(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】固定部材および積層体
(51)【国際特許分類】
C09J 175/14 20060101AFI20240312BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20240312BHJP
B32B 27/26 20060101ALI20240312BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240312BHJP
A61L 15/58 20060101ALI20240312BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20240312BHJP
C09J 183/12 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C09J175/14
C09J11/08
B32B27/26
B32B27/18 Z
A61L15/58 100
A61L15/58 310
C09J4/02
C09J183/12
(21)【出願番号】P 2020554961
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 JP2019042910
(87)【国際公開番号】W WO2020091006
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2018207618
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100175477
【氏名又は名称】高橋 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀和
(72)【発明者】
【氏名】曽根 篤
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-092039(JP,A)
【文献】特開2001-230265(JP,A)
【文献】登録実用新案第3210060(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/0-201/10
WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と、前記樹脂を硬化可能な硬化剤と、シリコーン系表面改質剤とを含む樹脂組成物の硬化物からなり、そして、
前記樹脂組成物中の前記硬化剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり
10質量部以上20質量部以下であり、前記樹脂組成物中の前記シリコーン系表面改質剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり0.05質量部以上1.7質量部以下であ
り、
前期樹脂が紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂であり、前記硬化剤がトリメチロールプロパントリアクリレートまたはトリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレートであり、前記シリコーン系表面改質剤がポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはアクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンである、固定部材。
【請求項2】
基材と、請求項
1に記載の固定部材とを備える積層体。
【請求項3】
基材と、前記基材上に位置する第一の固定部材と、前記基材上に位置する第二の固定部材とを備え、
前記第一の固定部材と、前記第二の固定部材とは互いに当接可能であり、
前記第一の固定部材は、樹脂と、前記樹脂を硬化可能な硬化剤と、シリコーン系表面改質剤とを含む第一の樹脂組成物の硬化物からなり、前記第一の樹脂組成物中の前記硬化剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり6質量部以上20質量部以下であり、前記第一の樹脂組成物中の前記シリコーン系表面改質剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり0.05質量部以上1.7質量部以下であり、
前期樹脂が紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂であり、前記硬化剤がトリメチロールプロパントリアクリレートまたはトリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレートであり、前記シリコーン系表面改質剤がポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはアクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンであり、
前記第二の固定部材は、樹脂と、前記樹脂を硬化可能な硬化剤と、シリコーン系表面改質剤とを含む第二の樹脂組成物の硬化物からなり、前記第二の樹脂組成物中の前記硬化剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり6質量部以上20質量部以下であり、前記第二の樹脂組成物中の前記シリコーン系表面改質剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり0.05質量部以上1.7質量部以下であ
り、前期樹脂が紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂であり、前記硬化剤がトリメチロールプロパントリアクリレートまたはトリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレートであり、前記シリコーン系表面改質剤がポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはアクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンである、積層体。
【請求項4】
止血バンドである、請求項
2または
3に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部材、および、当該固定部材を備える積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、二つの物品同士の表面を当接して接合させたり、一つの物品の異なる二箇所を当接して接合させたりすることを目的として、接合対象である双方の当接面に、当接により接着能を発現して当接面同士を固定しうる部材(以下、「固定部材」という。)が用いられている。
【0003】
このような固定部材を用いた物品の一例として、止血バンドが挙げられる。止血バンドは、例えば、ゴム製基材と、当該ゴム製基材の長手方向両端部のそれぞれに面ファスナーを備えている。そして、当該止血バンドを腕に巻き付けて両端部の面ファスナー同士を接合させることで腕を締め付け、締め付けによる圧力で止血を行うことができる。
【0004】
また、固定部材として使用可能な自己粘着性テープを、そのまま止血バンドとして用いることも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、自己粘着性テープのみを使用してなる止血バンドが開示されている。そして、特許文献1によれば、自己粘着性テープは、対象物にオーバーラップ巻きしたときに、重なり合う部分でテープ基材同士がその自己粘着性によって相互に接着しあうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、固定部材には、二つの固定部材が接合した状態(以下、「接合状態」と略記する場合がある。)となった際に、これら固定部材の接合面と平行方向へのずれ(以下、「横ズレ」という。)を防止して、意図しない固定部材同士の離間を抑制することが求められる。しかしながら、接合状態にある固定部材同士の横ズレを防止すべく固定部材間の接着力(特には、接合面と垂直方向の接着力)を高めると、接合状態とする前の固定部材の表面に紙屑や糸屑などの異物までもが付着し易くなるという問題があった。このような異物の付着は、固定部材の外観を損うと共に、却って固定部材同士の横ズレの原因となる虞もある。
即ち、上記従来の技術には、接合状態にある固定部材同士の横ズレによる固定部材同士の離間を抑制する一方で、固定部材の表面に異物が付着することを防止するという点において、改善の余地があった。
【0007】
従って、本発明は、上述した改善点を有利に解決する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、固定部材として、樹脂と、硬化剤と、シリコーン系表面改質剤を含み、樹脂に対する硬化剤とシリコーン系表面改質剤の含有量比がそれぞれ所定の範囲内である樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を用いることで、横ズレによる固定部材同士の離間を抑制しつつ、固定部材の表面に付着する異物の量を低減可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の固定部材は、樹脂と、前記樹脂を硬化可能な硬化剤と、シリコーン系表面改質剤とを含む樹脂組成物の硬化物からなり、そして、前記樹脂組成物中の前記硬化剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり6質量部以上20質量部以下であり、前記樹脂組成物中の前記シリコーン系表面改質剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり0.05質量部以上1.7質量部以下であることを特徴とする。このように、樹脂と、硬化剤と、シリコーン系表面改質剤を含み、樹脂に対する硬化剤とシリコーン系表面改質剤の含有量比がそれぞれ所定の範囲内である樹脂組成物を硬化させて得られる固定部材は、当該固定部材同士を貼り合わせて接合状態とした際に、横ズレによる固定部材同士の離間が抑制され、また、表面に異物が付着し難い。
【0010】
ここで、本発明の固定部材は、前記シリコーン系表面改質剤が、ポリジメチルシロキサン系表面改質剤であることが好ましい。固定部材として、ポリジメチルシロキサン系表面改質剤を含む樹脂組成物の硬化物を用いれば、固定部材への異物の付着を一層抑制することができる。
【0011】
そして、本発明の固定部材は、前記樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびウレタンアクリレート系樹脂からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。上述した少なくとも何れかの樹脂を用いれば、固定部材同士を貼り合わせて接合状態とした際に、横ズレによる固定部材同士の離間を一層抑制することができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
【0012】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の積層体は、基材と、上述した何れかの固定部材とを備えることを特徴とする。上述した固定部材の何れかを基材上に備える積層体は、固定部材同士を貼り合わせて接合状態とした際に、横ズレによる固定部材同士の離間が抑制され、また、固定部材の表面に異物が付着し難い。
【0013】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の積層体は、基材と、前記基材上に位置する第一の固定部材と、前記基材上に位置する第二の固定部材とを備え、前記第一の固定部材と、前記第二の固定部材とは互いに当接可能であり、前記第一の固定部材は、樹脂と、前記樹脂を硬化可能な硬化剤と、シリコーン系表面改質剤とを含む第一の樹脂組成物の硬化物からなり、前記第一の樹脂組成物中の前記硬化剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり6質量部以上20質量部以下であり、前記第一の樹脂組成物中の前記シリコーン系表面改質剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり0.05質量部以上1.7質量部以下であり、前記第二の固定部材は、樹脂と、前記樹脂を硬化可能な硬化剤と、シリコーン系表面改質剤とを含む第二の樹脂組成物の硬化物からなり、前記第二の樹脂組成物中の前記硬化剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり6質量部以上20質量部以下であり、前記第二の樹脂組成物中の前記シリコーン系表面改質剤の含有量が、前記樹脂100質量部当たり0.05質量部以上1.7質量部以下である、ことを特徴とする。このように、樹脂と、硬化剤と、シリコーン系表面改質剤を含み、樹脂に対する硬化剤とシリコーン系表面改質剤の含有量比がそれぞれ所定の範囲内である樹脂組成物を硬化させて得られる一対の固定部材を備える積層体は、固定部材同士を貼り合わせて接合状態とした際に、横ズレによる固定部材同士の離間が抑制され、また、固定部材の表面に異物が付着し難い。
【0014】
また、本発明の積層体は、例えば、止血バンドとして用いることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表面への異物付着が抑制された固定部材であって、当該固定部材同士を貼り合わせて接合状態とした際の横ズレが生じ難い、固定部材を提供することができる。
また、本発明によれば、表面への異物付着が抑制された固定部材を備え、当該固定部材同士を貼り合わせて接合状態とした際の横ズレが生じ難い、積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は、本発明の一実施形態の積層体の一例である、積層体10の斜視図であり、(b)は、積層体10の有する固定部材同士が接合した状態を示す斜視図である。
【
図2】(a)は、本発明の一実施形態の積層体の一例である、積層体20の斜視図であり、(b)は、積層体20の有する固定部材同士が接合した状態を示す斜視図である。
【
図3】(a)は、本発明の一実施形態の積層体の一例である、積層体30の斜視図であり、(b)は、積層体30と、積層体30´とが、固定部材を介して接合した状態を示す断面図である。
【
図4】(a)は、本発明の一実施形態の積層体の一例である、積層体40の斜視図であり、(b)は、積層体40と、積層体40´とが、固定部材を介して接合した状態を示す断面図である。
【
図5】固定部材の表面の動摩擦係数測定時における操作を模式的に示す斜視図である。
【
図6】二枚の固定部材を貼り合わせた際のせん断応力測定時における操作を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
ここで、本発明の固定部材は、例えば、二つの物品を接合する用途や、一つの物品の物理的に離間している二箇所を、当該物品を変形させて接合する用途に用いられる。更に、本発明の固定部材を、単独で一つの物品として用い、当該固定部材の異なる二箇所を接合する用途に用いることもできる。また、本発明の積層体は、固定部材と基材とを備える。
【0018】
(固定部材)
本発明の固定部材は、樹脂組成物の硬化物であり、当該樹脂組成物は、樹脂と、樹脂を硬化可能な硬化剤と、シリコーン系表面改質剤とを含み、硬化剤の含有量が樹脂100質量部当たり6質量部以上20質量部以下であり、シリコーン系表面改質剤の含有量が、樹脂100質量部当たり0.05質量部以上1.7質量部以下である。そして、本発明の固定部材は、上述した樹脂組成物の硬化物からなるため、表面に紙屑や糸屑などの異物が接触した場合であっても、当該異物が表面に固着しにくい。一方で、本発明の固定部材は、上述した樹脂組成物の硬化物からなるため、当該固定部材を二つ用いて接合した場合に、横ズレによる固定部材同士の離間を抑制することができる。
【0019】
<樹脂組成物>
硬化により本発明の固定部材を提供し得る樹脂組成物は、上述した通り、樹脂と、樹脂を硬化可能な硬化剤と、シリコーン系表面改質剤を含む。なお、樹脂組成物は、樹脂、硬化剤、およびシリコーン系表面改質剤以外の添加剤(その他の添加剤)を含んでいてもよい。
【0020】
<<樹脂>>
樹脂としては、特に限定されないが、例えば、固定部材同士を貼り合わせて接合状態とした際に、横ズレによる固定部材同士の離間を一層抑制する観点からは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂が好ましく挙げられる。なお、樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。そして、樹脂としては、薄い固定部材を容易に得る観点から、ウレタンアクリレート系樹脂が好ましく、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂がより好ましい。
【0021】
そして、樹脂は、ガラス転移温度が-30℃以上であることが好ましく、5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。樹脂のガラス転移温度が-30℃以上であれば、接合した固定部材同士の間において、接合面と垂直方向の接着力が過度に高まることもない。一方、樹脂のガラス転移温度が5℃以下であれば、寒冷な環境下であっても、固定部材同士の当接により、これらが十分に高い接着力を発現することができ、固定部材同士を良好に接合することができる。
なお、本発明において、樹脂のガラス転移温度は、JIS K 7121に準拠して測定することができる。
【0022】
<<硬化剤>>
硬化剤としては、上述した樹脂を硬化することができれば特に限定されず、例えば、既知の架橋剤や光重合開始剤を用いることができる。
具体的に、硬化剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート等の多官能アクリレート系架橋剤;カルボジイミド系架橋剤;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAポリグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤;アルデヒド(例えば、アクロレイン)のエチレンイミン誘導体等のアジリジン系架橋剤;トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等の多官能性イソシアネート系架橋剤;オキサゾリン系架橋剤;金属塩系架橋剤;金属キレート系架橋剤;過酸化物系架橋剤;ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、スルホニウム系、ヨードニウム系等の光重合開始剤等が挙げられる。なお、硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。そして、硬化剤としては、固定部材に対する異物の付着を一層抑制する観点から、多官能アクリレート系架橋剤が好ましく、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレートがより好ましく、トリメチロールプロパントリアクリレートが更に好ましい。
【0023】
樹脂組成物は、樹脂100質量部当たり、硬化剤を6質量部以上20質量部以下含むことが必要であり、7質量部以上含むことが好ましく、8質量部以上含むことがより好ましく、10質量部以上含むことが更に好ましく、11質量部以上含むことが特に好ましく、19質量部以下含むことが好ましく、16質量部以下含むことがより好ましく、15質量部以下含むことが更に好ましい。樹脂組成物中の硬化剤の含有量が、樹脂100質量部当たり6質量部未満であると、樹脂組成物の硬化物である固定部材の強度を確保することができず、また、当該固定部材に対する異物の付着を抑制することができない。一方、樹脂組成物中の硬化剤の含有量が、樹脂100質量部当たり20質量部超であると、樹脂組成物の硬化物である固定部材同士の横ズレを抑制することができない。
【0024】
<<シリコーン系表面改質剤>>
シリコーン系表面改質剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリ(メチルエチル)シロキサン等のポリシロキサン構造を有する高分子、およびこれらの変性物が挙げられる。なお、シリコーン系表面改質剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。そして、シリコーン系表面改質剤としては、固定部材への異物の付着を一層抑制する観点から、ポリジメチルシロキサンおよびその変性物(ポリジメチルシロキサン系表面改質剤)が特に好ましい。
【0025】
樹脂組成物は、樹脂100質量部当たり、シリコーン系表面改質剤を0.05質量部以上1.7質量部以下含むことが必要であり、0.1質量部以上含むことが好ましく、0.15質量部以上含むことがより好ましく、0.6質量部以下含むことが好ましく、0.4質量部以下含むことがより好ましく、0.3質量部以下含むことが更に好ましい。樹脂組成物中のシリコーン系表面改質剤の含有量が、樹脂100質量部当たり0.05質量部未満であると、樹脂組成物の硬化物である固定部材への異物の付着を抑制することができない。加えて、固定部材中に含まれるシリコーン系表面改質剤による固定部材同士の親和性向上が十分でないためと推察されるが、樹脂組成物の硬化物である固定部材同士の横ズレを抑制することができない。一方、樹脂組成物中のシリコーン系表面改質剤の含有量が、樹脂100質量部当たり1.7質量部超であると、固定部材中に含まれるシリコーン系表面改質材の量が過度になることにより固定部材同士が滑り易くなり、樹脂組成物の硬化物である固定部材同士の横ズレを抑制することができない。
【0026】
なお、本発明の固定部材は、固定部材の質量を100質量%として、シリコーン系表面改質剤を0.05質量%以上含むことが好ましく、0.07質量%以上含むことがより好ましく、1.50質量%以下含むことが好ましく、0.50質量%以下含むことがより好ましく、0.30質量%以下含むことが更に好ましい。固定部材中に占めるシリコーン系表面改質剤の割合が0.05質量%以上であれば、固定部材への異物の付着および固定部材同士の横ズレを一層抑制することができる。一方、固定部材中に占めるシリコーン系表面改質剤の割合が1.50質量%以下であれば、固定部材同士の横ズレを一層抑制することができる。
なお、本発明において、固定部材中に占めるシリコーン系表面改質剤の割合は、本明細書の実施例に記載の核磁気共鳴(NMR)法を用いた手法により測定することができる。
【0027】
<<その他の添加剤>>
樹脂組成物が任意に含有しうるその他の添加剤としては、特に限定されず、既知の添加剤を用いることができる。既知の添加剤としては、例えば、整泡剤、発泡助剤、増粘剤、充填材、防腐剤、防かび剤、ゲル化剤、難燃剤、老化防止剤、酸化防止剤、粘着付与剤、光増感剤、導電性化合物が挙げられる。これらは、特に限定されず、例えば国際公開第2017/188118号に記載されたものを使用することができる。なお、これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
<<樹脂組成物の調製および硬化>>
樹脂組成物を調製する方法は、特に限定されず、樹脂組成物は、上述した各成分を既知の方法で混合することで得ることができる。また、樹脂組成物を硬化する方法も特に限定されず、紫外線照射など既知の方法により行うことができる。なお、樹脂組成物を硬化するに先んじて、樹脂組成物を発泡させることもできるが、本発明において、樹脂組成物は発泡させないことが好ましい。樹脂組成物を発泡する工程を経て、硬化物として得られる固定部材は、透明性も失われる虞があり、また、発泡により表面に微細な凹凸が形成されて、異物の付着量が増大する虞もあるからである。
【0029】
<<固定部材の性状等>>
そして、例えば上述のようにして得られる固定部材の形状は、特に限定されないが、固定部材の軽量化、および固定部材同士の当接面積の確保の観点から、固定部材は、帯状やシート状などの任意の形状を有するフィルム部材であることが好ましい。
また、固定部材の厚みは、特に限定されないが、固定部材の軽量化および強度確保の観点から、5μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0030】
[表面の動摩擦係数]
ここで、固定部材の表面の動摩擦係数は、1.50以下であることが好ましく、1.30以下であることがより好ましく、1.10以下であることが更に好ましく、0.80以下であることがより一層好ましく、0.54以下であることが特に好ましく、0.10以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.30以上であることが更に好ましく、0.35以上であることが特に好ましい。表面の動摩擦係数が1.50以下であれば、固定部材に対する異物の付着を一層抑制することができる。一方、表面の動摩擦係数が0.10以上であれば、接合状態にある一対の固定部材が衝撃を受けた場合であっても、固定部材同士の横ズレを一層防止してそれらが意図せずに離間することもない。
ここで、本発明において、固定部材の「表面の動摩擦係数」とは、JIS K 7125に準拠して、固定部材とカートン紙の間の動摩擦係数として測定される値であり、具体的には、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
【0031】
なお、固定部材の表面の動摩擦係数は、例えば、固定部材の調製に用いる樹脂組成物の配合成分変更や、固定部材を調製する際の調製条件変更により調整することができる。具体的には、動摩擦係数は、固定部材の調製に用いる樹脂組成物中の、シリコーン系表面改質剤等の表面改質剤を増量することで、低下させることができる。
【0032】
<表面の算術平均粗さRa>
また、固定部材の表面の算術平均粗さRaは、5.00μm以下であることが好ましく、4.00μm以下であることがより好ましく、3.00μm以下であることが更に好ましく、2.00μm以下であることがより一層好ましく、1.80μm以下であることが特に好ましく、0.05μm以上であることが好ましく、0.10μm以上であることがより好ましく、0.20μm以上であることが更に好ましく、0.40μm以上であることが特に好ましい。表面の算術平均粗さRaが5.00μm以下であれば、固定部材表面の凹凸に異物が嵌り難くなるためと推察されるが、異物の付着を一層抑制することができる。一方、表面の算術平均粗さRaが0.05μm以上であれば、接合状態にある一対の固定部材が衝撃を受けた場合であっても、固定部材同士の横ズレを一層防止してそれらが意図せずに離間することもない。
ここで、本発明において、固定部材の「表面の算術平均粗さRa」とは、JIS B 0601-2001に準拠して測定される値であり、具体的には、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
【0033】
なお、固定部材の表面の算術平均粗さRaは、例えば、固定部材の調製に用いる樹脂組成物の配合成分変更や、固定部材を調製する際の調製条件変更により調整することができる。具体的には、算術平均粗さRaは、固定部材の調製に際して、樹脂組成物を基材に供給する塗布条件や、基材上の樹脂組成物を硬化物とする際の硬化条件を変更することにより調整することができる。
【0034】
[自己貼り合わせの際のせん断応力]
そして、固定部材の自己貼り合わせの際のせん断応力は、100.00N以上であることが好ましく、110.00N以上であることがより好ましく、120.00N以上であることが更に好ましく、125.00N以上であることが特に好ましい。自己貼り合わせの際のせん断応力が100.00N以上であれば、接合状態にある固定部材同士の横ズレを十分に防止することができ、これら固定部材同士が容易に離間することもない。一方、固定部材の自己貼り合わせの際のせん断応力の上限値は、特に限定されないが、例えば200.00N以下である。
ここで、本発明において、固定部材の「自己貼り合わせの際のせん断応力」とは、所定サイズの当該固定部材を二枚準備した上で、それらを貼り合わせて測定される値であり、具体的には、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
【0035】
なお、固定部材の自己貼り合わせの際のせん断応力は、例えば、固定部材の調製に用いる樹脂組成物の配合成分変更や、固定部材を調製する際の調製条件変更により調整することができる。具体的には、せん断応力は、固定部材の調製に用いる樹脂組成物中の硬化剤を減量することにより、上昇させることができる。
【0036】
<表面のタック力>
加えて、固定部材の表面のタック力は、1.60N以下であることが好ましく、1.47N以下であることがより好ましく、1.35N以下であることが更に好ましく、0.99N以下であることが特に好ましく、0.10N以上であることが好ましい。固定部材のタック力が1.60N以下であれば、固定部材に対する異物の付着を十分に抑制することができる。一方、固定部材のタック力が0.10N以上であれば、固定部材同士の良好な接着を十分容易とすることができる。
ここで、本発明において、固定部材の「タック力」は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
【0037】
そして、固定部材のタック力は、例えば、固定部材の調製に用いる樹脂組成物の配合成分変更や、固定部材を調製する際の調製条件変更により調整することができる。例えば、タック力は、固定部材の調製に用いる樹脂組成物中の硬化剤を増量することにより、低下させることができる。
【0038】
(積層体)
本発明の積層体は、少なくとも、基材と、固定部材とを備える。なお、本発明の積層体は、基材と固定部材以外の部材を備えていてもよい。
【0039】
<積層体の第一の実施形態>
本発明の積層体の第一の実施形態において、積層体は、基材と、上述した本発明の固定部材とを備える。本発明の積層体の第一の実施形態によれば、固定部材同士を貼り合わせて接合状態とした際に、横ズレによる固定部材同士の離間が抑制され、また、固定部材の表面に異物が付着し難い。
【0040】
<<基材>>
積層体の第一の実施形態において、基材としては、特に限定されず、任意の材質の基材を用いることができ、例えば、基材としては、樹脂(ゴムを含む)からなる基材(樹脂基材)、金属からなる基材(金属基材)、紙からなる基材(紙基材)繊維からなる基材(布基材)を用いることができる。また、基材としては、屈曲性を有するものを用いることが好ましい。
なお、基材の形状も特に限定されず、固定部材を用いて固定する対象となる物品の種類等に応じて適宜選択すればよい。例えば、固定部材を用いて固定する対象となる物品が、止血バンド等のテープ体(長尺形状を有する帯状物品)である場合は、基材としては、帯状のものを用いればよい。
また、基材の厚みも特に限定されず、基材の形状同様、上記物品の種類等に応じて適宜選択すればよい。
【0041】
<<固定部材>>
本発明の積層体の第一の実施形態において、固定部材は、上述した本発明の固定部材を用いる。
【0042】
[第一の実施形態の積層体の構造例]
ここで、第一の実施形態の積層体の構造の例を、図を用いて以下に説明するが、本実施形態の積層体はこれに限定されるものではない。
【0043】
〔第一の例〕
第一の実施形態の第一の例において、本発明の積層体は、基材と、少なくとも一対の、本発明の固定部材を有する。ここで、当該例においては、一対の固定部材を構成する二つの固定部材は、基材が屈曲変形することで互いに当接可能なように配置されている。
【0044】
例えば、第一の実施形態の一例としての
図1(a)の積層体10は、帯状の基材11と、一対の固定部材(固定部材12aと12b)とを備える。ここで、固定部材12aは、基材11の長手方向の一方の端部に位置し、固定部材12bは、基材11の長手方向の他方の端部に位置している。また、固定部材12aと固定部材12bは、基材11の互いに反対側の面に位置している(すなわち、固定部材12aは、帯状の基材11の一方の面に位置し、固定部材12は、帯状の基材11の他方の面に位置している)。
なお、本発明において、基材の「長手方向」の「端部」とは、当該基材の長手方向中心線(長手方向中心を通り、長手方向軸線に直交する直線)からの距離が、長手方向幅の30%以上の領域をいう。
【0045】
そして、
図1(b)に示すように、基材11が屈曲変形することで、積層体10の固定部材同士(すなわち、固定部材12aと12b)を接合させることができる。
【0046】
また、例えば、第一の実施形態の一例としての
図2(a)の積層体20は、帯状の基材21と、四対の固定部材(固定部材22aと22e、固定部材22bと22f、固定部材22cと22g、固定部材22dと22h)とを備える。ここで、固定部材22a~22dは、基材21の長手方向の一方の端部に位置し、固定部材22e~22hは、基材21の長手方向の他方の端部に位置している。また、固定部材22a~22dと固定部材22e~22hは、基材11の互いに反対側の面に位置している(すなわち、固定部材22a~22dは、帯状の基材21の一方の面に位置し、固定部材22e~22hは、帯状の基材21の他方の面に位置している)。
【0047】
そして、
図2(b)に示すように、基材21が屈曲変形することで、積層体20の固定部材同士(すなわち、固定部材22aと22e、固定部材22bと22f、固定部材22cと22g、固定部材22dと22h)を接合させることができる。
【0048】
なお、
図1の積層体10では基材11の両端部にそれぞれ一つずつの固定部材が配置されており、
図2の積層体20では基材21の両端部にそれぞれ四つずつの固定部材が配置されているが、両端部に配置される固定部材の数は、これらに限定されるものではない。また、
図1の積層体10、
図2の積層体20では、一方の端部の固定部材と、他方の端部の固定部材とが帯状の基材の互いに反対側の面に配置されているが、一方の端部の固定部材と、他方の端部の固定部材とは、帯状の基材の同一の面に配置されていてもよい。
【0049】
〔第二の例〕
第一の実施形態の第二の例において、本発明の積層体は、基材と、少なくとも一つの本発明の固定部材を有する。ここで、当該例においては、積層体は、当該積層体が有する固定部材を介して、他の固定部材と接合することができる。
【0050】
例えば、第一の実施形態の一例としての
図3(a)の積層体30は、シート状の基材31と、固定部材32とを備える。そして、積層体30は、固定部材32を介して、例えば、
図3(b)のようにして、基材31´および固定部材32´を備える他の積層体30´と接合することができる。
【0051】
また、例えば、第一の実施形態の一例としての
図4(a)の積層体40は、シート状の基材41と、固定部材42a、42b、42c、42dとを備える。そして、積層体40は、固定部材42a、42b、42c、42dを介して、例えば、
図4(b)のようにして、基材41´および固定部材42a´、42b´、42c´、42d´を備える他の積層体40´と接合することができる。
【0052】
<積層体の第二の実施形態>
本発明の積層体の第二の実施形態において、積層体は、少なくとも、基材と、基材上に位置する第一の固定部材と、基材上に位置する第二の固定部材とを備える。ここで、第一の固定部材と、第二の固定部材とは互いに当接可能な位置に配置されている。そして、第一の固定部材が、樹脂と、樹脂を硬化可能な硬化剤と、シリコーン系表面改質剤とを含み、硬化剤の含有量が樹脂100質量部当たり6質量部以上20質量部以下であり、シリコーン系表面改質剤の含有量が、樹脂100質量部当たり0.05質量部以上1.7質量部以下である第一の樹脂組成物の硬化物である。また、第二の固定部材が、樹脂と、樹脂を硬化可能な硬化剤と、シリコーン系表面改質剤とを含み、硬化剤の含有量が樹脂100質量部当たり6質量部以上20質量部以下であり、シリコーン系表面改質剤の含有量が、樹脂100質量部当たり0.05質量部以上1.7質量部以下である第二の樹脂組成物の硬化物である。
【0053】
上述した本発明の積層体の第二の実施形態によれば、第一の固定部材が上述した第一の樹脂組成物の硬化物からなり、第二の固定部材が上述した第二の樹脂組成物の硬化物からなるため、これら固定部材の表面に紙屑や糸屑などの異物が接触した場合であっても、当該異物が表面に固着しにくい。一方で、本発明の固定部材は、当該固定部材を二つ用いて接合した場合に、横ズレによる固定部材同士の離間を抑制することができる。
【0054】
<<基材>>
積層体の第二の実施形態において、基材としては、特に限定されず、「積層体の第一の実施形態」の項で上述したものを用いることができる。
【0055】
<<第一の固定部材>>
第一の固定部材の調製に用いる第一の樹脂組成物に含まれる各種成分(樹脂、硬化剤、シリコーン系表面改質剤など)の好適例および好適配合量、並びに、第一の樹脂組成物の調製方法および硬化方法は、上述した本発明の「固定部材」と同じものである。
また、第一の固定部材の表面の動摩擦係数、表面の算術平均粗さRa、および表面のタック力の好適上下限およびその理由は、上述した本発明の「固定部材」のものと同じである。
【0056】
<<第二の固定部材>>
第二の固定部材の調製に用いる第二の樹脂組成物に含まれる各種成分(樹脂、硬化剤、シリコーン系表面改質剤など)の好適例および好適配合量、並びに、第二の樹脂組成物の調製方法および硬化方法は、上述した本発明の「固定部材」と同じものである。
また、第二の固定部材の表面の動摩擦係数、表面の算術平均粗さRa、および表面のタック力の好適上下限およびその理由は、上述した本発明の「固定部材」のものと同じである。
【0057】
<<第一の固定部材と第二の固定部材を貼りあわせた際のせん断応力>>
そして、第一と第二の固定部材を貼り合わせた際のせん断応力は、100.00N以上であることが好ましく、110.00N以上であることがより好ましく、120.00N以上であることが更に好ましく、125.00N以上であることが特に好ましい。第一と第二の固定部材を貼り合わせた際のせん断応力が100.00N以上であれば、接合状態にある固定部材同士の横ズレを十分に防止することができ、これら固定部材同士が容易に離間することもない。一方、第一の固定部材と第二の固定部材を貼りあわせた際のせん断応力の上限値は、特に限定されないが、例えば200.00N以下である。
なお、本発明において、二つの固定部材(第一の固定部材と第二の固定部材)を「貼り合わせた際のせん断応力」とは、所定サイズの当該二つの固定部材をそれぞれ準備した上で、それらを貼り合わせて測定される値であり、具体的には、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
【0058】
なお、第一と第二の固定部材を貼り合わせた際のせん断応力は、例えば、第一と第二の固定部材の調製に用いる樹脂組成物の配合成分変更や、第一と第二の固定部材を調製する際の調製条件変更により調整することができる。具体的には、せん断応力は、二つの固定部材の調製に用いる樹脂組成物中の樹脂として、同一または(単量体組成などについて)類似の樹脂を使用することで向上させることができる。また、せん断応力は、固定部材の調製に用いる樹脂組成物中の硬化剤を減量することにより、上昇させることができる。
【0059】
<<第二の実施形態の積層体の構造例>>
ここで、第二の実施形態の積層体の構造の例としては、「積層体の第一の実施形態」の項で上述した
図1および
図2が挙げられる。ここで、第二の実施形態の積層体の構造の例を、図を用いて以下に説明するが、本実施形態の積層体はこれに限定されるものではない。
【0060】
具体的には、第二の実施形態の積層体の構造として
図1(a)に開示された積層体10を採用する場合、例えば、第一の固定部材を
図1(a)の固定部材12aとし、第二の固定部材として
図1(a)の固定部材12bとすることができる。そして、
図1(b)に示すように、基材11が屈曲変形することで、積層体10の第一の固定部材と第二の固定部材(すなわち、固定部材12aと12b)を接合させることができる。
また、第二の実施形態の積層体の構造として
図2(a)に開示された積層体20を採用する場合、
図2(a)の固定部材22aと22e、固定部材22bと22f、固定部材22cと22g、固定部材22dと22hの組み合わせのうちの少なくとも一つを、第一の固定部材と第二の固定部材とすることができる。そして、
図2(b)に示すように、基材21が屈曲変形することで、積層体20の第一の固定部材と第二の固定部材(すなわち、固定部材22aと22e、固定部材22bと22f、固定部材22cと22g、固定部材22dと22hの少なくとも一つ)を接合させることができる。
【0061】
<<積層体の製造方法>>
本発明の積層体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、基材へ直接塗工した樹脂組成物を硬化することで、基材と、基材に対して接着固定された固定部材を備える積層体を得ることができる。また、既知の離型基材へ塗工した樹脂組成物を硬化し、離型基材上に得られた固定部材を、基材上に転写して積層体を得ることもできる。
【0062】
以上、具体的な例を用いて本発明の積層体の実施形態について説明したが、本発明の積層体はこれに限定されるものではない。
【0063】
(固定部材および積層体の用途)
そして、本発明の固定部材および積層体の用途は、特に限定されない。例えば、本発明の固定部材および積層体は、例えば、止血バンド、ソックスバンド、ベルト、地震時家具抑え部材、衣服用面ファスナー、食器及び/又はコップ移動防止部材(電車、航空機等用)、積載物ズリ落下防止部材、半導体およびトランジスタ等電子部材製造時の仮固定部材として用いることができる。
また、本発明の固定部材および積層体の用途から、容器(例えば、たばこ用容器、菓子用容器、コーヒー用容器、茶葉用容器、洗剤用容器)を除外することもできる。
【実施例】
【0064】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
実施例および比較例において、固定部材の表面の動摩擦係数、固定部材の表面の算術平均粗さRa、固定部材の表面のタック力、固体部材同士を貼り合わせた際のせん断応力、固定部材中に占めるシリコーン系表面改質剤の割合、並びに、止血バンドの固定部材同士の横ズレし難さおよび固定部材への異物の付着し難さは、以下の方法を使用して測定および評価した。なお、結果は何れも表1および表2に示す。
【0065】
<表面の動摩擦係数>
JIS K 7125に準じ、積層体Aを用い、カートン紙と、積層体Aが備える固定部材との間の動摩擦係数を以下のようにして測定した。
まず、カートン紙(63mm×63mm、王子マテリア社製、製品名「OKボール」、坪量230g/m
2)に、両面粘着テープ「ニチバン製、製品名「ナイスタックNW-15S」を用いて、63mm×63mmのすべり片(重さ:1.96N)を貼り合わせた。次いで、
図5のようにして、得られたカートン紙52とすべり片53の貼り合わせ体を、実施例および比較例で作製した積層体50(積層体A、固定部材51と基材としてのカートン紙52を備える)の上に、貼り合わせ体のカートン紙52側と、積層体50の固定部材51側とが接するようにセットした。そして、23℃、50%RHの環境下にて、500mm/分の速度ですべり片53を水平方向に引っ張った時の動摩擦力を、ロードセル54を備える引っ張り試験機(製品名、「オートグラフAG-IS)(島津製作所社製、引っ張り試験機全体は図示せず。)により測定し、下記式で動摩擦係数を算出した。
動摩擦係数[-]=動摩擦力[N]/1.96[N]
<表面の算術平均粗さRa>
JIS B 06010-2001に準じ、積層体Aを用いて、積層体Aが備える固定部材表面の算術平均粗さRaを測定した。
具体的には、実施例および比較例で作製した積層体(積層体A、固定部材と基材としてのカートン紙を備える)の固定部材側の表面について、形状測定レーザーマイクロスコープ(キーエンス(株)社製 製品名「VK-X100」)を用いて、粗さ曲線を描き、下式の算出法により表面の算術平均粗さRaを求めた。なお、式中、Lrは測定長さ、Znは曲線の平均線の高さを0としたときのn点目の計測線の高さを表す。
【数1】
<せん断応力>
実施例および比較例で作製した積層体Bから、幅25mm×長さ120mmのサイズの切り出し片を二つ切り出した。そして、
図6に示すように、この二つの切り出し片(切り出し片60、切り出し片60´)を、双方の端部において互いの固定部材(固定部材62、固定部材62´)が幅25mm×長さ25mmの範囲で接するように貼り合わせ、上から2.0kgf(19.6133N)の荷重ローラーで1往復させて圧着したものを試験片とした。
そして、23℃、50%RHの環境下にて、得られた試験片を、300mm/分の速度で、引張試験機(島津社製、製品名「AUTOGRAPH AG-IS20KN」)で長さ方向に引っ張った時の最大荷重を、せん断応力として測定した。
<表面のタック力>
固定部材の表面のタック力は、プローブタック試験機(レスカ社製、製品名「TAC1000」)を使用して測定した。具体的には、23℃、50%RHの環境下にて、φ10mmのフラットな形状のプローブ先端を0.5Nの荷重で積層体Aの固定部材側に5秒間押付け、プローブを15mm/分の速度で、積層体Aの固定部材から引き離す時に要する力を測定し、固定部材の表面のタック力とした。
<固定部材中に占めるシリコーン系表面改質剤の割合>
実施例および比較例で作製した固定部材をヘキサンに含浸し、60℃の条件下で8時間の抽出操作を行い、基準物質としてのテトラメチルシラン(TMS)を含まない重水素化クロロホルムを使用して、
1H-NMR測定を行った。得られた測定結果より、重水素化クロロホルム中の残留CHClの強度とシリコーン由来のCH
3-Si強度の比より検量線を作成し、固定部材100%に占めるシリコーン系表面改質剤の量(%)を定量した。
<固定部材同士の横ズレし難さ>
実施例および比較例で得られた積層体Bから、幅25mm×長さ120mmのサイズの切り出し片を二つ切り出した。そして、
図6に示すように、この二つの切り出し片(切り出し片60、切り出し片60´)を、双方の端部において互いの固定部材(固定部材62、固定部材62´)が幅25mm×長さ25mmの範囲で接するように貼り合わせ、上から2.0kgf(19.6133N)の荷重ローラーで1往復させて圧着したものを試験片とした。得られた試験片の固定部材の、貼りあわせていない側の端部を手でつまみ、それぞれの固定部材を長さ方向に引っ張った時の、固定部材同士の横ズレし難さを、下記基準にて評価した。
A:固定部材同士が貼りつき、力強く引っ張っても全く横ズレをしない。
B:固定部材同士が貼りつくが、力強く引っ張ると横ズレする。
C:固定部材同士は貼りつくが、容易に横ズレする。
D:固定部材同士が貼りつかず、横ズレする。
<固定部材への異物の付着し難さ>
実施例および比較例で得られた積層体Aの固定部材に対して糸屑をふりかけ、カートン紙側からタッピングした後、下記基準にて評価した。なお、糸屑は、固定部材に最も付着し易い異物の一例に過ぎない。
A:固定部材に糸屑(異物)が付着していなかった。
B:固定部材に糸屑(異物)がわずかに付着したが、容易に払い落とせた。
C:固定部材に糸屑(異物)が付着し、払い落とすのがやや困難であった。
D:固定部材に糸屑(異物)が付着し、しかも払い落とすことができなかった。
【0066】
(実施例1)
<樹脂組成物の調製>
混合容器に、樹脂としての紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂A(25℃における貯蔵弾性率E’=0.6MPa、Tg=-23℃)100部と、硬化剤としてのトリメチロールプロパントリアクリレート10部と、シリコーン系表面改質剤としてのポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK社製)0.1部を投入し、マグネティックスターラーで5分撹拌して、樹脂組成物を得た。
<固定部材と基材(カートン紙)からなる積層体Aの作製>
上記のようにして得られた樹脂組成物を、基材としてのカートン紙(厚み:285μm、王子マテリア社製、製品名「OKボール」、坪量230g/m2)の上に、ワイヤーバーを用いて塗布した。樹脂組成物を塗布した基材を、高圧水銀ランプのランプ出力:2KW、コンベア速度は9m/分の条件に設定したコンベアUV照射装置(アイグラフィック社製)に入れ、基材上の樹脂組成物に紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させ、基材上に厚み25μmの固定部材(樹脂接着層)を備えてなる積層体Aを得た。なおこの際、空気中の酸素による反応阻害を防ぐため、窒素パージにより、装置内の酸素濃度を500ppm以下にした。
<固定部材と基材(表面コロナ処理PETフィルム)からなる積層体Bの作製>
上記のようにして得られた樹脂組成物を、基材としての平滑な表面コロナ処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:50μm、ユニチカ社製、製品名「S-50」)の上に、ワイヤーバーを用いて塗布した。樹脂組成物を塗布した基材を、高圧水銀ランプのランプ出力:2KW、コンベア速度は9m/分の条件に設定したコンベアUV照射装置(アイグラフィック社製)に入れ、基材上の樹脂組成物に紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させ、基材上に厚み25μmの固定部材(樹脂接着層)を備えてなる積層体Bを得た。なおこの際、空気中の酸素による反応阻害を防ぐため、窒素パージにより、装置内の酸素濃度を500ppm以下にした。
【0067】
(実施例2、3、10)
樹脂組成物の調製に際し、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの使用量を0.2部(実施例2)、0.4部(実施例3)、1.5部(実施例10)に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物および積層体を作製し、各種測定および評価を行った。
【0068】
(実施例4)
樹脂組成物の調製に際し、トリメチロールプロパントリアクリレートの使用量を7部に変更し、且つポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンに替えて、アクリル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK社製)を使用した以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物および積層体を作製し、各種測定および評価を行った。
【0069】
(実施例5、6)
樹脂組成物の調製に際し、トリメチロールプロパントリアクリレートの使用量を10部(実施例5)、12部(実施例6)に変更した以外は、実施例4と同様にして、樹脂組成物および積層体を作製し、各種測定および評価を行った。
【0070】
(実施例7)
樹脂組成物の調製に際し、トリメチロールプロパントリアクリレートの使用量を15部に変更した以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物および積層体を作製し、各種測定および評価を行った。
【0071】
(実施例8)
樹脂組成物の調製に際し、トリメチロールプロパントリアクリレートに替えて、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレートを使用した以外は、実施例7と同様にして、樹脂組成物および積層体を作製し、各種測定および評価を行った。
【0072】
(実施例9)
樹脂組成物の調製に際し、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂Aに替えて紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂B(25℃における貯蔵弾性率E’=3.5MPa、Tg=0.6℃)を使用した以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物および積層体を作製し、各種測定および評価を行った。
【0073】
(比較例1)
樹脂組成物の調製に際し、トリメチロールプロパントリアクリレートの使用量を5部に変更した以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物および積層体を作製し、各種測定および評価を行った。
【0074】
(比較例2)
樹脂組成物の調製に際し、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの使用量を0.02部に変更した以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物および積層体を作製し、各種測定および評価を行った。
【0075】
(比較例3)
<樹脂組成物の調製>
混合容器に、100部のアクリル酸エステル共重合体樹脂、5部のカルボジイミド系架橋剤(日清紡ケミカル社製、製品名「カルボジライト(登録商標)E-02」)及び3.5部の酸化チタン水分散体(DIC社製、製品名「DISPERSE WHITE HG-701」)を添加し、ディスパーで撹拌した。次に撹拌を継続しながら、6部の製泡剤(アルキルベタイン両性化物・脂肪酸アルカノールアミド混合物(DIC社製、製品名「DICNAL M-20」)/スルホン酸型アニオン界面活性剤(DIC社製、製品名「DICNAL M-40」)の1/1(質量比)混合物)、およびアンモニア水0.6部を添加し、最後に4.5部の増粘剤(カルボン酸変性アクリル酸エステル重合体、東亞合成社製、B-300K)を添加して150メッシュでろ過した。最後に、アンモニアを添加して粘度を5000mPa・sに調整して、樹脂組成物を得た。
この樹脂組成物を泡立て器で撹拌し、発泡倍率が1.6倍になるように泡立て、さらに撹拌速度を落として5分間撹拌を続行し、発泡した樹脂組成物を得た。
<固定部材と基材からなる積層体の作製>
上記のようにして得られた発泡した樹脂組成物を、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:50μm)の上に、0.3mmのアプリケータ―を用いて塗布した。これを乾燥炉に入れ、80℃で1.33分間、120℃で1.33分間、140℃で1.33分間保持して樹脂組成物を乾燥架橋し、基材上に厚み180μmの固定部材(樹脂接着層)を備えてなる積層体を得た。この積層体を用いて、各種測定および評価を行った。
なお、実施例1と同様の評価を行うに際し、比較例3では、実施例1の積層体Aおよび積層体Bとして、何れも上記のようにして得られた固定部材と基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)からなる積層体を使用した。
【0076】
(比較例4)
<面ファスナーの準備>
固定部材である面ファスナー(大創産業社製、製品名「ファスナーテープ」、ループ面を有する部材と、フック面を有する部材の一組からなる。)を準備した。
<比較例4-1(ループ面を有する部材)>
積層体に替えてループ面を有する部材(面ファスナー)を用いて、ループ面の動摩擦係数、算術平均粗さRa、およびタック力、そして、ループ面を有する部材同士について互いのループ面を貼り合わせた際のせん断応力を測定した。また、積層体に替えて、ループ面を有する部材同士について互いのループ面を貼り合わせた際の横ズレのし難さ、および、ループ面を有する部材のループ面への異物の付着のし難さを評価した。
<比較例4-2(フック面を有する部材)>
積層体に替えてフック面を有する部材(面ファスナー)を用いて、フック面の動摩擦係数、算術平均粗さRa、およびタック力、そして、フック面を有する部材同士について互いのフック面を貼り合わせた際のせん断応力を測定した。また、積層体に替えて、フック面を有する部材同士について互いのフック面を貼り合わせた際の横ズレのし難さ、および、フック面を有する部材のフック面への異物の付着のし難さを評価した。
<比較例4-3(ループ面を有する部材とフック面を有する部材の貼り合わせ)>
積層体に替えて、ループ面を有する部材のループ面と、フック面を有する部材のフック面を貼り合わせた際のせん断応力を測定した。また、積層体に替えて、ループ面を有する部材のループ面と、フック面を有する部材のフック面を貼り合わせた際の横ズレのし難さを評価した。
【0077】
(比較例5)
樹脂組成物の調製に際し、トリメチロールプロパントリアクリレートの使用量を25部に変更した以外は、実施例2と同様にして、樹脂組成物および積層体を作製し、各種測定および評価を行った。
【0078】
(比較例6)
樹脂組成物の調製に際し、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの使用量を2部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物および積層体を作製し、各種測定および評価を行った。
【0079】
【0080】
【0081】
表1より、樹脂と、樹脂に対してそれぞれ所定の範囲内の含有量で硬化剤およびシリコーン系表面改質剤とを含む樹脂組成物の硬化物からなる固定部材を用いた実施例1~10では、固定部材への異物付着が抑制されており、固定部材同士を接合した場合に、固定部材同士の横ズレが生じ難いことが分かる。
一方、硬化剤の含有量が所定の範囲の下限値を下回る樹脂組成物の硬化物からなる固定部材を用いた表2の比較例1では、固定部材同士を接合した場合に、固定部材同士の横ズレを抑制できないことが分かる。
また、シリコーン系表面改質剤の含有量が所定の範囲の下限値を下回る樹脂組成物の硬化物からなる固定部材を用いた表2の比較例2では、固定部材への異物付着を抑制できないことが分かる。
更に、硬化剤の含有量が所定の範囲の下限値を下回り、且つシリコーン系表面改質剤を含まない樹脂組成物の硬化物からなる固定部材を用いた表2の比較例3では、固定部材への異物付着を抑制できず、また、固定部材同士を接合した場合に、固定部材同士の横ズレを抑制できないことが分かる。
そして、所定の樹脂組成物の硬化物以外の材質で構成された、固定部材として市販の面ファスナーを用いた表2の比較例4では、固定部材への異物付着を抑制できないことが分かる。
また、硬化剤の含有量が所定の範囲の上限値を上回る樹脂組成物の硬化物からなる固定部材を用いた表2の比較例5では、固定部材同士を接合した場合に、固定部材同士の横ズレを抑制できないことが分かる。
更に、シリコーン系表面改質剤の含有量が所定の範囲の上限値を上回る樹脂組成物の硬化物からなる固定部材を用いた表2の比較例6では、固定部材同士を接合した場合に、固定部材同士の横ズレを抑制できないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、表面への異物付着が抑制された固定部材であって、当該固定部材同士を貼り合わせて接合状態とした際の横ズレが生じ難い、固定部材を提供することができる。
また、本発明によれば、表面への異物付着が抑制された固定部材を備え、当該固定部材同士を貼り合わせて接合状態とした際の横ズレが生じ難い、積層体を提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
10、20、30、30´、40、40´ 積層体
11、21、31、31´、41、41´ 基材
12a、12b、22a~22h、32、32´、42a~42d、42a´~42d´ 固定部材
50 積層体
51 固定部材
52 カートン紙
53 すべり片
54 ロードセル
60、60´ 積層体(切り出し片)
61、61´ 基材
62、62´固定部材