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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ウエーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240312BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20240312BHJP
【FI】
H01L21/304 601Z
H01L21/304 631
B23K26/53
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020023244
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021129037
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104078345(CN,A)
【文献】特開2006-108532(JP,A)
【文献】特開2004-111606(JP,A)
【文献】特開2017-071074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B23K 26/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスが表面に形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞し面取り部が形成された外周余剰領域とを含むウエーハの加工方法であって、
ウエーハの表面に保護部材を配設する保護部材配設工程と、
面取り部が形成された外周余剰領域の内部にウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を位置付けて照射して改質層を環状に形成する改質層形成工程と、
環状に形成された改質層を起点として面取り部が形成された外周余剰領域をウエーハから分離する分離工程と、
該分離工程によって面取り部が除去されたウエーハの裏面を研削して薄化する研削工程と、
を含み、
該改質層形成工程において、該改質層は、ウエーハの表面から裏面に向かって円錐台形に形成されることに加え、逆円錐台形も形成されるウエーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のデバイスが表面に形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞し面取り部が形成された外周余剰領域とを含むウエーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とを表面に備えたウエーハは、裏面が研削されて所定の厚みに形成された後、ダイシング装置、レーザー加工装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
また、ウエーハの裏面を研削して薄くすると、ウエーハの外周端に形成された面取り部がナイフエッジのように鋭く薄くなり、研削中に欠けが生じてクラックがデバイス領域に至り、デバイスを損傷させるという問題があることから、ウエーハの裏面を研削する前に、該面取り部を有する外周余剰領域にレーザー光線を照射して、外周余剰領域を除去する技術が本出願人によって提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-108532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された技術のように、レーザー光線を外周余剰領域に照射して面取り部を除去すべく、例えば、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を、該面取り部を含む外周余剰領域の内部に照射して改質層を形成して、面取り部を含むリング状の領域を改質層に沿ってウエーハから除去しようとしても、該改質層を形成した外周余剰領域の外側がウエーハから容易に外れず、作業に時間が掛かるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、レーザー光線を、面取り部を含む外周余剰領域の内部に照射して該面取り部を含むリング状の領域を容易にウエーハから除去することができるウエーハの加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、複数のデバイスが表面に形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞し面取り部が形成された外周余剰領域とを含むウエーハの加工方法であって、ウエーハの表面に保護部材を配設する保護部材配設工程と、面取り部が形成された外周余剰領域の内部にウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を位置付けて照射して改質層を環状に形成する改質層形成工程と、環状に形成された改質層を起点として面取り部が形成された外周余剰領域をウエーハから分離する分離工程と、該分離工程によって面取り部が除去されたウエーハの裏面を研削して薄化する研削工程と、を含み、該改質層形成工程において、改質層は、ウエーハの表面から裏面に向かって円錐台形に形成されることに加え、逆円錐台形も形成されるウエーハの加工方法が提供される。
【0008】
該改質層形成工程において、改質層は、ウエーハの表面から裏面に向かって円錐台形に形成されることに加え、逆円錐台形も形成されるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のウエーハの加工方法は、複数のデバイスが表面に形成されたデバイス領域と該デバイス領域を囲繞し面取り部が形成された外周余剰領域とを含むウエーハの加工方法であって、ウエーハの表面に保護部材を配設する保護部材配設工程と、面取り部が形成された外周余剰領域の内部にウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の集光点を位置付けて照射して改質層を環状に形成する改質層形成工程と、環状に形成された改質層を起点として面取り部が形成された外周余剰領域をウエーハから分離する分離工程と、該分離工程によって面取り部が除去されたウエーハの裏面を研削して薄化する研削工程と、を含み、該改質層形成工程において、改質層は、ウエーハの表面から裏面に向かって円錐台形に形成されることに加え、逆円錐台形も形成されることから、面取り部を含むリング状の外周余剰領域を、容易に分離して除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1参考例の保護部材配設工程の実施態様を示す斜視図である。
図2】改質層形成工程を実施する際にウエーハをチャックテーブルに載置し保持させる態様を示す斜視図である。
図3】改質層形成工程の実施態様を示す斜視図である。
図4】(a)図3に示す改質層形成工程を実施することで外周余剰領域の内部に改質層が形成される態様を示す一部拡大断面図、(b)(a)に示す参考例の改質層形成工程とは別の実施形態の実施態様を示す一部拡大断面図である。
図5】(a)図4(a)に示す改質層形成工程を実施した後、分離工程を実施する場合の一部を拡大して示す側面図、(b)図4(b)に示す改質層形成工程を実施した後、分離工程を実施する場合の一部を拡大して示す側面図である。
図6】(a)研削装置のチャックテーブルにウエーハを載置する態様を示す斜視図、(b)研削工程の実施態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に基づいて構成されるウエーハの加工方法に掛かる参考例及び実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
本発明に基づき構成された参考例について説明する。参考例のウエーハの加工方法において加工対象となるのは、例えば、図1に示すように、IC、LSI等の複数のデバイス12が分割予定ライン14によって表面10aに区画されたデバイス領域10Aと、デバイス領域10Aを囲繞する外周余剰領域10Bとを備えたシリコン(Si)のウエーハ10である。外周余剰領域10Bを形成するウエーハ10の外周側の端部には、面取り部10cが形成されている。ウエーハ10の直径は、例えば300mmであり、厚みは780μmである。本参考例のウエーハ10は、裏面10bが研削されて所定の厚みに形成された後、個々のデバイスチップに分割される。なお、図1に記載されたウエーハ10の表面10aには、デバイス領域10Aと、外周余剰領域10Bとを区分する二点鎖線で示す線Lが環状に記載されているが、線Lは、説明の都合上付した仮想線であり、ウエーハ10上に実際に付与されているものではない。
【0013】
参考例のウエーハの加工方法を実施するに際し、まず、図1に示すように、ウエーハ10の表面10aに、保護部材として機能する粘着テープ20を貼着する(保護部材配設工程)。粘着テープ20は、例えば、PET、PVC等の基材フィルムの表面に糊剤が付与されたものが使用されるが、特に限定されるものではない。
【0014】
次いで、粘着テープ20が貼着され一体とされたウエーハ10を、図2図3に示すレーザー加工装置30(一部のみ示している)に搬送して、チャックテーブル32の保持面32a上に、ウエーハ10の裏面10b側を上方に、粘着テープ20側を下方に向けて載置して吸引保持させる(図2を参照)。ウエーハ10をチャックテーブル32に吸引保持したならば、所定のアライメント工程を実施し、レーザー光線を照射すべき位置を検出し、図3に示すように、レーザー光線照射手段34を構成する集光器34aの下方に位置付ける。このとき、レーザー光線を照射すべき加工位置は、デバイス領域10Aと、外周余剰領域10Bとを区分する線Lよりも僅かに外側の外周余剰領域10Bの内部であって、面取り部10cよりも内側に設定される。
【0015】
上記したように、ウエーハ10をレーザー加工装置30のチャックテーブル32に保持させて、集光器34aの下方に位置付けたならば、外周余剰領域10Bの内部に、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線LBの集光点(焦点)を位置付けて照射して改質層を環状に形成する改質層形成工程を実施する。本参考例における改質層形成工程について、図4(a)も併せて参照しながらより具体的に説明する。
【0016】
参考例における改質層形成工程では、環状の改質層を複数形成する。まず、厚みが780μmであるウエーハ10の上面を構成する裏面10bから見て、下面を構成する表面10aに近い深さが750μmの位置P1に、レーザー光線LBの集光点を位置付ける。レーザー光線LBの集光点を該位置P1に位置付けたならば、レーザー光線照射手段34の集光器34aからレーザー光線LBを照射しながら、図3に示すように、チャックテーブル32を矢印R1で示す方向に回転させて、外周余剰領域10Bの内部に改質層を環状に形成する。
【0017】
なお、上記したレーザー加工を実施する際のレーザー加工条件は、例えば以下のように設定される。
波長 :1342nm
繰り返し周波数 :60kHz
平均出力 :1.6W
チャックテーブル回転数 :0.5回/秒
【0018】
上記したように、レーザー光線LBの集光点を位置P1に位置付けてウエーハ10の外周余剰領域10Bの内部に環状の改質層を形成したならば、一旦レーザー光線LBの照射を停止して、集光点の位置を該P1よりも4μm内側(デバイス領域10A側)に移動し、上面(裏面10b)側に90μm、すなわち、裏面10bから見て660μmの深さ位置に移動してレーザー光線LBを照射して、上記と同様に、外周余剰領域10Bの内部に改質層を形成する。以降、同様にして、図4(a)中の(1)で示す矢印の方向に沿って、集光点の位置を、4μmずつ内側に、90μmずつ上方に移動(P1…P2…P3)させながら位置付けて、レーザー光線LBを照射して改質層100を形成する。なお、本参考例において裏面10bに最も近い位置P3は、例えば、最初の位置P1から28μm内側に移動した位置であって、その深さは、裏面10bから120μmの深さ位置である。
【0019】
このようにして形成された改質層100は、ウエーハ10の表面10a(下面)から裏面10b(上面)に向かって、垂直方向に対して約2.4度の傾斜角度θを形成し、改質層100によって円錐台形が形成される。なお、図4では、説明の都合上、改質層100によって形成される傾斜角度を実際より大きく記載している。また、改質層100を形成する際の垂直方向に対する傾斜角度は、上記した2.4度に限定されず、集光点の位置を内側に移動させる際の間隔を適宜調整して、例えば、2度~5度程度の範囲で形成するとよい。以上により、改質層形成工程が完了する。
【0020】
次いで、環状に形成された改質層100を起点として外周余剰領域10Bをウエーハ10から分離する分離工程を実施する。該分離工程は、図5(a)に示すように、ウエーハ10をチャックテーブル32に吸引保持した状態で、改質層100が形成された位置から外側の外周余剰領域10Bの下面を構成する表面10aに対し、例えば、分離レバーMの爪部Maを位置付け、上方(矢印R2で示す方向)に引き上げる。これにより、面取り部10cを含むリング状の外周余剰領域10Bが改質層100の傾斜に沿って容易に分離され、デバイス領域10Aを含むウエーハ10がチャックテーブル32上に円錐台形で残される。なお、図示は省略しているが、ウエーハ10の外周余剰領域10Bにおいて、均等の間隔で少なくとも3箇所に分離レバーMの爪部Maを位置付けることが好ましい。以上により分離工程が完了する。
【0021】
上記した分離工程を実施したならば、面取り部10cが除去されたウエーハ10を、図6(a)に示す研削装置40(一部のみを示している)に搬送して、ウエーハ10の裏面10bを上方に、粘着テープ20側を下方に向け、チャックテーブル42の保持面42aに載置して吸引保持する。
【0022】
研削装置40は、図6(b)に示すように、研削手段44を備えている。研削手段44は、回転自在に配設されたスピンドル44aと、スピンドル44aを回転駆動するための駆動源としてのサーボモータ(図示は省略)とを備えている。スピンドル44aの下端部には、円盤状のマウント44bが配設され、マウント44bの下面には、研削ホイール44cが配設されている。そして、研削ホイール44cの下面には、複数の研削砥石44dが環状に配設されている。
【0023】
研削工程を実施するに際し、チャックテーブル42に吸引保持されたウエーハ10を、図6(b)に示すように、研削手段44の下方に位置付ける。次いで、チャックテーブル42を矢印R4で示す方向に、例えば、300rpmの回転速度で回転させると共に、スピンドル44aを矢印R5で示す方向に、6000rpmの回転速度で回転させる。次いで、図示しない研削送り手段を作動して、研削手段44を矢印R6で示す方向に下降させて、ウエーハ10の裏面10bに当接させる。研削手段44の研削砥石44dがウエーハ10の裏面10bに当接して裏面10bを研削する際の研削送り速度は、例えば0.1μm/秒に設定される。該研削工程において、ウエーハ10が所望の厚み、例えば100μmになるまで研削されたならば、研削工程を完了する。
【0024】
上記したように、本参考例によれば、改質層形成工程を実施する際に、改質層100がウエーハ10の表面10aから裏面10bに向かって円錐台形に形成され、分離工程を実施することにより面取り部10cを含む外周余剰領域10Bを分離していることから、ウエーハ10の裏面10bを研削して薄化する研削工程を実施しても、ナイフエッジが形成されることがない。また、面取り部10cを含む外周余剰領域10Bをウエーハ10から分離する際には、改質層100によって円錐台形が形成されていることから、外周余剰領域10Bが容易に分離される。
【0025】
上記した参考例では、改質層100を形成する際に、図4(a)に示すように、改質層100によって、ウエーハ10の表面10aから裏面10aに向かって円錐台形を形成した後、上記した分離工程を実施したが、本発明に基づき構成される実施形態の改質層形成工程では、図4(b)に示すように、ウエーハ10の表面10aから裏面10bに向かって改質層100による円錐台形を形成することに加え、裏面10b側を底面として表面10a側を上面とする円錐台形、すなわち、上記した改質層100によって形成される円錐台形に対して逆円錐台形となる改質層110を形成するこの改質層100、改質層110を形成する本発明の実施形態について、図4(b)を参照しながら、より具体的に説明する。
【0026】
まず、先に説明した改質層形成工程と同様に、ウエーハ10の上面を構成する裏面10bから見て、表面10aに近い深さが750μmであって、外周余剰領域10Bの内部の位置P4(=P1)に、レーザー光線LBの集光点を位置付ける。レーザー光線LBの集光点を該位置P4に位置付けたならば、上記した改質層形成工程と同様のレーザー加工条件に基づいてレーザー光線照射手段34の集光器34aからレーザー光線LBを照射し、図3に示すように、チャックテーブル32を矢印R1で示す方向に回転させて、外周余剰領域10Bの内部に改質層を環状に形成する。次いで、一旦レーザー加工を停止して、集光点の位置を、該P4よりも4μm内側(デバイス領域10A側)に、上面(裏面10b)側に90μm(裏面10bから見て660μmの深さ位置)移動させ、上記と同様に(2)で示す方向に集光点の位置を順次移動させて同様の加工を繰り返し、外周余剰領域10Bの内部であってP5で示す位置まで複数の改質層を形成する。
【0027】
上記したように、集光点を位置P5に位置付けて改質層を形成したならば、次に、レーザー光線LBの照射を一旦停止し、裏面10bからみて、上記した位置P4と同じ深さ、すなわち、裏面10bから見て深さが750μmの位置であって、位置P4から見て、28μm内側の位置P6に集光点の位置を位置付けてレーザー光線LBを照射してチャックテーブル32を回転させて、環状の改質層を形成する。このように、位置P6に改質層を形成したならば、一旦レーザー光線LBの照射を停止して、集光点の位置を該P6よりも4μm外側(外周余剰領域10B側)に移動し、上面(裏面10b)側に90μm、すなわち裏面10bから見て660μmの深さ位置に移動させ、上記と同様に(3)で示す方向に集光点の位置を順次移動させて同様の加工を繰り返し、外周余剰領域10Bの内部であってP7で示す位置まで複数の改質層を形成する。P7で示す位置まで改質層を形成したならば、さらに集光点の位置を該P7よりも4μm外側(外周余剰領域10B側)に移動し、上面(裏面10b)側に90μm高い位置P8に移動させてチャックテーブル32を回転させながらレーザー光線LBを照射して改質層を形成する。なお、位置P8は、上下方向で見て位置P5と重なる位置である。位置P8に改質層を形成したならば、さらに、集光点の位置を、(4)で示す方向、すなわち、4μm外側(外周余剰領域10B側)、上面(裏面10b)側に90μm高い位置に順次移動させてチャックテーブル32を回転させながらレーザー光線LBを照射して、P9で示す位置まで、改質層を形成する。
【0028】
上記したように、位置P9に対応する位置に環状の改質層を形成したならば、次いで、集光点をP10で示す位置に位置付ける。位置P10は、上記した位置P8と深さ位置が一致し、上下方向で見て、位置P7と一致する位置である。このような位置P9に集光点を位置付けたならば、上記したのと同様のレーザー加工条件でレーザー光線を照射し、チャックテーブル32を回転させながら、改質層を形成する。そして、集光点の位置を、(5)で示す方向、すなわち、4μm内側(デバイス領域10A側)、上面(裏面10b)側に90μm高い位置に順次移動させて、レーザー光線LBを照射して、P11で示す位置まで改質層を形成し、改質層形成工程が完了する。
【0029】
上記した実施形態によれば、図4(b)に(2)、(5)に示す方向において改質層100が形成されることで、ウエーハ10の表面10aから裏面10bに向かう円錐台形が形成されると共に、(3)、(4)に示す方向において改質層110が形成されることで、改質層100によって形成される円錐台形とは上下が逆の逆円錐台形が形成される。なお、このように改質層形成工程を実施することで、上下方向で見て重なる位置に改質層を形成することがあっても、必ず下方側の改質層を先に形成することになることから、改質層100、及び改質層110が良好に形成される。
【0030】
上記した実施形態によって改質層100、110が形成された場合であっても、図5(b)に示すように、上記した参考例と同様の分離工程を実施することで、環状に形成された改質層100、110を起点として、面取り部10cを含むリング状の外周余剰領域10Bの分離が容易に実現される。以上のようにして改質層形成工程が実施されたならば、上記した研削工程を実施して、所望の厚さになるまでウエーハ10を薄化する。
【0031】
上記した実施形態によって改質層100、110を形成した後、ウエーハ10から外周余剰領域10Bが分離される際には、改質層100と改質層110によって囲まれた領域10dがさらに分離されるため、より容易に外周余剰領域10Bが分離されると共に、ウエーハ10の外周端が、裏面10bを研削加工してもナイフエッジが形成されない良好な形状となる。
【符号の説明】
【0032】
10:ウエーハ
10A:デバイス領域
10a:表面
10B:外周余剰領域
10b:裏面
10c:面取り部
12:デバイス
14:分割予定ライン
20:粘着テープ
30:レーザー加工装置
32:チャックテーブル
34:レーザー光線照射手段
34a:集光器
40:研削装置
42:チャックテーブル
44:研削手段
44c:研削ホイール
44d:研削砥石
100、110:改質層
LB:レーザー光線
M:分離レバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6