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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/06 20060101AFI20240312BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240312BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240312BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B24B55/06
H01L21/304 631
H01L21/304 622Q
H01L21/304 644E
H01L21/304 648G
B24B41/06 A
B24B49/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019150305
(22)【出願日】2019-08-20
(65)【公開番号】P2021030327
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩太郎
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-021828(JP,A)
【文献】特開2015-199158(JP,A)
【文献】国際公開第2012/008222(WO,A1)
【文献】特開2006-332534(JP,A)
【文献】特開2017-147275(JP,A)
【文献】特開平11-031671(JP,A)
【文献】特開2013-103318(JP,A)
【文献】特開2001-054865(JP,A)
【文献】特開2000-052234(JP,A)
【文献】特開2010-027701(JP,A)
【文献】特開2016-124063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/06
H01L 21/304
B24B 41/06
B24B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持手段と、該保持手段が保持した該被加工物を加工する加工手段と、該保持手段が保持する該被加工物を該保持手段から搬出する搬出手段と、該搬出手段の搬出経路に配設され該搬出手段が保持した該被加工物の下面を洗浄部材で洗浄する洗浄ユニットと、を備える加工装置であって、
該搬出手段は、該被加工物を保持する吸着面を有する搬送パッドと、該搬送パッドを水平方向に移動させる水平移動手段と、該搬送パッドを該水平方向に対して垂直な方向に移動させる昇降手段と、該昇降手段により移動された該搬送パッドの高さ位置を認識する高さ位置認識部と、を備え、
該洗浄ユニットは、回転軸と、該回転軸から放射状に延在する洗浄部材又は該回転軸を中心に挿入させるロール状の洗浄部材と、該回転軸を回転させるモータと、該モータの負荷電流値を検出する負荷電流値検出部と、該搬送パッドの該吸着面を洗浄する第2洗浄部材と、を備え、
該搬送パッドの該吸着面に保持された該被加工物の下面を該洗浄部材で洗浄する際の該搬送パッドの最適な高さ位置を設定する高さ位置設定手段と、
該洗浄部材に代えて該第2洗浄部材で洗浄可能な状態に該洗浄ユニットを切り換える切換部と、該吸着面を該第2洗浄部材で洗浄する際の該搬送パッドの最適な第2高さ位置を設定する第2高さ位置設定手段と、を備え、
該第2高さ位置設定手段は、該搬送パッドを該昇降手段で下降させ該吸着面を該第2洗浄部材に押し付け、該負荷電流値検出部により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇する該モータの負荷電流値が予め設定した第2設定値に達した際に、該高さ位置認識部が認識した該搬送パッドの高さ位置を記憶する第2高さ位置記憶部を備え、該第2高さ位置記憶部が記憶する該搬送パッドの高さ位置を該搬送パッドの該最適な第2高さ位置として設定して、該吸着面を該第2洗浄部材で洗浄可能とし、
該高さ位置設定手段は、該被加工物を保持した該搬送パッドを該昇降手段で下降させ該被加工物の下面を該洗浄部材に押し付け、該負荷電流値検出部により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇する該モータの負荷電流値が予め設定した設定値に達した際に、該高さ位置認識部が認識した該搬送パッドの高さ位置を記憶する高さ位置記憶部を備え、該高さ位置記憶部が記憶する該搬送パッドの高さ位置を該搬送パッドの該最適な高さ位置として設定して、該搬送パッドにより保持される該被加工物の下面を洗浄する加工装置。
【請求項2】
下面に保護テープが貼着された被加工物を該保護テープを介して保持する保持手段と、該保持手段が保持した該被加工物を加工する加工手段と、該保持手段が保持する該被加工物を該保持手段から搬出する搬出手段と、該搬出手段の搬出経路に配置され該搬出手段が保持した該被加工物の該保護テープの下面を洗浄部材で洗浄する洗浄ユニットと、を備える加工装置であって、
該搬出手段は、該被加工物を保持する吸着面を有する搬送パッドと、該搬送パッドを水平方向に移動させる水平移動手段と、該搬送パッドを該水平方向に対して垂直な方向に移動させる昇降手段と、該昇降手段により移動された該搬送パッドの高さ位置を認識する高さ位置認識部と、を備え、
該洗浄ユニットは、回転軸と、該回転軸から放射状に延在する洗浄部材又は該回転軸を中心に挿入させるロール状の洗浄部材と、該回転軸を回転させるモータと、該モータの負荷電流値を検出する負荷電流値検出部と、該搬送パッドの該吸着面を洗浄する第2洗浄部材と、を備え、
該搬送パッドの該吸着面に保持された該被加工物の下面を該洗浄部材で洗浄する際の該搬送パッドの最適な高さ位置を設定する高さ位置設定手段と、
該洗浄部材に代えて該第2洗浄部材で洗浄可能な状態に該洗浄ユニットを切り換える切換部と、該吸着面を該第2洗浄部材で洗浄する際の該搬送パッドの最適な第2高さ位置を設定する第2高さ位置設定手段と、
該保護テープの品種が設定されるテープ品種設定部と、該保護テープの品種ごとに洗浄に適した該モータの負荷電流値であり予め設定される設定値を示す設定表と、該設定表を参照し該テープ品種設定部に設定された該保護テープの品種に対応した該設定値を選択し設定する選択部と、を備え、
該第2高さ位置設定手段は、該搬送パッドを該昇降手段で下降させ該吸着面を該第2洗浄部材に押し付け、該負荷電流値検出部により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇する該モータの負荷電流値が予め設定した第2設定値に達した際に、該高さ位置認識部が認識した該搬送パッドの高さ位置を記憶する第2高さ位置記憶部を備え、該第2高さ位置記憶部が記憶する該搬送パッドの高さ位置を該搬送パッドの該最適な第2高さ位置として設定して、該吸着面を該第2洗浄部材で洗浄可能とし、
該高さ位置設定手段は、該被加工物を保持した該搬送パッドを該昇降手段で下降させ該被加工物の下面に貼着された該保護テープを該洗浄部材に押し付け、該負荷電流値検出部により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇する該モータの負荷電流値が予め該選択部により選択され設定された設定値に達した際に、該高さ位置記憶部が記憶する該搬送パッドの高さ位置を該搬送パッドの最適な高さ位置として設定して、該搬送パッドにより保持される該被加工物の下面に貼着された該保護テープを洗浄する加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の被加工物を加工する加工装置に関し、特に、被加工物の下面を洗浄可能な加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物を研削砥石で研削する研削装置は、研削砥石で研削されチャックテーブルの保持面に保持されている被加工物の上面を搬送パッドで吸引保持して、チャックテーブルの保持面から流体を噴出させ保持面と被加工物の下面との間に残る真空吸着力を排除し、さらに、搬送パッドを上昇させて保持面から被加工物を離間させている。
【0003】
その後、搬送パッドに保持された被加工物は、チャックテーブルの保持面に保持されていた下面が洗浄ユニットにより洗浄されて、さらに、次工程のスピンナー洗浄機構に搬送されて研削後の上面が洗浄される。上記被加工物の下面を洗浄する洗浄ユニット(例えば、特許文献1参照)は、搬送パッドによる被加工物の搬送経路下方に配設され、洗浄部材として、例えばブラシまたはスポンジを備えている。
【0004】
被加工物を研削するにあたって、チャックテーブルに保持される被加工物の下面を傷付けないように、被加工物の下面には保護テープが貼着されている。よって、被加工物の下面を洗浄する洗浄ユニットは、保護テープの基材面を洗浄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-122995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
洗浄ユニットによる洗浄を行う際に、被加工物に貼着されている保護テープに洗浄部材を接触させるときの押し付け量は、予め決められた押し付け量になるように被加工物を保持する搬送パッドと洗浄部材との相対的な高さ位置の調整がされていることで一定の押し付け量にされている。しかし、本発明の発明者は、被加工物に貼着されている保護テープの品種(例えば、基材層の柔らかさ)によって、洗浄部材を一定の押し付け量で押し付けていることで洗浄できる保護テープと十分に洗浄できない保護テープとがあることを発見した。
【0007】
このように、一定の押し付け量では、保護テープの洗浄が上手くできず研削屑等の汚れを落としきれていない場合があるため、次工程において用いられる保護テープを剥離するテープマウンターで保護テープに付着していた研削屑が装置内を汚し、被加工物に新たに貼り付けたい貼着テープに研削屑が付着するという問題が発生している。
【0008】
上記のように被加工物の下面又は被加工物の下面に貼着された保護テープを洗浄する洗浄ユニットは、研削装置だけに配設されているわけではない。例えば、スラリーを供給しながら研磨パッドを被加工物に接触させ被加工物を研磨する研磨装置は、スラリーが固着しないように被加工物の下面に貼着された保護テープを洗浄する必要があり、そのための該洗浄ユニットを備えている。しかし、洗浄部材を被加工物の下面に貼着された保護テープに対して保護テープの種類を考慮せずに一定の押し付け量で押し付けても、保護テープが十分に洗浄されていない場合がある。
【0009】
よって、被加工物の下面又は該下面に貼着されている保護テープを洗浄する洗浄ユニットを備えた加工装置においては、被加工物の下面又は該下面に貼着されている保護テープに付着している汚れを十分に洗浄除去するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、被加工物を保持する保持手段と、該保持手段が保持した該被加工物を加工する加工手段と、該保持手段が保持する該被加工物を該保持手段から搬出する搬出手段と、該搬出手段の搬出経路に配設され該搬出手段が保持した該被加工物の下面を洗浄部材で洗浄する洗浄ユニットと、を備える加工装置であって、該搬出手段は、該被加工物を保持する吸着面を有する搬送パッドと、該搬送パッドを水平方向に移動させる水平移動手段と、該搬送パッドを該水平方向に対して垂直な方向に移動させる昇降手段と、該昇降手段により移動された該搬送パッドの高さ位置を認識する高さ位置認識部と、を備え、該洗浄ユニットは、回転軸と、該回転軸から放射状に延在する洗浄部材又は該回転軸を中心に挿入させるロール状の洗浄部材の中心を通る軸心を備える回転軸と、該回転軸を回転させるモータと、該モータの負荷電流値を検出する負荷電流値検出部と、該搬送パッドの該吸着面を洗浄する第2洗浄部材と、を備え、該搬送パッドの該吸着面に保持された該被加工物の下面を該洗浄部材で洗浄する際の該搬送パッドの最適な高さ位置を設定する高さ位置設定手段と、該洗浄部材に代えて該第2洗浄部材で洗浄可能な状態に該洗浄ユニットを切り換える切換部と、該吸着面を該第2洗浄部材で洗浄する際の該搬送パッドの最適な第2高さ位置を設定する第2高さ位置設定手段と、を備え、該第2高さ位置設定手段は、該搬送パッドを該昇降手段で下降させ該吸着面を該第2洗浄部材に押し付け、該負荷電流値検出部により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇する該モータの負荷電流値が予め設定した第2設定値に達した際に、該高さ位置認識部が認識した該搬送パッドの高さ位置を記憶する第2高さ位置記憶部を備え、該第2高さ位置記憶部が記憶する該搬送パッドの高さ位置を該搬送パッドの該最適な第2高さ位置として設定して、該吸着面を該第2洗浄部材で洗浄可能とし、該高さ位置設定手段は、該被加工物を保持した該搬送パッドを該昇降手段で下降させ該被加工物の下面を該洗浄部材に押し付け、該負荷電流値検出部により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇する該モータの負荷電流値が予め設定した設定値に達した際に、該高さ位置認識部が認識した該搬送パッドの高さ位置を記憶する高さ位置記憶部を備え、該高さ位置記憶部が記憶する該搬送パッドの高さ位置を該搬送パッドの該最適な高さ位置として設定して、該搬送パッドにより保持される該被加工物の下面を洗浄する加工装置である。
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、下面に保護テープが貼着された被加工物を該保護テープを介して保持する保持手段と、該保持手段が保持した該被加工物を加工する加工手段と、該保持手段が保持する該被加工物を該保持手段から搬出する搬出手段と、該搬出手段の搬出経路に配置され該搬出手段が保持した該被加工物の該保護テープの下面を洗浄部材で洗浄する洗浄ユニットと、を備える加工装置であって、該搬出手段は、該被加工物を保持する吸着面を有する搬送パッドと、該搬送パッドを水平方向に移動させる水平移動手段と、該搬送パッドを該水平方向に対して垂直な方向に移動させる昇降手段と、該昇降手段により移動された該搬送パッドの高さ位置を認識する高さ位置認識部と、を備え、該洗浄ユニットは、回転軸と、該回転軸から放射状に延在する洗浄部材又は該回転軸を中心に挿入させるロール状の洗浄部材と、該回転軸を回転させるモータと、該モータの負荷電流値を検出する負荷電流値検出部と、該搬送パッドの該吸着面を洗浄する第2洗浄部材と、を備え、該搬送パッドの該吸着面に保持された該被加工物の下面を該洗浄部材で洗浄する際の該搬送パッドの最適な高さ位置を設定する高さ位置設定手段と、該洗浄部材に代えて該第2洗浄部材で洗浄可能な状態に該洗浄ユニットを切り換える切換部と、該吸着面を該第2洗浄部材で洗浄する際の該搬送パッドの最適な第2高さ位置を設定する第2高さ位置設定手段と、該保護テープの品種が設定されるテープ品種設定部と、該保護テープの品種ごとに洗浄に適した該モータの負荷電流値であり予め設定される設定値を示す設定表と、該設定表を参照し該テープ品種設定部に設定された該保護テープの品種に対応した該設定値を選択し設定する選択部と、を備え、該第2高さ位置設定手段は、該搬送パッドを該昇降手段で下降させ該吸着面を該第2洗浄部材に押し付け、該負荷電流値検出部により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇する該モータの負荷電流値が予め設定した第2設定値に達した際に、該高さ位置認識部が認識した該搬送パッドの高さ位置を記憶する第2高さ位置記憶部を備え、該第2高さ位置記憶部が記憶する該搬送パッドの高さ位置を該搬送パッドの該最適な第2高さ位置として設定して、該吸着面を該第2洗浄部材で洗浄可能とし、該高さ位置設定手段は、該被加工物を保持した該搬送パッドを該昇降手段で下降させ該被加工物の下面に貼着された該保護テープを該洗浄部材に押し付け、該負荷電流値検出部により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇する該モータの負荷電流値が予め該選択部により選択され設定された設定値に達した際に、該高さ位置記憶部が記憶する該搬送パッドの高さ位置を該搬送パッドの最適な高さ位置として設定して、該搬送パッドにより保持される該被加工物の下面に貼着された該保護テープを洗浄する加工装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る加工装置は、搬出手段は、被加工物を保持する吸着面を有する搬送パッドと、搬送パッドを水平方向に移動させる水平移動手段と、搬送パッドを水平方向に対して垂直な方向に移動させる昇降手段と、昇降手段により移動された搬送パッドの高さ位置を認識する高さ位置認識部と、を備え、洗浄ユニットは、回転軸と、回転軸から放射状に延在する洗浄部材又は回転軸を中心に挿入させるロール状の洗浄部材と、回転軸を回転させるモータと、モータの負荷電流値を検出する負荷電流値検出部と、を備え、加工装置は、搬送パッドの吸着面に保持された被加工物の下面を洗浄部材で洗浄する際の搬送パッドの最適な高さ位置を設定する高さ位置設定手段を備え、高さ位置設定手段は、被加工物を保持した搬送パッドを昇降手段で下降させ被加工物の下面を洗浄部材に押し付け、負荷電流値検出部により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇するモータの負荷電流値が予め設定した設定値に達した際に、高さ位置認識部が認識した搬送パッドの高さ位置を記憶する高さ位置記憶部を備えていることで、洗浄部材を回転させるモータの負荷電流値を監視しつつ、高さ位置記憶部が記憶する搬送パッドの高さ位置を搬送パッドの最適な高さ位置として設定して、搬送パッドを該最適な高さ位置に位置付けて搬送パッドにより保持される被加工物の下面を適切に洗浄することが可能となる。
【0014】
被加工物の下面には、下面を保護する保護テープが貼着されていて、保護テープの品種が設定されるテープ品種設定部と、保護テープの品種ごとに洗浄に適したモータの負荷電流値であり予め設定される設定値を示す設定表と、設定表を参照しテープ品種設定部に設定された保護テープの品種に対応した設定値を選択し設定する選択部と、を備えていることで、高さ位置設定手段は、被加工物を保持した搬送パッドを昇降手段で下降させ被加工物の下面に貼着された保護テープを洗浄部材に押し付け、負荷電流値検出部により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇するモータの負荷電流値が予め選択部により選択され設定された設定値に達した際に、高さ位置記憶部が記憶する搬送パッドの高さ位置を搬送パッドの最適な高さ位置として設定して、搬送パッドにより保持される被加工物の下面に貼着された保護テープを洗浄することができるため、保護テープの品種に対応した適切な高さ位置に搬送パッドを位置付けて、保護テープを十分に洗浄していくことが可能となる。
【0015】
洗浄ユニットは、搬送パッドの吸着面を洗浄する第2洗浄部材を備え、加工装置は、洗浄部材に代えて第2洗浄部材で洗浄可能な状態に洗浄ユニットを切り換える切換部と、吸着面を第2洗浄部材で洗浄する際の搬送パッドの最適な第2高さ位置を設定する第2高さ位置設定手段と、を備え、第2高さ位置設定手段は、搬送パッドを昇降手段で下降させ吸着面を第2洗浄部材に押し付け、負荷電流値検出部により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇するモータの負荷電流値が予め設定した第2設定値に達した際に、高さ位置認識部が認識した搬送パッドの高さ位置を記憶する第2高さ位置記憶部を備えることで、第2洗浄部材を回転させるモータの負荷電流値を監視しつつ、第2高さ位置記憶部が記憶する搬送パッドの高さ位置を搬送パッドの最適な第2高さ位置として設定して、搬送パッドを第2高さ位置に位置付けて吸着面を第2洗浄部材で適切に洗浄していくことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】加工装置の一例を示す斜視図である。
図2】洗浄ユニット、及び切換部の一例を示す斜視図である。
図3】搬送パッドに保持された被加工物の下面に貼着された保護テープを洗浄ユニットで洗浄する場合を説明する断面図である。
図4】高さ位置設定手段、テープ品種設定部、設定表、選択部、及び第2高さ位置設定手段の関係を説明する説明図である。
図5】設定表の一例を示す説明図である。
図6】搬送パッドの吸着面を洗浄ユニットで洗浄する場合を説明する断面図である。
図7】ロール状の洗浄部材を備える洗浄ユニットを説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す本発明に係る加工装置1は、保持手段30上に保持された被加工物Wを加工手段16によって研削加工する装置であり、加工装置1の装置ベース10上の前方(-Y方向側)は、保持手段30に対して被加工物Wの着脱が行われる着脱領域Aであり、装置ベース10上の後方(+Y方向側)は、加工手段16によって保持手段30上に保持された被加工物Wの研削加工が行われる加工領域Bである。
なお、本発明に係る加工装置は、加工装置1のような加工手段16が1軸の研削装置に限定されるものではなく、粗研削手段と仕上げ研削手段とを備え、回転するターンテーブルで被加工物Wを各研削手段の下方に位置づけ可能な2軸の研削装置等であってもよい。また、加工装置は、研磨パッドを備える加工手段で被加工物Wに研磨加工を施す研磨装置であってもよい。
【0018】
被加工物Wは、例えば、シリコン母材等からなる円形の半導体ウェーハであり、図1において下方を向いている被加工物Wの表面Wa(下面Wa)は、格子状に区画された領域に複数のデバイスが形成されており、保護テープTが貼着されて保護されている。被加工物Wの裏面Wb(上面Wb)は、研削加工が施される被加工面となる。なお、被加工物Wはシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム、セラミックス、樹脂、又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、矩形のパッケージ基板等であってもよい。
保護テープTは、被加工物Wの直径と略同径の円形であり、例えば、ポリオレフィン系樹脂からなる基材層と、粘着糊からなる粘着層とを備えている。
【0019】
装置ベース10の-Y方向側の正面には、第1のカセット載置部150及び第2のカセット載置部151が設けられており、第1のカセット載置部150には加工前の被加工物Wが収容される第1のカセット150aが載置され、第2のカセット載置部151には加工後の被加工物Wが収容される第2のカセット151aが載置される。
【0020】
第1のカセット150aの開口の後方には、第1のカセット150aから加工前の被加工物Wを搬出するとともに加工後の被加工物Wを第2のカセット151aに搬入するロボット155が配設されている。ロボット155に隣接する位置には、仮置き領域152が設けられており、仮置き領域152には位置合わせ手段153が配設されている。位置合わせ手段153は、第1のカセット150aから搬出され仮置き領域152に載置された被加工物Wを、縮径する位置合わせピンで所定の位置に位置合わせ(センタリング)する。
【0021】
位置合わせ手段153に隣接する位置には、被加工物Wを保持した状態で旋回移動する搬入手段154が配置されている。搬入手段154は、位置合わせ手段153によって位置合わせされた被加工物Wを吸引保持し、加工領域B内に配設されている保持手段30に搬送する。
【0022】
被加工物Wを吸引保持する保持手段30は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなり被加工物Wを吸引保持する保持面300を備えている。保持手段30は、軸方向がZ軸方向(鉛直方向)である回転軸を軸に回転可能であると共に、カバー39によって周囲を囲まれており、カバー39及びカバー39に連結されY軸方向に伸縮する蛇腹カバー39aの下に配設された図示しないY軸方向移動手段によって、装置ベース10上をY軸方向に往復移動可能である。
【0023】
装置ベース10上の後方側(+Y方向側)には、コラム100が立設されており、コラム100の前面には、加工手段16をZ軸方向に加工送りする加工送り手段17が配設されている。加工送り手段17は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ170と、ボールネジ170と平行に配設された一対のガイドレール171と、ボールネジ170に連結しボールネジ170を回動させるモータ172と、内部のナットがボールネジ170に螺合し側部がガイドレール171に摺接する昇降板173と、昇降板173に連結され加工手段16を保持するホルダ174とから構成され、モータ172がボールネジ170を回動させると、これに伴い昇降板173がガイドレール171にガイドされてZ軸方向に往復移動し、ホルダ174に支持された加工手段16もZ軸方向に往復移動する。
【0024】
加工手段16は、軸方向が保持手段30の保持面300に直交するZ軸方向である回転軸160と、回転軸160を回転可能に支持するハウジング161と、回転軸160を回転駆動するモータ162と、回転軸160の下端に取り付けられたマウント163と、マウント163に着脱可能に接続された研削ホイール164とを備える。研削ホイール164は、ホイール基台と、略直方体形状の外形を備えホイール基台の下面に複数環状に配設された研削砥石とを備えている。
【0025】
加工手段16の下方に位置づけられた状態の保持手段30に隣接する位置には、例えば、研削中において保持手段30によって保持されている被加工物Wの厚みを接触式にて測定する厚み測定手段38が配設されている。
【0026】
加工手段16によって研削加工が施された被加工物Wは、着脱領域A内に配設された搬出手段5によって保持手段30から搬出される。
図1、3に示す搬出手段5は、被加工物Wを保持する吸着面500aを有する搬送パッド50と、搬送パッド50を水平方向に移動させる水平移動手段51と、搬送パッド50を水平方向に対して垂直な方向(Z軸方向)に移動させる昇降手段52と、昇降手段52によりZ軸方向に移動された搬送パッド50の高さ位置を認識する高さ位置認識部53と、を備えている。
【0027】
図3に示すように、搬送パッド50は、例えば、その外形が円形板状であり、ポーラス部材等からなり被加工物Wを吸着する吸着部500と、吸着部500を支持する枠体501とを備える。吸着部500は図示しない真空発生装置又はエジェクター機構等の吸引源に連通し、吸着部500の露出面(下面)である吸着面500aで被加工物Wを吸引保持する。
【0028】
図1に示す水平移動手段51は、水平方向に平行に延在しその先端の下面側に搬送パッド50が装着されたアーム部510と、軸方向がZ軸方向でありアーム部510を水平方向に旋回移動させる旋回軸部511とを備えている。
【0029】
例えば、昇降手段52は、旋回軸部511に連結されたロッド及びモータ等を備える電動シリンダーである。昇降手段52は、旋回軸部511を昇降させることで搬送パッド50を鉛直方向(Z軸方向)の所定の高さ位置まで移動させて位置づけることができる。なお、昇降手段52は電動シリンダーに限定されるものではなく、エアシリンダー等であってもよい。
【0030】
図1に示す昇降手段52により昇降移動された搬送パッド50の高さ位置を認識する高さ位置認識部53は、例えば、エンコーダ等であり、電動シリンダーである昇降手段52の図示しないモータの回転量及び回転速度等を検出して、該回転量及び回転速度等から旋回軸部511のZ軸方向における移動量、換言すれば、搬送パッド50のZ軸方向における移動量を算出して、搬送パッド50の高さ位置を常に認識することができる。
【0031】
図1に示すように、着脱領域A内の搬出手段5に近接する位置には、搬出手段5により搬送された加工後の被加工物Wの上面Wbを洗浄する枚葉式のスピンナー洗浄機構156が配置されている。スピンナー洗浄機構156は、スピンナーテーブル156aで被加工物Wの下面Waを保護テープTを介して保持し、保持された被加工物Wの上方を移動する洗浄ノズル156bから、洗浄水を被加工物Wの上面Wbに噴射して上面Wbの洗浄を行う。
スピンナー洗浄機構156により洗浄及び例えば回転乾燥された被加工物Wは、ロボット155により第2のカセット151aに搬入される。
【0032】
加工装置1は、搬出手段5の搬出経路、即ち、図1に示すように、例えば搬出手段5とスピンナー洗浄機構156との間に配設され搬出手段5が保持した被加工物Wの下面Wa(本実施形態においては、下面Waに貼着された保護テープT)を洗浄部材40で洗浄する洗浄ユニット4を備えている。即ち、先に説明したスピンナー洗浄機構156は、洗浄ユニット4で下面Waの保護テープTが洗浄された後の被加工物Wの上面Wbを洗浄する。
【0033】
本実施形態における洗浄ユニット4は、図2、3に示すように、Z軸方向に立設する回転軸42と、回転軸42の軸心の上端から放射状に延在する洗浄部材40と、回転軸42を回転させるモータ44と、モータ44の負荷電流値を検出する負荷電流値検出部48と、を備えている。
【0034】
本実施形態における図2、3に示す洗浄部材40は、水平方向に延在する一対のブラシ40A、40B(図3においては、片側のみ図示)である。そして、ブラシ40Aとブラシ40Bの長手方向における中間位置に洗浄部材40の中心が位置しており、洗浄部材40の該中心は回転軸42の軸芯線上に位置している。
なお、洗浄部材40は、放射状に延在する一対のブラシ40A、40Bを2つ以上備えていてもよいし、一対のブラシ40A、40Bが一体となっていてもよい。
【0035】
一対のブラシ40A、40Bは、例えば、弾力性を備えるナイロン等の樹脂繊維を直毛状に形成し密集させたものであり、樹脂繊維の毛先となる上面が+Z方向へ向くようにして、放射状に水平に延びるブラシ用プレート403の上面に植設されている。
【0036】
なお、洗浄部材40は、一対のブラシ40A、40Bに限定されるものではなく、例えば、水平方向に放射状に延在する一対のスポンジであってもよい。一対のスポンジは、例えば、円柱状又は直方体状に形成されており、その外側面が洗浄面となる。
【0037】
軸方向がZ軸方向である回転軸42を回転させるモータ44のシャフトには、主動平ギア440が取り付けられている。モータ44には、負荷電流値検出部48が電気的に接続されている。
【0038】
図3に示すように、回転軸42は、例えば、外側面にベアリング機構431を備える略円筒状の回転軸ケーシング43と、回転軸ケーシング43内に上下動可能に収容されている昇降回転軸45とを備えている。そして、本実施形態においては、昇降回転軸45の下端側は、後述するロータリージョイント423を介して切換部60に連結されている。また、図2、3に示すように、昇降回転軸45の上端側は、第2洗浄部材46(所謂、レベリングストーン)を支持する有天筒状の第2洗浄部材支持具467の下面に連結されている。
【0039】
図3に示すように、回転軸ケーシング43は、例えば、装置ベース10内に下部側が入り込む形で装置ベース10上に配設されており、外側面に備えるベアリング機構431によって装置ベース10に対して相対的にZ軸を軸に回転可能となっている。
【0040】
図2、3に示すように、回転軸ケーシング43の外側面の下部側には、主動平ギア440が噛合する従動ギア432が取り付けられており、モータ44の生み出す回転駆動力が、主動平ギア440及び従動ギア432に伝達されることで、回転軸ケーシング43と共に回転軸ケーシング43に第2洗浄部材支持具467を介して連結されている昇降回転軸45がZ軸を軸に回転する。なお、モータ44と回転軸ケーシング43とを無端ベルト等を使用したプーリ機構で連結することで、モータ44の回転駆動力が回転軸ケーシング43に伝わるようにしてもよい。
【0041】
図3に示すように、例えば、回転軸ケーシング43の外側面のベアリング機構431よりも上側の位置には、径方向外側に水平に洗浄部材支持板434が延出している。また、洗浄部材支持板434の外周縁には、-Z方向に向かって垂下するスカート状のカバー部434aが形成されており、カバー部434aによって、回転軸ケーシング43と装置ベース10の開口との隙間に、洗浄時において使用され汚れを含んだ洗浄水が入り込むことが防がれる。
【0042】
洗浄部材支持板434の上面には、一対のブラシ40A、40Bをそれぞれ支持する側面視略L字状のアーム板435が取り付けられており、アーム板435は、例えば、板バネ436を介して、一対のブラシ40A、40Bがそれぞれ植設されたブラシ用プレート403の下面に連結されている。
該板バネ436は、一対のブラシ40A、40Bが図3に示す搬送パッド50で保持された被加工物Wの下面Waの保護テープTに接触した際の衝撃を吸収する。なお、板バネ436を介さずにアーム板435はブラシ用プレート403の下面に連結されていてもよい。
【0043】
例えば、図2、3に示す第2洗浄部材支持具467の側壁には、Z軸方向に延在するように該側壁を貫通して形成された長穴467aが形成されている。また、回転軸ケーシング43の外側面の上部側には、例えば、回転軸ケーシング43の周方向に180度間隔を空けて、長穴467a内に遊嵌して長穴467a内を上下動する凸部437が形成されている。モータ44により回転軸42を構成する回転軸ケーシング43が回転されると、回転軸ケーシング43の回転力を該凸部437が受けて、第2洗浄部材支持具467も回転する。また、該長穴467a内を凸部437が移動可能であることで、第2洗浄部材支持具467は昇降回転軸45と共に上下動可能となっている。
【0044】
図3に示すように、昇降回転軸45の内部には、Z軸方向に延びる水供給路420が形成されており、該水供給路420の下端側は、昇降回転軸45の下端側を囲繞するように配設されたロータリージョイント423、及び配管490を介して、ポンプ等で構成され洗浄水(例えば、純水)を供給可能な洗浄水供給源49に連通している。ロータリージョイント423は、洗浄水供給源49が送出する洗浄水を、回転している状態の昇降回転軸45側に遺漏無く移送する。
【0045】
図2、3に示すように、本実施形態の洗浄ユニット4は、搬送パッド50の吸着面500aを洗浄する第2洗浄部材46(所謂、レベリングストーン)を備えている。また、本実施形態の加工装置1は、洗浄部材40である一対のブラシ40A、40Bに代えて第2洗浄部材46で搬送パッド50の吸着面500aを洗浄可能な状態に洗浄ユニット4を切り換える切換部60を備えている。
図2、3に示す切換部60は、例えば、スライダタイプのロボシリンダであり、ロータリージョイント423と共に昇降回転軸45を支持するスライダー600が、支持ベース601の側面を昇降することに伴って、昇降回転軸45の上端側に第2洗浄部材支持具467を介して取り付けられている第2洗浄部材46を洗浄部材40よりも高い位置に位置づけて、第2洗浄部材46が搬送パッド50の吸着面500aに付着した研削屑等をそぎ取りながら排除していくことが可能な状態に洗浄ユニット4を切換えることができる。
【0046】
図2に示すように、第2洗浄部材46は、例えば、レジンボンド砥石、メタルボンド砥石、又はビトリファイドボンド砥石を略直方体状に形成したものであり、本実施形態においては、その上面である洗浄面460の稜線が丸く面取りされた状態になっている。なお、例えば、洗浄面460の稜線は面取りされていなくてもよいし、また、洗浄面460に格子状の溝が形成されており、第2洗浄部材46が搬送パッド50の吸着面500aに接触している状態において該溝内を洗浄水が通過して洗浄面460に広がっていくことが可能となっていてもよい。第2洗浄部材46は、例えば、搬送パッド50の吸着面500aの直径以上の長さで延在し、第2洗浄部材46に対応する大きさの平板状に形成された図2に示す砥石支持プレート469の上面に取り外し可能に固定されている。
【0047】
砥石支持プレート469の下面中央は、図2,3に示す第2洗浄部材支持具467を介して、昇降回転軸45の上端側に連結されている。
また、例えば、砥石支持プレート469の中央部の側面には、洗浄水ノズル495を支持する支持ブロック496が取り付けられている。
支持ブロック496によって根元側が支持されており、例えば、第2洗浄部材46に沿うように水平に延在する洗浄水ノズル495は、真上に向かって洗浄水を噴射可能な噴射口495aが、その上面に複数長手方向に整列して設けられている。なお、噴射口495aは、洗浄水ノズル495の上面に一本連続的に延びる細幅のスリット状に形成されていてもよい。
【0048】
支持ブロック496内部に形成された図示しない通水路と昇降回転軸45内部に形成された水供給路420とは連通しており、支持ブロック496に流入した洗浄水は、洗浄水ノズル495の根元から先端側に向かって流れていき、その途中で各噴射口495aから上方に噴出する。
【0049】
図1に示すように、加工装置1は、例えば、装置全体の制御を行う制御手段9を備えている。CPU及びメモリ等の記憶素子等で構成される制御手段9は、先に説明した本発明の各発明構成要素に電気的に接続されている。制御手段9は、例えば、加工送り手段17、及び加工手段16等に電気的に接続されており、制御手段9による制御の下で、加工送り手段17による加工手段16の昇降動作、及び加工手段16における研削ホイール164の回転動作等が実施される。
【0050】
本発明に係る加工装置1は、図3に示す搬送パッド50の吸着面500aに保持された被加工物Wの下面Wa、即ち、本実施形態においては、下面Waに貼着された保護テープTを洗浄部材40である一対のブラシ40A、40Bで洗浄する際の搬送パッド50の最適な高さ位置を設定する高さ位置設定手段91を備えている。そして、本実施形態において、高さ位置設定手段91は、制御手段9に含まれている。
図4に示すように、高さ位置設定手段91は、被加工物Wの下面Wa、即ち、本実施形態においては、被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTを洗浄する場合の搬送パッド50の最適な高さ位置を記憶する高さ位置記憶部910を備えている。高さ位置記憶部910は、メモリ等の記憶素子からなる。
【0051】
図2、3に示す洗浄ユニット4のモータ44の負荷電流値を検出する負荷電流値検出部48は、図4に示すように、制御手段9に電気的に接続されており、モータ44の負荷電流値についての情報を高さ位置設定手段91に送信できる。
【0052】
本実施形態における加工装置1は、被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTの品種が設定される図4に示すテープ品種設定部93と、保護テープTの品種(例えば、基材層の柔らかさの違い)ごとに洗浄に適した洗浄ユニット4のモータ44の負荷電流値であり予め設定される設定値を示す設定表94と、設定表94を参照しテープ品種設定部93に設定された保護テープTの品種に対応した設定値を選択し設定する選択部95とを備えている。そして、本実施形態において、テープ品種設定部93と、設定表94と、選択部95とは、制御手段9に組み込まれている。
なお、設定表94は、過去の被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープの洗浄実験で得られたデータを基に作成された表である。
【0053】
また、本実施形態の加工装置1は、図3に示す搬送パッド50の吸着面500aを第2洗浄部材46で洗浄する際の搬送パッド50の最適な第2高さ位置を設定する第2高さ位置設定手段92を備えており、第2高さ位置設定手段92は、例えば、図4に示すように、制御手段9に組み込まれている。第2高さ位置設定手段92は、搬送パッド50の吸着面500aを洗浄する場合の搬送パッド50の最適な高さ位置を記憶する第2高さ位置記憶部920を備えている。第2高さ位置記憶部920は、メモリ等の記憶素子からなる。
【0054】
以下に、上記図1に示す加工装置1を用いて被加工物Wの上面Wbを研削し、その後に、被加工物Wの下面Wa(本実施形態においては、下面Waに貼着されている保護テープT)を洗浄する場合の、加工装置1の動作について説明する。
【0055】
まず、例えば作業者が、これから加工する被加工物Wに対応するデバイスデータを選択して、図示しない入力手段(加工装置1付属のタッチパネルやキーボード)を介してデバイスデータを制御手段9に入力する。デバイスデータとは、被加工物Wの種類や厚さ等に基づいて定められた加工条件である。デバイスデータには、例えば、被加工物Wの下面Waに貼着されている保護テープTの品種についての情報等も含まれている。
【0056】
被加工物Wが載置されていない状態の保持手段30が搬入手段154の近傍まで移動する。ロボット155が第1のカセット150aから一枚の被加工物Wを引き出し、被加工物Wを仮置き領域152に移動させる。位置合わせ手段153により被加工物Wがセンタリングされた後、搬入手段154が、センタリングされた被加工物Wを保持手段30上に移動させる。そして、保持手段30の中心と被加工物Wの中心とが略合致するように、被加工物Wが上面Wbを上に向けた状態で保持面300上に載置された後、図示しない吸引源が生み出す吸引力により保持手段30が保持面300上で被加工物Wを吸引保持する。
【0057】
次に、被加工物Wを吸引保持した状態の保持手段30が+Y方向に移動して、加工手段16の研削ホイール164と保持手段30に保持された被加工物Wとの位置合わせがなされる。また、モータ162が回転軸160を回転させるのに伴って、研削ホイール164が所定の回転速度で回転する。
【0058】
加工送り手段17が所定の送り速度で加工手段16を下降させ、回転する研削ホイール164によって、被加工物Wの上面Wbが研削されていく。また、保持手段30が所定の回転速度で回転するのに伴い保持面300上に保持された被加工物Wも回転するので、研削ホイール164が被加工物Wの上面Wb全面の研削加工を行う。研削加工中には、研削水が研削ホイール164と被加工物Wの上面Wbとの接触部位に供給されて、接触部位が冷却・洗浄される。
【0059】
図1に示す厚み測定手段38による被加工物Wの厚み測定が行われつつ、所望の厚みまで被加工物Wが研削された後、加工送り手段17が加工手段16を上昇させ被加工物Wから離間させる。
次いで、研削後の被加工物Wを吸引保持した保持手段30が、搬出手段5の近傍まで-Y方向に移動する。
【0060】
そして、水平移動手段51が、搬送パッド50を水平方向に旋回移動させて、被加工物Wの上面Wbの中心と吸着面500aの中心とが略合致するように、搬送パッド50を被加工物Wの上方に位置づける。さらに、昇降手段52が搬送パッド50を降下させて、吸着面500aを被加工物Wの上面Wbに接触させる。この状態で、図示しない吸引源が吸引力を生み出し、搬送パッド50が吸着面500aで被加工物Wを吸引保持する。
次いで、保持手段30による被加工物Wの吸引保持が解除され、昇降手段52によって被加工物Wの上面Wbを保持した搬送パッド50が上昇して、保持手段30から被加工物Wが搬出手段5によって搬出される。
【0061】
次に、洗浄ユニット4の洗浄部材40を構成する一対のブラシ40A、40Bによって、搬送パッド50が保持した被加工物Wの下面Wa(本実施形態においては、下面Waに貼着された保護テープT)が洗浄される。
【0062】
まず、水平移動手段51が、被加工物Wを保持した搬送パッド50を水平方向に旋回移動させて、図3に示すように洗浄ユニット4の上方に被加工物Wを位置づける。該位置づけは、例えば、一対のブラシ40A、40Bの回転中心となる回転軸42の軸芯線上に被加工物Wの中心が凡そ重なるように行われる。
【0063】
一方、洗浄ユニット4は、図3に示す切換部60のスライダー600が上昇しておらず、昇降回転軸45の上端側に連結された第2洗浄部材46も上昇しておらず、第2洗浄部材46の洗浄面460が一対のブラシ40A、40Bの毛先よりも下方の位置に位置している。
【0064】
モータ44が回転軸42を構成する回転軸ケーシング43を所定の回転速度で回転させることで、一対のブラシ40A、40Bも水平面内を所定の回転速度で回転する。
また、図3に示す洗浄水供給源49から洗浄水が配管490に送出され、該洗浄水は、昇降回転軸45内の水供給路420を上昇していき、支持ブロック496に流入し、さらに、洗浄水ノズル495の根元から先端側に向かって流れていき、各噴射口495aから上方に噴出する。
【0065】
被加工物Wを保持し洗浄ユニット4の上方に位置付けられた搬送パッド50が、昇降手段52によって所定の速度で下降していき、被加工物Wの下面Waを保護する保護テープTが洗浄部材40である一対のブラシ40A、40Bに押し付けられていく。また、保護テープTには、洗浄水ノズル495から噴射された洗浄水が接触する。そして、負荷電流値検出部48が、検出したモータ44の負荷電流値についての情報を高さ位置設定手段91に対して逐次送信する。
また、図1に示す高さ位置認識部53が、搬送パッド50の高さ位置を逐次認識する。高さ位置認識部53は、搬送パッド50の高さ位置についての情報を逐次高さ位置設定手段91に送信する。
なお、高さ位置記憶部910に高さ位置を記憶させるために負荷電流値検出部48によって負荷電流値を測定する際は、洗浄水の供給を停止した方がよい。また、搬送パッド50に保持される被加工物Wを洗浄部材40に押し付ける際、搬送パッド50の中心を回転軸芯の延長線上に位置づけた後、搬送パッド50を下降させていき負荷電流値検出部48によって負荷電流値を測定した方がよい。
【0066】
先に説明した作業者によるデバイスデータの制御手段9に対する入力によって、図4に示すテープ品種設定部93に、被加工物Wの下面Waに貼着されている保護テープTの品種が、例えば図5の設定表94に示す品種1であると設定される。そして、図4に示す選択部95によって、図5に示す設定表94から、テープ品種設定部93に設定された保護テープTの品種に対応した設定値が選択される。保護テープTの品種は品種1であるため、設定値は設定値CV1が選択される。なお、図5に示す設定表94に示されている品種1の保護テープTに対する設定値CV1、品種2の保護テープに対する設定値CV2、品種3の保護テープに対する設定値CV3、及び品種4の保護テープに対する設定値CV4等は、図3に示す洗浄水ノズル495から所定量の洗浄水が保護テープに対して供給されることで、一対のブラシ40A、40Bに対する負荷(即ち、モータ44に対する負荷)が軽減されることも加味した過去の実験から得られたデータによって定められた設定値である。
【0067】
該設定値CV1は、品種1の保護テープTの洗浄に適した洗浄ユニット4のモータ44の負荷電流値として、図4に示す高さ位置設定手段91に設定される。
なお、被加工物Wの下面Waに保護テープTが貼着されていない場合には、高さ位置設定手段91に設定される設定値は、被加工物Wの柔らかさや過去の洗浄実験で得られたデータ等を基にして設定される。
【0068】
図3に示す被加工物Wを保持した搬送パッド50が昇降手段52によって下降していき、本実施形態においては被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTが一対のブラシ40A、40Bに押し付けられていくことで、保護テープTの一対のブラシ40A、40Bに対する押し付け量が大きくなるほど、一対のブラシ40A、40Bは回転しづらくなるが、この場合でも回転軸42を構成する回転軸ケーシング43を一定の回転数で回転させるようにモータ44はフィードバック制御されているため、モータ44の負荷電流値が上昇する。
【0069】
図4に示す高さ位置設定手段91は、負荷電流値検出部48から送られてくるモータ44の負荷電流値と設定値CV1とを逐次比較監視しており、上昇し負荷電流値検出部48により検出されるモータ44の負荷電流値が、予め選択部95によって選択された設定値CV1に達すると、そのときにおける高さ位置認識部53が認識した搬送パッド50の高さ位置(例えば、図3に示す高さ位置Z1)を高さ位置記憶部910に記憶させる。高さ位置記憶部910に記憶された該搬送パッド50の高さ位置Z1は、被加工物Wの下面Waに品種1の保護テープTが貼着されている場合において、搬送パッド50により保持される被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTを洗浄する最適な高さ位置となる。
なお、被加工物Wの下面Waに保護テープTが貼着されていない場合においても、選択部95による設定値の設定作業以外は、上記と略同様の工程によって、搬送パッド50により保持される被加工物Wの下面Waを洗浄する最適な高さ位置が、高さ位置記憶部910に記憶される。
【0070】
図3に示す昇降手段52による搬送パッド50の下降が停止され、搬送パッド50が高さ位置Z1に位置付けられた状態で、洗浄水ノズル495から保護テープTに対する洗浄水の供給を伴いつつ、回転する一対のブラシ40A、40Bが被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTを所定時間洗浄した後、該洗浄が終了する。
【0071】
下面Waに貼着された保護テープTが洗浄された被加工物Wは、図1に示す搬送パッド50によってスピンナー洗浄機構156のスピンナーテーブル156aに搬送される。そして、スピンナーテーブル156aにより、被加工物Wが、上面Wbが上側を向いた状態で吸引保持される。スピンナー洗浄機構156の洗浄ノズル156bが下方に洗浄水を噴射しつつ、被加工物Wの上方を旋回移動し、また、スピンナーテーブル156aが所定の回転速度で回転することで、被加工物Wの上面Wb全面が洗浄水で洗浄される。
その後、被加工物Wは回転乾燥される、又は、エアの吹き付けにより乾燥される。
【0072】
スピンナー洗浄機構156により洗浄及び乾燥された被加工物Wは、ロボット155により第2のカセット151aに搬入される。
【0073】
例えば、新たな被加工物Wが、以上のように説明してきたのと同様に上面Wbが研削された後に、新たな被加工物Wの下面Waに貼着された品種1の保護テープTが、洗浄ユニット4により洗浄される。図3に示す高さ位置記憶部910に記憶された該搬送パッド50の高さ位置Z1は、被加工物Wの下面Waに品種1の保護テープTが貼着されている場合において、搬送パッド50により保持される被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTを洗浄する最適な高さ位置となるため、搬送パッド50が高さ位置Z1に位置付けられた状態で、洗浄水ノズル495から保護テープTに対する洗浄水の供給を伴いつつ、回転する一対のブラシ40A、40Bが新たな被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTを適切に洗浄していくことが可能となる。
【0074】
本発明に係る加工装置1は、搬出手段5は、被加工物Wを保持する吸着面500aを有する搬送パッド50と、搬送パッド50を水平方向に移動させる水平移動手段51と、搬送パッド50を水平方向に対して垂直な方向(Z軸方向)に移動させる昇降手段52と、昇降手段52により移動された搬送パッド50の高さ位置を認識する高さ位置認識部53と、を備え、洗浄ユニット4は、回転軸42と、回転軸42から放射状に延在する洗浄部材40と、回転軸42を回転させるモータ44と、モータ44の負荷電流値を検出する負荷電流値検出部48と、を備え、加工装置1は、搬送パッド50の吸着面500aに保持された被加工物Wの下面Waを洗浄部材40で洗浄する際の搬送パッド50の最適な高さ位置を設定する高さ位置設定手段91を備え、高さ位置設定手段91は、被加工物Wを保持した搬送パッド50を昇降手段52で下降させ被加工物Wの下面Waを洗浄部材40に押し付け、負荷電流値検出部48により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇するモータ44の負荷電流値が予め設定した設定値に達した際に、高さ位置認識部53が認識した搬送パッド50の高さ位置を記憶する高さ位置記憶部910を備えていることで、洗浄部材40を回転させるモータ44の負荷電流値を監視しつつ、高さ位置記憶部910が記憶する搬送パッド50の高さ位置を搬送パッド50の最適な高さ位置として設定して、搬送パッド50を最適な高さ位置に位置付けて搬送パッド50により保持される被加工物Wの下面Waを適切に洗浄することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態のように、被加工物Wの下面Waには、下面Waを保護する保護テープTが貼着されていて、保護テープTの品種が設定されるテープ品種設定部93と、保護テープTの品種ごとに洗浄に適したモータ44の負荷電流値であり予め設定される設定値を示す設定表94と、設定表94を参照しテープ品種設定部93に設定された保護テープTの品種1に対応した設定値CV1を選択し設定する選択部95と、を備えていることで、高さ位置設定手段91は、被加工物Wを保持した搬送パッド50を昇降手段52で下降させ被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTを洗浄部材40に押し付け、負荷電流値検出部48により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇するモータ44の負荷電流値が予め選択部95により選択され設定された設定値CV1に達した際に、高さ位置記憶部910が記憶する搬送パッド50の高さ位置Z1を搬送パッド50の最適な高さ位置Z1として設定して、搬送パッド50により保持される被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTを洗浄することができるため、保護テープTの品種に対応した適切な高さ位置Z1に搬送パッド50を位置付けて、保護テープTを十分に洗浄していくことが可能となる。
【0076】
次に、例えば、図1に示す被加工物Wを保持していない搬送パッド50が、水平移動手段51によって洗浄ユニット4の上方まで旋回移動して、例えば、第2洗浄部材46の回転中心となる回転軸42の軸芯線上に搬送パッド50の吸着面500aの中心が凡そ重なるように位置付けられてから、洗浄ユニット4による吸着面500aの洗浄が開始される。
【0077】
図6に示す切換部60のスライダー600が上昇して、昇降回転軸45の上端側に第2洗浄部材支持具467を介して連結された第2洗浄部材46が上昇し、第2洗浄部材46の洗浄面460が相対的に一対のブラシ40A、40Bの毛先よりも上方の位置に位置づけられる。即ち、本実施形態においては、高さ位置が固定されている一対の洗浄ブラシ40A、40Bが退避位置に位置付けられた状態になる。また、モータ44が回転軸42を構成する回転軸ケーシング43を所定の回転速度で回転させることで、昇降回転軸45、第2洗浄部材支持具467、及び第2洗浄部材46を所定の回転速度で回転する。
【0078】
上記のように、洗浄部材40である一対のブラシ40A、40Bに代えて第2洗浄部材46で搬送パッド50の吸着面500aを洗浄可能な状態に、洗浄ユニット4が切換部60により切り換えられた後、搬送パッド50が、昇降手段52によって所定の速度で下降していき、吸着面500aが第2洗浄部材46に押し付けられていく。また、図6に示す洗浄水供給源49から洗浄水が配管490に送出され、該洗浄水は、昇降回転軸45内の水供給路420を上昇していき、支持ブロック496に流入し、さらに、洗浄水ノズル495の各噴射口495aから上方に噴出して、吸着面500aに供給される。
【0079】
負荷電流値検出部48が、検出したモータ44の負荷電流値についての情報を図4に示す第2高さ位置設定手段92に対して逐次送信する。
また、図6に示す高さ位置認識部53が、搬送パッド50の高さ位置を逐次認識する。高さ位置認識部53は、搬送パッド50の高さ位置についての情報を逐次第2高さ位置設定手段92に送信する。
【0080】
先に説明した作業者によるデバイスデータの制御手段9に対する入力によって、第2高さ位置設定手段92には、予め、搬送パッド50の吸着面500aの洗浄に適した洗浄ユニット4のモータ44の負荷電流値についての、過去の洗浄実験等から得られた第2設定値が設定されている。該第2設定値を、例えば、第2設定値CV5とする。なお、第2設定値CV5は、洗浄水ノズル495から所定量の洗浄水が吸着面500aに対して供給されることで、回転する第2洗浄部材46に対する負荷(即ち、モータ44に対する負荷)が軽減されることも加味して定められた設定値である。
【0081】
図6に示す搬送パッド50が昇降手段52で下降されていき、吸着面500aが第2洗浄部材46に押し付けられていくことで、その押し付け量が大きくなるほど、第2洗浄部材46は回転しづらくなるが、この場合でも回転軸42を構成する回転軸ケーシング43を一定の回転数で回転させるようにモータ44はフィードバック制御されているため、モータ44の負荷電流値が上昇する。
【0082】
第2高さ位置設定手段92は、負荷電流値検出部48から送られてくるモータ44の負荷電流値と第2設定値CV5とを逐次比較監視しており、上昇し負荷電流値検出部48により検出されるモータ44の負荷電流値が、予め設定された第2設定値CV5に達すると、そのときにおける高さ位置認識部53が認識した搬送パッド50の高さ位置(例えば、図6に示す高さ位置Z2)を図4に示す第2高さ位置記憶部920に記憶させる。第2高さ位置記憶部920に記憶された搬送パッド50の高さ位置Z2は、搬送パッド50の吸着面500aを第2洗浄部材46で洗浄液を供給しつつ洗浄する最適な高さ位置となる。
【0083】
昇降手段52による搬送パッド50の下降が停止され、搬送パッド50が高さ位置Z2に位置付けられた状態で、洗浄水ノズル495から吸着面500aに対する洗浄水の供給を伴いつつ、第2洗浄部材46が回転しながら吸着面500aに付着した研削屑等をそぎ取りながら排除していく。また、そぎ取られた研削屑等は、洗浄水ノズル495から噴射される洗浄水によって洗浄除去されていく。
【0084】
吸着面500aから研削屑等が十分に除去された後、昇降手段52によって搬送パッド50を上昇させて第2洗浄部材46から離間させることで、洗浄ユニット4による吸着面500aの洗浄が完了する。
【0085】
このように、洗浄ユニット4は、搬送パッド50の吸着面500aを洗浄する第2洗浄部材46を備え、加工装置1は、洗浄部材40に代えて第2洗浄部材46で洗浄可能な状態に洗浄ユニット4を切り換える切換部60と、吸着面500aを第2洗浄部材46で洗浄する際の搬送パッド50の最適な第2高さ位置Z2を設定する第2高さ位置設定手段92と、を備え、第2高さ位置設定手段92は、搬送パッド50を昇降手段52で下降させ吸着面500aを第2洗浄部材46に押し付け、負荷電流値検出部48により検出され押し付け量が大きくなるほど上昇するモータ44の負荷電流値が予め設定した第2設定値CV5に達した際に、高さ位置認識部53が認識した搬送パッド50の高さ位置Z2を記憶する第2高さ位置記憶部920を備えることで、第2洗浄部材46を回転させるモータ44の負荷電流値を監視しつつ、第2高さ位置記憶部920が記憶する搬送パッド50の高さ位置Z2を搬送パッド50の最適な第2高さ位置Z2として設定して、搬送パッド50を第2高さ位置Z2に位置付けて吸着面500aを第2洗浄部材46で適切に洗浄していくことが可能となる。
【0086】
本発明に係る加工装置1は上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、添付図面に図示されている加工装置1の各構成の形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【0087】
例えば、加工装置1が備える洗浄ユニットは、図7に示す洗浄ユニット2であってもよい。洗浄ユニット2は、回転軸21と、回転軸21を中心に挿入させる図示しない挿入孔を有するロール状の洗浄部材20と、回転軸21を回転させるモータ22と、モータ22の負荷電流値を検出する負荷電流値検出部28と、を備えている。
【0088】
ロール状の洗浄部材20は、例えば、所定の厚みを備えるスポンジを円筒形状に成形したものであり、搬送パッド50の直径以上の長さでY軸方向に延在し、その中心に図示しない挿入孔が形成されている。そして、ロール状の洗浄部材20の外側面200が、例えば被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTに接触し洗浄する洗浄面となる。
【0089】
ロール状の洗浄部材20の中心となる図示しない挿入孔に挿入される回転軸21は、軸方向がY軸方向となっており、例えば、支持台29によって回転可能に支持されている。
支持台29は、平面視矩形の底板290と、底板290の外周から一体的に+Z方向に立ち上がる2枚の側壁291とからなる
【0090】
図7に示す回転軸21の両端は、図示しないベアリングを介して各側壁291により回転可能に支持されており、回転軸21は、支持台29の内部上方に位置付けられており、回転軸21が挿入されたロール状の洗浄部材20は、その外側面200の一部分が支持台29外に露出した状態になっている。
【0091】
回転軸21を回転させるモータ22のシャフトには、主動プーリ231が取り付けられており、主動プーリ231には無端ベルト232が巻回されている。回転軸21には従動プーリ233が取り付けられており、無端ベルト232は、この従動プーリ233にも巻回されている。モータ22が主動プーリ231を回転駆動することで、主動プーリ231の回転に伴って無端ベルト232が回動し、無端ベルト232が回動することで従動プーリ233及び回転軸21が回転する。
【0092】
モータ22には、負荷電流値検出部28が電気的に接続されている。また、負荷電流値検出部28は、制御手段9に電気的に接続されており、モータ22の負荷電流値についての情報を高さ位置設定手段91に送信できる。
【0093】
例えば、支持台29内の上部には、ロール状の洗浄部材20に並行してY軸方向に延在する洗浄水ノズル27が配設されている。洗浄水ノズル27の上側の側面に開口する複数の噴出口270は、例えば、丸穴状に形成されているが、これに限定されるものではなく、細幅のスリット状に形成されていてもよいし、洗浄水ノズル27の上側の側面に一本の連続的に延びる細幅のスリット状に形成されていてもよい。
洗浄水ノズル27には、純水等を洗浄水として供給可能な図示しない洗浄水供給源が連通している。
【0094】
以下に、洗浄ユニット2のロール状の洗浄部材20によって、搬送パッド50が保持した被加工物Wの下面Wa(本実施形態においては、下面Waに貼着された保護テープT)が洗浄される場合について説明する。
まず、水平移動手段51が、被加工物Wを保持した搬送パッド50を水平方向に旋回移動させて、図7に示すように洗浄ユニット2の上方に位置づける。
【0095】
また、モータ22が回転軸21を所定の回転速度で回転させることで、ロール状の洗浄部材20も支持台29内で所定の回転速度で回転する。
さらに、図示しない洗浄水供給源から洗浄水ノズル27に洗浄水が供給されて、各噴出口270から上方に洗浄水が噴出する。
【0096】
被加工物Wを保持し洗浄ユニット2の上方に位置づけられた搬送パッド50が、昇降手段52によって所定の速度で下降していき、被加工物Wの下面Waを保護する保護テープTがロール状の洗浄部材20に押し付けられていく。また、保護テープTには、洗浄水ノズル27から噴射された洗浄水が接触する。そして、負荷電流値検出部48が、検出したモータ22の負荷電流値についての情報を高さ位置設定手段91に対して逐次送信する。
また、高さ位置認識部53が、搬送パッド50の高さ位置を逐次認識する。高さ位置認識部53は、搬送パッド50の高さ位置についての情報を逐次高さ位置設定手段91に送信する。
【0097】
図4に示す選択部95によって、設定表94から、テープ品種設定部93に設定された保護テープTの品種に対応した設定値が選択される。保護テープTの品種は、例えば図5に示す品種1であり、設定値は設定値CV1が選択される。
【0098】
該設定値CV1は、保護テープTの洗浄に適した洗浄ユニット2のモータ22の負荷電流値として、図7に示す高さ位置設定手段91に設定される。
なお、被加工物Wの下面Waに保護テープTが貼着されていない場合には、高さ位置設定手段91に設定される設定値は、被加工物Wの柔らかさや過去の洗浄実験で得られたデータ等を基にして設定される。
【0099】
被加工物Wを保持した搬送パッド50が昇降手段52によって下降していき、被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTがロール状の洗浄部材20に押し付けられていくことで、保護テープTのロール状の洗浄部材20に対する押し付け量が大きくなるほどロール状の洗浄部材20は回転しづらくなるが、この場合でも回転軸21を一定の回転数で回転させるようにモータ22はフィードバック制御されているため、モータ22の負荷電流値が上昇する。
【0100】
図4に示す高さ位置設定手段91は、負荷電流値検出部28から送られてくるモータ22の負荷電流値と設定値CV1とを逐次比較監視しており、上昇し負荷電流値検出部28により検出されるモータ22の負荷電流値が、予め選択部95によって選択された設定値CV1に達すると、そのときにおける高さ位置認識部53が認識した搬送パッド50の高さ位置(例えば、図示しない高さ位置Z3とする)を高さ位置記憶部910に記憶させる。高さ位置記憶部910に記憶された該搬送パッド50の高さ位置Z3は、被加工物Wの下面Waに品種1の保護テープTが貼着されている場合において、搬送パッド50により保持される被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTを洗浄する最適な高さ位置となる。
なお、被加工物Wの下面Waに保護テープTが貼着されていない場合においても、選択部95による設定値の設定作業以外は、上記と略同様の工程によって、搬送パッド50により保持される被加工物Wの下面Waを洗浄する最適な高さ位置が、高さ位置記憶部910に記憶される。
なお、高さ位置記憶部910に高さ位置を記憶させる際は、洗浄水ノズル27から洗浄水を供給しない方がよい。また、洗浄部材20に被加工物Wの下面Waの中心を接触させるとよい。
【0101】
図7に示す昇降手段52による搬送パッド50の下降が停止され、搬送パッド50が最適な高さ位置Z3に位置付けられた状態で、例えば、搬送パッド50がX軸方向において往復移動する。さらに、洗浄水ノズル27から保護テープTに対する洗浄水の供給を伴いつつ、ロール状の洗浄部材20が被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTを所定時間洗浄することで、洗浄が完了し保護テープTが十分に洗浄された状態になる。
その後、例えば、搬送パッド50が+X方向に移動すると共に、洗浄水ノズル27からエアを噴出させて、被加工物Wの下面Waに貼着された保護テープTが乾燥される。
【符号の説明】
【0102】
W:被加工物 Wa:被加工物の下面 Wb:被加工物の上面 T:保護テープ
1:加工装置 10:装置ベース A:着脱領域 B:加工領域
150a:第1のカセット 151a:第2のカセット 152:仮置き領域 153:位置合わせ手段 154:搬入手段 156:スピンナー洗浄機構
30:保持手段 300:保持面 39:カバー 39a:蛇腹カバー 38:厚み測定手段
100:コラム 17:加工送り手段 170:ボールネジ 172:モータ
16:加工手段 160:回転軸 161:ハウジング 162:モータ 163:マウント 164:研削ホイール
5:搬出手段
50:搬送パッド 500a:吸着面
51:水平移動手段 510:アーム部 511:旋回軸部
52:昇降手段 53:高さ位置認識部
4:洗浄ユニット 40:洗浄部材 40A、40B:一対のブラシ 403:ブラシ用プレート
42:回転軸 420:水供給路 490:配管 49:洗浄水供給源
洗浄水
423:ロータリージョイント 43:回転軸ケーシング 431:ベアリング機構 432:従動ギア 434:洗浄部材支持板 434a: カバー部 435:アーム板 436:板バネ 44:モータ 440:主動平ギア 45:昇降回転軸 48:負荷電流値検出部 495:洗浄水ノズル
46:第2洗浄部材 469:砥石支持プレート
467:第2洗浄部材支持具
60:切換部 600:スライダー 601:支持ベース
9:制御手段
91:高さ位置設定手段 910:高さ位置記憶部
93:テープ品種設定部 94:設定表 95:選択部
92:第2高さ位置設定手段 920:第2高さ位置記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7