(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】硬化性組成物、硬化物、積層体
(51)【国際特許分類】
C08F 290/06 20060101AFI20240312BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240312BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240312BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20240312BHJP
C09D 7/48 20180101ALI20240312BHJP
C09D 169/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C08F290/06
B32B27/30 A
B32B27/18 A
C09D4/02
C09D7/48
C09D169/00
(21)【出願番号】P 2022129656
(22)【出願日】2022-08-16
(62)【分割の表示】P 2020515474の分割
【原出願日】2019-04-23
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2018087627
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】飯田 優香
(72)【発明者】
【氏名】宮地 彬
(72)【発明者】
【氏名】椋田 貴寛
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-190998(JP,A)
【文献】特開2018-059062(JP,A)
【文献】特開2013-010921(JP,A)
【文献】特開2010-215754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/06
B32B 27/30
B32B 27/18
C09D 4/02
C09D 7/48
C09D 169/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリレートA、ウレタン(メタ)アクリレートB、紫外線吸収剤C及び光重合開始剤Dを含む硬化性組成物であって、前記(メタ)アクリレートAが、デンドリマー構造及びハイパーブランチ構造のうち少なくとも1つを有し、前記(メタ)アクリレートAの含有量が、前記(メタ)アクリレートAと前記ウレタン(メタ)アクリレートBとの合計100質量部に対して55質量部以上95質量部以下であり、前記ウレタン(メタ)アクリレートBの含有量が、前記(メタ)アクリレートAと前記ウレタン(メタ)アクリレートBとの合計100質量部に対して5質量部以上45質量部以下であり、前記紫外線吸収剤Cの含有量が、前記(メタ)アクリレートAと前記ウレタン(メタ)アクリレートBとの合計100質量部に対して1.5質量部以上60質量部以下であり、
前記ウレタン(メタ)アクリレートBの(メタ)アクリロイル基の数が2であり、前記ウレタン(メタ)アクリレートBの質量平均分子量(Mw)が、500以上8000以下であり、前記硬化性組成物の固形分濃度が、70質量%以上であり、E型粘度計で測定される25℃における前記硬化性組成物の粘度が、200mPa・s以下である、硬化性組成物。
【請求項2】
ポリカーボネート骨格を有する(メタ)アクリレートEをさらに含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリレートEが、シクロヘキシル基含有ポリカーボネートジオールジアクリレートである、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記紫外線吸収剤Cが、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリレートAの
(メタ)アクリロイル基の数が、4以上18以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記(メタ)アクリレートAの質量平均分子量が、500以上5000以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
E型粘度計で測定される20℃における前記(メタ)アクリレートAの粘度が、10mPa・s以上10000mPa・s以下である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物。
【請求項9】
基材と、前記基材に設けられた、請求項8に記載の硬化物からなる層とを含む、積層体。
【請求項10】
前記基材がプラスチック基材である、請求項9に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、硬化物、積層体に関する。
本願は、2018年4月27日に、日本に出願された特願2018-087627号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、透明性、易成形性、耐熱性、耐衝撃性に非常に優れたエンジニアリングプラスチックとして幅広く使われており、自動車用途では、ヘッドランプレンズ、テールランプ、サイドカバーランプ及びグレージング等の材料として多く用いられている。
しかし、ポリカーボネート樹脂は、耐摩耗性が不足しているため、表面に傷が付きやすく、また他のエンジニアリングプラスチックに比べ耐候性が不足している。
【0003】
このため、プラスチックの表面に耐摩耗性、耐候性を付与する方法として、コーティング剤を塗装し、耐摩耗性、耐候性に優れた塗膜を形成する方法が知られている。
このようなコーティング剤は、塗装に適した粘度とするために有機溶剤を含んでいる。しかし、環境負荷の点から、有機溶剤の含有量を減らした、高固形分で塗装に適した粘度が得られるコーティング剤が検討されている。
たとえば、特許文献1には、多分岐骨格を有する多官能(メタ)アクリレートを用いた硬化性組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されている方法では、スプレー塗装に最適な粘度が得られず、紫外線吸収剤が表面に析出して白化するため、耐候性も十分ではなかった。
【0006】
本発明は、高固形分であってもスプレー塗装に適した粘度を有し、紫外線吸収剤の析出が抑制され、耐候性及び耐温水性に優れた硬化物が得られる硬化性組成物、前記硬化性組成物を用いた硬化物及び積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
〔1〕(メタ)アクリレートA、ウレタン(メタ)アクリレートB、紫外線吸収剤C及び光重合開始剤Dを含む硬化性組成物であって、前記(メタ)アクリレートAが、デンドリマー構造及びハイパーブランチ構造のうち少なくとも1つを有し、前記(メタ)アクリレートAの含有量が、前記(メタ)アクリレートAと前記ウレタン(メタ)アクリレートBとの合計100質量部に対して55質量部以上95質量部以下であり、前記紫外線吸収剤Cの含有量が、前記(メタ)アクリレートAと前記ウレタン(メタ)アクリレートBとの合計100質量部に対して1.5質量部以上60質量部以下であり、前記硬化性組成物の固形分濃度が、70質量%以上であり、E型粘度計で測定される25℃における前記硬化性組成物の粘度が、200mPa・s以下である、硬化性組成物。
〔2〕ポリカーボネート骨格を有する(メタ)アクリレートEをさらに含む、〔1〕に記載の硬化性組成物。
〔3〕前記(メタ)アクリレートEが、シクロヘキシル基含有ポリカーボネートジオールジアクリレートである、〔2〕に記載の硬化性組成物。
〔4〕前記紫外線吸収剤Cが、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤である、〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
〔5〕前記(メタ)アクリレートAのアクリロイル基の数が、4以上18以下である、〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
〔6〕前記(メタ)アクリレートAの質量平均分子量が、500以上5000以下である、〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
〔7〕前記(メタ)アクリレートAの、E型粘度計で測定される20℃における粘度が、10mPa・s以上10000mPa・s以下である、〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
〔8〕〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物。
〔9〕基材と、前記基材に設けられた、〔8〕に記載の硬化物からなる層とを含む積層体。
〔10〕前記基材がプラスチック基材である、〔9〕に記載の積層体。
【発明の効果】
【0008】
本発明の硬化性組成物は、高固形分であってもスプレー塗装に適した粘度を有する。また、本発明の硬化性組成物によれば、紫外線吸収剤の析出が抑制され、耐候性及び耐温水性に優れた硬化物が得られる。
本発明の硬化物は、耐候性及び耐温水性に優れる。
本発明の積層体は、耐候性及び耐温水性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、「(メタ)アクリル」という表現を用いる場合、「アクリル」及び「メタクリル」の一方又は両方を意味するものとする。また、「(メタ)アクリロイル」という表現を用いる場合、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の一方又は両方を意味するものとする。さらに、「(メタ)アクリレート」という表現を用いる場合、「アクリレート」及び「メタクリレート」の一方又は両方を意味するものとする。
本明細書において、「(メタ)アクリロイル基官能基数」とは、(メタ)アクリレート1分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数を意味する。「(メタ)アクリロイル基官能基数」とは、「(メタ)アクリレートのアクリロイル基の数」である。
本明細書において「ブリードアウト」とは、硬化物の表面に紫外線吸収剤が析出し、硬化物の表面が白化する現象を意味する。
【0010】
<硬化性組成物>
本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリレートA、ウレタン(メタ)アクリレートB、紫外線吸収剤C及び光重合開始剤Dを含む。
【0011】
前記(メタ)アクリレートAは、デンドリマー構造及びハイパーブランチ構造のうち少なくとも1つを有する。
前記(メタ)アクリレートAが、前記デンドリマー構造及び前記ハイパーブランチ構造のうち少なくとも1つを有することで、本発明の硬化性組成物の粘度を下げること、本発明の硬化性組成物の硬化物の耐屈曲性の向上、反りの抑制に効果がある。
【0012】
前記デンドリマー構造とは、分岐した構造がさらに分岐して多重の分岐構造を形成し、前記分岐構造が放射状に広がった構造を意味する。
前記ハイパーブランチ構造とは、前記多重の分岐構造が放射状ではなく、所定の一方向又は二以上の方向に分岐状に延びる構造を意味する。
【0013】
前記(メタ)アクリレートAは多重の分岐構造の複数の先端部分に(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートである。
硬化性の点から、前記(メタ)アクリロイル基の官能基数は、4以上が好ましく、6以上がより好ましい。また、硬化収縮の点から、前記(メタ)アクリロイル基の官能基数は、18以下が好ましく、16以下がより好ましい。
【0014】
前記(メタ)アクリレートAは、公知の製造方法により製造したものを用いてもよいし、市販のものを用いてもよい。前記(メタ)アクリレートAの製造方法としては、例えば、特開2016-190998号公報に記載の方法が挙げられる。
【0015】
前記デンドリマー構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、大阪有機化学工業株式会社製のビスコート(登録商標)#1000、SIRIUS-501、SUBARU-501等を挙げることができる。
前記ハイパーブランチ構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、SARTOMER社製のCN2302、CN2303、CN2304等を挙げることができる。
【0016】
前記(メタ)アクリレートAとしては、硬化性組成物の粘度をより低くしてスプレー塗装性を良好にできる点から、大阪有機化学工業株式会社製のビスコート#1000、SARTOMER社製のCN2302、CN2303が好ましい。
【0017】
硬化性組成物の粘度をより低くしてスプレー塗装性を良好にできる点から、前記(メタ)アクリレートAの質量平均分子量(Mw)は、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましい。また、硬化物の耐屈曲性がさらに優れる点から、前記(メタ)アクリレートAの質量平均分子量(Mw)は、500以上が好ましく、1000以上がより好ましい。
【0018】
なお、前記質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
【0019】
硬化性組成物のスプレー塗装性の点から、前記(メタ)アクリレートAの20℃における粘度(以下、「粘度(20℃)」とも記す。)は、10000mPa・s以下が好ましく、7000mPa・s以下がより好ましく、4000mPa・s以下がさらに好ましい。また、硬化性の点から、前記(メタ)アクリレートAの粘度(20℃)は、10mPa・s以上が好ましく、20mPa・s以上がより好ましく、40mPa・s以上がさらに好ましい。
したがって、前記(メタ)アクリレートAの粘度(20℃)は、10mPa・s以上10000mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以上7000mPa・s以下がより好ましく、40mPa・s以上4000mPa・s以下がさらに好ましい。
前記(メタ)アクリレートAの粘度(20℃)は、E型粘度計により測定される値である。
本発明の硬化性組成物中の前記(メタ)アクリレートAの含有量は、前記(メタ)アクリレートAと前記ウレタン(メタ)アクリレートBとの合計100質量に対して、55質量部以上95質量部以下であり、60質量部以上90質量部以下が好ましく、65質量部以上80質量部以下がより好ましい。
前記(メタ)アクリレートAの質量割合が前記範囲内であれば、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できる。また、前記(メタ)アクリレートAの質量割合が前記下限値以上であれば、硬化性組成物の硬化物の耐候性及び耐温水性が優れる。前記(メタ)アクリレートAの質量割合が前記上限値以下であれば、硬化性組成物の粘度が低く、スプレー塗装性が優れ、硬化性組成物の硬化物の耐候性及び耐温水性が優れる。
【0020】
前記ウレタン(メタ)アクリレートBとしては、1分子中に2個以上のウレタン結合と2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有するウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、下記ウレタン(メタ)アクリレート(B1)、又は下記ウレタン(メタ)アクリレート(B2)が挙げられる。
【0021】
ウレタン(メタ)アクリレート(B1):ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b1)と、ポリイソシアネート(b2)との反応物。
ウレタン(メタ)アクリレート(B2):ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b1)と、ポリイソシアネート(b2)と、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するポリオール化合物(b3)との反応物。
【0022】
前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b1)は、ヒドロキシ基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートであれば特に限定されない。
前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b1)の具体例としては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)、2-ヒドロキシブチルメタクリレート(HBMA)、HEAのカプロラクトン1mol付加物(ダイセル社のプラクセル(登録商標)FA1)、HEAのカプロラクトン2mol付加物(プラクセルFA2D)、HEAのカプロラクトン5mol付加物(プラクセルFA5)、HEAのカプロラクトン10mol付加物(プラクセルFA10L)、骨格がモノ又はポリペンタエリスリトールである化合物等が挙げられる。骨格がモノ又はポリペンタエリスリトールである化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b1)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b1)のうち、入手の容易さ、反応性、硬化性組成物における溶解性等の点から、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ダイセル(株)社製のHEAのカプロラクトン1mol付加物(プラクセルFA1)、HEAのカプロラクトン2mol付加物(プラクセルFA2D)が好ましい。
【0024】
前記ポリイソシアネート(b2)は、1分子内にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネートであれば特に限定されない。
前記ポリイソシアネート(b2)の具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)等の脂環式ポリイソシアネート;2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート体、アダクト体、ビウレット体;等が挙げられる。
前記ポリイソシアネート(b2)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記ポリイソシアネート(b2)のうち、耐候性に優れる点から、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、旭化成(株)製のヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(製品名:デュラネートTPA-100)、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体(製品名:デュラネートP301-75E)、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(製品名:デュラネート24A-100)、ヘキサメチレンジイソシアネートの2官能型(製品名:デュラネートA-201H)がより好ましい。
【0026】
前記ポリオール(b3)は、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有するポリオールであれば特に限定されない。
前記ポリオール(b3)の具体例としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリカーボネートポリオール(ポリカーボネートジオール等)、ラクトン系ジオール等が挙げられる。
前記ポリオール(b3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
前記ポリオール(b3)としては、耐候性の点で、ポリカーボネートポリオールが好ましい。
前記ポリカーボネートポリオールは、分岐アルキル構造を有することが好ましい。前記ポリオール(b3)が分岐アルキル構造を有するポリカーボネートポリオールであれば、硬化性組成物にした時の粘度が抑えられスプレー塗装後の平滑性を保つことができ、かつ硬化性組成物の硬化物の屈曲性が向上する。
【0028】
前記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、500以上4000以下の範囲内が好ましい。数平均分子量が500以上であると、硬化性組成物の硬化物の耐候性がさらに向上する。数平均分子量が4000以下であると、硬化物の耐擦傷性が向上する。なお、前記数平均分子量は、水酸基価と一分子中の水酸基の数とから算出した値である。
【0029】
前記ポリカーボネートポリオールは、例えば、分岐アルキル構造を有する多価アルコールと炭酸エステルとのエステル交換反応により製造することができる。
前記分岐アルキル構造を有する多価アルコールの具体例としては、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等が挙げられる。
炭酸エステルの具体例としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0030】
前記ポリカーボネートポリオールとして、市販品を用いてもよい。例えば、分岐アルキル構造を有し数平均分子量が500以上4000以下の範囲内であるポリカーボネートポリオールの市販品として、クラレ(株)製のクラレポリオールC-590、クラレポリオールC-770、クラレポリオールC-1050、クラレポリオールC-1090、クラレポリオールC1065N、クラレポリオールC-1015N、クラレポリオールC-2090、クラレポリオールC-3090等が挙げられる。
【0031】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B1)は、前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b1)と、前記ポリイソシアネート(b2)とを反応させることによって得られる。
反応条件としては、加熱下の条件が好ましく、例えば、70℃、8時間の条件が挙げられる。
【0032】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B1)としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートとイソホロンジイソシアネートとの反応物;プラクセルFA-2DとデュラネートTPA-100との反応物;プラクセルFA-2DとデュラネートA-201Hとの反応物;等を好適に用いることができる。
【0033】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B2)は、前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート(b1)と、前記ポリイソシアネート(b2)と、前記ポリオール(b3)とを反応させることによって得られる。
反応条件としては、加熱下の条件が好ましく、例えば、70℃8時間の条件が挙げられる。
【0034】
前記ポリウレタン(メタ)アクリレート(B2)としては、例えば、前記ポリカーボネートポリオールと、脂環構造を有するジイソシアネート化合物と、ヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート化合物との反応物等を好適に用いることができる。
【0035】
硬化性組成物の粘度をより低くしてスプレー塗装性を良好にできる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレートBの質量平均分子量(Mw)は、8000以下が好ましく、3000以下がより好ましい。また、硬化物の耐屈曲性がさらに優れる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレートBの質量平均分子量(Mw)は、500以上が好ましく、1000以上がより好ましい。
なお、前記ウレタン(メタ)アクリレートBの質量平均分子量(Mw)は、前記(メタ)アクリレートAの質量平均分子量(Mw)と同様の方法で測定される値である。
【0036】
本発明の硬化性組成物中の前記ウレタン(メタ)アクリレートBの含有量は、前記(メタ)アクリレートAと前記ウレタン(メタ)アクリレートBとの合計100質量部に対して5質量部以上45質量部以下が好ましく、10質量部以上40質量部以下がより好ましく、15質量部以上30質量部以下がさらに好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートBの質量割合が前記範囲内であれば、紫外線吸収剤のブリードアウトをより抑制できる。また、前記ウレタン(メタ)アクリレートBの質量割合が前記下限値以上であれば、硬化性組成物の硬化物の耐候性及び耐温水性がさらに優れる。前記ウレタン(メタ)アクリレートBの質量割合が前記上限値以下であれば、硬化性組成物の粘度が低く、スプレー塗装性がさらに優れる。
【0037】
本発明の硬化性組成物は紫外線吸収剤Cを含む。前記紫外線吸収剤Cを含むことによって、硬化性組成物の硬化物の耐候性が向上する。
【0038】
前記紫外線吸収剤Cは、紫外線を吸収できるものであれば特に限定されない。ただし、前記紫外線吸収剤Cとしては、硬化性組成物に均一に溶解でき、紫外線吸収能が高いものが好ましい。
前記紫外線吸収剤Cとしては、硬化性組成物に対する溶解性及び耐候性の点から、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアジン、サリチル酸フェニル及び安息香酸フェニルからなる群から選ばれた少なくとも1つから誘導された化合物が好ましい。前記化合物は、最大吸収波長が240nm以上380nm以下の範囲内であることが好ましい。
【0039】
硬化性組成物に多量に含有させることができる点では、前記紫外線吸収剤Cとしては、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤がより好ましい。
硬化物のブリードアウトをさらに抑制しやすいという点では、前記紫外線吸収剤Cとしては、ベンゾトリアゾール系やヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤がより好ましい。
ポリカーボネート樹脂等の基材の黄変を防ぐことができるという点では、前記紫外線吸収剤Cとしては、ヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤がさらに好ましい。
【0040】
前記紫外線吸収剤Cの具体例としては、2-ヒドロキシベンゾフェノン、5-クロロ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクチロキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-(2-メタクリロイルオキシエチル)フェニル)-2H-ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシロキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシロキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチロキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチロキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤;フェニルサリシレート、p-tert-ブチルフェニルサリシレート、p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニルサリシレート、3-ヒドロキシフェニルベンゾエート、フェニレン-1,3-ジベンゾエート等が挙げられる。
【0041】
前記紫外線吸収剤の中では、硬化物中で紫外線吸収能を長期間にわたって持続できる点から、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシロキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチロキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン及び2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチロキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0042】
さらに、ポリカーボネート等の基材の紫外線劣化を防ぐという点から、350nmにおける吸光度が1.0以上であるヒドロキシフェニルトリアジン系の紫外線吸収剤が好ましく、具体的には2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチロキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン及び2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチロキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジンから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
吸光度は日立製作所製のU-1900型分光光度計により測定される。
なお、前記紫外線吸収剤は2種以上を併用してもよい。
【0043】
本発明の硬化性組成物中の前記紫外線吸収剤Cの含有量は、前記(メタ)アクリレートAと前記ウレタン(メタ)アクリレートBとの合計100質量部に対して1.5質量部以上60質量部以下であり、3質量部以上50質量部以下がより好ましく、5質量部以上20質量部以下がさらに好ましい。前記紫外線吸収剤Cの含有量が前記下限値以上であれば、硬化性組成物の硬化物の耐候性がさらに優れる。前記紫外線吸収剤Cの含有量が前記上限値以下であれば、硬化性及び硬化性組成物の硬化物の耐温水性がさらに優れる。
【0044】
本発明の硬化性組成物は光重合開始剤Dを含む。前記光重合開始剤Dを含むため、紫外線吸収剤が存在していながらも、硬化性組成物を紫外線によって充分に硬化させることができる。
前記光重合開始剤Dとしては、硬化性組成物における溶解性がよく、紫外線照射によりアクリル系モノマー又はオリゴマーの重合を開始させ得るものであれば特に限定されない。
【0045】
前記光重合開始剤Dの具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4-ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジターシャリーブチルパーオキシド等のパーオキシド化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物を挙げることができる。
前記光重合開始剤Dの中では、重合性能の点から、ベンゾフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドが好ましい。
前記光重合開始剤Dは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記光重合開始剤Dとしては、波長360nm以上400nm以下の範囲内に吸収極大を有する光重合開始剤が好ましい。かかる前記光重合開始剤Dを用いることにより、硬化性組成物を紫外線で硬化する際に、紫外線によりラジカルが発生し、塗膜深部においても重合性化合物(重合性モノマー、重合性オリゴマー等)を効率よく重合させることができ、基材との密着性に優れる硬化物を得ることができる。
【0047】
本発明の硬化性組成物を紫外線で硬化させる場合、本発明の硬化性組成物中の前記光重合開始剤Dの含有量は、充分な重合度を得る点から、前記(メタ)アクリレートAと前記ウレタン(メタ)アクリレートBと前記紫外線吸収剤Cとの合計100質量部に対し、0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。また、硬化性の点から、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。
【0048】
本発明の硬化性組成物は、ポリカーボネート骨格を有する(メタ)アクリレートEをさらに含むことが好ましい。前記(メタ)アクリレートEを含むことによって、硬化性組成物の硬化物の耐温水性及び耐候性がさらに向上する。
【0049】
前記(メタ)アクリレートEとしては、例えば、ポリカーボネートジオールジアクリレート等のポリカーボネート骨格を有する2官能アクリレートが挙げられる。ポリカーボネートジオールジアクリレートとしては、ヒドロキシ基末端ポリカーボネートジオールジアクリレート、シクロヘキシル基含有ポリカーボネートジオールジアクリレート等が挙げられる。耐温水性向上の点から、シクロヘキシル基含有ポリカーボネートジオールジアクリレートが好ましい。
【0050】
前記(メタ)アクリレートEとしては、ポリカーボネートポリオールジアクリレートの市販品を用いてもよい。例えば前記ポリカーボネートポリオールジアクリレートとして具体的には、(株)宇部興産製のUM-90DA、UH-100DA等が挙げられる。
前記(メタ)アクリレートEは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
本発明の硬化性組成物が前記(メタ)アクリレートEを含む場合、本発明の硬化性組成物中の前記(メタ)アクリレートEの含有量は、前記(メタ)アクリレートAと前記ウレタン(メタ)アクリレートBとの合計100質量部に対し、1質量部以上30質量部以下が好ましく、2質量部以上25質量部以下がより好ましく、5質量部以上20質量部以下がさらに好ましい。前記(メタ)アクリレートEの含有量が前記下限値以上であれば、硬化性組成物の硬化物の耐温水性及び耐候性がさらに優れる。前記(メタ)アクリレートEの含有量が前記上限値以下であれば、塗膜硬度がさらに優れる。
【0052】
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、その他の(メタ)アクリレートを含むことができる。
前記その他の(メタ)アクリレートとは、前記(メタ)アクリレートA、前記ウレタン(メタ)アクリレートB及び前記(メタ)アクリレートE以外の、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。
前記その他の(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロへキシル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記その他の(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
本発明の硬化性組成物は、固形分濃度が70質量%以上であり、E型粘度計で測定される25℃における前記硬化性組成物の粘度が、200mPa・s以下であることが必要である。
前記固形分濃度を70質量%以上、前記粘度を200mPa・s以下とすることで、スプレー塗装等の塗装を行う際の、有機溶剤の使用量が少なくても、塗装後に良好な外観を得ることができ、VOCを削減できる。
前記固形分濃度は、環境負荷の点から80質量%以上が好ましく、スプレー塗装性の点から100質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
前記固形分濃度は、硬化性組成物の総質量に対する、硬化性組成物から有機溶剤を除いた残部(固形分)の質量割合である。
前記粘度は、100mPa・s以下が好ましく、50mPa・s以下がより好ましい。また、塗装後の液ダレ防止の点から、10mPa・s以上が好ましい。
【0054】
前記粘度を200mPa・s以下にする方法としては、前記(メタ)アクリレートAと前記ウレタン(メタ)アクリレートBとの合計質量に対する前記(メタ)アクリレートAの質量割合を高くする方法、粘度が低い前記ウレタン(メタ)アクリレートBを使用する方法等が挙げられる。
【0055】
さらに本発明の硬化性組成物は、その他の成分として、有機溶剤を含んでいてもよい。硬化性組成物が前記有機溶剤を含むことによって、硬化性組成物の成分の均一溶解性、分散安定性、さらには硬化物の基材との密着性、及び硬化物の平滑性、均一性等が向上する。
【0056】
前記有機溶剤の種類は特に限定されない。前記有機溶剤の具体例としては、例えば、アルコール、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、多価アルコール誘導体等が挙げられる。前記有機溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、光安定剤、酸化防止剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、帯電防止剤、防曇剤等の各種の添加剤をさらに含んでもよい。
【0058】
本発明の硬化性組成物は、通常使用される攪拌機によって前記(メタ)アクリレートA、前記ウレタン(メタ)アクリレートB、前記紫外線吸収剤C及び前記光重合開始剤Dを均一に混合することによって製造することができる。なお、必要に応じて、前記(メタ)アクリレートE、その他の成分(有機溶剤、添加剤等)を加えてもよい。
【0059】
<硬化物>
本発明の硬化物は、本発明の硬化性組成物に紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化することにより得られる。前記活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、赤外線、可視光線等が挙げられる。
【0060】
本発明の硬化性組成物を紫外線照射により硬化させる場合は、種々の紫外線照射装置を用いることができ、その光源としては、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LED-UVランプ等を使用できる。前記紫外線の照射量は、通常10mJ/cm2以上10000mJ/cm2以下であり、100mJ/cm2以上5000mJ/cm2以下が好ましく、150mJ/cm2以上3000mJ/cm2以下がより好ましい。
【0061】
本発明の硬化性組成物を電子線照射により硬化させる場合は、種々の電子線照射装置を使用することができる。前記電子線の照射量は、通常0.5Mrad以上20Mrad以下であり、1Mrad以上15Mrad以下が好ましい。
【0062】
本発明の硬化性組成物を硬化させる際の温度(活性エネルギー線を照射する際の温度)は、基材の耐熱性や熱変形性等を考慮して適宜設定すればよい。硬化性組成物を硬化させる際の温度としては、例えば、20℃以上200℃以下が好ましく、60℃以上150℃以下がより好ましい。硬化時間は、数分から数時間が好ましい。
【0063】
本発明の硬化性組成物が有機溶剤を含む場合、活性エネルギー線を照射する前に、硬化性組成物に対し乾燥を行って有機溶剤を揮発させてもよい。
乾燥温度は、基材の耐熱性や熱変形性、有機溶剤の沸点等を考慮して適宜設定すればよい。前記乾燥温度としては、例えば、20℃以上200℃以下が好ましく、60℃以上150℃以下がより好ましい。前記乾燥時間は、数分から数時間が好ましい。
【0064】
<積層体>
本発明の積層体は、基材と、前記基材に積層された、本発明の硬化物からなる層(以下、「硬化物層」ともいう。)とを含む。
【0065】
前記基材の形状としては、例えば、フィルム状、板状、立体的な形状等が挙げられる。
前記基材の材質としては、例えば、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金メッキ鋼、ステンレス鋼及び錫メッキ鋼等の金属材料;ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂及びポリアリルジグリコールカーボネート樹脂等の樹脂が挙げられる。
硬化物層を設けることによる耐候性の向上等の効果が大きい点で、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリメタクリルイミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む基材が好ましい。
【0066】
前記硬化物層の厚さは、耐候性とクラック低減の点から、3μm以上50μm以下が好ましい。
【0067】
本発明の積層体は、前記基材を複数含んでいてもよい。
本発明の前記積層体は、前記硬化物層を複数含んでいてもよい。
例えば、基材に複数種の前記硬化物層を積層してもよい。複数の前記基材と複数の前記硬化物層とを積層してもよい。前記基材がフィルム状又は板状である場合、前記基材の一方の面上に前記硬化物層を積層してもよく、前記基材の両方の面上に前記硬化物層を積層してもよい。
【0068】
本発明の前記積層体は、例えば、前記基材に本発明の硬化性組成物を塗装して塗膜を形成し、前記塗膜に活性エネルギー線を照射して硬化することにより製造できる。
【0069】
塗装は、ハケ塗り、バーコート、スプレーコート、ディップコート、スピンコート及びカーテンコート等の公知の方法で行うことができる。
本発明の硬化性組成物はスプレー塗装に適した粘度を有することから、塗装方法としてはスプレーコート法が好ましい。
塗膜は、前記した本発明の硬化性組成物と同様にして硬化させることができる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例及び比較例により、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の「部」は「質量部」を表す。
以下の実施例、比較例において使用した原料及び評価方法は以下の通りである。
【0071】
〔原料〕
<(メタ)アクリレートA>
・CN2302:ハイパーブランチ構造を有するアクリレート(商品名CN2302、サートマー社製)、(メタ)アクリロイル官能基数:16、質量平均分子量(Mw):1500、粘度(20℃):350mPa・s。
・CN2303:ハイパーブランチ構造を有するアクリレート(商品名CN2303、サートマー社製)、(メタ)アクリロイル官能基数:6、質量平均分子量(Mw):1400、粘度(20℃):320mPa・s。
・V#1000:デンドリマー構造を有するアクリレート(商品名ビスコート#1000、大阪有機化学工業株式会社製)、(メタ)アクリロイル官能基数16、質量平均分子量(Mw)2000、粘度(20℃):450mPa・s。
【0072】
<(メタ)アクリレートAの比較品>
・DPCA-20:ジペンタエリスリトール・カプロラクトンのアクリル酸エステル(商品名KAYARAD DPCA-20、日本化薬株式会社製)。
【0073】
<ウレタン(メタ)アクリレートB>
・PU-1:下記製造例1で得た、アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレート、(メタ)アクリロイル官能基数:2、質量平均分子量(Mw):2059、粘度(25℃):4600mPa・s。
・BU-1:下記製造例2で得た、アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレート、(メタ)アクリロイル官能基数:2、質量平均分子量(Mw):7123、粘度(25℃):102400 mPa・s超。
【0074】
(製造例1:PU-1の製造)
攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、旭化成ケミカルズ株式会社製のデュラネートA-201H(2官能型イソシアネート)を300部仕込み、系内を70℃に昇温して溶解させた。続いて液中に空気を導入後、重合禁止剤として4-メトキシフェノールを0.44部、株式会社ダイセル製のプラクセルFA-2D(ラクトン変性アクリレート)を442.3部、ジブチルスズジラウレートを0.22部仕込み、同温度で6時間反応を行った。反応終了後冷却し、ウレタンアクリレートPU-1を得た。
【0075】
(製造例2:BU-1の製造方法)
保温機能付き滴下漏斗、還流冷却器、攪拌機及び温度計を取り付けたフラスコに、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート:530部、ジラウリン酸ジ-n-ブチル錫:300ppmを仕込み、40℃に加温した。その後、ポリオール化合物としてポリカーボネートジオールであるクラレ(株)製のクラレポリオールC-770:800部(質量平均分子量800)(1mol)を4時間かけて滴下した。40℃にて2時間攪拌した後、1時間かけて70℃まで昇温させた。その後、2-ヒドロキシエチルアクリレート:232部を2時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌し、ウレタンアクリレートBU-1を得た。
【0076】
<紫外線吸収剤C>
・チヌビン405:2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(BASF社製)。
・チヌビンPS:(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(BASF社製)。
・シーソーブ102:2-ヒドロキシ-4-オクチルベンゾフェノン(シプロ化成株式会社製)
【0077】
<(メタ)アクリレートE>
・UM-90DA:ポリカーボネートジオールジアクリレート(商品名UM-90DA、宇部興産株式会社製)。
【0078】
<その他の原料>
・CHA:シクロヘキシルアクリレート。
・Benzophenone:ベンゾフェノン。
・Speedcure MBF:メチルベンゾイルホルマート(商品名Speedcure MBF、ランブソン社製)。
・Omnirad 651:2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(商品名Omnirad 651、BASF社製)。
・Speedcure TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド(商品名Speedcure TPO、ランブソン社製)。
・チヌビン123:光安定剤、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(商品名チヌビン123、BASF社製)。
・BYK-333:シリコン系レベリング剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(商品名BYK-333、BYK社製)。
・PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル(商品名PM、KHネオケム社製)。
【0079】
〔評価方法〕
<硬化性組成物の粘度(25℃)>
硬化性組成物の固形分濃度が表1~4に記載の濃度となるように、PGMで硬化性組成物を希釈し、E型粘度計TVE-20H(東機産業社製)を用いて粘度(25℃)を測定した。
【0080】
<質量平均分子量(Mw)>
ポリマー((メタ)アクリレートA、ウレタン(メタ)アクリレートB等)の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により以下の条件で測定した標準ポリスチレン換算による分子量である。
・装置:東ソー社製 高速GPC装置 HLC-8320GPC型
・UV(紫外線)検出器:東ソー社製 UV-8320型
・流速:0.35mL/min
・注入口温度:40℃
・オーブン温度:40℃
・RI(示差屈折計)温度:40℃
・UV波長:254nm
・サンプル注入量:10μL
・カラム:下記の(1)~(3)の順に3本連結した。
(1)東ソー社製 TSKgel superHZM-M(4.6mmID×15cmL)
(2)東ソー社製 TSKgel superHZM-M(4.6mmID×15cmL)
(3)東ソー社製 TSKgel HZ2000(4.6mmID×15cmL)
・ガードカラム:東ソー社製 TSKguardcolumn SuperHZ-L(4.6mmID×3.5cmL)
・溶媒:THF(安定剤BHT)
・サンプル濃度:樹脂分0.2質量%に調整した。
【0081】
<評価サンプル>
ポリカーボネート樹脂射出成形板(パンライトL-1225Z-100(商品名)、帝人(株)製、3mm厚)に硬化性組成物をスプレー、又はバーコーター(#14)を使用して塗装した。IR(遠赤外線)乾燥炉中60℃で300秒加熱乾燥し、塗膜を形成した。次に、形成された塗膜に対し、空気雰囲気下、高圧水銀灯を用い、(株)オーク製作所製紫外線光量計UV-351で照射量が2000mJ/cm2(波長340nm以上380nm以下の範囲内)となるように紫外線を照射することで塗膜を硬化させ、硬化物層とした。硬化物層の厚さは10μm以上15μm以下の範囲内であった。これにより、ポリカーボネート樹脂射出成形板と硬化物層とを含む積層体を得た。得られた積層体を評価サンプルとして以下評価を行った。
【0082】
<スプレー塗装性>
評価サンプルの外観を目視確認し、スプレー塗装性を評価した。スプレー塗装性の判定基準は次の通りである。
・判定基準
○(良好):評価サンプルの表面にシワがなく、白化がない。
△(可) :評価サンプルの表面にシワ又は白化した部分が観察される。
×(不可):硬化性組成物の粘度が高すぎてスプレー塗装ができない。
ここで、スプレー塗装性の結果が、「×」であった場合、バーコーターを使用してポリカーボネート樹脂射出成形板に塗装して評価サンプルを別途作製し、後述の各項目の評価に使用した。
【0083】
<耐温水性-1>
恒温水槽を用いて、80℃の温水に評価サンプルを浸し、8時間後の評価サンプルの外観変化を目視確認し、耐温水性-1を評価した。耐温水性-1の判定基準は次の通りである。
・判定基準
○(良好):評価サンプルの表面に白化した部分がなく、剥離がない。
△(可) :評価サンプルの表面に剥離はないが、やや白化した部分が観察される。
×(不可):評価サンプルの表面に剥離が観察される。
【0084】
<耐温水性-2>
恒温水槽を用いて、60℃の温水に評価サンプルを浸し、240時間後の評価サンプルの外観変化を目視確認し、耐温水性-2を評価した。耐温水性-2の判定基準は次の通りである。
・判定基準
○(良好):評価サンプルの表面に白化がなく、剥離がない。
△(可) :評価サンプルの表面に剥離はないが、やや白化が観察される。
×(不可):評価サンプルの表面に剥離が観察される。
【0085】
<耐候性>
評価サンプルについて、サンシャインカーボンウェザーメーター耐候試験機(スガ試験機製、WEL-SUN-HC-B型)を用いてブラックパネル温度63±3℃、降雨12分間、照射48分間のサイクルの条件で耐候性試験を行った。2500時間曝露後の外観変化を目視確認し耐候性を評価した。耐候性の判定基準は次の通りである。
・判定基準
○(良好):評価サンプルの表面にクラックが観察されず、剥離がない。
△(可) :評価サンプルの表面にクラックが観察されるが、剥離が無い。
×(不可):評価サンプルの表面にクラック及び剥離が観察される。
【0086】
〔実施例1〕
CN2302の10部、PU-1の5.5部、チヌビン405の3部、シクロヘキシルアクリレート(CHA)の14.5部、ベンゾフェノンの0.3部、Speedcure MBFの0.3部、Omnirad 651の0.3部、Speedcure TPOの0.3部、チヌビン123の0.15部、BYK-333の0.04部を均一に混合し、希釈溶剤としてPGMを用い、固形分濃度が表1に記載の濃度となるように希釈して硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を用いて評価サンプルを作製した。得られた硬化性組成物及び評価サンプルの評価結果を表1に示す。
【0087】
〔実施例2~14、比較例1~6〕
硬化性組成物の組成を表1~4に示すように変更したこと以外は実施例1と同様に硬化性組成物を調製し、評価サンプルを作製した。得られた硬化性組成物及び評価サンプルの評価結果を、表1~4に示す。
ここで表1~4において、(メタ)アクリレートAの含有量α[質量部]は、(メタ)アクリレートAとウレタン(メタ)アクリレートBとの合計100質量部に対する、(メタ)アクリレートAの含有量である。
同様に表1~4において、紫外線吸収剤Cの含有量β[質量部]は、(メタ)アクリレートAとウレタン(メタ)アクリレートBとの合計100質量部に対する、紫外線吸収剤Cの含有量である。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
硬化性組成物の粘度(25℃)が200mPa・sを超える比較例1の硬化性組成物は、スプレー塗装性に劣っていた。
(メタ)アクリレートAを含まない比較例2の硬化性組成物は、スプレー塗装性に劣っていた。
紫外線吸収剤を含まない比較例3の硬化性組成物は、耐候性に劣っていた。紫外線吸収剤Cの含有量βが本発明で規定する数値範囲の下限値を下回る比較例4の硬化性組成物は、耐候性に劣っていた。
紫外線吸収剤Cの含有量βが本発明で規定する数値範囲の上限値を超える比較例5の硬化性組成物は、耐温水性に劣っていた。
(メタ)アクリレートAの含有量αが、本発明で規定する数値範囲の上限値を超える比較例6の硬化性組成物は、耐温水性に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の硬化性組成物は、塗装性に優れ、また、本発明の硬化性組成物の硬化物は、耐温水性及び耐候性等に優れている。したがって、本発明の硬化性組成物は、自動車用の各種ランプレンズ用ハードコート等の用途に好適に用いることができる。