(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】位置検出装置、画像形成装置および位置検出方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20240312BHJP
B41J 25/20 20060101ALI20240312BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240312BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20240312BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240312BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G01B11/00 H
B41J25/20
B41J29/38 204
G03G15/01 Y
G03G15/00 303
G03G21/14
(21)【出願番号】P 2020099519
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】大宮 豊
(72)【発明者】
【氏名】二角 大祐
(72)【発明者】
【氏名】橋本 英樹
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-139848(JP,A)
【文献】特開2000-225748(JP,A)
【文献】特開2016-180857(JP,A)
【文献】米国特許第06386671(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
B41J 25/20
29/00-29/70
G03G 13/34、15/00
15/01、15/36
21/00、21/02
21/14、21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視波長領域に比べて不可視波長領域では高い吸収特性を有する背景部と、
前記背景部に対向して設けられ、所定のマークを有する記録媒体および前記背景部に対して可視波長または不可視波長の光を照射して可視画像または不可視画像を読取画像として出力する読取部と、
前記読取部から出力される読取画像から記録媒体の端部位置と記録媒体に形成されたマークの位置とを検出する位置検出部と、
前記読取部が読み取る前記マークを形成する色材および前記記録媒体の不可視波長領域における吸収特性に応じて、前記位置検出部が位置検出に用いる読取画像として可視画像または不可視画像を選択する制御部と、
を備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、不可視波長領域において記録媒体に比べて高い吸収特性を持つ色材で前記マークが形成されていて、かつ、不可視波長領域において前記背景部に比べて低い吸収特性を持つ記録媒体を前記読取部が読み取った場合に、前記位置検出部が読取画像として不可視画像を用いて位置検出を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、不可視波長領域において記録媒体に比べて高い吸収特性を持つ色材で前記マークが形成されていない記録媒体を前記読取部が読み取った場合、または、不可視波長領域において前記背景部に比べて低い吸収特性を持たない記録媒体を前記読取部が読み取った場合に、前記位置検出部が読取画像として可視画像を用いて位置検出を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記読取部は、不可視波長の光として近赤外光を照射し、不可視画像として近赤外画像を出力する、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の位置検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の位置検出装置と、
前記位置検出装置での検出結果から記録媒体に対する画像形成位置を補正する画像位置補正部と、
前記画像位置補正部によって補正された記録媒体上の位置に画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成部は、
可視波長領域に比べて不可視波長領域で高い吸収特性を持つ記録媒体に対し、可視波長領域の特定の領域において低い吸収特性を示す色材でマークの少なくとも一部を形成
し、
前記位置検出装置が備える位置検出部は、記録媒体の端部位置と前記画像形成部によって記録媒体に形成された前記マークの位置とを検出する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、
記録媒体に対し、可視波長領域に比べて不可視波長領域で高い吸収特性を持つ色材と、可視波長領域の特定の領域において低い吸収特性を示す色材との双方でマークの少なくとも一部を形成
し、
前記位置検出装置が備える位置検出部は、記録媒体の端部位置と前記画像形成部によって記録媒体に形成された前記マークの位置とを検出する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成部は、
設定された用紙情報に応じてマークを形成する色材を変更
し、
前記位置検出装置が備える位置検出部は、記録媒体の端部位置と前記画像形成部によって記録媒体に形成された前記マークの位置とを検出する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項9】
可視波長領域に比べて不可視波長領域では高い吸収特性を有する背景部に対向して設けられ、少なくとも一部が不可視波長領域で可視波長領域に比べて高い吸収特性を持つ色材で形成された所定のマークを有する記録媒体および前記背景部に対して可視波長または不可視波長の光を照射して可視画像または不可視画像を読取画像として出力する読取部を備える位置検出装置で実行される位置検出方法であって、
前記読取部から出力される読取画像から記録媒体の端部位置と記録媒体に形成されたマークの位置とを検出する位置検出ステップと、
前記読取部が読み取る前記マークを形成する色材および前記記録媒体の不可視波長領域における吸収特性に応じて、前記位置検出ステップで位置検出に用いる読取画像として可視画像または不可視画像を選択する制御ステップと、
を含むことを特徴とする位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置、画像形成装置および位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被搬送物の搬送位置および当該被搬送物に対する処理位置の補正を目的として、被搬送物の外形エッジ位置と当該被搬送物に対する処理位置とを読取デバイスで読み取る技術が既に知られている。
【0003】
しかし、従来の被搬送物の外形エッジ位置と当該被搬送物に対する処理位置との読み取りでは、読取デバイスに対向する背景部と被搬送物との濃度差が小さい場合や、被搬送物と処理位置を示す基準マークとの濃度差が小さい場合には、被搬送物の外形エッジ位置や処理位置を正確に読み取ることができない、という問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1には、基準マークを正確に読み取る目的で、画像読取部が読み取った画像を解析して用紙の下地色及び色が異なる複数の基準マークの色を特定し、基準マークの色の中から用紙の下地色に対してコントラストが最も高い色を選択した後、選択された色の基準マークを画像読取部が読み取った画像から得られる位置情報に基づいて印刷処理部の画像形成範囲を調整し、用紙の読み取りに際して下地色に対してコントラストが相対的に高い色に背景部を切り替える技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術によれば、背景部の色を切り替えるための動作時間や、背景部の色の切り替え後の安定待ち時間が必要となり、生産性が低下する、という問題があった。また、従来技術によれば、背景部の色を切り替える構成が必要となり、装置が複雑化するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成で生産性を低下させることなく、様々な記録媒体において高精度に端部位置の検出や画像形成位置の検出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、可視波長領域に比べて不可視波長領域では高い吸収特性を有する背景部と、前記背景部に対向して設けられ、少なくとも一部が不可視波長領域で可視波長領域に比べて高い吸収特性を持つ色材で形成された所定のマークを有する記録媒体および前記背景部に対して可視波長または不可視波長の光を照射して可視画像または不可視画像を読取画像として出力する読取部と、前記読取部から出力される読取画像から記録媒体の端部位置と記録媒体に形成されたマークの位置とを検出する位置検出部と、前記読取部が読み取る前記マークを形成する色材および前記記録媒体の不可視波長領域における吸収特性に応じて、前記位置検出部が位置検出に用いる読取画像として可視画像または不可視画像を選択する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成で生産性を低下させることなく、様々な記録媒体において高精度に端部位置の検出や画像形成位置の検出を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、読取部および周辺の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、用紙と用紙上の画像パターンの位置を示す図である。
【
図4】
図4は、位置検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、位置検出装置の機能を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、白紙に各色のトナーで印字した場合の分光反射率の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、読取画像(1ライン)の画素値の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙の不可視データの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、読取動作時の副走査ゲート信号を示すタイミングチャートである。
【
図11】
図11は、第2の実施の形態にかかる位置検出装置の機能を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、第3の実施の形態にかかる位置検出装置の機能を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第4の実施の形態にかかる位置検出装置の機能を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、第5の実施の形態にかかる読取画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、位置検出装置、画像形成装置および位置検出方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置である画像形成システム1は、画像形成部3と、位置検出装置4と、を備える。
【0012】
画像形成部3は、印刷処理部301を備える。印刷処理部301は、エンジンコントローラから入力されるビットマップデータを取得し、用紙P(記録媒体の一例)に対して画像形成処理を実行する。
【0013】
なお、本実施の形態の印刷処理部301は、電子写真方式の一般的な画像形成機構によって実現されるが、これに限るものではなく、インクジェット方式等の他の画像形成機構を用いることも可能である。
【0014】
印刷処理部301は、無端状移動手段である搬送ベルト11に沿って各色の感光体ドラム12Y、12M、12C、12K(以降、総じて感光体ドラム12とする)が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ13から給紙される用紙Pに転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト11に沿って、この搬送ベルト11の搬送方向の上流側から順に、感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kが配列されている。
【0015】
各色の感光体ドラム12の表面においてトナーにより現像された各色の画像が、搬送ベルト11に重ね合わせられて転写されることによりフルカラーの画像が形成される。そのようにして搬送ベルト11上に形成されたフルカラー画像は、図中に破線で示す用紙Pの搬送経路と最も接近する位置において、転写ローラ14の機能により、経路上を搬送されてきた用紙Pの紙面上に転写される。
【0016】
紙面上に画像が形成された用紙Pは更に搬送され、定着ローラ15にて画像を定着された後、位置検出装置4に搬送される。また、両面印刷の場合、片面上に画像が形成されて定着された用紙Pは反転パス16に搬送され、反転された上で再度転写ローラ14の転写位置に搬送される。
【0017】
位置検出装置4は、印刷処理部301で用紙Pに形成されたマークM(
図3参照)の位置と用紙Pの端部位置を検出するために、用紙P上に画像が形成される定着ローラ15よりも後段に配置される。
【0018】
位置検出装置4は、読取部400を備える。読取部400は、画像形成部3によって印刷が実行されて出力された印刷物を搬送経路において読み取り、読取画像を出力する画像読取部である。読取部400は、例えば位置検出装置4内部における搬送経路に設置されたラインスキャナである。読取部400は、背景部500(
図2参照)との間を搬送される用紙Pの紙面上を走査することによって紙面上に形成された画像を読み取る。読取部400は、詳細は後述するが、被写体として、用紙Pと用紙Pの背景となる背景部500とを読み取って、用紙Pに対応する用紙領域(媒体領域)と用紙領域外(背景領域)を含む読取画像を出力する。
【0019】
ここで、
図2は読取部400および周辺の構成例を示す図である。
図2に示すように、読取部400は、2つの光源401,402、撮像素子403、コンタクトガラス404を備える。
【0020】
2つの光源401,402は、印刷処理部301によって出力されて搬送経路を搬送される用紙Pに対して、コンタクトガラス404を介して光を照射する。読取部400は可視画像と不可視画像を読み取る構成となっており、光源401は可視光を照射し、光源402は、不可視光を照射する。コンタクトガラス404や図示しないレンズなどの光学部品は、可視光に加えて不可視光も透過する特性を持つ。
【0021】
撮像素子403は、コンタクトガラス404を介して用紙Pから反射した光を受光し、電気信号に変換する。撮像素子403は、シリコン半導体で構成されているイメージセンサであり、可視光に加えて不可視光を受光できる素子である。すなわち、撮像素子403は、可視画像と不可視画像を出力する。
【0022】
加えて、位置検出装置4は、
図2に示すように、読取部400に対して2組のローラ対600で構成される搬送経路を挟んで対向する位置には、背景部500を備える。
【0023】
本実施形態の背景部500の読取部400と対向する位置の表面は、可視波長領域では低い吸収特性を持ち、不可視波長領域では高い吸収特性を持つ材料で構成、または可視波長領域では低い吸収特性を持ち、不可視波長領域では高い吸収特性を持つ材料を塗布されている。
【0024】
なお、
図2に示す例では、固定された読取部400に対して用紙Pを搬送させて副走査方向にも読み取る構成を示しているが、これに限るものではなく、読取部400の一部が用紙Pに対して移動する構成でもよい。
【0025】
図1に戻り、読取部400によって紙面が読み取られた用紙Pは位置検出装置4内部を更に搬送され、排紙トレイ410に排出される。
【0026】
なお、
図1においては、位置検出装置4における用紙Pの搬送経路において、用紙Pの片面側にのみ読取部400が設けられている場合を例としているが、用紙Pの両面の検査を可能とするため、用紙Pの両面側に夫々読取部400を配置しても良い。
【0027】
ここで、
図3は用紙Pと用紙P上の画像パターンの位置を示す図である。
図3に示すように、用紙Pは、用紙Pの四隅に、画像パターンである十字のマークMが形成されている。十字のマークMは、用紙P上に形成された画像の位置の検出を行うためのものである。なお、本実施形態では、用紙P上に画像形成位置の検出を行うための画像パターンである十字のマークMのみが形成されているが、画像パターンである十字のマークMが形成されていない領域に他の画像(ユーザ画像)が形成されていても良い。
【0028】
次に、位置検出装置4を構成するハードウェアについて説明する。
【0029】
図4は、位置検出装置4のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、位置検出装置4は、一般的なPC(Personal Computer)等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、位置検出装置4は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50には、読取部400の他、LCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
【0030】
CPU10は演算手段であり、位置検出装置4全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
【0031】
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが位置検出装置4の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが位置検出装置4に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0032】
専用デバイス80は、高速に画像処理を行うための専用の演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。また、紙面上に出力された画像を読み取る読取部400における画像処理も、専用デバイス80によって実現される。
【0033】
このようなハードウェア構成において、ROM30に格納されているプログラムや、HDD40又は光学ディスク等の記録媒体からRAM20に読み出されたプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、位置検出装置4の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0034】
本実施形態の位置検出装置4で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0035】
また、本実施形態の位置検出装置4で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の位置検出装置4で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0036】
次に、ソフトウェア制御部とハードウェアとの組み合わせによって実現する位置検出装置4の機能について説明する。
【0037】
ここで、
図5は位置検出装置4の機能を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、位置検出装置4は、位置検出部41と、制御部42と、を備える。
【0038】
位置検出部41は、読取部400から出力された画像から用紙Pの端部の位置と用紙P上のマークMの位置を検出する。
【0039】
より詳細には、位置検出部41は、用紙Pの端部位置とマークMの位置の相対的な位置関係を算出することで、用紙Pの端部に対してどの位置に画像が形成されているかを求める。ここで、可視画像と不可視画像の2つの画像があるが、本実施形態の位置検出装置4は、可視画像を基にそれぞれの位置を検出する第一のモードと、不可視画像を基にそれぞれの位置を検出する第二のモードと、を備える。
【0040】
制御部42は、読取部400と位置検出部41とを制御し、読取画像取得と位置検出とを行う。また、制御部42は、用紙PやマークMの特性に基づいてどちらのモード(第一のモード、第二のモード)で位置検出を行うかを決定する。詳細は後述するが、モード(第一のモード、第二のモード)を選択する判断基準になる用紙PやマークMの特性とは、不可視波長領域における吸収特性である。
【0041】
ここで、
図6は白紙に各色のトナーで印字した場合の分光反射率の一例を示す図である。
【0042】
シリコン半導体で構成されている撮像素子403は、近赤外領域にも感度を持つことから、不可視波長領域として近赤外領域を用いることで撮像素子403として既存のイメージセンサを流用することが可能となり、容易に不可視画像読取を実現できる。
【0043】
例として、
図6には、KCMYのトナーを白紙(各波長において高い反射率を示す紙)に印字した場合における分光反射率を示す。Kトナーは不可視波長領域である近赤外領域(800~1000nm)において高い吸収特性を持つが、CMYトナーは近赤外領域(800~1000nm)において低い吸収特性を示す。よって、近赤外領域(800~1000nm)で低い吸収特性を持つ用紙PにはKトナーでマークMを形成することで、近赤外画像を用いて位置検出を行うことができる。
【0044】
【0045】
図7(a)は不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙の可視画像の一例、
図7(b)は不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙の不可視画像の一例、
図7(c)は不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙の可視画像の一例、
図7(d)は不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙の不可視画像の一例である。
【0046】
図7(a),(c)の可視画像に示すように、本実施形態の背景部500は、可視波長領域では低い吸収特性を持つため、画素値として高い(すなわち明度が高い)値を示す。
【0047】
一方、
図7(b),(d)の不可視画像に示すように、本実施形態の背景部500は、不可視波長領域では高い吸収特性を持つため、画素値としては低い(すなわち明度が低い)値を示す。
【0048】
例えば、不可視波長領域において低い吸収特性を示す白や有彩色である用紙P、すなわち可視波長領域中の特定の波長領域で高い反射特性を示す用紙Pが搬送された場合、
図7(a)に示すように可視画像では用紙Pの色に応じた画素値となり、
図7(b)のように不可視画像では高い画素値となる。
【0049】
一方、例えば、可視波長領域と不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙Pが搬送された場合、
図7(c)に示すように可視画像では低い画素値となり、
図7(d)のように不可視画像でも低い画素値となる。
【0050】
ところで、位置検出部41が精度良く用紙Pの位置を検出するためには、背景部500と用紙Pとの画素値の差を大きくすることが必要である。位置検出部41は、背景部500と用紙Pとの画素値の差が小さい場合、ノイズなどによって位置検出精度が低下したり、用紙Pの位置を誤検知したりするためである。
【0051】
また、位置検出部41は、画像の形成位置を検出するために、さらに用紙P上に形成されたマークMの位置を検出する。
【0052】
不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙Pでは、画像形成位置を示すマークMを形成する色材として不可視波長領域において高い吸収特性を示す色材を用いる必要がある。これにより、不可視画像において、背景部500と用紙Pとの画素値差と、用紙PとマークMとの画素値差が大きくなり、用紙Pの位置もマークMの位置も高い精度で検出することが可能となる。
【0053】
なお、用紙Pとして白ではなく色がついた紙を用いる場合には、可視画像において用紙PとマークMとの画素値差が小さくなる懸念がある。しかしながら、本実施形態においては、不可視画像を用いることで不可視波長領域における吸収特性の違いを利用して画素値差を大きくすることができる。
【0054】
一方、不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙Pでは、画像形成位置を示すマークMを形成する色材として可視波長領域において用紙Pと異なる明度の色材を用いれば、可視画像においてマークMの位置を検出することが可能である。
【0055】
ただし、望ましくは、可視波長領域において低い吸収特性を示す色材を用いてマークMが形成されているとよい。本実施形態においては、不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙Pとして黒い用紙Pを例としている。一般に、可視波長領域で高い吸収特性を示す黒を実現するために用いられるカーボンブラックは、不可視波長領域でも高い吸収特性を示す。よって、不可視波長領域でも高い吸収特性を示す用紙Pは、可視波長領域でも高い吸収特性を示すことになる。このため、可視波長領域において低い吸収特性を示す色材を用いてマークMが形成されていれば、可視画像において用紙PとマークMとの画素値差が大きくなる。これにより、用紙Pの位置もマークMの位置も高い精度で検出することが可能となる。
【0056】
なお、可視波長領域において明度の高い色材は、白のように可視領域全域で低い吸収特性を示す色材である必要はなく、イエローのように可視領域の一部で低い吸収特性を示す色材であればよい。
【0057】
ここで、
図8は読取画像(1ライン)の画素値の一例を示す図である。
図7の各読取画像においてA位置の1ラインの画素値だけを抜き出すと
図8に示すようになる。すなわち、
図8(a)は不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙の可視画像の画素値の一例、
図8(b)は不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙の不可視画像の画素値の一例、
図8(c)不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙の可視画像の画素値の一例、
図8(d)不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙の不可視画像の画素値の一例である。
【0058】
位置検出部41は、特定の閾値を定め、背景部500と用紙Pの領域との境界で閾値を跨いだ位置を用紙Pの端部位置として検出し、用紙Pの領域とマークMの領域の境界で閾値を跨いだ位置をマークMの位置として検出する。
【0059】
図8(a)では、背景部500は、可視波長領域において低い吸収特性を示すので、高い画素値となる。用紙Pとして比較的濃度の高い色紙を例としているので、用紙Pの領域の画素値は低くなる。また、マークMは黒などの可視波長領域でも不可視波長領域でも用紙Pに比べて高い吸収特性を示す色材を用いて形成しているので、マーク領域の画素値は低くなる。よって、背景部500と用紙Pの領域との画素値差は大きくなるので、位置検出部41は、用紙Pの端部の位置検出を高精度に行うことができる。
【0060】
一方で、
図8(a)に示すように、用紙Pの領域とマークMの領域の画素値差は小さくなるため、マーク位置検出精度は低くなってしまう。これは、マークMの濃度変動や読取時のノイズによって画素値は変動するので、画素値差が小さいと適切な閾値を設定することが困難であり、また、用紙Pの真の端部位置、マークMの位置ではない位置で閾値を超えてしまうことがあるためである。
【0061】
また、用紙Pは可視波長領域の全てで高い吸収特性を示すとも限らず、可視波長領域において低い吸収特性を示すことも考えられる。そのため、RGBの可視画像のうち特定の可視画像を用いれば用紙Pの領域の画素値が高くなるので、用紙Pの領域とマークMの領域との画素値差を大きくすることができる。しかし、この場合は背景部500と用紙Pの領域との画素値差が小さくなってしまう。
【0062】
よって、
図8(a)に示す例においては、位置検出部41は、用紙Pの端部位置とマークMの位置との双方の検出を、高精度に行うことはできない。
【0063】
また、
図8(b)では、背景部500は、不可視波長領域において高い吸収特性を示すので、低い画素値となる。用紙Pは不可視波長領域で背景部500に比べて低い吸収特性を示すので、用紙Pの領域の画素値は高くなる。また、マークMは黒などの可視波長領域でも不可視波長領域でも用紙Pに比べて高い吸収特性を示す色材を用いて形成しているので、マークMの領域の画素値は低くなる。よって、背景部500と用紙Pの領域との画素値差も、用紙Pの領域とマークMの領域との画素値差も大きくなるので、位置検出部41は、用紙Pの端部位置とマークMの位置との双方の検出を高精度に行うことができる。言い換えれば、位置検出部41は、不可視波長領域において用紙Pに比べて高い吸収特性を持つ色材でマークMが形成されていて、かつ、不可視波長領域において背景部500に比べて低い吸収特性を持つ用紙Pを読取部400が読み取った場合に、読取画像として不可視画像を用いて位置検出を行う。例えば、用紙Pである白い紙(可視波長領域でも不可視波長領域でも同じくらいの吸収特性を持つ)に形成した黒トナーのマークM(可視波長領域でも不可視波長領域でも同じくらいの吸収特性を持つ)を検出する場合には、不可視画像を用いることにより高精度な位置検出を行うことができる。
【0064】
また、
図8(c)では、背景部500は、可視波長領域において低い吸収特性を示すので、高い画素値となる。用紙Pとして可視波長領域においても不可視波長領域においても背景部500に比べて高い吸収特性を示す用紙を例としているので、用紙Pの領域の画素値は低くなる。また、マークMは明度が高く、可視波長領域では用紙Pに比べて低い吸収特性を示す色材を用いて形成しているので、マークMの領域の画素値は高くなる。よって、背景部500と用紙Pの領域との画素値差も、用紙Pの領域とマークMの領域との画素値差も大きくなるので、位置検出部41は、用紙Pの端部位置とマークMの位置との双方の検出を高精度に行うことができる。言い換えれば、位置検出部41は、不可視波長領域において用紙Pに比べて高い吸収特性を持つ色材でマークMが形成されていない用紙Pを読取部400が読み取った場合、または、不可視波長領域において背景部500に比べて低い吸収特性を持たない用紙Pを読取部400が読み取った場合に、読取画像として可視画像を用いて位置検出を行う。例えば、不可視波長領域における背景部500と用紙Pの吸収特性が同等だった場合や、不可視波長領域における用紙PとマークMの色材の吸収特性が同等だった場合には、可視画像を用いることにより高精度な位置検出を行うことができる。
【0065】
また、
図8(d)では、背景部500は、不可視波長領域において高い吸収特性を示すので、低い画素値となる。用紙Pとして可視波長領域においても不可視波長領域においても背景部500に比べて高い吸収特性を示す用紙を例としているので、用紙Pの領域の画素値は低くなる。また、マークMは明度が高く、不可視波長領域では用紙Pに比べて低い吸収特性を示す色材を用いて形成しているので、マークMの領域の画素値は高くなる。よって、用紙Pの領域とマークMの領域との画素値差は大きくなるので、マークMの位置検出は高精度に行うことができる。
【0066】
一方で、
図8(d)に示すように、背景部500と用紙Pの領域との画素値差は小さくなるため、用紙Pの端部の位置検出精度は低くなってしまう。用紙P毎の吸収特性や、読取時のノイズによって画素値は変動するので、画素値差が小さいと適切な閾値を設定することが困難であり、また、用紙Pの真の端部位置、マークMの位置ではない位置で閾値を超えてしまうことがあるためである。
【0067】
以上のように、用紙PやマークMを形成している色材の可視波長領域、不可視波長領域における吸収特性に応じて、位置検出を行う際の画像を可視画像または不可視画像から適切な画像を選択することによって、様々な用紙Pにおいて高精度に用紙Pの端部とマークMとの双方の位置検出を行うことができる。
【0068】
制御部42は、不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙Pが搬送され、用紙P上に不可視波長領域において高い吸収特性を示す色材でマークMが形成されている場合、不可視画像を用いて位置検出する第二のモードを選択する。また、制御部42は、不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙Pが搬送された場合、可視画像を用いて位置検出する第一のモードを選択する。これにより、背景部500を切り替えることなく、様々な用紙Pにおいて位置検出を行うことが可能となる。
【0069】
ここで、第一のモードと第二のモードのいずれかを選択するために、用紙PとマークMの不可視波長領域における吸収特性の判断について説明する。
【0070】
ここで、
図9は不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙Pの不可視データの一例を示す図である。制御部42は、第一のモードと第二のモードとのいずれかを選択するために、用紙PとマークMの不可視波長領域における吸収特性を判断する必要がある。本実施形態においては、制御部42は、不可視画像の用紙Pの画素値やマークMの画素値を基に判断する。
【0071】
例えば、
図9に示すように、制御部42は、不可視画像において用紙Pのレベル検出位置における画素値が閾値よりも高い場合、不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙Pであると判断し、不可視画像による位置検出結果を採用する。
【0072】
すなわち、制御部42は、不可視画像における用紙P乃至マークMの画素値を基に、読取部400がマークMの少なくとも一部が不可視波長領域で可視波長領域に比べて高い吸収特性を持つ色材で形成されていて、かつ、可視波長領域に比べて不可視波長領域で低い吸収特性を持つ用紙Pを読み取ったか否かを判断する。
【0073】
これにより、制御部42は、ユーザが用紙Pの情報を入力することなく、高精度に位置検出することができるモード(第一のモード、第二のモード)を選択することができる。
【0074】
ここで、
図10は読取動作時の副走査ゲート信号を示すタイミングチャートである。
【0075】
図10(a)は、従来技術のように異なる用紙Pを連続して読み取る際に背景部500の切り替えが必要となる場合のタイミングチャートである。副走査ゲート信号がアサートされている期間T1は、読取画像が取得される期間であり、用紙Pの副走査長よりも長い期間となるように制御部42によって制御される。これは、用紙Pの副走査方向の先端位置や後端位置を検出するためである。また、
図10(a)に示すように、前の用紙Pと次の用紙Pは間隔を空けて搬送されるため、読取画像を取得しない期間T2がある。
【0076】
さらに、
図10(a)に示すように、2枚の用紙1が搬送された後に異なる特性(色)の用紙2が搬送され背景部500を切り替えたとすると、背景部500を切り替えるための時間と切り替え後に振動等が無くなるまでの安定待ち時間が発生するためにT3の期間だけ間隔を空ける必要がある。このため、
図10(a)に示す従来技術によれば、用紙1の読取と用紙2の読取の間でダウンタイムが発生し、生産性が低下する。
【0077】
一方、
図10(b)は、本実施形態において異なる用紙Pを連続して読み取る際に背景部500の切り替えを必要としない場合のタイミングチャートである。
図10(b)に示すように、本実施形態によれば、制御部42は、用紙1の後に異なる特性(色)の用紙2が搬送されてきても背景部500を切り替えることなく読取のモードを切り替えるだけで良く、機械的な駆動は必要なく、T3>T4となる用紙搬送間隔T4を空けるだけで対応できる。すなわち、本実施形態の位置検出装置4は、従来技術と比較してダウンタイムを低減させることができ、生産性を向上させることができる。すなわち、本実施形態によれば、簡易な構成で生産性を低下させることなく、様々な記録媒体において高精度に端部位置の検出や画像形成位置の検出を行うことができる。
【0078】
このように本実施形態によれば、複数の濃度を持つ背景部500を切り替えて用紙Pに対応させる従来の手段と比較して、背景部500を切り替えることなく、様々な用紙Pの端部位置と用紙P上に形成されたマークMの位置を検出することができ、背景部500の切り替え時間や切り替え後の安定待ち時間が不要となるため、生産性を向上させることができる。また、背景部500を切り替えるための構成が不要となり装置を簡易化することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、不可視波長領域でも高い吸収特性を示す色材としてカーボンブラックを含む黒の色材を用いることで、簡易な構成で生産性を低下させることなく、様々な用紙Pにおいて高精度に端部位置の検出や画像形成位置の検出を行うことを容易に実現することができる。当然ながら、可視波長領域で低い吸収特性を示し、不可視波長でのみ高い吸収特性を示すような不可視トナーを用いても良い。
【0080】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0081】
第2の実施の形態は、設定された用紙Pの情報を基に判断する点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0082】
ここで、
図11は第2の実施の形態にかかる位置検出装置4の機能を示すブロック図である。本実施形態の制御部42は、第一のモードと第二のモードとのいずれかを選択するために用紙PとマークMの不可視波長領域における吸収特性を判断する必要があるが、設定された用紙Pの情報を基に判断するようにしたものである。
【0083】
図11に示すように、位置検出装置4は、第1の実施の形態の構成に加えて、操作制御部43を更に備える。操作制御部43は、操作部70を介してユーザによって入力された用紙Pの情報を制御部42に送信する。
【0084】
制御部42は、ユーザによって入力されて設定された用紙Pの情報を基に、読取部400がマークMの少なくとも一部が不可視波長領域で高い吸収特性を持つ色材で形成された不可視波長領域で低い吸収特性を持つ用紙Pを読み取ったか否かを判断する。
【0085】
なお、用紙Pの情報は、直接的に用紙PとマークMの不可視波長領域における吸収特性を示すような設定値でもよいが、間接的に不可視波長領域における吸収特性を示す情報でも良い。例えば、前述のようにカーボンブラックを含むか否かで不可視波長領域における吸収特性が変わってくるので、用紙Pの色(黒かそれ以外か)を設定することで不可視波長領域における吸収特性を入力するようにしても良い。
【0086】
このように本実施形態によれば、読取画像を基に判断を行うなどの処理が不要となり、制御部42での制御を簡易化することができる。
【0087】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0088】
第3の実施の形態は、位置検出部41で検出された用紙Pの端部位置とマークMの位置から所定の位置に画像形成するための補正値を算出する点が、第1の実施の形態または第2の実施の形態と異なる。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態または第2の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0089】
図12は、第3の実施の形態にかかる位置検出装置4の機能を示すブロック図である。
図12に示すように、位置検出装置4は、第1の実施の形態の構成に加えて、画像位置補正部44を更に備える。
【0090】
画像位置補正部44は、位置検出部41で検出された用紙Pの端部位置とマークMの位置から所定の位置に画像形成するための補正値を算出する。そして、画像位置補正部44は、画像形成部3に対して画像形成位置情報を出力する。
【0091】
画像形成部3は、画像形成位置情報を基に画像形成条件を変更し、所定の位置に画像が形成されるように制御する。ここで、画像形成位置を変えるために変更される画像形成条件は、例えば画像形成タイミングである。これにより、用紙Pの端部から画像位置までの距離が変わるため、所定の位置への画像形成が可能となる。
【0092】
画像形成部3は、位置検出部41にて不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙Pに対して不可視画像を用いた位置検出を行うために、マークMを形成する際に不可視波長領域において高い吸収特性を示す色材を用いる。これにより、不可視画像において、背景部500と用紙Pとの画素値差と、用紙PとマークMとの画素値差が大きくなり、用紙Pの位置もマークMの位置も高い精度で検出することが可能となる。
【0093】
すなわち、画像形成部3は、不可視波長領域で低い吸収特性を持つ用紙Pには不可視波長領域で高い吸収特性を持つ色材でマークMの少なくとも一部を形成する。
【0094】
なお、用紙Pとして白ではなく色がついた紙を用いる場合には、可視画像において用紙PとマークMとの画素値差が小さくなる懸念があるが、不可視画像を用いることで不可視波長領域における吸収特性の違いを利用して画素値差を大きくすることができる。また、背景部500の切り替えが不要であるため、位置検出部41での生産性低下が防止され、画像形成システム1の生産性を向上させることができる。
【0095】
また、位置検出部41にて不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙に対して可視画像を用いて高精度の位置検出を行うために、画像形成部3ではマークMを形成する際に可視波長領域の特定の領域において明度の高い色材を用いる。明度の高い色材は、白のように可視領域全域で低い吸収特性を示す色材である必要はなく、イエローのように可視領域の一部で低い吸収特性を示す色材であればよい。これにより、不可視波長領域で高い吸収特性を持つ用紙PにおいてもマークMの位置を高精度に検出することができる。
【0096】
すなわち、画像形成部3は、不可視波長領域で高い吸収特性を持つ用紙Pに対し、可視波長領域の特定の領域において低い吸収特性を示す色材でマークMの少なくとも一部を形成する。
【0097】
このように本実施形態によれば、位置検出装置4内の背景部500を切り替えることなく、様々な用紙Pの画像形成位置を補正することができ、生産性を向上させることができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、不可視波長領域で高い吸収特性を持つ用紙PにおいてもマークMの位置を高精度に検出することができる。
【0099】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0100】
第4の実施の形態は、設定された用紙Pの情報を基に判断するとともに、位置検出部41で検出された用紙Pの端部位置とマークMの位置から所定の位置に画像形成するための補正値を算出する点が、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と異なる。以下、第4の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0101】
ここで、
図13は第4の実施の形態にかかる位置検出装置4の機能を示すブロック図である。
図13に示すように、位置検出装置4は、第1の実施の形態の構成に加えて、操作制御部43と、画像位置補正部44と、を更に備える。
【0102】
操作制御部43は、操作部70を介してユーザによって入力された用紙Pの情報を制御部42に送信する。
【0103】
なお、用紙Pの情報は、直接的に用紙PとマークMの不可視波長領域における吸収特性を示すような設定値でもよいが、間接的に不可視波長領域における吸収特性を示す情報でも良い。例えば、前述のようにカーボンブラックを含むか否かで不可視波長領域における吸収特性が変わってくるので、用紙Pの色(黒かそれ以外か)を設定することで不可視波長領域における吸収特性を入力するようにしても良い。
【0104】
制御部42は、設定された用紙Pの情報に基づいてマークMを形成する色材を選択する。
【0105】
画像形成部3は、設定された用紙Pの情報に応じて制御部42によって選択された色材に変更し、マークMを形成する。これにより、マークMの形成時の制御が容易になり、不要なマークMの形成による色材消費を低減することができる。
【0106】
例えば、制御部42は、位置検出部41にて不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙Pに対して不可視画像を用いた位置検出を行うために、不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙Pに対応する設定がなされた場合には、不可視波長領域において高い吸収特性を示す色材を選択する。
【0107】
また、例えば、制御部42は、位置検出部41にて不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙Pに対して可視画像を用いて高精度の位置検出を行うために、不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙Pに対応する設定がなされた場合には、可視波長領域の特定の領域において低い吸収特性を示す色材を選択する。
【0108】
このようにして設定された用紙Pの情報に応じてマークMを形成する色材が選択されることにより、マークMの形成時の制御が容易になる。また、必要最小限の色材によってマークMが形成されるため、不要なマークMの形成による色材消費を低減することができる。
【0109】
画像形成部3は、位置検出部41にて不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙Pに対して不可視画像を用いた位置検出を行うために、マークMを形成する際に不可視波長領域において高い吸収特性を示す色材を用いる。これにより、不可視画像において、背景部500と用紙Pとの画素値差と、用紙PとマークMとの画素値差が大きくなり、用紙Pの位置もマークMの位置も高い精度で検出することが可能となる。
【0110】
画像位置補正部44は、位置検出部41で検出された用紙Pの端部位置とマークMの位置から所定の位置に画像形成するための補正値を算出する。そして、画像位置補正部44は、画像形成部3に対して画像形成位置情報を出力する。
【0111】
画像形成部3は、画像形成位置情報を基に画像形成条件を変更し、所定の位置に画像が形成されるように制御する。ここで、画像形成位置を変えるために変更される画像形成条件は、例えば画像形成タイミングである。これにより、用紙Pの端部から画像位置までの距離が変わるため、所定の位置への画像形成が可能となる。
【0112】
このように本実施形態によれば、マークMの形成時の制御が容易になり、不要なマークMの形成による色材消費を低減することができる。
【0113】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。
【0114】
第5の実施の形態は、画像形成部3が、画像の形成位置を検出するためのマークとして、用紙Pの吸収特性によらず、用紙Pに不可視波長領域で高い吸収特性を持つ色材で形成されたマークM1と可視波長領域において低い吸収特性を示す色材で形成されたマークM2の双方を形成する点が、第1の実施の形態ないし第4の実施の形態と異なる。以下、第5の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第4の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第4の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0115】
図14は、第5の実施の形態にかかる読取画像の一例を示す図である。
図14(a)は不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙の可視画像の一例、
図14(b)は不可視波長領域において低い吸収特性を示す用紙の不可視画像の一例、
図14(c)は不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙の可視画像の一例、
図14(d)は不可視波長領域において高い吸収特性を示す用紙の不可視画像の一例である。
【0116】
図14に示すように、本実施形態では、画像形成部3は、画像の形成位置を検出するためのマークとして、用紙Pの吸収特性によらず、用紙Pに不可視波長領域で高い吸収特性を持つ色材で形成されたマークM1と可視波長領域において低い吸収特性を示す色材で形成されたマークM2の双方を形成する。
【0117】
すなわち、画像形成部3は、用紙Pに不可視波長領域で高い吸収特性を持つ色材と可視波長領域の特定の領域において低い吸収特性を示す色材との双方でマークの少なくとも一部を形成する。
【0118】
このように本実施形態によれば、用紙Pによらず固定のマークとすることができるので、マークを容易に形成することができる。
【0119】
なお、上記実施の形態では、本発明の位置検出装置4を、プリンタである画像形成システム1に適用した例を挙げて説明するが、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機、複写機、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像処理装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 画像形成装置
3 画像形成部
4 位置検出装置
41 位置検出部
42 制御部
44 画像位置補正部
400 読取部
500 背景部
M マーク
P 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0121】