(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240312BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20240312BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240312BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
H01L27/146 F
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2020096203
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100135976
【氏名又は名称】宮本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-092991(JP,A)
【文献】特開2009-206214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 27/146
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回路を有する第1半導体層と、
前記第1回路と電気的に接続される第1配線と、前記第1配線と接続される複数の第1接続部と、前記第1接続部が
設けられる凹部と、を有する第1配線層と、
前記第1接続部とそれぞれが接続され
る第2接続部と
、前記第2接続部と接続される第2配線と、
前記第2接続部が設けられ、前記凹部に収容される凸部とを有する第2配線層と、
前記第2配線と電気的に接続される第2回路を有する第2半導体層と、
を備える半導体モジュール。
【請求項2】
前記第1配線層は
、前記第1接続部及び前記凹部が配置される第1面を有し、
前記第2配線層は
、前記第2接続部が配置され、且つ、前記第1面と対向する第2面を有する請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記凹部は
、前記複数の第1接続部間の距離を拡大する請求項
1または2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記第1配線層は、複数の前記第1接続部の間に配置される第2の凹部を有する請求項
1から3のいずれか一項に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記第2配線層は、複数の前記第2接続部の間に配置され、複数の前記第1接続部の間に配置される前記第2の凹部に収容される第2の凸部を有する請求項
4に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
複数の前記第1接続部の間に配置される前記第2の凹部は、当該第2の凹部が配置されることにより、複数の前記第1接続部間における前記第1配線層の表面積を当該第2の凹部が配置されない場合よりも拡大する請求項4または5に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記第1半導体層は、それぞれが
複数の前記第1接続部と電気的に接続される光電変換素子を有する複数の画素を含み、前記複数の画素により生成された信号のそれぞれは、前記第1回路と、前記第1配線と、前記第1接続部と、前記第2接続部と、前記第2配線とを介して前記第2回路へ伝送される請求項1~6の何れか一項に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
第1回路が設けられる第1半導体層と、
前記第1回路から信号が入力される第1配線が設けられる第1配線層と、
前記第1配線から入力された信号を伝送する第2配線が設けられる第2配線層と、
前記第2配線から信号が入力される第2回路が設けられる第2半導体層と、
備え、
前記第1配線層は、前記第1配線と接続される複数の第1接続部と、前記第1接続部が設けられる凹部と、を有し、
前記第2配線層は、前記第1接続部とそれぞれが接続される第2接続部と、前記第2接続部と接続される第2配線と、前記第2接続部が設けられ、前記凹部に収容される凸部とを有する、半導体モジュール。
【請求項9】
第1回路を有する第1半導体層と、
前記第1回路と電気的に接続される第1配線と、前記第1配線と接続される第1接続部と、
前記第1接続部が設けられる凹部と、を有する第1配線層と、
前記第1接続部と接続される第2接続部と、前記第2接続部と接続される第2配線と、
前記第2接続部が設けられ、前記凹部に収容される凸部と、を有する第2配線層と、
前記第2配線と電気的に接続される第2回路を有する第2半導体層と、
を備える半導体モジュール。
【請求項10】
第1回路を有する第1半導体層と、外部に露出する第1面を有する第1配線層であって、前記第1回路と電気的に接続される第1配
線を有する第1配線層とを含む第1半導体チップ部における前記第1面にお
いて、前記第1配線と接続される複数の第1接続部のそれぞれが設けられる複数の凹部を形成することと、
外部に露出する第2面を有する第2配線層であって、前記第2面に配置され、複数の前記第1接続部に対してそれぞれが対応する前記第2面内の位置に配置される複数の第2接続部と、
前記第2接続部が設けられ、前記凹部によって収容可能な凸部と、複数の前記第2接続部と接続される第2配線と、を有する第2配線層と、前記第2配線と電気的に接続される第2回路を有する第2半導体層とを含む第2半導体チップ部における複数の前記第2接続部のそれぞれが対応する前記第1接続部と接続するように、
且つ、前記凸部のそれぞれが対応する前記凹部に収容されるにように、前記第1面と前記第2面とを対向させて、前記第2半導体チップ部上に前記第1半導体チップ部を積層すること、
を含む半導体モジュールの製造方法。
【請求項11】
第1回路を有する第1半導体層と、外部に露出する第1面を有する第1配線層であって、前記第1回路と電気的に接続される第1配
線を有する第1配線層とを含む第1半導体チップ部における前記第1面に
おいて、前記第1配線と接続される複数の第1接続部のそれぞれが設けられる複数の凹部を形成することと、
外部に露出する第2面を有する第2配線層であって、第2配
線を有する第2配線層と、前記第2配線と電気的に接続される第2回路を有する第2半導体層とを含む第2半導体チップ部における前記第2面に対して、前記凹部と対応する位置に、前記凹部によって収容可能な
複数の凸部を形成すること
であって、前記凸部のそれぞれには、複数の前記第1接続部に対してそれぞれが対応する前記第2面内の位置に配置され且つ前記第2配線と接続される第2接続部が設けられる、複数の凸部を形成することと、
前記凹部に前記凸部を収容し、且つ、前記複数の第1接続部のそれぞれが対応する前記第2接続部と接続するように、前記第1面と前記第2面とを対向させて、前記第2半導体チップ部上に前記第1半導体チップ部を積層すること、
を含む半導体モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1半導体チップ部と、この第1半導体チップ部に積層される第2半導体チップ部とを備え、第1半導体チップ部が有する第1接続部と、第2半導体チップ部が有する第2接続部とが接合され、且つ、電気的に接続される半導体モジュールが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示する半導体モジュールの第1形態は、第1回路を有する第1半導体層と、第1回路と電気的に接続される第1配線と、第1配線と接続される複数の第1接続部と、複数の第1接続部の間に配置される凹部と、を有する第1配線層と、複数の第1接続部とそれぞれが接続される複数の第2接続部と、複数の第2接続部と接続される第2配線と、を有する第2配線層と、第2配線と電気的に接続される第2回路を有する第2半導体層と、を備える。
【0005】
また、本明細書に開示する半導体モジュールの第2形態は、第1回路が設けられる第1半導体層と、第1回路から信号が入力される第1配線が設けられる第1配線層と、第1配線から入力された信号を伝送する第2配線が設けられる第2配線層と、第2配線から信号が入力される第2回路が設けられる第2半導体層と、第1配線と第2配線とを接続する複数の接続部と、複数の接続部の間に設けられる凹部と、備える。
【0006】
また、本明細書に開示する半導体モジュールの第3形態は、第1回路を有する第1半導体層と、第1回路と電気的に接続される第1配線と、第1配線と接続される第1接続部と、凹部と、を有する第1配線層と、第1接続部と接続される第2接続部と、第2接続部と接続される第2配線と、凹部に収容される凸部と、を有する第2配線層と、第2配線と電気的に接続される第2回路を有する第2半導体層と、を備える。
【0007】
更に、本明細書に開示する半導体モジュールの製造方法の第1形態は、第1回路を有する第1半導体層と、外部に露出する第1面を有する第1配線層であって、第1回路と電気的に接続される第1配線と、第1面に配置され、第1配線と接続される複数の第1接続部と、を有する第1配線層とを含む第1半導体チップ部における第1面における複数の第1接続部間に凹部を形成することと、外部に露出する第2面を有する第2配線層であって、第2面に配置され、複数の第1接続部に対してそれぞれが対応する第2面内の位置に配置される複数の第2接続部と、複数の第2接続部と接続される第2配線と、を有する第2配線層と、第2配線と電気的に接続される第2回路を有する第2半導体層とを含む第2半導体チップ部における複数の第2接続部のそれぞれが対応する第1接続部と接続するように、第1面と第2面とを対向させて、第1半導体チップ部上に第2半導体チップ部を積層すること、を含む。
【0008】
更にまた、本明細書に開示する半導体モジュールの製造方法の第2形態は、第1回路を有する第1半導体層と、外部に露出する第1面を有する第1配線層であって、第1回路と電気的に接続される第1配線と、第1面に配置され、第1配線と接続される複数の第1接続部と、を有する第1配線層とを含む第1半導体チップ部における第1面に凹部を形成することと、外部に露出する第2面を有する第2配線層であって、第2面に配置され、複数の第1接続部に対してそれぞれが対応する第2面内の位置に配置される複数の第2接続部と、複数の第2接続部と接続される第2配線と、を有する第2配線層と、第2配線と電気的に接続される第2回路を有する第2半導体層とを含む第2半導体チップ部における第2面に対して、凹部と対応する位置に、凹部によって収容可能な凸部を形成することと、凹部に凸部を収容し、且つ、複数の第2接続部のそれぞれが対応する第1接続部と接続するように、第1面と第2面とを対向させて、第1半導体チップ部上に第2半導体チップ部を積層すること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書に開示する半導体モジュールの第1実施形態の積層構造を示す図である。
【
図2】
図1の第1実施形態の半導体モジュールのX-X線断面を示す図である。
【
図3】
図1の第1実施形態の半導体モジュールのX-X線分解断面を示す図である。
【
図4】(A)は、第1実施形態の半導体モジュールの第1面を示す図であり、(B)は、第2面を示す図である。
【
図5】(A)は、第1面の表面に沿った第1接続部間の距離を示す図であり、(B)は、第2面の表面に沿った第2接続部間の距離を示す図である。
【
図6】(A)は、第1実施形態の半導体モジュールの変形例の第1面を示す図であり、(B)は、第2面を示す図である。
【
図7】本明細書に開示する半導体モジュールの第2実施形態の断面を示す図である。
【
図8】本明細書に開示する半導体モジュールの第3実施形態の断面を示す図である。
【
図9】本明細書に開示する半導体モジュールの第4実施形態の断面を示す図である。
【
図10】本明細書に開示する半導体モジュールの第5実施形態の断面を示す図である。
【
図11】本明細書に開示する半導体モジュールの第6実施形態の断面を示す図である。
【
図12】本明細書に開示する半導体モジュールの第1実施形態の製造工程を示す図(その1)である。
【
図13】本明細書に開示する半導体モジュールの第1実施形態の製造工程を示す図(その2)である。
【
図14】本明細書に開示する半導体モジュールの第1実施形態の製造工程を示す図(その3)である。
【
図15】本明細書に開示する半導体モジュールの第1実施形態の製造工程を示す図(その4)である。
【
図16】本明細書に開示する半導体モジュールの第2実施形態の製造工程を示す図(その5)である。
【
図17】本明細書に開示する半導体モジュールの第2実施形態の製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本明細書で開示する半導体モジュールの好ましい第1実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0011】
図1は、本明細書に開示する半導体モジュールの第1実施形態の積層構造を示す図である。
図2は、
図1の第1実施形態の半導体モジュールのX-X線断面を示す図である。
図3は、
図1の第1実施形態の半導体モジュールのX-X線分解断面を示す図である。
【0012】
本実施形態の半導体モジュール1は、一例としての撮像装置であり、受光した光に基づいて画像を生成する。半導体モジュール1は、第1半導体チップ部10と、第1半導体チップ部10に積層される第2半導体チップ部20とを備える。半導体モジュール1は、第1半導体チップ部10が第2半導体チップ部20上に積層された積層構造を有する。第1半導体チップ部10は、受光した光を電気信号に変換する光電変換素子を含む画素1111が2次元アレイ状に配置された画素領域111を有する。第2半導体チップ部20は、画素領域111の画素1111が生成した電気信号を処理するロジック回路領域211を有する。ロジック回路領域211は、例えば、画素領域111に配置される複数の画素1111により生成された電気信号のそれぞれをアナログ・デジタル変換する回路を有する。
【0013】
半導体モジュール1は、画素領域111を有する第1半導体チップ部10と、ロジック回路領域211を有する第2半導体チップ部20とを別体に備える。これにより、半導体モジュール1は、より多くの画素1111を画素領域111に配置して、高解像度の画像を生成することができる。また、半導体モジュール1は、より多くの回路をロジック回路領域211に配置して、画素領域111により生成された電気信号を高速で処理することができる。
【0014】
第1半導体チップ部10は、第1半導体層11と、第1配線層12とを有する。
【0015】
第1半導体層11は、シリコン基板等の半導体を用いて形成される。第1半導体層11は、受光面に配置される画素領域111及び電極パッド17と、ビア16とを有する。
【0016】
画素領域111は、2次元アレイ状に配置された複数の画素1111を有する。複数の画素1111が、受光した光を電気信号に変換することにより画像を表す電気信号を生成する。各画素1111は、その画素1111が含む光電変換素子を駆動する駆動回路(第1回路の一例である)1111aを有する。また、第1半導体層11には、各画素1111を走査する制御回路(図示せず)が配置されていてもよい。
【0017】
ビア16は、銅等の導電体を用いて形成される。ビア16は、第1半導体層11を貫通しており、一方の端部は、第1配線層12の内部まで延びており、他方の端部は電極パッド17と電気的に接続する。画素領域111と電極パッド17とは、図示しない配線を介して電気的に接続する。画素領域111に配置される画素1111が生成した電気信号は、駆動回路1111aと、電極パッド17と、ビア16とを介して、第1配線層12へ入力される。
【0018】
第1配線層12は、二酸化ケイ素等の電気絶縁体を用いて形成される。第1配線層12は、第1面121及び第2面122を有する。第1面121上に、第2半導体チップ部20が配置される。第2面122上に、第1半導体層11が配置される。第1配線層12の内部には、複数の第1配線13が配置される。第1配線13は、例えば、銅等の導電体を用いて形成される。
【0019】
図4(A)は、第1実施形態の半導体モジュール1の第1面121を示す図である。第1面121には、複数の第1接続部14が露出するように配置される。第1接続部14は、例えば、銅等の導電体を用いて形成される。
図4(A)に示す例では、第1接続部14は、平面視して矩形の形状を有する。複数の第1接続部14は、第1面121において、2次元アレイ状に、X方向及びこのX方向に直交するY方向に同じ間隔で配置されている。複数の第1接続部14のそれぞれは、第1配線13及びビア16等を介して、画素領域111の画素1111と電気的に接続する。一の第1接続部14は、一又は複数の画素1111と電気的に接続する。
【0020】
第1面121において、複数の第1接続部14の間には、凹部15が配置される。
図4(A)に示す例では、一の凹部15は、2~4個の第1接続部14の間に配置される。凹部15は、第1配線層12における第1面121から第2面222に向かって、第1配線層12の内部まで突出している。
図4(A)に示す例では、凹部15は、四角錐の形状を有し、この四角錐の側辺を鎖線で示す。複数の凹部15は、第1面121において、2次元アレイ状にX方向及びY方向に配置されている。一の第1接続部14は、複数の凹部15により囲まれている。
図4(A)に示す例では、一の第1接続部14は、8個の凹部15により囲まれている。
【0021】
第2半導体チップ部20は、第2半導体層21と、第2配線層22と、第3配線層26とを有する。
【0022】
第2半導体層21は、シリコン基板等の半導体を用いて形成される。第2半導体層21は、ロジック回路領域211と、ビア27とを有する。ビア27は、第2半導体層21を貫通しており、一方の端部は、第2配線層22の内部まで延びており、他方の端部は、第3配線層26の内部まで延びている。
【0023】
ロジック回路領域211は、画素領域111に配置される複数の画素1111により生成された電気信号のそれぞれをアナログ・デジタル変換する回路を有する。ロジック回路領域211は、画素領域111が生成した画像を表すアナログの電気信号を、デジタルの電気信号として出力する。ロジック回路領域(第2回路の一例である)211と、電極パッド28とは、第3配線層26が有する配線(図示せず)を介して、電気的に接続する。
【0024】
第2配線層22は、二酸化ケイ素等の電気絶縁体を用いて形成される。第2配線層22は、第1面121及び第2面222を有する。第1面121上には、第2半導体層21が配置される。第2面222上には、第1半導体チップ部10が配置される。具体的には、第2配線層22の第2面222上に、第1配線層12の第1面121が配置される。第2配線層22の電気絶縁体の部分は、第1配線層12の電気絶縁体の部分と接合する。第2配線層22の内部には、複数の第2配線23が配置される。第2配線23は、例えば、銅等の導電体を用いて形成される。ロジック回路領域211と、第2配線23とは、第3配線層26が有する配線(図示せず)と、ビア27とを介して電気的に接続する。
【0025】
図4(B)は、第1実施形態の半導体モジュール1の第2面222を示す図である。第2面222には、複数の第2接続部24が露出するように配置される。複数の第2接続部24は、複数の第接続部14のそれぞれに対応する第2面222内の位置に配置される。第2接続部24は、例えば、銅等の導電体を用いて形成される。複数の第2接続部24は、その対応する第1接続部14と接合し、且つ、電気的に接続する。半導体モジュール1では、第1接続部14と第2接続部24とは接合し一体となって、第1配線13と第2配線23とを電気的に接続する接続部として働く。第2接続部24は、平面視してその対応する第1接続部14と同じ形状を有することが好ましい。
図4(B)に示す例では、第2接続部24は、平面視して、第1接続部14と同じ矩形の形状を有する。複数の第2接続部24は、第2面222において、第1面121に配置される第1接続部14に対応して、2次元アレイ状にX方向及びY方向に同じ間隔で配置されている。複数の第2接続部24のそれぞれは、第2配線23を介して、ビア27と電気的に接続する。
【0026】
第2面222において、複数の第2接続部24の間には、凸部25が配置される。
図4(B)に示す例では、一の凸部25は、2~4個の第2接続部24の間に配置される。凸部25は、第2配線層22における第2面222から第1配線層12の内部まで突出している。凸部25は、凹部15により収容可能な形状を有する。複数の凸部25のそれぞれが、その対応する凹部15に収容されて、凹部15と凸部25とが接合していることが好ましい。
図4(B)に示す例では、凸部25は、凹部15に対応する四角錐の形状を有し、この四角錐の側辺を実線で示す。凸部25は、第2面222において、2次元アレイ状にX方向及びY方向に配置されている。一の第2接続部24は、複数の凸部25により囲まれている。
図4(B)に示す例では、一の第2接続部24は、8個の凸部25により囲まれている。
【0027】
第1配線層12の第1面121と第2配線層22の第2面222とが接合することにより、第1半導体チップ部10と第2半導体チップ部20とは接合される。第2配線層22の第2配線23は、第1配線層12の第1配線13から電気信号を入力し、この電気信号は、第3配線層26を介して第2半導体層21のロジック回路領域211へ伝送される。
【0028】
第3配線層26は、二酸化ケイ素等の電気絶縁体を用いて形成される。第3配線層26は、電極パッド28及び電極パッド29を有する。電極パッド28と、電極パッド29とは、図示しない配線を介して電気的に接続される。
【0029】
半導体モジュール1では、画素領域111に配置される複数の画素1111により生成された電気信号のそれぞれは、駆動回路1111aと、電極パッド17と、ビア16と、第1配線13と、第1接続部14と、第2接続部24と、第2配線23と、ビア27と、第3配線層26とを介してロジック回路領域211へ伝送される。また、ロジック回路領域211が出力する電気信号は、複数の電極パッド29から取り出される。
【0030】
上述したように、半導体モジュール1は、高解像度の画像を生成して、画像の生成した信号を高速で処理できることが好ましい。高解像度の画像を生成する観点から、画素領域111には、多くの画素111が配置される。多くの画素111の信号を読み出す観点から、これらの画素111の信号は並列して読み出されることが好ましい。半導体モジュール1は、複数の画素111の信号を並列して読み出す観点から、第1配線層12の第1面121に複数の第1接続部14を有する第1半導体チップ部10と、第2配線層22の第2面222に複数の第2接続部24を有する第2半導体チップ部20との積層構造を有する。画素111で生成された信号を高速で処理する観点から、第1接続部14及び第2接続部24の対の数は多いことが好ましい。出来れば、一の画素111の信号は、この画素だけに対応する第1接続部14及び第2接続部24の対を介して読み出されることが好ましい。一方、半導体モジュール1の寸法は、規格により制約を受けるので上限が存在する。そのため、第1配線層12の第1面121に多数の第1接続部14を配置する場合には、隣接する第1接続部14の間隔は狭くならざるを得ない。隣接する第1接続部14の間隔が狭くなると、隣接する第1接続部14が短絡するおそれが従来よりも高くなる。次に、凹部15が隣接する第1接続部14間の短絡を防止する
ことを、
図5(A)を参照しながら、以下に説明する。
【0031】
図5(A)は、第1面121の表面に沿った第1接続部14間の距離を示す図である。
図5(A)に示すように、凹部15は、第1面121の表面に沿った隣接する2つの第1接続部14間の距離を拡大する。凹部15が第1面121に配置されることにより、第1面121の表面に沿った隣接する2つの第1接続部14間の距離L1は、凹部15が配置されない場合の隣接する2つの第1接続部14間の距離L2よりも長くなる。このことは、凹部15は、複数の第1接続部14間に凹部15が配置されることにより、複数の第1接続部14間における第1面121の表面積をこの凹部15が配置されない場合よりも拡大するともいえる。本明細書において、凹部15は、第1面121における凹部15が配置されない領域において表面粗さを形成するような凹部を含まない。例えば、凹部15の深さh1は、第1面121における凹部15が配置されない領域の算術平均粗さの2倍~200倍程度の大きさを有する。
【0032】
半導体モジュール1の製造工程では、第1半導体チップ部10と第2半導体チップ部20とが接合される前に、第1面121に露出している第1接続部14の表面酸化膜は、例えば、プラズマ等の活性化処理により除去される。この際、第1接続部14の表面を形成する銅等の導電体の微粒子が発生して第1面121に付着する。これらの導電体の微粒子によって、隣接する2つの第1接続部14を連結する導電性の構造物が形成されると、2つの第1接続部14は、この構造物によって短絡する。これにより、画素領域111で生成された電気信号は、ロジック回路領域211へうまく送られないおそれがある。
【0033】
半導体モジュール1では、第1面121において隣接する2つの第1接続部14の間に凹部15が配置されることにより、隣接する2つの第1接続部14の間の距離を増大させて、上述した構造物が形成されることを抑制し、2つの第1接続部14が短絡することが防止される。上述した観点から、距離L1は、距離L2の1.2倍~2.5倍であることが好ましい。距離L1は、距離L2の1.2倍以上であることにより、2つの第1接続部14が短絡することを抑制できる。一方、距離L1が、距離L2の2.5倍より長いと、第1面121に配置される第1接続部14の数が少なくなるおそれがある。
【0034】
次に、凸部25が隣接する第2接続部24間の短絡を防止することを、
図5(B)を参照しながら、以下に説明する。
【0035】
図5(B)は、第2面222の表面に沿った第2接続部24間の距離を示す図である。
図5(B)に示すように、凸部25は、第2面222の表面に沿った隣接する2つの第1接続部14間の距離を拡大する。凸部25が第2面222に配置されることにより、第2面222の表面に沿った隣接する2つの第2接続部24間の距離L3は、凸部25が配置されない場合の隣接する2つの第2接続部24間の距離L4よりも長くなる。このことは、凸部25は、複数の第2接続部24間に凸部25が配置されることにより、複数の第2接続部24間における第2面222の表面積をこの凸部25が配置されない場合よりも拡大するともいえる。本明細書において、凸部25は、第2面222における凸部25が配置されない領域において表面粗さを形成するような凸部を含まない。例えば、凸部25の高さh2は、第2面222における凸部25が配置されない領域の算術平均粗さの2倍~200倍程度の大きさを有する。
【0036】
半導体モジュール1では、第2面222において隣接する2つの第2接続部24の間に凸部25が配置されることにより、隣接する2つの第2接続部24の間の距離を拡張して、上述した構造物が形成されることを抑制し、2つの第2接続部24が短絡することが防止される。上述した観点から、距離L3は、距離L4の1.2倍~2.5倍であることが、距離L1に対して説明したのと同様の観点から好ましい。
【0037】
次に、凹部15及び凸部25が、第1接続部14と第2接続部24との位置ずれを低減することについて、以下に説明する。
【0038】
半導体モジュール1は、その製造工程において、複数の第2接続部24のそれぞれが対応する第1接続部14と接合し、且つ、電気的に接続するように、第1面121と第2面222とを対向させて、第1半導体チップ部10が第2半導体チップ部20上に積層されて形成される。この際、第1半導体チップ部10の第1面121の凹部15と、第2半導体チップ部20の第2面222の凹部15とは、第1半導体チップ部10が第2半導体チップ部20上に積層される際のアライメントの位置を、調整する働きを有する。すなわち、第1半導体チップ部10の第1面121と第2半導体チップ部20の第2面222とを近づけて、複数の凸部25のそれぞれの頂点が、その対応する凹部15内に収まると、複数の凸部25のそれぞれが、その対応する凹部15内に収容されるので、第1半導体チップ部10は、第2半導体チップ部20に対して所定の位置関係となるように案内される。その結果、第1半導体チップ部10の第1面121の複数の第1接続部14のそれぞれの位置は、その対応する第2接続部24の位置と一致する。これにより、第1接続部14と、この第1接続部14に対応する第2接続部24との間に良好な接合及び電気的接続が得られる。第1半導体チップ部10が第2半導体チップ部20上に積層される際のアライメントの位置のずれとして、例えば、凹部15の大きさ程度の距離が許容され得る。
【0039】
凸部25の形状は、凹部15に収容可能であれば特に制限されない。凸部25は、特に、凹部15に嵌合する形状を有することが、第1半導体チップ部10と第2半導体チップ部20との接合強度を確保する共に位置ずれ量を低減する観点から好ましい。また、凸部25は、先細りの形状を有していることが、位置ずれ量を低減する観点から好ましい。凸部25は、四角錐以外の形状を有していてもよい。例えば、凸部25は、三角錐、五角錐、円錐等の形状を有していてもよい。
【0040】
上述した本実施形態の半導体モジュールによれば、複数の第1接続部の間に配置される凹部を備えるので、第1配線層が有する第1接続部同士の短絡することが防止される。また、本実施形態の半導体モジュールによれば、複数の第2接続部の間に配置される凸部を備えるので、第2配線層が有する第2接続部同士の短絡することが防止される。また、本実施形態の半導体モジュールによれば、第1配線層の第1面に配置される凹部と、第2配線層の第2面に配置され且つ凹部に収容される凸部とを有するので、第1接続部と第2接続部との位置ずれが防止されて、第1接続部と第2接続部との間に良好な接合及び電気的接続が得られる。
【0041】
近年、半導体モジュールの一例である撮像装置の解像度の向上に伴って、画素領域に配置される画素数の増加が求められている。画素数が増加すると、これに対応して、第1接続部及び第2接続部の数の増加が求められる。そして、第1接続部及び第2接続部の数の増加と共に、隣接する第1接続部間の距離、及び、隣接する第2接続部間の距離は低減する。本実施形態の半導体モジュールでは、隣接する第1接続部間の距離、及び、隣接する第2接続部間の距離が低減しても、第1接続部と、この第1接続部に対応する第2接続部との間に良好な接合及び電気的接続がもたらされる。
【0042】
図6(A)は、第1実施形態の半導体モジュールの変形例の第1面を示す図であり、
図6(B)は、第2面を示す図である。
【0043】
本変型例の半導体モジュールでは、
図6(A)に示すように、一の第1接続部14は、4個の凹部15により囲まれている。第1面121において、X方向及びこのX方向と直行するY方向には、隣接する2つの第1接続部14の間に凹部15が配置されるが、X方向又はY方向に対して交差する方向(
図6(A)では45度の方向)には、隣接する2つの第1接続部14の間に凹部15は配置されない。
【0044】
また、
図6(B)に示すように、本変型例の半導体モジュールでは、一の第2接続部24は、4個の凸部25により囲まれている。第2面222において、X方向及びY方向には、隣接する2つの第2接続部24の間に凸部25が配置されるが、X方向又はX方向に対して交差する方向(
図6(B)では45度の方向)には、隣接する2つの第2接続部24の間に凸部25は配置されない。
【0045】
上述した本変型例の半導体モジュールによれば、第1面121における凹部15の数が低減するので、第1面121における平坦な領域の面積が増加する。同様に、第2面222における凸部25の数が低減するので、第2面222における平坦な領域の面積が増加する。そして、第1面121における平坦な領域と、第2面222における平坦な領域との接合領域の面積が増加するので、第1半導体チップ部10と第2半導体チップ部20との接合強度をより向上することができる。
【0046】
次に、上述した半導体モジュールの他の実施形態を、
図7~
図11を参照しながら以下に説明する。他の実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、同一の構成要素には同一の符号を付してある。
【0047】
図7は、本明細書に開示する半導体モジュールの第2実施形態の断面を示す図である。本実施形態の半導体モジュール2では、凹部15a及び凸部25aの断面の形状は矩形である。凹部15aは、その断面の形状が矩形であることにより、その断面の形状が第1実施形態のような三角形である時と比べて、第1面121の表面に沿った隣接する2つの第1接続部14間の距離をより増加させる。これにより、2つの第1接続部14を連結する構造物が形成されることを更に防止できる。
【0048】
また、凸部25aは、その断面の形状が矩形であることにより、その断面の形状が三角形である時と比べて、第2面222の表面に沿った隣接する2つの第2接続部24間の距離をより増加させる。これにより、2つの第2接続部24を連結する構造物が形成されることを更に防止できる。
【0049】
上述した本実施形態の半導体モジュールによれば、複数の第1接続部の間に配置される凹部の断面が矩形の形状なので、第1配線層が有する第1接続部同士の短絡することが更に防止される。また、本実施形態の半導体モジュールによれば、複数の第2接続部の間に配置される凸部の断面が矩形の形状なので、第2配線層が有する第2接続部同士の短絡することが更に防止される。
【0050】
図8は、本明細書に開示する半導体モジュールの第3実施形態の断面を示す図である。本実施形態の半導体モジュール3では、隣接する2つの第1接続部14の間に構造物が形成されて、これらの2つの第1接続部14が短絡する可能性が相対的に高い場合、凹部は、これらの2つの第1接続部14の間に配置される。一方、2つの第1接続部14が短絡する可能性が相対的に低い場合、凹部は、これらの2つの第1接続部14の間に配置されない。同様に、隣接する2つの第2接続部24の間に構造物が形成されて、これらの2つの第2接続部24が短絡する可能性が相対的に高い場合、凸部は、これらの2つの第2接続部24の間に配置される。一方、2つの第2接続部24が短絡する可能性が相対的に低い場合、凸部は、これらの2つの第2接続部24の間に配置されない。具体的には、本実施形態の半導体モジュール3では、凹部15bは、隣接する2つの第1接続部14の間の直線距離が、所定のしきい値よりも短い箇所に配置される。この直線距離は、
図5(A)の距離L2に対応する。凹部15bは、隣接する2つの第1接続部14の間の直線距離が、所定のしきい値以上の箇所には配置されない。同様に、本実施形態の半導体モジュール3では、凸部25bは、隣接する2つの第2接続部24の間の直線距離が、所定のしきい値よりも短い箇所に配置される。この直線距離は、
図5(B)の距離L4に対応する。凸部25bは、隣接する2つの第2接続部24の間の直線距離が、所定のしきい値以上の箇所には配置されない。このしきい値は、例えば、第1接続部14及び第2接続部24の寸法と、第1接続部14及び第2接続部24が配置される間隔に基づいて決定され得る。また、本実施形態の半導体モジュール3では、凹部15a及び凸部25aの断面の形状は矩形である。なお、凹部15bは、第1面121における第1接続部14の面密度が、所定のしきい値よりも小さい領域に配置され、同様に、凸部25bは、第2面222における第2接続部24の面密度が、所定のしきい値よりも小さい領域に配置されるようにしてもよい。
【0051】
上述した本実施形態の半導体モジュールによれば、凹部は、隣接する2つの第1接続部が短絡する可能性の相対的に高い箇所に配置されるので、形成される凹部の数を低減する。これにより、半導体モジュールの設計及び検査工程を簡略化して生産性を向上する事ができる。同様に、本実施形態の半導体モジュールによれば、凸部は、2つの第2接続部が短絡する可能性の相対的に高い箇所に配置されるので、形成される凸部の数を低減することにより、半導体モジュールの設計及び検査工程を簡略化して生産性を向上する事ができる。
【0052】
図9は、本明細書に開示する半導体モジュールの第4実施形態の断面を示す図である。本実施形態の半導体モジュール4では、第1配線層12は、複数の第1接続部14aと同じ数の凹部15cを有し、第2配線層22は、複数の第2接続部24aと同じ数の凸部25cを有する。複数の第1接続部14aのそれぞれは、一の凹部15cに配置され、複数の第2接続部24aのそれぞれは、一の凸部25cに配置される。凹部15c及び凸部25cは、上述した第1実施形態と同様に四角錐の形状を有する。
【0053】
複数の凸部25のそれぞれが、その対応する凹部15に収容された状態で、第1接続部14aと第2接続部24aとが、接合し、且つ、電気的に接続する。
【0054】
本実施形態の半導体モジュール4では、凹部15cの寸法を調整することにより、第1接続部14aの寸法を、第1実施形態よりも大きくすることができる。同様に、本実施形態の半導体モジュール4では、凸部25cの寸法を調整することにより、第2接続部24aの寸法を、第1実施形態よりも大きくすることができる。これにより、本実施形態の半導体モジュール1では、第1接続部14aと第2接続部24aとの接合強度を、第1実施形態よりも大きくすることができる。
【0055】
また、本実施形態の半導体モジュールによれば、凹部の寸法及び配置間隔を調整することにより、第1接続部が配置される間隔を、第1実施形態よりも短くすることができる。同様に、本実施形態の半導体モジュールでは、凸部の寸法及び配置間隔を調整することにより、第2接続部が配置される間隔を、第1実施形態よりも短くすることができる。これにより、本実施形態の半導体モジュールでは、第1面に配置される第1接続部の数及び第2面に配置される第2接続部の数を、上述した第1実施形態よりも増加させることができる。
【0056】
なお、本実施形態の半導体モジュールでは、第1接続部は、全ての凹部に配置されていなくてもよい。同様に、第2接続部は、全ての凸部に配置されていなくてもよい。この場合、複数の第1接続部の中の一の第1接続部は凹部に配置され、この凹部に収容される凸部に、一の第1接続部1と接続される一の第2接続部が配置される。
【0057】
図10は、本明細書に開示する半導体モジュールの第5実施形態の断面を示す図である。本実施形態の半導体モジュール5では、第2配線層22は、凸部を有していない。第1配線層12の凹部15は、中空である。
【0058】
上述した本実施形態の半導体モジュールによれば、複数の第1接続部の間に配置される凹部を備えるので、第1配線層が有する第1接続部同士の短絡が防止される。
【0059】
図11は、本明細書に開示する半導体モジュールの第6実施形態の断面を示す図である。本実施形態の半導体モジュール6は、平面視して画素領域111が配置される画素配置領域6aと、画素領域111が配置されない非画素配置領域6bとを有する。本実施形態の半導体モジュール6では、凹部15d及びこの凹部15dに収容される凸部25dは、非画素配置領域6bに配置される。すなわち、凹部15d及び凸部25dは、画素配置領域6aには配置されない。
【0060】
本実施形態の半導体モジュール6では、画素配置領域6aの第1面121の部分に凹部15dが配置されないので、画素配置領域6aの第1面121の部分には、第1実施形態よりも多くの第1接続部14を配置することが可能になる。また、本実施形態の半導体モジュールでは、画素配置領域6aの第2面222の部分に凸部25dが配置されないので、画素配置領域6aの第2面222の部分には、第1実施形態よりも多くの第2接続部24を配置することが可能になる。
【0061】
第1面121には、画素領域111に配置される画素1111の数に対応して、より多くの第1接続部14が配置され且つ第2面222に対応する第2接続部24が配置されることが、同時により多くの画素1111から第1接続部14及び第2接続部24へ電気信号を送れるので、画素1111で生成された電気信号を高速にロジック回路領域211へ送信する観点から好ましい。
【0062】
本実施形態の半導体モジュールによれば、より多くの第1接続部及びこの第1接続部と接続する第2接続部が配置されることにより、画素領域の画素で生成された電気信号をより高速にロジック回路領域へ送ることができる。また、本実施形態の半導体モジュールによれば、第1配線層の第1面に配置される凹部と、第2配線層の第2面に配置され且つ凹部に収容される凸部とを有するので、第1接続部と第2接続部との位置ずれが防止されて、第1接続部と第2接続部との間に良好な接合及び電気的接続が得られる。
【0063】
次に、本明細書に開示する半導体モジュールの製造方法の好ましい第1実施形態について、
図12~
図16を参照しながら、以下に説明する。半導体モジュールの製造方法の第1実施形態は、上述した半導体モジュールの第1実施形態を製造することの説明である。
【0064】
まず、
図12(A)に示すように、第1半導体層11と、この第1半導体層11上に配置される第1配線層12とを有する第1半導体チップ部10が用意される。第1半導体層11は、シリコン基板等の半導体を用いて形成されており、受光面に配置される画素領域111及び電極パッド17と、ビア16とを有する。第1配線層12は、二酸化ケイ素等の電気絶縁体を用いて形成されており、第1面121に配置される複数の第1接続部14と、内部に配置される複数の第1配線13とを有する。
【0065】
次に、
図12(B)に示すように、第1配線層12の第1面121上に、レジスト層30が形成される。
【0066】
次に、
図12(C)に示すように、リソグラフィー技術を用いて、レジスト層30がパターニングされて、レジスト層30に複数の開口部302が形成される。第1配線層12の第1面121が、複数の開口部302から露出する。
【0067】
次に、
図13(D)に示すように、レジスト層30をマスクとし、エッチング技術を用いて、複数の開口部302から露出している第1面121の部分がエッチングされて、複数の凹部15が第1面121に形成される。ドライエッチング技術として、例えば、等方性のドライエッチングを用いることができる。
【0068】
次に、
図13(E)に示すように、第1面121からレジスト層30が除去されて、第1面121に複数の凹部15が形成された第1半導体チップ部10が得られる。そして、そして、複数の第1接続部14のそれぞれの表面酸化膜が除去される。第1接続部14の表面酸化膜は、例えば、第1配線層12の第1面121がプラズマ等の活性化処理されて除去される。この際、隣接する2つの第1接続部14間の距離が長いので、プラズマ等の活性化処理により生成された導電体の微粒子によって、2つの第1接続部14間を短絡させるような構造物の形成が防止される。
【0069】
次に、
図14(F)に示すように、第3配線層26と、この第3配線層26上に配置される第2半導体層21と、この第2半導体層21上に配置される第2配線層22とを有する第2半導体チップ部20が用意される。第3配線層26は、二酸化ケイ素等の電気絶縁体を用いて形成されており、電極パッド28及び電極パッド29を有する。第2半導体層21は、シリコン基板等の半導体を用いて形成されており、ロジック回路領域211と、ビア27とを有する。第2配線層22は、二酸化ケイ素等の電気絶縁体を用いて形成されており、第2面222に配置される複数の第2接続部24と、内部に配置される複数の第2配線23とを有する。
【0070】
次に、
図14(G)に示すように、第2配線層22の第2面222上に、電気絶縁性の絶縁層31が形成される。絶縁層31は、例えば、プラズマ化学蒸着法等の化学蒸着法又はプラズマ等の活性化処理等の物理蒸着法技術を用いて形成される。絶縁層31の形成材料として、例えば、二酸化ケイ素を用いることができる。また、絶縁層31の形成材料として、第2配線層22の電気絶縁体とはエッチングレートの異なる材料を用いてもよい。
【0071】
次に、
図14(H)に示すように、絶縁層31上に、レジスト層32が形成される。
【0072】
次に、
図15(I)に示すように、リソグラフィー技術を用いて、レジスト層32がパターニングされて、複数のレジストパターン321が、絶縁層31上に形成される。レジスト層32が除去された部分からは、絶縁層31から露出する。複数のレジストパターン321は、第1半導体チップ部10の第1面121の複数の凹部15の位置と対応する、絶縁層31上の位置に形成される。
【0073】
次に、
図15(J)に示すように、複数のレジストパターン321をマスクとし、エッチング技術を用いて、第2配線層22の第2面222が露出するまで、絶縁層31がエッチングされて、複数の凸部25が第2配線層22上に形成される。ドライエッチング技術として、例えば、等方性のドライエッチングを用いることが好ましい。なお、第2配線層22を、電気絶縁体層と、この電気絶縁体層上に配置されるエッチングストッパ層とにより形成しておくと、エッチングストッパ層の表面である第2面222の露出の検知によって、絶縁層31のエッチングの終了を判定し易くなる。
【0074】
次に、
図15(K)に示すように、複数の凸部25のそれぞれの上のレジストパターン321が除去されて、第2面222に複数の凸部25が形成された第2半導体チップ部20が得られる。そして、複数の第2接続部24のそれぞれの表面酸化膜が除去される。第2接続部24の表面酸化膜は、例えば、第2配線層22の第2面222がプラズマ等の活性化処理されて除去される。この際、隣接する2つの第2接続部24間の距離が長いので、プラズマ等の活性化処理により生成された導電体の微粒子によって、2つの第2接続部24間を短絡させるような構造物の形成が防止される。
【0075】
次に、
図16に示すように、第1半導体チップ部10における複数の凹部15のそれぞれに、この凹部15に対応する凸部25を収容し、且つ、複数の第1接続部14のそれぞれが対応する第2接続部24と電気的に接続するように、第1面121と第2面222とを対向させて、第2半導体チップ部20上に第1半導体チップ部10が積層される。そして、第1半導体チップ部10と第2半導体チップ部20との積層体が加熱されることにより、複数の第1接続部14のそれぞれが対応する第2接続部24とを接合し、且つ、電気的に接続して、
図2に示す半導体モジュール1が得られる。また、第1半導体チップ部10と第2半導体チップ部20との積層体が加熱されることにより、第1半導体チップ部10の第1配線層12の電気絶縁体の部分と、第2半導体チップ部20の第2配線層22の電気絶縁体の部分とが接合する。なお、本明細書において、第2半導体チップ部20上に第1半導体チップ部10が積層されることの「上」は、相対的なものであり、第1半導体チップ部10上に第2半導体チップ部20が積層されることを含む意味である。
【0076】
上述した本実施形態の半導体モジュールの製造方法によれば、複数の第1接続部の間に配置される凹部を備え、第1配線層が有する第1接続部同士の短絡が防止される半導体モジュールが得られる。また、本実施形態の半導体モジュールの製造方法によれば、複数の第2接続部の間に配置される凸部を備え、第2配線層が有する第2接続部同士の短絡が防止される半導体モジュールが得られる。また、本実施形態の半導体モジュールの製造方法によれば、第1配線層の第1面に配置される凹部に、第2配線層の第2面に配置され且つ凹部に収容される凸部を収容するので、第1接続部と第2接続部との位置ずれが防止されて、第1接続部と第2接続部との間に良好な接合及び電気的接続が得られる半導体モジュールが得られる。
【0077】
次に、本明細書に開示する半導体モジュールの製造方法の好ましい第2実施形態について、
図17を参照しながら、以下に説明する。半導体モジュールの製造方法の第2実施形態は、上述した半導体モジュールの第5実施形態を製造することの説明である。
【0078】
まず、上述した
図13(E)に示す第1半導体チップ部10と、
図14(F)に示す第2半導体チップ部20とが用意される。次に、第2半導体チップ部20における第2面222の複数の第2接続部24のそれぞれの表面酸化膜が除去される。次に、
図17に示すように、第2半導体チップ部20における複数の第2接続部24のそれぞれが対応する第1接続部14と電気的に接続するように、第1面121と第2面222とを対向させて、第2半導体チップ部20上に第1半導体チップ部10が積層される。そして、第1半導体チップ部10と第2半導体チップ部20との積層体が加熱されることにより、複数の第1接続部14のそれぞれが対応する第2接続部24とを接合し、且つ、電気的に接続して、
図10に示す半導体モジュール5が得られる。
【0079】
上述した本実施形態の半導体モジュールの製造方法によれば、複数の第1接続部の間に配置される凹部を備え、第1配線層が有する第1接続部同士の短絡が防止される半導体モジュールが得られる。
【0080】
本発明では、上述した実施形態の半導体モジュール及び半導体モジュールの製造方法は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また、一の実施形態が有する構成要件は、他の実施形態にも適宜適用することができる。
【0081】
例えば、半導体モジュールは、上述した実施形態では、撮像装置であったが、半導体モジュールは、記憶装置等の他の半導体装置であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 半導体モジュール
10 第1半導体チップ部
11 第1半導体層
111 画素領域
1111 画素
1111a 駆動回路
12 第1配線層
121 第1面
122 第2面
13 配線
14、14a 第1接続部
15、15a、15b、15c、15d 凹部
16 ビア
17 電極パッド
20 第2半導体チップ部
21 第2半導体層
211 ロジック回路領域
22 第2配線層
221 第1面
222 第2面
23 配線
24、24a 第2接続部
25、25a、25b、25c、25d 凸部
26 第3配線層
27 ビア
28 電極パッド
29 電極パッド
30 レジスト層
301、302、303 開口部
31 絶縁層
32 レジスト層
321 レジストパターン