(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】積層体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/08 20060101AFI20240312BHJP
B32B 27/38 20060101ALI20240312BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240312BHJP
C08G 59/50 20060101ALN20240312BHJP
【FI】
B32B15/08 J
B32B27/38
H05K1/03 610L
C08G59/50
(21)【出願番号】P 2020018346
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 勝司
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 靖
(72)【発明者】
【氏名】松井 純
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-189798(JP,A)
【文献】特開2002-322457(JP,A)
【文献】特開2005-320477(JP,A)
【文献】国際公開第2020/095928(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
H05K 1/03
C08G59/00-59/72
C09J 1/00-201/00
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅箔と、エポキシ樹脂シート(A)と、キャリアシート(B)とがこの順番で積層された積層体であって、
該エポキシ樹脂シート(A)
は、前記銅箔に積層する前のゲル分率が50~100%であり、かつ、
前記銅箔に積層する前の引張伸びが100%以上であ
り、
前記銅箔と前記エポキシ樹脂シート(A)との剥離強度が、4N/15mm幅以上であり、
前記積層体の撓み変化量が7.0mm以下、かつ、伸び率が20%以下である、積層体。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂シート(A)
は、前記銅箔に積層する前の100~200℃の引張貯蔵弾性率が1.0×10
4~6.0×10
7Paである、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂シート(A)と前記キャリアシート(B)との剥離強度が5N/15mm幅以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記キャリアシート(B)が、ポリエステルフィルムを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項5】
前記キャリアシート(B)が、離型層を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂シート(A)が、エポキシ樹脂と脂環式ポリアミンとを含むエポキシ樹脂組成物を硬化した硬化物よりなる、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂が、剛直成分と柔軟成分とのブロック構造を有する、請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
前記エポキシ樹脂シート(A)の厚さが10~500μmである、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体の片面から前記キャリアシート(B)を剥がした積層体。
【請求項10】
請求項9に記載の積層体を用いたフレキシブル積層板又はストレッチャブル積層板。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体から前記キャリアシート(B)を剥がすことにより前記銅箔と前記エポキシ樹脂シート(A)との積層体を得る工程を含む、積層体の製造方法。
【請求項12】
エポキシ樹脂シート(A)と、該エポキシ樹脂シート(A)の少なくとも片面にキャリアシート(B)とを備える積層体を得る工程と、
該積層体から前記キャリアシート(B)を剥がす工程と、
エポキシ樹脂シート(A)上に銅箔を積層して前記銅箔と前記エポキシ樹脂シート(A)との積層体を得る工程を含み、
該エポキシ樹脂シート(A)のゲル分率が50~100%であり、かつ、引張伸びが100%以上であり、
前記銅箔と前記エポキシ樹脂シート(A)との剥離強度が、4N/15mm幅以上であり、
前記積層体の撓み変化量が7.0mm以下、かつ、伸び率が20%以下である、積層体の製造方法。
【請求項13】
銅箔と、エポキシ樹脂シート(A)と、キャリアシート(B)とがこの順番で積層された積層体がコアに捲回された捲回体であって、
該エポキシ樹脂シート(A)
は、前記銅箔に積層する前のゲル分率が50~100%であり、かつ、
前記銅箔に積層する前の引張伸びが100%以上であり、
前記銅箔と前記エポキシ樹脂シート(A)との剥離強度が、4N/15mm幅以上であり、
前記積層体の撓み変化量が7.0mm以下、かつ、伸び率が20%以下である、捲回体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、耐熱性、接着性、耐水性、機械的強度及び電気特性等に優れていることから、様々な分野で使用されている。特に、電気・電子分野では、近年、電気・電子部品の小型化、精密化、高性能化に伴い、使用されるエポキシ樹脂に高度な成形性が要求されるようになってきた。最近では、フレキシブル積層板やストレッチャブル積層板等、より柔軟性を重視する用途への適応性も要求されるようになってきている。
【0003】
特許文献1には、特定の高可撓性エポキシ樹脂が開示されており、当該エポキシ樹脂を配合した樹脂組成物が、接着性及び電気特性をバランス良く備えながら、高い可撓性も有する硬化物を与えると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高可撓性のエポキシ樹脂硬化物を薄膜化して単層シートに成形すると、当該単層シートはフレキシブル性や伸縮性に優れるという利点を有する。
しかしながら、フレキシブル性や伸縮性が高いことは、同時に剛性が低いことも意味するので、前記単層シートはハンドリング性に劣るという側面がある。
また、フレキシブル積層板やストレッチャブル積層板の例として、伸縮性に優れるエポキシ樹脂シートに銅箔等の金属箔を積層したプリント配線板が挙げられる。このようなプリント配線板は、エポキシ樹脂シートと金属箔との密着性が高いことが求められる。
【0006】
そこで、本発明は、フレキシブル性やハンドリング性が良好であり、エポキシ樹脂シートと銅箔との密着性が高い積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の構成を有する積層体を用いれば、上述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の[1]~[13]に関する。
[1] 銅箔と、エポキシ樹脂シート(A)と、キャリアシート(B)とがこの順番で積層された積層体であって、
該エポキシ樹脂シート(A)のゲル分率が50~100%であり、かつ、引張伸びが100%以上である、積層体。
[2] 前記エポキシ樹脂シート(A)の100~200℃の引張貯蔵弾性率が1.0×104~6.0×107Paである、上記[1]に記載の積層体。
[3] 前記エポキシ樹脂シート(A)と前記キャリアシート(B)との剥離強度が5N/15mm幅以下である、上記[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記キャリアシート(B)が、ポリエステルフィルムを含む、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の積層体。
[5] 前記キャリアシート(B)が、離型層を含む、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の積層体。
[6] 前記エポキシ樹脂シート(A)が、エポキシ樹脂と脂環式ポリアミンとを含むエポキシ樹脂組成物を硬化した硬化物よりなる、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の積層体。
[7] 前記エポキシ樹脂が、剛直成分と柔軟成分とのブロック構造を有する、上記[6]に記載の積層体。
[8] 前記エポキシ樹脂シート(A)の厚さが10~500μmである、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の積層体。
[9] 上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の積層体の片面から前記キャリアシート(B)を剥がした積層体。
[10] 上記[9]に記載の積層体を用いたフレキシブル積層板又はストレッチャブル積層板。
[11] 上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の積層体から前記キャリアシート(B)を剥がすことにより前記銅箔と前記エポキシ樹脂シート(A)との積層体を得る工程を含む、積層体の製造方法。
[12] エポキシ樹脂シート(A)と、該エポキシ樹脂シート(A)の少なくとも片面にキャリアシート(B)とを備える積層体を得る工程と、
該積層体から前記キャリアシート(B)を剥がす工程と、
エポキシ樹脂シート(A)上に銅箔を積層して前記銅箔と前記エポキシ樹脂シート(A)との積層体を得る工程を含み、
該エポキシ樹脂シート(A)のゲル分率が50~100%であり、かつ、引張伸びが100%以上である、積層体の製造方法。
[13] 銅箔と、エポキシ樹脂シート(A)と、キャリアシート(B)とがこの順番で積層された積層体がコアに捲回された捲回体であって、
該エポキシ樹脂シート(A)のゲル分率が50~100%であり、かつ、引張伸びが100%以上である、捲回体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フレキシブル性やハンドリング性が良好であり、エポキシ樹脂シートと銅箔との密着性が高い積層体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0011】
<本発明の概要>
本発明の積層体は、銅箔と、エポキシ樹脂シート(A)と、キャリアシート(B)とがこの順番で積層された積層体であって、
該エポキシ樹脂シート(A)のゲル分率が50~100%であり、かつ、引張伸びが100%以上である。
【0012】
本発明の積層体は、エポキシ樹脂シート(A)の片面にキャリアシート(B)を設けることで、例えばRoll to Rollのような連続二次加工工程を行った場合に、エポキシ樹脂シート(A)に伸び、撓み、シワ等が生じないようにすることができる。
【0013】
本発明の積層体は、エポキシ樹脂シート(A)のゲル分率が50~100%であることにより、銅箔との密着性が良好となる。
【0014】
本発明のエポキシ樹脂シート(A)の引張伸びは100%以上である。一方、一般的なエポキシ樹脂シートの引張伸びは10%程度である。
したがって、本発明が対象とするエポキシ樹脂シート(A)は、一般的なエポキシ樹脂シートに比べて遥かに柔軟であり、特殊なエポキシ樹脂シートと位置付けることができる。
本発明は、柔軟なエポキシ樹脂シート(A)であるからこそ生じる課題、すなわち二次加工中における伸び、撓み、シワ発生等の不具合が生じハンドリング性が不良となる課題を解消した発明である。剛直な特性を有する一般的なエポキシ樹脂シートであれば、そもそも二次加工自体が容易であるので、二次加工におけるハンドリング性が問題となることはない。
【0015】
以下、本発明の積層体が備える銅箔、エポキシ樹脂シート(A)及びキャリアシート(B)の詳細について説明する。
【0016】
<銅箔>
1.物性
本発明において、銅箔の厚さは、好ましくは1~5000μmであり、より好ましくは5~500μmであり、さらに好ましくは10~200μmである。
銅箔の厚さが上記数値範囲内であることにより、本発明の積層体をフレキシブル積層板又はストレッチャブル積層板用として好適に用いることができる。
銅箔の厚さ(平均厚さ)は、マイクロメータによって測定できる。
【0017】
2.銅箔の形態
本発明において、銅箔としては、例えばタフピッチ銅(JIS H3100 C1100)、無酸素銅(JIS H3100 C1020、JIS H3510 C1011)、りん脱酸銅(JIS H3100 C1220、C1201)が挙げられる。
また、タフピッチ銅、無酸素銅又はりん脱酸銅をベースとした銅合金箔を用いてもよい。当該銅合金箔は、具体的には、Ag、Zn、Zr、Cr、Ti及びSnのうち1種又は2種以上を合計で10~500質量ppm含む銅合金箔が挙げられる。
【0018】
<エポキシ樹脂シート(A)>
1.物性
本発明において、エポキシ樹脂シート(A)は、ゲル分率が50~100%であり、かつ、引張伸びが100%以上であり、伸縮性に優れるシートである。
【0019】
本発明において、エポキシ樹脂シート(A)のゲル分率は50~100%であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上である。上限値については、好ましくは95%以下である。
エポキシ樹脂シート(A)のゲル分率が上記数値範囲内であることにより、銅箔との密着性が良好となる。また、エポキシ樹脂シート(A)が半硬化(特に限定されないが、例えばゲル分率が80%以下)であると、本発明の積層体を捲回体とすることが容易となったり、二次加工性が良好となったりする場合がある。
エポキシ樹脂シート(A)のゲル分率は、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
【0020】
本発明において、エポキシ樹脂シート(A)の引張伸びは100%以上であり、好ましくは150%以上であり、より好ましくは200%以上であり、さらに好ましくは300%以上である。上限値については、好ましくは500%以下である。
エポキシ樹脂シート(A)の引張伸びは、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
【0021】
本発明において、エポキシ樹脂シート(A)の100~200℃の引張貯蔵弾性率は、好ましくは1.0×104~6.0×107Paであり、より好ましくは6.0×104~1.0×107Paであり、さらに好ましくは4.0×105~9.0×106Paである。なお、「100~200℃の引張貯蔵弾性率が1.0×104~6.0×107Pa」とは、100~200℃の全温度範囲において、引張貯蔵弾性率が1.0×104Pa以上、かつ、6.0×107Pa以下の値を維持することを意味する。他の数値範囲の場合についても同様に取り扱うものとする。
エポキシ樹脂シート(A)の引張貯蔵弾性率及び引張伸びは、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
【0022】
本発明において、エポキシ樹脂シート(A)の厚さは、好ましくは10~500μmであり、より好ましくは20~400μmであり、さらに好ましくは30~300μmであり、よりさらに好ましくは50~200μmである。
エポキシ樹脂シート(A)の厚さ(平均厚さ)は、マイクロメータによって測定され、それらの算術平均により求められる。
【0023】
2.エポキシ樹脂シート(A)の形態
本発明において、エポキシ樹脂シート(A)は、エポキシ樹脂組成物を硬化した硬化物よりなるシート状の成形体である。ここでいう「硬化」とは、熱及び/又は光等によってエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂を意図的に硬化させることを意味するものであり、例えば硬化前のエポキシ樹脂シート(A)を長期に保管することによって、熱や光による経時的な影響で徐々に硬化するような場合も包含する。
【0024】
なお、本明細書において「エポキシ樹脂」という用語は、硬化前の原料樹脂と、硬化後の樹脂(硬化物)の双方をいう。硬化反応によってエポキシ基は消費されるため、硬化後の樹脂はエポキシ基(エポキシ構造)を有していない場合があるが、本明細書においてはこれらを区別しない。
【0025】
以下、本発明において好適に用いられるエポキシ樹脂組成物(以下、「エポキシ樹脂組成物(a)」ともいう)について、詳細に説明する。ただし、本発明において用いられるエポキシ樹脂組成物は、以下のエポキシ樹脂組成物(a)に限定されない。
【0026】
(1)エポキシ樹脂組成物(a)
エポキシ樹脂組成物(a)は、エポキシ樹脂と、硬化剤とを少なくとも含み、必要に応じて溶剤やその他の成分を適宜配合することができる。
以下、エポキシ樹脂、硬化剤、溶剤及びその他の成分について詳細に説明する。
【0027】
(1-1)エポキシ樹脂
本発明において、エポキシ樹脂組成物(a)は、エポキシ樹脂として、剛直成分と柔軟成分とのブロック構造を有するエポキシ樹脂(以下、「エポキシ樹脂(α)」という)を含有することが好ましい。
剛直成分は、芳香族性を有する環構造、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環などの縮合芳香環構造や、ビフェノール環、カルド構造、フルオレン環などの芳香環構造を多数含む構造や、ピロール環、チオフェン環などのヘテロ環式構造を含むことが好ましい。
柔軟成分は、脂肪族炭化水素、例えば炭素数1~8のアルキレン基、エチレングリコール基、プロピレングリコール基、ブチレングリコール基を含むことが好ましい。
このようなエポキシ樹脂(α)を含むことで、硬化物に柔軟性を付与することが可能となる。
【0028】
なお、エポキシ樹脂(α)は、必ずしも剛直成分と柔軟成分の双方にエポキシ基又はエポキシ基由来の構造を有していなくともよい。
すなわち、エポキシ樹脂(α)は、少なくとも剛直成分及び柔軟成分のうちいずれかにエポキシ基あるいはエポキシ基由来の構造を有していればよい。耐熱性、機械的強度等のエポキシ樹脂本来の特性を有しつつ、柔軟性を付与するという観点からは、剛直成分と柔軟成分のうちいずれか一方のみにエポキシ基あるいはエポキシ基由来の構造を有していることが好ましい。
【0029】
具体的なエポキシ樹脂(α)として、例えばビスフェノールFと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールとビスフェノールFジグリシジルエーテルとの共重合体、ビスフェノールFと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールとビスフェノールFジグリシジルエーテルとの共重合体、ビスフェノールAと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールとビスフェノールAジグリシジルエーテルとの共重合体、ビスフェノールAと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールとビスフェノールAジグリシジルエーテルとの共重合体、テトラメチルビフェノールと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールとテトラメチルビフェノールジグリシジルエーテルとの共重合体、テトラメチルビフェノールと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールとテトラメチルビフェノールジグリシジルエーテルとの共重合体、ビフェノールと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールとビフェノールジグリシジルエーテルとの共重合体、ビフェノールと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールとビフェノールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ナフタレンジオールと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールと1,4-ナフタレンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ナフタレンジオールと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールと1,4-ナフタレンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ナフタレンジオールと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ヘキサンジオールと1,6-ナフタレンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,6-ナフタレンジオールと1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体、1,4-ブタンジオールと1,6-ナフタレンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。これらの中でも、柔軟性の観点から、エポキシ樹脂(α)は、ビスフェノールFと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体を含むことが好ましい。
【0030】
また、本発明において、エポキシ樹脂組成物(a)は、エポキシ樹脂として、上記エポキシ樹脂(α)以外のエポキシ樹脂(以下、「エポキシ樹脂(β)」という)を含有してもよい。
エポキシ樹脂(β)としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
【0031】
エポキシ樹脂組成物(a)は、エポキシ樹脂として、エポキシ樹脂(α)のみを含むもの、エポキシ樹脂(α)とエポキシ樹脂(β)とを含有するもの、エポキシ樹脂(β)のみを含むもののいずれであってもよい。
【0032】
エポキシ樹脂組成物(a)が、エポキシ樹脂(α)とエポキシ樹脂(β)とを含有する場合、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ成分中のエポキシ樹脂(β)の割合は、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。上限値については、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下である。
エポキシ樹脂(β)の割合が上記下限値以上であることにより、エポキシ樹脂(β)を配合することによる物性向上効果を十分に得ることができる。一方、エポキシ樹脂(β)の割合が上記上限値以下であることにより、エポキシ樹脂(α)による柔軟性、可撓性向上効果を十分に得ることができる。
【0033】
本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ樹脂ないしエポキシ化合物のみならず、半固形や粘稠な液状物をも含むものとする。
また、「全エポキシ成分」とは、エポキシ樹脂(α)と前述のエポキシ樹脂(β)との合計を意味する。
【0034】
(1-2)硬化剤
本発明で用いる硬化剤は、上記のエポキシ樹脂のエポキシ基と、エポキシ基と反応性を有する基との架橋反応に寄与するものをいう。硬化剤としては特に制限はなく、一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。
例えばフェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾールおよびその誘導体、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。これらの中でも、高透明性及び着色が少ない観点から、硬化剤としては、脂環式構造を有する硬化剤が好ましい。
【0035】
脂環式構造を有する硬化剤としては、脂環式構造を有し、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であればよい。
具体的には、例えば脂環式ポリアミン、脂環式酸無水物等が挙げられる。
より具体的には、脂環式ポリアミンとしては、1,4-ジアザビシクロ-2,2,2-オクタン、1,8-ジアザビシクロ-5,4,0-ウンデカ-7-エン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、メチレンビスシクロヘキサナミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、及びこれらの脂環式ポリアミンをエポキシ変性又はエチレンオキシド変性、ダイマー酸変性、マンニッヒ変性、マイケル付加、チオ尿素縮合、ケチミン化した変性脂環式ポリアミンが挙げられる。脂環式酸無水物としては、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
これらの中でも脂環式ポリアミンが好ましく、その中でもイソホロンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、メチレンビスシクロヘキサナミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、及びこれらの変性物が特に好ましい。
【0036】
脂環式構造を有する硬化剤は市販品を用いることもでき、例えば三菱ケミカル株式会社製「jERキュア113」、「jERキュアST-14」、新日本理化株式会社製「リカシッドMH-700」等を用いることができる。
【0037】
エポキシ樹脂組成物(a)における硬化剤の含有量(脂環式構造を有する硬化剤以外のその他の硬化剤を用いる場合は、脂環式構造を有する硬化剤とその他の硬化剤との合計の含有量)は、エポキシ樹脂(全エポキシ成分の合計の含有量)100質量部に対して好ましくは0.1~100質量部であり、より好ましくは80質量部以下であり、さらに好ましくは60質量部以下、特に好ましくは40質量部以下である。
【0038】
(1-3)溶剤
エポキシ樹脂組成物(a)には、塗膜形成時等の取り扱い時に、エポキシ樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。エポキシ樹脂組成物(a)において、溶剤は、エポキシ樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。
なお、本発明においては「溶剤」という語と「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、それぞれ独立して同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
【0039】
エポキシ樹脂組成物(a)が含み得る溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール等が挙げられ、これらの溶剤は適宜に2種又はそれ以上の混合溶剤として使用することも可能である。
【0040】
(1-4)その他の成分
エポキシ樹脂組成物(a)には、以上に挙げた成分の他にその他の成分を含有することができる。その他の成分はエポキシ樹脂組成物の所望の物性により適宜組み合わせて用いることができる。
【0041】
例えば、得られる硬化物の硬化収縮率を下げる効果、熱膨張率を低下させる効果等の各種特性を向上させることを目的に、エポキシ樹脂組成物(a)に無機充填材を配合し、電気・電子分野、特に液状半導体封止材への応用展開を図ることができる。靱性を付与するためにゴム粒子、アクリル粒子等の有機充填材も含んでもよい。
【0042】
使用できる無機充填材は、粉末状の補強剤や充填材、例えば酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、ケイ藻土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレイ、微粉末シリカ、溶融シリカ、ゼオライト等のケイ素化合物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、その他、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
無機充填材を添加する場合、エポキシ樹脂シート(A)の引張貯蔵弾性率を前記範囲内で確保することが必要である。これらの無機充填材の添加量は、エポキシ樹脂と硬化剤との和の100質量部に対して、900質量部以下が好ましい。下限値については特に限定されないが、1.0質量部以上が好ましい。
【0043】
さらに、繊維質の補強剤や充填材を配合することも可能である。例えばガラス繊維、セラミック繊維、カーボンファイバー、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、セルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタル等が挙げられる。
また、有機繊維、無機繊維のクロスあるいは不織布を用いることもできる。
【0044】
これらの無機充填材、繊維、クロス、不織布としては、それらの表面をシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤あるいはプライマーで処理する等の表面処理を行ったものも使用できる。
【0045】
さらに、エポキシ樹脂組成物(a)には、必要に応じて、カップリング剤、可塑剤、希釈剤、可撓性付与剤、分散剤、湿潤剤、着色剤、顔料、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤、酸化防止剤、脱泡剤、離型剤、流れ調整剤等を配合してもよい。
これらの配合量は、エポキシ樹脂と硬化剤との和の100質量部に対して、20質量部以下が好ましい。下限値については特に限定されないが、0.1質量部以上が好ましい。
【0046】
さらに、エポキシ樹脂組成物(a)には、最終的な塗膜における樹脂の性質を改善する目的で、必要に応じて種々の硬化性モノマー、オリゴマー及び合成樹脂を配合してもよい。
例えばシアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。
これら樹脂類の配合割合は、エポキシ樹脂組成物(a)の本来の性質を損なわない範囲の量、すなわちエポキシ樹脂と硬化剤の和の100質量部に対して、50質量部以下が好ましい。下限値については特に限定されないが、1.0質量部以上が好ましい。
【0047】
(2)好ましい実施形態
本発明のエポキシ樹脂シート(A)は、エポキシ樹脂と脂環式ポリアミンとを含むエポキシ樹脂組成物(a)を硬化した硬化物よりなることが好ましく、ビスフェノールFと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体と、脂環式ポリアミンとを含むエポキシ樹脂組成物(a)を硬化した硬化物よりなることが好ましい。
【0048】
<キャリアシート(B)>
1.物性
本発明において、キャリアシート(B)の厚さは、好ましくは1~500μmであり、より好ましくは5~300μmであり、さらに好ましくは10~150μmであり、よりさらに好ましくは20~120μmである。
キャリアシート(B)の厚さ(平均厚さ)は、マイクロメータによって測定され、それらの算術平均により求められる。
【0049】
2.キャリアシート(B)の形態
本発明において、キャリアシート(B)の基材としては、紙、樹脂、金属等を原料とした薄いシート状のものが挙げられる。
特に、安価で、加工しやすく、また廃棄やリサイクルしやすい点から、紙や樹脂などのシートが好ましく、透明性の点から、樹脂がより好ましい。
【0050】
紙としては、例えば上質紙、クラフト紙、グラシン紙、パーチメント紙及びスーパーカレンダードクラフト紙など表面にシリコーンコート処理されたものを用いることができる。
【0051】
樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリイミド又はポリカーボネートを主成分とするフィルムを用いることができる。これらの表面にシリコーン樹脂離型剤などを塗布して剥離強度を調整してもよい。
また、外観の点から、キャリアシート(B)は、ポリエステルを主成分とする樹脂フィルムを含むことが好ましい。本発明の要旨を越えない限り、前記樹脂フィルムは単層構成であっても2層以上の多層構成であってもよい。
なお、「主成分樹脂」とは、基材を構成する樹脂の中でも最も含有量の多い樹脂を意味し、具体的には50質量%以上、中でも70質量%以上、その中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂をいう。
【0052】
前記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。ポリエステルは、1種の芳香族ジカルボン酸と1種の脂肪族グリコールとからなるポリエステルであってもよく、1種以上の他の成分をさらに共重合させた共重合ポリエステルであってもよい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
一方、共重合ポリエステルの他の成分として用いるジカルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、セバシン酸が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。またp-オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸も用いることができる。
代表的なポリエステルとしては、テレフタル酸とエチレングリコールとを重縮合させて得られるポリエチレンテレフタレート、2,6-ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとを重縮合させて得られるポリエチレンナフタレート等が例示される。
ポリエステルフィルムは、無延伸フィルムでも延伸フィルムでもいいが、機械的強度の観点から延伸フィルムが好ましく、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。また、ポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
【0053】
また、キャリアシート(B)は、樹脂フィルムに加えて、エポキシ樹脂シート(A)と接触する側の最表面層として離型層をさらに含む構造であってもよい。キャリアシート(B)が樹脂フィルムに加えて離型層をさらに含むことで、エポキシ樹脂シート(A)とキャリアシート(B)との剥離強度を5N/15mm幅以下に調整することが容易となる。
【0054】
離型層の構成成分は特に制限されず、シリコーン化合物、フッ素化合物、ワックス類、界面活性剤などが含有されていてもよい。価格と離型性のバランスが良い面から、シリコーン化合物を用いることが好ましい。
更に、離型層の剥離性調整のために剥離コントロール剤を併用してもよい。
【0055】
ポリエステルフィルムと離型層とを含むキャリアシート(B)の市販品として入手できるものとしては、帝人フィルムソリューション株式会社製の「ピューレックスA31」や三菱ケミカル株式会社製の「MRF-38」、「MRF-75」が挙げられる。
【0056】
<積層体>
本発明の積層体は、銅箔、エポキシ樹脂シート(A)及びキャリアシート(B)がこの順番で積層されていればよく、本発明の効果を損なわない範囲でその他の層を備えていてもよい。その他の層としては、例えば粘着層、接着層、ハードコート層、バリア層等が例示される。
【0057】
本発明の積層体は、エポキシ樹脂シート(A)とキャリアシート(B)との剥離強度が好ましくは5N/15mm幅以下であり、より好ましくは3N/15mm幅以下であり、さらに好ましくは2N/15mm幅以下であり、よりさらに好ましくは1N/15mm幅以下である。下限値については、好ましくは0.03N/15mm幅以上である。
当該剥離強度が上記数値範囲内であることにより、キャリアシート(B)をエポキシ樹脂シート(A)から剥がす際に、エポキシ樹脂シート(A)の剥離面が破れたり欠けたりすることなく、伸縮性に優れる積層体を簡便に得ることができる。
【0058】
本発明の積層体は、銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との剥離強度が好ましくは4N/15mm幅以上であり、より好ましくは6N/15mm幅以上であり、さらに好ましくは8N/15mm幅以上である。上限値については、特に制限されないが、リサイクルなどにおける剥離回収など、剥離を必要とする場合は60N/15mm幅以下であることが好ましい。
当該剥離強度が上記数値範囲内であることにより、銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との密着性が良好となる。
【0059】
本発明の積層体は、特定のゲル分率及び引張伸びを有するエポキシ樹脂シート(A)と、キャリアシート(B)とを積層することで、耐撓み性(即ち、撓み変化量が小さい)を良好にすることができる。本発明の積層体の撓み変化量は、好ましくは7.0mm以下であり、より好ましくは6.0mm以下であり、さらに好ましくは5.0mm以下である。
積層体の撓み変化量は、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
【0060】
本発明の積層体は、特定のゲル分率及び引張伸びを有するエポキシ樹脂シート(A)と、キャリアシート(B)とを積層することで、耐伸び性を有することを良好にすることができる。積層体の伸び率は、好ましくは20%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
積層体の伸び率は、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
【0061】
本発明の積層体の厚さは、好ましくは30~1000μmであり、より好ましくは50~500μmであり、さらに好ましくは80~400μmであり、よりさらに好ましくは100~350μmである。
積層体の厚さ(平均厚さ)は、マイクロメータによって測定され、それらの算術平均により求められる。
【0062】
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法は特に制限されないが、キャリアシート(B)上にエポキシ樹脂シート(A)用の樹脂組成物(以下、「エポキシ樹脂組成物」ともいう)を塗布し、該エポキシ樹脂組成物を硬化してエポキシ樹脂シート(A)を形成する工程と、該エポキシ樹脂シート(A)上に銅箔を積層する工程とを含むことが好ましい。
【0063】
また、本発明の積層体の製造方法は、エポキシ樹脂シート(A)の両面にキャリアシート(B)を備える積層体を作製する工程と、該積層体から一方のキャリアシート(B)を剥がす工程と、該エポキシ樹脂シート(A)の剥離面上に銅箔を積層する工程とを含んでもよい。
エポキシ樹脂シート(A)の両面にキャリアシート(B)を備える積層体を作製する場合には、以下の製造方法1及び製造方法2が挙げられる。
製造方法1:第一キャリアシート(B1)上にエポキシ樹脂組成物を塗布し、該エポキシ樹脂組成物を硬化してエポキシ樹脂シート(A)を形成した後、該エポキシ樹脂シート(A)の該第一キャリアシート(B1)が設けられた面と反対の面に対して、第二キャリアシート(B2)を張り合わせる方法。
製造方法2:第一キャリアシート(B1)上にエポキシ樹脂組成物を塗布し、該エポキシ樹脂組成物の該第一キャリアシート(B1)が設けられた面と反対の面に対して、第二キャリアシート(B2)を張り合わせた後、該エポキシ樹脂組成物を硬化してエポキシ樹脂シート(A)を形成する方法。
【0064】
エポキシ樹脂シート(A)は、エポキシ樹脂組成物を所定の厚さのシート状に調整した状態で硬化させることにより製造することができる。あるいは、エポキシ樹脂組成物より得られた半硬化物を所定の厚さのシート状に成形すると共にさらに硬化させることにより製造することができる。
【0065】
エポキシ樹脂組成物の硬化方法は、エポキシ樹脂組成物中の配合成分や配合量、配合物の形状(例えばシートの厚さ)によっても異なるが、通常、23~200℃で5分間~24時間の加熱条件が挙げられる。
この加熱は、20~160℃で5分間~24時間の一次加熱と、一次加熱温度よりも40~180℃高い60~200℃で5分間~24時間の二次加熱との二段処理で行うことが好ましい。硬化不良を少なくするために、さらに二次加熱温度よりも高い100~200℃で5分間~24時間の三次加熱を行う三段処理を行ってもよい。
【0066】
硬化物を半硬化物として製造する際には、加熱等により形状が保てる程度にエポキシ樹脂組成物の硬化反応を進行させればよい。エポキシ樹脂組成物が溶剤を含んでいる場合には、加熱、減圧、風乾等の手法で大部分の溶剤を除去するが、半硬化物中に5質量%以下の溶剤を残留させてもよい。
なお、本発明のエポキシ樹脂シート(A)は、ゲル分率及び引張伸びが前記数値範囲内のものであれば半硬化の状態のものであってもよい。エポキシ樹脂シート(A)が半硬化の状態であれば、捲回体とすることが容易となったり、二次加工性が良好となったりする場合がある。
【0067】
エポキシ樹脂シート(A)に銅箔を積層する方法としては、例えばエポキシ樹脂シート(A)上に銅箔を重ね、カレンダーや金属ロールでの熱ラミネート、真空プレス機などを用いて熱プレス成型を行う方法や、エポキシ樹脂シート(A)上に、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法など公知の方法にて導電性ペーストを塗布する方法が挙げられる。
【0068】
また、本発明の積層体からキャリアシート(B)を剥がして銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との積層体を得てもよい。
すなわち、本発明における銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との積層体の製造方法は、上記製造方法で得られた銅箔とエポキシ樹脂シート(A)とキャリアシート(B)とがこの順番で積層された積層体から、キャリアシート(B)を剥がすことにより、銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との積層体を得る工程を含んでもよい。
【0069】
本発明における銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との積層体の製造方法は、エポキシ樹脂シート(A)と、該エポキシ樹脂シート(A)の少なくとも片面にキャリアシート(B)を備える積層体を得る工程と、該積層体からキャリアシート(B)を剥がす工程と、エポキシ樹脂シート(A)上に銅箔を積層して銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との積層体を得る工程を含んでもよい。
【0070】
本発明の製造方法で得られた積層体は表面の外観が損なわれていないため、電気・電子分野のような精密度が求められる用途においても好適に使用することができる。例えば、柔軟性が重視されるフレキシブル積層板又はストレッチャブル積層板に用いることができる。
【0071】
ほかにも、本発明の積層体は、電子・電気部材用途として、緩衝材、粘着シート、伸縮テープ、圧力センサーをはじめとした各種センサー基板などに用いることもできる。
粘着シートは、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示パネルと、その使用状態の前面側(視認側)に配置される保護パネルやタッチパネル等のパネル部材との空隙を充填する充填材として用いることができる。
【0072】
<捲回体>
本発明の捲回体は、銅箔と、エポキシ樹脂シート(A)と、キャリアシート(B)とを備える積層体がコアに捲回された捲回体であって、該エポキシ樹脂シート(A)のゲル分率が50~100%であり、かつ、引張伸びが100%以上である。
好ましい態様は、前記した本発明の積層体の場合と同様である。
【0073】
前述のとおり、一般的なエポキシ樹脂シートの引張伸びは10%程度であるが、このような特性のエポキシ樹脂シートは硬過ぎて、そもそも捲回体とする際にシワや割れなどの不具合が生じるおそれがある。本発明の捲回体は、柔軟であるエポキシ樹脂シート(A)を用いることにより、好適に捲回体とすることができる。
【0074】
本発明の捲回体において、積層体の長さは、好ましくは10m以上であり、より好ましくは20m以上である。積層体の長さが10m以上であることによって、例えばフレキシブル積層板又はストレッチャブル積層板として用いる場合、電子部材を連続して生産することが可能であり、連続製膜性に優れる。なお、前記長さの上限は特に限定されないが、1000m以下が好ましい。
【0075】
<コア>
コアは、積層体の巻き取りに用いられる円柱形状の巻芯である。
コアの素材としては、例えば紙、樹脂含浸紙、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、繊維強化プラスチック(FRP)、フェノール樹脂、無機物含有樹脂等が挙げられる。コアには、接着剤を使用してもよい。
【0076】
コアの素材としては、特に限定されないが、熱膨張係数が小さく、剛性が高く、湿度に対する膨潤性が低く、かつ、捲回性に優れるという観点から、ABS樹脂、FRP、フェノール樹脂又は無機物含有樹脂であることが好ましく、軽量性や粉塵による異物混入が少ないABS樹脂又はFRPがより好ましい。
コアの素材が紙である場合、特に樹脂等でその表面を被覆することで、所望の特性が得られやすくなる。
コアは、表面平滑性の観点からは、樹脂含浸紙の管であることが好ましい。
【0077】
コアの外径(直径)は、好ましくは10mm以上2,000mm以下であり、より好ましくは15mm以上1,900mm以下であり、さらに好ましくは20mm以上1,700mm以下である。コアの幅が10mm以上であることにより、積層体がコアの品質による影響を受けやすいため、本実施形態では特に有用である。
【実施例】
【0078】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。以下において、「部」は全て「質量部」を示す。
【0079】
[各種分析・評価・測定方法]
以下における各種物性ないし特性の分析・評価・測定方法は次のとおりである。
【0080】
(1)引張伸び
エポキシ樹脂シート(A)の両面にキャリアシート(B)を備える積層体(以下、積層体(X)と記載する場合がある)のサンプルから2枚のキャリアシート(B)を剥離し、残ったエポキシ樹脂シート(A)を幅15mm×長さ150mmに切り出して試験片とした。JIS K7127に準じて、23℃、50%の環境下、試験速度200mm/minで試験片の引張試験を行い、その時の引張破断した際の伸び度を測定した。
【0081】
(2)引張貯蔵弾性率
JIS K7244に記載の動的粘弾性測定法により、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製「DVA-200」)を用い、周波数1Hz、昇温速度3℃/分、両持ち引張モードの測定条件で測定を行い、100℃、150℃、200℃における貯蔵弾性率E’を求めた。
測定は、積層体(X)のサンプル及び積層体(X)からキャリアシート(B)を剥離し、残ったエポキシ樹脂シート(A)のサンプルのそれぞれを対象に行った。
【0082】
(3)ゲル分率
積層体(X)のサンプルからキャリアシート(B)を剥離し、残ったエポキシ樹脂シート(A)を23℃条件下において0.3~0.5gの範囲内で切り出し、金網に設置した。その金網をアセトンに浸漬させた状態で48時間静置した。その後、アセトンから金網を取り出し、真空乾燥させた。サンプルの浸漬前の質量に対する、浸漬後の質量の割合をゲル分率とした。
なお、ウレタンシートのゲル分率も、上記と同様の方法で測定した。
【0083】
(4)エポキシ樹脂シート(A)とキャリアシート(B)との剥離強度
積層体(X)のサンプルを、幅15mm×長さ250mmに切り出して試験片とし、万能材料試験機(島津製作所製「AGS-X」)を用いて、試験速度50mm/minで、エポキシ樹脂シート(A)とキャリアシート(B)との界面についてT型剥離試験を行い、変位が30mm~60mm間の剥離力の平均値をエポキシ樹脂シート(A)とキャリアシート(B)との剥離強度とした。
【0084】
(5)銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との剥離強度
上記(4)でキャリアシート(B)を剥離した後のエポキシ樹脂シート(A)上に厚さ0.1mmのタフピッチ銅箔をハンドローラーで密着させ、150℃、1MPaの圧力で20分間加圧貼り合わせし、銅箔と、エポキシ樹脂シート(A)と、キャリアシート(B)とがこの順番で積層された積層体(Y)を作製した。積層体(Y)を試験片として、当該試験片についてT型剥離試験を上記(4)と同様に行い、変位が30mm~60mm間の剥離力の平均値を銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との剥離強度とした。
【0085】
(6)銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との剥離形態
上記(5)の剥離試験の結果から、銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との剥離形態を下記基準により評価した。
「界面」:銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との界面で容易に剥離可能
「材料破壊」:試験中にエポキシ樹脂シート(A)が破断する。
【0086】
(7)耐撓み性<固定端自重撓み測定>
積層体(X)のサンプルを、幅25mm×長さ300mmの短冊状に切り出して試験片とし、両側各75mm長さまでの部分は水平の机端部に置いた。標線間距離150mm部分は懸空の状態で、24℃の環境下において5分間放置し、中央部の自然に撓んだ端部と水平面の距離を測定した。試験片中央部と固定水平面との距離を撓み変化量とし、耐撓み性を下記基準により評価した。
なお、撓み変化量の値が小さいことは、例えば積層体を打ち抜き加工のような二次加工を行った際に、打ち抜いた積層体の湾曲(反り)が抑制されることに相当する。
A:撓み変化量の絶対値が0mm以上5.0mm以下
B:撓み変化量の絶対値が5.0mm超7.0mm以下
C:撓み変化量の絶対値が7.0mm超
【0087】
(8)耐伸び性
積層体(X)のサンプルを、幅12.5mm×長さ200mmの短冊状に切り出して試験片とした。
引張試験機を用いて、上記サンプルを標線間距離100mm、試験速度200mm/minで引張試験を行った。荷重が50Nにおける、各サンプルの伸び率を求めた。耐伸び性を下記基準により評価した。
なお、伸び率の値が低いことは、例えば積層体を打ち抜き加工のような二次加工を行った際に、打ち抜いた積層体の寸法安定性が良好であることに相当する。
A:伸び率が0%以上2.0%以下
B:伸び率が2.0%超20%以下
C:伸び率が20%超
【0088】
(9)厚さ
エポキシ樹脂シート(A)の厚さは、マイクロメータを用いてキャリアシート(B)2枚分の厚みを基準厚み(0μm)と設定し、A4サイズの積層体(X)のサンプルについて端部から幅方向に100mm間隔で3ヶ所の厚さを計測して、その平均値の整数値1桁目を四捨五入して算出することにより求めた。
また、積層体(X)の厚さは、上記で求めたエポキシ樹脂シート(A)の厚さと、キャリアシート(B)2枚の厚さの合計を算出することにより求めた。
積層体(Y)の厚さは、銅箔の厚さと、上記で求めたエポキシ樹脂シート(A)の厚さと、キャリアシート(B)の厚さの合計を算出することにより求めた。
【0089】
実施例及び比較例にて、エポキシ樹脂シート(A)、ウレタンシート及び積層体は以下のとおり作製した。
【0090】
<エポキシ樹脂シート(A)の使用材料>
(エポキシ樹脂(a))
エポキシ樹脂(a)として、以下の方法で調製したビスフェノールFと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体を用いた。
攪拌機、滴下ロート及び温度計を備えた1L容ガラス製フラスコに予め45℃に加熱した1,6-ヘキサンジオール141.8質量部、三弗化ホウ素エチルエーテル0.51質量部を仕込み、80℃まで加熱した。85℃以上にならない様に時間をかけてエピクロロヒドリン244.3質量部を滴下した。80~85℃に保ちながら1時間熟成を行った後、45℃まで冷却した。ここへ22質量%水酸化ナトリウム水溶液528.0質量部を加え、45℃で4時間激しく攪拌した。室温まで冷却して水相を分離除去し、減圧下加熱して未反応のエピクロロヒドリン、水を除去し、粗1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル283.6質量部を得た。
この粗1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルは、オールダショウ蒸留塔(15段)にて蒸留精製し、圧力1300Pa、170~190℃の留分を主留分とすることで、ガスクロマトグラフィ法によるジグリシジル体純度が97質量%、全塩素量が0.15質量%、エポキシ当量が116g/eqである1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを127.6質量部得た。
前記1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル100質量部、ビスフェノールF(フェノール性水酸基当量:100g/eq)69.3質量部、エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド(30質量%メチルセロソルブ溶液)0.13質量部を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、165~170℃で5時間、重合反応を行うことで、エポキシ当量が1,000g/eq、数平均分子量が3,000であるビスフェノールFと1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの共重合体を得た。
【0091】
(硬化剤)
硬化剤として、脂環式ポリアミン(三菱ケミカル株式会社製「jERキュアST-14」)(活性水素当量:85g/eq)を用いた。
【0092】
<ウレタンシート>
ウレタンシートとして、熱可塑性ポリウレタン樹脂シート(大倉工業株式会社製「SES85-NW」、厚さ80μm)を用いた。
【0093】
<キャリアシート(B)>
キャリアシート(B)として、PETフィルム(三菱ケミカル株式会社製、離型コートPETフィルム「MRF75」、厚さ75μm;ポリエステルフィルムと離型層とを含むキャリアシート)を用いた。
【0094】
<銅箔>
銅箔として、タフピッチ銅箔(C1100P、厚さ0.1mm)を用いた。
【0095】
<実施例1>
前記エポキシ樹脂(a)100質量部に、脂環式ポリアミンを8.5質量部配合してエポキシ樹脂組成物を調製した。第1のキャリアシート(B)の離型層上にこのエポキシ樹脂組成物を塗布し、所望の厚さになるようにクリアランスを調整した2本の熱ロールを用いてラミネートして第2のキャリアシート(B)を張り合わせた。得られたサンプルを40℃で16時間一次加熱処理をして、さらに80℃で3時間二次加熱処理を行い、エポキシ樹脂シート(A)の両面にキャリアシート(B)を備える積層体(X1)を作製した。
【0096】
<実施例2>
40℃16時間の加熱処理のみを行ったこと以外は、実施例1と同様にして積層体(X2)を作製した。
【0097】
<実施例3>
25℃144時間の加熱処理のみを行ったこと以外は、実施例1と同様にして積層体(X3)を作製した。
【0098】
<比較例1>
加熱処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして積層体(X4)を作製した。
【0099】
<比較例2>
エポキシ樹脂シート(A)の代わりにウレタンシートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体(X5)を作製した。
【0100】
積層体(X1)~(X5)をサンプルとして、引張伸び、引張貯蔵弾性率、エポキシ樹脂シート(A)とキャリアシート(B)との剥離強度、耐撓み性及び耐伸び性の測定又は評価を行った。また、積層体(X1)~(X5)からキャリアシート(B)を剥離し残ったエポキシ樹脂シート(A)をサンプルとして、ゲル分率、引張伸び及び引張貯蔵弾性率の測定又は評価を行った。
【0101】
また、上記(4)及び(5)の記載に従い、積層体(X1)~(X5)のそれぞれからキャリアシート(B)を剥離した後のエポキシ樹脂シート(A)上に銅箔をハンドローラーで密着させ、150℃、1MPaの圧力で20分間加圧し貼り合わせ、銅箔と、エポキシ樹脂シート(A)と、キャリアシート(B)とがこの順番で積層された積層体(Y1)~(Y5)を作製した。積層体(Y1)~(Y5)をサンプルとして、銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との剥離強度の測定、及び、銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との剥離形態の評価を行った。
【0102】
以上の結果を表1に示す。
【0103】
【0104】
実施例1~3の積層体は、エポキシ樹脂シート(A)のゲル分率が50~100%であることで、銅箔とエポキシ樹脂シート(A)との剥離強度が4N/15mm幅以上となり、銅箔との密着性が良好であった。
また、実施例1~3の積層体は、エポキシ樹脂シート(A)の引張伸びが100%以上であり、耐撓み性及び耐伸び性に優れているため、皺、伸び、撓み等の不具合が生じにくく、二次加工中におけるハンドリング性が良好であることがわかった。