(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】温度制御装置、温度制御システム、温度制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/30 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
G06F11/30 189
G06F11/30 158
G06F11/30 140U
(21)【出願番号】P 2020046418
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】篠原 光貴
【審査官】武田 広太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-158229(JP,A)
【文献】特開平10-261885(JP,A)
【文献】特開2004-202824(JP,A)
【文献】特開2005-110864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/30
G01K 1/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の内部の温度を検出する温度検出部、及びレール上に沿って前記温度検出部を移動させる駆動部を備えた温度検出ユニットと、
前記機器
の内部を冷却する冷却部と、
前記駆動部により前記温度検出部を前記レール上に沿って移動させるとともに、前記レール上のそれぞれの通過点を通過するごとに前記温度検出部から取得した
温度を表す温度データと前記温度検出部の位置座標とを関連付けて記憶することにより、前記機器
の内部の基準温度分布及び実際の測定温度分布を生成する制御部と、を備え、
前記温度検出部は、
検出された前記温度を表す温度データを記憶する記憶部と、
前記記憶部から取得した前記温度データを送信する第1の通信部と、
当該対象部分を冷却する冷却ファンと、を更に備え、
前記制御部は、
前記第1の通信部から送信された前記温度データを受信する第2の通信部を備え、前記基準温度分布内の対象部分に係わる温度と
、前記温度データと前記位置座標とに基づいて生成した前記測定温度分布内の対象部分に係わる温度と
、を比較して
前記対象部分に係わる温度の異常の有無を検出
し、前記温度の異常が検出された対象部分を前記冷却部又は前記冷却ファンのいずれかにより冷却する、ことを特徴とする温度制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記対象部分に係わる温度の異常を検出すると、前記対象部分に配置されている電子部品に供給される電源の遮断、機器の動作制限又は前記冷却部による冷却を実行することを特徴とする請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記駆動部は、
ステッピングモータと、
前記ステッピングモータに出力するパルス信号を計数するカウンタ部と、を備え、
前記制御部は、
前記カウンタ部から取得したパルス信号の計数値に基づいて、前記レール上の前記温度検出部の位置座標を算出することを特徴とする請求項1
又は2に記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記駆動部は、
直流モータと、
前記直流モータの起動時間を計時するタイマ部と、を備え、
前記制御部は、
前記タイマ部から取得した起動時間に基づいて、前記レール上の前記温度検出部の位置座標を算出することを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか一項に記載の温度制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の温度制御装置と、
前記温度制御装置による冷却の対象となる電子部品を搭載した電子機器と、を備えることを特徴とする温度制御システム。
【請求項6】
機器の内部の温度を検出する温度検出部、及びレール上に沿って前記温度検出部を移動させる駆動部を備えた温度検出ユニットと、
前記機器
の内部を冷却する冷却部と、
前記駆動部により前記温度検出部を前記レール上に沿って移動させるとともに、前記レール上のそれぞれの通過点を通過するごとに前記温度検出部から取得した
温度を表す温度データと前記温度検出部の位置座標とを関連付けて記憶することにより、前記機器
の内部の基準温度分布及び実際の測定温度分布を生成する制御部と、を備える温度制御装置による温度制御方法であって、
前記温度検出部は、
検出された前記温度を表す温度データを記憶する記憶部と、
前記記憶部から取得した前記温度データを送信する第1の通信部と、
当該対象部分を冷却する冷却ファンと、を更に備え、
前記制御部は、
前記第1の通信部から送信された前記温度データを受信する第2の通信部を備え、
前記基準温度分布内の対象部分に係わる温度と
、前記温度データと前記位置座標とに基づいて生成した前記測定温度分布内の対象部分に係わる温度と
、を比較して
前記対象部分に係わる温度の異常の有無を検出
し、前記温度の異常が検出された対象部分を前記冷却部又は前記冷却ファンのいずれかにより冷却する制御ステップを実行することを特徴とする温度制御方法。
【請求項7】
機器の内部の温度を検出する温度検出部、及びレール上に沿って前記温度検出部を移動させる駆動部を備えた温度検出ユニットと、
前記機器の内部を冷却する冷却部と、を備え、
前記温度検出部は、
検出された前記温度を表す温度データを記憶する記憶部と、
前記記憶部から取得した前記温度データを送信する第1の通信部と、
当該対象部分を冷却する冷却ファンと、を更に備え、
前記第1の通信部から送信された前記温度データを受信する第2の通信部を備える温度制御装置による温度制御方法を実行するプログラムであって、
コンピュータに、
前記駆動部により前記温度検出部を前記レール上に沿って移動させるとともに、前記レール上のそれぞれの通過点を通過するごとに前記温度検出部から取得した温度を表す温度データと前記温度検出部の位置座標とを関連付けて記憶することにより、前記機器の内部の基準温度分布及び実際の測定温度分布を生成するように制御する第1の制御ステップと、
前記基準温度分布内の対象部分に係わる温度と、前記温度データと前記位置座標とに基づいて生成した前記測定温度分布内の対象部分に係わる温度と、を比較して前記対象部分に係わる温度の異常の有無を検出し、前記温度の異常が検出された対象部分を前記冷却部又は前記冷却ファンのいずれかにより冷却するように制御する第2の制御ステップと、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御装置、温度制御システム、温度制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理装置等の電子機器にあっては、機器内部の温度を検出して当該温度が規定の温度を超えた場合に、機器に備えられている冷却装置(ファン等)を稼働して機器内部の温度を規定値以下になるように制御していた。
このような情報処理装置等の電子機器にあっては、機器内部の温度が規定の温度を超えた場合、機器で動作されるアプリケーションの動作状況を取得して、熱源デバイスの動作を制限するか否かを判定する技術が搭載されている。
【0003】
このような従来の電子機器の一例として、特許文献1が知られている。
特許文献1には、熱源となる第1の熱源デバイスの温度を温度センサにより検出し、取得した温度が予め設定された動作制限温度以上である場合、電子機器で動作されるアプリケーションの動作状況を取得し、取得したアプリケーションの動作状況に基づき、第1の熱源デバイスの動作を制限するか否かを判定するという技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、対象が携帯端末に限定されており、比較的大きく携帯が困難な電子機器(例えば、画像形成装置やデスクトップPC)では、電子部品同士が物理的に離れて配置されているので、異常熱を発生する電子部品を個別に検出することが困難であった。
このため、熱源デバイスの温度を検出して温度の異常が検出された対象部分を冷却するためには、複数の温度センサを適所に設置する必要があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、電子機器の内部に配置された複数の電子部品の発熱による温度分布に対して、温度の異常の有無を検出して温度の異常が検出された対象部分を冷却することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するために、機器の内部の温度を検出する温度検出部、及びレール上に沿って前記温度検出部を移動させる駆動部を備えた温度検出ユニットと、前記機器の内部を冷却する冷却部と、前記駆動部により前記温度検出部を前記レール上に沿って移動させるとともに、前記レール上のそれぞれの通過点を通過するごとに前記温度検出部から取得した温度を表す温度データと前記温度検出部の位置座標とを関連付けて記憶することにより、前記機器の内部の基準温度分布及び実際の測定温度分布を生成する制御部と、を備え、前記温度検出部は、検出された前記温度を表す温度データを記憶する記憶部と、前記記憶部から取得した前記温度データを送信する第1の通信部と、当該対象部分を冷却する冷却ファンと、を更に備え、前記制御部は、前記第1の通信部から送信された前記温度データを受信する第2の通信部を備え、前記基準温度分布内の対象部分に係わる温度と、前記温度データと前記位置座標とに基づいて生成した前記測定温度分布内の対象部分に係わる温度と、を比較して前記対象部分に係わる温度の異常の有無を検出し、前記温度の異常が検出された対象部分を前記冷却部又は前記冷却ファンのいずれかにより冷却する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子機器の内部に配置された複数の電子部品の発熱による温度分布に対して、温度の異常の有無を検出して温度の異常が検出された対象部分を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係わる温度制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の動画再生機能を備えた画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係わる温度制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係わる温度検出ユニットのレールの構成を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係わる温度制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係わる温度制御装置のメインルーチン処理を説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係わる温度制御装置の温度分布測定のサブルーチン処理を説明するフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係わる温度制御装置のユーザへの通知のサブルーチン処理を説明するフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態に係わる温度制御装置の冷却手段選択・実行のサブルーチン処理を説明するフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係わる温度制御装置の基準温度分布と測定温度分布の一例を示す模式図であり、(a)は基準温度分布の一例を示し、(b)は測定温度分布の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
本発明は、電子機器の内部に配置された複数の電子部品の発熱による温度分布に対して、温度の異常の有無を検出するために、以下の構成を有する。
すなわち、本発明の温度制御装置は、機器の内部の温度を検出する温度検出部、及びレール上に沿って温度検出部を移動させる駆動部を備えた温度検出ユニットと、機器内部を冷却する冷却部と、駆動部により温度検出部をレール上に沿って移動させるとともに、レール上のそれぞれの通過点を通過するごとに温度検出部から取得した温度データと温度検出部の位置座標とを関連付けて記憶することにより、機器内部の基準温度分布及び実際の測定温度分布を生成する制御部と、を備え、制御部は、基準温度分布内の対象部分に係わる温度と、測定温度分布内の対象部分に係わる温度とを比較して、対象部分に係わる温度の異常の有無を検出することを特徴とする。
以上の構成を備えることにより、電子機器の内部に配置された複数の電子部品の発熱による温度分布に対して、温度の異常の有無を検出することができる。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0010】
<温度制御システム>
図1は、本発明の一実施形態に係わる温度制御システムの全体構成を示すブロック図である。
本実施形態では、温度制御システム1は、温度検出ユニット3、電子機器5、無線通信経路7を備えている。
温度検出ユニット3は、温度検出部27、レール23、駆動部25を備えている。
温度検出部27は、電子機器5の筐体13内部の温度を検出する。
レール23は、二次元平面に構成される。
駆動部25は、温度検出部27をレール23上に沿って移動させる(詳細は
図2で説明する)。
電子機器5は、電子部品等で構成される機器であり、例えばコンピュータ等の情報処理装置や画像形成装置の制御基板である。
無線通信経路7は、本実施形態では無線によりデータを送受信するための経路となる。
【0011】
<画像形成装置のハードウェア構成>
図2は、本発明の動画再生機能を備えた画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
MFP(Multifunction Peripheral/Product/Printer)100は、コントローラ51、ネットワークI/F73、近距離通信回路75、操作パネル77、エンジン制御部79を備えている。
【0012】
なお、MFP100のハードウェア構成は、
図2に示す構成に限定されない。例えば、操作パネル77はASIC61ではなく、SB57に接続される構成であってもよい。
【0013】
コントローラ51は、コンピュータの主要部であるCPU53、システムメモリ(MEM-P)69、ノースブリッジ(NB)55、サウスブリッジ(SB)57、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)61、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)63、HDDコントローラ65、及び、記憶部であるHD67を有し、NB55とASIC61との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス59で接続した構成となっている。
【0014】
ただし、コントローラ51の構成はこれに限定されない。例えば、CPU53、NB55、SB57などの2以上の構成要素をSoC(System on Chip)によって実現してもよい。この場合、SoCとASIC61との間をPCI-express(登録商標)バスで接続してもよい。
【0015】
これらのうち、CPU53は、MFP100全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル27からの入力等を制御する。
【0016】
NB55は、CPU53と、MEM-P69、SB57、及びAGPバス59とを接続するためのブリッジであり、MEM-P69に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0017】
MEM-P69は、コントローラ51の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM69a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM69bから成る。
なお、RAM69bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0018】
SB57は、NB55とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。
ASIC61は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス59、PCIバス71、HDDコントローラ65およびMEM-C63をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
【0019】
このASIC61は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC61の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C63を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部79b及びプリンタ部79aとの間でPCIバス71を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。
【0020】
なお、ASIC61には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
MEM-C63は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。
【0021】
HD67は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージであり、CPU53の制御にしたがってHD67に対するデータの読出又は書込を制御する。
【0022】
AGPバス59は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P69に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。ただし、MEM-C63は搭載されていなくても良い。
【0023】
また、近距離通信回路75には、近距離通信回路網75aが備わっている。近距離通信回路75は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
エンジン制御部79は、プリンタ部79a及びスキャナ部79bによって構成されている。
【0024】
操作パネル77は、現在の設定値、選択画面、及び交換手順等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル、交換手順の動画等を表示するパネル表示部77a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル77bを備えている。
【0025】
プリンタ部79a又はスキャナ部79bには、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
なお、MFP100は、操作パネル77のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。
【0026】
ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0027】
操作パネル77は、各種情報を表示するLCDや動作状態を点灯/消灯により表示するLEDといった表示部及びタッチパネルやハードキースイッチを有する入力部等を備えている。なお、操作パネル77はタッチパネルを備える場合にはハードキースイッチはなくてもよい。
ネットワークI/F73は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路75及びネットワークI/F73は、PCIバス71を介して、ASIC61に電気的に接続されている。
【0028】
<ハードウェア構成>
図3は、本発明の一実施形態に係わる温度制御装置のハードウェア構成を示す図である。ここでは、温度制御装置10のハードウェア構成について説明する。
温度制御装置10は、温度検出ユニット3と、冷却部11と、電子機器5を備えている。
温度検出ユニット3は、レール23、駆動部25、温度検出部27を備えている。
レール23は、例えば温度制御装置10の外装(外蓋等)29の二次元平面に設けられている。本実施形態では、レール23は外装29の内側平面に蛇行状に設けられている。
駆動部25は、温度検出部27を外装29の内側平面に設けられたレール23上に沿って移動させる。本実施形態では、駆動部25は、ステッピングモータ又は直流モータが使用される。
温度検出部27は、レール23上に沿って移動しながら電子機器5の筐体13の内部の温度を検出するために、非接触温度センサ27cにより構成されている(詳細は
図5参照)。
例えば、非接触温度センサ27cが赤外線を使用する温度センサである場合、絶対零度(0°ケルビン)を超える温度のあらゆる物質から放出される赤外線エネルギーを検出することで温度を測定し、最も基本的な設計では、センサ上のレンズで所定の視野角39で赤外線(IR)エネルギーを集め、そのエネルギーを電気信号に変換し周囲温度差に対して補正した後、温度の単位で出力する。
レール23は温度検出部27の一部を脱落させないように保持しつつ、その長手方向に沿って進退させるように構成されている。例えば、レール23を金属、樹脂等から構成した断面形状がT字状の線材(長尺体)として外装29に固定し、温度検出部27の外装の一部をこれに脱落不能に係合する形状を有した凹陥部とすることが考えられる。
【0029】
冷却部11は、電子機器5の筐体13の内部の電子部品を冷却するためと、筐体13内部の空気を外部に排出するために、ダクト11bで包囲されたファン11aを備えている。
【0030】
電子機器5には、第2通信部15、メインPCB(以下、制御部と記す)19、第2記憶部21が実装されている。
第2通信部15は、通信経路7を介して無線により温度検出部27の第1通信部27aとのデータの送受信を行う。
制御部19は、駆動部25により温度検出部27をレール23上に沿って移動させるとともに、レール23上のそれぞれの通過点を通過するごとに温度検出部27から取得した温度データと温度検出部27の位置座標とを関連付けて記憶部21に記憶することにより、電子機器5内部の測定温度分布を生成する。
第2記憶部21は、第1通信部27aから送信された温度データを記憶する。
尚、制御部19と第2通信部15はケーブル31で接続され、制御部19と第2記憶部21はケーブル35で接続され、制御部19と冷却部11はケーブル37で接続される。また、制御部19と操作表示部17はケーブル33で接続されている。
【0031】
<レールの構成>
図4は、本発明の一実施形態に係わる温度検出ユニットのレールの構成を示す図である。
レール23は、外装29の内側平面に蛇行状に設けられている。温度検出部27は、外装29の内側平面上に位置し、所定の視野角39を有することで、温度検出部27の位置と対向した方向にある電子部品などの温度を検出する。
駆動部25により温度検出部27が駆動されると、温度検出部27がレール23に沿って移動するため、メインPCB19に配置された複数の電子部品の温度を移動間隔の都度に測定することができる。また、レール23には位置座標43が等間隔に割り当てられている。
図4では、温度検出部27は例えば座標3の位置にある。移動速度は、例えば「座標0から座標30まで、10秒で移動する」ように指示を行う。観測された結果は通信部15を介して制御部19上で処理され、必要に応じて冷却部11を用いて冷却することが可能となる。
また、冷却手段は基本的に既存のファンを利用するが、冷却手段がない場合には温度検出部27に小型のファンを取り付けて、高温部を集中的に冷却することが可能な構成とする。
【0032】
<機能構成>
図5は、本発明の一実施形態に係わる温度制御装置の機能構成を示すブロック図である。
以下、同じ構成要件には同じ符号を付して説明する。
温度制御装置10は、温度検出部27、駆動部25、第2通信部15、制御部19、冷却部11、第2記憶部21、操作表示部17を備えている。
温度検出部27は、第1通信部27a、第1記憶部27b、非接触温度センサ(以下、温度センサと記す)27cを備えている。また、温度制御装置10が冷却部11を持たない場合には、温度検出部27は、温度センサ27cの位置と対向した方向にある、制御部19に配置されている電子部品を冷却する冷却ファンを更に備えている。
第1通信部27aは、第1記憶部27bに記憶されている温度データを第2通信部15へ送信する。
第1記憶部27bは、温度センサ27cにより検出された温度データを記憶する。
温度センサ27cは、非接触により温度センサ27cの位置と対向した方向にある、制御部19に配置されている対象部分の温度を検出する。
【0033】
駆動部25は、
図4に示す二次元平面に構成されたレール23上に沿って温度検出部27を移動させる。例えば、駆動手段としてステッピングモータ又は直流モータが使用される。
駆動部25は、ステッピングモータと、ステッピングモータに出力するパルス信号を計数するカウンタ部と、を備え、制御部19は、カウンタ部から取得したパルス信号の計数値に基づいて、レール23上の温度検出部27の位置座標を算出する。
なお、駆動部25は、直流モータと、直流モータの起動時間を計時するタイマ部と、を備え、制御部19は、タイマ部から取得した起動時間に基づいて、レール23上の温度検出部27の位置座標を算出するように構成してもよい。
また、制御部19は、第1通信部27aを介して測定実施命令、移動距離、及び移動速度情報を授受する。
【0034】
制御部19は、第2通信部15を介して温度検出部27の第1通信部27aとのデータの送受信を無線で行う。即ち、第1通信部27aから送信された温度データを受信して制御部19により第2記憶部21へ記憶される。また、第2記憶部21への転送が完了した後に、温度検出部27に転送完了通知を伝達する。更に、駆動部25との間で測定実施命令、移動距離、及び移動速度情報の授受が行われる。
【0035】
制御部19は、メインPCBにより構成され、特に電子部品(IC、LSIやASIC等)により構成される。また、第2通信部15、冷却部11、第2記憶部21、操作表示部17及び駆動部25を制御している。
制御部19は、駆動部25により温度検出部27をレール23上に沿って移動させるとともに、レール23上のそれぞれの通過点を通過するごとに温度検出部27から取得した温度データと温度検出部27の位置座標とを関連付けて第2記憶部21に記憶することにより、電子機器5内部の測定温度分布を生成する。
制御部19は、測定された測定温度分布内の対象部分に係わる温度と、予め記憶した基準温度分布内の対象部分に係わる温度とを比較して、対象部分に係わる温度の異常の有無を検出する。
制御部19は、対象部分に係わる温度の異常を検出すると、対象部分に配置されている電子部品に供給される電源の遮断、機器の動作制限(機器の動作モードを通常動作モードから省エネ動作モードに変更する、又は制御部19のクロックの周波数を低減して動作速度を低下させる)又は冷却部11による冷却を実行する。
【0036】
冷却部11は、制御部19が対象部分に係わる温度の異常を検出すると、制御部19によりケーブル37を介してファン11aが回転されて筐体13内部の冷却を実行する。
【0037】
第2記憶部21は、第1通信部27aから送信された温度データを記憶する。
操作表示部17は、制御部19により第2記憶部21に記憶したデータを処理して信号線33を介して表示する。
【0038】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウエアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0039】
<温度制御装置のメインルーチン処理>
図6は、本発明の一実施形態に係わる温度制御装置のメインルーチン処理を説明するフローチャートである。
ステップS1では、制御部19は、電子機器5の主電源がONになったか否かを判断する。主電源がONになると(ステップS1でYESのルート)、ステップS3に進む。
ステップS3では、制御部19は、温度検出ユニット3の温度検出部27の位置を初期化すると共に、第2記憶部21に記憶されている温度分布情報を初期化する。即ち、位置の初期化は、
図4に記載の温度検出部27を位置座標「0」の位置に移動することであり、温度分布情報の初期化は、第2記憶部21に記憶されている温度分布情報を全てクリアにすることである。
ステップS5では、初期化完了と温度検出部27を位置座標「0」の位置に移動するまでのタイムラグを勘案して所定の時間だけ待機する。
ステップS7では、制御部19は、「温度分布測定」のサブルーチンを実行する(詳細は
図7参照)即ち、駆動部25により温度検出部27をレール23上に沿って移動させるとともに、レール23上のそれぞれの通過点を通過するごとに温度検出部27から取得した温度データと温度検出部27の位置座標とを関連付けて第2記憶部21に記憶することにより、電子機器5の筐体13内部の測定温度分布を生成する。
【0040】
ステップS9では、制御部19は、第2記憶部21に記憶した電子機器5内部の測定温度分布を予め記憶した基準温度分布と比較参照して危険度が「中」以上の部分が存在するか否かを判定する。危険度が「中」以上の部分が存在しない場合(ステップS9でNOのルート)、ステップS17に進む。一方、危険度が「中」以上の箇所が存在する場合(ステップS9でYESのルート)、ステップS11に進む。
ステップS11では、制御部19は、危険度が「中」である箇所が存在する旨を操作表示部17に表示するために、「ユーザへの通知」のサブルーチンを実行する(詳細は
図8参照)。
ステップS13では、制御部19は、「ユーザへの通知」のサブルーチンを実行して、各異常個所の一覧を操作表示部17に表示する。その結果、ユーザは、危険度が「高」の部分が存在するか否かを判定する。危険度が「高」の部分が存在する場合(ステップS13でYESのルート)、ステップS15に進む。危険度が「高」の部分が存在しない場合(ステップS13でNOのルート)、ステップS19に進む。
【0041】
ステップS15では、ユーザは、電子機器5の主電源をOFFして終了する。
ステップS19では、制御部19は、「冷却手段選択・実行」のサブルーチンを実行する(詳細は
図9参照)。
一方、ステップS17では、制御部19は、
図6のメインフローチャートのどこかで主電源がOFFされたか否かを判定する。主電源がOFFされていれば主電源OFFフラグが立つ。主電源OFFフラグが立っていれば(ステップS17でYESのルート)、ステップS21に進んで主電源をOFFして終了する。一方、主電源OFFフラグが立っていなければ(ステップS17でNOのルート)、ステップS3に進む。
【0042】
<温度分布測定のサブルーチン処理>
図7は、本発明の一実施形態に係わる温度制御装置の温度分布測定のサブルーチン処理を説明するフローチャートである。
ステップS31では、制御部19は、温度検出ユニット3に電源を供給して温度検出部27と駆動部25の電源をONにする。
ステップS33では、制御部19は、駆動部25により温度検出部27をレール23上に沿って測定対象範囲の開始点から終了点(始点から終点を含む)まで移動させるとともに、レール23上のそれぞれの通過点を通過するごとに温度センサ27cから取得した温度データ測定する。
ステップS35では、制御部19は、測定した温度データと温度検出部27の位置座標とを関連付けて第1記憶部27bに一時記憶する。
【0043】
ステップS37では、制御部19は、第1記憶部27bに一時記憶したデータを第1通信部27aを介して第2通信部15に送信して、第2記憶部21に記憶する。
ステップS39では、制御部19は、第2記憶部21への記憶が完了した後に、温度検出部27に転送完了通知を送信する。
ステップS41では、制御部19は、第2記憶部21に記憶されている基準温度データと測定温度データとを比較する。
ステップS43では、制御部19は、比較結果に基づいて危険度を「高」「中」「低」の3段階で判定する。
ステップS45では、制御部19は、異常個所リストを判定結果と共に第2記憶部21に記憶してサブルーチンからメインルーチンに戻る。
【0044】
<ユーザへの通知のサブルーチン処理>
図8は、本発明の一実施形態に係わる温度制御装置のユーザへの通知のサブルーチン処理を説明するフローチャートである。
ステップS51では、制御部19は、第2記憶部21から異常個所リストの判定結果データを読み出す。
ステップS53では、制御部19は、読み出した異常個所リストの判定結果データの一覧を操作表示部17に表示してサブルーチンからメインルーチンに戻る。
【0045】
<冷却手段選択・実行のサブルーチン処理>
図9は、本発明の一実施形態に係わる温度制御装置の冷却手段選択・実行のサブルーチン処理を説明するフローチャートである。
ステップS61では、ユーザは、操作表示部17に表示された異常個所リストの判定結果データの一覧を見て、冷却対象となる異常個所を選択する。即ち、冷却したい部分をユーザが選択することにより、制御部19は、冷却手段1にするか冷却手段2にするかを決定する。例えば、冷却手段1は、冷却部11のファン11aを駆動するか、或いは温度検出部27に備えられた小型ファンにより冷却対象をピンポイントで冷却する。冷却手段2は、所定の時間だけ電子機器5の動作制限(機器の動作モードを通常動作モードから省エネ動作モードに変更したり、或いは、制御部19のクロックの周波数を低減して動作速度を低下させる)を実行する。
【0046】
ステップS63では、制御部19は、冷却手段1か冷却手段2の何れを選択したかを判断する。冷却手段1を選択した場合(ステップS63でYESのルート)、ステップS65に進む。一方、冷却手段2を選択した場合(ステップS63でNOのルート)、ステップS67に進む。
ステップS65では、制御部19は、冷却手段1を実行する。即ち、冷却部11のファン11aを駆動するか、或いは温度検出部27に備えられた小型ファンにより冷却対象をピンポイントで冷却する動作を実行してサブルーチンからメインルーチンに戻る。
一方、ステップS67では、制御部19は、冷却手段2を実行する。即ち、所定の時間だけ電子機器5の動作制限(機器の動作モードを通常動作モードから省エネ動作モードに変更したり、或いは、制御部19のクロックの周波数を低減して動作速度を低下させる)を実行して、サブルーチンからメインルーチンに戻る。
【0047】
<温度分布>
図10は、本発明の一実施形態に係わる温度制御装置の基準温度分布と測定温度分布の一例を示す模式図であり、(a)は基準温度分布の一例を示し、(b)は測定温度分布の一例を示す。
図10では、説明を簡略化するために始点から終点までの位置座標を0~15と仮定して説明する。即ち、駆動部25をステッピングモータで構成した場合、始点から所定のステップ数nで温度検出部27が0から1へ移動するものとする。従って、温度検出部27を始点0から終点15まで移動するためには、ステップ数は15nとなる。
【0048】
図10(a)は、例えば、位置座標4,5,6、8,9の基準温度分布が夫々70℃、60℃、60℃、80℃、80℃とする。他の部分は本説明では省略する。
その後、温度測定を実施して測定温度を第2記憶部21に記憶した結果が
図10(b)とする。
図10(b)では、位置座標4,5,6、8,9の基準温度分布が夫々80℃、50℃、50℃、95℃、95℃とする。制御部19は、第2記憶部21に記憶されている基準温度データと測定温度データとを比較する。そして、制御部19は、比較結果に基づいて危険度を「高」「中」「低」の3段階で判定する。
図10(b)では、位置座標4,8,9が基準温度を超過しているので、例えば、位置座標4を危険度「中」、位置座標5,6を危険度「低」、位置座標8,9を危険度「高」とする。
【0049】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様の温度制御装置10は、電子機器5の内部の温度を検出する温度検出部27、及びレール上に沿って温度検出部27を移動させる駆動部25を備えた温度検出ユニット3と、電子機器5内部を冷却する冷却部11と、駆動部25により温度検出部27をレール23上に沿って移動させるとともに、レール23上のそれぞれの通過点を通過するごとに温度検出部27から取得した温度データと温度検出部27の位置座標とを関連付けて記憶することにより、電子機器5内部の基準温度分布及び実際の測定温度分布を生成する制御部19と、を備え、制御部19は、基準温度分布内の対象部分に係わる温度と、測定温度分布内の対象部分に係わる温度とを比較して、対象部分に係わる温度の異常の有無を検出することを特徴とする。
本態様によれば、電子部品同士が物理的に離れて配置されている比較的大きく携帯が困難な電子機器であっても、電子機器の内部に配置された複数の電子部品の発熱による温度分布に対して、温度の異常の有無を検出することができる。
【0050】
<第2態様>
本態様の制御部19は、対象部分に係わる温度の異常を検出すると、対象部分に配置されている電子部品に供給される電源の遮断、機器の動作制限又は冷却部11による冷却を実行することを特徴とする。
本態様によれば、対象部分に係わる温度の異常を検出すると、対象部分に配置されている電子部品に供給される電源の遮断、機器の動作制限又は冷却部11による冷却を実行するので、ピンポイントで異常温度部分を冷却することができる。
【0051】
<第3態様>
本態様の温度検出部27は、検出された温度データを記憶する第1記憶部27bと、第1記憶部27bから取得した温度データを送信する第1通信部27aと、を備え、制御部19は、第1通信部27aから温度データを受信する第2通信部15を備えることを特徴とする。
本態様によれば、第1通信部27aから温度データを受信する第2通信部15を備えるので、稼動する温度検出部27と制御部19を無線により接続することができる。
【0052】
<第4態様>
本態様の温度検出部27は、当該対象部分を冷却する冷却ファンを更に備えることを特徴とする。
本態様によれば、温度検出部27が冷却部以外の冷却ファンを更に備えるので、対象部分の電源を遮断することなく、ピンポイントで対象部分を冷却することができる。
【0053】
<第5態様>
本態様の駆動部25は、ステッピングモータと、ステッピングモータに出力するパルス信号を計数するカウンタ部と、を備え、制御部19は、カウンタ部から取得したパルス信号の計数値に基づいて、レール23上の温度検出部27の位置座標を算出することを特徴とする。
本態様によれば、ステッピングモータを使用することで、ステップ数を計数することにより温度検出部27の位置、距離、及び速度を演算することができる。
【0054】
<第6態様>
本態様の駆動部25は、直流モータと、直流モータの起動時間を計時するタイマ部と、を備え、制御部19は、タイマ部から取得した起動時間に基づいて、レール23上の温度検出部27の位置座標を算出することを特徴とする。
本態様によれば、直流モータを使用することで、タイマ部の時間を計数することにより温度検出部27の位置、距離、及び速度を演算することができる。
【0055】
<第7態様>
本態様の温度制御システムは、態様1乃至6のいずれか一項に記載の温度制御装置10と、温度制御装置10による冷却の対象となる電子部品を搭載した電子機器5と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、電子部品同士が物理的に離れて配置されている比較的大きく携帯が困難な電子機器であっても、電子機器の内部に配置された複数の電子部品の発熱による温度分布に対して、温度の異常の有無を検出することができる。
【0056】
<第8態様>
電子機器5の内部の温度を検出する温度検出部27、及びレール上に沿って温度検出部27を移動させる駆動部25を備えた温度検出ユニット3と、電子機器5内部を冷却する冷却部11と、駆動部25により温度検出部27をレール23上に沿って移動させるとともに、レール23上のそれぞれの通過点を通過するごとに温度検出部27から取得した温度データと温度検出部27の位置座標とを関連付けて記憶することにより、電子機器5内部の基準温度分布及び実際の測定温度分布を生成する制御部19と、を備える温度制御装置による温度制御方法であって、基準温度分布内の対象部分に係わる温度と、測定温度分布内の対象部分に係わる温度とを比較して、対象部分に係わる温度の異常の有無を検出する制御ステップを実行することを特徴とする。
本態様によれば、電子部品同士が物理的に離れて配置されている比較的大きく携帯が困難な電子機器であっても、電子機器の内部に配置された複数の電子部品の発熱による温度分布に対して、温度の異常の有無を検出することができる。
【0057】
<第9態様>
本態様のプログラムは、第8態様に記載された温度制御方法における各ステップをプロセッサに実行させることを特徴とする。
本態様によれば、電子部品同士が物理的に離れて配置されている比較的大きく携帯が困難な電子機器であっても、電子機器の内部に配置された複数の電子部品の発熱による温度分布に対して、温度の異常の有無を検出することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…温度制御システム、3…温度検出ユニット、5…電子機器、10…温度制御装置、11…冷却部、13…筐体、15…第2通信部、17…操作表示部、19…メインPCB(制御部)、21…第2記憶部、23…レール、25…駆動部、27…温度検出部、27a…第1通信部、27b…第1記憶部、27c…温度センサ、29…外装(蓋)、31、33,35,37…ケーブル、39…視野角
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】