は、施設10における人物の出入りを管理する入出情報101を記憶する記憶部を有している。この入出情報101は、例えば、特許文献1に開示された技術のように、施設10内に設置されたカードリーダ等から送られてくる操作情報(個人の識別情報+設置位置情報)等、施設10内にいる人物を特定するための情報である。情報処理装置100は、この入出情報101を利用して、施設10内にいる人物を特定することができる。
【0017】
なお、入出情報1は、例えば、既存の入出管理システム102等から取得するものであって良い。また、入出管理システム102による入出情報1の取得方法は、任意の方法であって良い。
【0018】
また、情報処理装置100は、端末装置120を識別する端末IDと、端末装置120を所持する人物との対応関係を管理しており、端末装置120から送信される端末情報に含まれる端末IDから、端末装置120を所持する人物を特定することができる。
【0019】
さらに、情報処理装置100は、音波出力装置110が出力する音波IDと、音波出力装置110が設置された場所との対応関係を管理しており、端末情報に含まれる音波IDにより、端末装置120がある場所を特定することができる。
【0020】
上記の構成により、情報処理装置100は、端末装置120から送信される端末情報に、避難場所に設置された音波出力装置110に対応する音波IDが含まれている場合、当該端末装置120を所持する人物の避難が完了したと判定する。
【0021】
また、情報処理装置100は、端末装置120から送信される端末情報に、避難場所とは異なる場所に設置された音波出力装置110に対応する音波IDが含まれている場合、当該端末装置120を所持する人物の避難が完了していないと判定する。
【0022】
なお、情報処理装置100は、入出情報101を用いて、施設10内にいる人物のみを、上記の判定の対象とし、施設10内にいない人物を判定の対象外とすることができる。
【0023】
このように、本実施形態では、例えば、特許文献1に開示された技術のように、避難場所へ移動する際に、ICカードをかざして個人IDを読み取る必要はなく、ICカードの読み取りに要する時間も不要になる。
【0024】
また、本実施形態では、避難場所に対応する音波IDを出力するので、例えば、避難場所が建物の外にある場合、音波は電波と異なり、壁等があると音波が届き難いため、建物の内部にいる人物を、避難が完了したと誤判定してしまうことを抑制することができる。
【0025】
以上、本実施形態によれば、施設10内の人物の避難状況を判定する情報処理システム1において、避難場所へ移動する際のICカードの読み取り操作等によらずに、施設内の人物の避難状況を正しく判定できるようになる。
【0026】
<ハードウェア構成>
続いて、情報処理システム1に含まれる各装置のハードウェア構成について説明する。
【0027】
(情報処理装置、入出管理システムのハードウェア構成)
情報処理装置100、及び入出管理システム102は、例えば、
図2に示すようなコンピュータ200のハードウェア構成を有している。或いは、情報処理装置100は、及び入出管理システム102は、複数のコンピュータ200により構成される。
【0028】
図2は、一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。コンピュータ200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、HD(Hard Disk)204、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ205、ディスプレイ206、外部機器接続I/F(Interface)207、ネットワークI/F208、キーボード209、ポインティングデバイス210、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ212、メディアI/F214、及びバスライン215等を備えている。
【0029】
これらのうち、CPU201は、コンピュータ200の全体の動作を制御する。ROM202は、例えば、IPL(Initial Program Loader)等のCPU201の起動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリア等として使用される。HD204は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ205は、CPU201の制御に従ってHD204に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0030】
ディスプレイ206は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種の情報を表示する。外部機器接続I/F207は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。外部機器には、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等が含まれる。ネットワークI/F208は、通信ネットワーク2を利用してデータ通信をするためのインタフェースである。
【0031】
キーボード209は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス210は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ212は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW211に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RW211は、DVD-RWに限らず、DVD-R等であっても良い。メディアI/F214は、フラッシュメモリ等のメディア213に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。バスライン215は、上記の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス及び各種の制御信号等を含む。
【0032】
(端末装置のハードウェア構成)
図3は、一実施形態に係る端末装置のハードウェア構成の例を示す図である。
図3に示されているように、端末装置120は、CPU301、ROM302、RAM303、ストレージデバイス304、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ305、撮像素子I/F(Interface)306、センサ307、メディアI/F309、GPS(Global Positioning System)受信部310等を備えている。
【0033】
これらのうち、CPU301は、所定のプログラムを実行することにより端末装置120全体の動作を制御する。ROM302は、例えば、IPL等のCPU301の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。ストレージデバイス304は、例えば、SSD(Solid State Drive)、フラッシュROM等によって実現され、OS(Operating System)、アプリ等のプログラム、及び各種のデータ等を記憶する大容量の不揮発性の記憶装置である。
【0034】
CMOSセンサ305は、CPU301の制御に従って被写体(主に自画像)を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、端末装置120は、CMOSセンサ305に代えて、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像手段を有していても良い。撮像素子I/F306は、CMOSセンサ305の駆動を制御する回路である。センサ307は、地磁気を検知する電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサである。メディアI/F309は、フラッシュメモリ等の記録メディア308に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。GPS受信部310は、GPS衛星からGPS信号を受信する。
【0035】
また、端末装置120は、遠距離通信回路311、遠距離通信回路311のアンテナ311a、CMOSセンサ312、撮像素子I/F313、マイク314、スピーカ315、音入出力I/F316、ディスプレイ317、外部機器接続I/F318、近距離通信回路319、近距離通信回路319のアンテナ319a、及びタッチパネル320を備えている。
【0036】
これらのうち、遠距離通信回路311は、例えば、通信ネットワーク2を介して、他の装置と通信する回路である。CMOSセンサ312は、CPU301の制御に従って被写体を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。撮像素子I/F313は、CMOSセンサ312の駆動を制御する回路である。マイク314は、音を電気信号に変える内蔵型の回路である。スピーカ315は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。音入出力I/F316は、CPU301の制御に従ってマイク314及びスピーカ315との間で音波信号の入出力を処理する回路である。
【0037】
ディスプレイ317は、被写体の画像や各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示手段の一種である。外部機器接続I/F318は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。近距離通信回路319は、例えば、NFC(Near Field Communication)や、Bluetooth(登録商標) Low Energy(以下、BLEと呼ぶ)等の近距離無線通信を行う。タッチパネル320は、利用者がディスプレイ317を押下することで、端末装置120を操作する入力手段の一種である。
【0038】
また、端末装置120は、バスライン321を備えている。バスライン321は、
図3に示されているCPU301等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバス、データバス、及び各種の制御信号等を含む。
【0039】
(音波出力装置のハードウェア構成)
図4は、一実施形態に係る音波出力装置のハードウェア構成の例を示す図である。音波出力装置110は、例えば、CPU401、メモリ402、ストレージデバイス403、ネットワークI/F404、音波出力I/F405、スピーカ406、及びバスライン407等を有している。
【0040】
CPU401は、例えば、ストレージデバイス403等に格納されたプログラムやデータをメモリ402上に読み出し、処理を実行することで、音波出力装置110の各機能を実現する演算装置である。メモリ402には、例えば、CPU401のワークエリア等として用いられるRAM、及び音波出力装置110の起動用のプログラム等を記憶するROM等が含まれる。ストレージデバイス403は、OS、アプリケーション、及び各種のデータ等を記憶する不揮発性の大容量の記憶装置であり、例えば、HDD、SSD等によって実現される。
【0041】
ネットワークI/F404は、音波出力装置110を通信ネットワーク2に接続するための通信インタフェースである。音波出力I/F405は、例えば、スピーカ406等に音波信号を出力するためのインタフェースである。スピーカ406は、音波出力I/F405から出力された音波信号を、音波に変換して出力するスピーカである。バスライン407は、上記の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0042】
<機能構成>
続いて、本実施形態に係る情報処理システム1の機能構成について説明する。
図5は、一実施形態に係る情報処理システムの機能構成の例を示す図である。
【0043】
(情報処理装置の機能構成)
情報処理装置100は、例えば、
図2のCPU201、又は複数のコンピュータ200で所定のプログラムを実行することにより、通信部501、端末情報受信部502、音波情報管理部503、ユーザ情報管理部504、入出情報管理部505、判定部506、情報提供部507、及び記憶部508等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0044】
通信部501は、例えば、
図2のネットワークI/F208等を用いて、情報処理装置100を通信ネットワーク2に接続し、音波出力装置110、端末装置120、及び入出管理システム102等と通信を行う。
【0045】
端末情報受信部502は、音波出力装置110から出力される音波から、音波出力装置110が設置された場所に対応する音波IDを取得する端末装置120から送信される、取得した音波IDと、端末装置120の端末IDとを含む端末情報を受信する。また、端末情報受信部502は、端末装置120から受信した端末情報を、記憶部508等に記憶する。
【0046】
図6A(A)は、端末情報受信部502によって、記憶部508等に記憶された端末情報610の一例のイメージを示している。端末情報610には、項目として、「端末ID」、「音波ID」、「日時」等の情報が含まれる。
【0047】
「端末ID」は、端末情報受信部502が受信した端末情報に含まれていた端末IDである。「音波ID」は、端末情報受信部502が受信した端末情報に含まれていた音波IDである。「日時」は、例えば、端末情報受信部502が端末情報を受信した日時を示す情報である。なお、「日時」は、端末装置120が、端末情報を送信した日時や、端末装置120が音波IDを取得した日時等であっても良い。
【0048】
音波情報管理部503は、例えば、
図6A(B)に示すような音波情報620を、記憶部508等に記憶して管理する。
図6A(B)の例では、音波情報620には、項目として、「出力装置ID」、「設置場所」、「宛先情報」、「音波ID」等の情報が含まれる。
【0049】
「出力装置ID」は、音波出力装置110を識別する識別情報である。「設置場所」は、音波出力装置110が設置された場所を示す情報である。「宛先情報」は、通信ネットワーク2等を介して、音波出力装置110と通信するための宛先情報(例えば、IPアドレス等)である。「音波ID」は、音波出力装置110が出力する音波に含まれる音波IDである。
【0050】
例えば、音波情報620の「音波ID」が更新されると、音波情報管理部503は、「宛先情報」を用いて、音波出力装置110に更新された音波IDを通知する。これにより、音波出力装置110から出力される音波に含まれる音波IDも更新される。
【0051】
ユーザ情報管理部504は、例えば、6A(C)に示すようなユーザ情報630を、記憶部508等に記憶して管理する。
図6A(C)の例では、ユーザ情報630には、項目として、「ユーザ名」、「ユーザID」、「端末ID」、「宛先情報」等の情報が含まれる。
【0052】
「ユーザ名」は、端末装置120を所持する人物(例えば、施設10内の従業員、来訪者等)の名前等を示す情報である。「ユーザID」は、端末装置120を所持する人物を識別する識別情報である。「端末ID」は、端末装置120を識別する識別情報である。「宛先情報」は、通信ネットワーク2等を介して、端末装置120と通信するための宛先情報(例えば、IPアドレス、メールアドレス、電話番号等)である。
【0053】
入出情報管理部505は、例えば、施設10における人物の出入りを管理する入出管理システム102等から通知される入出情報を、記憶部508等に記憶して管理する。
【0054】
図6B(A)は、記憶部508等に記憶された入出情報101の一例のイメージを示している。
図6B(A)の例では、入出情報101には、項目として、「ユーザID」、「イベント」、「場所」、「日時」等の情報が含まれている。「ユーザID」は、入出管理システム102の管理対象となる人物(例えば、施設10の従業員、来訪者等)を識別する識別情報であり、
図6A(C)に示すユーザ情報630の「ユーザID」に対応している。
【0055】
「イベント」、「場所」は、入出管理システム102の管理対象となる人物が、施設10、建物等に出入りしたことを示す情報である。「日時」は、管理対象となる人物が、施設10、建物等に出入りした日時を示す情報である。
【0056】
図7は、一実施形態に係る施設のレイアウトの一例を示す図である。
図7において、施設10には、例えば、A棟、B棟、C棟等の建物があり、予め避難場所が定められているものとする。また、黒色の矢印701は、施設10の出入口(例えば、正門等)を示しており、白色の矢印702は、建物の出入口を示しているものとする。
【0057】
施設の出入口、及び建物の入り口には、例えば、入場用の読み取り装置、及び出場用の読み取り装置が設置されており、施設10に入場、又は出場する人物が所持する端末装置120、無線タグ、ICカード等から、人物を識別するユーザIDを読み取るものとする。
【0058】
例えば、無線タグ、ICカード等の社員証を所持する従業員が、施設の正門(出入り口の一例)から入場すると、正門に設置された入場用の読み取り装置が、社員証からユーザIDを読み取り、読み取ったユーザIDを、入出管理システム102等に送信する。これに応じて、入出管理システム102は、例えば、
図6B(A)に示すように、読み取り装置から送信されたユーザIDと、ユーザIDに対応する人物が正門から入場したことを示す情報であるイベント「入」、場所「正門」と、ユーザIDを受信した「日時」とを対応付けて、入出情報101に記憶する。
【0059】
同様にして、同じ人物が、B棟に入場したときには、当該人物のユーザIDと、ユーザIDに対応する人物がB棟に入場したことを示す情報であるイベント「入」、場所「B棟」と、ユーザIDを受信した「日時」とが、入出情報101に記憶される。さらに、同じ人物が、B棟から出場したときには、当該人物のユーザIDと、ユーザIDに対応する人物がB棟に出場したことを示す情報であるイベント「出」、場所「B棟」と、ユーザIDを受信した「日時」とが、入出情報101に記憶される。
【0060】
入出情報管理部505は、例えば、
図6B(A)に示すような入出情報101が更新されたときに、入出管理システム102から通知される更新情報を、記憶部508等に記憶することにより、
図6B(A)に示すような入出情報101を管理することができる。
【0061】
別の一例として、入出情報管理部505は、
図6B(B)に示すような入出情報101を、記憶部508等に記憶して管理しても良い。
図6B(B)の例では、入出情報101には、
図6B(A)に示す入出情報101に加えて、項目として、「端末ID」が追加されている。この情報は、入出情報管理部505が、例えば、
図6A(C)に示すようなユーザ情報630に基づいて、入出管理システム102から通知される更新情報に付加する。
【0062】
また、
図6B(B)に示す入出情報101には、「210受信」、「220受信」等のイベントが含まれる。イベント「210受信」は、端末装置120が、音波ID「210」を受信したことを示すイベントであり、例えば、
図6A(A)に示すような端末情報610に基づいて、入出情報管理部505が、「日時」と共に、入出情報101に追加する。また、イベント「210」に対応する「場所」は、端末装置120が、音波ID「210」を受信した場所を示す情報であり、例えば、
図6A(B)に示すような音波情報620に基づいて、入出情報管理部505が入出情報101に追加する。
【0063】
判定部506は、例えば、6B(A)に示すような入出情報101と、
図6A(A)に示すような端末情報610とに基づいて、例えば、火災や地震等の災害が発生し、避難場所まで避難するとき等に、施設10内の人物の避難状況を判定する。
【0064】
例えば、判定部506は、6B(A)に示すような入出情報101を用いて、施設10にある端末装置120を特定することができる。また、判定部506は、
図6A(A)に示すような端末情報610を用いて、施設10内にある端末装置120の各々が送信する端末情報が、避難場所で出力している音波に含まれる避難場所の音波ID(例えば、「990」)を含むか否かを判断する。
【0065】
端末装置120から送信される端末情報が、避難場所の音波IDを含む場合、判定部506は、当該端末装置120を所持する人物の避難が完了したと判定する。一方、施設10内の人物が所持する端末装置120から、避難場所の音波IDを含む端末情報を受信していない場合、判定部506は、当該端末装置120を所持する人物の避難が完了していないと判定する。
【0066】
別の一例として、判定部506は、例えば、
図6B(B)に示すように、端末情報610を反映した入出情報101を用いて、同様の手法で、施設10内の人物の避難状況を判定しても良い。
【0067】
情報提供部507は、端末装置120から送信される端末情報に応じた提供情報を、端末装置120に提供する。例えば、端末装置120を所持する人物の避難が完了していないと判定された場合、情報提供部507は、例えば、端末装置120がある場所に対応する避難経路の情報、避難場所の情報、避難を指示する情報、災害の情報等を提供する。なお、情報提供部507による情報提供処理については、後述する第2~第4の実施形態で説明する。
【0068】
記憶部508は、例えば、
図2のCPU201で実行されるプログラム、及びHD204、HDDコントローラ205、RAM203等によって実現され、例えば、端末情報610、音波情報620、ユーザ情報630、及び入出情報101等を記憶する。
【0069】
(音波出力装置の機能構成)
音波出力装置110は、例えば、
図4のCPU401で所定のプログラムを実行することにより、通信部511、記憶部512、出力制御部513、及び音波出力部514等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0070】
通信部501は、例えば、
図4のネットワークI/F404等を用いて、音波出力装置110を通信ネットワーク2に接続し、情報処理装置100等と通信を行う。例えば、通信部501は、情報処理装置100から通知される音波ID、音波の設定情報等を受信し、受信した情報を記憶部512等に記憶する。
【0071】
記憶部512は、例えば、
図4のCPU401で実行されるプログラム、及びストレージデバイス403、メモリ402等によって実現され、情報処理装置100から通知される音波ID、音波の設定情報等を記憶する。
【0072】
出力制御部513は、例えば、記憶部512に記憶した音波ID、及び音波の設定情報等に基づいて、音波IDを含む音波データを作成し、音波出力部514に音波IDを含む音波を出力させる。
【0073】
音波出力部514は、出力制御部513の制御に従って、例えば、
図4のスピーカ406等から、音波IDを含む音波を出力する。
【0074】
図8は、一実施形態に係る音波IDを含む音波について説明するための図である。この図は、例えば、端末装置120のマイクで取得した、端末装置120の周辺の音波をFFT解析(高速フーリエ変換)したイメージを示している。
【0075】
端末装置120の周辺の音波には様々なノイズが含まれるので、音波出力装置110は、例えば、
図8に示すように、ノイズが比較的少ない、所定の周波数帯域内に、音波IDを含む音波111を出力する。
【0076】
好適な一例として、音波出力装置110は、端末装置120のマイクで取得可能な周波数範囲のうち、16kHz以上の周波数を用いて、音波IDを含む音波を出力する。16kHz以上の周波数の音波は、一般的な人には聞こえにくいので、人に不快感を与えずに、音波IDを含む音波を出力することができる。ただし、これに限られず、音波出力装置110は、16kHz未満の周波数の音波を用いて、音波IDを含む音波を出力しても良い。
【0077】
また、本実施形態では、音波で音波IDを表す方法について、特に限定しないが、例えば、所定の周波数帯域内において、複数の周波数の音波のオン/オフの組合せにより、音波IDを表すことができる。ただし、音波で音波IDを表す方法は、これに限られず、任意の方法であって良い。
【0078】
(端末装置の機能構成)
端末装置120は、例えば、
図3のCPU301で所定のプログラム(アプリ等)を実行することにより、通信部521、音波取得部522、音波解析部523、端末情報送信部524、表示制御部525、操作受付部526、及び記憶部527等を実現している。なお、上記の各機能構成のうち、少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
【0079】
通信部521は、例えば、
図3の遠距離通信回路311等を用いて、端末装置120を通信ネットワーク2に接続し、情報処理装置100等と通信を行う。
【0080】
音波取得部522は、例えば、
図3のマイク314、音入出力I/F316等を用いて、端末装置120の周辺の音波を取得する。例えば、音波取得部522は、マイク314、及び音入出力I/F316を用いて取得した音波信号を、音波データに変換して記憶部527等に記憶する。
【0081】
音波解析部523は、音波取得部522が取得した音波データを解析して、音波出力装置110が出力する音波に含まれる音波IDを取得する。
【0082】
端末情報送信部524は、音波解析部523が取得した音波IDと、端末装置120を識別する端末IDとを含む端末情報を、通信部521を介して、情報処理装置100に送信する。
【0083】
表示制御部525は、例えば、
図3のディスプレイ317等に様々な表示画面を表示する制御を行う。一例として、表示制御部525は、情報処理装置100から提供される、例えば、避難経路の情報、避難場所の情報、避難を指示する情報、災害の情報等の提供情報を含む表示画面を、ディスプレイ317等に表示させる。
【0084】
また、別の一例として、表示制御部525は、複数の音波IDと、各音波IDに対応する提供情報の表示画面とを、記憶部527等に記憶しておき、音波解析部523が取得した音波IDに対応する提供情報を、ディスプレイ317等に表示させる。
【0085】
操作受付部526は、例えば、
図3のタッチパネル320等に対する入力操作を受け付ける。
【0086】
記憶部527は、例えば、
図3のCPU301で実行されるプログラム、及びストレージデバイス304等によって実現され、端末装置120を識別する端末ID、音波取得部522が取得した音波データ等の様々な情報を記憶する。
【0087】
なお、
図5に示す情報処理システム1の機能構成は一例である。例えば、情報処理装置100が備える記憶部508は、情報処理装置100の外部に設けられたストレージサーバ等であっても良い。また、入出管理システム102の機能は、情報処理装置100が有していても良いし、情報処理システム1の外部のクラウドサービス等によって実現されるものであっても良い。
【0088】
さらに、情報処理装置100が有する各機能構成は、複数の情報処理装置に分散されて配置されていても良い。また、情報処理装置100が備える記憶部508は、1つの記憶部であっても良いし、複数の情報処理装置に分散して配置された複数の記憶部であっても良い。
【0089】
[第1の実施形態]
<処理の流れ>
続いて、第1の実施形態に係る情報処理方法の処理の流れについて説明する。
図9は、第1の実施形態に係る避難状況の判定処理の例を示すフローチャートである。この処理は、火災や地震等の災害が発生し、避難場所まで避難したとき等に、施設10内の人物の避難が完了したか否かを確認するために、例えば、防災担当者等の操作に応じて、情報処理装置100が実行する避難状況の判定処理の例を示している。
【0090】
(避難状況の判定処理1)
図9(A)は、情報処理装置100が実行する避難状況の判定処理の一例を示している。
【0091】
ステップS901において、情報処理装置100の判定部506は、例えば、
図6B(A)、(B)に示すような入出情報101を用いて、施設10内にある端末装置120を特定する。
【0092】
ステップS902において、判定部506は、例えば、
図6A(A)に示すような端末情報610を用いて、施設10内にある端末装置120から、所定の時間内に端末情報を受信したか否かを判断する。端末装置120から端末情報を受信していない場合、判定部506は、例えば、端末装置120から端末情報を受信するまで、所定の時間間隔で、ステップS902の処理を繰返し実行する。一方、端末装置120から端末情報を受信した場合、判定部506は、処理をステップS903に移行させる。
【0093】
ステップS903に移行すると、判定部506は、端末装置120から受信した端末情報に、避難場所に設置された音波出力装置110が出力する音波に含まれる避難場所の音波IDが含まれるか否かを判断する。端末装置120から受信した端末情報に避難場所の音波IDが含まれていない場合、判定部506は、例えば、端末装置120に対応する人物の避難が完了していないと判定し、処理をステップS902に戻す。一方、端末装置120から受信した端末情報に避難場所の音波IDが含まれている場合、判定部506は、処理をステップS904に移行させる。
【0094】
ステップS904に移行すると、判定部506は、端末装置120に対応する人物の避難場所への避難が完了したと判定する。
【0095】
上記の処理により、情報処理装置100は、施設10内にいる、端末装置120を所持する人物が、避難場所への避難を完了したことを判定することができる。なお、施設10内に、複数の端末装置120がある場合、情報処理装置100は、複数の端末装置120の各々について、ステップS902~S904の処理を実行する。
【0096】
(避難状況の判定処理2)
図9(B)は、情報処理装置100が実行する避難状況の判定処理の別の一例を示している。この処理は、端末装置120が、情報処理装置100からの端末情報の送信要求に応じて、端末情報を送信する場合の処理の例を示している。なお、ここでは、
図9(A)で説明した処理と同様の処理に対する詳細な説明は省略する。
【0097】
ステップS911において、情報処理装置100の判定部506は、例えば、
図6B(A)、(B)に示すような入出情報101を用いて、施設10内にある端末装置120を特定する。
【0098】
ステップS912において、判定部506は、施設10内にある端末装置120に対して、端末情報の送信要求を送信する。
【0099】
ステップS913において、判定部506は、端末装置120に対して端末情報の送信要求を送信してから、所定の時間内に、端末装置120から端末情報を受信したか否かを判断する。所定の時間内に、端末装置120から端末情報を受信していない場合、判定部506は、処理をステップS912に戻す。一方、所定の時間内に、端末装置120から端末情報を受信した場合、判定部506は、処理をステップS914に移行させる。
【0100】
ステップS914に移行すると、判定部506は、端末装置120から受信した端末情報に、避難場所の音波IDが含まれるか否かを判断する。端末装置120から受信した端末情報に避難場所の音波IDが含まれていない場合、判定部506は、例えば、端末装置120に対応する人物の避難が完了していないと判定し、処理をステップS912に戻す。一方、端末装置120から受信した端末情報に避難場所の音波IDが含まれている場合、判定部506は、処理をステップS915に移行させる。
【0101】
ステップS915に移行すると、判定部506は、端末装置120に対応する人物の避難場所への避難が完了したと判定する。
【0102】
上記の処理により、情報処理装置100は、端末情報が必要なときに、避難が完了していない端末装置120に端末情報の送信を要求するので、端末装置120による不要な端末情報の送信を抑制することができる。
【0103】
(避難完了を判断できる範囲について)
図10は、第1の実施形態に係る避難完了を判断できる範囲について説明するための図である。
図10(A)は、比較用の一例として、ICカード、端末装置120等のRFID(Radio Frequency Identifier)を利用して、避難の完了を判定する場合の避難完了を判定できる範囲の例を示している。
【0104】
RFIDには、パッシブ型とアクティブ型とがある。パッシブ型は、例えば、入退管理のICカード等で使用されており、情報の読み取り範囲は、数センチメートルから数メートル程度の範囲である。アクティブ型は、数十メートルの範囲で情報の読み取りが可能であるが、人の移動を管理する場合には、数十メートルの範囲は広過ぎるので、情報の読み取り範囲を数メートルに絞って使用することが一般的である。
【0105】
従って、例えば、
図10(A)に示すように、避難場所1001の本部1002等に設けられた、RFIDの読み取り装置を用いて、避難完了を確認する場合、避難完了を判断できる範囲1003が狭くなってしまうという問題がある。この場合、大規模な施設では、例えば、操作待ちの行列ができる等、避難状況の確認に時間を要してしまうという問題がある。
【0106】
なお、例えば、
図10(B)に示すように、RFIDより電波の到達範囲が広い無線通信(例えば、BLE、無線LAN等)を利用することにより、避難完了を判断できる範囲1011を広くすることも考えられるが、この方法では、建物内にある端末装置120を誤検出してしまうという問題がある。
図10(B)の例では、A棟の建物内で、避難が完了していない端末装置120を所持する人物を、誤って避難完了と判断してしまう恐れがある。
【0107】
図10(C)は、本実施形態による、避難完了を判断できる範囲1021の一例を示している。本実施形態に係る情報処理システム1では、音波に含まれる音波IDにより、避難完了を判断している。音波は、電波と異なり、壁等があると音波が届き難いため、例えば、
図10(C)に示すように、A棟の建物内で、避難が完了していない端末装置120は、避難場所の音波IDを取得することができない。従って、本実施形態では、例えば、
図10(C)に示すように、A棟の建物内で、避難が完了していない端末装置120を所持する人物を、誤って避難完了と判断してしまう可能性を低減することができる。
【0108】
また、音波は、スピーカの向き等により、指向性を持たせることが容易なので、例えば、
図10(D)に示すように、必要な方向に音波を出力することにより、避難完了を判断できる範囲1022を調整することができるという利点もある。
【0109】
(提供情報について)
図11は、第1の実施形態に係る提供情報の例を示す図である。
図11(A)は、情報処理装置100の情報提供部507が提供する提供情報の一例を示している。
図11(A)の例では、提供情報1101には、項目として、「状態」、「区画」、「氏名」、「避難状況」等の情報が含まれる。
【0110】
「状態」は、例えば、管理対象となる人物が、施設10内にいるか(在籍)、いない(不在)を示す情報である。なお、管理対象となる人物が、施設10内にいるか否かは、例えば、
図6B(A)、(B)に示すような、入出情報101から判断される。
【0111】
「区画」は、建物を複数の区画に分割して管理するときに用いられ、
図11(A)の例では、建物のフロアを1つの区画として管理する場合の例を示している。なお、「区画」は、例えば、
図6B(B)に示すような入出情報101を用いて、管理対象となる人物が現在いる場所を示すものであっても良いし、管理対象となる人物の席がある区画等を示すものであっても良い。また、「区画」は、例えば、
図11(B)に示すように、管理対象となる人物が現在いる場所を示す「在籍区画」と、管理対象となる人物の席がある区画を示す「検出区画」とを含むものであっても良い。
【0112】
「氏名」は、管理対象となる人物の名前であり、例えば、
図6A(C)に示すようなユーザ情報」630の「ユーザ名」等から取得される。
【0113】
「避難状況」は、管理対象となる人物の避難が完了したか否かを示す情報であり、例えば、
図9(A)、(B)に示すような、避難状況判定処理によって判定される。
【0114】
情報提供部507は、例えば、
図11(A)に示すような提供情報1101を作成して、防災担当者等に提供することができる。
【0115】
好ましくは、情報提供部507は、
図11(A)に示すような提供情報1101を作成する際に、避難の優先度が高い順に、避難状況を確認し、提供情報1101を更新していく。例えば、A棟の5階で火災が発生した場合、A棟の5階、6階は避難の優先度が高いので、判定部506は、A棟の5階、6階の避難状況を優先的に確認し、提供情報1101は、確認結果を提供情報1101に反映させる。
【0116】
図11(B)は、情報処理装置100の情報提供部507が提供する提供情報の別の一例を示している。
図11(B)に示す提供情報1102には、前述したように、提供情報1101の「区画」に代えて、「在籍区画」と「検出区画」とが含まれている。また、「避難状況」には、「避難完了」に加えて、例えば、「端末放置」、「避難中」等の避難状況が追加されている。
【0117】
「端末放置」、「避難中」等の避難状況は、例えば、端末装置120が備えるセンサ307が検出する加速度情報等を用いて判断することができる。例えば、端末装置120は、情報処理装置100に端末情報を送信する際に、取得した音波IDと、端末装置120の端末IDに加えて、センサ307が検出した加速度情報を含む端末情報を、情報処理装置100に送信する。なお、端末装置120が送信する端末情報には、端末装置にて、加速度情報から判断した「動作」、「歩行」、「放置」などの状態情報を含んでいてもよい。
【0118】
例えば、
図12に示すように、センサ307が検出する加速度情報1201は、端末装置120を所持する人物が何らかの動作をしているときには、時間と共に加速度が変化し、人物が歩行しているときには、周期的に加速度が変化する。さらに、端末装置120が、机の上等に放置されている場合や、充電中等には、加速度は殆ど変化しない。従って、情報処理装置100の判定部506は、例えば、
図9(A)、(B)で説明した避難状況の判定処理に加えて、端末情報に含まれる加速度情報を用いて、「端末放置」、「避難中」等の状態を判断することができる。
【0119】
例えば、判定部506は、
図9(A)のステップS903において、端末情報に避難場所の音波IDが含まれておらず、端末情報に含まれる加速度情報により、端末装置120が「放置」を示す場合、避難状況を「端末放置」と判断する。一方、判定部506は、端末情報に含まれる加速度情報が、「動作」、又は「歩行」を示す場合、避難状況を「避難中」と判断する。
【0120】
また、情報提供部507は、例えば、
図11(A)、(B)に示すような提供情報を表示するウェブページを提供するウェブサーバとして機能し、防災担当者等が利用する情報端末等のウェブブラウザに、
図11(A)、(B)に示すような提供情報を表示させる。或いは、情報提供部507は、
図11(A)、(B)に示すような提供情報を、電子メール等で、防災担当者等が利用する情報端末等に送信しても良い。
【0121】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、情報処理装置100の情報提供部507が、避難が完了していない人物の端末装置120に、例えば、避難経路、避難場所等の提供情報を提供する場合の例について説明する。
【0122】
<処理の流れ>
図13は、第2の実施形態に係る情報処理装置の処理の例を示すフローチャートである。なお、
図13に示す処理のうち、ステップS901~S904の処理は、
図9(A)で説明した第1の実施形態に係る避難状況の判定処理と同様なので、ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明を行う。
【0123】
ステップS903において、端末装置120から受信した端末情報に避難場所の音波IDが含まれていない場合、情報処理装置100の判定部506は、ステップS1301、S1302の処理を実行する。
【0124】
ステップS1301において、判定部506は、端末装置120に対応する人物の避難が完了していないと判定する。
【0125】
ステップS1302において、情報処理装置100の情報提供部507は、例えば、避難場所の情報、避難経路の情報、災害に関する情報等の提供情報を含む表示画面を、端末装置120に表示させる。
【0126】
(表示画面の例)
図14は、一実施形態に係る端末装置が表示する表示画面の例を示す図である。
図14(A)~(F)は、例えば、
図13のステップS1302において、情報処理装置100の情報提供部507が、端末装置120に表示させる表示画面の例を示している。
【0127】
図14(A)の例では、表示画面1410には、火事が発生したこと、火事が発生した場所等を含む災害の情報1411が表示されている。この災害の情報1411により、端末装置120を所持する人物は、火災が発生した場所を把握し、どのように行動すべきかを判断することができる。
【0128】
図14(B)の例では、表示画面1420には、災害の情報に加えて、避難場所1421の情報、及び避難経路1422の情報等が表示されている。
【0129】
好ましくは、情報提供部507は、
図6A(A)に示すような端末情報610と、
図6A(B)に示すような音波情報とを用いて、端末装置120が音波IDを取得した場所を特定し、特定した場所に応じた避難経路1422の情報を表示画面1420に表示させる。
【0130】
また、好ましくは、情報提供部507は、例えば、
図13のステップS904で、避難が完了したと判定した人物に対応する端末装置120に、
図14(C)に示すような、避難が完了したことを示す情報1431を含む表示画面1430を表示させる。
【0131】
図14(D)の例では、表示画面1440には、災害の情報、避難場所の情報、及び避難経路の情報に加えて、避難の開始を指示する避難指示1441が表示されている。例えば、A棟の5階で火災が発生した場合、情報提供部507は、比較的危険度が高いA棟4~5階にいる人物に対応する端末装置120に、避難指示1441を含む表示画面1440を表示させる。
【0132】
好ましくは、情報提供部507は、比較的危険度が低い場所にいる人物に対応する端末装置120には、避難指示1441を含まない表示画面を表示させる。これにより、比較的危険度が低い場所にいる人物が避難を開始して、比較的危険度が高い場所にいる人物の避難の妨げとなることを抑制することができる。
【0133】
(表示画面の表示方法1)
ここでは、情報提供部507が、例えば、
図14(A)~(D)に示すような表示画面を、端末装置120を表示させる方法の一例について説明する。
【0134】
情報処理装置100の情報提供部507は、表示画面を作成し、通信ネットワーク2を介して、端末装置120に送信することにより、例えば、
図14(A)~(D)に示すような表示画面を端末装置120に表示させても良い。
【0135】
好ましくは、情報提供部507は、火災が発生した場所等に応じて、比較的危険度が高い場所にある端末装置120に対して、優先的に避難経路の情報、避難指示等の情報を表示させる。
【0136】
例えば、
図7に示すような施設10のA棟5階で火災が発生したものとする。この場合、情報提供部507は、例えば、
図15(A)に示すような管理情報1501を用いて、区画毎に、優先度や避難順等を決定し、優先度や避難順等に応じた表示画面を端末装置120に表示させても良い。
【0137】
図15(A)の例では、情報提供部507は、火災が発生したA棟5階、及びA棟5階に近いA棟6階の優先度を「高」としている。また、情報提供部507は、例えば、A棟5階、6階に対応する音波ID「150」、「160」を取得した端末装置120に、
図14(D)に示すような、避難指示1441、避難経路等を含む表示画面1440を表示させる。好ましくは、情報提供部507は、管理情報1501の「避難順」に従って、A棟5階、A棟6階の順に、表示画面1440を表示させる。
【0138】
また、
図15(A)の例では、情報提供部507は、比較的危険度が低いA棟1階、A棟2階の優先度を「低」としている。また、情報提供部507は、例えば、A棟1階、2階に対応する音波ID「110」、「120」を取得した端末装置120に、
図14(A)に示すような災害の情報1411を含む表示画面1410を表示させる。
【0139】
同様に、情報提供部507は、A棟9階の優先度を「中」として、音波ID「190」を取得した端末装置120に、例えば、
図14(B)に示すような、避難経路1422の情報を含む表示画面1420を表示させる。
【0140】
さらに、
図15(A)の例では、情報提供部507は、A棟以外の建物(例えば、B棟、C棟等)には特に危険がないと判断し、B棟、C棟に対応する音波IDを取得した端末装置120には、表示画面を表示させない。ただし、これに限られず、情報提供部507は、B棟、C棟に対応する音波IDを取得した端末装置120にも、例えば、
図14(A)に示すような災害の情報1411を含む表示画面1410を表示させても良い。
【0141】
(表示画面の表示方法2)
続いて、情報提供部507が、例えば、
図14(A)~(D)に示すような表示画面を、端末装置120を表示させる方法の別の一例について説明する。
【0142】
情報処理装置100、及び端末装置120は、例えば、
図15(B)に示すような、音波IDと、提供情報とを対応付けた対応情報1502を、予め記憶部等に記憶しているものとする。
【0143】
また、情報処理装置100の情報提供部507は、例えば、A棟9階で出力されている音波ID「190」を取得した端末装置120に、例えば、A棟5階で発生したことを示す情報、及びA棟9階の避難経路1422を含む表示画面1420を表示させるものとする。
【0144】
この場合、情報提供部507は、A棟9階に設置された音波出力装置110に、音波ID「190」に加えて、音波ID「005」、「109」を含む音波を出力させる。
【0145】
一方、端末装置120の表示制御部525は、音波解析部523が、音波ID「005」、「109」を取得すると、例えば、
図15(B)に示すような対応情報1502から、「火災情報(A棟5階)」、「A棟9階の避難経路」の情報を取得する。また、表示制御部525は、取得した「火災情報(A棟5階)」、「A棟9階の避難経路」の情報を用いて、例えば、
図14(B)に示すような、表示画面1420を作成し、ディスプレイ317等に表示する。
【0146】
このように、情報提供部507は、音波出力装置110が出力する音波に含まれる音波IDを利用して、端末装置120に様々な提供情報を表示させるものであっても良い。
【0147】
本実施形態によれば、情報処理システム1は、避難を完了していない人物が所持する端末装置120に、例えば、避難場所の情報、避難経路の情報、避難を指示する情報、災害の情報等の様々な情報を提供して、避難を促すことができるようになる。
【0148】
[第3の実施形態]
第2の実施形態では、1つのフロアを、1つの区画として管理しているものとして説明したが、情報処理システム1は、例えば、
図16(A)に示すように、1つのフロアを複数の区画に分けて管理しても良い。
【0149】
図16(A)の例では、情報処理装置100は、A棟の1つのフロア1601を、区画1~区画4の4つの区画に分割し、各区画の情報と、各区画からの避難経路1602とを、記憶部508等に記憶して管理しているものとする。
【0150】
また、情報処理装置100の音波情報管理部503は、例えば、
図16(B)に示すような音波情報620を、記憶部508等に記憶して管理しているものとする。この音波情報620に従って、区画1に設置された音波出力装置110は、区画1内に音波ID「111」を含む音波を出力し、区画2に設置された音波出力装置110は、区画2内に音波ID「112」を含む音波を出力しているものとする。また、区画3に設置された音波出力装置110は、区画3内に音波ID「113」を含む音波を出力し、区画4に設置された音波出力装置110は、区画4内に音波ID「114」を含む音波を出力しているものとする。
【0151】
この場合、情報処理装置100の情報提供部507は、音波ID「111」を含む端末情報を送信した端末装置120に対して、例えば、
図17(A)に示すような、避難経路を示す表示画面1710を表示させることができる。また、情報提供部507は、音波ID「112」を含む端末情報を送信した端末装置120に対して、例えば、
図17(B)に示すような、避難経路を示す表示画面1720を表示させることができる。
【0152】
同様に、情報提供部507は、音波ID「113」を含む端末情報を送信した端末装置120に対して、例えば、
図17(C)に示すような、避難経路を示す表示画面1730を表示させることができる。また、情報提供部507は、音波ID「114」を含む端末情報を送信した端末装置120に対して、例えば、
図17(D)に示すような、避難経路を示す表示画面1740を表示させることができる。
【0153】
このように、本実施形態に係る情報処理装置100は、例えば、1つのフロアが複数の部屋等に分割されている場合でも、より適切な避難経路を示す表示画面を、端末装置120に表示させることができる。
【0154】
[第4の実施形態]
第3の実施形態では、情報処理装置100が、例えば、
図16(B)に示すように、1つの区画に対して、1つの避難経路を対応付けて管理していた。
【0155】
第4の実施形態では、音波情報管理部503が、例えば、火災が発生していないときの避難経路と、火災が発生しているときの避難経路等、1つの区画に対して複数の避難経路を管理している場合の例について説明する。第4の実施形態に係る情報処理装置100は、例えば、
図16(A)に示すような避難経路1602の情報に加えて、
図18(A)に示すような、火災発生時の避難経路1801の情報を、記憶部508等に記憶して管理しているものとする。
【0156】
また、情報処理装置100の情報提供部507は、区画3で火災が発生していないとき、区画3にある端末装置120に、
図16(A)に示すような避難経路1602に従って、
図19(A)に示すような避難経路を示す表示画面1910を表示させることができる。
【0157】
一方、情報処理装置100の情報提供部507は、区画3で火災が発生しているとき、区画3にある端末装置120に、
図18(A)に示すような避難経路1801に従って、
図19(B)に示すような避難経路を示す表示画面1920を表示させることができる。
【0158】
例えば、情報提供部507は、
図19(B)に示すような表示画面1920を、通信ネットワーク2を介して、端末装置120に送信することにより、端末装置120に表示画面1920を表示させる。
【0159】
或いは、情報提供部507は、例えば、
図18(B)に示すような管理情報1802を用いて、火災が発生している区画3に設置された音波出力装置110に音波ID「1132」を出力させるものであっても良い。
【0160】
この場合、区画3にある端末装置120は、音波ID「1132」と対応付けて、記憶部527等に予め記憶した、
図19(B)に示すような表示画面1920を、ディスプレイ317等に表示させる。
【0161】
本実施形態によれば、情報処理システム1は、例えば、
図19(B)に示す表示画面1920のように、災害が発生している場所を回避する避難経路を含む表示画面を、端末装置120に提供することができる。
【0162】
以上、本発明の各実施形態によれば、施設10内の人物の避難状況を判定する情報処理システム1において、避難場所へ移動する際のICカードの読み取り操作等によらずに、施設10内の人物の避難状況を正しく判定できるようになる。
【0163】
また、情報処理システム1は、避難が完了していない施設10内の人物が所持する端末装置120に、避難経路の情報、避難場所の情報、災害の情報等を含む表示画面を表示させることができるようになる。
【0164】
<補足>
上記で説明した各実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0165】
また、実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものに過ぎない。ある実施形態では、情報処理装置100は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。同様に、入出管理システム102は、互いに通信するように構成された複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0166】
さらに、情報処理装置100及び入出管理システム102は、開示された処理ステップ、例えば
図13を様々な組合せで共有するように構成できる。例えば、所定のユニットによって実行されるプロセスは、端末装置120によって実行され得る。同様に、所定のユニットの機能は、入出管理システム102によって実行することができる。また、情報処理装置100及び入出管理システム102の各要素は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【符号の説明】
【0167】
1 情報処理システム
10 施設
100 情報処理装置
110、110a、110b、110c 音波出力装置
120、120a、120b、120c 端末装置
307 センサ
502 端末情報受信部
503 音波情報管理部
506 判定部
507 情報提供部
508 記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0168】
【文献】特開2014-160381号公報
【文献】特開2008-167234号公報