(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】高分子組成物
(51)【国際特許分類】
C08J 7/00 20060101AFI20240312BHJP
C08L 53/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C08J7/00 301
C08L53/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021180436
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2019525958の分割
【原出願日】2017-11-29
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】10-2016-0162139
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ク、セ ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミ スク
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ヒュン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ユン、スン スー
(72)【発明者】
【氏名】パク、ノ ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ケウン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ グォン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ウン ヤン
【審査官】福井 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-061905(JP,A)
【文献】特開2015-070054(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0027807(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 71/04
C08J 7/00-7/02
C08J 7/12-7/18
C08L 1/00-43/00
C08K 3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子セグメントAと高分子セグメントBを有する第1ブロック共重合体と、前記第1ブロック共重合体とは異なる数平均分子量を有し、高分子セグメントAと高分子セグメントBを有する第2ブロック共重合体とを含む高分子組成物を使用して高分子膜を形成し、前記高分子膜内に前記ブロック共重合体のシリンダー構造を誘導する段階を含み、高分子セグメントAは、鎖形成原子が8個以上の側鎖を含み、
高分子セグメントBは、3個以上のハロゲン原子を含
み、
前記高分子セグメントAは、下記化学式1で表示される単位を含み、
[化学式1]
【化1】
化学式1でRは、水素または炭素数1~4のアルキル基であり、Xは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)
2
-、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X
1
-または-X
1
-C(=O)-であり、前記でX
1
は、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)
2
-、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Yは、8個以上の鎖形成原子を有する前記側鎖が連結された環構造を含む1価置換基であり、
高分子セグメントBは、下記化学式3で表示される単位を含み、
[化学式3]
【化2】
化学式3でX
2
は、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)
2
-、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X
1
-または-X
1
-C(=O)-であり、前記でX
1
は、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)
2
-、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Wは、3個以上のハロゲン原子を含む高分子膜の製造方法。
【請求項2】
高分子組成物内のブロック共重合体のうち第1ブロック共重合体が最も小さい数平均分子量(M1)を有し、前記数平均分子量(M1)は、5~60Kg/molの範囲内にある、請求項1に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項3】
高分子組成物内のすべてのブロック共重合体の合計重量を基準とする第1ブロック共重合体の重量比が10重量%~90重量%の範囲内である、請求項2に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項4】
高分子組成物内のすべてのブロック共重合体のモル数の合計を基準とする第1ブロック共重合体のモル比率が10モル%~90モル%の範囲内である、請求項2に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項5】
高分子組成物内のブロック共重合体のうち第2ブロック共重合体が最も大きい数平均分子量(M2)を有し、前記数平均分子量(M2)は、10~100Kg/molの範囲内にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項6】
高分子組成物内のすべてのブロック共重合体の重量の合計を基準とする第2ブロック共重合体の重量比が10重量%~90重量%の範囲内である、請求項5に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項7】
高分子組成物内のすべてのブロック共重合体のモル数の合計を基準とする第2ブロック共重合体のモル比率が10モル%~90モル%の範囲内である、請求項5に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項8】
第1ブロック共重合体の数平均分子量(M1)と第2ブロック共重合体の数平均分子量(M2)の比率(M2/M1)が1.2~10の範囲内である、請求項1に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項9】
第1ブロック共重合体の数平均分子量(M1)と第2ブロック共重合体の数平均分子量(M2)の差(M2-M1)が100Kg/mol以下である、請求項1に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項10】
高分子セグメントAは、下記条件1~3のうちいずれか一つの条件を満たす、請求項1から9のいずれか一項に記載の高分子膜の製造方法:
条件1:DSC分析の-80℃~200℃の範囲内で融解転移ピークまたは等方転移ピークを示す:
条件2:XRD分析の0.5nm
-1~10nm
-1の散乱ベクトル(q)範囲内で半値全幅が0.2~0.9nm
-1の範囲内であるピークを示す:
条件3:側鎖を含み、前記側鎖の鎖形成原子の数(n)が、XRD分析での散乱ベクトル(q)と下記数式1を満たす:
[数式1]
3nm
-1~5nm
-1=nq/(2×π)
数式1でnは、前記鎖形成原子の数であり、qは、前記ブロック共重合体に対するX線回折分析でピークが観察される最も小さい散乱ベクトル(q)または最も大きいピーク面積のピークが観察される散乱ベクトル(q)である。
【請求項11】
高分子セグメントAおよびBの表面エネルギーの差の絶対値が2.5~7mN/mの範囲内である、請求項10に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項12】
高分子組成物内のすべての高分子セグメントAの体積分率の合計が0.5~0.7の範囲内であり、高分子組成物内のすべての高分子セグメントAとすべての高分子セグメントBの体積分率の合計が1である、請求項1から11のいずれか一項に記載の高分子膜の製造方法。
【請求項13】
基板と、前記基板上に形成されている高分子膜とを含む積層体であり、前記高分子膜は、高分子セグメントAと高分子セグメントBを有する第1ブロック共重合体と、前記第1ブロック共重合体とは異なる数平均分子量を有し、高分子セグメントAと高分子セグメントBを有する第2ブロック共重合体とを含む高分子組成物を使用して形成された高分子膜であり、前記高分子膜内に前記ブロック共重合体のシリンダー構造が形成されている高分子膜から前記高分子セグメントAおよびBのうちいずれか一つの高分子セグメントを選択的に除去する段階を含み、高分子セグメントAは、鎖形成原子が8個以上の側鎖を含み、高分子セグメントBは、3個以上のハロゲン原子を含み、
前記高分子セグメントAは、下記化学式1で表示される単位を含み、
[化学式1]
【化3】
化学式1でRは、水素または炭素数1~4のアルキル基であり、Xは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)
2
-、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X
1
-または-X
1
-C(=O)-であり、前記でX
1
は、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)
2
-、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Yは、8個以上の鎖形成原子を有する前記側鎖が連結された環構造を含む1価置換基であり、
高分子セグメントBは、下記化学式3で表示される単位を含み、
[化学式3]
【化4】
化学式3でX
2
は、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)
2
-、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X
1
-または-X
1
-C(=O)-であり、前記でX
1
は、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)
2
-、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Wは、3個以上のハロゲン原子を含むパターン化基板の製造方法。
【請求項14】
高分子膜は、基板に直接当接して形成されている、請求項13に記載のパターン化基板の製造方法。
【請求項15】
高分子セグメントが除去された高分子膜をマスクとして基板をエッチングする段階をさらに含む、請求項13または14に記載のパターン化基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年11月30日付けで出願された韓国特許出願第10-2016-0162139号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる
【0002】
本出願は、高分子組成物およびその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
ブロック共重合体は、互いに異なる化学的構造を有する高分子ブロックが共有結合を通じて連結されている分子構造を有している。ブロック共重合体は、相分離によってスフィア(sphere)、シリンダー(cylinder)またはラメラ(lamella)等のような周期的に配列された構造を形成することができる。ブロック共重合体の自己組織化現象によって形成された構造のドメインの形態およびサイズは、例えば、各ブロックを形成する単量体の種類またはブロック間の相対的比率などによって広範囲に調節することができる。
【0004】
このような特性によって、ブロック共重合体は、ナノ線製作、量子ドットまたは金属ドット等のような多様な次世代ナノ素子の製作や所定の基板上に高密度のパターンを形成できるリソグラフィ法などへの適用が検討されている。
【0005】
ブロック共重合体の自己組織化された構造の配向を多様な基板の上に水平あるいは垂直で調節する技術は、ブロック共重合体の実際的応用において非常に大きい比重を占める。通常、ブロック共重合体の膜においてナノ構造体の配向は、ブロック共重合体のどんなブロックが表面あるいは空気中に露出するかによって決定される。一般的に多数の基板が極性であり、空気は非極性であるため、ブロック共重合体のブロックのうちさらに大きい極性を有するブロックが基板にウェッティング(wetting)し、さらに小さい極性を有するブロックが空気との界面でウェッティングするようになる。したがって、ブロック共重合体の互いに異なる特性を有するブロックが同時に基板側にウェッティングするようにするための技術が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、高分子組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で用語「アルキル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基を意味する。前記アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状アルキル基であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0008】
本明細書で用語「アルコキシ基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルコキシ基を意味する。前記アルコキシ基は、直鎖状、分岐状または環状アルコキシ基であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0009】
本明細書で用語「アルケニル基またはアルキニル基」は、特に別途規定しない限り、炭素数2~20、炭素数2~16、炭素数2~12、炭素数2~8または炭素数2~4のアルケニル基またはアルキニル基を意味する。前記アルケニル基またはアルキニル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0010】
本明細書で用語「アルキレン基」は、特に別途規定しない限り、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキレン基を意味する。前記アルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状アルキレン基であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0011】
本明細書で用語「アルケニレン基またはアルキニレン基」は、特に別途規定しない限り、炭素数2~20、炭素数2~16、炭素数2~12、炭素数2~8または炭素数2~4のアルケニレン基またはアルキニレン基を意味する。前記アルケニレン基またはアルキニレン基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよく、任意に一つ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0012】
本明細書で用語「アリール基またはアリレン基」は、特に別途規定しない限り、一つのベンゼン環構造、2つ以上のベンゼン環が一つまたは2つの炭素原子を共有しつつ連結されているか、または任意のリンカーにより連結されている構造を含む化合物またはその誘導体に由来する1価または2価残基を意味する。前記アリール基またはアリレン基は、特に別途規定しない限り、例えば、炭素数6~30、炭素数6~25、炭素数6~21、炭素数6~18または炭素数6~13のアリール基であってもよい。
【0013】
本出願で用語「芳香族構造」は、前記アリール基またはアリレン基を意味する。
【0014】
本明細書で用語「脂環族環構造」は、特に別途規定しない限り、芳香環構造でなく、環状炭化水素構造を意味する。前記脂環族環構造は、特に別途規定しない限り、例えば、炭素数3~30、炭素数3~25、炭素数3~21、炭素数3~18または炭素数3~13の脂環族環構造であってもよい。
【0015】
本出願で用語「単一結合」は、当該部位に別途の原子が存在しない場合を意味する。例えば、A-B-Cで表示された構造においてBが単一結合である場合、Bで表示される部位に別途の原子が存在せず、AとCが直接連結されてA-Cで表示される構造を形成することを意味する。
【0016】
本出願でアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アルコキシ基、アリール基、アリレン基、鎖または芳香族構造などに任意に置換されていてもよい置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、チオール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アルコキシ基またはアリール基などが例示できるが、これに限定されるものではない。
【0017】
本出願では、2種以上のブロック共重合体のブレンドを含む高分子組成物に関する。具体的に本出願の高分子組成物は、数平均分子量が互いに異なる少なくとも2種のブロック共重合体のブレンドを含む。
【0018】
本明細書では、便宜上、前記数平均分子量が互いに異なる2種のブロック共重合体のうちいずれか一方のブロック共重合体は、第1ブロック共重合体と呼び、他方のブロック共重合体は、第2ブロック共重合体と呼ぶことができる。前記呼称は、単に両ブロック共重合体を互いに区分するためのものであり、いずれか一方のブロック共重合体が他方のブロック共重合体を優先するわけではない。
【0019】
高分子組成物は、ブロック共重合体として、前記第1および第2ブロック共重合体のみを含むか、あるいはそれ以上のブロック共重合体を含んでいてもよい。
【0020】
用語「数平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を使用して測定した標準ポリスチレンに対する換算数値であり、本明細書で用語「分子量」は、特に別途規定しない限り、数平均分子量を意味する。
【0021】
高分子組成物が上記のように2種のブロック共重合体を含むことにより、優れた自己組織化特性を示すことができる。特に前記高分子組成物は、表面に中性処理が施されていない基板上においていわゆる垂直配向自己組織化特性を示すことができ、具体的には、垂直配向シリンダー構造の形成が可能になり得る。
【0022】
本明細書で用語「中性処理」は、当業界でいわゆる中性層(neutral brush layer)または化学的予備パターニング等と呼ばれる処理を含む概念であり、当業界で垂直配向を達成するために行う公知の処理を含む意味である。
【0023】
ブロック共重合体は、それぞれ第1高分子セグメントと、前記第1高分子セグメントとは異なる第2高分子セグメントとを含んでいてもよい。各ブロック共重合体は、前記2種のセグメントを含むジブロック共重合体であるか、2種以上の高分子セグメントを含むマルチブロック共重合体であってもよい。
【0024】
ブロック共重合体に含まれる前記第1および第2高分子セグメントは、互いに異なる高分子セグメントである。
【0025】
本出願で任意の2種の高分子セグメントが同一であるというのは、任意の2種の高分子セグメントが主成分として含む単量体単位の種類が互いに同じ場合、または任意の2種の高分子セグメントが含む単量体単位の種類が50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上または90%以上共通し、各高分子セグメントの前記共通単量体単位の重量比の偏差が30%以内、25%以内、20%以内、20%以内、15%以内、10%以内または5%以内である場合のうちいずれか一つの場合である。前記で高分子セグメントが主成分として含む単量体単位というのは、当該高分子セグメント内に重量を基準として60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上または90%以上含まれており、100%以下で含まれている単量体単位である。両高分子セグメントが前記二つの場合を全部満たさない場合、これらは、互いに異なる高分子セグメントである。前記で共通する単量体単位の比率は、両高分子セグメントモードに対して満たすことが好適である。例えば、任意の高分子セグメント1がA、B、C、DおよびFの単量体単位を有し、他の高分子セグメント2がD、F、GおよびHの単量体単位を有する場合は、高分子セグメント1と2で共通する単量体単位は、DおよびFであるが、高分子セグメント1の立場では、全体5種の単量体のうち2種が共通するので、共通比率は、40%(=100×2/5)であるが、高分子セグメント2の立場では、前記比率は、50%(=100×2/5)である。したがって、この場合は、共通比率が高分子セグメント2のみにおいて50%以上なので、両高分子セグメントは、同一でないものと認められることができる。一方、前記で共通単量体の重量比の偏差は、大きい重量比から小さい重量比を差し引いた数値を小さい重量比で割った数値の百分率である。例えば、前記場合においてセグメント1のD単量体単位の重量比がセグメント1の全体単量体単位の重量比の合計100%基準として約40%であり、セグメント2のD単量体単位の重量比がセグメント2の全体単量体単位の重量比の合計100%基準として約30%であれば、前記重量比の偏差は、約33%(=100×(40-30)/30)程度になり得る。2つのセグメント内に共通する単量体単位が2種以上であれば、同じセグメントといえるためには、前記重量比の偏差30%以内がすべての共通する単量体に対して満たされるか、あるいは主成分である単量体単位に対して満たされると、共通する単量体と見なすことができる。前記のような基準によって同じものと認められる各高分子セグメントは、互いに異なる形態の重合体であってもよいが(例えば、いずれか一方のセグメントは、ブロック共重合体形態であり、他方のセグメントは、ランダム共重合体の形態である)、好適には、同じ形態の重合体であってもよい。
【0026】
本出願の高分子組成物に含まれる分子量が互いに異なる2種以上のブロック共重合体は、互いに同じ高分子セグメントを含んでいてもよい。例えば、前記第1ブロック共重合体が高分子セグメントAと、前記とは異なる高分子セグメントBとを含む場合、第2ブロック共重合体も、前記高分子セグメントAおよびBを含んでいてもよい。高分子組成物は、必要に応じて、やはり高分子セグメントAおよびBを有する第3ブロック共重合体および/または他のブロック共重合体をさらに含んでいてもよい。
【0027】
本出願の高分子組成物において前記第1および第2ブロック共重合体は、互いに異なる数平均分子量を有し、もし前記第3ブロック共重合体が追加される場合、第1~第3ブロック共重合体の分子量は、全部互いに異なっていてもよい。
【0028】
例えば、高分子組成物中に含まれるすべてのブロック共重合体のうち第1ブロック共重合体が、分子量が最も低いブロック共重合体であるというとき、前記第1ブロック共重合体の分子量は、約5~60Kg/molの範囲内であってもよい。前記分子量は、他の例において、約6Kg/mol以上、6.5Kg/mol以上、7Kg/mol以上、7.5Kg/mol以上、8Kg/mol以上、10Kg/mol以上、15Kg/mol以上または約18Kg/mol以上であってもよく、他の例において、約55Kg/mol以下、50Kg/mol以下、45Kg/mol以下、40Kg/mol以下または35Kg/mol以下であってもよい。
【0029】
前記のような場合、第2ブロック共重合体は、第1ブロック共重合体に比べて高い分子量を有するようになる。この場合、第1ブロック共重合体の分子量(M1)と第2ブロック共重合体の分子量(M2)の比率(M2/M1)は、1.2~10の範囲内であってもよい。前記比率(M2/M1)は、他の例において、1.3以上、1.35以上、1.4以上、1.45以上、1.5以上、1.55以上、1.6以上、1.65以上、1.7以上または1.75以上であってもよい。前記比率(M2/M1)は、また、他の例において、9.5以下、9以下、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下、5.5以下、5以下、4.5以下、4以下、3.5以下、3以下または2.5以下であってもよい。このような比率下で高分子組成物の自己組織化特性と垂直配向特性が改善され得る。
【0030】
また、前記のような場合、第1ブロック共重合体の分子量(M1)と第2ブロック共重合体の分子量(M2)の差(M2-M1)は、約5Kg/mol以上であるか、100Kg/mol以下であってもよい。前記差は、他の例において、約7Kg/mol以上、9Kg/mol以上、11Kg/mol以上、13Kg/mol以上、15Kg/mol以上、17Kg/mol以上、19Kg/mol以上、21Kg/mol以上、23Kg/mol以上、25Kg/mol以上、30Kg/mol以上、35Kg/mol以上、40Kg/mol以上、45Kg/mol以上または50Kg/mol以上であってもよい。また、前記差は、他の例において、約95Kg/mol以下、90Kg/mol以下、85Kg/mol以下、80Kg/mol以下、75Kg/mol以下、70Kg/mol以下、65Kg/mol以下、60Kg/mol以下、55Kg/mol以下、50Kg/mol以下、45Kg/mol以下、40Kg/mol以下、35Kg/mol以下、30Kg/mol以下、25Kg/mol以下、20Kg/mol以下または15Kg/mol以下であってもよい。このような比率下で高分子組成物の自己組織化特性と垂直配向特性が改善され得る。
【0031】
高分子組成物がさらに第3ブロック共重合体を含む場合、前記第3ブロック共重合体は、前記第1および第2ブロック共重合体の中間水準の分子量を有することができる。この場合、第3ブロック共重合体の分子量(M3)と第2ブロック共重合体の分子量(M2)の比率(M2/M3)または第3ブロック共重合体の分子量(M3)と第1ブロック共重合体の分子量(M1)の比率(M3/M1)、第3ブロック共重合体の分子量(M3)と第2ブロック共重合体の分子量(M2)の差(M2-M3)または第3ブロック共重合体の分子量(M3)と第1ブロック共重合体の分子量(M1)の差(M3-M1)等は、前記第1および第2ブロック共重合体の分子量の比率(M2/M1)と類似した範囲内で決定され得る。
【0032】
高分子組成物内で分子量が最も低い第1ブロック共重合体の比率は、組成物内のすべてのブロック共重合体の合計重量100重量%を基準として約10~90重量%の範囲内であってもよい。前記比率は、他の例において、約15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上または45重量%以上であってもよい。また、前記比率は、他の例において、約85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下または55重量%以下であってもよい。
【0033】
前記第1ブロック共重合体が高分子組成物内に含まれるブロック共重合体のうち分子量が最も低い共重合体である場合、組成物内のすべてのブロック共重合体の合計モル数100モル%を基準として前記第1ブロック共重合体のモル比は、約10~90モル%の範囲内であってもよい。前記比率は、他の例において、約15モル%以上、20モル%以上、25モル%以上、30モル%以上、35モル%以上、40モル%以上または45モル%以上であってもよい。また、前記比率は、他の例において、約85モル%以下、80モル%以下、75モル%以下、70モル%以下、65モル%以下、60モル%以下または55モル%以下であってもよい。
【0034】
高分子組成物中に含まれるすべてのブロック共重合体のうち第2ブロック共重合体が分子量が最も高いブロック共重合体であるというとき、前記第2ブロック共重合体の分子量は、約10~100Kg/molの範囲内であってもよい。前記分子量は、他の例において、約15Kg/mol以上、20Kg/mol以上、25Kg/mol以上、30Kg/mol以上または35Kg/mol以上であってもよく、他の例において、約95Kg/mol以下、90Kg/mol以下、85Kg/mol以下、80Kg/mol以下または75Kg/mol以下であってもよい。
【0035】
高分子組成物内で分子量が最も低い第2ブロック共重合体の比率は、組成物内のすべてのブロック共重合体の合計重量100重量%を基準として約10~90重量%の範囲内であってもよい。前記比率は、他の例において、約15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上または45重量%以上であってもよい。また、前記比率は、他の例において、約85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下または55重量%以下であってもよい。
【0036】
前記第2ブロック共重合体が高分子組成物内に含まれるブロック共重合体のうち分子量が最も高い共重合体である場合、組成物内のすべてのブロック共重合体の合計モル数100モル%を基準として前記第2ブロック共重合体のモル比は、約10~90モル%の範囲内であってもよい。前記比率は、他の例において、約15モル%以上または20モル%以上であってもよい。また、前記比率は、他の例において、約85モル%以下、80モル%以下、75モル%以下、70モル%以下、65モル%以下、60モル%以下、55モル%以下、50モル%以下、45モル%以下、40モル%以下または35モル%以下であってもよい。
【0037】
高分子組成物がさらに含む第2ブロック共重合体または第2および第3ブロック共重合体などの比率は、特に制限されないが、例えば、後述する体積分率を満たすことができるように含まれてもよい。
【0038】
前記のような範囲下で高分子組成物の自己組織化特性と垂直配向特性が改善され得る。
【0039】
高分子組成物は、前記第1および第2ブロック共重合体などのブロック共重合体を主成分として含んでいてもよい。すなわち、高分子組成物の固形分を基準としてブロック共重合体の合計重量は、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上または95重量%以上であってもよい。前記合計重量は、一例において、100重量%以下であってもよい。
【0040】
前記記述したように、第1および第2ブロック共重合体または前記にさらに含まれてもよい第3ブロック共重合体は、それぞれ同一に高分子セグメントAと高分子セグメントBを含んでいてもよい。また、高分子組成物は、前記高分子セグメントAおよびBのうちいずれか一方または両方を含むブロック共重合体をさらに含んでいてもよい。前記各ブロック共重合体は、前記セグメントAおよびBのみを含むジブロック共重合体であってもよい。ブロック共重合体は、また、前記高分子セグメントAおよびBをそれぞれ1個含み、さらに、前記高分子セグメントAおよびBのうちいずれか一方または両方をさらに含むか、あるいは高分子セグメントAおよびB以外に他の高分子セグメントをさらに含むトリブロック以上のブロック共重合体であってもよい。
【0041】
ブロック共重合体は、共有結合で連結された2つまたはそれ以上の高分子セグメントを含むので、相分離が起こり、いわゆる自己組織化構造を形成するようになる。本発明者らは、前記各ブロック共重合体が下記記述する条件のうちいずれか一つまたは2つ以上を満たすことにより、前記高分子組成物に一層効果的に適用され得るという点を確認した。したがって、本出願の前記第1~第3ブロック共重合体のそれぞれは、下記記述した条件のうち少なくとも一つを満たすものであってもよい。後述する条件は、並列的なものであり、いずれか一つの条件が他の条件に優先しない。ブロック共重合体は、後述する条件のうち選択されたいずれか一つの条件を満たしたり、2つ以上の条件を満たすことができる。後述する条件のうちいずれか一つの条件の充足を通じてブロック共重合体が前述した積層体内で垂直配向性を示すことができる。本出願で用語「垂直配向」は、ブロック共重合体の配向性を示すものであり、ブロック共重合体により形成される相分離構造または自己組織化構造の配向が基板方向と垂直な配向を意味し、例えば、ブロック共重合体の前記高分子セグメントAにより形成されるドメインと前記高分子セグメントBにより形成されるドメインとの界面が基板の表面に垂直な場合を意味する。本出願で用語「垂直」は、誤差を勘案した表現であり、例えば、±10度、±8度、±6度、±4度または±2度以内の誤差を含む意味である。
【0042】
本出願の例示的な前記ブロック共重合体は、高分子セグメントAおよびBを含み、前記ブロック共重合体または前記高分子セグメントAは、DSC分析で-80℃~200℃の範囲内で融解転移ピークまたは等方転移ピークを示すことができる(条件1)。
【0043】
本出願の例示的なブロック共重合体は、高分子セグメントAおよびBを含み、前記ブロック共重合体または前記高分子セグメントAは、XRD分析時に0.5nm-1~10nm-1の散乱ベクトル(q)範囲内で0.2~0.9nm-1の範囲内の半値全幅を有するピークを示すことができる(条件2)。
【0044】
本出願の例示的なブロック共重合体は、高分子セグメントAおよびBを含み、前記セグメントAは、側鎖を含み、前記側鎖の鎖形成原子の数(n)と前記高分子セグメントAに対するXRD分析により求められる散乱ベクトル(q)は、下記数式1を満たすことができる(条件3)。
【0045】
[数式1]
3nm-1~5nm-1=nq/(2×π)
【0046】
数式1でnは、前記側鎖の鎖形成原子の数であり、qは、前記側鎖を含む高分子セグメントに対するX線回折分析でピークが観察される最も小さい散乱ベクトル(q)であるか、あるいは最も大きいピーク面積のピークが観察される散乱ベクトル(q)である。
【0047】
本出願の例示的なブロック共重合体は、高分子セグメントAおよびBを含み、前記高分子セグメントAの表面エネルギーと前記高分子セグメントBの表面エネルギーとの差の絶対値が10mN/m以下であってもよい(条件4)。
【0048】
本出願の例示的なブロック共重合体は、高分子セグメントAおよびBを含み、前記高分子セグメントAと高分子セグメントBの密度差の絶対値は、0.25g/cm3以上であってもよい(条件5)。
【0049】
前記各ブロック共重合体において高分子セグメントAは、後述する側鎖を含む高分子セグメントであってもよい。
【0050】
以下、前記各条件について詳細に説明する。
【0051】
本明細書で密度などのように温度によって変わることができる物性は、特に別途規定しない限り、常温で測定した数値である。用語「常温」は、加温および減温されない自然そのままの温度であり、約10℃~30℃、約25℃または約23℃の温度を意味する。
【0052】
A.条件1
本出願のブロック共重合体または前記ブロック共重合体のいずれか一つの高分子セグメントは、DSC(Differential scanning calorimetry)分析で-80~200の範囲内で融解転移(melting transition)ピークまたは等方転移(isotropic transition)ピークを示すことができる。ブロック共重合体または前記ブロック共重合体のいずれか一つの高分子セグメントは、融解転移ピークまたは等方転移ピークのうちいずれか一つのピークのみを示すことができ、または、2つのピークの両方を示すことができる。このようなブロック共重合体は、自己組織化に適合した結晶(crystal)相および/または液晶(liquid crystal)相を全体的に示すか、あるいはそのような結晶相および/または液晶相を示す高分子セグメントを含む共重合体であってもよい。前記条件1を満たす高分子セグメントは、高分子セグメントAであってもよい。
【0053】
特に別途言及しない限り、本明細書で温度の単位は、℃である。
【0054】
前記で記述したDSC挙動を示すブロック共重合体または該ブロック共重合体のいずれか一つの高分子セグメントは、下記の条件をさらに満たすことができる。
【0055】
例えば、前記等方転移ピークと融解転移ピークが同時に現れる場合、前記等方転移ピークが現れる温度(Ti)と前記融解転移ピークが現れる温度(Tm)との差(Ti-Tm)は、5℃~70℃の範囲内にあってもよい。前記差(Ti-Tm)は、他の例において、10℃以上、15℃以上、20℃以上、25℃以上、30℃以上、35℃以上、40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上または60℃以上であってもよい。等方転移ピークの温度(Ti)と融解転移ピークの温度(Tm)との差(Ti-Tm)が前記範囲内であるブロック共重合体またはそのような高分子セグメントを含むブロック共重合体は、相分離または自己組織化特性が良好に維持され得る。
【0056】
他の例において、前記等方転移ピークと融解転移ピークが同時に現れる場合、前記等方転移ピークの面積(I)と前記融解転移ピークの面積(M)の比率(M/I)は、0.1~500の範囲内にあってもよい。DSC分析で等方転移ピークの面積(I)と融解転移ピークの面積(M)の比率(M/I)が前記範囲内であるブロック共重合体またはそういう高分子セグメントを含むブロック共重合体は、相分離または自己組織化特性が良好に維持され得る。前記比率(M/I)は、他の例において、0.5以上、1以上、1.5以上、2以上、2.5以上または3以上であってもよい。また、他の例において、前記比率(M/I)は、450以下、400以下、350以下、300以下、250以下、200以下、150以下、100以下、90以下または85以下であってもよい。
【0057】
DSC分析を行う方式は、公知となっており、本出願では、このような公知の方式によって前記分析を行うことができる。
【0058】
融解転移ピークが現れる温度(Tm)の範囲は、-10℃~55℃の範囲であってもよい。他の例において、前記温度(Tm)は、50℃以下、45℃以下、40℃以下、35℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、15℃以下、10℃以下、5℃以下または0℃以下であってもよい。
【0059】
ブロック共重合体は、後述するように側鎖を有する高分子セグメントを含んでいてもよい。この場合、前記ブロック共重合体は、下記数式2を満たすことができる。
【0060】
[数式2]
10℃≦Tm-12.25×n+149.5≦10℃
【0061】
数式2でTmは、前記ブロック共重合体または前記側鎖を有する高分子セグメントの融解転移ピークが現れる温度であり、nは、前記側鎖の鎖形成原子の数である。
【0062】
前記数式を満たすブロック共重合体は、優れた相分離または自己組織化特性を有することができる。
【0063】
数式2でTm-12.25×n+149.5は、他の例において、-8℃~8℃、-6℃~6℃または約-5℃~5℃程度であってもよい。
【0064】
B.条件2
本出願のブロック共重合体は、XRD分析(X線回折分析、X-ray Diffraction analysis)時に所定範囲の散乱ベクトル(q)内で少なくとも一つのピークを示す高分子セグメントを含んでいてもよい。条件2を満たす高分子セグメントは、前記高分子セグメントAであってもよい。
【0065】
例えば、前記ブロック共重合体のいずれか一つの高分子セグメントは、X線回折分析で0.5nm-1~10nm-1の散乱ベクトル(q)範囲内で少なくとも一つのピークを示すことができる。前記ピークが現れる散乱ベクトル(q)は、他の例において、0.7nm-1以上、0.9nm-1以-1上、1.1nm-1以上、1.3nm-1以上または1.5nm-1以上であってもよい。前記ピークが現れる散乱ベクトル(q)は、他の例において、9nm-1以下、8nm-1以下、7nm-1以下、6nm-1以下、5nm-1以下、4nm-1以下、3.5nm-1以下または3nm-1以下であってもよい。前記散乱ベクトル(q)の範囲内で確認されるピークの半値全幅(Full width at half maximum,FWHM)は、0.2~0.9nm-1の範囲内であってもよい。前記半値全幅は、他の例において、0.25nm-1以上、0.3nm-1以上または0.4nm-1以上であってもよい。前記半値全幅は、他の例において、0.85nm-1以下、0.8nm-1以下または0.75nm-1以下であってもよい。
【0066】
条件2で用語「半値全幅」は、最大ピークの強度の1/2の強度を示す位置でのピークの幅(散乱ベクトル(q)の差)を意味する。
【0067】
XRD分析での前記散乱ベクトル(q)および半値全幅は、後述するXRD分析により得られた結果を最小二乗法を適用した数値分析学的な方式で求めた数値である。前記方式では、XRD回折パターンで最も最小の強度(intensity)を示す部分をベースライン(baseline)として取って前記での強度を0になるようにした状態で前記XRDパターンピークのプロファイルをガウシアンフィッティング(Gaussian fitting)した後、フィッティングされた結果から前記散乱ベクトルと半値全幅を求めることができる。前記ガウシアンフィッティング時にR二乗(R square)は、少なくとも0.9以上、0.92以上、0.94以上または0.96以上である。XRD分析から前記のような情報を得ることができる方式は、公知となっており、例えば、オリジン(origin)等の数値解析プログラムを適用することができる。
【0068】
前記散乱ベクトル(q)の範囲内で前記半値全幅のピークを示す高分子セグメントは、自己組織化に適合した結晶性部位を含んでいてもよい。前記記述した散乱ベクトル(q)の範囲内で確認される高分子セグメントを含むブロック共重合体は、優れた自己組織化特性を示すことができる。
【0069】
XRD分析は、試料にX線を透過させた後、散乱ベクトルに応じた散乱強度を測定して行うことができる。XRD分析は、ブロック共重合体のいずれか一つの高分子セグメント、例えば、前記高分子セグメントAを構成する単量体のみを重合させて製造される重合体を使用して行うことができる。このような重合体に対して特別な前処理なしにXRD分析を行うことができ、例えば、前記重合体を好適な条件で乾燥した後、X線に透過させて行うことができる。X線としては、垂直サイズが0.023mmであり、水平サイズが0.3mmであるX線を適用することができる。測定機器(例えば、2D marCCD)を使用して試料から散乱して出る2D回折パターンをイメージとして得、得られた回折パターンを前述した方式でフィッティング(fitting)して散乱ベクトルおよび半値全幅などを求めることができる。
【0070】
C.条件3
本出願のブロック共重合体は、高分子セグメントAとして、後述する側鎖を有する高分子セグメントを含むことができ、前記側鎖の鎖形成原子の数(n)が、前記条件2と同じ方式で行われるX線回折分析により求められる散乱ベクトル(q)と下記数式1を満たすことができる。
【0071】
[数式1]
3nm-1~5nm-1=nq/(2×π)
【0072】
数式1でnは、前記鎖形成原子の数であり、qは、前記側鎖を含む高分子セグメントに対するX線回折分析でピークが観察される最も小さい散乱ベクトル(q)であるか、あるいは最も大きいピーク面積のピークが観察される散乱ベクトル(q)である。また、数式1でπは、円周率を意味する。
【0073】
数式1に導入される散乱ベクトル等は、前述したX線回折分析方式で言及したような方式により求めた数値である。
【0074】
数式1で導入される散乱ベクトル(q)は、例えば、0.5nm-1~10nm-1の範囲内の散乱ベクトル(q)であってもよい。前記数式1に導入される散乱ベクトル(q)は、他の例において、0.7nm-1以上、0.9nm-1以上、1.1nm-1以上、1.3nm-1以上または1.5nm-1以上であってもよい。前記数式1に導入される散乱ベクトル(q)は、他の例において、9nm-1以下、8nm-1以下、7nm-1以下、6nm-1以下、5nm-1以下、4nm-1以下、3.5nm-1以下または3nm-1以下であってもよい。
【0075】
数式1は、ブロック共重合体の前記側鎖を含む高分子セグメントのみからなる重合体が膜を形成した場合、前記側鎖が含まれている重合体主鎖間の間隔(D)と前記側鎖の鎖形成原子の数の関係を示し、側鎖を有する重合体において前記側鎖の鎖形成原子の数が前記数式1を満たす場合、前記側鎖が示す結晶性が増大し、これに伴って、ブロック共重合体の相分離特性または垂直配向性が大きく向上することができる。前記数式1によるnq/(2×π)は、他の例において、4.5nm-1以下であってもよい。前記で側鎖が含まれている重合体主鎖間の間隔(D、単位:nm)は、数式D=2×π/qで計算され得、前記でDは、前記間隔(D、単位:nm)であり、πおよびqは、数式1で定義された通りである。
【0076】
D.条件4
本出願のブロック共重合体の高分子セグメントAの表面エネルギーと高分子セグメントBの表面エネルギーとの差の絶対値が10mN/m以下、9mN/m以下、8mN/m以下、7.5mN/m以下または7mN/m以下であってもよい。前記表面エネルギーの差の絶対値は、1.5mN/m、2mN/mまたは2.5mN/m以上であってもよい。このような範囲の表面エネルギーの差の絶対値を有する高分子セグメントAおよびBが共有結合により連結された構造は、効果的な微細相分離(microphase seperation)を誘導することができる。前記で高分子セグメントAは、例えば、後述する側鎖を有する高分子セグメントであってもよい。
【0077】
表面エネルギーは、水滴型分析器(Drop Shape Analyzer,KRUSS社のDSA100製品)を使用して測定することができる。具体的に表面エネルギーは、測定しようとする対象試料(ブロック共重合体または単独重合体)をフルオロベンゼンに約2重量%の固形分の濃度で希釈させたコーティング液を基板に約50nmの厚さと4cm2のコーティング面積(横:2cm、縦:2cm)で常温で約1時間程度乾燥させた後、160℃で約1時間熱的熟成(thermal annealing)させた膜に対して測定することができる。熱的熟成を経た前記膜に表面張力(surface tension)が公知となっている脱イオン化水を落とし、その接触角を求める過程を5回繰り返して、得られた5個の接触角の数値の平均値を求め、同一に、表面張力が公知となっているジヨードメタンを落とし、その接触角を求める過程を5回繰り返して、得られた5個の接触角の数値の平均値を求める。その後、求められた脱イオン化水とジヨードメタンに対する接触角の平均値を利用してOwens-Wendt-Rabel-Kaelble方法により溶媒の表面張力に関する数値(Strom値)を代入して表面エネルギーを求めることができる。ブロック共重合体の各高分子セグメントに対する表面エネルギーの数値は、前記高分子セグメントを形成する単量体だけで製造された単独重合体(homopolymer)に対して前記記述した方法で求めることができる。
【0078】
ブロック共重合体が前述した側鎖を含む場合、前記側鎖が含まれている高分子セグメントは、他の高分子セグメントに比べて高い表面エネルギーを有することができる。例えば、ブロック共重合体の高分子セグメントAが側鎖を含む場合、高分子セグメントAは、高分子セグメントBに比べて高い表面エネルギーを有することができる。この場合、高分子セグメントAの表面エネルギーは、約20mN/m~40mN/mの範囲内にあってもよい。前記高分子セグメントAの表面エネルギーは、22mN/m以上、24mN/m以上、26mN/m以上または28mN/m以上であってもよい。前記高分子セグメントAの表面エネルギーは、38mN/m以下、36mN/m以下、34mN/m以下または32mN/m以下であってもよい。このような高分子セグメントAが含まれ、高分子セグメントBと前記のような表面エネルギーの差を示すブロック共重合体は、優れた自己組織化特性を示すことができる。
【0079】
E.条件5
ブロック共重合体において高分子セグメントAと高分子セグメントBの密度差の絶対値は、0.25g/cm3以上、0.3g/cm3以上、0.35g/cm3以上、0.4g/cm3以上または0.45g/cm3以上であってもよい。前記密度差の絶対値は、0.9g/cm3以上、0.8g/cm3以下、0.7g/cm3以下、0.65g/cm3以下または0.6g/cm3以下であってもよい。このような範囲の密度差の絶対値を有する高分子セグメントAと高分子セグメントBが共有結合により連結された構造は、好適な非相溶性による相分離によって効果的な微細相分離(microphase seperation)を誘導することができる。
【0080】
ブロック共重合体の各高分子セグメントの密度は、公知の浮力法を利用して測定することができ、例えば、エタノールのように空気中での質量と密度を知っている溶媒内でのブロック共重合体の質量を分析して密度を測定することができる。
【0081】
前述した側鎖を含む場合、前記側鎖が含まれている高分子セグメントは、他の高分子セグメントに比べて低い密度を有することができる。例えば、ブロック共重合体の高分子セグメントAが側鎖を含むと、高分子セグメントAは、高分子セグメントBに比べて低い密度を有することができる。この場合、高分子セグメントAの密度は、約0.9g/cm3~1.5g/cm3程度の範囲内にあってもよい。前記高分子セグメントAの密度は、0.95g/cm3以上であってもよい。前記高分子セグメントAの密度は、1.4g/cm3以下、1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下、1.1g/cm3以下または1.05g/cm3以下であってもよい。このような高分子セグメントAが含まれ、高分子セグメントBと前記のような密度差を示すブロック共重合体は、優れた自己組織化特性を示すことができる。
【0082】
前述したように、ブロック共重合体は、前記条件のうちいずれか一つを満たすか、あるいはそのうちから選択された2個以上を満たすことができる。
【0083】
一例において、前記ブロック共重合体は、前記条件のうち条件1~3のうちいずれか一つまたは2つ以上を満たす高分子セグメントAと、前記条件4による表面エネルギーの差を示す高分子セグメントBとを含んでいてもよい。
【0084】
理論によって制限されるものではないか、条件1~3のうちいずれか一つを満たす高分子セグメントAは、結晶性または液晶性を示すことができ、これに伴って、自己組織化構造の形成時に規則性をもってパッキング(packing)され得る。このような状態で高分子セグメントAと高分子セグメントBが条件4による表面エネルギーの差を満たす場合、前記高分子セグメントAおよびBそれぞれにより形成されるドメインは、実質的に中性化され、これに伴って、前記言及した積層体の構造内で中性処理領域が存在しない場合にも、前記膜は、垂直配向され得る。
【0085】
前記言及した条件は、例えば、ブロック共重合体の構造の制御を通じて達成することができる。例えば、前記言及された条件のうち一つ以上を満足させるブロック共重合体の高分子セグメントAは、後述する側鎖を含んでいてもよい。前記高分子セグメントAは、環構造を含み、前記側鎖が前記環構造に置換されていてもよい。前記側鎖は、前記環構造に直接置換されているか、あるいは好適なリンカーを介して置換されていてもよい。前記環構造は、前述した芳香族構造または脂環族環構造であってもよい。このような環構造には、ハロゲン原子が存在しなくてもよい。このような高分子セグメントAとともにブロック共重合体に含まれる高分子セグメントBは、3個以上のハロゲン原子を含んでいてもよい。この際、高分子セグメントBは、環構造を含み、ハロゲン原子が前記環構造に置換されていてもよい。前記環構造は、前述した脂環族環構造または芳香族構造であってもよい。
【0086】
前記で芳香族構造または脂環族環構造は、高分子セグメント主鎖に含まれている構造であるか、あるいは高分子セグメント主鎖に側鎖形態で連結されている構造であってもよい。
【0087】
一例において、前記条件のうち一つ以上を満たすブロック共重合体は、側鎖を含む高分子セグメントAと、それとは異なる高分子セグメントBとを含んでいてもよい。前記で側鎖は、後述するように鎖形成原子が8個以上の側鎖であってもよい。このような高分子セグメントAは、前述した条件1~3のうちいずれか一つを満たすか、前記のうち2個以上の条件を満たすか、あるいは前記条件を全部満たす高分子セグメントであってもよい。
【0088】
前記で用語「側鎖」は、高分子の主鎖に連結された鎖を意味し、用語「鎖形成原子」は、前記側鎖を形成する原子であって、前記鎖の直鎖構造を形成する原子を意味する。前記側鎖は、直鎖状または分岐状であってもよいが、鎖形成原子の数は、最も長い直鎖を形成している原子の数だけで計算され、前記鎖形成原子に結合されている他の原子(例えば、鎖形成原子が炭素原子である場合、その炭素原子に結合している水素原子など)は、計算に含まれない。例えば、分岐状鎖である場合、前記鎖形成原子の数は、最も長い鎖部位を形成している鎖形成原子の数で計算され得る。例えば、側鎖がn-ペンチル基である場合、鎖形成原子は、全部炭素であって、その数は、5であり、側鎖が2-メチルペンチル基である場合にも、鎖形成原子は、全部炭素であって、その数は、5である。前記鎖形成原子としては、炭素、酸素、硫黄または窒素などが例示でき、好適な鎖形成原子は、炭素、酸素または窒素であるか、炭素または酸素であってもよい。前記鎖形成原子の数は、8以上、9以上、10以上、11以上または12以上であってもよい。前記鎖形成原子の数は、また、30以下、25以下、20以下または16以下であってもよい。
【0089】
前述した条件の調節のためにブロック共重合体の高分子セグメントAには、鎖形成原子が8個以上の鎖が側鎖に連結されていてもよい。本明細書で用語「鎖と側鎖」は、互いに同じ対象を指すことができる。
【0090】
側鎖は、前記言及したように、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上または12個以上の鎖形成原子を含む鎖であってもよい。前記鎖形成原子の数は、また、30個以下、25個以下、20個以下または16個以下であってもよい。鎖形成原子は、炭素、酸素、窒素または硫黄原子であってもよく、好適には、炭素または酸素であってもよい。
【0091】
側鎖としては、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基のような炭化水素鎖が例示できる。前記炭化水素鎖の炭素原子のうち少なくとも一つは、硫黄原子、酸素原子または窒素原子に代替されていてもよい。
【0092】
側鎖が環構造に連結される場合、前記鎖は、環構造に直接連結されているか、あるいはリンカーを介して連結されていてもよい。前記リンカーとしては、酸素原子、硫黄原子、-NR1-、-S(=O)2-、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X1-または-X1-C(=O)-が例示できる。前記でR1は、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であってもよく、X1は、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-NR2-、-S(=O)2-、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であってもよく、前記でR2は、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であってもよい。好適なリンカーとしては、酸素原子が例示できる。側鎖は、例えば、酸素原子または窒素原子を介して芳香族構造のような環構造に連結されていてもよい。
【0093】
前述した芳香族構造のような環構造が高分子セグメントの主鎖に側鎖形態に連結されている場合、前記芳香族構造も前記主鎖に直接連結されているか、リンカーを介して連結されていてもよい。この場合、リンカーとしては、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)2-、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X1-または-X1-C(=O)-が例示でき、前記でX1は、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)2-、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であってもよい。芳香族構造を主鎖に連結する好適なリンカーとしては、-C(=O)-O-または-O-C(=O)-が例示できるが、これに限定されるものではない。
【0094】
他の例において、ブロック共重合体の高分子セグメントBに含まれる芳香族構造のような環構造は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上のハロゲン原子を含んでいてもよい。ハロゲン原子の数は、例えば、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下または10個以下であってもよい。ハロゲン原子としては、フッ素または塩素などが例示でき、フッ素原子の使用が有利になり得る。このようにハロゲン原子を含む芳香族構造などの環構造を有する高分子セグメントは、他の高分子セグメントとの好適な相互作用を通じて効率的に相分離構造を具現することができる。
【0095】
前記で高分子セグメントAは、例えば、下記化学式1で表示される単位を含む高分子セグメントであってもよい。前記高分子セグメントは、下記化学式1の単位を主成分として含む高分子セグメントであってもよい。本明細書で任意の高分子セグメントが任意の単位を主成分として含むというのは、その高分子セグメントが前記単位を重量を基準として60%以上、70%以上、80%以上、90%以上または95%以上含む場合、や、あるいは前記単位を60モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上または95モル%以上含む場合を意味する。
【0096】
【0097】
化学式1でRは、水素または炭素数1~4のアルキル基であり、Xは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)2-、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X1-または-X1-C(=O)-であり、前記でX1は、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)2-、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Yは、8個以上の鎖形成原子を有する前記側鎖が連結された環構造を含む1価置換基である。
【0098】
前記側鎖がアルキル基である場合、前記アルキル基は、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上または12個以上の炭素原子を含んでいてもよく、このアルキル基の炭素原子の数は、30個以下、25個以下、20個以下または16個以下であってもよい。また、前記側鎖がアルケニル基またはアルキニル基は、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上または12個以上の炭素原子を含んでいてもよく、このアルケニル基またはアルキニル基の炭素原子の数は、30個以下、25個以下、20個以下または16個以下であってもよい。
【0099】
化学式1のXは、他の例において、-C(=O)O-または-OC(=O)-であってもよい。
【0100】
化学式1でYは、前述した側鎖を含む置換基であり、前記は、例えば、炭素数6~18または炭素数6~12の芳香族構造を含む置換基であってもよい。前記で鎖は、例えば、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上または12個以上の炭素原子を含む直鎖アルキル基であってもよい。このアルキル基は、30個以下、25個以下、20個以下または16個以下の炭素原子を含んでいてもよい。このような鎖は、前記芳香族構造に直接または前記言及したリンカーを介して連結されていてもよい。
【0101】
高分子セグメントAの前記化学式1の単位は、他の例において、下記化学式2の単位であってもよい。
【0102】
【0103】
化学式2でRは、水素または炭素数1~4のアルキル基であり、Xは、-C(=O)-O-であり、Pは、炭素数6~12のアリレン基であり、Qは、酸素原子であり、Zは、鎖形成原子が8個以上の前記側鎖である。
【0104】
化学式2でPは、他の例において、フェニレンであってもよく、Zは、他の例において、炭素数9~20、炭素数9~18、炭素数9~16、炭素数10~16、炭素数11~16または炭素数12~16の直鎖アルキル基であってもよい。前記でPがフェニレンである場合、Qは、前記フェニレンのパラ位置に連結されていてもよい。前記でアルキル基、アリレン基、フェニレン基および側鎖は、任意に一つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0105】
ブロック共重合体の前記高分子セグメントBは、例えば、下記化学式3で表示される単位を含む高分子セグメントであってもよい。前記高分子セグメントは、下記化学式3の単位を主成分として含んでいてもよい。
【0106】
【0107】
化学式3でX2は、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)2-、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X1-または-X1-C(=O)-であり、前記でX1は、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)2-、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Wは、少なくとも1個のハロゲン原子を含むアリール基である。
【0108】
化学式3のX2は、他の例において、単一結合またはアルキレン基であってもよい。
【0109】
化学式3でWのアリール基は、炭素数6~12のアリール基であるか、フェニル基であってもよく、このようなアリール基またはフェニル基は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上のハロゲン原子を含んでいてもよい。前記でハロゲン原子の数は、例えば、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下または10個以下であってもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子が例示できる。
【0110】
化学式3の単位は、他の例において、下記化学式4で表示され得る。
【0111】
【0112】
化学式4でX2は、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)2-、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-C(=O)-X1-または-X1-C(=O)-であり、前記でX1は、単一結合、酸素原子、硫黄原子、-S(=O)2-、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、R1~R5は、それぞれ独立して、水素、アルキル基、ハロアルキル基またはハロゲン原子で、R1~R5が含むハロゲン原子の数は、1個以上である。
【0113】
化学式4でR1~R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基または炭素数1~4のハロアルキル基またはハロゲンであってもよく、前記でハロゲンは、塩素またはフッ素であってもよい。
【0114】
化学式4でR1~R5の2個以上、3個以上、4個以上または5個は、ハロゲンを含んでいてもよい。前記ハロゲン数の上限は、特に制限されず、例えば、12個以下、8個以下または7個以下であってもよい。
【0115】
前述したように、ブロック共重合体は、前記単位のうちいずれか2つを含むジブロック共重合体であるか、前記2種の高分子セグメントのうちいずれか一方または両方を他の高分子セグメントとともに含むブロック共重合体であってもよい。
【0116】
前記のようなブロック共重合体を製造する方式は、特に制限されない。ブロック共重合体は、例えば、LRP(Living Radical Polymerization)方式で重合することができ、その例としては、有機希土類金属複合体を重合開始剤として使用するか、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用してアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの無機酸塩の存在下に合成するアニオン重合、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用して有機アルミニウム化合物の存在下に合成するアニオン重合方法、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を利用する原子移動ラジカル重合法(ATRP)、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を利用するものの、電子を発生させる有機または無機還元剤下で重合を行うARGET(Activators Regenerated by Electron Transfer)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、ICAR(Initiators for continuous activator regeneration)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、無機還元剤可逆的付加開裂型連鎖移動剤を利用する可逆的付加開裂型連鎖移動による重合法(RAFT)または有機テルル化合物を開始剤として利用する方法などがあり、このような方法のうち好適な方法が選択されて適用され得る。
【0117】
高分子組成物が上記のようにそれぞれ高分子セグメントAとBを含む第1および第2ブロック共重合体を含む場合、高分子組成物内のすべての高分子セグメントAの体積分率の合計は、0.5~0.7の範囲内であってもよく、前記高分子組成物内のすべての高分子セグメントAとすべての高分子セグメントBの体積分率の合計は、1であってもよい。前記ですべての高分子セグメントAとは、第1および第2ブロック共重合体に含まれている高分子セグメントAはもちろん、第3ブロック共重合体とともに高分子セグメントAを含む他のブロック共重合体が追加される場合、その追加されるブロック共重合体内のセグメントAも含むものであり、これは、高分子セグメントBの場合にも同一である。前記のような体積分率で各セグメントを含む2種のブロック共重合体を含む高分子組成物は、優れた自己組織化特性を示すことができ、特にシリンダー構造を効果的に形成することができる。ブロック共重合体の各高分子セグメントの体積分率は、各高分子セグメントの密度とGPC(Gel Permeation Chromatogrph)により測定される分子量に基づいて求めることができる。
【0118】
また、本出願は、前記高分子組成物を使用して高分子膜を製造する方法に関する。前記高分子膜は、多様な用途に使われるし、例えば、多様な 電子または電子素子、前記パターンの形成工程または磁気格納記録媒体、フラッシュメモリ等の記録媒体またはバイオセンサーなどに使用され得る。
【0119】
一例において、前記高分子膜において前記第1および/または第2ブロック共重合体は、自己組織化を通じてスフィア、シリンダー、ジャイロイドまたはラメラ等を含む周期的構造を具現していてもよい。このような構造は、垂直配向されていてもよい。
【0120】
一例において、前記高分子膜は、垂直配向されたシリンダー構造を形成していてもよい。したがって、前記製造方法は、前記言及した高分子組成物を使用して高分子膜を形成し、前記高分子膜内に前記ブロック共重合体のシリンダー構造を誘導する段階を含んでいてもよい。前記でシリンダー構造は、垂直配向された構造であってもよい。
【0121】
前記段階は、前記高分子組成物またはそれを含むコーティング液を塗布して層を形成し、これを熟成する過程を含んでいてもよい。前記で熟成工程は、熱的熟成(thermal annealing)工程であるか、溶媒熟成(solvent annealing)工程であってもよい。
【0122】
熱的熟成は、例えば、ブロック共重合体の相転移温度またはガラス転移温度を基準として行われてもよく、例えば、前記ガラス転移温度または相転移温度以上の温度で行われてもよい。このような熱的熟成が行われる時間は、特に制限されず、例えば、約1分~72時間の範囲内で行われ得るが、これは、必要に応じて変更され得る。熱的熟成過程で熱処理温度は、例えば、100℃~250℃程度であってもよいが、これは、使用されるブロック共重合体を考慮して変更され得る。
【0123】
また、前記溶媒熟成工程は、好適な常温の非極性溶媒および/または極性溶媒内で、約1分~72時間行われていもよい。
【0124】
また、本出願は、パターン化基板の製造方法に関する。前記方法は、基板と、前記基板上に形成されている前記高分子膜とを含む積層体であって、前記高分子膜が前述した高分子組成物を使用して形成されて自己組織化構造を形成している高分子膜であり、このような高分子膜において前記高分子セグメントAおよびBのうちいずれか一つを選択的に除去する段階を含んでいてもよい。
【0125】
前記方法は、前記基板にパターンを形成する方法であってもよい。例えば前記方法は、前記高分子膜を基板に形成し、前記膜内に存在するブロック共重合体のいずれか一つまたはそれ以上の高分子セグメントを選択的に除去した後、基板をエッチングすることを含んでいてもよい。このような方式で、例えば、ナノスケールの微細パターンの形成が可能である。また、高分子膜内のブロック共重合体の形態によって前記方式を用いてナノロッドまたはナノホール等のような多様な形態のパターンを形成することができる。必要に応じて、パターン形成のために前記ブロック共重合体と他の共重合体あるいは単独重合体などが混合されてもよい。
【0126】
前記で基板としては、例えば、表面にパターンの形成が必要な多様な種類の基板がすべて使用できる。このような種類の基板としては、例えば、シリコン基板、シリコンゲルマニウム基板、GaAs基板、酸化ケイ素基板等のような半導体基板が挙げられる。基板としては、例えば、finFETs(fin field effect transistor)またはダイオード、トランジスターまたはキャパシタ等のような他の電子デバイスの形成に適用される基板が使用できる。また、用途に応じてセラミックなどの他の材料も前記基板に使用でき、本出願で適用され得る基板の種類は、これに限定されるものではない。
【0127】
前記方法においていずれか一つの高分子セグメントを選択的に除去する方式は、特に制限されず、例えば、高分子膜に適正な電磁気波、例えば、紫外線などを照射して相対的にソフトな高分子セグメントを除去する方式が使用できる。この場合、紫外線照射条件は、ブロック共重合体の高分子セグメントの種類によって決定され、例えば、約254nm波長の紫外線を1分~60分間照射して行うことができる。
【0128】
紫外線照射に引き続いて高分子膜を酸などで処理して紫外線により分解されたセグメントをさらに除去する段階を行うこともできる。
【0129】
選択的に高分子セグメントが除去された高分子膜をマスクとして基板をエッチングする段階は、特に制限されず、例えば、CF4/Arイオンなどを用いた反応性イオンエッチング段階を用いて行うことができ、この過程に引き続いて、酸素プラズマ処理などにより高分子膜を基板から除去する段階をさらに行うことができる。
【発明の効果】
【0130】
本出願は、自己組織化特性に優れ、中性処理が施されていない表面に対しても垂直配向構造を形成することができ、前記垂直配向自己組織化構造が短時間に効果的に形成され得る高分子組成物およびその用途を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【発明を実施するための形態】
【0132】
以下、本出願による実施例および比較例を通じて本出願をより詳細に説明するが、本出願の範囲が下記提示された実施例により制限されるものではない。
【0133】
1.NMR測定
NMR分析は、三重共鳴5mmプローブを有するVarian Unity Inova(500 MHz)分光計を含むNMR分光計を使用して常温で行った。NMR測定用溶媒(CDCl3)に分析対象物質を約10mg/mL程度の濃度で希釈させて使用し、化学的移動は、ppmで表現した。
【0134】
<適用略語>
br=広い信号、s=単一線、d=二重線、dd=二重二重線、t=三重線、dt=二重三重線、q=四重線、p=五重線、m=多重線。
【0135】
2.GPC(Gel Permeation Chromatograph)
数平均分子量(Mn)および分子量分布は、GPC(Gel permeation chromatography)を使用して測定した。5mLのバイアル(vial)に実施例または比較例のブロック共重合体または巨大開始剤などの分析対象物質を入れ、約1mg/mL程度の濃度になるようにTHF(tetrahydro furan)に希釈する。その後、キャリブレーション用標準試料と分析しようとする試料をシリンジフィルタ(細孔サイズ:0.45μm)を通じて濾過させた後に測定した。分析プログラムは、Agilent technologies社のChemStationを使用し、試料の溶出時間(elution time)を検量線(calibration curve)と比較して重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をそれぞれ求め、その比率(Mw/Mn)で分子量分布(PDI)を計算した。GPCの測定条件は、下記の通りである。
【0136】
<GPC測定条件>
機器:Agilent technologies社の1200series
カラム:Polymer laboratories社のPLgel mixed B 2個使用
溶媒:THF
カラム温度:35℃
サンプル濃度:1mg/mL、200L注入
標準試料:ポリスチレン(Mp:3900000、723000、316500、52200、31400、7200、3940、485)
【0137】
3.XRD分析方法
XRD分析は、浦項加速器4Cビームラインで試料にX線を透過させて散乱ベクトル(q)による散乱強度を測定することにより測定した。試料としては、特別な前処理なしに合成されたブロック共重合体を精製した後、真空オーブンで約1日間維持することにより、乾燥させた粉末状態のブロック共重合体をXRD測定用セルに入れて使用した。XRDパターン分析時には、垂直サイズが0.023mmであり、水平サイズが0.3mmであるX線を利用し、検出器としては、2D marCCDを利用した。散乱して出る2D回折パターンをイメージとして得た。得られた回折パターンを最小二乗法を適用した数値分析学的な方式で分析して散乱ベクトルおよび半値全幅などの情報を得た。前記分析時には、オリジンプログラムを適用し、XRD回折パターンにおいて最も最小の強度を示す部分をベースラインとして取って前記での強度を0になるようにした状態で前記XRDパターンピークのプロファイルをガウシアンフィッティングし、フィッティングされた結果から前記散乱ベクトルと半値全幅を求めた。ガウシアンフィッティング時にR二乗は、少なくとも0.96以上になるようにした。
【0138】
4.表面エネルギーの測定
表面エネルギーは、水滴型分析器(Drop Shape Analyzer,KRUSS社のDSA100製品)を使用して測定した。測定しようとする物質(重合体)をフルオロベンゼンに約2重量%の固形分の濃度で希釈させてコーティング液を製造し、製造されたコーティング液をシリコンウェハーに約50nmの厚さおよび4cm2のコーティング面積(横:2cm、縦:2cm)でスピンコートした。コーティング層を常温で約1時間乾燥し、引き続いて約160℃で約1時間熱的熟成させた。熱的熟成を経た膜に表面張力が公知となっている脱イオン化水を落とし、その接触角を求める過程を5回繰り返して、得られた5個の接触角の数値の平均値を求めた。同一に、表面張力が公知となっているジヨードメタンを落とし、その接触角を求める過程を5回繰り返して、得られた5個の接触角の数値の平均値を求めた。求められた脱イオン化水とジヨードメタンに対する接触角の平均値を利用してOwens-Wendt-Rabel-Kaelble方法により溶媒の表面張力に関する数値(Strom値)を代入して表面エネルギーを求めた。ブロック共重合体の各高分子セグメントに対する表面エネルギーの数値は、前記高分子セグメントを形成する単量体だけで製造された単独重合体(homopolymer)に対して前記記述した方法で求めた。
【0139】
5.体積分率の測定
ブロック共重合体の各高分子セグメントの体積分率は、各高分子セグメントの常温での密度とGPCにより測定された分子量に基づいて計算した。前記で密度は、浮力法を利用して測定し、具体的には、空気中での質量と密度を知っている溶媒(エタノール)内に分析しようとする試料を入れ、その質量を用いて計算した。
【0140】
製造例1.モノマー(A)の合成
下記化学式Aの化合物(DPM-C12)は、次の方式で合成した。250mLのフラスコにヒドロキノン(10.0g、94.2mmol)および1-ブロモドデカン(23.5g、94.2mmol)を入れ、100mLのアセトニトリルに溶かした後、過量の炭酸カリウムを添加し、75℃で約48時間窒素条件下で反応させた。反応後に残存する炭酸カリウムをフィルタリングして除去し、反応に使用したアセトニトリルをも除去した。これにDCM(dichloromethane)と水の混合溶媒を添加し、ワークアップし、分離した有機層を集めてMgSO4に通過させて脱水した。引き続いて、カラムクロマトグラフィーでDCM(dichloromethane)を使用して白色固体状の目的物(4-ドデシルオキシフェノール)(9.8g、35.2mmol)を約37%の収得率で得た。
【0141】
<NMR分析結果>
1H-NMR(CDCl3):d6.77(dd、4H);δd4.45(s、1H);d3.89(t、2H);d1.75(p、2H);d1.43(p、2H);d1.33-1.26(m、16H);d0.88(t、3H)。
【0142】
フラスコに合成された4-ドデシルオキシフェノール(9.8g、35.2mmol)、メタクリル酸(6.0g、69.7mmol)、DCC(dicyclohexylcarbodiimide)(10.8g、52.3mmol)およびDMAP(p-dimethylaminopyridine)(1.7g、13.9mmol)を入れ、120mLのメチレンクロリドを添加した後、窒素下で室温で24時間反応させた。反応終了後に、反応中に生成された塩(urea salt)をフィルターで除去し、残存するメチレンクロリドをも除去した。カラムクロマトグラフィーでヘキサンとDCM(dichloromethane)を移動相として使用して不純物を除去し、さらに、得られた生成物をメタノールと水の混合溶媒(1:1混合)で再結晶化して、白色固体状の目的物(7.7g、22.2mmol)を63%の収得率で得た。
【0143】
<NMR分析結果>
1H-NMR(CDCl3):d7.02(dd、2H);δd6.89(dd、2H);d6.32(dt、1H);d5.73(dt、1H);d3.94(t、2H);δd2.05(dd、3H);d1.76(p、2H);δd1.43(p、2H);1.34-1.27(m、16H);d0.88(t、3H)。
【0144】
【0145】
化学式AでRは、炭素数12の直鎖アルキル基である。
【0146】
製造例2.ブロック共重合体(A)の合成
製造例1のモノマー(A)4.0gとRAFT(Reversible Addition-Fragmentation chain Transfer)試薬であるシアノイソプロピルジチオベンゾエート64mg、ラジカル開始剤であるAIBN(Azobisisobutyronitrile)23mgおよびベンゼン5.34mLを10mLのシュレンクフラスコ(Schlenk flask)に入れ、窒素の雰囲気下で常温で30分間撹拌した後、70℃で4時間RAFT(Reversible Addition-Fragmentation chain Transfer)重合反応を行った。重合後、反応溶液を抽出溶媒であるメタノール250mLに沈殿させた後、減圧濾過して乾燥させ、ピンク色の巨大開始剤を製造した。前記巨大開始剤の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、それぞれ18,000g/molおよび1.15であった。
【0147】
前記巨大開始剤0.3g、ペンタフルオロスチレンモノマー5gおよびベンゼン5mLを50mLのシュレンクフラスコ(Schlenk flask)に入れ、窒素の雰囲気下で常温で30分間撹拌した後、115℃で4時間RAFT(Reversible Addition-Fragmentation chain Transfer)重合反応を行った。重合後、反応溶液を抽出溶媒であるメタノール500mLに沈殿させた後、減圧濾過して乾燥させて、淡いピンク色のブロック共重合体を製造した。前記ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、それぞれ40,000g/molおよび1.11であった。前記ブロック共重合体は、製造例1のモノマー(A)に由来する高分子セグメントAと前記ペンタフルオロスチレンモノマーに由来する高分子セグメントBを含む。
【0148】
製造例3~7
製造例2と同じ方式でブロック共重合体を製造するものの、単量体と巨大開始剤のモル比などを調節して、分子量が互いに異なる5種のブロック共重合体をさらに製造した。各製造過程で使用された巨大開始剤およびブロック共重合体の特性を下記表1に整理して記載した。
【0149】
【0150】
前記製造されたブロック共重合体(A)~(D)は、全部セグメントAに鎖形成原子が12個(前記化学式AのR部位)の側鎖を含む。また、各ブロック共重合体に対してn/Dの値、すなわち前記数式1でnq/(2×π)で計算される数値(前記数式でnは、鎖形成原子の数(12)、qは、XRD分析の散乱ベクトル0.5nm-1~10nm-1の範囲で最も大きいピーク面積を有するピークが確認される散乱ベクトル数値)は、全部に対して約3.75であり、高分子セグメントAの表面エネルギーは、5種のブロック共重合体全部で約30.83mN/mであり、高分子セグメントBの表面エネルギーは、やはり5種のブロック共重合体全部で約24.4mN/m程度であった。また、密度は、高分子セグメントAが5種のブロック共重合体全部で約1g/cm3であり、高分子セグメントBの密度は、約1.57g/cm3であった。
【0151】
実施例1
製造例2のブロック共重合体(A)と製造例6のブロック共重合体(E)を混合して高分子組成物を製造した。高分子組成物の具体的な組成は、下記表2に整理して記載した。引き続いて、前記高分子組成物をトルエンに1.5重量%程度の固形分の濃度で希釈させて製造したコーティング液を基板上にスピンコートし、常温で1時間程度乾燥した後、約200℃程度の温度で約10分間熱的熟成して自己組織化された膜を形成した。前記で基板としては、公知のシリコンウェハーとして、表面に何らの中性処理が施されていない基板を適用した。前記形成された膜に対してSEM(Scanning electron microscope)イメージを撮影した。
図1は、前記実施例1に対して撮影したSEMイメージであり、図面から確認されるように、実施例1の高分子組成物の場合、垂直配向された自己組織化シリンダー構造が効果的に形成されたことを確認した。
【0152】
実施例2~5および比較例1
高分子組成物の製造時に適用されたブロック共重合体の種類および比率などを下記表2のように変更したことを除いて、実施例1と同一に高分子膜を形成し、これに対する評価結果は、下記表2に整理して記載した。
【0153】